(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】充放電装置、充放電制御方法、及びコンピュータプログラム
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241016BHJP
B60L 53/30 20190101ALI20241016BHJP
B60L 55/00 20190101ALI20241016BHJP
B60L 58/12 20190101ALI20241016BHJP
H01M 10/44 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02J7/00 P
H02J7/00 B
B60L53/30
B60L55/00
B60L58/12
H01M10/44 Q
(21)【出願番号】P 2020206212
(22)【出願日】2020-12-11
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003355
【氏名又は名称】株式会社椿本チエイン
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】岡田 直樹
(72)【発明者】
【氏名】小山 晋吾
【審査官】鈴木 智之
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-191774(JP,A)
【文献】特開2007-252118(JP,A)
【文献】特開2013-066363(JP,A)
【文献】特開2014-054010(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02J 7/00
B60L 53/30
B60L 55/00
B60L 58/12
H01M 10/44
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源と電力線を介して接続されており、車両に設けられた車載蓄電池と接続する車載電力線とのコネクタを有し、前記車載蓄電池における充放電を制御する充放電装置であって、
前記車載蓄電池に対する充電又は放電の指示を、上位制御装置から受信した後、前記車載蓄電池における充放電を車両側で制御する車載制御装置にて、充電又は放電の停止処理が実行されたか否かを判断する判断部と、
充電の停止処理が実行されたと判断された場合、充電を不可と決定し、放電の停止処理が実行されたと判断された場合、放電を不可と決定する決定部と、
決定された充電可否状態を前記上位制御装置へ通知する通知部と
、
前記上位制御装置から受信した前記充電又は放電の指示と、前記決定部により決定した充電可否状態とに応じて充電又は放電の制御を続行する制御部と
を備える充放電装置。
【請求項2】
前記車載制御装置によって前記停止処理が実行され、充電又は放電を不可と決定した後、前記車載蓄電池の充電率が変化したか否かを判断する変化判断部を備え、
該変化判断部で変化したと判断した場合、不可と決定していた充電又は放電を可と決定する
請求項1に記載の充放電装置。
【請求項3】
前記変化判断部は、充電を不可と決定した後に、放電が実行され、充電率が下降した場合に充電率が変化したと判断し、放電を不可と決定した後に、充電が実行され、充電率が上昇した場合に充電率が変化したと判断する
請求項2に記載の充放電装置。
【請求項4】
商用電源と電力線を介して接続されており、車両に設けられた車載蓄電池と接続する車載電力線とのコネクタを有した充放電装置が、前記車載蓄電池における充放電を制御する方法であって、
前記車載蓄電池に対する充電又は放電の指示を、上位制御装置から受信した後、前記車載蓄電池における充放電を車両側で制御する車載制御装置にて、充電又は放電の停止処理が実行されたか否かを判断し、
充電の停止処理が実行されたと判断された場合、充電を不可と決定し、
放電の停止処理が実行されたと判断された場合、放電を不可と決定し、
決定された充電可否状態を前記上位制御装置へ通知
し、
前記上位制御装置から受信した前記充電又は放電の指示と、決定した充電可否状態とに応じて充電又は放電の制御を続行する
処理を含む充放電制御方法。
【請求項5】
商用電源と電力線を介して接続されており、車両に設けられた車載蓄電池と接続する車載電力線とのコネクタを有した充放電装置に搭載されたコンピュータに、
前記車載蓄電池に対する充電又は放電の指示を、上位制御装置から受信した後、前記車載蓄電池における充放電を車両側で制御する車載制御装置にて、充電又は放電の停止処理が実行されたか否かを判断し、
充電の停止処理が実行されたと判断された場合、充電を不可と決定し、
放電の停止処理が実行されたと判断された場合、放電を不可と決定し、
決定された充電可否状態を前記上位制御装置へ通知
し、
前記上位制御装置から受信した前記充電又は放電の指示と、決定した充電可否状態とに応じて充電又は放電の制御を続行する
処理を実行させるコンピュータプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に備えられる蓄電池と接続される充放電装置、充放電制御方法、及びコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
電気自動車に備えられている蓄電池の電池容量は例えば5~100kWhと比較的大容量である。これらの車両に蓄えられた電力を電気自動車の駆動以外に、例えば家庭等へ供給可能とするV2H(Vehicle to Home )、家庭に限らない建物への供給を可能とするV2B(Vehicle to Building )、電力網への供給を可能とするV2G(Vehicle to Grid )を含むV2Xを実現する技術が提案されている。災害発生によって停電状態となったとしても、移動が可能な電気自動車に蓄えられた電力を供給して生活を維持したり、工場の稼働を維持したりすることが期待できる。V2Xを実現する場合、EMS(Energy Management System)からの制御を受けて計画的に充放電できることが望ましい。
【0003】
特許文献1には、電力安定供給を制御するシステムに電気自動車である車両を接続し、需要に併せて車両の蓄電池を急速充電することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
車両に搭載された蓄電池、その他蓄電装置、発電施設、各負荷等を含む地域における電力系統からの供給電力を安定させるために、EMSは各時点で、蓄電池又は蓄電装置における充放電の量を調整する。EMS等の上位装置は、各時点にて車両の蓄電池が充放電可能か否かに応じて充電するか放電するか、待機するかを決定する。
【0006】
したがって、充放電装置は、接続されている車両の蓄電池における状況を的確に上位装置へ通知する必要がある。車両の内部の充放電制御装置の動作として充放電が未だ不可能な状態で、充放電制御装置は、充放電装置を介して上位装置から充電又は放電の指示を受けたとしても、指示通りに充放電できない。上位装置は、装置が指示に従って動作しない場合には全体としての電力安定の目標を達成することが難しい。
【0007】
本発明は、上位装置に適切な充放電制御を実施させることができる充放電装置、充放電制御方法、及びコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一実施形態の充放電装置は、商用電源と電力線を介して接続されており、車両に設けられた車載蓄電池と接続する車載電力線とのコネクタを有し、前記車載蓄電池における充放電を制御する充放電装置であって、前記車載蓄電池に対する充電又は放電の指示を、上位制御装置から受信した後、前記車載蓄電池における充放電を車両側で制御する車載制御装置にて、充電又は放電の停止処理が実行されたか否かを判断する判断部と、充電の停止処理が実行されたと判断された場合、充電を不可と決定し、放電の停止処理が実行されたと判断された場合、放電を不可と決定する決定部と、決定された充電可否状態を前記上位制御装置へ通知する通知部とを備える。
【0009】
本開示の一実施形態の充放電制御方法は、商用電源と電力線を介して接続されており、車両に設けられた車載蓄電池と接続する車載電力線とのコネクタを有した充放電装置が、前記車載蓄電池における充放電を制御する方法であって、前記車載蓄電池に対する充電又は放電の指示を、上位制御装置から受信した後、前記車載蓄電池における充放電を車両側で制御する車載制御装置にて、充電又は放電の停止処理が実行されたか否かを判断し、充電の停止処理が実行されたと判断された場合、充電を不可と決定し、放電の停止処理が実行されたと判断された場合、放電を不可と決定し、決定された充電可否状態を前記上位制御装置へ通知する処理を含む。
【0010】
本開示の一実施形態のコンピュータプログラムは、商用電源と電力線を介して接続されており、車両に設けられた車載蓄電池と接続する車載電力線とのコネクタを有した充放電装置に搭載されたコンピュータに、前記車載蓄電池に対する充電又は放電の指示を、上位制御装置から受信した後、前記車載蓄電池における充放電を車両側で制御する車載制御装置にて、充電又は放電の停止処理が実行されたか否かを判断し、充電の停止処理が実行されたと判断された場合、充電を不可と決定し、放電の停止処理が実行されたと判断された場合、放電を不可と決定し、決定された充電可否状態を前記上位制御装置へ通知する処理を実行させる。
【0011】
本開示の充放電装置、充放電制御方法及びコンピュータプログラムでは、車載制御装置にて充電又は放電の停止処理が実施された場合には、充電率がまだ充電上限充電率又は充電下限充電率に達していなくとも、充電又は放電は不可と決定され、上位制御装置へ通知される。これにより、車両にて充電又は放電が停止されるにも関わらず、上位制御装置から充電又は放電の継続が指示されて実行できないことが回避される。
【0012】
本開示の一実施形態の充放電装置は、前記車載制御装置によって前記停止処理が実行され、充電又は放電を不可と決定した後、前記車載蓄電池の充電率が変化したか否かを判断する変化判断部を備え、該変化判断部で変化したと判断した場合、前記決定部は、不可と決定していた充電又は放電を可と決定する。
【0013】
本開示の充放電装置では、充電又は放電が不可と決定されて通知された後、充電又は放電が可能な状態まで充電率が変化した場合には、充電可又は放電可が決定され、通知される。充電又は放電が可能な状態に復帰した場合には、適切に充電可否状態を更新して通知することにより、充放電が適切に実行される。
【0014】
本開示の一実施形態の充放電装置は、前記変化判断部は、充電を不可と決定した後に、放電が実行され、充電率が下降した場合に充電率が変化したと判断し、放電を不可と決定した後に、充電が実行され、充電率が上昇した場合に充電率が変化したと判断する。
【0015】
本開示の充放電装置では、充電率の変化は、充電不可と決定された後に放電が実行されて充電率が下降した場合に変化したと判断され、逆に、放電不可と決定された後に充電が実行されて充電率が上昇した場合に変化したと判断される。これにより、適切に充電可否状態が更新され、充放電が適切に実行される。
【発明の効果】
【0016】
本開示によれば、車載蓄電池が実際に充放電できるか否かが正確に上位装置に通知されるので、上位装置は、各蓄電池の状態に基づき充電するか放電するか、又は待機するかを適切に決定して制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】充放電装置を含む充放電システムの概要図である。
【
図2】充放電装置及び車両の接続構成を示すブロック図である。
【
図3】充放電装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図4】充放電装置の制御部による処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0018】
本開示をその実施の形態を示す図面を参照して具体的に説明する。
【0019】
図1は、充放電装置1を含む充放電システム200の概要図である。充放電システム200は、家庭に配置されている負荷21、発電装置23、及び、充放電装置1を含む。電力系統Eからの供給電力は電力線PLにより、分電盤28で負荷21、発電装置23、及び充放電装置1を介して接続される車両Vへ分岐される。充放電装置1は、分電盤28を介し、通信線CLによって上位装置29と接続されている。
【0020】
上位装置29は、電力系統Eからの負荷21への電力の授受、及び発電装置23からの負荷21群への電力授受を制御する。本実施の形態において上位装置29は、サーバ装置として外部に設けられ、地域の電力の授受を制御するものとして説明するが、分電盤28に設置されて家庭内での発電充放電を制御するものであってもよいし、充放電装置1に内蔵されていてもよい。
【0021】
充放電システム200は他の一例では、公共施設である駐車場に設置された蓄電装置22、発電装置23、及び、充放電装置1を含む。この一例においても電力系統Eからの供給電力は電力線PLにより、分電盤28で、蓄電装置22、発電装置23及び複数の充放電装置1を介して接続される車両Vへ分岐される。充放電システム200は、その他、燃料電池を含んでもよい。他の一例でも上位装置29は、サーバ装置として外部に設けられているものして説明するが、分電盤28に設置されて公共施設内での発電充放電を制御するものであってもよいし、充放電装置1それぞれに内蔵されて充放電を制御するものであってもよい。
【0022】
図2は、充放電装置1及び車両Vの接続構成を示すブロック図である。車両Vは、電気自動車(EV:Electric Vehicle)、ハイブリッド電気自動車(HEV:Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド車(PHEV:Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、又は燃料電池自動車(FCV:Fuel Cell Vehicle )である。車両Vは、その駆動に用いることが可能な大容量の蓄電装置30を備える。車両Vは、蓄電装置30に接続される電力線VPLへのコネクタ35と、蓄電装置30における充放電を制御する車載充放電制御装置32とを備える。電力線VPLには、車両V側の充放電回路に含まれるDCリレー33が介装されており、車載充放電制御装置32がDCリレー33のON及びOFFを制御する。コネクタ35には車載充放電制御装置32と通信接続するための通信端子が含まれている。
【0023】
充放電装置1は、充放電回路10、制御部11、通信部12、電源部13、操作部14、及び上位通信部16を備える。充放電回路10は、双方向インバータ、各種リレー等の多様な回路素子を含む。充放電回路10は、車両Vと接続するコネクタ15と接続されるDCリレー10aと、電力系統Eと接続される電力線PLに介装された解列リレー10bとを含む。充放電回路10は、DCリレー10aを介してコネクタ15と電力線PLによって接続されている。
【0024】
制御部11は、充放電回路10に含まれる回路素子を制御し、車両Vの蓄電装置30に対する充放電の切り替え、電流量、及び電圧量を制御する。制御部11はCPU(Central Processing Unit)及び不揮発性メモリを含み、CPUは不揮発性メモリに記憶されたコンピュータプログラム1Pに基づく制御処理を実行して充放電回路10を制御する。不揮発性メモリには、後述する設定値が書き換え可能に記憶される。
【0025】
制御部11の不揮発性メモリに記憶されているコンピュータプログラム1Pは、コンピュータから読み取り可能な記憶媒体9に記憶されていたコンピュータプログラム9PをCPUが読み出してメモリに記憶したものであってもよい。
【0026】
通信部12は、コネクタ15及びコネクタ35を介して車載充放電制御装置32と通信接続が可能である。通信部12の通信接続のプロトコルは車両V、コネクタ15,35に対応する充放電方式に準拠していればよく、異なる充放電方式に適用するように複数のプロトコルに対応していずれかを選択的に実行できてもよい。本実施形態では通信部12は、CAN(Controller Area Network)によって車載充放電制御装置32と通信する。PLCによって通信が実現されてもよい。
【0027】
電源部13は、UPS(Uninterruptible Power Systems)回路及び起動用蓄電池を含み、制御部11へ電力を供給する。電源部13は、停電時には起動用蓄電池から充放電装置1の起動に必要な電力を供給する。電源部13は、電力系統E、発電装置23又は車両Vからの電力を起動用蓄電池に充電してもよい。
【0028】
操作部14は、ディスプレイ、ディスプレイ内蔵タッチパネル、及び物理ボタンを含み、充放電装置1の外装に露出してユーザからのSTART(起動)及びSTOP(終了)を含む操作を受け付ける。制御部11は、操作部14にて受け付けられた操作に基づいて充放電回路10を制御してもよい。
【0029】
上位通信部16は、上位装置29と通信線CLを介して通信を実現する。上位通信部16は例えば、Ethernet(登録商標)に準拠した通信線CLに対応する通信モジュールであってもよいし、ECHONET /ECHONETLite (登録商標)対応の通信線CLに対応する通信モジュールであってもよい。上位通信部16は、PLCにより通信を実現してもよい。
【0030】
充放電装置1の制御部11は、分電盤28における電力系統Eからの供給電力を算出するための電流を測定する電流センサSと通信線CLを介して接続されている。制御部11は、電力系統Eからの負荷21群、及び、蓄電装置22、発電装置23等の連系機器への供給電力を電流センサSから取得できる。
【0031】
上述のように構成される充放電装置1の充放電回路10は、
図1及び
図2に示すように、コネクタ15が車両Vのコネクタ35と接続された状態において、DCリレー10a及び車両V側のDCリレー33を介して車両Vの蓄電装置30と電力線PLにより接続されている。充放電回路10は、
図1及び
図2に示すように、解列リレー10b及び分電盤28を介して電力系統E、負荷21群、及び連系機器(蓄電装置22、発電装置23等)と電力線PLによって接続されている。充放電装置1は、電力系統Eと、車両Vの蓄電装置30、負荷21群、連系機器との間の電力の授受を制御する。充放電回路10は、解列リレー10b、DCリレー10a、及びDCリレー33が全てONの状態の場合に、電力線PLを介して蓄電装置30の負荷21群への放電、又は電力系統Eからの充電を実施できる。
【0032】
充放電装置1は、起動している間継続して、いずれかの車両が接続されたか否か、充放電が可能な状態であるか否か、を示す「接続・充放電可否状態」を上位装置29へ通知する。上位装置29との上位通信部16による通信では、以下の7つの状態のいずれかを通知する。
「接続・充放電可否状態」
(1)車両と接続されていない
(2)車両と接続されており、充電不可、且つ放電不可
(3)車両と接続されており、充電可、且つ放電不可
(4)車両と接続されており、充電不可、且つ放電可
(5)車両と接続されており、充電可、且つ放電可
(6)車両と接続されており、充放電可否が不明
(7)車両との接続状態が判別できない
【0033】
本実施の形態の充放電装置1は、以下のフローチャートに示す手順によって、接続される車両Vとの間で送受信するデータに基づき、通知する状態と、接続される車両Vにおける実際の充放電可否の状態との間に齟齬がないように状態を決定する。
【0034】
図3及び
図4は、充放電装置1の制御部11による処理手順の一例を示すフローチャートである。充放電装置1の制御部11は、操作部14からのON操作、又は、スケジュールに基づく電源部13からの電力供給開始を受けて起動すると、コンピュータプログラム1Pに基づき、以下の処理を実行する。
【0035】
制御部11は、起動し、車両Vとの接続が確認されるまでは、接続・充放電可否状態を「充放電可否が不明(6)」に決定し、記憶する(ステップS101)。
【0036】
制御部11は、上位装置29から、接続・充放電可否状態の参照リクエスト(「車両接続確認」)を受信したか否かを判断する(ステップS102)。受信したと判断された場合(S102:YES)、制御部11は、ステップS101で記憶した接続・充放電可否状態を示すデータ(数値)を、上位通信部16から上位装置29へ通知する(ステップS103)。
【0037】
受信しないと判断された場合(S102:NO)、制御部11は処理を次のステップS104へ進める。
【0038】
ステップS103で、初期的には「充放電可否が不明」が上位装置29へ通知される。上位装置29は、充放電についていずれかが可な状態とならない限り、車両Vの蓄電装置30を充放電の対象とすることはできない。
【0039】
制御部11は、コネクタ15にて車両Vとの接続が検知されたか否かを判断する(ステップS104)。接続が検知されないと判断された場合(S104:NO)、制御部11は処理をステップS102へ戻す。
【0040】
ステップS104で接続が検知されたと判断された場合(S104:YES)、制御部11は、操作部14又は上位装置29からSTARTの指示を受けたか否かを判断する(ステップS105)。STARTの指示を受けていないと判断された場合(S105:NO)、制御部11は処理をステップS105に戻し、STARTの指示を受けるまで待機する。待機中に、上位装置29から接続・充放電可否状態の参照リクエストを受信した場合、制御部11は、ステップS101で決定した接続・充放電可否状態を、上位装置29へ通知するとよい。
【0041】
STARTの指示を受けたと判断された場合(S105:YES)、制御部11は、通信部12によって車載充放電制御装置32との通信接続を確立させる通信処理を開始する(ステップS106)。ここで通信接続は例えば、CAN通信である。
【0042】
制御部11は、車両Vの車載充放電制御装置32から、蓄電装置30の充電率(SOC)等の充放電に関するデータを取得し、記憶する(ステップS107)。ステップS107において制御部11は、通信部12にて取得できるデータのみならず、ステップS107の所定の接続処理中の信号処理によって特定できるデータを取得してもよい。
【0043】
制御部11は、コネクタ15及びコネクタ35のロックをONとする(ステップS108)。
【0044】
制御部11は、ステップS107で取得したデータを用いるか、あるいは改めて取得するデータに基づいて、接続・充放電可否状態を決定し、記憶する(ステップS109)。
【0045】
ステップS109において制御部11は、接続された車両Vが充電専用車である(放電対応でない)と特定できる場合には、接続・充放電可否状態を「放電不可」と決定する。車両Vが燃料電池車である(充電対応でない)と特定できる場合には、接続・充放電可否状態を「充電不可」と決定する。ステップS109において制御部11は、車両Vが充電専用車でもなく、燃料電池車でもない場合、充電率と、充電上限充電率、放電下限充電率に基づき、規定の方法で状態を決定する。使用する充電上限充電率、放電下限充電率は、車両Vの車載充放電制御装置32から取得した値のみならず、車両Vの種類に応じた実質的な上限値又は下限値を決定して使用してもよい。
【0046】
ステップS109によって状態は、「充放電可否が不明」な状態から、車両Vから取得したデータに基づき求められた状態に上書きされる。状態は例えば「充電不可、且つ放電不可(2)」、「充電可、且つ放電不可(3)」、「充電不可、且つ放電可(4)」、又は「充電可、且つ放電可(5)」である。
【0047】
制御部11は、決定された状態を、上位通信部16から上位装置29へ通知する(ステップS110)。ステップS110において制御部11は、上位装置29へプッシュ通知するのではなく、上位装置29から参照リクエストを受信した場合に、リクエストに応じて通知してもよい。参照リクエストを受信する都度、制御部11は、記憶してある最新の状態を逐次、上位装置29へ通知する。
【0048】
制御部11は、上位装置29から停止指示を受信したか、又は、操作部14でSTOP操作がされたか否かを判断する(ステップS111)。ステップS111にて、停止指示を受信した又はSTOP操作がされたと判断された場合(S111:YES)、制御部11は、後述のステップS123へ処理を進める。
【0049】
ステップS111で停止指示を受信せず、且つSTOP操作もされないと判断された場合(S111:NO)、制御部11は、上位装置29から充電指示又は放電指示を受信したか否かを判断する(ステップS112)。
【0050】
充電指示又は放電指示を受信していないと判断された場合(S112:NO)、制御部11は、処理をステップS111へ戻す。この場合、制御部11は、車両Vとの間の通信接続を一旦切断してもよい。
【0051】
充電指示又は放電指示を受信したと判断された場合(S112:YES)、制御部11は、指示に基づいて充電又は放電を開始(開始済の場合は継続)する(ステップS113)。ステップS113において、車両Vとの間の通信接続を一旦切断している場合、制御部11はここで通信接続を確立させる処理を実行してから充電又は放電を開始する。
【0052】
制御部11は、充電又は放電を開始すると、車両Vの車載充放電制御装置32から充放電が停止されたか否かを判断する(ステップS114)。
【0053】
ステップS114で、車両Vから充放電が停止されたと判断された場合(S114:YES)、制御部11は、充電中であったか否かを判断する(ステップS115)。充電中であったと判断された場合(S115:YES)、制御部11は、接続・充放電可否状態を「充電不可」に決定して記憶し(ステップS116)、処理をステップS110へ戻す。ステップS110では、ステップS116で決定された状態が上位装置29へ通知される。制御部11は、車両Vとの間の通信接続を一旦切断してもよい。車載充放電制御装置32から切断される場合がある。ステップS112で充電指示又は放電指示を受信した場合に、切断されていれば再度、車両Vと通信接続を確立する処理を実行する。
【0054】
ステップS116において制御部11は、接続・充放電可否状態を、車両Vが充電専用車でない場合「充電不可、且つ放電可(4)」に決定し、充電専用車である場合、「充電不可、且つ放電不可(2)」に決定する。
【0055】
放電中であったと判断された場合(S115:NO)、制御部11は、接続・充放電可否状態を「放電不可」に決定して記憶し(ステップS117)、処理をステップS110へ戻す。ステップS110では、ステップS117で決定された状態が上位装置29へ通知される。
【0056】
ステップS117において制御部11は、車両Vが燃料電池車でない場合、接続・充放電可否状態を「充電可、且つ放電不可(3)」に決定し、燃料電池車である場合、「充電不可、且つ放電不可(2)」と決定する。この場合も、制御部11は、車両Vとの間の通信接続を一旦切断する。車載充放電制御装置32から切断される場合がある。ステップS112で充電指示又は放電指示を受信した場合に、再度、車両Vと通信接続を確立する処理を実行する。
【0057】
ステップS116,S117では、車両Vからの制御で充電が停止された場合には、充電が不可状態となり、放電が停止された場合は放電が不可状態となる。充電率が例えば充電上限充電率以上となっていなくても、上限充電率に近接し、車載充放電制御装置32によって充電が停止される場合がある。この場合、上位装置29では、充電上限充電率以上となっていないため、更なる充電が指示される一方で、車載充放電制御装置32からは、これ以上充電しないとして停止の制御がされる。そして、充電開始処理と、充電停止処理とが繰り返され、リレーのON/OFFが繰り返されてリレーの消耗を招きかねない。ステップS114に示したように、車両Vでの制御によって充電が停止された場合、その後、放電が実行されて、充電が可能になるまでは、充電不可が維持される。車両Vでの制御によって放電が停止された場合、その後、充電が実行されて、放電が可能になるまでは、放電不可が維持される。
【0058】
ステップS114にて停止されないと判断された場合(S114:NO)、制御部11は、充電率を車載充放電制御装置32から取得して記憶し(ステップS118)、前回取得して記憶した充電率と比較して変化したか否かを判断する(ステップS119)。
【0059】
ステップS119において、充電率が変化したと判断された場合(S119:YES)、制御部11は、接続・充放電可否状態の「不可」とされていた充電又は放電を、「可」に決定する(ステップS120)。制御部11は、決定された状態を、上位通信部16から上位装置29へ通知し(ステップS121)、処理をステップS122へ処理を進める。
【0060】
ステップS120において、接続・充放電可否状態が「充電不可、且つ放電可(4)」とされた後であって、放電が実行され、充電率が下降した場合、制御部11は、接続・充放電可否状態を「充電可、且つ、放電可(5)」に決定する。接続・充放電可否状態が「充電可、且つ放電不可(3)」とされた後であって、充電が実行され、充電率が上昇した場合、制御部11は、「充電可、且つ、放電可(5)」に決定する。ステップS119及びステップS120において、制御部11は、充電率が放電下限充電率から所定値を加算した値以上であるか否か、充電率が充電上限充電率から所定値を減算した値以下であるか否かを判断してもよい。所定値分だけ猶予がある程度に充電率が上昇、又は下降した場合に初めて、制御部11は、放電を可、又は充電を可と決定してもよい。
【0061】
ステップS119からステップS120で制御部11は、充電率が変化したと判断された場合に、不可とされていた充電又は放電を可と決定し直す。これにより、車両Vからの停止処理によって、不可と決定して通知したことによって、充電及び放電が不可のままで、充放電の対象とならず停止してしまうことを回避できる。
【0062】
ステップS119で変化がないと判断された場合(S119:NO)、制御部11は、充電又は放電を停止するか否かを判断する(ステップS122)。ステップS122で制御部11は、上位装置29から停止指示を受信するか、又は、操作部14にてSTOP操作がされた場合に、停止すると判断する。停止指示も受信しないし、且つ、STOP操作もされていない場合、制御部11は、停止しないと判断する。
【0063】
ステップS122で停止しないと判断された場合(S122:NO)、制御部11は、処理をステップS113へ処理を戻す。
【0064】
ステップS122で停止すると判断された場合(S122:YES)、制御部11は、車両Vの車載充放電制御装置32との通信接続を切断する(ステップS123)。制御部11は、コネクタ15及びコネクタ35のロックをOFFとする(ステップS124)。制御部11は、接続・充放電可否状態を「充放電可否が不明(6)」に決定して記憶し(ステップS125)、上位装置29へ通知し(ステップS126)、処理を終了する。
【0065】
ロックもOFFとし、処理を終了するので、ステップS125において制御部11は、接続・充放電可否状態を「車両と接続されていない(1)」と決定してもよいし、次回起動するまでは「接続状態が判別できない(7)」に決定してもよい。コネクタ15及びコネクタ35が接続されていることが検知されている間は、接続・充放電可否状態は「充放電可否が不明(6)」とされてもよい。
【0066】
制御部11は、ステップS123の処理の後、ロックを解除(OFF)せずに、再度ステップS101から処理を再開するようにしてもよい。
【0067】
図3及び
図4のフローチャートに示した処理により、車両Vからの停止処理があり、上位装置29から指示があったとしても充電又は放電を継続できない状態となった場合には、充電又は放電の不可が上位装置29へ通知される。その後、充電又は放電が不可のまま維持されて充放電ができない状態に陥らないよう、充電率に変化が見られた場合には、充電又は変電を可として上位装置29へ通知する。これにより、車両V側で、充電又は放電を実施できないような状態となったとしても上位装置29から充電又は放電を指示されて接続と停止とが無用に繰り返されることを回避できる。
【0068】
上述のように開示された実施の形態は全ての点で例示であって、制限的なものではない。本発明の範囲は、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0069】
1 充放電装置
10 充放電回路
11 制御部
12 通信部
14 操作部
16 上位通信部
1P コンピュータプログラム
V 車両
29 上位装置
32 車載充放電制御装置