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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
   G06F 1/30 20060101AFI20241016BHJP
   G06F 1/3296 20190101ALI20241016BHJP
   G06F 1/324 20190101ALI20241016BHJP
   H02J 1/00 20060101ALI20241016BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 21/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G06F1/30 305
G06F1/3296
G06F1/324
H02J1/00 308K
H02J1/00 309C
B41J29/38 104
G03G21/00 398
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020143664
(22)【出願日】2020-08-27
(65)【公開番号】P2022038929
(43)【公開日】2022-03-10
【審査請求日】2023-05-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】加藤 康二
【審査官】佐藤 実
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-011220(JP,A)
【文献】特開2016-099890(JP,A)
【文献】特開2019-034503(JP,A)
【文献】特開2009-153192(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0029196(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 1/26 - 1/3296
H02J 1/00
B41J 29/38
G03G 21/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
待機モードよりも低消費電力である省電力モードへ移行可能な電子機器において、
商用電源から1次側電圧が供給され、該1次側電圧を変換して2次側電圧を生成するAC/DC変換回路と、
前記商用電源から前記1次側電圧の状態を示す電源状態信号を出力する1次側電圧検出回路と、
前記2次側電圧が供給され動作し、前記電源状態信号を検出する電源制御部と
前記2次側電圧が供給され動作する、前記電源制御部以外の部品である負荷と
を有し、
前記電源制御部は、
前記待機モードにおいて前記電子機器の電源スイッチが押下されると、前記待機モードよりも前記負荷側への前記2次側電圧の供給を低下させると共に、クロック発生回路による第1周波数のクロックを周辺機能へ供給させつつ該電源制御部のCPUへ供給しないようにして該電源制御部を通常動作モードよりも処理能力を低下させ低消費電力な処理能力低下モードに移行させることにより、前記電子機器を前記省電力モードへ移行させ、前記省電力モード中において、定められた期間でタイマ割り込みを発生させて前記処理能力低下モードから前記通常動作モードに復帰し、前記通常動作モードにおいて前記電源状態信号によって前記商用電源の遮断を検出した場合、前記クロックを前記第1周波数よりも高い第2周波数に変更し前記電源制御部の前記CPUの動作周波数を高くすることにより、該電源制御部の消費電力を通常の前記処理能力低下モードの状態よりも増加させる
電子機器。
【請求項2】
前記電源制御部は、
前記省電力モード中において、前記電源状態信号によって前記商用電源の遮断を検出した場合、該電源制御部の消費電力を通常の前記処理能力低下モードの状態よりも増加させることにより、通常の前記処理能力低下モードの状態よりも前記2次側電圧を早く低下させる
請求項に記載の電子機器。
【請求項3】
前記電源制御部は、
前記省電力モード中において、前記負荷側への前記2次側電圧の供給を停止する
請求項1に記載の電子機器。
【請求項4】
前記省電力モードは、前記電子機器の電源が落とされた電源オフモードである
請求項に記載の電子機器。
【請求項5】
前記電子機器は、
前記待機モードよりも低消費電力であるスリープモードへ移行可能であり、
前記電源制御部は、
前記待機モード中において、前記電源状態信号によって前記商用電源の遮断を検出した場合、前記電子機器を前記スリープモードへ移行させる
請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
前記電子機器は、媒体に画像を形成する画像形成装置であり、
前記電源制御部は、
前記スリープモード中において、前記媒体に画像を形成する際に動作する前記負荷側への前記2次側電圧の供給を前記待機モードよりも低下させる
請求項に記載の電子機器。
【請求項7】
前記電源制御部は、
前記スリープモード中において、前記媒体に画像を形成する際に動作する前記負荷側への前記2次側電圧の供給を停止する
請求項に記載の電子機器。
【請求項8】
前記電源制御部は、
前記スリープモード中において、前記媒体に画像を形成する際に動作する前記負荷側への前記2次側電圧の供給を前記待機モードよりも低下させることにより、前記待機モードの状態よりも前記2次側電圧を遅く低下させる
請求項に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は電子機器に関し、該電子機器の電源オフモードを制御するCPUを有する、例えば電子写真式プリンタ(以下ではこれを単にプリンタとも呼ぶ)に適用して好適なものである。
【背景技術】
【0002】
従来、商用電源である交流電源から供給される1次側電源の電圧を整流して平滑化し降圧することにより2次側電源の電圧を出力し、電子機器内部の電源として用いるものが広く普及している。このような電子機器においては、交流電源の遮断を制御手段が判断した場合、2次側電源へ電力消費手段を接続させることにより、2次側電源を速やかに放電させるものがあった(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-79130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような電子機器では、専用の放電回路を備える必要があったため、電源装置の大型化や部品点数増加によりコストアップしてしまった。
【0005】
本発明は以上の点を考慮してなされたもので、構成の複雑化を抑えつつ、省電力モード中の商用電源遮断時に2次側電源の電圧低下を短時間化し得る電子機器を提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明の電子機器においては、待機モードよりも低消費電力である省電力モードへ移行可能な電子機器において、商用電源から1次側電圧が供給され、該1次側電圧を変換して2次側電圧を生成するAC/DC変換回路と、商用電源から1次側電圧の状態を示す電源状態信号を出力する1次側電圧検出回路と、2次側電圧が供給され動作し、電源状態信号を検出する電源制御部と、2次側電圧が供給され動作する、電源制御部以外の部品である負荷とを設け、待機モードにおいて電子機器の電源スイッチが押下されると、待機モードよりも負荷側への2次側電圧の供給を低下させると共に、クロック発生回路による第1周波数のクロックを周辺機能へ供給させつつ該電源制御部のCPUへ供給しないようにして該電源制御部を通常動作モードよりも処理能力を低下させ低消費電力な処理能力低下モードに移行させることにより、電子機器を省電力モードへ移行させ、省電力モード中において、定められた期間でタイマ割り込みを発生させて処理能力低下モードから通常動作モードに復帰し、通常動作モードにおいて電源状態信号によって商用電源の遮断を検出した場合、クロックを第1周波数よりも高い第2周波数に変更し電源制御部のCPUの動作周波数を高くすることにより、該電源制御部の消費電力を通常の処理能力低下モードの状態よりも増加させるようにした。
【0007】
これにより本発明は、省電力モード中の商用電源遮断時に2次側電源の電圧を低下させる専用の放電回路を設けることなく、電源制御部の処理能力を処理能力低下モードの場合よりも増加させることにより、2次側電源の電圧低下を短時間化できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、構成の複雑化を抑えつつ、省電力モード中の商用電源遮断時に2次側電源の電圧低下を短時間化し得る電子機器を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】画像形成装置の構成を示す左側面図である。
図2】画像形成装置の回路構成を示す回路図である。
図3】電源オフモード時の電源CPU制御処理手順を示すフローチャートである。
図4】電源オフモード時にAC入力が遮断された状態を示すタイミングチャートである。
図5】待機モード時の電源CPU制御処理手順(1)を示すフローチャートである。
図6】待機モード時の電源CPU制御処理手順(2)を示すフローチャートである。
図7】待機モード時にAC入力が短時間遮断された状態を示すタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、発明を実施するための形態(以下実施の形態とする)について、図面を用いて説明する。
【0011】
[1.画像形成装置の構成]
図1に示すように、画像形成装置1は、カラー用電子写真式プリンタであり、用紙Pに対し所望のカラー画像を印刷する。この画像形成装置1は、略箱型に形成された筐体2の内部に種々の部品が配置されている。以下では、図1における右端部分を画像形成装置1の正面とし、この正面と対峙して見た場合の上下方向、左右方向及び前後方向をそれぞれ定義した上で説明する。
【0012】
この画像形成装置1は、筐体2内に設けられたプリンタ制御部46により全体を統括制御する。プリンタ制御部46は、図示しないCPU(Central Processing Unit)を中心に構成されており、図示しないROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ等から所定のプログラムを読み出して実行することにより、印刷に関する種々の処理を行う。またプリンタ制御部46は、内部にRAM(Random Access Memory)やフラッシュメモリ等でなる記憶部を有しており、この記憶部に種々の情報を記憶させる。
【0013】
筐体2内の最下部には、用紙Pを収容する用紙収容カセット4が設けられている。この用紙収容カセット4の前端上側には、用紙収容カセット4に収容された用紙Pを1枚ずつ搬送路Wへと繰り出すホッピングローラ6が設けられている。さらに筐体2の内部には、用紙収容カセット4と転写ベルトユニット10との間の搬送路W上に、用紙Pを搬送するレジストローラ8と搬送ローラ9とが設けられている。
【0014】
レジストローラ8は、1対のローラにより構成されており、搬送路Wを概ね前後から挟むように配置されている。このレジストローラ8は、それぞれ所定方向に回転することにより、搬送路W上にある用紙Pの斜行を矯正して上方向へ向かう駆動力を伝達し、搬送する。
【0015】
搬送ローラ9は、1対のローラにより構成されており、搬送路Wを概ね上下から挟むように配置されている。この搬送ローラ9は、それぞれ所定方向に回転することにより、搬送路W上にある用紙Pに対して後方向へ向かう駆動力を伝達し、所定のタイミングで転写ベルト12へ送り出す。
【0016】
筐体2内における用紙収容カセット4の上方には、該筐体2内を前後に大きく横切るようにして転写ベルトユニット10が設けられている。転写ベルトユニット10は、中心軸を左右方向に向けた細長い円筒状でなるベルト駆動ローラ11が前後に1個ずつ配置されると共に、前後のベルト駆動ローラ11を周回するように転写ベルト12が張架されている。転写ベルト12は、左右方向の幅が広く、且つ無端状のベルトであり、ベルト駆動ローラ11の回転に伴って走行する。転写ベルトユニット10は、プリンタ制御部46の制御に基づいてベルト駆動ローラ11を回転させることにより転写ベルト12を走行させ、搬送ローラ9から受け渡された用紙Pを該転写ベルト12の上面に載せて後方向へ搬送する。
【0017】
一方、転写ベルトユニット10の上側、すなわち筐体2における中央よりも上寄りには、4個の画像形成ユニット15C、15M、15Y及び15K(以下、これらをまとめて画像形成ユニット15と呼ぶ)が後側から前側へ向かって順に配置されている。すなわち各色の画像形成ユニット15は、いわゆるタンデム方式で配置されている。この画像形成ユニット15C、15M、15Y及び15Kは、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)及びブラック(K)の各色にそれぞれ対応している。また画像形成ユニット15C、15M、15Y及び15Kは、互いに同様に構成されており、対応するトナーの色のみがそれぞれ相違する。画像形成ユニット15は、用紙Pの左右幅に対応するべく、左右方向に比較的長い略箱状に形成されている。
【0018】
また筐体2内には、各画像形成ユニット15C、15M、15Y及び15Kとそれぞれ対応するように、LEDヘッド16C、16M、16Y及び16K(以下、これらをまとめてLEDヘッド16と呼ぶ)が設けられている。このLEDヘッド16は、左右方向に細長い直方体状に構成されると共に、その内部に複数のLED(Light Emitting Diode)が左右方向に沿って並ぶように配置されており、プリンタ制御部46から供給される印刷用データに応じた発光パターンで各LEDを発光させる。画像形成ユニット15は、筐体2に装着された際、このLEDヘッド16と極めて近接するようになっており、該LEDヘッド16からの光により露光処理が行われる。
【0019】
また各画像形成ユニット15C、15M、15Y及び15Kは、それぞれ上方にトナーカートリッジ18C、18M、18Y及び18K(以下、これらをまとめてトナーカートリッジ18と呼ぶ)が接続されている。トナーカートリッジ18は、左右方向に長い中空の容器であり、粉末状でなる各色のトナーがそれぞれ収容されると共に、所定の撹拌機構が組み込まれている。
【0020】
さらに各画像形成ユニット15C、15M、15Y及び15K内の中央下寄りには、感光体ドラム19C、19M、19Y及び19K(以下、これらをまとめて感光体ドラム19と呼ぶ)が設けられている。感光体ドラム19は、中心軸を左右方向に向けた円筒状に形成されており、回転可能に支持されている。
【0021】
転写ベルトユニット10には、前後のベルト駆動ローラ11の間における各画像形成ユニット15の真下となる4箇所に、それぞれ転写ローラ13C、13M、13Y及び13K(以下、これらをまとめて転写ローラ13と呼ぶ)が設けられている。すなわち各画像形成ユニット15は、各転写ローラ13との間に転写ベルト12の上側部分を挟んでいる。因みに転写ローラ13は、帯電し得るように構成されている。
【0022】
プリンタ制御部46は、トナーカートリッジ18からトナーを画像形成ユニット15へ供給させる。これと共にプリンタ制御部46は、上位装置(図示せず)から供給された印刷用データに応じた発光パターンを形成するようにLEDヘッド16を発光させる。これに応じて各画像形成ユニット15は、トナーカートリッジ18から供給されるトナーを用い、LEDヘッド16の発光パターンに応じたトナー画像を感光体ドラム19の周側面に形成し、このトナー画像を用紙Pにそれぞれ転写する。これにより、転写ベルトユニット10によって搬送されている用紙P上には、印刷用データに応じた4色のトナー画像が順次転写されていく。
【0023】
転写ベルトユニット10の後方、すなわち筐体2の後端近傍における上下の中央近傍には、定着ユニット20が設けられている。定着ユニット20は、加熱ローラ21及び加圧ローラ22により構成されている。加熱ローラ21は、中心軸を左右方向に向けた円筒状に形成されており、内部にヒータが設けられている。加圧ローラ22は、加熱ローラ21と同様の円筒状に形成されており、上側の表面を加熱ローラ21における下側の表面に所定の押圧力で押し付けている。この定着ユニット20は、プリンタ制御部46の制御に基づき、加熱ローラ21を加熱すると共に該加熱ローラ21及び加圧ローラ22をそれぞれ所定方向へ回転させる。これにより定着ユニット20は、転写ベルトユニット10から受け渡された用紙P、すなわち4色のトナー画像が重ねられた用紙Pに対して熱及び圧力を加えてトナーを定着させ、さらに後上方へ受け渡す。
【0024】
筐体2の内部における定着ユニット20の後方の搬送路W上には、用紙Pを搬送する排出ローラ24及び25が設けられている。排出ローラ24及び25は、それぞれ1対のローラにより構成されており、搬送路Wを概ね上下から挟むように配置されている。この排出ローラ24及び25は、それぞれ所定方向に回転することにより、搬送路W上にある用紙Pに対して上方向へ向かう駆動力を伝達し、用紙Pを筐体2上面のスタッカへと排出する。
【0025】
ところで、この画像形成装置1は、ACコード(図示せず)がコンセントに接続されることにより、商用電源から電力が供給され、動作する。また画像形成装置1は、待機モード、スリープモード及び電源オフモードの3つのモードに遷移可能である。
【0026】
待機モードとは、印刷を完了した時点でインターフェースを介して上位装置から印刷用データの入力がない場合(すなわち次に印刷すべきデータがない場合)に、画像形成装置1が移行するモードである。画像形成装置1は、待機モード中において、上位装置から印刷用データを受信した場合に直ちに印刷を再開可能とするため、定着ユニット20の加熱を続行している。また画像形成装置1は、待機モード中において、LEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56に電源を供給している(後述する)。さらに画像形成装置1は、待機モード中において、電源制御CPU38(図2)を通常動作モードとする。画像形成装置1は、待機モードの場合、通常の消費電力となる。
【0027】
スリープモードとは、待機モードから一定時間待機した後に印刷用データの入力がない場合に、次の印刷用データが入力されるまで画像形成装置1が移行するモードである。画像形成装置1は、スリープモードに移行すると、定着ユニット20の加熱を中止する。また画像形成装置1は、スリープモードに移行すると、LEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56への電源の供給を中断する(後述する)。さらに画像形成装置1は、スリープモード中において、電源制御CPU38(図2)を通常動作モードとする。またプリンタ制御部46は、インターフェースの監視のみ行う。画像形成装置1は、スリープモード中において、印刷用データを受信した場合、該印刷用データを印刷するために待機モードに復旧する必要があるものの、LEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56等へ電源の供給を中断するため、待機モードよりも省電力となる。
【0028】
電源オフモードとは、待機モード中又はスリープモード中において電源スイッチ40(後述する)が押下された場合に画像形成装置1が移行しシャットダウンするモードである。一方、画像形成装置1は、電源オフモード中において電源スイッチ40が押下されると、通常動作モードへ復帰する。画像形成装置1は、電源オフモードに移行すると、定着ユニット20の加熱を中止する。また画像形成装置1は、電源オフモードに移行すると、LEDヘッド16、モータ回路54、高圧回路56及びプリンタ制御部46(後述する)への電源の供給を中断する。さらに画像形成装置1は、電源オフモード中において、電源制御CPU38(図2)をHALTモード(後述する)とする。画像形成装置1は、電源オフモード中において、スリープモードよりも省電力となる。
【0029】
さらに画像形成装置1は、USB(Universal Serial Bus)やLAN(Local Area Network)等のインターフェースを介し上位装置と接続されており、該上位装置から印刷用データを受信すると、印刷を開始する。
【0030】
画像形成装置1は、印刷を完了した時点でインターフェースを介して印刷用データの入力がない場合、待機モードに移行する。また画像形成装置1は、待機モードに移行してからインターフェースを介して印刷用データの入力がない状態で一定時間経過した場合、スリープモードに移行する。さらに画像形成装置1は、待機モード又はスリープモードにおいて電源スイッチ40が押下されると、電源オフモードに移行する。
【0031】
[2.画像形成装置の回路構成]
図2に示すように、画像形成装置1は、電源マイコンである電源制御CPU38が全体の電源を管理すると共に、商用電源の交流電力30である1次側電圧を整流し降圧して直流(DC)5[V]の2次側電圧を生成し、該2次側電圧をそれぞれ所定の電圧に変圧して各種IC(Integrated Circuit)や回路を駆動する。
【0032】
交流電力30は、図4にAC入力として示すように、例えばAC100[V]の商用電源であり、AC/DCコンバータ32の入力端子に接続されている。AC/DCコンバータ32は、商用電源から1次側電圧であるAC100[V]が印加されると、該1次側電圧を降圧して2次側電圧であるDC5[V]の制御系電源電圧となる5VS0を出力する。AC/DCコンバータ32の出力端子は、コンデンサ36を介してGNDに接続されていると共に、電源制御CPU38のVCC端子に接続されている。
【0033】
また交流電力30は、ACゼロクロス検出回路34の入力端子に接続されている。ACゼロクロス検出回路34は、AC100[V]に基づきACゼロクロス信号を出力し、電源制御CPU38の入力端子に入力する。このACゼロクロス信号は、図4に示すように、交流電力30の交流電圧が0[V]と交差する(すなわちゼロクロスする)タイミングで、パルス状のACゼロクロスパルスとなる一方、それ以外のタイミングでは、0[V]となる。ACゼロクロス検出回路34は例えば、ローム株式会社のAC電圧ゼロクロス検知ICであるBM1Z101FJが使用される。
【0034】
このように、ACゼロクロス検出回路34は、商用電源である交流電力30からAC100[V]の1次側電圧が入力され、該交流電力30の画像形成装置1への接続状態を検出して、ACゼロクロス信号を電源制御CPU38へ出力する。すなわちACゼロクロス検出回路34は、画像形成装置1の外部から交流電源が通電されている場合、ACゼロクロス信号において周期的にACゼロクロスパルスを出力する一方、交流電源の通電が遮断された場合、ACゼロクロス信号において周期的にACゼロクロスパルスを出力しなくなり、0[V]を出力する。
【0035】
電源制御CPU38は、VCC端子にAC/DCコンバータ32から2次側電圧である5VS0が印加されることにより動作する。この電源制御CPU38は、例えば、ルネサスエレクトロニクス株式会社のRL78/G13マイコンが使用される。また電源制御CPU38には、ACゼロクロス検出回路34からACゼロクロス信号が入力される。電源制御CPU38は、ACゼロクロス信号のACゼロクロスパルスのパルス入力の立ち上がりエッジから立下りエッジまでの中間部分が現れる周期を10[msec]の間測定して、AC入力の有無を判定する。このように電源制御CPU38は、2次側電圧である5VS0により動作すると共に、ACゼロクロス信号のACゼロクロスパルスを検出する。
【0036】
さらに電源制御CPU38の入力端子には、電源スイッチ40が接続されている。電源スイッチ40は、ユーザによって画像形成装置1の電源がON又はOFFされるときに押下されるタクトスイッチである。具体的に、電源スイッチ40は、押下されている間のみ、電源制御CPU38の入力端子とGNDとを導通させる。画像形成装置1は、電源オフモード時において電源スイッチ40が押下された場合、電源が投入され(すなわちONにされ)、待機モードへ移行する。一方、画像形成装置1は、待機モード時において電源スイッチ40が押下された場合、電源がシャットダウンされ(すなわちOFFにされ)、電源オフモードへ移行する。
【0037】
ここで、電源制御CPU38は、少なくとも、通常動作モードとHALTモードとのモードを遷移可能である。
【0038】
通常動作モードは、電源制御CPU38自身が通常の動作を行うモードである。電源制御CPU38は、通常動作モードの場合、通常の消費電力となる。電源制御CPU38は、画像形成装置1の待機モード中又はスリープモード中において、通常動作モードとなる。通常動作モードにおいて電源制御CPU38は、電源スイッチ40の入力を外部割り込みにより監視すると共に、ACゼロクロス信号におけるACゼロクロスパルスの入力の有無の監視、プリンタ制御部46とのシリアル通信を行う。
【0039】
HALTモードは、電源制御CPU38におけるスタンバイ機能の一種である。電源制御CPU38は、HALTモードの場合、クロック発生回路から供給されるクロックを、周辺機能(ペリフェラル)へは供給するもののCPUへは供給しないようにすることにより、CPUクロックを停止させ、処理能力を低下させた処理能力低下モードとなる。電源制御CPU38は、HALTモードの場合、通常動作モードよりも省電力となる。電源制御CPU38は、画像形成装置1の電源オフモード中において、HALTモードとなる。HALTモードにおいて電源制御CPU38は、電源スイッチ40の入力を外部割り込みにより監視すると共に、一定期間(例えば1[sec]毎)でタイマ割り込みを発生させてHALTモードから通常動作モードに復帰し、ACゼロクロスパルスの有無を監視する。さらに電源制御CPU38は、タイマ割り込みにより通常動作モードに復帰した後にACゼロクロスパルスを検知した場合、再びHALTモードとなる。
【0040】
さらに電源制御CPU38は、該電源制御CPU38自身を動作させるCPUクロックを変更することができる。電源制御CPU38がCPUクロックをアップさせた場合、該電源制御CPU38の消費電力が増加する。一方、電源制御CPU38がCPUクロックをダウンさせた場合、該電源制御CPU38の消費電力が低下する。電源制御CPU38は、通常動作モードとHALTモードとの何れにおいても、通常はCPUクロックの周波数が1[MHz]に設定されている。
【0041】
電源制御CPU38の出力端子には、Pch-FET42のゲート端子が接続されている。電源制御CPU38は、Pch-FET42のゲート端子にSUBPWRON-N信号を出力する。Pch-FET42のソース端子には、5VS0が接続されている。Pch-FET42のドレイン端子は、負荷側となるDC/DCコンバータ44のVIN端子に接続されている。
【0042】
具体的に電源制御CPU38は、通常動作モードの際(すなわち画像形成装置1が待機モード又はスリープモードの際)、SUBPWRON-N信号=0(すなわちLowレベル)を出力する。Pch-FET42は、SUBPWRON-N信号=0(すなわちLowレベル)が入力されたとき、ONすることによりドレイン端子に5[V]の電圧である5VSを出力する。一方、電源制御CPU38は、HALTモードの際(すなわち画像形成装置1が電源オフモードの際)、SUBPWRON-N信号=1(すなわちHighレベル)を出力する。Pch-FET42は、SUBPWRON-N信号=1(すなわちHighレベル)が入力されたとき、OFFすることによりドレイン端子に5VSを出力しない。
【0043】
DC/DCコンバータ44は、5VSが入力されると、該5VSを所定の電圧に変圧してVOUT端子から出力電圧を出力する。DC/DCコンバータ44のVOUT端子は、プリンタ制御部46のVCC端子に接続されている。このようにDC/DCコンバータ44の出力電圧は、負荷の1つであるプリンタ制御部46に印加されている。
【0044】
プリンタ制御部46は、VCC端子にDC/DCコンバータ44から第2の2次側電圧である出力電圧が印加されることにより動作する。このプリンタ制御部46は、ICであり、画像形成装置1全体を統括制御する。
【0045】
一方、交流電力30は、AC/DCコンバータ32及びACゼロクロス検出回路34に加えて、AC/DCコンバータ50の入力端子に接続されている。AC/DCコンバータ50は、商用電源から1次側電圧であるAC100[V]が印加されると、該1次側電圧を降圧して2次側電圧である駆動系電源電圧となるDC24[V]を出力する。AC/DCコンバータ50の出力端子は、負荷側となるモータ回路54と高圧回路56とに接続されている。
【0046】
モータ回路54及び高圧回路56は、AC/DCコンバータ50から2次側電圧である24[V]が印加されることにより動作する。モータ回路54は、搬送路Wや画像形成ユニット15(図1)における各種ローラに駆動力を伝達することにより回転させる。高圧回路56は、画像形成ユニット15における各種ローラや転写ローラ13等に高電圧を印加する。
【0047】
電源制御CPU38の出力端子には、AC/DCコンバータ50の制御信号入力端子が接続されている。電源制御CPU38は、AC/DCコンバータ50の制御信号入力端子にPOWERSAVE-P信号を出力する。
【0048】
具体的に電源制御CPU38は、画像形成装置1が待機モードの際、POWERSAVE-P信号=0(すなわちLowレベル)を出力する。AC/DCコンバータ50は、POWERSAVE-P信号=0(すなわちLowレベル)が入力されたとき、24[V]を出力する。一方、電源制御CPU38は、画像形成装置1がスリープモード又は電源オフモードの際、POWERSAVE-P信号=1(すなわちHighレベル)を出力する。AC/DCコンバータ50は、POWERSAVE-P信号=1(すなわちHighレベル)が入力されたとき、24[V]を出力しない。
【0049】
また電源制御CPU38の出力端子には、Pch-FET52のゲート端子が接続されている。電源制御CPU38は、Pch-FET52のゲート端子にPOWERSAVE-P信号を出力する。Pch-FET52のソース端子には、5VS0が接続されている。Pch-FET52のドレイン端子は、負荷側となるLEDヘッド16に接続されている。
【0050】
電源制御CPU38は、画像形成装置1が待機モードの際、POWERSAVE-P信号=0(すなわちLowレベル)を出力する。Pch-FET52は、POWERSAVE-P信号=0(すなわちLowレベル)が入力されたとき、ONすることによりドレイン端子に5VS0を出力する。これにより電源制御CPU38は、LEDヘッド16へ電源を供給する。一方、電源制御CPU38は、画像形成装置1がスリープモード又は電源オフモードの際、POWERSAVE-P信号=1(すなわちHighレベル)を出力する。Pch-FET52は、POWERSAVE-P信号=1(すなわちHighレベル)を入力されたとき、OFFすることによりドレイン端子に5VS0を出力しない。これにより電源制御CPU38は、LEDヘッド16への電源の供給を停止する。
【0051】
このように画像形成装置1は、待機モードからスリープモードに移行することによって、主にプリンタ制御部46においてインターフェースの監視のみを行い、インターフェースの監視に不要な回路の電源を落とした低消費電力な状態となる。また電源制御CPU38は、画像形成装置1がスリープモードは電源オフモードのとき、LEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56へ電源を供給しないようにする。これにより電源制御CPU38は、画像形成装置1がスリープモード又は電源オフモードのとき、待機モードの場合よりも画像形成装置1を省電力化させる。
【0052】
また、プリンタ制御部46と電源制御CPU38との間は、シリアル通信で接続されており、プリンタ制御部46と電源制御CPU38とは、待機モードからスリープモードへの移行のタイミング、スリープモードから待機モードへの復帰のタイミング、待機モード又はスリープモードから電源オフモードへの移行のタイミング、電源オフモードから待機モードへの復帰のタイミングにおいて、通信を行う。
【0053】
プリンタ制御部46は、モータ回路54、高圧回路56及びLEDヘッド16に接続されており、印刷動作に合わせて各ユニットを制御する。
【0054】
[3.画像形成装置のモード毎の設定についてのまとめ]
以上説明した画像形成装置1の待機モード、スリープモード及び電源オフモードにおける設定についてまとめて説明する。
【0055】
[3-1.待機モードについて]
待機モードにおいては、電源制御CPU38は、通常動作モードとなる。また待機モードにおいて電源制御CPU38は、SUBPWRON-N信号のLowレベルを出力することにより、プリンタ制御部46に電源を供給する。さらに待機モードにおいて電源制御CPU38は、POWERSAVE-P信号のLowレベルを出力することにより、LEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56に電源を供給する。このようにLEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56は、用紙Pに印刷が行われる印刷動作の際に電源が供給されて動作する。
【0056】
[3-2.スリープモードについて]
スリープモードにおいては、電源制御CPU38は、通常動作モードとなる。またスリープモードにおいて電源制御CPU38は、SUBPWRON-N信号のLowレベルを出力することにより、プリンタ制御部46に電源を供給する。さらにスリープモードにおいて電源制御CPU38は、POWERSAVE-P信号のHighレベルを出力することにより、LEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56に電源を供給しない。画像形成装置1は、スリープモードにおいて、待機モードよりも省電力となる。
【0057】
[3-3.電源オフモードについて]
電源オフモードにおいては、電源制御CPU38は、HALTモードとなる。また電源オフモードにおいて電源制御CPU38は、SUBPWRON-N信号のHighレベルを出力することにより、プリンタ制御部46に電源を供給しない。さらに電源オフモードにおいて電源制御CPU38は、POWERSAVE-P信号のHighレベルを出力することにより、LEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56に電源を供給しない。画像形成装置1は、電源オフモードにおいて、スリープモードよりも省電力となる。
【0058】
[4.電源オフモード時の電源CPU制御処理]
画像形成装置1による電源オフモード時の電源CPU制御処理の具体的な処理手順について、図3のフローチャートを用いて説明する。電源制御CPU38は、電源オフモードにおける初期状態において、CPUクロック周波数が1[MHz]に設定されている。また電源制御CPU38は、スタンバイ機能であるHALTモードに設定されていることにより低消費電力な状態となっている。さらに電源制御CPU38は、それぞれSUBPWRON-N信号のHighレベルを、POWERSAVE-P信号のHighレベルを出力している。
【0059】
電源オフモードに移行すると、電源制御CPU38は、記憶部から電源オフモード時の電源CPU制御処理プログラムを読み出して実行することにより電源オフモード時の電源CPU制御処理手順RT1を開始し、ステップSP1へ移る。
【0060】
ステップSP1において電源制御CPU38は、電源スイッチ40が押下されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、電源オフモードにおいてユーザが画像形成装置1の電源を投入していないため、電源オフモードのまま(すなわち画像形成装置1がシャットダウンされたまま)にすることを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP2へ移る。
【0061】
ステップSP2において電源制御CPU38は、タイマ割り込みが発生したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、タイマ割り込みが発生してないことを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返し、電源スイッチ40が押下されるか、又はタイマ割り込みが発生するまで待ち受ける。一方、ステップSP2において肯定結果が得られると、このことは、タイマ割り込みが発生したことを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP3へ移る。
【0062】
ステップSP3において電源制御CPU38は、HALTモードから通常動作モードに復帰することにより、ACゼロクロス信号を確認可能な状態とし、ステップSP4へ移る。ステップSP4において電源制御CPU38は、ACゼロクロスパルスを検出したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、ACゼロクロスパルスを検出しなかったため、電源オフモードにおいてACコードがコンセントから取り外されたか、又は短時間の停電が発生したことにより、交流電力30の通電が遮断されたことを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP5へ移る。
【0063】
ステップSP5において電源制御CPU38は、該電源制御CPU38のCPUクロックを32[MHz]に設定することにより、CPUクロックをアップさせ、ステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返す。このため電源制御CPU38は、該電源制御CPU38自身の消費電力を増加させ、コンデンサ36に蓄えられた電荷を放出させて放電させる。これにより電源制御CPU38は、CPUクロックを1[MHz]のままにする場合と比較して、5VS0の電圧が低下する時期を早める。
【0064】
一方、ステップSP4において肯定結果が得られると、このことは、ACゼロクロスパルスを検出したため、電源オフモードにおいて交流電力30は通電していることを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP6へ移る。
【0065】
ステップSP6において電源制御CPU38は、該電源制御CPU38のCPUクロックを1[MHz]に設定することにより、CPUクロックをダウンさせ、ステップSP7へ移る。このとき、電源制御CPU38のCPUクロックが既に1[MHz]に設定されていた場合、電源制御CPU38は、CPUクロックを1[MHz]のままにし、変更しないようにする。一方、電源制御CPU38は、電源オフモードにおいて交流電力30の通電が遮断されたことを検出しCPUクロックを既に32[MHz]に設定していた場合、CPUクロックを1[MHz]にダウンさせる。
【0066】
ステップSP7において電源制御CPU38は、通常動作モードからHALTモードに移行し、ステップSP1へ戻り、上述した処理を繰り返す。このように電源制御CPU38は、ステップSP6及びSP7の処理を行うことにより、電源オフモード時の初期状態である、HALTモードにおいて1[MHz]のCPUクロック周波数へ戻る。
【0067】
電源制御CPU38は、電源オフモードにおいて電源スイッチ40が押下されるまで、上述したステップSP1~SP7の処理を繰り返す。
【0068】
一方、ステップSP1において肯定結果が得られると、このことは、電源オフモードにおいてユーザが電源スイッチ40を押下したため、画像形成装置1の電源を投入し、電源オフモードから待機モードへ復帰することを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP8へ移る。
【0069】
ステップSP8において電源制御CPU38は、該電源制御CPU38のCPUクロックを1[MHz]に設定することにより、CPUクロックをダウンさせ、ステップSP9へ移る。このとき、電源制御CPU38のCPUクロックが既に1[MHz]に設定されていた場合、電源制御CPU38は、CPUクロックを1[MHz]のままにし、変更しないようにする。一方、電源制御CPU38は、電源オフモードにおいて交流電力30の通電が遮断されたことを検出しCPUクロックを既に32[MHz]に設定していた場合、CPUクロックを1[MHz]にダウンさせる。
【0070】
ステップSP9において電源制御CPU38は、HALTモードから通常動作モードに復帰し、ステップSP10へ移る。ステップSP10において電源制御CPU38は、SUBPWRON-N信号をLowレベルにし、プリンタ制御部46への5VSの供給を開始することにより、画像形成装置1を電源オフモードから待機モードへ復帰させ、ステップSP11へ移り電源オフモード時の電源CPU制御処理手順RT1を終了する。
【0071】
[5.電源オフモード時にAC入力が遮断された場合のタイミングチャートについて]
図4は、電源制御CPU38の電源オフモード中にACコードがコンセントから取り外されAC入力が遮断された場合の制御を説明するタイミングチャートである。
【0072】
初期状態である時点t1から、交流電力30のAC入力がなくなる時点t2までの間においては、交流電力30のAC入力があり、ACゼロクロス信号のACゼロクロスパルスも周期的に出力されている。このとき電源制御CPU38は、HALTモードであり、低消費電力の状態にある。具体的に5VS0電流は、実測値で0.4[mA]であり、電源制御CPU38のVCC端子には、僅かな電流しか流れていない。また5VS0電圧は、5[V]が出力されている。
【0073】
時点t2において、交流電力30のAC入力が遮断されると、ACゼロクロスパルスの出力が途切れる。電源制御CPU38は、ACゼロクロスパルスの入力がなくなったことを検出して、CPUクロックをアップすることにより、電源制御CPU38の消費電力を増加させる。具体的に消費電流である5VS0電流は、実測値で0.4[mA]から4.6[mA]まで10倍程度増加し、電源制御CPU38のVCC端子には、通常のHALTモードよりも大きな電流が流れる。これによりコンデンサ36は、速やかに放電される。
【0074】
時点t2においてACゼロクロスパルスが停止してから1[min]経過した時点t3において、5VS0電圧が低下を開始し、0[V]となる。
【0075】
[6.待機モード時の電源CPU制御処理]
画像形成装置1による待機モード時の電源CPU制御処理の具体的な処理手順について、図5及び図6のフローチャートを用いて説明する。電源制御CPU38は、待機モードにおける初期状態において、CPUクロック周波数が1[MHz]に設定されている。また電源制御CPU38は、通常動作モードに設定されている。さらに電源制御CPU38は、それぞれSUBPWRON-N信号のLowレベルを、POWERSAVE-P信号のHighレベルを出力している。さらに電源制御CPU38は、停電検出フラグをOFFに設定している。この停電検出フラグは、電源制御CPU38がACゼロクロスパルスを検出していない間、すなわち、交流電力30の通電が遮断されている間は、ONとなる。
【0076】
待機モードに移行すると、電源制御CPU38は、記憶部から待機モード時の電源CPU制御処理プログラムを読み出して実行することにより待機モード時の電源CPU制御処理手順RT2を開始し、ステップSP21へ移る。
【0077】
ステップSP21において電源制御CPU38は、電源スイッチ40が押下されたか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、待機モードにおいてユーザが電源スイッチ40を押下していないため、待機モードのまま(すなわちシャットダウンしない)にすることを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP22へ移る。
【0078】
ステップSP22において電源制御CPU38は、待機モードにおいて上位装置から印刷用データの入力がない状態が一定時間経過したため画像形成装置1をスリープモードへ移行させるか否かをシリアル通信によりプリンタ制御部46へ問い合わせることにより、画像形成装置1をスリープモードへ移行させるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、待機モードにおいて印刷用データの入力がない状態が一定時間は経過していないためスリープモードには移行しないことを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP23へ移る。
【0079】
ステップSP23において電源制御CPU38は、スリープモードにおいて上位装置から印刷用データが入力されたため画像形成装置1をスリープモードから待機モードへ復帰させるか否かをシリアル通信によりプリンタ制御部46へ問い合わせることにより、画像形成装置1を待機モードへ復帰させるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、スリープモードから待機モードへ復帰させないことを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP24(図6)へ移る。
【0080】
ステップSP24において電源制御CPU38は、停電検出フラグがONであるか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、現在電源制御CPU38は、ACゼロクロスパルスを検出している状態であり、交流電力30が画像形成装置1に供給されていることを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP25へ移る。
【0081】
ステップSP25において電源制御CPU38は、ACゼロクロスパルスを検出したか否かを判定する。ここで肯定結果が得られると、このことは、現在はスリープモードではなく待機モードであり、電源スイッチ40は押下されておらず、ACゼロクロスパルスを検出しており、さらに待機モードにおいて印刷用データの入力がない状態が一定時間経過していないため引き続き待機モードのままとすることを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP21(図5)へ戻り、上述した処理を繰り返し、電源スイッチ40が押下されるか、スリープモードに移行するか、又はACゼロクロスパルスを検出しなくなるまで待ち受ける。
【0082】
一方、ステップSP25(図6)において否定結果が得られると、このことは、待機モードにおいてACゼロクロスパルスを検出しなかったため、待機モードにおいてACコードがコンセントから取り外されたか、又は短時間の停電が発生したことにより、交流電力30の通電が遮断されたことを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP26へ移る。ステップSP26において電源制御CPU38は、停電検出フラグをONに設定し、ステップSP27へ移る。
【0083】
ステップSP27において電源制御CPU38は、画像形成装置1をスリープモードへ移行させることを指示するスリープ移行指示をシリアル通信によりプリンタ制御部46へ送信し、ステップSP28へ移る。プリンタ制御部46は、スリープモード移行指示を電源制御CPU38から受信すると、例えばデータを揮発性メモリから不揮発性メモリへ退避させる等の、画像形成装置1をスリープモードへ移行させるための処理を行い、該処理が完了すると、スリープモード移行完了通知を電源制御CPU38へ送信する。ステップSP28において電源制御CPU38は、スリープモード移行完了通知をシリアル通信によりプリンタ制御部46から受信するまで待ち受け、スリープモード移行完了通知を受信すると、ステップSP29へ移る。
【0084】
ステップSP29において電源制御CPU38は、POWERSAVE-P信号をHighレベルにし、LEDヘッド16への5VS0の供給を停止すると共に、モータ回路54及び高圧回路56への24[V]の供給を停止することにより、画像形成装置1を待機モードからスリープモードへ移行させ、ステップSP21(図5)へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0085】
このように電源制御CPU38は、待機モードにおいて交流電力30の通電が遮断されたことを検出すると、画像形成装置1をスリープモードへ移行させることにより、画像形成装置1を省電力化させる。このため電源制御CPU38は、画像形成装置1の消費電力を低下させ、コンデンサ36からの放電を抑える。これにより電源制御CPU38は、画像形成装置1を待機モードのままにする場合と比較して、5VS0の電圧が低下する時期を遅くし、5VS0の電圧を維持する。
【0086】
この状態においては、停電が発生し停電検出フラグがONになったため、ステップSP24(図6)において電源制御CPU38は肯定結果を得て、ステップSP30へ移る。
【0087】
ステップSP30において電源制御CPU38は、ACゼロクロスパルスを検出したか否かを判定する。ここで否定結果が得られると、このことは、ステップSP25においてACゼロクロスパルスを検出しなくなりステップSP29において画像形成装置1をスリープモードに移行させてから、現在もACゼロクロスパルスを検出していないため、交流電力30の通電が遮断され続けていることを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP21(図5)へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0088】
交流電力30の入力が再開すると、ステップSP30(図6)において電源制御CPU38は肯定結果を得て、ステップSP31へ移る。ステップSP31において電源制御CPU38は、停電検出フラグをOFFに設定し、ステップSP32へ移る。
【0089】
ステップSP32において電源制御CPU38は、画像形成装置1を待機モードへ復帰させることを指示する待機復帰指示をシリアル通信によりプリンタ制御部46へ送信し、ステップSP33へ移る。プリンタ制御部46は、待機復帰指示を電源制御CPU38から受信すると、例えば退避させたデータを不揮発性メモリから揮発性メモリへ戻す等の、画像形成装置1を待機モードへ復帰させるための処理を行い、該処理が完了すると、待機モード復帰完了通知を電源制御CPU38へ送信する。ステップSP33において電源制御CPU38は、待機モード復帰完了通知をシリアル通信によりプリンタ制御部46から受信するまで待ち受け、待機モード復帰完了通知を受信すると、ステップSP34へ移る。
【0090】
ステップSP34において電源制御CPU38は、POWERSAVE-P信号をLowレベルにし、LEDヘッド16へ5VS0を供給すると共に、モータ回路54及び高圧回路56へ24[V]を供給することにより、画像形成装置1をスリープモードから待機モードへ復帰させ、ステップSP21(図5)へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0091】
このように電源制御CPU38は、待機モードにおいて交流電力30の通電が遮断されてスリープモードへ移行し画像形成装置1を省電力化させた後に、交流電力30の通電が再開すると、待機モードへ復帰し、印刷可能な状態とする。
【0092】
電源制御CPU38は、待機モードにおいて電源スイッチ40が押下されるか、待機モードにおいて上位装置から印刷用データの入力がない状態が一定時間経過するまで、上述したステップSP21~SP34の処理を繰り返す。
【0093】
一方、ステップSP22(図5)において肯定結果が得られると、このことは、待機モードにおいて印刷用データの入力がない状態が一定時間経過したためスリープモードに移行することを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP35へ移る。
【0094】
ステップSP35において電源制御CPU38は、POWERSAVE-P信号をHighレベルにし、LEDヘッド16への5VS0の供給を停止すると共に、モータ回路54及び高圧回路56への24[V]の供給を停止することにより、画像形成装置1を待機モードからスリープモードへ移行させ、ステップSP21へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0095】
一方、ステップSP23において肯定結果が得られると、このことは、スリープモードにおいて上位装置から印刷用データが入力されたため画像形成装置1をスリープモードから待機モードへ復帰させることを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP36へ移る。
【0096】
ステップSP36において電源制御CPU38は、POWERSAVE-P信号をLowレベルにし、LEDヘッド16へ5VS0を供給すると共に、モータ回路54及び高圧回路56へ24[V]を供給することにより、画像形成装置1をスリープモードから待機モードへ復帰させ、ステップSP21へ戻り、上述した処理を繰り返す。
【0097】
一方、ステップSP21において肯定結果が得られると、このことは、待機モードにおいてユーザが電源スイッチ40を押下したため、画像形成装置1の電源を落としてシャットダウン状態にし、画像形成装置1を電源オフモードへ移行させることを表し、このとき電源制御CPU38は、ステップSP37へ移る。ステップSP37において電源制御CPU38は、停電検出フラグをOFFに設定し、ステップSP38へ移る。
【0098】
ステップSP38において電源制御CPU38は、画像形成装置1をシャットダウンさせ電源オフモードへ移行させることを指示する電源オフ移行指示をシリアル通信によりプリンタ制御部46へ送信し、ステップSP39へ移る。プリンタ制御部46は、電源オフ移行指示を電源制御CPU38から受信すると、シャットダウン、すなわち、画像形成装置1の電源を落とすための処理を行い、該処理が完了すると、シャットダウン移行完了通知を電源制御CPU38へ送信する。ステップSP39において電源制御CPU38は、シャットダウン移行完了通知をシリアル通信によりプリンタ制御部46から受信するまで待ち受け、シャットダウン移行完了通知を受信すると、ステップSP40へ移る。
【0099】
ステップSP40において電源制御CPU38は、SUBPWRON-N信号をHighレベルにし、プリンタ制御部46への5VSの供給を停止することにより、画像形成装置1を待機モードから電源オフモードへ移行させると共に、通常動作モードからHALTモードへ移行し、ステップSP41へ移り待機モード時の電源CPU制御処理手順RT2を終了する。
【0100】
[7.待機モード時にAC入力が遮断された場合のタイミングチャートについて]
図7は、電源制御CPU38の待機モード中に短時間停電によりAC入力が遮断された場合の制御を説明するタイミングチャートである。
【0101】
初期状態である時点t11から、交流電力30のAC入力がなくなる時点t12までの間においては、交流電力30のAC入力があり、ACゼロクロス信号のACゼロクロスパルスも周期的に出力されている。このとき画像形成装置1は待機モードであり、電源制御CPU38は、通常動作モードである。また5VS0電圧は、5[V]が出力されている。
【0102】
時点t12において、交流電力30のAC入力が遮断されると、ACゼロクロスパルスの出力が途切れる。電源制御CPU38は、ACゼロクロスパルスの入力がなくなったことを検出して、画像形成装置1をスリープモードへ移行させる。このため画像形成装置1は省電力化し、コンデンサ36からの放電を抑える。これにより画像形成装置1は、時点t12から時点t13までの期間も5VS0電圧が5[V]よりも低下しないようにする。
【0103】
時点t12においてACゼロクロスパルスが停止してから2[sec]後の時点t13において交流電力30の入力が復帰すると、ACゼロクロスパルスの周期的な出力が再開する。これにより画像形成装置1は、時点t11から時点t13までの期間、5VS0電圧が5[V]よりも低下しないようにできる。
【0104】
[8.効果等]
ところで、従来の画像形成装置において、電源電圧を放電させるための専用の放電回路を設けないことにより、装置の構成を簡略化した場合、電源オフモードにおいてACコードが取り外され、交流電源の供給が停止されても、2次側電圧の負荷が軽負荷すぎるため、速やかに電源電圧が低下しない。一方で、従来の画像形成装置において、軽負荷時に電源電圧の低下を早めるために、電源回路の静電容量を小さくすると、通常動作における短時間の停電で電源オフが早まった。
【0105】
これに対し画像形成装置1は、AC入力があるものの電源がオフにされている場合である、電源オフモードにおいて、電源制御CPU38がACゼロクロス信号でAC入力の有無を判定する。ここで、交流電力30の通電が遮断され、AC入力無しを検出した場合、電源制御CPU38は、該電源制御CPU38のCPUクロックをアップすることにより、該電源制御CPU38自身の消費電力を増加させるようにした。
【0106】
このため画像形成装置1は、例えば基板交換を行おうとしている保守員により、電源オフモードにおいてACコードが取り外され、交流電力30の供給が停止されると、2次側電圧の負荷が軽負荷であったとしても、コンデンサ36を速やかに放電させ、速やかに5VS0の電圧を低下させることができる。
【0107】
ここで、電源オフモードにおいて交流電力30の通電が遮断されても電源制御CPU38のCPUクロックをアップしない場合、5VS0電圧が低下を開始するまで10[min]を要していた。このため保守員が基板交換する際に5VS0電圧が低下するまで長時間待機する必要があった。
【0108】
これに対し電源制御CPU38は、電源オフモードにおいて交流電力30の通電が遮断されると、該電源制御CPU38のCPUクロックをアップし、該電源制御CPU38自身の消費電力を増加させることにより、速やかに5VS0の電圧を低下させることができる。これにより画像形成装置1は、保守員が基板交換をするようなときに、電源電圧低下を待つ時間を短時間にでき、作業の効率を向上させることができる。
【0109】
また画像形成装置1は、5VS0電圧をコンデンサ36から放電させるための専用の放電回路を設けることなく、電源制御CPU38のCPUクロックをアップするだけで、5VS0電圧をコンデンサ36から放電させるようにした。このため画像形成装置1は、電源装置の大型化や、部品点数増加によるコストアップを防ぎつつ、低消費電力な状態である電源オフモードにおいて、短時間で電源電圧である5VS0の電圧を低下させることができる。
【0110】
さらに画像形成装置1は、AC入力があり電源がONにされている場合である、待機モードにおいても、電源制御CPU38がACゼロクロス信号でAC入力の有無を判定する。ここで、ACコードはコンセントに接続されているものの短時間の停電が発生し、AC入力無しを検出した場合、電源制御CPU38は、画像形成装置1をスリープモードへ移行させることにより、該画像形成装置1の消費電力を低下させるようにした。
【0111】
また、AC入力が復旧すると、電源制御CPU38は、画像形成装置1をスリープモードから待機モードへ復帰させることにより、該画像形成装置1を印刷可能な状態にさせるようにした。
【0112】
このため画像形成装置1は、待機モード中に短時間の停電が発生し、交流電力30の供給が一時的に遮断されたとしても、消費電力を一時的に低下させてコンデンサ36からの放電を抑え、電源電圧である5VS0の低下を防ぐことができる。
【0113】
ここで、待機モードにおいて交流電力30の通電が遮断されてもスリープモードに移行しない場合、5VS0が2[sec]以内の短時間停電で5[V]よりも低下してしまい、画像形成装置1の電源がOFFしてしまった。
【0114】
これに対し電源制御CPU38は、待機モードにおいて交流電力30の通電が遮断されると、スリープモードへ移行させ、画像形成装置1の消費電力を低下させることにより、5VS0の電圧の低下を遅らせることができる。これにより画像形成装置1は、電源回路の静電容量を増やすことなく、AC入力の瞬断に対しても電源がOFFしにくくできる。
【0115】
かくして画像形成装置1は、電源回路の静電容量を小さくせずに保つことにより、待機モードでの通常動作における短時間の停電で電源OFFが早まってしまうことを防止することと、電源オフモードでの画像形成装置1の軽負荷時に電源電圧低下を早めることとを両立できる。このため画像形成装置1は、通常の待機モードにおいて交流電力30の供給が短時間停止された際には電源電圧の低下を防ぎ動作を続行させることができると共に、電源オフモードにおいて交流電力30の供給が停止された際には速やかに5VS0の電圧を低下させることができる。これにより画像形成装置1は、交流電源の変動に対して安定的に通常の動作を行いつつ、保守作業の効率を向上させることができる。
【0116】
以上の構成によれば画像形成装置1は、待機モードよりも低消費電力である省電力モードへ移行可能であり、商用電源である交流電力30から1次側電圧であるAC100[V]が供給され、該1次側電圧を変換して2次側電圧である5VS0を生成するAC/DCコンバータ32と、交流電力30から1次側電圧の状態を示す電源状態信号としてのACゼロクロス信号を出力するACゼロクロス検出回路34と、2次側電圧が供給され動作し、ACゼロクロス信号を検出する電源制御CPU38とを設け、電源制御CPU38は、待機モードよりも負荷側への2次側電圧の供給を低下させると共に、該電源制御CPU38を通常動作モードよりも処理能力を低下させ該通常動作モードよりも低消費電力な処理能力低下モードとしてのHALTモードに移行させることにより、画像形成装置1を省電力モードとしての電源オフモードへ移行させ、電源オフモード中において、交流電力30の遮断に基づくACゼロクロス信号の変化を検出した場合、処理能力をHALTモードの状態よりも増加させるようにした。
【0117】
これにより画像形成装置1は、電源オフモード中の商用電源遮断時に2次側電源の電圧を低下させる専用の放電回路を設けることなく、電源制御CPU38のCPUクロックを通常のHALTモードの場合よりもアップさせることにより、2次側電源の電圧低下を短時間化できる。
【0118】
[9.他の実施の形態]
なお上述した実施の形態においては、電源オフモードにおいて、交流電力30の通電の遮断を検出した場合、電源制御CPU38が自身のCPUクロックをアップさせることにより、該電源制御CPU38自身の消費電力を増加させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、HALTモードにおいては本来使用されないものの電源制御CPU38に元々備わっている機能を使用したり、HALTモードにおいては本来行われないものの電源制御CPU38に元々備わっている処理を実行したりすることにより、電源制御CPU38自身の消費電力を増加させても良く、それらと、CPUクロックのアップとを組み合わせても良い。要は、電源制御CPU38において、HALTモード以外において本来使用される機能や実行される処理を流用して、HALTモードにおいてそれらの機能を使用したり処理を実行したりし、HALTモードにおける本来の処理能力よりも、処理能力を増加させ、消費電力を増加させれば良い。
【0119】
また、電源オフモードにおいて、交流電力30の通電の遮断を検出した場合、プリンタ制御部46にリセットを加え続けてプリンタ制御部46が動作しないようにしつつ、SUBPWRON-N信号のLowレベルを出力することにより、Pch-FET42及びDC/DCコンバータ44において5VS0を消費させても良い。
【0120】
さらに上述した実施の形態においては、ACゼロクロス信号のACゼロクロスパルスを検出することにより、交流電力30の停止を判定する場合について述べた。本発明はこれに限らず、交流電力30のAC電圧の電圧レベルを監視することにより、交流電力30の停止を判断しても良い。
【0121】
さらに上述した実施の形態においては、電源オフモードにおいてLEDヘッド16、モータ回路54、高圧回路56及びプリンタ制御部46への電源の供給を中断する場合について述べた。本発明はこれに限らず、電源オフモードにおいては、少なくとも待機モードよりも負荷側への2次側電圧の供給を低下させれば良い。
【0122】
さらに上述した実施の形態においては、スリープモードにおいてLEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56の電源の供給を中断する場合について述べた。本発明はこれに限らず、スリープモードにおいては、少なくとも待機モードよりもLEDヘッド16、モータ回路54及び高圧回路56への2次側電圧の供給を低下させれば良い。
【0123】
さらに上述した実施の形態においては、電源オフモードにおいて、交流電力30の通電の遮断を検出した場合、電源制御CPU38が自身のCPUクロックをアップさせることにより、該電源制御CPU38自身の消費電力を増加させると共に、待機モードにおいて交流電力30の通電が遮断されると、スリープモードへ移行させることにより、画像形成装置1の消費電力を低下させる場合について述べた。本発明はこれに限らず、電源オフモードにおける電源制御CPU38のCPUクロックのアップのみを行い、待機モードにおけるスリープモードへの移行は行わず省略しても良い。
【0124】
さらに上述した実施の形態においては、AC/DCコンバータ32は、1次側電圧であるAC100[V]を降圧して2次側電圧である5VS0を生成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、AC/DCコンバータ32は、1次側電圧を昇圧しても良く、要は、1次側電圧を変換して2次側電圧を生成すれば良い。
【0125】
さらに上述した実施の形態においては、ACゼロクロス検出回路34は、交流電力30から1次側電圧が供給されているか否かを示す電源状態信号としてのACゼロクロス信号を出力する場合について述べた。本発明はこれに限らず、要は、1次側電圧の状態を示す電源状態信号を出力すれば良い。その場合、電源制御CPU38は、交流電力30の遮断に基づく電源状態信号の変化を検出した場合、処理能力をHALTモードの状態よりも増加させれば良い。
【0126】
さらに上述した実施の形態においては、画像形成装置1に本発明を適用する場合について述べた。本発明はこれに限らず、ファクシミリ機、MFP(MultiFunction Printer:複合機)、複写機等の装置にも本発明を適用して良い。要は、電源オフモードを制御するCPUを有する各種電子機器に本発明を適用しても良い。
【0127】
さらに本発明は、上述した各実施の形態及び他の実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した各実施の形態と上述した他の実施の形態の一部又は全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【0128】
さらに上述した実施の形態においては、AC/DC変換回路としてのAC/DCコンバータ32と、1次側電圧検出回路としてのACゼロクロス検出回路34と、電源制御部としての電源制御CPU38とによって、電子機器としての画像形成装置1を構成する場合について述べた。本発明はこれに限らず、その他種々の構成でなるAC/DC変換回路と、1次側電圧検出回路と、電源制御部とによって、電子機器を構成しても良い。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明は、画像形成装置に画像を印刷させるコンピュータの他、機器の電源オフモードを制御するCPUを有する、イメージスキャナやファクシミリ装置、或いは複写機等、画像に関する種々の処理を行う種々の電子機器でも利用できる。
【符号の説明】
【0130】
1……画像形成装置、2……筐体、4……用紙収容カセット、6……ホッピングローラ、8……レジストローラ、9……搬送ローラ、10……転写ベルトユニット、11……ベルト駆動ローラ、12……転写ベルト、13……転写ローラ、15……画像形成ユニット、16……LEDヘッド、18……トナーカートリッジ、19……感光体ドラム、20……定着ユニット、21……加熱ローラ、22……加圧ローラ、24、25……排出ローラ、W……搬送路、30……交流電力、32……AC/DCコンバータ、34……ACゼロクロス検出回路、36……コンデンサ、38……電源制御CPU、40……電源スイッチ、42……Pch-FET、44……DC/DCコンバータ、46……プリンタ制御部、50……AC/DCコンバータ、52……Pch-FET、54……モータ回路、56……高圧回路。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7