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特許7571548情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/43 20240101AFI20241016BHJP
【FI】
G06Q50/43
【請求項の数】 16
(21)【出願番号】P 2021002174
(22)【出願日】2021-01-08
(65)【公開番号】P2022107307
(43)【公開日】2022-07-21
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐敷 敦
【審査官】木村 慎太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-289192(JP,A)
【文献】特開2015-219659(JP,A)
【文献】特開2019-101464(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の施設において所定の時期に従業員が帰宅のために行う所定の動作として、前記所定の施設内において、前記従業員と関連付けられた所定の機器の使用を前記従業員が終了すること、または前記従業員が帰宅のために前記所定の施設から退出する際に通過する所定のゲートを通過することを検出することと、
前記所定の動作が検出されたときに、前記所定の期間に前記所定の動作が検出された前記従業員の数を検出することと、
検出された前記従業員の数に基づいて、複数の車両の中から、前記従業員が乗車するための車両として、前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を決定することと、
決定された前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を前記所定の施設に配車することと、
を実行する制御部を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部が、
検出された前記従業員の数が複数である場合に、複数の前記従業員の自宅が存在する地域の情報を取得することと、
取得された前記地域の情報に基づいて、検出された前記複数の従業員のうち、所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数を検出することと、
検出された前記所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数に基づいて、前記複数の車両の中から、前記所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を決定することと、
をさらに実行する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記所定の機器が、前記従業員が業務のために使用する所定の端末または所定の設備であって、
前記所定の動作が、前記所定の端末または前記所定の設備の電源OFFである、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部が、
前記所定の動作が検出されたときに前記従業員のスケジュール情報を取得することと、
前記スケジュール情報に基づいて前記車両を前記所定の施設に配車するか否かを決定することと、
をさらに実行する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部が、
前記所定の動作が検出された時刻が、前記スケジュール情報に含まれる前記従業員の業務終了の予定時刻以降であれば、前記車両を前記所定の施設に配車することを決定する、
請求項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部が、
前記所定の動作が検出された時刻が、前記所定の施設において予め定められた業務終了時刻以降であれば、前記車両を前記所定の施設に配車することを決定することをさらに実行する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部が、
前記所定の動作が検出された場合に、前記従業員に対して、前記車両の配車を希望するか否かを確認するための通知を行うことと、
前記従業員が前記車両の配車を希望するとの回答を受けた場合に、前記車両を前記所定の施設に配車することを決定することと、
をさらに実行する、
請求項1からのいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
コンピュータによって実行される情報処理方法であって、
所定の施設において所定の時期に従業員が帰宅のために行う所定の動作として、前記所定の施設内において、前記従業員と関連付けられた所定の機器の使用を前記従業員が終了すること、または前記従業員が帰宅のために前記所定の施設から退出する際に通過する所定のゲートを通過することを検出することと、
前記所定の動作が検出されたときに、前記所定の期間に前記所定の動作が検出された前記従業員の数を検出することと、
検出された前記従業員の数に基づいて、複数の車両の中から、前記従業員が乗車するための車両として、前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を決定することと、
決定された前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を前記所定の施設に配車することと、
を含む情報処理方法。
【請求項9】
検出された前記従業員の数が複数である場合に、複数の前記従業員の自宅が存在する地域の情報を取得することと、
取得された前記地域の情報に基づいて、検出された前記複数の従業員のうち、所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数を検出することと、
検出された前記所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数に基づいて、前記複数の車両の中から、前記所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を決定することと、
をさらに含む、
請求項8に記載の情報処理方法。
【請求項10】
前記所定の機器が、前記従業員が業務のために使用する所定の端末または所定の設備であって、
前記所定の動作が、前記所定の端末または前記所定の設備の電源OFFである、
請求項8または9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記所定の動作が検出されたときに前記従業員のスケジュール情報を取得することと、
前記スケジュール情報に基づいて前記車両を前記所定の施設に配車するか否かを決定することと、
をさらに含む、
請求項から10のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記所定の動作が検出された時刻が、前記スケジュール情報に含まれる前記従業員の業務終了の予定時刻以降であれば、前記車両を前記所定の施設に配車することを決定する、
請求項11に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記所定の動作が検出された時刻が、前記所定の施設において予め定められた業務終了時刻以降であれば、前記車両を前記所定の施設に配車することを決定することをさらに実行する、
請求項から10のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記所定の動作が検出された場合に、前記従業員に対して、前記車両の配車を希望するか否かを確認するための通知を行うことと、
前記従業員が前記車両の配車を希望するとの回答を受けた場合に、前記車両を前記所定の施設に配車することを決定することと、
をさらに含む、
請求項から13のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項15】
コンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は
所定の施設において所定の時期に従業員が帰宅のために行う所定の動作として、前記所定の施設内において、前記従業員と関連付けられた所定の機器の使用を前記従業員が終了すること、または前記従業員が帰宅のために前記所定の施設から退出する際に通過する所定のゲートを通過することを検出することと、
前記所定の動作が検出されたときに、前記所定の期間に前記所定の動作が検出された前記従業員の数を検出することと、
検出された前記従業員の数に基づいて、複数の車両の中から、前記従業員が乗車するための車両として、前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を決定することと、
決定された前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を前記所定の施設に配車することと、
を含む、プログラム。
【請求項16】
前記情報処理方法は
検出された前記従業員の数が複数である場合に、複数の前記従業員の自宅が存在する地域の情報を取得することと、
取得された前記地域の情報に基づいて、検出された前記複数の従業員のうち、所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数を検出することと、
検出された前記所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数に基づいて、前記複数の車両の中から、前記所定の地域内に自宅が存在する前記従業員の数に応じた収容可能人数の車両を決定することと、
をさらに含む、
請求項15に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、従業員が利用するための車両を配車する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、医療機関にタクシーを配車するためのシステムに関する技術が開示されている。特許文献1に記載のシステムでは、乗合希望患者それぞれの院内処理完了時刻が取得される。また、居住地が同じ地域に属する複数の乗合希望患者が同じタクシーの乗合患者群に設定される。そして、乗合患者群に対して、院内処理完了時刻から決まる配車時刻にタクシーを配車するように、タクシー会社に指示がなされる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-216727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、所定の施設の従業員が帰宅する際の利便性を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第1の態様に係る情報処理装置は、
所定の施設において従業員が帰宅のために行う所定の動作を検出することと、
前記所定の動作が検出されたときに、前記従業員が乗車するための車両を前記所定の施設に配車することと、
を実行する制御部を備える。
【0006】
本開示の第2の態様に係る情報処理方法は、
コンピュータによって実行される情報処理方法であって、
所定の施設において従業員が帰宅のために行う所定の動作を検出することと、
前記所定の動作が検出されたときに、前記従業員が乗車するための車両を前記所定の施設に配車することと、
を含む。
【0007】
本開示の第3の態様に係るプログラムは、
コンピュータに情報処理方法を実行させるプログラムであって、
前記情報処理方法は
所定の施設において従業員が帰宅のために行う所定の動作を検出することと、
前記所定の動作が検出されたときに、前記従業員が乗車するための車両を前記所定の施設に配車することと、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、所定の施設の従業員が帰宅する際の利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】配車システムの概略構成を示す図である。
図2】管理サーバの機能構成の一例を概略的に示す第1のブロック図である。
図3】ユーザ情報のテーブル構成の一例を示す第1の図である。
図4】管理サーバにおいて行われる情報処理を示す第1のフローチャートである。
図5】管理サーバにおいて行われる情報処理を示す第2のフローチャートである。
図6】ユーザ情報のテーブル構成の一例を示す第2の図である。
図7】管理サーバにおいて行われる情報処理を示す第3のフローチャートである。
図8】管理サーバの機能構成の一例を概略的に示す第2のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本開示の実施形態に係る情報処理装置は制御部を備える。制御部は、所定の施設において従業員が行う所定の動作を検出する。ここで、所定の施設は、従業員が業務を行う施設である。また、所定の動作は従業員が帰宅のために行う動作である。つまり、所定の動作は、従業員が、帰宅するために所定の施設から退出する前に、所定の施設内において従業員が行う動作である。
【0011】
そして、制御部は、所定の動作が検出されると、所定の施設に車両を配車する。ここで配車される車両は、従業員が乗車するための車両である。つまり、従業員は、所定の施設に配車された車両を利用して帰宅することができる。
【0012】
本開示によれば、所定の動作を検出することで、従業員が所定の施設から帰宅のために退出するタイミング(以下、「退出タイミング」と称する場合もある。)を把握することができる。ここで、従業員のスケジュール情報から退出タイミングを判断することも考えられる。ただし、必ずしも、従業員がスケジュール通りのタイミングで所定の施設から帰宅のために退出するとは限らない。これに対し、従業員が実際に行う所定の動作を検出することで、従業員の実際の退出タイミングを把握することができる。したがって、従業員の実際の退出タイミングに合わせて、所定の施設に車両を配車することが可能となる。その結果、所定の施設の従業員が帰宅する際の利便性を向上させることができる。
【0013】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<第1実施形態>
(システムの概略)
図1は、配車システムの概略構成を示す図である。配車システム1は、所定の施設Aに車両400を配車するためのシステムである。施設Aに配車された車両400は、施設Aの従業員であるユーザ10が施設Aから帰宅する際に利用される。なお、施設Aの種別は特に限定されるものではない。施設Aは、例えば、会社、工場、病院、または店舗であってもよい。
【0015】
配車システム1は、ユーザ端末100、管理サーバ300、および車両400を含んでいる。配車システム1においては、ユーザ端末100、管理サーバ300、および車両400がネットワークN1によって相互に接続される。ネットワークN1としては、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)、または携帯電話等の電話通信網が採用されてもよい。
【0016】
上記のように、ユーザ10は施設Aにおいて業務を行う従業員である。そして、ユーザ端末100は、施設A内に設けられた端末であって、ユーザ10と関連付けられた端末である。すなわち、ユーザ端末100は、ユーザ10が施設A内での業務のために使用する端末である。ユーザ端末100は、例えば、パーソナルコンピュータまたはタブレット端末であってもよい。
【0017】
管理サーバ300は、車両400の運行を管理するためのサーバ装置である。管理サーバ300は、一般的なコンピュータを含んでいる。管理サーバ300を構成するコンピュータは、プロセッサ301、主記憶部302、補助記憶部303、および通信インターフェース(通信I/F)304を有する。
【0018】
ここで、プロセッサ301は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはD
SP(Digital Signal Processor)である。主記憶部302は、例えば、RAM(Random
Access Memory)である。補助記憶部303は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリである。また、補助記憶部303
は、リムーバブルメディア(可搬記録媒体)を含んでもよい。ここで、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、SDカード、または、CD-ROM、DVDディスク、若しくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。通信I/F304は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、または無線通信のための無線通信回路である。
【0019】
補助記憶部303には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。そして、プロセッサ301が、補助記憶部303に記憶されたプログラムを主記憶部302にロードして実行することによって、後述するような、車両400の配車のための制御が実現される。ただし、管理サーバ300における一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、本実施形態においては、管理サーバ300が、本開示に係る「情報処理装置」に相当する。
【0020】
施設Aにおいて、ユーザ10が業務を終えて帰宅しようとした場合、ユーザ10はユーザ端末100の使用を終了する。つまり、ユーザ10は、施設Aから退出する前に、ユーザ端末100の電源をOFFにする。したがって、ユーザ端末100の電源OFF(すなわち、ユーザ端末100のシャットダウン)は、施設Aにおいてユーザ10が帰宅のために行う所定の動作であると捉えることができる。
【0021】
また、配車システム1では、ユーザ端末100の状態がネットワークN1を介して管理サーバ300によって監視されている。そのため、ユーザ端末100の電源がOFFにされると、そのことが管理サーバ300によって検出される。そして、管理サーバ300は、施設Aにおいてユーザ10が帰宅のために行う所定の動作として、ユーザ端末100の電源がOFFにされたことを検出すると、施設Aに車両400を配車する。詳細には、管理サーバ300は、施設Aに向けて走行するよう指令する運行指令を、ネットワークN1を介して車両400に送信する。
【0022】
車両400は自律走行可能な自動運転車両である。車両400は、管理サーバ300から受信した運行指令に基づいて走行する。そのため、車両400は、施設Aに向けて走行するよう指令する運行指令を受信すると、施設Aに向かって走行する。そして、車両400が施設Aに到着すると、ユーザ10が車両400に乗車して施設Aから帰宅することが可能となる。
【0023】
(機能構成)
次に、本実施例に係る管理サーバ300の機能構成について図2に基づいて説明する。図2は、管理サーバ300の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0024】
管理サーバ300は通信部310、制御部320、およびユーザ情報データベース(ユーザ情報DB)330を有している。通信部310は、管理サーバ300をネットワーク
N1に接続する機能を有する。通信部310は通信I/F304によって実現することができる。制御部320は、管理サーバ300を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部320は、プロセッサ301によって実現することができる。制御部320は、ユーザ端末100から送信される、ユーザ端末100の状態を示す信号を、通信部310を用いて受信する処理を行う。
【0025】
また、制御部320は、検出部321および指令部322を機能部として含んでいる。検出部321は、ユーザ端末100から受信する信号に基づいて、ユーザ端末100の電源がOFFにされたことを検出する機能を有する。
【0026】
指令部322は、車両400に対する運行指令を生成するとともに、生成した運行指令を車両400に送信する機能を有する。検出部321によってユーザ端末100の電源OFFが検出されると、指令部322は、施設Aに向けて車両400を走行させるための運行指令を生成する。そして、指令部322は、その運行指令を、通信部310を用いて車両400に送信する。
【0027】
また、施設Aにおいては、車両400が停車することが可能な停車場所が予め複数箇所定められている。そして、施設Aに配車された車両400をユーザ10が利用しようとした場合、複数の停車場所のいずれかにおいてユーザ10が車両400に乗車する必要がある。そこで、ユーザ情報DB330には、施設Aにおいてユーザ10が車両400に乗車する場所となる停車場所についての情報を含むユーザ情報が格納されている。なお、ユーザ情報DB330には、ユーザ10以外の施設Aの各従業員についてのユーザ情報も格納されている。ユーザ情報DB330は、管理サーバ300における補助記憶部303によって実現することができる。
【0028】
図3は、本実施形態に係るユーザ情報DB330に格納されているユーザ情報のテーブル構成の一例を示す図である。図3に示すように、ユーザ情報は、ユーザIDフィールドおよび停車場所フィールドを有する。ユーザIDフィールドには、ユーザ(すなわち、施設Aの従業員)を特定するための識別情報であるユーザIDが入力される。停車場所フィールドには、各ユーザに対応付けられた停車場所の情報が入力される。つまり、各ユーザが施設Aにおいて車両400に乗車するための停車場所が予め設定されている。そして、予め設定された停車場所の情報が、ユーザIDに紐づけられた状態でユーザ情報DB330に格納されている。
【0029】
指令部322は、ユーザ10に対応付けられた停車場所をユーザ情報DB330から取得する。さらに、指令部322は、施設Aに向けて車両400を走行させるための運行指令における車両400の目的地を、ユーザ10に対応付けられた停車場所に設定する。そのため、車両400は、指令部322によって送信された運行指令を受信すると、ユーザ10に対応付けられた停車場所を目的地として走行する。つまり、施設Aにおける、ユーザ10に対応付けられた停車場所に、車両400が配車される。
【0030】
なお、図2では、単一の管理サーバ300における制御部320が検出部321と指令部322とを有している。ただし、管理サーバ300は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。したがって、検出部321の機能を有するサーバ装置と、指令部322の機能を有するサーバ装置とがそれぞれ個別の装置であってもよい。
【0031】
(情報処理の流れ)
次に、本実施形態に係る、管理サーバ300において行われる情報処理の流れについて図4に基づいて説明する。図4は、管理サーバ300において行われる情報処理を示すフ
ローチャートである。本フローは、制御部320によって実行される。
【0032】
本フローでは、先ずS101において、ユーザ端末100の電源がOFFにされたことが検出される。ここで、ユーザ端末100の電源OFFが検出された場合、ユーザ端末100に関連付けられているユーザ10のユーザIDが取得される。次に、S102において、ユーザIDに基づいて、ユーザ情報DB330から、ユーザ10に対応付けられた停車場所の情報が取得される。次に、S103において、車両400を施設Aに向けて走行させるための運行指令が生成され、車両400に送信される。このときに生成される運行指定において、S102で取得された停車場所が車両400の目的地として設定される。
【0033】
本実施形態に係る配車システム1によれば、ユーザ10が施設Aから帰宅のために退出する際に行われるユーザ端末100の電源OFFが検出されたタイミングで、施設Aに車両400が配車される。そのため、ユーザ10の実際の退出タイミングに合わせて、施設Aに車両400を配車することが可能となる。したがって、ユーザ10が施設Aから車両400を利用して帰宅する際の利便性を向上させることができる。
【0034】
なお、施設Aにおいて、配車された車両400が停車すべき場所が予め定められいる場合は、管理サーバ300において行われる上記の情報処理において、ユーザ10に対応付けられた停車場所の情報が取得される必要はない。
【0035】
(変形例)
ここで、施設Aにおいてユーザ10が帰宅のために行う所定の動作はユーザ端末100の電源OFFに限られるものではない。そのため、管理サーバ300において、制御部320の検出部321は、施設Aにおいてユーザ10が帰宅のために行う所定の動作として、ユーザ端末100の電源OFF以外の動作を検出してもよい。
【0036】
例えば、施設A内においてユーザ10が業務のために所定の設備を使用する場合がある。この所定の設備としては、工作機械、実験設備、または生産設備を例示することができる。この場合、ユーザ10が業務を終えて帰宅しようとした場合、ユーザ10は所定の設備の使用を終了する。つまり、ユーザ10は、施設Aから退出する前に、所定の設備の電源をOFFにする。したがって、所定の設備の電源OFFは、施設Aにおいてユーザ10が帰宅のために行う所定の動作であると捉えることができる。そこで、制御部320の検出部321は、施設Aにおいてユーザ10が帰宅のために行う所定の動作として、所定の設備の電源OFFを検出してもよい。
【0037】
また、ユーザ10が、帰宅のための施設Aから退出する際に所定のゲートを通過する場合がある。この場合、所定のゲートの通過は、施設Aにおいてユーザ10が帰宅のために行う所定の動作であると捉えることができる。また、所定のゲートにセンサを設けることで、ユーザ10が所定のゲートを通過したことをセンサによって検出することができる。そこで、制御部320の検出部321は、施設Aにおいてユーザ10が帰宅のために行う所定の動作として、所定のゲートの通過を検出してもよい。
【0038】
<第2実施形態>
本実施形態に係る配車システムの概略構成は第1実施形態と同様である。ただし、本実施形態では、ユーザ10が、ユーザ端末100とは異なる携帯端末を所持している。ここで、ユーザ10が所持する携帯端末としては、スマートフォンまたはウェアラブル端末を例示することができる。
【0039】
そして、本実施形態では、管理サーバ300においてユーザ端末100の電源OFFが検出された場合、ネットワークN1を介して、管理サーバ300から、ユーザ10が所持
する携帯端末に通知情報が送信される。ここで、通知情報は、ユーザ10に対して、車両400の配車を希望するか否かを確認するための情報である。
【0040】
(情報処理の流れ)
ここで、管理サーバ300において行われる情報処理の流れについて図5に基づいて説明する。図5は、本実施形態に係る、管理サーバ300において行われる情報処理を示すフローチャートである。本フローは、制御部320によって実行される。なお、図5に示すフローにおけるS101からS103の各ステップにおいて実行される処理は、図4に示すフローにおける同一参照番号のステップにおいて実行される処理と同一である。そのため、これらのステップでの処理についての説明は省略する。
【0041】
本フローでは、S101の次にS201の処理が実行される。S201では、ユーザ10が所持する携帯端末に通知情報が送信される。なお、通知情報の送信先となる携帯端末が、ユーザ10のユーザIDと対応付けられた状態で予め管理サーバ300に登録されていてもよい。そして、管理サーバ300から送信された通知情報を携帯端末が受信することで、車両400の配車を希望するか否かの確認がユーザ10に通知される。
【0042】
ユーザ10は、車両400の配車を希望する場合、その回答を携帯端末に入力する。その結果、携帯端末から、ユーザ10が車両400の配車を希望することを示す回答情報が、ネットワークN1を介して管理サーバ300に送信される。一方、ユーザ10が、施設Aから帰宅する際に車両400を利用しない場合もある。この場合、ユーザ10は車両400の配車を希望しない。そのため、ユーザ10が車両400の配車を希望することを示す回答情報は、携帯端末から管理サーバ300に送信されない。
【0043】
管理サーバ300では、S201において通知情報が送信されると、次にS202の処理が実行される。S202においては、ユーザ10の携帯端末から、ユーザ10が車両400の配車を希望することを示す回答情報が受信されたか否かが判別される。S202において肯定判定された場合、車両400を施設Aに配車することが決定される。そして、次にS102の処理が実行される。一方、S202において否定判定された場合、つまり、ユーザ10が車両400の配車を希望することを示す回答情報が受信されなかった場合、S102およびS103の処理が実行されずに、本フローに係る情報処理が終了される。この場合、車両400は施設Aに配車されない。
【0044】
本実施形態に係る配車システム1によれば、帰宅のために施設Aから退出するユーザ10が車両400を必要している場合にのみ、施設Aに車両400が配車される。換言すれば、ユーザ10が車両400を必要としてないにもかかわらず、施設Aに車両400が配車されてしまうことを抑制することができる。
【0045】
<第3実施形態>
本実施形態に係る配車システムの概略構成は第1実施形態と同様である。本実施形態では、管理サーバ300において、ユーザ端末100の電源がOFFにされたことが検出された場合、ユーザ10のスケジュール情報が取得される。そして、スケジュール情報に基づいて車両400を施設Aに配車するか否かが決定される。
【0046】
図6は、本実施形態に係るユーザ情報DB330に格納されているユーザ情報のテーブル構成の一例を示す図である。図6に示すように、本実施形態においては、ユーザ情報は、ユーザIDフィールドおよび停車場所フィールドに加え、スケジュールフィールドを有する。スケジュールフィールドには、各ユーザについての、施設Aでの業務に関するスケジュール情報が入力される。スケジュール情報には各ユーザの業務終了の予定時刻が含まれている。そして、管理サーバ300においてユーザ端末100の電源OFFが検出され
た場合、制御部320は、ユーザ10のスケジュール情報をユーザ情報DB330から取得する。
【0047】
(情報処理の流れ)
ここで、本実施形態に係る、管理サーバ300において行われる情報処理の流れについて図7に基づいて説明する。図7は、管理サーバ300において行われる情報処理を示すフローチャートである。本フローは、制御部320によって実行される。なお、図7に示すフローにおけるS101からS103の各ステップにおいて実行される処理は、図5に示すフローにおける同一参照番号のステップにおいて実行される処理と同一である。そのため、これらのステップでの処理についての説明は省略する。
【0048】
本フローでは、S101の次にS301の処理が実行される。S301では、ユーザIDに基づいて、ユーザ情報DB330からユーザ10のスケジュール情報が取得される。次に、S302において、ユーザ端末100の電源OFFが検出された時刻(すなわち、ユーザ端末100がシャットダウンされた時刻)が、スケジュール情報に含まれるユーザ10の業務終了の予定時刻tout以降であるか否かが判別される。
【0049】
ここで、ユーザ10が、施設Aにおいて業務を継続中であっても、ユーザ端末100の電源をOFFにすることも考えられる。そして、ユーザ端末100の電源OFFが検出された時刻がユーザ10の業務終了の予定時刻tout以前であれば、ユーザ10はまだ業務を継続する可能性が高い。つまり、ユーザ10が帰宅のために施設Aから退出する可能性は低い。一方で、ユーザ端末100の電源OFFが検出された時刻がユーザ10の業務終了の予定時刻tout以降であれば、ユーザ10が帰宅のために施設Aから退出する可能性が非常に高い。
【0050】
そこで、S302において肯定判定された場合、車両400を施設Aに配車することが決定される。そして、次にS102の処理が実行される。一方、S302において否定判定された場合、S102およびS103の処理が実行されずに、本フローに係る情報処理が終了される。この場合、車両400は施設Aに配車されない。
【0051】
本実施形態に係る配車システム1によれば、ユーザ10が帰宅のために施設Aから退出する可能性がより高いときに、施設Aに車両400が配車される。換言すれば、ユーザ10が帰宅のために施設Aから退出する可能性が低いにもかかわらず、施設Aに車両400が配車されてしまうことを抑制することができる。
【0052】
(変形例)
なお、上述した第2実施形態における、ユーザ10が所持する携帯端末への通知情報の送信を、本実施形態に係る情報処理に組み込んでもよい。つまり、ユーザ端末100の電源OFFが検出された時刻がユーザ10の業務終了の予定時刻tout以前である場合(すなわち、S302において否定判定された場合)に、管理サーバ300から、ユーザ10が所持する携帯端末に通知情報が送信されてもよい。そして、ユーザ10の携帯端末から、ユーザ10が車両400の配車を希望することを示す回答情報が受信された場合は、車両400を施設Aに配車することが決定されてもよい。
【0053】
また、本実施形態に係る情報処理においては、必ずしも、ユーザ10のスケジュール情報が取得されなくてもよい。例えば、施設Aにおける業務終了時刻が予め定められている場合がある。この場合、ユーザ端末100の電源OFFが検出された時刻が、施設Aにおける業務終了時刻以降であるか否かが判別されてもよい。そして、ユーザ端末100の電源OFFが検出された時刻が、施設Aにおける業務終了時刻以降の場合に、車両400を施設Aに配車することが決定されてもよい。このような情報処理によっても、ユーザ10
が帰宅のために施設Aから退出する可能性がより高いときに、施設Aに車両400を配車することができる。
【0054】
<第4実施形態>
本実施形態では、管理サーバ300が複数の車両の運行を管理する。また、管理サーバ300によって運行を管理される複数の車両には、それぞれ収容可能人数が異なる複数タイプの車両が含まれている。
【0055】
(機能構成)
ここで、本実施形態に係る管理サーバ300の機能構成について図8に基づいて説明する。図8は、管理サーバ300の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。本実施形態では、第1実施形態と同様、管理サーバ300が、通信部310、制御部320、およびユーザ情報DB330を有している。そして、制御部320は、検出部321および指令部322に加え、決定部323を機能部として含んでいる。決定部323は、複数の車両の中から施設Aに配車する車両400を決定する機能を有する。
【0056】
施設Aにおいては、略同時期に複数のユーザが帰宅のために施設Aから退出しようとする場合がある。この場合、複数のユーザが略同時期にそれぞれのユーザ端末の電源をOFFにする。そして、管理サーバ300においては、検出部321によって、略同時期に複数のユーザ端末の電源OFFが検出される。
【0057】
このとき、検出部321によって電源OFFが検出されたユーザ端末の数が、帰宅のためにユーザ端末の電源をOFFにしたユーザの数に相当する。そこで、決定部323が、電源OFFが検出されたユーザ端末の数に基づいて、複数の車両の中から施設Aに配車する車両400を決定する。
【0058】
本実施形態によれば、帰宅のために施設Aから退出するユーザの数に応じた車両400を施設Aに配車することができる。例えば、施設Aから退出するユーザが一人である場合は、一人乗り用の車両を施設Aに配車することができる。また、施設Aから退出するユーザが複数である場合は、収容可能人数がユーザの数に適している車両を施設Aに配車することができる。
【0059】
(変形例)
管理サーバ300において、検出部321が略同時期に複数のユーザ端末の電源OFFを検出した場合、すなわち、施設Aから退出するユーザが複数である場合、制御部320が、各ユーザの自宅が存在する地域の情報を取得してもよい。なお、各ユーザの自宅が存在する地域の情報が、ユーザ情報DB330に予め格納されていてもよい。そして、制御部320は、同一地域内に自宅が存在する複数のユーザが同乗するための車両として一台の車両を配車してもよい。また、このときに、同一地域内に自宅が存在するユーザの数に応じた車両を配車してもよい。
【0060】
なお、上記の各実施形態に係る配車システム1においては、車両400は自動運転車両である。しかしながら、施設Aに配車される車両は、必ずしも自動運転車両でなくともよい。つまり、施設Aに配車される車両は、ドライバーによって運転される車両であってもよい。この場合、施設Aに向けて車両を配車するための指令は、管理サーバ300から、ドライバーに関連する端末(例えば、ドライバーが所持する端末)に送信される。
【0061】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生
じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0062】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハードウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0063】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0064】
1・・・配車システム
100・・ユーザ端末
300・・管理サーバ
310・・通信部
320・・制御部
321・・検出部
322・・指令部
323・・決定部
330・・ユーザ情報データベース(ユーザ情報DB)
400・・車両
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8