IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社JVCケンウッドの特許一覧

<>
  • 特許-車両用記録制御装置および記録制御方法 図1
  • 特許-車両用記録制御装置および記録制御方法 図2
  • 特許-車両用記録制御装置および記録制御方法 図3
  • 特許-車両用記録制御装置および記録制御方法 図4
  • 特許-車両用記録制御装置および記録制御方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】車両用記録制御装置および記録制御方法
(51)【国際特許分類】
   G07C 5/00 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
G07C5/00 Z
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021003173
(22)【出願日】2021-01-13
(65)【公開番号】P2022108295
(43)【公開日】2022-07-26
【審査請求日】2023-12-28
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 沙也加
【審査官】中村 泰二郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-008475(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07C 5/00- 5/12
G08G 1/00-99/00
B60R 11/00-11/06,
G01C 21/00-21/36,
23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両周辺を撮影する撮像部が撮影した映像データを取得する映像データ取得部と、
前記車両の位置情報、前記位置情報に対応した走行路情報、および、走行路情報に対応する走行回数を示す情報を取得する走行路情報取得部と、
前記映像データ取得部が取得した映像データに走行回数を対応付け、前記車両による走行路ごとの走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部に記録する記録制御部と、
を備える、車両用記録制御装置。
【請求項2】
前記走行路情報取得部は、所定期間内における走行回数を示す情報を取得し、
前記記録制御部は、前記車両による走行路ごとの所定期間内での走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部に記録する、
請求項1に記載の車両用記録制御装置。
【請求項3】
前記走行路情報取得部は、走行路ごとの走行時間帯をさらに取得し、
前記記録制御部は、前記車両による走行路ごとの同一時間帯での走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部に記録する、
請求項1または2に記載の車両用記録制御装置。
【請求項4】
前記走行路情報取得部は、前記車両の停止情報をさらに取得し、
前記記録制御部は、前記車両による走行路ごとの走行回数が少ない走行路において、所定時間以上の停止が検出されている映像データほど、上書の優先度を下げて記録部に記録する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の車両用記録制御装置。
【請求項5】
車両周辺を撮影する撮像部が撮影した映像データを取得するステップと、
前記車両の位置情報、前記位置情報に対応した走行路情報、および、走行路情報に対応する走行回数を示す情報を取得するステップと、
取得した映像データに走行回数を対応付け、前記車両による走行路ごとの走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部に記録するステップと、
を、車両用記録制御装置が実行する記録制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用記録制御装置および記録制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ドライブレコーダが普及し、事故等のイベントに基づく映像の記録に加えて、記録した映像によって、立ち寄り地点や通過地点など気になる地点の映像を後で見返すような用途にも利用されている。例えば、旅行などに行った際に、景色のよい経路や、気になる建造物などの映像を見返したり、SNS(Social Networking Service)に掲載したりすることがある。
【0003】
映像ファイルを上書して記録し、イベントに関連する映像ファイルに対して上書禁止とする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。イベントの原因となる対象物が撮影されている可能性の高い映像ファイルの上書の優先度を低くすることが開示されている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-182573号公報
【文献】特開2020-113067号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ドライブレコーダが撮影した映像を記録する記録装置は、容量に上限がある。このため、イベントの発生や手動イベント記録で記録された映像以外は、上書され消去される可能性がある。
【0006】
本発明は、適切に映像を記録することができる、車両用記録制御装置および記録制御方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る車両用記録制御装置は、車両周辺を撮影する撮像部が撮影した映像データを取得する映像データ取得部と、前記車両の位置情報、前記位置情報に対応した走行路情報、および、走行路情報に対応する走行回数を示す情報を取得する走行路情報取得部と、前記映像データ取得部が取得した映像データに走行回数を対応付け、前記車両による走行路ごとの走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部に記録する記録制御部と、を備える。
【0008】
本発明の記録制御方法は、車両周辺を撮影する撮像部が撮影した映像データを取得するステップと、前記車両の位置情報、前記位置情報に対応した走行路情報、および、走行路情報に対応する走行回数を示す情報を取得するステップと、取得した映像データに走行回数を対応付け、前記車両による走行路ごとの走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部に記録するステップと、を車両用記録制御装置が実行する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、適切に映像を記録することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、第一実施形態に係る記録制御装置を有する車両用記録装置の構成例を示すブロック図である。
図2図2は、第一実施形態に係る記録制御装置における記録処理の流れを示すフローチャートである。
図3図3は、第二実施形態に係る記録制御装置における記録処理の流れを示すフローチャートである。
図4図4は、第三実施形態に係る記録制御装置における記録処理の流れを示すフローチャートである。
図5図5は、第四実施形態に係る記録制御装置における記録処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係る車両用記録制御装置および記録制御方法の実施形態を詳細に説明する。なお、以下の実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0012】
[第一実施形態]
図1は、第一実施形態に係る車両用記録制御装置(以下、「記録制御装置」という。)20を有する車両用記録装置10の構成例を示すブロック図である。車両用記録装置10は、車両による走行路ごとの走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先順位を高くして記録する。
【0013】
車両用記録装置10は、いわゆるドライブレコーダであり、車両に載置されているものに加えて、可搬型で車両において利用可能な装置であってもよい。車両用記録装置10は、カメラ(撮影部)11と、記録部12と、操作部13と、加速度センサ14と、通信部15と、GNSS受信部(Global Navigation Satellite System)16と、記録制御装置20とを有する。
【0014】
カメラ11は、車両の周辺を撮影するカメラである。カメラ11は、360°の全天周を撮影可能なカメラでもよいし、各方向をそれぞれ撮影する複数のカメラ群であってもよい。カメラ11は、例えば、車両の車室内前方に配置されている。カメラ11は、エンジンが始動してから停止するまでの間、つまり車両が動作している間は、映像を常時撮影する。本実施形態では、カメラ11は、車両のアクセサリ電源がONである間、映像を常時撮影する。カメラ11は、撮影した映像データを記録制御装置20の映像データ取得部21へ出力する。映像データは、例えば毎秒30フレームの画像から構成される動画である。
【0015】
記録部12は、車両用記録装置10におけるデータの一時記憶などに用いられる。記録部12は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、メモリカードなどの記録部である。または、通信部15を介して無線接続される外部記憶装置であってもよい。記録部12は、記録制御装置20の記録制御部31から出力された制御信号に基づいて、イベントが検出されたときに記録されるイベント記録データなど種々のデータを記録する。記録部12は、例えば、イベント記録データを上書禁止の映像データとして保存する。
【0016】
操作部13は、車両用記録装置10に対する各種操作を受付可能である。例えば、操作部13は、撮影した映像データを記録部12に手動で保存する操作を受付可能である。例えば、操作部13は、記録部12に記録したループ記録データを再生する操作を受付可能である。例えば、操作部13は、記録部12に記録した記録データを消去する操作を受付可能である。例えば、操作部13は、ループ記録を終了する操作を受付可能である。操作部13は、操作情報を記録制御装置20の操作制御部25に出力する。
【0017】
加速度センサ14は、車両に加わる加速度を検出するセンサである。加速度センサ14は、検出結果を記録制御装置20のイベント検出部26に出力する。加速度センサ14は、例えば3軸方向の加速度を検出するセンサである。3軸方向とは、車両の前後方向、左右方向、および上下方向である。3軸方向の加速度によって、車両に対する衝撃が検出可能である。
【0018】
通信部15は、通信ユニットである。通信部15は、車両の外部サーバ装置とデータの送受信を可能にする。通信部15は、無線または有線によって通信する。通信部15は、例えば、5G回線等を含む携帯電話の回線を使用してもよい。通信部15は、例えば、Wi-Fi(登録商標)及びBluetooth(登録商標)を含む無線通信規格を使用してもよい。通信部15は、有線による通信規格を使用してもよい。通信部15は、記録制御装置20の走行路情報取得部27によってデータの送受信が制御される。より詳しくは、通信部15は、車両の現在位置の位置情報を外部サーバ装置へ送信する。通信部15は、走行路情報を外部サーバ装置から受信する。または、通信部15は、走行路情報を車両のナビゲーションシステムから受信してもよい。
【0019】
本実施形態では、走行路情報は、車両の現在位置の位置情報に応じた走行路の情報である。走行路情報は、車両の現在位置における走行路の名称、区画の名称、座標などの種々の情報である。区画とは、例えば、交差点から交差点までを1区画とする。
【0020】
GNSS受信部16は、GNSS衛星からのGNSS信号を受信するGNSS受信機などで構成される。GNSS受信部16は、受信したGNSS信号を記録制御装置20の位置情報取得部28へ出力する。
【0021】
記録制御装置20は、例えば、CPU(Central Processing Unit)などで構成された演算処理装置(制御装置)である。記録制御装置20は、記憶されているプログラムをメモリにロードして、プログラムに含まれる命令を実行する。記録制御装置20は、本発明に係るプログラムを動作させるコンピュータである。記録制御装置20には図示しない内部メモリが含まれ、内部メモリは記録制御装置20におけるプログラム等のデータの一時記憶などに用いられる。記録制御装置20は、バス20Xに接続された、映像データ取得部21と、バッファメモリ22と、映像データ処理部23と、操作制御部25と、イベント検出部26と、走行路情報取得部27と、位置情報取得部28と、記録制御部31と、を有する。
【0022】
映像データ取得部21は、車両の周辺を撮影した映像データを取得する。より詳しくは、映像データ取得部21は、カメラ11が出力した映像データを取得する。
【0023】
バッファメモリ22は、記録制御装置20が備える内部メモリの一つであり、映像データ取得部21が取得した一定時間分の映像データを、更新しながら一時的に記録するメモリである。
【0024】
映像データ処理部23は、バッファメモリ22が一時的に記憶している映像データを、例えばH.264やMPEG-4(Moving Picture Experts Group)などの任意の方式のコーデックで符号化された、例えばMP4形式などの任意のファイル形式に変換する。映像データ処理部23は、バッファメモリ22が一時的に記憶している映像データから、一定時間分のファイルとした映像データを生成する。具体例として、映像データ処理部23は、バッファメモリ22が一時的に記憶している映像データを、記録順に60秒間の映像データを1ファイルとして生成する。映像データ処理部23は、生成した映像データを記録制御部31へ出力する。ファイルとして生成される映像データの期間は、一例として60秒としたが、これには限定されない。ここで言う映像データとは、カメラ11が撮影した映像に加えて音声が含まれたデータであってもよい。
【0025】
操作制御部25は、操作部13が受け付けた操作の操作情報を取得する。例えば、操作制御部25は、映像データの手動保存操作を示す保存操作情報、映像データの選択操作を示す選択操作情報、映像データの再生操作を示す再生操作情報、または、映像データの消去操作を示す消去操作情報を取得して制御信号を出力する。例えば、操作制御部25は、ループ記録を終了する操作を示す終了操作情報を取得して制御信号を出力する。
【0026】
イベント検出部26は、車両に対するイベントを検出する。イベント検出部26が車両に対するイベントを検出する方法は任意であるが、一例として、イベント検出部26は、加速度センサ14の検出結果に基づいて、イベントを検出する。この場合、イベント検出部26は、加速度センサ14が検出した加速度における閾値以上の加速度が検出されると、イベントとして検出する。イベント検出部26がイベントとして検出する加速度は、車両に対する衝撃が検出されるような閾値が設定される。
【0027】
走行路情報取得部27は、車両の位置情報、位置情報に対応した走行路情報、および、走行路情報に対応する走行回数を示す情報を取得する。より詳しくは、走行路情報取得部27は、通信部15を介して、車両の現在位置の位置情報を外部サーバ装置へ送信する。走行路情報取得部27は、通信部15を介して、車両の現在位置の位置情報に応じた走行路情報を外部サーバ装置から受信する。または、走行路情報取得部27は、通信部15を介して、車両の現在位置の位置情報に応じた走行路情報をナビゲーションシステムから受信してもよい。
【0028】
走行路情報取得部27は、走行回数を計測する。走行路情報取得部27は、走行路ごとの走行回数をカウントする。より詳しくは、走行路情報取得部27は、走行路情報が取得されるごとに、当該走行路の走行回数としてカウントする。走行回数は、例えば、走行路の名称ごと、区画ごと、または、距離ごとなどの単位でカウントする。走行回数は、走行路または区画における進行方向を区別せずにカウントしてもよい。走行回数は、走行路または区画における進行方向を区別してカウントしてもよい。走行回数は、上限値を設けてカウントしてもよい。例えば、10回を上限値として、10回以上はカウントしないようにしてもよい。
【0029】
位置情報取得部28は、GNSS受信部16が受信した電波に基づいて、車両の現在位置の位置情報を公知の方法によって算出する。位置情報取得部28が算出した位置情報は、記録データとともに保存される。
【0030】
記録制御部31は、映像データ処理部23でファイル化された映像データを、記録部12に記録させる制御を行う。記録制御部31は、車両のアクセサリ電源がONであるときなど、ループ記録処理を実行する期間は、映像データ処理部23でファイル化された映像データを、上書可能な映像データとして、記録部12に記録する。より詳しくは、記録制御部31は、ループ記録処理を実行する期間は、映像データ処理部23が生成した映像データを記録部12に記録し続け、記録部12の容量が一杯になった場合、最も古い映像データに新しい映像データを上書して記録する。
【0031】
記録制御部31は、イベント検出部26でイベントが検出された時の撮影データを上書禁止の映像データとして記録部12に保存する。より詳しくは、記録制御部31は、イベント検出時点を含み、イベント検出時点の前後所定の期間の撮影データを、上書が禁止されたイベント記録データとして記録部12に保存する。言い換えれば、記録制御部31は、イベント検出部26でイベントを検出していないときの撮影データを上書可能な映像データとして記録部12に記録する。記録制御部31は、記録部12において映像データの上書が必要となったときは、上書の優先度が高い映像データに上書する。記録制御部31は、記録部12において映像データの上書が必要となったときは、さらに記録日時の古い順に上書してもよい。
【0032】
記録制御部31は、映像データ取得部21が取得した映像データに走行回数を対応付け、車両による走行路ごとの走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部12に記録する。通勤などで同一の走行路を多く走行している場合、撮影された映像データは、後で見返す可能性が低いので、上書されやすくする。レジャーなどで日常では走行しない走行路で撮影された映像データは、後で見返す可能性が高いので、上書されにくくする。
【0033】
上書の優先度は、映像データの属性情報として付加する。上書の優先度は、走行回数で示される。走行回数が多いほど、上書の優先度が高くなる。
【0034】
次に、図2を用いて、記録制御装置20における記録処理の流れについて説明する。図2は、第一実施形態に係る記録制御装置20における記録処理の流れを示すフローチャートである。車両のアクセサリ電源がONであるときなど、ループ記録処理を実行する期間、図2に示す処理が実行される。
【0035】
まず、記録制御装置20は、ファイルを生成する(ステップS01)。より詳しくは、記録制御装置20は、映像データ処理部23によって、バッファメモリ22が一時的に記憶している映像データから、一定時間分のファイルとした映像データを生成する。記録制御装置20は、映像データ処理部23によって、バッファメモリ22が一時的に記憶している映像データを、記録順に60秒間の映像データを1ファイルとして生成する。記録制御装置20は、ステップS02へ進む。
【0036】
記録制御装置20は、走行回数を加算する(ステップS02)。より詳しくは、記録制御装置20は、走行路情報取得部27によって、車両の現在位置の位置情報に対応する走行路の走行路情報を取得する。記録制御装置20は、走行路情報取得部27によって、車両の現在位置の位置情報に対応する走行路の走行回数を加算する。記録制御装置20は、記録制御部31によって、ステップS01において生成された映像データに走行回数を対応付ける。記録制御装置20は、ステップS03へ進む。
【0037】
記録制御装置20は、空き容量があるか否かを判定する(ステップS03)。より詳しくは、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12の空き容量が、生成された映像データの容量以上であるか否かによって、空き容量があるか否を判定する。記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12の空き容量が足りると判定する場合(ステップS03でYes)、言い換えると、空き容量がある場合、ステップS04へ進む。記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12の空き容量が足りないと判定する場合(ステップS03でNo)、言い換えると、空き容量がない場合、ステップS05へ進む。
【0038】
記録部12の空き容量が足りると判定する場合(ステップS03でYes)、記録制御装置20は、空き容量部分に上書可能ファイルとして記録する(ステップS04)。より詳しくは、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12の空き容量部分に、映像データを上書可能ファイルとして記録する。記録制御装置20は、ステップS06へ進む。
【0039】
記録部12の空き容量が足りないと判定する場合(ステップS03でNo)、記録制御装置20は、走行回数の多い映像データに上書可能ファイルとして記録する(ステップS05)。より詳しくは、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12に記録されている映像データの中から、走行回数の最も多い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。言い換えると、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12に記録されている映像データの中から、上書の優先度の高い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。走行回数が最も多い映像データが複数ある場合、最も古い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。走行回数が最も多い映像データがない場合、記録部12に記録されている映像データの中から、最も古い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。記録制御装置20は、ステップS06へ進む。
【0040】
記録制御装置20は、イベントを検出したか否かを判定する(ステップS06)。より詳しくは、記録制御装置20は、イベント検出部26によって、検出された加速度が閾値以上である場合、イベントを検出したと判定して(ステップS06でYes)、ステップS07に進む。記録制御装置20は、イベント検出部26によって、検出された加速度が閾値以上ではないと判定する場合、イベントを検出しないと判定して(ステップS06でNo)、ステップS08に進む。
【0041】
イベントを検出したと判定した場合(ステップS06でYes)、記録制御装置20は、記録制御部31によって、撮影された映像データをイベント記録データとして記録部12に上書禁止のファイルとして保存して(ステップS07)、ステップS08に進む。
【0042】
記録制御装置20は、ループ記録を終了するか否かを判定する(ステップS08)。より詳しくは、記録制御装置20は、映像データの記録を停止する操作がされた場合、または、記録制御部31から記録を停止する制御信号を受信した場合(ステップS08でYes)、ループ記録を終了して処理を終了する。記録制御装置20は、映像データの記録を停止する操作がされていない場合、かつ、記録制御部31から記録を停止する制御信号を受信していない場合(ステップS08でNo)、ステップS01に戻って処理を再度実行する。
【0043】
このようにして、車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データほど、上書の優先度が高く設定されて記録部12に記録される。これにより、ループ記録時に、記録部12の空き容量がなくなった場合、上書きの優先度が高い車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データから上書きされる。例えば、通常通りの通勤時に撮影された映像データは、上書きの優先度が高い。車両の走行回数が少ない走行路で撮影された映像データは、上書の優先度が低く上書きされにくくなる。例えば、通勤時に、利用頻度の高くない店舗に立ち寄った際に撮影された映像データは、上書きの優先度が低い。また、イベント検出時に撮影されたイベント記録データは上書禁止のファイルとして記録部12に保存される。
【0044】
上述したように、本実施形態では、車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データほど、上書の優先度が高く設定されて記録部12に記録することができる。これにより、本実施形態は、ループ記録時に、記録部12の空き容量がなくなった場合、上書きの優先度が高い、車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データから上書きすることができる。本実施形態は、上書きの優先度が低い、車両の走行回数が少ない走行路で撮影された映像データは、上書きされにくくすることができる。
【0045】
本実施形態では、ユーザの操作を介さずに、上書の優先度を自動的に変えることができる。本実施形態によれば、上書の優先度を容易かつ確実に設定できる。
【0046】
本実施形態によれば、普段立ち寄らない地点や通過地点などを含む、走行回数が少ない走行路上の気になる地点の映像データを後で見返すことができる。
【0047】
[第二実施形態]
図3を参照しながら、本実施形態に係る車両用記録装置10について説明する。図3は、第二実施形態に係る記録制御装置20における記録処理の流れを示すフローチャートである。車両用記録装置10は、基本的な構成は第一実施形態の車両用記録装置10と同様である。以下の説明においては、車両用記録装置10と同様の構成要素には、同一の符号または対応する符号を付し、その詳細な説明は省略する。
【0048】
走行回数は、所定期間内の走行回数をカウントする。所定期間とは、例えば、1週間、10日間、1か月間などの任意の期間である。
【0049】
走行路情報取得部27は、所定期間内における走行回数を示す情報を取得する。走行路情報取得部27は、所定期間内における走行路ごとの走行回数をカウントする。
【0050】
記録制御部31は、車両による走行路ごとの所定期間内での走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部12に記録する。
【0051】
次に、図3を用いて、記録制御装置20における記録処理の流れについて説明する。ステップS11、ステップS13、ステップS14、ステップS16ないしステップS18の処理は、図2に示すフローチャートのステップS01、ステップS03、ステップS04、ステップS06ないしステップS08と同様の処理を行う。
【0052】
記録制御装置20は、所定期間内の走行回数を加算する(ステップS12)。より詳しくは、記録制御装置20は、走行路情報取得部27によって、車両の現在位置の位置情報に対応する走行路の走行路情報を取得する。記録制御装置20は、走行路情報取得部27によって、車両の現在位置の位置情報に対応する走行路の所定期間内の走行回数を加算する。記録制御装置20は、記録制御部31によって、ステップS11において生成された映像データに走行回数を対応付ける。記録制御装置20は、ステップS13へ進む。
【0053】
記録部12の空き容量が足りないと判定する場合(ステップS13でNo)、記録制御装置20は、所定期間内の走行回数の多い映像データに上書可能ファイルとして記録する(ステップS15)。より詳しくは、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12に記録されている映像データの中から、所定期間内の走行回数の最も多い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。所定期間内の走行回数が最も多い映像データが複数ある場合、最も古い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。所定期間内の走行回数が最も多い映像データがない場合、記録部12に記録されている映像データの中から、最も古い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。記録制御装置20は、ステップS16へ進む。
【0054】
このようにして、所定期間内の車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データほど、上書の優先度が高く設定されて記録部12に記録される。これにより、ループ記録時に、記録部12の空き容量がなくなった場合、上書きの優先度が高い所定期間内の車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データから上書きされる。上書きの優先度が低い所定期間内の車両の走行回数が少ない走行路で撮影された映像データは上書きされにくくなる。
【0055】
上述したように、本実施形態では、所定期間内の車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データほど、上書の優先度が高く設定されて記録部12に記録することができる。これにより、本実施形態は、ループ記録時に、記録部12の空き容量がなくなった場合、上書きの優先度が高い、所定期間内の車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データから上書きすることができる。本実施形態は、上書きの優先度が低い、所定期間内の車両の走行回数が少ない走行路で撮影された映像データは上書きされにくくすることができる。
【0056】
[第三実施形態]
図4を参照しながら、本実施形態に係る車両用記録装置10について説明する。図4は、第三実施形態に係る記録制御装置20における記録処理の流れを示すフローチャートである。
【0057】
走行回数は、同一時間帯の走行回数をカウントする。同一時間帯とは、例えば、以前に走行した走行路と同一の走行路を、別の日に±30分程度の差異で走行した場合は同一時間帯としてカウントする。
【0058】
走行路情報取得部27は、走行路ごとの走行時間帯をさらに取得する。走行路情報取得部27は、同一時間帯における走行路ごとの走行回数をカウントする。
【0059】
記録制御部31は、車両による走行路ごとの同一時間帯での走行回数が多い走行路に対応した映像データほど、上書の優先度を高くして記録部12に記録する。
【0060】
次に、図4を用いて、記録制御装置20における記録処理の流れについて説明する。ステップS21、ステップS23、ステップS24、ステップS26ないしステップS28の処理は、図2に示すフローチャートのステップS01、ステップS03、ステップS04、ステップS06ないしステップS08と同様の処理を行う。
【0061】
記録制御装置20は、同一時間帯の走行回数を加算する(ステップS22)。より詳しくは、記録制御装置20は、走行路情報取得部27によって、車両の現在位置の位置情報に対応する走行路の走行路情報を取得する。記録制御装置20は、走行路情報取得部27によって、車両の現在位置の位置情報に対応する走行路の同一時間帯の走行回数を加算する。記録制御装置20は、記録制御部31によって、ステップS21において生成された映像データに走行回数を対応付ける。記録制御装置20は、ステップS23へ進む。
【0062】
記録部12の空き容量が足りないと判定する場合(ステップS23でNo)、記録制御装置20は、同一時間帯の走行回数の多い映像データに上書可能ファイルとして記録する(ステップS25)。より詳しくは、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12に記録されている映像データの中から、同一時間帯の走行回数の最も多い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。同一時間帯の走行回数が最も多い映像データが複数ある場合、最も古い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。同一時間帯の走行回数が最も多い映像データがない場合、記録部12に記録されている映像データの中から、最も古い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。記録制御装置20は、ステップS26へ進む。
【0063】
このようにして、例えば通勤など、同一時間帯の車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データほど、上書の優先度が高く設定されて記録部12に記録される。これにより、ループ記録時に、記録部12の空き容量がなくなった場合、上書きの優先度が高い同一時間帯の車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データから上書きされる。上書きの優先度が低い同一時間帯の車両の走行回数が少ない走行路で撮影された映像データは上書きされにくくなる。
【0064】
上述したように、本実施形態では、同一時間帯の車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データほど、上書の優先度が高く設定されて記録部12に記録することができる。これにより、本実施形態は、ループ記録時に、記録部12の空き容量がなくなった場合、上書きの優先度が高い、同一時間帯の車両の走行回数が多い走行路で撮影された映像データから上書きすることができる。本実施形態は、上書きの優先度が低い、同一時間帯の車両の走行回数が少ない走行路で撮影された映像データは上書きされにくくすることができる。
【0065】
[第四実施形態]
図5を参照しながら、本実施形態に係る車両用記録装置10について説明する。図5は、第四実施形態に係る記録制御装置20における記録処理の流れを示すフローチャートである。
【0066】
走行路情報取得部27は、車両の停止情報をさらに取得する。より詳しくは、走行路情報取得部27は、通信部15を介して、車両から、車両が所定時間以上停止したことを示す停止情報を取得する。停止情報は、車両の信号待ちなどによる一時停止など、走行中における短時間の停止を除く情報である。停止情報は、店舗への立ち寄りなどのような、駐車または乗員が降車する程度の長さの停止を含む情報である。
【0067】
記録制御部31は、車両による走行路ごとの走行回数が少ない走行路において、所定時間以上の停止が検出されている映像データほど、上書の優先度を下げて記録部12に記録する。
【0068】
例えば、通勤時に、利用頻度の高くない店舗に立ち寄った場合などには、走行回数が少ない走行路において、所定時間以上の停止が検出される。
【0069】
次に、図5を用いて、記録制御装置20における記録処理の流れについて説明する。ステップS31、ステップS32、ステップS35ないしステップS37、ステップS41ないしステップS43の処理は、図2に示すフローチャートのステップS01、ステップS02、ステップS03ないしステップS05、ステップS06ないしステップS08と同様の処理を行う。
【0070】
記録制御装置20は、走行回数が所定値未満であるか否かを判定する(ステップS33)。記録制御装置20は、走行回数が所定値未満であると判定する場合(ステップS33でYes)、ステップS34へ進む。記録制御装置20は、走行回数が所定値未満ではないと判定する場合(ステップS33でNo)、ステップS35へ進む。
【0071】
走行回数が所定値未満であると判定する場合(ステップS33でYes)、記録制御装置20は、所定時間以上の停止があるか否かを判定する(ステップS34)。より詳しくは、記録制御装置20は、走行路情報取得部27によって、通信部15を介して、車両から、車両が所定時間以上停止したことを示す停止情報を取得する。記録制御装置20は、所定時間以上の停止があると判定する場合(ステップS34でYes)、ステップS38へ進む。記録制御装置20は、所定時間以上の停止がないと判定する場合(ステップS34でNo)、ステップS35へ進む。
【0072】
所定時間以上の停止があると判定する場合(ステップS34でYes)、記録制御装置20は、空き容量があるか否かを判定する(ステップS38)。より詳しくは、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12の空き容量が、生成された映像データの容量以上であるか否かによって、空き容量があるか否を判定する。記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12の空き容量が足りると判定する場合(ステップS38でYes)、言い換えると、空き容量がある場合、ステップS39へ進む。記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12の空き容量が足りないと判定する場合(ステップS38でNo)、言い換えると、空き容量がない場合、ステップS40へ進む。
【0073】
記録部12の空き容量が足りると判定する場合(ステップS38でYes)、記録制御装置20は、空き容量部分に上書の優先度の低い上書可能ファイルとして記録する(ステップS39)。より詳しくは、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12の空き容量部分に、映像データを上書の優先度の低い上書可能ファイルとして記録する。記録制御装置20は、ステップS41へ進む。
【0074】
記録部12の空き容量が足りないと判定する場合(ステップS38でNo)、記録制御装置20は、走行回数の多い映像データに、上書の優先度の低い上書可能ファイルとして記録する(ステップS40)。より詳しくは、記録制御装置20は、記録制御部31によって、記録部12に記録されている映像データの中から、走行回数の最も多い映像データに、当該映像ファイルを上書の優先度の低い上書可能ファイルとして記録する。走行回数が最も多い映像データが複数ある場合、最も古い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。走行回数が最も多い映像データがない場合、記録部12に記録されている映像データの中から、最も古い映像データに、当該映像ファイルを上書可能ファイルとして記録する。記録制御装置20は、ステップS41へ進む。
【0075】
このようにして、走行回数が少ない走行路において、所定時間以上の停止が検出されている映像データほど、上書の優先度を下げて記録部12に記録される。走行回数が少ない走行路において、所定時間以上の停止が検出される場合とは、例えば、普段行くことの少ない店舗や施設などの場所に行った場合である。これにより、ループ記録時に、記録部12の空き容量がなくなった場合、上書きの優先度が低い、走行回数が少ない走行路において、所定時間以上の停止が検出されている映像データは上書きされにくくなる。
【0076】
上述したように、本実施形態では、走行回数が少ない走行路において、所定時間以上の停止が検出されている映像データほど、上書の優先度を下げて記録部12に記録することができる。これにより、本実施形態は、ループ記録時に、記録部12の空き容量がなくなった場合、上書きの優先度が低い、走行回数が少ない走行路において、所定時間以上の停止が検出されている映像データは上書きされにくくすることができる。
【0077】
本発明に係る車両用記録装置10は、上述した実施形態以外にも種々の異なる形態にて実施されてもよい。
【0078】
図示した車両用記録装置10の各構成要素は、機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていなくてもよい。すなわち、各装置の具体的形態は、図示のものに限られず、各装置の処理負担や使用状況などに応じて、その全部または一部を任意の単位で機能的または物理的に分散または統合してもよい。
【0079】
車両用記録装置10の構成は、例えば、ソフトウェアとして、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。上記実施形態では、これらのハードウェアまたはソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックとして説明した。すなわち、これらの機能ブロックについては、ハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、または、それらの組み合わせによって種々の形で実現できる。
【0080】
上記した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のものを含む。さらに、上記した構成は適宜組み合わせが可能である。また、本発明の要旨を逸脱しない範囲において構成の種々の省略、置換または変更が可能である。
【符号の説明】
【0081】
10 車両用記録装置
11 カメラ
12 記録部
13 操作部
14 加速度センサ
15 通信部
16 GNSS受信部
20 記録制御装置(車両用記録制御装置)
20X バス
21 映像データ取得部
22 バッファメモリ
23 映像データ処理部
25 操作制御部
26 イベント検出部
27 走行路情報取得部
28 位置情報取得部
31 記録制御部
図1
図2
図3
図4
図5