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特許7571419印刷物管理装置、印刷物管理システム及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】印刷物管理装置、印刷物管理システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 1/00 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
H04N1/00 838
H04N1/00 127B
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2020139854
(22)【出願日】2020-08-21
(65)【公開番号】P2022035492
(43)【公開日】2022-03-04
【審査請求日】2023-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001900
【氏名又は名称】弁理士法人 ナカジマ知的財産綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽場 笑子
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-095062(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、
前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、
判定結果を記録する管理手段と、
前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、
前記保管確認情報が前記印刷物を撮影した撮影画像データであり、
前記判定手段は、前記印刷物の内容に関連する情報から取得した印刷画像データと前記撮影画像データとを照合することにより前記印刷物の保管の有無を確認す
刷物管理装置。
【請求項2】
管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、
前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、
判定結果を記録する管理手段と、
前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、
前記印刷物が一以上のオブジェクトデータが含まれる文書データを印刷したものであり、
前記印刷物の内容に関連する情報が前記オブジェクトデータの内容に関する質問の回答であり、
前記保管確認情報が前記質問に対する前記ユーザーの回答であり、
前記判定手段は、前記ユーザーから受信した回答と、前記印刷物の内容に関連する情報から取得した回答とが一致するか否かを確認することにより前記印刷物の保管の有無を判定す
刷物管理装置。
【請求項3】
前記オブジェクトデータがテキスト、画像のいずれかを示すデータである
請求項に記載の印刷物管理装置。
【請求項4】
管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、
前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、
判定結果を記録する管理手段と、
前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、
前記印刷物の内容に関連する情報及び前記保管確認情報が前記印刷物に追加印字された追加情報であり、
前記判定手段は、前記保管確認情報と、前記印刷物の内容に関連する情報とが一致するか否かを確認することにより前記印刷物の保管の有無を判定す
刷物管理装置。
【請求項5】
前記追加情報が前記印刷物に追加印字された一文字以上のテキストからなるパスワードである
請求項に記載の印刷物管理装置。
【請求項6】
前記パスワードが2次元コードに符号化されて印字される
請求項に記載の印刷物管理装置。
【請求項7】
管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、
前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、
判定結果を記録する管理手段と、
前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、
前記判定手段は、前記印刷物の内容に関連する情報を用いて前記印刷物の保管の有無を判定し、
前記印刷物の内容に関連する情報には管理期限が設定され、
前記管理期限が過ぎたときに当該印刷物の内容に関連する情報を破棄す
刷物管理装置。
【請求項8】
管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、
前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、
判定結果を記録する管理手段と、
前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、
前記記憶手段は、前記印刷物を印刷したユーザーの顔画像データを更に保存し、
前記保管確認情報が前記印刷物と人物を一の画像内に撮影した撮影画像データであり、
前記判定手段は、前記印刷物の内容に関連する情報から取得した印刷画像データと前記撮影画像データとを照合し、更に、前記顔画像データと前記撮影画像データとを照合することにより前記印刷物の保管の有無を判定す
刷物管理装置。
【請求項9】
前記記憶手段は、所定の連絡先を保存し、
ユーザーによる前記印刷物の保管を確認できなかった場合、前記管理手段は、確認結果を前記連絡先に送信する
請求項1~8のいずれか1項に記載の印刷物管理装置。
【請求項10】
印刷ジョブに基づいてシート上に画像を形成することにより前記印刷物を生成する画像形成手段と、
前記印刷ジョブに基づいて前記印刷物の内容に関連する情報を生成する生成手段と、を備える
請求項1~9のいずれか1項に記載の印刷物管理装置。
【請求項11】
印刷ジョブに基づいてシート上に画像を形成することにより前記印刷物を生成し、前記印刷ジョブに基づいて前記印刷物の内容に関連する情報を生成する画像形成装置から前記印刷物の内容に関連する情報を取得して前記記憶手段に記憶する
請求項1~9のいずれか1項に記載の印刷物管理装置。
【請求項12】
管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、
前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、
判定結果を記録する管理手段と、
を備え、
前記管理対象の印刷物が文書情報として特定の属性が付与された文書データを印刷したものであ
刷物管理装置。
【請求項13】
前記管理対象の印刷物が印刷の実行者が特定のユーザーである印刷物である
請求項1~11のいずれか1項に記載の印刷物管理装置。
【請求項14】
前記要求手段は、同じ印刷物に対して複数回要求を行う場合、2回目以降の要求時、前回と内容が異なる保管確認情報の送信を要求する
請求項1~13のいずれか1項に記載の印刷物管理装置。
【請求項15】
ディスプレイを備え、
ユーザーによる前記印刷物の保管を確認できなかった場合、前記管理手段は、確認結果を前記ディスプレイに表示する
請求項1~14のいずれか1項に記載の印刷物管理装置。
【請求項16】
前記判定手段は、前記撮影画像データのデータ作成日時からの経過時間が所定時間以内であることを確認する
請求項に記載の印刷物管理装置。
【請求項17】
請求項11に記載の印刷物管理装置と画像形成装置とを含んで構成される印刷物管理システム。
【請求項18】
携帯端末にインストールされ、印刷物の管理に用いられるプログラムであって、
印刷物を管理する印刷物管理装置から、前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報の要求を受信する受信処理と、
保管確認情報を生成する生成処理と、
生成された保管確認情報を前記印刷物管理装置に送信する送信処理と
を前記携帯端末に実行させるプログラムであり、
前記要求が前記印刷物の撮影箇所の指定を含み、
前記生成処理は、前記撮影箇所を前記携帯端末の備えるカメラで撮影する処理を含
プログラム。
【請求項19】
携帯端末にインストールされ、印刷物の管理に用いられるプログラムであって、
印刷物を管理する印刷物管理装置から、前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報の要求を受信する受信処理と、
保管確認情報を生成する生成処理と、
生成された保管確認情報を前記印刷物管理装置に送信する送信処理と
を前記携帯端末に実行させるプログラムであり、
前記生成処理は、前記印刷物に印刷された2次元コードを前記携帯端末の備える2次元コードリーダーで読み取る処理を含
ログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷した文書等の印刷物を管理する印刷物管理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
テレワーク等のオフィスの外での作業増加に伴い、オフィスで印刷した文書等の印刷物をオフィスの外に持ち出すケースが増加している。このとき、印刷物を紛失し、紛失した印刷物が悪意ある第三者に渡った場合、情報漏洩につながってしまう。このように印刷物の持ち出し増加に起因して情報漏洩のリスクが高まっており、その対策が求められている。
【0003】
特許文献1では、電子タグを使用して印刷物を含む管理対象物の持ち出し管理を行い、返却期限が過ぎた場合に、管理対象物を持ち出した利用者に通知メールを送信するシステムが開示されている。このシステムによれば、電子タグにより、いつ誰が管理対象物を持ち出したのかを管理しているため、情報漏洩が発覚した際に、漏洩経路を追跡可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2008-176480号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の開示において、管理対象物紛失の発覚タイミングは、管理対象物が返却期限を過ぎても返却されなかったときである。情報漏洩対策に重要なのは、迅速な対応であり、そのためには、情報漏洩の発生の原因となる管理対象物の紛失の発生をより早いタイミングで把握することが求められる。
【0006】
また、管理対象物を持ち出した人物が管理対象物を紛失してしまった場合に、その紛失を偽装することにより管理者が管理対象物の紛失を把握するタイミングが遅れてしまうことが問題となる可能性がある。
【0007】
本開示の目的は、上記問題を鑑みて、印刷物の紛失を偽装することが困難で、従来よりも早いタイミングで印刷物の紛失の発生を把握できる印刷物管理装置、印刷物管理システム、プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係る印刷物管理装置は、管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、判定結果を記録する管理手段と、前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、前記保管確認情報が前記印刷物を撮影した撮影画像データであり、前記判定手段は、前記印刷物の内容に関連する情報から取得した印刷画像データと前記撮影画像データとを照合することにより前記印刷物の保管の有無を確認することを特徴とする。
【0011】
本開示の別の態様に係る印刷物管理装置は、管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、判定結果を記録する管理手段と、前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、前記印刷物が、一以上のオブジェクトデータが含まれる文書データを印刷したものであり、前記印刷物の内容に関連する情報が、前記オブジェクトデータの内容に関する質問の回答であり、前記保管確認情報が、前記質問に対する前記ユーザーの回答であり、前記判定手段は、前記ユーザーから受信した回答と、前記印刷物の内容に関連する情報から取得した回答とが一致するか否かを確認することにより前記印刷物の保管の有無を判定することを特徴とする
【0012】
前記印刷物管理装置において、前記オブジェクトデータが、テキスト、画像のいずれかを示すデータであるとしてもよい。
【0013】
本開示のさらに別の態様に係る印刷物管理装置は、管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、判定結果を記録する管理手段と、前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、前記印刷物の内容に関連する情報及び前記保管確認情報が、前記印刷物に追加印字された追加情報であり、前記判定手段は、前記保管確認情報と、前記印刷物の内容に関連する情報とが一致するか否かを確認することにより前記印刷物の保管の有無を判定することを特徴とする
【0014】
前記印刷物管理装置において、前記追加情報が、前記印刷物に追加印字された一文字以上のテキストからなるパスワードであるとしてもよい。
【0015】
前記印刷物管理装置において、前記パスワードが、2次元コードに符号化されて印字されるとしてもよい。
【0016】
本開示のさらに別の態様に係る印刷物管理装置は、管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、判定結果を記録する管理手段と、を備え、前記管理対象の印刷物が、文書情報として特定の属性が付与された文書データを印刷したものであることを特徴とする
【0017】
前記印刷物管理装置において、前記管理対象の印刷物が、印刷の実行者が特定のユーザーである印刷物であるとしてもよい。
【0018】
本開示のさらに別の態様に係る印刷物管理装置は、管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、判定結果を記録する管理手段と、前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、前記判定手段は、前記印刷物の内容に関連する情報を用いて前記印刷物の保管の有無を判定し、前記印刷物の内容に関連する情報には管理期限が設定され、前記管理期限が過ぎたときに当該印刷物の内容に関連する情報を破棄することを特徴とする
【0019】
前記印刷物管理装置において、前記要求手段は、同じ印刷物に対して複数回要求を行う場合、2回目以降の要求時、前回と内容が異なる印刷物確認情報の送信を要求するとしてもよい。
【0020】
前記印刷物管理装置において、前記確認手段は、前記撮影画像データのデータ作成日時からの経過時間が所定時間以内であることを確認するとしてもよい。
【0021】
本開示のさらに別の態様に係る印刷物管理装置は、管理対象の印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、判定結果を記録する管理手段と、前記印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、を備え、前記記憶手段は、前記印刷物を印刷したユーザーの顔画像データを更に保存し、前記保管確認情報が、前記印刷物と人物を一の画像内に撮影した撮影画像データであり、前記判定手段は、前記印刷物の内容に関連する情報から取得した印刷画像データと前記撮影画像データとを照合し、更に、前記顔画像データと前記撮影画像データとを照合することにより前記印刷物の保管の有無を判定することを特徴とする
【0022】
前記印刷物管理装置において、前記記憶手段は、所定の連絡先を保存し、ユーザーによる前記印刷物の保管を確認できなかった場合、前記管理手段は、確認結果を前記連絡先に送信するとしてもよい。
【0023】
前記印刷物管理装置において、印刷物管理装置は、ディスプレイを備え、ユーザーによる前記印刷物の保管を確認できなかった場合、前記管理手段は、確認結果を前記ディスプレイに表示するとしてもよい。
【0024】
前記印刷物管理装置は、印刷ジョブに基づいてシート上に画像を形成することにより前記印刷物を生成する画像形成手段と、前記印刷ジョブに基づいて前記印刷物の内容に関連する情報を生成する生成手段と、を備えるとしてもよい。
【0025】
前記印刷物管理装置は、画像形成装置から前記印刷物の内容に関連する情報を取得して前記記憶手段に記憶するとしてもよい。画像形成装置は、印刷ジョブに基づいてシート上に画像を形成することにより前記印刷物を生成し、前記印刷ジョブに基づいて前記印刷物の内容に関連する情報を生成してもよい。
【0026】
本開示の一態様の印刷物管理システムは、画像形成装置から取得した管理対象の印刷物の内容に関連する情報を保存する記憶手段と、前記印刷物を印刷したユーザーに前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求する要求手段と、前記印刷物の内容に関連する情報及び前記保管確認情報に基づいて前記印刷物の保管の有無を判定する判定手段と、判定結果を記録する管理手段と、を備える印刷物管理装置と、印刷ジョブに基づいてシート上に画像を形成することにより前記印刷物を生成し、前記印刷ジョブに基づいて前記印刷物の内容に関連する情報を生成する画像形成装置と、を含んで構成されることを特徴とする。
【0027】
本開示の一態様のプログラムは、携帯端末にインストールされ、印刷物の管理に用いられるプログラムであって、印刷物を管理する印刷物管理装置から、前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報の要求を受信する受信処理と、前記保管確認情報を生成する生成処理と、生成された保管確認情報を前記印刷物管理装置に送信する送信処理とを前記携帯端末に実行させるプログラムであり、前記要求が前記印刷物の撮影箇所の指定を含み、前記生成処理は、前記撮影箇所を前記携帯端末の備えるカメラで撮影する処理を含むことを特徴とする。
【0030】
本開示の別の態様のプログラムは、携帯端末にインストールされ、印刷物の管理に用いられるプログラムであって、印刷物を管理する印刷物管理装置から、前記印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報の要求を受信する受信処理と、前記保管確認情報を生成する生成処理と、生成された保管確認情報を前記印刷物管理装置に送信する送信処理とを前記携帯端末に実行させるプログラムであり、前記生成処理は、前記印刷物に印刷された2次元コードを前記携帯端末の備える2次元コードリーダーで読み取る処理を含むことを特徴とする
【発明の効果】
【0031】
本開示によれば、印刷物を持ち出した利用者に対して、印刷物の持ち出し中に、印刷物を紛失せずに保管していることを確認するため、もし紛失が発生していた場合、返却時よりも早いタイミングでその紛失を把握することができる。従って、従来よりも早いタイミングで印刷物の紛失を認識でき、情報漏洩対策の迅速化に寄与できる。また、保管確認情報を用いてユーザーによる印刷物の保管の有無を確認するため紛失の偽装を行うことが困難である。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】画像形成システム1の構成を示すシステム構成図である。
図2】制御装置の構成を示すブロック図である。
図3図3(a)はユーザー情報111のデータ構成の一例を示す図である。図3(b)は管理者情報116のデータ構成の一例を示す図である。
図4】印刷情報112のデータ構成の一例を示す図である。
図5図5(a)、(b)、(c)は、印刷物関連情報のデータ構成の一例を示す図である。
図6図6(a)、(b)、(c)は、管理設定情報113のデータ構成の一例を示す図である。
図7図7(a)、(b)は、追加印字設定情報114のデータ構成の一例を示す図である。
図8図8は、確認結果DBのデータ構成の一例を示す図である。
図9】印刷物管理装置10の動作を示すフローチャートの一例である。
図10】ユーザー端末20の動作を示すフローチャートの一例である。
図11図11(a)、(b)は、ユーザーに新着情報があることを示すアイコン表示の一例である。
図12図12(a)、(b)は、保管確認情報の生成方法を説明する図である。
図13】保管確認情報の生成方法を説明する図である。
図14図14(a)、(b)は、保管確認情報の生成方法を説明する図である。
図15図15(a)、(b)、(c)は、保管確認情報の生成方法を説明する図である。
図16図16(a)、(b)、(c)は、印刷物に追加印刷されたパスワードを説明するための図である。
図17】画像形成システム2の構成を示すシステム構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
[1]実施の形態
本開示に係る一の実施の形態としての印刷物管理システム1について図面を参照しながら説明する。
【0034】
図1に示すように、印刷物管理システム1は、印刷物管理装置10及びユーザー端末20を含む。印刷物管理装置10とユーザー端末20とはネットワーク30を介して接続される。
【0035】
1.1 印刷物管理装置10
実施の形態1に係る印刷物管理装置10は、スキャナー、プリンター及びコピー機の機能を有する複合機(MFP:MultiFunction Peripheral)である。
【0036】
印刷物管理装置10は、図1に示すように、筐体下部に、シートを収容し、給送する給紙部13が設けられている。給紙部13の上方には、電子写真方式により画像を形成するプリンター12が設けられている。プリンター12のさらに上方に、原稿面を読み取って画像データを生成するスキャナー11及び操作画面を表示し、利用者から入力操作を受け付ける操作パネル19が設けられている。
【0037】
スキャナー11は、自動原稿搬送装置15を備えている。自動原稿搬送装置15は、原稿トレイ16にセットされた原稿を1枚ずつ原稿ガラス板へ搬送する。スキャナー11は、自動原稿搬送装置15によって原稿ガラス板の所定位置に搬送された原稿の画像をスキャナーによってスキャンし(読み取り)、レッド(R)、グリーン(G)、ブルー(B)の多値デジタル信号からなる画像データを得る。スキャナー11は、得られた画像データをHDD110(後述)に書き込む。
【0038】
スキャナー11で得られた各色成分の画像データは、制御装置14において各種のデータ処理を受け、更にイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の各再現色の画像データに変換される。
【0039】
プリンター12は、中間転写ベルト、中間転写ベルトを張架する駆動ローラー、従動ローラー、バックアップローラー、中間転写ベルトに対向して中間転写ベルトの走行方向Xに沿って所定間隔で配置された複数の作像部、定着部等からなる。
【0040】
各作像部は、像担持体である感光体ドラム、感光体ドラム表面を露光走査するためのLEDアレイ、帯電チャージャー、現像器、クリーナー及び1次転写ローラーなどからなる。
【0041】
給紙部13は、サイズの異なるシートを収容する複数の給紙カセット及び各給紙カセットからシートを搬送路に繰り出すためのピックアップローラー、並びに、シートを載置するための手差しトレイ及び手差しトレイからシートを搬送路に繰り出すためのピックアップローラーから構成されている。
【0042】
作像部のそれぞれにおいて、各感光体ドラムは、帯電チャージャーにより一様に帯電され、LEDアレイにより露光され、感光体ドラムの表面に静電潜像が形成される。各静電潜像は、それぞれ各色の現像器により現像され、各感光体ドラムの表面にY~K色のトナー像が形成され、トナー像は、中間転写ベルトの裏面側に配設された各1次転写ローラーの静電作用により、中間転写ベルトの表面上に順次転写される。これによって、中間転写ベルトの表面上にカラートナー像が形成される。
【0043】
一方、給紙部13のいずれかの給紙カセット又は手差しトレイから、各作像部による作像動作に合わせて、シートが給送され、2次転写ローラーとバックアップローラーとが中間転写ベルトを挟んで対向する2次転写位置へと搬送路上を搬送され、2次転写位置で、2次転写ローラーの静電的作用により、中間転写ベルト上のカラートナー像がシートへ2次転写される。Y~K色のトナー像が2次転写されたシートは、さらに定着部まで搬送される。
【0044】
シートの表面のトナー像は、定着部の加熱ローラーとこれに圧接された加圧ローラーとの間に形成される定着ニップを通過する際に、加熱及び加圧により、シートの表面に融着して定着され、シートは、定着部を通過した後、排出トレイへ送出される。
【0045】
操作パネル19には、液晶表示板などで構成される表示部18が設けられ、利用者によって設定された内容や各種のメッセージを表示する。例えば、表示部18は、印刷物管理装置10が管理する印刷物について、ユーザーによる紛失が発覚した場合にその旨を管理者に伝えるメッセージ等を表示してもよい。
【0046】
また、操作パネル19は、入力部17が設けられ、利用者からの印刷指示等を受け付ける。なお、入力部17は、表示部18の表面に設けられたタッチセンサーや図示しない数値入力用のテンキーなどを含んでいてもよい。操作パネル19は、受け付けた内容を制御装置14に通知する。
【0047】
図2は、制御装置14の構成を示すブロック図である。図2に示すように、制御装置14は、主制御部100、HDD(Hard Disk Drive)110、ネットワークIF(InterFace)120を備える。
【0048】
(1)主制御部100
主制御部100は、CPU(Central Processing Unit)100a、ROM(Read Only Memory)100b、RAM(Random Access Memory)100c等から構成される。RAM100cは、半導体メモリから構成され、各種の制御変数などを一時記憶すると共に、CPU100aによるプログラム実行時のワークエリアを提供する。ROM100bは、半導体メモリから構成され、予め、スキャンジョブ、コピージョブ又はプリントジョブ等の各種ジョブを実行させるための制御プログラムなどを記憶している。
【0049】
CPU100aは、フェッチ部、解読部、実行部、レジスタファイル、命令カウンタなどから構成されている。フェッチ部は、ROM100bに記憶されている制御プログラムから、制御プログラムに含まれる各命令コードを1個ずつ読み出す。解読部は、読み出した命令コードを解読する。実行部は、解読結果に従って動作する。このように、CPU100aは、ROM100bに記憶されている制御プログラムに従って動作する。
【0050】
主制御部100は、制御プログラムに従い、スキャンジョブ、コピージョブ又はプリントジョブ等の実行のために、HDD110、ネットワークIF120、スキャナー11、プリンター12、給紙部13、操作パネル19を統一的に制御する。
【0051】
また、主制御部100は、制御プログラムに従い、要求部101、確認部102、管理部103、印刷情報生成部104、質問生成部105、追加印字部106として機能する。
【0052】
(1-1)要求部101
要求部101は、HDD110に保存された管理設定情報113及び印刷情報112を参照し、管理対象の印刷物を特定し、特定した印刷物を保管しているユーザーに対して、印刷物を保管しているか否かの確認をする保管確認情報を要求するメッセージを送信する。なお、本開示におけるAからBへのメッセージの送信及び受信は、Aが特定の場所にメッセージを保存し、Bが特定の場所にアクセスしてメッセージを取得することを含む。
【0053】
(1-2)確認部102
確認部102は、ユーザーから受信した保管確認情報と、HDD110に保存された印刷情報とを参照し、ユーザーが適切に印刷物を保管しているか否かを確認する。
【0054】
(1-3)管理部103
管理部103は、確認部102による確認結果を用いて確認結果DB115を生成してHDD110に保存、または、HDD110に保存された確認結果DB115の更新を行う。また、管理部103は、確認部102による確認の結果、ユーザーによる印刷物の紛失が発覚した場合、HDD110に保存された管理設定情報113を参照し、その設定内容に基づいた処理を行う。
【0055】
(1-4)印刷情報生成部104
印刷情報生成部104は、印刷物管理装置10が画像形成処理を実行して印刷物を生成した際に、そのときのユーザーログイン情報、印刷ジョブ情報、ユーザー入力情報等に基づいて印刷情報112を生成し、HDD110に保存する。
【0056】
(1-5)質問生成部105
質問生成部105は、印刷物に印刷したオブジェクトに関する質問及びその回答を生成する。ここで、オブジェクトは、テキスト、画像(グラフ、表、図、写真)のいずれかを示すデータである。テキストオブジェクトについて、印刷ジョブ情報にテキスト情報が含まれる場合はその情報を用いてもよいし、イメージデータに対してOCR処理を行ってテキスト情報を取得してもよい。質問と回答は、例えば「P1の最初の5文字は?」などの予め決められた質問に対して、印刷物に印刷したオブジェクトから回答を抽出することにより生成してもよい。具体的に、文書のP1の最初の文が「私はその人を常に先生と呼んでいた。」であれば、最初の5文字を抽出して「私はその人」を回答として生成してもよい。つまり質問が「P1の最初の5文字は?」で回答が「私はその人」となる。
【0057】
また、グラフ、表、図、写真などのオブジェクトについては、各オブジェクトの数、位置、色、タイトルなどの情報に基づいて質問と回答を生成してもよい。例えば、印刷物のP3には3つの画像が存在するのであれば、質問として「P3に印刷してある画像の数は?」を生成し、回答として「3」を生成してもよい。また、印刷物のP2に一つの図が印刷され、そのタイトルが赤色で印刷されている場合、質問として「P2の図のタイトルの色は?」を生成し、回答として「赤」を生成してもよい。また、印刷物のP4に二つのグラフが存在し、一つ目のグラフがP4の上方に印刷され、2つ目のグラフがP4の下方に印刷されており、2つ目のグラフのタイトルが「集計結果」である場合、質問として「P4の下のグラフのタイトルは?」を生成し、回答として「集計結果」を生成してもよい。
【0058】
質問と回答のペアを生成する方法は上記に限られるものではなく他の既知の手法を用いてもよい。
【0059】
(1-6)追加印字部106
追加印字部106は、印刷物管理装置10が画像形成処理を実行して印刷物を生成する際に、HDD110に保存された管理設定情報113、追加印字設定情報114を参照して、設定内容に応じて印刷物に追加印字を行う。
【0060】
例えば、設定内容が、印刷物に所定オブジェクトを追加印字するものである場合、追加印字部106は、印刷ジョブ情報に基づく印刷イメージに所定オブジェクトを合成した印刷イメージを生成し、所定オブジェクトが合成された印刷イメージを印刷するようにプリンター12を制御する。図16(a)は、印刷ジョブ情報に基づく印刷イメージの例であり、図16(b)は、所定オブジェクトとしてパスワードをテキスト形式で合成した印刷イメージの例であり、図16(c)は、所定オブジェクトとしてパスワードを2次元コードに変換して合成した印刷イメージの例である。
【0061】
(2) HDD110
図2に示すように、HDD110は、ユーザー情報111、印刷情報112、管理設定情報113、追加印字設定情報114、確認結果データベース(DB)115、管理者情報116を保存、記録する領域を備える。
【0062】
(2-1)ユーザー情報111、管理者情報116
図3(a)は、HDD110に保存されるユーザー情報111のデータ構成の一例を示す図である。ユーザー情報は、ユーザー毎に、ユーザー番号、連絡先、アプリIDを含む。ユーザー番号は、印刷物管理装置10に登録されているユーザーを一意に特定するための識別子である。連絡先はユーザーのメールアドレス等のユーザーの連絡先を示す情報である。アプリIDは、ユーザーが所持するユーザー端末にインストールされている専用アプリにおいてユーザーを特定するための識別子であり、専用アプリを用いてユーザーと通信を行う場合に使用する。
【0063】
図3(b)は、HDD110に保存される管理者情報116のデータ構成の一例を示す図である。管理者毎に、管理者番号、連絡先を含む。管理者番号は、印刷物管理装置10に登録されている管理者を一意に特定するための識別子である。連絡先は管理者のメールアドレス等のユーザーの連絡先を示す情報である。
【0064】
(2-2)印刷情報112
図4は、HDD110に保存される印刷情報112のデータ構成の一例を示す図である。印刷情報112は、印刷番号、印刷物属性、印刷物ファイル名、ユーザー、印刷物関連情報を含む。
【0065】
「印刷番号」は、印刷物管理装置10で印刷が行われる毎に付与され、各印刷を一意に特定するための識別子である。
【0066】
「印刷物属性」は、印刷時に付与された属性を示す情報である。例えば、社外秘文書であるか通常文書であるかなどの属性情報が記録される。印刷物属性は、印刷ジョブ情報に社外秘文書であることを示すメタデータが含まれてたり、印刷されるテキストデータ内に「社外秘」等の文字列が含まれたりする場合に、社外秘文書として記録されてもよい。
【0067】
「印刷物ファイル名」は、印刷ジョブ情報に含まれる印刷対象のファイル名である。
【0068】
「ユーザー」は、印刷を行ったユーザーを示すユーザー番号である。
【0069】
「印刷物関連情報」は、ユーザーから受信した保管確認情報と照合することにより、ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かを判定するために用いられる情報である。ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かの判定方法は、複数種類あり、その判定方法に応じて印刷物関連情報は異なる。
【0070】
ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かの判定方法は、ユーザーに保管中の印刷物をカメラで撮影してもらい、撮影イメージデータを保管確認情報として受信し、受信した保管確認情報と印刷物関連情報とを照合することであってもよい。この場合、印刷物関連情報は、印刷内容をイメージ化した印刷イメージデータである。印刷物が複数ページである場合は、各ページの印刷イメージデータが印刷物関連情報として記録される。図5(a)に、印刷物関連情報として印刷イメージデータを保存する場合の印刷物関連情報のデータ構成の一例を示す。なお、印刷物関連情報は、印刷イメージデータそのものでなくとも印刷イメージデータを生成できるものであればよく、例えば、PDL等の言語で記述された文書データとカラー印刷やグレー印刷等の印刷設定情報とであってもよい。
【0071】
また、ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かの判定方法は、印刷物に印刷されたオブジェクトに関する質問の回答をユーザーから取得するものであってもよい。この場合、印刷物関連情報は、質問生成部105において、印刷内容のオブジェクトデータ及びこのオブジェクトデータから生成された質問と回答である。質問と回答の組は、複数記録されてもよく、ユーザーに確認する毎に異なる質問を行ってもよい。図5(b)に、印刷物関連情報として印刷内容のオブジェクトデータ及びオブジェクトデータから生成された質問と回答を保存する場合の、印刷物関連情報のデータ構成の一例を示す。
【0072】
また、ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かの判定方法は、印刷物に追加印刷されたパスワードをユーザーから取得するものであってもよい。この場合、印刷物関連情報は、印刷物に追加印刷されたパスワードである。図5(c)に、印刷物関連情報として印刷物に追加印刷されたパスワードを保存する場合の、印刷物関連情報のデータ構成の一例を示す。印刷物に追加印刷されるパスワードは、印刷物のページ毎に異なるものであってもよい。パスワードが2次元コードに変換されて追加印刷されている場合には、ユーザーはユーザー端末20が備える2次元コードリーダーを利用することによりパスワードを取得することができる。
【0073】
(2-3)管理設定情報113
図6(a)(b)(c)は、予め印刷物管理装置10の管理者により設定され、HDD110に保存される管理設定情報113のデータ構成及びそのデータ内容の一例を示す図である。
【0074】
「文書管理」の項目は、ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かの確認処理を、印刷物管理装置10が実行するか否かを示す設定値である。「有効」と設定されている場合、印刷物管理装置10が確認処理を実行し、「無効」と設定されている場合、印刷物管理装置10が確認処理を実行しないことを示す。
【0075】
「確認日時」の項目は、確認処理をいつ行うかを示す設定値である。図6(a)に示すように、「毎週月曜9:00」と設定されている場合、毎週月曜日の午前9:00に確認処理を実行することを示す。
【0076】
「回答期限」の項目は、「確認日時」示す日時からの期間を示す設定値である。この期限までにユーザーが印刷物を適切に保管していることを確認できなかった場合、ユーザーが印刷物を紛失したと見なして、その旨を記録するとともに、下記のNG処理を実行することを示す。
【0077】
「NG処理」の項目は、ユーザーが印刷物を紛失したと判定された場合に行う処理を示す。例えば、「NG処理」の項目が「管理者へ通知」と設定されている場合、HDD110に保存されている管理者情報116を参照して管理者の連絡先を取得し、取得した連絡先にユーザーが印刷物を紛失した旨を通知するメッセージを送信する。また、例えば、「NG処理」の項目が「UI表示」と設定されている場合、操作パネル19のディスプレイに、印刷物の紛失が発生したことを知らせる表示を行う。また、例えば、「NG処理」の項目が「文書の利用を禁止」と設定されている場合、紛失した印刷物の印刷データを用いた印刷を禁止し印刷できなくする処理を行う。NG処理は上記に限られず他の処理を行ってもよい。
【0078】
「管理対象」の項目は、ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かの確認処理を行う対象を規定する設定値である。例えば、「管理対象」の項目が「社外秘文書」と設定されている場合、印刷情報112において「印刷物属性」が「社外秘文書」である印刷物が対象となる。また、例えば、「管理対象」の項目が「特定ユーザー(U001)」である場合、印刷情報112において「ユーザー」が「U001」である印刷物が対象となる。なお、ユーザー情報111において、ユーザーの情報としてユーザーが所属するグループなどの情報を記録しているのであれば、その情報を指定することによりグループに所属するユーザー全員を対象とすることも可能である。
【0079】
「確認方法」の項目は、ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かの確認処理として、上述した判定方法のいずれを用いるかを示す設定値である。
【0080】
(2-4)追加印字設定情報114
図7(a)(b)は、予め印刷物管理装置10の管理者により設定され、HDD110に保存される追加印字設定情報114のデータ構成及びそのデータ内容の一例を示す図である。
【0081】
なお、追加印字設定情報114は、管理設定情報113の「文書管理」の項目が「有効」で「確認方法」の項目が「追加印字パスワード」の場合に有効となる設定情報である。
【0082】
「対象ページ」の項目は、パスワードをいずれのページに追加印刷するかを規定する設定値である。「印字箇所」の項目は、パスワードをページ内のどの位置に追加印刷するかを規定する設定値である。「PW長」の項目は、パスワードの長さを規定する設定値である。「PW種類」は、ページ毎に異なるパスワードを追加印刷するのか、全ページで共通のパスワードを追加印刷するのかを規定する設定値である。「印字方法」は、パスワードをテキスト形式で追加印刷するのか2次元コードに変換して追加印刷するのかを規定する設定である。
【0083】
(2-5)確認結果DB115
図8は、HDD110に保存される確認結果DB115のデータ構成の一例を示す図である。
【0084】
印刷物管理装置10が、ユーザーが印刷物を適切に保管しているか否かの確認処理を実行した場合の確認結果を示すデータベースであり、各レコードは、「印刷番号」、「確認日時」、「確認結果」を含む。「印刷番号」の「項目」は印刷情報112で記録されている印刷記録の中のいずれの印刷に対する確認結果なのかを特定するための印刷番号が記録される。「確認日時」の項目には確認処理を行った日時が記録される。「確認結果」の項目には確認結果が記録される。
【0085】
(3)ネットワークIF120
ネットワークIF120は、ネットワーク30を介して、ユーザー端末20に対して、保管確認情報を要求するメッセージ等を送信する。
【0086】
また、ネットワークIF120は、ネットワーク30を介して、ユーザー端末20を含む外部の端末装置から、印刷物管理装置10におけるプリントジョブの実行指示及び実行条件(印刷ジョブ情報)を受け取り、受け取った印刷ジョブ情報を、プリンター112制御を制御して、印刷を実行する。
【0087】
1.2 ユーザー端末20
ユーザー端末20は、スマートホンやノートPCでもよく、デスクトップPCでもよい。ここでは、ユーザー端末20は、スマートホンであるとして説明する。
【0088】
ユーザー端末20は、カメラ及びカメラで撮像することにより生成された画像データを保存する記憶領域を備えている。また、ユーザー端末20は、QRコード(登録商標)等の2次元コードを読み取る2次元コードリーダー機能を備え、カメラの撮影範囲内に2次元コードが含まれる場合に、2次元コードをデコードする機能を有する。ユーザー端末20は、タッチパネル等の入力手段及びディスプレイ等の表示手段を備えており、UI(User Interface)に従って入力される情報を適宜取得する。
【0089】
ユーザー端末20には、印刷物管理用の専用アプリがインストールされている。ユーザー端末20は、専用アプリを通じて、印刷物管理装置10からメッセージを受信する。また、ユーザー端末20は、専用アプリを通じて、上記記憶領域に保存された画像データや上記入力手段を用いてユーザーが入力した情報などを印刷物管理装置20に送信する。専用アプリは、印刷物管理装置10からのメッセージを受信した場合、プッシュ通知等の機能を利用して印刷物管理装置10からのメッセージを受信したことをユーザーに知らせてもよい。専用アプリは、ユーザー毎に異なるアプリIDが付与されており、アプリIDはユーザーを識別することに用いられる。
【0090】
1.3 ネットワーク30
ネットワーク30は、LAN及びWifi(登録商標)等の無線ネットワークを含む。また、インターネットや携帯端末用無線ネットワークを含んでもよい。
【0091】
1.4 動作
図9は、印刷物管理装置10の動作の一例を示すフローチャートである。
【0092】
ユーザーが印刷物管理装置10を使用して、印刷を行ったときに、印刷情報生成部105は、ユーザーログイン情報や印刷ジョブ情報等を利用して印刷情報112を生成し、HDD110に保存する(ステップS11)。なお、ユーザーがログインしていないなど印刷ユーザーの特定ができない場合は、印刷を中断して、操作パネル19にログインを促す表示またはユーザー情報の入力を促す表示を行い、ユーザーからユーザー情報を取得してもよい。
【0093】
要求部101は、HDD112に保存された印刷情報112及び管理設定情報113に基づいて、印刷された文書が管理対象の文書であるか否かを判定する(ステップS12)。例えば、管理設定情報113における「文書管理」の項目が「有効」かつ「管理対象」の項目が「社外秘文書」である場合、印刷情報112における「印刷物属性」の項目が「社外秘文書」である印刷物が管理対象の文書となる。印刷された文書が管理対象でない場合(ステップS12:No)、処理を終了する。
【0094】
印刷された文書が管理対象の文書の場合(ステップS12:Yes)、要求部101は、管理設定情報113を参照して、現在日時が確認日時であるか否かを判定する(ステップS13)。現在日時が確認日時ではない場合(ステップS13:No)、確認日時まで待機する。
【0095】
現在日時が確認日時の場合(ステップS13:Yes)、要求部101は、ユーザー端末20に対して、文書保管情報を要求するメッセージを送信する(ステップS14)。本開示では、メッセージをユーザー情報111に含まれるアプリIDと関連付けて所定のサーバーに保存することもメッセージの送信と見なす。
【0096】
メッセージの送信後、回答期限内にユーザー端末20から文書保管情報を受信したか否かを判定する(ステップS15)。
【0097】
回答期限内にユーザー端末20から文書保管情報を受信した場合(ステップS15:Yes)、確認部102は、受信した文書保管情報と、HDD110に保存してある印刷情報112内の印刷物関連情報とを用いて、ユーザーが印刷物を紛失せずに保管しているか否かを確認する(ステップS16)。
【0098】
ユーザーが印刷物を紛失せずに保管していることを確認できた場合(ステップS17:Yes)、管理部103は、ユーザーが印刷物を紛失せずに保管していること確認結果DB115に記録する(ステップS18)。
【0099】
回答期限内にユーザー端末20から文書保管情報を受信しなかった場合(ステップS15:No)、又は、ユーザーが印刷物を紛失せずに保管していることの確認に失敗した場合、管理部103は、ユーザーが印刷物を紛失したと見なし、管理設定情報113を参照して「NG処理」の項目で設定されている処理を実行する(ステップS19)とともに、ユーザーが印刷物を紛失したこと確認結果DB115に記録する(ステップS18)。
【0100】
図10は、ユーザー端末20の動作の一例である。
【0101】
まず、ユーザー端末20は、印刷物管理装置10から送信された文書保管情報を要求するメッセージを受信する(ステップS21)。本開示では、所定のサーバーにアクセスし、自らのアプリIDと関連付けられたメッセージを取得することもメッセージの受信と見なす。
【0102】
メッセージを受信したユーザー端末20は、メッセージを受信したことをユーザーに通知する(ステップS22)。例えば、ユーザー端末20は、待ち受け画面に表示される専用アプリのアイコンに新着情報があることを示すアイコンバッジを付与することにより、
印刷物管理装置10からのメッセージをユーザーに知らせる。図11(a)は、メッセージがない場合の専用アプリのアイコン1101を示す一例であり、図11(b)は、メッセージがある場合のアイコンバッジが付与された専用アプリのアイコン1102を示す一例である。
【0103】
ユーザーがユーザー端末20を操作して専用アプリを実行すると、受信したメッセージに従って、保管確認情報を生成することを促す画面がユーザー端末20に表示される。表示に従って、ユーザーがユーザー端末20を操作することにより保管確認情報が生成され(ステップS23)、生成された印刷物管理情報が印刷部管理装置10に送信される(ステップS24)。
【0104】
撮影イメージデータを保管確認情報とする場合における、保管確認情報の生成について、説明する。図12(a)は、ユーザー端末20に表示される保管確認情報を生成することを促す画面の一例である。画面には、印刷物内の撮影箇所を指示するメッセージ1201及びカメラを起動するためのボタンアイコン1202が表示される。ボタンアイコン1202をタップしてカメラを起動し、図13に示すように、ユーザー端末20の裏面に配置されているカメラのレンズ1301を印刷物に向け、撮影範囲1302内に印刷物の撮影箇所(印刷物の2ページ目)が含まれるようにしてユーザー端末20の撮影ボタン1303をタップすることで、印刷物の撮影箇所(印刷物の2ページ目)の撮影イメージデータが保管確認情報として生成される。撮影後、図12(b)に一例を示す保管確認情報の送信確認画面に切り替わり、保管確認情報を印刷物管理装置10に送信するためのボタンアイコン1211をタップすることにより、生成された保管確認情報が印刷物管理装置10に送信される。なお、印刷物管理装置10は、確認処理を行うごとに異なる撮影箇所の撮影を保管確認情報として要求してもよい。
【0105】
印刷物に印刷されたオブジェクト(テキスト)に関する質問を保管確認情報とする場合における、保管確認情報の生成について、説明する。図14(a)は、ユーザー端末20に表示される保管確認情報を生成することを促す画面の一例である。画面には、印刷物内のオブジェクトに関する質問を示すメッセージ1401及びその回答を入力するためのボタンアイコン1402が表示される。ユーザーは、印刷物を参照して質問の回答を取得し、ボタンアイコン1402をタップして回答入力するためのUIを表示させ、UIに従って回答を保管確認情報として入力する。入力後、図14(b)に一例を示す保管確認情報の送信確認画面に切り替わり、保管確認情報を印刷物管理装置10に送信するためのボタンアイコン1411をタップすることにより、生成された保管確認情報が印刷物管理装置10に送信される。なお、印刷物管理装置10は、確認処理を行うごとに異なる質問の回答を保管確認情報として要求してもよい。
【0106】
印刷物に印刷された追加印刷オブジェクト(パスワード)を保管確認情報とする場合における、保管確認情報の生成について、説明する。図15(a)(b)は、ユーザー端末20に表示される保管確認情報を生成することを促す画面の一例である。
【0107】
図15(a)の画面には、印刷物内に追加印刷されているパスワードの入力を指示するメッセージ1501及びパスワードを入力するためのボタンアイコン1502が表示される。ユーザーは、印刷物を参照してパスワードを取得し、ボタンアイコン1502をタップして回答入力するためのUIを表示させ、UIに従ってパスワードを保管確認情報として入力する。入力後、図15(c)に一例を示す保管確認情報の送信確認画面に切り替わり、保管確認情報を印刷物管理装置10に送信するためのボタンアイコン1521をタップすることにより、生成された保管確認情報が印刷物管理装置10に送信される。
【0108】
図15(b)の画面には、印刷物内に追加印刷されているパスワードの入力を指示するメッセージ1511及びパスワードを取得するための2次元コードリーダーを起動するためのボタンアイコン1512が表示される。ユーザーは、ボタンアイコン1512をタップして2次元コードリーダーを起動し、印刷物に追加印刷された2次元コードを撮影範囲に収め、2次元コードを読み取ることにより、印刷物に追加印刷されたパスワードが保管確認情報として取得される。パスワードの取得後、図15(c)に一例を示す保管確認情報の送信確認画面に切り替わり、保管確認情報を印刷物管理装置10に送信するためのボタンアイコン1521をタップすることにより、生成された保管確認情報が印刷物管理装置10に送信される。
【0109】
なお、印刷物管理装置10は、印刷物のページ毎に異なるパスワードが追加印刷している場合は、確認処理を行うごとに異なるページのパスワードを保管確認情報として要求してもよい。
【0110】
1.5 まとめ
本実施の形態の印刷物管理システムによれば、管理対象の印刷物について、確認日時毎に定期的にユーザーが適切に印刷物を保管しているかの確認を行うため、印刷物の返却時よりも早いタイミングで紛失を把握することができる。また、印刷物を適切に保管していないと生成することができない情報を保管確認情報とするので、印刷物を紛失したにも関わらず紛失していないと偽装することも困難である。
【0111】
[2]変形例
以上、本開示を実施の形態に基づいて説明してきたが、本開示が上述の実施の形態に限定されないのは勿論であり、以下のような変形例を実施することができる。
【0112】
(1)上述の実施の形態では、ユーザー端末20にインストールされた専用アプリを用いてユーザー端末20と印刷物管理装置10とが通信を行っていたが、他の方法で通信を行ってもよい。例えば、印刷物管理装置10からユーザー端末20へ、保管確認情報を要求するメッセージを本文に記載したメールを送り、ユーザー端末20は生成した保管確認情報を添付したメールを印刷物管理装置10に送信する構成としてもよい。また、ユーザー毎に保管確認情報をアップロードするための専用ウェブサイトを用意して、専用ウェブサイトに保管確認情報をアップロードすることによりユーザー端末20から印刷物管理装置10に保管確認情報を送信する構成としてもよい。
【0113】
(2)上述の実施の形態において、印刷物管理装置10は、撮影イメージデータを保管確認情報とする場合、人物の顔と印刷物の両方が撮影されたイメージデータを要求してもよい。そして、印刷物管理装置10は、印刷情報112に印刷物関連情報として含まれる印刷イメージデータとともに、ユーザー情報としてユーザーの顔写真データを登録しておくことで、保管確認情報に含まれる人物が印刷を実行したユーザーであることを確認できる。なお、撮影画像データは静止画像データであっても動画像データであってもよい。
【0114】
(3)上述の実施の形態では、印刷情報112に印刷物関連情報として含まれる印刷イメージデータと、保管確認情報として生成された撮影イメージデータとを照合するとしているが、このとき、撮影イメージデータのメタ―データを参照して、データ作成日が確認時点から遡ること所定時間以内であることを確認してもよい。データ作成時刻を確認することにより、印刷物を紛失したユーザーが、印刷物を紛失する前に作成した保管確認情報を用いて、印刷物を保管しているように偽装することが困難になる。
【0115】
(4)上述の実施の形態において、同一の管理対象文書をユーザーA、Bが印刷するという場合が考えられる。この場合更に、印刷物に追加印字されたパスワードを保管確認情報とする場合について考える。このとき、ユーザー毎に異なるパスワードを追加印字するとしてもよい。これにより、例えば、印刷物を紛失したユーザーAが、印刷物を保管しているユーザーBからパスワードを入手しても、印刷物を保管しているように偽装することができなくなる。
【0116】
(5)上述の実施の形態では、印刷物を生成する画像形成装置が印刷物の管理を実行する印刷物管理装置である構成を示しているが、本開示の印刷物管理システムはこれに限られない。
【0117】
図17は、画像形成装置210とは異なるサーバー装置240が印刷物の管理を実行する印刷物管理装置となる印刷物管理システム2の構成を示す図である。
【0118】
サーバー装置240は、実施の形態1において印刷物管理装置10が備えていた要求部101、確認部102、管理部103、質問生成部105を備え、ユーザー情報111、印刷情報112、管理設定情報113、確認結果DB115、管理者情報116を記憶する。また、画像形成装置210は、要求部101、確認部102、管理部103、質問生成部105を備えず、確認結果DB115を記憶しないことを除いて、印刷物管理装置10と同じ構成である。そして、印刷情報生成部104が生成した印刷情報112をサーバー装置240に送信することにより、サーバー装置240は、印刷物管理装置10と同じ確認処理を実行することが可能である。
【0119】
(6)上述の実施の形態において、印刷情報112は、更に、管理期限の項目を含み、印刷情報112の生成時に一定の又は印刷物属性情報又は印刷したユーザーに応じた管理期限が設定されるとしてもよい。そして、管理期限が過ぎた印刷情報112は破棄されるとしてもよい。
【0120】
(7)上述の実施の形態において、印刷物の保管確認の前にユーザー認証を行ってもよい。ユーザー認証は、例えば、以下の手順で実施することができる。事前に印刷物管理装置10がユーザー情報としてユーザーIDとユーザーパスワードを記憶しておく。ユーザーがユーザー認証情報(ユーザーIDとユーザーパスワード)を、ユーザー端末20を介して印刷物管理装置10に送信する。印刷物管理装置10が受信したユーザー認証情報と、事前に記憶してあるユーザーID及びユーザーパスワードとを照合する。このユーザー認証は、例えば、上述の実施の形態におけるステップS14とステップS15の間に実行するとしてもよい。このユーザー認証を実行することにより、ユーザー端末20を操作している人物が、印刷物管理装置10に登録されている人物(管理対象の印刷物の印刷を実行した人物)であるか否かを認証することができる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、機密文書を管理するシステムに適用することができる。
【符号の説明】
【0122】
1 印刷物管理システム
10 印刷物管理装置
100 主制御部
101 要求部
102 確認部
103 管理部
104 印刷情報生成部
105 質問生成部
106 追加印字部
110 HDD
120 ネットワークIF
20 ユーザー端末
30 ネットワーク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17