(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20241016BHJP
【FI】
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2020147521
(22)【出願日】2020-09-02
【審査請求日】2023-08-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000752
【氏名又は名称】弁理士法人朝日特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保 周作
(72)【発明者】
【氏名】清水 淳一
(72)【発明者】
【氏名】友國 恒介
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 麻美子
【審査官】岩橋 龍太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-115599(JP,A)
【文献】特開2010-097346(JP,A)
【文献】特開2012-238981(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
G06T 1/00
G06T 11/60-13/80
G06T 17/05
G06T 19/00-19/20
H04N 5/66-5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
画像に関して行われる一連の処理の組み合わせ毎にテスト画像の処理を行わせた結果に基づき各組み合わせに含まれる処理の性能を評価し、
少なくとも2以上の前記組み合わせについての前記評価の結果を出力
し、
複数の前記処理のうち行わせた結果が決められた基準に達しない処理を、評価条件を満たさないものとして判断し、前記性能の評価を行わない
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
プロセッサを備え、前記プロセッサは、
画像に関して行われる一連の処理の組み合わせ毎にテスト画像の処理を行わせた結果に基づき各組み合わせに含まれる処理の性能を評価し、
少なくとも2以上の前記組み合わせについての前記評価の結果を出力し、
複数の
前記処理のうち
行わせた結果が決められた基準に達しない処理
を、出力条件を満たさない
ものと
して判断
し、前記評価の結果を出力しない
ことを特徴とする情報処理装置。
【請求項3】
複数の前記組み合わせのうち、評価された処理の性能が予め定められた選択条件を満たす組み合わせを選択して本番の画像を処理する
請求項1
又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
評価された性能に比べて本番の画像を処理した際の性能が低い場合、当該本番の画像を前記テスト画像として用いて各組み合わせに含まれる処理の性能を評価する
請求項1から
3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、利用を推奨するサービスのサービス属性情報の関連情報に基づき取得される下位のサービスのサービス属性情報と、種別及びサービスが提供される位置が一致するサービス属性情報の課金の評価値、品質の評価値及び納期の評価値に基づいて評価値を算出する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年は文字認識や翻訳、印刷など画像に対する処理を行うサービスが様々な事業者から提供されており、複数の処理を組み合わせて利用するケースも増えている。ユーザとしてはなるべく性能が高い処理を組み合わせて用いたいが、複数の処理を組み合わせた場合、同じ処理でも組み合わされる他の処理によって性能が変化する場合がある。
そこで、本発明は、画像に対する複数の処理を組み合わせて使用する場合に各処理の性能を適切に評価することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、画像に関して行われる一連の処理の組み合わせ毎にテスト画像の処理を行わせた結果に基づき各組み合わせに含まれる処理の性能を評価し、少なくとも2以上の前記組み合わせについての前記評価の結果を出力し、複数の前記処理のうち行わせた結果が決められた基準に達しない処理を、評価条件を満たさないものとして判断し、前記性能の評価を行わないことを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項2に係る情報処理装置は、プロセッサを備え、前記プロセッサは、画像に関して行われる一連の処理の組み合わせ毎にテスト画像の処理を行わせた結果に基づき各組み合わせに含まれる処理の性能を評価し、少なくとも2以上の前記組み合わせについての前記評価の結果を出力し、複数の前記処理のうち行わせた結果が決められた基準に達しない処理を、出力条件を満たさないものとして判断し、前記評価の結果を出力しないことを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項9に係る情報処理装置は、請求項1又は2に記載の態様において、複数の前記組み合わせのうち、評価された処理の性能が予め定められた選択条件を満たす組み合わせを選択して本番の画像を処理することを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項10に係る情報処理装置は、請求項1から3のいずれか1項に記載の態様において、評価された性能に比べて本番の画像を処理した際の性能が低い場合、当該本番の画像を前記テスト画像として用いて各組み合わせに含まれる処理の性能を評価することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に係る発明によれば、画像に対する複数の処理を組み合わせて使用する場合に各処理の性能を適切に評価することができる。また、この発明によれば、特殊な結果により性能を過大に又は過少に評価することを防止することができる。
請求項2に係る発明によれば、特殊な結果により過大に又は過少に評価された結果に基づき本番で用いる処理の組み合わせが選択されることを防止することができる。
請求項3に係る発明によれば、組み合わせを選択する手間を不要にすることができる。
請求項4に係る発明によれば、テスト画像のみで処理の性能を評価する場合に比べて、本番の画像で性能が高い組み合わせが選択されやすいようにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】実施例に係る画像処理システムの全体構成を表す図
【
図4】画像処理システムにおいて実現される機能構成を表す図
【
図10】変形例において実現される機能構成の一例を表す図
【発明を実施するための形態】
【0017】
[1]実施例
図1は実施例に係る情報処理システム1の全体構成を表す。情報処理システム1は、各種の情報処理を行うシステムである。情報処理システム1は、通信回線2と、画像処理装置10と、複数の外部処理装置20-1、20-2、・・・(各々を区別しない場合は「外部処理装置20」と言う)とを備える。
【0018】
通信回線2は、移動体通信網及びインターネット等を含む通信システムであり、自システムと通信する装置等(=装置、端末及びシステム等)同士のデータのやり取りを中継する。通信回線2には、画像処理装置10及び外部処理装置20が有線通信で接続している。なお、各装置と通信回線2との通信は、
図1に例に限定されず、有線通信及び無線通信のどちらでもよい。
【0019】
画像処理装置10及び外部処理装置20は、いずれも、画像に関する情報処理(以下「画像処理」と言う)を行う装置である。画像処理装置10は、プリント、コピー、スキャン及びファクシミリ等の画像処理を行う。外部処理装置20は、文字認識、翻訳、物体認識及び画像のファイル形式の変換等の画像処理を行う。なお、複数の外部処理装置20が実行する画像処理には、互いに重複するものが含まれているものとする。例えば外部処理装置20-1、20-2はいずれも翻訳処理を実行する。
【0020】
情報処理システム1を利用するユーザは、画像処理装置10及び外部処理装置20の少なくとも一方を用いて一連の画像処理を実行させる。ユーザは、例えば、画像処理装置10に文書のスキャン処理を実行させる。次に、ユーザは、外部処理装置20にデータ化された文書画像からの文字認識処理を実行させ、別の外部処理装置20に認識された文字の翻訳処理を実行させる。
【0021】
画像処理の中には、前述したように複数の装置において実行可能なものがあるが、その性能は装置によってまちまちである。情報処理システム1においては、各装置が行う画像処理の性能の評価が行われる。ユーザは、この評価を参考にすることで、より性能が高い装置に一連の画像処理を実行させることが可能になる。性能の評価方法については後程詳しく説明する。
【0022】
図2は画像処理装置10のハードウェア構成を表す。画像処理装置10は、プロセッサ11と、メモリ12と、ストレージ13と、通信装置14と、UI(=User Interface)装置15と、画像読取装置16と、画像形成装置17とを備えるコンピュータである。プロセッサ11は、例えば、CPU(=Central Processing Unit)等の演算装置、レジスタ及び周辺回路等を有する。メモリ12は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、RAM(=Random Access Memory)及びROM(=Read Only Memory)等を有する。
【0023】
ストレージ13は、プロセッサ11が読み取り可能な記録媒体であり、例えば、ハードディスクドライブ又はフラッシュメモリ等を有する。プロセッサ11は、RAMをワークエリアとして用いてROMやストレージ13に記憶されているプログラムを実行することで各ハードウェアの動作を制御する。通信装置14は、アンテナ及び通信回路等を有し、通信回線2を介した通信を行う通信手段である。
【0024】
UI装置15は、自装置を利用するユーザに対して提供されるインターフェースである。UI装置15は、例えば、表示手段であるディスプレイと、ディスプレイの表面に設けられたタッチパネルとを有するタッチスクリーンを有し、画像を表示すると共に、ユーザからの操作を受け付ける。また、UI装置15は、タッチスクリーン以外にも、キーボード等の操作子を有し、それらの操作子への操作を受け付ける。
【0025】
画像読取装置16は、用紙等の媒体に表されている画像を読み取るハードウェア(いわゆるスキャナ)であり、自装置にセットされた媒体から画像を読み取る画像読取手段である。画像形成装置17は、用紙等の媒体に画像を形成するいわゆるプリンタであり、自装置にセットされた媒体を搬送しながら例えば電子写真方式で画像を転写して定着させることでその媒体に画像を形成する画像形成手段である。
【0026】
なお、画像読取装置16及び画像形成装置17は、必須の構成ではなく、画像処理装置10に備えられていなくてもよい。その場合、画像処理装置10は、外部の画像読取装置16及び画像形成装置17(これらのうち一方だけでもよい)と画像データを送受信して、画像処理を行えばよい。
【0027】
図3は外部処理装置20のハードウェア構成を表す。外部処理装置20は、プロセッサ21と、メモリ22と、ストレージ23と、通信装置24と、UI装置25とを備えるコンピュータである。プロセッサ21からUI装置25までは、
図2に表すプロセッサ11からUI装置15までと同種のハードウェアである。
【0028】
情報処理システム1においては、上記の各装置のプロセッサがプログラムを実行して各部を制御することで、以下に述べる各機能が実現される。各機能が行う動作は、その機能を実現する装置のプロセッサが行う動作としても表される。
図4は情報処理システム1において実現される機能構成を表す。画像処理装置10は、画像関連処理部101と、処理要求部102と、性能評価部103と、評価結果出力部104とを備える。外部処理装置20は、いずれも、画像関連処理部201を備える。
【0029】
画像処理装置10の画像関連処理部101は、上述したプリント処理等の各種の画像処理を実行する。外部処理装置20の画像関連処理部201は、上述した文字認識処理等の各種の画像処理を実行する。画像処理装置10の処理要求部102は、画像処理を実行する機能に対して、ユーザから要求された画像処理の実行を要求する。処理要求部102は、ユーザの操作を受け付けるための操作画面を表示する。
【0030】
図5は表示された操作画面の一例を表す。
図5の例では、処理要求部102は、自装置が実行可能な画像処理の一覧と、外部処理装置20が実行可能な画像処理の一覧とを表示している。処理要求部102は、同じ画像処理を複数の装置が実行可能な場合は、図中の「文字認識処理(1)」及び「文字認識処理(2)」のように各装置に割り当てられた番号を付して識別させている。
【0031】
また、処理要求部102は、「順次実行する画像処理を選択してください。」という文字列と、実行する画像処理の順番を示す順番画像C1とを表示している。この操作画面では、ユーザは、画像処理メニューから実行したい画像処理をドラッグして順番画像C1にドロップする。上記操作が行われると、処理要求部102は、ドロップされた画像処理を順番画像C1に表示する。
【0032】
図6は表示された順番画像C1の一例を表す。
図6(a)の例では、1番目に「スキャン処理」、2番目に「前処理(1)」、3番目に「文字認識処理(2)」、4番目に「変換処理(2)」が実行されるように画像処理が選択されている。
図6(b)の例では、1番目に「スキャン処理」、2番目に「変換処理(1)」、3番目に「ファクシミリ処理」が実行されるように画像処理が選択されている。
【0033】
なお、
図6の例では一連の処理が3つ又は4つであったが、2つでもよいし、5以上であってもよい。処理要求部102は、図示せぬ実行ボタンを押す操作が行われると、選択された画像処理の実行を各画像関連処理部(画像関連処理部101及び画像関連処理部201)に要求する。
【0034】
性能評価部103は、画像に関して行われる一連の処理の組み合わせ毎にテスト画像の処理を行わせた結果に基づき、各組み合わせに含まれる処理の性能を評価する。一連の処理の組み合わせとは、例えば、
図6(a)の例であれば、「スキャン処理」、「前処理(1)」、「文字認識処理(2)」、「変換処理(2)」という組み合わせであり、
図6(b)の例であれば、「スキャン処理」、「変換処理(1)」、「ファクシミリ処理」という組み合わせである。
【0035】
性能評価部103による性能の評価は、ユーザが情報処理システム1の利用を開始する前に予め行われる。なお、利用開始後でも、新たな機能が追加された際に性能の評価が行われてもよい。性能評価部103は、処理の性能の評価を行うための評価操作がされた場合に性能の評価を行う。評価操作とは、例えば、一連の処理の組み合わせを決定する操作と、テスト画像を指定する操作である。
【0036】
一連の処理の組み合わせを決定する操作は、
図6の例と同じように行われる。テスト画像を指定する操作は、予め作成されたテスト画像のファイルを画像処理装置10にアップロードする操作である。また、スキャン処理が含まれている場合には、テスト用の画像が印刷された用紙をスキャンさせる操作が、テスト画像を指定する操作として行われる。
【0037】
性能評価部103は、評価操作が行われると、評価操作により指定されたテスト画像について、評価操作により決定された一連の処理を行うよう処理要求部102に要求する。処理要求部102は、要求されたとおりにテスト画像の処理を行うよう、各画像関連処理部(画像関連処理部101及び画像関連処理部201)に要求する。各画像関連処理部は、受け取った要求に従い、テスト画像の処理を実行する。
【0038】
各画像関連処理部は、テスト画像の処理を実行すると、実行した処理の結果を示す結果情報を性能評価部103に供給する。結果情報は、例えば、処理に要した時間、処理に使用されたメモリのサイズ、認識された文字の確度(文字認識処理の場合)及び使用料等である。性能評価部103は、供給された結果情報に基づいて、上述した各組み合わせに含まれる処理の性能を評価する。
【0039】
性能評価部103は、例えば、一連の処理の組み合わせと性能の順番とを対応付けた評価結果情報を作成する。
図7は評価結果情報の一例を表す。
図7の例では、前処理と文字認識処理の4通りの組み合わせ(組み合わせ1=(1)と(1)、組み合わせ2=(1)と(2)、組み合わせ3=(2)と(1)、組み合わせ4=(2)と(2))と性能の順番が対応付けられている。
【0040】
組み合わせ1は、確度が1番だが処理時間と使用料が4番、メモリ容量が3番である。組み合わせ2は、確度とメモリ容量が2番で処理時間と使用料が3番である。組み合わせ3は、処理時間と使用料が2番、角度が3番、メモリ容量が4番である。組み合わせ4は、確度は4番だが処理時間、メモリ容量及び使用料が1番である。性能評価部103は、作成した評価結果情報を評価結果出力部104に供給する。
【0041】
評価結果出力部104は、供給された評価結果情報に基づき、少なくとも2以上の一連の処理の組み合わせについての評価の結果を出力する。評価結果出力部104は、例えば、評価結果情報をそのまま表す結果画像を、評価の結果として出力する。
図8は表示された評価結果の一例を表す。
図8の例では、評価結果出力部104は、
図7に表す評価結果情報を含む操作画面を自装置のディスプレイに出力している。
【0042】
また、評価結果出力部104は、「一連の処理の組み合わせ毎の評価を参考にして、本番画像で用いる組み合わせを決定してください。」という文字列と、開始ボタンB1とを含む操作画面を出力している。ユーザは、出力された評価結果を見て、最も望ましい性能を発揮する組み合わせを判断し、その組み合わせを選択する操作を行う。
図8の例では、評価結果出力部104は、選択された組み合わせ4を太枠で囲って示している。
【0043】
組み合わせを選択して開始ボタンB1を押す操作が行われると、評価結果出力部104は、選択された組み合わせを処理要求部102に供給する。処理要求部102は、供給された組み合わせが示す一連の処理を実行するよう、各画像関連処理部(画像関連処理部101及び画像関連処理部201)に要求する。各画像関連処理部は、受け取った要求に従い、本番画像での処理を実行する。
【0044】
画像処理装置10は、上記の構成により、一連の処理の性能を評価する評価処理を行う。
図9は評価処理における動作手順の一例を表す。まず、画像処理装置10(性能評価部103)は、処理の性能の評価を行うための評価操作(一連の処理の組み合わせを決定する操作及びテスト画像を指定する操作)を受け付ける(ステップS11)。
【0045】
次に、画像処理装置10(処理要求部102)は、評価操作により指定されたテスト画像について、評価操作により決定された一連の処理を行うよう各画像関連処理部に要求する(ステップS12)。続いて、画像処理装置10(性能評価部103)は、画像に関して行われる一連の処理の組み合わせ毎にテスト画像の処理を行わせた結果に基づき、各組み合わせに含まれる処理の性能を評価する(ステップS13)。
【0046】
次に、画像処理装置10(評価結果出力部104)は、少なくとも2以上の一連の処理の組み合わせについての評価の結果を出力する(ステップS14)。続いて、画像処理装置10(評価結果出力部104)は、出力された2以上の組み合わせのうちのいずれかを選択する操作を受け付ける(ステップS15)。そして、画像処理装置10(処理要求部102)は、選択された組み合わせが示す一連の処理を実行するよう、各画像関連処理部に要求する(ステップS16)。
【0047】
情報処理システム1においては、上記のとおり、画像に対する複数の処理が組み合わせて使用されている。このように複数の処理が組み合わせられると、同じデータを処理するとしても、前後の処理が異なる場合に処理の性能が変化することがある。本実施例では、テスト画像に対して一連の処理を実際に実行させた結果に基づいて性能が評価される。これにより、各処理の性能を個別に評価する場合に比べて、組み合わせて実行される一連の処理の性能が適切に評価されることになる。
【0048】
[2]変形例
上述した実施例は本発明の実施の一例に過ぎず、以下のように変形させてもよい。また、実施例及び各変形例は、必要に応じて組み合わせて実施してもよい。
【0049】
[2-1]評価実施の判断
性能評価部103は、実施例では、常に処理の性能を評価したが、これに限らない。性能評価部103は、複数の処理のうち評価条件を満たさないものについては、性能の評価を行わないようにしてもよい。これにより、性能の評価を求められると常にその評価を行う場合に比べて、処理の性能を評価するプロセッサ11の演算の負荷が軽減される。
【0050】
具体的には、性能評価部103は、例えば、複数の処理のうち過去に性能を評価された処理が評価条件を満たさないと判断する。性能評価部103は、例えば、評価した処理を識別する識別情報(処理ID等)と評価結果とを対応付けて記憶しておく。そして、性能評価部103は、評価操作により新たな一連の処理の組み合わせが決定された場合に、その処理の識別情報を記憶していれば、評価条件を満たさないと判断して性能の評価を行わない。
【0051】
また、性能評価部103は、評価操作により新たな一連の処理の組み合わせが決定された場合に、その処理の識別情報を記憶していなければ評価条件を満たすと判断して性能の評価を行う。これにより、性能の評価を繰り返し求められる処理がある場合でも、性能の評価を求められると常にその評価を行う場合に比べて、処理の性能を評価するプロセッサ11の演算の負荷が軽減される。
【0052】
なお、性能評価部103は、例えば、複数の処理のうち過去に共通の組み合わせで性能を評価された処理が評価条件を満たさないと判断してもよい。この場合、性能評価部103は、例えば、評価した処理を識別する識別情報の組み合わせと評価結果とを対応付けて記憶しておく。
【0053】
そして、性能評価部103は、評価操作により新たな一連の処理の組み合わせが決定された場合に、その組み合わせと同じ処理の識別情報の組み合わせを記憶していれば、評価条件を満たさないと判断して性能の評価を行わない。また、性能評価部103は、その組み合わせと同じ処理の識別情報の組み合わせを記憶していなければ、評価条件を満たすと判断して性能の評価を行う。これにより、処理の組み合わせが異なる場合は同じ処理であっても組み合わせ毎に性能の違いが明確になる。
【0054】
また、性能評価部103は、複数の処理のうち結果が決められた基準に達しない処理が評価条件を満たさないと判断してもよい。性能評価部103は、例えば、各処理の処理時間の閾値を基準として定めておき、テスト画像を処理した際の処理時間が閾値以上である処理については、処理の結果が基準に達しないと判断し、性能の評価を行わない。これにより、例えば処理の結果が何らかの事情で通常とかけ離れたものになった場合に、その場合の特殊な結果により性能を過大に又は過少に評価することが防止される。
【0055】
また、性能評価部103は、複数の処理のうち性能を評価された処理の既存の情報を利用して評価条件が満たされるか否かを判断してもよい。既存の情報とは、例えば該当する処理について過去に評価された結果である。その場合、性能評価部103は、前述した例と同様に、複数の処理のうち過去に性能を評価された処理が評価条件を満たさないと判断する。
【0056】
また、例えば、画像処理装置10が複数台使用されている場合に、或る画像処理装置10によって評価された処理の既存の情報として、他の画像処理装置10によって評価された結果が用いられてもよい。その場合、性能評価部103は、例えば、複数の処理のうち他の画像処理装置10によって性能を評価された処理が評価条件を満たさないと判断する。これにより、既存の情報が存在する処理については性能を評価する必要がなくなるので、既存の情報を利用しない場合に比べて、処理の性能を評価する演算の負荷を軽減することができる。
【0057】
[2-2]評価結果の出力の判断
評価結果出力部104は、実施例では、常に処理の性能の評価結果を出力したが、これに限らない。評価結果出力部104は、複数の処理のうち出力条件を満たさないものについては、評価の結果を出力しないようにしてもよい。この場合、出力される評価結果が絞り込まれるので、性能の評価結果が全て出力される場合に比べて、本番で用いる処理の組み合わせが選択しやすくなる。
【0058】
具体的には、評価結果出力部104は、例えば、複数の処理のうち過去に性能を評価された処理が出力条件を満たさないと判断する。評価結果出力部104は、例えば、性能評価部103により評価された処理を識別する識別情報と評価結果とを対応付けて記憶しておく。
【0059】
そして、評価結果出力部104は、新たな処理の組み合わせについて性能が評価された場合に、その組み合わせに含まれる処理の識別情報を記憶していれば、出力条件を満たさないと判断してその処理については性能の評価結果を出力しない。これにより、性能の評価を繰り返し求められる処理がある場合でも、性能の評価結果が全て出力される場合に比べて、本番で用いる処理の組み合わせが選択しやすくなる。
【0060】
なお、評価結果出力部104は、複数の処理のうち結果が決められた基準に達しない処理が出力条件を満たさないと判断してもよい。評価結果出力部104は、例えば、各処理の処理時間の閾値を基準として定めておき、テスト画像を処理した際の処理時間が閾値以上である処理については、処理の結果が基準に達しないと判断し、性能の評価結果を出力しない。これにより、例えば処理の結果が何らかの事情で通常とかけ離れたものになった場合に、その場合の特殊な結果により過大に又は過少に評価された結果に基づき本番で用いる処理の組み合わせが選択されることが防止される。
【0061】
[2-3]本番処理の自動選択
実施例では、出力された評価結果に基づいてユーザが本番で用いる処理の組み合わせを選択したが、これに限らない。
図10は本変形例において実現される機能構成の一例を表す。
図10の例では、
図4に表す各部に加えて本番処理選択部105を備える画像処理装置10aが表されている。
【0062】
本変形例では、評価結果出力部104が、評価結果をディスプレイではなく本番処理選択部105に出力する。本番処理選択部105は、複数の処理の組み合わせのうち、評価された処理の性能が予め定められた選択条件を満たす組み合わせを選択する。本番処理選択部105は、例えば、処理の性能の評価結果が
図7のように順位で表される場合に、平均の順位が最も高い順位になる組み合わせが選択条件を満たすと判断する。
【0063】
本番処理選択部105は、
図7の例であれば、組み合わせ1、2、3、4の平均順位が、(1+4+3+4)÷4=3、(2+3+2+3)÷4=2.5、(3+2+4+2)÷4=2.75、(1+4+3+4)÷4=1.75なので、組み合わせ4が選択条件を満たすと判断する。なお、本番処理選択部105は、性能の種類毎に重みを付けて平均順位を判断してもよい。
【0064】
本番処理選択部105は、選択条件を満たすと判断した組み合わせを選択し、選択した組み合わせを処理要求部102に供給する。処理要求部102は、供給された組み合わせが示す一連の処理を実行するよう、各画像関連処理部に要求する。各画像関連処理部は、要求された一連の処理、すなわち、本番処理選択部105により選択された組み合わせの処理により本番の画像を処理する。これにより、ユーザが組み合わせを選択する手間が不要になる。
【0065】
[2-4]本番画像での評価
性能評価部103は、実施例では、ユーザにより指定されたテスト画像の処理の結果に基づいて処理の性能を評価したが、これに限らない。性能評価部103は、例えば、或る処理について、過去に評価した性能に比べて本番の画像を処理した際の性能が低い場合、その本番の画像をテスト画像として用いて各組み合わせに含まれる処理の性能を評価してもよい。
【0066】
本変形例では、各画像関連処理部が、本番の画像の処理を実行すると、実行した処理の結果を示す結果情報を性能評価部103に供給する。性能評価部103は、供給された本番の結果情報に基づいて、各組み合わせに含まれる処理の性能を実施例と同様に評価する。性能評価部103は、本番での評価結果と、テスト画像を処理した際の評価結果とを比較し、両評価結果の差分が閾値以上であるか否かを判断する。
【0067】
性能評価部103は、両評価結果の差分が閾値以上である場合には、本番画像での評価結果を示す評価結果情報を作成して評価結果出力部104に供給する。評価結果出力部104がこの評価結果を出力することで、本変形例においては、テスト画像のみで処理の性能を評価する場合に比べて、本番の画像で性能が高い組み合わせが選択されやすくなる。
【0068】
[2-5]機能構成
情報処理システム1において実現される機能の構成は、
図4等に表すものに限らない。例えば、実施例では画像処理装置10の処理要求部102が、テスト画像に対する処理も本番の画像に対する処理も要求したが、これらの動作を別々の機能が行ってもよい。
【0069】
また、例えば性能評価部103及び評価結果出力部104が行う動作を、1つの機能が行ってもよい。また、画像処理装置10が実現する機能を2以上の情報処理装置又はクラウドサービスで提供されるコンピュータリソースが実現してもよい。要するに、画像処理システム全体として
図4等に表された機能が実現されていれば、各機能が行う動作の範囲及び各機能を実現する装置は自由に定められてよい。
【0070】
[2-6]プロセッサ
上記各実施例において、プロセッサとは広義的なプロセッサを指し、汎用的なプロセッサ(例えばCPU:Central Processing Unit、等)や、専用のプロセッサ(例えばGPU:Graphics Processing Unit、ASIC:Application Specific Integrated Circuit、FPGA:Field Programmable Gate Array、プログラマブル論理デバイス、等)を含むものである。
【0071】
また上記各実施例におけるプロセッサの動作は、1つのプロセッサによって成すのみでなく、物理的に離れた位置に存在する複数のプロセッサが協働して成すものであってもよい。また、プロセッサの各動作の順序は上記各実施例において記載した順序のみに限定されるものではなく、適宜変更してもよい。
【0072】
[2-7]発明のカテゴリ
本発明は、画像処理装置及び外部処理装置等の情報処理装置の他、各情報処理装置を備える情報処理システム(情報処理システム1はその一例)としても捉えられる。また、本発明は、各情報処理装置が実施する処理を実現するための情報処理方法としても捉えられるし、各情報処理装置を制御するコンピュータを機能させるためのプログラムとしても捉えられる。このプログラムは、それを記憶させた光ディスク等の記録媒体の形態で提供されてもよいし、インターネット等の通信回線を介してコンピュータにダウンロードさせ、それをインストールして利用可能にするなどの形態で提供されてもよい。
【符号の説明】
【0073】
1…情報処理システム、10…画像処理装置、20…外部処理装置、101…画像関連処理部、102…処理要求部、103…性能評価部、104…評価結果出力部、105…本番処理選択部、201…画像関連処理部。