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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】不正検知タグが取り付けられた被検知体
(51)【国際特許分類】
   G09F 3/03 20060101AFI20241016BHJP
   G09F 3/06 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G09F3/03 A
G09F3/06
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2021001860
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107129
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-10-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】飯島 恵
【審査官】内藤 万紀子
(56)【参考文献】
【文献】実開平05-061777(JP,U)
【文献】特開2015-161805(JP,A)
【文献】特開2010-145885(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039174(WO,A1)
【文献】米国特許第5219194(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知体に取り付けられ、前記被検知体の不正開封を検知する不正検知タグであって、
不正検知部と、前記不正検知タグが前記被検知体に取り付けられる際に当該被検知体の一部を巻き込んで一部が前記不正検知部に貼着される巻き込み部とが連接してなるシート基材と、
前記不正検知部の一方の面に、予め決められた潜像パターンの形状に積層された剥離層と、
前記不正検知部の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された粘着層とを有し、
前記巻き込み部は、
前記不正検知部に連接し、前記不正検知部との連接方向と交差する方向となる短手方向の幅が、前記不正検知部の前記短手方向の幅よりも狭い第1の領域と、
前記第1の領域の前記不正検知部とは反対側に連接し、前記短手方向の幅が、前記第1の領域の前記短手方向よりも広く、かつ、前記不正検知部の前記短手方向の幅よりも狭い第2の領域とを有する、不正検知タグ、が取り付けられた被検知体であって、
前記被検知体が開封される際に少なくともその一部が離間する2つの部材を有し、
前記2つの部材のそれぞれは、前記離間する部分に設けられ、前記巻き込み部が挿通される孔部を有し、
前記巻き込み部が、前記2つの孔部に挿通され、該孔部に挿通された部分から前記不正検知部とは反対側の端部までの領域の少なくとも前記第2の領域の一部が前記不正検知部にくるまれている、被検知体
【請求項2】
請求項1に記載の被検知体において、
前記第2の領域は、前記不正検知部と前記巻き込み部との連接方向に向かって延びた折り部を有する、被検知体
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被検知体に取り付けられ、被検知体の不正開封を検知する不正検知タグに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ケース等が不正に開封されてしまうことを回避するために結束バンドが用いられている。結束バンドは、例えば、小さな歯が連続して形成されたバンド部と、孔を具備する頭部とが連接して構成されている。そして、頭部に設けられた孔にバンド部を挿通させることにより、孔の内部に設けられた係止部がバンド部の歯と係合して、バンド部が挿入方向と逆方向に抜けなくなるロック状態となる。ロック状態となった後は、バンド部や頭部を切断しないと、ロックを解除できないようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような結束バンドを用い、ケースの本体部と蓋部のそれぞれに設けられた孔部に結束バンドのバンド部を挿通した後に、結束バンドの孔にバンド部を挿通することで、ケースの不正な開封を回避することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-252169号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述したような結束バンドは、湾曲可能に構成されているものの、バンド部に形成された歯によってロック状態を維持するため、ある程度のコシが必要となる。そのため、一般には、バンド部は一定の厚みを有するプラスチックから構成されている場合が多く、さらに歯の高さによってもバンド部の厚みが厚くなり、コシが強くなる。そのため、結束バンドが取り付けられて不正な開封を回避するための被検知体を積み重ねて保管する場合等において、結束バンドが嵩張って邪魔となり被検知体をきれいに積み重ねることができず、被検知体を保管する場合等において被検知体を取り扱いにくくなってしまうという問題点がある。
【0006】
また、バンド部の歯や頭部の係止部の形状によっては、バンド部を挿入方向と逆方向に強い力で引っ張った場合、バンド部を切断せずに頭部から抜き出すことができてしまう虞がある。その場合、結束バンドが取り付けられた被検知体が不正に開封されてしまい、その後、被検知体から取り外した結束バンドを被検知体に再度取り付けることができてしまい、不正に開封された痕跡が残らないという問題点がある。
【0007】
本発明は、上述したような従来の技術が有する問題点に鑑みてなされたものであって、被検知体に取り付けられた場合に、被検知体を取り扱いにくくすることなく、被検知体の不正開封を検知することができる不正検知タグを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために本発明は、
被検知体に取り付けられ、前記被検知体の不正開封を検知する不正検知タグであって、
不正検知部と、前記不正検知タグが前記被検知体に取り付けられる際に当該被検知体の一部を巻き込んで一部が前記不正検知部に貼着される巻き込み部とが連接してなるシート基材と、
前記不正検知部の一方の面に、予め決められた潜像パターンの形状に積層された剥離層と、
前記不正検知部の前記剥離層が積層された面の全面に前記剥離層を覆って積層された粘着層とを有し、
前記巻き込み部は、
前記不正検知部に連接し、前記不正検知部との連接方向と交差する方向となる短手方向の幅が、前記不正検知部の前記短手方向の幅よりも狭い第1の領域と、
前記第1の領域の前記不正検知部とは反対側に連接し、前記短手方向の幅が、前記第1の領域の前記短手方向よりも広く、かつ、前記不正検知部の前記短手方向の幅よりも狭い第2の領域とを有する。
【0009】
上記のように構成された本発明においては、巻き込み部が被検知体の一部を巻き込んで巻き込み部の一部が不正検知部に貼着されることで、被検知体に取り付けられることになる。その後、被検知体を開封するためには、不正検知部に貼着されていた巻き込み部の一部を不正検知部から剥離しなければならない。巻き込み部の一部が不正検知部から剥離されると、不正検知部の一方の面に積層された剥離層が粘着層から剥離することで剥離層による潜像パターンが発現することになり、それにより、被検知体が開封されたことが検知されることになる。その際、不正検知部と巻き込み部とがシート基材からなり、被検知体の不正開封を検知するための構成が、巻き込み部の一部を不正検知部から剥離した際に剥離層によって潜像パターンが発現することによるものであるため、被検知体に取り付けられた場合に、不正検知タグが嵩張って邪魔とならず、被検知体を取り扱いにくくすることなく、被検知体の不正開封を検知することができる。さらに、巻き込み部が、不正検知部に連接し、不正検知部との連接方向に交差する方向となる短手方向の幅が、不正検知部の短手方向の幅よりも狭い第1の領域と、第1の領域の不正検知部とは反対側に連接し、短手方向の幅が、第1の領域の短手方向よりも広く、かつ、不正検知部の短手方向の幅よりも狭い第2の領域とを有することにより、巻き込み部の一部を不正検知部に貼着した際に巻き込み部の一部を不正検知部によってくるむことができ、かつ、巻き込み部のうち第2の領域が不正検知部に貼着されれば、第2の領域の広い面積において潜像パターンが発現することになり、それにより、被検知体が開封されたことが検知しやすくなる。
【0010】
また、第2の領域が、不正検知部と巻き込み部との連接方向に向かって延びた折り部を有するように構成すれば、不正検知タグが、被検知体の孔部に巻き込み部が挿通されて取り付けられる場合、上記のように被検知体が開封されたことが検知しやすくするために巻き込み部の第2の領域の短手方向の幅を広くしても、第2の領域を折り部にて折り畳むことで、被検知体の孔部に巻き込み部を挿通しにくくなることが回避される。
【0011】
また、上記のような不正検知タグが取り付けられた被検知体としては、被検知体が開封される際に少なくともその一部が離間する2つの部材を有し、2つの部材のそれぞれが、離間する部分に設けられ、巻き込み部が挿通される孔部を有し、巻き込み部が、2つの孔部に挿通され、孔部に挿通された部分から不正検知部とは反対側の端部までの領域の少なくとも第2の領域の一部が不正検知部にくるまれている構成が考えられる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、被検知体の不正開封を検知するための不正検知部と、不正検知タグが被検知体に取り付けられる際に被検知体の一部を巻き込んで一部が不正検知部に貼着される巻き込み部とが連接しており、被検知体の不正開封を検知するための構成が、被検知体を開封するために巻き込み部の一部を不正検知部から剥離した際に剥離層によって潜像パターンが発現することによるものであるため、被検知体に取り付けられた場合に、不正検知タグが嵩張って邪魔とならず、被検知体を取り扱いにくくすることなく、被検知体の不正開封を検知することができる。さらに、巻き込み部が、不正検知部に連接し、不正検知部との連接方向に交差する方向となる短手方向の幅が、不正検知部の短手方向の幅よりも狭い第1の領域と、第1の領域の不正検知部とは反対側に連接し、短手方向の幅が、第1の領域の短手方向よりも広く、かつ、不正検知部の短手方向の幅よりも狭い第2の領域とを有することにより、巻き込み部の一部を不正検知部に貼着した際に巻き込み部の一部を不正検知部によってくるむことができ、かつ、巻き込み部のうち第2の領域が不正検知部に貼着されれば、第2の領域の広い面積において潜像パターンが発現することになり、それにより、被検知体が開封されたことが検知しやすくなる。
【0013】
また、第2の領域が、不正検知部と巻き込み部との連接方向に向かって延びた折り部を有するものにおいては、不正検知タグが、被検知体の孔部に巻き込み部が挿通されて取り付けられる場合、上記のように被検知体が開封されたことが検知しやすくするために巻き込み部の第2の領域の短手方向の幅を広くしても、第2の領域を折り部にて折り畳むことで、被検知体の孔部に巻き込み部を挿通しにくくなることを回避できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の不正検知タグの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はフィルム基材の裏面における剥離層の形状を示す図である。
図2図1に示した不正検知タグによって不正な開封が検知される被検知体の一例を示す外観斜視図である。
図3図1に示した不正検知タグの巻き込み部の図2に示したコンテナの孔部への挿通方法を説明するための図である。
図4図1に示した不正検知タグが図2に示したコンテナに取り付けられた状態の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示したA-A’端面のうち不正検知タグが取り付けられた領域近傍を示す図である。
図5図1に示した不正検知タグが図4に示したようにコンテナに取り付けられた後に不正検知部と巻き込み部とが剥離されていく状態を説明するための断面図である。
図6図1に示した不正検知タグの不正検知部が巻き込み部から剥離された状態を示す表面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
【0016】
図1は、本発明の不正検知タグの実施の一形態を示す図であり、(a)は表面図、(b)は(a)に示したA-A’断面図、(c)はフィルム基材10の裏面における剥離層20の形状を示す図である。
【0017】
本形態は図1に示すように、フィルム基材10の一方の面に剥離層20が積層されるとともに、剥離層20を覆って粘着層30が積層され、さらに、粘着層30のフィルム基材10とは反対側の面にフィルム基材40及び剥離紙50が積層、貼着されている不正検知タグ1である。
【0018】
フィルム基材10は、本願発明にてシート基材となるものであって、透明または半透明のフィルムからなり、一方の面から他方の面の色が視認可能となっている。フィルム基材10は、不正検知部1aと巻き込み部1bとが連接した略T字状の形状を有している。巻き込み部1bは、不正検知部1aに連接した第1の領域となる幅狭部1cと、幅狭部1cの不正検知部1aとは反対側に連接した第2の領域となる幅広部1dとから構成されている。ここで、幅狭部1c及び幅広部1dの不正検知部1aと巻き込み部1bとの連接方向と交差する方向となる短手方向の幅W2,W3は、いずれも不正検知部1aの不正検知部1aと巻き込み部1bとの連接方向と交差する短手方向の幅W1よりも狭くなっている。また、幅広部1dの不正検知部1aと巻き込み部1bとの連接方向と交差する短手方向の幅W3が、幅狭部1cの不正検知部1aと巻き込み部1bとの連接方向と交差する短手方向の幅W2よりも広くなっており、それにより、巻き込み部1bは、幅狭部1cの不正検知部1aとの連接側とは反対側の端部に、その幅が広くなるために巻き込み部1bの一方の端辺が略直角に折れ曲がる引っ掛かり部1eを有している。なお、幅広部1dの幅W3は、例えば幅狭部1cの幅W2の2倍とすることが考えられる。不正検知部1aには、巻き込み部1bの端辺のうち幅狭部1cから幅広部1dに亘って延びる端辺の延長線上にミシン目11が形成されている。
【0019】
フィルム基材10の一方の面には、図1(b)及び図1(c)に示すように、その全面において、不正検知タグ1が被着体に貼着された後に剥離された場合に発現する潜像パターンの形状に透明なシリコン等の剥離剤が塗布されること剥離層20が部分的に積層されている。
【0020】
そして、フィルム基材10の剥離層20が積層された面の全面に剥離層20を覆って粘着剤が塗布されることで粘着層30が積層されている。粘着層30は、青、赤、黒等の任意の色からなり、伸縮性を有するものである。
【0021】
粘着層30のフィルム基材10とは反対側の面には、フィルム基材10の巻き込み部1bに対向する領域にフィルム基材40が積層、貼着されている。フィルム基材40には、フィルム基材10の幅広部1dに対向する領域に、不正検知部1aと巻き込み部1bとの連接方向に向かって延びた折り部となるミシン目41が形成されている。なお、折り部としてミシン目41ではなく、ハーフスリットを設けてもよい。
【0022】
フィルム基材10の不正検知部1aに対向する領域に剥離紙50が剥離可能に貼着されている。なお、図1(b)に示すように、剥離紙50の大きさを、その一部がフィルム基材40の一部と重なるような大きさとすることで、不正検知タグ1の使用時に剥離紙50を剥離しやすくすることが考えられるが、剥離紙50の大きさは、粘着層30のうち少なくともフィルム基材40に覆われていない領域を覆うものであればよい。また、フィルム基材40の代わりに粘着層30上にニスを塗布することで、粘着層30による貼着力を失わせる構成としてもよい。
【0023】
このように構成された不正検知タグ1は、フィルム基材10が透明または半透明のフィルムからなるものであることで、粘着層30の色がフィルム基材10側の表面から視認可能となっており、それにより、不正検知タグ1が被検知体から不正に取り外された際に、後述する剥離層20による潜像パターンが視認可能なものとなる。
【0024】
以下に、上記のように構成された不正検知タグ1の使用方法について説明する。
【0025】
まず、不正開封を検知する被検知体への不正検知タグ1の取り付け方法について説明する。
【0026】
図2は、図1に示した不正検知タグ1によって不正な開封が検知される被検知体の一例を示す外観斜視図である。
【0027】
図1に示した不正検知タグ1によって不正な開封が検知される被検知体としては、図2に示すように、開口部を有し、物品等が収容される容器4と、容器4の開口部に開閉自在に取り付けられた蓋3とからなるコンテナ2が挙げられる。図2に示すコンテナ2は、蓋3と容器4のそれぞれに、蓋3を閉じた場合に互いに対向し、蓋3を開いた場合に離間する領域に、図1に示した不正検知タグ1を取り付けるため孔部3a,4aが設けられている。
【0028】
図3は、図1に示した不正検知タグ1の巻き込み部1bの図2に示したコンテナ2の孔部3a,4aへの挿通方法を説明するための図である。
【0029】
図1に示した不正検知タグ1を用いて図2に示したコンテナ2の不正開封を検知する場合は、蓋3が閉じた状態において、不正検知タグ1の巻き込み部1bを孔部3a,4aに挿通させることになる。その際、図3に示すように、幅広部1dをミシン目41を中心として不正検知部1aと巻き込み部1bとの連接方向に交差する方向に折り畳む。これにより、巻き込み部1bの幅広部1dの幅を広くしても、孔部3a,4aに巻き込み部1bを挿通しにくくなることを回避できる。
【0030】
図4は、図1に示した不正検知タグ1が図2に示したコンテナ2に取り付けられた状態の一例を示す図であり、(a)は外観斜視図、(b)は(a)に示したA-A’端面のうち不正検知タグ1が取り付けられた領域近傍を示す図である。
【0031】
図1に示した不正検知タグ1を用いて図2に示したコンテナ2の不正開封を検知する場合は、図3に示したようにして、幅広部1dをミシン目41を中心として折り畳んだ状態で、不正検知タグ1の巻き込み部1bを孔部3a,4aに挿通させる。そして、幅広部1を広げた後、不正検知タグ1を輪っか状とし、巻き込み部1bの孔部3a,4aに挿通した部分から不正検知部1aとは反対側の端部までの一部の領域を粘着層30によって不正検知部1aに貼着する。このようにして、巻き込み部1bによってコンテナ2の蓋3及び容器4の一部を巻き込み、巻き込み部1bの一部を不正検知部1aに貼着することで、不正検知タグ1をコンテナ2に取り付けることになる。
【0032】
その際、上述したように、巻き込み部1bの不正検知部1aと巻き込み部1bとの連接方向となる短手方向の幅W2,W3が、不正検知部1aの幅W1よりも狭くなっているため、図4に示すように、巻き込み部1bの不正検知部1aに貼着された領域を、不正検知部1aを不正検知タグ1の短手方向に折り畳むことで不正検知部1aによってくるむことができる。この際、不正検知部1aには、巻き込み部1bの端辺のうち幅狭部1cから幅広部1dに亘って延びる端辺の延長線上にミシン目11が形成されているため、不正検知部1aを不正検知タグ1の短手方向に折り畳みやすくなっている。また、不正検知部1aは、巻き込み部1bの一部の領域をくるむことで不正検知部1a同士も互いに貼着される部分が生じる。
【0033】
このようにして、図1に示した不正検知タグ1の巻き込み部1bが、コンテナ2の蓋3及び容器4の孔部3a,4aに挿通され、不正検知部1aにくるまれた状態で不正検知部1aに貼着されることで、その後は、不正検知タグ1を破断したり、不正検知部1aを開いて不正検知部1aと巻き込み部1bとを剥離したりしなければ、コンテナ2を開封することができない状態となる。また、コンテナ2の蓋3及び容器4の孔部3a,4aに挿通された巻き込み部1bには、幅広部1dの幅W3が幅狭部1cの幅W2よりも広くなっていることで、幅狭部1cの不正検知部1aとの連接側とは反対側の端部に、巻き込み部1bの一方の端辺が略直角に折れ曲がる引っ掛かり部1eが存在しているため、上記のようにして不正検知タグ1がコンテナ2に取り付けられた状態においては、不正検知タグ1を孔部3a,4aから抜こうとした場合にこの引っ掛かり部1eが孔部3a,4aの角部に引っ掛かり、不正検知タグ1を孔部3a,4aから不正に抜きにくくすることができる。
【0034】
上述したように、不正検知タグ1が、フィルム基材10の一方の面に剥離層20が積層されるとともに、剥離層20を覆って粘着層30が積層され、さらに、粘着層30のフィルム基材10とは反対側の面の一部にフィルム基材40が積層、貼着されている構成であることにより、上述したようにしてコンテナ2の不正開封を検知するためにコンテナ2に取り付けられた場合に、結束バンドと比べて不正検知タグ1が嵩張って邪魔とならず、コンテナ2が取り扱いにくくなってしまうことが回避される。また、巻き込み部1bの不正検知部1aに貼着される長さや領域を変えることで、不正検知タグ1によって形成される輪っかの大きさを調節することができる。
【0035】
次に、上記のようにして不正検知タグ1が取り付けられたコンテナ2を不正に開封するために不正検知部1aと巻き込み部1bとを剥離した際の作用について説明する。
【0036】
図5は、図1に示した不正検知タグ1が図4に示したようにコンテナ2に取り付けられた後に不正検知部1aと巻き込み部1bとが剥離されていく状態を説明するための断面図である。
【0037】
図5(a)に示すように不正検知タグ1の不正検知部1aと巻き込み部1bとが貼着された状態から剥離されていくと、図5(b)に示すように、不正検知部1aの剥離層20が積層されていない領域においては、粘着層30がフィルム基材10とともに巻き込み部1bから剥離し、また、不正検知部1aの剥離層20が積層された領域においては、粘着層30が剥離層20との貼着力よりも強い貼着力で巻き込み部1bに貼着されていることで粘着層30が剥離層20から剥離する。そして、剥離層20から剥離した部分は、その後、粘着層30が伸縮性を有するものであることで、フィルム基材10とともに巻き込み部1bから剥離し、剥離層20との積層方向とは直交する方向に破断し、不正検知部1aのフィルム基材10に積層されたままとなっている部分に引っ張られて剥離層20に対向する領域にはほぼ存在しなくなる。
【0038】
不正検知タグ1の不正検知部1aが巻き込み部1bから完全に剥離されると、図5(c)に示すように、粘着層30は剥離層20が積層されていない領域にしかほぼ存在しなくなる。
【0039】
図6は、図1に示した不正検知タグ1の不正検知部1aが巻き込み部1bから剥離された状態を示す表面図である。
【0040】
上記のようにして図1に示した不正検知タグ1の不正検知部1aが巻き込み部1bから剥離されると、フィルム基材10側から不正検知タグ1を見た場合、不正検知部1aの剥離層20に対向しない領域においては粘着層30が存在することで粘着層30の色がフィルム基材10を介して視認される一方、不正検知部1aの剥離層20に対向する領域においては粘着層30が存在しなくなったことで粘着層30の色が視認されなくなる。これにより、図6に示すように、剥離層20による潜像パターン21が発現することになる。その際、巻き込み部1bが、不正検知部1aに連接した幅狭部1cのみならず、幅狭部1cよりも幅が広い幅広部1が幅狭部1cの不正検知部1aとは反対側に連接しているため、幅広部1dを不正検知部1aにくるんで貼着することで、幅広部1dの広い面積において潜像パターン21が発現することになり、それにより、コンテナ2が開封されたことが検知しやすくなる。
【0041】
一方、不正検知タグ1の巻き込み部1bにおいては、粘着層30が積層された面の全面にフィルム基材40が積層されていることで、剥離層20が積層された面は不正検知部1aに貼着されておらず、それにより、上述したような剥離層20による潜像パターン21は発現しない。
【0042】
なお、フィルム基材10の全面または一部に印刷が施された場合であっても、不正検知部1aの剥離層20に対向する領域においてはその印刷による色が視認される一方、不正検知部1aの剥離層20に対向しない領域においては、フィルム基材10の印刷色と粘着層30の色とに応じた色が視認されることになり、剥離層20による潜像パターン21が発現することになる。例えば、フィルム基材10に赤色で印刷が施され、粘着層30の色が緑色である場合、赤色と緑色と混合されたことによる黒色の背景内に赤色の潜像パターン21が発現することになる。
【0043】
その後、このように潜像パターン21が発現した不正検知タグ1の巻き込み部1bを孔部3a,4aに挿通し、不正検知部1aを巻き込み部1bに再度貼着したとしても、剥離層20に対向する領域においては粘着層30が存在しなくなっているため、潜像パターン21が発現したままとなり、不正検知タグ1と巻き込み部1bとが剥離されてコンテナ2が不正に開封された旨を認識することができる。
【0044】
このように、本形態の不正検知タグ1においては、不正検知部1aが巻き込み部1bをくるんで巻き込み部1bに貼着された状態から、不正検知部1aが巻き込み部1bから不正に剥離された場合に、剥離層20による潜像パターン21が発現することとなることにより、コンテナ2を開封するためにコンテナ2から不正に取り外された場合にその旨を検知することができる。
【0045】
なお、本形態においては、粘着層30が伸縮性を有するものであることにより、不正検知タグ1の不正検知部1aが巻き込み部1bから剥離された場合に、粘着層30が、剥離層20上に積層された領域においても巻き込み部1bから剥離して巻き込み部1bに残存しないものを例に挙げて説明したが、粘着層が伸縮性を有さないものであることで、不正検知タグの不正検知部が巻き込み部から剥離された場合に、粘着層のうち剥離層上に積層された領域が、巻き込み部に残存するものであってもよい。
【0046】
また、本形態においては、フィルム基材10が透明または半透明のフィルムから構成されていることで、剥離層20及び粘着層30が積層された面とは反対側の面から視認した場合、粘着層30の色が視認可能となるものを例に挙げて説明したが、フィルム基材10のうち、剥離層20に対向する領域のみを透明または半透明とし、その他の領域を、粘着層30と同じ色に着色したものであってもよい。
【0047】
また、本形態においては、粘着層30が、青、赤、黒等の任意の色からなるものを例に挙げて説明したが、粘着層30として透明なものを用いることも考えられる。その場合、フィルム基材10の剥離層20が積層された面の全面に剥離層20を覆って、有色のクッション層を積層し、このクッション層上に粘着層30を積層することが考えられる。そのような構成においては、図4に示したようにコンテナ2に取り付けた後に不正検知部1aを巻き込み部1bから剥離した場合、クッション層が剥離層20から剥離することで、剥離層20及び粘着層30が積層された面とは反対側の面から視認すると、剥離層20に対向しない領域においてはクッション層の色がフィルム基材10を介して視認される一方、剥離層20に対向する領域においては、クッション層と剥離層20との間に隙間が生じていることでクッション層の色がフィルム基材10を介して視認されにくくなっていることから、剥離層20による潜像パターンが発現することになる。
【0048】
また、本形態においては、コンテナ2の蓋3と容器4のそれぞれに、不正検知タグ1をコンテナ2に取り付けるために孔部3a,4aが設けられ、この孔部3a,4aに巻き込み部1bが挿通されるものを例に挙げて説明したが、蓋3や容器4が網状のもの等、巻き込み部1bが挿通可能であって、被検知体の一部を巻き込むことができる構成を有するものであれば、あえて孔部を設ける必要はない。
【0049】
また、本形態においては、図1に示した不正検知タグ1を図2に示したコンテナ2に取り付け、コンテナ2の不正開封を検知するものについて説明したが、2つの引手を具備するファスナーによって開閉される鞄に、図1に示した不正検知タグ1を取り付け、鞄の不正開封を検知する構成としてもよい。その場合、鞄が閉められた状態にて2つの引手にそれぞれ設けられた孔部に巻き込み部1bを挿通させ、巻き込み部1bの孔部に挿通した部分から不正検知部1aとは反対側の端部までの一部の領域を粘着層30によって不正検知部1aに貼着することが考えられる。
【符号の説明】
【0050】
1 不正検知タグ
1a 不正検知部
1b 巻き込み部
1c 幅狭部
1d 幅広部
1e 引っ掛かり部
2 コンテナ
3 蓋
3a,4a 孔部
4 容器
10,40 フィルム基材
11,41 ミシン目
20 剥離層
21 潜像パターン
30 粘着層
50 剥離紙
図1
図2
図3
図4
図5
図6