(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】車両のバッテリ搭載構造
(51)【国際特許分類】
B60K 1/04 20190101AFI20241016BHJP
B62D 25/20 20060101ALI20241016BHJP
H01M 50/244 20210101ALI20241016BHJP
H01M 50/249 20210101ALI20241016BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
B62D25/20 G
H01M50/244 Z
H01M50/249
(21)【出願番号】P 2020185180
(22)【出願日】2020-11-05
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】小倉 怜
(72)【発明者】
【氏名】宮川 隆行
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0153317(US,A1)
【文献】特開2019-046748(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102016213262(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 1/04
B62D 25/20
B62D 25/20
H01M 50/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロアパネルの下方に配設されたバッテリと、
前記フロアパネルと前記バッテリとの間に配設された弾性部材と、
前記弾性部材と前記バッテリとの間に配設された遮熱部材と、を備え、
前記遮熱部材は、前記バッテリの上面の一部に配設され、
前記弾性部材は、前記遮熱部材の上面の少なくとも一部に配設され
、
前記バッテリの上面は、前記バッテリの外周上面に延在する外周領域と、前記バッテリの上面が延在する方向において前記外周領域よりも内側に延在し、前記外周領域に取り囲まれる中央領域と、を備え、
前記遮熱部材は、前記外周領域に配設される外周遮熱部材である、車両のバッテリ搭載構造。
【請求項2】
フロアパネルの下方に配設されたバッテリと、
前記フロアパネルと前記バッテリとの間に配設された弾性部材と、
前記弾性部材と前記バッテリとの間に配設された遮熱部材と、を備え、
前記遮熱部材は、前記バッテリの上面の一部に配設され、
前記弾性部材は、前記遮熱部材の上面の少なくとも一部に配設され
、
前記バッテリの上面は、前記バッテリの外周上面に延在する外周領域と、前記バッテリの上面が延在する方向において前記外周領域よりも内側に延在し、前記外周領域に取り囲まれる中央領域と、を備え、
前記遮熱部材は、前記中央領域に配設される内側遮熱部材であり、
前記内側遮熱部材は複数の遮熱部材片を含み、
複数の前記遮熱部材片は前記バッテリの上面が延在する方向において互いに離間して配設され、
複数の前記遮熱部材片の上面は、それぞれが少なくとも一部に前記弾性部材を備える、車両のバッテリ搭載構造。
【請求項3】
フロアパネルの下方に配設されたバッテリと、
前記フロアパネルと前記バッテリとの間に配設された弾性部材と、
前記弾性部材と前記バッテリとの間に配設された遮熱部材と、を備え、
前記遮熱部材は、前記バッテリの上面の一部に配設され、
前記弾性部材は、前記遮熱部材の上面の少なくとも一部に配設され
、
前記バッテリの上面は、前記バッテリの外周上面に延在する外周領域と、前記バッテリの上面が延在する方向において前記外周領域よりも内側に延在し、前記外周領域に取り囲まれる中央領域と、を備え、
前記遮熱部材は、前記中央領域に配設される内側遮熱部材であり、
前記遮熱部材は、前記外周領域に前記内側遮熱部材から前記バッテリの上面が延在する方向において離間して配設される外周遮熱部材をさらに備え、
前記外周遮熱部材の上面、及び前記内側遮熱部材の上面は、それぞれが少なくとも一部に前記弾性部材を備える、車両のバッテリ搭載構造。
【請求項4】
前記遮熱部材は、前記外周領域に前記内側遮熱部材から前記バッテリの上面が延在する方向において離間して配設される外周遮熱部材をさらに備え、
前記外周遮熱部材の上面、及び前記内側遮熱部材の上面は、それぞれが少なくとも一部に前記弾性部材を備える、請求項
2に記載の車両のバッテリ搭載構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のバッテリ搭載構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1は、車両(バッテリ電気自動車(BEV))へのバッテリの搭載構造を開示している。特許文献1に開示されたバッテリは、フロアパネルの下方に搭載されている。バッテリ(バッテリケーシング)とフロアパネルとの間には、発泡ウレタンなどの弾性部材が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、BEV用のバッテリとしては、例えば、高電圧のリチウムイオンバッテリが用いられる。そのようなバッテリが発熱して高温となった場合には、バッテリの上に配設された弾性部材にバッテリの発する熱が伝導され、弾性部材の温度が上昇する可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、バッテリが発する熱が弾性部材に伝導されることを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様にかかる車両のバッテリ搭載構造では、遮熱部材は、バッテリの上面の一部に配設され、弾性部材は、遮熱部材の上面の少なくとも一部に配設される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バッテリが発する熱が弾性部材に伝わることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るバッテリ搭載構造を備えた車両の概略側断面図である。
【
図2】実施形態に係るバッテリ搭載構造における、バッテリ、遮熱部材、弾性部材、及びフロアパネルの積層関係を示す模式的部分側方断面図である。
【
図3】実施形態に係るバッテリ搭載構造における、バッテリ、遮熱部材、及び弾性部材の配設関係を示す、
図2のA-A線に沿った断面平面図である。
【
図4】第1実施形態に係るバッテリ搭載構造における、バッテリ、遮熱部材、及び弾性部材の配設関係を示す、
図3に相当する断面平面図である。
【
図5】第2実施形態に係るバッテリ搭載構造における、バッテリ、遮熱部材、及び弾性部材の配設関係を示す、
図3に相当する断面平面図である。
【
図6】第2実施形態の変形例に係るバッテリ搭載構造における、バッテリ、遮熱部材、及び弾性部材の配設関係を示す、
図3に相当する断面平面図である。
【
図7】第2実施形態の変形例に係るバッテリ搭載構造における、バッテリ、遮熱部材、及び弾性部材の配設関係を示す、
図3に相当する断面平面図である。
【
図8】第2実施形態の変形例に係るバッテリ搭載構造における、バッテリ、遮熱部材、及び弾性部材の配設関係を示す、
図3に相当する断面平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら、実施形態にかかる車両のバッテリ搭載構造について説明する。なお、各図中のFR,RRは、車両前後方向前方、後方をそれぞれ示し、LH,RHは、車幅方向左方、右方を、UP,DNは、車両上下方向上方、下方をそれぞれ示す。なお、以下の説明では、車両前後方向前方、後方、車両上下方向上方、下方、車両左右方向左方、右方を、それぞれ単に「車両前方」「車両後方」「車両上方」「車両下方」「車両左方」「車両右方」と称する。なお、同一の機能を有する要素については同一の符号を付し、重複する説明を省略する。
【0010】
図1に示されるように、実施形態に係るバッテリ搭載構造を備えた車両は、バッテリ電気自動車(BEV)1である。BEV1は、車室2部分のフロアパネル3の下方にバッテリ4を備えるとともに、前部のモータルーム5内にモータやインバータを備えている。フロアパネル3はスチール製である。高電圧のバッテリ4に蓄えられた直流電力は、インバータで交流に変換されてから三相交流モータに供給される。BEV1は、このモータの出力(駆動力)で走行する。バッテリ4は、ケーシング4aを備えており、バッテリセルはケーシング4aの内部に収納されている。複数のバッテリセルを内蔵したモジュールがケーシング4aの内部に複数個収納されてもよい。ケーシング4aは、スチール製や樹脂製であるがアルミ合金製でもよく、内部のバッテリセルの被水や小石等の衝突を防ぐ防護壁として機能している。BEV1は、複数のバッテリ4を搭載しており、これらのバッテリ4はフレーム6に載せられており、フレーム6はフロアパネル3から吊り下げられるように車体に固定されている。
【0011】
図2に示すように、フロアパネル3とバッテリ4の上面(即ち、ケーシング4aの上面板)との間には、弾性部材7が配置されている。弾性部材7は、例えば半独立半連続気泡の発泡体である。そして、弾性部材7とバッテリ4との間に、遮熱部材8をさらに備えている。遮熱部材8は、それ自身が耐火性(難燃性)及び耐熱性を有し、熱をその一面から他面に伝達させにくい素材で形成されている。具体的には、遮熱部材8は、無機繊維部材によって形成され、1mm以上2mm以下の厚さを有する遮熱シートであってもよい。遮熱部材8によってバッテリ4が発する熱が遮られるため、バッテリ4が発する熱が、弾性部材7に伝導されるのが抑止される。即ち、遮熱部材8は遮熱性能を備える。
【0012】
図示した例では、弾性部材7は、フロアパネル3とバッテリ4との間に圧縮状態で配されている。このため、弾性部材7は、フロアパネル3及びバッテリ4(即ち、ケーシング4aの上面板)に密着すると共に、その弾性復元力でフロアパネル3及びバッテリ4(即ち、ケーシング4aの上面板)にプリロードを付与している。また、フロアパネル3及びバッテリ4の表面は、剛性確保のためのビードが形成されるなど、平坦でない場合も多い。弾性部材7を圧縮状態とすることで、その弾性復元力で遮熱部材8をフロアパネル3又はバッテリ4の表面に密着させることができ、位置ズレを生じさせることなく遮熱部材8をしっかりと保持できる。
【0013】
フレーム6に搭載されたバッテリ4はフロアパネル3の下方からフロアパネル3に向けて持ち上げられて、車体に取り付けられる。このとき、フロアパネル3とバッテリ4との間に、予め弾性部材7及び遮熱部材8を配しておくことで、バッテリ4の車両への搭載後に弾性部材7は圧縮状態となる。遮熱部材8は、バッテリ4(ケーシング4a)の上面に予め接着又は載置されてもよい。弾性部材7はフロアパネル3の下面に予め接着されてもよい。また、弾性部材7は遮熱部材8の上面に予め接着又は載置されていてもよい。
【0014】
弾性部材7は、フロアパネル3及びバッテリ4(ケーシング4aの上面板)にプリロードを付与する。そのため、フロアパネル3及びバッテリ4(ケーシング4aの上面板)の振動が抑制される。即ち、弾性部材7は制振性能を備える。また、フロアパネル3及びバッテリ4(ケーシング4aの上面板)に弾性部材7が密着されるため、弾性部材7がフロアパネル3及びバッテリ4(ケーシング4aの上面板)の振動を減衰する。即ち、弾性部材7は、アスファルトシートなどと同様に制振材としても機能する。フロアパネル3及びバッテリ4(ケーシング4aの上面板)は、車両外部からの空気伝搬音やモータやタイヤで発生する音の固体伝搬音で振動するが、これらの振動が上述したように制振される。なお、弾性部材7はアスファルトシート等の制振材と比べて、より軽量な部材である。
【0015】
また、弾性部材7は、例えば半独立半連続気泡発泡体である。そのため、適度な弾性復元力が得られ、所望のプリロードを作用させることができる。弾性部材7(半独立半連続気泡発泡体)の圧縮率は35%であってもよい。なお、弾性部材7は、フロアパネル3とバッテリ4との間で緩衝部材としても機能し得る。また、弾性部材7は、独立気泡を含むので、その内部への水の侵入も抑止される。さらに、弾性部材7は、気泡を含むのである程度の吸音性を有し、制振材としてだけでなく吸音材としても機能する。
【0016】
遮熱部材8は、平面視においてバッテリ4の上面の略全面を覆う形状であってもよい。
図2及び
図3に示す例では、平面視において、遮熱部材8はバッテリ4の車幅方向における全体と重なるとともに、車両前後方向に延在する形状を有する。
【0017】
また、遮熱部材8は、
図4乃至
図8に示すように、平面視でバッテリ4の一部をカバーする形状であってもよい。換言すれば、遮熱部材8は、バッテリ4の上面の一部に配設されてもよい。なお、
図4乃至
図8は、遮熱部材8が平面視でバッテリ4の一部と重なる形状であった場合の、バッテリ4、遮熱部材8、及び弾性部材7の配設関係を示す、
図3に相当する断面平面図である。
【0018】
弾性部材7は、遮熱部材8の上面に配設される。弾性部材7は、遮熱部材8の上面全面に配設されてもよい。また、弾性部材7は、遮熱部材8の上面全面に配設されることなく、遮熱部材8の上面の一部に弾性部材7が配設されない領域を残して配設されてもよい。換言すれば、弾性部材7は、遮熱部材8の上面の少なくとも一部に配設されてもよい。例えば、弾性部材7が、その周囲に弾性部材7が配設されない領域を備えるように配設されている場合には、バッテリ4と弾性部材7との接触をより確実に抑制することができる。
【0019】
このように、実施形態に係る車両のバッテリ搭載構造では、遮熱部材8は、バッテリ4の上面の一部に配設され、弾性部材7は、遮熱部材8の上面の少なくとも一部に配設されてもよい。これにより、バッテリ4の上面全面に遮熱部材8及び弾性部材7を配設する場合に比べ、より少量の遮熱部材8及び弾性部材7で車両のバッテリ搭載構造を構成することができる。
【0020】
なお、バッテリ4の上面とは、フロアパネル3の車両下方側の面と対向する、ケーシング4aの上面板の車両上方側表面である。バッテリ4の上面は、
図1乃至
図8に示すように、平坦面である。もっとも、バッテリ4の上面は平坦面に限定されない。例えば、バッテリ4の上面に、前述のように剛性確保のためのビードが形成されていてもよい。
【0021】
以下、遮熱部材8及び弾性部材7の、バッテリ4の上面に対する配設の態様について、より詳細に説明する。
【0022】
図4乃至
図8に示す例では、バッテリ4の上面は、バッテリ4の外周上面に延在する外周領域10と、バッテリ4の上面が延在する方向において外周領域10よりも内側に延在し、外周領域10に取り囲まれる中央領域20と、を備える。
【0023】
外周領域10とは、バッテリ4の外周上面に延在する領域をいう。具体的には、バッテリ4の車幅方向外縁部から車幅方向中心方向に向けて、バッテリ4の車幅方向寸法に対する所定の割合で延在する領域と、バッテリ4の車両前後方向外縁部から車両前後方向中心方向に向けて、バッテリ4の車両前後方向寸法に対する所定の割合で延在する領域と、から構成される領域をいう。なお、当該所定の割合は、バッテリ4の寸法、配設位置、又は配設の方法等により適宜設定することができる。例えば、ある実施形態においては、バッテリ4の車幅方向寸法、又は車両前後方向寸法に対する当該所定の割合は、4分の1の割合であってもよい。
【0024】
中央領域20とは、外周領域10に取り囲まれる領域をいう。具体的には、バッテリ4の上面が延在する方向において外周領域10よりも内側に延在し、外周領域10に取り囲まれる領域をいう。
【0025】
(第1実施形態)
図4に示す例では、バッテリ4の上面の外周領域10には、遮熱部材8としての外周遮熱部材8aが連続的に配設されている。換言すれば、遮熱部材8は、外周領域10に配設される外周遮熱部材8aである。外周遮熱部材8aは平面視で略額縁状の形状を備える。また、外周遮熱部材8aは、バッテリ4の上面が延在する方向において外周遮熱部材8aの外周を構成する外周部18a、及び外周遮熱部材8aの内周を構成する内周部18bを有する。
【0026】
なお、図示した例では、外周遮熱部材8aの内周部18bは、外周領域10と中央領域20との境界部よりも、バッテリ4の上面が延在する方向において外側に位置するが、これに限定されない。例えば、内周部18bと当該境界部とは平面視で重なっていてもよい。また、外周遮熱部材8aの外周部18aは、バッテリ4の車幅方向外縁部と平面視で重なるように構成されているが、これに限定されない。例えば、外周部18aがバッテリ4の車幅方向外縁部から所定の距離を隔てて位置するように構成されていてもよい。
【0027】
弾性部材7aは、外周遮熱部材8aの上面に配設される弾性部材である。図示した例では、弾性部材7aは平面視で略額縁状の形状を備える。弾性部材7aは、外周遮熱部材8aの上面全面に配設されてもよい。また、弾性部材7aは、外周遮熱部材8aの上面に弾性部材7aが配設されない領域を残すようにして配設されてもよい。図示した例では、弾性部材7aは、外周遮熱部材8aの外周部18a及び内周部18bからバッテリ4の上面が延在する方向に所定の領域を残して配設されている。換言すれば、外周遮熱部材8aの上面の少なくとも一部には、弾性部材7aが配設されている。
【0028】
なお、図示した例では、一体的に形成された外周遮熱部材8a又は弾性部材7aが、外周領域10に設けられているが、これに限定されない。例えば、外周領域10において一体的に形成された外周遮熱部材8aの上面に、分割された弾性部材7aが部分的に配設されていてもよい。また、外周領域10において分割され部分的に配設された外周遮熱部材8aの上面に、弾性部材7aが配設されてもよい。
【0029】
このように、
図4に示す例では、バッテリ4の上面は、バッテリ4の外周上面に延在する外周領域10と、バッテリ4の上面が延在する方向において外周領域10よりも内側に延在し、外周領域10に取り囲まれる中央領域20と、を備え、遮熱部材8は、外周領域10に配設される外周遮熱部材8aである。
【0030】
(第2実施形態)
図5に示す例では、バッテリ4の上面の中央領域20に、遮熱部材8としての内側遮熱部材8bが配設されている。換言すれば、遮熱部材8は、中央領域20に配設される内側遮熱部材8bである。また、内側遮熱部材8bは平面視で略矩形の形状を備える。
【0031】
なお、図示した例では、内側遮熱部材8bの外周部は、外周領域10と中央領域20との境界部よりも、バッテリ4の上面が延在する方向において内側に位置するが、これに限定されない。内側遮熱部材8bの外周部と当該境界部とは平面視で重なっていてもよい。
【0032】
弾性部材7bは、内側遮熱部材8bの上面に配設される。図示した例では、弾性部材7bは平面視で略矩形の形状を備える。弾性部材7bは、内側遮熱部材8bの上面全面に配設されてもよく、また、バッテリ4の上面が延在する方向において内側遮熱部材8bの外周部よりも内側に配設されてもよい。換言すれば、内側遮熱部材8bの上面の少なくとも一部には、弾性部材7bが配設されている。
【0033】
なお、図示した例では、一体的に形成された弾性部材7bが、内側遮熱部材8bの上面に設けられているが、これに限定されない。例えば、内側遮熱部材8bの上面に、分割された弾性部材7bが部分的に配設されてもよい。
【0034】
このように、
図5に示す例では、バッテリ4の上面は、バッテリ4の外周上面に延在する外周領域10と、バッテリ4の上面が延在する方向において外周領域10よりも内側に延在し、外周領域10に取り囲まれる中央領域20と、を備え、遮熱部材8は、中央領域20に配設される内側遮熱部材8bである。
【0035】
なお、
図6に例示すように、バッテリ4の上面の中央領域20に配設された内側遮熱部材8bは、複数の遮熱部材片8cを含んでいてもよい。
【0036】
遮熱部材片8cは、バッテリ4の上面が延在する方向において互いに離間して配設される。また、図示した例では、遮熱部材片8cは平面視で略矩形の形状を備える。
【0037】
複数の遮熱部材片8cのそれぞれの上面には弾性部材7cが配設される。図示した例では、弾性部材7cは平面視で略矩形の形状を備える。また、弾性部材7cは、遮熱部材片8cの上面全面に配設されてもよく、バッテリ4の上面が延在する方向において遮熱部材片8cの外周部よりも内側に配設されてもよい。換言すれば、複数の遮熱部材片8cの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材7cを備える。
【0038】
なお、図示した例では、一体的に形成された弾性部材7cが、遮熱部材片8cの上面に設けられているが、これに限定されない。例えば、遮熱部材片8cの上面に、分割された弾性部材7cが部分的に配設されてもよい。
【0039】
このように、
図6に示す例では、内側遮熱部材8bは複数の遮熱部材片8cを有し、複数の遮熱部材片8cはバッテリ4の上面が延在する方向において互いに離間して配設され、複数の遮熱部材片8cの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材7cを備える。
【0040】
なお、
図7に例示するように、中央領域20に配設された内側遮熱部材8bの他、さらに、外周領域10に外周遮熱部材8aが配設されてもよい。また、
図8に例示するように、内側遮熱部材8bが複数の遮熱部材片8cを含む場合には、中央領域20に配設された遮熱部材片8cの他、さらに、外周領域10に外周遮熱部材8aが配設されてもよい。
【0041】
外周遮熱部材8aは、バッテリ4の上面が延在する方向において、内側遮熱部材8bの外周部よりも外側に、当該外周部から離間して配設される。換言すれば、外周遮熱部材8aと内側遮熱部材8bとは、バッテリ4の上面が延在する方向において互いに離間して配設される。また、内側遮熱部材8bが複数の遮熱部材片8cを含む場合には、外周遮熱部材8aと遮熱部材片8cとは、バッテリ4の上面が延在する方向において互いに離間して配設される。
【0042】
なお、図示した例では、外周遮熱部材8aの外周部18aは、バッテリ4の車幅方向外縁部と平面視で重なるように構成されているが、これに限定されない。例えば、外周部18aがバッテリ4の車幅方向外縁部から所定の距離を隔てて位置するように構成されていてもよい。
【0043】
外周遮熱部材8aの上面には弾性部材7aが配設される。弾性部材7bは内側遮熱部材8bの上面全面に配設されてもよく、また、弾性部材7aは外周遮熱部材8aの上面に弾性部材7aが配設されない領域を残すようにして配設されてもよい。図示した例では、弾性部材7aは、外周遮熱部材8aの外周部18a及び内周部18bからバッテリ4の上面が延在する方向に所定の領域を残して配設されている。換言すれば、外周遮熱部材8aの上面の少なくとも一部には、弾性部材7aが配設されている。
【0044】
なお、図示した例では、一体的に形成された外周遮熱部材8a又は弾性部材7aが、外周領域10に設けられているが、これに限定されない。例えば、外周領域10において一体的に形成された外周遮熱部材8aの上面に、分割された弾性部材7aが部分的に配設されていてもよい。また、外周領域10において分割され部分的に配設された外周遮熱部材8aの上面に、弾性部材7aが配設されてもよい。
【0045】
このように、
図7に示す例では、遮熱部材8は、外周領域10に内側遮熱部材8bからバッテリ4の上面が延在する方向において離間して配設される外周遮熱部材8aをさらに備える。そして、外周遮熱部材8aの上面、及び内側遮熱部材8bの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材(7a,7b)を備える。また、
図8に例示するように、内側遮熱部材8bが複数の遮熱部材片8cを含む場合には、外周遮熱部材8aの上面、及び内側遮熱部材8bの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材(7a,7b)を備え、内側遮熱部材8bに含まれる複数の遮熱部材片8cの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材7cを備える。
【0046】
なお、
図6及び
図8に示した例では、内側遮熱部材8bは、4つの遮熱部材片8cから構成されている。もっとも、内側遮熱部材8bが備える遮熱部材片8cの数量は4つに限定されない。例えば、内側遮熱部材8bは、2つ又は3つの遮熱部材片8cを備えていてもよく、5つ以上の遮熱部材片8cを備えていてもよい。内側遮熱部材8bが備える遮熱部材片8cの数量は、バッテリ4やバッテリ4の上面の平面視における寸法に従い、適宜設定することができる。
【0047】
なお、外周遮熱部材8a、内側遮熱部材8b、遮熱部材片8c、及び弾性部材7a,7b,7cの平面視における形状は、
図4乃至
図8に例示された形状に限定されない。これらの部材は、例えば、平面視において切り欠き部、突出部、曲部、又は開口部等を備えていてもよい。
【0048】
なお、上述の実施形態では、弾性部材7とバッテリ4と間に遮熱部材8を備える態様を例示したが、これに限定されない。遮熱部材8は、少なくとも、弾性部材7とバッテリ4との間に配設されていればよい。換言すれば、実施形態に係る車両のバッテリ搭載構造は、少なくとも、弾性部材7とバッテリ4との間に配設された遮熱部材8を備えればよい。具体的には、車両のバッテリ搭載構造は、弾性部材7とフロアパネル3との間に遮熱部材8をさらに備えてもよい。また、弾性部材7の全ての表面が遮熱部材8によって覆われていてもよい。
【0049】
以下、本実施形態の作用効果について説明する。
【0050】
(1)車両のバッテリ搭載構造では、フロアパネル3の下方に配設されたバッテリ4と、フロアパネル3とバッテリ4との間に配設された弾性部材7と、弾性部材7とバッテリ4との間に配設された遮熱部材8と、を備え、遮熱部材8は、バッテリ4の上面の一部に配設され、弾性部材7は、遮熱部材8の上面の少なくとも一部に配設される。
【0051】
これにより、バッテリ4が発熱した場合であっても、遮熱部材8が当該熱を遮るので、当該熱が弾性部材7に伝導されるのを抑制することができる。さらに、上述の通り、弾性部材7はフロアパネル3及びバッテリ4の振動を抑制する。実施形態に係る車両のバッテリ搭載構造では、弾性部材7は、バッテリ4の上面の一部に配設された遮熱部材8を介して、バッテリ4の上面の一部に配設される。換言すれば、バッテリ4の上面には、遮熱部材8及び弾性部材7が配設されていない領域を残して、遮熱部材8及び弾性部材7が配設される。そのため、バッテリ4の上面全面に弾性部材7及び遮熱部材8を配設する場合に比べ、より少量の弾性部材7及び遮熱部材8で、フロアパネル3及びバッテリ4の振動を抑制することができる。
【0052】
(2)第1実施形態に係る車両のバッテリ搭載構造では、バッテリ4の上面は、バッテリ4の外周上面に延在する外周領域10と、バッテリ4の上面が延在する方向において外周領域10よりも内側に延在し、外周領域10に取り囲まれる中央領域20と、を備える。そして、遮熱部材8は、外周領域10に配設される外周遮熱部材8aである。
【0053】
このため、バッテリ4の上面の外周領域10に外周遮熱部材8aを介して配設された弾性部材7aによって、フロアパネル3及びバッテリ4の振動のうち低周波成分が抑制される。そのため、より少量の弾性部材7及び遮熱部材8で、フロアパネル3及びバッテリ4の振動の低周波成分を抑制することができる。
【0054】
(3)第2実施形態に係る車両のバッテリ搭載構造では、バッテリ4の上面は、バッテリ4の外周上面に延在する外周領域10と、バッテリ4の上面が延在する方向において外周領域10よりも内側に延在し、外周領域10に取り囲まれる中央領域20と、を備える。そして、遮熱部材8は、中央領域20に配設される内側遮熱部材8bである。
【0055】
これにより、バッテリ4の上面における中央領域20に内側遮熱部材8bを介して配設された弾性部材7bによって、フロアパネル3及びバッテリ4の振動のうち高周波成分が抑制される。そのため、より少量の弾性部材7及び遮熱部材8で、フロアパネル3及びバッテリ4の振動の高周波成分を抑制することができる。
【0056】
(4)なお、内側遮熱部材8bは複数の遮熱部材片8cを含み、複数の遮熱部材片8cはバッテリ4の上面が延在する方向において互いに離間して配設され、複数の遮熱部材片8cの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材7cを備えてもよい。
【0057】
これにより、バッテリ4の上面の中央領域20に遮熱部材片8cを介して、互いに離間し配置された複数の弾性部材7cによって、フロアパネル3及びバッテリ4の振動のうち高周波成分が抑制される。さらに、内側遮熱部材8bが遮熱部材片8cに分割されており、遮熱部材片8cはバッテリ4の上面が延在する方向において互いに離間して配設されているため、より少量の部材で内側遮熱部材8bを構成することができる。そのため、より少量の弾性部材7及び遮熱部材8で、フロアパネル3及びバッテリ4の振動の高周波成分を抑制することができる。
【0058】
(5)なお、遮熱部材8は、外周領域10に内側遮熱部材8bからバッテリ4の上面が延在する方向において離間して配設される外周遮熱部材8aをさらに備えてもよい。このとき、外周遮熱部材8aの上面、及び内側遮熱部材8bの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材(7a,7b)を備える。また、内側遮熱部材8bが複数の遮熱部材片8cを含む場合には、外周遮熱部材8aの上面、及び内側遮熱部材8bの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材(7a,7b)を備え、内側遮熱部材8bに含まれる複数の遮熱部材片8cの上面は、それぞれが少なくとも一部に弾性部材7cを備える。
【0059】
これにより、バッテリ4の上面の外周領域10に外周遮熱部材8aを介して配設された弾性部材7aによって、フロアパネル3及びバッテリ4の振動のうち低周波成分が抑制される。さらに、バッテリ4の上面の中央領域20に配設された弾性部材7b又は弾性部材7cによって、フロアパネル3及びバッテリ4の振動のうち高周波成分が抑制される。そのため、より少量の弾性部材7及び遮熱部材8で、フロアパネル3及びバッテリ4の振動の低周波成分及び高周波成分を抑制することができる。
【0060】
(6)遮熱部材8は、無機繊維部材によって形成された、厚さ1mm以上2mm以下の遮熱シートであってもよい。遮熱部材8を薄い無機繊維部材で形成することで、遮熱部材8の質量を小さくできる。これにより、車両を軽量化することができる。
【0061】
(7)弾性部材7は、フロアパネル3とバッテリ4の間に圧縮状態で配置されていてもよい。弾性部材7が圧縮状態で搭載されることで、フロアパネル3、及びバッテリ4の上面にプリロードが付与される。そのため、フロアパネル3、及びバッテリ4の振動が抑制される。そして、弾性部材7はアスファルトシートに比べて軽量である。これにより、車体の重量の増加を抑制しつつ、音振性能を向上することができる。
【0062】
(8)弾性部材7は半独立半連続気泡発泡体であってもよい。これにより、適度な弾性復元力が得られ、所望のプリロードを作用させることができる。また、半独立半連続気泡発泡体に含まれる独立気泡により、弾性部材7への水の侵入が抑制される。
【0063】
(9)弾性部材7の圧縮率は35%であってもよい。これにより、バッテリ4が発した熱が弾性部材7に伝導されることをより確実に抑制とともに、フロアパネル3及びバッテリ4の振動をより確実に抑制することができる。
【0064】
(10)弾性部材7の全ての表面が遮熱部材8によって覆われていてもよい。これにより、フロアパネル3及びバッテリ4の振動を抑制するとともに、バッテリ4が発した熱が弾性部材7に伝導するのをより確実に抑制することができる。
【0065】
本発明は、上述した実施形態に限定されない。例えば、上記実施形態での車両は内燃機関を搭載しないBEV1であったが、内燃機関と車両走行用モータのためのモータに電力を供給するバッテリとの両方を備えるHEVへのバッテリ搭載構造にも適用できる。
【符号の説明】
【0066】
3 フロアパネル
4 バッテリ
7,7a,7b,7c 弾性部材
8 遮熱部材
8a 外周遮熱部材
8b 内側遮熱部材
8c 遮熱部材片
10 外周領域
20 中央領域