(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置
(51)【国際特許分類】
B65H 3/48 20060101AFI20241016BHJP
B65H 3/08 20060101ALI20241016BHJP
B65H 3/56 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B65H3/48 320Z
B65H3/08 310A
B65H3/08 310G
B65H3/56 330S
(21)【出願番号】P 2020153404
(22)【出願日】2020-09-13
【審査請求日】2023-09-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000005496
【氏名又は名称】富士フイルムビジネスイノベーション株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137752
【氏名又は名称】亀井 岳行
(74)【代理人】
【識別番号】100085040
【氏名又は名称】小泉 雅裕
(74)【代理人】
【識別番号】100108925
【氏名又は名称】青谷 一雄
(74)【代理人】
【識別番号】100087343
【氏名又は名称】中村 智廣
(72)【発明者】
【氏名】荒木 裕一
(72)【発明者】
【氏名】丹羽 政仁
【審査官】倉田 和博
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-225289(JP,A)
【文献】特開2000-351462(JP,A)
【文献】特開2020-045225(JP,A)
【文献】特開2019-142677(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 3/08
B65H 3/48
B65H 3/56
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
枚葉の媒体が収容される収容手段と、
前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、
前記収容手段の上方に設けられ、前記収容手段に収容された媒体を吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、
前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、前記媒体の供給ジョブ中及び前記供給ジョブの終了後の予め決められたアフタ期間に前記媒体の側方にエアを吹き付けて前記媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、
前記浮揚手段による前記アフタ期間のエア吹付け実行中には、前記媒体が前記送出手段側に向かって移動することを抑制する抑制手段と、
を
備え、
前記収容手段は、前記送出手段側に前記浮揚手段の未使用時に収容されている前記媒体がせき止め可能なストッパ壁を有し、
前記抑制手段は、前記アフタ期間の前記エア吹付け実行中に浮揚した前記媒体の送出方向側端部に対し、上方から下方に向かうエアを吹き付けるエア吹付手段を有し、前記ストッパ壁のせき止め領域内に前記媒体の送出方向側端部位置を押し下げることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項2】
請求項
1に記載の媒体供給装置において、
前記エア吹付手段は、前記送出手段から離れる方向に斜め上方から下方に向かうエアを前記媒体の送出方向側端部に吹き付けることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項3】
枚葉の媒体が収容される収容手段と、
前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、
前記収容手段の上方に設けられ、前記収容手段に収容された媒体を吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、
前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、前記媒体の供給ジョブ中及び前記供給ジョブの終了後の予め決められたアフタ期間に前記媒体の側方にエアを吹き付けて前記媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、
前記浮揚手段による前記アフタ期間のエア吹付け実行中には、前記媒体が前記送出手段側に向かって移動することを抑制する抑制手段と、
を
備え、
前記収容手段は、前記送出手段側に前記浮揚手段の未使用時に収容されている前記媒体がせき止め可能なストッパ壁、及び、前記媒体を昇降する昇降手段を有し、
前記抑制手段は、前記アフタ期間の前記エア吹付け実行中に前記昇降手段を降下させ、浮揚した前記媒体を前記ストッパ壁のせき止め領域内に収めることを特徴とする媒体供給装置。
【請求項4】
枚葉の媒体が収容される収容手段と、
前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、
前記収容手段の上方に設けられ、前記収容手段に収容された媒体を吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、
前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、前記媒体の供給ジョブ中及び前記供給ジョブの終了後の予め決められたアフタ期間に前記媒体の側方にエアを吹き付けて前記媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、
前記浮揚手段による前記アフタ期間のエア吹付け実行中には、前記媒体が前記送出手段側に向かって移動することを抑制する抑制手段と、
を
備え、
前記抑制手段は、前記アフタ期間の前記エア吹付け実行中に浮揚した前記媒体を前記受渡し手段で吸着し、前記媒体の送出方向側への移動を抑制することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項5】
枚葉の媒体が収容される収容手段と、
前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、
前記収容手段の上方に設けられ、前記収容手段に収容された媒体を吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、
前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、前記媒体の供給ジョブ中及び前記供給ジョブの終了後の予め決められたアフタ期間に前記媒体の側方にエアを吹き付けて前記媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、
前記浮揚手段による前記アフタ期間のエア吹付け実行中には、前記媒体が前記送出手段側に向かって移動することを抑制する抑制手段と、
を
備え、
前記収容手段は、前記送出手段側に前記浮揚手段の未使用時に収容されている前記媒体がせき止め可能なストッパ壁を有し、
前記抑制手段は、前記アフタ期間のエア吹付け実行中に、前記収容手段の前記ストッパ壁を上昇させて浮揚した前記媒体の送出方向側端部をせき止め、前記媒体の送出方向側への移動を抑制することを特徴とする媒体供給装置。
【請求項6】
請求項1乃至
5いずれかに記載の媒体供給装置と、
前記媒体供給装置から供給された媒体に対し予め決められた処理を施す処理手段と、を備えたことを特徴とする媒体処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、媒体供給装置及びこれを用いた媒体処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、用紙トレイの用紙供給側に搬送ロールを有し、用紙トレイに収容される用紙をエアで浮揚させ、最上位に位置する用紙を空気プレナムで吸着して搬送ロールへと受け渡す用紙給送装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特許第4871455号公報(発明の実施の形態,
図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする技術的課題は、媒体の供給ジョブ中及び供給ジョブ終了後のアフタ期間に収容された媒体群に対し側方からエアを吹付ける方式を採用するに当たり、媒体のアフタ期間でのエア吹付け実行中に、媒体が送出方向側に移動することを抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の技術的特徴は、枚葉の媒体が収容される収容手段と、前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、前記収容手段の上方に設けられ、前記収容手段に収容された媒体を吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、前記媒体の供給ジョブ中及び前記供給ジョブの終了後の予め決められたアフタ期間に前記媒体の側方にエアを吹き付けて前記媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、前記浮揚手段による前記アフタ期間のエア吹付け実行中には、前記媒体が前記送出手段側に向かって移動することを抑制する抑制手段と、を備え、前記収容手段は、前記送出手段側に前記浮揚手段の未使用時に収容されている前記媒体がせき止め可能なストッパ壁を有し、前記抑制手段は、前記アフタ期間の前記エア吹付け実行中に浮揚した前記媒体の送出方向側端部に対し、上方から下方に向かうエアを吹き付けるエア吹付手段を有し、前記ストッパ壁のせき止め領域内に前記媒体の送出方向側端部位置を押し下げることを特徴とする媒体供給装置である。
【0006】
本発明の第2の技術的特徴は、第1の技術的特徴を備えた媒体供給装置において、前記エア吹付手段は、前記送出手段から離れる方向に斜め上方から下方に向かうエアを前記媒体の送出方向側端部に吹き付けることを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第3の技術的特徴は、枚葉の媒体が収容される収容手段と、前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、前記収容手段の上方に設けられ、前記収容手段に収容された媒体を吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、前記媒体の供給ジョブ中及び前記供給ジョブの終了後の予め決められたアフタ期間に前記媒体の側方にエアを吹き付けて前記媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、前記浮揚手段による前記アフタ期間のエア吹付け実行中には、前記媒体が前記送出手段側に向かって移動することを抑制する抑制手段と、を備え、前記収容手段は、前記送出手段側に前記浮揚手段の未使用時に収容されている前記媒体がせき止め可能なストッパ壁、及び、前記媒体を昇降する昇降手段を有し、前記抑制手段は、前記アフタ期間の前記エア吹付け実行中に前記昇降手段を降下させ、浮揚した前記媒体を前記ストッパ壁のせき止め領域内に収めることを特徴とする媒体供給装置である。
【0007】
本発明の第4の技術的特徴は、枚葉の媒体が収容される収容手段と、前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、前記収容手段の上方に設けられ、前記収容手段に収容された媒体を吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、前記媒体の供給ジョブ中及び前記供給ジョブの終了後の予め決められたアフタ期間に前記媒体の側方にエアを吹き付けて前記媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、前記浮揚手段による前記アフタ期間のエア吹付け実行中には、前記媒体が前記送出手段側に向かって移動することを抑制する抑制手段と、を備え、前記抑制手段は、前記アフタ期間の前記エア吹付け実行中に浮揚した前記媒体を前記受渡し手段で吸着し、前記媒体の送出方向側への移動を抑制することを特徴とする媒体供給装置である。
本発明の第5の技術的特徴は、枚葉の媒体が収容される収容手段と、前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向側に設けられ、前記媒体を一枚ずつ送出する送出手段と、前記収容手段の上方に設けられ、前記収容手段に収容された媒体を吸着して前記送出手段に受け渡す受渡し手段と、前記収容手段に収容された前記媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、前記媒体の供給ジョブ中及び前記供給ジョブの終了後の予め決められたアフタ期間に前記媒体の側方にエアを吹き付けて前記媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段と、前記浮揚手段による前記アフタ期間のエア吹付け実行中には、前記媒体が前記送出手段側に向かって移動することを抑制する抑制手段と、を備え、前記収容手段は、前記送出手段側に前記浮揚手段の未使用時に収容されている前記媒体がせき止め可能なストッパ壁を有し、前記抑制手段は、前記アフタ期間のエア吹付け実行中に、前記収容手段の前記ストッパ壁を上昇させて浮揚した前記媒体の送出方向側端部をせき止め、前記媒体の送出方向側への移動を抑制することを特徴とする媒体供給装置である。
【0008】
本発明の第6の技術的特徴は、第1乃至第5いずれかに記載の媒体供給装置と、前記媒体供給装置から供給された媒体に対し予め決められた処理を施す処理手段と、を備えたことを特徴とする媒体処理装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の第1乃至第5の技術的特徴によれば、媒体の供給ジョブ中及び供給ジョブ終了後のアフタ期間に収容された媒体群に対し側方からエアを吹付ける方式を採用するに当たり、媒体のアフタ期間でのエア吹付け実行中に、媒体が送出方向側に移動することを抑制することができる。
特に、本発明の第1の技術的特徴によれば、アフタ期間のエア吹付け実行中に、浮揚した媒体の位置を下げ、収容手段のストッパ壁にて当該媒体の送出手段側への移動をせき止めることができる。更に、エア吹付手段を利用して、アフタ期間に浮揚した媒体の送出方向側端部位置を容易に押し下げることができる。
本発明の第2の技術的特徴によれば、本構成を有しない場合に比べて、アフタ期間に浮揚した媒体の送出方向側への移動をより適切に抑制することができる。
本発明の第3の技術的特徴によれば、収容手段の昇降手段を利用して、アフタ期間に浮揚した媒体の位置を容易に押し下げることができる。
本発明の第4の技術的特徴によれば、受渡し手段を利用し、アフタ期間に浮揚した媒体を簡単に拘束することができる。
本発明の第5の技術的特徴によれば、収容手段のストッパ壁を工夫し、アフタ期間に浮揚した媒体を簡単に拘束することができる。
本発明の第6の技術的特徴によれば、媒体の供給ジョブ中及び供給ジョブ終了後のアフタ期間に収容された媒体群に対し側方からエアを吹付ける方式を採用するに当たり、媒体のアフタ期間でのエア吹付け実行中に、媒体が送出方向側に移動することを抑制することが可能な媒体供給装置を含む媒体処理装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】(a)は本発明が適用された媒体供給装置の実施の形態の概要を示す説明図、(b)は抑制手段の一態様を示す媒体供給装置、(c)は抑制手段の別の態様を示す説明図である。
【
図2】実施の形態1に係る媒体処理装置の全体構成を示す説明図である。
【
図3】実施の形態1に係る媒体処理装置に用いられる媒体供給装置の一例を示す説明図である。
【
図4】実施の形態1に係る媒体供給装置の制御系を示す説明図である。
【
図5】実施の形態1に係る媒体供給装置の媒体収容部の構成例を示す斜視説明図である。
【
図6】実施の形態1に係る受渡し手段としてのバキュームヘッドの詳細を示す説明図である。
【
図7】
図6中VII方向から見た矢視説明図である。
【
図8】
図4に示すエア捌き機構の構成例を示す説明図である。
【
図9】(a)は
図4に示す浮揚機構の構成例を示す説明図、(b)は
図4に示すバキュームヘッドへの吸引機構の構成例を示す説明図、(c)は
図4に示すエア捌き機構へのエア供給系の一例を示す説明図である。
【
図10】(a)は
図4に示す昇降機構の構成例を示す説明図、(b)は(a)に示す昇降機構の要部を示す斜視説明図である。
【
図11】媒体の供給ジョブ過程を示すタイミングチャートである。
【
図12】浮揚機構によるアフタブロー時における技術的課題を示す説明図である。
【
図13】実施の形態1で用いられるアフタ期間でのエア吹付け実行中の抑制機構例1を示す説明図である。
【
図14】
図13に示す抑制機構例1
による動作を模式的に示す説明図である。
【
図15】実施の形態1で用いられるアフタ期間でのエア吹付け実行中の抑制機構例2を示す説明図である。
【
図16】
実施の形態1で用いられるアフタ期間でのエア吹付け実行中の抑制機構例3を示す説明図である。
【
図17】
図16に示す抑制機構例3による動作を模式的に示す説明図である。
【
図18】実施の形態1で用いられるアフタ期間でのエア吹付け実行中の抑制機構例4を示す説明図である。
【
図19】実施の形態2に係る媒体供給装置の外観要部を示す斜視説明図である。
【
図20】
図19に示す媒体供給装置の内部構造の要部を正面側から見た要部説明図である。
【
図21】
図20における長尺媒体の収容部の要部を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
◎実施の形態の概要
図1(a)は本発明が適用された媒体供給装置の実施の形態の概要を示す説明図である。
同図に示される媒体供給装置は枚葉の媒体Sを一枚ずつ供給するものであり、単独で使用される場合のほか、例えば供給された媒体Sに対して予め決められた処理を施す処理手段(
図1では図示せず)と組み合わせて使用することで、媒体処理装置として具現化される。ここでいう処理手段としては、媒体に画像を形成する画像形成手段や、媒体に塗装する塗装手段など任意のものを含む。
本例において、媒体供給装置は、
図1(a)に示すように、枚葉の媒体Sが収容される収容手段1と、収容手段1に収容された媒体Sの送出方向側に設けられ、媒体を一枚ずつ送出する送出手段2と、収容手段1の上方に設けられ、収容手段1に収容された媒体Sを吸着して送出手段2に受け渡す受渡し手段3と、収容手段1に収容された媒体Sの送出方向に交差する側方に設けられ、媒体Sの供給ジョブ中及び供給ジョブ終了後の予め決められたアフタ期間に媒体Sとの側方にエアを吹き付けて媒体Sの上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段4と、
図1(b)(c)に示すように、浮揚手段4によるアフタ期間中のエア吹付け実行中には、媒体Sが送出手段2側に向かって移動することを抑制する抑制手段5と、を備えたものである。
【0012】
このような技術的手段において、収容手段1は、一般に媒体Sを積載する積載部を有し、また、各種サイズの媒体Sを収容する態様では、媒体Sの送出方向に交差する側方にて媒体Sを位置決め案内する側方案内部や、媒体Sの送出方向の反対側に位置する後方にて媒体Sを位置決め案内する後方案内部を有する態様が採用されている。また、収容手段1は、媒体Sの補充などを可能とする観点から、媒体供給装置筐体に対して引出可能に構成されることが多い。
また、送出手段2としては、媒体Sを送出する機能を有するものを広く含むが、例えば対構成の送出ロールや送出ロールと送出ベルトとの組合せ等が代表的である。この場合、対構成の送出部材間のニップ域で送出対象である媒体S1を挟持して送出する機能を具現化するようにすればよい。例えば、送出手段2がロール対であれば、ロール対が接触している領域(ニップ域)で媒体S1を挟持し、また、一方のロールがベルトを搬送し、ロール対がベルトを挟んでいる態様であってもよい。
【0013】
また、本例では、受渡し手段
3としては、収容手段1に収容された媒体Sを一枚ずつ吸着して送出手段
2へと受渡し、かつ、初期位置に戻るものであれば適宜選定して差し支えない。
更に、浮揚手段4としては、収容手段1に収容されている媒体Sの上側領域に対し、収容手段1の側方からエアを吹き付けるものであれば適宜選定して差し支えない。
ここで、浮揚手段4によるエア吹付け動作を媒体の供給ジョブ中のみならず、供給ジョブ終了後のアフタ期間中
も実施するのは、供給ジョブ終了後に、次の供給ジョブが直後に指示されたとしても、待ち時間なく、媒体Sの供給動作を開始することを企図したものである。本例の「アフタ期間」は、媒体の供給ジョブ終了後の期間を指すものであるが、媒体の供給ジョブ終了から次の供給ジョブの指示が出されるまでの期間を全て含むものではなく、供給ジョブ終了後の予め決められた期間又はユーザによって適宜選定可能な期間を指す。通常は供給ジョブの使用頻度を考慮して選定されることが多く、アフタ期間内に次の供給ジョブの指示が出されない場合には、浮揚
手段4によるエア
吹付け動作を一旦停止させるようにすればよい。
また、抑制手段5としては、
図1(b)(c)に示すように、アフタ期間のエア吹付け実行中に、浮揚した媒体S1が送出手段2側に前進することを抑制するものであればよく、代表的には、浮揚した媒体の位置を前進しない位置に下げる態様(
図1(b)参照)と、浮揚した媒体の移動を拘束する態様(
図1(c)参照)とに分けられる。
【0014】
次に、抑制手段5の代表的態様又は好ましい態様について説明する。
図1(b)に示す態様としては、収容手段1は、送出手段2側に浮揚手段4未使用時に収容されている媒体Sがせき止め可能なストッパ壁1aを有し、抑制手段5は、アフタ期間のエア吹付け実行中に浮揚した媒体S1の送出方向側端部位置を前記ストッパ壁1aのせき止め領域内に下げることが挙げられる。
本例において、抑制手段5の好ましい態様としては、アフタ期間のエア吹付け実行中に浮揚した媒体S1の
送出方向側端部に対し、上方から下方に向かうエアを吹き付けるエア吹付手段(
図1では図示せず)を有し、媒体S1の送出方向側端部位置を押し下げるようにすればよい。
ここで、エア吹付手段の好ましい態様としては、送出手段2から離れる方向に斜め上方から下方に向かうエアを浮揚した媒体S1の
送出方向側端部に吹き付ける態様がある。
また、抑制手段5の別の好ましい態様としては、収容手段1は、媒体Sを昇降する昇降手段(
図1では図示せず)を有し、抑制手段5は、アフタ期間のエア吹付け実行中に昇降手段を降下させ、浮揚した媒体S1をストッパ壁1aのせき止め領域内に収める態様が挙げられる。
【0015】
また、
図1(c)
に示す態様としては、抑制手段5は、アフタ期間のエア吹付け実行中に浮揚した媒体S1の送出方向側への移動を拘束する態様がある。
本例においては、抑制手段
5は、アフタ期間のエア吹付け実行中に浮揚した媒体S1を受渡し手段3で吸着する態様
である。また、別の態様としては、収容手段1は、送出手段2側に浮揚手段
4未使用時に収容されている媒体Sがせき止め可能なストッパ壁1aを有し、抑制手段5は、アフタ期間のエア吹付け実行中に、収容手段1のストッパ壁1aを上昇させて浮揚した媒体S1の送出方向側端部をせき止める態様がある。
【0016】
以下、添付図面に示す実施の形態に基づいて本発明を更に詳細に説明する。
◎実施の形態1
図2は実施の形態1に係る媒体処理装置の全体構成を示す。
-媒体処理装置の全体構成-
同図において、媒体処理装置10は、枚葉の媒体を一枚ずつ供給する媒体供給装置11と、媒体供給装置11から供給された媒体に対して予め決められた処理を施す処理手段としての処理ユニット20とを備えている。
本例において、処理ユニット20は、媒体に対して画像を形成する作像部21を備えており、作像部21は、例えば電子写真方式、インクジェット記録方式等の各種作像方式を採用したものが用いられる。そして、処理ユニット20内には、媒体供給装置11から供給される媒体を作像部21に搬入する搬入搬送路22と、作像部21にて作像された媒体を処理ユニット20外に搬出する搬出搬送路23とが設けられ、更に、本例では、処理ユニット20内の作像部21の下方には内蔵の媒体供給部24が別途設けられ、媒体供給部24からの媒体も供給搬送路25を経由して作像部21へと供給されるようになっている。尚、符号26は搬入搬送路22の入口に設けられた搬入ロール
であり、搬入搬送路22,搬出
搬送路23及び供給搬送路25には適宜数の搬送部材が設けられている。
【0017】
-媒体供給装置の全体構成-
本例において、媒体供給装置11は、
図2及び
図3に示すように、媒体を収容する筐体12を有し、この筐体12には二段構成の引出型の上段ドロワ13、下段ドロワ14を引出可能に配設すると共に、筐体12の上部には手差しで媒体が供給可能な手差し供給部15を配設したものである。そして、筐体12の処理ユニット20側には上段ドロワ13,下段ドロワ14及び手差し供給部15から供給される媒体を処理ユニット20側に中継して搬出する中継ユニット16を配設したものである。
本例において、上段ドロワ13及び下段ドロワ14はいずれも大容量の媒体を収容して一枚ずつ供給する構成を備えている。また、中継ユニット16は、上段ドロワ13から供給される媒体を搬出する第1搬出路17a、下段ドロワ14から供給される媒体を搬出する第2搬出路17b及び手差し供給部15から供給される媒体を搬出する第3搬出路17cを有しており、これら第1~第3搬出路17a~17cには適宜数の搬送ロール18を設けると共に、第1~第3搬出路17a~17cの出口側に処理ユニット20への排出口17eにつながる合流搬送路17dを形成し、この合流搬送路17dに排出ロール19を設けたものである。尚、上段ドロワ13,下段ドロワ14には夫々把手13a,14aが設けられ、手前側に引出可能になっている。
【0018】
-上段ドロワ(下段ドロワ)の構成例-
本例において、上段ドロワ13及び下段ドロワ14は略同様に構成されており、以下、上段ドロワ13を例に挙げて説明する。
本例において、上段ドロワ13は、例えば
図4に示すように、枚葉の媒体を収容する収容手段としての収容部30と、収容部30に収容された媒体の送出方向側に設けられ、媒体を一枚ずつ送出する送出手段としての送出ロール40と、収容部30の上方に設けられ、収容部30に収容された媒体を吸着して送出ロール40に受け渡す受渡し手段としてのバキュームヘッド50と、収容部30に収容された媒体の送出方向に交差する側方に設けられ、媒体の側方にエアを吹き付けて媒体の上側領域を分離した状態で浮揚させる浮揚手段としての浮揚機構70と、収容部30に収容される媒体の送出方向側に設けられ、浮揚機構70にて浮揚された上側の媒体とその下方側に位置する媒体との間にエアを吹き付けて浮揚された媒体を捌くエア捌き機構80と、を備えている。
【0019】
<収容部>
本例において、収容部30は、
図4及び
図5に示すように、各種サイズの媒体が積載される積載底板31を有し、この積載底板31に積載される各種サイズの媒体の送出方向に交差する幅方向の側方に設けられ、媒体の側方位置を位置決め案内する側方案内手段としてのサイドガイド32(具体的には32a,32b)と、積載底板31に積載される媒体の送出方向と反対側の後側方に設けられ、媒体の後方位置を位置決め案内する後方案内手段としてのエンドガイド33と、積載底板31に積載される媒体の送出方向側位置を仕切る仕切りプレート34と、を備えている。
本例では、使用対象とする媒体のサイズに合わせて収容部30を設計すればよいが、汎用性を持たせるという観点からすれば、通常サイズの媒体を主として使用対象にすることが好ましい。ここでいう通常サイズの媒体としては、例えば長手方向の長さが488mmまでの媒体が使用され、このようなサイズの媒体の一例としては、JIS規格のA3版サイズ以下の媒体が該当する。
【0020】
そして、本例では、サイドガイド32は、積載底板31の幅方向に沿って移動可能に設けられ、予め決められた位置決め位置で位置決めされるようになっており、また、エンドガイド33は、積載底板31の媒体の送出方向に沿って移動可能に設けられ、予め決められた位置決め位置に位置決めされるようになっている。また、本例では、仕切りプレート34には当該仕切りプレート34の上縁から上方に向かって突出する複数(本例では二つ)のストッパ片35(
図8参照)が設けられており、ストッパ片35は浮揚機構
70未使用時の媒体群の上方領域がせき止められるストッパ壁
(図8参照)として機能するようになっている。
更に、積載底板31は、
図4に示すように、後述する昇降機構90(
図10参照)により昇降可能に支持されている。
【0021】
<送出ロール>
本例において、送出ロール40は、
図4、
図8及び
図11に示すように、駆動回転する駆動軸41aに複数の分割ロール体
41bを有する駆動ロール41と、駆動ロール41の回転に追従して従動回転し、
図示外の回転軸に複数の分割ロール体
42bを有する従動ロール42とを備え、駆動ロール41と従動ロール42との接触部NP(具体的には分割ロール体41b,
42b間のニップ域に相当)に媒体を挟持して搬送するようになっている
。
【0022】
<バキュームヘッド>
本例において、バキュームヘッド50は、
図6、
図7及び
図9(a)に示すように
、収容部30の上方にて筐体12に固定されるヘッドフレーム60に対し案内機構58(例えば案内ロッドを使用)を介して支持され、媒体の送出方向に沿って進退移動可能に設けられている。
本例において、バキュームヘッド50は、中空ボックス状のヘッド本体51を有し、ヘッド本体51のうち収容部30に収容された媒体に対向する面には多数のバキューム孔52を開設し、ヘッド本体51には吸引機構53が接続されている。ここで、吸引機構53としては、吸引用のブロワ54とヘッド本体51との間をバキュームダクト55で連結し、バキュームダクト55の途中には流路を開放遮断するバキュームバルブ56を介在させ、バキュームバルブ56をバルブモータ57にて開閉するようにしたものが採用されている。
【0023】
そして、ヘッドフレーム60にはバキュームヘッド50を進退移動させる進退機構61が設けられている。本例において、進退機構61は、
図6及び
図7に示すように、ヘッドフレーム60にステッピングモータ62を固定し、このステッピングモータ62には駆動プーリ63を連結し、更に、ヘッドフレーム60には適宜数の伝達プーリ64を適宜箇所に設け、駆動プーリ63及び伝達プーリ64にはワイヤ65を掛け渡すと共に、ワイヤ65の一部をバキュームヘッド50に固着するようにしたものである。本例では、ステッピングモータ62の正逆回転に伴って駆動プーリ63が回転し、これに伴ってワイヤ65が所定量移動し、バキュームヘッド50が媒体の送出方向において進退移動するようになっている。
【0024】
<浮揚機構>
本例において、浮揚機構70は、
図4,
図5及び
図9(b)に示すように、例えばサイドガイド32(32a,32b)を中空ボックス状に構成し、サイドガイド32の媒体の側方に面した箇所の上方には複数のエア吹出口71を開設し、サイドガイド32の中空部にはエア吹出口71に一端が連通するエアダクト72を配設し、エアダクト72の他端を吹出用のブロワ73に連通させるようにしたものである。尚、ブロワ73はサイドガイド32に内蔵設置してもよいし、サイドガイド32に対して外付け設置してもよい。
更に、本例では、サイドガイド32のエア吹出口71の近くには媒体規制部品100が設けられている。本例の媒体規制部品100は、積載底板31に積載された媒体の側方に設けられ、媒体の収容領域に突出して、浮揚機構70使用時に浮揚する媒体の浮上がり過多を規制するように機能するものである。
【0025】
<エア捌き機構>
本例において、エア捌き機構80は、
図4、
図8及び
図9(c)に示すように、浮揚機構
70により浮揚する媒体の送出方向側端部に向けて下方から斜め後方に向けてナイフ状のエアを吹き付けるエアノズル81を有し、エアノズル81から吹き出したエアをエア案内板82で方向転換させ、浮揚機構70にて浮揚された上側の媒体とその下方側に位置する媒体との間にエアを吹き付けて媒体を捌くものである。
そして、本例では、エアノズル81にはエアダクト83が連通され、このエアダクト83にはエア吹出し用のブロワ84が接続されている。そして、エアダクト83の途中には流路を開放遮断する開閉バルブ85が設けられ、この開閉バルブ85はバルブモータ86にて開閉するようになっている。
【0026】
<昇降機構>
昇降機構90は、
図4及び
図10(a)(b)に示すように、積載底板31のうち媒体の送出方向に交差する幅方向両側の四箇所に吊り下げ部91を具備させ、夫々の吊り下げ部91に終端が夫々振り分けて連結される四本のワイヤ92~95を具備させ、各ワイヤ92~95を一若しくは複数の案内プーリ96に掛け渡した後に、各ワイヤ92~95の一端側を同軸で連結された巻取りプーリ97(本例では97a,97b)に固着すると共に、巻取りプーリ97を正逆回転可能な駆動モータ98で回転させ、各ワイヤ92~95を所定量移動させることで、積載底板31を平行な姿勢を保ちつつ昇降させるようにしたものである。尚、符号99は積載底板31に積載される媒体のうち媒体の表面を予め決められた高さ位置に設定するための高さセンサを示す。
【0027】
-位置センサ-
また、本実施の形態では、
図4及び図8に示すように、送出ロール40を挟んで媒体の送出方向上流側には前段位置センサ120が設置され、媒体の
送出方向下流側には後段位置センサ130が設置されている。
前段位置センサ120は、収容部30に収容される媒体の送出方向側端部位置よりも送出ロール40側であって、送出ロール40のニップ域NPに至る前までの領域に複数(本例では二つ:具体的には120a,120b)設置されている。
そして、前段位置センサ120は、媒体の送出方向に交差する幅方向、言い換えれば、送出ロール40の軸方向に間隔を置いて設置され、媒体の送出方向側端部の位置を検出するようになっている。このため、前段位置センサ120は、媒体が通過したか否かの他、媒体の斜行状態の程度を判別する情報として用いられる。
一方、後段位置センサ130は、媒体が送出ロール40のニップ域NPを通過したことを検出するものであって、媒体の通過領域内に一つ設けられている。
尚、前段位置センサ120は、例えば送出される媒体に向けて光を照射する発光素子と、媒体からの反射光を受光する受光素子とをセンサ筐体内に並設したもので、受光素子への受光タイミングにて媒体の送出方向側端部が前段位置センサ
120を過ったことを検出することが可能である。尚、後段位置センサ130も前段位置センサ120と略同様な構成を備えている。
【0028】
-制御系-
本例においては、
図4に示すように、媒体供給装置11を制御する制御装置200が設けられている。この制御装置200は、例えばCPU、ROM、RAM及びI/Oポート等を有するマイクロコンピュータからなり、CPUに、ジョブ指定等に伴う各種情報や、各種センサ(例えば前段位置センサ120、後段位置センサ130)からの信号を取り込み、ROMに予めインストールしたプログラムに沿って演算し、各制御対象に所定の制御信号を送出するようにしたものである。
本例では、制御対象としては、送出ロール40、バキュームヘッド50(吸引機構53、進退機構61)、浮揚機構70、エア捌き機構80及び昇降機構90等が挙げられ、また、制御装置200には、媒体の供給ジョブの進行状態
や、媒体の供給状態の異常警告などを表示する表示器210が設けられている。
【0029】
-媒体の供給動作過程-
今、複数枚の媒体を供給する媒体の供給ジョブが指示されたものと仮定する。
この場合、媒体供給装置11では、制御装置200は、
図4に示すように、送出ロール40,バキュームヘッド50、浮揚機構70及びエア捌き機構80などを制御し、収容部30内の媒体Sを順次供給する。
このときの各デバイスのタイミングチャートを
図11に示す。
同図において、「バキュームヘッド用ブロワ」は図
9中の「ブロワ54」に相当し、また、「エア捌き用
ブロワ」はエア捌き機構80の「ブロワ84」に相当し、更に、「浮揚用ブロワ」は浮揚機構70の「ブロワ73」に相当する。
また、「バキュームバルブ
用モータ」はバルブモータ57に相当し、「エア捌き用
バルブモータ」はバルブモータ86に相当し、「バキュームヘッド用モータ」は進退機構61のステッピングモータ62に相当する。
本例において、媒体の供給ジョブ中は、「バキュームヘッド用ブロワ」、「エア捌き用ブロワ」、「浮揚用ブロワ」は媒体の供給ジョブ中常時ONであり、「バキュームバルブ用モータ」、「エア捌き用バルブモータ」、「バキュームヘッド用モータ」は各枚葉の媒体毎にオンオフ制御を繰り返し、バキュームヘッド50の吸引動作、進退動作及びエア捌き機構80による捌き用エアの供給、停止が繰り返される。
但し、「浮揚用ブロワ」は媒体の供給ジョブ及び供給ジョブ後のアフタ期間中もONしたままであり、所謂アフタブロー(アフタ期間における浮揚機構70によるエア吹付動作)が実施される。
【0030】
-アフタブローの技術的課題-
予め決められたアフタ期間におけるエア吹出動作(「アフタブロー」に相当)は、媒体を常時吹き上げる力が作用することから、
図12に示すように、アフタ期間中に浮揚している媒体が送出ロール40側に移動してしまう懸念がある。この場合、次の媒体の供給ジョブの指令が出されると、媒体の供給精度が損なわれてしまう。
本例では、このようなアフタブローの弊害を改善するものであり、以下の4つの抑制機構例1~4が提案されている。
【0031】
-抑制機構例1-
図13は抑制機構例1の動作タイミングを示す。
本例は、アフタ期間中に、既存のエア捌き機構80を利用し、媒体の送出ロール40側への前進移動を抑制するものである。
具体
的には、アフタブロー中に、エア捌き用バルブモータを駆動させることで、
図14に示すように、エア捌き機構80によるエアの吹付を行うものである。
本例の場合、
図14に示すように、浮揚している媒体S1は、エア捌き機構80のエアノズル81からのナイフ状のエアを受け、媒体の送出方向側端部位置がストッパ片35の先端位置よりも下方へと押し込まれる。このため
、浮揚している媒体が送出ロール40側に前進移動する事態は抑制される。
【0032】
-抑制機構例2-
本例は、
図15に示すように、積載底板31の昇降機構90を利用し、アフタ期間中には、昇降機構90により積載底板31を降下させるものである。
このときの降下量は、浮揚した媒体S1がストッパ片35の高さよりも低い位置に収まるように選定されていればよく、浮揚していた媒体はストッパ片35にせき止められ、送出ロール40側に前進移動する懸念はない。
尚、本例の場合には、次の媒体の供給ジョブ指令が出されたとき、昇降機構90によって、媒体の表面位置が予め決められたホーム位置になるように上昇するようにすればよい。
【0033】
-抑制機構例3-
本例は、
図16及び
図17に示すように、アフタブローが実施されているアフタ期間において、バキュームヘッド50を利用し、バキュームバルブ
用モータをONすることで浮揚している媒体S1をバキュームヘッド50で吸着して拘束するようにしたものである。
本例にあっては、アフタブローが実施されていても、浮揚した媒体はバキュームヘッド50に吸着されてホーム位置に留まっている。このため、アフタブロー中に、浮揚した媒体が送出ロール40側に前進移動する懸念はない。
【0034】
-抑制機構例4-
本例は、
図18に示すように、ストッパ片35を昇降用アクチュエータ180で昇降可能に支持し、アフタブローが実施されているアフタ期間においては、ストッパ片35を通常の高さ位置(ホーム位置)よりも高くなるように昇降用アクチュエータ180で上昇させ、アフタブロー中において、浮揚した媒体S1
が送出ロール40側へ前進移動しようとしても、上昇したストッパ片35でせき止められるというものである。
尚、本例の場合、アフタブローが終了した場合、ストッパ片35は昇降用アクチュエータ180によって予め決められた高さ位置(ホーム位置)に下降するようにすればよい。
【0035】
◎実施の形態2
図19は実施の形態2に係る媒体供給装置11の要部を示す。
同図において、媒体供給装置11の基本的構成は、実施の形態1と略同様であるが、実施の形態1と異なり、通常サイズの媒体に加えて、通常サイズよりも長手方向の長さが長い長尺媒体をも使用対象とすることが可能なものである。尚、実施の形態1と同様な構成については実施の形態
1と同様な符号を付してここではその詳細な説明を省略する。
本例において、媒体供給装置11は、通常サイズの媒体を積載して供給する本体部300(実施の形態1の媒体供給装置と略同様の構成)を有し、この本体部300に長尺オプション400を付加して長尺媒体を積載して供給することを可能とする。
【0036】
本例において、本体部300は、実施の形態1に示す媒体供給装置11と略同様な構成を有しているが、実施の形態1と異なり、筐体12の中継ユニット16とは反対側に位置する側壁には長尺オプション400を接続可能な開口部を確保できるように構成し、また、筐体12の上部のうち手差し供給部15に隣接した箇所には開閉カバー301を手差し供給部15側を回転支点として開閉可能に設け、開閉カバー301に設けられたハンドル302を操作することで開閉カバー301を開放して長尺媒体をセットする際の作業スペースを確保するようになっている。
【0037】
本例において、長尺オプション400は、
図19乃至
図21に示すように、本体部300の中継ユニット16とは反対側の側壁の開口部に接続される追加装置401と、本体部300側の構成を一部変更する変更装置420とを備えたものである。
本例において、変更装置420は、本体部300における上段ドロワ13の収容部30の一部を構成する積載底板31に高さをかさ上げするためのかさ上げ部としてのかさ上げ台421を設置し、当該かさ上げ台421の表面部を専用の積載部422とした。
また、追加装置401は、外付け筐体402内には専用の積載部422の送出ロール40とは反対側に隣接した箇所に追加の積載部403を設置し、専用の積載部422の積載面と追加の積載部403の積載面とが略面一になって長尺媒体が積載可能な長尺積載部410として機能させるものである。特に、本例では、かさ上げ台421を用いて長尺媒体の積載面を、通常サイズの媒体の積載面よりもかさ上げする構成が採用されているが、これは、長尺積載部410に積載される長尺媒体の重量を少なくし、昇降機構90の負荷を軽減することを企図したものである。
【0038】
更に、本例において、昇降機構90は、実施の形態1にて積載底板31を昇降させる構成に加えて、追加の積載部403を昇降させるための複数の吊り下げ部405、複数のワイヤ406、複数の案内プーリ407を具備させ、複数のワイヤ406で追加の積載部403を吊り下げ支持し、更に、本体部300側の昇降機構90の既存の構成要素である案内プーリ96に複数のワイヤ406を掛け渡した後、各ワイヤ406の一端側を既存の構成要素である巻取りプーリ97に固着し、既存の構成要素である駆動モータ98を回転させることで、追加の積載部403と専用の積載部422とを同じタイミングで昇降させるようにしたものである。
【0039】
更に、追加装置401の外付け筐体402内には、追加の積載部403の周囲には長尺媒体の送出方向に交差する幅方向の両側を位置決め案内する追加のサイドガイド432(具体的には432a,432b)を設けると共に、追加の積載部403に対して既存のエンドガイド33を兼用し、更に、この追加のサイドガイド432には追加の浮揚機構440を装備し、また、長尺媒体の浮揚時における側方縁部の浮き上がり過多を防止する追加の媒体規制部品450を設置するようにしたものである。尚、図21中、符号441は追加の浮揚機構440のエア吹出口であり、追加の媒体規制部品450はエア吹出口441の近くに設けられている。
【0040】
このように、長尺オプション400を用いた媒体供給装置11にあっては、長尺積載部410に長尺媒体が収容され、昇降機構90により、長尺媒体の表面が予め決められた位置に配置され、この状態で、媒体の供給指示を待つ。
そして、媒体の供給指示が出されると、浮揚機構70及び追加の浮揚機構440が働き、長尺媒体を浮揚し、バキュームヘッド50にて浮揚した長尺媒体の送出方向側の上面部を吸着して送出ロール40へ搬送し、かつ、エア捌き機構80にて長尺媒体の送出方向側端部を一枚ずつ捌いて送出ロール40へと受け渡すという媒体供給動作が実施される。
このとき、長尺媒体は通常サイズの媒体よりも斜行し易い傾向が見られるが、本例では、長尺媒体の送出方向側端部の状態を検出し、長尺媒体の供給状態が許容範囲か異常範囲かを容易に判別することが可能である点で極めて有効である。
【符号の説明】
【0041】
1…収容手段,1a…ストッパ壁,2…送出手段,3…受渡し手段,4…浮揚手段,5…抑制手段,S,S1…媒体