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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/165 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B41J2/165 501
B41J2/165 101
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020216407
(22)【出願日】2020-12-25
(65)【公開番号】P2022101972
(43)【公開日】2022-07-07
【審査請求日】2023-11-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001841
【氏名又は名称】弁理士法人ATEN
(72)【発明者】
【氏名】西川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】上田 敏郎
【審査官】岩本 太一
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-176152(JP,A)
【文献】特開平08-011316(JP,A)
【文献】特開2010-228212(JP,A)
【文献】特開2009-196174(JP,A)
【文献】特開2009-078199(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドと離隔しつつ対向可能に配置され、前記ノズルから吐出された液体が着弾する着弾面を有し、前記液体吐出ヘッドとの間に電位差を生じさせることが可能な導電性部材と、
前記導電性部材を支持する支持部材と、
前記液体吐出ヘッドと前記導電性部材との間の電位差を示す信号を出力する信号出力部と、
前記ノズルから前記着弾面に向けて液体を吐出させ、前記信号出力部から出力された前記信号に基づいて、前記ノズルの吐出状態の検査を行う制御部と、を備えており、
前記支持部材は、支持部本体と、前記導電性部材と電気的に接続され前記着弾面に面する方向に平行な貫通方向に前記支持部本体を貫通した状態で前記支持部本体に保持された導電性を有する電極ピンとを有しており、
前記電極ピンは、前記貫通方向に延在するピン本体と、前記ピン本体の側面から突出する突出部とを有しており、
前記ピン本体の前記貫通方向の一方の端部は、前記導電性部材を前記貫通方向に貫通しており、前記ピン本体の前記一方の端部の端面が、前記ノズルから吐出された液体が着弾可能に露出しており、
前記突出部は、前記貫通方向に移動不可能に前記支持部本体に係止されていることを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記突出部は、前記ピン本体の全周に亘って環状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記支持部本体は、前記電極ピンの側面と接触していることを特徴とする請求項1又は2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記支持部本体は、前記電極ピンの側面と全周に亘って接触していることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記電極ピンは、ステンレス鋼から構成されていることを特徴とする請求項1~のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッドのノズルから吐出された液体が着弾する導電性部材を有する液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ボックス部材内にインク吸収部材とインク吸収部材の表面上に配置された網目状のステンレス製の規制部材(導電性部材)とを収容し、インク吸収部材の表面が濡れた状態で印刷ヘッドの複数のノズルから、電極として機能する規制部材及びインク吸収部材に向けてインクを吐出させ、吐出状態の検査を行うことが示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-176152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1では、規制部材と電気的に接続される電極ピンが、ボックス部材の下方から当該ボックス部材を貫通するように差し込まれて設けられている。この電極ピンには、鍔が形成されているため、ボックス部材に対する電極ピンの差し込み量を規制することが可能となっており、規制部材に対する電極ピンの押圧力も規制することができる。しかしながら、電極ピンの下方への移動については特に規制がない。このため、電極ピンのボックス部材に対する上下方向(貫通方向)の位置決めが不安定となり、電極ピンに押圧される規制部材の上下方向の位置精度にも影響する。この結果、規制部材とノズルとの離隔距離が不安定となり、吐出状態の検査精度が低下する問題が生じる。
【0005】
そこで、本発明の目的は、導電性部材とノズルとの離隔距離が安定し、吐出状態の検査精度の低下を抑制することが可能な液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の液体吐出装置は、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドと離隔しつつ対向可能に配置され、前記ノズルから吐出された液体が着弾する着弾面を有し、前記液体吐出ヘッドとの間に電位差を生じさせることが可能な導電性部材と、前記導電性部材を支持する支持部材と、前記液体吐出ヘッドと前記導電性部材との間の電位差を示す信号を出力する信号出力部と、前記ノズルから前記着弾面に向けて液体を吐出させ、前記信号出力部から出力された前記信号に基づいて、前記ノズルの吐出状態の検査を行う制御部と、を備えている。そして、前記支持部材は、支持部本体と、前記導電性部材と電気的に接続され前記着弾面に面する方向に平行な貫通方向に前記支持部本体を貫通した状態で前記支持部本体に保持された導電性を有する電極ピンとを有しており、前記電極ピンは、前記貫通方向に延在するピン本体と、前記ピン本体の側面から突出する突出部とを有しており、前記ピン本体の前記貫通方向の一方の端部は、前記導電性部材を前記貫通方向に貫通しており、前記ピン本体の前記一方の端部の端面が、前記ノズルから吐出された液体が着弾可能に露出しており、前記突出部は、前記貫通方向に移動不可能に前記支持部本体に係止されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明の液体吐出装置によると、導電性部材と電気的に接続される電極ピンが、支持部本体に対して貫通方向に移動不可能に位置決めされた状態となる。このため、導電性部材に対して電極ピンの貫通方向の移動が影響しなくなり、導電性部材とノズルとの離隔距離(着弾面に面する方向の離隔距離)が安定し、吐出状態の検査精度の低下を抑制することが可能となる
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施形態に係るプリンタの概略平面図である。
図2図1に示すプリンタに含まれるヘッドの断面図である。
図3図1に示すプリンタに含まれるメンテナンスユニットの概略的な平面図である。
図4図3のIV-IV線断面図である。
図5図3のV-V線断面図である。
図6図3に示す第1キャップ部に収容された収容部材を斜め下方から見たときの斜視図である。
図7】(a)はストッパ部材を第1キャップ部の凹部内において第1位置に配置させた状況図であり、(b)はストッパ部材を第1キャップ部の凹部内において第2位置に配置させた状況図である。
図8図3に示すキャップ装置を支持部材の下方から見たときの概略平面図である。
図9図1のプリンタの電気的構成を示すブロック図である。
図10】(a)はノズルからインクが吐出された場合の、収容部材の電圧の変化を示す図であり、(b)はノズルからインクが吐出されない場合の、収容部材の電圧の変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の一実施形態に係るプリンタ100は、図1に示すように、ヘッド1と、キャリッジ2と、プラテン3と、搬送機構4と、キャップ装置51を含むメンテナンスユニット5と、制御装置9とを含んでいる。
【0011】
ヘッド1は、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留された4つのインクタンク(不図示)から4色のインクが供給される。また、ヘッド1は、図2に示すように、流路ユニット11と、アクチュエータユニット12とを含む。流路ユニット11の下面は、複数のノズル11nが形成されたノズル面11aであり、鉛直方向と直交する水平面である。複数のノズル11nは、図1に示すように、搬送方向に沿ったノズル列を形成しており、ヘッド1は、ノズル面11aと平行な走査方向に並んだ4列のノズル列を有する。搬送方向は、ノズル面11aと平行で、かつ、走査方向と直交する方向である。複数のノズル11nからは、走査方向の右側のノズル列を構成するものから、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。
【0012】
流路ユニット11の内部には、図2に示すように、インクタンクに連通する共通流路11xと、共通流路11xから複数のノズル11nのそれぞれに至る複数の個別流路11yとが形成されている。流路ユニット11の上面には、複数の個別流路11yのそれぞれに含まれる複数の圧力室11cが開口している。アクチュエータユニット12は、流路ユニット11の上面に複数の圧力室11cを覆うように配置された振動板121と、振動板121の上面に配置された圧電層122と、圧電層122の上面に複数の圧力室11cのそれぞれと対向するように配置された複数の個別電極123とを含む。振動板121及び圧電層122において各個別電極123と各圧力室11cとで挟まれた部分は、圧力室11c毎に個別のユニモルフ型アクチュエータとして機能し、ドライバIC15による各個別電極123への電圧の印加に応じて独立して変形可能である。アクチュエータが圧力室11cに向かって凸となるように変形することにより、圧力室11cの容積が減少し、圧力室11c内のインクに圧力が付与され、ノズル11nからインクが吐出される。
【0013】
キャリッジ2は、図1に示すように、ヘッド1を保持し、かつ、走査方向に沿った2本のガイドレール21,22に支持されている。制御装置9の制御によりキャリッジモータ25(図9参照)が駆動されると、図示しないキャリッジ移動機構により、キャリッジ2は、ガイドレール21,22に沿って走査方向に移動する。これにより、ヘッド1は、キャップ装置51のキャップ511(後述する)と鉛直方向に対向するメンテナンス位置と、キャップ装置51のキャップ511と鉛直方向に対向しない非メンテナンス位置とを取り得る。
【0014】
プラテン3は、ヘッド1及びキャリッジ2の下方に配置されている。プラテン3の上面に、用紙Pが支持される。
【0015】
搬送機構4は、搬送方向にプラテン3を挟んで配置された2組のローラ対41,42を含む。制御装置9の制御により搬送モータ45(図9参照)が駆動されると、ローラ対41,42が用紙Pを挟持した状態で回転し、用紙Pが搬送方向に搬送される。
【0016】
メンテナンスユニット5は、キャップ装置51と、排出機構55と、廃液タンク57とを含む。メンテナンスユニット5は、プラテン3に対して走査方向の一方に配置されている。
【0017】
キャップ装置51は、図3及び図4に示すように、2つの収容部材531,532と、これら収容部材531,532を支持する支持部材510と、高圧ハーネス550と、基板ユニット580とを含む。
【0018】
支持部材510は、キャップ511と、キャップ511を下方から支持するホルダ520と、2本の電極ピン561,562と、ストッパ部材540とを含む。キャップ511は、非導電性である。本実施形態において、キャップ511はゴム等の弾性材料からなる。キャップ511は、図3及び図5に示すように、第1キャップ部511aと第2キャップ部511bとを有する。第1キャップ部511aは、キャップ511の上端部とノズル面11aとが密着したときに、カラー(イエロー、シアン、マゼンタ)インクを吐出するためのすべてのノズル11nを覆う。第2キャップ部511bは、キャップ511の上端部とノズル面11aとが密着したときに、ブラックインクを吐出するためのすべてのノズル11nを覆う。
【0019】
第1キャップ部511aは、図3に示すように、上方に開口した凹部512aを有する。凹部512aは、第1キャップ部511aの環状側壁511a1と底部511a2とによって画定されている。第2キャップ部511bも、上方に開口した凹部512bを有する。凹部512bは、第2キャップ部511bの環状側壁511b1と底部511b2とによって画定されている。なお、環状側壁511a1の走査方向の一方(図3中右側)の側壁と、環状側壁511b1の走査方向の他方(図3中左側)の側壁とは、共通となっている。
【0020】
2つの収容部材531,532は、図3に示すように、ともに矩形平面形状を有する板状部材であって、それぞれ導電性を有する合成樹脂(例えば、カーボン粉末配合のPOM(ポリアセタール)等)からなり、導電性を有している。収容部材531は、収容部材532よりも平面サイズが大きい。また、収容部材531は、図5に示すように、第1キャップ部511aの凹部512a内に配置されており、その外周側面が凹部512aを画定する環状側壁511a1の内周側面に当接している。収容部材531は、ヘッド1がメンテナンス位置にあってキャップ511の上端部とノズル面11aとが密着したときに、ノズル面11aと離隔しつつ対向可能に配置されており、カラーインクを吐出するすべてのノズル11nと対向可能に構成されている。つまり、収容部材531の上面は、ノズル11nから吐出されたカラーインクが着弾する着弾面531aを構成している。
【0021】
着弾面531aは、図4及び図5に示すように、水平な面であって、メンテナンス位置にあるヘッド1のノズル面11aに対して平行であり、且つ平らである。収容部材531には、図3及び図5に示すように、円形の孔531bが形成されている。孔531bは、収容部材531の搬送方向の下流側部分であって走査方向の中央より、図3中左寄りに配置されている。孔531bには、電極ピン561が貫通されている。電極ピン561の上端面561a1は、収容部材531の上面と同一平面上にあるように、孔531bから露出し、収容部材531の上面とで着弾面531aを構成している。
【0022】
また、収容部材531は、図6に示すように、下方に向かって開口する凹部531cが形成されている。収容部材531が凹部531cを有することで、その天井部(凹部531cの底部)の厚みを小さくすることが可能となる。このため、収容部材531が比較的大きな板状部材であっても、その上面にひけによる僅かな凹みなどが生じにくくなる。
【0023】
また、収容部材531の凹部531cを画定する環状側壁531dは、図6に示すように、3つのフック部531e1~531e3が形成されている。フック部531e1,531e2は、環状側壁531dの一対の長辺部分に形成されている。フック部531e3は、環状側壁531dの一対の短辺部分の一方に形成されている。フック部531e3は、図4に示すように、後述のストッパ部材540に係止可能に、下端部分が内側に突出して形成されている。なお、他のフック部531e1,531e2も、フック部531e3と同様に、後述のストッパ部材540に係止可能に形成されている。また、図6に示すように、収容部材531の天井部であって凹部531cの底部に相当する部分の中央には、円形の窪み531fが形成されている。
【0024】
収容部材532は、図5及び図7に示すように、第2キャップ部511bの凹部512b内に配置可能な搬送方向に長尺な略直方体形状を有する。収容部材532の外周側面は、凹部512bを画定する環状側壁511b1の内周側面に当接している。収容部材532は、ヘッド1がメンテナンス位置にあってキャップ511の上端部とノズル面11aとが密着したときに、ノズル面11aと離隔しつつ対向可能に配置されており、ブラックインクを吐出するすべてのノズル11nと対向可能に構成されている。つまり、収容部材532の上面は、ノズル11nから吐出されたブラックインクが着弾する着弾面532aを構成している。
【0025】
着弾面532aは、図5に示すように、水平な面であって、メンテナンス位置にあるヘッド1のノズル面11aに対して平行であり、且つ平らである。収容部材532には、図3及び図5に示すように、円形の孔532bが形成されている。孔532bは、収容部材532の搬送方向の下流側部分であって走査方向の中央より、図3中左寄りに配置されている。孔532bには、電極ピン562が貫通されている。電極ピン562の上端面562a1は、収容部材532の上面と同一平面上にあるように、孔532bから露出し、収容部材532の上面とで着弾面532aを構成している。なお、孔532bは、孔531bと同じサイズに形成されている。
【0026】
また、着弾面531aを構成する収容部材531の上面、及び、着弾面532aを構成する収容部材532の上面には、シボ加工によるシボがその全体に亘って形成されている。本実施形態における着弾面531a,532aのシボによる算術平均粗さ(Ra)は、32となっているが、吐出検知精度に影響を及ぼすような凹凸とならなければ、適宜設定してもよく、Ra32以外であってもよい。
【0027】
ホルダ520は、非導電性である。本実施形態において、ホルダ520は、非導電性の合成樹脂等からなる。ホルダ520は、図4及び図5に示すように、水平な底部521と、底部521の外周から上方に突出した環状側壁522とを含む。また、ホルダ520には、上方に開口した凹部523が底部521と環状側壁522とで画定されている。凹部523内にキャップ511が配置されており、底部521によってキャップ511が下方から支持されている。
【0028】
ホルダ520は、図4及び図8に示すように、凸部524と、2つの管部525,526とを有する。凸部524は、図7に示すように、底部521の第1キャップ部511aの中央部分と対向する位置から、上方に突出し、第1キャップ部511aの底部511a2を貫通している。凸部524は、略円柱形状に形成されている。凸部524の凹部512a内に突出した上端部分には、図4に示すように、環状の溝524aが外周側面に沿って形成されている。また、凸部524の上端は、収容部材531の窪み531fに配置される。
【0029】
第1キャップ部511aの凹部512a内には、図4図5及び図7に示すように、ストッパ部材540が配置されている。ストッパ部材540も、ホルダ520と同様に非導電性である。本実施形態において、ストッパ部材540は、非導電性の合成樹脂等からなる。
【0030】
ストッパ部材540は、図4及び図5に示すように、収容部材531と第1キャップ部511aの底部511a2との間に配置されている。また、ストッパ部材540は、図7に示すように、矩形平面形状を有する板状部材であり、中央部に貫通孔541が形成されている。貫通孔541は、搬送方向に沿って長尺な長孔形状を有している。貫通孔541の内周面には、溝524aに係止可能な突起542が形成されている。突起542は、貫通孔541の搬送方向下流側半部の内周面に沿ってU字状に形成されている。また、ストッパ部材540の搬送方向下流側端部には、切り欠き部543が形成されている。切り欠き部543は、ストッパ部材540の走査方向の他方側に形成されている。
【0031】
ストッパ部材540は、図7(a)に示すように、搬送方向において、凹部512aよりも短い長さを有している。また、ストッパ部材540は、凹部512a内において、第1位置から第2位置に移動させることで、突起542が凸部524の溝524a内に配置され、凸部524を係止する。ここでいう第1位置は、図7(a)に示す位置であって、ストッパ部材540の貫通孔541の搬送方向の上流側部分に凸部524を貫通させた状態のストッパ部材540の位置である。第2位置は、当該第1位置からストッパ部材540を凹部512aに対して搬送方向上流側にスライドさせた状態のストッパ部材540の位置である。これにより、凸部524がキャップ511から抜けなくなり、キャップ511がホルダ520に固定される。
【0032】
また、ストッパ部材540は、図7(b)に示すように、第2位置に配置された状態において、環状側壁511a1との間に、収容部材531の環状側壁531dを配置することが可能な平面サイズを有している。換言すると、ストッパ部材540は、収容部材531の凹部531c内に収容可能なサイズとなっている。また、ストッパ部材540の外周側面には、3つの切り欠き部544が形成されている。なお、図4において、3つの切り欠き部544のうちの1つの切り欠き部544が示されており、残りの2つの切り欠き部544は不図示である。これら3つの切り欠き部544は、収容部材531の3つのフック部531e1~531e3に対応する位置に形成されている。そして、図3に示すように、ストッパ部材540を覆うようにして収容部材531を凹部512a内に配置させることで、3つのフック部531e1~531e3が3つの切り欠き部544に係合し、収容部材531がストップ部材540に固定される。
【0033】
管部525は、図8に示すように、底部521の第1キャップ部511aと対向する領域において、走査方向の中央且つ搬送方向の上流側に配置されている。また、管部525は、図4に示すように、底部521及び第1キャップ部511aの底部511a2を貫通しており、鉛直方向に貫通する排出孔525aを有する。排出孔525aは、第1キャップ部511a内のインクを排出するための孔であり、チューブ58aを介して吸引ポンプ56と連通している。排出孔525aは、隙間を介してストッパ部材540に覆われている。
【0034】
管部526は、図8に示すように、底部521の第2キャップ部511bと対向する領域において、走査方向の中央且つ搬送方向の上流側に配置されている。また、管部526も、底部521及び第2キャップ部511bの底部511b2を貫通しており、鉛直方向に貫通する排出孔526aを有する。排出孔526aは、第2キャップ部511b内のインクを排出するための孔であり、チューブ58bを介して吸引ポンプ56と連通している。排出孔526aは、隙間を介して収容部材532に覆われている。
【0035】
2本の電極ピン561,562は、導電性を有している。本実施形態における2本の電極ピン561,562は、ステンレス鋼から構成されているが、他の導電性材料から構成されていてもよい。電極ピン561は、図5に示すように、ホルダ520の底部521、第1キャップ部511aの底部511a2、ストッパ部材540及び収容部材531を鉛直方向に貫通して配置されている。電極ピン562は、ホルダ520の底部521、第2キャップ部511bの底部511b2及び収容部材532を鉛直方向に貫通して配置されている。
【0036】
これら電極ピン561,562は、図5に示すように、鉛直方向に延在する円柱状のピン本体561a,562aと、ピン本体561a,562aの側面から突出する突出部561b,562bとを有し、互いに同じ形状及びサイズとなっている。ピン本体561a,562aの直径は、孔531b,532bより僅かに小さく、ピン本体561a,562aと孔531b,532bとの間には微少な隙間571,572が形成されている。これら隙間571,572間に、ノズル11nから排出されたインクが介在することで、電極ピン561と収容部材531、電極ピン562と収容部材532が電気的に接続される。
【0037】
突出部561b,562bは、ピン本体561a,562aの鉛直方向の中央において、ピン本体561a,562aの全周に亘って環状に形成されている。これら電極ピン561,562は、ホルダ520と一体成型されている。
【0038】
ここで支持部材510の製造方法について説明する。まず、ホルダ520を成型するための金型(不図示)に、2本の電極ピン561,562を配置する。このとき、電極ピン561は、成型されるホルダ520の底部521の搬送方向の下流側であって、第1キャップ部511aと対向する領域の走査方向の一方側の位置(図3中左寄りの位置)において当該底部521を鉛直方向に貫通するように配置する。一方、電極ピン562は、成型されるホルダ520の底部521の搬送方向の下流側であって、第2キャップ部511bと対向する領域の走査方向の一方側の位置(図3中左寄りの位置)において当該底部521を鉛直方向に貫通するように配置する。また、このとき、2本の電極ピン561,562は、突出部561b,562bが成型されるホルダ520の底部521内に配置されるように、金型に配置される。この後、金型内に、非導電性の合成樹脂材料を流し込む。そして、当該材料が硬化した後、脱型することで、ホルダ520と2本の電極ピン561,562とが一体成型によって製造される。この後、ホルダ520にキャップ511を取り付け、ストッパ部材540にホルダ520に係止することで、支持部材510が製造される。
【0039】
このように電極ピン561,562の突出部561b,562bが、ホルダ520の底部521内に存在することで、図5に示すように、突出部561b,562bの上下面が底部521を構成する部分に係止される。このため、電極ピン561,562(突出部561b,562b)が鉛直方向に移動不可能にホルダ520に係止される。また、ホルダ520の底部521は、電極ピン561,562の側面と全周に亘って接触している。
【0040】
ホルダ520の底部521の下方には、図5及び図8に示すように、接続部材570が配置されている。接続部材570は、走査方向に延在した円柱の棒状部材である。また、接続部材570は、導電性を有している。本実施形態における接続部材570は、ステンレス鋼から構成されているが、他の材料から構成されていてもよい。変形例として、接続部材570が、導電性を有する合成樹脂から構成されていてもよい。これにより、接続部材570を金属から構成するよりも軽量化することが可能となる。
【0041】
接続部材570は、図8に示すように、その一端が高圧ハーネス550の一端に設けられた圧着端子551に圧着されて、高圧ハーネス550と接続されている。また、接続部材570は、2本の電極ピン561,562の搬送方向の下流側部分と接触して配置されており、2本の電極ピン561,562と高圧ハーネス550とを電気的に接続する。ホルダ520は、底部521から下方に突出して形成され、接続部材570の走査方向の中央部分を保持する保持部527を有する。保持部527は、2本の電極ピン561,562よりも搬送方向の下流側から接続部材570を、2本の電極ピン561,562に向かって押圧可能に配置されている。これにより、接続部材570を簡単な構成で2本の電極ピン561,562に確実に接触させることができる。
【0042】
基板ユニット580は、図1に示すように、キャップ551よりも搬送方向の下流に配置されている。基板ユニット580は、図4に示すように、基板581と、基板581を収容するケース582とを有する。基板581には、高電圧印加回路583と、電圧検出回路584とが実装されている。また、基板581には、これら高電圧印加回路583と電圧検出回路584とに電気的に接続された雌コネクタ581aが実装されている。
【0043】
高圧ハーネス550の他端には、図5に示すように、雌コネクタ581に着脱可能な雄コネクタ552が設けられている。高圧ハーネス550は、図4に示すように、雄コネクタ552及び雌コネクタ581を介して、基板581の高電圧印加回路583と電圧検出回路584とに電気的に接続されている。これにより、高電圧印加回路583と電圧検出回路584とが、高圧ハーネス550及び電極ピン561,562を介して、2つの収容部材531,532と電気的に接続される。高圧ハーネス550は、高電圧印加回路583からの電圧を収容部材531,532に伝え、収容部材531,532の電圧を示す信号を電圧検出回路584へと伝える。高電圧印加回路583は、制御装置9の制御により、2つの収容部材531,532に所定の電圧Va(図10参照)を印加する。一方、ヘッド1の流路ユニット11は、導電性であり(例えば金属材料からなり)、グランド電位に保持されている。これにより、ヘッド1と、2つの収容部材531,532との間に、電位差が生じる。電圧検出回路584は、2つの収容部材531,532の電圧(即ち、ヘッド1と2つの収容部材531,532との間の電位差)を示す信号を、制御装置9に出力する。なお、高圧ハーネス550と基板581の高電圧印加回路583及び電圧検出回路584との電気的な接続は、コネクタ以外の接続で実現してもよいし、コネクタの雄雌が入れ替わっていてもよい。
【0044】
なお、基板581と制御装置9とは、図示しないFFC(フレキシブルフラットケーブル)により接続されている。つまり、高電圧印加回路583と電圧検出回路584とがFFCによって制御装置9と接続されている。このFFCは、基板581と制御装置9とをプリンタ100に設置した状態において、これらを結ぶ最短配線ルートよりも長くなるようにしている。これにより、基板ユニット580をプリンタ100から一時的に取り外す際に、FFCを基板581から外す必要がなくなる。このため、FFCを基板581から外すことによって、これまでに保存されてきたデータなどが消失するなどの不具合を回避することが可能となる。また、基板ユニット580をプリンタ100から取り外してから後述の廃液タンク57をプリンタ100から一時的に取り外す際にも、上述の不具合を回避することが可能となる。
【0045】
基板581は、図4に示すように、鉛直方向において、後述の廃液タンク57の上端よりも上方に配置されている。つまり、基板581は、廃液タンク57に排出するインクの流入口57b(後述する)よりも上方に配置されている。また、基板581は、鉛直方向に沿って、廃液タンク57と重なる位置に配置されている。また、基板581は、高圧ハーネス550の接続部材570に接続された一端よりも上方に配置されている。これにより、高圧ハーネス550が、図4に示すように、基板581側からホルダ520(接続部材570)に向かうに連れて下方に傾斜して配置される。
【0046】
排出機構55は、図4に示すように、吸引ポンプ56と、チューブ58a,58b,59とを有しており、キャップ511内に排出されたインクを廃液タンク57に排出する機構である。なお、プリンタの下部には廃液フォーム(不図示)が配置されている。チューブ58aは、一端が管部525の下方部分と接続され、他端が吸引ポンプ56と接続されている。チューブ58bは、一端が管部526の下方部分と接続され、他端が吸引ポンプ56と接続されている。チューブ59は、一端が吸引ポンプ56と接続され、他端が廃液タンク57と接続されている。これにより、制御装置9の制御により、吸引ポンプ56が駆動されることで、キャップ511内のインクが廃液タンク57に排出される。
【0047】
廃液タンク57は、図4に示すように、内部空間を有するタンク本体57aと、内部空間に配置されたフォーム57cとを有する。タンク本体57aの上面には、チューブ59の他端が接続された流入口57bが形成されている。吸引ポンプ56によって排出されたインクは、流入口57bからタンク本体57a内に排出され、フォーム57cに染み込む。また、廃液タンク57は、その下方部分において、廃液フォームと繋がっており、廃液タンク57に排出されたインクは後に廃液フォームへと伝わっていく。また、チューブ59の長さは、高圧ハーネス550の長さよりも長くなっている。
【0048】
制御装置9は、図9に示すように、CPU(Central Processing Unit)91、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)93、及び、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)94を有する。制御装置9は、PC等の外部装置とデータ通信可能に接続されている。
【0049】
ROM92には、CPU91が各種動作を制御するためのプログラムやデータが格納されている。RAM93は、CPU91が上記プログラムを実行する際に用いるデータを一時的に記憶する。CPU91は、外部装置から入力された記録指令等に基づいて、ROM92やRAM93に記憶されているプログラムやデータに従い、ASIC94に対する指令を行う。
【0050】
ASIC94は、ドライバIC15、キャリッジモータ25、搬送モータ45、キャップ昇降モータ55、吸引ポンプ56、電圧印加回路61及び電圧検出回路62と接続されている。
【0051】
記録時において、ASIC94は、CPU91からの指令に従い、ドライバIC15、キャリッジモータ25及び搬送モータ45を駆動させ、用紙Pを搬送方向に搬送する「搬送動作」と、キャリッジ2を走査方向に移動させながらノズル11nからインクを吐出させる「吐出動作」とを、交互に行わせる。つまり、記録中、用紙Pは間欠的に搬送される。上記動作が交互に繰り返し行われることにより、用紙P上に、インクのドットが形成され、画像が記録される。
【0052】
メンテナンス時において、ASIC94は、CPU91からの指令に従い、キャリッジモータ25を駆動させてヘッド1をメンテナンス位置に配置し、キャップ昇降モータ55を駆動させてキャップ装置51を上方に移動させる。これにより、キャップ511の上端がノズル面11aと当接し、ノズル面11aがキャップ511によって覆われる。なお、メンテナンスユニット5は、キャップ装置51を鉛直方向に沿って昇降させる図示しない昇降機構を有しており、キャップ昇降モータ55が駆動されることで、キャップ511の上端がノズル面11aに当接する当接位置と、キャップ511がノズル面11aから離隔する離隔位置との間において移動する。なお、収容部材531,532及び2本の電極ピン561,562の上端面561a1,562a1とでなす水平面状の着弾面531a,532aは、当接位置において、ノズル面11aから所定距離だけ下方に離れて配置されている。
【0053】
ノズル面11aがキャップ511によって覆われた状態で、吸引ポンプ56を駆動させると、キャップ511内が負圧となることで、すべてのノズル11nからインクが強制的に排出され、当該インクがキャップ511内に受容される(吸引パージ)。当該インクは、収容部材531,532の着弾面531a,532aに受容され、また、隙間571,572に受容される。
【0054】
隙間571,572に受容されたインクの表面は、当該隙間571,572による毛管作用により、着弾面531a,532aよりも、僅かに下方に位置するが、後述のノズルの吐出状態の検査精度に影響を及ぼすほどの高低差はない。
【0055】
このようにしてキャップ511内に受容されたインクは、収容部材531,532の側面や下面に形成された溝(図示略)を通って排出孔525a,526aに至り、チューブ58a,58b,59及び吸引ポンプ56を介して廃液タンク57に貯留される。ただし、隙間571,572に受容されたインクは、隙間571,572に保持されたままである。
【0056】
ノズル詰まり(本発明に係る「ノズルの吐出状態」)の検査を行う際、ASIC94は、CPU91からの指令に従い、キャリッジモータ25を駆動させてヘッド1をメンテナンス位置に配置し、ドライバIC15を駆動させてヘッド1の複数のノズル11nからキャップ511内の収容部材531,532に向けてインクを吐出させる。
【0057】
本実施形態では、高電圧印加回路583により、検査用の電極として機能する収容部材531,532に、正の電圧Vaが印加されている。インクは、正に帯電している。インクがノズル11nから吐出されてから着弾面531a,532aに着弾するまで、収容部材531,532の電圧は、上昇し、電圧Vaよりも高い電圧Vbに達する(図10(a)参照)。インクが着弾面531a,532aに着弾した後は、収容部材531,532の電圧は、徐々に低下し、電圧Vaに戻る。一方、ノズル11nからインクが吐出されない場合は、収容部材531,532の電圧は、電圧Vaからほとんど変化しない(図10(b)参照)。
【0058】
隙間571,572に保持されたインクも、検査用の電極として機能する。つまり、隙間571,572に保持されたインクにも、収容部材531,532と同様、電圧印加回路583により、正の電圧Vaが印加されている。したがって、検査の際に隙間571,572に向けてインクが吐出されると、上述と同様の電圧の変化が生じる。
【0059】
ASIC94は、電圧検出回路584から出力された信号(即ち、収容部材531,532の電圧を示す信号)に基づいて、ノズル詰まりの検査を行う。具体的には、ASIC94は、収容部材531,532の電圧が閾値Vt,Vt’を超えたとき、ノズル11nに詰まりがない(即ち、ノズル11nの吐出状態に異常がない)と判定する。当該検査は、ノズル11n毎に行われる。
【0060】
ASIC94は、検査結果に基づき、適宜の処理を行う。例えば、複数のノズル11nのうち、詰まりがある(即ち、吐出状態に異常がある)と判定されたノズル11nが1つ以上ある場合、吸引パージ(吸引ポンプ56を駆動させ、ノズル11nからインクを強制的に排出させる処理)を実行する。複数のノズル11nのうち、詰まりがある(即ち、吐出状態に異常がある)と判定されたノズル11nがない場合、吸引パージを実行せず、記録指令に基づく記録処理(上述の「搬送動作」と「吐出動作」とを交互に行わせる処理)を実行する。或いは、複数のノズル11nのうち、詰まりがある(即ち、吐出状態に異常がある)と判定された一部のノズル11nについて、フラッシング(ドライバIC15を駆動させることで当該ノズル11nからインクを吐出させる処理)を実行してもよい。
【0061】
ROM92には、ノズル11n毎の閾値Vt,Vt’が記憶されている。閾値Vt,Vt’は、電圧Vaよりも高く電圧Vbよりも低い値である。
【0062】
なお、本実施形態におけるプリンタ100が本発明の「液体吐出装置」に該当する。本実施形態におけるヘッド1が本発明の「液体吐出ヘッド」に該当する。本実施形態における2つの収容部材531,532が本発明の「導電性部材」に該当する。本実施形態おけるキャップ511及びホルダ520が本発明の「支持部本体」に該当する。本実施形態における電圧検出回路584は本発明の「信号出力回路」に該当する。本実施形態におけるCPU91及びASIC94が、本発明の「制御部」に該当する。本実施形態における鉛直方向が、本発明の「貫通方向」に該当する。
【0063】
以上に述べたように、本実施形態のプリンタ1によると、収容部材531,532と電気的に接続される電極ピン561,562が、ホルダ(支持部本体)520に対して鉛直方向に移動不可能に位置決めされた状態となる。このため、収容部材531,532に対して電極ピン561,562の鉛直方向の移動が影響しなくなり、収容部材531,532とノズル11nとの離隔距離(着弾面531a,532aに面する方向の離隔距離)が安定する。一方、ノズルとインクの着弾位置との間の離隔距離が大きくなるほど、吐出状態を示す信号の出力値が小さくなる。つまり、複数のノズル内において、離隔距離にばらつきが生じていると、吐出状態の検査精度がばらつく。しかしながら、本実施形態においては、収容部材531,532とノズル11nとの離隔距離が安定しているため、吐出状態の検査精度の低下を抑制することが可能となる。
【0064】
突出部561b,562bが、ピン本体561a,562aの全周に亘って環状に形成されているため、ホルダ520に対する電極ピン561,562の鉛直方向の移動を効果的に係止することが可能となる。
【0065】
ホルダ520の底部521が、電極ピン561,562の側面と全周に亘って接触している。これにより、電極ピン561,562が鉛直方向と交差する方向にも移動しにくくなる。このため、収容部材531,532に対して電極ピン561,562の交差する方向の移動も影響しにくくなる。
【0066】
ピン本体561a,562aの上端面561a1,562a1が、収容部材531,532の上面と同じ平面上に配置されている。これにより、ピン本体561a,562aの上端面561a1,562a1も着弾面531a,532aとして機能させても、吐出状態の検査精度の低下を抑制することが可能となる。
【0067】
電極ピン561,562がステンレス鋼から構成されている。これにより、電極ピン561,562の耐久性や導電性が高くなる。
【0068】
本実施形態のプリンタ1の支持部材510の製造方法によると、2本の電極ピン561,562が、成型されるホルダ520の底部521を鉛直方向に貫通するように配置されるとともに、突出部561b,562bが成型されるホルダ520の底部521内に配置されるように、金型に配置され、ホルダ520と2本の電極ピン561,562とが一体成型によって製造される。これにより、収容部材531,532と電気的に接続される電極ピン561,562が、ホルダ520(支持部本体)に対してその鉛直方向に移動不可能に位置決めされた支持部材510を製造することが可能となる。このため、収容部材531,532に対して電極ピン561,562の鉛直方向の移動が影響しなくなり、収容部材531,532とノズル11nとの離隔距離(着弾面531a,532aに面する方向の離隔距離)が安定し、吐出状態の検査精度の低下を抑制することが可能となる。
【0069】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。上述の実施形態においては、2本の電極ピン561,562がホルダ520に一体成型されていたが、1本及び3本以上の電極ピンがホルダ520に一体成型されていてもよい。また、これら電極ピン561,562は、突出部561b、562bがホルダ520に対して鉛直方向に移動不可能に係止されておればよい。また、突出部561b,562bは、ピン本体561a,562aの周方向において、一部にだけ形成されていてもよい。
【0070】
ホルダ520は、電極ピン561,562の周方向において、側面の一部にだけ接触していてもよい。また、電極ピン561,562は、収容部材531,532と電気的に接続可能であれば、収容部材531,532を貫通していなくてもよい。
【0071】
また、上述の実施形態においては、高電圧印加回路583が、収容部材531,532に正の電圧Vaを印加していたが、収容部材531,532に負の電圧Vaを印加して、ノズル11nの吐出状態を検査してもよい。
【0072】
また、ノズルからインクを吐出するヘッドを有するプリンタに本発明を適用することにも限られない。インク以外の液体を吐出する、ヘッド以外の液体吐出ヘッドを有する液体吐出装置に本発明を適用することも可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 ヘッド(液体吐出ヘッド)
11a ノズル面
11n ノズル
91 CPU(制御部)
94 ASIC(制御部)
100 プリンタ(液体吐出装置)
510 支持部材
511 キャップ(支持部本体)
511a1,511b1 環状側壁
511a2 底部
512a,512b 凹部
520 ホルダ(支持部本体)
524 凸部
531,532 収容部材(導電性部材)
531a,532a 着弾面
561,562 電極ピン
561a,562a ピン本体
561a1,562a1 上端面(一方の端部の端面)
561b,562b 突出部
584 電圧検出回路(信号出力部)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10