(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電池消耗検知機能付電子装置及び電池消耗検知方法
(51)【国際特許分類】
G01R 31/00 20060101AFI20241016BHJP
G08B 21/24 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01R31/00
G08B21/24
(21)【出願番号】P 2021014539
(22)【出願日】2021-02-01
【審査請求日】2023-11-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000191009
【氏名又は名称】新東工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000338
【氏名又は名称】弁理士法人 HARAKENZO WORLD PATENT & TRADEMARK
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 誉久
(72)【発明者】
【氏名】白木 正孝
(72)【発明者】
【氏名】水谷 学世
【審査官】島田 保
(56)【参考文献】
【文献】実開昭61-115996(JP,U)
【文献】特開平09-297826(JP,A)
【文献】特開2003-172762(JP,A)
【文献】特開2005-309488(JP,A)
【文献】特開2017-068606(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 31/00
G08B 21/24
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池により動作する制御部と、
前記電池により動作する電子回路ユニットと、を備え、
前記制御部の最低動作電圧は、前記電子回路ユニットの最低動作電圧よりも低く、
前記制御部は、前記電子回路ユニットからの信号を取得できなくなった場合に、電池の消耗を報知する報知信号を生成する、
ことを特徴とする電池消耗検知機能付電子装置。
【請求項2】
複数の前記電子回路ユニットを備え、前記制御部の最低動作電圧が前記複数の電子回路ユニットのうちの最も重要度が低い電子回路ユニットの最低動作電圧よりも低く、前記制御部は、前記最も重要度が低い電子回路ユニットからの信号を取得できなくなった場合に、前記報知信号を生成する、請求項1に記載の電池消耗検知機能付電子装置。
【請求項3】
前記複数の電子回路ユニットのうち、最も重要度が低い電子回路ユニットの最低動作電圧が、他の前記複数の電子回路ユニットの最低動作電圧よりも高い、請求項2に記載の電池消耗検知機能付電子装置。
【請求項4】
前記電子回路ユニットはセンサ、又はA/D変換器である、請求項1から3のいずれか1項に記載の電池消耗検知機能付電子装置。
【請求項5】
インターネットを通じて情報を送信する通信部を備える、請求項1から4のいずれか1項に記載の電池消耗検知機能付電子装置。
【請求項6】
電池により動作する電子装置の電池消耗検知方法であって、
前記電池により動作する制御部が、
前記電池により動作する電子回路ユニットからの信号を取得する取得ステップと、
前記取得ステップにおいて前記信号を取得できなくなった場合に、
電池の消耗を報知する報知信号を生成する生成ステップと、を備え、
前記制御部の最低動作電圧は、前記電子回路ユニットの最低動作電圧よりも低い、
ことを特徴とする電池消耗検知方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池消耗検知機能付電子装置及び電池消耗検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子装置中の電池の消耗、又は部品の故障を検出するさまざまな方法が提案されている。例えば、特許文献1には、ダミー抵抗と、このダミー抵抗を被検査電池に対し並列に接続する開閉器と、ダミー抵抗の電位と第1の基準電位とを比較する第1の比較回路と、ダミー抵抗の電位と第1の基準電位とは異なる第2の基準電位とを比較する第2の比較回路と、を備えた電池寿命検査装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、スイッチングレギュレータの出力電力を、所定の停止時間だけ停止させ、この停止期間中に、電力供給経路の電圧レベルがマイコンへの動作電圧未満となった場合、コンデンサCの故障を報知する、電源回路の故障検出装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-281708号公報
【文献】特開2012-150053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1及び特許文献2に開示された発明は、いずれも、電池の消耗を検査するために、又は電源回路の故障を検出するために、専用の回路部品を用いている。そのため、コストが増加する要因となる。
【0006】
本発明の一態様は、電池の消耗を検知するための専用の回路部品を用いることなく、電池の消耗を検知することができる電池消耗検知機能を有する電子装置及び電池消耗検知方法を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る電池消耗検知機能付電子装置は、電池により動作する制御部と、前記電池により動作する電子回路ユニットと、を備え、前記制御部の最低動作電圧は、前記電子回路ユニットの最低動作電圧よりも低く、前記制御部は、前記電子回路ユニットからの信号を取得できなくなった場合に、電池の消耗を報知する報知信号を生成する、ことを特徴とする。
【0008】
本発明の一態様に係る電池消耗検知方法は、電池により動作する電子装置の電池消耗検知方法であって、制御部が、電子回路ユニットからの信号を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて前記信号を取得できなくなった場合に、報知信号を生成するステップと、を備え、前記制御部の最低動作電圧は、前記電子回路ユニットの最低動作電圧よりも低い、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、電池の消耗を検知するための専用の回路部品を用いることなく、電池の消耗を検知することができる電池消耗検知機能を有する電子装置及び電池消耗検知方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態1に係る匂い検出装置のブロック構成図である。
【
図2】実施形態1に係る、電池、マイコン、及びセンサ部の接続回路図と、マイコンとセンサ部の最低動作電圧の関係を示すグラフである。
【
図3】実施形態1に係る電池消耗検知方法を示すフローチャートである。
【
図4】本発明の実施形態2に係る匂い検出装置のブロック構成図である。
【
図5】実施形態2に係る、電池、マイコン、及びセンサ部の接続回路図と、マイコンとセンサ部の最低動作電圧の関係を示すグラフである。
【
図6】マイコンを、プログラムを実行するコンピュータによって構成する場合の構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
〔実施形態1〕
以下、本発明の一実施形態に係る匂い検出装置1について、図面を用いて説明する。匂い検出装置1は、例えば、介護施設又は病院等において、介護を要する人の見守り用として用いることができる。例えば、介護を要する人が自力でトイレに行けず、オムツを装着している場合、その人の近くに匂い検出装置1を配置して、排泄があったことを報知するために用いることができる。しかし、匂い検出装置1は、上記の目的に限らず、匂いを検出する必要がある用途全般に用いることができる。
【0012】
匂い検出装置1は、特許請求の範囲に記載した「電池消耗検知機能付電子装置」の一形態である。電子装置とは、本実施形態においては、電池で動作する電子的装置を指す。特に、電池の交換頻度が比較的少ないもの、つまり消費電力は小さいが長期間にわたって作動するもの、又は使用頻度が比較的低いもの等が考えられる。具体的には、電子装置は、例えば据え置き式の監視装置、警報装置等、又はモバイル式の測定装置、検査装置等である。そのような電子装置は、電池を交換する頻度は低いが、いつの間にか電池が消耗して使用不能になる事態は避ける必要がある。本実施形態に係る匂い検出装置1は、電池が消耗して使用不能になる前に、電池の消耗を報知するように構成されている。
【0013】
図1は、本発明の実施形態1に係る匂い検出装置1のブロック構成図である。匂い検出装置1は、電池10、マイクロコントローラ11、センサ部12、報知部13、及び通信部14を備える。マイクロコントローラ11(以下、マイコン11と称する。)、センサ部12、報知部13、及び通信部14は、いずれも電池10から供給される電力により動作する。マイコン11の最低動作電圧は、センサ部12の最低動作電圧よりも低い。
【0014】
電池10は、使い切り方式の電池(一次電池)でもよく、充電式の電池(二次電池)でもよい。また、電池10に含まれる発電材料及び電池10の外形状も限定されない。発電材料により分類される種類には、例えば、リチウムイオン電池、ニッケル・水素電池、ニッケル・カドミウム電池、二酸化マンガンリチウム電池、酸化銀電池等がある。形状により分類される種類には、ボタン形電池、コイン形電池、円筒形電池等がある。
【0015】
マイコン11は、匂い検出装置1の全体を制御する。マイコン11の制御機能は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい(詳細は後述)。
【0016】
マイコン11は、センサ部12の動作状況から電池10が消耗したか否かを検出し、電池10の消耗を検出した場合は、それを報知する。具体的には、マイコン11は、センサ部12からの信号を取得できなくなった場合に、電池10の消耗を報知する報知信号を生成する。マイコン11が電池10の消耗を検知する方法の詳細については後述する。生成された報知信号は、報知部13に送信される。また、生成された報知信号は、通信部14を通じて外部へ送信されてもよい。マイコン11は、特許請求の範囲に記載した「制御部」の一形態である。
【0017】
センサ部12は、匂いを検出するセンサである。センサ部12は、検出結果である出力信号をマイコン11に出力する。センサ部12は、公知の技術を用いた任意の匂いセンサ又はガスセンサを用いることができる。例えば、センサ部12として、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム等を用いた金属酸化物半導体、ポリピロール、ポリアセチレン等の有機半導体、水晶振動子、CMOS等を用いたセンサを用いることができる。センサ部12は、マイコン11と情報通信可能に構成されている。センサ部12は、特許請求の範囲に記載した「電子回路ユニット」の一形態である。
【0018】
電子回路ユニットとは、本実施形態においては、それ全体で所定の機能を実行するように構成された電子回路を指す。具体的には、本実施形態におけるセンサ部12のほか、温度センサ、湿度センサ、照度センサ等の各種センサが挙げられる。各種センサは、アナログ出力をデジタル出力に変換するA/D変換器を備えたモジュールであってもよい。また、匂い検出装置1が、各種センサからのアナログ出力をデジタル値に変換するA/D変換器を備えていてもよい。匂い検出装置1がA/D変換器を備える場合、このA/D変換器は電子回路ユニットとみなすことができる。
【0019】
報知部13は、様々な情報を報知する。例えば、報知部13は、基本的には、所定の匂いを検知した場合に、所定のにおいを検知したことを報知するために設けられている。しかし本実施形態においては、報知部13は、マイコン11が電池10の消耗を検知した場合に生成する報知信号を取得して、電池の消耗を報知することができる。報知の方法は任意であり、例えば、報知部13は、光、音、表示等によって電池10の消耗を報知する。具体的には、例えば報知部13は、ランプの点灯、警報音の発生、及び表示パネルでの警告の表示、のうちの少なくとも1つによって、電池10の消耗を報知する。なお、所定のにおいを検知したことを報知する態様と、電池10の消耗を検知したことを報知する態様とを異ならせることが好ましい。
【0020】
介護を必要とする人の近くに匂い検出装置1が配置されている場合、報知部13による報知は、近くに介護者等が不在の場合には役に立たない。そのため、後述の通信部14によって、遠隔の監視室等に配置された管理システムに報知信号が送信されることが好ましい。報知部13は、近くに介護者がいる場合のための補助的な構成である。
【0021】
通信部14は、外部との情報通信、つまり外部とのデータの送受信を行う。例えば、通信部14は、基本的には、所定の匂いを検知した場合に、その情報を外部へ送信するために設けられている。しかし本実施形態においては、報知部13は、マイコン11が生成した、電池10の消耗を報知する報知信号を外部へ送信することができる。外部との通信は、有線通信で行ってもよく、無線通信で行ってもよい。例えば、通信部14は、インターネットを通じて、外部の管理システムへ情報(報知信号)を送信する。外部の管理システムは、報知信号を受信すると報知機能を作動させ、管理者(ユーザ)に電池10の消耗を報知する。前述のように、報知の方法は任意である。
【0022】
通常時は、匂い検出装置1から所定の匂いを検出したとの情報が管理システムに送信され、管理者は、介護を要する人の介護を実施する。一方、管理システムに電池10が消耗したとの情報が送信されると、管理者は電池10を交換する。
【0023】
次に、マイコン11が電池の消耗を検知する方法について説明する。
図2は、実施形態1に係る、電池10、マイコン11、及びセンサ部12の接続回路図と、マイコン11とセンサ部12の最低動作電圧の関係を示すグラフである。
図2の2001に示すように、マイコン11とセンサ部12は、電力線16によって、電池10と並列に接続されている。マイコン11とセンサ部12とは、信号線17によって情報通信可能に接続されている。
【0024】
また、
図2の2002に示すように、マイコン11の動作電圧範囲がv1からv2、センサ部12の動作電圧範囲がv3からv4とすると、マイコン11の最低動作電圧v1は、センサ部12の最低動作電圧v3よりも低い。例えば、電池10の定格起電力が3.0Vである場合、マイコン11の最低動作電圧v1を2.5Vに、センサ部12の最低動作電圧v3を2.8Vに設定する。なお、マイコン11の最高動作電圧v2とセンサ部12の最高動作電圧v4との大小関係は特に限定されない。
【0025】
図3は、実施形態1に係る電池消耗検知方法を示すフローチャートである。まず、ステップS10において、マイコン11は、センサ部12から信号を取得する(取得ステップ)。次に、ステップS12において、マイコン11は、センサ部12から匂いの検出結果である信号を取得したか否かを判定する。ステップS12において、マイコン11は信号を取得したと判定された場合(ステップS12:YES)は、ステップS10に戻る。ステップS12において、マイコン11は信号を取得していないと判定された場合(ステップS12:NO)は、ステップS14に移行する。
【0026】
ステップS14において、マイコン11は、電池10の消耗を報知する報知信号を生成する(生成ステップ)。次に、ステップS16において、マイコン11は、生成した報知信号を送信する。報知信号の送信先は、報知部13である。また、マイコン11は、報知信号を、通信部14を通じて外部の管理システムへ送信してもよい。報知部13及び管理システムは、報知信号を受信した場合は、光、音、表示等によって電池10の消耗を報知する。
【0027】
マイコン11がセンサ部12から信号を取得するタイミングは、定期的に取得してもよく、連続的に取得してもよい。定期的に取得する場合は、マイコン11がセンサ部12に定期的にアクセスしてデータを取得してもよい。また、マイコン11がセンサ部12にデータ要求信号を送り、センサ部12にデータ信号を送信させてもよい。
【0028】
以上の電池消耗検知方法により、マイコン11は、センサ部12からの信号を取得できなくなった場合に、電池10の消耗を報知する報知信号を生成する。また、マイコン11は、生成した信号を、報知部13及び外部の管理システムへ送信してもよい。
【0029】
図2の2002に示すように、マイコン11の最低動作電圧v1は、センサ部12の最低動作電圧v3よりも低い。従って、電池10の消耗により、起電力がv3を下回った場合は、センサ部12の動作が停止するが、起電力がv1より大きい間は、マイコン11は動作可能である。そのため、マイコン11がセンサ部12から信号を取得することができなくなった場合は、電池10の起電力がv3より低下したと判断され、電池10が消耗したと判断することができる。この時点で電池10の消耗を報知する報知信号を生成し、さらに所定の箇所へ送信することで、電池10の消耗を報知することができる。電池10は、一般的に、放電に伴って緩やかに起電力が低下していくため、マイコン11とセンサ部12の両方が同時に動作不能に陥ることはない。管理者は、マイコン11が動作している間に電池10を交換することができる。
【0030】
センサ部12は、デジタル信号を出力する場合は、そのデジタル出力をマイコン11にそのまま出力すればよい。しかし、センサ部12がアナログ信号を出力する場合は、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器(図示せず)を設けることが好ましい。センサ部12がアナログ信号を出力する場合、電池10の起電力がセンサ部12の最低動作電圧未満になっても、無意味なアナログ信号がセンサ部12から出力される場合がある。その場合、マイコン11は、センサ部12からの信号を取得していると判断してしまう虞がある。つまり、センサ部12が出力する信号がデジタル信号の場合のほうが、マイコン11は、センサ部12からの信号を取得したか否かを正しく判断することができる。
【0031】
この場合は、前述のように、A/D変換器は電子回路ユニットの役割を果たすことができる。つまり、このA/D変換器の最低動作電圧を、マイコン11の最低動作電圧よりも高く設定する。A/D変換器からの出力を取得できなくなった場合に、マイコン11は、電池10の消耗を報知する報知信号を生成することができる。
【0032】
以上の構成を有する匂い検出装置1によれば、電池10の消耗を検知するための専用の回路部品を用いることなく、電池10の消耗を検知することができる。そして、電池10が消耗したことを報知する信号を生成し、さらに報知部13及び外部の管理システムへ送信することができる。
【0033】
(実施形態2)
上記の実施形態1においては、センサ部12が動作不能になり、信号が出力されなくなった場合に、電池10が消耗したとの報知がなされる。しかし、最低動作電圧が異なる複数の電子回路ユニットを設けることにより、センサ部12の機能が喪失する(出力信号が途絶える)ことを避けることができる。
【0034】
図4は、本発明の実施形態2に係る匂い検出装置2のブロック構成図である。匂い検出装置2は、電池20、マイクロコントローラ21(以下、マイコン21と称する。)、第1センサ部22、第2センサ部23、報知部24、及び通信部25を備える。マイコン21、第1センサ部22、第2センサ部23、報知部24、及び通信部25は、いずれも電池20から供給される電力により動作する。これらの要素は実施形態1で説明した要素と同等であるので、説明は省略する。
【0035】
図5の5001に示すように、マイコン21、第1センサ部22、及び第2センサ部23は、電力線26によって、電池20と並列に接続されている。マイコン21と第1センサ部22とは、信号線27によって情報通信可能に接続されている。マイコン21と第2センサ部23とは、信号線28によって情報通信可能に接続されている。
【0036】
また、
図5の5002に示すように、マイコン21の最低動作電圧がv1、第1センサ部22の最低動作電圧がv3、第2センサ部23の最低動作電圧がv5とすると、マイコン21の最低動作電圧v1は、第2センサ部23の最低動作電圧v5よりも低い。また、第2センサ部23の最低動作電圧v5は、第1センサ部22の最低動作電圧v3よりも高い。ただし、第1センサ部22の重要度が、第2センサ部23の重要度よりも高いものとする。なお、マイコン21と第1センサ部22の最低動作電圧の大小関係は限定されない。また、マイコン21、第1センサ部22、及び第2センサ部23の最高動作電圧の大小関係も特に限定されない。
【0037】
第1センサ部22の重要度は、第2センサ部23の重要度よりも高い。つまり、第1センサ部22からの出力信号が途絶えることは避けたいが、第2センサ部23の出力信号は、一時的であれば途絶えてもよいとする。この場合、v1<v5かつv3<v5と設定することで、第1センサ部22の出力は途絶えることなく、電池20の消耗を検知することができる。
【0038】
具体的には、マイコン21は、第2センサ部23からの信号を取得できなくなった場合に、報知信号を生成する。電池20が消耗してその起電力がv5を下回った場合、第2センサ部23は動作を停止するため、マイコン21は、第2センサ部23からの信号を取得できなくなる。しかし、その時点でも、マイコン21と第1センサ部22は動作するため、マイコン21は第1センサ部22からの信号出力を取得することができる。この時点で、マイコン21が電池20の消耗を報知するため、管理者は、第1センサ部22からの出力信号を途絶えさせることなく、電池20を交換することができる。
【0039】
以上のように、第1センサ部22と第2センサ部23(複数の電子回路ユニット)を備え、マイコン21(制御部)の最低動作電圧が、第1センサ部22、第2センサ部23のうちの最も重要度が低い第2センサ部23の最低動作電圧よりも低くなるようにする。マイコン21は、最も重要度が低い第2センサ部23からの信号を取得できなくなった場合に、報知信号を生成する。この構成により、電池20の消耗を検知するための専用の回路部品を用いることなく、電池20の消耗を検知することができる。
【0040】
さらに、第1センサ部22、第2センサ部23のうち、最も重要度が低い第2センサ部23の最低動作電圧が、他の第1センサ部22の最低動作電圧よりも高い。この構成により、重要度が高い第1センサ部22の動作を停止させることなく、電池20の消耗を報知することができる。なお、電子回路ユニット(センサ部等)の数は、本実施形態で例示した2つに限らず任意である。
【0041】
〔ソフトウェアによる実現例〕
マイコン11,21の構成は、集積回路(ICチップ)等に形成された論理回路(ハードウェア)によって実現してもよいし、ソフトウェアによって実現してもよい。後者の場合、マイコン11,21の各機能は、例えば、ソフトウェアであるプログラムPの命令を実行するコンピュータによって実現される。
【0042】
このようなコンピュータの一例(以下、コンピュータCと記載する)を
図6に示す。コンピュータCは、少なくとも1つのプロセッサC1と、少なくとも1つのメモリC2と、を備えている。メモリC2には、コンピュータCをマイコン11,21として動作させるためのプログラムPが記録されている。コンピュータCにおいて、プロセッサC1は、このプログラムPをメモリC2から読み取って実行することにより、マイコン11,21の各機能を実現する。
【0043】
プロセッサC1としては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、MPU(Micro Processing Unit)、FPU(Floating point number Processing Unit)、PU(Physics Processing Unit)、マイクロコントローラ、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。メモリC2としては、例えば、フラッシュメモリ、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、又は、これらの組み合わせなどを用いることができる。
【0044】
なお、コンピュータCは、プログラムPを実行時に展開したり、各種データを一時的に記憶したりするためのRAM(Random Access Memory)を更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、他の装置との間でデータを送受信するための通信インターフェースを更に備えていてもよい。また、コンピュータCは、キーボードやマウスなどの入力機器、及び/又は、ディスプレイやプリンタなどの出力機器を接続するための入出力インターフェースを更に備えていてもよい。
【0045】
また、プログラムPは、コンピュータCが読み取り可能な、一時的でない有形の記録媒体Mに記録することができる。このような記録媒体Mとしては、例えば、テープ、ディスク、カード、半導体メモリ、又はプログラマブルな論理回路などを用いることができる。コンピュータCは、このような記録媒体Mを介してプログラムPを取得することができる。また、プログラムPは、伝送媒体を介して伝送することができる。このような伝送媒体としては、例えば、通信ネットワーク、又は放送波などを用いることができる。コンピュータCは、このような伝送媒体を介してプログラムPを取得することもできる。
【0046】
〔まとめ〕
本発明の態様1に係る電池消耗検知機能付電子装置は、電池により動作する制御部と、前記電池により動作する電子回路ユニットと、を備え、前記制御部の最低動作電圧は、前記電子回路ユニットの最低動作電圧よりも低く、前記制御部は、前記電子回路ユニットからの信号を取得できなくなった場合に、電池の消耗を報知する報知信号を生成する。
【0047】
上記の構成によれば、電池消耗検知機能付電子装置は、電池の消耗を検知するための専用の回路部品を用いることなく、電池の消耗を検知することができる。
【0048】
本発明の態様2に係る電池消耗検知機能付電子装置において、複数の前記電子回路ユニットを備え、前記制御部の最低動作電圧が前記複数の電子回路ユニットのうちの最も重要度が低い電子回路ユニットの最低動作電圧よりも低く、前記制御部は、前記最も重要度が低い電子回路ユニットからの信号を取得できなくなった場合に、前記報知信号を生成してもよい。
【0049】
上記の構成によれば、重要度が高い電子回路ユニットの機能を喪失することなく、電池の消耗を検知することができる。
【0050】
本発明の態様3に係る電池消耗検知機能付電子装置において、前記複数の電子回路ユニットのうち、最も重要度が低い電子回路ユニットの最低動作電圧が、他の前記複数の電子回路ユニットの最低動作電圧よりも高くてもよい。
【0051】
上記の構成によれば、最も重要度が低い電子回路ユニットからの信号を取得できなくなった場合に、電池の消耗を検知することができる。
【0052】
本発明の態様4に係る電池消耗検知機能付電子装置において、前記電子回路ユニットはセンサ、又はA/D変換器であってもよい。
【0053】
上記の構成によれば、センサ、又はA/D変換器という一般的に用いられる電子回路ユニットを用いる電子装置において、電池の消耗を検知するための専用の回路部品を用いることなく、電池の消耗を検知することができる。
【0054】
本発明の態様5に係る電池消耗検知機能付電子装置において、インターネットを通じて情報を送信する通信部を備えてもよい。
【0055】
上記の構成によれば、電池の消耗を検知したことを、外部の管理システムへ送信することができる。
【0056】
本発明の態様6に係る電池消耗検知方法は、電池により動作する電子装置の電池消耗検知方法であって、制御部が、電子回路ユニットからの信号を取得する取得ステップと、前記取得ステップにおいて前記信号を取得できなくなった場合に、報知信号を生成する生成ステップと、を備え、前記制御部の最低動作電圧は、前記電子回路ユニットの最低動作電圧よりも低い。
【0057】
上記の構成によれば、電池の消耗を検知するための専用の回路部品を用いることなく、電池の消耗を検知することができる。
【0058】
〔付記事項〕
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0059】
1,2…匂い検出装置、10,20…電池、11,21…制御部(マイコン)、12,22,23…センサ部(電子回路ユニット)、13,24…報知部、14,25…通信部、16,26…電力線、17,27,28…通信線