IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社日本自動車部品総合研究所の特許一覧 ▶ 株式会社デンソーの特許一覧

<>
  • 特許-超音波センサ 図1
  • 特許-超音波センサ 図2
  • 特許-超音波センサ 図3
  • 特許-超音波センサ 図4
  • 特許-超音波センサ 図5
  • 特許-超音波センサ 図6
  • 特許-超音波センサ 図7
  • 特許-超音波センサ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】超音波センサ
(51)【国際特許分類】
   H04R 13/00 20060101AFI20241016BHJP
   G01S 7/521 20060101ALI20241016BHJP
   G01S 15/931 20200101ALI20241016BHJP
【FI】
H04R13/00 330
G01S7/521 A
G01S15/931
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021010461
(22)【出願日】2021-01-26
(65)【公開番号】P2022114246
(43)【公開日】2022-08-05
【審査請求日】2023-07-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004695
【氏名又は名称】株式会社SOKEN
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】佐竹 正義
(72)【発明者】
【氏名】小山 優
(72)【発明者】
【氏名】青山 哲也
(72)【発明者】
【氏名】宮崎 充正
【審査官】川▲崎▼ 博章
(56)【参考文献】
【文献】特表2012-506540(JP,A)
【文献】特開2012-191429(JP,A)
【文献】特開平10-200979(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04R 13/00
G01S 7/521
G01S 15/931
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両(V)に搭載される超音波センサ(1)であって、
超音波振動可能に設けられる磁性体(21)と、
前記磁性体の超音波振動に対応する振動磁界と、電気信号との、変換機能を有する電気-磁気変換器(31)と、
を備え、
前記磁性体は、前記車両の外板(V3)における、当該車両の外部空間(SG)に面する表面である外表面(V4)側に配置され、
前記電気-磁気変換器は、前記外板における前記外表面の裏面である内表面(V5)側にて、当該外板を挟んで前記磁性体と対向配置される、
超音波センサ。
【請求項2】
前記電気-磁気変換器は、インダクタによって構成された、
請求項1に記載の超音波センサ。
【請求項3】
前記インダクタへの印加電力を制御する電力制御部(36)をさらに備え、
前記電力制御部は、着氷または着雪の発生時に、非発生時よりも前記印加電力を増大させる、
請求項2に記載の超音波センサ。
【請求項4】
前記磁性体を励振することで超音波を発信する送信時に前記インダクタに送信電力を印加するように設けられる送信回路(33)と、
前記送信電力の遮断後に前記インダクタに通流する振動電流の電気エネルギを消費するように設けられる電力消費回路(37)と、
をさらに備えた、
請求項2または3に記載の超音波センサ。
【請求項5】
前記磁性体を励振することで超音波を発信する送信時に前記インダクタに送信電力を印加するように設けられる送信回路(33)と、
前記送信電力の遮断後に前記インダクタにて前記磁性体を制振する磁界を発生させるために前記インダクタに制振電力を印加するように設けられる制振回路(38)と、
をさらに備えた、
請求項2または3に記載の超音波センサ。
【請求項6】
前記磁性体を超音波振動可能に支持する磁性体支持部(22)をさらに備え、
前記磁性体支持部は、
前記磁性体を固定的に支持することで、超音波振動する前記磁性体とともに撓み変形しつつ超音波振動するように、薄板状に形成されたダイアフラム(23)と、
前記ダイアフラムを超音波振動可能に支持するダイアフラム支持部(24)と、
を有する、
請求項1~5のいずれか1つに記載の超音波センサ。
【請求項7】
前記ダイアフラムの厚さ方向と直交する方向を第一面内方向とし、前記厚さ方向および前記第一面内方向と直交する方向を第二面内方向とし、前記第一面内方向における前記ダイアフラムの寸法を第一寸法とし、前記第二面内方向における前記ダイアフラムの寸法を第二寸法とした場合、前記ダイアフラムは、前記第一寸法が前記第二寸法よりも長くなるように、前記第一面内方向にて長手方向を有する形状に形成された、
請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項8】
前記磁性体は、前記ダイアフラムの厚さ方向と直交する面内における前記ダイアフラムの中心からオフセット配置された、
請求項6に記載の超音波センサ。
【請求項9】
前記ダイアフラムの厚さ方向と直交する方向を第一面内方向とし、前記厚さ方向および前記第一面内方向と直交する方向を第二面内方向とし、前記第一面内方向における前記磁性体の寸法を第一寸法とし、前記第二面内方向における前記磁性体の寸法を第二寸法とした場合、前記磁性体は、前記第一寸法が前記第二寸法よりも長くなるように、前記第一面内方向にて長手方向を有する形状に形成された、
請求項6に記載の超音波センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される超音波センサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バンパーに設けられた貫通孔に超音波センサを差し込んで、超音波センサの車両バンパーへの取り付けを行う技術が知られている(例えば特許文献1等)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2013-228225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような構成を有する従来の超音波センサをバンパーに取り付けるためには、取り付け用の貫通孔である取付孔をバンパーにあらかじめ設けることが必要となる。このため、超音波センサを搭載した状態で工場出荷される車両である搭載車は、通常、あらかじめ取付孔が形成されたバンパーを用いて製造される。一方、超音波センサを搭載しない状態で一旦工場出荷された車両である非搭載車に対して、超音波センサを「後付け」するためには、取付孔を有しない非搭載車用のバンパーに、取付孔を事後的に形成しなければならない。
【0005】
上記のように、取付孔を有する搭載車用のバンパーと、取付孔を有しない非搭載車用のバンパーとを用意することは、車両製造コストの上昇をもたらす。また、非搭載車に、取付孔を有する搭載車用のバンパーを用いると、かかる取付孔を塞ぐための部品が別途必要となったり、搭載車か非搭載車かを外観上判別することが困難となったりする。さらに、超音波センサを「後付け」するために、取付孔を有しない非搭載車用のバンパーに取付孔を事後的に形成すると、後付けコストが取付孔の形成工数分上昇したり意匠性が低下したりする。
【0006】
本発明は、上記に例示した事情等に鑑みてなされたものである。すなわち、本発明は、例えば、貫通孔をバンパー等の車体部品に設けなくても当該車体部品に取り付けることが可能な構成を有する超音波センサを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の、車両(V)に搭載される超音波センサ(1)は、
超音波振動可能に設けられる磁性体(21)と、
前記磁性体の超音波振動に対応する振動磁界と、電気信号との、変換機能を有する電気-磁気変換器(31)と、
を備え、
前記磁性体は、前記車両の外板(V3)における、当該車両の外部空間(SG)に面する表面である外表面(V4)側に配置され、
前記電気-磁気変換器は、前記外板における前記外表面の裏面である内表面(V5)側にて、当該外板を挟んで前記磁性体と対向配置される。
【0008】
なお、出願書類中の各欄において、各要素に括弧付きの参照符号が付されている場合がある。この場合、参照符号は、同要素と後述する実施形態に記載の具体的構成との対応関係の単なる一例を示すものである。よって、本発明は、参照符号の記載によって、何ら限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施形態に係る超音波センサを搭載した車両の外観を示す斜視図である。
図2図1に示された超音波センサの第一実施形態に係る構成を拡大して示す部分断面図である。
図3図1に示された超音波センサの第二実施形態に係る構成を拡大して示す部分断面図である。
図4図1に示された超音波センサの第三実施形態に係る構成を拡大して示す部分断面図である。
図5図1に示された超音波センサの第四実施形態に係る構成を拡大して示す部分断面図である。
図6】第五実施形態に係る超音波センサに備えられる外側振動部の概略構成を示す正面図である。
図7】第六実施形態に係る超音波センサに備えられる外側振動部の概略構成を示す正面図である。
図8】第七実施形態に係る超音波センサに備えられる外側振動部の概略構成を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態)
以下、本発明の実施形態を、図面に基づいて説明する。なお、一つの実施形態に対して適用可能な各種の変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中に挿入されると、当該実施形態の理解が妨げられるおそれがある。このため、変形例については、当該実施形態に関する一連の説明の途中には挿入せず、その後にまとめて説明する。
【0011】
(車載構成)
図1を参照すると、本実施形態においては、超音波センサ1は、車両Vを装着対象とする車載型のクリアランスソナーとしての構成を有している。すなわち、超音波センサ1は、車両Vに搭載されることで、当該車両Vの周囲に存在する物体を検知可能に構成されている。
【0012】
車両Vは、いわゆる四輪自動車であって、箱状の車体V1を備えている。車体V1には、外板を構成する車体部品である、車体パネルV2およびバンパーV3が装着されている。バンパーV3は、車体V1の前端部および後端部のそれぞれに設けられている。バンパーV3は、磁束を透過可能な材料である合成樹脂により形成されている。
【0013】
超音波センサ1は、バンパーV3に装着されることで、車両Vの外部空間SGに存在する物体を検知するように構成されている。超音波センサ1が車両VすなわちバンパーV3に装着された状態を、以下「車載状態」と称する。
【0014】
具体的には、車載状態にて、フロントバンパーすなわち車体V1における前面側のバンパーV3には、複数(例えば4つ)の超音波センサ1が装着されている。フロントバンパーに装着された複数の超音波センサ1は、それぞれ、車幅方向における異なる位置に配置されている。同様に、リアバンパーすなわち車体V1における後面側のバンパーV3にも、複数(例えば4つ)の超音波センサ1が装着されている。
【0015】
本開示においては、バンパーV3には、超音波センサ1を装着するための貫通孔である装着孔は設けられていない。すなわち、超音波センサ1は、これを搭載しない状態で一旦工場出荷された車両Vである非搭載車用のバンパーV3に装着孔を形成しなくても「後付け」が可能な構成を有している。以下、かかる構成を有する超音波センサ1の詳細について説明する。
【0016】
(第一実施形態)
図2は、バンパーV3に取り付けられた複数の超音波センサ1のうちの1つを、車載状態にて示している。以下、図1および図2を参照しつつ、第一実施形態に係る超音波センサ1の構成について説明する。
【0017】
本実施形態においては、超音波センサ1は、超音波を送受信可能に構成されている。すなわち、超音波センサ1は、送受信一体型の構成を有している。
【0018】
具体的には、超音波センサ1は、超音波である探査波を指向軸DAに沿って外部空間SGに向けて発信するように構成されている。「指向軸」とは、超音波センサ1から超音波の送受信方向に沿って延びる仮想直線であって、指向角の基準となるものである。「指向軸」は「指向中心軸」あるいは「検出軸」とも称され得る。また、超音波センサ1は、車両Vの周囲に存在する物体による探査波の反射波を含む受信波を外部空間SGから受信して、受信波の受信結果に応じた検知信号を発生および出力するように構成されている。
【0019】
説明の便宜上、図2に示されている通り、Y軸が指向軸DAと平行となり、Z軸が上下方向すなわち車高方向と平行となるように、右手系XYZ直交座標系を設定する。このとき、指向軸DAと平行な方向を「軸方向」と称する。「軸方向における先端側」は、探査波の発信方向側であり、図2におけるY軸正方向側に対応する。これに対し、「軸方向における基端側」は、図2におけるY軸負方向側に対応する。また、或る構成要素の軸方向における基端側の端部を「基端部」と称し、軸方向における先端側の端部を「先端部」と称する。
【0020】
さらに、軸方向と直交する任意の方向を「面内方向」と称する。「面内方向」は、図2における、XZ平面と平行な方向である。「面内方向」は、場合によっては、「径方向」とも称され得る。「径方向」は、指向軸DAと直交しつつ当該指向軸DAから離隔する方向である。すなわち、「径方向」は、指向軸DAと直交する仮想平面と指向軸DAとの交点を起点として当該仮想平面内に半直線を描いた場合に、当該半直線が延びる方向である。換言すれば、「径方向」は、指向軸DAと直交する仮想平面と指向軸DAとの交点を中心として当該仮想平面内に円を描いた場合の、当該円の半径方向である。
【0021】
バンパーV3は、バンパー外表面V4とバンパー内表面V5とを有している。バンパー外表面V4は、車両Vの外側の空間である外部空間SGに面するように設けられている。バンパー内表面V5は、バンパー外表面V4の裏面であって、車両VすなわちバンパーV3の内側の空間である内部空間SNに面するように設けられている。
【0022】
超音波センサ1は、外側振動部2と内側回路部3とを備えている。外側振動部2は、車載状態にて、外部空間SGに面するように配置されている。具体的には、外側振動部2は、バンパー外表面V4上に、両面テープ等の任意の固定手段により固定されている。内側回路部3は、車載状態にて、内部空間SN内に収容されている。
【0023】
外側振動部2は、磁性体21と磁性体支持部22とを備えている。磁性体21は、磁石、あるいは、磁性塗料の固形物であって、軸方向に厚さ方向を有するペレット状に形成されている。具体的には、本実施形態においては、磁性体21は、指向軸DAを中心とする略円形状の面内形状を有している。すなわち、磁性体21は、略円板状に形成されている。磁性体21は、車載状態にて、バンパーV3における外部空間SGに面する表面であるバンパー外表面V4側に配置されるようになっている。すなわち、磁性体21は、磁性体支持部22によって軸方向に沿って微小量移動可能に支持されることで、外部空間SGにて軸方向に沿って超音波振動可能に設けられている。磁性体支持部22は、磁性体21を超音波振動可能に支持する部品であって、ダイアフラム23とダイアフラム支持部24とを有している。
【0024】
ダイアフラム23は、軸方向に厚さ方向を有する薄板状、具体的には、指向軸DAを法線とする略平面状の板面を有する略平板状に形成されている。また、ダイアフラム23は、指向軸DAを中心とする略円形状の面内形状を有している。すなわち、ダイアフラム23は、略円板状に形成されている。ダイアフラム23は、磁性体21を固定的に支持することで、軸方向に超音波振動する磁性体21とともに撓み変形しつつ超音波振動するように設けられている。具体的には、ダイアフラム23の面内方向における中心にて、磁性体21とダイアフラム23とが接着剤等の任意の接合手段により接合されている。本実施形態においては、磁性体21は、車載状態にてダイアフラム23と内側回路部3との間に配置されるようになっている。
【0025】
ダイアフラム支持部24は、ダイアフラム23を超音波振動可能に支持するように設けられている。具体的には、ダイアフラム支持部24は、指向軸DAを囲む筒状に形成されている。より詳細には、ダイアフラム支持部24は、指向軸DAを軸中心とする略円筒形状を有している。ダイアフラム支持部24は、その先端部にて、ダイアフラム23を撓み変形可能に支持するように設けられている。すなわち、磁性体支持部22は、ダイアフラム23とダイアフラム支持部24とによって、有底筒状に形成されている。
【0026】
内側回路部3は、内側ケース30と、電気-磁気変換器31と、制御回路32とを備えている。超音波センサ1の筐体を構成する内側ケース30は、絶縁性合成樹脂によって箱状に形成されている。内側ケース30は、バンパー内表面V5上に両面テープ等の任意の固定手段により固定されることで、電気-磁気変換器31および制御回路32を覆うように構成されている。
【0027】
電気-磁気変換器31は、バンパー内表面V5側すなわち内部空間SN内にて、バンパーV3を挟んで磁性体21と対向配置されている。具体的には、電気-磁気変換器31は、車載状態にて、バンパー内表面V5と近接あるいは接触した状態で配置されるように設けられている。
【0028】
電気-磁気変換器31は、磁性体21の超音波振動に対応する振動磁界と、電気信号との、変換機能を有している。すなわち、電気-磁気変換器31は、探査波の発信時に通電されることで、振動磁界を発生させて磁性体21およびダイアフラム23を超音波振動させるようになっている。また、電気-磁気変換器31は、受信時にて、磁性体21の超音波振動状態に応じた電気信号である受信信号を発生するようになっている。本実施形態においては、電気-磁気変換器31は、コイル等のインダクタによって構成されている。
【0029】
制御回路32は、機能構成上、送信回路33と、受信回路34と、切替部35と、制御部36とを有している。送信回路33は、磁性体21を励振することで探査波を発信する送信時に、電気-磁気変換器31に振動磁界を発生させるための送信電力を印加するように設けられている。受信回路34は、受信波の受信により電気-磁気変換器31にて発生した受信信号を処理するように設けられている。切替部35は、送信回路33から電気-磁気変換器31への送信電力の印加と、電気-磁気変換器31から受信回路34への受信信号の入力とを切り替えるようになっている。
【0030】
制御部36は、超音波センサ1における送受信動作を制御する電子回路であって、探査波の発信動作の開始および終了タイミング、受信動作の開始および終了タイミング、探査波強度、等を制御可能に設けられている。すなわち、制御部36は、切替部35における切替タイミングを制御するようになっている。また、電力制御部としての制御部36は、電気-磁気変換器31への印加電力を制御するようになっている。
【0031】
(効果)
以下、上記構成を有する、本実施形態に係る超音波センサ1の動作概要を、同構成により奏される効果とともに、各図面を参照しつつ説明する。
【0032】
探査波を発信する送信時において、送信回路33から電気-磁気変換器31に送信電力が印加される。これにより、電気-磁気変換器31に、所定周波数の交流電流が通流する。すると、電気-磁気変換器31にて、所定周波数の振動磁界が発生する。
【0033】
ここで、磁性体21と電気-磁気変換器31との間には、バンパーV3が介在している。しかしながら、バンパーV3は、磁性体21と電気-磁気変換器31との間の電磁的相互作用を阻害しない合成樹脂材料により形成されている。よって、磁性体21と電気-磁気変換器31との電磁的相互作用は、磁性体21と電気-磁気変換器31との間にバンパーV3が介在していても可能である。このため、電気-磁気変換器31にて発生した振動磁界は、バンパーV3を挟んで電気-磁気変換器31と対向配置された磁性体21に作用する。すると、磁性体21は、かかる振動磁界の作用で、軸方向に沿って超音波振動する。これにより、ダイアフラム23が撓み変形しつつ超音波帯域で振動し、ダイアフラム23から探査波が指向軸DAに沿って外部空間SGに向けて発信される。
【0034】
受信波を受信する受信時において、外部空間SGからダイアフラム23に伝播した受信波によりダイアフラム23が励振されることで、ダイアフラム23が撓み変形しつつ超音波帯域の周波数で振動する。すると、磁性体21は、軸方向に沿って超音波振動する。これにより、指向軸DAに沿って振動磁界が発生する。
【0035】
ここで、上記の通り、磁性体21と電気-磁気変換器31との電磁的相互作用は、磁性体21と電気-磁気変換器31との間にバンパーV3が介在していても可能である。このため、磁性体21の軸方向に沿った超音波振動による振動磁界は、バンパーV3を挟んで磁性体21と対向配置された電気-磁気変換器31に作用する。すると、かかる振動磁界の作用で、電気-磁気変換器31にて誘導電流が通流する。すなわち、電気-磁気変換器31にて、電気信号である受信信号が発生する。かかる受信信号を受信回路34にて処理することで、受信波に含まれる反射波に対応する物体を検知することが可能となる。
【0036】
このように、上記構成によれば、磁性体21と電気-磁気変換器31との間にバンパーV3が介在していても、良好に送受信動作を実現することが可能となる。また、バンパーV3に貫通孔である装着孔を形成しなくても、超音波センサ1をバンパーV3に装着することが可能である。したがって、本実施形態によれば、取付孔をバンパーV3に設けなくてもバンパーV3に取り付けることが可能な構成を有する超音波センサ1を提供することが可能となる。
【0037】
(第二実施形態)
以下、第二実施形態について、図3を参照しつつ説明する。なお、以下の第二実施形態の説明においては、主として、上記第一実施形態と異なる部分について説明する。また、第一実施形態と第二実施形態とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の第二実施形態の説明において、第一実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記第一実施形態における説明が適宜援用され得る。後述の第三実施形態以降の他の実施形態についても同様である。
【0038】
本実施形態においては、制御回路32は、機能構成上、送信回路33と、受信回路34と、切替部35と、制御部36と、電力消費回路37とを有している。電力消費回路37は、送信電力の遮断後に電気-磁気変換器31に通流する振動電流の電気エネルギを消費するように設けられている。切替部35は、送信回路33から電気-磁気変換器31への送信電力の印加と、電気-磁気変換器31における電気エネルギの電力消費回路37による消費と、電気-磁気変換器31から受信回路34への受信信号の入力とを切り替えるようになっている。
【0039】
かかる構成においては、送信電力の遮断後に電気-磁気変換器31に通流する振動電流の電気エネルギを電力消費回路37により消費することで、磁性体21およびダイアフラム23の超音波振動を良好に制振することができる。すなわち、かかる構成によれば、残響を良好に抑制することができる。したがって、本実施形態によれば、送信電力の遮断から受信波が受信可能となるまでの時間を良好に短縮することが可能となる。
【0040】
(第三実施形態)
以下、第三実施形態について、図4を参照しつつ説明する。なお、以下の第三実施形態の説明においては、主として、上記第二実施形態と異なる部分について説明する。
【0041】
本実施形態においては、制御回路32は、機能構成上、送信回路33と、受信回路34と、切替部35と、制御部36と、制振回路38とを有している。すなわち、本実施形態においては、図3に示された上記第二実施形態における電力消費回路37に代えて、制振回路38が設けられている。
【0042】
制振回路38は、送信電力の遮断後に電気-磁気変換器31にて磁性体21を制振する磁界を発生させるために、電気-磁気変換器31に制振電力を印加するように設けられている。すなわち、制振回路38は、送信回路33と同様の構成を有していて、制振電力を電気-磁気変換器31に印加することで、送信時の磁性体21の振動と逆相の振動を生じさせるための制振磁界を、電気-磁気変換器31にて発生させるようになっている。切替部35は、送信回路33から電気-磁気変換器31への送信電力の印加と、制振回路38から電気-磁気変換器31への制振電力の印加と、電気-磁気変換器31から受信回路34への受信信号の入力とを切り替えるようになっている。
【0043】
かかる構成によれば、上記第二実施形態と同様の作用効果が奏される。すなわち、外側振動部2における残響の制振が、上記第二実施形態においては電力消費により「パッシブ」に行われるのに対し、本実施形態においては逆相振動の印加により「アクティブ」に行われる。したがって、本実施形態によれば、送信電力の遮断から受信波が受信可能となるまでの時間を良好に短縮することが可能となる。
【0044】
(第四実施形態)
以下、第四実施形態について、図5を参照しつつ説明する。本実施形態においては、制御回路32は、機能構成上、送信回路33と、受信回路34と、切替部35と、制御部36と、判定部39とを有している。
【0045】
判定部39は、超音波センサ1すなわち外側振動部2における、着氷あるいは着雪の発生を判定するように設けられている。具体的には、判定部39は、検知部40による検知結果に基づいて、着氷あるいは着雪の発生を判定するようになっている。検知部40は、例えば、静電容量変化により着氷あるいは着雪の発生を検知する構成を有している。あるいは、検知部40は、例えば、外部空間SGにおける温度、湿度、等の物理量を検知する物理量センサであって、判定部39は、かかる物理量に基づいて着氷あるいは着雪の発生を判定すなわち推定するようになっている。
【0046】
本実施形態においては、制御部36は、着氷または着雪の発生時に、非発生時よりも、電気-磁気変換器31への印加電力を増大させるように構成されている。すなわち、制御部36は、着氷または着雪の発生時に、非発生時よりも、インダクタ電流を大きくするようになっている。あるいは、制御部36は、着氷または着雪の発生の可能性が高い場合に、かかる可能性が低い場合よりも、インダクタ電流を大きくするようになっている。
【0047】
かかる構成によれば、インダクタ電流を大きくして電気-磁気変換器31を発熱させることで、超音波センサ1すなわち外側振動部2に付着した氷あるいは雪を溶かしたり、着氷または着雪の発生を抑制したりすることが可能となる。なお、本実施形態における判定部39および検知部40は、上記第二~第三実施形態の構成にも設けられ得る。
【0048】
(第五実施形態)
以下、第五実施形態について、図6を参照しつつ説明する。本実施形態は、上記各実施形態における外側振動部2の構成の一部を変容したものである。後述の第六実施形態等も同様である。
【0049】
本実施形態においては、ダイアフラム23は、面内方向にて長手方向を有する形状に形成されている。具体的には、ダイアフラム23は、長円状に形成されている。
【0050】
より詳細には、ダイアフラム23は、車高方向すなわちZ軸方向にて長手方向を有している。具体的には、ダイアフラム23は、第一ダイアフラム寸法LD1(すなわち第一寸法)が第二ダイアフラム寸法LD2(すなわち第二寸法)よりも長くなるように形成されている。第一ダイアフラム寸法LD1は、ダイアフラム23の厚さ方向と直交する車高方向(すなわち第一面内方向)における、ダイアフラム23の寸法である。第二ダイアフラム寸法LD2は、ダイアフラム23の厚さ方向および車高方向と直交する水平方向(すなわち第二面内方向)における、ダイアフラム23の寸法である。
【0051】
また、本実施形態においては、磁性体21は、面内方向におけるダイアフラム23の中心に配置されている。具体的には、磁性体21は、ダイアフラム23の厚さ方向と直交する面内における外形形状が、同面内におけるダイアフラム支持部24の外形形状と同心となる略円形状に形成されている。
【0052】
かかる構成においては、図中YZ平面内における指向角を、図中XY平面内における指向角よりも狭くすることができる。これにより、路面反射に起因する誤検知を良好に抑制することが可能となる。
【0053】
(第六実施形態)
以下、第六実施形態について、図7を参照しつつ説明する。本実施形態においては、磁性体21は、面内方向にて長手方向を有する形状に形成されている。具体的には、磁性体21は、長円状に形成されている。
【0054】
より詳細には、磁性体21は、車高方向すなわちZ軸方向にて長手方向を有している。具体的には、磁性体21は、第一磁性体寸法LM1(すなわち第一寸法)が第二磁性体寸法LM2(すなわち第二寸法)よりも長くなるように形成されている。第一磁性体寸法LM1は、ダイアフラム23の厚さ方向と直交する車高方向(すなわち第一面内方向)における、磁性体21の寸法である。第二磁性体寸法LM2は、ダイアフラム23の厚さ方向および車高方向と直交する水平方向(すなわち第二面内方向)における、磁性体21の寸法である。
【0055】
本実施形態においては、また、磁性体21は、面内方向におけるダイアフラム23の中心に配置されている。具体的には、ダイアフラム23は、厚さ方向と直交する面内における外形形状が略円形状に形成されている。そして、磁性体21は、その面内方向における中心が面内方向におけるダイアフラム23の中心と略一致するように設けられている。
【0056】
かかる構成においては、上記第五実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態によれば、図中YZ平面内における指向角を図中XY平面内における指向角よりも狭くすることで、路面反射に起因する誤検知を良好に抑制することが可能となる。
【0057】
(第七実施形態)
以下、第七実施形態について、図8を参照しつつ説明する。本実施形態においては、磁性体21は、ダイアフラム23の厚さ方向と直交する面内におけるダイアフラム23の中心から径方向にオフセット配置されている。具体的には、磁性体21は、ダイアフラム23の中心よりも鉛直下方にオフセットした位置にて、ダイアフラム23に接合されている。
【0058】
かかる構成においては、上記第五~第六実施形態と同様の効果が得られる。すなわち、本実施形態によれば、鉛直上下方向について非対称な指向性が実現されることで、路面反射およびこれに起因する誤検知を良好に抑制することが可能となる。
【0059】
(変形例)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。故に、上記実施形態に対しては、適宜変更が可能である。以下、代表的な変形例について説明する。以下の変形例の説明においては、上記実施形態との相違点を主として説明する。また、上記実施形態と変形例とにおいて、互いに同一または均等である部分には、同一符号が付されている。したがって、以下の変形例の説明において、上記実施形態と同一の符号を有する構成要素に関しては、技術的矛盾または特段の追加説明なき限り、上記実施形態における説明が適宜援用され得る。
【0060】
超音波センサ1の装着対象は、バンパーV3に限定されない。具体的には、例えば、超音波センサ1は、車体パネルV2が磁性体21と電気-磁気変換器31との間の電磁的相互作用を阻害しない材料(例えば合成樹脂)により形成されていれば、車体パネルV2にも装着され得る。すなわち、超音波センサ1の装着対象である車体部品、例えば、車体パネルV2および/またはバンパーV3を構成する材料は、磁性体21と電気-磁気変換器31との間の電磁的相互作用を阻害しない材料であれば、特段の限定はない。かかる「磁束を透過可能な材料」は、「磁束を通す材料」あるいは「磁束を遮蔽しない材料」とも称され得る。かかる材料としては、典型的には、鉄等の磁性材料からなる添加成分(例えばフィラー等)を含有しない、非磁性材料(例えば合成樹脂等の非金属材料)が用いられ得る。
【0061】
超音波センサ1は、送受信一体型の構成に限定されない。すなわち、例えば、超音波センサ1は、超音波の発信のみが可能な構成を有していてもよい。あるいは、超音波センサ1は、他の超音波発信器から発信された超音波である探査波の、周囲に存在する物体による反射波を受信する機能のみを有するものであってもよい。あるいは、超音波センサ1は、送信用の外側振動部2と、受信用の外側振動部2とをそれぞれ有していてもよい。
【0062】
超音波センサ1における各部の構成も、上記具体例に限定されない。具体的には、例えば、磁性体21の面内形状は、略円形に限定されず、四角形、六角形、八角形、等の多角形であってもよいし、楕円形であってもよい。ダイアフラム23の面内形状についても同様である。
【0063】
ダイアフラム支持部24の形状も、略円筒形状に限定されず、例えば、四角筒形状、六角筒形状、八角筒形状、等であってもよい。あるいは、ダイアフラム支持部24の形状は、筒状に限定されない。すなわち、例えば、ダイアフラム支持部24は、ダイアフラム23の面内形状における外縁部から軸方向に延設された複数の棒状あるいは脚状の部分であってもよい。
【0064】
ダイアフラム23とダイアフラム支持部24とは、同一材料により形成されていてもよいし、互いに異なる材料により形成されていてもよい。ダイアフラム23とダイアフラム支持部24とは、継ぎ目なく一体に形成されていてもよいし、互いに別体に形成された後に接合されてもよい。
【0065】
制御回路32の構成についても、図示された具体例は、開示内容を簡略に説明するための便宜的なものにすぎない。したがって、制御回路32の構成は、図示された具体例に限定されない。すなわち、例えば、制御回路32は、電気-磁気変換器31と送信回路33との電気接続と、電気-磁気変換器31と受信回路34との電気接続とを、切替部35によって切り替える構成に限定されない。具体的には、図2に示された構成において、切替部35は省略可能である。
【0066】
図6および図8における磁性体21の面内形状は、図7に示されているように長手方向を有するものであってもよい。図8におけるダイアフラム23の面内形状は、図6に示されているように長手方向を有するものであってもよい。すなわち、第五~第七実施形態は、互いに組み合わせることが可能である。
【0067】
上記実施形態を構成する要素は、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに必須であると考えられる場合等を除き、必ずしも必須のものではないことは言うまでもない。また、構成要素の個数、量、範囲等の数値が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に明らかに特定の数値に限定される場合等を除き、その特定の数値に本発明が限定されることはない。同様に、構成要素等の形状、方向、位置関係等が言及されている場合、特に必須であると明示した場合および原理的に特定の形状、方向、位置関係等に限定される場合等を除き、その形状、方向、位置関係等に本発明が限定されることはない。
【0068】
変形例も、上記の例示に限定されない。すなわち、例えば、上記に例示した以外で、複数の実施形態同士が、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。同様に、複数の変形例が、技術的に矛盾しない限り、互いに組み合わされ得る。
【符号の説明】
【0069】
1 超音波センサ
21 磁性体
22 磁性体支持部
23 ダイアフラム
24 ダイアフラム支持部
31 インダクタ
33 送信回路
36 制御部(電力制御部)
37 電力消費回路
38 制振回路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8