(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】仲介装置、管理仲介方法及びプログラム、
(51)【国際特許分類】
H04L 43/103 20220101AFI20241016BHJP
【FI】
H04L43/103
(21)【出願番号】P 2020179586
(22)【出願日】2020-10-27
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】國本 慎太郎
【審査官】速水 雄太
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-199651(JP,A)
【文献】特開平05-064268(JP,A)
【文献】特開2014-078083(JP,A)
【文献】特開2006-004160(JP,A)
【文献】特開2019-079268(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04L 12/00-12/66
41/00-101/695
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
端末管理システムで用いられるプログラムであって、
前記端末管理システムは、端末管理装置と、前記端末管理装置と通信可能な仲介装置と、前記仲介装置と通信可能な端末装置とを備え、
前記端末管理装置は、前記仲介装置を介して前記端末装置を管理可能に構成されており、
前記プログラムは、前記仲介装置が備えるコンピュータに、
端末通信処理をインターバルを隔てて周期的に実行することを含む周期処理、
を実行させ、
前記端末通信処理は、
前記端末装置からの応答を要求する要求通知を送信する応答要求処理と、
前記端末装置で前記要求通知が受信されることに応じて前記端末装置から送信される前記応答を受信する応答受信処理と、
を含み、
前記プログラムは、前記コンピュータに、さらに、
前記端末管理装置から割り込みを受信する割り込み受信処理と
前記割り込み受信処理により前記割り込みが受信されることに応じて、現在実行中の前記周期処理を停止して前記端末通信処理を実行する割り込み対応処理と、
を実行させ
、
前記端末装置は、前記端末装置を特定する端末特定情報を有し、
前記要求通知は、前記端末特定情報を送信するように要求し、
前記応答要求処理は、
宛先を指定しないブロードキャストにより前記要求通知を送信するブロードキャスト処理と、
前記ブロードキャスト処理に先立って実行されるユニキャスト処理であって、宛先に前記端末装置を指定したユニキャストにより前記端末装置へ前記要求通知を送信するユニキャスト処理と、
を含む、プログラム。
【請求項2】
請求項1に記載のプログラムであって、
前記割り込み対応処理は、
前記インターバルに対応する期間中に前記割り込み受信処理により前記割り込みが受信されることに応じて、前記インターバルの終期を待つことなく、現在実行中の前記周期処理を停止して前記周期処理を初めから実行させる、第1の初期化処理、
を含む、プログラム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のプログラムであって、
前記割り込み対応処理は、
前記端末通信処理の実行中に前記割り込み受信処理により前記割り込みが受信されることに応じて、現在実行中の前記端末通信処理を停止させることなく継続させる、継続処理、
を含み、
前記割り込み対応処理は、前記継続処理により継続させた前記端末通信処理が終了することに応じて、現在実行中の前記周期処理を停止する、
プログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のプログラムであって、
前記割り込み対応処理は、
前記継続処理により継続させた前記端末通信処理が終了することに応じて、前記周期処理を初めから実行させる、第2の初期化処理、
を含む、プログラム。
【請求項5】
請求項1~請求項4のいずれか1項に記載のプログラムであって、
前記要求通知は、前記端末装置のステータスを示す情報を送信するように前記端末装置に要求する、
プログラム。
【請求項6】
請求項1~請求項5のいずれか1項に記載のプログラムであって、
前記プログラムは、前記コンピュータに、さらに、
前記応答受信処理により受信された前記応答に基づく情報を前記端末管理装置へ送信する送信処理、
を実行させる、プログラム。
【請求項7】
請求項1~
請求項6のいずれか1項に記載のプログラムであって、
前記端末装置は、バッテリを備え、前記バッテリの電力により前記応答を送信するように構成されている、
プログラム。
【請求項8】
端末管理システムで用いられる仲介装置であって、
前記端末管理システムは、前記仲介装置と、前記仲介装置と通信可能な端末管理装置と、前記仲介装置と通信可能な端末装置とを備え、
前記端末管理装置は、前記仲介装置を介して前記端末装置を管理可能に構成されており、
前記仲介装置は、
前記端末装置と通信するように構成された通信部と、
制御部と、
を備え、
前記制御部は、
端末通信処理をインターバルを隔てて周期的に実行することを含む周期処理を実行し、
前記端末通信処理は、
前記端末装置からの応答を要求する要求通知を前記通信部を介して送信する応答要求処理と、
前記端末装置で前記要求通知が受信されることに応じて前記端末装置から送信される前記応答を前記通信部を介して受信する応答受信処理と、
を含み、
前記制御部は、さらに、
前記端末管理装置からの割り込みを前記通信部を介して受信する割り込み受信処理と、
前記割り込み受信処理により前記割り込みが受信されることに応じて、現在実行中の前記周期処理を停止して前記端末通信処理を実行する割り込み対応処理と、
を実行し、
前記端末装置は、前記端末装置を特定する端末特定情報を有し、
前記要求通知は、前記端末特定情報を送信するように要求し、
前記応答要求処理は、
宛先を指定しないブロードキャストにより前記要求通知を送信するブロードキャスト処理と、
前記ブロードキャスト処理に先立って実行されるユニキャスト処理であって、宛先に前記端末装置を指定したユニキャストにより前記端末装置へ前記要求通知を送信する、ユニキャスト処理と、
を含む、仲介装置。
【請求項9】
端末管理システムにおいて仲介装置で用いられる管理仲介方法であって、
前記端末管理システムは、前記仲介装置と、前記仲介装置と通信可能な端末管理装置と、前記仲介装置と通信可能な端末装置とを備え、
前記端末管理装置は、前記仲介装置を介して前記端末装置を管理可能に構成されており、
前記管理仲介方法は、
端末通信処理をインターバルを隔てて周期的に実行すること、
を有し、
前記端末通信処理は、
前記端末装置からの応答を要求する要求通知を送信することと、
前記端末装置で前記要求通知が受信されることに応じて前記端末装置から送信される前記応答を受信することと、
を含み、
前記管理仲介方法は、さらに、
前記端末管理装置からの割り込みを受信することと、
前記割り込みを受信することに応じて前記端末通信処理を実行することと、
を有し、
前記端末装置は、前記端末装置を特定する端末特定情報を有し、
前記要求通知は、前記端末特定情報を送信するように要求し、
前記要求通知を送信することは、
宛先を指定しないブロードキャストにより前記要求通知を送信することと、
前記ブロードキャストによる前記要求通知の送信に先立って、宛先に前記端末装置を指定したユニキャストにより前記端末装置へ前記要求通知を送信すること、
を含む、管理仲介方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、端末装置を管理する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、プリンタの状態を常時監視するプリントサーバが開示されている。このプリントサーバは、プリンタの状態が変化したとき、または所定時間毎に、プリンタの状態を情報処理装置に通知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
プリントサーバがプリンタの状態を監視するためには、プリンタから状態情報を送信してもらう必要がある。プリンタは、プリントサーバへ状態情報を送信するために電力を要する。そのため、プリンタがプリントサーバにより常時監視されると、プリンタにおける消費電力が増大する。特に、バッテリの電力により動作するように構成された比較的小型のプリンタにおいては、常時監視されることに伴う消費電力の影響は小さくない。
【0005】
常時監視するのではなく、例えば、比較的長いインターバル(例えば30分)を隔ててプリンタから状態情報を取得するようにすれば、監視に伴うプリンタの消費電力を低減できる。しかし、インターバルが長くなるほど、消費電力の低減と引き換えに、状態情報取得の即時性が低下する。つまり、仮にインターバルの途中で最新の状態情報を知りたくても、インターバルが経過するまで待つ必要がある。
【0006】
本開示は上記課題に鑑み、端末装置の消費電力を抑えつつ、任意のタイミングにおける端末装置の情報を迅速に取得できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様は、端末管理システムで用いられるプログラムである。端末管理システムは、端末管理装置と、仲介装置と、端末装置とを備える。仲介装置は、端末管理装置と通信可能である。端末装置は、仲介装置と通信可能である。端末管理装置は、仲介装置を介して端末装置を管理可能である。
【0008】
前記プログラムは、仲介装置が備えるコンピュータに、周期処理を実行させる。周期処理は、端末通信処理をインターバルを隔てて周期的に実行することを含む。端末通信処理は、応答要求処理と、応答受信処理とを含む。応答要求処理は、端末装置からの応答を要求する要求通知を送信する処理である。前記応答は、端末装置で要求通知が受信されることに応じて端末装置から送信される。応答受信処理は、前記応答を受信する処理である。
【0009】
前記プログラムは、コンピュータに、さらに、割り込み受信処理と、割り込み対応処理とを実行させる。割り込み受信処理は、端末管理装置から割り込みを受信する処理である。割り込み対応処理は、割り込み受信処理により割り込みが受信されることに応じて、現在実行中の周期処理を停止して端末通信処理を実行する処理である。
【0010】
このようなプログラムが仲介装置で実行されれば、端末装置は、基本的には、インターバルを隔てて周期的に受信される要求通知に対して応答を送信すればよい。そのため、応答送信に必要な消費電力を低減できる。一方、仲介装置は、端末管理装置から割り込みを受けた場合は、例外的に、現在実行中の周期処理を停止して、要求通知を送信する。これにより、仲介装置は端末装置から即時的に応答を受信することができる。
【0011】
したがって、このプログラムによれば、端末装置における消費電力を抑えつつ、任意のタイミングにおける端末装置からの応答を迅速に取得することが可能となる。
本開示の別の一態様では、上記プログラムが実行されるように構成された仲介装置が提供されてもよい。本開示のさらに別の一態様では、上記プログラムが実行される仲介装置において用いられる管理仲介方法が提供されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】実施形態の端末管理システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】実施形態の端末装置の概略構成を示す説明図である。
【
図3】実施形態の端末管理システムにおける4つの機能を模式的に示す説明図である。
【
図4】実施形態の第1ポーリングの実行例を示すタイムチャートである。
【
図5】実施形態の第1ポーリング処理のフローチャートである。
【
図6】実施形態の検索処理のフローチャートである。
【
図7】実施形態の第1割り込み処理のフローチャートである。
【
図8】実施形態の第2ポーリング処理のフローチャートである。
【
図9】実施形態の第2割り込み処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の例示的な実施形態について、図面を参照しながら説明する。
[1.実施形態]
(1-1)端末管理システムの概要
図1に示す端末管理システム1は、集中管理装置5と、端末管理装置30と、少なくとも1つの被管理システムとを備える。被管理システムの各々は、仲介装置を備える。
【0014】
本実施形態では、端末管理システム1は例えば2つの被管理システムを備える。具体的には、端末管理システム1は、
図1に示すように、第1被管理システム110と、第2被管理システム120とを備える。
【0015】
第1被管理システム110は第1仲介装置10を備える。第1被管理システム110は、さらに、1つ以上の端末装置を備える。本実施形態では、第1被管理システム110は例えば3つの端末装置41,42,43を備える。各端末装置41~43は、本実施形態では、集中管理装置5及び端末管理装置30のいずれとも直接通信を行うことができない一方、第1仲介装置10と通信可能である。
【0016】
第2被管理システム120は第2仲介装置20を備える。第2被管理システム120は、さらに、1つ以上の端末装置を備える。本実施形態では、第2被管理システム120は例えば2つの端末装置44,45を備える。各端末装置44,45は、本実施形態では、集中管理装置5及び端末管理装置30のいずれとも直接通信を行うことができない一方、第2仲介装置20と通信可能である。
【0017】
各端末装置41~45はどのように構成されていてもよい。各端末装置41~45は、容易に持ち運び可能であってもよいし、据え置かれて使用されることが前提とされていて持ち運ぶことが容易ではなくてもよい。
【0018】
本実施形態の各端末装置41~45はいずれも、例えば、容易に持ち運び可能な小型の端末装置である。より具体的には、本実施形態の各端末装置41~45は、例えばプリンタ機能を有する。プリンタ機能は、画像データに基づく画像を記録紙(被記録媒体)に記録する機能である。各端末装置41~45の少なくとも1つは、さらにスキャン機能を有していてもよい。スキャン機能は、原稿に記録された画像を読み取ってその読み取った画像を示す画像データを生成する機能である。
【0019】
集中管理装置5及び端末管理装置30は、グローバルネットワーク200に接続され、グローバルネットワーク200を通じて相互に通信可能である。グローバルネットワーク200はどのようなネットワークでもよく、本実施形態では例えば、いわゆるTCP/IPプロトコルに従って通信が行われるように構成されたインターネットである。集中管理装置5及び端末管理装置30の各々は、ファイアウォール機能を備えた不図示のルータを介して、グローバルネットワーク200に接続されていてもよい。
【0020】
第1被管理システム110は、第1ローカルネットワーク(不図示)を備える。第1ローカルネットワークは、いわゆるイントラネットであってもよい。第1仲介装置10及び端末装置41~43の各々は第1ローカルネットワークに接続されている。第1仲介装置10と端末装置41~43の各々とは、第1ローカルネットワークを介して互いに通信可能である。
【0021】
第1ローカルネットワークは、有線のネットワークであってもよいし、無線のネットワークであってもよいし、有線と無線とが混在したネットワークであってもよい。本実施形態では、第1ローカルネットワークは、例えば、TCP/IPプロトコルを含む通信プロトコルに従って通信が行われる。より具体的には、本実施形態の第1ローカルネットワークは、例えば、IEEE802.11の規格に基づくいわゆる無線LANである。
【0022】
第1被管理システム110は、さらに、第1中継装置111を備える。第1中継装置111は、グローバルネットワーク200及び第1ローカルネットワークに接続され、グローバルネットワーク200と第1ローカルネットワークとの通信を中継する。第1仲介装置10は、第1中継装置111を介して端末管理装置30と通信可能である。
【0023】
第1中継装置111は、いわゆるブロードバンドルータの機能を備えていてもよい。また、第1中継装置111は、グローバルネットワーク200から第1被管理システム110へのアクセスを制限するためのファイアウォールを備えていてもよい。
【0024】
第2被管理システム120は、基本的には、第1被管理システム110と同様に構成されている。即ち、第2仲介装置20は、基本的に第1仲介装置10と同様に構成されている。また、第2被管理システム120は、第2ローカルネットワーク(不図示)を備える。第2ローカルネットワークは、第1ローカルネットワークと同じ種類のネットワークであってもよいし、第1ローカルネットワークとは異なる種類のネットワークであってもよい。第2被管理システム120は、さらに、第2中継装置121を備える。第2中継装置121は、第1中継装置111と同様の機能を備える。第2仲介装置20は、第2中継装置121を介して端末管理装置30と通信可能である。
【0025】
なお、以下の説明で、単に「端末装置」と言うときは、端末装置41~45のそれぞれを示す。また、単に「被管理システム」と言うときは、第1被管理システム110及び第2被管理システム120のそれぞれを示す。また、単に「仲介装置」と言うときは、第1仲介装置10及び第2仲介装置20のそれぞれを示す。
【0026】
端末管理システム1は、いわゆるモバイル端末管理システム(MDMシステム)の一部を含む。即ち、集中管理装置5は、例えば、MDMシステムのサービスを提供する第1の会社が保有している。一方、端末管理装置30、第1仲介装置10及び第2仲介装置20は、例えば、MDMシステムを利用して各端末装置41~45を管理することを望む第2の会社が保有している。第1仲介装置10は、例えば第2の会社が有する第1の支店に設けられ、第2仲介装置20は、例えば第2の会社が有する第2の支店に設けられていてもよい。
【0027】
集中管理装置5は、MDMシステムにおいて各種の管理対象のモバイル端末(不図示)と通信を行うことによりそれらモバイル端末を管理可能である。集中管理装置5がモバイル端末と通信を行うことによりモバイル端末を管理することは、MDMシステムにおける基本機能の1つである。
【0028】
本実施形態の集中管理装置5は、さらに、当該集中管理装置5と直接通信を行う機能を有していない端末装置を管理可能である。即ち、端末装置の管理者は、集中管理装置5から、端末管理装置30を通じて被管理システムにアクセスする(詳しくは仲介装置にアクセスする)ことにより、被管理システム内の端末装置を管理可能である。
【0029】
管理者は、例えばWebブラウザを用いて集中管理装置5における管理用サイトにアクセスすることにより、端末装置を管理することができる。具体的には、管理者は例えば、管理用サイトにアクセスして端末装置のステータスを確認することができる。また例えば、管理者は、管理用サイトを通じて、端末装置へアクションを要求することができる。
【0030】
また、管理者は、集中管理装置5を介在させずに端末管理装置30に直接アクセスすることによっても、上記同様に端末装置を管理できる。例えば、管理者は、端末管理装置30が備える後述のユーザI/F33を介して、或いはWebブラウザを用いて端末管理装置30における端末管理用サイトにアクセスすることによって、端末装置を管理することができる。なお、「I/F」は「インタフェース」の略称である。
【0031】
(1-2)端末管理装置の構成
図1に示すように、端末管理装置30は、制御部31と、記憶部32と、ユーザI/F33と、通信I/F34とを備える。
【0032】
制御部31は例えばCPUを有する。記憶部32は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリ、SSDなどの半導体メモリを有する。即ち、端末管理装置30は、CPU及び半導体メモリを含むコンピュータを備えている。記憶部32は、例えばハードディスクドライブなどの、半導体メモリとは異なるメモリを備えていてもよい。記憶部32には、オペレーティングシステム、Webサーバ、端末管理プログラム及び管理データベース(以下、「管理DB」と称する)を含む、各種のプログラムやデータ等が記憶されている。
【0033】
制御部31は、記憶部32に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。なお、制御部31により実現される各種機能は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0034】
管理DBは、管理対象として登録された端末装置(以下、「登録端末」と称する)ごとの管理情報を含む。管理情報は、例えば、登録端末のIPアドレス、シリアル番号、モデル名、所属情報、ステータス情報、ファームウェアのバージョン情報などを含む。モデル名は、端末装置の機種を示す。
【0035】
所属情報は、登録端末が対応付けられている仲介装置を特定する情報である。端末管理装置30は、登録端末の各々を、どの仲介装置を介して管理するかに基づいて区別して登録する。本実施形態では、端末装置41~43はそれぞれ第1仲介装置10に対応づけられており、端末装置44,45はそれぞれ第2仲介装置20に対応づけられている。
【0036】
シリアル番号は、端末装置毎に与えられた、当該端末装置を特定する固有の番号である。シリアル番号は、例えば、MACアドレスであってもよいし、特定の番号であってもよい。
ステータス情報は、端末装置のステータスを示すどのような情報を含んでいてもよい。ステータス情報は、例えば、端末装置において設定されている各種設定値、後述するバッテリ56の残量、バッテリ残量が第1閾値より少ないか否かを示す情報、記録紙の残量、記録紙が枯渇しているか否かを示す情報、印刷枚数カウント値、当該印刷枚数カウント値が第2閾値に到達しているか否かを示す情報、不図示のカバーの開閉状態を示す情報、端末装置が存在している場所を示すロケーション情報、端末装置のユーザ名、などのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。ロケーション情報及びユーザ名は、管理者が端末装置へマニュアル入力可能であってもよい。各種設定値は、例えば、プリンタ機能で用いられるフォント、フォントサイズ、濃度、画質、記録紙サイズ、印刷履歴、着色剤残量などを含んでいてもよい。
【0037】
ユーザI/F33は、例えばキーボードやマウスなど、管理者による各種入力を受け付けるための入力装置を備える。ユーザI/F33は、さらに、例えば液晶パネルやLED表示装置などの、管理者へ各種情報を表示するための表示装置を備える。
【0038】
通信I/F34は、集中管理装置5及び各仲介装置10,20等と通信するためのインタフェースである。通信I/F34は、例えば有線LAN、無線LAN、その他の各種通信のインタフェースであってもよい。本実施形態では、通信I/F34は、グローバルネットワーク200に接続されている。
【0039】
(1-3)仲介装置の構成
本実施形態では、第1仲介装置10及び第2仲介装置20はいずれも同じ構成を備えているため、以下では第1仲介装置10について説明する。
図1に示すように、第1仲介装置10は、制御部11と、記憶部12と、ユーザI/F13と、通信I/F14とを備える。
【0040】
制御部11は例えばCPUを有する。記憶部12は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリ、SSDなどの半導体メモリを有する。即ち、第1仲介装置10は、CPU及び半導体メモリを含むコンピュータを備えている。記憶部12は、例えばハードディスクドライブなどの、半導体メモリとは異なるメモリを備えていてもよい。記憶部12には、OS15、仲介プログラム16及び登録端末リストを含む、各種のプログラムやデータ等が記憶されている。
【0041】
制御部11は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。本実施形態では、記憶部12が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。なお、制御部11により実現される各種機能は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0042】
登録端末リストは、第1仲介装置10に対応づけされている登録端末を特定する情報を含む。本実施形態では、登録端末リストは、例えば、対応づけされている登録端末のシリアル番号を含む。
【0043】
仲介プログラム16は、集中管理装置5又は端末管理装置30による端末装置の管理を仲介するための各種処理を含む。
図5~
図9に示す各処理は、仲介プログラム16に含まれる。
【0044】
仲介プログラム16は、第1仲介装置10にプリインストールされて提供されてもよい。仲介プログラム16は、例えばCD-ROM、DVD-ROM、USBメモリ、フラッシュメモリなどの記憶媒体に記憶された状態で提供され、第1仲介装置10においてその記憶媒体から仲介プログラム16を読み取らせることによってインストールされてもよい。仲介プログラム16は、インターネットの通信回線を介して第1仲介装置10にダウンロードされることによってインストールされてもよい。
【0045】
以下の説明では、プログラムを実行する主体(例えば第1仲介装置10においては制御部11)のことを、単にプログラム名で記載する場合がある。例えば、「仲介プログラム16が」という記載は、詳しくは「仲介プログラム16を実行する制御部11が」を意味する場合がある。
【0046】
ユーザI/F13は、例えばキーボードやマウスなど、管理者による各種入力を受け付けるための入力装置を備える。ユーザI/F13は、さらに、例えば液晶パネルやLED表示装置などを備える。
【0047】
通信I/F14は、端末管理装置30及び各端末装置41~43等と通信するためのインタフェースである。通信I/F14は、例えば有線LAN、無線LAN、Bluetooth、USBその他の各種通信のインタフェースを備えていてもよい。第1仲介装置10は、端末管理装置30を含む、グローバルネットワーク200に接続されている各装置と、第1中継装置111が備えるファイアウォールを通じて通信する。
【0048】
(1-4)端末装置の構成
次に、各端末装置41~45の構成について説明する。本実施形態では、各端末装置41~45はいずれも同じ構成であるため、以下では端末装置41について
図2を参照して説明する。
【0049】
端末装置41は、制御部51と、記憶部52と、印刷部53と、通信I/F55と、バッテリ56と、電源回路57とを備える。端末装置41は、さらに読取部54を備えていてもよい。
【0050】
制御部51は例えばCPUを有する。記憶部52は、例えばROM、RAM、NVRAM、フラッシュメモリ、SSDなどの半導体メモリを有する。即ち、端末装置41は、CPU及び半導体メモリを含むコンピュータを備えている。記憶部52には、各種のプログラムやデータ等が記憶されている。
【0051】
制御部51は、非遷移的実体的記録媒体に格納されたプログラムを実行することにより各種機能を実現する。本実施形態では、記憶部52が、プログラムを格納した非遷移的実体的記録媒体に該当する。なお、制御部51により実現される各種機能は、プログラムの実行によって実現することに限るものではなく、その一部又は全部について、一つあるいは複数のハードウェアを用いて実現してもよい。
【0052】
記憶部52には、端末装置41のIPアドレス、シリアル番号、モデル名などが記憶されている。記憶部52には、さらに、後述する
図6のセルフチェック処理のプログラムが記憶されている。
【0053】
印刷部53は、前述のプリンタ機能を実現する。読取部54は、前述のスキャン機能を実現する。
通信I/F55は、端末管理装置30及び第1仲介装置10と通信するためのインタフェースである。通信I/F55は、例えば、無線LANによる通信を行うためのインタフェース、有線LANによる通信を行うためのインタフェース、Bluetooth(Bluetooth SIG,Inc.の登録商標)による通信を行うためのインタフェース、USB(Universal Serial Bus)による通信を行うためのインタフェース、のうちの少なくとも1つを備えていてもよい。端末装置41は、どのようなインタフェースを用いて第1仲介装置10と通信してもよい。
【0054】
電源回路57は、バッテリ56の電力から、少なくとも1種類の電源電圧を生成して出力する。端末装置41内の各部は、電源回路57で生成された少なくとも1種類の電源電圧のうちの1つによって動作する。バッテリ56は、一次電池であってもよいし、繰り返し充電可能な二次電池であってもよい。なお、端末装置41は、バッテリ56とは異なる電源から電力供給を受けて動作するように構成されていてもよい。
【0055】
(1-5)管理機能
本実施形態の端末管理システム1は、主に、
図3に模式的に示されている4種類の管理機能を有する。具体的には、端末管理システム1は、端末登録機能と、定期監視機能と、セルフチェック監視機能と、アクション指示機能とを有する。以下、これら4種類の管理機能について具体的に説明する。なお、以下の4種類の機能において、仲介装置により行われる処理は、基本的には、制御部11が仲介プログラム16を実行することにより実現される。また、端末管理装置30により行われる処理は、基本的には、制御部31が前述の端末管理プログラムを実行することにより実現される。また、端末装置で行われる処理も、基本的には、端末装置にインストールされているプログラムが実行されることにより実現される。
【0056】
(1-5-1)端末登録機能
端末登録機能は、仲介装置が、自身を含む被管理システム内に存在する端末装置を検索し、検索された端末装置に関する端末情報を端末管理装置30へ送信して登録要請することにより、端末管理装置30に当該端末装置を管理端末として登録させる機能である。端末登録機能の実行手順の一例を、
図3を参照して以下に説明する。
【0057】
(1-5-1-a)仲介装置による第1ポーリング
図3に「A1」で示されているように、仲介装置は、端末装置の検索を目的とする第1ポーリングを行う。具体的には、定期的に検索コマンドをブロードキャストすることにより、定期的に端末装置の検索を行う。検索コマンドは、当該検索コマンドを端末装置が受信したならばその端末装置における端末情報を送信するように要求する。要求する端末情報は、少なくとも端末装置を特定可能な情報を含む。具体的には、端末情報は、例えばシリアル番号、モデル名及びIPアドレスを含んでいてもよい。端末情報は、ステータス情報を含んでいてもよい。
【0058】
図4における「パターン1」は、第1ポーリングの一例を示している。即ち、第1ポーリングでは、インターバル(即ち待機期間)を隔てて端末装置の検索が定期的に行われる。本実施形態では、第1ポーリングは、一定のインターバルを隔てて(即ち一定周期で)
行われる。インターバルはどのような長さであってもよく、本実施形態では例えば30分である。
【0059】
(1-5-1-b)端末装置による応答
第1ポーリングにおける検索期間において、ブロードキャストされた検索コマンドを受信した端末装置は、
図3に「A2」で示されているように、端末情報を仲介装置へ送信する。これにより仲介装置は、自身が属する被管理システム内に存在している端末装置を把握できる。
【0060】
(1-5-1-c)端末管理装置への登録要請
第1ポーリングに対する端末情報を取得した仲介装置は、
図3に「A3」で示されているように、端末情報を含む登録要請を端末管理装置30へ送信する。これにより、端末管理装置30において、未登録の端末装置が管理DBに新規に登録される。
【0061】
仲介装置は、第1ポーリングに応答した全ての端末装置の端末情報を端末管理装置30へ送信してもよいし、未登録の端末装置の端末情報のみ端末管理装置30へ送信してもよい。未登録か否かの判断はどのような方法で行われてもよい。例えば、端末管理装置30から登録端末に関する情報を取得し、その情報に基づいて判断してもよい。また例えば、前述の登録端末リストを参照して判断してもよい。
【0062】
ここまで、端末登録機能の基本的な流れについて説明したが、本実施形態では、第1ポーリングによる端末検索に加え、任意のタイミングで即時的に端末検索を実行させて未登録端末を登録させることができる。つまり、第1ポーリングに対する第1割り込みをかけることで、第1ポーリングを停止させて端末検索を実行させることができる。この第1割り込みについては後で詳述する。
【0063】
(1-5-2)定期監視機能
定期監視機能は、仲介装置が、登録端末からステータス情報を定期的に取得して端末管理装置30へ送信する機能である。端末管理装置30は、ステータス情報を受信すると、ステータス情報に基づいて管理DBを更新する。これにより、管理者は、集中管理装置5及び端末管理装置30のいずれかにアクセスして管理DBを参照することで、登録端末の最新のステータスを確認することができる。
【0064】
定期監視機能の実行手順の一例を、
図3を参照して以下に説明する。
(1-5-2-a)仲介装置による定期ポーリング
図3に「B1」で示されているように、仲介装置は、自身に属している登録端末それぞれに対し、第2ポーリングを行う。第2ポーリングは、ステータス情報を要求する指示を含む。
【0065】
本実施形態の第2ポーリングは、例えば、SNMP(Simple Network Management Protocol)プロトコルに従って行われる、いわゆるSNMPポーリングである。なお、SNMPには、バージョン1(SNMPv1)、バージョン2(SNMPv2)及びバージョン3(SNMPv3)が存在する。第2ポーリングは、どのバージョンのSNMPに従って行われてもよいが、本実施形態では、セキュリティレベルが最も高いSNMPv3に従って行われる。
図3に「C3」で示されているSNMPリクエストについても同様である。SNMPv3は、ユーザ毎のパスワード認証機能や、ユーザ毎にアクセス可能なMIB(Management Information Base)の範囲を定義できるアクセス制御機能などを備えている。
【0066】
第2ポーリングは、どのようなタイミングで行ってもよい。第2ポーリングは、例えば一定周期で(例えば30分毎に)行ってもよい。また、仲介装置は、毎回全ての登録端末へポーリングしなくてもよい。即ち、例えばポーリングの実行タイミングが到来する度に、ポーリング対象の端末装置を1つずつまたは所定数ずつ順次切り替えていってもよい。
【0067】
(1-5-2-b)端末装置からのステータス情報送信
端末装置の記憶部52には、SNMPプロトコルで用いられるMIBが保存されている。自身が指定された第2ポーリングを受信した端末装置は、
図3に「B2」で示されているように、MIBに保存されているステータス情報のうちの一部または全てを仲介装置へ送信する。
【0068】
(1-5-2-c)端末管理装置へのステータス情報通知
仲介装置は、端末装置からステータス情報を受信すると、
図3に「B3」で示されているように、そのステータス情報を端末管理装置30へ送信する。端末管理装置30は、ステータス情報を受信すると、ステータス情報に基づいて「管理データベース」を更新する。
【0069】
ここまで、定期監視機能の基本的な流れについて説明したが、本実施形態では、第2ポーリングによるステータス情報の取得に加え、任意のタイミングで即時的にステータス情報を取得することができる。つまり、第2ポーリングに対する第2割り込みをかけることで、第2ポーリングを停止させてステータス情報を取得することができる。この第2割り込みについては後で詳述する。
【0070】
(1-5-3)セルフチェック監視機能
セルフチェック監視機能は、端末装置自身がステータスを監視し、ステータス変化を検知した場合に仲介装置へ通知する機能である。検知すべきステータス変化には、例えば、バッテリ残量が一定レベル減少すること、バッテリ残量が第1閾値未満になること、記録紙が枯渇すること、印刷カウントが第2閾値に到達すること、カバーが閉状態から開状態へ変化すること、ロケーションが変更されること、ユーザ名が変更されること、などの複数の事象のうちの少なくとも一つが含まれる。バッテリ残量が一定レベル減少することは、より詳しくは、バッテリ残量が規定初期値(例えば満充電時の残量)から規定%減少する毎を意味する。つまり、規定%が例えば10%である場合、バッテリ残量が規定初期値の90%、80%、70%・・・と10%ずつ減少していく毎に、ステータス変化が生じたと判断する。
【0071】
セルフチェック監視機能の実行手順の一例を、
図3を参照して以下に説明する。
(1-5-3-a)端末装置におけるセルフチェック
端末装置は、セルフチェック機能を有する。セルフチェック機能は、自身のステータスを定期的に(例えば一定周期で)チェックする機能である(
図3の「C1」参照)。セルフチェック機能は、さらに、チェック結果に基づいてステータス変化が生じたか否かを判断することを含む。
【0072】
(1-5-3-b)ステータス変化の検知に基づくステータス情報の送信
端末装置は、ステータス変化を検知した場合、
図3に「C2」で示されているように、セルフチェック情報を仲介装置へ通知する。セルフチェック情報は、少なくとも変化後の最新のステータスを認識可能な情報を含む。具体的に、セルフチェック情報は、例えば、検知したステータス変化を示す情報、及びステータス変化が生じたステータスを示す情報、のうちの少なくとも一方を含む。セルフチェック情報は、さらに、ステータス変化が検知されたステータスとは異なるステータスを示す情報を含んでいてもよい。つまり、セルフチェック情報は、前述の定期監視機能において端末装置が送信するステータス情報と同種であってもよい。
【0073】
(1-5-3-c)仲介装置から端末管理装置へのステータス情報の送信
仲介装置は、端末装置からセルフチェック情報を受信すると、
図3に「C3」で示されているように、当該セルフチェック情報を端末管理装置30へ送信する。
【0074】
端末管理装置30は、セルフチェック情報を受信すると、セルフチェック情報に基づいて「管理データベース」を更新する。これにより、管理者は、登録端末それぞれの最新のステータスを確認することができる。
【0075】
(1-5-4)アクション指示機能
アクション指示機能は、指示対象の端末装置(以下、「アクション対象端末」と称する)に対して1種類以上のアクションを要求することにより、アクション対象端末にアクションを実行させる機能である。
【0076】
1種類以上のアクションは、例えば、各種設定値の更新指示、ファームウェアの更新指示、ファイルのダウンロード指示、ステータス情報の送信要求などのうちの少なくとも1つを含んでいてもよい。また、アクション指示機能は、仲介装置に対するアクション指示を含んでいてもよい。例えば、仲介装置の周囲に存在している端末装置(換言すれば仲介装置と同一の被管理システムに存在している端末装置)の検索のためのブロードキャストを仲介装置に要請すること、がアクションの1つであってもよい。
【0077】
アクション指示機能の実行手順の一例を、
図3を参照して以下に説明する。
(1-5-4-a)端末管理装置へのアクション登録
管理者は、端末管理装置30に対して直接、または集中管理装置5を介して端末管理装置30へ、端末装置41~45のうちの1つ以上をアクション対象端末に指定してアクションを登録できる。
【0078】
端末管理装置30の記憶部32には、アクションテーブルが記憶されている。アクションテーブルは、登録されたアクションを示す情報を含む。アクションテーブルに登録されたアクションは、当該アクションが実行されることに応じてアクションテーブルから削除されてもよい。
【0079】
本実施形態の端末管理装置30は、自ら積極的に仲介装置へアクセスしない。その主な理由は、各中継装置111,121におけるファイアウォールによって被管理システムの内部へのアクセスが遮断されるためである。そのため、端末管理装置30は、登録されたアクションの要求を自らは行わない。
【0080】
(1-5-4-b)仲介装置からのアクション確認ポーリング
図3に「D1」で示されているように、仲介プログラム16は、端末管理装置30に対し、定期的にアクション確認ポーリングを送信する。アクション確認ポーリングは、端末管理装置30におけるアクションの登録有無を確認するためのポーリングである。
【0081】
アクション確認ポーリングは、例えば、仲介装置が属する被管理システムに所属している全ての登録端末を特定する識別情報(例えばシリアル番号)を含む。なお、一度のアクション確認ポーリングに全ての登録端末の識別情報が含まれなくてもよい。例えば、1つまたは複数の登録端末毎に個別に順次アクション確認ポーリングが行われてもよい。アクション確認ポーリングは、どのようなタイミングで送信されてもよい。アクション確認ポーリングは、例えば周期的に(例えば1時間毎に)送信されてもよい。
【0082】
(1-5-4-c)端末管理装置からのアクション情報提供
端末管理装置30は、仲介装置からアクション確認ポーリングを受信することに応じて、そのアクション確認ポーリングに含まれる識別情報が示す登録装置に対応したアクションの有無を確認する。アクション確認ポーリングを受信した端末管理装置30は、対応するアクションが登録されている場合に、
図3に「D2」で示されているように、そのアクションを示すアクション情報を、対応する登録端末(即ちアクション対象端末)と紐付けて仲介装置へ送信する。
【0083】
アクション情報及と登録端末との紐付けは、当該アクション情報がどの登録端末に対するアクションであるかを識別できる限りにおいてどのように行われてもよい。本実施形態では、例えば、登録端末のIPアドレスがアクション情報に付加される。
【0084】
(1-5-4-d)アクション情報に基づくアクション指示
仲介装置は、端末管理装置30からアクション情報を取得すると、
図3に「D3」で示されているように、当該アクション情報に紐付けられたアクション対象端末へアクション指示を行う。即ち、当該アクション情報が示すアクションを実行するように指示する。本実施形態では、前述の通り、アクション情報には対応するアクション対象端末のIPアドレスが付加されている。そのため、仲介装置は、そのIPアドレスをもとにアクション対象端末へアクセスし、アクション情報が示すアクションを指示する。
【0085】
(1-5-4-e)端末装置によるアクション実行
アクション対象端末は、仲介装置からアクション指示を受けると、当該アクション指示が示すアクションを実行する。そして、アクション実行後、
図3に「D4」で示されているように、アクションを正常に実行したことを示すアクション完了通知を仲介装置へ送信する。アクション完了通知は、実行したアクションの実行結果を示す情報を含んでいてもよい。具体的には、例えば、アクション実行後の当該アクション対象端末のステータス情報を含んでいてもよい。
【0086】
仲介装置は、端末装置からアクション完了通知を受信すると、端末管理装置30へ、アクションが正常に実行されたことを通知する。この通知においても、アクションの実行結果を示す情報が含まれていてもよい。これにより、管理者は、集中管理装置5及び端末管理装置30のいずれかにアクセスすることで、アクションが実行されたことや実行結果に関する情報を取得できる。
【0087】
(1-6)端末登録機能の詳細
(1-6-1)端末登録機能の実行例
端末登録機能の実行例を、
図4を参照して説明する。端末登録機能の実行例は、
図4に例示するように主に三種類のパターンに分類できる。パターン1は、前述の通り、第1割り込みが行われることなく第1ポーリングが実行されるパターンである。パターン2は、第1ポーリングにおいてインターバルの期間中に第1割り込みが行われる場合のパターンである。パターン3は、第1ポーリングにおいて端末装置の検索期間中に第1割り込みが行われる場合のパターンである。なお、
図4において時刻t0は、第1ポーリングの開始タイミングを示す。第1ポーリングは、端末検索から開始される。つまり、第1ポーリングが開始されるとまず端末検索が実行される。
【0088】
パターン2について
図4を参照して具体的に説明する。仲介装置は、第1ポーリングの開始後、インターバルの期間中の時刻t1で第1割り込みを受けると、第1ポーリングをリセット(即ち初期化)する。つまり、現在実行中の第1ポーリングを停止して、第1ポーリングを初めから開始する。これにより、仮に第1割り込みを受けなかったならば時刻t2までインターバルが継続していたのに対し、第1割り込みを受けたことで、時刻t1で端末装置の検索(即ちブロードキャスト)が行われる。
【0089】
なお、第1割り込みは、本実施形態では例えば端末管理装置30から送信される。管理者は、集中管理装置5を介して端末管理装置30へ、または端末管理装置30へ直接、任意のタイミングで第1割り込みを指示することができる。そのため、管理者は、すぐに新規登録させたい端末装置がある場合に、第1割り込みを指示することで、インターバルの終期を待つことなく迅速に登録させることができる。
【0090】
次に、パターン3について
図4を参照して具体的に説明する。仲介装置は、第1ポーリングの開始後、検索期間中の時刻t3で第1割り込みを受けると、現在実行中の検索を停止することなく継続する。そして、実行中の検索が終了した時に、第1ポーリングをリセットする。
【0091】
このように、本実施形態では、インターバル期間中に第1割り込みを受けた場合はすぐに第1ポーリングをリセットすることによりすぐに検索を実行する。一方、検索実行中に第1割り込みを受けた場合は、実行中の検索を最後まで継続させた後に第1ポーリングをリセットする。
【0092】
(1-6-2)第1ポーリング処理
端末装置の検索のための第1ポーリングは、仲介装置の制御部11が
図5の第1ポーリング処理を実行することにより実現される。制御部11は、起動すると、第1ポーリング処理を開始する。
【0093】
制御部11は、第1ポーリング処理を開始すると、S110で、検索処理を実行する。この検索処理は、端末装置を検索してその検索結果を端末管理装置30へ送信する処理である。
図3において「検索」で示されている期間が、検索処理の実行期間に対応する。
【0094】
検索処理の詳細は、
図6に示す通りである。制御部11は、S210で、優先端末が存在するか否か判断する。
検索処理は基本的には宛先を指定しないブロードキャストにより行われるが、例えば優先的に早く登録させたい端末装置がある場合に、管理者は、その端末装置の情報(例えばシリアル番号、IPアドレス、配置される被管理システム等)を端末管理装置30に通知すると共にその端末装置を優先端末に指定することができる。端末管理装置30は、優先端末の指定を受けると、当該優先端末の情報を含む、優先端末の指定を受けたことを示す通知を、当該優先端末が配置される被管理システムの仲介装置へ送信する。仲介装置は、優先端末指定の通知を受けると、通知に含まれている情報を記憶部12に保存する。そして、その保存した情報を、検索処理の実行時(特にS210、S240の実行時)に参照する。
【0095】
S210で、優先端末はないと判断した場合は、S250に移行する。優先端末が存在していると判断した場合は、S220に移行する。S220では、指定端末検索を行う。具体的には、一つの優先端末について、当該優先端末を宛先とするユニキャストを行うことで、当該優先端末から端末情報を取得する。S230では、S220で取得した端末情報を端末管理装置30へ送信する。S240では、S220の指定端末検索が行われていない優先端末が他にあるか否か判断する。他の優先端末がない場合は、S250に移行する。他にまだ優先端末がある場合は、S220に移行する。つまり、全ての優先端末について、S220~S230の処理を順次実行して、S250に移行する。
【0096】
S250では、前述のブロードキャストを行うことにより、端末装置の検索を行い、検索コマンドを受けた端末装置から送信される端末情報を取得する。S260では、S250のブロードキャストによる検索結果、即ち取得した端末情報を、端末管理装置30へ送信する。S260の処理が終了すると、S120(
図5参照)へ移行する。
【0097】
S120では、インターバルを開始する。S130では、インターバルが経過したか否か、即ちインターバルの終期が到来したか否か判断する。インターバルが経過するまでS130の判断を繰り返し、インターバルが経過したらS110へ移行する。
【0098】
(1-6-3)第1割り込み処理
端末管理装置30からの第1割り込みに対応するための第1割り込み処理について、
図7を参照して説明する。仲介装置の制御部11は、端末管理装置30から第1割り込みを受信すると、
図7に示す第1割り込み処理を実行する。なお、
図7におけるS310の処理、即ち第1割り込みを受信する処理は、厳密には、第1割り込み処理の一部ではなく、第1割り込み処理の開始のトリガとなる処理であるが、説明の便宜上、
図7に示している。
【0099】
制御部11は、第1割り込みを受信することにより(S310参照)、第1割り込み処理を開始すると、S320で、第1ポーリング処理における検索処理の実行中であるか否かを判断する。検索処理の実行中ではない場合、即ちインターバル期間中である場合は、S340に移行する。検索処理の実行中である場合は、S330に移行する。
【0100】
S330では、現在実行中の検索処理をそのまま継続させ、終了するまで待機する。そして、実行中の検索処理が終了したら、S340に移行する。
S340では、現在実行中の第1ポーリング処理をリセットする。つまり、現在実行中の第1ポーリング処理を停止させて、第1ポーリング処理を初めから開始させる。これにより、すぐに検索処理(S110)が開始されることになる。
【0101】
(1-7)定期監視機能の詳細
定期監視機能の実行例についても、端末登録機能における
図4に例示した3つのパターンと同様に三種類のパターンに分類できる。
図4において、「検索」の期間を、第2ポーリング処理におけるステータス情報の要求及び取得(以下、「ステータス取得」と略称する)に置き換え、「第1割り込み」を「第2割り込み」に置き換えれば、当該
図4は定期監視機能の実行例を示す図と見なせる。
【0102】
即ち、仲介装置は、第2ポーリングのインターバルの期間中に第2割り込みを受けると、第2ポーリングをリセットする。管理者は、ステータスをすぐに確認したい端末装置がある場合に、第2割り込みを指示することで、インターバルの終期を待つことなく迅速にその端末装置のステータスを確認することができる。
【0103】
一方、仲介装置は、第2ポーリングにおけるステータス取得の期間中に第2割り込みを受けた場合は、現在実行中のステータス取得を停止することなく継続する。そして、実行中のステータス取得が終了した時に、第2ポーリングをリセットする。
【0104】
(1-7-1)第2ポーリング処理
ステータス取得のための第2ポーリングは、仲介装置の制御部11が
図8の第2ポーリング処理を実行することにより実現される。制御部11は、起動すると、前述の第1ポーリング処理と並行して第2ポーリング処理を開始する。
【0105】
制御部11は、第2ポーリング処理を開始すると、S410で、ステータス取得処理を実行する。具体的には、仲介装置が属する被管理システム内の登録端末それぞれに対して宛先指定のユニキャストによりステータス情報を要求することにより、各登録端末からステータス情報を取得する。
【0106】
なお、第1ポーリング処理におけるS210~S240の処理と同様に、優先端末を指定可能であって、優先端末がある場合は優先端末のステータス情報を優先的に取得して端末管理装置30へ送信してもよい。
【0107】
また、ステータス取得処理では、登録端末毎の宛先を指定したユニキャストに限らず、サブネットにより規定された全てのIPアドレス宛に順次アクセスしてステータス情報を要求してもよい。
【0108】
ステータス取得処理が終了すると、S420へ移行する。S420では、インターバルを開始する。S430では、インターバルが経過したか否か判断する。インターバルが経過するまでS430の判断を繰り返し、インターバルが経過したらS410へ移行する。
【0109】
(1-7-2)第2割り込み処理
端末管理装置30からの第2割り込みに対応するための第2割り込み処理について、
図9を参照して説明する。仲介装置の制御部11は、端末管理装置30から第2割り込みを受信すると(S510参照)、
図9に示す第2割り込み処理を実行する。
【0110】
制御部11は、第2割り込みを受信することにより(S510参照)、第2割り込み処理を開始すると、S520で、第2ポーリング処理におけるステータス取得処理の実行中であるか否かを判断する。ステータス取得処理の実行中ではない場合、即ちインターバル期間中である場合は、S540に移行する。ステータス取得処理の実行中である場合は、S530に移行する。
【0111】
S530では、現在実行中のステータス取得処理をそのまま継続させ、終了するまで待機する。そして、実行中のステータス取得処理が終了したら、S540に移行する。
S540では、現在実行中の第2ポーリング処理をリセットする。つまり、現在実行中の第2ポーリング処理を停止させて、第2ポーリング処理を初めから開始させる。これにより、すぐにステータス取得処理(S410)が開始されることになる。
【0112】
(1-8)実施形態の効果
以上説明した実施形態によれば、以下の(a)~(c)の効果を奏する。
(a)本実施形態の仲介装置では、仲介プログラム16が実行されることで、上述した種々の機能、処理が実現される。
【0113】
具体的に、端末登録機能においては、基本的には第1ポーリングによって端末装置が検索される。そのため、端末装置は、基本的には、インターバルを隔てて周期的に受信される検索コマンドに対して端末情報を送信すればよい。そのため、端末情報の送信に必要な消費電力を低減できる。本実施形態の端末装置は、バッテリ56の電力によって動作する。そのため、端末装置への情報要求が比較的長いインターバルを隔てて行われることは、バッテリを長く持たせることにも寄与する。
【0114】
一方、仲介装置は、端末管理装置30から第1割り込みを受けた場合は、例外的に、現在実行中の第1ポーリングを停止して、検索を実行する。これにより、仲介装置は端末装置から即時的に端末情報を受信することができる。
【0115】
定期監視機能においても、基本的には第2ポーリングによってステータス情報が取得される。そのため、端末装置は、基本的には、インターバルを隔てて周期的に受信される要求に対してステータス情報を送信すればよい。そのため、ステータス情報の送信に必要な消費電力を低減できる。一方、仲介装置は、端末管理装置30から第2割り込みを受けた場合は、例外的に、現在実行中の第2ポーリングを停止して、ステータス情報を要求する。これにより、仲介装置は端末装置から即時的にステータス情報を受信することができる。
【0116】
したがって、本実施形態によれば、端末装置における消費電力を抑えつつ、任意のタイミングにおける端末装置の情報を迅速に取得することができる。
(b)仲介装置は、第1ポーリングにおけるインターバル期間中に第1割り込みを受信した場合は、インターバルの終期を待つことなく、第1ポーリングをリセットする。一方、第1ポーリングにおける検索期間中に第1割り込みを受信した場合は、すぐには第1ポーリングをリセットせず、実行中の検索を継続させる。そして、その検索が終了したときに第1ポーリングをリセットする。
【0117】
つまり、第1割り込みを受信した場合に一律に第1ポーリングをリセットさせるのではなく、第1割り込みを受信したタイミングに応じて、すぐにリセットさせるかそれとも実行中の処理を最後まで継続させるかを切り替えている。検索実行中の第1割り込みに対しては検索を継続させることで、被管理システム内に存在しているにもかかわらず検索されない状態が続く端末装置が発生することが抑制される。
【0118】
そのため、第1割り込みの受信タイミングに応じて適切且つ迅速に端末装置から他端末情報を得ることができる。第2ポーリングに関しても同様である。
(c)仲介装置は、優先端末の指定を受けた場合は、優先端末を対象とした検索あるいはステータス情報要求を優先的に行う。そのため、管理者は、必要に応じて、特定の端末装置を迅速に登録させたり、特定の端末装置から迅速にステータス情報を取得したりすることができる。
【0119】
なお、本実施形態において、仲介プログラム16は、本開示におけるプログラムの一例に相当する。仲介装置の制御部11及び記憶部12は、本開示におけるコンピュータの一例に相当する。第1ポーリングにおける検索コマンド、及び第2ポーリングにおけるステータス情報の要求は、いずれも、本開示における要求通知の一例に相当する。第1ポーリングに対する端末装置からの端末情報、及び第2ポーリングに対する端末装置からのステータス情報は、いずれも、本開示における、要求通知に対する応答の一例に相当する。端末装置のシリアル番号及びIPアドレスの少なくとも一方は、本開示における端末特定情報の一例に相当する。
【0120】
図5の第1ポーリング処理及び
図8の第2ポーリング処理はいずれも本開示における周期処理の一例に相当する。S110及びS410はいずれも本開示における端末通信処理の一例に相当する。S220及びS250はいずれも、本開示における応答要求処理及び応答受信処理の一例に相当する。S310及びS510はいずれも本開示における割り込み受信処理の一例に相当する。S320~S340の処理、及びS520~S540の処理は、いずれも、本開示における割り込み対応処理の一例に相当する。S320で否定判定されることにより実行されるS340の処理、及びS520で否定判定されることにより実行されるS540の処理は、いずれも本開示における第1の初期化処理の一例に相当する。S330及びS530はいずれも本開示における継続処理の一例に相当する。S320で肯定判定されることによりS330を経て実行されるS340の処理、及びS520で肯定判定されることによりS530を経て実行されるS540の処理は、いずれも本開示における第2の初期化処理の一例に相当する。S230及びS260はいずれも本開示における送信処理の一例に相当する。
【0121】
[2.他の実施形態]
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上述の実施形態に限定されることなく、種々変形して実施することができる。
【0122】
(2-1)例えば、第1ポーリングにおける検索期間中に第1割り込みを受信した場合、実行中の検索をすぐに停止して第1ポーリングをリセットしてもよい。
第2ポーリングにおいても、ステータス取得期間中に第2割り込みを受信した場合、実行中のステータス取得処理をすぐに停止して第2ポーリングをリセットしてもよい。
【0123】
(2-2)本開示の適用は、MDMシステムへの適用に限定されない。即ち、本開示は、集中管理装置5を備えていない、MDMシステムとは無関係の端末管理システムに対しても適用可能である。
【0124】
(2-3)上記実施形態における1つの構成要素が有する複数の機能を、複数の構成要素によって実現したり、1つの構成要素が有する1つの機能を、複数の構成要素によって実現したりしてもよい。また、複数の構成要素が有する複数の機能を、1つの構成要素によって実現したり、複数の構成要素によって実現される1つの機能を、1つの構成要素によって実現したりしてもよい。また、上記実施形態の構成の一部を省略してもよい。また、上記実施形態の構成の少なくとも一部を、他の上記実施形態の構成に対して付加又は置換してもよい。
【符号の説明】
【0125】
1…端末管理システム、10…第1仲介装置、11,31,51…制御部、12,32,52…記憶部、14,34,55…通信I/F、16…仲介プログラム、20…第2仲介装置、30…端末管理装置、41~45…端末装置、56…バッテリ。