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特許7571450エレベーターおよびエレベーターの着床位置の設定方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】エレベーターおよびエレベーターの着床位置の設定方法
(51)【国際特許分類】
   B66B 3/02 20060101AFI20241016BHJP
   B66B 13/12 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B66B3/02 V
B66B13/12 F
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2020169916
(22)【出願日】2020-10-07
(65)【公開番号】P2022061775
(43)【公開日】2022-04-19
【審査請求日】2023-06-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000236056
【氏名又は名称】三菱電機ビルソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100082175
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 守
(74)【代理人】
【識別番号】100106150
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100142642
【弁理士】
【氏名又は名称】小澤 次郎
(72)【発明者】
【氏名】宮原 晃大
【審査官】今野 聖一
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-241060(JP,A)
【文献】特開2012-001288(JP,A)
【文献】特開平11-209040(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02610205(EP,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B66B 3/00 - 3/02
B66B 13/00 - 13/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の階床のうち対応する階床の乗場および昇降路を区画する乗場ドアに設けられ、前記昇降路に向けて突出する突出体と、
前記昇降路を鉛直方向に走行するかごのかごドアに設けられ、前記乗場ドアが設けられる階床を前記かごが通過するときに前記突出体を通過させる空間を空けて互いに対向し、前記乗場ドアが設けられる階床において前記かごドアが開閉するときに前記空間にある前記突出体を通じて前記乗場ドアを開閉させる力を伝達する一対のドアベーンと、
前記空間における前記突出体の鉛直方向の位置を検出する位置検出器と、
前記乗場ドアが設けられる階床に前記かごが着床するときの前記空間における前記突出体の鉛直方向の位置を予め記憶し、前記位置検出器が検出する前記突出体の位置に基づいて前記乗場ドアが設けられる階床への前記かごの着床を検知する着床検知部と、
を備え
前記位置検出器は、
前記空間にある前記突出体までの距離を計測する距離センサー
を備える、
エレベーター。
【請求項2】
前記突出体は、前記かごドアが開閉するときに前記一対のドアベーンに接触する駆動ローラーであり、
前記距離センサーは、前記駆動ローラーの回転軸を含む鉛直面内から前記駆動ローラーの側面までの距離を計測する
請求項1に記載のエレベーター。
【請求項3】
複数の階床のうち対応する階床の乗場および昇降路を区画する乗場ドアに設けられ、前記昇降路に向けて突出する突出体と、
前記昇降路を鉛直方向に走行するかごのかごドアに設けられ、前記乗場ドアが設けられる階床を前記かごが通過するときに前記突出体を通過させる空間を空けて互いに対向し、前記乗場ドアが設けられる階床において前記かごドアが開閉するときに前記空間にある前記突出体を通じて前記乗場ドアを開閉させる力を伝達する一対のドアベーンと、
前記空間における前記突出体の鉛直方向の位置を検出する位置検出器と、
前記乗場ドアが設けられる階床に前記かごが着床するときの前記空間における前記突出体の鉛直方向の位置を予め記憶し、前記位置検出器が検出する前記突出体の位置に基づいて前記乗場ドアが設けられる階床への前記かごの着床を検知する着床検知部と、
を備えるエレベーター、
の着床位置の設定方法であり、
前記エレベーターにおいて、前記乗場ドアが設けられる階床の着床位置に前記かごの位置を調整する調整工程と、
前記調整工程において前記着床位置に前記かごを停止させた後に、前記位置検出器が検出している前記突出体の位置を、前記乗場ドアが設けられる階床に前記かごが着床するときの前記空間における前記突出体の鉛直方向の位置として前記着床検知部に記憶させる設定工程と、
を備えるエレベーターの着床位置の設定方法。
【請求項4】
前記調整工程において、前記かごの位置は、前記乗場ドアおよび前記かごドアが開いた状態で調整される
請求項3に記載のエレベーターの着床位置の設定方法。
【請求項5】
前記位置検出器は、
前記空間にある前記突出体までの距離を計測する距離センサー
を備える
請求項3または請求項4に記載のエレベーターの着床位置の設定方法。
【請求項6】
前記突出体は、前記かごドアが開閉するときに前記一対のドアベーンに接触する駆動ローラーであり、
前記距離センサーは、前記駆動ローラーの回転軸を含む鉛直面内から前記駆動ローラーの側面までの距離を計測する
請求項5に記載のエレベーターの着床位置の設定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、エレベーターおよびエレベーターの着床位置の設定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、エレベーターの例を開示する。エレベーターは、着床板および着床センサーを備える。着床板は、乗場側に設けられる。着床センサーは、かご側に設けられる。エレベーターにおいて、着床センサーが着床板を検知することで、かごの着床が検知される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-73890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1のエレベーターにおいて、かごの着床は昇降路に配置される着床板の検知の有無によって検知される。このため、着床位置の設定において、着床位置へのかごの位置の調整、および着床板の位置の調整を繰り返す必要がある。したがって、着床位置の設定が煩雑である。
【0005】
本開示は、このような課題の解決に係るものである。本開示は、より容易に着床位置の設定が可能なエレベーターおよび着床位置の設定方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係るエレベーターは、複数の階床のうち対応する階床の乗場および昇降路を区画する乗場ドアに設けられ、昇降路に向けて突出する突出体と、昇降路を鉛直方向に走行するかごのかごドアに設けられ、乗場ドアが設けられる階床をかごが通過するときに突出体を通過させる空間を空けて互いに対向し、乗場ドアが設けられる階床においてかごドアが開閉するときに空間にある突出体を通じて乗場ドアを開閉させる力を伝達する一対のドアベーンと、空間における突出体の鉛直方向の位置を検出する位置検出器と、乗場ドアが設けられる階床にかごが着床するときの空間における突出体の鉛直方向の位置を予め記憶し、位置検出器が検出する突出体の位置に基づいて乗場ドアが設けられる階床へのかごの着床を検知する着床検知部と、を備え、位置検出器は、空間にある突出体までの距離を計測する距離センサーを備える
【0007】
本開示に係るエレベーターの着床位置の設定方法は、複数の階床のうち対応する階床の乗場および昇降路を区画する乗場ドアに設けられ、前記昇降路に向けて突出する突出体と、前記昇降路を鉛直方向に走行するかごのかごドアに設けられ、前記乗場ドアが設けられる階床を前記かごが通過するときに前記突出体を通過させる空間を空けて互いに対向し、前記乗場ドアが設けられる階床において前記かごドアが開閉するときに前記空間にある前記突出体を通じて前記乗場ドアを開閉させる力を伝達する一対のドアベーンと、前記空間における前記突出体の鉛直方向の位置を検出する位置検出器と、前記乗場ドアが設けられる階床に前記かごが着床するときの前記空間における前記突出体の鉛直方向の位置を予め記憶し、前記位置検出器が検出する前記突出体の位置に基づいて前記乗場ドアが設けられる階床への前記かごの着床を検知する着床検知部と、を備えるエレベーター、の着床位置の設定方法であり、当該エレベーターにおいて、乗場ドアが設けられる階床の着床位置にかごの位置を調整する調整工程と、調整工程において着床位置にかごを停止させた後に、位置検出器が検出している突出体の位置を、乗場ドアが設けられる階床にかごが着床するときの空間における突出体の鉛直方向の位置として着床検知部に記憶させる設定工程と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本開示に係るエレベーターまたは着床位置の設定方法であれば、より容易に着床位置を設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係るエレベーターの構成図である。
図2】実施の形態1に係るエレベーターの乗場ドアを昇降路側から見た図である。
図3】実施の形態1に係るエレベーターの水平断面図である。
図4】実施の形態1に係るエレベーターの要部拡大図である。
図5】実施の形態2に係るエレベーターの水平断面図である。
図6】実施の形態2に係るエレベーターの要部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示を実施するための形態について添付の図面を参照しながら説明する。各図において、同一または相当する部分には同一の符号を付して、重複する説明は適宜に簡略化または省略する。
【0011】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係るエレベーター1の構成図である。
【0012】
エレベーター1は、例えば複数の階床を有する建物に適用される。建物において、エレベーター1の昇降路2が設けられる。昇降路2は、複数の階床にわたる鉛直方向に長い空間である。建物の各々の階床において、昇降路2に隣接する乗場3が設けられる。
【0013】
エレベーター1は、複数の乗場ドア4と、複数の乗場操作盤5と、巻上機6と、主ロープ7と、かご8と、釣合い錘9と、制御盤10と、を備える。
【0014】
各々の乗場ドア4は、複数の階床のいずれかに対応する。各々の乗場ドア4は、対応する階床の乗場3に設けられる。乗場ドア4は、乗場ドアパネル11と、乗場ドア敷居12と、を備える。乗場ドアパネル11は、乗場ドア4が対応する階床の乗場3および昇降路2を前後方向において区画する板状の機器である。乗場ドアパネル11は、左右方向に開閉するスライドドアのドアパネルである。乗場ドア敷居12は、乗場ドアパネル11の下方に配置される。乗場ドア敷居12は、乗場ドアパネル11の開閉を案内する左右方向に長い溝を有する。
【0015】
各々の乗場操作盤5は、複数の階床のいずれかに対応する。各々の乗場操作盤5は、対応する階床の乗場3に設けられる。乗場操作盤5は、対応する階床の乗場3において利用者などが行う操作を受け付ける機器である。乗場操作盤5が受け付ける操作は、例えば対応する階床を出発階とする乗場呼びの登録の操作などである。
【0016】
巻上機6は、駆動力を発生させるモーター、およびモーターが発生させる駆動力によって回転するシーブを備える。巻上機6は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。あるいは、エレベーター1において例えば昇降路2の上方などに機械室が設けられる場合に、巻上機6は機械室に配置されてもよい。
【0017】
主ロープ7は、昇降路2においてかご8および釣合い錘9の荷重を支持するロープである。主ロープ7は、巻上機6のシーブに巻きかけられる。主ロープ7は、巻上機6のシーブの一方側においてかご8の荷重を支持する。主ロープ7は、巻上機6のシーブの他方側において釣合い錘9の荷重を支持する。
【0018】
かご8は、昇降路2を鉛直方向に走行することでエレベーター1の利用者を複数の階床の間で輸送する機器である。かご8は、巻上機6のモーターが発生させる駆動力によって昇降路2を鉛直方向に走行する。かご8は、かご操作盤13と、かごドア14と、を備える。かご操作盤13は、かご8の内部において利用者などが行う操作を受け付ける機器である。かご操作盤13が受け付ける操作は、例えばかご呼びの登録の操作などである。かごドア14は、かごドアパネル15と、かごドア敷居16と、を備える。かごドアパネル15は、かご8の内部および外部を前後方向において区画する板状の機器である。かごドアパネル15は、図示されないドアモーターが発生させる駆動力によって左右方向に開閉するスライドドアのドアパネルである。かごドアパネル15は、かご8がいずれかの階床に停止しているときに、当該階床に対応する乗場ドア4の乗場ドアパネル11に対向する。かごドア敷居16は、かごドアパネル15の下方に配置される。かごドア敷居16は、かごドアパネル15の開閉を案内する左右方向に長い溝を有する。
【0019】
釣合い錘9は、巻上機6のシーブの両側にかかる荷重の釣合いをかご8との間でとる機器である。釣合い錘9は、巻上機6のモーターが発生させる駆動力によって昇降路2をかご8の反対方向に走行する。
【0020】
制御盤10は、エレベーター1の動作を制御する部分である。エレベーター1の動作は、例えばかご8の走行を含む。制御盤10は、例えば昇降路2の上部または下部などに配置される。あるいは、機械室が設けられる場合に、制御盤10は機械室に配置されてもよい。制御盤10は、走行制御部17と、着床検知部18と、設定部19と、を備える。走行制御部17は、かご8の上昇および下降などの走行を制御する部分である。走行制御部17は、例えば巻上機6に設けられる図示されないエンコーダーなどによってかご8の位置を取得する機能を搭載する。着床検知部18は、各々の階床へのかご8の着床、すなわち、かご8が各々の階床の着床位置に停止したか否かを検知する部分である。ここで、着床位置は、例えばかご8の床面の高さと乗場3の床面の高さとが一致するかご8の位置である。設定部19は、着床検知部18が着床の検知に用いる情報の設定を行う部分である。
【0021】
続いて、制御盤10を含むエレベーター1の装置または機器のハードウェア構成の例を説明する。エレベーター1の装置または機器は、ハードウェアとして、例えばプロセッサおよびメモリを備えた処理回路を有する。プロセッサは、例えばCPU、演算装置、マイクロプロセッサ、またはマイクロコンピュータなどである。メモリは、例えばRAM、ROM、フラッシュメモリ、EPROMおよびEEPROMなどの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、または、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、もしくはDVDなどが該当する。メモリは、例えばソフトウェアまたはファームウェアとしてのプログラムなどを記憶する。そして、エレベーター1の装置または機器は、メモリに記憶されたプログラムなどをプロセッサが実行することによって予め設定された処理を実施し、ハードウェアとソフトウェアとが協働した結果として各機能を実現する。エレベーター1の装置または機器の各機能は、それぞれ処理回路で実現されてもよい。あるいは、エレベーター1の装置または機器の各機能の一部または全部は、まとめて処理回路で実現されてもよい。また、処理回路は、例えば単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC、もしくはFPGA、またはこれらの組み合わせで実現されてもよい。
【0022】
図2は、実施の形態1に係るエレベーター1の乗場ドア4を昇降路2側から見た図である。
図2において、かご8が停止している階床に対応する乗場ドア4が示される。
【0023】
この例の乗場ドア4は、両開きのドアである。乗場ドア4は、2枚の乗場ドアパネル11を有する。このとき、かごドア14は、図2に図示されない2枚のかごドアパネル15を有する。かご8がいずれかの階床に停止しているときに、当該階床に対応する乗場ドア4の左側の乗場ドアパネル11は、左側のかごドアパネル15に対向する。同様に、右側の乗場ドアパネル11は、右側のかごドアパネル15に対向する。なお、乗場ドア4およびかごドア14は、片開きのドアであってもよい。
【0024】
乗場ドア4は、ロック機構20を備える。ロック機構20は、固定フック21と、可動フック22と、第1ローラー23と、第2ローラー24と、を備える。固定フック21は、一方の乗場ドアパネル11に固定される。可動フック22は、他方の乗場ドアパネル11に取り付けられる。乗場ドア4が閉まっているときに、可動フック22は固定フック21に掛かる。これにより、乗場ドア4がロックされる。可動フック22は、固定フック21の反対側の端部を中心軸として回転可能に設けられる。第1ローラー23は、可動フック22の回転軸と同軸に設けられる。第1ローラー23の回転軸は、乗場ドア4の前後方向に向けられる。第2ローラー24の回転軸は、第1ローラー23の回転軸に平行に設けられる。第2ローラー24は、第1ローラー23を中心として可動フック22とともに回転移動しうるように設けられる。第1ローラー23および第2ローラー24は、昇降路2に向けて突出している。第1ローラー23および第2ローラー24は、駆動ローラーである。駆動ローラーは、突出体の例である。
【0025】
かごドア14は、一対のドアベーン25を備える。図2において、一対のドアベーン25の他にかごドア14の機器は図示されていない。一対のドアベーン25は、乗場ドアパネル11がかごドアパネル15に連動して開閉しうるようにドアモーターが発生させた駆動力を乗場ドアパネル11に伝達する部分である。この例において、一対のドアベーン25は、可動フック22が取り付けられた乗場ドアパネル11に対向するかごドアパネル15に取り付けられる。一対のドアベーン25は、左右方向に空間26を空けて互いに対向するように配置される。一対のドアベーン25の間の空間26は、突出体の左右方向の幅より広い。一対のドアベーン25の間の空間26は、上下方向に開放されている。一対のドアベーン25の間の空間26は、各々の階床をかご8が通過するときに当該階床に設けられた駆動ローラーが通過する空間である。なお、一対のドアベーン25は、二枚の板状部材が互いに対向するように形成されたものに限られず、例えば一枚の板状部材をU字状に折り曲げて端部が互いに対向するように形成されたものなどであってもよい。
【0026】
エレベーター1において、乗場ドア4およびかごドア14は、例えば次のように開閉する。停止している階床においてかごドア14が開くときに、一方のドアベーン25は、第2ローラー24に左右方向の一方から接触する。当該ドアベーン25は、取り付けられたかごドアパネル15が開く動きによって第2ローラー24を第1ローラー23に向けて押す。第2ローラー24は、当該ドアベーン25の表面を転がりながら第1ローラー23を中心として回転移動する。このとき、可動フック22は第2ローラー24とともに回転移動する。これにより、可動フック22は固定フック21から外れる。第2ローラー24に接触しているドアベーン25は、第2ローラー24を引き続き押すことで、ドアモーターが発生させたかごドアパネル15を開く駆動力を乗場ドアパネル11にも伝達する。このように、乗場ドアパネル11およびかごドアパネル15は連動して開く。閉じる場合においても同様に、かごドア14が開くとき第2ローラー24に接触したドアベーン25の反対側のドアベーン25は、第1ローラー23に接触する。当該ドアベーン25は、第1ローラー23を押すことで、かごドアパネル15を閉じる駆動力を乗場ドアパネル11にも伝達する。このように、乗場ドアパネル11およびかごドアパネル15は連動して閉じる。
【0027】
図3は、実施の形態1に係るエレベーター1の水平断面図である。
図3において、かご8が停止している階床に対応する乗場ドア4の駆動ローラーより上方の水平面による断面図が示される。当該水平面は、一対のドアベーン25を通る。図3は、上方から見た断面図である。
【0028】
かご8が停止している階床において、当該階床に対応する乗場ドア4の駆動ローラーは、一対のドアベーン25の間の空間26に配置される。
【0029】
各々のドアベーン25は、鉛直方向に長いスリット27を有する。
【0030】
エレベーター1は、位置検出器28を備える。位置検出器28は、一対のドアベーン25の間の空間26における駆動ローラーの鉛直方向の位置を検出する機器である。
【0031】
位置検出器28は、発光部29と、受光部30と、判定部31と、を備える。発光部29は、一方のドアベーン25に取り付けられる。受光部30は、他方のドアベーン25に取り付けられる。発光部29および受光部30は、左右方向において一対のドアベーン25の外側に配置される。発光部29は、各々のドアベーン25のスリット27を通して受光部30に向けて光を発する部分である。発光部29が発する光は、例えば赤外線または可視光などである。受光部30は、発光部29が発した光を受ける部分である。判定部31は、受光部30の受光状態に基づいて駆動ローラーの鉛直方向の位置を判定する部分である。判定部31は、判定結果を出力しうるように制御盤10に接続される。あるいは、判定部31は、例えば制御盤10のモジュールとして制御盤10に搭載されていてもよい。
【0032】
図4は、実施の形態1に係るエレベーター1の要部拡大図である。
図4において、一対のドアベーン25の間に配置される駆動ローラーを昇降路2側から見た図が示される。図4において、かごドア14および乗場ドア4は、閉まっている。
【0033】
受光部30は、複数の受光素子32を備える。複数の受光素子32は、鉛直方向に沿って並ぶ。複数の受光素子32の間隔は、例えば予め設定された着床誤差の許容値より狭い範囲に配置される。ここで、鉛直方向の中心に配置された受光素子32を、0番目の受光素子32と称する。0番目の受光素子32より上方に配置された受光素子32を、0番目の受光素子32に隣接する受光素子32から順に、+1番目の受光素子32、+2番目の受光素子32、などと称する。0番目の受光素子32より下方に配置された受光素子32を、0番目の受光素子32に隣接する受光素子32から順に、-1番目の受光素子32、-2番目の受光素子32、などと称する。
【0034】
発光部29は、複数の発光素子33を備える。複数の発光素子33は、鉛直方向に沿って並ぶ。複数の発光素子33の間隔は、例えば着床誤差の許容値より狭い範囲に配置される。複数の発光素子33は、複数の受光素子32に1対1で対応する。ここで、nを0または正もしくは負の整数として、n番目の受光素子32に対応する発光素子33を、n番目の発光素子33と称する。各々の発光素子33は、対応する受光素子32と鉛直方向の同じ高さに配置される。発光素子33は、例えばレーザー光を、対応する受光素子32に水平に照射する。
【0035】
判定部31は、対応する発光素子33からの光の受光の有無を各々の受光素子32から取得する。各々の受光素子32における受光の有無は、受光部30の受光状態の例である。受光状態は、各々の発光素子33からの光を駆動ローラーが遮ることによって変化する。このため、判定部31は、受光部30の受光状態に基づいて、駆動ローラーの鉛直方向の位置を判定できる。判定部31は、例えばmを整数として-m番目から+m番目までの受光素子32が対応する発光素子33からの光を受光せず、かつ、他の受光素子32が対応する発光素子33からの光を受光しているときなどに、駆動ローラーが鉛直方向の中心にあると判定する。
【0036】
着床検知部18は、着床の検知に用いる情報として、各々の階床にかご8が着床するときの一対のドアベーン25の間の空間26における当該階床に設けられた駆動ローラーの鉛直方向の位置を、複数の階床ごとに予め記憶している。着床検知部18は、例えば次のようにかご8の着床を検知する。着床検知部18は、走行制御部17が取得するかご8の位置などに基づいて、かご8が停止する階床を判定する。あるいは、着床検知部18は、登録されている呼びなどに基づいてかご8が停止する階床を判定してもよい。着床検知部18は、判定した階床について予め記憶している駆動ローラーの鉛直方向の位置を、位置検出器28の判定部31が判定する駆動ローラーの鉛直方向の位置と照合する。着床検知部18は、照合した駆動ローラーの鉛直方向の位置が一致するときに、かご8の着床を検知する。かご8の着床の検知は、例えば走行制御部17が減速させたかご8の停止のタイミングの判定などに用いられてもよい。あるいは、かご8の着床の検知は、例えばかごドア14および乗場ドア4の開閉の可否の判定などに用いられてもよい。
【0037】
また、着床検知部18は、照合した駆動ローラーの鉛直方向の位置のずれに基づいて、かご8の位置の着床位置からのずれを検知してもよい。着床位置からのずれが予め設定された大きさより大きい場合に、走行制御部17は、かご8の位置を着床位置まで調整するようにかご8を走行させてもよい。
【0038】
着床検知部18が着床の検知に用いる情報は、例えば次のように設定される。
【0039】
まず、着床位置の設定作業を行う作業員は、例えば制御盤10の切替えスイッチなどによって、エレベーター1の動作モードを通常運転の動作モードから着床位置の設定の動作モードに切り替える。
【0040】
その後、作業員は、調整工程の作業を行う。調整工程において、作業員は、複数の階床のいずれかについて着床位置の設定を行う。作業員は、設定を行う階床まで走行制御部17によってかご8を移動させる。作業員は、かご8の床面の高さが当該階床の乗場3の床面の高さに一致するように、かご8の位置を調整する。このとき、かごドア14および乗場ドア4は、開いた状態であってもよい。かごドア14および乗場ドア4が開いているので、作業員は、かご8の床面の高さおよび当該階床の乗場3の床面の高さの差を目視により確認できる。作業員によるかご8の位置の調整は、例えばかご操作盤13を通じて行われてもよい。作業員は、かご8の床面の高さが当該階床の乗場3の床面の高さに一致したときに、かご8をその位置で停止させる。
【0041】
その後、作業員は、設定工程の作業を行う。設定工程において、作業員は、かご8が現在停止している位置が着床位置であることを制御盤10に入力する。作業員による入力は、例えばかご操作盤13を通じて行われてもよい。制御盤10の設定部19は、作業員による入力を受け付ける。設定部19は、設定が行われる階床の駆動ローラーの位置を位置検出器28から取得する。設定部19は、位置検出器28から取得した駆動ローラーの位置を当該階床に対応づけて着床検知部18に記憶させる。
【0042】
その後、作業員は、他の階床について調整工程および設定工程の作業を同様に行ってもよい。
【0043】
なお、突出体は、駆動ローラーでなくてもよい。突出体は、例えばドアベーン25の表面を摺動する部材などであってもよい。
【0044】
以上に説明したように、実施の形態1に係るエレベーター1は、駆動ローラーと、一対のドアベーン25と、位置検出器28と、着床検知部18と、を備える。駆動ローラーは、各々の階床の乗場ドア4に設けられる。乗場ドア4は、対応する階床の乗場3および昇降路2を区画する。駆動ローラーは、昇降路2に向けて突出する。一対のドアベーン25は、かご8のかごドア14に設けられる。かご8は、昇降路2を鉛直方向に走行する。一対のドアベーン25は、各々の階床をかご8が通過するときに駆動ローラーを通過させる空間26を空けて互いに対向する。一対のドアベーン25は、各々の階床においてかごドア14が開閉するときに、一対のドアベーン25の間の空間26にある駆動ローラーを通じて乗場ドア4を開閉させる力を伝達する。位置検出器28は、一対のドアベーン25の間の空間26における駆動ローラーの鉛直方向の位置を検出する。着床検知部18は、各々の階床にかご8が着床するときの一対のドアベーン25の間の空間26における駆動ローラーの鉛直方向の位置を予め記憶する。着床検知部18は、位置検出器28が検出する駆動ローラーの位置に基づいて当該駆動ローラーを有する乗場ドア4が設けられた階床へのかご8の着床を検知する。
また、実施の形態1に係るエレベーター1の着床位置の設定方法は、調整工程と、設定工程と、を備える。調整工程は、上記のエレベーター1において、駆動ローラーを有する乗場ドア4が設けられた階床の着床位置にかご8の位置を調整する工程である。設定工程は、調整工程において着床位置にかご8を停止させた後の工程である。設定工程は、位置検出器28が検出している駆動ローラーの位置を、当該階床にかご8が着床するときの一対のドアベーン25の間の空間26における駆動ローラーの鉛直方向の位置として着床検知部18に記憶させる工程である。
【0045】
このような構成により、着床検知のための着床板を用いずにかご8の着床が検知される。このため、着床板の位置の調整が必要とされないので、より容易に着床位置を設定できるようになる。また、かごドア14および乗場ドア4を連動させる駆動ローラーの鉛直方向の階床ごとの位置に基づいて着床が検知されるので、階床ごとに駆動ローラーの位置が乗場3の床面からずれていたとしても機械的な位置の調整が必要とされない。このため、着床位置の設定の作業性が高まる。また、建物の構造体のセメントコンクリートの乾燥などによって、各々の階床の間の距離は経年変化することがある。この場合においても、乗場3の床面と同じ高さに設けられる乗場ドア敷居12からの駆動ローラーの高さは変化しない。このため、乗場3の床面からの高さを基準としてかご8の着床が検知されるので、経年変化による着床位置のずれが生じにくい。
【0046】
また、位置検出器28は、受光部30と、発光部29と、判定部31と、を備える。受光部30は、一方のドアベーン25に設けられる。発光部29は、他方のドアベーン25に設けられる。発光部29は、受光部30に向けて光を発する。受光部30の受光状態は、発光部29からの光を駆動ローラーが遮ることによって変化する。判定部31は、受光部30の受光状態に基づいて突出体の鉛直方向の位置を判定する。
【0047】
このような構成により、一対のドアベーン25の間における駆動ローラーの鉛直方向の位置が簡易な構成によって検出できるようになる。
【0048】
また、受光部30は、複数の受光素子32を備える。複数の受光素子32は、着床誤差の許容値より狭い間隔で鉛直方向に沿って並ぶ。着床誤差の許容値は、予め設定された長さである。発光部29は、複数の発光素子33を備える。複数の発光素子33は、着床誤差の許容値より狭い間隔で鉛直方向に沿って並ぶ。複数の発光素子33は、複数の受光素子32に1対1で対応する。各々の発光素子33は、対応する受光素子32と鉛直方向の同じ高さから当該受光素子32に光を発する。
【0049】
このような構成により、着床誤差が許容値を超えるか否かの判定に十分な高い精度で駆動ローラーの鉛直方向の位置を検出できるようになる。また、発光部29からの光線は、駆動ローラーの移動の方向に垂直に受光部30に入射するので、駆動ローラーの位置の分解能が高くなる。
【0050】
また、調整工程において、かご8の位置は、乗場ドア4およびかごドア14が開いた状態で調整される。
【0051】
このような構成により、かご8の床面の高さおよび設定を行う階床の乗場3の床面の高さの差を目視により確認できるので、着床位置へのかご8の位置の調整が容易になる。
【0052】
実施の形態2.
実施の形態2において、実施の形態1で開示される例と相違する点について特に詳しく説明する。実施の形態2で説明しない特徴については、実施の形態1で開示される例のいずれの特徴が採用されてもよい。
【0053】
図5は、実施の形態2に係るエレベーター1の水平断面図である。
図5において、かご8が停止している階床に対応する乗場ドア4の駆動ローラーより上方の水平面による断面図が示される。当該水平面は、一対のドアベーン25を通る。図5は、上方から見た断面図である。
【0054】
位置検出器28は、距離センサー34と、判定部31と、を備える。距離センサー34は、例えば一対のドアベーン25が取り付けられたかごドアパネル15に取り付けられる。距離センサー34は、一対のドアベーン25の間の空間26に配置された駆動ローラーなどの突出体までの距離を計測する機器である。距離センサー34は、例えばレーザー距離計などである。距離センサー34は、例えば一対のドアベーン25の間に配置される。この例において、距離センサー34は、第1ローラー23の回転軸を含む鉛直面Vの面内から第1ローラー23の側面までの距離を計測しうるように配置される。あるいは、距離センサー34は、第2ローラー24の側面までの距離を同様に計測するように配置されてもよい。
【0055】
判定部31は、距離センサー34の計測結果に基づいて駆動ローラーの鉛直方向の位置を判定する。判定部31は、判定結果を出力しうるように制御盤10に接続される。あるいは、判定部31は、例えば制御盤10のモジュールとして制御盤10に搭載されていてもよい。距離センサー34は、第1ローラー23の回転軸を含む鉛直面Vの面内から第1ローラー23の側面までの距離を計測するので、距離センサー34が計測する距離の変化と第1ローラー23の鉛直方向の変位とは比例関係にある。このため、判定部31は、距離センサー34が計測する距離の線形変換によって第1ローラー23の鉛直方向の位置を判定する。
【0056】
図6は、実施の形態2に係るエレベーター1の要部拡大図である。
図6において、一対のドアベーン25の間に配置される駆動ローラーを昇降路2側から見た図が示される。図6において、かごドア14および乗場ドア4は、閉まっている。
【0057】
着床検知部18は、例えば次のようにかご8の着床を検知する。着床検知部18は、かご8が停止する階床として判定した階床について予め記憶している駆動ローラーの鉛直方向の位置を、位置検出器28の判定部31が判定する駆動ローラーの鉛直方向の位置と照合する。着床検知部18は、照合した駆動ローラーの鉛直方向の位置が一致するときに、かご8の着床を検知する。
【0058】
また、着床位置の設定作業の設定工程において、作業員は、かご8が現在停止している位置が着床位置であることを制御盤10に入力する。制御盤10の設定部19は、作業員による入力を受け付ける。設定部19は、設定が行われる階床の駆動ローラーの位置を位置検出器28から取得する。設定部19は、位置検出器28から取得した駆動ローラーの位置を当該階床に対応づけて着床検知部18に記憶させる。
【0059】
なお、距離センサー34は、駆動ローラーまでの距離を下方から計測してもよい。また、距離センサー34は、ドアベーン25に設けられるスリット27を通じて一対のドアベーン25の外側から駆動ローラーまでの距離を計測してもよい。
【0060】
以上に説明したように、実施の形態2に係るエレベーター1の位置検出器28は、距離センサー34を備える。距離センサー34は、一対のドアベーン25の間の空間26にある駆動ローラーなどの突出体までの距離を計測する。
【0061】
このような構成により、一対のドアベーン25の間における駆動ローラーなどの突出体の鉛直方向の正確な位置を定量的に計測できるようになる。
【0062】
また、突出体は、かごドア14が開閉するときに一対のドアベーン25に接触する駆動ローラーである。距離センサー34は、駆動ローラーの回転軸を含む鉛直面Vの面内から駆動ローラーの側面までの距離を計測する。
【0063】
このような構成により、距離センサー34が計測する距離の変化と駆動ローラーの鉛直方向の変位とが比例関係になる。このため、単純な検知基準によってかご8の着床が検知できるようになる。
【符号の説明】
【0064】
1 エレベーター、 2 昇降路、 3 乗場、 4 乗場ドア、 5 乗場操作盤、 6 巻上機、 7 主ロープ、 8 かご、 9 釣合い錘、 10 制御盤、 11 乗場ドアパネル、 12 乗場ドア敷居、 13 かご操作盤、 14 かごドア、 15 かごドアパネル、 16 かごドア敷居、 17 走行制御部、 18 着床検知部、 19 設定部、 20 ロック機構、 21 固定フック、 22 可動フック、 23 第1ローラー、 24 第2ローラー、 25 ドアベーン、 26 空間、 27 スリット、 28 位置検出器、 29 発光部、 30 受光部、 31 判定部、 32 受光素子、 33 発光素子、 34 距離センサー、 V 鉛直面
図1
図2
図3
図4
図5
図6