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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20241016BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20241016BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20241016BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 15/04 20060101ALI20241016BHJP
   G03G 21/14 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G02B26/10 A
G02B26/12
B41J2/47 101M
H04N1/113
G03G15/04 111
G03G21/14
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020187754
(22)【出願日】2020-11-11
(65)【公開番号】P2022077098
(43)【公開日】2022-05-23
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000006747
【氏名又は名称】株式会社リコー
(74)【代理人】
【識別番号】110000442
【氏名又は名称】弁理士法人武和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宿谷 祐一郎
【審査官】岩村 貴
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-009002(JP,A)
【文献】特開2009-119871(JP,A)
【文献】特開2017-154436(JP,A)
【文献】米国特許第07719558(US,B1)
【文献】韓国公開特許第10-2014-0063203(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0139604(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G02B 26/10-26/12
B41J 2/47
H04N 1/113
G03G 15/04
G03G 21/14,21/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画像データに係る第1の光信号を走査させるための第1の被走査媒体と、
第2の画像データに係る第2の光信号を走査させるための第2の被走査媒体と、
前記第1の光信号及び前記第2の光信号を偏向させるために設けられた回転多面鏡と、
前記第1の被走査媒体に対する第1の走査開始タイミングとなる同期検知信号を生成する同期検知信号生成手段と、
前記同期検知信号を用いて、前記第2の被走査媒体に対する第2の走査開始タイミングとなる疑似同期検知信号を生成する疑似同期検知信号生成手段と、を有する画像形成装置であって、
前記疑似同期検知信号生成手段は、
前記同期検知信号の周期を計数する第1の計数手段と、
予め求められた前記同期検知信号の周期、及び前記第1の計数手段によって計数された前記同期検知信号の周期に基づいて、前記疑似同期検知信号を生成するため第一の値を演算する演算手段と、
第一の値に基づいて、前記第1の計数手段を動作せるためのカウントクロックを発振するクロック発振手段と、
前記クロック発振手段によって発振された前記カウントクロックで所定の値を計数することにより、前記疑似同期検知信号を生成する第2の計数手段と、を有し、
前記演算手段は、第一の値と前記クロック発振手段に与えられる源振クロックを分周するために予め求められた分周比に基づいて、前記カウントクロックを分周するための分周比を演算し、
当該分周比を用いて、前記同期検知信号が有効となるタイミングを起点に前記疑似同期検知信号を生成する、
ことを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記疑似同期検知信号生成手段は、前記同期検知信号が有効となるタイミングを起点に、前記回転多面鏡の所定の面の1周後に前記疑似同期検知信号を生成する、
ことを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記疑似同期検知信号生成手段は、前記回転多面鏡の面数分備えられることを特徴とする請求項1又は2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記疑似同期検知信号生成手段のそれぞれは、前記回転多面鏡の各面に対応させて前記疑似同期検知信号を生成することを特徴とする請求項3に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
デジタル複合機やレーザプリンタ等の画像形成装置は、感光体上を走査する光走査装置を備えている。この光走査装置は、光源から射出された光を偏向させるための回転多面鏡を含む光偏向器を有する。特に、カラーの画像形成装置のように複数の感光体を備える画像形成装置では、光走査装置として、光偏向器を挟んで対向する位置に配置された二つの走査レンズを含む走査光学系を有する機構が一般的に用いられている。このような光走査装置は、対向走査方式の光走査装置とも呼ばれている。
【0003】
対向走査方式の光走査装置は、複数の感光体の主走査方向における書込開始位置を各走査線で一致させるために、書込み開始前の光を所定の位置で受光する同期検知センサを有している。この同期検知センサの出力信号は、同期検知信号と呼ばれている。さらに、対向走査方式の光走査装置では、同期検知センサのコスト削減等を目的として、複数の感光体ドラムのうちの特定の感光体ドラムに対応する同期検知センサのみを有する場合がある。この場合、画素クロックを生成する画素クロック生成装置は、他の感光体ドラムに対応する書込制御として、同期検知信号に基づいて生成された疑似的な同期検知信号(以下、疑似同期検知信号という)を生成して使用する技術が既に知られている。
【0004】
ところが、回転多面鏡の回転速度のムラ、回転多面鏡の各面の面精度のばらつき等により、疑似同期検知信号の生成タイミングにずれが生じることがある。この疑似同期検知信号の生成タイミングにずれが生じると、画像の主走査方向における書出し位置がずれ、異常画像が発生してしまう。そのため、疑似同期検知信号の生成タイミングのずれを解消することを目的として、同期検知信号の周期毎にPI制御(Proportional-Integral Controller)等のフィードバック制御を実行して画素クロック(第1画素クロック)の周波数を補正する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の画像形成装置では、疑似同期検知信号を生成する際の画素クロックの周波数の補正にフィードバック制御を用いるため、画素クロックの出力を安定させるまでに同期検知信号の複数周期に相当する時間が必要となり、疑似同期検知信号の生成に係る応答性に課題が生じていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、請求項1に係る発明は、第1の画像データに係る第1の光信号を走査させるための第1の被走査媒体と、第2の画像データに係る第2の光信号を走査させるための第2の被走査媒体と、前記第1の光信号及び前記第2の光信号を偏向させるために設けられた回転多面鏡と、前記第1の被走査媒体に対する第1の走査開始タイミングとなる同期検知信号を生成する同期検知信号生成手段と、前記同期検知信号を用いて、前記第2の被走査媒体に対する第2の走査開始タイミングとなる疑似同期検知信号を生成する疑似同期検知信号生成手段と、を有する画像形成装置であって、前記疑似同期検知信号生成手段は、前記同期検知信号の周期を計数する第1の計数手段と、予め求められた前記同期検知信号の周期、及び前記第1の計数手段によって計数された前記同期検知信号の周期に基づいて、前記疑似同期検知信号を生成するため第一の値を演算する演算手段と、第一の値に基づいて、前記第1の計数手段を動作せるためのカウントクロックを発振するクロック発振手段と、前記クロック発振手段によって発振された前記カウントクロックで所定の値を計数することにより、前記疑似同期検知信号を生成する第2の計数手段と、を有し、前記演算手段は、第一の値と前記クロック発振手段に与えられる源振クロックを分周するために予め求められた分周比に基づいて、前記カウントクロックを分周するための分周比を演算し、当該分周比を用いて、前記同期検知信号が有効となるタイミングを起点に前記疑似同期検知信号を生成する、ことを特徴とする画像形成装置を提供する。
【発明の効果】
【0007】
以上説明したように本発明によれば、疑似同期検知信号の生成に係る応答性を向上できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】カラー画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。
図2】カラー画像形成装置のハードウエア構成の一例を示す図である。
図3】第1の実施形態に係るエンジン制御デバイス及び書込制御部の全体概略の一例を示す図である。
図4】回転多面鏡の四つの偏向反射面の一例を示す図である。
図5】第1の実施形態に係る疑似同期検知信号生成部のハードウエア構成の一例を示す図である。
図6】第1の実施形態に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一例である。
図7】第1の実施形態に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一部を拡大した一例である。
図8】第1の実施形態の変形例に係る疑似同期検知信号生成部のハードウエア構成の一例を示す図である。
図9】第1の実施形態の変形例に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一例である。
図10】第1の実施形態の変形例に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一部を拡大した一例である。
図11】第2の実施形態に係るエンジン制御デバイス及び書込制御部の全体概略の一例を示す図である。
図12】第2の実施形態に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一例である。
図13】第2の実施形態に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一部を拡大した一例である。
図14】従来の画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。
図15】従来の画素クロック生成部のハードウエア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて、本発明の一実施形態について説明する。なお、図面の説明において重複する部分がある場合は、その説明を省略する。
【0010】
〔画像形成装置の概略〕
図1は、カラー画像形成装置の概略構成の一例を示す図である。本実施形態において、画像形成装置10は、例えば、4色(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロー)のトナーを重ね合わせてフルカラーの画像を形成するタンデム方式の多色カラープリンタである。画像形成装置10は、二つの光走査装置(1010A、1010B。以下、特に指定のない場合は、単に光走査装置1010と記す)を備える。また画像形成装置10は、以下に示す電子写真方式で用いられる各部を備える。各部の一例としては、四つの感光体ドラム(1030a、1030b、1030c及び1030d。以下、特に指定のない場合は、単に感光体ドラム1030と記す)、四つのクリーニングユニット(1031a、1031b、1031c及び1031d。以下、特に指定のない場合は、単にクリーニングユニット1031と記す)、四つの帯電装置(1032a、1032b、1032c及び1032d。以下、特に指定のない場合は、単に帯電装置1032と記す)、四つの現像ローラ(1033a、1033b、1033c及び1033d。以下、特に指定のない場合は、単に現像ローラ1033と記す)、転写ベルト1040、転写ローラ1042、定着ローラ1050、給紙コロ1054、排紙ローラ1058、給紙トレイ1060、排紙トレイ1070が含まれる。さらに画像形成装置10は、通信制御部130、及び上記各部を統括的に制御するプリンタ制御部110を備えている。なお、本実施形態において、感光体ドラム1030aは、第1の被走査媒体の一例である。同様に、感光体ドラム1030bは、第2の被走査媒体の一例である。さらに、感光体ドラム1030c及び感光体ドラム1030dも、それぞれ第1の被走査媒体の一例及び第2の被走査媒体の一例として構成されていてもよい。
【0011】
通信制御部130は、画像形成装置10とネットワーク等を介して接続されたPC(Personal Computer)20等との双方向の通信を制御する。
【0012】
プリンタ制御部110は、プリンコントローラとも呼ばれ、CPU、ROM、RAM、HD、HDD、プリンタ制御用ASIC等を有している。CPUは、プリンタ制御部110を統括的に制御し、ROMは、CPUにて解読可能なコードで記述されたプログラム及びプログラムを実行する際に用いられる各種データが格納されている。RAMは、ROMに格納されたプログラム等がダウンロードされ、各種命令、処理等が実行されるメモリである。及びそして、プリンタ制御部110は、PC等からの要求に応じて上述した各部を制御する。なお、プリンタ制御部110及び通信制御部130の構成は、図2の説明にて詳述する。
【0013】
感光体ドラム1030a、帯電装置1032a、現像ローラ2033a及びクリーニングユニット1031aは、一つの組として使用され、ブラック(黒)の画像を形成する画像形成ステーションを構成する。
【0014】
感光体ドラム1030b、帯電装置1032b、現像ローラ2033b及びクリーニングユニット1031bは、一つの組として使用され、シアンの画像を形成する画像形成ステーションを構成する。
【0015】
感光体ドラム1030c、帯電装置1032c、現像ローラ2033c及びクリーニングユニット1031cは、一つの組として使用され、マゼンタの画像を形成する画像形成ステーションを構成する。
【0016】
感光体ドラム1030d、帯電装置1032d、現像ローラ2033d及びクリーニングユニット1031dは、一つの組として使用され、イエローの画像を形成する画像形成ステーションを構成する。
【0017】
上述した各感光体ドラム1030はいずれも、その表面に感光層が形成されている。すなわち、各感光体ドラムの表面がそれぞれ被走査面となる。各感光体ドラムは、回転機構により、円柱形状の感光体ドラムの回転軸に対して所定の方向に回転する。
【0018】
各帯電装置1032は、対応する感光体ドラムの表面をそれぞれ均一に帯電させる。
【0019】
光走査装置1010Aは、例えば、プリンタ制御部110からのブラックの画像情報及びシアンの画像情報に基づいて色毎に変調された光によって、帯電された感光体ドラム1030a及び感光体ドラム1030bの表面をそれぞれ走査する。これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラム1030の表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。
【0020】
光走査装置1010Bは、例えば、プリンタ制御部110からのマゼンタの画像情報及びイエローの画像情報に基づいて色毎に変調された光(例えば、レーザ光)によって、帯電された感光体ドラム1030c及び感光体ドラム1030dの表面をそれぞれ走査する。これにより、画像情報に対応した潜像が各感光体ドラム1030の表面にそれぞれ形成される。ここで形成された潜像は、感光体ドラム1030の回転に伴って対応する現像ローラの方向に移動する。なお、本実施形態では、図2のエンジン制御部140に、光走査装置1010が含まれるような構成であってもよい。
【0021】
ところで、各感光体ドラムにおける画像情報が書き込まれる走査領域は、「有効走査領域」、「画像形成領域」、「有効画像領域」などと呼ばれている。
の回転に伴って転写ベルト1040の方向に移動する。
【0022】
各現像ローラは、回転に伴って、対応するトナーカートリッジからのトナーが、その表面に薄く均一に塗布される。そして、各現像ローラの表面のトナーは、対応する感光体ドラムの表面に接すると、該表面における光が照射された部分にだけ移行し、そこに付着する。すなわち、各現像ローラは、対応する感光体ドラムの表面に形成された潜像にトナーを付着させて顕像化させる。ここでトナーが付着した顕像(トナー画像)は、感光体ドラムの回転に伴って転写ベルト2040の方向に移動する。
【0023】
続いて、ブラック、シアン、イエロー及びマゼンタの各トナー画像は、所定のタイミングで転写ベルト1040上に順次転写され、重ね合わされてカラー画像が形成される。
【0024】
給紙トレイ1060には記録紙が格納されている。この給紙トレイ1060の近傍には給紙コロ1054が配置されており、給紙コロ1054は、記録紙を給紙トレイ1060から1枚ずつ取り出す。記録紙は、所定のタイミングで転写ベルト1040と転写ローラ1042との間隙に向けて送り出される。これにより、転写ベルト1040上のカラー画像が記録紙に転写される。カラー画像が転写された記録紙は、定着ローラ1050に送られる。
【0025】
定着ローラ1050では、熱と圧力とが記録紙に加えられ、これによってトナーが記録紙上に定着される。トナーが定着された記録紙は、排紙ローラ1058を介して排紙トレイ1070に送られ、排紙トレイ1070上に順次積み重ねられる。
【0026】
各クリーニングユニット1031a、1031b、1031c及び1031dは、対応する感光体ドラムの表面に残ったトナー(残留トナー)を除去する。残留トナーが除去された感光体ドラムの表面は、再度対応する帯電装置に対向する位置に戻る。
【0027】
<従来の構成>
次に、図14を用いて、光走査装置2010の詳細について説明する。図14は、従来の画像形成装置の全体構成の一例を示す図である。この光走査装置2010は、二つの光源(2200a、200b)、二つのカップリングレンズ(2201a、2201b)、二つの開口板(2203a、2203b)、二つのシリンドリカルレンズ(2204a、2204b)、ポリゴンミラー2104A、二つの走査レンズ(2105a、2105b)、二つの折り返しミラー(2106a、2106b)、集光レンズ2112A、同期検知センサ2113A及び画素クロック生成装置250を有している。
【0028】
ここでは、XYZ三次元直交座標系において、各感光体ドラムの長手方向(回転軸方向)に沿った方向をY軸方向、ポリゴンミラー2104Aの回転軸に平行な方向をZ軸方向として説明する。
【0029】
各光源は、半導体レーザ及び半導体レーザを駆動する駆動回路を有している。そして、各光源の駆動回路は、画素クロック生成装置250によって制御される。以下では、便宜上、光源2200aから射出される光を「光LBa」といい、光源2200bから射出される光を「光LBb」という。
【0030】
カップリングレンズ2201aは、光源2200aから射出された光LBaを略平行光とする。カップリングレンズ2201bは、光源2200bから射出された光LBbを略平行光とする。
【0031】
開口板2203aは、開口部を有し、カップリングレンズ2201aを介した光LBaのビーム径を調整する。開口板2203bは、開口部を有し、カップリングレンズ2201bを介した光LBbのビーム径を調整する。
【0032】
シリンドリカルレンズ2204aは、開口板2203aの開口部を通過した光LBaを、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。シリンドリカルレンズ2204bは、開口板2203bの開口部を通過した光LBbを、ポリゴンミラー2104Aの偏向反射面近傍にZ軸方向に関して結像する。
【0033】
なお、各光源とポリゴンミラー2104Aとの間に配置されている光学系は、偏向器前光学系とも呼ばれている。
【0034】
ポリゴンミラー2104Aは、回転多面鏡としての6面鏡を有し、各鏡面がそれぞれ偏向反射面となる。この回転多面鏡は、ポリゴンモータによって、回転軸を中心に等速回転し、各シリンドリカルレンズからの光を、それぞれ等角速度的に偏向する。ここでは、回転多面鏡は上方からみて時計回りに回転されるものとする。また、ポリゴンモータは、例えば、回転多面鏡の回転数が33300[rpm]となるように外部クロック信号に基づいて制御されている。この場合、回転多面鏡は、例えば、約1.8ms(ミリ秒)で1回転する。
【0035】
シリンドリカルレンズ2204aからの光LBaは、ポリゴンミラー2104Aの回転軸の-X側に位置する偏向反射面に入射し、シリンドリカルレンズ2204bからの光LBbは、回転軸の+X側に位置する偏向反射面に入射する。
【0036】
走査レンズ2105aは、ポリゴンミラー2104Aの-X側であって、ポリゴンミラー2104Aで偏向された光LBaの光路上に配置されている。折り返しミラー2106aは、走査レンズ2105aを介した光LBaを感光体ドラム2030aに導光する。すなわち、光LBaは、感光体ドラム2030aに照射され、感光体ドラム2030aの表面に光スポットを形成する。
【0037】
走査レンズ2105bは、ポリゴンミラー2104Aの+X側であって、ポリゴンミラー2104Aで偏向された光LBbの光路上に配置されている。折り返しミラー2106bは、走査レンズ2105bを介した光LBbを感光体ドラム2030bに導光する。すなわち、光LBbは、感光体ドラム2030bに照射され、感光体ドラム2030bの表面に所定の大きさの光スポットを形成する。
【0038】
各感光体ドラムの表面の光スポットは、ポリゴンミラー2104Aの回転に伴って、感光体ドラムの長手方向に移動する。このときの光スポットの移動方向が「主走査方向」であり、感光体ドラムの回転方向が「副走査方向」である。
【0039】
同期検知センサ2113Aは、感光体ドラム2030bにおける有効走査領域外に向かう光を、集光レンズ2112Aを介して受光する位置に配置されている。同期検知センサ2113Aは、同期検知信号を画素クロック生成装置250に出力する。
【0040】
同期検知センサ2113Aは、受光光量が所定の値よりも小さいときに同期検知信号が「ハイレベル」となり、受光光量が所定の値以上のときに同期検知信号が「ローレベル」となるように構成されている。すなわち、同期検知センサ2113Aが光を受光すると、同期検知信号は「ハイレベル」から「ローレベル」に変化する。
【0041】
画素クロック生成装置250は、同期検知センサ2113Aの出力信号である同期検知信号に基づいて、感光体ドラム1030bにおける書き込み開始タイミングを求める。
【0042】
感光体2030bの一端には同期検知センサ2113Aが配置されており、ポリゴンミラー2104Aにより反射されたレーザ光は感光体2030bを1ライン走査する前に同期検知センサ2113Aに入射される。同期検知センサ2113Aは、走査の開始のタイミングを検出する。
【0043】
同期検知センサ2113Aによって検出された走査の開始のタイミングは、感光体の走査に合わせた周期的な第1同期検知信号として画素クロック生成装置250の画素クロック生成部1(251)、画素クロック生成部2(253)及び疑似同期検知信号生成部252に入力される。
【0044】
<画素クロック生成部のハードウエア構成>
続いて、画素クロック生成装置250を構成する画素クロック生成部1(251)のハードウエア構成について説明する。図14に示されているように、画素クロック生成装置250は、例えば、画素クロック生成部1(251)、疑似同期検知信号生成部252、画素クロック生成部2(253)、第1変調データ生成部254、第1レーザ駆動部255、画素クロック生成部3(263)、第2変調データ生成部264及び第2レーザ駆動部265を備える。上述した各画素クロック生成部の括弧内の数値は符号であるが、同一名称の用語を区別するために、便宜上1~Nの数字で用語を指示した例である。
【0045】
画素クロック生成部1(251)は、第1同期検知信号を元に第1画素クロックと周波数補正値を生成する。疑似同期検知信号生成部252は、第1同期検知信号と第1画素クロックを元に疑似同期検知信号を生成する。画素クロック生成部2(253)は、初期周波数設定値を周波数補正値で補正して、第1同期検知信号に同期して、第2画素クロックを生成する。画素クロック生成部3(263)は、初期周波数設定値を周波数補正値で補正して疑似同期検知信号に同期して第3画素クロックを生成する。
【0046】
第1変調データ生成部254は、第1画像データをもとに、第2画素クロックに同期した第1変調データとして第1レーザ駆動部255に出力し、第1レーザ駆動部255が変調データに応じた出力にて光源2200aを駆動してレーザ光を出力する。
【0047】
第2変調データ生成部264は、第2画像データをもとに、第3画素クロックに同期した第2変調データとして第2レーザ駆動部265に出力し、第2レーザ駆動部265が変調データに応じた出力にて光源2200bを駆動してレーザ光を出力する。
【0048】
ところで、ポリゴンミラーの回転速度にはムラがあり、周期的な誤差が生じる。また、ポリゴンミラーには、微小ではあるが面精度に誤差があり、厳密な正多面体ではないため、同期検知信号の周期は一定にはならず、ライン間で同期検知信号の周期に誤差が発生する。
【0049】
しかし、疑似同期検知信号を用いる場合、疑似同期検知信号の生成に用いるクロックの周波数やカウンタの目標値は、同期検知信号の周期の誤差に関係なく一定である。そのため、疑似同期検知信号の周期が実際の同期検知信号の周期と異なってしまい、画像の主走査方向の書き出し位置がずれるという問題が生じてしまう。
【0050】
<画素クロック生成部の詳細>
このような問題を解決するために、図15に示したような方法が考えられている。図15は、従来の画素クロック生成部のハードウエア構成の一例を示す図である。図15において、画素クロック生成部1(251)は、第1カウンタ2501、移動平均演算器2503、フィルタ2504、除算器2505、遅延素子2506、レジスタ2507、デジタルクロック発振器2508、比較器2509及び加算器2510を備える。
【0051】
第1カウンタ2501は、ポリゴンミラー1面分に相当する主走査1ラインが走査される間隔を示す第1同期検知信号の間隔を、第1画素クロックでカウントする。比較器2509は、カウントされた値と、ポリゴンミラー1面分におけるNref(ポリゴンミラー1面分の第1画素クロックのカウント値の標準値)とを比較して、その差分を移動平均演算器2503に入力する。
【0052】
ここで、有効走査期間率をER、感光体線速をν、有効書込幅をL、主走査方向の画素密度をρm、副走査方向の画素密度をρs、さらに書込ビーム数をMとすると、Nrefは、以下の(式1)で表すことができる。
【0053】
【数1】
【0054】
例えば、ポリゴンミラーが4面の場合、移動平均演算器203は、差分値4面分の移動平均を演算する。フィルタ2504によって平滑化された差分値4面分の移動平均の演算値は、除算器2505にてNrefで除算されて、1画素周期あたりの誤差Δf_nowに換算される。遅延素子2506は、制御値となる周波数補正値Δfに1画素周期あたりの誤差Δf_nowを加えて更新し、加算器2510は周波数補正値Δfとレジスタ2507で設定された初期周波数fclk_iとの加算値を出力し、デジタルクロック発振器2508によって第1画素クロックが生成される。
【0055】
このフィードバック制御によって1画素周期あたりの誤差を所定の範囲内に収める。誤差が所定の範囲内となったときの周波数補正値Δfを、画素クロック生成部253及び画素クロック生成部263に与える。なお、Nrefの値やレジスタ2507の初期周波数fclk_iは、画像形成装置10の有効走査期間率ER、感光体線速ν、有効書込幅L、主走査方向の画素密度ρm、副走査方向の画素密度ρs、及び、書込ビーム数Mによって決まる。
【0056】
上述した遅延素子2506を積分器とするPI制御を用いたフィードバック制御によるクロックの生成方法では、第1カウント値とNrefの差分をクロック周波数にフィードバックすることで、第1カウント値がNrefに近づいていくよう、クロック周波数を補正するフィードバック系になっている。しかし、一般的なフィードバック制御系は、出力を入力にフィードバックすることを繰り返し、その出力を徐々に目標値へと近づけていくため、一回の補正では所望の出力は得られず、出力が安定するまで複数回の補正が必要になる。
【0057】
また、上述したフィードバック制御では、第1同期検知信号の周期が制御周期になるため、第1同期検知信号の周期は、出力画像におけるライン周期となる。つまり、フィードバック制御系の収束時間は、画像の書出し位置の安定時間に直結し、画像形成装置の高解像度化、高速化が進むと、フィードバック制御による応答時間の遅れは無視できない。このように、フィードバック制御によるクロックの生成方法では、同期検知信号の間隔が連続的に変化していく場合に補正が追い付かず、本来あるべき疑似同期検知信号の生成位置に対して誤差が生じてしまい、異常画像等が発生する問題があった。
【0058】
〔第1の実施形態〕
〔画像形成装置のハードウエア構成〕
そこで、本実施形態では、これまでのフィードバック制御によるクロックの生成方法に代えて新たなクロックの生成方法を提示する。図2は、カラー画像形成装置のハードウエア構成の一例を示す図である。画像形成装置10は、図2に示されているように、例えば、プリンタ制御部110、通信制御部130、エンジン制御部140及び操作パネル190を備えている。
【0059】
これらのうち、プリンタ制御部110は、コンピュータの主要部であるCPU111、システムメモリ(MEM-P)112、ノースブリッジ(NB)113、サウスブリッジ(SB)114、コントローラ制御用のASIC(Application Specific Integrated Circuit)を示すASIC_C115、記憶部であるローカルメモリ(MEM-C)116、HDDコントローラ117及び記憶部であるHD118を有し、NB113とASIC_C115との間をAGP(Accelerated Graphics Port)バス119で接続した構成となっている。
【0060】
これらのうち、CPU111は、画像形成装置10の全体制御を行う制御部である。NB113は、CPU111と、MEM-P112、SB114及びAGPバス119とを接続するためのブリッジであり、MEM-P112に対する読み書き等を制御するメモリコントローラと、PCI(Peripheral Component Interconnect)マスタ及びAGPターゲットとを有する。
【0061】
MEM-P112は、プリンタ制御部110の各機能を実現させるプログラムやデータの格納用メモリであるROM112a、プログラムやデータの展開、及びメモリ印刷時の描画用メモリなどとして用いるRAM112bとからなる。なお、RAM112bに記憶されているプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD-ROM、CD-R、DVD等のコンピュータで読取り可能な記録媒体に記録して提供されるようにしてもよい。
【0062】
SB114は、NB113とPCIデバイス及び周辺デバイスとを接続するためのブリッジである。ASIC_C115は、画像処理用のハードウエア要素を有する画像処理用途向けのASIC(Application Specific Integrated Circuit)であり、AGPバス119、PCIバス120、HDD117及びMEM-C116をそれぞれ接続するブリッジの役割を有する。このASIC_C115は、PCIターゲット及びAGPマスタ、ASIC_C115において所定の優先順位に従って各信号の駆動タイミングの調停を行うアービタ(Arbiter)、MEM-C116を制御するメモリコントローラ、ハードウエアロジックなどにより画像データの回転などを行う複数のDMAC(Direct Memory Access Controller)、並びに、読取制御部170及び書込制御部180との間でPCIバス120を介したデータ転送を行うPCIユニットを含む。なお、ASIC_C115には、USB(Universal Serial Bus)のインターフェースや、IEEE1394(Institute of Electrical and Electronics Engineers 1394)のインターフェースが接続されるようにしてもよい。
【0063】
MEM-C116は、コピー用画像バッファ及び符号バッファとして用いるローカルメモリである。HD118は、画像データの蓄積、印刷時に用いるフォントデータの蓄積、フォームの蓄積を行うためのストレージである。HD118は、CPU111の制御にしたがってHD118に対するデータの読出し又は書込みを制御する。AGPバス119は、グラフィック処理を高速化するために提案されたグラフィックスアクセラレータカード用のバスインタフェースであり、MEM-P112に高スループットで直接アクセスすることにより、グラフィックスアクセラレータカードを高速にすることができる。
【0064】
通信制御部130は、ネットワークI/F131及び近距離通信回路132を含むハードウエアを備えている。近距離通信回路132は、NFC(Near Field Communication)、Bluetooth(登録商標)等の通信回路である。
【0065】
エンジン制御部140は、画像形成装置のエンジン部を構成する読取制御部170、書込制御部180、及び、読取制御部170と書込制御部180を制御するASIC_E150を含むハードウエアによって構成されている。本実施形態において、ASIC_E150は、エンジン制御デバイスの一例としての機能及び手段を有する。また、操作パネル190は、現在の設定値や選択画面等を表示させ、操作者からの入力を受け付けるタッチパネル等のパネル表示部190a、並びに、濃度の設定条件等の画像形成に係る各種条件の設定値を受け付けるテンキー及びコピー開始指示を受け付けるスタートキー等を含むキー入力部190bを備えている。読取制御部170又は書込制御部180には、誤差拡散やガンマ(γ)変換等の画像処理に係るハードウエアが含まれている。読取制御部170は、例えば、アナログデータをデジタルデータに変換するA/D変換器等を有している。書込制御部180は、画像形成装置10全体の制御を行い、例えば、描画、通信、操作パネル190からの入力等を制御する。
【0066】
なお、画像形成装置10は、操作パネル190のアプリケーション切替キーにより、ドキュメントボックス機能、コピー機能、プリンタ機能、ファクシミリ機能及びメール転送機能等を順次に切り替えて選択することが可能となる。ドキュメントボックス機能の選択時にはドキュメントボックスモードとなり、コピー機能の選択時にはコピーモードとなり、プリンタ機能の選択時にはプリンタモードとなり、ファクシミリ機能の選択時にはファクシミリモードとなり、メール転送機能の選択時には、Eメールモードとなる。
【0067】
また、通信制御部130内のネットワークI/F131は、通信ネットワークを利用してデータ通信をするためのインターフェースである。ネットワークI/F131及び近距離通信回路132は、PCIバス120を介して、ASIC_C115及びASIC_E150に電気的に接続されている。
【0068】
<エンジン制御デバイスのハードウエア構成>
続いて、エンジン制御デバイスの一例であるASIC_E150のハードウエア構成について説明する。図3は、第1の実施形態に係るエンジン制御デバイス及び書込制御部の全体概略の一例を示す図である。
【0069】
図3に示されているように、画像形成装置10は、ASIC_E150、レーザダイオード(以下、LDと記す)光源182、LD光源184、第1LD駆動部181、第2LD駆動部183、感光体1030a、1030b、ポリゴンミラー186、ポリゴンミラー186の回転を制御するポリゴン制御部185、同期検知センサで構成されるPD187、走査レンズ188a、188b、及び、感光体ドラム1030a、1030bを有している。本実施形態において、ポリゴンミラー186は回転多面鏡の一例、PD187は同期検知信号生成手段の一例である。
【0070】
LD光源182からの出射光189aは、ポリゴン制御部185の制御によって所定の回転数で回転するポリゴンミラー186に入射され、ポリゴンミラー186の各面で反射される。出射光189aは、ポリゴンミラー186の回転により周期性を保って、走査レンズ188aを通過することで感光体ドラム1030aの幅に合うように角度を調節され、感光体ドラム1030aを走査する。一方、LD光源184からの出射光189bは、同様にポリゴンミラー186に入射され、ポリゴンミラー186の各面で反射される。出射光189bは、ポリゴンミラー186の回転により周期性を保って、走査レンズ188bを通過することで感光体1030bの幅に合うように角度を調節され、感光体1030bを走査する。これにより、感光体ドラム1030a、1030b上には、LD光源182、184の各出力に応じた静電潜像がそれぞれ形成される。本実施形態において、出射光189aは第1の光信号の一例、出射光189bは第2の光信号の一例である。
【0071】
また、本実施形態において、出力とは、入力を受けたハードウエア等が、所定の回路動作及び処理等を行うことにより、その結果をエネルギー、信号又は情報(データ)として外部へ出すことをいう。この考え方は、以降の実施形態においても同様である。
【0072】
また、感光体ドラム1030aの一端若しくはその付近にはPD187が配置されており、ポリゴンミラー186により反射された出射光189aは、感光体ドラム1030aを1ライン走査する前にPD187に入射され、PD187により走査開始のタイミングが検出される。PD187によって検出された走査開始のタイミングは、感光体ドラム1030aの走査に合わせた周期的な同期検知信号としてASIC_E150の第1画素クロック生成部151、第1LD駆動データ生成部152、及び、疑似同期検知信号生成部155にそれぞれ入力される。さらに、ASIC_E150の入力部には、第1LD駆動データ生成部152に対する第1画像データ、第2LD駆動データ生成部154に対する第2画像データがそれぞれ入力される。本実施形態において、第1画像データは第1の画像データの一例、第2画像データは第2の画像データの一例としてそれぞれ機能する。
【0073】
上述したように、本実施形態では、感光体ドラム1030bに対応する同期検知センサが設けられていないため、感光体ドラム1030bに対する同期検知信号を得ることはできない。そこで、本実施形態では、感光体ドラム1030bへの書込開始タイミングを求める方法として、PD187の出力信号に同期した疑似同期検知信号を生成させる構成及び方法を提供する。なお、本実施形態において、疑似同期検知信号生成部155は、疑似同期検知信号生成手段の一例として機能又は機能する手段を有する。
【0074】
ここで、ポリゴンミラーの各面と感光体ドラム1030に対して走査されるLD光源からの出射光の関係について説明する。図4は、回転多面鏡の四つの偏向反射面の一例を示す図である。図4に示すように、ポリゴンミラー186の四つの偏向反射面を、反時計回りに「面1」、「面2」、「面3」、「面4」とする。上述したように、回転多面鏡の一例としてのポリゴンミラー186は、第1画像データ(第1の画像データ)に係る第1の光信号及び第2画像データ(第2の画像データ)に係る第2の光信号を偏向させるために設けられている。
【0075】
そこで、例えば、面1で反射された光によって感光体ドラム1030aが走査されると、面2で反射された光によって感光体ドラム1030bが走査される。続いて、面3で反射された光によって感光体ドラム1030aが走査されると、面4で反射された光によって感光体ドラム1030bが走査される。
【0076】
なお、本実施形態においてポリゴンミラーは必ずしも4面である必要はなく、6面又はその他の面数を備えるものであってもよい。
【0077】
<<疑似同期検知信号生成部のハードウエア構成>>
図5は、第1の実施形態に係る疑似同期検知信号生成部のハードウエア構成の一例を示す図である。図5に示されたように、疑似同期検知信号生成部155は、第1カウンタ1551、演算器1552、デジタルクロック発振器1553及び第2カウンタ1554を含む各ハードウエア構成を備える。なお、本実施形態において、第1カウンタ1551は第1の計数手段の一例、演算器1552は演算手段の一例、デジタルクロック発振器1553はクロック発振手段の一例、及び第2カウンタ1554は第2の計数手段の一例である。第1の実施形態において、疑似同期検知信号生成部155は、予め求められた同期検知信号の周期Nref(単位は、例えば、[μs])、及びポリゴンミラー186の所定の面でカウントされた同期検知信号の周期N(単位は、例えば、[μs])から疑似同期検知信号を生成するための所定の値(N/Nref)を生成し、生成した所定の値(N/Nrefに基づいて同期検知信号が有効となるタイミングを起点に疑似同期検知信号を生成する。
【0078】
ここで、第1カウンタ1551は、PD187から出力された同期検知信号としての同期検知信号の入力を起点(契機)にカウントクロックfに同期してそのカウント値をクリア(例えば、0に設定)し、最後のカウント値(例えば、N1)を同期検知信号の間隔として後段の演算器1552に出力する。
【0079】
演算器1552は、第1カウンタ1551から出力されたカウント値、及び、理想の同期検知信号の周期を表すNrefの値に基づいて、源振クロックF0を分周するための分周比Kを演算し、後段のデジタルクロック発振器1553に出力する。
【0080】
デジタルクロック発振器1553は、分周器で構成される。デジタルクロック発振器1553は、高速の周波数(例えば、数G[Hz])で発振している源振クロックF0を演算器1552で演算された分周比Kで分周し、所望の周波数で発振するカウンタクロックfを生成する。そして、デジタルクロック発振器1553は、生成したカウントクロックfを第1カウンタ1551及び後段の第2カウンタ1554にそれぞれ出力する。
【0081】
第2カウンタ1554は疑似同期カウンタとも呼ばれ、デジタルクロック発振器1553から発振されたカウントクロックf、レジスタ設定等により与えられた目標値M、及び同期検知信号を入力し、これらに基づいて疑似同期検知信号を生成して出力する。そして、第2カウンタ1554は、疑似同期検知信号の出力に同期して、そのカウント値をクリア(例えば、0に設定)する。以上が、疑似同期検知信号生成部155の基本動作である。
【0082】
<<分周比Kに対する制御>>
後述する図6に示された疑似同期検知信号の生成タイミングに基づいて、以下に、分周比Kを制御することにより、疑似同期検知信号の生成タイミングを制御する方法を説明する。
【0083】
同期検知信号の周期が理想状態(第1カウンタの値がNrefのとき)における、疑似同期検知信号を生成する位置をMとする。なお、Nref、Mは、光学系の構成から予め求めることができる。このとき、同期検知信号から疑似同期検知信号までの時間Trefは、以下の(式2)で求めることができる。
【0084】
【数2】
【0085】
ポリゴンミラー186の回転ムラやミラー面精度の影響で、同期検知信号の周期がNになった場合、理想的な同期検知信号から疑似同期検知信号までの時間Tは、以下の(式3)で求めることができる。
【0086】
【数3】
【0087】
これは、以下の(式4)で示されるように、クロック周波数を変更すれば実現できる。
【0088】
【数4】
【0089】
そこで、分周比Kを変更する。源振クロック周波数をF0、現在の分周比をKとしたとき、新たな分周比K’は、以下の(式5)で求めることができる。(式5)では、演算器1552は、所定の値としてのN/Nrefとデジタルクロック発振器1553に与えられる源振クロックF0を分周するために予め求められた分周比Kに基づいて、カウントクロックfを分周するための分周比K’を演算する。
【0090】
【数5】
【0091】
演算器1552では、上述したように新たな分周比K’を演算し、デジタルクロック発振器1553に1回設定を行う。デジタルクロック発振器1553は、分周比がK’に更新された直後から、所望の周波数で発振するクロックを出力することができる。
【0092】
これにより、第2カウンタ1554は、同期検知信号を起点(契機)に、カウントクロックfでカウントアップし、カウント値が疑似同期検知信号を生成する目標値Mに到達したタイミングで、疑似同期検知信号を生成する。つまり、第2カウンタ1554は、同期検知信号が有効となるタイミングを起点(契機)に、ポリゴンミラー186の所定の面の1周後に疑似同期検知信号を生成する。なお、起点又は契機とは、同期検知信号が有効となるタイミングに同期する状態を含む。
【0093】
<疑似同期検知信号の生成>
次に、図6を用いて(式2)~(式5)で示した方法による疑似同期検知信号の生成タイミングを説明する。図6は、第1の実施形態に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一例である。図6に示されているように、4面のポリゴンミラー186が実装されたエンジン制御部140において、まず、ポリゴンミラー186の1面目では以下に示すタイミング制御が実行される。図5で説明したように、第1カウンタ1551に同期検知信号が入力されると、F1[MHz]で発振するカウントクロック_1でカウントされたカウント値が、次の同期検知信号の入力によってカウント値N1でクリアされる。一方、第2カウンタ1554では、F1[MHz]で発振するカウントクロック_1でカウントされたカウント値が予め設定された目標値Mに到達した時点で疑似同期検知信号を生成し、カウント値Mをクリアする。つまり、同期検知信号が有効となるタイミングを起点に(同期検知信号が有効となるタイミングに同期して)、同期検知信号が次に有効となる期間で疑似同期検知信号を生成する。
【0094】
なお、本実施形態では、N<Mの関係に基づいた疑似同期検知信号の生成タイミングを例示している。このとき、ポリゴンミラー186の1面目における同期検知信号の周期はA1[μs]である。さらに、疑似同期検知信号の周期は、M*(1/F1[MHz])=B1[μs]である。
【0095】
ポリゴンミラー186の2面目では、第1カウンタ1551に同期検知信号が入力されると、F2[MHz]で発振するカウントクロック_2でカウントされたカウント値が、次の同期検知信号の入力によってカウント値N2でクリアされる。一方、第2カウンタ1554では、F2[MHz]で発振するカウントクロック_2でカウントされたカウント値が予め設定された目標値Mに到達した時点で疑似同期検知信号を生成し、カウント値Mをクリアする。このとき、ポリゴンミラー186の2面目における同期検知信号の周期はA2[μs]である。さらに、疑似同期検知信号の周期は、M*(1/F2[MHz])=B2[μs]である。
【0096】
ポリゴンミラー186の3面目では、第1カウンタ1551に同期検知信号が入力されると、F3[MHz]で発振するカウントクロック_3でカウントされたカウント値が、次の同期検知信号の入力によってカウント値N3でクリアされる。一方、第2カウンタ1554では、F3[MHz]で発振するカウントクロック_3でカウントされたカウント値が予め設定された目標値Mに到達した時点で疑似同期検知信号を生成し、カウント値Mをクリアする。このとき、ポリゴンミラー186の3面目における同期検知信号の周期はA3[μs]である。さらに、疑似同期検知信号の周期は、M*(1/F3[MHz])=B3[μs]である。
【0097】
ポリゴンミラー186の4面目では、第1カウンタ1551に同期検知信号が入力されると、F4[MHz]で発振するカウントクロック_4でカウントされたカウント値が、次の同期検知信号の入力によってカウント値N4でクリアされる。一方、第2カウンタ1554では、F4[MHz]で発振するカウントクロック_4でカウントされたカウント値が予め設定された目標値Mに到達した時点で疑似同期検知信号を生成し、カウント値Mをクリアする。このとき、ポリゴンミラー186の4面目における同期検知信号の周期はA4[μs]である。さらに、疑似同期検知信号の周期は、M*(1/F4[MHz])=B4[μs]である。上述したF1~F4に対応する分周比K(K1~K4)は、例えば、ASIC_E150又は書込制御部180に設けられた所定の記憶手段に保持しておき、反映の度にそれぞれが書き換えられるようにしてもよい。
【0098】
ポリゴンミラー186が1回転(1周)した状態のポリゴンミラー186の1面目では、ポリゴンミラー186の1面目と同じハードウエアで同様のカウンタ制御が行われる。ポリゴンミラー186の1周前の1面目で生成された疑似同期検知信号は、この1面目のタイミングでF1’(F1)[MHz]で発振するカウントクロック_1でカウントされたカウント値に基づいて生成される。すなわち、ポリゴンミラー186の1面目に対する新たな疑似同期検知信号は、ポリゴンミラー186の1周後の反映となる。これは、ポリゴンミラーの面精度による影響で同期検知信号周期が変動するため、同一面となる1周後への反映が望ましいという理由からである。そして、この1周後の反映タイミングが、ポリゴンミラー186の面精度による影響を考慮した場合に最速の反映タイミングとなる。
【0099】
図6の例では、ポリゴンミラー1面目と3面目に対しては第1カウンタ_1及び第2カウンタ_1でカウントし、ポリゴンミラー2面目と4面目に対しては第1カウンタ_2及び第2カウンタ_2でカウントするように、二つのカウンタ群をトグル制御させている。そのため、トグル制御する際はF1~F4(F1’~F4’)に対応するK(K1~K4,K1’~K4’)を保持させておく必要がある。そこで、例えば、ASIC_E150は、疑似同期検知信号生成部155の演算器1552から出力される分周比K(K1~K4及びK1’~K4')を、ASIC_E150内の所定の記憶領域(分周比記憶領域)に記憶させ、二つのカウンタがトグル制御されるタイミングで対応するK1~K4及びK1'~K4’の値を読み出すようにしてもよい。なお、本実施形態において、分周比記憶領域は、例えばEEPROM等のメモリにより構成され、分周比記憶手段の一例として機能又は機能する手段を有する。
【0100】
図7は、第1の実施形態に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一部を拡大した一例である。図7では、ポリゴンミラー186の1面目におけるカウンタクロックfの挙動を可視的に示しているが、同期検知信号のズレ、すなわち、第1カウンタがクリアされる値(N)のずれは、カウントクロックfの1~数クロック分になることもある。
【0101】
上述した方法について、回転多面鏡には製造誤差があり、偏向反射面が異なるとその面精度の違いにより書込開始位置が異なるおそれがある。そのため、疑似同期検知信号生成部155は、疑似同期検知信号を、同期検知信号が検出されたポリゴンミラー186と同一の面(ポリゴンミラー186の1周後)で出力するようにしている。これにより、ポリゴンミラー186の面毎の誤差の影響を回避することができる。同様に、第1カウンタ1551及び第2カウンタ1554についても、疑似的な画素クロック1,2によって順次カウントされ、ポリゴンミラー186の各面における疑似同期検知信号が順次出力される。このように、ポリゴンミラー186の1周後への反映が最速の反映タイミングになる。
【0102】
以上説明したように、演算器1552での演算結果は一意に求まる。また、得られた演算結果を一般的なデジタル回路で構成する場合、その演算結果をデジタルクロック発振器1553に設定するためには、カウントクロックfの1クロック分の処理で可能である。
【0103】
以上説明したように、第1の実施形態によれば、疑似同期検知信号生成部155は、予め求められた同期検知信号の周期Nref、及びポリゴンミラー186の所定の面でカウントされた同期検知信号の周期NからN/Nrefを生成し、生成したN/Nrefに基づいてカウントクロックfを分周する分周比K'を演算し、同期検知信号が有効となるタイミングを起点に、演算した分周比K’及び疑似同期検知信号を生成するための目標値Mから疑似同期検知信号を生成する。これにより、フィードバック制御系によるクロック制御及び疑似同期検知信号の生成を行わないため、第1カウンタ1551による測定結果を即座に反映することができ、疑似同期検知信号の生成に係る応答性が向上する。疑似同期検知信号の生成に係る応答性が向上することにより、画像の主走査方向の書出し位置がずれるといった不具合を回避することができ、高画質な画像を得ることが可能となる。
【0104】
〔第1の実施形態の変形例〕
<<目標値Mに対する制御>>
上述した(式3)を実現するための別の方法として、疑似同期検知信号の目標値Mを変更する方法もある。図8は、第1の実施形態の変形例に係る疑似同期検知信号生成部のハードウエア構成の一例を示す図である。図8に示されているように、疑似同期検知信号生成部155の各部の構成は、図5に示した構成と同様である。但し、デジタルクロック発振器1553に入力される目標値Mは、レジスタ設定等による入力に代えて、演算器1552から出力される。つまり、疑似同期検知信号生成部155において、目標値Mをレジスタ設定等で与えられる構成に代えて、演算器1552から出力するようにする。具体的には、演算器1552にて、新たな目標値M’を、以下の(式6)で示されるように、
【0105】
【数6】
【0106】
として求めてもよい(演算してもよい)。(式6)では、演算器1552は、所定の値としてのN/Nrefと第2カウンタ1554でカウントされる疑似同期検知信号を生成するために予め求められた目標値Mに基づいて、疑似同期検知信号を生成するための目標値M’を演算する。その結果、演算器1552は、(式6)の演算を実行することにより得られたM’を第2カウンタ1554に出力する。これにより、第2カウンタ1554は、カウントクロックfでカウントアップされたカウント値が所望の目標値(M’)に到達した時点で、疑似同期検知信号を生成することが可能になる。この場合も、フィードバック制御系を用いないため、制御系の応答性が向上する。これにより、疑似同期検知信号の生成に係る応答性の問題で発生していた、画像の主走査方向の書出し位置がずれるといった不具合を回避でき、高画質な画像を得ることが可能となる。
【0107】
図9は、第1の実施形態の変形例に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一例である。図9に示されているように、基本的なタイミングは上述した図6と同様である。図6との相違点は、疑似同期検知信号を生成するための目標値Mをポリゴンミラー186の各面の面精度等にあわせて変更している点である。具体的には、ポリゴンミラー186の1面目ではM=M1、2面目ではM=M2、3面目ではM=M3、4面目ではM=M4を設定してそれぞれの面における疑似同期検知信号を生成している。さらに、図6の場合ではカウンタを第1カウンタ_1及び第2カウンタ_2をトグル制御して用いたが、図9では、ポリゴンミラー186の各面に対してカウンタを与えている点が相違している。但し、本実施形態においても、図6で示したように二つのカウンタをトグル制御して、疑似同期検知信号を生成するようにしてもよい。目標値Mについても分周比Kの場合と同様に、例えば、ASIC_E150は、疑似同期検知信号生成部155の演算器1552から出力される目標値M(M1~M4及びM’、すなわちM1’~M4')を、ASIC_E150内の所定の記憶領域(目標値記憶領域)に記憶させ、二つのカウンタがトグル制御されるタイミングで対応するM1~M4及びM1'~M4’の値を読み出すようにしてもよい。このとき、目標値記憶領域は、例えばEEPROM等のメモリにより構成され、目標値記憶手段の一例として機能又は機能する手段を有する。
【0108】
図10は、第1の実施形態の変形例に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一部を拡大した一例である。図10の場合も、図7に示した場合と同様にポリゴンミラー186の1面目におけるタイミングを拡大したものである以外は同様の内容であるため、詳細の説明を省略する。
【0109】
以上説明したように、第1の実施形態の変形例によれば、疑似同期検知信号生成部155は、予め求められた同期検知信号の周期Nref、及びポリゴンミラー186の所定の面でカウントされた同期検知信号の周期NからN/Nrefを生成し、生成したN/Nrefに基づいて疑似同期検知信号を生成するための目標値M'を演算し、同期検知信号が有効となるタイミングを起点に、カウントクロックfを生成するための分周比K及び演算した目標値M’から疑似同期検知信号を生成する。これにより、第1の実施形態と同様に、フィードバック制御系によるクロック制御及び疑似同期検知信号の生成を行わないため、第1カウンタ1551による測定結果を即座に反映することができ、疑似同期検知信号の生成に係る応答性が向上する。疑似同期検知信号の生成に係る応答性が向上することにより、画像の主走査方向の書出し位置がずれるといった不具合を回避することができ、高画質な画像を得ることが可能となる。
〔第2の実施形態〕
図11は、第2の実施形態に係るエンジン制御デバイス及び書込制御部の全体概略の一例を示す図である。図11に示されているように、疑似同期検知信号生成部155は、ポリゴンミラー186の面数分、すなわち四つ設けられている。つまり、疑似同期検知信号生成部155は、第1の画像データに係る第1の光信号及び第2の画像データに係る第2の光信号を偏向させるために設けられたポリゴンミラー186の面数分備えられる。これにより、図6及び図8に示した疑似同期検知信号生成部155の各ハードウエア資源もそれぞれ四つずつ設けられる。
【0110】
図11に示されているように、同期検知信号分配部156は、ポリゴンミラー186の面毎に、各疑似同期検知信号生成部155(例えば、155-1,155-2,155-3,155-4)へ同期検知信号を供給する。各疑似同期検知信号生成部155から見ると、4面に一回、同期検知信号が入力されることになる。
【0111】
このような構成に基づき、疑似同期検知信号選択部157は、四つの疑似同期検知信号生成部155から出力された信号から一つを選んで疑似同期検知信号として後段の第2LD駆動データ生成部154に出力する。なお、それぞれの疑似同期検知信号生成部155からの出力は、4面に一回毎出力されるため、全ての出力を一つの信号にまとめて後段の第2LD駆動データ生成部154に出力する構成にしてもよい。つまり、第2の実施形態では、疑似同期検知信号生成部155のそれぞれは、ポリゴンミラー186の各面に対応させて疑似同期検知信号を生成する。
【0112】
図12は、第2の実施形態に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一例である。図12で示したタイミングチャートは、カウンタについては図9と同様の構成であるが、疑似同期検知信号を出力するための分周比K及び目標値Mについては、それぞれポリゴンミラー186の各面に応じて変更する構成を示している。
【0113】
図13は、第2の実施形態に係る疑似同期検知信号のタイミングチャートの一部を拡大した一例である。図13の場合も、図7に示した場合と同様にポリゴンミラー186の1面目におけるタイミングを拡大したものである以外は同様の内容であるため、詳細の説明を省略する。
【0114】
以上説明したように、第2の実施形態によれば、第1カウンタ1551及び第2カウンタ1554(疑似同期カウンタ)をポリゴンミラー186の面数分用意し、図9に示したように使用するカウンタをポリゴンミラー186の各面に応じて順番に切り替えていく。つまり、実施形態1及び実施形態1の変形例で示した分周比K’及び目標値M’を演算する方法のうち、任意の組み合わせによる演算をポリゴンミラー186の各面に対して実行する。これにより、疑似同期検知信号の生成タイミングに対する連続的な補正が可能となる。さらに、疑似同期検知信号を生成部155は、ポリゴンミラー186の各面の特性に応じたタイミング制御を行えるため、疑似同期検知信号を生成する際のタイミング設計の簡単化、効率化も期待できる。
【0115】
〔実施形態の補足〕
上述した各実施形態における疑似同期検知信号生成部155を含むエンジン制御デバイスの一例としてのASIC_E150は、画像形成装置に搭載されるものに限られない。例えば、エンジン制御デバイスの一例としてのASIC_E150を備えた対向走査方式の光走査装置単体、若しくはこのような光走査装置を含む他の機器、装置等で使用されてもよい。
【0116】
また、上述した各実施形態の各機能は、一又は複数の処理回路によって実現することが可能である。ここで、本明細書における「処理回路」とは、電子回路により実装されるプロセッサのようにソフトウエアによって各機能を実行するようプログラミングされたプロセッサや、上記で説明した各機能を実行するよう設計されたASIC(Application Specific Integrated Circuit)、DSP(digital signal processor)、FPGA(field programmable gate array)、SOC(System on a chip)、GPU(Graphics Processing Unit)や従来の回路モジュール等のデバイスを含むものとする。
【0117】
さらに、図5及び図8で示した疑似同期検知信号生成部155の動作を、ソフトウエアで実現するようにしてもよい。つまり、プリンタ制御部110内のCPU111若しくはASIC_C115、又は、エンジン制御部140内のASIC_E150の制御によって、所定のプログラムが実行されるようにしてもよい。例えば、CPU111が、同期検知信号の1周期内で(式2)乃至(式6)を実行し、ポリゴンミラー186の同一面に反映可能なタイミングで、上述した疑似同期検知信号を生成することができれば、各実施形態で例示したハードウエアの構築を省くことも可能になる。
【0118】
なお、上述した方法を実行するプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルで、コンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録して流通させるようにしてもよい。記録媒体の例として、CD-R(Compact Disc Recordable)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu-ray Disc(Blu-Rayは登録商標)、SDカード、USBメモリ等が挙げられる。また、記録媒体は、プログラム製品(Program Product)として、国内又は国外へ提供されることができる。例えば、画像形成装置10は、本発明に係るプログラムが実行されることで、本発明に係るクロック制御方法を実現する。
【符号の説明】
【0119】
10 画像形成装置
155 疑似同期検知信号生成部(疑似同期検知信号生成手段の一例)
186 ポリゴンミラー(回転多面鏡の一例)
187 PD(同期検知信号生成手段の一例)
189a 出射光(第1の光信号の一例)
189b 出射光(第2の光信号の一例)
1030a 感光体ドラム(第1の被走査媒体の一例)
1030b 感光体ドラム(第2の被走査媒体の一例)
1551 第1カウンタ(第1の計数手段の一例)
1552 演算器(演算手段の一例)
1553 デジタルクロック発振器(クロック発振手段の一例)
1554 第2カウンタ(第2の計数手段の一例)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0120】
【文献】特開2016-9002号公報
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