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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】アタッチメントの目標軌跡変更システム
(51)【国際特許分類】
   E02F 3/43 20060101AFI20241016BHJP
   E02F 9/26 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
E02F3/43 A
E02F9/26 A
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020147032
(22)【出願日】2020-09-01
(65)【公開番号】P2022041683
(43)【公開日】2022-03-11
【審査請求日】2023-03-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】野田 大輔
(72)【発明者】
【氏名】山下 耕治
(72)【発明者】
【氏名】秋山 将貴
【審査官】亀谷 英樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/189013(WO,A1)
【文献】特開2019-190234(JP,A)
【文献】特開2016-089389(JP,A)
【文献】特開2020-020153(JP,A)
【文献】国際公開第2019/181872(WO,A1)
【文献】国際公開第2019/151335(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0181881(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02F 9/20-9/22
E02F 3/42-3/43
E02F 3/84-3/85
E02F 9/24
E02F 9/26
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、前記下部走行体の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、を有する作業機械における、アタッチメントの目標軌跡変更システムであって、
前記アタッチメントが動作を開始する目標点である目標開始点から、前記アタッチメントが動作を終了する前記目標点である目標終了点までの間において、前記アタッチメントの特定部位の目標軌跡を設定する目標軌跡設定手段と、
前記目標終了点の周囲を周囲情報として撮像する撮像装置と、
前記周囲情報に基づいて、前記目標終了点を移動させる終了点移動手段と、
前記目標開始点から移動後の前記目標終了点までの間で、前記目標軌跡を再設定する目標軌跡再設定手段と、
を有し、
前記目標軌跡設定手段は、前記目標軌跡上に特定間隔毎に前記目標点を設定し、
特定の前記目標点を通り所定方向に延びる直線を基準線としたとき、
前記目標軌跡再設定手段は、前記基準線から移動前の前記目標終了点までの距離と、前記基準線から移動後の前記目標終了点までの距離と、の比率に基づいて、特定の前記目標点から前記目標終了点までの間にある前記目標点を移動させることで、前記目標軌跡を再設定することを特徴とするアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項2】
前記目標軌跡設定手段は、前記目標軌跡上に特定間隔毎に前記目標点を設定し、
前記目標終了点以外の前記目標点のうち、移動させない前記目標点を不動目標点として作業者に設定させる目標点設定手段を有し、
前記目標軌跡再設定手段は、前記目標終了点に最も近い前記不動目標点から移動後の前記目標終了点までの間で、前記目標軌跡を再設定することを特徴とする請求項1のいずれか1項に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項3】
前記目標軌跡設定手段は、前記目標軌跡上に特定間隔毎に前記目標点を設定し、
前記撮像装置は、前記アタッチメントの周囲をアタッチメント周囲情報として撮像し、
前記目標軌跡再設定手段は、前記目標軌跡を再設定した結果、前記アタッチメント周囲情報に含まれる障害物との距離が所定値以下の前記目標点がある場合に、その目標点を前記障害物から離れるように移動させることを特徴とする請求項1または2に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項4】
再設定された前記目標軌跡を表示画面に表示する表示装置を有することを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項5】
前記目標軌跡設定手段は、前記目標軌跡上に特定間隔毎に前記目標点を設定し、
前記表示装置は、前記目標点を前記表示画面に表示し、
作業者の操作に応じて、前記表示画面上で前記目標点を移動させる目標点移動手段を有し、
前記目標軌跡再設定手段は、前記目標軌跡の再設定後に前記表示画面上で移動された前記目標点の位置に応じて、対応する前記目標点を移動させることを特徴とする請求項4に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【請求項6】
前記作業機械と相互に通信可能な携帯端末を有し、
前記携帯端末は、前記表示装置と、前記目標点移動手段と、を有することを特徴とする請求項5に記載のアタッチメントの目標軌跡変更システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機械のアタッチメントの特定部位の目標軌跡を変更する、アタッチメントの目標軌跡変更システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に開示されているように、排土地点から掘削地点までの間における油圧ショベルのアタッチメントの目標姿勢を予めティーチングしておき、この目標姿勢を順次読み出して、アタッチメントを自動で動作させることが行われている。
【0003】
また、特許文献2には、アタッチメントの姿勢情報と、地面の現在の形状に関する情報とに基づいて、アタッチメントを制御することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開昭62-214407号公報
【文献】特開2019-35326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、作業現場では、掘削地点に土が積まれるなどして、掘削対象の形状が時々刻々と変化する。そこで、掘削対象の形状に合わせて掘削地点を移動させることが考えられる。しかし、予めティーチングした内容から、掘削地点のみを移動させたのでは、排土地点から動き出したアタッチメントが移動後の掘削地点に到達するまでに遠回りをしてしまうなど、非効率的な動きになる場合がある。
【0006】
本発明の目的は、アタッチメントを効率的に動作させることが可能なアタッチメントの目標軌跡変更システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下部走行体と、前記下部走行体の上部に旋回可能に取り付けられた上部旋回体と、前記上部旋回体に取り付けられたアタッチメントと、を有する作業機械における、アタッチメントの目標軌跡変更システムであって、前記アタッチメントが動作を開始する目標点である目標開始点から、前記アタッチメントが動作を終了する前記目標点である目標終了点までの間において、前記アタッチメントの特定部位の目標軌跡を設定する目標軌跡設定手段と、前記目標終了点の周囲を周囲情報として撮像する撮像装置と、前記周囲情報に基づいて、前記目標終了点を移動させる終了点移動手段と、前記目標開始点から移動後の前記目標終了点までの間で、前記目標軌跡を再設定する目標軌跡再設定手段と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、アタッチメントが動作を開始する目標点である目標開始点から、アタッチメントが動作を終了する目標点である目標終了点までの間において、アタッチメントの特定部位の目標軌跡が設定される。その後、撮像装置が撮像した周囲情報に基づいて、目標終了点が移動される。目標終了点が移動されると、目標開始点から移動後の目標終了点までの間で、目標軌跡が再設定される。目標軌跡が再設定されると、アタッチメントの特定部位は、この目標軌跡を辿るように動作されることになる。このように、目標軌跡を再設定することで、アタッチメントを効率的に動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】目標軌跡変更システムの構成図である。
図2】目標軌跡変更システムの回路図である。
図3】バケットの先端の目標軌跡を示す図であり、目標軌跡が直線状に再設定された場合の図である。
図4】バケットの先端の目標軌跡を示す図であり、特定の比率に基づいて目標軌跡が再設定された場合の図である。
図5】バケットの先端の目標軌跡を示す図であり、不動目標点が設定された場合の図である。
図6】バケットの先端の目標軌跡を示す図であり、障害物に近い目標点が移動された場合の図である。
図7】目標軌跡変更処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0011】
(目標軌跡変更システムの構成)
本実施形態によるアタッチメントの目標軌跡変更システム(目標軌跡変更システム)は、作業機械のアタッチメントの特定部位の目標軌跡を変更するものである。目標軌跡変更システム1の構成図である図1に示すように、目標軌跡変更システム1は、作業機械2と、携帯端末3と、撮像装置4と、を有している。
【0012】
(作業機械の構成)
図1に示すように、作業機械2は、アタッチメント30で作業を行う機械であり、例えば油圧ショベルである。作業機械2は、下部走行体21と、上部旋回体22と、旋回装置24と、アタッチメント30と、シリンダ40と、を有している。
【0013】
下部走行体21は、作業機械2を走行させる部分であり、例えばクローラを備える。上部旋回体22は、下部走行体21の上部に旋回可能に取り付けられる。上部旋回体22の前部には、キャブ(運転室)23が設けられている。旋回装置24は、上部旋回体22を旋回させることが可能である。
【0014】
アタッチメント30は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アタッチメント30は、ブーム31と、アーム32と、バケット33と、を備える。ブーム31は、上下方向に回動可能に上部旋回体22に取り付けられる。アーム32は、上下方向に回動可能にブーム31に取り付けられる。バケット33は、上下方向に回動可能にアーム32に取り付けられる。バケット33は、作業対象(土砂など)の、掘削、ならし、すくい、などの作業を行う部分である。なお、バケット33は、アーム32に取り付けられる先端アタッチメントの一例であり、先端アタッチメントはこれに限定されず、ニブラやクランプアーム等であってもよい。
【0015】
シリンダ40は、アタッチメント30を油圧で回動させることが可能である。シリンダ40は、油圧式の伸縮シリンダである。シリンダ40は、ブームシリンダ41と、アームシリンダ42と、バケットシリンダ43と、を備える。
【0016】
ブームシリンダ41は、上部旋回体22に対してブーム31を回転駆動させる。ブームシリンダ41の基端部は、上部旋回体22に回動可能に取り付けられる。ブームシリンダ41の先端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。
【0017】
アームシリンダ42は、ブーム31に対してアーム32を回転駆動させる。アームシリンダ42の基端部は、ブーム31に回動可能に取り付けられる。アームシリンダ42の先端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。
【0018】
バケットシリンダ43は、アーム32に対してバケット33を回転駆動させる。バケットシリンダ43の基端部は、アーム32に回動可能に取り付けられる。バケットシリンダ43の先端部は、バケット33に回動可能に取り付けられたリンク部材34に、回動可能に取り付けられる。
【0019】
また、作業機械2は、操作レバー51(図2参照)と、角度センサ52と、傾斜角センサ60と、を有している。
【0020】
操作レバー51は、旋回装置24およびアタッチメント30を動作させるためにオペレータにより操作される。操作レバー51は、キャブ23内に設けられている。
【0021】
角度センサ52は、下部走行体21に対する上部旋回体22の旋回角度を検出する。角度センサ52は、例えば、エンコーダ、レゾルバ、又は、ジャイロセンサである。本実施形態では、上部旋回体22の前方が下部走行体21の前方と一致するときの上部旋回体22の旋回角度を0°としている。
【0022】
傾斜角センサ60は、アタッチメント30の姿勢を検出する。傾斜角センサ60は、ブーム傾斜角センサ61と、アーム傾斜角センサ62と、バケット傾斜角センサ63と、を備える。
【0023】
ブーム傾斜角センサ61は、ブーム31に取り付けられ、ブーム31の姿勢を検出する。ブーム傾斜角センサ61は、水平線に対するブーム31の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、ブーム傾斜角センサ61は、ブームフットピン(ブーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、ブームシリンダ41のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0024】
アーム傾斜角センサ62は、アーム32に取り付けられ、アーム32の姿勢を検出する。アーム傾斜角センサ62は、水平線に対するアーム32の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、アーム傾斜角センサ62は、アーム連結ピン(アーム基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、アームシリンダ42のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0025】
バケット傾斜角センサ63は、リンク部材34に取り付けられ、バケット33の姿勢を検出する。バケット傾斜角センサ63は、水平線に対するバケット33の傾斜角度を取得するセンサであり、例えば傾斜(加速度)センサ等である。なお、バケット傾斜角センサ63は、バケット連結ピン(バケット基端)の回転角度を検出する回転角度センサや、バケットシリンダ43のストローク量を検出するストロークセンサであってもよい。
【0026】
(携帯端末の構成)
図1に示すように、携帯端末3は、作業現場にいる作業者により操作される端末であり、例えばタブレット端末である。携帯端末3は、作業機械2と相互に通信可能である。なお、携帯端末3は、スマートフォン等であってもよい。
【0027】
(撮像装置の構成)
図1に示すように、撮像装置4は、後述する目標終了点の周囲を周囲情報として撮像するものである。本実施形態において、撮像装置4は、作業機械2に取り付けられているが、作業機械2から離れた場所に設置されていてもよい。また、本実施形態において、撮像装置4は、ライダ(LIDAR)であるが、カメラ、超音波センサ、ミリ波レーダ、ステレオカメラ、距離画像センサ、赤外線センサ等であってもよい。
【0028】
(目標軌跡変更システムの回路構成)
目標軌跡変更システム1の回路図である図2に示すように、作業機械2は、コントローラ11と、作業機械側通信装置12と、記憶装置13と、を有している。
【0029】
コントローラ(目標軌跡設定手段)11は、目標開始点から目標終了点までの間において、バケット33の先端の目標軌跡を設定する。ここで、目標開始点は、アタッチメント30が動作を開始する目標点である。また、目標終了点は、アタッチメント30が動作を終了する目標点である。バケット33の先端は、アタッチメント30の特定部位の一例であり、アタッチメント30の特定部位はこれに限定されず、例えば、アーム32の先端等であってもよい。
【0030】
また、コントローラ11は、目標軌跡上に特定間隔毎に目標点を設定する。ここで、特定間隔は、特定の時間間隔であってもよいし、特定の距離間隔であってもよい。
【0031】
ここで、本実施形態では、実際に作業機械2を動作させるティーチングにより、目標軌跡を設定している(オンラインティーチング)。具体的には、オペレータが操作レバー51を操作することで、旋回装置24およびアタッチメント30を動作させる。このときの上部旋回体22の旋回角度が、角度センサ52により検出される。また、このときのアタッチメント30の姿勢が、傾斜角センサ60により検出される。コントローラ11は、検出した上部旋回体22の旋回角度、および、検出したアタッチメント30の姿勢に基づいて、目標軌跡を設定する。ここでの特定間隔は、角度センサ52および傾斜角センサ60の検出値のサンプリング間隔である。
【0032】
なお、作業機械2を実際に動作させることなく、上部旋回体22の旋回角度の情報およびアタッチメント30の姿勢の情報をコントローラ11に入力することで、目標軌跡を設定してもよい(オフラインティーチング)。この場合、特定間隔毎の情報をコントローラ11に入力することで、目標軌跡を設定してよい。
【0033】
バケット33の先端の目標軌跡71を図3に示す。本実施形態の目標軌跡71は、復帰旋回時のものである。復帰旋回とは、バケット33で保持していた土砂等を排出した後に、上部旋回体22を旋回させて、バケット33を掘削地点に復帰させる動作である。矢印Aで示す目標点72が目標開始点73であり、矢印Bで示す目標点72が目標終了点74である。復帰旋回の場合、目標開始点73は、排土地点であり、目標終了点74は、掘削地点である。
【0034】
なお、バケット33の先端の目標軌跡71は、復帰旋回時のものに限定されず、持ち上げ旋回時のもの等であってもよい。持ち上げ旋回とは、バケット33で掬った土砂等を保持した状態で、上部旋回体22を旋回させる動作である。
【0035】
上述したように、撮像装置4は、目標終了点74の周囲を周囲情報として撮像する。コントローラ(終了点移動手段)11は、周囲情報に基づいて、目標終了点74を移動させる。例えば、掘削地点である目標終了点74に、他の作業機械によって土砂が積まれたり、目標終了点74の周りに盛られていた土砂が目標終了点74の上に崩れてきたりすることで、目標終了点74が土砂で埋まる。このような場合には、目標終了点74を上方に移動させる。つまり、目標終了点74を地面まで移動させる。図3では、〇で示す目標終了点74を上方に移動させており、移動後の目標終了点74を□で示している。
【0036】
なお、周囲情報に基づいて、目標終了点74を下方や、前後左右に移動させてもよい。例えば、掘削に伴って、地面が下方に下がった場合には、掘削地点である目標終了点74が下方の地面まで移動される。また、他の作業機械によって、目標終了点74よりも作業機械2側に土砂が積まれた場合、この土砂を先に掘削するために、掘削地点である目標終了点74が前方(作業機械2側)に移動される。
【0037】
目標終了点74を移動させた場合、コントローラ(目標軌跡再設定手段)11は、目標開始点73から移動後の目標終了点74までの間で、目標軌跡71を再設定する。図3では、再設定された目標軌跡71を点線で示し、この目標軌跡71上の目標点72を△で示している。
【0038】
ここで、コントローラ11は、ある方向から見て直線状に、目標軌跡71を再設定する。本実施形態では、作業機械2の側方から見て直線状に、目標軌跡71を再設定しているが、作業機械2の上方や、作業機械2の前後方向から見て直線状に、目標軌跡71を再設定してもよい。
【0039】
このように、アタッチメント30が動作を開始する目標点72である目標開始点73から、アタッチメント30が動作を終了する目標点72である目標終了点74までの間において、バケット33の先端の目標軌跡71が設定される。その後、撮像装置4が撮像した周囲情報に基づいて、目標終了点74が移動される。目標終了点74が移動されると、目標開始点73から移動後の目標終了点74までの間で、目標軌跡71が再設定される。目標軌跡71が再設定されると、バケット33の先端は、この目標軌跡71を辿るように動作されることになる。このように、目標軌跡71を再設定することで、アタッチメント30を効率的に動作させることができる。
【0040】
また、ある方向から見て直線状に、目標軌跡71が再設定される。これにより、ある方向から見て曲線状に目標軌跡71が再設定される場合と比べて、アタッチメント30をより効率的に動作させることができる。
【0041】
なお、バケット33の先端の目標軌跡71を示す図である図4に示すように、基準線75から移動前の目標終了点74までの距離aと、基準線75から移動後の目標終了点74までの距離bと、の比率に基づいて、特定の目標点72から目標終了点74までの間にある目標点72をそれぞれ移動させることで、目標軌跡71を再設定してもよい。基準線75は、特定の目標点72を通り所定方向に延びる直線である。図4では、基準線75は、目標開始点73を通り水平方向に延びている。つまり、特定の目標点72は、目標開始点73である。そのため、目標開始点73から目標終了点74までの間にある目標点72がそれぞれ移動される。なお、基準線75は、水平方向以外の方向に延びていてもよい。
【0042】
移動前の目標終了点74の1つ前の目標点72から基準線75までの距離がcのとき、この目標点72の移動後の位置から基準線75までの距離dは、d=cb/aとなる。目標終了点74が移動される前の目標軌跡71が曲線であれば、目標終了点74が移動された後の目標軌跡71も曲線になる。
【0043】
このように、特定の目標点72を通り所定方向に延びる基準線75から移動前の目標終了点74までの距離aと、基準線75から移動後の目標終了点74までの距離bと、の比率に基づいて、特定の目標点72から目標終了点74までの間にある目標点72が移動される。これにより、目標軌跡71が再設定される。上記の比率を用いることで、特定の目標点72から目標終了点74までの間にある目標点72の移動位置を具体的に決定することができる。
【0044】
ここで、バケット33の先端の目標軌跡71を示す図である図5に示すように、コントローラ(目標点設定手段)11は、目標終了点74以外の目標点72のうち、移動させない目標点72を不動目標点76として作業者に設定させる。不動目標点76の設定は、携帯端末3を用いて行われる。即ち、携帯端末3の後述するディスプレイ19には、目標軌跡71および目標点72が表示され、携帯端末3の後述するタッチパネル18を作業者が操作することで、不動目標点76が設定される。
【0045】
作業者は、例えば、移動させると障害物80に接触する可能性が高まるような目標点72を、不動目標点76として設定する。図5では、目標開始点73の1つ隣りの目標点72と、その隣りの目標点72とが、不動目標点76としてそれぞれ設定されている。
【0046】
コントローラ11は、目標終了点74に最も近い不動目標点76から移動後の目標終了点74までの間で、目標軌跡71を再設定する。本実施形態では、作業機械2の側方から見て直線状に、目標軌跡71を再設定している。
【0047】
なお、図4で説明したように、基準線75から移動前の目標終了点74までの距離aと、基準線75から移動後の目標終了点74までの距離bとの比率を用いて、目標軌跡71を再設定してもよい。この場合、基準線75は、目標終了点74に最も近い不動目標点76を通り所定方向に延びるように設定される。つまり、特定の目標点72は、目標終了点74に最も近い不動目標点76である。そのため、目標終了点74に最も近い不動目標点76から目標終了点74までの間にある目標点72(図5では1個)が移動される。
【0048】
このように、目標終了点74以外の目標点72のうち、移動させない目標点72が不動目標点76として作業者に設定される。不動目標点76が設定されると、目標終了点74に最も近い不動目標点76から移動後の目標終了点74までの間で、目標軌跡71が再設定される。これにより、例えば、移動させると障害物80に接触する可能性が高まるような目標点72を移動させることなく、目標軌跡71を再設定することができる。
【0049】
また、撮像装置4は、アタッチメント30の周囲をアタッチメント周囲情報として撮像している。バケット33の先端の目標軌跡71を示す図である図6に示すように、コントローラ11は、目標軌跡71を再設定した結果、アタッチメント周囲情報に含まれる障害物80との距離が所定値以下の目標点72がある場合に、その目標点72を障害物80から離れるように移動させる。図6では、移動後の目標終了点74の隣りの目標点72が、障害物80から離れるように移動されている。
【0050】
このように、目標軌跡71が再設定された結果、アタッチメント周囲情報に含まれる障害物80との距離が所定値以下の目標点72がある場合に、その目標点72が障害物80から離れるように移動される。これにより、バケット33の先端が、再設定された目標軌跡71を辿る際に、障害物80から離れた位置を通るようにすることができる。
【0051】
図2に戻って、作業機械側通信装置12は、携帯端末3の後述する携帯端末側通信装置16と通信可能である。記憶装置13は、コントローラ11が設定した目標軌跡および目標点を記憶可能である。
【0052】
コントローラ11は、目標軌跡および目標点に基づいて、自動運転指令を生成する。自動運転指令は、旋回装置24およびアタッチメント30を自動で動作させるための指令である。そして、コントローラ11は、自動運転指令に基づいて、旋回装置24およびアタッチメント30を自動で動作させることが可能である。作業機械2は、自動運転指令に基づいて自動運転されることになる。
【0053】
図2に示すように、携帯端末3は、携帯端末側コントローラ15と、携帯端末側通信装置16と、携帯端末側記憶装置17と、タッチパネル18と、ディスプレイ19と、を有している。
【0054】
携帯端末側通信装置16は、作業機械2の作業機械側通信装置12と通信可能である。携帯端末側コントローラ15は、携帯端末側通信装置16を介して、作業機械2から目標軌跡71および目標点72を受信する。ディスプレイ(表示装置)19は、再設定された目標軌跡71を表示画面に表示する。また、ディスプレイ19は、目標点72を表示画面に表示する。ディスプレイ19の表示態様は、例えば、図3図6に示したようなものである。これにより、例えば作業機械2から離れた場所などにある携帯端末3で、再設定された目標軌跡71を確認することができる。
【0055】
携帯端末側記憶装置17は、作業機械2から受信した目標軌跡71および目標点72を記憶可能である。タッチパネル18は、作業者からの入力を受け付ける。なお、タッチパネル18は、入力装置の一例であり、入力装置はこれに限定されず、例えば、キーボード等であってもよい。
【0056】
携帯端末側コントローラ(目標点移動手段)15は、作業者の操作に応じて、ディスプレイ19の表示画面上で目標点72を移動させる。具体的には、ディスプレイ19を見ることで再設定された目標軌跡71を確認した作業者は、移動させたい目標点72が表示されたタッチパネルの部位を指でタッチし、その指をスライドさせることで、所望の目標点72を移動させる。移動対象の目標点72には、目標開始点73および目標終了点74が含まれる。
【0057】
作業機械2のコントローラ11は、目標軌跡71の再設定後に表示画面上で移動された目標点72の位置に応じて、対応する目標点72を移動させる。これにより、再設定された目標軌跡71が修正される。
【0058】
このように、作業者の操作に応じて、ディスプレイ19の表示画面上で目標点72が移動される。目標軌跡71の再設定後に表示画面上で移動された目標点72の位置に応じて、対応する目標点72が移動される。再設定された目標軌跡71を確認した作業者は、所望の目標点72を移動させることで、再設定された目標軌跡71を修正することができる。これにより、アタッチメント30の動作をより効率的にできる場合がある。
【0059】
また、作業者は、携帯端末3を操作することで、所望の目標点72を移動させる。これにより、例えば作業機械2から離れた場所などにある携帯端末3で、再設定された目標軌跡71を修正することができる。
【0060】
(目標軌跡変更システムの動作)
次に、目標軌跡変更処理のフローチャートである図7を用いて、目標軌跡変更システム1の動作を説明する。
【0061】
まず、作業機械2のコントローラ11は、目標軌跡71を設定する(ステップS1)。次に、コントローラ11は、不動目標点76を作業者に設定させる(ステップS2)。不動目標点76の設定は、携帯端末3を用いて行われる。次に、コントローラ11は、撮像装置4に周囲情報を撮像させる(ステップS3)。
【0062】
次に、コントローラ11は、目標終了点74を移動させるか否かを判定する(ステップS4)。ステップS4において、目標終了点74を移動させないと判定した場合には(S4:NO)、コントローラ11は、本フローを終了する。一方、目標終了点74を移動させると判定した場合には(S4:YES)、コントローラ11は、目標終了点74を移動させ(ステップS5)、目標軌跡71を再設定する(ステップS6)。
【0063】
次に、コントローラ11は、撮像装置4にアタッチメント周囲情報を撮像させる(ステップS7)。そして、コントローラ11は、障害物80に近い目標点72があるか否かを判定する(ステップS8)。ステップS8において、障害物80に近い目標点72があると判定した場合には(S8:YES)、コントローラ11は、該当する目標点72を障害物80から離れるように移動させ(ステップS9)、ステップS10に進む。
【0064】
一方、ステップS8において、障害物80に近い目標点72がないと判定した場合には(S8:NO)、コントローラ11は、ステップS10に進む。
【0065】
ステップS10では、コントローラ11は、作業者が携帯端末3上で移動させた目標点72があるか否かを判定する(ステップS10)。作業者は、再設定された目標軌跡71を確認し、移動させたい目標点72がある場合には、携帯端末3を操作することで、所望の目標点72を移動させる。
【0066】
ステップS10において、作業者が携帯端末3上で移動させた目標点72があると判定した場合には(S10:YES)、コントローラ11は、該当する目標点72を移動させ(ステップS11)、ステップS12に進む。
【0067】
一方、ステップS10において、作業者が携帯端末3上で移動させた目標点72がないと判定した場合には(S10:NO)、コントローラ11は、ステップS12に進む。
【0068】
ステップS12では、コントローラ11は、目標軌跡71の修正の終了を作業者が指示したか否かを判定する(ステップS12)。ステップS12において、目標軌跡71の修正の終了を作業者が指示していないと判定した場合には(S12:NO)、コントローラ11は、ステップS10に戻る。一方、ステップS12において、目標軌跡71の修正の終了を作業者が指示したと判定した場合には(S12:YES)、コントローラ11は、修正内容を記憶装置13に保存し(ステップS13)、本フローを終了する。
【0069】
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る目標軌跡変更システム1によれば、アタッチメント30が動作を開始する目標点72である目標開始点73から、アタッチメント30が動作を終了する目標点72である目標終了点74までの間において、バケット33の先端の目標軌跡71が設定される。その後、撮像装置4が撮像した周囲情報に基づいて、目標終了点74が移動される。目標終了点74が移動されると、目標開始点73から移動後の目標終了点74までの間で、目標軌跡71が再設定される。目標軌跡71が再設定されると、バケット33の先端は、この目標軌跡71を辿るように動作されることになる。このように、目標軌跡71を再設定することで、アタッチメント30を効率的に動作させることができる。
【0070】
また、ある方向から見て直線状に、目標軌跡71が再設定される。これにより、ある方向から見て曲線状に目標軌跡71が再設定される場合と比べて、アタッチメント30をより効率的に動作させることができる。
【0071】
また、特定の目標点72を通り所定方向に延びる基準線75から移動前の目標終了点74までの距離aと、基準線75から移動後の目標終了点74までの距離bと、の比率に基づいて、特定の目標点72から目標終了点74までの間にある目標点72が移動される。これにより、目標軌跡71が再設定される。上記の比率を用いることで、特定の目標点72から目標終了点74までの間にある目標点72の移動位置を具体的に決定することができる。
【0072】
また、目標終了点74以外の目標点72のうち、移動させない目標点72が不動目標点76として作業者に設定される。不動目標点76が設定されると、目標終了点74に最も近い不動目標点76から移動後の目標終了点74までの間で、目標軌跡71が再設定される。これにより、例えば、移動させると障害物80に接触する可能性が高まるような目標点72を移動させることなく、目標軌跡71を再設定することができる。
【0073】
また、目標軌跡71が再設定された結果、アタッチメント周囲情報に含まれる障害物80との距離が所定値以下の目標点72がある場合に、その目標点72が障害物80から離れるように移動される。これにより、バケット33の先端が、再設定された目標軌跡71を辿る際に、障害物80から離れた位置を通るようにすることができる。
【0074】
また、再設定された目標軌跡71が、ディスプレイ19の表示画面に表示される。これにより、ディスプレイ19の表示画面を見た作業者に、再設定された目標軌跡71を確認させることができる。
【0075】
また、作業者の操作に応じて、ディスプレイ19の表示画面上で目標点72が移動される。目標軌跡71の再設定後に表示画面上で移動された目標点72の位置に応じて、対応する目標点72が移動される。再設定された目標軌跡71を確認した作業者は、所望の目標点72を移動させることで、再設定された目標軌跡71を修正することができる。これにより、アタッチメント30の動作をより効率的にできる場合がある。
【0076】
また、再設定された目標軌跡71が、携帯端末3に表示される。これにより、例えば作業機械2から離れた場所などにある携帯端末3で、再設定された目標軌跡71を確認することができる。作業者は、携帯端末3を操作することで、所望の目標点72を移動させる。これにより、例えば作業機械2から離れた場所などにある携帯端末3で、再設定された目標軌跡71を修正することができる。
【0077】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【0078】
例えば、作業機械2のコントローラ11は、目標軌跡71を設定し、周囲情報に基づいて目標終了点74を移動させ、目標軌跡71を再設定しているが、これらは、図示しないサーバが行ってもよい。同様に、不動目標点76を作業者に設定させるのも、サーバが行ってよい。
【0079】
また、携帯端末3のディスプレイ19を表示装置として説明したが、表示装置は、作業機械2のキャブ23内に設けられた表示装置や、図示しないサーバに接続されたモニター等であってもよい。作業者による目標軌跡の修正は、携帯端末3を用いて行われる構成に限定されず、作業機械2のキャブ23内に設けられた入力装置や、サーバ等を用いて行われてもよい。
【符号の説明】
【0080】
1 目標軌跡変更システム
2 作業機械
3 携帯端末
4 撮像装置
11 コントローラ(目標軌跡設定手段、終了点移動手段、目標軌跡再設定手段、目標点設定手段)
12 作業機械側通信装置
13 記憶装置
15 携帯端末側コントローラ(目標点移動手段)
16 携帯端末側通信装置
17 携帯端末側記憶装置
18 タッチパネル
19 ディスプレイ(表示装置)
21 下部走行体
22 上部旋回体
23 キャブ
24 旋回装置
30 アタッチメント
31 ブーム
32 アーム
33 バケット
34 リンク部材
40 シリンダ
41 ブームシリンダ
42 アームシリンダ
43 バケットシリンダ
51 操作レバー
52 角度センサ
60 傾斜角センサ
61 ブーム傾斜角センサ
62 アーム傾斜角センサ
63 バケット傾斜角センサ
71 目標軌跡
72 目標点
73 目標開始点
74 目標終了点
75 基準線
76 不動目標点
80 障害物
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7