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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】検査装置
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/90 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
G01N21/90 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2020213932
(22)【出願日】2020-12-23
(65)【公開番号】P2022099875
(43)【公開日】2022-07-05
【審査請求日】2023-11-28
(73)【特許権者】
【識別番号】000220505
【氏名又は名称】ニデックパワートレインシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(74)【代理人】
【識別番号】100138689
【弁理士】
【氏名又は名称】梶原 慶
(72)【発明者】
【氏名】濱本 望
(72)【発明者】
【氏名】斎藤 明
(72)【発明者】
【氏名】木下 崇志
【審査官】小野寺 麻美子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-109064(JP,A)
【文献】特開2002-310629(JP,A)
【文献】特開2007-114180(JP,A)
【文献】国際公開第2006/059647(WO,A1)
【文献】特開2010-085179(JP,A)
【文献】特開2002-369044(JP,A)
【文献】特表2019-517670(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111842219(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/01
G01N 21/17 - G01N 21/61
G01N 21/84 - G01N 21/958
G01B 11/00 - G01B 11/30
B07C 1/00 - B07C 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
天面および側面を有する検査対象物の検査装置であって、
前記検査対象物の前記天面に交差する撮像軸を有し、前記天面が有する第1特徴点と前記側面が有する第2特徴点を撮像するカメラと、
前記検査対象物の外側に位置し、前記第2特徴点を反射することによって前記カメラに導くミラーと、
前記カメラが撮像した画像において、前記第1特徴点および前記第2特徴点を検出する検出部と、
前記検出部が検出した前記第1特徴点および前記第2特徴点に基づいて、判定処理を行う判定部と、
前記検査対象物を照らす照明部と、を備え、
前記ミラーは、第1ミラーと、第2ミラーと、を有し、
前記第1ミラーは、前記撮像軸と平行な軸方向において、前記天面よりも上側かつ前記カメラよりも下側に位置し、
前記第2ミラーは、前記撮像軸と平行な軸方向において、前記第1ミラーと前記カメラとの間に位置し、
前記第1ミラーは、前記撮像軸と直交する径方向において、前記第2ミラーよりも前記撮像軸から離れて位置し、
前記照明部は、前記天面よりも前記撮像軸と平行な軸方向において上側かつ前記第1ミラーよりも前記撮像軸側に配置され、
前記第2ミラーは、前記撮像軸と平行な軸方向において、前記照明部の少なくとも一部と重なり、前記照明部よりも前記カメラ側に配置される、検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記照明部は、環状であり、
前記照明部の内径は、前記天面の外径よりも大きい、検査装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の検査装置であって、
前記第2ミラーにおける前記撮像軸に直交する径方向内方の端部は、前記照明部における前記撮像軸に直交する径方向内方の端部よりも前記撮像軸の近くに配置される、検査装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の検査装置であって、
前記第1ミラーの反射面は、第2特徴点から放出された像を前記撮像軸側に反射し、
前記第2ミラーの反射面は、前記第1ミラーから放出された像をさらに前記撮像軸の近くへ反射する、検査装置。
【請求項5】
請求項2から請求項のいずれか1項に記載の検査装置であって、
前記第1ミラーが、周方向に並ぶ複数のサブミラーで構成され、
前記サブミラーが、周方向に長手である、検査装置。
【請求項6】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検査装置であって、
前記撮像軸上に位置し、前記第1特徴点を前記カメラに結像する凸レンズ、
をさらに備える、検査装置。
【請求項7】
請求項1から請求項のいずれか1項に記載の検査装置であって、
前記カメラが撮像した画像の歪みを補正する画像補正部、
をさらに備える、検査装置。
【請求項8】
請求項6に記載の検査装置であって、
前記凸レンズは、前記撮像軸と直交する径方向において前記第2ミラーと重なり、前記第2ミラーよりも前記撮像軸側に配置される、検査装置
【請求項9】
請求項1に記載の検査装置であって、
前記照明部は、前記撮像軸を囲む環状のリング照明を含む、検査装置。
【請求項10】
請求項1または請求項に記載の検査装置であって、
前記照明部は、
前記検査対象物の前記第1特徴点を照らす第1照明部と、
前記検査対象物の前記第2特徴点を照らす第2照明部と、を含む、検査装置。
【請求項11】
請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の検査装置であって、
前記第1特徴点または前記第2特徴点のうち少なくとも一方に対応する情報を記憶する記憶部、をさらに備える、検査装置。
【請求項12】
請求項11に記載の検査装置であって、
前記第1特徴点または前記第2特徴点のうち一方は、前記検査対象物の種類を表し、
前記記憶部は、前記第1特徴点または前記第2特徴点のうち一方が表し得る前記検査対象物の種類に対応する情報を記憶する、検査装置。
【請求項13】
請求項12に記載の検査装置であって、
前記判定部は、前記第1特徴点に対応する情報と前記第2特徴点に対応する情報との組合せの適否を判定する処理を実行する、検査装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
検査対象物の表面に設けられた特徴点をカメラで撮像し、取得された画像に含まれる特徴点に基づいて検査を行う技術が知られている。例えば、特開2005-024543号公報には、ボトルの側面に設けられたヒールコードを検査する機械が記載されている。当該機械は、カメラと、環状リング照明と、ミラーとを有する。カメラは、ボトルの垂直方向下方に配置されている。環状リング照明は、光の環状ビームを、ボトルのヒールコードに照射する。ミラーは、環状リング照明の下に配置された凹状面を有する。ミラーの凹状面は、ヒールコードで反射した光を、カメラの画像領域に反射する。
【文献】特開2005-024543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、検査対象物の天面にも、所定の情報を表す特徴点が設けられる場合がある。従来技術の場合、ボトルの側面と天面とを、カメラで同時に撮像できない。このため、検査対象物の天面の特徴点を検出したい場合には、カメラをもう1台設ける必要があり、装置サイズの肥大、および、装置コストの増大などといった問題が生じ得る。
【0004】
本発明の目的は、容器の天面および側面に設けられた各特徴点を1つのカメラで撮像し、得られた画像に基づいて容器を適切に検査する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するため、天面および側面を有する検査対象物の検査装置は、カメラと、ミラーと、検出部と、判定部とを備える。カメラは、天面に交差する撮像軸を有する。カメラは、天面が有する第1特徴点と検査対象物の側面が有する第2特徴点を撮像する。ミラーは、検査対象物の外側に位置する。ミラーは、第2特徴点を反射することによってカメラに導く。検出部は、カメラが撮像した画像において、第1特徴点および第2特徴点を検出する。判定部は、検出部が検出した第1特徴点および第2特徴点に基づいて、判定処理を行う。
【発明の効果】
【0006】
この検査装置によると、検査対象物の側面に設けられた第2特徴点の像をミラーでカメラに導くことができる。このため、天面の第1特徴点と、側面の第2特徴点とを1つのカメラで撮像できる。カメラで取得された画像で検出された第1特徴点および第2特徴点に基づいて、容器についての判定処理を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の検査装置を示す側面図である。
図2図2は、搬送装置によって搬送される複数の容器を示す平面図である。
図3図3は、図1に示す検査装置が備えるカメラとミラーを示す斜視図である。
図4図4は、制御部の構成を示すブロック図である。
図5図5は、カメラによって撮像される検査画像を示す図である。
図6図6は、画像補正部による補正処理を概念的に示す図である。
図7図7は、登録情報を概念的に示す図である。
図8図8は、ミラーの変形例を示す図である。
図9図9は、変形例に係る検査装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素はあくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張又は簡略化して図示されている場合がある。
【0009】
以下の説明では、カメラ3の撮像軸31と平行な方向を「軸方向」と称する。軸方向のうち、容器9からカメラ3に向かう軸方向の一方を「軸方向上方」、カメラ3から容器9に向かう軸方向の他方を「軸方向下方」とそれぞれ称する。また、撮像軸31に直交する方向を「径方向」と称する。径方向のうち、撮像軸31に近づく径方向の一方を「径方向内方」、撮像軸31から離れる径方向の他方を「径方向外方」とそれぞれ称する。さらに、撮像軸31を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」と称する。上記の「平行な方向」は、略平行な方向も含む。また、上記の「直交する方向」は、略直交する方向も含む。
【0010】
<1. 実施形態>
図1は、実施形態の検査装置1を示す側面図である。図2は、搬送装置2によって搬送される複数の容器9を示す平面図である。図3は、検査装置1が備えるカメラ3とミラー4を示す斜視図である。
【0011】
検査装置1は、搬送装置2が搬送する容器9を検査する装置である。搬送装置2は、検査装置1とは別の構成であるが、検査装置1の一部として構成されていてもよい。
【0012】
搬送装置2は、検査対象物である容器9を保持しつつ、容器9を水平方向と平行な搬送方向に搬送する装置である。搬送装置2は、ベルトコンベヤであって、無端ベルト21と、複数のローラ23とを有する。複数のローラ23は、搬送方向に所定の間隔をあけて配置されている。無端ベルト21は、複数のローラ23に掛け渡されている。
【0013】
各ローラ23は、搬送方向と直交する方向に延びる回転軸を中心に回転可能である。複数のローラ23のうち少なくとも一部は、不図示のモータから駆動力を受けて回転する。モータによってローラ23の一部が回転すると、無端ベルト21が複数のローラ23の周りを回転する。
【0014】
容器9は、別の装置によって1つずつ無端ベルト21の上面に載置される。搬送装置2は、複数の容器9を同時に搬送可能である。図2に示す例では、複数の容器9は、搬送方向に所定の間隔をあけた状態で、搬送装置2により搬送される。図2に示すように、搬送装置2は、各容器9が検査装置1のカメラ3の視野FV1内を通過するように、各容器9を搬送する。図1は、搬送装置2によって、容器9が搬送方向における所定の検査位置L1にある状態を示している。
【0015】
<容器>
容器9は、検査対象物の一例である。以下では、搬送装置2で搬送されている状態の容器9について説明する。容器9は、容器本体部91と、蓋部93とを有する。容器本体部91は、有底筒状を有する。より具体的には、容器本体部91は、有底円筒状である。容器本体部91の径方向外方を臨む面が、容器9の側面911である。容器本体部91の軸方向下方を臨む面が、容器9の底面913である。蓋部93は、容器本体部91の軸方向上端に位置する。蓋部93の軸方向上方を臨む面が、容器9の天面931である。
【0016】
容器9の側面911は、軸方向上方に向かうにつれて外径が次第に大きくなる形状を有する。容器9の天面931および底面913は、互いに平行である。天面931および底面913は、水平面と平行である。天面931および底面913は、円形状を有する。天面931の直径は、底面913の直径よりも大きい。すなわち、容器9は、円錐台状を有する。なお、容器9の形状は、円柱状または角柱状など、円錐台状以外であってもよい。
【0017】
第1特徴点F1および第2特徴点F2は、容器9に関する情報を表す。容器9に関する情報は、例えば、容器9の種類を表す情報(容器9の内容物、商品名、または商品番号など)である。第1特徴点F1および第2特徴点F2は、文字、図形、または、文字と図形の組合せで構成される。第1特徴点F1および第2特徴点F2は、1方向のみに情報を持つ一次元コード(バーコードなど)であってもよいし、2方向に情報を持つ二次元コードであってもよい。
【0018】
本実施形態では、第1特徴点F1は、文字(具体的には、「ABC」)を図案化したロゴで構成されているものとする。また、第2特徴点F2は、二次元コードであるマトリックスコードで構成されているものとする。マトリックスコードは、正方形等の図形を上下左右に二次元配列する表示形式の情報である。
【0019】
検査装置1は、カメラ3を備える。カメラ3は、例えば、CCDカメラ、またはCMOSカメラなどである。カメラ3が撮像する画像は、カラー画像であってもよいし、モノクロのグレースケール画像であってもよい。カメラ3は、撮像した画像(検査画像M1)を、制御部7へ出力する。
【0020】
カメラ3は、撮像軸31を有する。撮像軸31は、カメラ3の画角を二等分する仮想直線である。カメラ3の撮像軸31は、搬送装置2に保持されている容器9の天面931に交差し、より好ましくは直交する。カメラ3は、容器9に設けられた第1特徴点F1および第2特徴点F2を撮像する。
【0021】
なお、図1に示すように、容器9が検査位置L1にある状態では、カメラ3から視て、容器9の側面911は、容器9の天面931の裏側(軸方向下側)に位置する。このため、カメラ3は、容器9の側面911に設けられた第2特徴点F2を直接撮像することが困難である。そこで、検査装置1では、後述するミラー4を利用することにより、第2特徴点F2をカメラ3で撮像する。
【0022】
カメラ3は、所定の時間間隔で撮像を行うようにしてもよい。また、カメラ3は、各容器9が搬送方向における所定の検査位置L1(図1参照)に到達したタイミングで撮像を行うようにしてもよい。この場合、検査装置1は、容器9が検査位置L1に到達したことを検出する位置センサを備えていてもよい。図1に示すように、検査位置L1を撮像軸31と一致させることにより、容器9の撮像を良好に行うことができる。
【0023】
検査装置1は、ミラー4を備える。ミラー4は、容器9の側面911に設けられた第2特徴点F2を反射することによって、第2特徴点F2の像をカメラ3に導く。
【0024】
より具体的には、ミラー4は、第1ミラー41と第2ミラー42とを含む。第1ミラー41は、第1反射面41Sを有する。第2ミラー42は、第2反射面42Sを有する。図3に示すように、第1反射面41Sおよび第2反射面42Sは、撮像軸31を囲む環状を有し、好ましくは、円環状を有する。
【0025】
軸方向において、第2ミラー42の第2反射面42Sは、第1ミラー41の第1反射面41Sとカメラ3との間に位置する。第1ミラー41の第1反射面41Sは、第2ミラー42の第2反射面42Sよりも撮像軸31から離れて位置する。
【0026】
第1ミラー41の第1反射面41Sは、径方向内方を臨む。第2ミラー42の第2反射面42Sは、径方向外方を臨む。第1ミラー41の第1反射面41Sは、容器9の第2特徴点F2の像を反射して、第2ミラー42の第2反射面42Sに導く。第2ミラー42の第2反射面42Sは、第1ミラー41から放出された第2特徴点F2の像を、さらに撮像軸31の近くへ反射する。このように、第2ミラー42が第2特徴点F2の像を反射することによって、カメラ3の視野が狭くても、容器9の第1特徴点F1および第2特徴点F2を一括に撮像できる。このため、広角レンズなどにより視野を広げる場合よりも、カメラ3の分解能を高くすることができる。
【0027】
第1ミラー41および第2ミラー42を用いることによって、単一のミラーを用いる場合に比べて、第2特徴点F2の像をカメラへ容易に導くことができる。
【0028】
第1反射面41Sおよび第2反射面42Sは、それぞれ円錐台状を有する。より具体的には、第1反射面41Sは、軸方向上方に向かって、径方向外方に傾いている。第2反射面42Sは、軸方向下方に向かって、径方向外方に傾いている。第1反射面41Sの中心軸と第2反射面42Sの中心軸は好ましくは共通である。また、第1反射面41Sの中心軸と第2反射面42Sの中心軸は、好ましくは撮像軸31と共通である。
【0029】
図1に示す例では、第1ミラー41は、軸方向において、容器9の天面931よりもカメラ3側に位置する。すなわち、第1ミラー41は、容器9の天面931よりも軸方向上方に位置する。このような配置によって、搬送装置2が容器9を撮像軸31と直交する方向に移動させたとしても、第1ミラー41が容器9に干渉することを抑制できる。
【0030】
図1に示すように、第2ミラー42は、第1ミラー41よりも径方向内方にあることが好ましい。これにより、カメラ3の視野を狭くすることができるため、カメラの分解能を高めることができる。
【0031】
第1ミラー41および第2ミラー42は、容器9の外側に位置する。より具体的には、第1ミラー41および第2ミラー42の少なくとも一部が、カメラ3と容器9の天面931の縁部とを結ぶ境界線BL1よりも、径方向外側に位置する。
【0032】
図1に示すように、検査装置1は、照明部5を備える。照明部5は、搬送装置2が搬送する容器9の外表面を照らす。照明部5は、光源として、LEDまたは蛍光灯などを有する。
【0033】
照明部5は、第1照明部51と第2照明部52とを有する。第1照明部51および第2照明部52は、軸方向において、容器9の天面931よりも軸方向上方に位置する。第1照明部51および第2照明部52は、軸方向において、カメラ3よりも軸方向下方に位置する。軸方向において、第1照明部51は、第2照明部52よりも上側に位置する。第1照明部51は、容器9の天面931を照らすことにより、第1特徴点F1を照らす。第2照明部52は、容器9の側面を照らすことにより、第2特徴点F2を照らす。
【0034】
第1照明部51は、例えば、リング照明である。リング照明は、撮像軸の周りを囲む環状(より好ましくは、円環状)の光源を備えた照明具である。第1照明部51が容器9の天面931を照らすことによって、天面931に位置する第1特徴点F1をカメラ3で良好に撮像できる。また、第1照明部51をリング照明とすることによって、容器9の天面931を、360°の各方向から照らすことができる。このため、検査装置1に対する容器9の向きが周方向に変化しても、容器9の天面931に位置する第1特徴点F1を有効に照らすことができる。
【0035】
第2照明部52は、撮像軸の周りを囲むように周方向に沿って配置された複数のライン照明で構成される。ライン照明は、直線状の光源を備えた照明具である。第2照明部52が容器9の側面911を照らすことによって、側面911に位置する第2特徴点F2をカメラ3で良好に撮像できる。また、第2照明部52を複数のライン照明で構成することによって、容器9の側面911を複数の方向から照らすことができる。このため、検査装置1に対する容器9の向きが周方向に変化しても、容器9の側面911に位置する第2特徴点F2を有効に照らすことができる。
【0036】
なお、第1照明部51は、第2照明部52と同様に、複数のライン照明で構成されてもよい。また、第2照明部52は、第1照明部51と同様に、リング照明で構成されてもよい。
【0037】
図1に示すように、好ましくは、第1照明部51および第2照明部52の内径は、容器9の天面931の外径よりも大きい。これにより、カメラ3の視野FV1内において、検査位置L1にある容器9の天面931の一部が、第1照明部51または第2照明部52に隠れることを抑制できる。したがって、容器9の天面931を、カメラ3で良好に撮像できる。
【0038】
図1に示すように、好ましくは、第2ミラー42は、第1照明部51と軸方向に重なる。また、好ましくは、第2ミラー42は、第1照明部51よりも軸方向上方に位置する。このような配置により、カメラ3の視野FV1内において、第2ミラー42で第1照明部51を隠すことができる。
【0039】
図1に示すように、好ましくは、第2ミラー42の径方向内方の端部は、照明部5の径方向内方の端部よりも撮像軸31の近くに配置される。また、好ましくは、第1ミラー41は、照明部5よりも径方向外側に配置される。
【0040】
なお、照明部5が第1照明部51および第2照明部52を備えていることは必須ではない。例えば、照明部5は、第1照明部51のみで構成されてもよい。この場合、第1照明部51が1つのリング照明で構成され、当該1つのリング照明で容器9の側面911および天面931が照らされてもよい。このとき、リング照明の光を、直接容器9の側面911および天面931に照射させてもよいし、あるいは、リング照明の光を、拡散板(不図示)を介して、容器9の側面911および天面931に照射させてもよい。このように、拡散板を用いることによって、1つの照明であっても、容器9の側面911および天面931に対して光をより均一に照射でき、明瞭に第1特徴点F1および第2特徴点F2を撮像することができる。
【0041】
図1に示すように、検査装置1は、凸レンズ6を備える。凸レンズ6は、第1特徴点F1を含む容器9の天面931の像をカメラ3に結像する。凸レンズ6は、平面である下面と、軸方向上方に凸状である上面とを有する。凸レンズ6は、撮像軸31上に位置する。凸レンズ6の光軸は、撮像軸31と平行である。好ましくは、撮像軸31は、凸レンズ6の中心(光軸)と一致している。
【0042】
凸レンズ6を設けることによって、容器9の側面911からミラー4を経由してカメラ3に入射する光の光路長に合わせて、容器9の天面931からカメラ3に直接入射する光の光路長を調整できる。これにより、第1特徴点F1および第2特徴点F2を1つのカメラ3で一括に撮像したとしても、第1特徴点F1および第2特徴点F2をそれぞれ明瞭に撮像できる。
【0043】
図1に示すように、検査装置1は、制御部7を備える。制御部7は、プロセッサ71と、ROM73と、RAM75と、記憶部77とを備える。プロセッサ71は、CPUまたはGPU等で構成される。ROM73、RAM75、および記憶部77は、バス配線を介してプロセッサ71と電気的に接続されている。ROM73は、読み出し専用のメモリであって、基本プログラムを記憶する。RAM75は、読み書き自在のメモリであって、各種情報を記憶する。記憶部77は、ハードディスクドライブなどの非一過性の記録媒体であって、プログラムPを記憶する。制御部7は、カメラ3と電気的に接続されている。
【0044】
図4は、制御部7の構成を示すブロック図である。プロセッサ71がプログラムPを実行することによって、制御部7は、画像補正部711、検出部713、および判定部715として機能する。なお、プロセッサ71の代わりに、専用回路(ASICなど)を備えていてもよい。そして、画像補正部711、検出部713、または判定部715がハードウェア的に実現されていてもよい。
【0045】
画像補正部711は、カメラ3が撮像した画像の歪みを補正する。検出部713は、カメラ3が撮像した画像において、容器9の第1特徴点F1および第2特徴点F2を検出する。判定部715は、検出部713が検出した第1特徴点F1および第2特徴点F2に基づいて、容器9に関する判定処理を行う。
【0046】
制御部7には、ディスプレイ791および入力デバイス793が接続されている。ディスプレイ791は、各種情報を表示する装置である。入力デバイス793は、ユーザが制御部7に対して各種情報を入力する装置である。入力デバイス793は、マウスまたはキーボードなどを含む。ディスプレイ791をタッチパネルで構成することによって、ディスプレイ791が入力デバイスとして機能してもよい。
【0047】
図5は、カメラ3によって撮像される検査画像M1を示す図である。検査画像M1は、第1画像M11と第2画像M12とを含む。第1画像M11は、容器9の天面931の画像である。第1画像M11は、第1特徴点F1の画像を有する。第2画像M12は、第1ミラー41および第2ミラー42で反射した、容器9の側面911の画像である。このため、第2画像M12は、第2特徴点F2の画像を有する。図5に示すように、第2ミラー42が円環状である場合、第2画像M12は円環状となる。検出部713は、検査画像M1の第1画像M11において、第1特徴点F1の画像を検出する。また、検出部713は、検査画像M1の第2画像M12において、第2特徴点F2の画像を検出する。第1特徴点F1および第2特徴点F2の検出方法は特に限定されない。例えば、検出部713は、キャニー法によりエッジを検出し、検出されたエッジの中から、第1特徴点F1および第2特徴点F2を、テンプレートマッチングで抽出するようにしてもよい。
【0048】
図6は、画像補正部711による補正処理を概念的に示す図である。画像補正部711は、第1画像M11または第2画像M12を補正してもよい。具体的には、画像補正部711は、回転補正、台形補正、色調補正、または、拡大縮小補正を行ってもよい。また、画像補正部711は、円環状である第2画像M12を、直線状に変換する補正を行ってもよい。図6に示すように、画像補正部711が画像補正を行うことによって、形状が補正された第2特徴点F2を取得することができる。これにより、検出部713は、第2特徴点F2を良好に検出できる。
【0049】
判定部715は、検出部713が検出した第1特徴点F1および第2特徴点F2に基づいて、判定処理を行う。判定部715は、第1特徴点F1が表す情報と、第2特徴点F2とが表す情報との組合せの適否を判定する。
【0050】
例えば、容器9の種類が複数存在する場合、第1特徴点F1と第2特徴点F2とは、容器9の種類を特定するための情報としてもよい。この場合、記憶部77は、容器9の種類毎に、第1特徴点F1と第2特徴点F2とのそれぞれに対応する登録情報R1を記憶する。
【0051】
図7は、登録情報R1を概念的に示す図である。図7に示す例では、容器9の種類として、第1品種、第2品種、第3品種が存在する。そして、登録情報R1として、第1~第3品種のそれぞれに対応する第1特徴点F1(第1特徴点F1a,F1b,F1c)の画像と、第1品種~第3品種のそれぞれに対応する第2特徴点F2(第2特徴点F2a,F2b,F2c)の画像とが登録されている。
【0052】
判定部715は、検出部713が検出した第1特徴点F1と一致する画像を、登録情報R1において検索することにより、容器9の種類を特定する。また、判定部715は、検出部713が検出した第2特徴点F2と一致する画像を登録情報R1において検索することにより、容器9の種類を特定する。そして、判定部715は、第1特徴点F1に基づいて特定した容器9の種類と、第2特徴点F2に基づいて特定した容器9の種類とが、一致するかどうかを判定する。
【0053】
なお、第2特徴点F2が文字列をコード化したものである場合、記憶部77は、第2特徴点F2が表す文字列を、登録情報R1として記憶していてもよい。この場合、判定部715は、検出部713が検出した第2特徴点F2を画像処理によって文字列に変換するとともに、取得した文字列を登録情報R1において検索する。これにより、判定部715は、第2特徴点F2が表す容器9の種類を特定してもよい。
【0054】
第1特徴点F1が表す情報と第2特徴点F2が表す情報とが適合しないと判定部715が判定した場合、制御部7は、所定の出力装置に、不適合であったことを表す出力を行わせてもよい。出力装置は、例えば、画像を表示するディスプレイ791、画像を出力するプリンタ(不図示)、警告灯、または、警告音を発するスピーカーである。また、出力処理において、制御部7は、特定の容器9について不適合と判定したことを示すログを、RAM75または記憶部77に記憶させてもよい。
【0055】
以上のように、検査装置1によれば、容器9の側面911に設けられた第2特徴点F2の像を、ミラー4でカメラ3に導くことができる。このため、容器9の天面931の第1特徴点F1と、容器9の側面911の第2特徴点F2とを1つのカメラ3で撮像できる。また、検査装置1によれば、カメラ3で取得された検査画像M1で検出された第1特徴点F1および第2特徴点F2に基づいて、容器9に関する判定処理を行うことができる。
【0056】
<2. 変形例>
以上、実施形態について説明してきたが、本発明は上記のようなものに限定されるものではなく、様々な変形が可能である。
【0057】
<ミラーの変形例>
図8は、ミラー4の変形例を示す図である。図8に示すミラー4は、第1ミラー41の代わりに、第1ミラー41aを備える。また、図8に示すミラー4は、第2ミラー42の代わりに、第2ミラー42aを備える。第1ミラー41aは、容器9の側面911の像を第2ミラー42aへ反射する。また、第2ミラー42aは、第1ミラー41aが放出した像を反射して、カメラ3へ導く。
【0058】
第1ミラー41aは、複数(例えば、5個)の第1平面ミラー411(サブミラー)を有する。複数の第1平面ミラー411は、周方向に等間隔で配置されている。各第1平面ミラー411は、平面状の第1反射面41Saを有する。第1反射面41Saは、径方向内方を臨む。各第1反射面41Saは、軸方向上方に向かって径方向外方に傾いている。第1平面ミラー411および第1反射面41Saは、周方向に長手であり、軸方向に短手である。第1反射面41Saは、例えば長方形状を有する。
【0059】
周方向に長手の第1平面ミラー411を採用することによって、容器9の側面911の第2特徴点F2を撮像することが容易となる。また、第2特徴点F2を撮像するために必要となる第1平面ミラー411の数を少なくすることができる。これにより、検査装置1の部品点数を削減できるため、装置コストを下げることができる。
【0060】
第2ミラー42aは、複数(例えば、5個)の第2平面ミラー421を有する。複数の第2平面ミラー421は、周方向に等間隔で配置されている。各第2平面ミラー421は、平面状の第2反射面42Saを有する。第2反射面42Saは、径方向外方を臨む。各第2反射面42Saは、軸方向上方に向かって径方向内方に傾いている。第2平面ミラー421および第2反射面42Saは、軸方向に長手であり、周方向に短手である。第2反射面42Saは、例えば長方形状を有する。
【0061】
図8に示す例では、第1平面ミラー411と、第2平面ミラー421とは、1対1対応で設けられている。すなわち、第1平面ミラー411の数量と、第2平面ミラー421の数量とは同じである。周方向において、第2平面ミラー421は、対応する第1平面ミラー411と、同じ位置にある。こうすることによって、各第1平面ミラー411は、容器9の側面911の像を、対応する第2平面ミラー421に導くことができる。
【0062】
第1ミラー41aの第1反射面41Saは、容器9の第2特徴点F2の像を反射して、第2ミラー42aの第2反射面42Saへ導く。第2ミラー42aの第2反射面42Saは、第1ミラー41から放出された第2特徴点F2の像を、さらに撮像軸31の近くへ反射する。
【0063】
第1ミラー41aを採用した場合、容器9の側面911の第2特徴点F2の像が、隣接する2つの第1平面ミラー411に入射することによって、検査画像M1に2つの第2特徴点F2の像が出現する可能性がある。このため、検出部713は、2つの第2特徴点F2の像のうち、歪み(変形)が小さい方を検出するようにしてもよい。この場合、検出部713は、検査画像M1におけるエッジの曲がりに基づいて、第2特徴点F2の歪みを定量化してもよい。
【0064】
<第1特徴点および第2特徴点の変形例>
実施形態では、第1特徴点F1および第2特徴点F2が、複数ある容器9の種類の1つを表す情報であるものとしている。しかしながら、第1特徴点F1および第2特徴点F2は、容器9に関する情報であればどのような情報であってもよい。容器9に関する情報は、製造情報(製造日、ロット番号など)や、容器9の内容物に関する情報消費期限、賞味期限等であってもよい。
【0065】
実施形態では、判定部715が実行する判定処理は、第1特徴点F1が表す情報と第2特徴点F2が適合するかを判定しているが、当該処理に限定されるものではない。例えば、判定部715は、第1特徴点F1が所定の情報と適合するか、または、第2特徴点F2が所定の情報と適合するかを判定するようにしてもよい。例えば、第1特徴点F1が製造年月日を表す情報である場合、判定部715は、第1特徴点F1が表す製造年月日が適正なものであるかを判定するようにしてもよい。
【0066】
実施形態では、第1ミラー41および第1ミラー41aは、容器9の天面931よりも軸方向上方に配置されているが、容器9の天面931よりも軸方向下方に配置されていてもよい。
【0067】
実施形態では、搬送装置2搬送されている状態の容器9を撮像するようにしているが、停止した状態の容器9を撮像するようにしてもよい。例えば、搬送装置2の代わりに台を設けて、当該台に容器9を載置した状態で、撮像を行うようにしてもよい。
【0068】
図9は、変形例に係る検査装置1の側面図である。変形例に係る検査装置1では、容器9が、円盤状である台101の上面に載置される。第1ミラー41は、容器9の天面931よりも軸方向下方に位置し、かつ、台101の上面よりも軸方向下方に位置する。第1ミラー41の一部は、境界線BL1よりも径方向外側に位置する。第2ミラー42の第2反射面42Sは、径方向内方を臨む。第1ミラー41および第2ミラー42は、それぞれ1つのミラーで構成されていてもよいし、周方向に配列された複数のミラーで構成されていてもよい。本変形例では、容器9の側面911に設けられた第2特徴点F2の像は、台101よりも軸方向外側を通って、第1ミラー41の第1反射面41Sにて反射される。そして、第2特徴点F2の像は、第2ミラー42の第2反射面42Sで反射されて、カメラ3に導かれる。台101は、透明な部材で構成されていてもよい。これにより、容器9の第2特徴点F2の像が、台101で遮られて第1ミラー41の第1反射面41Sに入射できなくなることを抑制できる。
【0069】
この発明は詳細に説明されたが、上記の説明は、すべての局面において、例示であって、この発明がそれに限定されるものではない。例示されていない無数の変形例が、この発明の範囲から外れることなく想定され得るものと解される。上記各実施形態および各変形例で説明した各構成は、相互に矛盾しない限り適宜組み合わせたり、省略したりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、検査装置に利用することができる。
【符号の説明】
【0071】
1 検査装置
3 カメラ
31 撮像軸
4 ミラー
41,41a 第1ミラー
411 第1平面ミラー(サブミラー)
41S,41Sa 第1反射面
42,42a 第2ミラー
5 照明部
51 第1照明部
52 第2照明部
6 凸レンズ
711 画像補正部
713 検出部
715 判定部
77 記憶部
9 容器
911 側面
931 天面
F1 第1特徴点
F2 第2特徴点
M1 検査画像

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9