(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】波長変換素子、光源装置およびプロジェクター
(51)【国際特許分類】
F21S 2/00 20160101AFI20241016BHJP
G03B 21/14 20060101ALI20241016BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20241016BHJP
F21V 9/20 20180101ALI20241016BHJP
F21V 9/32 20180101ALI20241016BHJP
G02B 5/20 20060101ALI20241016BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20241016BHJP
F21V 9/38 20180101ALN20241016BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20241016BHJP
【FI】
F21S2/00 340
G03B21/14 A
G03B21/00 E
F21V9/20
F21V9/32
G02B5/20
H04N5/74 A
F21V9/38
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2020216614
(22)【出願日】2020-12-25
【審査請求日】2023-09-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100114937
【氏名又は名称】松本 裕幸
(74)【代理人】
【識別番号】100196058
【氏名又は名称】佐藤 彰雄
(72)【発明者】
【氏名】秋山 光一
【審査官】山崎 晶
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-024318(JP,A)
【文献】特開2008-026853(JP,A)
【文献】特開2019-086624(JP,A)
【文献】特開2020-112757(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 2/00
G03B 21/14
G03B 21/00
F21V 9/20
F21V 9/32
G02B 5/20
H04N 5/74
F21V 9/38
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光入射面を有し、前記光入射面に入射した第1波長帯の光を波長変換して前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の光を生成する波長変換層と、
前記波長変換層を支持する支持面を有する基板と、
前記第1波長帯の光を透過し、前記第2波長帯の光を反射する第1光学層を有し、前記第1光学層が前記支持面に対向するように配置される第1光学部材と、
少なくとも前記第2波長帯の光を反射させる第2光学層を有し、前記第2光学層が前記支持面と前記第1光学層とに交差するように配置される第2光学部材と、
少なくとも前記第2波長帯の光を反射させる第3光学層を有し、前記第3光学層が前記支持面と前記第1光学層とに交差し、前記第2光学層に対向するように配置される第3光学部材と、
前記基板、前記第1光学部材、前記第2光学部材および前記第3光学部材により形成される開口部と、を備え、
前記支持面と直交する方向を第1方向、前記第1方向と直交する方向を第2方向としたとき、
前記波長変換層の前記光入射面の
第1面積は、前記光入射面において前記第1波長帯の光が入射される光入射領域の
第2面積よりも大きく、
前記光入射領域の
第1面積は、前記開口部の
第3面積より大きく、
前記第1波長帯の光は、前記第1方向に沿って前記第1光学部材の外側から前記第1光学部材に対して入射し、
前記第2波長帯の光は、前記開口部から
前記第2方向に射出される
波長変換素子。
【請求項2】
前記波長変換層は、光を散乱させる散乱体を含む
請求項1に記載の波長変換素子。
【請求項3】
前記第1光学層に沿う平面と前記波長変換層の前記光入射面に沿う平面とのなす角度は、10°以上40°以下である
請求項1または請求項2に記載の波長変換素子。
【請求項4】
前記第2光学層は、前記第1波長帯の光および前記第2波長帯の光を反射し、
前記第3光学層は、前記第1波長帯の光および前記第2波長帯の光を反射する
請求項1から請求項3のうちのいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項5】
前記基板は、前記支持面と前記波長変換層との間に設けられる第4光学層を有する
請求項1から請求項4のうちのいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項6】
前記第4光学層は、前記支持面における前記波長変換層の周囲の少なくとも一部に設けられている
請求項5に記載の波長変換素子。
【請求項7】
前記第1光学部材は、前記波長変換層と接触しないように配置される
請求項1から請求項6のうちのいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項8】
前記波長変換層は、前記開口部の内側に設けられた収容空間に収容され、
前記収容空間に空気層が設けられている
請求項1から請求項7のうちのいずれか一項に記載の波長変換素子。
【請求項9】
前記第1波長帯の光を射出する光源と、
請求項1から請求項8のうちのいずれか一項に記載の波長変換素子と、を備える
光源装置。
【請求項10】
請求項9に記載の光源装置と、
前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、
前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える
プロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、波長変換素子、光源装置およびプロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
プロジェクターに用いる光源装置として、エテンデューを小さくすることで、液晶パネル等の被照明物を高輝度で照明する光源装置がある(例えば、下記特許文献1、2参照)。近年、プロジェクターに用いる光源装置として、蛍光体を励起することで生成した蛍光を照明光として用いる光源装置もある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2008-026853号公報
【文献】特開2008-112114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般的に蛍光体上における励起光の入射面積を小さくすることで、蛍光のエテンデューを小さくできる。しかしながら、励起光の入射面積を小さくすると励起光の光密度が高くなることで、蛍光変換効率が低下してしまうという問題があった。
このように従来において、励起光の光密度の増加を抑制しつつ、エテンデューを小さくすることは難しかった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するために、本発明の1つの態様によれば、光入射面を有し、前記光入射面に入射した第1波長帯の光を波長変換して前記第1波長帯とは異なる第2波長帯の光を生成する波長変換層と、前記波長変換層を支持する支持面を有する基板と、前記第1波長帯の光を透過し、前記第2波長帯の光を反射する第1光学層を有し、前記第1光学層が前記支持面に対向するように配置される第1光学部材と、少なくとも前記第2波長帯の光を反射させる第2光学層を有し、前記第2光学層が前記支持面と前記第1光学層とに交差するように配置される第2光学部材と、少なくとも前記第2波長帯の光を反射させる第3光学層を有し、前記第3光学層が前記支持面と前記第1光学層とに交差し、前記第2光学層に対向するように配置される第3光学部材と、前記基板、前記第1光学部材、前記第2光学部材および前記第3光学部材により形成される開口部と、を備え、前記波長変換層の前記光入射面の面積は、前記光入射面において前記第1波長帯の光が入射される光入射領域の面積よりも大きく、前記光入射領域の面積は、前記開口部の面積より大きく、前記第2波長帯の光は、前記開口部から射出される。
【0006】
本発明の第2態様によれば、光源と、本発明の第1態様の波長変換素子と、を備える光源装置が提供される。
【0007】
本発明の第3態様によれば、本発明の第2態様の光源装置と、前記光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、前記光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備えるプロジェクターが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
【
図3】波長変換素子の概略構成を示す斜視図である。
【
図4】波長変換素子を+Y側から視た正面図である。
【
図6】第1変形例に係る波長変換素子の構成を示す断面図である。
【
図7A】第2変形例に係る波長変換素子の構成を示す側面図である。
【
図7B】第2変形例に係る波長変換素子の作用を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面は、特徴をわかりやすくするために、便宜上特徴となる部分を拡大して示している場合があり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
本実施形態に係るプロジェクターの一例について説明する。
図1は、本実施形態に係るプロジェクターの概略構成を示す図である。
図1に示すように、本実施形態のプロジェクター1は、スクリーンSCR上にカラー映像を表示する投射型画像表示装置である。プロジェクター1は、色分離光学系3と、光変調装置4R,光変調装置4G,光変調装置4Bと、合成光学系5と、投射光学装置6と、第1光源装置(光源装置)20と、第2光源装置21と、を備えている。なお、第1光源装置20は本発明の光源装置の一実施形態に相当する。
【0011】
色分離光学系3は、黄色の照明光WLを赤色光LRと緑色光LGに分離する。色分離光学系3は、色分離ミラー7と、第1反射ミラー8aと、第2反射ミラー8bと、を備えている。
【0012】
色分離ミラー7は、第1光源装置20からの照明光WLを赤色光LRと緑色光LGとに分離するダイクロイックミラーで構成される。色分離ミラー7は、照明光WLのうち、赤色光LRを透過するとともに、緑色光LGを反射する。第2反射ミラー8bは緑色光LGを光変調装置4Bに向けて反射する。第1反射ミラー8aは、赤色光LRの光路中に配置され、色分離ミラー7を透過した赤色光LRを光変調装置4Rに向けて反射する。
【0013】
一方、第2光源装置21からの青色光LBは反射ミラー9で光変調装置4Bに向けて反射される。
【0014】
ここで、第2光源装置21の構成について説明する。
第2光源装置21は、第2光源81と、集光レンズ82と、拡散板83と、ロッドレンズ84と、リレーレンズ85と、を有する。第2光源81は、少なくとも一つの半導体レーザーで構成され、レーザー光からなる青色光LBを射出する。なお、第2光源81は、半導体レーザーに限らず、青色光を発光するLEDでもよい。
【0015】
集光レンズ82は凸レンズからなり、青色光LBを略集光した状態で拡散板83に入射させる。拡散板83は、第2光源81からの青色光LBを所定の拡散度で拡散させて、第1光源装置20から射出される蛍光YLからなる照明光WLに近い均一な配光分布を有する青色光LBを生成する。拡散板83としては、例えば、光学ガラスからなる磨りガラスを用いることができる。
【0016】
拡散板83で拡散された青色光LBはロッドレンズ84に入射する。ロッドレンズ84は第2光源装置21の照明光軸ax2方向に沿って延びる角柱状であり、一端に設けられた入射端面84aと、他端に設けられた射出端面84bと、を有する。拡散板83は、ロッドレンズ84の入射端面84aに図示しない光学接着剤を介して固定されている。拡散板83の屈折率とロッドレンズ84の屈折率とはできるだけ一致させることが望ましい。
【0017】
青色光LBはロッドレンズ84内を全反射で伝播することで照度分布の均一性が向上した状態で射出端面84bから射出される。ロッドレンズ84から射出された青色光LBはリレーレンズ85に入射する。リレーレンズ85はロッドレンズ84によって照度分布の均一性が向上した青色光LBを反射ミラー9に入射させる。
【0018】
ロッドレンズ84の射出端面84bの形状は光変調装置4Bの画像形成領域の形状と略相似形の矩形状である。これにより、ロッドレンズ84から射出された青色光LBは光変調装置4Bの画像形成領域に効率良く入射する。
【0019】
光変調装置4Rは、赤色光LRを画像情報に応じて変調し、赤色光LRに対応した画像光を形成する。光変調装置4Gは、緑色光LGを画像情報に応じて変調し、緑色光LGに対応した画像光を形成する。光変調装置4Bは、青色光LBを画像情報に応じて変調し、青色光LBに対応した画像光を形成する。
【0020】
光変調装置4R、光変調装置4G、及び光変調装置4Bには、例えば透過型の液晶パネルが用いられている。また、液晶パネルの入射側及び射出側には、図示しない偏光板がそれぞれ配置され、特定の方向の直線偏光のみを通過させる構成となっている。
【0021】
光変調装置4R、光変調装置4G、及び光変調装置4Bの入射側には、それぞれフィールドレンズ10R、フィールドレンズ10G、フィールドレンズ10Bが配置されている。フィールドレンズ10R、フィールドレンズ10G、及びフィールドレンズ10Bは、それぞれの光変調装置4R、光変調装置4G、光変調装置4Bに入射する赤色光LR、緑色光LG、青色光LBの主光線を平行化する。
【0022】
合成光学系5は、光変調装置4R、光変調装置4G、及び光変調装置4Bから射出された画像光が入射することにより、赤色光LR,緑色光LG,青色光LBに対応した画像光を合成し、合成された画像光を投射光学装置6に向けて射出する。合成光学系5には、例えばクロスダイクロイックプリズムが用いられる。
【0023】
投射光学装置6は、複数のレンズから構成されている。投射光学装置6は、合成光学系5により合成された画像光をスクリーンSCRに向けて拡大投射する。これにより、スクリーンSCR上に画像が表示される。
【0024】
(第1光源装置)
図2は、第1光源装置20の概略構成図である。
図2を含む以下の図面内において、必要に応じてXYZ座標系を用いて第1光源装置20の各構成について説明する。X軸は光源22の光軸axと平行な軸であり、Y軸は光軸axと直交する照明光軸ax1と平行な軸であり、Z軸はX軸およびY軸にそれぞれ直交する軸である。つまり、光軸axと照明光軸ax1とは、同一面内にあり、光軸axは照明光軸ax1と直交する。
【0025】
図2に示すように、第1光源装置20は、光源22と、ホモジナイザー光学系23と、集光光学系24と、波長変換素子25と、ピックアップ光学系26と、インテグレーター光学系35と、偏光変換素子36と、重畳レンズ37と、を備えている。
【0026】
光源22は、発光部201とコリメートレンズ202とを含む。発光部201は半導体レーザーから構成される。発光部201は、例えば445nmのピーク波長を有する光ビームからなる光線Eを射出する。なお、発光部201としては、445nm以外の波長の光線Eを射出する半導体レーザーを用いることもできる。例えば、発光部201は、460nmのピーク波長を有する光ビームからなる光線Eを射出してもよい。
【0027】
コリメートレンズ202は発光部201に対応して配置されている。コリメートレンズ202は発光部201から射出された光線Eを平行光に変換する。なお、発光部201およびコリメートレンズ202の個数は、特に限定されない。
このようにして光源22は青色波長帯(第1波長帯)を有する平行光束として励起光(第1波長帯の光)ELを射出する。
【0028】
本実施形態の第1光源装置20において、光源22の光軸ax上に、光源22と、ホモジナイザー光学系23と、集光光学系24と、波長変換素子25とが配置されている。
【0029】
光源22から射出された励起光ELはホモジナイザー光学系23に入射する。ホモジナイザー光学系23は、例えばレンズアレイ23aとレンズアレイ23bとから構成されている。レンズアレイ23aは複数の小レンズ23amを含み、レンズアレイ23bは複数の小レンズ23bmを含む。
【0030】
レンズアレイ23aは励起光ELを複数の小光線束に分離する。レンズアレイ23aの小レンズ23amは、小光線束を対応するレンズアレイ23bの小レンズ23bmに結像させる。レンズアレイ23bは、後述する集光光学系24とともに、レンズアレイ23aの各小レンズ23amの像を波長変換素子25の蛍光体層251上に重畳させる。集光光学系24はホモジナイザー光学系23と協働して、波長変換素子25の蛍光体層251上に入射する励起光ELの照度分布を均一化する。なお、集光光学系24は単数あるいは複数のレンズで構成される。
【0031】
波長変換素子25は、光源22から+X側に向けて入射する励起光ELで励起されることで蛍光YLを生成する蛍光体層251と、蛍光体層251を支持する基板252と、を有する。波長変換素子25は、生成した蛍光YLを+Y側に向けて開口部260から射出させる。なお、波長変換素子25の構成の詳細については後述する。
【0032】
ピックアップ光学系26は、例えばピックアップレンズ26a,26bから構成されている。ピックアップ光学系26は蛍光体層251から射出される蛍光YLをピックアップして平行化する機能を有する。
【0033】
蛍光YLは、インテグレーター光学系35に入射する。インテグレーター光学系35は、例えば第1のレンズアレイ35aと第2のレンズアレイ35bとから構成されている。第1のレンズアレイ35aは複数の第1小レンズ35amを含み、第2のレンズアレイ35bは複数の第2小レンズ35bmを含む。
【0034】
第1のレンズアレイ35aは蛍光YLを複数の小光線束に分離する。第1小レンズ35amは、小光線束を対応する第2小レンズ35bmに結像させる。インテグレーター光学系35は、後述する重畳レンズ37と協働することで被照明領域である
図1に示した光変調装置4R,4Gの画像形成領域の照度分布を均一化させる。
【0035】
インテグレーター光学系35を通過した蛍光YLは、偏光変換素子36に入射する。偏光変換素子36は、例えば、偏光分離膜と位相差板(1/2波長板)とから構成される。偏光変換素子36は、蛍光YLにおける偏光方向を一方の偏光成分に変換する。
【0036】
偏光変換素子36を通過した蛍光YLは、重畳レンズ37に入射する。重畳レンズ37から射出された蛍光YLは色分離光学系3へ入射する。重畳レンズ37は、蛍光YLを構成している上記複数の小光線束を光変調装置4R,4Gの被照明領域、すなわち画像形成領域で互いに重畳させることで均一に照明する。
【0037】
続いて、波長変換素子25の構成について説明する。
図3は波長変換素子25の概略構成を示す斜視図である。
図4は波長変換素子25を+Y側から視た正面図である。
図5は波長変換素子25の断面図である。なお、
図5はXY平面に沿う面による断面である。
図3~
図5に示されるように、本実施形態の波長変換素子25は、蛍光体層(波長変換層)251と、基板252と、第4光学層253と、第1光学部材254と、第2光学部材255と、第3光学部材256と、を備える。波長変換素子25は、蛍光体層251で生成した蛍光YLを射出する開口部260を備えている。開口部260は、波長変換素子25の+Y側に設けられている。
本実施形態の開口部260は、基板252、第1光学部材254、第2光学部材255および第3光学部材256の+Y側における各端面で形成された開口である。
【0038】
蛍光体層251は、励起光ELによって励起され、黄色波長帯(第2波長帯)の蛍光(第2波長帯の光)YLを発光する蛍光体粒子を含む。蛍光体層251は、励起光ELを波長変換することによって、蛍光YLを生成する。
蛍光体層251は、表面(光入射面)2511と、側面2512と、裏面2513と、を含む板状の蛍光体である。表面2511は、励起光ELが入射される面である。側面2512は、表面2511に交差する面である。側面2512は、表面2511に直交していてもよい。裏面2513は、表面2511の反対の面である。
【0039】
蛍光体粒子としては、例えばYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)系蛍光体を用いることができる。なお、蛍光体粒子の形成材料は、1種であってもよく、2種以上の材料を用いて形成されている粒子を混合したものを蛍光体粒子として用いてもよい。蛍光体層251としては、例えば、アルミナ等の無機バインダー中に蛍光体粒子を分散させた蛍光体層、バインダーを用いずに蛍光体粒子を焼結した蛍光体層などを用いてもよい。本実施形態の蛍光体層251は複数の気孔(散乱体)Kを含んでいる。
【0040】
蛍光体層251は基板252に支持される。基板252は、蛍光体層251を支持する支持面2521を含む。支持面2521は、YZ面と平行な面である。基板252は、蛍光体層251と熱的に接続されている。基板252は、例えば、アルミや銅といった放熱性に優れた金属板である。基板252は蛍光体層251と熱的に接続されるため、蛍光体層251の熱を放出させることで蛍光体層251を冷却する。
【0041】
波長変換素子25において、蛍光体層251は収容空間Sに収容されている。収容空間Sは、基板252、第1光学部材254、第2光学部材255および第3光学部材256で囲まれた空間である。収容空間Sは、開口部260の内側に設けられている。本実施形態の場合、収容空間Sは大気中に開放されている。すなわち、収容空間Sには空気層ARが設けられている。
【0042】
第4光学層253は、基板252と蛍光体層251との間に設けられる。第4光学層253の面積は、蛍光体層251の裏面2513の面積よりも大きい。本実施形態の場合、第4光学層253は、収容空間S内に位置する支持面2521上に設けられている。すなわち、第4光学層253は、基板252の支持面2521における蛍光体層251の周囲に設けられている。蛍光体層251は第4光学層253を介して基板252の支持面2521に接合されている。第4光学層253は、例えば、金属層や誘電体層で構成される。なお、第4光学層253は、支持面2521の全域、すなわち、収容空間Sよりも外側まで設けられていてもよい。また、第4光学層253の一部が蛍光体層251の裏面2513に直接形成されていてもよい。
【0043】
第1光学部材254は、基板252の支持面2521に対向するように配置されている。すなわち、第1光学部材254は、蛍光体層251の表面2511に対向するように配置されている。第1光学部材254は、蛍光体層251と接触しないように配置される。
【0044】
第1光学部材254は、蛍光体層251の表面2511に対して傾けられた状態で配置される。第1光学部材254における蛍光体層251の表面2511に対してなす角度は鋭角に設定される。
【0045】
第1光学部材254は、透光性基板2541と、第1光学層2542と、を含む。透光性基板2541は、例えば、ガラスで構成されている。第1光学層2542は、透光性基板2541の内面、すなわち、蛍光体層251に対向する面に設けられている。第1光学層2542は、励起光ELを透過し、蛍光YLを反射する特性を有する。第1光学層2542は、基板252の支持面2521に対向している。
これにより、第1光学部材254は、光源22から射出された励起光ELを透過させつつ、蛍光体層251で生成された蛍光YLを反射することができる。
【0046】
第2光学部材255は、基材2551と、第2光学層2552と、を含む。基材2551の形成材料としては、例えばガラスが用いられる。第2光学層2552は、基材2551の内面に形成される。第2光学層2552は、例えば、金属層や誘電体層で構成される。
【0047】
第2光学部材255は、基板252の支持面2521と第1光学部材254とに交差するように配置されている。第2光学部材255は、第2光学層2552が支持面2521と第1光学層2542とに交差するように配置されている。第2光学部材255は、基板252の支持面2521と第1光学部材254とに直交していてもよい。第2光学層2552は、支持面2521と第1光学層2542とに直交していてもよい。第2光学部材255は、その厚さ方向をZ軸方向に一致させるように配置されている。第2光学部材255は、蛍光体層251の+Z側の近傍に配置されている。そのため、蛍光体層251から+Z側に向かって射出された蛍光YLの一部は第2光学部材255により反射される。
なお、例えば、何等かの理由によって励起光ELが第2光学部材255に入射した場合でも、第2光学部材255は励起光ELを反射して蛍光体層251に入射させる。
【0048】
第2光学部材255は台形板状である。
図3に示したように、第2光学部材255は、台形状の上底部をなす第1端面55aと、台形状の下底部をなす第2端面55bと、第1端面55aおよび第2端面55bを+X側で接続する第3端面55cと、第1端面55aおよび第2端面55bを-X側で接続する第4端面55dと、を含む。なお、第1端面55a、第2端面55b、第3端面55cおよび第4端面55dはいずれも平坦面である。第3端面55cは、基板252に対向する面である。第4端面55dは、基材2551において第3端面55cと反対側の面である。第1光学部材254は、第4端面55dに当接している。第1光学部材254は、第4端面55dに載置されている。第1光学層2542は、第4端面55dに当接している。透光性基板2541は、第1光学層2542を介して第4端面55dに載置されている。
【0049】
ここで、基材2551の材料としてガラスを用いる場合、先鋭部分を除去することで欠けを防止する面取り加工が必要となる。本実施形態では、第2光学部材255を台形板状とすることで面取り加工を不要とすることで、基材2551の加工性を向上させている。
【0050】
本実施形態の場合、第2光学部材255の一部が基板252に埋め込まれている。よって、第2光学部材255は基板252に強固に支持される。
第2光学部材255における+X側の端部の一部は基板252の支持面2521に形成された溝2524に嵌め込まれている。なお、第2光学部材255と溝2524との隙間に接着剤を充填してもよい。
【0051】
具体的に第2光学部材255は、第1端面55aおよび第3端面55cの全体と第2端面55bの一部とが溝2524に嵌め込まれている。第4端面55dのうち最も-Y側に位置し、Z方向に沿う端辺55d1は、基板252の支持面2521と面一とされている。これにより、第4端面55dと基板252の支持面2521とが滑らかに接続されている。また、+Y側において、第2端面55bは基板252の端面52と面一となっている。
【0052】
第3光学部材256は、第2光学部材255と同様の構成を有する。
すなわち、第3光学部材256は、基材2561と、第3光学層2562と、を含む。第3光学層2562は、基材2561の内面に形成される。第3光学層2562は、例えば、金属層や誘電体層で構成される。
【0053】
第3光学部材256は、基板252の支持面2521と第1光学部材254とに交差し、第2光学部材255と対向するように配置されている。第3光学部材256は、第3光学層2562が支持面2521と第1光学層2542とに交差し、第2光学層2552に対向するように配置されている。第3光学部材256は、基板252の支持面2521と第1光学部材254とに直交していてもよい。第3光学層2562は、支持面2521と第1光学層2542とに直交していてもよい。第3光学部材256は、その厚さ方向をZ軸方向に一致させるように配置されている。第3光学部材256は、蛍光体層251の-Z側の近傍に配置されている。そのため、蛍光体層251から-Z側に向かって射出され、第3光学部材256に入射した蛍光YLは第3光学部材256により反射される。なお、例えば、何等かの理由によって励起光ELが第3光学部材256に入射した場合でも、第3光学部材256は励起光ELを反射して蛍光体層251に入射させる。
【0054】
第3光学部材256は第2光学部材255と同様の台形板状である。
第3光学部材256は、台形形状の上底部をなす第1端面56aと、台形形状の下底部をなす第2端面56bと、第1端面56aおよび第2端面56bを+X側で接続する第3端面56cと、第1端面56aおよび第2端面56bを-X側で接続する第4端面56dと、を含む。なお、第1端面56a、第2端面56b、第3端面56cおよび第4端面56dはいずれも平坦面である。第3端面56cは、基板252に対向する面である。第4端面56dは、基材2561において第3端面56cと反対側の面である。第1光学部材254は、第4端面56dに当接している。第1光学部材254は、第4端面56dに載置されている。第1光学層2542は、第4端面56dに当接している。透光性基板2541は、第1光学層2542を介して第4端面56dに載置されている。
【0055】
本実施形態の場合、第3光学部材256の一部が基板252に埋め込まれることで、第3光学部材256は基板252に強固に支持される。
第3光学部材256における+X側の端部の一部は基板252の支持面2521に形成された溝2524に嵌め込まれている。第3光学部材256と溝2524との隙間に接着剤を充填してもよい。
【0056】
具体的に第3光学部材256は、第1端面56aおよび第3端面56cの全体と第2端面56bの一部とが溝2524に嵌め込まれている。第4端面56dのうち最も-Y側に位置し、Z方向に沿う端辺56d1は、基板252の支持面2521と面一とされている。これにより、第4端面56dと基板252の支持面2521とが滑らかに接続されている。また、+Y側において、第2端面56bは基板252の端面52と面一となっている。
【0057】
本実施形態において、第1光学部材254は、第2光学部材255および第3光学部材256に支持される。第1光学部材254は、第2光学部材255および第3光学部材256に接着固定されている。
具体的に、第1光学部材254は、第2光学部材255の第4端面55dと第3光学部材256の第4端面56dとの間に掛け渡されるように設けられている。-Y側において、第1光学部材254の内側の端辺54aは基板252の支持面2521に接触している。
【0058】
このような構成に基づいて、本実施形態の波長変換素子25では、開口部260と反対である-Y側を、基板252、第1光学部材254、第2光学部材255および第3光学部材256によって閉塞している。よって、波長変換素子25は、蛍光YLにおける開口部260と反対側からの漏れを防止し、開口部260から蛍光YLを効率良く射出可能となっている。
【0059】
図4および
図5に示したように、励起光ELは第1光学部材254を透過して蛍光体層251に入射する。励起光ELは集光光学系24によって表面2511上で集光されるように蛍光体層251に入射する。蛍光体層251の表面2511には、励起光入射領域LSが形成される。励起光入射領域LSとは励起光ELが表面2511上に形成する照射スポットに相当する。
【0060】
蛍光体層251は、励起光入射領域LSに入射された励起光ELで励起され、蛍光YLをランバート発光で放射する。なお、蛍光YLが発光される領域の面積は、励起光入射領域LSの面積よりも大きい。
【0061】
蛍光YLは蛍光体層251からランバート発光される。例えば、表面2511からランバート発光された蛍光YLの一部は、表面2511に対向配置された第1光学部材254に入射する。第1光学部材254に入射した蛍光YLは、第1光学層2542によって反射される。第1光学層2542で反射された蛍光YLの一部は、開口部260から直接射出される。
また、第1光学層2542で反射された蛍光YLの一部は基板252の支持面2521に入射し、支持面2521に形成された第4光学層253で反射される。第4光学層253で反射された蛍光YLは開口部260から射出される、あるいは、再び第1光学部材254に入射して反射される。
【0062】
なお、第1光学層2542で反射された蛍光YLの一部は蛍光体層251内に戻される。本実施形態の蛍光体層251は複数の気孔Kを含む。そのため、蛍光体層251内に戻された蛍光YLは気孔Kで散乱されることで、再び蛍光体層251からランバート発光される。
【0063】
また、蛍光体層251の側面2512からランバート発光された蛍光YLの一部は、第4光学層253を経由して第2光学部材255または第3光学部材256に入射、あるいは、第2光学部材255または第3光学部材256に直接入射する。蛍光YLは、第2光学部材255または第3光学部材256で反射されることで、再び第1光学部材254に入射して反射される。
【0064】
なお、蛍光体層251で生成された蛍光YLの一部は開口部260と反対方向(-Y側)に伝播するが、反射を繰り返すことでやがて開口部260から射出される。
このようにして本実施形態の波長変換素子25では、蛍光体層251で生成した蛍光YLを開口部260から+Y側に射出することができる。
【0065】
本実施形態の波長変換素子25において、蛍光体層251では、蛍光YLを射出する開口部260側に比べて、開口部260と反対側である-Y側ほど熱がこもりやすく温度が高くなり易い。これに対して、本実施形態の波長変換素子25では、
図3および
図5に示すように、蛍光体層251を支持する基板252を開口部260と反対側に長くした形状を採用している。そのため、本実施形態の波長変換素子25によれば、蛍光体層251において熱がこもりやすい開口部260と反対側の側を効率良く冷却することができる。よって、蛍光体層251を効率良く冷却することができる。
【0066】
本実施形態の波長変換素子25では、蛍光体層251の表面2511の面積A1を励起光入射領域LSの面積A2よりも大きくしている。また、本実施形態の波長変換素子25では、第1光学部材254の第1光学層2542に沿う平面と表面2511に沿う平面とのなす角度を10°以上40°以下に設定することで、開口部260の面積A3を励起光入射領域LSの面積A2よりも小さくしている。
【0067】
すなわち、本実施形態の波長変換素子25において、蛍光体層251の表面2511の面積A1は励起光入射領域LSの面積A2よりも大きく、励起光入射領域LSの面積A2は開口部260の面積A3より大きくなっている。本実施形態の波長変換素子25において、開口部260は蛍光YLの見かけ上の発光面とみなせることから、開口部260の面積A3は蛍光YLの見かけ上の発光面積とみなせる。
【0068】
(第1実施形態の効果)
以上説明した本実施形態に係る波長変換素子25によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の波長変換素子25は、光入射面を有し、光入射面に入射した第1波長帯の励起光ELを波長変換して第1波長帯とは異なる第2波長帯の蛍光YLを生成する蛍光体層251と、蛍光体層251を支持する支持面2521を有する基板252と、励起光ELを透過し、蛍光YLを反射する第1光学層2542を有し、第1光学層2542が支持面2521に対向するように配置される第1光学部材254と、少なくとも蛍光YLを反射させる第2光学層2552を有し、第2光学層2552が支持面2521と第1光学層2542とに交差するように配置される第2光学部材255と、少なくとも蛍光YLを反射させる第3光学層2562を有し、第3光学層2562が支持面2521と第1光学層2542とに交差し、第2光学層2552に対向するように配置される第3光学部材256と、基板252、第1光学部材254、第2光学部材255および第3光学部材256により形成される開口部260と、を備える。蛍光体層251の表面2511の面積A1は、表面2511において励起光ELが入射される励起光入射領域LSの面積A2よりも大きく、励起光入射領域LSの面積A2は、開口部260の面積A3より大きく、蛍光YLは、開口部260から射出される。
【0069】
本実施形態の波長変換素子25によれば、励起光ELを入射させる励起光入射領域LSよりも面積の小さい開口部260から蛍光YLを射出するため、励起光入射領域LSから蛍光YLをそのまま取り出す構成に比べて、蛍光YLの見かけ上の発光面積が小さくなる。これにより、蛍光YLにおけるエテンデューを小さくできる。また、本実施形態の波長変換素子25では、蛍光体層251上における励起光ELの入射面積を小さくすることなくエテンデューを小さくできるため、蛍光体層251の表面2511において励起光ELの光密度が高くならない。よって、光密度が高くなることによる蛍光変換効率の低下を抑制することができる。
したがって、本実施形態の波長変換素子25によれば、励起光ELの光密度の増加を抑制しつつ、エテンデューを小さくすることができる。
【0070】
本実施形態の波長変換素子25において、蛍光体層251は、光を散乱させる気孔Kを含む。
【0071】
この構成によれば、蛍光体層251に再入射した蛍光YLが内部で拡散させるので、再入射した蛍光YLをランバート放射することができる。
【0072】
本実施形態の波長変換素子25において、第1光学部材254における蛍光体層251の表面2511に対してなす角度は、10°以上40°以下である。
【0073】
この構成によれば、第1光学部材254を蛍光体層251の表面2511に近づけることで、開口部260の面積A3を励起光入射領域LSの面積A2よりも小さくする構成を実現できる。
【0074】
本実施形態の波長変換素子25において、第2光学部材255は、励起光ELおよび蛍光YLを反射する第2光学層2552を含み、第3光学部材256は、励起光ELおよび蛍光YLを反射する第3光学層2562を含む。
【0075】
この構成によれば、蛍光体層251の側面2512から射出された蛍光YLを反射して蛍光体層251に戻すことができる。また、励起光ELを反射して蛍光体層251に入射させることができる。これにより、励起光ELおよび蛍光YLの利用効率を向上させることができる。
【0076】
本実施形態の波長変換素子25において、基板252と蛍光体層251との間に設けられる第4光学層253をさらに備える。
【0077】
この構成によれば、蛍光体層251内において基板252側に向かう蛍光YLを反射することで表面2511から射出させることができる。これにより、蛍光YLの光利用効率を向上させることができる。
【0078】
本実施形態の波長変換素子25において、第4光学層253は、基板252の支持面2521における蛍光体層251の周囲の少なくとも一部に設けられている。
【0079】
この構成によれば、蛍光体層251の側面2512から射出された蛍光YLを反射して蛍光体層251に戻すことができる。また、蛍光体層251の側面2512から射出された蛍光YLを反射して開口部260から射出させる。よって、蛍光YLの光利用効率を向上させることができる。
【0080】
本実施形態の波長変換素子25において、第1光学部材254は、蛍光体層251と接触しないように配置される。
【0081】
この構成によれば、第1光学部材254が蛍光体層251に接触しないため、蛍光体層251の熱による第1光学部材254の変形や破損を抑制することができる。
【0082】
本実施形態の波長変換素子25において、第1光学部材254は、励起光ELを透過するとともに蛍光YLを反射させる第1光学層2542を含む。
【0083】
この構成によれば、収容空間S内に収容された蛍光体層251を効率良く励起し、生成した蛍光YLを反射して開口部260から取り出す構成を実現できる。
【0084】
本実施形態の波長変換素子25において、蛍光体層251は、開口部260の内側に設けられた収容空間Sに収容され、収容空間Sに空気層ARが設けられている。
【0085】
ここで、収容空間Sにガラス等のプリズム部材が充填されている場合、プリズム射出面で全反射されることで光が収容空間S内から開口部260外に効率良く射出されなくなってしまう。これに対して、本実施形態の構成によれば、収容空間S内に空気層ARが充填されるため、開口部260から蛍光YLを良好に射出できる。
【0086】
本実施形態の波長変換素子25において、第2光学部材255および第3光学部材256の一部は、基板252に埋め込まれている。
【0087】
この構成によれば、基板252によって第2光学部材255および第3光学部材256を安定的に支持できる。
【0088】
以上説明した本実施形態に係る第1光源装置20によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態の第1光源装置20は、励起光ELを射出する光源22と、波長変換素子25とを備える。
このことによって、本実施形態の第1光源装置20によれば、励起光ELの光密度の増加による蛍光変換効率の低下を抑えつつエテンデューを小さくした波長変換素子25を備えるので、高輝度な蛍光YLを生成することができる。
【0089】
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1によれば、以下の効果を奏する。
本実施形態のプロジェクター1は、第1光源装置20と、第2光源装置21と、第1光源装置20または第2光源装置21からの青色光LB、緑色光LG、赤色光LRを画像情報に応じて変調することにより画像光を形成する光変調装置4B,4G,4Rと、前述の画像光を投射する投射光学装置6と、を備える。
このことによって、本実施形態のプロジェクター1によれば、高輝度な蛍光YLを生成する第1光源装置20を備えるので、高輝度な画像を形成して投射することができる。
【0090】
なお、本発明の一実施形態を例示して説明したが、本発明は上記実施形態のものに必ずしも限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0091】
(第1変形例)
図6は波長変換素子の第1変形例に係る構成を示す断面図である。
図6は
図5に対応する断面図である。
なお、本変形例において、上記実施形態と共通の構成あるいは部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0092】
図6に示すように、本変形例の波長変換素子125は、蛍光体層251と、基板252と、第4光学層253と、第1光学部材354と、図示しない第2光学部材と、第3光学部材256と、を備える。
【0093】
本変形例の場合、第1光学部材354の開口部260側(+Y側)に位置する端面54は、開口部260の-X側に位置する開口端2601と面一となるように形成されている。すなわち、端面54は、第1光学部材354の板厚方向に対して斜めにカットした面で構成されている。本実施形態において、端面54は、第1光学部材354の-X側の表面354bに垂直な方向に対して交差する方向に沿った面である。
【0094】
ここで、第1光学部材354の端面54はカット面(加工面)であるため、すりガラス状となっており、光散乱性を有することから、励起光ELの入射面として端面54を利用することは難しい。
【0095】
本変形例の構成によれば、第1光学部材354の端面54を開口部260の開口端2601と面一に形成することで、2点鎖線で示される上記実施形態の第1光学部材の端面位置に比べて、第1光学部材354の表面354bのうち励起光ELの入射面として有効に機能する領域を+Y側に拡げることができる。すなわち、蛍光体層251に対して入射可能となる励起光ELの有効径を拡げることができる。よって、励起光ELの利用効率が向上することで、蛍光体層251で生成する蛍光YLの輝度を向上できる。
【0096】
(第2変形例)
図7Aは波長変換素子の第2変形例に係る構成を示す側面図である。
図7Bは本変形例の作用を説明するための図である。なお、本変形例において、上記実施形態と共通の構成あるいは部材については同じ符号を付し、詳細については説明を省略する。
【0097】
図7Aに示すように、本変形例の波長変換素子225は、蛍光体層251と、基板252と、第1光学部材454と、第2光学部材255と、第3光学部材256と、を備える。
【0098】
本変形例の第1光学部材454は、第1変形例の第1光学部材354をさらに変形した構成を有する。具体的に本変形例の第1光学部材454は、第2光学部材255および第3光学部材256に当接する第1当接面4541と、基板252の支持面2521に当接する第2当接面4542と、を有する。第1当接面4541は、第1光学部材454の内側に位置する内面である。第1当接面4541は、収容空間Sに対向し、蛍光体層251に対向する面である。第2当接面4542は、第1光学部材454における-Y側に位置する端面である。第2当接面4542は、第1光学部材454の板厚方向に対して斜めにカットした面で構成されている。本実施形態において、第2当接面4542は、第1光学部材454の第1当接面4541に垂直な方向に対して交差する方向に沿った面である。
【0099】
第1当接面4541と第2当接面4542とが互いになす角度θ1は、基板252の支持面2521と第2光学部材255および第3光学部材256の第1光学部材254に対する当接面(第4端面55dあるいは第4端面56d)とがなす角度θ2と等しい。
【0100】
この構成によれば、
図7Bに示すように、第2当接面4542を支持面2521に接触させた状態で第1当接面4541を第4端面55dおよび第4端面56dに接触するまで第1光学部材454を+Y側に移動することで、第2光学部材255および第3光学部材256に対する第1光学部材454の位置合わせを容易かつ高精度に行うことができる。よって、本変形例の波長変換素子225によれば組み立て性を向上させることで製造コストの低減することができる。
【0101】
また、上記実施形態では、蛍光体層251の裏面2513の面積が収容空間S内に位置する支持面2521の面積よりも小さい場合を例に挙げたが、蛍光体層251の裏面2513の面積と収容空間S内に位置する支持面2521の面積とが同じでもよい。この場合、蛍光体層251の側面2512は第2光学部材255および第3光学部材256に当接した状態となるので、側面2512から射出された蛍光YLは第2光学部材255および第3光学部材256で反射されて蛍光体層251内に戻される。
【0102】
また、上記実施形態では、3つの光変調装置4R,4G,4Bを備えるプロジェクター1を例示したが、1つの光変調装置でカラー映像を表示するプロジェクターに適用することも可能である。さらに、光変調装置としては、上述した液晶パネルに限らず、例えばデジタルミラーデバイスなどを用いることもできる。
【0103】
また、上記実施形態では、本発明による光源装置をプロジェクターに応用する例を示したが、これに限られない。本発明による光源装置を自動車用ヘッドライトなどの照明器具にも適用することができる。
【0104】
本発明の態様の波長変換素子は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の波長変換素子は、光入射面を有し、光入射面に入射した第1波長帯の光を波長変換して第1波長帯とは異なる第2波長帯の光を生成する波長変換層と、波長変換層を支持する支持面を有する基板と、第1波長帯の光を透過し、第2波長帯の光を反射する第1光学層を有し、第1光学層が支持面に対向するように配置される第1光学部材と、少なくとも第2波長帯の光を反射させる第2光学層を有し、第2光学層が支持面と第1光学層とに交差するように配置される第2光学部材と、少なくとも第2波長帯の光を反射させる第3光学層を有し、第3光学層が支持面と第1光学層とに交差し、第2光学層に対向するように配置される第3光学部材と、基板、第1光学部材、第2光学部材および第3光学部材により形成される開口部と、を備え、波長変換層の光入射面の面積は、光入射面において第1波長帯の光が入射される光入射領域の面積よりも大きく、光入射領域の面積は、開口部の面積より大きく、第2波長帯の光は、開口部から射出される。
【0105】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、波長変換層は、光を散乱させる散乱体を含む構成としてもよい。
【0106】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、第1光学層に沿う平面と波長変換層の光入射面に沿う平面とのなす角度は、10°以上40°以下である構成としてもよい。
【0107】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、第2光学層は、第1波長帯の光および第2波長帯の光を反射し、第3光学層は、第1波長帯の光および第2波長帯の光を反射する構成としてもよい。
【0108】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、基板は、支持面と波長変換層との間に設けられる第4光学層を有する構成としてもよい。
【0109】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、第4光学層は、支持面における波長変換層の周囲の少なくとも一部に設けられている構成としてもよい。
【0110】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、第1光学部材は、波長変換層と接触しないように配置される構成としてもよい。
【0111】
本発明の一つの態様の波長変換素子において、波長変換層は、開口部の内側に設けられた収容空間に収容され、収容空間に空気層が設けられている構成としてもよい。
【0112】
本発明の一つの態様の光源装置は、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様の光源装置は、光源と、本発明の上記態様の波長変換素子と、を備える。
【0113】
本発明の一つの態様のプロジェクターは、以下の構成を有していてもよい。
本発明の一つの態様のプロジェクターは、本発明の上記態様の光源装置と、光源装置からの光を画像情報に応じて変調する光変調装置と、光変調装置により変調された光を投射する投射光学装置と、を備える。
【符号の説明】
【0114】
1…プロジェクター、4B,4G,4R…光変調装置、6…投射光学装置、20…第1光源装置(光源装置)、22…光源、25,125,225…波長変換素子、54…端面(第1光学部材の端面)、251…蛍光体層(波長変換層)、252…基板、253…第4光学層、254,354,454…第1光学部材、255…第2光学部材、256…第3光学部材、260…開口部、2511…表面(光入射面)、2521…支持面、2542…第1光学層、2552…第2光学層、2562…第3光学層、2601…開口端、4541…第1当接面、4542…第2当接面、A1…面積(蛍光体層の表面の面積)、A2…面積(励起光入射領域の面積)、A3…面積(開口部の面積)、AR…空気層、EL…励起光(第1波長帯の光)、K…気孔(散乱体)、LS…励起光入射領域(光入射領域)、S…収容空間、YL…蛍光(第2波長帯の光)。