(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】経路規制部材付き電線、及びワイヤハーネス
(51)【国際特許分類】
H02G 3/04 20060101AFI20241016BHJP
H02G 3/30 20060101ALI20241016BHJP
H01B 7/00 20060101ALI20241016BHJP
F16L 57/00 20060101ALI20241016BHJP
B60R 16/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02G3/04 081
H02G3/30
H01B7/00 301
F16L57/00 A
B60R16/02 620A
B60R16/02 623U
(21)【出願番号】P 2020178421
(22)【出願日】2020-10-23
【審査請求日】2023-03-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 隆太
(72)【発明者】
【氏名】伊澤 克俊
(72)【発明者】
【氏名】田中 孝祐
(72)【発明者】
【氏名】藤木 匡
【審査官】間宮 嘉誉
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-102976(JP,A)
【文献】特開2012-85442(JP,A)
【文献】特開2007-159259(JP,A)
【文献】特開2020-149781(JP,A)
【文献】特開2017-147170(JP,A)
【文献】特開2011-120404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 16/00-17/02
F16L 57/00-58/18
H01B 7/00- 7/02
H01B 7/38- 7/40
H02G 3/00- 3/04
H02G 3/22- 3/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線部材と、
前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材と、
前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに前記外装部材の長さ方向に沿って延びており、前記電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材と、を備え、
前記経路規制部材は、
前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆う本体部と、
前記本体部における周方向の両端部によって形成され、前記経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、前記外装部材が挿入可能に構成された挿入口と、
前記本体部の外周から突出するとともに前記経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブと、を有
し、
前記本体部は、前記本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、前記本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部と、を有し、
前記リブは、前記第1構成部と前記第2構成部とにそれぞれ設けられた支持用リブを含
み、
前記支持用リブは、前記本体部における周方向の中心と一端部との中間の位置と、前記本体部における周方向の中心と他端部との中間の位置とにそれぞれ設けられている、
経路規制部材付き電線。
【請求項2】
前記経路規制部材は、前記外装部材よりも堅硬である、
請求項1に記載の経路規制部材付き電線。
【請求項3】
前記リブは、前記本体部における周方向の両端部に設けられ、前記リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含む、
請求項1
または請求項2に記載の経路規制部材付き電線。
【請求項4】
経路規制部材付き電線と、
前記経路規制部材付き電線を保持する固定部材と、を備え、
前記経路規制部材付き電線は、
電線部材と、
前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材と、
前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに前記外装部材の長さ方向に沿って延びており、前記電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材と、を備え、
前記経路規制部材は、
前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆う本体部と、
前記本体部における周方向の両端部によって形成され、前記経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、前記外装部材が挿入可能に構成された挿入口と、
前記本体部の外周から突出するとともに前記経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブと、を有し、
前記本体部は、前記本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、前記本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部と、を有し、
前記リブは、前記第1構成部と前記第2構成部とにそれぞれ設けられた支持用リブを含み、
前記固定部材は、前記支持用リブを支持する一対の支持部を有する、
ワイヤハーネス。
【請求項5】
前記経路規制部材は、前記外装部材よりも堅硬である、
請求項
4に記載のワイヤハーネス。
【請求項6】
前記固定部材は、前記挿入口に向かって突出する係合部を有し、
前記係合部は、前記本体部における周方向の両端部の少なくとも一方と接触可能である、
請求項
4または請求項
5に記載のワイヤハーネス。
【請求項7】
前記係合部は、前記経路規制部材の長さ方向から見て、先端側に向かうほど幅が狭くなる幅狭部を有する、
請求項
6に記載のワイヤハーネス。
【請求項8】
前記リブは、前記本体部における周方向の両端部に設けられ、前記リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含む、
請求項
4から請求項
7のいずれか1項に記載のワイヤハーネス。
【請求項9】
前記リブは、前記本体部における周方向の両端部に設けられ、前記リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含み、
前記係合部は、前記ガイドリブの少なくとも一方と接触可能である、
請求項
6または請求項
7に記載のワイヤハーネス。
【請求項10】
一対の支持部を有する固定部材に保持される経路規制部材付き電線であって、
電線部材と、
前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材と、
前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに前記外装部材の長さ方向に沿って延びており、前記電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材と、を備え、
前記経路規制部材は、
前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆う本体部と、
前記本体部における周方向の両端部によって形成され、前記経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、前記外装部材が挿入可能に構成された挿入口と、
前記本体部の外周から突出するとともに前記経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブと、を有し、
前記本体部は、前記本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、前記本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部と、を有し、
前記リブは、前記第1構成部と前記第2構成部とにそれぞれ設けられ、前記一対の支持部に支持される支持用リブを含む、
経路規制部材付き電線。
【請求項11】
前記経路規制部材は、前記外装部材よりも堅硬である、
請求項
10に記載の経路規制部材付き電線。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、経路規制部材付き電線、及びワイヤハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電線部材の外周を覆うコルゲートチューブと、コルゲートチューブの周方向の一部を覆うとともに、電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材とを備える経路規制部材付き電線が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
特許文献1に記載の経路規制部材付き電線におけるコルゲートチューブは、長さ方向に沿って形成されたスリットを有している。経路規制部材は、コルゲートチューブの外周に沿って設けられた経路維持部材と、スリット内に設けられた取付部材とを備えている。取付部材は、スリットの内周側部分と、経路維持部材の外周側部分とにそれぞれ係止可能に構成されている。これらコルゲートチューブ、経路維持部材、及び取付部材がテープ巻きなどによって固定されることにより、電線部材の経路が規制されている。
【0004】
そして、一体化されたコルゲートチューブと経路規制部材とは、例えば、まとめてベルトクランプに巻き付けられて保持され、そのベルトクランプが車体に固定されることで、ワイヤハーネスが車体に対して固定される構成が考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記のような経路規制部材は、厚さが一定であったため、曲げ剛性が低いという問題があった。経路規制部材の曲げ剛性が低いことは電線部材が経路から逸脱してしまうといった原因となる。
【0007】
本開示の目的は、電線部材の経路からの逸脱を抑制可能とした経路規制部材付き電線、及びワイヤハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の経路規制部材付き電線は、電線部材と、前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材と、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに前記外装部材の長さ方向に沿って延びており、前記電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材と、を備え、前記経路規制部材は、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆う本体部と、前記本体部における周方向の両端部によって形成され、前記経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、前記外装部材が挿入可能に構成された挿入口と、前記本体部の外周から突出するとともに前記経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブと、を有する。
【0009】
本開示のワイヤハーネスは、経路規制部材付き電線と、前記経路規制部材付き電線を保持する固定部材と、を備え、前記経路規制部材付き電線は、電線部材と、前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材と、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに前記外装部材の長さ方向に沿って延びており、前記電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材と、を備え、前記経路規制部材は、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆う本体部と、前記本体部における周方向の両端部によって形成され、前記経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、前記外装部材が挿入可能に構成された挿入口と、前記本体部の外周から突出するとともに前記経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブと、を有し、前記本体部は、前記本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、前記本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部と、を有し、前記リブは、前記第1構成部と前記第2構成部とにそれぞれ設けられた支持用リブを含み、前記固定部材は、前記支持用リブを支持する一対の支持部を有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示の経路規制部材付き電線及びワイヤハーネスによれば、電線部材の経路からの逸脱を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態のワイヤハーネスを示す概略構成図である。
【
図2】
図2は、一実施形態のワイヤハーネスの一部を示す断面図である。
【
図3】
図3は、一実施形態の経路規制部材付き電線の一部分解斜視図である。
【
図4】
図4は、一実施形態のワイヤハーネスを車体に固定した側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の経路規制部材付き電線は、
[1]電線部材と、前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材と、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに前記外装部材の長さ方向に沿って延びており、前記電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材と、を備え、前記経路規制部材は、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆う本体部と、前記本体部における周方向の両端部によって形成され、前記経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、前記外装部材が挿入可能に構成された挿入口と、前記本体部の外周から突出するとともに前記経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブと、を有する。
【0013】
同構成によれば、外装部材の外周に対して挿入口を通じて経路規制部材を後付けすることができる。そして、経路規制部材は、本体部の外周から突出するとともに経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブを有するため、経路規制部材の曲げ剛性を高くすることができる。よって、電線部材の経路からの逸脱を抑えることができる。
【0014】
[2]前記経路規制部材は、前記外装部材よりも堅硬であることが好ましい。
同構成によれば、堅硬な経路規制部材によって、電線部材の経路をより強固に規制することができる。
【0015】
[3]前記本体部は、前記本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、前記本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部と、を有し、前記リブは、前記第1構成部と前記第2構成部とにそれぞれ設けられた支持用リブを含むことが好ましい。
【0016】
同構成によれば、リブは、本体部の第1構成部と第2構成部とにそれぞれ設けられた支持用リブを含むため、経路規制部材付き電線は、他の部材に支持され易い構成となる。すなわち、支持用リブは、本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部とに設けられるため、固定部材が一対の支持用リブを支持して経路規制部材付き電線を保持し易くなる。
【0017】
[4]前記リブは、前記本体部における周方向の両端部に設けられ、前記リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含むことが好ましい。
同構成によれば、リブは、本体部における周方向の両端部に設けられ、リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含むため、外装部材を経路規制部材の内部にスムーズに挿入することができるようになる。
【0018】
本開示のワイヤハーネスは、
[5]経路規制部材付き電線と、前記経路規制部材付き電線を保持する固定部材と、を備え、前記経路規制部材付き電線は、電線部材と、前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材と、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに前記外装部材の長さ方向に沿って延びており、前記電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材と、を備え、前記経路規制部材は、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆う本体部と、前記本体部における周方向の両端部によって形成され、前記経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、前記外装部材が挿入可能に構成された挿入口と、前記本体部の外周から突出するとともに前記経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブと、を有し、前記本体部は、前記本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、前記本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部と、を有し、前記リブは、前記第1構成部と前記第2構成部とにそれぞれ設けられた支持用リブを含み、前記固定部材は、前記支持用リブを支持する一対の支持部を有する。
【0019】
同構成によれば、外装部材の外周に対して挿入口を通じて経路規制部材を後付けすることができる。そして、経路規制部材は、本体部の外周から突出するとともに経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブを有するため、経路規制部材の曲げ剛性を高くすることができる。よって、電線部材の経路からの逸脱を抑えることができる。また、リブは、本体部の第1構成部と第2構成部とにそれぞれ設けられた支持用リブを含むため、経路規制部材付き電線は、他の部材に支持され易い構成となる。すなわち、支持用リブは、本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部とに設けられるため、固定部材が一対の支持用リブを支持して経路規制部材付き電線を保持し易くなる。そして、固定部材は一対の支持部によって一対の支持用リブを支持することで経路規制部材付き電線を容易に保持することができる。
【0020】
[6]前記経路規制部材は、前記外装部材よりも堅硬であることが好ましい。
同構成によれば、堅硬な経路規制部材によって、電線部材の経路をより強固に規制することができる。
【0021】
[7]前記固定部材は、前記挿入口に向かって突出する係合部を有し、前記係合部は、前記本体部における周方向の両端部の少なくとも一方と接触可能であることが好ましい。
同構成によれば、固定部材の係合部は、本体部における周方向の両端部の少なくとも一方と接触可能であるため、固定部材は、経路規制部材を保持しつつ経路規制部材が固定部材に対して周方向に回転してしまうことを抑制できる。
【0022】
[8]前記係合部は、前記経路規制部材の長さ方向から見て、先端側に向かうほど幅が狭くなる幅狭部を有することが好ましい。
同構成によれば、係合部は、経路規制部材の長さ方向から見て、先端側に向かうほど幅が狭くなる幅狭部を有するため、係合部が挿入口に挿入され易くなり、組み付けが容易となる。
【0023】
[9]前記リブは、前記本体部における周方向の両端部に設けられ、前記リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含むことが好ましい。
同構成によれば、リブは、本体部における周方向の両端部に設けられ、リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含むため、外装部材を経路規制部材の内部にスムーズに挿入することができるようになる。
【0024】
[10]前記リブは、前記本体部における周方向の両端部に設けられ、前記リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含み、前記係合部は、前記ガイドリブの少なくとも一方と接触可能であることが好ましい。
【0025】
同構成によれば、リブは、本体部における周方向の両端部に設けられ、リブの突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブを含むため、外装部材を経路規制部材の内部にスムーズに挿入することができるようになる。また、係合部は、ガイドリブの少なくとも一方と接触可能であるため、経路規制部材が固定部材に対して周方向に回転してしまうことをより抑制できる。
【0026】
本開示の経路規制部材付き電線は、
[11]一対の支持部を有する固定部材に保持される経路規制部材付き電線であって、電線部材と、前記電線部材の外周を覆う筒状の外装部材と、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに前記外装部材の長さ方向に沿って延びており、前記電線部材が配索される経路を規制する経路規制部材と、を備え、前記経路規制部材は、前記外装部材の外周のうち前記外装部材の周方向の半分より大きい範囲を覆う本体部と、前記本体部における周方向の両端部によって形成され、前記経路規制部材の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、前記外装部材が挿入可能に構成された挿入口と、前記本体部の外周から突出するとともに前記経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブと、を有し、前記本体部は、前記本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、前記本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部と、を有し、前記リブは、前記第1構成部と前記第2構成部とにそれぞれ設けられ、前記一対の支持部に支持される支持用リブを含む。
【0027】
同構成によれば、外装部材の外周に対して挿入口を通じて経路規制部材を後付けすることができる。そして、経路規制部材は、本体部の外周から突出するとともに経路規制部材の長さ方向に沿って延びるリブを有するため、経路規制部材の曲げ剛性を高くすることができる。よって、電線部材の経路からの逸脱を抑えることができる。しかも、リブは、本体部の第1構成部と第2構成部とにそれぞれ設けられ、固定部材の一対の支持部に支持される支持用リブを含むため、経路規制部材付き電線は、支持され易い構成となる。すなわち、支持用リブは、本体部における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部と、本体部における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部とに設けられるため、一対の支持部が支持用リブを支持して経路規制部材付き電線を保持し易くなる。
【0028】
[12]前記経路規制部材は、前記外装部材よりも堅硬であることが好ましい。
同構成によれば、堅硬な経路規制部材によって、電線部材の経路をより強固に規制することができる。
【0029】
[本開示の実施形態の詳細]
本開示のワイヤハーネスの具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。各図面では、説明の便宜上、構成の一部を誇張又は簡略化して示す場合がある。また、各部分の寸法比率については各図面で異なる場合がある。なお、本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。本明細書における「直交」は厳密に直交の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね直交の場合も含まれる。また、本明細書における「円」や「円弧」は厳密に円や円弧の場合のみでなく、本実施形態における作用効果を奏する範囲内で概ね円や円弧の場合も含まれる。
【0030】
(ワイヤハーネス10の全体構成)
図1に示すワイヤハーネス10は、2個又は3個以上の電気機器を電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、ハイブリッド車や電気自動車等の車両Vの前部に設置されたインバータ11と、そのインバータ11よりも車両Vの後方に設置された高圧バッテリ12とを電気的に接続する。ワイヤハーネス10は、例えば、車両Vの床下等を通るように配索される。例えば、ワイヤハーネス10の長さ方向の中間部が車両Vの床下等の車室外を通るように配索される。
【0031】
インバータ11は、車両走行の動力源となる図示しない車輪駆動用のモータと接続される。インバータ11は、高圧バッテリ12の直流電力から交流電力を生成し、その交流電力をモータに供給する。高圧バッテリ12は、例えば、数百ボルトの電圧を供給可能なバッテリである。
【0032】
図2に示すように、ワイヤハーネス10は、経路規制部材付き電線13を備えている。経路規制部材付き電線13は、上記電気機器同士を電気的に接続する電線部材20と、電線部材20の外周を覆う筒状の外装部材30と、外装部材30の外周を覆うとともに電線部材20が配索される経路(以下、配索経路という)を規制する経路規制部材40とを備えている。
【0033】
また、
図2及び
図4に示すように、ワイヤハーネス10は、経路規制部材40を保持するとともに車両Vの車体V1に固定される固定部材60を備えている。電線部材20の両端部には、一対のコネクタC1,C2が取り付けられている。
【0034】
(電線部材20の構成)
電線部材20は、1本又は複数本の電線21と、各電線21の外周を一括して覆う編組部材24とを有している。本実施形態の電線部材20は、2本の電線21を有している。電線部材20の一端部はコネクタC1を介してインバータ11と接続され、電線部材20の他端部はコネクタC2を介して高圧バッテリ12と接続されている。電線部材20は、例えば、車両の前後方向に延びるように長尺状に形成されている。電線21は、例えば、高電圧・大電流に対応可能な高圧電線である。電線21は、例えば、自身に電磁シールド構造を有しないノンシールド電線であってもよいし、自身に電磁シールド構造を有するシールド電線であってもよい。
【0035】
(電線21の構成)
図2に示すように、電線21は、導体よりなる芯線22と、芯線22の外周を被覆する絶縁被覆23とを有する被覆電線である。
【0036】
(芯線22の構成)
芯線22としては、例えば、複数の金属素線をより合わせてなる撚線、内部が中実構造をなす柱状の1本の金属棒からなる柱状導体や、内部が中空構造をなす筒状導体などを用いることができる。また、芯線22として、例えば、撚線、柱状導体、筒状導体等の複数種類の導体を組み合わせたものを用いることもできる。柱状導体としては、例えば、単芯線やバスバなどを挙げることができる。本実施形態の芯線22は、撚線である。芯線22の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。
【0037】
芯線22の長さ方向、すなわち電線21の長さ方向に直交する平面によって芯線22を切断した断面形状(以下、横断面形状という)は、任意の形状にすることができる。芯線22の横断面形状は、例えば、円形状、半円状、多角形状、正方形状、扁平形状等に形成されている。本実施形態の芯線22の横断面形状は、円形状に形成されている。
【0038】
(絶縁被覆23の構成)
絶縁被覆23は、例えば、芯線22の外周面を全周にわたって被覆している。絶縁被覆23は、例えば、合成樹脂などの絶縁材料からなる。絶縁被覆23の材料としては、例えば、架橋ポリエチレンや架橋ポリプロピレンなどのポリオレフィン系樹脂を主成分とする合成樹脂を用いることができる。また、絶縁被覆23の材料としては、1種の材料を単独で用いてもよいし、2種以上の材料を適宜組み合わせて用いてもよい。
【0039】
(編組部材24の構成)
編組部材24は、例えば、全体として各電線21の外周を一括して覆う筒状をなしている。編組部材24は、例えば、電線21の長さ方向の略全体にわたって各電線21の外周を覆うように設けられている。編組部材24としては、複数の金属素線が編成された編組線や、金属素線と樹脂素線とを組み合わせて編成された編組線を用いることができる。金属素線の材料としては、例えば、銅系やアルミニウム系などの金属材料を用いることができる。図示は省略するが、編組部材24は、例えば、各コネクタC1,C2などにおいてアース接続されている。
【0040】
(外装部材30の構成)
図2及び
図3に示すように、外装部材30は、電線部材20の外周を周方向の全体にわたって覆う円筒状をなしている。外装部材30は、周方向の全体にわたって密閉されている。外装部材30は、例えば、電線部材20の長さ方向の一部の外周を被覆するように設けられている。
図3に示すように、本実施形態の外装部材30は、その長さ方向に沿って環状凸部31と環状凹部32とが交互に連なって設けられた蛇腹構造を有するコルゲートチューブである。外装部材30は、可撓性を有している。
【0041】
外装部材30の材料としては、例えば、導電性を有する樹脂材料や導電性を有しない樹脂材料を用いることができる。樹脂材料としては、例えば、ポリオレフィン、ポリアミド、ポリエステル、ABS樹脂などの合成樹脂を用いることができる。
【0042】
(経路規制部材40の構成)
図2及び
図4に示すように、経路規制部材40は、外装部材30の外周のうち外装部材30の周方向の半分より大きい範囲を覆うとともに外装部材30の長さ方向に沿って延びている。本実施形態の経路規制部材40は、例えば、電線部材20の配索経路のうち車両Vの床下等の外装部材30が直線状に延びる部分の外周に取り付けられている。経路規制部材40は、外装部材30よりも堅硬である。すなわち、経路規制部材40は、外装部材30に比べて、ワイヤハーネス10の長さ方向に直交する方向に曲がり難い硬さを有している。
【0043】
経路規制部材40は、樹脂製である。経路規制部材40の材料としては、例えば、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリアセタールなどの合成樹脂を用いることができる。経路規制部材40は、例えば、押出成形や射出成形などの周知の製造方法によって製造することができる。本実施形態の経路規制部材40は、長さ方向から見た断面形状が一定とされている。経路規制部材40は、押出成形品である。なお、上記のように、経路規制部材40は、外装部材30よりも堅硬であるが、経路規制部材40の構成材料が外装部材30の構成材料よりも素材として硬い材料である必要はない。すなわち、経路規制部材40の構成材料は、外装部材30の構成材料に対して、硬い材料であっても柔らかい材料であってもよい。また、経路規制部材40の構成材料は、外装部材30の構成材料と同一の材料であってもよい。
【0044】
図2に示すように、経路規制部材40は、本体部41と、挿入口42と、リブ43とを有する。本体部41は、外装部材30の外周のうち外装部材30の周方向の半分より大きい範囲を覆うように形成されている。挿入口42は、本体部41における周方向の両端部44によって形成され、経路規制部材40の長さ方向と直交する方向に開口するとともに当該長さ方向の全体にわたって延びており、外装部材30が挿入可能に構成されている。リブ43は、本体部41の外周から突出するとともに経路規制部材40の長さ方向に沿って延びている。
【0045】
詳しくは、本体部41は、本体部41における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部45と、本体部41における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部46とを有する。そして、リブ43は、第1構成部45と第2構成部46とにそれぞれ設けられた支持用リブ47を含む。一対の支持用リブ47は、互いに正反対の方向に突出している。また、一対の支持用リブ47は、経路規制部材40が車体V1に対して固定された状態で水平方向に突出するように設定されている。なお、挿入口42は、経路規制部材40が車体V1に対して固定された状態で上方を向くように設定されている。
【0046】
また、リブ43は、本体部41における周方向の両端部44に設けられ、リブ43の突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブ48を含む。
また、リブ43は、本体部41における周方向の中心、すなわち第1構成部45と第2構成部46との境目に設けられた一般リブ49を含む。
【0047】
経路規制部材40は、内部に挿入された外装部材30に向かって突出して外装部材30の外面、より詳しくは、環状凸部31の外面に接触する一対の突出部50を有している。突出部50は、本体部41における周方向の両端部44における内面から突出している。突出部50の横断面形状は、例えば、半円形状をなしている。各突出部50は、長さ方向に沿って経路規制部材40の長さ方向の全体にわたって延びている。
【0048】
挿入口42は、経路規制部材40の長さ方向の全体にわたって延びている。挿入口42の開口幅、すなわち、本体部41における周方向の両端部44の最短距離は、外装部材30の外径よりも小さい。
【0049】
外装部材30を長さ方向に直交する方向から挿入口42に挿入する際、経路規制部材40は弾性変形されて挿入口42の開口幅は大きくされる。外装部材30が経路規制部材40の内部に挿入されると、経路規制部材40が元の形状に戻ろうと弾性復帰する。これにより、上記開口幅が外装部材30の外径よりも小さくなるため、外装部材30に対して経路規制部材40が取り付けられる。
【0050】
(固定部材60の構成)
図2及び
図4に示すように、固定部材60は、経路規制部材付き電線13を保持するとともに車体V1の取付面V2に固定されるものである。本実施形態の取付面V2は、車両Vの床下の車室外の面であって、地面と対向する面である。
図4に示すように、固定部材60は、経路規制部材40の長さ方向に複数設けられている。本実施形態では、固定部材60は、経路規制部材40の長さ方向に2つ設けられている。
【0051】
固定部材60は、樹脂製である。固定部材60は、経路規制部材40の支持用リブ47を支持する一対の支持部61を有する。
詳しくは、
図2に示すように、固定部材60は、車体V1の取付面V2と対向する板状の車体対向部62と、車体対向部62の幅方向両側から屈曲して延びる支持部61とを有する。
【0052】
車体対向部62は、取付面V2に形成された取付孔V3に嵌着される嵌着部63を有する。支持部61は、固定部材60が車体V1に対して固定された状態で下方に延びように設定されている。また、一対の支持部61は、支持部61の先端から互いに向かい合う側に突出する支持爪64を有する。支持部61は、支持爪64の上面に支持用リブ47の下面が乗せられる態様で支持用リブ47を支持する。言い換えると、経路規制部材付き電線13は、その上方の部位が一対の支持部61の間に配置されるとともに、一対の支持用リブ47が一対の支持爪64上に支持されて固定部材60に保持される。
【0053】
固定部材60は、保持した経路規制部材40の挿入口42に向かって突出する係合部65を有する。言い換えると、固定部材60は、保持した経路規制部材40の挿入口42の内側に配置されるように突出する係合部65を有する。係合部65は、経路規制部材40の本体部41における周方向の両端部44と接触可能である。係合部65は、経路規制部材40の本体部41における周方向の両端部44の間に配置され、経路規制部材40が固定部材60に対して周方向に回転しようとすると両端部44と接触して経路規制部材40の回転を規制する。
【0054】
係合部65は、固定部材60の車体対向部62に設けられている。詳しくは、係合部65は、車体対向部62から挿入口42に向かって突出している。言い換えると、係合部65は、車体V1における取付面V2側から突出している。係合部65は、地面方向に向かって突出している。これにより、経路規制部材40の挿入口42は取付面V2側である上方を向くことになる。
【0055】
また、係合部65は、経路規制部材40の長さ方向から見て、先端側に向かうほど幅が狭くなる幅狭部66を有している。本実施形態では、係合部65は、全体が先端側に向かうほど幅が狭くなる幅狭部66とされている。そして、係合部65は、経路規制部材40の本体部41における周方向の両端部44と接触可能であるとともに、ガイドリブ48と接触可能である。すなわち、係合部65は、本体部41における周方向の両端部44とガイドリブ48とに同時に接触可能とされている。なお、経路規制部材40は、固定部材60に対して周方向に回転してしまうことが抑制されつつ、経路規制部材40の長さ方向において固定部材60に対する位置が調整可能とされている。
【0056】
図4に示すように、ワイヤハーネス10は、外装部材30の長さ方向において外装部材30に対する経路規制部材40の移動を規制するスライド規制部材70を備える。本実施形態のスライド規制部材70は、粘着テープである。スライド規制部材70は、経路規制部材40の長さ方向の両端において、経路規制部材40から外装部材30にわたって巻き付けられることで、外装部材30に対する経路規制部材40の移動を規制する。
【0057】
本実施形態の作用について説明する。
本実施形態のワイヤハーネス10によれば、外装部材30の外周に対して挿入口42を通じて経路規制部材40を後付けすることができる。言い換えると、外装部材30に対して経路規制部材40を、外装部材30の長さ方向と直交する方向から組み付けることができる。経路規制部材40は、外装部材30の外面に接触する一対の突出部50を有しているため、挿入口42を通じた外装部材30からの経路規制部材40の脱離を抑制できる。
【0058】
そして、経路規制部材40は、本体部41の外周から突出するとともに経路規制部材40の長さ方向に沿って延びるリブ43を有するため、経路規制部材40の曲げ剛性を高くすることができる。よって、例えば、振動や何らかの外力が加わっても経路規制部材40が曲がってしまうことが抑えられ、外装部材30、ひいては電線部材20が経路から逸脱してしまうことが抑えられる。
【0059】
また、外装部材30に取り付けられた経路規制部材40を支持用リブ47によって固定部材60に保持させて、固定部材60を車体V1に固定することでワイヤハーネス10を固定することができる。この際、固定部材60の係合部65が経路規制部材40の本体部41における周方向の両端部44と接触可能となるため、経路規制部材40が固定部材60に対して周方向に回転してしまうことが抑制される。
【0060】
本実施形態の効果について説明する。
(1)外装部材30の外周に対して挿入口42を通じて経路規制部材40を後付けすることができる。そして、経路規制部材40は、本体部41の外周から突出するとともに経路規制部材40の長さ方向に沿って延びるリブ43を有するため、経路規制部材40の曲げ剛性を高くすることができる。よって、電線部材20の経路からの逸脱を抑えることができる。また、経路規制部材40の曲げ剛性を高くすることができるので本体部41の厚さを薄くすることも可能となる。
【0061】
(2)経路規制部材40は、外装部材30よりも堅硬であるため、堅硬な経路規制部材40によって、電線部材20の経路をより強固に規制することができる。
(3)リブ43は、本体部41の第1構成部45と第2構成部46とにそれぞれ設けられた支持用リブ47を含むため、経路規制部材付き電線13は、他の部材に支持され易い構成となる。すなわち、支持用リブ47は、本体部41における周方向の中心よりも一方側を構成する第1構成部45と、本体部41における周方向の中心よりも他方側を構成する第2構成部46とに設けられる。よって、固定部材60が一対の支持部61によって一対の支持用リブ47を支持して経路規制部材付き電線13を保持し易くなる。
【0062】
(4)リブ43は、本体部41における周方向の両端部44に設けられ、リブ43の突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブ48を含むため、外装部材30を経路規制部材40の内部にスムーズに挿入することができるようになる。
【0063】
(5)固定部材60は係合部65を有し、係合部65は、本体部41における周方向の両端部44と接触可能であるため、固定部材60は、経路規制部材40を保持しつつ経路規制部材40が固定部材60に対して周方向に回転してしまうことを抑制できる。よって、例えば、車両Vの走行時の振動等によって経路規制部材40が回転してしまうことが抑えられ、挿入口42が地面と対向するように下を向いてしまうことが抑えられる。その結果、例えば、飛び石等から外装部材30を保護する経路規制部材40の能力が低下してしまうことが抑えられ、ワイヤハーネス10の耐久性の低下を抑えることができる。また、車体V1に固定される固定部材60が経路規制部材40の回転を抑制する係合部65を有するため、それらの機能を別部材で構成した場合に比べて、部品点数を少なくできる。
【0064】
(6)係合部65は、経路規制部材40の長さ方向から見て、先端側に向かうほど幅が狭くなる幅狭部66を有するため、係合部65が挿入口42に挿入され易くなり、組み付けが容易となる。
【0065】
(7)係合部65は、ガイドリブ48と接触可能であるため、経路規制部材40が固定部材60に対して周方向に回転してしまうことをより抑制できる。
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0066】
・上記実施形態では、リブ43は、本体部41の第1構成部45と第2構成部46とにそれぞれ設けられた支持用リブ47を含むとしたが、これに限定されず、支持用リブ47を有していない経路規制部材としてもよい。また、一対の支持用リブ47は、互いに正反対の方向に突出しているとしたが、正反対からずれた方向に突出している構成としてもよい。なお、この場合、経路規制部材40と共に固定部材60の形状を変更する必要がある。
【0067】
・上記実施形態では、リブ43は、本体部41における周方向の両端部44に設けられ、リブ43の突出方向に向かうほど互いの間隔が広くなるガイドリブ48を含むとしたが、これに限定されず、ガイドリブ48を有していない経路規制部材としてもよい。
【0068】
・上記実施形態では、リブ43は、本体部41における周方向の中心、すなわち第1構成部45と第2構成部46との境目に設けられた一般リブ49を含むとしたが、これに限定されず、一般リブ49を有していない経路規制部材としてもよい。
【0069】
・上記実施形態のリブ43、詳しくは、支持用リブ47、ガイドリブ48、及び一般リブ49、以外のリブを有する経路規制部材としてもよい。例えば、上記実施形態の経路規制部材40において、支持用リブ47と一般リブ49との間に、更にリブを設けた構成としてもよい。
【0070】
・上記実施形態では、固定部材60は係合部65を有し、係合部65は、本体部41における周方向の両端部44と接触可能であるとしたが、これに限定されず、係合部65を有していない固定部材としてもよい。なお、この場合、経路規制部材40が固定部材60に対して周方向に回転してしまうことを、他の構成で抑制することが好ましい。
【0071】
・上記実施形態では、係合部65は、経路規制部材40の長さ方向から見て、先端側に向かうほど幅が狭くなる幅狭部66を有するとしたが、これに限定されず、幅狭部66を有していない係合部としてもよい。
【0072】
・上記実施形態では、係合部65は、ガイドリブ48と接触可能であるとしたが、これに限定されず、ガイドリブ48と接触しない構成としてもよい。
・上記実施形態では、経路規制部材40は外装部材30よりも堅硬であるとしたが、これに限定されず、経路規制部材40を外装部材30と同等の硬さ、または外装部材30よりも柔らかく構成してもよい。すなわち、経路規制部材40は、外装部材30が曲がり難くなるように作用して電線部材20が配索される経路を規制できれば、外装部材30よりも堅硬であっても、外装部材30よりも柔らかくても、外装部材30と同等の硬さであってもよい。
【0073】
・上記実施形態では、経路規制部材40は、樹脂製であるとしたが、これに限定されず、例えば、金属製としてもよい。例えば、経路規制部材40は、鉄系又は銅系又はアルミニウム系などの金属材料からなるものとしてもよい。また、経路規制部材40を金属製の板材から構成し、リブ43は板材を折り曲げることで形成してもよい。このように経路規制部材40を金属製とすると、例えば、車両Vの熱源に近い位置に配置された場合等に、外装部材30の内部の温度、ひいては、電線部材20の温度が上昇することを抑制できる。また、経路規制部材40が樹脂製か金属製かに関わらず、リブ43は中実でなくてもよく、中空であってもよい。
【0074】
・上記実施形態では、固定部材60は、経路規制部材40の長さ方向に2つ設けられるとしたが、これに限定されず、経路規制部材40の長さ方向に1つ設けられる構成や3つ以上設けられる構成としてもよい。
【0075】
・上記実施形態では、経路規制部材40は、外装部材30の外面に接触する突出部50を有しているとしたが、これに限定されず、突出部50を有していない構成としてもよい。
【0076】
・上記実施形態では、固定部材60は、嵌着部63によって車体V1に対して固定される構成としたが、これに限定されず、他の構成で固定されるものとしてもよい。
・外装部材30は、コルゲートチューブの外面に金属材料を含む金属層が設けられるものであってもよい。こうした金属層は、例えば、めっき処理により設けることができる。金属層は、コルゲートチューブの環状凸部31及び環状凹部32の外面の全体に設けられていることが好ましい。金属層の最表面には、例えば、輻射率が小さいアルミニウムなどの金属材料を用いることが好ましい。こうした構成によれば、例えば、車両の熱源に近い位置に配置された場合等に、外装部材30の内部の温度、ひいては、電線部材20の温度が上昇することを抑制できる。
【0077】
・外装部材30は、外装部材30の長さ方向に延びるスリットを有するものであってもよい。この場合、スリットを外装部材30の長さ方向の全体にわたって塞ぐように、例えば、外装部材30の外周にテープ巻きを行うことにより、周方向の全体にわたって外装部材30を密閉することが好ましい。これにより、スリットを有する外装部材30の止水性の低下を抑制できる。
【0078】
・電線部材20は、1本の電線21を有するものであってもよいし、3本以上の電線21を有するものであってもよい。
・電線部材20は、編組部材24を省略することもできる。
【0079】
・ワイヤハーネス10は、外装部材30の長さ方向に互いに間隔をおいて設けられる複数の経路規制部材40を備えるものであってもよい。
・経路規制部材40は、車両Vの床下に設けられるものに限定されない。経路規制部材40は、電線部材20の配索経路のうち直線状に延びる部分であれば、例えば、車両Vの車室内に設けられるものであってもよい。
【符号の説明】
【0080】
10 ワイヤハーネス
11 インバータ
12 高圧バッテリ
20 電線部材
21 電線
22 芯線
23 絶縁被覆
24 編組部材
30 外装部材
31 環状凸部
32 環状凹部
40 経路規制部材
41 本体部
42 挿入口
43 リブ
44 端部
45 第1構成部
46 第2構成部
47 支持用リブ
48 ガイドリブ
49 一般リブ
50 突出部
60 固定部材
61 支持部
62 車体対向部
63 嵌着部
64 支持爪
65 係合部
66 幅狭部
70 スライド規制部材
C1 コネクタ
C2 コネクタ
V 車両
V1 車体
V2 取付面
V3 取付孔