(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
G01J 3/46 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
G01J3/46 Z
(21)【出願番号】P 2020197294
(22)【出願日】2020-11-27
【審査請求日】2023-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】曽澤 祥卓
(72)【発明者】
【氏名】植松 秀和
(72)【発明者】
【氏名】松山 徹
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-094286(JP,A)
【文献】特開2020-020702(JP,A)
【文献】特開2017-009494(JP,A)
【文献】米国特許第5714745(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0089761(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01J 3/00 - G01J 3/52
G01N 21/00 - G01N 21/61
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
受光素子と、
発光素子と、
バッテリーと、
前記バッテリーと電気的に接続される電源回路と、
無線通信モジュールと、
前記受光素子が設けられた第1基板と、
前記発光素子が設けられた第2基板と、
前記電源回路が設けられた第3基板と、
前記無線通信モジュールが設けられた第4基板と、
前記第1基板、前記第2基板、前記第3基板及び前記第4基板を格納する筐体と、
を有し、
前記バッテリーは、前記第1基板、前記第2基板及び前記第3基板と、前記第4基板との間に位置する、ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
操作部を有し、
前記操作部は、前記第4基板に設けられている、ことを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記第4基板は、第1辺と、前記第1辺よりも長い第2辺と、前記第1辺と対向する第3辺と、前記第2辺と対向する第4辺と、を有し、
前記操作部は、前記第2辺及び前記第4辺から等距離にある仮想線と重なる位置に設けられている、ことを特徴とする請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記第4基板は、第1辺と、前記第1辺よりも長い第2辺と、前記第1辺と対向する第3辺と、前記第2辺と対向する第4辺と、を有し、
前記無線通信モジュールは、前記第3辺よりも前記第1辺に近い端部領域に設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項5】
ブザーを有し、
前記ブザーは、前記第4基板に設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
表示モジュールを有し、
前記第4基板は、表示用の信号を前記表示モジュールに中継する中継基板として機能する、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
ステータス表示用の発光モジュールを有し、
前記発光モジュールは、前記第4基板に設けられている、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか一項に記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、バッテリーを備え持ち運びおよび単体での動作が可能な画像処理装置は広く普及している。例えば、特許文献1には、撮像装置による被写体の撮影時における撮像装置の温度と、被写体の撮影前後の色票の撮影時における撮像装置の温度と、被写体の撮影前後の色票の撮影により取得された色票画像データとに基づいて、被写体の撮影前の色票の撮影時における撮像装置の温度から被写体の撮影後の色票の撮影時における撮像装置の温度までの温度の内、被写体の撮影時の温度により近い温度における色票画像データをキャリブレーションデータとして設定するキャリブレーションデータ設定部と、該キャリブレーションデータ設定部において設定されたキャリブレーションデータを用いて、被写体の撮影により取得された被写体の画像データを補正する画像補正部と、を備える画像処理装置が記載されている。特許文献1に記載の画像処理装置によれば、撮影中に撮影条件等が変動した場合においても、被写体の画像データを精度よく補正することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、バッテリーを備え、持ち運びや単体での動作が可能な画像処理装置においては、小型の筐体に各種の構成要素を配置する都合上、発光素子、受光素子及び電源回路の発熱による急激な温度変化が無線通信モジュールに影響を及ぼし、通信安定性を阻害してしまうおそれがあり、依然として技術的に改善すべき余地がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明に係る画像処理装置の一態様は、
受光素子と、
発光素子と、
バッテリーと、
前記バッテリーと電気的に接続される電源回路と、
無線通信モジュールと、
前記受光素子が設けられた第1基板と、
前記発光素子が設けられた第2基板と、
前記電源回路が設けられた第3基板と、
前記無線通信モジュールが設けられた第4基板と、
前記第1基板、前記第2基板、前記第3基板及び前記第4基板を格納する筐体と、
を有し、
前記バッテリーは、前記第1基板、前記第2基板及び前記第3基板と、前記第4基板との間に位置する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】表示モジュールに表示される情報の一例を示す図である。
【
図3】画像処理装置の機能構成を示すブロック図である。
【
図4】画像処理装置の筐体の内部をX軸の正方向から見た図である。
【
図5】画像処理装置の筐体の内部をY軸の正方向から見た図である。
【
図6】画像処理装置の筐体の内部をZ軸の正方向から見た図である。
【
図8】第1基板を
図7のA-A線で切断した断面図である。
【
図10】スペーサー基板をZ軸の正方向から見た図である。
【
図11】メイン基板をZ軸の正方向から見た図である。
【
図12】第2基板をZ軸の正方向から見た図である。
【
図13】第3基板をZ軸の正方向から見た図である。
【
図14】第4基板をZ軸の正方向から見た図である。
【
図15】画像処理装置の一部の構成要素をZ軸の正方向から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を用いて詳細に説明する。用いる図面は説明の便宜上のものである。なお、以下に説明する実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また以下で説明される構成の全てが本発明の必須構成要件であるとは限らない。
【0008】
以下、本実施形態では、本発明に係る画像処理装置の一例として測色装置を例に挙げて説明する。
【0009】
1.画像処理装置の概要
図1は、本実施形態の画像処理装置1の斜視図である。
図1に示すように、本実施形態の画像処理装置1は、画像処理として画像IMGの色を測定する測色処理を行う。具体的には、ユーザーが、画像処理装置1を媒体M上に形成された画像IMGの上に移動させ、画像処理装置1の上面に配置されている操作部32を押下すると、画像処理装置1は、画像IMGと対向する底面の一部から光を出射し、画像IMGで反射した光の波長に基づいて画像IMGの色を測定する。すなわち、操作部32は、測定開始ボタンとして機能する。例えば、媒体Mは紙や布等であり、画像IMGは単色の画像である。
図1に示すように、媒体M上に互いに異なる色の複数の画像を含むカラーチャートが形成されており、ユーザーが画像処理装置1を各画像の上に移動させて操作部32を押下することにより、画像処理装置1が各画像の色を測定してもよい。また、画像処理装置1は、媒体Mの色を測定することもできる。
【0010】
画像処理装置1は、測色値と目標の色値との差である色差を算出してもよい。画像処理装置1は、算出した測色値や色差を、ユーザーが筐体100の外部から視認可能な表示モジュール50に表示する。
図1の例では、表示モジュール50は、ユーザーが、画像処理装置1の操作部32が配置されている面から視認可能な位置に設けられている。
図2は、表示モジュール50に表示される測色値や色差の一例を示す図である。
図2の例では、表示モジュール50に表示される測色値L,a,b及び色差ΔEは、L*a*b*色空間における値である。なお、測色値や色差は、RGB色空間、YCC色空間、CMYK色空間、L*C*h色空間等のL*a*b*色空間以外の各種の色空間における値であってもよい。
【0011】
図1及び
図2に示すように、画像処理装置1は、ユーザーが筐体100の外部から視認可能な発光モジュール33を有してもよい。
図1及び
図2の例では、発光モジュール33は、操作部32を取り囲むように配置されている。例えば、発光モジュール33は、管状のライトガイドとライトガイドの先端に取り付けられたLEDとを有し、LEDが発する光がライトガイドに導かれる。LEDは、Light Emitting Diodeの略である。
図1及び
図2の例では、ユーザーは、発光モジュール33のライトガイドを視認可能である。発光モジュール33は、ステータス表示用のモジュールであり、ユーザーの操作部32に対する操作に応じて発光状態が異なる。例えば、画像処理装置1は、ユーザーによって操作部32が押下されたことを認識すると発光モジュール33を発光させてもよい。
【0012】
画像処理装置1は、ユーザーが片手で把持して操作可能なサイズの直方体に近い形状であるため、持ち運びが可能である。また、画像処理装置1は、後述するバッテリー70を内蔵し、ユーザーが操作部32を押下することにより動作するので、他の装置からの指示を受けることなく単体で動作可能である。したがって、画像処理装置1は、ユーザーの利便性が高い。
【0013】
なお、
図1及び
図2に示すように、画像処理装置1の筐体100の交差する3辺にそれぞれ沿う方向をX軸、Y軸、Z軸とし、以降は、
図3を除いて、画像処理装置1の向きとX軸、Y軸、Z軸との関係は
図1及び
図2と同じであるものとする。
【0014】
2.画像処理装置の機能構成
図3は、画像処理装置1の機能構成を示すブロック図である。
図3に示すように、画像処理装置1は、複数の発光素子10及び発光素子駆動回路11を含む。また、画像処理装置1は、波長可変フィルター20、受光素子21、光電変換回路22、増幅回路23、C/V変換回路24、増幅回路25及び昇圧変換回路26を含む。また、画像処理装置1は、第1プロセッサー30、無線通信モジュール31、操作部32、発光モジュール33、ブザー34及び表示モジュール50を含む。また、画像処理装置1は、第2プロセッサー40、電源回路41、スイッチ回路42、充電回路43、コネクター60及びバッテリー70を含む。
【0015】
複数の発光素子10は、それぞれ、画像処理装置1の底面部分に配置され、発光素子駆動回路11から出力される駆動信号に基づいて点灯又は消灯する。各発光素子10が点灯すると、画像処理装置1の底面から光が出射する。各発光素子10は、例えば、LEDである。例えば、複数の発光素子10のうち、一部の発光素子は白色光を出射し、他の一部の発光素子は紫外光を出射してもよい。
【0016】
発光素子駆動回路11は、第1プロセッサー30からの制御信号に基づいて、複数の発光素子10をそれぞれ駆動する複数の駆動信号を出力する。
【0017】
波長可変フィルター20は、画像処理装置1の底面から入射した光のうち所定の範囲の波長の光を透過させる。波長可変フィルター20は、不図示の静電アクチュエーターを備え、静電アクチュエーターには増幅回路25から出力される電圧が印加される。静電アクチュエーターの容量値は印加される電圧に応じて変化し、波長可変フィルター20が透過させる光の波長は、静電アクチュエーターの容量値に応じて変化する。したがって、波長可変フィルター20が透過させる光の波長は、増幅回路25から出力される電圧に応じて変化する。例えば、波長可変フィルター20は、エタロン素子であってもよい。
【0018】
増幅回路25は、波長可変フィルター20を駆動するための数十Vの電圧を出力する。増幅回路25の出力電圧は、第1プロセッサー30からの制御信号に基づいて変化する。
【0019】
昇圧変換回路26は、電源回路41から出力される数Vの電圧V1を数十Vの電圧V4に昇圧し、増幅回路25に出力する。昇圧変換回路26によって昇圧された電圧V4は、増幅回路25の電源電圧となる。昇圧変換回路26は、例えば、昇圧型DCDCコンバーターであってもよい。
【0020】
C/V変換回路24は、静電アクチュエーターに蓄積される電荷を電圧に変換し、第1プロセッサー30に出力する。第1プロセッサー30は、C/V変換回路24の出力電圧をA/D変換したデジタル値に基づいて、波長可変フィルター20が所望の波長の光を透過させるように、増幅回路25の出力電圧を制御する。すなわち、波長可変フィルター20が透過させる光の波長は、第1プロセッサー30によって制御される。
【0021】
受光素子21は、波長可変フィルター20を透過した光を受けて、光量に応じた大きさの電荷を出力する。例えば、受光素子21は、フォトダイオードであってもよい。
【0022】
光電変換回路22は、受光素子21が受けた光量を電気信号に変換し、増幅回路23に出力する。例えば、光電変換回路22は、受光素子21から出力された電荷を電圧に変換するC/V変換回路であってもよい。
【0023】
増幅回路23は、光電変換回路22から出力される電圧を増幅し、第1プロセッサー30に出力する。
【0024】
第1プロセッサー30は、画像処理を行うプロセッサーであり、光電変換回路22の出力電圧をA/D変換することにより、受光素子21が受け取った光量を示すデジタル値を生成し、当該光量を光の波長と対応づけて記憶する。第1プロセッサー30は、例えば、MCUやMPUであってもよい。MCUはMicro Control Unitの略であり、MPUはMicro-processing unitの略である。第1プロセッサー30は、波長可変フィルター20が透過させる光の波長をスイープし、受光素子21が受け取った光量を各波長と対応づけて記憶する。そして、第1プロセッサー30は、各波長に対応づけられた光量に基づいて、測色値を算出する。第1プロセッサー30は、あらかじめ目標の色値がわかっている場合には、測色値と目標の色値との差である色差を算出する。
【0025】
無線通信モジュール31は、不図示の無線通信回路及びアンテナを有する。無線通信回路は、アンテナを介して外部装置から受信した無線信号を取得してデータを復調し、第1プロセッサー30に送信する。また、無線通信回路は、第1プロセッサー30からデータを取得して高周波信号を変調し、アンテナを介して外部装置に無線信号を送信する。例えば、無線通信モジュール31は、第1プロセッサー30が算出した測色値や色差を取得し、外部装置に送信してもよい。無線通信回路は、不図示の温度センサーを有し、温度センサーから出力される信号に基づいて、測色値を温度補償する機能を有していてもよい。無線通信モジュール31は、例えば、Bluetooth(登録商標)やWi-Fi等の無線通信規格に対応した無線信号を送受信するモジュールであってもよい。
【0026】
操作部32は、ユーザーの操作に基づく操作信号を第1プロセッサー30に出力する。本実施形態では、操作部32は、測定開始ボタンとして機能し、ユーザーが操作部32を押下すると、押下されたことを示す操作信号を第1プロセッサー30に出力する。第1プロセッサー30は、操作部32からの操作信号に基づいて測色のための処理を開始する。
【0027】
発光モジュール33は、ステータス表示用のモジュールであり、第1プロセッサー30からの制御信号に基づいて発光する。例えば、第1プロセッサー30は、ユーザーが操作部32を押下したことを検知すると発光モジュール33を発光させるための制御信号を出力する。
【0028】
ブザー34は、第1プロセッサー30からの制御信号に基づいて所定の音を発生させることにより、各種の情報をユーザーに通知する。例えば、ユーザーが測定開始のために操作部32を押下した際に受光素子21の光軸のずれやブレが大きい場合には、正常な測色ができないおそれがあるので、ユーザーの操作部32に対する操作不良が生じた場合、第1プロセッサー30が所定の制御信号をブザー34に出力し、ブザー34が音を発する。
【0029】
表示モジュール50は、第1プロセッサー30から出力される表示用の信号に基づいて各種の情報を表示する。本実施形態では、発光モジュール33は、
図2に示した表示パネルと不図示の表示ドライバーとを含む。表示パネルは、例えば、液晶パネルであってもよい。表示ドライバーは、第1プロセッサー30から出力される表示用の信号に応じた駆動信号を生成し、表示パネルに出力する。例えば、
図2に示したように、表示パネルには測色値や色差等が表示される。
【0030】
バッテリー70は、例えば、リチウムイオン電池やリチウムポリマー電池等の2次電池である。ユーザーが不図示の電源ボタンを押下することにより、バッテリー70から充電残量に応じた電圧VBが出力される。
【0031】
電源回路41は、バッテリー70の出力電圧VBに基づいて電圧V1,V2を生成して出力する。電源回路41は、不図示の昇圧型DCDCコンバーター及び降圧型DCDCコンバーターを含み、昇圧型DCDCコンバーターがバッテリー70の出力電圧VBを昇圧して電圧V1を生成し、降圧型DCDCコンバーターが電圧V1を降圧して電圧V2を生成してもよい。電圧V1は昇圧変換回路26に供給され、電圧V2は第2プロセッサー40に電源電圧として供給される。また、電圧V2は、スイッチ回路42に入力される。
【0032】
スイッチ回路42は、第2プロセッサー40からの制御信号に従って導通状態又は非導通状態となる。スイッチ回路42は、導通状態のときは電圧V2とほぼ等しい電圧V3を出力する。電圧V3は、
図3において破線で囲まれた各回路に電源電圧として供給される。また、スイッチ回路42が非導通状態のときは、各回路に電圧V3が供給されない。すなわち、第2プロセッサー40は、電源制御用のプロセッサーである。
【0033】
コネクター60は、ケーブルが接続されるコネクターであり、例えば、USBコネクターであってもよい。USBは、Universal Serial Busの略である。例えば、コネクター60は、USBケーブルを介してパーソナルコンピューター等の外部装置と電気的に接続される。第2プロセッサー40は、コネクター60を介して外部装置とデータ通信を行うことができる。
【0034】
充電回路43は、コネクター60が外部装置と電気的に接続されているときに供給される電源電圧VCによって、バッテリー70を充電する。
【0035】
また、第2プロセッサー40は、第1プロセッサー30とデータ通信を行う。第2プロセッサー40は、電源回路41から電圧V2が供給されることにより起動し、起動したことを第1プロセッサー30に通知してもよい。また、第1プロセッサー30が、測色処理を終了した後スリープモードに移行することを第2プロセッサー40に通知し、第2プロセッサー40は、当該通知を受けてスイッチ回路42を非導通状態にして第1プロセッサー30への電圧V3の供給を停止してもよい。
【0036】
3.画像処理装置の構造
次に、
図4~
図15を用いて、画像処理装置1の内部構造について詳細に説明する。
図4は、画像処理装置1の筐体100の内部をX軸の正方向から見た図である。また、
図5は、画像処理装置1の筐体100の内部をY軸の正方向から見た図である。また、
図6は、画像処理装置1の筐体100の内部をZ軸の正方向から見た図である。
【0037】
図4及び
図5に示すように、画像処理装置1は、直方体形状の筐体100と、第1基板101、第2基板102、第3基板103及び第4基板104を有し、筐体100は、第1基板101、第2基板102、第3基板103及び第4基板104を格納する。第1基板101、第2基板102、第3基板103及び第4基板104は、それぞれねじ止め等によって筐体100に固定されている。第1基板101、第2基板102、第3基板103及び第4基板104のうち、第2基板102が筐体100の底面に最も近い位置に設けられている。第1基板101は、第2基板102と第3基板103との間に位置し、第3基板103は、第1基板101と第4基板104との間に位置する。第4基板104は、筐体100の上面に最も近い位置に設けられている。
【0038】
図3に示した波長可変フィルター20、受光素子21、光電変換回路22、増幅回路23、C/V変換回路24、増幅回路25、昇圧変換回路26及び第1プロセッサー30は、第1基板101に設けられている。また、
図3に示した複数の発光素子10及び発光素子駆動回路11は、第2基板102に設けられている。また、
図3に示した第2プロセッサー40、電源回路41、スイッチ回路42、充電回路43及びコネクター60は、第3基板103に設けられている。また、
図3に示した無線通信モジュール31、操作部32、発光モジュール33及びブザー34は第4基板104に設けられている。
【0039】
図4、
図5及び
図6に示すように、
図3に示した表示モジュール50は、第4基板104と筐体100の上面との間に位置し、筐体100の上面から視認可能である。表示モジュール50が内蔵する不図示の表示ドライバーと接続されているケーブル51の一端は、第4基板104に設けられたコネクター86と接続されている。
【0040】
図4及び
図5に示すように、フレキシブルフラットケーブル91の両端は、第1基板101に設けられたコネクター81及び第4基板104に設けられたコネクター87とそれぞれ接続されている。第1基板101に設けられた第1プロセッサー30と、第4基板104に設けられた無線通信モジュール31、操作部32、発光モジュール33及びブザー34との間で入出力される信号は、フレキシブルフラットケーブル91を伝搬する。
【0041】
また、第1基板101に設けられた第1プロセッサー30から出力される表示用の信号は、フレキシブルフラットケーブル91を伝搬して第4基板104に到達し、さらにケーブル51を伝搬して表示モジュール50に到達する。したがって、第4基板104は、表示用の信号を表示モジュール50に中継する中継基板として機能する。
【0042】
フレキシブルフラットケーブル92の両端は、第1基板101に設けられたコネクター84及び第3基板103に設けられたコネクター85とそれぞれ接続されている。第1基板101に設けられた第1プロセッサー30と、第3基板103に設けられた第2プロセッサー40とは、フレキシブルフラットケーブル92を介してデータ通信を行う。また、第3基板103に設けられた電源回路41が生成した電圧V2に基づく電圧V3は、フレキシブルフラットケーブル92を伝搬して第1基板101に到達し、さらにフレキシブルフラットケーブル91を伝搬して第4基板104に到達する。すなわち、第3基板103から第1基板101までの配線経路は、第3基板103から第4基板104までの配線経路よりも短い。したがって、電源回路41から第1基板101に供給される電圧V3の降下量が小さくなり、第1基板101に配置されている受光素子21に安定した電圧が供給される。
【0043】
ケーブル93の両端は、第1基板101に設けられたコネクター82及び第2基板102に設けられたコネクター83とそれぞれ接続されている。第1基板101に設けられた第1プロセッサー30から出力される制御信号は、ケーブル93を伝搬して第2基板102に到達し、第2基板102に設けられた発光素子駆動回路11に入力される。
【0044】
図4及び
図5に示すように、
図3に示したバッテリー70は、第1基板101、第2基板102及び第3基板103と、第4基板104との間に位置する。より詳細には、バッテリー70は、第3基板103と第4基板104との間に設けられている。また、第3基板103は、バッテリー70と第1基板101との間に設けられている。そして、バッテリー70は、第1基板101の面101Fと直交するZ軸方向において第3基板103と重なっている。したがって、Z軸の正方向から見た平面視において、第1基板101、第2基板102、第3基板103、第4基板104及びバッテリー70は重なっており、第1基板101、第2基板102及び第3基板103が配置される空間と、第4基板104が配置される空間とは、バッテリー70によって分離されている。
【0045】
また、
図4に示すように、X軸の正方向から見た平面視において、バッテリー70は矩形の形状である。一方、
図5に示すように、Y軸の正方向から見た平面視において、バッテリー70の第4基板104と対向する部分は半円の形状であり、バッテリー70の第1基板101、第2基板102及び第3基板103と対向する部分は上底が下底よりも長い台形の形状である。したがって、バッテリー70の第1基板101、第2基板102及び第3基板103と対向する部分は、第1基板101、第2基板102及び第3基板103に近いほど断面積が小さい。そのため、バッテリー70と第3基板103との間にはX軸方向に隙間が生じており、この隙間を活用して第3基板103にコネクター71,72が設けられている。コネクター71,72は、不図示の配線によってバッテリー70と接続される。
図3に示した電源回路41及び充電回路43は、コネクター71,72を介してバッテリー70と電気的に接続される。
【0046】
図7は、第1基板101をZ軸の正方向から見た図であり、
図8は、第1基板101を
図7のA-A線で切断した断面図である。
図7に示すように、Z軸の正方向から見た平面視において、第1基板101は、辺101aと、辺101aよりも長い辺101bと、辺101aと対向する辺101cと、辺101bと対向する辺101dと、を有する矩形の形状である。
【0047】
図7及び
図8に示すように、第1基板101は、Z軸の正方向を向く面101Fと、Z軸の負方向を向く面101Rと、を有する。そして、第1基板101は、Z軸方向において第3基板103と第2基板102との間に設けられている。受光素子21は、第1基板101の面101Rに設けられている。
【0048】
図7に示すように、第1基板101は、メイン基板111及びサブ基板113がスペーサー基板112にねじ131,132で固定されることによって構成されている。
【0049】
図9は、サブ基板113をZ軸の正方向から見た図である。また、
図10は、スペーサー基板112をZ軸の正方向から見た図である。また、
図11は、メイン基板111をZ軸の正方向から見た図である。なお、
図9、
図10及び
図11において、実線は各基板のZ軸の正方向を向く面に設けられた構成要素を示し、破線は各基板のZ軸の負方向を向く面に設けられた構成要素を示している。
【0050】
図7、
図9、
図10及び
図11に示すように、メイン基板111に設けられたねじ穴121、スペーサー基板112に設けられたねじ穴123及びサブ基板113に設けられたねじ穴124にねじ131が挿通され、メイン基板111に設けられたねじ穴122及びサブ基板113に設けられたねじ穴125にねじ132が挿通される。
【0051】
図9に示すように、サブ基板113は、Z軸の正方向を向く面113Fと、Z軸の負方向を向く面113Rと、を有する。第1基板101の面101F及び面101Rは、それぞれ、サブ基板113の面113F及び面113Rである。
図8及び
図9に示すように、サブ基板113の面113Rには、受光素子21及び増幅回路23が設けられている。
【0052】
図7及び
図11に示すように、Z軸の正方向から見た平面視において、第1基板101の外形は、メイン基板111の外形と一致し、第1基板101の辺101a、辺101b、辺101c及び辺101dは、それぞれ、メイン基板111の辺111a、辺111b、辺111c及び辺111dである。
【0053】
図11に示すように、メイン基板111は、Z軸の正方向を向く面111Fと、Z軸の負方向を向く面111Rと、を有する。メイン基板111の面111Fには、光電変換回路22、増幅回路25及び昇圧変換回路26、第1プロセッサー30及びコネクター84が設けられている。また、メイン基板111の面111Rには、波長可変フィルター20、C/V変換回路24、コネクター81及びコネクター82が設けられている。
図8及び
図11に示すように、メイン基板111は矩形の開口部120を有し、Z軸の正方向から見た平面視において、波長可変フィルター20と開口部120とは重なっている。
【0054】
なお、本実施形態では、第1基板101は、メイン基板111、スペーサー基板112及びサブ基板113の3枚の基板によって構成されているが、1枚又は2枚の基板によって構成されてもよい。
【0055】
図12は、第2基板102をZ軸の正方向から見た図である。なお、
図12において、実線は第2基板102のZ軸の正方向を向く面102Fに設けられた構成要素を示し、破線は第2基板102のZ軸の負方向を向く面102Rに設けられた構成要素を示している。
【0056】
図12に示すように、Z軸の正方向から見た平面視において、第2基板102は、辺102aと、辺102aよりも長い辺102bと、辺102aと対向する辺102cと、辺102bと対向する辺102dと、を有する矩形の形状である。第2基板102の面102Fには、コネクター83が設けられている。第2基板102の面102Fは、第1基板101の面101Rと対向する。
【0057】
第2基板102の面102Rには、複数の発光素子10及び発光素子駆動回路11が設けられている。第2基板102は円形の開口部140を有し、Z軸の正方向から見た平面視において、複数の発光素子10は、開口部140を取り囲むように第2基板102の面102Rに設けられている。第2基板102の面102Rは、筐体100の内壁面と対向する。
【0058】
図13は、第3基板103をZ軸の正方向から見た図である。なお、
図13において、実線は第3基板103のZ軸の正方向を向く面103Fに設けられた構成要素を示し、破線は第3基板103のZ軸の負方向を向く面103Rに設けられた構成要素を示している。
【0059】
図13に示すように、Z軸の正方向から見た平面視において、第3基板103は、辺103aと、辺103aよりも長い辺103bと、辺103aと対向する辺103cと、辺103bと対向する辺103dと、を有する矩形の形状である。第3基板103の面103Fには、第2プロセッサー40、電源回路41、スイッチ回路42、充電回路43、コネクター60、コネクター71及びコネクター72が設けられている。第3基板103の面103Fは、バッテリー70と対向する。
【0060】
第3基板103の面103Rには、コネクター85が設けられている。第3基板103の面103Rは、第1基板101の面101Fと対向する。
【0061】
図14は、第4基板104をZ軸の正方向から見た図である。なお、
図14において、実線は第4基板104のZ軸の正方向を向く面104Fに設けられた構成要素を示し、破線は第4基板104のZ軸の負方向を向く面104Rに設けられた構成要素を示している。
【0062】
図14に示すように、Z軸の正方向から見た平面視において、第4基板104は、辺104aと、辺104aよりも長い辺104bと、辺104aと対向する辺104cと、辺104bと対向する辺104dと、を有する矩形の形状である。なお、辺104aは「第1辺」の一例であり、辺104bは「第2辺」の一例であり、辺104cは「第3辺」の一例であり、辺104dは「第4辺」の一例である。
【0063】
第4基板104の面104Fには、操作部32、発光モジュール33、ブザー34及びコネクター86が設けられている。操作部32は、第4基板104の面104Fにおいて、辺104b及び辺104dから等距離にある仮想線VLと重なる位置に設けられている。すなわち、第4基板104の短辺方向の中央部に操作部32が配置されている。操作部32は、例えば、ユーザーが押下することで物理的に変位するボタンである。また、操作部32は、静電容量式のボタンであってもよい。
【0064】
第4基板104の面104Fは、筐体100の内壁面及び表示モジュール50と対向する。
【0065】
第4基板104の面104Rには、無線通信モジュール31及びコネクター87が設けられている。無線通信モジュール31は、第4基板104の面104Rの端部領域に設けられている。当該端部領域は、第4基板104の面104Rの全領域を、辺104aと平行な2つの線分によって互いに面積の等しい3つの領域に分割したときに、辺104aに最も近い領域である。第4基板104の面104Rは、バッテリー70と対向する。
【0066】
図15は、複数の発光素子10、波長可変フィルター20、受光素子21、開口部140、第1プロセッサー30、無線通信モジュール31、操作部32、電源回路41、表示モジュール50及び第4基板104をZ軸の正方向から見た図である。
【0067】
図15に示すように、Z軸方向において、第2基板102の開口部140、波長可変フィルター20及び受光素子21が重なり、複数の発光素子10が開口部140を取り囲むように位置する。すなわち、開口部140及び波長可変フィルター20は受光素子21の光軸上で重なり、受光素子21の光軸を取り囲むように複数の発光素子10が位置する。したがって、複数の発光素子10から出射された光は画像IMGで反射され、当該反射光は開口部140を通過して波長可変フィルター20に入射する。そして、波長可変フィルター20を透過した所定の波長の光が受光素子21に入射する。このように、光学系の構成要素をZ軸方向に重ねて配置することで、光学系に必要な空間が小さくなり、筐体100を小型化することができる。
【0068】
また、
図15に示すように、操作部32と複数の発光素子10が配置されている領域A1とは、受光素子21の光軸上で重なる位置に設けられている。したがって、ユーザーが操作部32を操作する際に受光素子21の光軸に対して真っすぐに力が加わるので、画像IMGに対して受光素子21の光軸にブレやずれが生じにくい。なお、本実施形態では、複数の発光素子10は、開口部140を取り囲むように第2基板102の面102Rに設けられているので、領域A1は、複数の発光素子10の各配置領域を含む最小円の領域である。
【0069】
また、
図15に示すように、無線通信モジュール31が設けられた第4基板104の面101Rと直交するZ軸方向において、表示モジュール50と無線通信モジュール31とは重ならない。したがって、表示モジュール50によって無線通信モジュール31の受信感度が低下するおそれが低減される。
【0070】
また、
図15に示すように、Z軸方向において、第1プロセッサー30及び受光素子21は、電源回路41と重ならない。したがって、電源回路41が発する熱により受光素子21の特性が変化するおそれが低減するとともに、それぞれ発熱源となる電源回路41、第1プロセッサー30及び受光素子21の放熱性が高まる。
【0071】
4.作用効果
本実施形態の画像処理装置1は、バッテリー70を備え、持ち運びや単体での動作が可能であるが故に生じる様々な課題の少なくとも1つを解決するために、各構成要素の配置に関して様々な工夫がされている。
【0072】
小型の筐体100の内部の狭い空間において発生する熱によって不具合が生じるおそれを低減させることが課題の1つである。本実施形態の画像処理装置1では、画像処理期間に動作して発熱源となり得る受光素子21や第1プロセッサー30は、第1基板101に配置されている。また、画像処理期間に動作して発熱源となり得る複数の発光素子10や発光素子駆動回路11は、第2基板102に配置されている。また、画像処理期間に動作して発熱源となり得る電源回路41や第2プロセッサー40は、第3基板103に配置されている。このように、本実施形態の画像処理装置1では、発熱源となり得る各構成要素が第1基板101、第2基板102及び第3基板103に分散して設けられているため、相互の熱的影響が低減されて動作を安定させることができる。
【0073】
さらに、電源回路41は、Z軸方向において受光素子21と重ならないので、電源回路41が発する熱により受光素子21の特性が変化するおそれが低減されるとともに、電源回路41及び受光素子21のそれぞれの放熱性が高まる。したがって、画像処理装置1によれば、受光素子21の受光量に基づいて行われる画像処理の精度が低下するおそれが低減され、長時間連続して一定の品質を担保しながら稼働することができる。
【0074】
また、画像処理装置1によれば、発熱源となり得る第1プロセッサー30が、Z軸方向において電源回路41と重ならないので、第1プロセッサー30及び電源回路41のそれぞれの放熱性が高まる。
【0075】
また、画像処理装置1では、無線通信モジュール31が、発熱源となり得る受光素子21、複数の発光素子10及び電源回路41がそれぞれ設けられた第1基板101、第2基板102及び第3基板103とは別の第4基板104に設けられている。したがって、画像処理装置1によれば、動作の安定性が求められる無線通信モジュール31が、熱の影響によって不具合を起こすおそれが低減される。
【0076】
また、画像処理装置1では、第1基板101、第2基板102及び第3基板103と第4基板104との間に位置するバッテリー70が熱障壁の役割を果たし、第1基板101、第2基板102及び第3基板103の発熱が第4基板104へと伝わりにくい。したがって、画像処理装置1によれば、第4基板104に設けられた無線通信モジュール31が、画像処理に伴う第1基板101、第2基板102及び第3基板103の急激な温度上昇の影響を受けにくくなり、安定した通信品質を担保することができる。
【0077】
また、
図5に示すように、画像処理装置1では、バッテリー70の第1基板101、第2基板102及び第3基板103と対向する部分は断面積が小さいので、直方体形状のバッテリーが配置された場合と比較して、バッテリー70と第1基板101、第2基板102及び第3基板103との間の隙間が大きい。したがって、画像処理装置1によれば、発熱源となり得る受光素子21、複数の発光素子10及び電源回路41がそれぞれ設けられた第1基板101、第2基板102及び第3基板103からの熱が拡散しやすくなり、放熱性が向上する。
【0078】
また、第4基板104には、必要なときに短期間のみ動作するため発熱量が小さい無線通信モジュール31や発光モジュール33、ほとんど発熱しない操作部32やブザー34が配置されている。そのため、第4基板104は、画像処理期間において表示モジュール50に表示用の信号を中継するため発熱するものの、第1基板101、第2基板102及び第3基板103の少なくとも1つは、第4基板104よりも発熱量が大きい。実際は、頻繁に無線通信が行われる等の特殊な状況が発生しなければ、第1基板101、第2基板102及び第3基板103は、いずれも第4基板104よりも発熱量が大きい。このように、画像処理装置1では、相対的に発熱量の大きい各構成要素は放熱性の高い第1基板101、第2基板102及び第3基板103に配置され、相対的に発熱量の小さい各構成要素は熱の影響を受けにくい第4基板104に配置される。したがって、画像処理装置1によれば、バッテリー70の容量を確保しつつ放熱性を向上させることができるので、長時間連続して一定の品質を担保しながら稼働することができる。
【0079】
また、画像処理装置1によれば、発熱源となり得る第1プロセッサー30が放熱性の良い第1基板101に設けられているので、長時間連続して一定の品質を担保しながら稼働することができる。
【0080】
また、画像処理装置1によれば、発熱源となり得る第2プロセッサー40が放熱性の良い第3基板103に設けられているので、長時間連続して一定の品質を担保しながら稼働することができる。
【0081】
良好な耐ノイズ性や応答性を実現することも課題の1つである。本実施形態の画像処理装置1では、受光素子21が設けられている第1基板101に画像処理を行う第1プロセッサー30が設けられているので、受光素子21から出力される信号は、第2基板102、第3基板103、第4基板104を経由することなく、第1プロセッサー30へと伝搬する。したがって、画像処理装置1によれば、良好な耐ノイズ性や応答性を実現することができる。
【0082】
また、画像処理装置1では、電源回路41が設けられている第3基板103に電源制御を行う第2プロセッサー40が設けられているので、第2プロセッサー40から出力される信号は、他の基板を経由することなく、電源回路41へと伝搬する。したがって、画像処理装置1によれば、良好な耐ノイズ性や応答性を実現することができる。
【0083】
また、画像処理装置1によれば、無線通信モジュール31は、第4基板104において筐体100の内壁面との距離が小さい長辺方向の端部領域に配置されているのでノイズの影響を受けにくく通信感度を高めることができる。
【0084】
また、画像処理装置1によれば、受光素子21と、複数の発光素子10と、電源回路41と、無線通信モジュール31及び操作部32とがそれぞれ異なる基板に設けられているため、熱、振動、信号等の相互干渉が小さくなり、動作を安定させることができる。したがって、画像処理装置1によれば、複数の構成要素の間での熱、振動、信号等の相互干渉によって画像処理の精度が低下するおそれが低減され、長時間連続して一定の品質を担保しながら稼働することができる。
【0085】
また、画像処理装置1では、第3基板103から第1基板101までの配線経路が短いので、第3基板103に配置されている電源回路41から第1基板101に供給される電圧V3の降下量が小さくなる。したがって、画像処理装置1によれば、第1基板101に配置されている受光素子21に安定した電圧が供給されるので、画像処理の精度が低下するおそれが低減される。
【0086】
また、画像処理装置1によれば、受光素子21と光電変換回路22との間の配線経路が短くなり、微小な信号へのノイズの影響が小さくなるので、画像処理の精度が低下するおそれが低減される。
【0087】
また、画像処理装置1によれば、無線通信モジュール31は、第4基板104と直交する方向において表示モジュール50と重ならないので、表示モジュール50によって受信感度が低下するおそれが低減される。
【0088】
ユーザーの操作性や利便性を向上させることも課題の1つである。本実施形態の画像処理装置1では、Z軸方向において、第3基板103と第2基板102との間に第1基板101が設けられ、バッテリー70と第1基板101との間に第3基板103が設けられ、第3基板103と第4基板104との間にバッテリー70が位置し、バッテリー70が第3基板103と重なる。したがって、画像処理装置1によれば、第2基板102、第1基板101、第3基板103、バッテリー70、第4基板104がこの順に重なって配置されるので、筐体100のX軸方向及びY軸方向の幅をZ軸方向の高さよりも小さくすることができる。そのため、ユーザーは、受光素子21の位置を認識しやすくなり、画像処理装置1の操作性が向上する。
【0089】
また、画像処理装置1によれば、Z軸方向において、第2基板102の開口部140、波長可変フィルター20及び受光素子21が重なり、複数の発光素子10が開口部140を取り囲むように位置することにより、光学系の配置に必要な空間が小さくなるので、筐体100を小型化することができる。
【0090】
また、画像処理装置1では、ほとんど発熱しない操作部32及びブザー34や発熱量の小さい発光モジュール33は通信品質にほとんど影響を及ぼさないので、無線通信モジュール31が配置されている第4基板104に操作部32、ブザー34及び発光モジュール33を配置することにより、第4基板104の領域が有効活用されている。また、第1基板101、第2基板102及び第3基板103と比較して発熱量の小さい表示モジュール50は通信品質に及ぼす影響が小さいので、無線通信モジュール31が配置されている第4基板104は表示用の信号を表示モジュール50に中継する中継基板としても活用されている。したがって、画像処理装置1によれば、筐体100の小型化が可能となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0091】
また、画像処理装置1では、第4基板104に設けられた操作部32、複数の発光素子10が配置されている第2基板102の領域A1及び受光素子21が、受光素子21の光軸上で重なるので、ユーザーが操作部32を操作する際に受光素子21の光軸に対して真っすぐに力が加わる。したがって、画像処理装置1によれば、ユーザーが操作部32を操作する際に、処理対象の画像IMGに対して受光素子21の光軸にブレやずれが生じにくく、正常なデータを取得することができる確率が向上する。
【0092】
例えば、操作部32が物理的に変位するボタンであれば、ユーザーの操作によって操作部32が物理的に変位するので、ユーザーが操作を行ったことを確実に認識することができる反面、ユーザーの操作によって大きな力が加わるが、受光素子21の光軸にブレやずれが生じにくい。
【0093】
また、例えば、操作部32が静電容量式のボタンであれば、ユーザーが操作部32に触れることで操作が検知されるので、ユーザーの操作によって加わる力が小さく、受光素子21の光軸にブレやずれがより生じにくい。
【0094】
また、画像処理装置1によれば、第4基板104の短辺方向の中央部に操作部32が配置されているので、ユーザーが操作をしやすく、操作性が向上する。さらに、操作性が向上するため、ユーザーが操作部32を操作する際に、処理対象の画像IMGに対して受光素子21の光軸にブレやずれがより生じにくい。
【0095】
また、画像処理装置1によれば、ユーザーは、必要以上に大きな力を加えなくても、発光モジュール33の発光状態によって操作部32を操作したことを認識することができるので、受光素子21の光軸のブレ量やずれ量が低減され、正常なデータを取得することができる確率が向上する。
【0096】
また、画像処理装置1によれば、ユーザーは、ブザー音によって操作不良が生じたことを認識し、速やかに操作部32の操作をやり直すことができるので、ユーザーの利便性が向上する。
【0097】
また、画像処理装置1によれば、他の装置からの指示を受けることなく単体で動作可能であり、かつ、持ち運び可能であるので、ユーザーの利便性が高い。
【0098】
メンテナンス性を向上させることも課題の1つである。本実施形態の画像処理装置1では、受光素子21と、複数の発光素子10と、電源回路41と、無線通信モジュール31及び操作部32とがそれぞれ異なる基板に設けられている。したがって、本実施形態の画像処理装置1によれば、受光素子21、複数の発光素子10、電源回路41、無線通信モジュール31及び操作部32のいずれか1つが故障した場合には、1枚の基板を交換すればよく、他の3枚の基板を交換する必要がないので、メンテナンス性が良い。
【0099】
また、画像処理装置1によれば、第2基板102に発光素子駆動回路11及び複数の発光素子10が設けられているので、これらの少なくとも1つが故障した場合に、第2基板102を、他の発光素子駆動回路と他の発光素子とを組み合わせて特性が検査された基板と交換すればよいので、メンテナンス性が良い。
【0100】
また、画像処理装置1によれば、第1基板101のサブ基板113に受光素子21及び光電変換回路22が設けられているので、これらの少なくとも一方が故障した場合に、第1基板101のサブ基板113を、他の受光素子と他の光電回路発光素子とを組み合わせて特性が検査された基板と交換すればよいので、メンテナンス性が良い。
【0101】
以上のように、本実施形態の画像処理装置1によれば、バッテリー70を備え、持ち運びや単体での動作が可能であるが故に生じやすい様々な課題の少なくとも1つを解決することができる。
【0102】
本発明は本実施形態に限定されず、本発明の要旨の範囲内で種々の変形実施が可能である。
【0103】
例えば、本発明に係る画像処理装置として、上記の実施形態では測色装置を例に挙げたが、本発明は、測色装置以外にも画像を処理する機能を有する各種の画像処理装置に適用可能である。本発明を適用可能な画像処理装置の一例としては、例えば、スマートフォンなどの移動体端末、携帯型プリンター、携帯型スキャナー、携帯型ディスプレイ装置、ディジタルカメラ等が挙げられる。
【0104】
以上、本実施形態あるいは変形例について説明したが、本発明はこれら本実施形態あるいは変形例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、上記の各実施形態および各変形例を適宜組み合わせることも可能である。
【0105】
本発明は、実施形態で説明した構成と実質的に同一の構成、例えば、機能、方法および結果が同一の構成、あるいは目的および効果が同一の構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成の本質的でない部分を置き換えた構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成と同一の作用効果を奏する構成または同一の目的を達成することができる構成を含む。また、本発明は、実施形態で説明した構成に公知技術を付加した構成を含む。
【0106】
上述した実施形態および変形例から以下の内容が導き出される。
【0107】
画像処理装置の一態様は、
受光素子と、
発光素子と、
バッテリーと、
前記バッテリーと電気的に接続される電源回路と、
無線通信モジュールと、
前記受光素子が設けられた第1基板と、
前記発光素子が設けられた第2基板と、
前記電源回路が設けられた第3基板と、
前記無線通信モジュールが設けられた第4基板と、
前記第1基板、前記第2基板、前記第3基板及び前記第4基板を格納する筐体と、
を有し、
前記バッテリーは、前記第1基板、前記第2基板及び前記第3基板と、前記第4基板との間に位置する。
【0108】
この画像処理装置では、無線通信モジュールが、発熱源となり得る受光素子、発光素子及び電源回路がそれぞれ設けられた第1基板、第2基板及び第3基板とは別の第4基板に設けられている。また、第1基板、第2基板及び第3基板と第4基板との間に位置するバッテリーが熱障壁の役割を果たし、第1基板、第2基板及び第3基板の発熱が第4基板へと伝わりにくい。したがって、この画像処理装置によれば、第4基板に設けられた無線通信モジュールが、画像処理に伴う第1基板、第2基板及び第3基板の急激な温度上昇の影響を受けにくくなり、不具合を起こすおそれが低減されるので、安定した通信品質を担保することができる。
【0109】
前記画像処理装置の一態様は、
操作部を有し、
前記操作部は、前記第4基板に設けられていてもよい。
【0110】
この画像処理装置では、ほとんど発熱しない操作部は通信品質に影響を及ぼさないので、無線通信モジュールが配置されている第4基板に操作部を配置することにより、第4基板の領域が有効活用されている。したがって、この画像処理装置によれば、筐体の小型化が可能となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0111】
前記画像処理装置の一態様において、
前記第4基板は、第1辺と、前記第1辺よりも長い第2辺と、前記第1辺と対向する第3辺と、前記第2辺と対向する第4辺と、を有し、
前記操作部は、前記第2辺及び前記第4辺から等距離にある仮想線と重なる位置に設けられていてもよい。
【0112】
この画像処理装置によれば、第4基板の短辺方向の中央部に操作部が配置されているので、ユーザーが操作をしやすく、操作性が向上する。
【0113】
前記画像処理装置の一態様において、
前記第4基板は、第1辺と、前記第1辺よりも長い第2辺と、前記第1辺と対向する第3辺と、前記第2辺と対向する第4辺と、を有し、
前記無線通信モジュールは、前記第3辺よりも前記第1辺に近い端部領域に設けられていてもよい。
【0114】
この画像処理装置によれば、無線通信モジュールは、第4基板において筐体の壁面との距離が小さい長辺方向の端部領域に配置されているのでノイズの影響を受けにくく通信感度を高めることができる。
【0115】
前記画像処理装置の一態様は、
ブザーを有し、
前記ブザーは、前記第4基板に設けられていてもよい。
【0116】
この画像処理装置では、ほとんど発熱しないブザーは通信品質に影響を及ぼさないので、無線通信モジュールが配置されている第4基板にブザーを配置することにより、第4基板の領域が有効活用されている。したがって、この画像処理装置によれば、筐体の小型化が可能となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0117】
前記画像処理装置の一態様は、
表示モジュールを有し、
前記第4基板は、表示用の信号を前記表示モジュールに中継する中継基板として機能してもよい。
【0118】
この画像処理装置では、第1基板、第2基板及び第3基板と比較して発熱量の小さい表示モジュールは通信品質に及ぼす影響が小さいので、無線通信モジュールが配置されている第4基板は中継基板としても活用されている。したがって、この画像処理装置によれば、筐体の小型化が可能となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【0119】
前記画像処理装置の一態様において、
ステータス表示用の発光モジュールを有し、
前記発光モジュールは、前記第4基板に設けられていてもよい。
【0120】
この画像処理装置では、発熱量の小さいステータス表示用の発光モジュールは通信品質にほとんど影響を及ぼさないので、無線通信モジュールが配置されている第4基板に発光モジュールを配置することにより、第4基板の領域が有効活用されている。したがって、この画像処理装置によれば、筐体の小型化が可能となり、ユーザーの操作性を向上させることができる。
【符号の説明】
【0121】
1…画像処理装置、10…発光素子、11…発光素子駆動回路、20…波長可変フィルター、21…受光素子、22…光電変換回路、23…増幅回路、24…C/V変換回路、25…増幅回路、26…昇圧変換回路、30…第1プロセッサー、31…無線通信モジュール、32…操作部、33…発光モジュール、34…ブザー、40…第2プロセッサー、41…電源回路、42…スイッチ回路、43…充電回路、50…表示モジュール、51…ケーブル、60…コネクター、70…バッテリー、71,72…コネクター、81,82,83,84,85,86,87…コネクター、91,92…フレキシブルフラットケーブル、93…ケーブル、100…筐体、101…第1基板、101a,101b,101c,101d…第1基板の辺、101F,101R…第1基板の面、102…第2基板、102a,102b,102c,102d…第2基板の辺、102F,102R…第2基板の面、103…第3基板、103a,103b,103c,103d…第3基板の辺、103F,103R…第3基板の面、104…第4基板、104a,104b,104c,104d…第4基板の辺、104F,104R…第4基板の面、111…メイン基板、111a,111b,111c,111d…メイン基板の辺、111F,111R…メイン基板の面、112…スペーサー基板、113…サブ基板、113F,113R…サブ基板の面、120…開口部、121,122,123,124,125…ねじ穴、133,132…ねじ、140…開口部