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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】骨材計量方法及び骨材計量装置
(51)【国際特許分類】
   B22C 5/18 20060101AFI20241016BHJP
   B22C 5/04 20060101ALI20241016BHJP
   B22C 5/12 20060101ALI20241016BHJP
   B22C 9/00 20060101ALI20241016BHJP
   G01G 23/36 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B22C5/18
B22C5/04 D
B22C5/12
B22C9/00 E
G01G23/36 B
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021005974
(22)【出願日】2021-01-18
(65)【公開番号】P2022110512
(43)【公開日】2022-07-29
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】青木 知裕
(72)【発明者】
【氏名】小宮山 貴之
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】実開平01-089840(JP,U)
【文献】特開2013-246050(JP,A)
【文献】特開2000-111425(JP,A)
【文献】特開昭63-073119(JP,A)
【文献】特開平11-019754(JP,A)
【文献】特開平07-204778(JP,A)
【文献】特開平04-060425(JP,A)
【文献】実開昭58-184627(JP,U)
【文献】特開平08-103848(JP,A)
【文献】特開2020-038169(JP,A)
【文献】特開2018-192512(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22C 1/00-25/00
G01G 1/00-23/48
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
サイクルを実施する前に実施する各工程であって、
槽から切り離された状態のロードセルを校正する初期校正工程と、
前記ロードセルに空である前記槽を載置する初期載置工程と、
空である前記槽の重量を、前記ロードセルを用いて測定する初期測定工程と、
各前記サイクルにおいて実施する各工程であって、
前記ロードセルから発泡混合物の材料を含む槽を切り離す分離工程と、
前記ロードセルを校正する校正工程と、
前記校正工程と並行して実施され、前記槽中の前記材料の一部を金型内に射出する射出工程と、
前記射出工程において前記材料の一部を金型内に射出することによって減った前記材料を含む前記槽を前記ロードセルに載置する載置工程と、
前記射出工程において前記材料の一部を金型内に射出することによって減った前記材料を含む前記槽の重量を、前記ロードセルを用いて測定する測定工程と、を含む骨材計量方法。
【請求項2】
各サイクルにおいて実施する各工程であって、
前記測定工程における測定結果から前記初期測定工程における測定結果を引くことによって、前記槽に含まれている前記材料の重量を算出する重量算出工程と、
前記材料の重量があらかじめ定められた閾値未満であるか否かを判定する重量判定工程と、
前記重量判定工程における判定結果が閾値未満である場合に、前記槽に対して新たな骨材を投入する投入工程と、を更に含む請求項1に記載の骨材計量方法。
【請求項3】
(1)発泡混合物の材料を収容可能な槽と、(2)前記槽を載置することによって当該槽の重量を測定するロードセルと、(3)ロードセルから槽を切り離す、又は、前記ロードセルに前記槽を載置する移動機構と、(4)前記ロードセル及び前記移動機構を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、
各サイクルにおいて、前記ロードセルから前記材料を含む槽を切り離す分離部と、
各サイクルにおいて、前記ロードセルを校正する校正部と、
各サイクルにおける前記校正部による前記ロードセルの前記校正と並行して、前記槽中の前記材料の一部を金型内に射出する射出部と、
各サイクルにおいて、前記材料の一部を前記金型内に射出したことによって減った前記材料を含む前記槽を前記ロードセルに載置する載置部と、
各サイクルにおいて、前記材料の一部を前記金型内に射出したことによって減った前記材料を含む前記槽の重量を、前記ロードセルを用いて測定する測定部と、を含み、
前記校正部は、各サイクルを実施する前に、前記槽から切り離された状態の前記ロードセルを校正し、
前記載置部は、各サイクルを実施する前に、空である前記槽を前記ロードセルに載置し、
前記測定部は、各サイクルを実施する前に、空である前記槽の重量である初期重量を、前記ロードセルを用いて測定する、骨材計量装置。
【請求項4】
前記制御部は、
各サイクルにおいて、前記材料を含む前記槽の重量から前記初期重量を引くことによって、前記槽に含まれている前記材料の重量を算出する重量算出部と、
各サイクルにおいて、前記材料の重量があらかじめ定められた閾値未満であるか否かを判定する重量判定部と、
各サイクルにおいて、前記重量判定部における判定結果が閾値未満である場合に、前記槽に対して新たな骨材を投入する投入部と、を更に含む請求項3に記載の骨材計量装置。
【請求項5】
前記移動機構は、前記槽を上下方向に移動させる第1の移動機構と、前記ロードセルを水平面内において移動させる第2の移動機構と、を備えており、
前記ロードセルから前記槽を切り離す場合、前記分離部は、前記第1の移動機構を用いて前記槽を上方向に移動させたうえで、前記第2の移動機構を用いて前記ロードセルを前記槽の下から退避させることにより前記ロードセルから前記槽を切り離し、
前記ロードセルに前記槽を載置する場合、前記載置部は、第2の移動機構を用いて前記槽の下に前記ロードセルを移動したうえで、前記第1の移動機構を用いて前記槽を下方に移動させることにより前記ロードセルに前記槽を載置する、請求項3又は4に記載の骨材計量装置。
【請求項6】
前記槽を清掃及びメンテナンスする場合、前記制御部は、前記ロードセルに前記槽が載置された状態のまま、第2の移動機構を用いて前記ロードセルを水平面内において移動させる、請求項5に記載の骨材計量装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨材計量方法及び骨材計量装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1の図2には、材料である骨材、水溶性バインダ、界面活性剤、及び水を攪拌して発泡混合物を製造し、その発泡混合物を金型へ圧入することによって鋳型を造型する鋳型造型装置が記載されている。
【0003】
この鋳型造型装置は、槽と、蓋部材と、攪拌機構と、金型と、圧縮空気供給機構と、を備えている。槽は、投入された材料を収容する空洞を有する。槽の下側の底壁部には充填孔が貫通形成されている。槽の上側の底壁部には、開口部が設けられている。蓋部材は、開口部を閉塞する。攪拌機構は、槽の内部に投入された材料を攪拌羽根で攪拌及び混練して発泡混合物を製造する。金型には、充填孔に隣接配置される被充填孔が貫通形成されている。金型には、充填孔から被充填孔を介して、槽内において製造された発泡混合物が充填される。圧縮空気供給機構は、圧縮空気を槽の内部に供給する。この圧縮空気の圧力により、槽の内部に収容された発泡混合物は、開放された状態の充填孔から被充填孔を介して金型のキャビティに充填される。
【0004】
発泡混合物を製造するときに用いる材料においては、主成分である骨材に対して、副次的な成分である水溶性バインダ、界面活性剤、及び水の各々の好ましい重量比が定められている。鋳型を製造するときに、発泡混合物に所望の機能を発揮させるためである。そのため、このような鋳型造型装置を用いて鋳型を造型する場合、槽に収容されている骨材又は材料の重量を測定する。以下には、鋳型造型装置において実施する骨材計量方法について説明する。
【0005】
図5は、この骨材計量方法の流れを示す模式図である。なお、この骨材計量方法を実施する場合、鋳型造型装置は、槽の重量を測定するロードセルを更に備えている。また、ロードセルには、槽が載置された場合に、充填孔を封じる止栓機構が載置されている。止栓機構は、ロードセルに載置された槽の充填孔から骨材あるいは材料が漏れ出すことを防止する。
【0006】
骨材計量方法を開始する時点において、槽は、空である。骨材計量方法の開始時には、槽は、ロードセルから切り離されている。この状態において、ロードセルをゼロリセットする(図5の(a)参照)。なお、ゼロリセットするとは、ロードセルが検出している重量をゼロにリセットすることを意味する。
【0007】
次に、ロードセルを用いて槽の重量を測定する(図5の(b)参照)。この工程を実施することにより、鋳型造型装置は、空の槽の重量を取得することができる。
【0008】
次に、骨材を槽に投入したうえで、ロードセルを用いて槽の重量を測定する(図5の(c)参照)。この工程を実施することにより、鋳型造型装置は、骨材が投入された槽の重量を取得することができる。そのうえで、骨材が投入された槽の重量と空の槽の重量との差分を取ることによって、鋳型造型装置は、投入された骨材の重量を取得することができる。この工程において投入する骨材の重量は、例えば8kg程度である。
【0009】
次に、投入された骨材の重量に応じた量の水溶性バインダ、界面活性剤、及び水を槽に投入したうえで、これらの材料を混練する(図5の(d)参照)。以上の工程を実施することにより、槽の内部におよそ8kgの発泡混合物が収容されることになる。
【0010】
骨材計量方法の開始(図5の(a)参照)から槽の内部におよそ8kgの発泡混合物が収容されるまで(図5の(d)参照)の工程を、以下においては、プレ混練工程とも称する。
【0011】
次に、ロードセルから槽を切り離したうえで、槽の充填孔を金型の被充填孔に結合し、槽の内部に圧縮空気を供給することにより、金型のキャビティに発泡混合物を充填する(図5の(e)参照)。なお、充填は射出とも呼ばれる。また、図5の(e)においては、金型の図示を省略している。この工程において、1回の充填により槽の内部から金型のキャビティに充填される発泡混合物の重量は、例えば、2kg程度である。以下において、キャビティに発泡混合物を1回充填することを1ショットとも表現する。
【0012】
次に、ロードセルに再び槽を載置し、ロードセルを用いて槽の重量を測定する(図5の(f)参照)。この工程を実施することにより、鋳型造型装置は、1ショット後の槽の重量を取得することができる。
【0013】
次に、槽の内部に収容された材料の重量が所定の重量(例えば、およそ8kg)になるように骨材を槽に投入する(図5の(g)参照)。鋳型造型装置は、ここで取得した槽の重量と上述した1ショット後の槽の重量との差分を取ることにより、ここで投入した骨材の重量を取得することができる。
【0014】
次に、投入された骨材の重量に応じた量の水溶性バインダ、界面活性剤、及び水を槽に投入したうえで、これらの材料を混練する(図5の(h)参照)。以上の工程を実施することにより、槽の内部におよそ8kgの発泡混合物が収容されることになる。
【0015】
上述した、キャビティに発泡混合物を1回充填する工程(図5の(e)参照)から投入された骨材の重量に応じた量の水溶性バインダ、界面活性剤、及び水を槽に投入したうえで、これらの材料を混練する工程(図5の(h)参照)を1サイクルとする。工場が操業している期間中、このサイクルを繰り返すことによって、鋳型造型装置は、鋳型を量産することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【文献】特開2018-192512号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
ところで、各サイクルにおいて、キャビティに発泡混合物を充填するたびに(図5の(e)参照)、槽はロードセルから金型に載せ替えられ、その後、槽は、再び金型からロードセルに載せ替えられる。したがって、鋳型造型装置において、ロードセルは、金型の近傍に設けられている。また、金型の温度は、例えば150℃以上350℃以下といった高温になるように設定されている。これは、発泡混合物を硬化させるためである。なお、金型の温度は、発泡混合物の成分や、造型する鋳型の形状などに応じて適宜設定される。
【0018】
そのため、ロードセルの温度は、開始時には、鋳型造型装置が設けられている工場の室温と同じであるが、操業時間が長くなればなるほど金型の温度の影響を受けて高温になる。
【0019】
ロードセルは、対象物の重量を測定するために複数の歪みゲージを備えており、歪みゲージの抵抗値から重量を算出し、その重量を出力する。歪みゲージの抵抗値は、温度に依存しやすい。そのため、歪みケージを含むロードセルの温度が変化した場合、実際の重量が変化していない場合であってもロードセルが出力する重量は、変化する。すなわち、ロードセルが出力する重量は、温度ドリフトしやすい。
【0020】
そのため、上述した各サイクルにおいては、ロードセルの温度ドリフトにより、槽の重量を正確に測定することが困難であった。その結果、各サイクルにおいて、槽の内部に収容された材料の重量が所定の重量(例えば、およそ8kg)になるように骨材を槽に投入(図5の(g)参照)しているにも関わらず、実施したサイクル数が増加するにしたがって槽に収容されている材料の重量が所定の重量から乖離しやすい。
【0021】
本発明の一態様は、上述した課題に鑑みなされたものであり、ロードセルに温度ドリフトが生じた場合であっても、槽の重量を正確に測定する技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために、本発明の第1の態様に係る骨材計量方法は、各サイクルおいて実施する各工程であって、ロードセルから発泡混合物の材料を含む槽を切り離す分離工程と、前記ロードセルを校正する校正工程と、前記ロードセルに前記材料を含む前記槽を載置する載置工程と、前記材料を含む前記槽の重量を、前記ロードセルを用いて測定する測定工程と、を含む。
【0023】
重量を測定するロードセルは、その測定値が温度変化の影響を受けやすい場合がある。上記の構成によれば、各サイクルにおいて校正する。そのため、ロードセルの温度変化に伴いロードセルが出力する重量に温度ドリフトが生じやすい場合であっても、温度ドリフトの影響を低減することができる。したがって、第1の態様に係る骨材計量方法は、実施したサイクル数の増加に伴いロードセルに温度ドリフトが生じた場合であっても、槽の重量を正確に測定することができ、延いては、槽に収容されている骨材あるいは材料の重量を正確に測定することができる。なお、校正の態様は限定されないが、例えば、ゼロリセット、及び、ロードセルの温度に応じた補正が挙げられる。
【0024】
また、本発明の第2の態様に係る骨材計量方法においては、上述した第1の態様に係る骨材計量方法の構成に加えて、前記サイクルを実施する前に実施する各工程であって、前記槽から切り離された状態の前記ロードセルを校正する初期校正工程と、前記ロードセルに空である前記槽を載置する初期載置工程と、空である前記槽の重量を、前記ロードセルを用いて測定する初期測定工程と、を更に含む、構成が採用されている。
【0025】
上記の構成によれば、サイクルを実施する前の空である槽の重量を、温度変化の影響を受けることなく測定することができる。そのため、空である槽の重量を正確に測定することができる。したがって、測定工程において測定される骨材を含む槽の重量から、初期測定工程において測定される空である槽の重量を引くことによって、骨材を含む槽における骨材の重量を正確に測定することができる。
【0026】
また、本発明の第3の態様に係る骨材計量方法においては、上述した第2の態様に係る骨材計量方法の構成に加えて、各サイクルおいて実施する各工程であって、前記測定工程における測定結果から前記初期測定工程における測定結果を引くことによって、前記槽に含まれている前記材料の重量を算出する重量算出工程と、前記材料の重量があらかじめ定められた閾値未満であるか否かを判定する重量判定工程と、前記重量判定工程における判定結果が閾値未満である場合に、前記槽に対して新たな骨材を投入する投入工程と、を更に含む、構成が採用されている。
【0027】
槽内に含まれている骨材の重量には、好ましい重量がある。上記の構成によれば、槽内に含まれている骨材の重量が閾値未満である場合に新たな骨材を槽に対して投入するので、槽内に含まれている骨材の重量を好ましい重量に近づけることができる。また、上記の構成によれば、骨材を含む槽における骨材の重量を正確に測定することができるので、槽内に含まれている骨材の重量を好ましい重量に確実に近づけることができる。
【0028】
上記の課題を解決するために、本発明の第4の態様に係る骨材計量装置は、(1)発泡混合物の材料を収容可能な槽と、(2)前記槽を載置することによって当該槽の重量を測定するロードセルと、(3)ロードセルから槽を切り離す、又は、前記ロードセルに前記槽を載置する移動機構と、(4)前記ロードセル及び前記移動機構を制御する制御部と、を備えている。
【0029】
第4の態様に係る骨材計量装置において、前記制御部は、各サイクルおいて、前記ロードセルから前記材料を含む槽を切り離す分離部と、各サイクルおいて、前記ロードセルを校正する校正部と、各サイクルおいて、前記ロードセルに前記材料を含む前記槽を載置する載置部と、各サイクルおいて、前記材料を含む前記槽の重量を、前記ロードセルを用いて測定する測定部と、を含む。
【0030】
上記の構成によれば、第1の態様に係る骨材計量方法と同様の効果を奏する。
【0031】
また、本発明の第5の態様に係る骨材計量装置においては、上述した第4の態様に係る骨材計量装置の構成に加えて、前記制御部は、前記サイクルを実施する前に、前記校正部に、前記槽から切り離された状態の前記ロードセルを校正し、前記サイクルを実施する前に、前記載置部に、空である前記槽を前記ロードセルに載置させ、前記サイクルを実施する前に、前記測定部に、空である前記槽の重量である初期重量を、前記ロードセルを用いて測定させる、構成が採用されている。
【0032】
上記の構成によれば、第2の態様に係る骨材計量方法と同様の効果を奏する。
【0033】
また、本発明の第6の態様に係る骨材計量装置においては、上述した第5の態様に係る装置の構成に加えて、前記制御部は、各サイクルにおいて、前記材料を含む前記槽の重量から前記初期重量を引くことによって、前記槽に含まれている前記材料の重量を算出する重量算出部と、各サイクルにおいて、前記材料の重量があらかじめ定められた閾値未満であるか否かを判定する重量判定部と、各サイクルにおいて、前記重量判定部における判定結果が閾値未満である場合に、前記槽に対して新たな骨材を投入する投入部と、を更に含む、構成が採用されている。
【0034】
上記の構成によれば、第3の態様に係る骨材計量方法と同様の効果を奏する。
【0035】
また、本発明の第7の態様に係る骨材計量装置においては、上述した第4の態様~第6の態様の何れか一態様に係る装置の構成に加えて、前記移動機構は、前記槽を上下方向に移動させる第1の移動機構と、前記ロードセルを水平面内において移動させる第2の移動機構と、を備えており、
前記ロードセルから前記槽を切り離す場合、前記分離部は、前記第1の移動機構を用いて前記槽を上方向に移動させたうえで、前記第2の移動機構を用いて前記ロードセルを前記槽の下から退避させることにより前記ロードセルから前記槽を切り離し、前記ロードセルに前記槽を載置する場合、前記載置部は、第2の移動機構を用いて前記槽の下に前記ロードセルを移動したうえで、前記第1の移動機構を用いて前記槽を下方に移動させることにより前記ロードセルに前記槽を載置する、構成が採用されている。
【0036】
上記の構成によれば、ロードセルから槽を切り離す、又は、前記ロードセルに前記槽を載置する場合に、槽を上下方向に移動させるだけでよい。したがって、第7の態様に係る骨材計量装置は、槽を上下左右方向に移動させる移動機構と採用する場合と比較して、構成を単純化できる。
【0037】
また、本発明の第8の態様に係る骨材計量装置においては、上述した第7の態様に係る骨材計量装置の構成に加えて、前記槽を清掃及びメンテナンスする場合、前記制御部は、前記ロードセルに前記槽が載置された状態のまま、第2の移動機構を用いて前記ロードセルを水平面内において移動させる、構成が採用されている。
【0038】
上記の構成によれば、前記槽を清掃及びメンテナンスする作業が容易になる。
【発明の効果】
【0039】
本発明の一態様によれば、ロードセルに温度ドリフトが生じた場合であっても、槽の重量を正確に測定する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
図1】本発明の一実施形態に係る骨材計量方法の流れを示す模式図である。
図2】本発明の一実施形態に係る骨材計量装置が備えている制御部の機能ブロック図である。
図3】本発明の一実施形態に係る骨材計量装置を含む鋳型造型装置の一具体例の構成を示す模式図である。
図4】本発明の一実施形態に係る骨材計量装置が備えている制御部として利用可能なコンピュータの構成を例示したブロック図である。
図5】従来の骨材計量方法の流れを示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0041】
本発明の一実施形態に係る骨材計量方法について、図1を参照して説明する。図1は、本実施形態の骨材計量方法の流れを示す模式図である。
【0042】
また、本発明の一実施形態に係る骨材計量装置10が備えている制御部16について、図2を参照して説明する。図2は、制御部16の機能ブロック図である。
【0043】
また、骨材計量装置10の一具体例について、図3を参照して説明する。図3は、骨材計量装置10の一具体例である骨材計量装置10Aを含む鋳型造型装置1Aの構成を示す模式図である。
【0044】
最後に、制御部16とソフトウェアを用いて実現する例について、図4を参照して説明する。図4は、制御部16として利用可能なコンピュータ910の構成を例示したブロック図である。
【0045】
〔骨材計量方法〕
【0046】
特許文献1の図2に記載されているような鋳型造型装置は、材料である骨材、水溶性バインダ、界面活性剤、及び水を攪拌して発泡混合物を製造し、その発泡混合物を金型へ充填(あるいは射出)することによって鋳型を造型する。なお、骨材は、砂により構成されていてもよいし、砂にそれ以外の素材を添加したものであってもよい。砂にそれ以外の素材としては、例えば、無機化合物粒子が挙げられる。
【0047】
鋳型造型装置が実施する鋳型造型方法においては、槽に収容されている骨材又は材料の重量を測定する。本実施形態の骨材計量方法は、このような鋳型造型装置において好適に実施することができる。なお、本実施形態においては、鋳型造型装置が備えている骨材計量装置10の構成を図1に示すように簡略化したうえで、骨材計量方法について説明する。
【0048】
骨材計量装置10は、槽11と、ロードセル12と、止栓機構13と、移動機構14と、攪拌羽根15と、制御部16と、を備えている。なお、鋳型造型装置は、骨材計量装置10に加えて、蓋部材と、攪拌機構と、圧縮空気供給機構と、金型21と、を備えている。
【0049】
<槽>
槽11は、投入された材料を収容する空洞を有する。槽11の下側の底壁部には充填孔が貫通形成されている。槽11の上側の底壁部には、開口部が設けられている。蓋部材は、開口部を閉塞する。
【0050】
<ロードセル>
ロードセル12は、その上に載置された対象物の重量を測定する。ロードセル12は、対象物の重量を検出するための力覚センサとして複数の歪みゲージを採用している。ただし、力覚センサとして用いる歪みゲージは、複数に限定されず、1つであってもよい。本実施形態において、ロードセル12は、対象物である槽11の重量を測定する。
【0051】
<止栓機構>
止栓機構13は、ロードセル12の上に載置されている。止栓機構13は、槽11がその上に載置された場合に、槽11の充填孔を封じるように構成されている。止栓機構13が充填孔を封じることにより、ロードセル12に載置された槽11の充填孔から骨材あるいは材料が漏れ出すことを防止する。
【0052】
<移動機構>
移動機構14は、ロードセル12及び止栓機構13から槽11を切り離す、又は、ロードセル12及び止栓機構13に槽11を載置するために、槽11及びロードセル12を移動させる。移動機構14は、第1の移動機構141と、第2の移動機構142とを備えている。第1の移動機構141は、槽11を上下方向に移動させるように構成されている。第2の移動機構142は、ロードセル12及び止栓機構13を水平面内において移動させるように構成されている。以下において、ロードセル12及び止栓機構13から槽11を切り離すことを、単に、ロードセル12から槽11を切り離すとも表現する。また、以下において、ロードセル12及び止栓機構13に槽11を載置することを、単に、ロードセル12に槽11を載置するとも表現する。
【0053】
本発明の一態様において、第1の移動機構及び第2の移動機構の各々は、図1に示した第1の移動機構141及び第2の移動機構142に限定されず、適宜設計することができる。
【0054】
ロードセル12から槽11を切り離す場合、第1の移動機構141は、槽11を上方向に移動させたうえで、第2の移動機構142は、ロードセル12を槽11の下から退避させる。これにより、槽11は、ロードセル12から切り離される。
【0055】
ロードセル12に槽11を載置する場合、第2の移動機構142は、槽11の下にロードセル12を移動したうえで、第1の移動機構141は、槽11を下方に移動させる。これにより、槽11は、ロードセル12に載置される。
【0056】
また、槽11を清掃及びメンテナンスする場合、ロードセル12に槽11が載置された状態のまま、第1の移動機構141から槽11を切り離す。そのうえで、第2の移動機構142は、ロードセル12に槽11が載置された状態のまま、ロードセル12を水平面内において移動させる。これにより、骨材計量装置10は、槽11を水平面内において移動させることができる。したがって、ユーザは、骨材計量装置10から槽11を容易に取り外すことができる。この工程は、制御部16が移動機構14を制御することにより実行される。
【0057】
<攪拌機構>
攪拌機構は、槽の内部に投入された材料を攪拌羽根15で攪拌及び混練して発泡混合物を製造する。
【0058】
制御部16について、図2を参照して後述する。
【0059】
金型21には、充填孔に隣接配置される被充填孔が貫通形成されている。金型21には、充填孔から被充填孔を介して、槽11内において製造された発泡混合物が充填される。
【0060】
圧縮空気供給機構は、圧縮空気を槽の内部に供給する。この圧縮空気の圧力により、槽の内部に収容された発泡混合物は、開放された状態の充填孔から被充填孔を介して金型のキャビティに充填される。
【0061】
発泡混合物を製造するときに用いる材料においては、主成分である骨材に対して、副次的な成分である水溶性バインダ、界面活性剤、及び水の各々の好ましい重量比が定められている。鋳型を製造するときに、発泡混合物に所望の機能を発揮させるためである。そのため、このような鋳型造型装置を用いて鋳型を造型する場合、本実施形態の骨材計量方法を用いて槽11の重量を測定し、延いては、槽11に収容されている骨材又は材料の重量を測定することができる。
【0062】
骨材計量方法を開始する時点において、槽11は、空である。骨材計量方法の開始時には、槽11は、ロードセル12から切り離されている。この状態において、ロードセルをゼロリセットする(図1の(a)参照)。この工程は、初期校正工程の一例である。なお、ゼロリセットするとは、ロードセルが検出している重量をゼロにリセットすることを意味する。なお、ゼロリセットは、校正の一態様である。校正の他の態様としては、ロードセルが検出している重量を、ロードセルの温度に応じて補正することが挙げられる。この温度に応じた補正を実施する場合、ロードセルにかける荷重を一定にしたまま(例えばゼロにしたまま)ロードセルの温度を所定の温度範囲内において変化させながら、ロードセルが検出する重量をあらかじめ測定しておけばよい。この測定により、そのロードセルが重量を検出するときに生じ得るドリフトの温度依存性を取得することができる。温度に応じた補正を実施する場合、この温度依存性に応じて、ロードセルが検出する重量を補正すればよい。
【0063】
次に、ロードセル12に空である槽11を載置する。この工程は、初期載置工程の一例である。そのうえで、ロードセル12を用いて槽11の重量を測定する(図1の(b)参照)。この工程は、初期測定工程の一例である。これらの工程を実施することにより、鋳型造型装置は、空の槽11の重量を取得することができる。なお、ロードセル12が測定した槽11の重量を記憶装置に記憶しておけばよい。記憶装置の一例としては、図4に示すコンピュータ910の主記憶装置913が挙げられる。コンピュータ910については、図4を参照して後述する。
【0064】
次に、骨材を槽11に投入したうえで、ロードセル12を用いて槽11の重量を測定する(図1の(c)参照)。この工程を実施することにより、骨材計量装置10は、骨材が投入された槽11の重量を取得することができる。そのうえで、骨材が投入された槽11の重量と空の槽11の重量との差分を取ることによって、骨材計量装置10は、投入された骨材の重量を取得することができる。この工程において投入する骨材の重量は、例えば8kg程度である。
【0065】
次に、投入された骨材の重量に応じた量の水溶性バインダ、界面活性剤、及び水を槽に投入したうえで、これらの材料を混練する(図1の(d)参照)。以上の工程を実施することにより、槽11の内部におよそ8kgの発泡混合物が収容されることになる。
【0066】
骨材計量方法を開始(図1の(a)参照)から槽の内部におよそ8kgの発泡混合物が収容されるまで(図1の(d)参照)の工程を、以下においては、プレ混練工程とも称する。
【0067】
次に、ロードセル12から槽11を切り離す。この工程は、分離工程の一例である。そのうえで、槽11の充填孔を金型21の被充填孔に結合し、槽11の内部に圧縮空気を供給することにより、金型21のキャビティに発泡混合物を充填する(図1の(e)参照)。なお、充填は射出とも呼ばれる。この工程において、1回の充填により槽11の内部から金型21のキャビティに充填される発泡混合物の重量は、例えば、2kg程度である。以下において、キャビティに発泡混合物を1回充填することを1ショットとも表現する。また、この工程においては、ロードセル12をゼロリセットする(校正工程の一例)。
【0068】
次に、図1の(f)に示すように、ロードセル12に再び槽11を載置する(載置工程の一例)。そのうえで、ロードセル12を用いて槽11の重量を測定する(測定工程の一例)。この工程を実施することにより、骨材計量装置10は、1ショット後の槽11の重量を取得することができる。そのうえで、1ショット後の槽11の重量から開始時に測定しておいた空の槽11の重量を引くことによって、1ショット後の槽11に含まれている材料の重量を算出する(重量算出工程の一例)。そのうえで、1ショット後の槽11に含まれている材料の重量があらかじめ定められた閾値未満であるか否かを判定する(重量判定工程の一例)。あらかじめ定められた閾値は、適宜さだめることができるが、一例としては8kgが挙げられる。
【0069】
1ショット後の槽11に含まれている材料の重量があらかじめ定められた閾値未満である場合、図1の(g)に示すように、槽11の内部に含まれている材料の重量が所定の重量(例えば、およそ8kg)になるように新たな骨材を槽11に投入する(投入工程の一例)。そのうえで、ロードセル12を用いて新たな骨材を投入されたあとの槽11の重量を測定する。骨材計量装置10は、ここで取得した槽11の重量と上述した1ショット後の槽の重量との差分を取ることにより、ここで投入した骨材の重量を取得することができる。
【0070】
なお、1ショット後の槽11に含まれている材料の重量があらかじめ定められた閾値以上である場合、新たな骨材の投入を省略することができる。
【0071】
次に、投入された骨材の重量に応じた量の水溶性バインダ、界面活性剤、及び水を槽11に投入したうえで、これらの材料を混練する(図1の(h)参照)。以上の工程を実施することにより、槽11の内部におよそ8kgの発泡混合物が収容されることになる。
【0072】
上述した、キャビティに発泡混合物を1回充填する工程(図1の(e)参照)から投入された骨材の重量に応じた量の水溶性バインダ、界面活性剤、及び水を槽11に投入したうえで、これらの材料を混練する工程(図1の(h)参照)を1サイクルとする。工場が操業している期間中、このサイクルを繰り返すことによって、骨材計量装置10を含む鋳型造型装置は、鋳型を量産することができる。
【0073】
なお、本実施形態では、1サイクルにおいて1ショットの充填あるいは射出を実施するものとして説明している。ただし、1サイクルにおいて実施するショット数は、1ショットに限定されず、適宜定めることができる。一例としては、槽11の空洞の容量が大きく、例えば8kgよりも多い材料を槽11が収容できる場合や、1ショットで金型のキャビティに充填される発泡混合物の重量が例えば2kgよりも少ない場合など、が挙げられる。
【0074】
〔制御部〕
図2に示すように、骨材計量装置10の制御部16は、分離部161と、載置部162と、リセット部163と、測定部164と、重量算出部165と、重量判定部166と、投入部167と、を備えている。
【0075】
分離部161は、移動機構14を制御することによって、ロードセル12から槽11を切り離す。具体的には、分離部161は、第1の移動機構141を用いて槽11を上方向に移動させたうえで、第2の移動機構142を用いてロードセル12を槽11の下から退避させる。以上の工程を実施することにより、分離部161は、ロードセル12から槽11を切り離す。分離部161は、分離工程を実施する(図1の(e)参照)。
【0076】
載置部162は、移動機構14を制御することによって、ロードセル12に槽11を載置する。具体的には、載置部162は、第2の移動機構142を用いて槽11の下にロードセル12を移動したうえで、第1の移動機構141を用いて槽11を下方に移動させる。以上の工程を実施することにより、載置部162は、ロードセル12に槽11を載置する。載置部162は、載置工程を実施する(図1の(f)参照)。
【0077】
リセット部163は、ロードセル12をゼロリセットする。リセット部163は、初期リセット工程(図1の(a)参照)及びリセット工程(図1の(e)参照)を実施する。初期リセット工程及びリセット工程の各々は、それぞれ、初期校正工程及び校正工程の一例である。初期校正工程及び校正工程の各々においては、ゼロリセットを実施する代わりにロードセルの温度に応じた補正を実施してもよい。リセット部163は、校正部の一例である。
【0078】
測定部164は、ロードセル12を用いて槽11の重量を測定する。測定部164は、初期測定工程(図1の(b)参照)、プレ混練において骨材を含む槽11の重量を測定する工程(図1の(c)参照)、骨材以外の材料を投入した後に槽11の重量を測定する工程(図1の(d)参照)、各サイクルにおいて1ショット後の槽11の重量を測定する工程(図1の(f)参照)、各サイクルにおいて新たな骨材を投入されたあとの槽11の重量を測定する工程(図1の(g)参照)、及び、骨材以外の材料を投入した後に槽11の重量を測定する工程(図1の(h)参照)を実施する。
【0079】
重量算出部165は、各サイクルにおいて、材料を含む槽11の重量から初期重量を引くことによって、槽11に含まれている材料の重量を算出する(図1の(f)参照)。
【0080】
重量判定部166は、各サイクルにおいて、材料の重量があらかじめ定められた閾値未満であるか否かを判定する(図1の(f)参照)。
【0081】
投入部167は、各サイクルにおいて、重量判定部166における判定結果が閾値未満である場合に、槽11に対して新たな骨材を投入する(図1の(g)参照)。
【0082】
〔鋳型造型装置〕
鋳型造型装置の一具体例である鋳型造型装置1Aは、骨材計量装置10の一具体例である骨材計量装置10Aと、蓋部材2Aと、攪拌機構3Aと、圧縮空気供給機構と、金型と、を備えている。図3には、骨材計量装置10Aと、蓋部材2Aと、攪拌機構3Aと、圧縮空気供給機構の一部を構成するポート4Aと、を図示している。また、図3においては、骨材計量装置10Aに含まれる移動機構(図1に示した移動機構14に対応する)、及び、鋳型造型装置1Aに含まれる金型の図示を省略している。
【0083】
図3に示すように、骨材計量装置10Aは、槽11A、ロードセル12A、止栓機構13A、及び攪拌羽根15Aを備えている。
【0084】
槽11Aは、本体111Aと、下側の底壁部112Aと、を備えている。本体111Aは、アクリル製の円筒状部材である。したがって、本体111Aの下側の端部及び上側の端部には、開口部が設けられている。底壁部112Aは、金属製の板状部材である。底壁部112Aは、本体111Aの下側の端部に設けられた開口部を塞ぐように設けられている。本体111Aの空洞は、本体111Aと底壁部112Aとにより構成されている。また、底壁部112Aには、槽11Aの内部から外部へ貫通する3つの充填孔113Aが設けられている。ただし、骨材計量装置10Aにおいて充填孔113Aの数は、限定されるものではなく、適宜定めることができる。
【0085】
ロードセル12Aは、図1に示したロードセル12と同様に構成されている。
【0086】
止栓機構13Aは、金属製の板状部材と、金属製の3つの柱状部材とを備えている。3つの柱状部材の各々は、その横断面形状が、各充填孔113Aの横断面形状に対応するように構成されている。各柱状部材が各充填孔113Aに差し込まれることにより、各充填孔113Aは、封じられる。各柱状部材は、板状部材の一方の主面上に、起立した状態で固定されている。一方の主面上における各柱状部材の位置は、各充填孔113Aの位置と一致する。
【0087】
蓋部材2Aと、攪拌機構3Aとは、骨材計量装置10Aの上方において、その位置を上下方向に移動可能なように構成されている。移動可能な範囲の下限まで蓋部材2A及び攪拌機構3Aを移動させた場合、蓋部材2Aの下面は、本体111Aの上側の端部に位置し、本体111Aの上側の端部に設けられた開口部を封止する。
【0088】
各充填孔113Aが止栓機構13Aにより封止され、本体111Aの上側の端部に設けられた開口部が蓋部材2Aにより封止された場合、槽11Aの空洞は、密閉された状態になる。
【0089】
攪拌機構3Aは、攪拌羽根15Aと、モータ31Aとを備えている。攪拌羽根15Aは、モータ31Aの動力を伝達されることにより、槽11Aの内部(本体111Aの内部)において、鉛直方向に平行な軸を回転軸として回転する。攪拌羽根15Aを回転させることにより、攪拌機構3Aは、槽11Aの内部に収容された材料を攪拌する。
【0090】
また、移動可能な範囲の下限まで蓋部材2A及び攪拌機構3Aを移動させた場合、攪拌羽根15Aの下端部を構成する平面が底壁部112Aの上面に近接するように、攪拌羽根15Aは構成されている。
【0091】
ポート4Aは、図3に図示していないコンプレッサーと、パイプとともに圧縮空気供給機構を構成する。コンプレッサーが生成した圧縮空気は、パイプを介してポート4Aに供給され、ポート4Aから槽11Aの内部に吐出される。この圧縮空気により槽11Aの内部の圧力を高めることができる。したがって、充填孔113Aと金型の被充填孔とを介して槽11Aと金型とを接続することによって、槽11Aが収容している発泡混合物を金型のキャビティに充填することができる。
【0092】
以上のように、本発明の一具体例である骨材計量装置10Aは、鋳型造型装置の一具体例である鋳型造型装置1Aに好適に用いることができる。
【実施例
【0093】
本発明の一実施形態である骨材計量方法(図1参照)において、プレ混練において槽11に投入する材料の総重量を8kgとし、キャビティに2kgの発泡混合物が充填される金型21を用い、図1の(e)~(h)に記載のサイクルを30サイクル自動で実施した。その後、槽11から内部に収容されている発泡混合物を取り出し、その重量を測定したところ8.0kgであった。
【0094】
一方、上述した実施例に対する比較例として、従来の骨材計量方法(図5参照)において、実施例と同様に図5の(e)~(h)に記載のサイクルを30サイクル自動で実施した。すなわち、プレ混練において槽に投入する材料の総重量を8kgとし、キャビティに2kgの発泡混合物が充填される金型を用いた。その後、槽から内部に収容されている発泡混合物を取り出し、その重量を測定したところ9.0kgであった。
【0095】
したがって、本発明の一実施形態である骨材計量方法は、従来の骨材計量方法と比較して、ロードセルに温度ドリフトが生じた場合であっても、槽の重量を正確に測定することができることが分かった。
【0096】
〔ソフトウェアによる実現例〕
図2に示した制御部16の各ブロックは、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、CPU(Central Processing Unit)を用いてソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、制御部16を、図4に示すようなコンピュータ(電子計算機)を用いて構成することができる。
【0097】
図4は、制御部16として利用可能なコンピュータ910の構成を例示したブロック図である。コンピュータ910は、バス911を介して互いに接続された演算装置912と、主記憶装置913と、補助記憶装置914と、入出力インターフェース915とを備えている。演算装置912、主記憶装置913、および補助記憶装置914は、それぞれ、例えばCPU、RAM(random access memory)、ハードディスクドライブであってもよい。入出力インターフェース915には、ユーザがコンピュータ910に各種情報を入力するための入力装置920、および、コンピュータ910がユーザに各種情報を出力するための出力装置930が接続される。入力装置920および出力装置930は、コンピュータ910に内蔵されたものであってもよいし、コンピュータ910に接続された(外付けされた)ものであってもよい。例えば、入力装置920は、キーボード、マウス、タッチセンサなどであってもよく、出力装置930は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどであってもよい。また、タッチセンサとディスプレイとが一体化されたタッチパネルのような、入力装置920および出力装置930の双方の機能を有する装置を適用してもよい。そして、通信インターフェース916は、コンピュータ910が外部の装置と通信するためのインターフェースである。
【0098】
補助記憶装置914には、コンピュータ910を制御部16として動作させるための各種プログラムが格納されている。そして、演算装置912は、補助記憶装置914に格納された上記各プログラムを主記憶装置913上に展開して該プログラムに含まれる命令を実行することによって、コンピュータ910を、制御部16が備える各部として機能させる。なお、補助記憶装置914がプログラム等の情報の記録に用いる記録媒体は、コンピュータ読み取り可能な「一時的でない有形の媒体」であればよく、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、プログラマブル論理回路などであってもよい。
【0099】
また、コンピュータ910の外部の記録媒体に記録されているプログラム、あるいは任意の伝送媒体(通信ネットワークや放送波等)を介してコンピュータ910に供給されたプログラムを用いてコンピュータ910を機能させる構成を採用してもよい。そして、本発明は、上記プログラムが電子的な伝送によって具現化された、搬送波に埋め込まれたデータ信号の形態でも実現され得る。
【0100】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0101】
10、10A 骨材計量装置
12、12A ロードセル
13、13A 止栓機構
14 移動機構
141,142 第1の移動機構,第2の移動機構
15、15A 攪拌羽根
16 制御部
161 分離部
162 載置部
163 リセット部(校正部)
164 測定部
165 重量算出部
166 重量判定部
167 投入部
図1
図2
図3
図4
図5