(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】車両の前部構造
(51)【国際特許分類】
B60R 19/52 20060101AFI20241016BHJP
B60R 19/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B60R19/52 K
B60R19/04 K
(21)【出願番号】P 2021003314
(22)【出願日】2021-01-13
【審査請求日】2023-11-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000002082
【氏名又は名称】スズキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中村 勇人
【審査官】塚本 英隆
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-223551(JP,A)
【文献】特開2018-192915(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 19/52
B60R 19/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の前部に配置されているバンパと、
下部において前記バンパに取り付けられるグリルと、
前記車両の前方から前記グリルの下部に固定されるガーニッシュと、を有し、
前記グリルの下部は、
下方面部と、
前記下方面部から前方に延びる前方延出部と、を有し、
前記ガーニッシュは、前記下方面部及び前記前方延出部に重なるように配置され
、
前記バンパは、上方に凸となる段差部を有し、
前記段差部は、前記前方延出部と当接して重なるように配置される、車両の前部構造。
【請求項2】
前記ガーニッシュの下部は、前記段差部に対応する位置において、上方に凹となる凹部を有し、
前記凹部は、前記前方延出部と重なるように配置される、請求項
1に記載の車両の前部構造。
【請求項3】
前記ガーニッシュの前面部は、前記前方延出部よりも前方に膨出する膨出部を有し、
前記膨出部の下方に配置されている前記バンパの前面部は、前記前方延出部よりも前方に突出する、請求項
2に記載の車両の前部構造。
【請求項4】
前記前方延出部の前端部は、前記ガーニッシュの下部よりも下方に屈折する、請求項1~
3のいずれか一項に記載の車両の前部構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の前部構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バンパにグリルを組みつける際に、グリルのガイド部がバンパのリブに沿って移動することで、グリルとバンパとの当接によりバンパの破損を防止する構造が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一般に、かかる構造において、グリルの外周部は、グリルの周辺部分より剛性を高く設定し、また、メッキ塗装等を利用する。これにより、グリルの輪郭を認識させ美観を低下させる形状変化を防止し、見切りの向上に供する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術では、バンパに対してグリルが直接組み付けられることにより、組み付け後にグリルが位置連れを起こし、バンパとグリルの外周部とが接触し、塗装剥がれを起こしてしまい、バンパの美観維持に改善の余地があるという問題点があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、バンパ及びグリルに別体のガーニッシュを組み付けることによりに固定を行い、バンパの美観維持を促進することができる車両の前部構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態に係る車両の前部構造は、車両の前部に配置されているバンパと、下部において前記バンパに取り付けられるグリルと、前記車両の前方から前記グリルの下部に固定されるガーニッシュと、を有し、前記グリルの下部は、 下方面部と、前記下方面部から前方に延びる前方延出部と、を有し、前記ガーニッシュは、前記下方面部及び前記前方延出部に重なるように配置されることを要旨とする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る車両の前部構造の一例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施形態について詳細に説明する。なお、以下の図面の記載において、同一又は類似の部分には、同一又は類似の符号を付している。ただし、図面は模式的なものであり、各寸法の比率等は現実のものとは異なることに留意すべきである。したがって、具体的な寸法等は、以下の説明を参酌して判断すべきである。また、図面相互間においても互いの寸法の関係や比率が異なる部分が含まれ得る。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能、構成を有する要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略し、また本発明に直接関係のない要素は図示を
省略する。
【0010】
以下、
図1~
図3を参照して、本発明の一実施形態に係る車両の前部構造1について説明する。
【0011】
図1に示すように、車両の前部構造1は、バンパ2と、グリル3と、ガーニッシュ4とを有している。
【0012】
図1に示すように、バンパ2は、車両の前部に配置されている。
図1及び
図2に示すように、グリル3は、その下部3Aにおいてバンパ2に取り付けられている。
【0013】
図2に示すように、ガーニッシュ4は、車両の前方からグリル3の下部3Aに固定されている。ここで、ガーニッシュ4には、メッキ加工が施されている。
【0014】
例えば、
図2に示すように、固定部材(例えば、ネジ等)5が、車両の後方側からバンパ2及びグリル3に設けられている貫通孔を介してガーニッシュ4に設けられている孔に挿入されることによって、ガーニッシュ4をグリル3の下部3A及びバンパ2に固定することができる。
【0015】
ここで、
図2に示すように、グリル3の下部3Aは、下方面部3Bと、前方延出部3Cとを有している。
【0016】
図2に示すように、下方面部3Bは、ガーニッシュ4とバンパ2との間において、車両の上下方向に延びる。また、
図2に示すように、前方延出部3Cは、下方面部3Bから前方に延びる。
【0017】
図2及び
図3に示すように、ガーニッシュ4は、下方面部3B及び前方延出部3Cに重なるように配置される。具体的には、ガーニッシュ4は、車両の後方側で下方面部3Bに重なり、車両の下方側で前方延出部3Cに重なるように配置される。
【0018】
かかる構成によれば、組み付け時において、グリル3の下方面部3B及び前方延出部3Cにガーニッシュ4が当接し、バンパ2とガーニッシュ4が直接当接しないため、バンパ2の塗装剥がれや、接触時の異音を防止することができる。
【0019】
また、かかる構成によれば、風を受けた場合等のように、グリル3とガーニッシュ4と及びバンパ2との配置が変化しやすい場合であっても、グリル3の下部3A(下方面部3B及び前方延出部3C)とガーニッシュ4とが重なることにより、バンパ2とガーニッシュ4との接触を防ぎ、バンパ2の塗装剥がれや変形による擦れ傷を防ぐことができ、バンパ2の見栄えを維持することが可能となる。
【0020】
図3に示すように、バンパ2は、上方に凸となる段差部2Aを有していてもよい。
【0021】
ここで、
図3に示すように、段差部2Aは、前方延出部3Cと重なるように配置されていてもよい。すなわち、車両幅方向視で、段差部2A及び前方延出部3Cが、車両の上下方向において重なるように配置されていてもよい。
【0022】
かかる構成によれば、前方延出部3C及び段差部2Aが当接し、車両の上下方向に前方延出部3Cが存在していない車両の前方の位置において、ガーニッシュ4とバンパ2との間で隙間ができるため、ガーニッシュ4とバンパ2とが接触しにくくなり、バンパ2の見栄えが維持できる。
【0023】
また、
図3に示すように、ガーニッシュ4の下部は、段差部2Aに対応する位置において、上方に凹となる凹部4Aを有していてもよい。
【0024】
ここで、
図3に示すように、凹部4Aは、前方延出部3Cと重なるように配置されていてもよい。すなわち、車両幅方向視で、段差部2Aと前方延出部3Cと凹部4Aとが、車両の上下方向において重なるように配置されていてもよい。
【0025】
かかる構成によれば、前方延出部3Cを凹部4A内に収めることが可能となり、車両正面視で、グリル3の前方延出部3Cが見え難くなる。これにより、ガーニッシュ4とバンパ2との境に別部材(グリル3)があることを認識し難くなり、美観(見切り)が向上する。
【0026】
また、
図3に示すように、ガーニッシュ4の前面部4Fは、前方延出部3Cよりも前方に膨出する膨出部4Bを有していてもよい。ここで、
図3に示すように、膨出部4Bの下方に配置されているバンパ2の前面部2Fは、前方延出部3Cよりも前方に突出していてもよい。
【0027】
かかる構成によれば、ガーニッシュ4の膨出部4Bによりバンパ2の前面部2Fに影が投影され、グリル3の前方延出部3Cが見え難くなることにより、美観が向上する。
【0028】
さらに、前方延出部3Cの前端部30Cは、ガーニッシュ4の下部4Cよりも下方に屈折していてもよい。
【0029】
かかる構成によれば、ガーニッシュ4の下部より前端部30Cが下方に屈曲するため、バンパ2及びとガーニッシュ4が直接当接し難くなる。これにより、バンパ2の塗装剥がれ等の見栄えの低下が防止できる。
【0030】
上述の実施形態を用いて本発明について詳細に説明したが、当業者にとっては、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく修正及び変更態様として実施することができる。したがって、本明細書の記載は、例示説明を目的とするものであり、本発明に対して何ら制限的な意味を有するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本実施形態によれば、バンパ2及びグリル3に別体のガーニッシュ4を組み付けることによりに固定を行い、バンパ2の美観維持を促進することができる車両の前部構造1を提供することができる。
【符号の説明】
【0032】
1…車両の前部構造
2…バンパ
2A…段差部
2F…バンパの前面部
3…グリル
3A…グリルの下部
3B…下方面部
3C…前方延出部
30C…前端部
4…ガーニッシュ
4A…凹部
4B…膨出部
4C…ガーニッシュの下部
4F…ガーニッシュの前面部
5…ネジ