(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】商品払出装置
(51)【国際特許分類】
G07F 11/00 20060101AFI20241016BHJP
G07F 11/34 20060101ALI20241016BHJP
G07F 11/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G07F11/00 A
G07F11/34
G07F11/04
(21)【出願番号】P 2020190377
(22)【出願日】2020-11-16
【審査請求日】2023-10-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000005234
【氏名又は名称】富士電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩子 努
【審査官】小島 哲次
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-102794(JP,A)
【文献】特開2017-091153(JP,A)
【文献】特開2016-024627(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07F 5/00-11/72
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロングサイズの商品を横倒姿勢で上下に収納する一方、ハーフサイズの商品を横倒姿勢で左右2列に上下に収納することが可能な第1の商品収納通路に適用され、前記ハーフサイズの商品に対応して、前記第1の商品収納通路に進退移動して商品を保持又は搬出する2組のペダルユニットを備えた第1商品搬出装置と、
前記第1の商品収納通路と前後に隣接し、かつロングサイズの商品を横倒姿勢で上下に収納する一方、ハーフサイズの商品を横倒姿勢で左右2列に上下に収納することが可能な第2の商品収納通路に適用され、前記ハーフサイズの商品に対応して、前記第2の商品収納通路に進退移動して商品を保持又は搬出する2組のペダルユニットを備えた第2商品搬出装置と
を互いに背中合わせに抱き合わせ可能な商品払出装置であって、
前記第1商品搬出装置及び前記第2商品搬出装置の共通の駆動源と、
払出指令が与えられた場合に、該払出指令に応じて前記第1商品搬出装置及び前記第2商品搬出装置を択一的に選択して前記駆動源からの駆動力を付与し、前記2組のペダルユニットを同期駆動又は個別駆動させる駆動力付与手段と
を備え
、
前記駆動力付与手段は、
それぞれが前記ペダルユニットに対応して自身の中心軸回りに正逆回転可能に配設され、かつ対応するペダルユニットのみを個別駆動させるための個別カム部と、該ペダルユニットと組を成す他のペダルユニットとともに該ペダルユニットを同期駆動させるための共通カム部とが形成された出力ギアと、
それぞれが前記出力ギアに対応して自身の軸心回りに回転可能に設けられ、常態においては対応する前記出力ギアの逆回転を許容する一方、正回転する前記出力ギアの個別カム部又は共通カム部に当接された場合には、回転して該出力ギアに対応する前記ペダルユニットを個別駆動又は同期駆動させるリンクレバーと
を備えたことを特徴とする商品払出装置。
【請求項2】
前記駆動源は、直流モータであることを特徴とする請求項
1に記載の商品払出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、商品払出装置に関し、より詳細には、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料等の商品を販売する自動販売機に適用され、商品収納通路に収納された商品を適宜払い出す商品払出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば缶やペットボトル等の容器に入れられた飲料等の商品を販売する自動販売機では、自動販売機本体である本体キャビネットの内部の商品収容庫に商品収納ラックが設けられている。商品収納ラックは、上下方向に沿って延在する商品収納通路と、商品収納通路の下部に配設された商品搬出装置とを有している。
【0003】
商品収納通路は、商品を横倒姿勢で上下に収納するものであり、その左右幅は、例えば500mLのペットボトル等の容器に入れられた商品(以下、ロングサイズの商品ともいう)の縦寸法よりも僅かに大きいものである。この商品収納通路は、ロングサイズの商品を横倒姿勢で上下に収納することが可能である。
【0004】
また商品収納通路は、左右に分割する仕切板が配設されることにより、例えば170mLのペットボトル等の容器に入れられた商品、すなわちロングサイズの商品よりも縦寸法が半分以下の商品(以下、ハーフサイズの商品ともいう)を横倒姿勢で左右2列に上下に収納することが可能である。
【0005】
商品搬出装置は、ハーフサイズの商品に対応して2組の下ペダル及び上ペダルを備えている。これら下ペダル及び上ペダルは、それぞれ商品収納通路に対して適宜進退移動する態様で設けられている。
【0006】
そのような商品搬出装置では、待機状態において、上ペダルが商品収納通路から退行移動した状態にある一方、下ペダルが商品収納通路に進出移動した状態にある。これにより、下ペダルが商品収納通路に収納される最下位の商品に当接し、商品収納通路に収納された商品を保持している。
【0007】
一方、商品搬出装置では、搬出指令が与えられた場合には、駆動源からの駆動力が付与されることで上ペダルが商品収納通路に進出移動し下ペダルが商品収納通路から退行移動する。
【0008】
上ペダルが商品収納通路に進出移動することにより、最下位から2番目の商品に当接することで該商品、並びに該商品よりも上方に収納された商品が下方に向けて移動することを規制する。下ペダルが商品収納通路から退行移動することにより、最下位の商品を下方に向けて搬出する。この最下位の商品の搬出後、商品搬出装置は、待機状態に復帰して商品を保持する。
【0009】
そして、上述した商品搬出装置では、商品収納通路にロングサイズの商品を収納する場合には、2組の下ペダル及び上ペダルが同期駆動することにより、最下位のロングサイズの商品を下方に搬出するようにし、商品収納通路にハーフサイズの商品を収納する場合には、2組の下ペダル及び上ペダルが個別駆動することにより、最下位のハーフサイズの商品を下方に搬出するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、自動販売機においては、商品収納通路は前後に隣接して設けられているので、前後に隣接する商品収納通路の下部に配設された商品搬出装置は、互いに背中合わせに抱き合わされて商品払出装置を構成している。そのため、商品払出装置では、商品搬出装置の数に応じて駆動源の数が必要になっていた。
【0012】
本発明は、上記実情に鑑みて、商品搬出装置の数に対して駆動源の数を低下させて製造コストの低減化を図ることができる商品払出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するために、本発明に係る商品払出装置は、ロングサイズの商品を横倒姿勢で上下に収納する一方、ハーフサイズの商品を横倒姿勢で左右2列に上下に収納することが可能な第1の商品収納通路に適用され、前記ハーフサイズの商品に対応して、前記第1の商品収納通路に進退移動して商品を保持又は搬出する2組のペダルユニットを備えた第1商品搬出装置と、前記第1の商品収納通路と前後に隣接し、かつロングサイズの商品を横倒姿勢で上下に収納する一方、ハーフサイズの商品を横倒姿勢で左右2列に上下に収納することが可能な第2の商品収納通路に適用され、前記ハーフサイズの商品に対応して、前記第2の商品収納通路に進退移動して商品を保持又は搬出する2組のペダルユニットを備えた第2商品搬出装置とを互いに背中合わせに抱き合わせ可能な商品払出装置であって、前記第1商品搬出装置及び前記第2商品搬出装置の共通の駆動源と、払出指令が与えられた場合に、該払出指令に応じて前記第1商品搬出装置及び前記第2商品搬出装置を択一的に選択して前記駆動源からの駆動力を付与し、前記2組のペダルユニットを同期駆動又は個別駆動させる駆動力付与手段とを備えたことを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記商品払出装置において、前記駆動力付与手段は、それぞれが前記ペダルユニットに対応して自身の中心軸回りに正逆回転可能に配設され、かつ対応するペダルユニットのみを個別駆動させるための個別カム部と、該ペダルユニットと組を成す他のペダルユニットとともに該ペダルユニットを同期駆動させるための共通カム部とが形成された出力ギアと、それぞれが前記出力ギアに対応して自身の軸心回りに回転可能に設けられ、常態においては対応する前記出力ギアの逆回転を許容する一方、正回転する前記出力ギアの個別カム部又は共通カム部に当接された場合には、回転して該出力ギアに対応する前記ペダルユニットを個別駆動又は同期駆動させるリンクレバーとを備えたことを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記商品払出装置において、前記駆動源は、直流モータであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、第1商品搬出装置及び第2商品搬出装置の共通の駆動源を備え、駆動力付与手段が、払出指令が与えられた場合に、該払出指令に応じて第1商品搬出装置及び第2商品搬出装置を択一的に選択して駆動源からの駆動力を付与し、2組のペダルユニットを同期駆動又は個別駆動させるので、商品搬出装置の数に対して駆動源の数を低下させて製造コストの低減化を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態である商品払出装置が適用された自動販売機の内部構造を右側から見た場合を示す断面側面図である。
【
図2】
図2は、
図1に示した商品払出装置、すなわち本発明の実施の形態である商品払出装置を示す斜視図である。
【
図3】
図3は、
図1に示した商品払出装置、すなわち本発明の実施の形態である商品払出装置を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示した商品払出装置、すなわち本発明の実施の形態である商品払出装置の内部構造を後方から見た背面図である。
【
図5】
図5は、
図1に示した商品払出装置、すなわち本発明の実施の形態である商品払出装置の内部構造を前方から見た正面図である。
【
図6】
図6は、第1商品搬出装置に設けられた1つのペダルユニットを模式的に示す説明図である。
【
図7】
図7は、第1商品搬出装置に設けられた1つのペダルユニットを模式的に示す説明図である。
【
図8】
図8は、第1商品搬出装置に設けられた1つのペダルユニットを模式的に示す説明図である。
【
図9】
図9は、それぞれ
図5に示した駆動ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図10】
図10は、それぞれ
図5に示した駆動ユニットの構成を示す分解斜視図である。
【
図11】
図11は、駆動ユニットの動作を説明する説明図である。
【
図12】
図12は、駆動ユニットの動作を説明する説明図である。
【
図13】
図13は、駆動ユニットの動作を説明する説明図である。
【
図14】
図14は、駆動ユニットの動作を説明する説明図である。
【
図15】
図15は、駆動ユニットの動作を説明する説明図である。
【
図16】
図16は、駆動ユニットの動作を説明する説明図である。
【
図17】
図17は、駆動ユニットの動作を説明する説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る商品払出装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施の形態である商品払出装置が適用された自動販売機の内部構造を右側から見た場合を示す断面側面図である。ここで例示する自動販売機は、商品を冷却若しくは加熱した状態で販売するもので、本体キャビネット1、外扉2及び内扉3を備えて構成されている。
【0020】
本体キャビネット1は、複数の鋼板を適宜組み合わせることによって前面が開口した直方状に構成されたもので、その内部に断熱構造の商品収容庫4を有している。外扉2は、本体キャビネット1の前面開口を覆うためのもので、本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に配設されている。この外扉2の前面には、ディスプレイウィンドウ、商品選択ボタン、紙幣挿通口、硬貨投入口、返却レバー、一体表示器、硬貨返却口、商品取出口2a等々、商品を販売する際に必要となるものが設けられている。内扉3は、商品収容庫4の前面開口を覆うための上下二分割された断熱扉であり、外扉2よりも内方となる位置において上部断熱扉3aは外扉2の一側縁部に開閉可能に配設され、下部断熱扉3bは本体キャビネット1の一側縁部に開閉可能に配設されている。この内扉3における下部断熱扉3bの下方部には、商品を商品収容庫4の外部に搬出するための商品搬出口3cが設けられている。
【0021】
また上記自動販売機には、商品収容庫4の内部にシュータ5が設けられており、このシュータ5よりも下方となる領域(以下、「熱交換領域」ともいう)に温度調節ユニット6が配設されている一方、シュータ5よりも上方となる領域(以下、「商品収納領域」ともいう)に商品収納ラック10が配設されている。
【0022】
シュータ5は、商品収納ラック10から搬出された商品を内扉3の商品搬出口3cに案内するためのプレート状部材であり、前方側に向けて漸次下方に傾斜する態様で配設されている。図には明示していないが、このシュータ5には、熱交換領域と商品収納領域との間を連通させる通気孔(図示せず)が多数穿設されている。
【0023】
温度調節ユニット6は、商品収容庫4の内部雰囲気を所望の温度状態に維持するためのもので、冷凍サイクルの蒸発器6a、ヒータ6b及び送風ファン6cを備えて構成されている。この温度調節ユニット6においては、例えば冷凍サイクルを運転した状態で送風ファン6cを駆動すると、蒸発器6aにおいて冷却された空気がシュータ5の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を低温状態に維持することができる。一方、ヒータ6bに通電した状態で送風ファン6cを駆動すると、ヒータ6bによって加熱された空気がシュータ5の通気孔を通じて上方に送給されるため、商品収納領域を高温状態に維持することができる。尚、冷凍サイクルの圧縮機、凝縮器及び膨張弁は、図には明示しないがいずれも商品収容庫4の外部となる機械室7に配設されている。
【0024】
上記商品収納ラック10は、前後3列に並ぶように配設されており、一対のベース側板11の間に通路構成要素12が配設されることによって上下方向に沿って蛇行状に構成された複数(図示の例では2つ)の商品収納通路13を備え、これら商品収納通路13の内部に上下方向に沿って複数の商品を横倒姿勢で収納するものである。より詳細に説明すると、通路構成要素12は、商品収納通路13の前方側と、後方側とに互いに対向するよう適宜配設されたものであって、ベース側板11に固定されている。これにより各商品収納ラック10においては、2つの商品収納通路13が互いに前後に隣接する態様で設けられている。以下においては、一つの商品収納ラック10において、前方側の商品収納通路13を第1の商品収納通路13aとも称し、後方側の商品収納通路13を第2の商品収納通路13bとも称することとする。
【0025】
第1の商品収納通路13a及び第2の商品収納通路13bは、左右幅が、例えば500mLのペットボトル等の容器に入れられた商品(以下、ロングサイズの商品ともいう)の縦寸法よりも僅かに大きいものである。これら第1の商品収納通路13a及び第2の商品収納通路13bは、ロングサイズの商品を横倒姿勢で上下に収納することが可能である。
【0026】
また第1の商品収納通路13a及び第2の商品収納通路13bは、左右に分割する仕切板(図示せず)が配設されることにより、例えば170mLのペットボトル等の容器に入れられた商品、すなわちロングサイズの商品よりも縦寸法が半分以下の商品(以下、ハーフサイズの商品ともいう)を横倒姿勢で左右2列に上下に収納することが可能である。
【0027】
上記通路構成要素12には、図には明示しないフラッパが設けられている。フラッパは、商品収納通路13に対して進退移動する態様で通路構成要素12に揺動可能に配設されている。このフラッパは、コイルバネ(図示せず)に付勢されて常態においては商品収納通路13に進出移動した姿勢となる。そして、商品収納通路13を通過する商品に当接することにより自身はコイルバネの付勢力に抗して蛇行状の商品収納通路13に沿うように退行移動して該商品の姿勢を修正するものである。
【0028】
上記商品収納ラック10においては、商品収納通路13の上部にトップトレイ14が設けられている一方、商品収納通路13の下部に商品払出装置20が設けられている。
【0029】
トップトレイ14は、平板状の板金を屈曲して構成されるもので、前方から後方に向けて漸次下方に傾斜する態様でベース側板11の間に配設されている。このようなトップトレイ14の上面は、投入口を通じて投入された商品を商品収納通路13まで案内する商品案内通路15を構成している。
【0030】
図2~
図5は、それぞれ
図1に示した商品払出装置20、すなわち本発明の実施の形態である商品払出装置20を示すもので、
図2及び
図3は斜視図、
図4は内部構造を後方から見た背面図、
図5は内部構造を前方から見た正面図である。
【0031】
これら
図2~
図5に示すように、商品払出装置20は、第1商品搬出装置20aと、第2商品搬出装置20bと、駆動ユニット40とを備えており、第1商品搬出装置20aと第2商品搬出装置20bとが互いに背中合わせに抱き合わされて内部に駆動ユニット40を収納して構成されている。
【0032】
第1商品搬出装置20aは、第1の商品収納通路13aに適用されるものであり、この第1の商品収納通路13aの下部に設置されている。この第1商品搬出装置20aは、対向する通路幅規定板16との間において商品の挙動を制御することにより、待機状態においては第1の商品収納通路13aに商品を保持する一方、駆動する場合には対応する商品を1つずつシュータ5に搬出するように機能するもので、ベース21に対して、左右一対となる態様で2組のペダルユニット30が設けられている。
【0033】
第2商品搬出装置20bは、第2の商品収納通路13bに適用されるものであり、この第2の商品収納通路13bの下部に設置されている。この第2商品搬出装置20bは、対向する通路幅規定板17との間において商品の挙動を制御することにより、待機状態においては第2の商品収納通路13bに商品を保持する一方、駆動する場合には対応する商品を1つずつシュータ5に搬出するように機能するもので、ベース22に対して、左右一対となる態様で2組のペダルユニット30が設けられている。これら第1商品搬出装置20a及び第2商品搬出装置20bは、上記特許文献1にも示されているように従来公知のものであるから、その構成を簡単に説明する。
【0034】
2組のペダルユニット30は、それぞれハーフサイズの商品に対応してベース21,22に設けられており、互いに左右に離隔している。これらペダルユニット30は、いずれも共通の構成を有しているので、以下においては、第1商品搬出装置20aに設けられた1つのペダルユニット30の構成について説明し、その他のペダルユニット30の説明については割愛する。
【0035】
図6~
図8は、第1商品搬出装置20aに設けられた1つのペダルユニット30を模式的に示す説明図である。これら
図6~
図8に示すように、ペダルユニット30は、下ペダル31と上ペダル32とを備えて構成されている。
【0036】
下ペダル31は、プレート状部材であり、基端部に第1揺動支持軸31aを挿通させることによりこの第1揺動支持軸31aの中心軸回りに揺動可能となる態様で配設されている。この第1揺動支持軸31aは、略水平方向に沿って延在する態様でベース21に架設されている。
【0037】
下ペダル31の先端部は、第1揺動支持軸31aの径外方向に向けて延在しており、第1揺動支持軸31aの中心軸回りに揺動した場合にベース21に形成された開口を通じて第1の商品収納通路13aに進退移動することが可能である。つまり、下ペダル31は、第1の商品収納通路13aに対し進退移動する態様で揺動可能に設けられている。
【0038】
下ペダル31とベース21との間には、下ペダルバネ31bが介装されている。下ペダルバネ31bは、第1の商品収納通路13aに対して下ペダル31を進出移動する方向に向けて常時付勢するものである。より詳細に説明すると、下ペダルバネ31bは、
図6に示すように下ペダル31の先端部が第1揺動支持軸31aよりも上方に位置するよう下ペダル31を待機姿勢(以下、商品無待機姿勢ともいう)にさせるものである。そして、下ペダルバネ31bは、下ペダル31の上面に商品が載置される場合には、
図7に示すように下ペダル31の先端部が第1揺動支持軸31aと同等の高さレベルに位置するよう下ペダル31を待機姿勢(以下、商品有待機姿勢ともいう)にさせるものである。これにより下ペダル31は、商品無待機姿勢となる場合には、商品有待機姿勢となるときよりも先端部が上方に位置することとなる。
【0039】
上記下ペダル31は、板状のペダル本体部311と、一対の案内部312とを備えている。一対の案内部312は、上記ペダル本体部311の背面側に設けられている。各案内部312は、上下方向に沿って延在する板状部材であり、互いに対向するよう形成されている。各案内部312の互いに対向する対向面には案内溝313が形成されている。
【0040】
案内溝313は、下ペダル31を第1の商品収納通路13aに対して最も進出移動させた進出位置に配置した状態(
図6に示す状態)において、最も下方に位置し、かつ後述する回動ストッパ36のペダル操作軸361が嵌入される嵌入部313aと、下ペダル31を第1の商品収納通路13aに対して最も退行移動させた退行位置に配置した状態(
図8に示す状態)において、最も上方に位置し、かつ回動ストッパ36のペダル操作軸361が当接する当接部313dと、これら嵌入部313a及び当接部313dとが連続するよう接続する第1案内部313b及び第2案内部313cとを備えている。
【0041】
第1案内部313bは、下ペダル31を第1の商品収納通路13aに対して最も進出移動させた位置(進出位置)に配置した状態において、嵌入部313aからベース21に対して離隔するよう斜め上方に傾斜した後、ベース21に対して近接するよう斜め上方に傾斜して当接部313dに至る態様で案内部312に形成されている。
【0042】
第2案内部313cは、下ペダル31を第1の商品収納通路13aに対して最も進出移動させた位置(進出位置)に配置した状態において、当接部313dからベース21に対して離隔するよう斜め下方に傾斜して嵌入部313aに至る態様で案内部312に形成されている。
【0043】
このような下ペダル31の第1揺動支持軸31aからの径外方向の長さは、第1の商品収納通路13aに対して最も進出移動した位置(進出位置)に位置する場合に、通路幅規定板16との間に最大幅の小さい商品の最大幅よりも小さい間隙を確保することが可能な長さに設定されている。
【0044】
上ペダル32は、プレート状部材であり、基端部に第2揺動支持軸32aを挿通させることによりこの第2揺動支持軸32aの中心軸回りに揺動可能となる態様でベース21に配設されている。この第2揺動支持軸32aは、第1揺動支持軸31aよりも上方域において、略水平方向に沿って延在する態様でベース21に配設されている。
【0045】
上ペダル32の先端部は、第2揺動支持軸32aの径外方向に向けて延在しており、第2揺動支持軸32aの中心軸回りに揺動した場合にベース21の開口を通じて第1の商品収納通路13aに進退移動することが可能である。つまり、上ペダル32は、第1の商品収納通路13aに対し進退移動する態様で揺動可能に配設されている。
【0046】
上ペダル32とベース21との間には、上ペダルバネ(図示せず)が介装されている。上ペダルバネは、第1の商品収納通路13aに対して上ペダル32が退行移動する方向に向けて常時付勢するものである。
【0047】
上記上ペダル32には、押圧傾斜面321、凹部322、ストッパ当接部323及び突起部324が設けられている。押圧傾斜面321は、上ペダル32の先端部分に設けられており、上ペダル32を第1の商品収納通路13aに対して退行移動させた場合には、第1の商品収納通路13aに向けて漸次低くなる態様で形成された湾曲状の傾斜面である。凹部322は、上ペダル32の背面側に設けられており、上ペダル32の両側面に開口する態様で形成した略水平方向に沿って延在する一条の凹所である。ストッパ当接部323は、後述するストッパピン34aが当接する部位であり、上ペダル32の背面において凹部322の上方に傾斜する態様で設けられている。
【0048】
突起部324は、上ペダル32の基端部において第1の商品収納通路13aに向けて突出した態様で設けられている。
【0049】
この上ペダル32は、上記上ペダルバネの付勢力によって第1の商品収納通路13aに退行移動するよう付勢されているが、上記凹部322にストッパピン34aが当接することにより第1の商品収納通路13aに対して退行移動した状態に初期位置が設定されている。
【0050】
このような上ペダル32は、第1の商品収納通路13aに対して最も進出移動した位置(進出位置)に位置する状態(
図8に示す状態)において、第2揺動支持軸32aを通過する鉛直面に対して前傾した状態にある。そして上ペダル32の第2揺動支持軸32aからの径外方向の長さは、上述した前傾した状態において、通路幅規定板16との間に最大幅の小さい商品の最大幅よりも小さい間隙を確保することが可能な長さに設定されている。
【0051】
上記ベース21においては、ストッパピン34a、ペダルストッパピン34b及びストッパ軸34cが架設されている。
【0052】
ストッパピン34aは、略水平方向に沿って配設された軸状部材である。このストッパピン34aは、後述するペダルリンク35に結合されており、当該ペダルリンク35の上下方向への移動に伴って上下方向に沿っての移動が可能である。また、ストッパピン34aは、初期位置にある上ペダル32の凹部322に当接している。
【0053】
ペダルストッパピン34bは、略水平方向に沿って配設された軸状部材である。このペダルストッパピン34bは、ペダルリンク35に結合されており、当該ペダルリンク35の上下方向への移動に伴って上下方向に沿っての移動が可能である。
【0054】
ストッパ軸34cは、略水平方向に沿って配設された軸状部材である。このストッパ軸34cは、その中間部に回動ストッパ36を支承している。回動ストッパ36は、基端部の挿通孔にストッパ軸34cを挿通させ、かつこのストッパ軸34cの中心軸回りに揺動可能となる態様で配設されている。
【0055】
回動ストッパ36の先端部は、ストッパ軸34cの径外方向に向けて延在しており、ストッパ軸34cの中心軸回りに揺動した場合に第1の商品収納通路13aに進退移動することが可能である。
【0056】
この回動ストッパ36は、先端部の貫通孔36aをペダル操作軸361が貫通することで該ペダル操作軸361を有している。ペダル操作軸361は、略水平方向に沿って配設された軸状部材であり、その両端部を上記下ペダル31の案内溝313に嵌入されている。
【0057】
上記回動ストッパ36とベース21との間には、ペダル操作バネ(図示せず)が介装されている。ペダル操作バネは、第1の商品収納通路13aに対して回動ストッパ36を進出移動させる方向に向けて常時付勢するものである。
【0058】
このような回動ストッパ36は、ペダル操作バネによって第1の商品収納通路13aに対して進出移動する方向に向けて付勢され、該回動ストッパ36の窪部36bにペダルストッパピン34bが進入して当該ペダルストッパピン34bに当接することにより退行移動する方向への移動が規制されており、第1の商品収納通路13aに対して進出移動した状態での初期位置が設定されている。また、下ペダル31が下ペダルバネ31bに付勢されているため、回動ストッパ36は、ペダル操作軸361の両端が案内溝313の嵌入部313aに位置しており、下ペダル31が第1の商品収納通路13aに対して進出移動した位置に初期位置が設定されている。
【0059】
そして、このような回動ストッパ36には、その背面側、すなわち窪部36bの背面側に上方に向けて延在する平板状の目隠部36cが設けられている。この目隠部36cは、ペダルストッパピン34bの第1の商品収納通路13aと反対側の部分を覆うものである。
【0060】
ペダルリンク35は、上下方向に沿って延在する長尺板状部材であり、上部が前方に向けて屈曲された後に上方に向けて延在している。このペダルリンク35の上部には、後方に向けて延在した後に斜め上方に向けて延在する当接片351が設けられている。このペダルリンク35とベース21との間には、リンクバネ35a(
図4等参照)が介在している。このリンクバネ35aは、ペダルリンク35を下方に向けて常時付勢するものである。
【0061】
ペダルリンク35がリンクバネ35aによって付勢されて下方に配置された状態では、ストッパピン34aに、退行位置に配置された上ペダル32の凹部322が当接している。しかもペダルストッパピン34bに進出位置に配置された回動ストッパ36が当接しており、回動ストッパ36の退行移動が規制されている。また進出位置に配置された回動ストッパ36のペダル操作軸361は上記下ペダル31の嵌入部313aに嵌入してあり、これにより進出位置に配置された下ペダル31の退行移動が規制されている。
【0062】
これに対してリンクバネ35aの付勢力に抗してペダルリンク35が上方に配置された状態では、
図8に示すように、上記ストッパピン34aに上ペダル32のストッパ当接部323が当接することにより、上ペダル32の退行移動が規制され、上ペダルバネの付勢力に抗して上ペダル32が進出移動して進出位置に配置される。
【0063】
一方、回動ストッパ36は、ペダルストッパピン34bによる退行移動の規制が解除されるので、ストッパ軸34cを中心として退行移動の規制が解除される。ここで、回動ストッパ36には当該回動ストッパ36によって進出位置に維持されている下ペダル31に当接した商品の荷重がかかっており、回動ストッパ36が退行移動の規制が解除されたことによって回動ストッパ36は退行移動を開始する。回動ストッパ36の退行移動が開始されるとペダル操作軸361が下ペダル31の嵌入部313aから外れるため、下ペダル31は第1揺動支持軸31aを中心として退行移動を許容されて商品の荷重によって下ペダルバネ31bの弾性付勢力に抗して退行移動することとなる。
【0064】
このようにペダルユニット30においては、ペダルリンク35が下方に配置された状態では、下ペダル31が第1の商品収納通路13aに進出移動して該第1の商品収納通路13aの商品を保持しており、ペダルリンク35がリンクバネ35aの付勢力に抗して上方に配置された状態では、上ペダル32が第1の商品収納通路13aに進出移動して最下位から2番目の商品が下方に変位することを抑制しつつ下ペダル31が第1の商品収納通路13aから退行移動して最下位の商品を下方に搬出することになる。
【0065】
図9及び
図10は、それぞれ
図5に示した駆動ユニット40の構成を示す分解斜視図である。駆動ユニット40は、樹脂製の前方カバー40Fと後方カバー40Bとが組み合わされることにより構成される収納空間に収納されており、モータ41、出力ギア43、キャリアスイッチ45及びリンクレバー47を備えて構成されている。尚、前方カバー40Fが、第1商品搬出装置20aのベース21に取り付けられ、後方カバー40Bが第2商品搬出装置20bのベース22に取り付けられることにより、駆動ユニット40は、第1商品搬出装置20aと第2商品搬出装置20bとの間に収納されている。
【0066】
モータ41は、駆動源となるものであり、図示せぬ制御部から与えられる指令に応じて駆動する正逆回転可能な直流モータである。このモータ41は、前方カバー40Fと後方カバー40Bとにより構成されるモータ保持部41aに保持された状態で配設されている。
【0067】
出力ギア43は、4つ設けられており、それぞれが円板状を成している。これら出力ギア43の周面にも複数の歯から成るギア部431が形成されている。また出力ギア43の中心部分には、前後方向に向けて突出する軸状部432が形成されており、この軸状部432が前方カバー40F及び後方カバー40Bの軸支凹部43aに挿通することにより、出力ギア43は、自身の中心軸回りに回転可能となる態様で収納されている。これら出力ギア43は、複数の連係ギア42を介してモータ41に連係しており、モータ41の駆動により自身の中心軸回りに回転するものである。
【0068】
これら出力ギア43は、それぞれがペダルユニット30に対応しており、最も右方の出力ギア43が、第1商品搬出装置20aの右側のペダルユニット30に対応し、右方から3番目の出力ギア43が、第1商品搬出装置20aの左側のペダルユニット30に対応し、右方から2番目の出力ギア43が、第2商品搬出装置20bの右側のペダルユニット30に対応し、最も左方の出力ギア43が、第2商品搬出装置20bの左側のペダルユニット30に対応している。つまり、最も右方の出力ギア43と右方から3番目の出力ギア43が第1商品搬出装置20aのペダルユニット30に対応し、右方から2番目の出力ギア43と最も左方の出力ギア43が第2商品搬出装置20bのペダルユニット30に対応している。
【0069】
そして出力ギア43は、前面に押圧片433が形成され、後面に共通カム部434及び個別カム部435が形成されている。
【0070】
押圧片433は、略V字状を成しており、前面において前方に向けて突出する態様で形成されている。尚、各出力ギア43において押圧片433が形成される回転角度位置が一致している。
【0071】
共通カム部434及び個別カム部435は、それぞれ円弧状の形態を成し、後方に向けて突出する態様で形成されている。これら共通カム部434及び個別カム部435は、その円弧状の長さがペダルリンク35を上方に向けて移動させた後にその状態を保持するのに十分な大きさとなるように形成されている。
【0072】
そして、第1商品搬出装置20aのペダルユニット30に対応する最も右方の出力ギア43と右方から3番目の出力ギア43においては、共通カム部434が形成される回転角度位置が互いに一致している。また個別カム部435が形成される回転角度位置は互いに異なっている。
【0073】
一方、第2商品搬出装置20bのペダルユニット30に対応する右方から2番目の出力ギア43と最も左方の出力ギア43においては、第1商品搬出装置20aのペダルユニット30に対応する出力ギア43(最も右方の出力ギア43及び右方から3番目の出力ギア43)に形成された共通カム部434及び個別カム部435とは異なる回転角度位置にて、互いの共通カム部434が形成される回転角度位置が互いに一致しつつ、個別カム部435が形成される回転角度位置が異なっている。
【0074】
つまり、4つの出力ギア43においては、個別カム部435が形成される回転角度位置はそれぞれ一致しておらず、第1商品搬出装置20aのペダルユニット30に対応する出力ギア43同士の共通カム部434が形成される回転角度位置が一致し、第2商品搬出装置20bのペダルユニット30に対応する出力ギア43同士の共通カム部434が形成される回転角度位置が一致している。
【0075】
キャリアスイッチ45は、いわゆるプッシュ型スイッチであり、接触子45aを備えている。このキャリアスイッチ45は、最も左方の出力ギア43が配設される領域よりも僅かに上方に収納されている。このキャリアスイッチ45は、接触子45aが最も左方の出力ギア43の押圧片433に押圧されるとオン状態となって、その旨をオン信号として制御部に与えるものである一方、接触子45aが最も左方の押圧片433に押圧されない場合はオフ状態となって、その旨をオフ信号として制御部に与えるものである。
【0076】
リンクレバー47は、4つ設けられており、それぞれが出力ギア43の左斜め下方に収納されている。
【0077】
リンクレバー47は、例えば樹脂材料から形成されるもので、基端部471に貫通孔471aが形成されている。このリンクレバー47は、先端部472が基端部471から左斜め下方に延在した後に左斜め上方に湾曲したフック状を成している。また、リンクレバー47の基端部471には、係止部473が設けられている。係止部473は、基端部471の右端部より下方に向けて延在する弾性変形可能な板状の弾性部材である。
【0078】
このようなリンクレバー47は、基端部471の貫通孔471aに前方カバー40Fに設けられたリンク軸47aが挿通することでリンク軸47aの中心軸回りに回転可能に配設されている。この場合、リンクレバー47は、前方カバー40F及び後方カバー40Bにより形成されるレバー開口46を貫通しており、先端部472が前方カバー40F及び後方カバー40Bの外部に位置しており、ペダルリンク35の当接片351の下方域に配置されている。より詳細に説明すると、最も右方の出力ギア43の左斜め下方に収納されたリンクレバー47は、先端部が第1商品搬出装置20aの右側のペダルユニット30を構成するペダルリンク35の当接片351の下方域に位置しており、右方から3番目の出力ギア43の左斜め下方に収納されたリンクレバー47は、先端部が第1商品搬出装置20aの左側のペダルユニット30を構成するペダルリンク35の当接片351の下方域に位置している。また、右方から2番目の出力ギア43の左斜め下方に収納されたリンクレバー47は、先端部が第2商品搬出装置20bの右側のペダルユニット30を構成するペダルリンク35の当接片351の下方域に位置しており、最も左方の出力ギア43の左斜め下方に収納されたリンクレバー47は、先端部が第2商品搬出装置20bの左側のペダルユニット30を構成するペダルリンク35の当接片351の下方域に位置している(
図5等参照)。
【0079】
これらリンクレバー47は、レバー開口46の右側縁部461に係止部473が当接することで常態における姿勢が決められている。
【0080】
以上のような構成を有する商品払出装置20においては、待機状態では次のようになっている。駆動ユニット40においては、各出力ギア43の押圧片433が最も上方に位置しており、最も左方の出力ギア43の押圧片433がキャリアスイッチ45の接触子45aを押圧してキャリアスイッチ45はオン状態となる。この待機状態においては、いずれの出力ギア43のカム部(共通カム部434及び個別カム部435)がリンクレバー47の基端部471に接触しておらず、リンクレバー47の先端部472が対応するペダルリンク35の当接片351から下方に離隔した位置にある。
【0081】
ところで、第1の商品収納通路13a及び第2の商品収納通路13bにロングサイズの商品が収納されている場合、最下位のロングサイズの商品は、2組のペダルユニット30の下ペダル31に跨るように載置されており、各下ペダル31は、商品有待機姿勢となっている。
【0082】
そして、第1の商品収納通路13aに収納されたロングサイズの商品の払出指令が与えられた場合、商品払出装置20は次のように動作する。
【0083】
モータ41を逆回転駆動させて各出力ギア43を前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転(逆回転)させる。そして、
図11に示すように、第1商品搬出装置20aのペダルユニット30に対応する出力ギア43(最も右方の出力ギア43及び右方から3番目の出力ギア43)の共通カム部434の端部が対応するリンクレバー47の基端部471の上面に接するタイミングでモータ41の逆回転駆動を停止させる。
【0084】
このモータ41の逆回転駆動により出力ギア43を後方から見て反時計回りに回転させる結果、出力ギア43の一部のカム部(共通カム部434及び個別カム部435)がリンクレバー47の基端部471の下面に当接することになる。この場合、リンクレバー47は、係止部473がレバー開口46の右側縁部461に当接していることで、中心軸回りの回転が規制されている。そのため、基端部471が係止部473に近接することを許容するように係止部473は弾性変形し、出力ギア43の回転によるカム部(共通カム部434及び個別カム部435)の移動を阻害しない。
【0085】
図11に示す状態にてモータ41を正回転駆動させることにより各出力ギア43を前方から見て反時計回り(後方から見て時計回り)に回転(正回転)させる。これにより最も右方の出力ギア43及び右方から3番目の出力ギア43の共通カム部434が対応するリンクレバー47の基端部471に上方より当接すると、対応するリンクレバー47が、
図12に示すように、後方から見て反時計回りの方向に回転する。これらリンクレバー47が反時計回りの方向に回転すると、先端部472が上方に向けて移動することになる。このようにして先端部472が上方に向けて移動することで、第1商品搬出装置20aの各ペダルユニット30を構成するペダルリンク35の当接片351に当接し、リンクバネ35aの付勢力に抗してペダルリンク35を上方に向けて所定距離だけ移動させることができ、しかも共通カム部434が基端部471に摺接している間は、ペダルリンク35を所定距離だけ上方移動させた状態を保持することができる。
【0086】
このペダルリンク35の上方への移動に伴い、ストッパピン34aが上ペダル32の凹部322の縁壁に当接しながら上方に移動するため、上ペダル32は、上ペダルバネの付勢力に抗して初期位置から進出移動する。この上ペダル32の進出移動は、ストッパピン34aの上方への移動により行われる。そして、ストッパピン34aがストッパ当接部323に当接して上ペダル32の退行を規制する。
【0087】
そして、進出移動した上ペダル32は、最下位から2番目のロングサイズの商品に当接し、このロングサイズの商品が下方に向けて移動することを規制する。
【0088】
一方、回動ストッパ36は、進出位置に維持されている下ペダル31に当接したロングサイズの商品の荷重がかかっているので、上記ペダルストッパピン34bの上方への移動により退行移動の規制が解除されたことによって回動ストッパ36は退行移動を開始する。
【0089】
このように回動ストッパ36が退行移動を開始すると、ペダル操作軸361が嵌入部313aから抜け出し、ロングサイズの商品の自重によって下ペダルバネ31bの付勢力に抗して下ペダル31が退行移動を開始する。嵌入部313aから抜け出した回動ストッパ36のペダル操作軸361は、第1案内部313bに沿い、第1案内部313bと第2案内部313cとが交差する位置に向けて移動する。
【0090】
この後、最下位のロングサイズの商品の自重により下ペダル31が退行移動し、最下位のロングサイズの商品の下方への移動が許容され、最下位のロングサイズの商品を下方に搬出することができる(
図8参照)。搬出されたロングサイズの商品は、シュータ5を通じて商品搬出口3cに案内され、更に商品取出口2aを介して取り出し可能な状態になる。
【0091】
ここで、最下位のロングサイズの商品が下ペダル31を擦り抜けると、下ペダル31は下ペダルバネ31bの弾性付勢力によって進出位置に向かって移動するとともに、回動ストッパ36もペダル操作バネの弾性付勢力によって進出位置に向かって移動する。下ペダル31及び回動ストッパ36が進出位置に向かって移動すると、第1案内部313bと第2案内部313cとが交差する位置に保持されていたペダル操作軸361が嵌入部313aに向けて第2案内部313cに沿って移動し、下ペダル31及び回動ストッパ36が進出位置に復帰する。
【0092】
その後、共通カム部434と基端部471との当接が解除されると、リンクバネ35aにペダルリンク35は付勢されて下方に移動する。
【0093】
このペダルリンク35の下方への移動により、ストッパピン34aは下方に移動するとともに、ペダルストッパピン34bは下方に移動する。ペダルストッパピン34bが下方に移動すると進出位置に復帰した回動ストッパ36の背面側の窪部36bにペダルストッパピン34bが当接する。これにより退行移動する方向への移動が規制され、下ペダル31は下ペダルバネ31bの付勢力により第1の商品収納通路13aに対して進出移動した商品無待機姿勢にまで復帰する。
【0094】
一方、上ペダル32は、上ペダルバネに付勢されて、ストッパピン34aの下方への移動に伴い退行移動する。これにより最下位から2番目のロングサイズの商品の下方への移動が許容され、その後そのロングサイズの商品は進出移動した下ペダル31に当接して下方への移動が規制される一方、下ペダル31は商品有待機姿勢に移行して待機状態に戻る。
【0095】
次に、第2の商品収納通路13bに収納されたロングサイズの商品の払出指令が与えられた場合、商品払出装置20は次のように動作する。
【0096】
待機状態からモータ41を逆回転駆動させて各出力ギア43を前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転させる。そして、第2商品搬出装置20bのペダルユニット30に対応する出力ギア43(右方から2番目の出力ギア43及び最も左方の出力ギア43)の共通カム部434の端部が対応するリンクレバー47の基端部471の上面に接するタイミングでモータ41の逆回転駆動を停止させる。
【0097】
その後、モータ41を正回転駆動させることにより各出力ギア43を前方から見て反時計回り(後方から見て時計回り)に回転させる。これにより右方から2番目の出力ギア43及び最も左方の出力ギア43の共通カム部434が対応するリンクレバー47の基端部471に上方より当接すると、対応するリンクレバー47が、
図13に示すように、後方から見て反時計回りの方向に回転する。これらリンクレバー47が反時計回りの方向に回転すると、先端部472が上方に向けて移動することになる。このようにして先端部472が上方に向けて移動することで、第2商品搬出装置20bの各ペダルユニット30を構成するペダルリンク35の当接片351に当接し、リンクバネ35aの付勢力に抗してペダルリンク35を上方に向けて所定距離だけ移動させることができ、しかも共通カム部434が基端部471に摺接している間は、ペダルリンク35を所定距離だけ上方移動させた状態を保持することができる。これにより、上述した第1商品搬出装置20aと同様にして、ロングサイズの商品を払い出すことができる。
【0098】
第1の商品収納通路13aにハーフサイズの商品が収納されている場合、最下位のハーフサイズの商品は、1つのペダルユニット30の下ペダル31に載置されており、各下ペダル31は、商品有待機姿勢となっている。尚、第1の商品収納通路13aにハーフサイズの商品が収納される場合には、上述したように第1の商品収納通路13aには左右に分割する仕切板が配設されている。
【0099】
そして、第1の商品収納通路13aの右側に収納されたハーフサイズの商品の払出指令が与えられた場合、商品払出装置20は次のように動作する。
【0100】
待機状態からモータ41を逆回転駆動させて各出力ギア43を前方から見て時計回り(後方から見て反時計回り)に回転させる。そして、第1商品搬出装置20aの右側のペダルユニット30に対応する最も右方の出力ギア43の個別カム部435の端部が対応するリンクレバー47の基端部471の上面に接するタイミングでモータ41の逆回転駆動を停止させる。
【0101】
その後、モータ41を正回転駆動させることにより各出力ギア43が前方から見て反時計回り(後方から見て時計回り)に回転する。これにより最も右方の出力ギア43の個別カム部435が対応するリンクレバー47の基端部471に上方より当接すると、対応するリンクレバー47が、
図14に示すように、後方から見て反時計回りの方向に回転する。このリンクレバー47が反時計回りの方向に回転すると、先端部472が上方に向けて移動することになる。このようにして先端部472が上方に向けて移動することで、第1商品搬出装置20aの右側のペダルユニット30を構成するペダルリンク35の当接片351に当接し、リンクバネ35aの付勢力に抗してペダルリンク35を上方に向けて所定距離だけ移動させることができ、しかも個別カム部435が基端部471に摺接している間は、ペダルリンク35を所定距離だけ上方移動させた状態を保持することができる。これにより、上述したロングサイズの商品の搬出と同様にして、ハーフサイズの商品を払い出すことができる。
【0102】
一方、第1の商品収納通路13aの左側に収納されたハーフサイズの商品の払出指令が与えられた場合には、商品払出装置20は、待機状態からモータ41を逆回転駆動させて第1商品搬出装置20aの左側のペダルユニット30に対応する右方から3番目の出力ギア43の個別カム部435の端部が対応するリンクレバー47の基端部471の上面に接するタイミングでモータ41を停止させる。その後、モータ41を正回転駆動させることにより右方から3番目の出力ギア43の個別カム部435が対応するリンクレバー47の基端部471に上方より当接し、対応するリンクレバー47が、
図15に示すように、後方から見て反時計回りの方向に回転する。このリンクレバー47が反時計回りの方向に回転することにより、上述した第1商品搬出装置20aの右側に収納されたハーフサイズの商品の搬出と同様にして、ハーフサイズの商品を払い出すことができる。
【0103】
ところで、第2の商品収納通路13bにもハーフサイズの商品が収納されていて、該第2の商品収納通路13bの右側に収納されたハーフサイズの商品の払出指令が与えられた場合には、右方から2番目の出力ギア43における個別カム部435により、
図16に示すように対応するリンクレバー47を反時計回りに回転させればよい。また第2の商品収納通路13bの左側に収納されたハーフサイズの商品の払出指令が与えられた場合には、最も左方の出力ギア43における個別カム部435により、
図17に示すように対応するリンクレバー47を反時計回りに回転させればよい。
【0104】
以上説明したように、本発明の実施の形態である商品払出装置20においては、駆動ユニット40のモータ41が、第1商品搬出装置20a及び第2商品搬出装置20bの共通の駆動源を構成し、駆動ユニット40における出力ギア43及びリンクレバー47が、払出指令が与えられた場合に、該払出指令に応じて第1商品搬出装置20a及び第2商品搬出装置20bを択一的に選択して駆動源からの駆動力を付与し、2組のペダルユニット30を同期駆動又は個別駆動させる駆動力付与手段を構成している。
【0105】
そして、上記商品払出装置20によれば、モータ41が、第1商品搬出装置20a及び第2商品搬出装置20bの共通の駆動源であり、出力ギア43及びリンクレバー47が、払出指令が与えられた場合に、該払出指令に応じて第1商品搬出装置20a及び第2商品搬出装置20bを択一的に選択してモータ41からの駆動力を付与し、2組のペダルユニット30を同期駆動又は個別駆動させるので、商品搬出装置20a,20bの数に対してモータ41の数を低下させて製造コストの低減化を図ることができる。
【0106】
しかも、第1商品搬出装置20a及び第2商品搬出装置20bは、それぞれロングサイズの商品及びハーフサイズの商品にも対応しており、様々な商品を販売する自動販売機に適用することができ、汎用性の向上を図ることができる。
【0107】
上述した実施の形態では、出力ギア43及びリンクレバー47が駆動力付与手段を構成していたが、本発明においては、払出指令に応じて第1商品搬出装置20a及び第2商品搬出装置20bを択一的に選択して駆動源からの駆動力を付与し、2組のペダルユニット30を同期駆動又は個別駆動させることができれば、出力ギア43及びリンクレバー47だけに限られず、その他の構成要素を追加してもよいし、出力ギア43及びリンクレバー47の代わりに他の部材を用いても構わない。
【符号の説明】
【0108】
10…商品収納ラック、13…商品収納通路、13a…第1の商品収納通路、13b…第2の商品収納通路、20…商品払出装置、20a…第1商品搬出装置、20b…第2商品搬出装置、21,22…ベース、30…ペダルユニット、31…下ペダル、32…上ペダル、35…ペダルリンク、40…駆動ユニット、41…モータ、43…出力ギア、45…キャリアスイッチ、47…リンクレバー、431…ギア部、432…軸状部、433…押圧片、434…共通カム部、435…個別カム部、471…基端部、472…先端部、473…係止部。