IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ オムロン株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-トリガスイッチ 図1
  • 特許-トリガスイッチ 図2
  • 特許-トリガスイッチ 図3
  • 特許-トリガスイッチ 図4
  • 特許-トリガスイッチ 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】トリガスイッチ
(51)【国際特許分類】
   H01H 13/00 20060101AFI20241016BHJP
   B25F 5/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01H13/00 C
B25F5/00 B
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020202101
(22)【出願日】2020-12-04
(65)【公開番号】P2022089587
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000002945
【氏名又は名称】オムロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000947
【氏名又は名称】弁理士法人あーく事務所
(72)【発明者】
【氏名】藤原 拓未
(72)【発明者】
【氏名】古澤 光一
(72)【発明者】
【氏名】小山 泰基
【審査官】内田 勝久
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-063927(JP,A)
【文献】特開2017-098046(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 13/00 - 13/88
B25F 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
押込操作を受けて移動するトリガを備えるトリガスイッチであって、
前記トリガに一端側が接し、押込方向の反対方向へ付勢する付勢部材と、
前記付勢部材の他端側が接する面を有する板状の弾性部材と、
前記弾性部材に接し、前記弾性部材から受ける圧力を検出する感圧部と
前記感圧部を収容する筐体と
を備え
前記弾性部材は、前記筐体の内外を隔てる壁部の一部であり、
前記付勢部材の他端側は、前記筐体の外側から前記弾性部材に接し、
前記感圧部は、前記筐体の内側から前記弾性部材に接する
ことを特徴とするトリガスイッチ。
【請求項2】
請求項1に記載のトリガスイッチであって、
前記筐体内は、密閉されている
ことを特徴とするトリガスイッチ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガの押込操作を受けて移動するトリガスイッチに関する。
【背景技術】
【0002】
押込操作にて、電動工具の動作を制御するトリガスイッチが用いられている。例えば、特許文献1では、荷重センサを用いたトリガスイッチが開示されている。特許文献1に開示されているトリガスイッチは、トリガが直接荷重センサに接するように配置されており、トリガの押込量を荷重センサが検出し、モータを回転させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-100275号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されているようなトリガが直接荷重センサを押圧するトリガスイッチでは、トリガの押込操作によるストロークを長くとることができないため、十分な操作感を得ることができないという問題があった。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操作感を向上させることが可能なトリガスイッチの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本願記載のトリガスイッチは、押込操作を受けて移動するトリガを備えるトリガスイッチであって、前記トリガに一端側が接し、押込方向の反対方向へ付勢する付勢部材と、前記付勢部材の他端側が接する弾性部材と、前記弾性部材に接し、前記弾性部材から受ける圧力を検出する感圧部とを備えることを特徴とする。
【0007】
また、前記トリガスイッチにおいて、前記感圧部を収容する筐体を備え、前記弾性部材は、前記筐体の内外を隔てる壁部の一部であり、前記付勢部材の他端側は、前記筐体の外側から前記弾性部材に接し、前記感圧部は、前記筐体の内側から前記弾性部材に接することを特徴とする。
【0008】
また、前記トリガスイッチにおいて、前記筐体内は、密閉されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明に斯かるトリガスイッチは、弾性部材を介して圧力を検出することにより、ストロークを長くとることができ、操作感を向上させることが可能である等、優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本願記載のトリガスイッチの外観の一例を示す概略斜視図である。
図2】本願記載のトリガスイッチの要部の一例を一部破断状態で示す概略側面図である。
図3】本願記載のトリガスイッチの要部の一例を一部破断状態で示す概略側面図である。
図4】本願記載のトリガスイッチの要部の一例を一部破断状態で示す概略側面図である。
図5】本願記載のトリガスイッチを組み込んだ電動装置が備える制御構成の一部の例を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0012】
<適用例>
本願記載のトリガスイッチは、モータ等の駆動部を備える電動ドリル、電動ノコギリ、電動ドライバ、電動レンチ、電動グラインダ等の電動工具をはじめとする様々な電動装置に適用される。以下の実施形態では、図面を参照しながら、このようなトリガスイッチTSを例示して説明する。
【0013】
<実施形態>
図1は、本願記載のトリガスイッチTSの外観の一例を示す概略斜視図である。図1は、電動工具等の様々な電動装置ET(図5参照)に組込可能なトリガスイッチTSの外観を示している。トリガスイッチTSは、電動装置ETの操作者が操作するスイッチであり、操作者がトリガスイッチTSのトリガ1を押し込む押込操作をすることにより、電動装置ETに内蔵された電動モータ等の駆動部M(図5参照)が駆動する。トリガスイッチTSは、電動装置ETに組み込まれる略直方体状の筐体2と、操作者が押込可能なトリガ1とを備えている。また、トリガスイッチTSは、駆動部Mの駆動方向、例えば、電動ドライバの回転方向の正逆を切り替える切替レバー3を備えている。筐体2は、略直方体状に形成されており、密閉された防水構造で、内部には各種電子部品が収容されている。筐体2において、トリガ1が取り付けられた面には、トリガ1の移動を案内する円筒状の案内部材4が取り付けられている。なお、以降の説明において、トリガスイッチTSの方向については、トリガ1が取り付けられた方を前、筐体2側を後として表現するが、説明の便宜上の方向であり、トリガスイッチTSの使用の際の方向を限定するものではない。
【0014】
トリガスイッチTSの内部構造について説明する。図2は、本願記載のトリガスイッチTSの要部の一例を一部破断状態で示す概略側面図である。図2は、トリガスイッチTSの要部を図1に示したA-B線を通る垂直面で切断し、矢印方向に向かう視点で示している。図2に例示するトリガスイッチTSの要部は、トリガ1及び筐体2の前部を中心に示している。なお、図2は、内部構造を容易に把握することができるように、各種部材を簡略化して示している。
【0015】
筐体2の前方側の面は、可撓性を有する防水ゴム等の樹脂を用いた弾性部材20にて構成されている。弾性部材20は、板状をなし、筐体2の内外を隔てる壁部となっている。トリガ1の後部には、圧縮コイルバネ等の付勢部材5の前端が取り付けられており、付勢部材5の後端は、筐体2の前面の弾性部材20に取り付けられている。前端がトリガ1に接し、後端が筐体2に固定された弾性部材20に接する付勢部材5は、押込操作によりトリガ1が後方へ移動すると押込方向に圧縮し、トリガ1を前方へ付勢し、弾性部材20を後方へ付勢する。付勢部材5は、円筒状をなす案内部材4内に挿入されている。付勢部材5を収容した案内部材4は、押込操作を受けた場合に、付勢部材5が押込方向からずれて屈曲することを防止するため、トリガ1の移動を安定させることができる。筐体2の内側となる弾性部材20の後面には、ピエゾ素子等の感圧素子を用いた感圧部6が接しており、感圧部6は、各種電子部品を搭載した基板7に取り付けられている。ピエゾ素子を用いた感圧部6は、外部からの圧力によってダイヤフラムが変形して発生するピエゾ抵抗効果による電気抵抗の変化を利用したセンサであり、電気抵抗値の変化により、弾性部材20から受ける圧力を検出する。
【0016】
次に、本願記載のトリガスイッチTSの動作について説明する。図3は、本願記載のトリガスイッチTSの要部の一例を一部破断状態で示す概略側面図である。図3は、トリガ1の押込操作を受けていない状態を示している。図3に例示する状態において、付勢部材5に前方へ付勢されて、トリガ1は移動範囲の前端に位置している。
【0017】
図4は、本願記載のトリガスイッチTSの要部の一例を一部破断状態で示す概略側面図である。図4は、図3に例示する状態から、トリガ1を後方へ移動させる押込操作を行った状態を示している。操作者が、トリガ1に対して押込操作を行うことにより、トリガ1は、案内部材4の前端に当接するまで後方へ移動する。トリガ1が後方へ移動することにより、付勢部材5は、圧縮され、押込量に応じた力で、後端で接する弾性部材20を後方へ押圧し、前端で接するトリガ1を前方へ押圧する。弾性部材20は、前面側から押圧を受けて撓むことにより、後面側の感圧部6を押圧する。感圧部6は、電気抵抗値の変化により、弾性部材20から受ける圧力を検出する。なお、弾性部材20の後面は感圧部6を押圧するが、弾性部材20の後面の後方への歪み、即ち、後面が後方へ移動する距離は、トリガ1の押込量より短い長さとなる。
【0018】
操作者が、トリガ1の押込操作を解除すると、トリガ1は、付勢部材5の付勢力により、前方へ付勢されて、図3に例示した状態に復帰する。
【0019】
次に、本願記載のトリガスイッチTSを組み込んだ電動装置ETの構成例について説明する。図5は、本願記載のトリガスイッチTSを組み込んだ電動装置ETが備える制御構成の一部の例を示す概略ブロック図である。電動工具等の電動装置ETは、本体装置MUにトリガスイッチTSを組み込んで形成されている。本体装置MUは、モータ等の駆動部Mを備えている。トリガスイッチTSは、トリガ1の押込量を、弾性部材20からの圧力として検出する感圧部6と、感圧部6が圧力として検出した押込量に応じて本体装置MUへ駆動信号を出力する制御部70とを備えている。
【0020】
トリガスイッチTSの制御部70は、例えば、各種LSI、VLSI等の集積回路を用いたマイクロコンピュータ、電子素子及び各種端子を用いて構成された回路であり、筐体2内の基板7上に配置されている。制御部70は、感圧部6の検出結果を入力として受け付け、検出結果に基づいて各種処理を実行し、電動装置ETの本体装置MUが備えるモータ等の駆動部Mを駆動させる駆動信号を、本体装置MUへ出力する。電動装置ETは、本体装置MUに入力された駆動信号に基づいて駆動部Mを駆動する。
【0021】
以上のように、本願記載のトリガスイッチTSは、密閉されて防水性を有する筐体2内に感圧部6を収容しており、感圧部6は、弾性部材20を介して、トリガ1に接する付勢部材5から受ける圧力を検出する。感圧部6は、押込操作を受けて移動するトリガ1から直接押圧されるのではなく、付勢部材5及び弾性部材20を介して押込操作に起因する圧力を検出する。従って、トリガ1の押込操作により移動する距離、所謂、ストロークを長くとることができるので、筐体2内の防水性を維持しながらも、操作者は、押込操作による操作感触を感得することができる。即ち、本願記載のトリガスイッチTSは、例えば、トリガ1にて感圧部6を直接押圧する場合と比べて、操作感触を向上させることが可能である。
【0022】
本発明は、以上説明したそれぞれの実施形態に限定されるものではなく、他の様々な形態で実施することが可能である。そのため、上述した実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。本発明の技術範囲は、請求の範囲によって説明するものであって、明細書本文には何ら拘束されない。更に、請求の範囲の均等範囲に属する変形及び変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0023】
例えば、前記実施形態では、筐体2の前面が弾性部材20である形態を示したが、筐体2の前面全体が弾性部材20であってもよく、また付勢部材5が接する部位を中心とした一部が弾性部材20あってもよい。
【0024】
例えば、前記実施形態では、感圧部6としてピエゾ素子を用いた形態を示したが、本発明はこれに限らず、外部からの圧力によって可動極が変形して発生する静電容量の変化を検出する静電容量圧力センサを用いる等、様々な形態に展開することが可能である。
【0025】
また、前記実施形態では、案内部材4が、付勢部材5を覆う円筒状をなす形態を示したが、本発明はこれに限らず、付勢部材5が押込方向からずれて屈曲することを防止するのであれば、様々な形態に案内部材4を形成することが可能である。
【0026】
また、例えば、前記実施形態では、制御部70が筐体2内に収容されている形態を示したが、本発明はこれに限らず、制御部70を、筐体2の外に出して、本体装置MU内に収容する形態等、様々な形態に展開することが可能である。
【符号の説明】
【0027】
TS トリガスイッチ
1 トリガ
2 筐体
20 弾性部材
5 付勢部材
6 感圧部
図1
図2
図3
図4
図5