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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
   B60W 20/13 20160101AFI20241016BHJP
   B60K 6/445 20071001ALI20241016BHJP
   B60W 10/26 20060101ALI20241016BHJP
   B60W 20/12 20160101ALI20241016BHJP
   B60W 20/20 20160101ALI20241016BHJP
   B60L 50/61 20190101ALI20241016BHJP
   B60L 3/00 20190101ALI20241016BHJP
   B60L 58/13 20190101ALI20241016BHJP
【FI】
B60W20/13
B60K6/445 ZHV
B60W10/26 900
B60W20/12
B60W20/20
B60L50/61
B60L3/00 S
B60L58/13
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021004133
(22)【出願日】2021-01-14
(65)【公開番号】P2022108910
(43)【公開日】2022-07-27
【審査請求日】2023-08-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 友希
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-099076(JP,A)
【文献】特開2020-104755(JP,A)
【文献】特開2020-069896(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/445
B60W 10/00 ― 20/50
B60L 50/61
B60L 3/00
B60L 58/13
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハイブリッド車両であって、
内燃機関と、
バッテリと、
前記バッテリに蓄えられた電力を用いて走行駆動力を発生する電動機と、
現在地から目的地までの走行予定経路を構成する複数の走行区間の各々にCD(Charge Depleting)モードまたはCS(Charge Sustaining)モードのいずれかの制御モードを割り当てて、目的地までの走行計画を設定し、前記走行計画に従って前記制御モードを切り替える走行支援制御を実行する制御装置とを備え、
前記複数の走行区間は、第1区間、第2区間および第3区間のいずれかであり、
前記第1区間は、前記内燃機関を停止させた状態での走行が要求される走行区間であり、
前記第2区間は、前記CDモードの割り当てが要求される走行区間であり、
前記第3区間は、前記第1区間および前記第2区間のいずれでもない走行区間であり、
前記制御装置は、
前記走行計画の設定において、前記CDモードを割り当てる走行区間で消費される消費エネルギーの総和を前記バッテリの残量が下回るまで、前記第1区間、前記第2区間、前記第3区間の順に前記CDモードを割り当てていき、前記CDモードを割り当てできなかった走行区間に前記CSモードを割り当て、
前記複数の走行区間に前記第1区間が含まれる場合には、前記複数の走行区間に前記第1区間が含まれない場合よりも前記バッテリの電力の消費を抑制する抑制処理を実行し、
前記抑制処理は、中断条件が成立した場合に前記走行支援制御を中断させる第2処理を含み、
前記第2処理による前記走行支援制御の中断中には、前記制御装置は、前記複数の走行区間に前記第1区間が含まれており、かつ、走行中の走行区間が前記第1区間でない場合には、前記制御モードを前記CSモードにする、ハイブリッド車両。
【請求項2】
前記抑制処理は、前記CDモードが割り当てられた走行区間のうちの少なくとも1つに、前記CSモードを再度割り当てて前記走行計画を設定する第1処理を含む、請求項1に記載のハイブリッド車両。
【請求項3】
前記第1処理における前記走行計画の設定において、前記制御装置は、前記バッテリの残量が前記総和を下回った場合に、前記第1区間、前記第2区間、前記第3区間の順に前記CDモードを割り当てた走行区間のうちの、最後に前記CDモードを割り当てた走行区間に前記CSモードを再度割り当てて前記走行計画を設定する、請求項2に記載のハイブリッド車両。
【請求項4】
前記第2処理による前記走行支援制御の中断中には、前記制御装置は、走行中の走行区間が前記第1区間である場合には、前記制御モードを前記CDモードにする、請求項に記載のハイブリッド車両。
【請求項5】
前記中断条件は、前記ハイブリッド車両が道路外区間に侵入したという条件、および、前記バッテリの温度が閾温度未満であるという条件のうちの少なくともいずれかを含む、請求項または請求項に記載のハイブリッド車両。
【請求項6】
ハイブリッド車両であって、
内燃機関と、
バッテリと、
前記バッテリに蓄えられた電力を用いて走行駆動力を発生する電動機と、
現在地から目的地までの走行予定経路を構成する複数の走行区間の各々にCDモードまたはCSモードのいずれかの制御モードを割り当てて、目的地までの走行計画を設定し、前記走行計画に従って前記制御モードを切り替える走行支援制御を実行する制御装置とを備え、
前記複数の走行区間は、第1区間、第2区間および第3区間のいずれかであり、
前記第1区間は、前記内燃機関を停止させた状態での走行が要求される走行区間であり、
前記第2区間は、前記CDモードの割り当てが要求される走行区間であり、
前記第3区間は、前記第1区間および前記第2区間のいずれでもない走行区間であり、
前記制御装置は、
前記走行計画の設定において、前記CDモードを割り当てる走行区間で消費される消費エネルギーの総和を前記バッテリの残量が下回るまで、前記第1区間、前記第2区間、前記第3区間の順に前記CDモードを割り当てていき、前記CDモードを割り当てできなかった走行区間に前記CSモードを割り当て、
前記複数の走行区間に前記第1区間が含まれる場合には、前記複数の走行区間に前記第1区間が含まれない場合よりも前記バッテリの電力の消費を抑制する抑制処理を実行し、 前記抑制処理は、前記複数の走行区間の各々で消費される消費エネルギーの算出において、前記第1区間であり、かつ、前記バッテリの電力消費量よりも回生電力量が上回る走行区間の消費エネルギーをゼロと算出する第3処理を含む、ハイブリッド車両。
【請求項7】
ハイブリッド車両であって、
内燃機関と、
バッテリと、
前記バッテリに蓄えられた電力を用いて走行駆動力を発生する電動機と、
現在地から目的地までの走行予定経路を構成する複数の走行区間の各々にCDモードまたはCSモードのいずれかの制御モードを割り当てて、目的地までの走行計画を設定し、前記走行計画に従って前記制御モードを切り替える走行支援制御を実行する制御装置とを備え、
前記複数の走行区間は、第1区間、第2区間および第3区間のいずれかであり、
前記第1区間は、前記内燃機関を停止させた状態での走行が要求される走行区間であり、
前記第2区間は、前記CDモードの割り当てが要求される走行区間であり、
前記第3区間は、前記第1区間および前記第2区間のいずれでもない走行区間であり、
前記制御装置は、
前記走行計画の設定において、前記CDモードを割り当てる走行区間で消費される消費エネルギーの総和を前記バッテリの残量が下回るまで、前記第1区間、前記第2区間、前記第3区間の順に前記CDモードを割り当てていき、前記CDモードを割り当てできなかった走行区間に前記CSモードを割り当て、
前記複数の走行区間に前記第1区間が含まれる場合には、前記複数の走行区間に前記第1区間が含まれない場合よりも前記バッテリの電力の消費を抑制する抑制処理を実行し、
前記抑制処理は、前記複数の走行区間の各々で消費される消費エネルギーの算出において、少なくとも1つの前記第1区間の消費エネルギーに所定のマージンを加算する第4処理を含む、ハイブリッド車両。
【請求項8】
前記第4処理において、前記制御装置は、現在地から最も近い前記第1区間の消費エネルギーに前記所定のマージンを加算する、請求項に記載のハイブリッド車両。
【請求項9】
前記CDモードは、前記バッテリに蓄えられた電力を消費する制御モードであり、
前記CSモードは、前記バッテリの蓄電量を所定の範囲内に維持する制御モードである、請求項1から請求項のいずれか1項に記載のハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
駆動源となるモータジェネレータと発電源となるエンジンとを搭載するハイブリッド車両においては、複数の制御モードのうちのいずれかを選択して、選択された制御モードに従って車両が制御される。複数の制御モードは、たとえば、可能な限りエンジンを停止させた状態で電動走行を継続して、車載電池に蓄電された電力を消費するCD(Charge Depleting)モードと、CDモードよりもエンジンを起動しやすくして、エンジンとモータジェネレータとを用いて車載電池の残量を一定の範囲で維持しつつ車両を走行させるCS(Charge Sustaining)モードとを含む。
【0003】
このようなハイブリッド車両において、ユーザによって設定された目的地まで走行する場合に、走行経路の状況に応じて制御モードを適宜切り替える切替制御が行なわれる。
【0004】
たとえば、特開2014-151760号公報(特許文献1)には、目的地までの走行経路を設定し、設定された走行経路の複数の区間のうちの目的地手前の一以上の区間を除いた区間の各々に対して電動走行を行なうEVモードと、エンジンとモータジェネレータとを用いるHVモードとのうちのいずれかを設定するハイブリッド車両が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2014-151760号公報
【文献】特開2010-132240号公報
【文献】特開2003-111208号公報
【文献】特開2015-74341号公報
【文献】米国特許出願公開第2015/0197235号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に開示されたハイブリッド車両においては、目的地到着時の走行用バッテリのSOC(State Of Charge)がゼロとなるように走行計画が立案される。これにより、ハイブリッド車両全体としてのランニングコストを低下させている。
【0007】
しかしながら、走行計画におけるバッテリの電力消費と実際のバッテリの電力消費とには差異が生じ得る。そのため、バッテリの電力が枯渇して、CDモードによる走行を計画していた区間でCSモードによる走行が行なわれるケースが起こり得る。たとえば、走行予定経路に、エンジンを停止させた状態での電動走行が要求される規制区間が含まれる場合、規制区間においてバッテリの電力が枯渇すると、規制区間でエンジンが作動してしまう。
【0008】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、走行予定経路に規制区間が含まれる場合において、規制区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)この開示に係るハイブリッド車両は、内燃機関と、バッテリと、バッテリに蓄えられた電力を用いて走行駆動力を発生する電動機と、現在地から目的地までの走行予定経路を構成する複数の走行区間の各々にCD(Charge Depleting)モードまたはCS(Charge Sustaining)のいずれかの制御モードを割り当てて、目的地までの走行計画を設定し、走行計画に従って制御モードを切り替える走行支援制御を実行する制御装置とを備える。複数の走行区間は、第1区間、第2区間および第3区間のいずれかである。第1区間は、内燃機関を停止させた状態での走行が要求される走行区間である。第2区間は、CDモードの割り当てが要求される走行区間である。第3区間は、第1区間および第2区間のいずれでもない走行区間である。制御装置は、走行計画の設定において、CDモードを割り当てる走行区間で消費される消費エネルギーの総和をバッテリの残量が下回るまで、第1区間、第2区間、第3区間の順にCDモードを割り当てていき、CDモードを割り当てできなかった走行区間にCSモードを割り当てる。制御装置は、複数の走行区間に第1区間が含まれる場合には、複数の走行区間に第1区間が含まれない場合よりもバッテリの電力の消費を抑制する抑制処理を実行する、ハイブリッド車両。
【0010】
上記構成によれば、制御装置は、現在地から目的地までの走行予定経路に第1制区間(たとえば規制区間)が含まれている場合には、バッテリの電力の消費を抑制する抑制処理を実行する。これにより、走行予定経路に第1区間が含まれる場合にはバッテリの電力消費が抑制されるので、第1区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することができる。ゆえに、第1区間で内燃機関が作動することを抑制することができる。
【0011】
(2)ある実施の形態においては、抑制処理は、CDモードが割り当てられた走行区間のうちの少なくとも1つに、CSモードを再度割り当てて走行計画を設定する第1処理を含む。
【0012】
上記構成によれば、CDモードが割り当てられた走行区間の少なくとも1つの走行区間にCSモードが再度割り当てられる。すなわち、CDモードが割り当てられた走行区間の少なくとも1つの走行区間の制御モードがCDモードからCSモードに変更される。CDモードの走行区間が減り、CSモードの走行区間が増えることにより、走行計画に従った走行におけるバッテリの電力消費を抑制することができる。よって、第1区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することができ、第1区間で内燃機関が作動することを抑制することができる。
【0013】
(3)ある実施の形態においては、第1処理における走行計画の設定において、制御装置は、バッテリの残量が上記総和を下回った場合に、第1区間、第2区間、第3区間の順にCDモードを割り当てた走行区間のうちの、最後にCDモードを割り当てた走行区間にCSモードを再度割り当てて走行計画を設定する。
【0014】
上記構成によれば、第1処理における走行計画の設定において、制御装置は、最後にCDモードを設定した走行区間、すなわち、CDモードを設定した走行区間のうちの最も割り当て順が低い走行区間にCSモードを再度割り当てる。CDモードの走行区間が1つ減り、CSモードの走行区間が1つ増えることにより、走行計画に従った走行におけるバッテリの電力消費を抑制することができる。よって、第1区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することができ、第1区間で内燃機関が作動することを抑制することができる。
【0015】
(4)ある実施の形態においては、抑制処理は、中断条件が成立した場合に走行支援制御を中断させる第2処理を含む。第2処理による走行支援制御の中断中には、制御装置は、複数の走行区間に第1区間が含まれており、かつ、走行中の走行区間が第1区間でない場合には、制御モードをCSモードにする。
【0016】
上記構成によれば、第2処理による走行支援制御の中断中において、走行予定経路に第1区間が含まれており、かつ、走行中の走行経路が規第1区間でない場合には、制御モードがCSモードとなる。第1区間以外の走行区間の制御モードをCSモードにすることにより、第1区間以外の走行区間でバッテリの電力を消費することが抑制される。これにより、バッテリの電力が温存され、走行予定経路に含まれる第1区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することができる。ゆえに、第1区間で内燃機関が作動することを抑制することができる。
【0017】
(5)ある実施の形態においては、第2処理による走行支援制御の中断中には、制御装置は、走行中の走行区間が第1区間である場合には、制御モードをCDモードにする。
【0018】
上記構成によれば、第2処理による走行支援制御の中断中において、第1区間を走行している場合には、制御モードがCDモードとなる。これにより、走行支援制御が中断されている場合においても、第1区間で内燃機関が作動することを抑制することができる。
【0019】
(6)ある実施の形態においては、中断条件は、ハイブリッド車両が道路外区間に侵入したという条件、および、バッテリの温度が閾温度未満であるという条件のうちの少なくともいずれかを含む。
【0020】
道路外区間においては、バッテリの電力の消費量を予測することが難しい場合がある。また、バッテリの温度が閾温度未満であると、バッテリの充放電効率が低下し、バッテリの電力の消費量を予測することが難しい場合がある。バッテリの電力の消費量を予測することが難しい場合を中断条件とすることにより、想定を超えるバッテリの電力消費を抑制することができる。
【0021】
(7)ある実施の形態においては、抑制処理は、複数の走行区間の各々で消費される消費エネルギーの算出において、第1区間であり、かつ、バッテリの電力消費量よりも回生電力量が上回る走行区間の消費エネルギーをゼロと算出する第3処理を含む。
【0022】
第1区間かつ回生区間で消費されるエネルギーをゼロと算出することは、換言すれば、回生電力を小さく算出することである。第1区間での回生電力を小さく算出することで、バッテリの電力に余力を持たせた走行計画を設定することができる。このような走行計画に従って走行することにより、第1区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することができる。ゆえに、第1区間で内燃機関が作動することを抑制することができる。
【0023】
(8)ある実施の形態においては、抑制処理は、複数の走行区間の各々で消費される消費エネルギーの算出において、少なくとも1つの第1区間の消費エネルギーに所定のマージンを加算する第4処理を含む。
【0024】
上記構成によれば、少なくとも1つの第1区間で消費される消費エネルギーに所定のマージンが加算されるので、バッテリの電力に余力を持たせた走行計画が設定される。このような走行計画に従って走行することにより、第1区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することができる。ゆえに、第1区間で内燃機関が作動することを抑制することができる。
【0025】
(9)ある実施の形態においては、第4処理において、制御装置は、現在地から最も近い第1区間の消費エネルギーに所定のマージンを加算する。
【0026】
上記構成によれば、現在地から最も近い第1区間で消費される消費エネルギーに所定のマージンが加算されるので、バッテリの電力に余力を持たせた走行計画が設定される。このような走行計画に従って走行することにより、第1区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することができる。ゆえに、第1区間で内燃機関が作動することを抑制することができる。
【0027】
(10)ある実施の形態においては、CDモードは、バッテリに蓄えられた電力を消費する制御モードである。CSモードは、バッテリの蓄電量を所定の範囲内に維持する制御モードである。
【発明の効果】
【0028】
本開示によれば、走行予定経路に規制区間が含まれる場合において、規制区間でバッテリの電力が枯渇することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
図1】実施の形態1に係るハイブリッド車両の一例を示す全体構成図である。
図2】各走行区間に対して設定される優先度を説明するための図である。
図3】走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。
図4】S7の第1設定処理の手順を示すフローチャートである。
図5】S8の第2設定処理の手順を示すフローチャートである。
図6】実施の形態2における走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。
図7】S21の第3設定処理の手順を示すフローチャートである。
図8】S30の処理の詳細を示すフローチャートである。
図9】変形例1における走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。
図10】実施の形態3における走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。
図11】S64の第4設定処理の手順を示すフローチャートである。
図12】走行計画の再設定の処理を説明するための図である。
図13】変形例2における走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0031】
[実施の形態1]
<全体構成>
図1は、実施の形態1に係るハイブリッド車両の一例を示す全体構成図である。図1を参照して、このハイブリッド車両(以下、単に「車両」とも称する)1は、所謂シリーズパラレル方式(スプリット方式)のハイブリッド車両である。なお、車両1は、シリーズパラレル方式のハイブリッド車両であることに限定されるものではなく、たとえば、パラレル方式あるいはシリーズ方式のハイブリッド車両であってもよい。また、車両1は、車両外部の電源(図1の外部電源92)から供給される電力を用いて車載バッテリ(図1のバッテリ100)を充電する外部充電が可能に構成される。
【0032】
図1を参照して、車両1は、第1モータジェネレータ(以下「第1MG」とも称する)10と、第2モータジェネレータ(以下「第2MG」とも称する)12と、エンジン14と、動力分割装置16と、駆動輪28と、パワーコントロールユニット(PCU:Power Control Unit)40と、システムメインリレー(SMR:System Main Relay)50と、充電リレー60と、充電装置70と、インレット80と、バッテリ100と、監視ユニット200と、HV-ECU(Electronic Control Unit)300と、IGスイッチ310と、センサ群320と、HMI(Human Machine Interface)装置330と、ナビECU350と、位置検出装置360と、交通情報受信装置370と、モード選択スイッチ380とを含む。
【0033】
第1MG10および第2MG12の各々は、三相交流回転電機であって、たとえば、永久磁石が埋設されたロータを備える永久磁石型同期電動機である。第1MG10および第2MG12は、いずれも電動機(モータ)としての機能と発電機(ジェネレータ)としての機能とを有する。第1MG10および第2MG12は、PCU40を介してバッテリ100と接続される。
【0034】
第1MG10は、たとえば、エンジン14の始動時においては、PCU40に含まれるインバータによって駆動され、エンジン14の出力軸を回転させる。また、第1MG10は、発電時においては、エンジン14の動力を受けて発電する。第1MG10によって発電された電力は、PCU40を介してバッテリ100に蓄えられる。
【0035】
第2MG12は、たとえば、車両1の走行時においては、PCU40に含まれるインバータによって駆動される。第2MG12の動力は、ディファレンシャルギヤや減速ギヤ等の動力伝達ギヤ(図示せず)を介して駆動輪28に伝達される。また、第2MG12は、たとえば、車両1の制動時においては、駆動輪28により第2MG12が駆動され、第2MG12が発電機として動作して、回生制動を行なう。第2MG12によって発電された電力は、PCU40を介してバッテリ100に蓄えられる。
【0036】
エンジン14は、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの燃料(ガソリンや軽油)を燃焼させて動力を出力する公知の内燃機関であって、スロットル開度(吸気量)や燃料供給量、点火時期などの運転状態をHV-ECU300によって電気的に制御できるように構成されている。HV-ECU300は、車両1の状態に基づいて設定される目標回転数および目標トルクでエンジン14が動作するように、エンジン14の燃料噴射量、点火時期および吸入空気量等を制御する。
【0037】
動力分割装置16は、エンジン14の動力を駆動輪28に伝達される経路と第1MG10へ伝達される経路とに分割する。動力分割装置16は、たとえば、サンギヤと、リングギヤと、ピニオンギヤと、キャリアとを有する遊星歯車機構によって構成される。
【0038】
PCU40は、HV-ECU300からの制御信号に従って、バッテリ100と第1MG10との間で電力変換を行なったり、バッテリ100と第2MG12との間で電力変換を行なったりする電力変換装置である。PCU40は、バッテリ100からの直流電力を交流電力に変換し、第1MG10または第2MG12を駆動するインバータと、バッテリ100からインバータに供給される直流電力の電圧レベルを調整するコンバータ(いずれも図示せず)とを含んで構成される。
【0039】
SMR50は、バッテリ100とPCU40との間に電気的に接続されている。SMR50の閉成および開放は、HV-ECU300からの制御信号に従って制御される。
【0040】
バッテリ100は、車両1の駆動電源(すなわち動力源)として車両1に搭載される。バッテリ100は、積層された複数の電池を含んで構成される。電池は、たとえば、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池等の二次電池である。また、電池は、正極と負極との間に液体電解質を有する電池であってもよいし、固体電解質を有する電池(全固体電池)であってもよい。なお、バッテリ100は、再充電可能な直流電源であればよく、大容量のキャパシタも採用可能である。バッテリ100は、第1MG10とエンジン14とを用いた発電動作によって発電された電力により充電されたり、第2MG12の回生制動により発電された電力により充電されたり、第1MG10または第2MG12の駆動動作により放電されたりする。
【0041】
監視ユニット200は、バッテリ100の状態を監視する。監視ユニット200は、たとえば、電圧センサ210と、電流センサ220と、温度センサ230とを含む。電圧センサ210は、バッテリ100の端子間の電圧VBを検出する。電流センサ220は、バッテリ100に入出力される電流IBを検出する。温度センサ230は、バッテリ100の温度TBを検出する。各センサは、その検出結果をHV-ECU300に出力する。
【0042】
充電リレー60は、SMR50とインレット80との間に電気的に接続されている。充電リレー60の閉成および開放は、HV-ECU300からの制御信号に従って制御される。
【0043】
充電装置70は、充電リレー60とインレット80との間に電気的に接続されている。充電装置70は、たとえば、AC/DCコンバータ(インバータ)である。充電装置70は、外部電源92からインレット80を介して供給された交流電力を直流電力に変換し、その直流電力を充電リレー60に出力する。充電装置70は、HV-ECU300からの制御信号によって制御される。
【0044】
なお、充電装置70は、AC/DC変換動作を行なうことに特に限定されるものではなく、インレット80から充電装置70に直流電力が供給される場合には、充電装置70は、DC/DCコンバータとして動作するように構成されてもよい。
【0045】
インレット80は、嵌合等の機械的な連結を伴ってコネクタ90を挿入することが可能に構成されている。インレット80へのコネクタ90の挿入に伴い、車両1と外部電源92との間の電気的な接続が確保される。このとき、SMR50および充電リレー60が閉成状態になると、外部電源92の電力が充電装置70および充電リレー60を経由してバッテリ100に供給可能になる。
【0046】
HV-ECU300は、CPU(Central Processing Unit)301と、メモリ302と、入出力ポート(図示せず)とを含む。メモリ302は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)を含み、CPU301により実行されるプログラム等を記憶する。CPU301は、ROMに格納されているプログラムをRAMに展開して実行する。CPU301は、入出力ポートから入力される各種信号(たとえば、監視ユニット200、IGスイッチ310、センサ群320、およびモード選択スイッチ380から受ける信号)、およびメモリ302に記憶された情報に基づいて、所定の演算処理を実行し、演算結果に基づいて車両1内の各機器(エンジン14、PCU40、SMR50、充電リレー60、充電装置70およびHMI装置330など)を制御する。HV-ECU300により実行される各種制御については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)で処理することも可能である。
【0047】
HV-ECU300は、たとえば、車両1の運転中に、監視ユニット200による検出結果を用いてバッテリ100の残容量を示すSOC(State Of Charge)を算出する。SOCは、バッテリ100の満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を百分率で表したものである。なお、SOCの算出方法としては、たとえば、電流値積算(クーロンカウント)による手法、または、開放電圧(OCV:Open Circuit Voltage)の推定による手法など、種々の公知の手法を採用できる。
【0048】
HV-ECU300は、通信バス340を介してセンサ群320と、HMI装置330と、ナビECU350と接続されている。ナビECU350には、位置検出装置360と、交通情報受信装置370とが接続されている。
【0049】
センサ群320は、たとえば、アクセルペダルセンサ、車速センサ、およびブレーキペダルセンサを含む。アクセルペダルセンサは、ユーザによるアクセルペダル操作量を検出する。車速センサは、車両1の車速を検出する。ブレーキペダルセンサは、ユーザによるブレーキペダル操作量を検出する。各センサは、検出結果をHV-ECU300へ出力する。
【0050】
HMI装置330は、車両1の運転を支援するための情報をユーザに提供する装置である。HMI装置330は、たとえば、車両1の室内に設けられたタッチパネルディスプレイであり、スピーカ等も含む。HMI装置330は、視覚情報(図形情報、文字情報)や聴覚情報(音声情報、音情報)等を出力することによって様々な情報をユーザに提供(報知)する。
【0051】
HMI装置330は、ディスプレイとして機能し、車両1の現在地、並びにその周辺の地図情報および渋滞情報等をナビECU350から通信バス340を通じて受信し、車両1の現在地をその周辺の地図情報および渋滞情報とともに表示する。
【0052】
また、HMI装置330は、ユーザが操作可能なタッチパネルとしても機能し、ユーザはタッチパネルに触れることによって、表示されている地図の縮尺を変更したり、車両1の目的地を入力したりすることができる。HMI装置330において目的地が入力されると、その目的地の情報が通信バス340を通じてナビECU350へ送信される。
【0053】
通信バス340に接続される各機器は、CAN(Controller Area Network)通信により通信バス340を通じて互いに通信可能に構成されてもよいし、あるいは、通信バス340に代えてまたは加えて無線通信により互いに通信可能に構成されてもよい。
【0054】
ナビECU350は、CPU351と、メモリ352とを含む。CPU351およびメモリ352は、CPU301およびメモリ302とそれぞれ同様であるため、それらの詳細な説明は繰り返さない。メモリ352には、地図情報データベース(DB)が構成される。ナビECU350は、地図情報DBに記憶される各種情報、位置検出装置360によって検出される各種情報および交通情報受信装置370から受信する各種情報に基づいて、車両1の現在地、並びにその周辺の地図情報および渋滞情報等をHMI装置330およびHV-ECU300へ出力する。
【0055】
さらに、ナビECU350は、所定の周期毎(たとえば、数分間隔毎)に、車両1の現在地から目的地までの走行予定経路における地図情報および道路交通情報(以下、総称して「先読み情報」とも称する)をHV-ECU300へ出力する。また、ナビECU350は、HMI装置330への操作により目的地が入力され、その目的地の情報をHMI装置330から受けると、先読み情報をHV-ECU300へ出力する。図1の一点鎖線枠に示すように、本実施の形態におけるHV-ECU300およびナビECU350によって本開示の「制御装置」が構成される。
【0056】
地図情報DBには、地図情報が記憶されている。地図情報は、交差点や行き止まり等を示す「ノード」、ノード同士を接続して構成される「リンク」、およびリンク沿いにある「施設」(建物や駐車場等)に関するデータを含む。また、地図情報は、各ノードの位置情報、各リンクの距離情報、各リンクに含まれる道路種別情報(市街地、細街路、高速道路、一般道路などの情報)、各リンクの負荷情報(制限速度等から算出可能なリンクにおける平均車速を含む速度情報、平均車速でリンクを走行するために要する平均走行パワーを含むパワー情報、および、リンクにおける平均勾配を含む勾配情報、等)、各リンクの規制情報(後述する規制区間の有無を示す情報)等を含む。なお、地図情報は、地図情報DBから読み出すことで取得される情報に限定されるものではなく、地図情報DBから取得される情報に加えてまたは代えて、外部データベースとの通信により、逐次、取得されるものであってもよい。
【0057】
位置検出装置360は、たとえば、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(電波)に基づいて車両1の現在地を取得し、車両1の現在地を示す信号をナビECU350へ出力する。なお、車両1の現在地を取得する方法としては、GPS衛星以外で位置検出が可能な衛星等を利用して現在地を取得する方法であってもよいし、あるいは、携帯基地局や無線LAN(Local Area Network)のアクセスポイントとの所定情報の授受により現在地を取得する方法であってもよい。
【0058】
交通情報受信装置370は、所定の道路交通情報を受信する。所定の道路交通情報は、たとえば、FM多重放送等によって提供されている道路交通情報、および、プローブ車両あるいはプローブセンターから収集した道路交通情報を含む。この道路交通情報は、少なくとも渋滞情報を含み、その他道路規制情報や駐車情報等も含み得る。この道路交通情報は、たとえば、数分おきに更新される。
【0059】
モード選択スイッチ380は、複数の制御モードのうちのいずれかの制御モードの選択が可能に構成される。複数の制御モードについては、後述する。モード選択スイッチ380は、ユーザに操作を受け付けると、操作されたことを示す信号をHV-ECU300に送信する。
【0060】
本実施の形態において、車両1は、複数の制御モードのうちのいずれかの制御モードに従ってHV-ECU300により制御される。複数の制御モードは、CD(Charge Depleting)モードとCS(Charge Sustaining)モードとを含む。CDモードは、可能な限りエンジン14を停止させた状態でバッテリ100の放電電力を用いて車両1の電動走行を継続して、バッテリ100に蓄電された電力を消費する制御モードである。CSモードは、CDモードよりもエンジン14を起動しやすくして、エンジン14と第1MG10と第2MG12とを用いてバッテリ100を充放電することによりバッテリ100の残量(SOC)を所定の範囲で維持しつつ車両1を走行させる制御モードである。
【0061】
HV-ECU300は、たとえば、制御モードとしてCDモードおよびCSモードのうちのいずれかが割り当てられる場合には、割り当てられた制御モードに応じてエンジン14、バッテリ100、第1MG10および第2MG12を制御する。
【0062】
HV-ECU300は、たとえば、走行予定経路が設定されていない場合(すなわち、目的地が設定されていない場合)には、バッテリ100のSOCが所定値を下回るまではCDモードに従ってエンジン14、第1MG10および第2MG12を制御する。すなわち、HV-ECU300は、エンジン14を停止した状態で第2MG12を用いて電動走行を行なう。所定値は、バッテリ100の劣化が促進しないように設定された値であり、たとえば、バッテリ100の蓄電量の下限値に規定値を加算した値に対応するSOCを示す値である。所定値は、たとえば、バッテリ100の仕様、実験結果およびシミュレーション結果等に基づいて予め設定される。なお、HV-ECU300は、CDモードの選択中でも、たとえば、アクセルペダルの踏込量が増加するなどして車両1に要求される駆動力が増加する場合には、第1MG10を用いてエンジン14を始動させて、エンジン14と第2MG12とを用いて車両1を走行させてもよい。
【0063】
HV-ECU300は、バッテリ100のSOCが所定値を下回ると、CDモードからCSモードに切り替えて、CSモードに従ってエンジン14、バッテリ100、第1MG10および第2MG12を制御する。すなわち、HV-ECU300は、制御モードの切り替え時のバッテリ100のSOCを基準としてバッテリ100のSOCが所定の範囲内に収まるようにエンジン14の動力を用いて第1MG10により発電しつつ、第2MG12を用いて車両1を走行させる。なお、HV-ECU300は、CSモードの選択中でも、たとえば、バッテリ100のSOCが所定の範囲の上限値を超える場合には、エンジン14を停止状態にして第2MG12を用いて電動走行を行なう場合がある。
【0064】
また、HV-ECU300は、たとえば、モード選択スイッチ380に対してCSモードを要求する操作が行なわれたときには、制御モードとしてCSモードを選択する。さらに、HV-ECU300は、たとえば、モード選択スイッチ380に対してCDモードを要求する操作が行なわれる場合には、バッテリ100のSOCが所定値以上であることを条件として、制御モードとしてCDモードを選択する。また、HV-ECU300は、モード選択スイッチ380の操作によってCDモードが選択されているときでも、バッテリ100のSOCが所定値を下回る場合にCDモードからCSモードに切り替える。
【0065】
<走行支援制御>
HV-ECU300は、走行予定経路が設定されている場合(目的地が設定されている場合)には、現在地から目的地までの走行計画を設定し、走行計画に従ってCDモードとCSモードとを切り替えて車両1を走行させる走行支援制御を実行する。
【0066】
具体的には、ナビECU350は、ユーザによって目的地が設定された場合、および、目的地が設定されてから所定の周期(たとえば数分)が経過した場合に、車両1の現在地から目的地までの走行予定経路を設定する。ナビECU350は、たとえば、走行距離や高速道路の利用の有無や渋滞の有無等の条件に対応した走行予定経路を設定する。ナビECU350は、走行予定経路が設定されると、車両1の現在地から目的地までの走行予定経路を構成する複数の走行区間についての情報を含む先読み情報をHV-ECU300に送信する。HV-ECU300は、ナビECU350から先読み情報を取得すると、先読み情報に含まれる目的地までの走行予定経路を構成する複数の走行区間の各々に対してCDモードとCSモードとのうちのいずれかの制御モードを割り当てることによって走行計画を設定する。本実施の形態において、HV-ECU300は、たとえば、走行予定経路上の上述のノードを走行区間の区切りとし、上述のリンクを走行区間として走行予定経路を複数の走行区間に区分するものとする。
【0067】
HV-ECU300は、ナビECU350において更新された先読み情報を取得し、取得された先読み情報に基づいて走行予定経路を構成する複数の走行区間の各々で消費される消費エネルギーEnを算出する。HV-ECU300は、先読み情報に含まれる負荷情報(速度情報、パワー情報、勾配情報)、道路種別情報、渋滞の有無についての情報および/または距離情報等を用いて複数の走行区間の各々で消費される消費エネルギーEnを算出する。HV-ECU300は、先読み情報に加えて車両1の乗員数に基づく車両重量等を用いて各走行区間で消費される消費エネルギーEnを算出してもよい。消費エネルギーEnは、たとえば、車両1が制限速度相当の車速あるいは渋滞時の速度相当の車速で対象となる走行区間を走破するのに必要となるエネルギーを示す。
【0068】
HV-ECU300は、たとえば、車両1が目的地に到達する時点でバッテリ100のSOCが所定値を下回るように複数の走行区間の各々に対してCDモードおよびCSモードのうちのいずれかを割り当てる。すなわち、HV-ECU300は、目的地に到達した際に、バッテリ100の電力を使い切るように走行計画を設定する。なお、バッテリ100の電力を使い切るとは、たとえば、バッテリ100のSOCを所定値以下にすることを意味する。
【0069】
より詳細には、ナビECU350から先読み情報を受信した場合(目的地が設定された場合または所定の周期が経過した場合)、HV-ECU300は、たとえば、走行予定経路に含まれる各走行区間の消費エネルギーEnの総和(以下「総消費エネルギー」とも称する)Esumを算出する。HV-ECU300は、走行予定経路の走行区間に回生区間が含まれる場合には、回生区間における回生電力量を考慮して総消費エネルギーEsumを算出する。回生区間は、走行に要するバッテリ100の電力量よりも、回生電力量の方が大きくなることが予測される走行区間である。さらに、HV-ECU300は、バッテリ100の現在の蓄電量と、所定値との差分に相当するエネルギー(以下「バッテリ残量」とも称する)Bを算出する。
【0070】
HV-ECU300は、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEsumよりも大きい場合には、全ての走行区間にCDモードを割り当てる。一方、HV-ECU300は、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEsum以下である場合には、各走行区間に対して予め設定されている優先度に基づいて、優先度の高い走行区間から順にCDモードを割り当てる。HV-ECU300は、CDモードを割り当てる走行区間の総消費エネルギーEcdがバッテリ残量Bを上回るまでCDモードを割り当てる。HV-ECU300は、CDモードを割り当てらることができなかった走行区間に対してCSモードを割り当てる。このようにして、HV-ECU300は、走行予定経路に含まれる複数の走行区間にCDモードおよびCSモードのいずれかの制御モードを割り当てて、走行計画を設定する。
【0071】
図2は、各走行区間に対して設定される優先度を説明するための図である。走行区間には、走行計画の設定において、CDモードを割り当てる優先順位を示す優先度が予め設定されている。図2においては、優先度0から優先度4、優先度N、優先度N+1を例示している。番号の小さい優先度が設定された走行区間ほど、優先的にCDモードが割り当てられる。
【0072】
本実施の形態においては、規制区間には、優先度0が設定されている。規制区間には、たとえば、エンジンの作動が禁止されている走行区間、Euro1~6の排出ガス規制が設定されている走行区間、自動車NOx/PM法の排出ガス規制が設定されている走行区間、等が含まれる。なお、本実施の形態においては、規制区間に含まれる上記の3つの走行区間に優先度0を設定しているが、さらに細分化して優先度を設定してもよい。たとえば、優先度0を優先度0-A,0-B,0-C(0-A→0-B→0-Cの順に優先度が高い)に細分化し、エンジンの作動が禁止されている走行区間に優先度0-Aを設定し、Euro1~6の排出ガス規制が設定されている走行区間に優先度0-Bを設定し、自動車NOx/PM法の排出ガス規制が設定されている走行区間に優先度0-Cを設定してもよい。
【0073】
道路外区間には、優先度1が設定されている。道路外区間は、道路種別情報が道路外の走行区間であり、駐車場等の低車速かつ低負荷が想定される走行区間である。低負荷区間には、優先度2が設定されている。低負荷区間は、道路種別情報が高速道路ではなく、かつ、区間を走行するために要する平均走行パワーが渋滞区間の平均走行パワー未満である走行区間である。渋滞区間には、優先度3が設定されている。渋滞区間は、走行区間の渋滞度が、予め定められた渋滞閾値以上の走行区間である。細街路区間には、優先度4が設定されている。細街路区間は、道路種別情報が細街路である走行区間である。非支援区間には、優先度Nが設定されている。非支援区間は、優先度が設定されている走行区間のいずれにも属さない走行区間である。高負荷区間には、優先度N+1が設定されている。高負荷区間は、道路種別情報が高速道路であること、および、平均走行パワーが予め定められた高負荷走行パワーよりも大きいこと、の少なくともいずれかを満たす走行区間である。
【0074】
なお、以下においては、優先度1から優先度N-1までの優先度が設定された走行区間を「CD優先区間」と称する場合がある。また、優先度N以降の優先度が設定された走行区間を「CD優先区間以外の区間」と称する場合がある。なお、各走行区間への優先度の設定、並びに、規制区間、CD優先区間およびCD優先区間以外の区間の設定は、上記の例に限られるものではなく、適宜設定することができる。なお、本実施の形態に係る規制区間は、本開示の「第1区間」の一例に相当する。また、本実施の形態に係るCD優先区間は、本開示の「第2区間」の一例に相当する。また、本実施の形態に係るCD優先区間以外の区間は、本開示の「第3区間」の一例に相当する。
【0075】
HV-ECU300は、優先度に従って走行計画を設定することにより、高い優先度が設定された走行区間の制御モードにCDモードを割り当てることができる。規制区間においては、エンジン14を作動させずに走行することが重要であるが、規制区間に優先度0が設定されていることにより、規制区間にCDモードを割り当てた走行計画を設定することができる。
【0076】
しかしながら、走行計画におけるバッテリ100の電力消費と実際のバッテリ100の電力消費とには差異が生じ得る。規制区間よりも手前に位置する走行区間で想定以上の電力が消費された場合、バッテリ100の電力が枯渇して規制区間でエンジン14が作動してしまう可能性がある。
【0077】
そこで、本実施の形態においては、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合、バッテリ100の電力の消費を抑制するための抑制処理(第1設定処理)を実行し、規制区間でエンジン14が作動することを抑制する。第1設定処理において、HV-ECU300は、走行計画の設定において、高い優先度が設定された規制区間、CD優先区間、CD優先区間以外の区間の順にCDモードを割り当てていく。CD優先区間においては、優先度に従って、道路外区間、低負荷区間、渋滞区間、細街路区間、・・・の順にCDモードを割り当てていく。CD優先区間以外の区間のにおいても、優先度に従って、非支援区間、高負荷区間、・・・の順にCDモードを割り当てていく。上記の順で各走行区間にCDモードを割り当てていく中で、HV-ECU300は、バッテリ残量BがCDモードを割り当てた走行区間の総消費エネルギーEcdを下回ると、CDモードの割り当てを終える。ここで、HV-ECU300は、最後にCDモードを割り当てた走行区間の制御モードに、CSモードを再度割り当てる。最後にCDモードを割り当てた走行区間の制御モードに、CSモードを再度割り当てることにより、当該再度の割り当てを行なわない場合に比べて、走行計画においてCSモードが割り当てられた走行区間が1つ増える。それゆえに、走行計画におけるバッテリ100の電力に余力が生まれて、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇することを抑制することができる。
【0078】
HV-ECU300は、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合に限り、第1設定処理を実行する。目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれない場合には、HV-ECU300は、バッテリ100の電力を使い切るように走行計画を設定するので、バッテリ100の電力を極力使用して車両1を走行させることができ、車両1のランニングコストを抑制することができる。目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合には、HV-ECU300は、バッテリ100の電力を余らせるように走行計画を設定するので、バッテリ100の電力が枯渇して規制区間でエンジン14が作動することを抑制することができる。なお、バッテリ100の電力を余らせるとは、たとえば、バッテリ100のSOCを所定値より大きくすることを意味する。
【0079】
以下、HV-ECU300が実行するフローチャートを参照しながら、走行支援制御について具体的に説明する。
【0080】
<HV-ECUで実行される処理>
図3は、走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、HV-ECU300において車両1の起動とともに開始される。図3および後述の図4および図5に示す各ステップ(以下ステップを「S」と略す)は、HV-ECU300によるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がHV-ECU300内に作製されたハードウェア(電子回路)によって実現されてもよい。
【0081】
S1において、HV-ECU300は、走行支援制御を実行するか否かを判断するための支援条件が成立したか否かを判断する。支援条件は、たとえば、目的地が設定されて、目的地までの走行予定経路が設定されているという条件が適用される。すなわち、支援条件が成立したか否かは、ナビECU350から先読み情報を受信したか否かにより判断することができる。支援条件には、上記の条件に加えて、あるいは代えて、たとえば、車両1のシステムに異常が発生していないという条件が適用されてもよい。さらに、支援条件には、バッテリ100のSOCが規定値以上であるという条件や、オンルートを走行しているという条件が適用されてもよい。
【0082】
支援条件が成立していない場合には(S1においてNO)、HV-ECU300は、支援条件の成立を待つ。支援条件が成立した場合には(S1においてYES)、HV-ECU300は、処理をS2へ進める。支援条件が成立すると、後述のS10における終了条件が成立するまで、S2からS10の処理が所定の周期毎(たとえば、数分間隔毎)に繰り返し実行される。HV-ECU300は、S2の処理の実行とともにカウントを開始し、所定の周期が経過する毎にカウントをリセットする。
【0083】
S2において、HV-ECU300は、ナビECU350から先読み情報を受信したか否かを判断する。先読み情報を受信していない場合には(S2においてNO)、HV-ECU300は、先読み情報を受信するのを待つ。一方、先読み情報を受信した場合には(S2においてYES)、HV-ECU300は、処理をS3へ進める。
【0084】
S3において、HV-ECU300は、先読み情報に含まれる各種の情報に基づいて、走行予定経路を構成する複数の走行区間の各々の消費エネルギーEnを算出する。また、HV-ECU300は、各走行区間の消費エネルギーEnの総和である総消費エネルギーEsumを算出する。
【0085】
S4において、HV-ECU300は、走行予定経路の全ての走行区間にCDモードを割り当てることができるか否かを判断する。具体的には、HV-ECU300は、現在のバッテリ100のSOCに基づいて、バッテリ残量Bを算出する。そして、HV-ECU300は、バッテリ残量Bにマージンαを加算した値と、S3で算出した総消費エネルギーEsumとを比較する。マージンαは、目的地に到着した際にバッテリ100の電力を使い切ることを意図してバッテリ残量Bに加算される。マージンαは、たとえば、車両1およびバッテリ100の仕様に基づいて決定したり、実験やシミュレーションの結果に基づいて決定することができる。なお、マージンαの値は、ゼロとすることも可能である。B+α≧Esumが成立する場合、すなわち、バッテリ残量Bにマージンαを加算した値が総消費エネルギーEsum以上である場合には(S4においてNO)、HV-ECU300は、処理をS5へ進める。一方、B+α<Esumが成立する場合、すなわち、バッテリ残量Bにマージンαを加算した値が総消費エネルギーEsum未満である場合には(S4においてYES)、HV-ECU300は、処理をS6へ進める。
【0086】
S5において、B+α≧Esumが成立する場合には、走行予定経路の全ての走行区間にCDモードを割り当てることができるので、HV-ECU300は、全ての走行区間にCDモードを割り当てる。そして、HV-ECU300は、処理をS9へ進める。
【0087】
S6において、HV-ECU300は、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれているか否かを判断する。走行予定経路に規制区間が含まれている場合には(S6においてYES)、HV-ECU300は、処理をS7へ進める。一方、走行予定経路に規制区間が含まれていない場合には(S6においてNO)、HV-ECU300は、処理をS8へ進める。
【0088】
図4は、S7の第1設定処理の手順を示すフローチャートである。
S701において、HV-ECU300は、制御モード(CDモードまたはCSモード)が未割り当ての規制区間のうち、現在地から最も近い規制区間にCDモードを割り当てる。
【0089】
S703において、HV-ECU300は、バッテリ残量BがCDモードを割り当てた走行区間の総消費エネルギーEcd以上であるか否かを判断する。バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd以上であれば(S703においてYES)、バッテリ残量Bに余力があり、制御モードが未割り当ての他の走行区間にCDモードを割り当てられるため、HV-ECU300は、処理をS705へ進める。一方、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd未満であれば(S703においてNO)、これ以上他の走行区間にCDモードを割り当てられないので、HV-ECU300は、処理をS721へ進める。
【0090】
S705において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当ての規制区間があるか否かを判断する。制御モードが未割り当ての規制区間がある場合には(S705においてYES)、HV-ECU300は、処理をS701へ返し、制御モードが未割り当ての規制区間にCDモードを割り当てる。一方、制御モードが未割り当ての規制区間がない場合、すなわち、走行予定経路の全ての規制区間にCDモードを割り当てた場合には(S705においてNO)、HV-ECU300は、処理をS707へ進める。
【0091】
S707において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当てのCD優先区間のうち、最も優先度が高い走行区間にCDモードを割り当てる。同じ優先度が設定された走行区間(CD優先区間)が複数ある場合には、現在地から最も近いCD優先区間を選択し、当該CD優先区間にCDモードを割り当てる。
【0092】
S709において、HV-ECU300は、バッテリ残量BがCDモードを割り当てた走行区間の総消費エネルギーEcd以上であるか否かを判断する。バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd以上であれば(S709においてYES)、HV-ECU300は、処理をS711へ進める。一方、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd未満であれば(S709においてNO)、HV-ECU300は、処理をS719へ進める。
【0093】
S711において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当てのCD優先区間があるか否かを判断する。制御モードが未割り当てのCD優先区間がある場合には(S711においてYES)、HV-ECU300は、処理をS707へ返し、制御モードが未割り当てのCD優先区間にCDモードを割り当てる。一方、制御モードが未割り当てのCD優先区間がない場合、すなわち、走行予定経路の全てのCD優先区間にCDモードを割り当てた場合には(S711においてNO)、HV-ECU300は、処理をS713へ進める。
【0094】
S713において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当てのCD優先区間以外の区間のうち、最も負荷が低い走行区間にCDモードを割り当てる。同じ負荷の走行区間(CD優先区間以外の区間)が複数ある場合には、最も優先度が高い走行区間を選択し、当該区間にCDモードを割り当てる。優先度も同じである場合には、現在地から最も近い走行区間を選択してもよい。なお、S713において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当てのCD優先区間以外の区間のうち、最も優先度が高い走行区間にCDモードを割り当ててもよく、同じ優先度が設定された走行区間が複数ある場合には、負荷が最も低い走行区間を選択し、当該区間にCDモードを割り当てるようにしてもよい。
【0095】
S715において、HV-ECU300は、バッテリ残量BがCDモードを割り当てた走行区間の総消費エネルギーEcd以上であるか否かを判断する。バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd以上であれば(S715においてYES)、HV-ECU300は、処理をS717へ進める。一方、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd未満であれば(S715においてNO)、HV-ECU300は、処理をS719へ進める。
【0096】
S717において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当ての走行区間があるか否かを判断する。制御モードが未割り当ての走行区間がある場合には(S717においてYES)、HV-ECU300は、処理をS713へ返し、制御モードが未割り当ての走行区間にCDモードを割り当てる。一方、制御モードが未割り当ての走行区間がない場合、すなわち、走行予定経路の全ての走行区間にCDモードを割り当てた場合には(S717においてNO)、HV-ECU300は、第1設定処理を終える。
【0097】
S719において、HV-ECU300は、S701からS719の処理によって最後にCDモードを割り当てた走行区間の制御モードに、CSモードを再度割り当てる。すなわち、HV-ECU300は、最後にCDモードを割り当てた走行区間の制御モードをCDモードからCSモードに変更する。
【0098】
S721において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当ての全ての走行区間に、CSモードを割り当てる。そして、HV-ECU300は、第1設定処理を終える。
【0099】
このように、第1設定処理においては、S719の処理によって、最後にCDモードが割り当てられた走行区間の制御モードがCDモードからCSモードに変更される。これによって、バッテリ100の電力に余力が生まれるので、この走行計画に従って制御モードを切り替えることにより、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇することを抑制することができる。
【0100】
図5は、S8の第2設定処理の手順を示すフローチャートである。
S801において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当てのCD優先区間のうち、最も優先度が高い走行区間にCDモードを割り当てる。同じ優先度が設定された走行区間(CD優先区間)が複数ある場合には、現在地から最も近いCD優先区間を選択し、当該CD優先区間にCDモードを割り当てる。
【0101】
S803において、HV-ECU300は、バッテリ残量BがCDモードを割り当てた走行区間の総消費エネルギーEcd以上であるか否かを判断する。バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd以上であれば(S803においてYES)、バッテリ残量Bに余力があり、制御モードが未割り当ての他の走行区間にCDモードを割り当てられるため、HV-ECU300は、処理をS805へ進める。一方、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd未満であれば(S803においてNO)、これ以上他の走行区間にCDモードを割り当てられないので、HV-ECU300は、処理をS813へ進める。
【0102】
S805において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当てのCD優先区間があるか否かを判断する。制御モードが未割り当てのCD優先区間がある場合には(S805においてYES)、HV-ECU300は、処理をS801へ返し、制御モードが未割り当てのCD優先区間にCDモードを割り当てる。一方、制御モードが未割り当てのCD優先区間がない場合、すなわち、走行予定経路の全てのCD優先区間にCDモードを割り当てた場合には(S805においてNO)、HV-ECU300は、処理をS807へ進める。
【0103】
S807において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当てのCD優先区間以外の区間のうち、最も負荷が低い走行区間にCDモードを割り当てる。同じ負荷の走行区間(CD優先区間以外の区間)が複数ある場合には、最も優先度が高い走行区間を選択し、当該走行区間にCDモードを割り当てる。優先度も同じである場合には、現在地から最も近い走行区間を選択してもよい。なお、S807において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当てのCD優先区間以外の区間のうち、最も優先度が高い走行区間にCDモードを割り当ててもよく、この場合において、同じ優先度が設定された走行区間が複数ある場合には、負荷が最も低い走行区間を選択し、当該走行区間にCDモードを割り当てるようにしてもよい。
【0104】
S809において、HV-ECU300は、バッテリ残量BがCDモードを割り当てた走行区間の総消費エネルギーEcd以上であるか否かを判断する。バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd以上であれば(S809においてYES)、HV-ECU300は、処理をS811へ進める。一方、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd未満であれば(S809においてNO)、HV-ECU300は、処理をS813へ進める。
【0105】
S811において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当ての走行区間があるか否かを判断する。制御モードが未割り当ての走行区間がある場合には(S811においてYES)、HV-ECU300は、処理をS807へ返し、制御モードが未割り当ての走行区間にCDモードを割り当てる。一方、制御モードが未割り当ての走行区間がない場合、すなわち、走行予定経路の全ての走行区間にCDモードを割り当てた場合には(S811においてNO)、HV-ECU300は、第2設定処理を終える。
【0106】
S813において、HV-ECU300は、制御モードが未割り当ての全ての走行区間に、CSモードを割り当てる。そして、HV-ECU300は、第2設定処理を終える。
【0107】
このように、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれない場合には、第2設定処理が実行されて、バッテリ100の電力を使い切るように走行計画が設定される。これにより、バッテリ100の電力を極力使用して車両1が走行されるので、車両1のランニングコストを抑制することができる。
【0108】
再び図3を参照し、S5、S7またはS8において走行計画が設定されると、HV-ECU300は、S9の処理を実行する。
【0109】
S9において、HV-ECU300は、S5、S7またはS8において設定された走行計画に従って制御モードを選択して、車両1の走行を制御する。HV-ECU300は、S9の処理を実行しながら、S10の処理を実行して終了条件の成立を監視する。なお、HV-ECU300は、所定の周期が経過するか、後述の終了条件が成立するまでS9の処理を継続する。
【0110】
S10において、HV-ECU300は、終了条件が成立したか否かを判断する。終了条件は、たとえば、目的地に到着したという条件、車両1のユーザが目的地への経路案内を消去したという条件、車両システムに異常が発生したという条件を含む。つまり、目的地に到着した場合、目的地への経路案内が消去された場合、または、車両システムに異常が発生した場合に、終了条件が成立する。終了条件が成立していない場合には(S10においてNO)、HV-ECU300は、所定の周期が経過するまで終了条件の成立の監視を継続し、所定の周期が経過とともに、処理をS2へ返す。一方、終了条件が成立した場合には(S10においてYES)、HV-ECU300は、処理を終了させる。
【0111】
なお、目的地の変更や、目的地の再設定等が行なわれた場合には、ナビECU350からの制御信号がHV-ECU300へ出力される。この場合、HV-ECU300は、所定の周期に関係なく、即時S2へ処理を移して、走行計画を設定する。
【0112】
以上のように、実施の形態1に係る走行支援制御においては、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合、バッテリ100の電力の消費を抑制するための抑制処理(第1設定処理)を実行して走行計画を設定し、規制区間でエンジン14が作動することを抑制する。具体的には、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合の走行計画を設定する第1設定処理において、バッテリ残量BがCDモードを割り当てる走行区間の総消費エネルギーEcdを下回るまで走行区間にCDモードを割り当てる。そして、最後にCDモードを割り当てた走行区間の制御モードにCSモードを再度割り当てる。最後にCDモードを割り当てた走行区間の制御モードに、CSモードを再度割り当てることにより、当該再度の割り当てを行なわない場合に比べて、走行計画においてCSモードが割り当てられた走行区間が1つ増える。これにより、バッテリ100の電力の消費が抑制されて、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇することを抑制することができる。なお、本実施の形態に係る「第1設定処理」は、本開示の「第1処理」の一例に相当する。
【0113】
さらに、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれない場合には、第2設定処理が実行されて、バッテリ100の電力を使い切るように走行計画が設定される。これにより、バッテリ100の電力を極力使用して車両1が走行されるので、車両1のランニングコストを抑制することができる。
【0114】
[実施の形態2]
実施の形態1では、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合に、バッテリ100の電力の消費を抑制するための抑制処理としての第1設定処理を実行して走行計画を設定することにより、規制区間でのバッテリ100の電力の枯渇を抑制する例について説明した。実施の形態2では、バッテリ100の電力の消費を抑制するための抑制処理として、走行支援制御を中断させる中断処理を実行して、規制区間でのバッテリ100の電力の枯渇を抑制する例を説明する。なお、実施の形態2に係る中断処理は、本開示の「第2処理」の一例に相当する。
【0115】
図1を参照し、実施の形態2に係る車両1Aは、実施の形態1に係る車両1に対して、HV-ECU300をHV-ECU300Aに変更したものである。車両1Aのその他の構成については、車両1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0116】
実施の形態2に係るHV-ECU300Aは、中断条件が成立すると、解除条件が成立するまで走行支援制御を中断させる。中断条件は、バッテリ100の電力消費量を精度よく予測することが困難であると想定される場合に成立する。具体的には、中断条件は、たとえば、(1)道路外区間に侵入したという条件、および/または、(2)バッテリ100の温度TBが閾温度以下になったという条件を含む。つまり、車両1が走行予定経路に含まれない道路外区間に侵入した場合、または、バッテリ100の温度が閾温度以下になった場合に、中断条件が成立する。道路外区間においては、バッテリ100の電力の消費量を予測することが難しい場合がある。また、バッテリ100の温度TBが閾温度未満であると、バッテリ100の充放電効率が低下し、バッテリ100の電力の消費量を予測することが難しい場合がある。バッテリ100の電力の消費量を予測することが難しい場合を中断条件とすることにより、想定を超えるバッテリ100の電力消費を抑制することができる。なお、実施の形態1における図2の説明では、道路外区間は優先度1が設定される走行区間として説明したが、上記(1)が中断条件に含まれる場合には、道路外区間には優先度が設定されない。なお、中断条件には、(3)CDモードでの走行中にエンジン14が一定時間(たとえば、数分間)継続して作動したという条件が含まれてもよい。
【0117】
走行支援制御を中断中(つまり、目的地経路が設定されており、かつ、中断条件が成立している間)には、HV-ECU300Aは、中断処理を実行する。具体的には、走行支援制御を中断中において、HV-ECU300Aは、制御周期毎に、現在地から目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれるか否かを判断する。そして、この先の走行予定経路に規制区間が含まれていなければ、HV-ECU300Aは、制御モードをCDモードにして車両1を制御する。この先の走行予定経路に規制区間が含まれていれば、HV-ECU300Aは、現在走行中の走行区間が規制区間であるか否かを判断する。現在走行中の走行区間が規制区間でなければ、HV-ECU300Aは、制御モードをCSモードにして車両1を制御する。現在走行中の走行区間が規制区間であれば、HV-ECU300Aは、制御モードをCDモードにして車両1を制御する。
【0118】
纏めると、走行支援制御の中断中において、HV-ECU300Aは、この先の走行予定経路に規制区間が含まれており、かつ、現在走行中の走行区間が規制区間でなければ、制御モードをCSモードにして車両1を制御する。これにより、現在の走行区間でのバッテリ100の電力消費を抑制し、この先の走行予定経路の規制区間でバッテリ100の電力が枯渇することを抑制することができる。また、走行支援制御の中断中において、HV-ECU300Aは、この先の走行予定経路に規制区間が含まれており、かつ、現在走行中の走行区間が規制区間であれば、制御モードをCDモードにして車両1を制御する。これにより、規制区間でエンジン14が作動することを抑制することができる。走行支援制御の中断中において、HV-ECU300Aは、この先の走行予定経路に規制区間が含まれていなければ、制御モードをCDモードにして車両1を制御する。これにより、バッテリ100の電力を極力使用して車両1を走行させることができるので、車両1のランニングコストを抑制することができる。
【0119】
<HV-ECUで実行される処理>
図6は、実施の形態2における走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、HV-ECU300Aにおいて車両1の起動とともに開始される。図6および後述の図7図8に示す各ステップは、HV-ECU300Aによるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がHV-ECU300A内に作製されたハードウェア(電子回路)によって実現されてもよい。
【0120】
図6のフローチャートは、図3のフローチャートに対して、S7をS21に代え、S9をS30に代えたものである。図6のフローチャートのその他の処理は、図3のフローチャートの処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0121】
走行予定経路の全ての走行区間にCDモードを割り当てることができず(S4においてYES)、かつ、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれている場合(S6においてYES)、HV-ECU300Aは、処理をS21へ進めて第3設定処理を実行する。
【0122】
図7は、S21の第3設定処理の手順を示すフローチャートである。第3設定処理は、図4の第1設定処理に対して、S719の処理を省略したものである。すなわち、第3設定処理では、バッテリ残量Bが、CDモードを割り当てる走行区間の総消費エネルギーEcd未満となるまで走行区間にCDモードを割り当てて、バッテリ100の電力を余らせないように走行計画を設定する。図7のフローチャートの各ステップの処理は図4で説明したとおりであるため、図4のフローチャートと同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0123】
再び図6を参照し、S5、S8またはS21において走行計画が設定されると、HV-ECU300は、S30の処理を実行する。S30において、HV-ECU300は、S5、S8またはS21において設定された走行計画に従って制御モードを選択して、車両1Aを制御する。
【0124】
図8は、S30の処理の詳細を示すフローチャートである。図8におけるS32からS36の処理が中断処理に相当する。
【0125】
S31において、HV-ECU300Aは、中断条件が成立したか否かを判断する。中断条件が成立していない場合には(S31においてNO)、HV-ECU300Aは、処理をS37へ進める。一方、中断条件が成立している場合には(S31においてYES)、HV-ECU300Aは、処理をS32へ進める。
【0126】
S32において、HV-ECU300Aは、この先の走行予定経路に規制区間が含まれているか否かを判断する。この先の走行予定経路に規制区間が含まれていれば(S32においてYES)、HV-ECU300Aは、処理をS33へ進める。この先の走行予定経路に規制区間が含まれていなければ(S32においてNO)、HV-ECU300Aは、処理をS34へ進める。
【0127】
S33において、HV-ECU300Aは、現在走行中の走行区間が規制区間であるか否かを判断する。現在走行中の走行区間が規制区間であれば(S33においてYES)、HV-ECU300Aは、処理をS34へ進める。現在走行中の走行区間が規制区間でなければ(S33においてNO)、HV-ECU300Aは、処理をS35へ進める。
【0128】
S34において、HV-ECU300Aは、制御モードをCDモードに設定して、エンジン14、第1MG10および第2MG12を制御する。
【0129】
S35において、HV-ECU300Aは、制御モードをCSモードに設定して、エンジン14、第1MG10および第2MG12を制御する。
【0130】
S36において、HV-ECU300Aは、解除条件が成立したか否かを判断する。解除条件は、中断されている走行支援制御を再開するための条件である。解除条件は、成立している中断条件によって条件が異なる。たとえば、(1)道路外区間に侵入したという中断条件が成立している場合には、道路外区間から抜けることが解除条件となる。たとえば、(2)バッテリ100の温度TBが閾温度以下になったという中断条件が成立している場合には、バッテリ100の温度TBが閾温度より大きくなることが解除条件となる。たとえば、(3)CDモードでの走行中にエンジン14が一定時間継続して作動したという中断条件が成立している場合には、エンジン14の停止が解除条件となる。解除条件が成立していない場合には(S36においてNO)、HV-ECU300Aは、処理をS32へ返す。一方、解除条件が成立している場合には(S36においてYES)、HV-ECU300Aは、処理をS37へ進める。
【0131】
S37において、HV-ECU300Aは、走行計画に従って制御モードを選択し、選択された制御モードに従ってエンジン14、第1MG10および第2MG12を制御する。
【0132】
以上のように、実施の形態2に係る走行支援制御においては、中断条件が成立した場合に、バッテリ100の電力の消費を抑制するための抑制処理として、走行支援制御を中断させる中断処理を実行して、規制区間でのバッテリ100の電力の枯渇を抑制する。走行支援制御の中断中において、現在地から目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれていれば、現在走行中の走行区間が規制区間でない限り、制御モードをCSモードにして、車両1の制御が行なわれる。これにより、現在の走行区間でのバッテリ100の電力消費を抑制し、この先の走行予定経路に規制区間でバッテリ100の電力が枯渇することを抑制することができる。また、走行支援制御の中断中において、現在地から目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれており、かつ、現在走行中の走行区間が規制区間であれば、制御モードをCDモードにして、車両1の制御が行なわれる。よって、規制区間でエンジン14が作動することを抑制することができる。走行支援制御の中断中において、現在地から目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれていなければ、制御モードをCDモードにして、車両1の制御が行なわれる。これにより、バッテリ100の電力を極力使用して車両1を走行させることができ、車両1のランニングコストを抑制することができる。
【0133】
[変形例1]
実施の形態1および実施の形態2を組み合わせることも可能である。具体的には、(1)走行予定経路の全ての走行区間にCDモードを割り当てることができず、かつ、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれている場合に第1設定処理を実行しつつ、(2)中断条件が成立した場合に中断処理を実行するようにしてもよい。走行支援制御の中断中には、現在地から目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれていれば、現在走行中の走行区間が規制区間でない限り、CSモードで走行するように走行制御を行なってもよい。
【0134】
図9は、変形例1における走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。図9のフローチャートの各処理の内容は、実施の形態1,2で説明した処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。
【0135】
変形例1によれば、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合には、第1設定処理により、バッテリ100の電力を余らせるように走行計画を設定して、規制区間でエンジン14が作動することを抑制する。さらに、中断条件が成立すると、走行支援制御を中断させる中断処理が実行される。走行支援制御の中断中において、現在地から目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれていれば、現在走行中の走行区間が規制区間でない限り、制御モードをCSモードにして、車両1の制御が行ない、この先の規制区間でバッテリ100の電力が枯渇することを抑制する。ゆえに、変形例1によれば、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇することをより抑制することができる。
【0136】
[実施の形態3]
実施の形態1では、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合に、バッテリ100の電力の消費を抑制するための抑制処理としての第1設定処理を実行して走行計画を設定することにより、規制区間でのバッテリ100の電力の枯渇を抑制する例について説明した。実施の形態2では、バッテリ100の電力の消費を抑制するための抑制処理としての中断処理を実行して、規制区間でのバッテリ100の電力の枯渇を抑制する例について説明した。実施の形態3では、総消費エネルギーEsumの算出にあたり、規制区間かつ回生区間である走行区間の消費エネルギーEnをゼロとして算出する算出処理、および、現在地から最も近い規制区間の消費エネルギーEnにマージンβを加算する加算処理を実行することにより、規制区間でのバッテリ100の電力の枯渇を抑制する例について説明する。なお、実施の形態3に係る算出処理は、本開示の「第3処理」の一例に相当する。また、実施の形態3に係る加算処理は、本開示の「第4処理」の一例に相当する。
【0137】
図1を参照し、実施の形態3に係る車両1Bは、実施の形態1に係る車両1に対して、HV-ECU300をHV-ECU300Bに変更したものである。車両1Bのその他の構成については、車両1と同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0138】
HV-ECU300Bは、ナビECU350から先読み情報を受信すると、走行予定経路の各走行区間の消費エネルギーEnを算出し、これらを足し合わせて総消費エネルギーEsumを算出する。走行予定経路に含まれる複数の走行区間には、回生区間が含まれ得る。回生区間は、上述したとおり、走行に要するバッテリ100の電力量よりも、回生電力量の方が大きくなることが予測される走行区間である。
【0139】
実施の形態3に係るHV-ECU300Bは、走行予定経路に規制区間かつ回生区間である走行区間が含まれる場合には、算出処理を実行する。具体的には、HV-ECU300Bは、規制区間かつ回生区間である走行区間の消費エネルギーEnをゼロとして算出する。回生区間における消費エネルギーEnの期待値は負値であるが、これをゼロとして算出することにより、マージンをもたせた総消費エネルギーEsumを算出することができる。換言すれば、HV-ECU300Bは、規制区間かつ回生区間である走行区間の消費エネルギーEnをゼロとすることで、当該走行区間の消費エネルギーEnを大きく見積もり、総消費エネルギーEsumを大きめに算出する。マージンをもたせて総消費エネルギーEsumが算出されているため、目的地に到着した際にバッテリ100の電力を使い切るように走行計画が設定されたとしても、バッテリ100の電力を使い切ることなく目的地に到着する可能性が高くなる。よって、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇し、エンジン14が作動することを抑制することができる。
【0140】
さらに、実施の形態3に係るHV-ECU300Bは、走行計画の設定において、加算処理を実行する。具体的には、HV-ECU300Bは、現在地から最も近い規制区間の消費エネルギーEnにマージンβを加算する。マージンβは、規制区間の消費エネルギーEnに余裕を持たせるために加算される。マージンβは、たとえば、実験やシミュレーションの結果に基づいて定められた固定値であってもよい。また、マージンβは、規制区間の距離や負荷に応じて、走行区間毎に定められた値であってもよい。
【0141】
現在地から最も近い規制区間の消費エネルギーEnにマージンβを加算することにより、当該規制区間の消費エネルギーEnを大きく見積もり、マージンをもたせた総消費エネルギーEsumを算出することができる。マージンをもたせて総消費エネルギーEsumが算出されることで、目的地に到着した際にバッテリ100の電力を使い切るように走行計画が設定されたとしても、バッテリ100の電力を使い切ることなく目的地に到着する可能性が高くなる。よって、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇し、エンジン14が作動することを抑制することができる。
【0142】
<HV-ECUで実行される処理>
図10は、実施の形態3における走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、HV-ECU300Bにおいて車両1の起動とともに開始される。図10および後述の図11図12に示す各ステップは、HV-ECU300Bによるソフトウェア処理によって実現される場合について説明するが、その一部あるいは全部がHV-ECU300B内に作製されたハードウェア(電子回路)によって実現されてもよい。図10におけるS53からS57、S60およびS61の処理が算出処理に相当する。図10におけるS58およびS59の処理が加算処理に相当する。
【0143】
図10のフローチャートのS50およびS51は、図3のフローチャートのS1およびS2と同様の処理であるため、その説明は繰り返さない。HV-ECU300Bは、ナビECU350から先読み情報を受信すると(S51においてYES)、処理をS52へ進める。
【0144】
S52において、HV-ECU300Bは、区間番号iに1を代入する。すなわち、HV-ECU300Bは、現在の走行区間に対して、区間番号i=1を割り当てる。HV-ECU300Bは、走行予定経路に含まれる複数の走行区間の各々に対して、以下のS53からS63の処理を繰り返し実行し、各走行区間の消費エネルギーEn、規制区間の総消費エネルギーEev、および、総消費エネルギーEsumを算出する。
【0145】
S53において、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間が規制区間であるか否かを判断する。区間番号iの走行区間が規制区間でない場合には(S53においてNO)、HV-ECU300Bは、処理をS54へ進める。区間番号iの走行区間が規制区間である場合には(S53においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS55へ進める。
【0146】
S54において、HV-ECU300Bは、先読み情報に含まれる各種の情報に基づいて、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnを算出する。たとえば、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnをEiと算出する。区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnを算出すると、HV-ECU300Bは、処理をS61へ進める。
【0147】
S55において、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間が回生区間であるか否かを判断する。区間番号iの走行区間が回生区間でない場合には(S55においてNO)、HV-ECU300Bは、処理をS56へ進める。区間番号iの走行区間が回生区間である場合には(S55においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS57へ進める。
【0148】
S56において、HV-ECU300Bは、先読み情報に含まれる各種の情報に基づいて、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnを算出する。たとえば、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnをEiと算出する。すなわち、区間番号iの走行区間が規制区間であり、かつ、回生区間でない場合には、HV-ECU300Bは、先読み情報に含まれる各種の情報に基づいて、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnをEiと算出する。HV-ECU300Bは、処理をS58へ進める。
【0149】
S57において、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnをゼロと算出する。すなわち、区間番号iの走行区間が規制区間であり、かつ、回生区間である場合には、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnをゼロと算出する。HV-ECU300Bは、処理をS58へ進める。
【0150】
S58において、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間が現在地から最も近い規制区間であるか否かを判断する。具体的には、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間が、走行予定経路に含まれる規制区間のうち、最も区間番号が小さい規制区間であるか否かを判断する。区間番号iの走行区間が現在地から最も近い規制区間である場合(S58においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS59へ進める。区間番号iの走行区間が現在地から最も近い規制区間でない場合(S58においてNO)、HV-ECU300Bは、S59の処理をスキップして、処理をS60へ進める。
【0151】
S59において、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnにマージンβを加算する。すなわち、HV-ECU300Bは、区間番号iの走行区間が規制区間であり、かつ、現在地から最も近い規制区間である場合には、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnにマージンβを加算する。
【0152】
S60において、HV-ECU300Bは、前回の規制区間の総消費エネルギーEevに、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnを加算して、今回の規制区間の総消費エネルギーEevを算出する。
【0153】
S61において、HV-ECU300Bは、前回の総消費エネルギーEsumに、区間番号iの走行区間の消費エネルギーEnを加算して、今回の総消費エネルギーEsumを算出する。
【0154】
S62において、HV-ECU300Bは、区間番号iに1を加算する。
S63において、HV-ECU300Bは、区間番号iが走行予定経路の最終区間の番号よりも大きいか否かを判断する。区間番号iが最終区間の番号以下である場合(S63においてNO)、HV-ECU300Bは、処理をS53へ返し、S53からS63の処理を実行する。区間番号iが最終区間の番号よりも大きい場合(S63においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS64へ進めて第4設定処理を実行する。
【0155】
図11は、S64の第4設定処理の手順を示すフローチャートである。
S71において、HV-ECU300Bは、走行予定経路の全ての走行区間にCDモードを割り当てることができるか否かを判断する。具体的には、HV-ECU300Bは、バッテリ残量Bにマージンαを加算した値と、総消費エネルギーEsumとを比較する。B+α≧Esumが成立する場合、すなわち、バッテリ残量Bにマージンαを加算した値が総消費エネルギーEsum以上である場合には(S71においてNO)、HV-ECU300Bは、処理をS72へ進める。一方、B+α<Esumが成立する場合、すなわち、バッテリ残量Bにマージンαを加算した値が総消費エネルギーEsum未満である場合には(S71においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS73へ進める。
【0156】
S72において、B+α≧Esumが成立する場合には、走行予定経路の全ての走行区間にCDモードを割り当てることができるので、HV-ECU300Bは、全ての走行区間にCDモードを割り当てる。そして、HV-ECU300Bは、第4設定処理を終える。
【0157】
S73において、HV-ECU300Bは、バッテリ残量Bと、規制区間の総消費エネルギーEevとを比較する。バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEevよりも小さい場合(S73においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS74へ進める。この場合には、全ての規制区間にCDモードを割り当てることができない。一方、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev以上である場合(S73においてNO)、HV-ECU300Bは、処理をS79へ進める。この場合には、全ての規制区間にCDモードを設定することができる。
【0158】
S74において、全ての規制区間にCDモードを割り当てることはできないので、HV-ECU300Bは、まず、規制区間以外の走行区間の制御モードにCSモードを割り当てる。
【0159】
S75において、HV-ECU300Bは、制御モードが未割り当ての規制区間のうち、現在地から最も近い規制区間にCDモードを割り当てる。
【0160】
S76において、HV-ECU300Bは、バッテリ残量BがCDモードを割り当てた走行区間の総消費エネルギーEcd以上であるか否かを判断する。バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd以上であれば(S76においてYES)、バッテリ残量Bに余力があり、他の規制区間にCDモードを割り当てられるため、HV-ECU300Bは、処理をS77へ進める。一方、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd未満であれば(S703においてNO)、これ以上他の規制区間にCDモードを割り当てられないので、HV-ECU300Bは、処理をS78へ進める。
【0161】
S77において、HV-ECU300Bは、制御モードが未割り当ての規制区間があるか否かを判断する。制御モードが未割り当ての規制区間がある場合には(S77においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS75へ返し、制御モードが未割り当ての規制区間にCDモードを割り当てる。一方、制御モードが未割り当ての規制区間がない場合、すなわち、走行予定経路の全ての規制区間にCDモードを割り当てた場合には(S77においてNO)、HV-ECU300Bは、第4設定処理を終える。
【0162】
S78において、HV-ECU300Bは、制御モードが未割り当ての全ての規制区間にCSモードを割り当てる。そして、HV-ECU300Bは、第4設定処理を終える。
【0163】
S79において、HV-ECU300Bは全ての規制区間にCDモードを割り当てる。
S80において、HV-ECU300Bは、制御モードが未割り当ての走行区間のうち、最も優先度が高い走行区間にCDモードを割り当てる。HV-ECU300Bは、まずCD優先区間にCDモードを割り当てていき、バッテリ残量Bに余力がある場合には、CD優先区間以外の区間にもCDモードを割り当てていく。CD優先区間に同じ優先度が設定された走行区間が複数ある場合には、HV-ECU300Bは、その走行区間のうちの現在地から最も近いCD優先区間を選択し、当該CD優先区間にCDモードを割り当てる。あるいは、CD優先区間に同じ優先度が設定された走行区間が複数ある場合には、HV-ECU300Bは、その走行区間のうちの走行負荷が最も低いCD優先区間を選択し、当該CD優先区間にCDモードを割り当てるようにしてもよい。CD優先区間以外の区間に対しては、HV-ECU300Bは、走行負荷が最も低い走行区間から順にCDモードを割り当てる。
【0164】
S81において、HV-ECU300Bは、バッテリ残量BがCDモードを割り当てた走行区間の総消費エネルギーEcd以上であるか否かを判断する。バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd以上であれば(S81においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS82へ進める。一方、バッテリ残量Bが総消費エネルギーEcd未満であれば(S81においてNO)、HV-ECU300Bは、処理をS83へ進める。
【0165】
S82において、HV-ECU300Bは、制御モードが未割り当ての走行区間があるか否かを判断する。制御モードが未割り当ての走行区間がある場合には(S82においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS80へ返し、制御モードが未割り当ての走行区間にCDモードを割り当てる。一方、制御モードが未割り当ての走行区間がない場合には(S82においてNO)、HV-ECU300Bは、第4設定処理を終える。
【0166】
S83において、HV-ECU300Bは、制御モードが未割り当ての全ての走行区間にCSモードを割り当てる。そして、HV-ECU300Bは、第4設定処理を終える。
【0167】
再び図10を参照し、第4設定処理を終えると、HV-ECU300Bは、S65およびS66の処理を実行する。S65およびS66の処理は、図3のフローチャートのS9およびS10の処理とそれぞれ同様であるため、その説明は繰り返さない。
【0168】
図12は、走行計画の再設定の処理を説明するための図である。実施の形態3に係るHV-ECU300Bは、図10のフローチャートの処理を開始するとともに、図12のフローチャートの処理を開始して、バッテリ残量Bを監視する。走行計画に従って車両1を制御していても、走行計画において想定したバッテリ100の電力消費量よりも、実際のバッテリ100の電力消費量が増加してしまうことがある。このような場合には、走行計画を再設定することが望ましい。HV-ECU300Bは、バッテリ残量Bを監視して、走行計画の再設定の要否を判断する。
【0169】
S91において、HV-ECU300Bは、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満であるか否かを判断する。バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満であると、現在の走行計画に従って走行した場合、規制区間でエンジン14が作動してしまう可能性がある。そのため、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満である場合には(S91においてYES)、HV-ECU300Bは、処理をS93へ進める。一方、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev以上である場合には(S91においてNO)、HV-ECU300Bは、処理をリターンへ進める。
【0170】
S93において、HV-ECU300Bは、走行計画の再計画を実行する。具体的には、HV-ECU300Bは、図10のフローチャートにおいて、所定の周期が経過したか否かに関わらず、S52へ処理を移す。これにより、現在のバッテリ残量Bに応じた走行計画が設定される。
【0171】
以上のように、実施の形態3に係る走行支援制御においては、走行計画の設定において、規制区間かつ回生区間である走行区間の消費エネルギーEnがゼロと算出される(算出処理)。これにより、マージンをもたせた総消費エネルギーEsumが算出される。マージンをもたせて総消費エネルギーEsumが算出されているため、目的地に到着した際にバッテリ100の電力を使い切るように走行計画が設定されたとしても、バッテリ100の電力を使い切ることなく目的地に到着する可能性が高くなる。よって、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇し、エンジン14が作動することを抑制することができる。
【0172】
さらに、実施の形態3に係る走行支援制御においては、走行計画の設定において、現在地から最も近い規制区間の消費エネルギーEnにマージンβが加算される(加算処理)。現在地から最も近い規制区間の消費エネルギーEnにマージンβを加算することにより、マージンをもたせた総消費エネルギーEsumが算出される。ゆえに、目的地に到着した際にバッテリ100の電力を使い切るように走行計画が設定されたとしても、バッテリ100の電力を使い切ることなく目的地に到着する可能性が高くなる。よって、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇し、エンジン14が作動することを抑制することができる。
【0173】
さらに、実施の形態3に係る走行支援制御においては、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満となるか否かが監視される。バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満となった場合には、走行計画が即時再設定される。これにより、現在のバッテリ残量Bに応じた走行計画が設定されるので、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇してエンジン14が作動してしまうことを抑制することができる。
【0174】
なお、HV-ECU300Bは、規制区間かつ回生区間である走行区間の消費エネルギーEnをゼロと算出する算出処理、および、現在地から最も近い規制区間の消費エネルギーEnにマージンβを加算する加算処理のうちのいずれか一方の処理のみを実行するように構成されてもよい。いずれか一方の処理のみであっても、上述のとおり、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇することを抑制することができるので、規制区間でエンジン14が作動することを抑制することができる。なお、後述の変形例2から変形例4において、「実施の形態3を組み合わせる」ことには、算出処理および加算処理をともに実行する構成だけでなく、算出処理および加算処理のいずれか一方のみを実行する構成を組み合わせることが含まれる。
【0175】
[変形例2]
実施の形態1および実施の形態3を組み合わせることも可能である。具体的には、実施の形態3における図10のフローチャートのS52からS63の処理を「所定の処理」と称すると、実施の形態1における図3のフローチャートのS3の処理を所定の処理に変更することができる。すなわち、所定の処理には、算出処理および加算処理が含まれる。なお、上述したとおり、所定の処理には、算出処理および加算処理のうちの少なくともいずれかの処理が含まれればよい。
【0176】
図13は、変形例2における走行支援制御の処理手順を示すフローチャートである。図13のフローチャートは、図3のフローチャートのS3を所定の処理に変更したものである。図13のフローチャートの各処理の内容は、実施の形態1,3で説明した処理と同様であるため、同じステップ番号を付し、その説明は繰り返さない。なお、所定の処理はS100としている。
【0177】
所定の処理により、規制区間かつ回生区間である走行区間の消費エネルギーEnがゼロと算出され、マージンをもたせた総消費エネルギーEsumが算出される。さらに、所定の処理により、現在地から最も近い規制区間の消費エネルギーEnにマージンβが加算される。そして、目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれる場合には、第1設定処理が実行され、バッテリ100の電力を余らせるように走行計画が設定される。これらにより、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇し、エンジン14が作動することがより抑制される。
【0178】
さらに、図12のフローチャートの処理を実行し、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満となるか否かを監視してもよい。これにより、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満となった場合には、走行計画が即時再設定される。よって、現在のバッテリ残量Bに応じた走行計画を設定することができ、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇してエンジン14が作動してしまうことを抑制することができる。
【0179】
[変形例3]
実施の形態2および実施の形態3を組み合わせることも可能である。具体的には、実施の形態における図10のフローチャートの処理により走行計画を設定して、走行計画に従って走行制御を行なう。具体的には、所定の処理により、規制区間かつ回生区間である走行区間の消費エネルギーEnをゼロと算出し、マージンをもたせた総消費エネルギーEsumを算出する。さらに、所定の処理により、現在地から最も近い規制区間の消費エネルギーEnにマージンβを加算する。そして、実施の形態2における図8のフローチャートの処理を実行し、走行支援制御の中断中に、現在地から目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれていれば、現在走行中の走行区間が規制区間でない限り、CSモードで走行するように走行制御を行なう。これらにより、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇してエンジン14が作動してしまうことを抑制することができる。
【0180】
さらに、図12のフローチャートの処理を実行し、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満となるか否かを監視してもよい。これにより、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満となった場合には、走行計画が即時再設定される。よって、現在のバッテリ残量Bに応じた走行計画を設定することができ、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇してエンジン14が作動してしまうことを抑制することができる。
【0181】
[変形例4]
実施の形態1、実施の形態2および実施の形態3を組み合わせることも可能である。具体的には、実施の形態1における図3のフローチャートのS3の処理を所定の処理に変更し、かつ、図3のフローチャートとともに図8のフローチャートの処理を実行し、走行支援制御の中断中に、現在地から目的地までの走行予定経路に規制区間が含まれていれば、現在走行中の走行区間が規制区間でない限り、CSモードで走行するように走行制御を行なう。これらにより、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇してエンジン14が作動してしまうことを抑制することができる。
【0182】
さらに、図12のフローチャートの処理を実行し、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満となるか否かを監視してもよい。これにより、バッテリ残量Bが規制区間の総消費エネルギーEev未満となった場合には、走行計画が即時再設定される。よって、現在のバッテリ残量Bに応じた走行計画を設定することができ、規制区間でバッテリ100の電力が枯渇してエンジン14が作動してしまうことを抑制することができる。
【0183】
[変形例5]
走行計画が設定されている場合であっても、バッテリ残量が閾値未満になり、かつ、この先の走行予定経路に規制区間が含まれている場合には、規制区間以外の走行区間の制御モードをCSモードにするようにしてもよい。これにより、規制区間でエンジン14が作動してしまうことを抑制することができる。
【0184】
変形例5は、実施の形態1,2,3および変形例1,2,3,4に組み合わせることが可能である。
【0185】
今回開示された実施の形態は、すべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0186】
1,1A,1B ハイブリッド車両、10 第1モータジェネレータ(第1MG)、12 第2モータジェネレータ(第2MG)、14 エンジン、16 動力分割装置、28 駆動輪、40 PCU、50 SMR、60 充電リレー、70 充電装置、80 インレット、90 コネクタ、92 外部電源、100 バッテリ、200 監視ユニット、210 電圧センサ、220 電流センサ、230 温度センサ、300,300A,300B HV-ECU、301 CPU、302 メモリ、310 IGスイッチ、320 センサ群、330 HMI装置、340 通信バス、350 ナビECU、351 CPU、352 メモリ、360 位置検出装置、370 交通情報受信装置、380 モード選択スイッチ。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13