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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】部品供給システム
(51)【国際特許分類】
   G05B 19/418 20060101AFI20241016BHJP
   B65G 1/137 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
B65G1/137 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021015787
(22)【出願日】2021-02-03
(65)【公開番号】P2022118933
(43)【公開日】2022-08-16
【審査請求日】2023-08-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】近松 裕輝
(72)【発明者】
【氏名】林 洋則
【審査官】永井 友子
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-164018(JP,A)
【文献】特開2018-201021(JP,A)
【文献】特開2016-115739(JP,A)
【文献】特開2021-002672(JP,A)
【文献】国際公開第2018/154636(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05B 19/418
B65G 1/137
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の作業ラインを有する工場内において前記複数の作業ラインとは異なる位置にある部品置き場から前記複数の作業ラインへ部品を供給するための部品供給システムであって、
前記部品置き場には、収容箱に収容された状態で前記部品が置かれており、
前記供給部品は、前記収容箱に収容された状態で前記作業ラインに供給され、
前記複数の作業ラインにおいて使用された使用部品の情報である使用部品情報を取得する取得部と、
前記取得部によって取得された前記使用部品情報に基づいて、前記部品置き場から前記作業ラインの各々に供給する供給部品を指定する指定部と、
前記指定部によって指定された前記供給部品に関する情報を受信する受信部とを備え、
前記受信部は、前記各作業ラインに割り当てられて複数設けられており、
前記指定部は、前記受信部に、該受信部が割り当てられた前記作業ラインに対応した前記供給部品と、前記受信部が割り当てられた前記作業ラインとは異なる前記作業ラインに対応した前記供給部品との双方を含む情報を前記供給部品に関する情報として送信するものであり、前記取得部から前記使用部品情報を読込む使用部品情報読込み部と、一度の部品供給作業において予め設定されている作業上限値を記憶した上限値記憶部と、前記使用部品情報読込み部によって読込んだ前記使用部品情報に基づいて、前記収容箱毎に設定されている作業値の合計が前記作業上限値を超えないように前記収容箱を選定する選定部と、前記選定部によって選定された前記収容箱の情報を前記供給部品に関する情報として送信する通信部とを有し、
前記選定部は、前記受信部が割り当てられた前記作業ラインに対応した前記収容箱と、該作業ラインとは異なる前記作業ラインに対応した前記収容箱とを選定する
部品供給システム。
【請求項2】
前記作業ラインには、前記収容箱が載置される部品棚が設けられており、
前記部品棚には、前記各収容箱に対応した載置位置が設定されており、
前記選定部は、前記収容箱の前記作業値として、該収容箱毎に設定された距離係数を用い、
前記距離係数は、前記載置位置が前記部品置き場から遠い前記収容箱ほど大きい値に設定されている
請求項1に記載の部品供給システム。
【請求項3】
前記選定部は、前記収容箱の前記作業値として、該収容箱毎に設定された容積係数を用い、
前記容積係数は、容積が大きい前記収容箱ほど大きい値に設定されている
請求項1または2に記載の部品供給システム。
【請求項4】
前記収容箱毎に設定された優先順位を記憶する優先順位記憶部を有し、
前記選定部は、前記優先順位記憶部に記憶されている前記優先順位と、前記使用部品情報読込み部によって読込んだ前記使用部品情報とに基づいて前記収容箱を選定する
請求項1~3のいずれか一項に記載の部品供給システム。
【請求項5】
前回の部品供給処理において指定されずに繰越された前記収容箱の情報を記憶した繰越し情報記憶部と、
前記繰越し情報記憶部に記憶された前記収容箱における前記優先順位を1つ繰り上げて記憶する優先順位繰上げ部とを備え、
前記選定部は、前記使用部品情報と、前記繰越し情報記憶部に記憶された前記収容箱の情報と、前記優先順位繰上げ部に記憶された前記優先順位の情報とに基づき、前記繰越された前記収容箱を含んで前記収容箱を選定するとともに、前記繰越された前記収容箱について前記優先順位繰上げ部に記憶された前記優先順位を用いて前記収容箱を選定する
請求項4に記載の部品供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、部品供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、工場内に設けられた作業ラインに部品を供給するための部品供給システムが開示されている。この部品供給システムは、「かんばん方式」を採用している。かんばん方式では、工場に納品される収容箱に、収容されている部品の名称や部品の収容数等の各種情報が記されたかんばんを嵌め込む。収容箱は工場内の部品置き場に置かれ、所定のタイミングで作業ラインに供給される。作業ラインでは、最初の部品を収容箱から取り出したときにかんばんを取り外し、該かんばんを回収ポストへ送る。そして、回収ポストに送られて集約されたかんばんは、再度部品供給のための発注書として各部品工場へ回収される。部品工場では、回収したかんばんの情報に基づいて部品を製造する。このように、作業ラインにおいて使用された部品を部品工場で製造して供給することで部品の余剰在庫を削減できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平7-61536号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の部品供給システムでは、自動搬送装置を用いて部品置き場から1つの作業ラインへ部品を供給している。工場内に複数の作業ラインを設けた場合、各作業ラインに割り当てて複数の搬送装置を設けることとなるが、各搬送装置における作業負荷は、各作業ラインに供給する部品数等の影響によってばらつく虞がある。特許文献1に記載の部品供給システムでは、こうした点については考慮されておらず、改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、部品供給にかかる作業負荷を平準化した部品供給システムを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための部品供給システムは、複数の作業ラインを有する工場内において前記複数の作業ラインとは異なる位置にある部品置き場から前記複数の作業ラインへ部品を供給するための部品供給システムであって、前記複数の作業ラインにおいて使用された使用部品の情報である使用部品情報を取得する取得部と、前記取得部によって取得された前記使用部品情報に基づいて、前記部品置き場から前記作業ラインの各々に供給する供給部品を指定する指定部と、前記指定部によって指定された前記供給部品に関する情報を受信する受信部とを備え、前記受信部は、前記各作業ラインに割り当てられて複数設けられており、前記指定部は、前記受信部に、該受信部が割り当てられた前記作業ラインに対応した供給部品と、前記受信部が割り当てられた前記作業ラインとは異なる前記作業ラインに対応した供給部品との双方を含む情報を前記供給部品に関する情報として送信する。
【0007】
上記構成では、受信部には、該受信部が割り当てられた作業ラインだけでなく、割り当てられていない他の作業ラインも含めて、供給部品の情報が送信される。そのため、受信部に送信された情報に基づいて、割り当てられた作業ラインだけではなく、割り当てられていない作業ラインへの部品供給を行うことも可能になる。例えば、一方の作業ラインへの供給部品が多く、他方の作業ラインへの供給部品が少ない場合、他方の作業ラインに割り当てられている受信部に、一方の作業ラインに対応した供給部品を含む情報を送信する。このように、一方の作業ラインに割り当てられた受信部だけではなく、他の受信部にも分散させて該一方の作業ラインに対応する供給部品の情報を送信すれば、各受信部に送信された情報に基づいて部品供給を行う際の作業負荷を平準化することが可能になる。したがって、上記構成によれば、部品供給にかかる作業負荷を平準化した部品供給システムを実現することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態の部品供給システムが設けられた生産工場へ各部品工場から部品が納品されるときの一態様を示す模式図。
図2】生産工場内において部品置き場から各作業ラインへ部品供給を行うときの様子を示す模式図。
図3】部品供給システムの機能ブロック図。
図4】部品供給システムが実行する部品供給処理にかかる一連の流れを示すフローチャート。
図5】各携帯端末に収容箱を仮想的に割り当てたときのイメージを示す模式図。
図6】各携帯端末に収容箱を仮想的に割り当てたときのイメージを示す模式図。
図7】各携帯端末に割り当てる収容箱を再選定したときのイメージを示す模式図。
図8】各携帯端末に割り当てる収容箱を再々設定したときのイメージを示す模式図。
図9】各供給者と作業値との関係を示すグラフ。
図10】第1携帯端末に割り当てた収容箱から繰越す収容箱を選定したときのイメージを示す模式図。
図11】供給者の部品供給作業におけるサイクル毎の作業負荷を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0009】
部品供給システムの一実施形態について、図1図11を参照して説明する。
図1に示すように、部品供給システム10が設けられた生産工場Qには、複数の部品工場R(第1部品工場R1,第2部品工場R2,第3部品工場R3,…)から部品が納品される。各部品工場Rにおいて製造された部品は、収容箱80に収容された状態で生産工場Qの部品置き場Sへ搬送される。部品置き場Sには、収容箱80に収容された状態で部品が置かれている。収容箱80には、収容されている部品の情報が記されたかんばんKが嵌め込まれている。かんばんKには、例えば、収容されている部品の名称、収容箱80の識別記号、部品の収容個数、部品置き場Sにおける納品位置、製造した部品工場Rの名称等の記載や、これらの情報を格納したQRコード(登録商標)等のコードが印字されている。なお、各収容箱80の容積は、収容される部品の大きさや個数に対応しており、各々異なっている。
【0010】
生産工場Qの部品置き場Sに納品された部品は、収容箱80に収容された状態で所定周期毎に作業ラインLへ供給される。
生産工場Qには、複数の作業ラインLとして、第1作業ラインL1、第2作業ラインL2、及び第3作業ラインL3の3つの作業ラインLが設けられている。なお、作業ラインLでは、製品の組み立て、機械加工、成形、及び検査等の各種作業のうち少なくとも1つが行われる。
【0011】
図1及び図2に示すように、生産工場Q内において、部品置き場Sは、各作業ラインLとは異なる位置に配置されている。以下では、部品置き場Sから各作業ラインLを見たときの左手側を単に左側といい、右手側を単に右側という。
【0012】
図2に示すように、各作業ラインLには、収容箱80を載置するための部品棚Tが設けられている。第1作業ラインL1には、部品棚Tとして第1左部品棚TL1及び第1右部品棚TR1が設けられている。第1作業ラインL1には、第1左部品棚TL1及び第1右部品棚TR1の間に、ベルトコンベア等によって構成される図示しない作業台が配置されている。第2作業ラインL2は、第1作業ラインL1の右手側に位置している。第2作業ラインL2には、部品棚Tとして第2左部品棚TL2及び第2右部品棚TR2が設けられている。第2作業ラインL2には、第2左部品棚TL2及び第2右部品棚TR2の間に、ベルトコンベア等によって構成される図示しない作業台が配置されている。第3作業ラインL3は、第2作業ラインL2の右手側に位置している。換言すれば、第2作業ラインL2は、第1作業ラインL1と第3作業ラインL3との間に位置している。第3作業ラインL3には、部品棚Tとして第3左部品棚TL3及び第3右部品棚TR3が設けられている。第3作業ラインL3には、第3左部品棚TL3及び第3右部品棚TR3の間に、ベルトコンベア等によって構成される図示しない作業台が配置されている。各部品棚Tには、各収容箱80に対応した載置位置が予め設定されている。そのため、収容箱80は各々、部品棚Tの予め決められた位置に載置される。
【0013】
部品置き場Sに置かれた収容箱80は、部品供給システム10によって所定周期毎に実行される部品供給処理に基づき、供給者Pによって台車Dに乗せられて各作業ラインLへ搬送される。供給者Pは、各作業ラインLへ搬送した収容箱80を部品棚Tの所定の載置位置へ載置する。これにより、部品置き場Sから作業ラインLへ収容箱80に収容された状態で部品が供給される。生産工場Qでは、部品供給を行うための供給者Pの数を作業ラインLの数と同じ3人となるように配置している。以下では、第1作業ラインL1への部品供給を主に担当する供給者Pを第1供給者P1とし、第2作業ラインL2への部品供給を主に担当する供給者Pを第2供給者P2とし、第3作業ラインL3への部品供給を主に担当する供給者Pを第3供給者P3とする。
【0014】
各作業ラインLでは、作業台の所定位置に図示しない作業者が配置されている。作業者は、各種作業に応じて収容箱80から部品を取り出して使用する。本実施形態では、第1作業ラインL1、第2作業ラインL2、及び第3作業ラインL3に各々供給される供給部品は異なるものである。なお、各作業ラインLに供給される供給部品は同じであっても差し支えない。作業者は、収容箱80から最初の部品を取り出したときに該収容箱80からかんばんKを取り外す。
【0015】
図1に示すように、取り外されたかんばんKは、各作業ラインLの下手側に配置されている回収ポスト20に回収されて集約される。回収ポスト20には、回収された各かんばんKに記されたコードを読取る図示しないコードリーダが設けられている。なお、作業ラインLから回収ポスト20へかんばんKを回収する方法は、手動でもよいし、自動でもよい。
【0016】
回収ポスト20に集約されたかんばんKは、所定のタイミングで部品供給のための発注書として各部品工場Rへ回収される。各部品工場Rでは、回収したかんばんKに基づいて部品を製造する。製造した部品は収容箱80に収容され、部品工場Rから生産工場Qへ再度納品される。
【0017】
生産工場Qには、回収ポスト20と通信可能に構成されている管理装置30と、該管理装置30と通信可能に構成されているサーバ40、携帯端末50、及び表示装置60とが設けられている。通信方法としては、無線あるいは有線によるWAN(Wide Area Network)及びLAN(Local Area Network)等を採用できる。これら回収ポスト20、管理装置30、サーバ40、携帯端末50、及び表示装置60によって部品供給システム10が構成されている。
【0018】
管理装置30は、例えば据え置き型のパーソナルコンピュータであって、CPU、ROM、及びRAM等を備えている。管理装置30は、CPUがROMに記憶されたプログラムをRAMに展開して各種演算処理を実行することで所定周期毎に繰り返し部品供給処理を実行する。
【0019】
サーバ40は、部品にかかる各種パラメータ情報を記憶したデータベースDBを有している。データベースDBには、部品の名称、該部品が収容された収容箱80の識別記号、収容箱80の載置位置、収容箱80毎に設定された距離係数Kd、収容箱80毎に設定された容積係数Kv、及び収容箱80毎に設定された優先順位などの情報が記憶されている。距離係数Kdは、部品棚Tにおける載置位置が部品置き場Sから遠い収容箱80ほど大きい値になるように予め設定されている。また、容積係数Kvは、容積が大きい収容箱80ほど大きい値になるように予め設定されている。
【0020】
また、作業ラインLに供給される供給部品には、作業ラインLにおいて頻繁に使用される使用頻度の高い部品と、作業ラインLにおいて頻繁に使用されない使用頻度の低い部品とが含まれる。例えば、使用頻度の高い部品は、部品供給が滞るとすぐに欠品が発生する可能性が高いことから、部品供給作業において優先順位の高い供給部品といえる。一方で、使用頻度の低い部品は、部品供給が滞ってもすぐに欠品が発生する可能性は低いことから、部品供給作業において優先順位の低い供給部品といえる。本実施形態では、供給部品の優先順位をこうした使用頻度に基づいて設定している。すなわち、使用頻度の高い供給部品を収容した収容箱80から順に高、中、低、稀の4段階で優先順位を設定し、こうした情報をデータベースDBに記憶している。このように、サーバ40のデータベースDBは、収容箱80毎に設定された優先順位を記憶する優先順位記憶部としても機能する。
【0021】
携帯端末50は、例えば、タブレットPCであってもよいし、スマートウォッチ等のウェラブル端末であってもよい。携帯端末50は、各作業ラインLに割り当てられて複数設けられており、第1作業ラインL1に割り当てられた第1携帯端末50A、第2作業ラインL2に割り当てられた第2携帯端末50B、及び第3作業ラインL3に割り当てられた第3携帯端末50Cを含む。第1携帯端末50Aは第1供給者P1が所持し、第2携帯端末50Bは第2供給者P2が所持している。また、第3携帯端末50Cは第3供給者P3が所持している。
【0022】
表示装置60は、例えば液晶ディスプレイやLEDディスプレイ等を採用できる。
次に、部品供給システム10において部品供給処理を実施するための機能部について説明する。
【0023】
図3に示すように、回収ポスト20は、機能部として、取得部21及び第1通信部22を有している。
取得部21は、回収ポスト20にかんばんKが回収されたときに、かんばんKのコードを読取る。これにより、複数の作業ラインLにおいて使用された使用部品の情報である使用部品情報を取得する。
【0024】
第1通信部22は、管理装置30と通信することで情報を送受信する。
管理装置30は、機能部として、指定部31、繰越し情報記憶部37、優先順位繰上げ部38、及び進捗情報収集部39を有している。
【0025】
指定部31は、取得部21によって取得された使用部品情報に基づいて、部品置き場Sから作業ラインLの各々に供給する供給部品を指定する。指定部31は、機能部として、第2通信部32、使用部品情報読込み部33、パラメータ読込み部34、上限値記憶部35、及び選定部36を有している。
【0026】
第2通信部32は、回収ポスト20、サーバ40、携帯端末50、及び表示装置60と通信することで情報を送受信する。
使用部品情報読込み部33は、第2通信部32を介して回収ポスト20の取得部21から使用部品情報を読込む。
【0027】
パラメータ読込み部34は、使用部品情報読込み部33が読込んだ情報に基づいて、第2通信部32を介してサーバ40のデータベースDBにアクセスする。パラメータ読込み部34は、データベースDBに記憶されている各種パラメータ情報の中から使用部品にかかるパラメータ情報を読込む。読込むパラメータ情報としては、使用部品に対応する収容箱80の識別記号、載置位置、距離係数Kd、容積係数Kv、及び優先順位などがある。
【0028】
上限値記憶部35は、一度の部品供給作業において予め設定されている作業上限値を記憶している。なお、作業上限値は、部品供給処理の実行周期(タクトタイム)、供給部品の運搬距離、台車Dの積載容量、及び後述する作業値の算出方法等を考慮して予め設定されている。
【0029】
選定部36は、収容箱80毎に設定されている作業値の合計が上限値記憶部35に記憶されている作業上限値を超えないように収容箱80を選定する。選定部36は、作業値として、距離係数Kd及び容積係数Kvの双方を用いる。本実施形態では、選定部36は一例として、距離係数Kd及び容積係数Kvを積算した値を作業値として用いる。なお、選定部36は、距離係数Kd及び容積係数Kvを用いる際に、これらを加算した値や一方を他方で除算した値など、他の方法で演算した値を用いてもよい。選定部36は、こうして算出した作業値の他、サーバ40のデータベースDBに記憶されている優先順位と、使用部品情報読込み部33によって読込んだ使用部品情報と、上記繰越し情報記憶部37に記憶された繰越し収容箱80の情報と、上記優先順位繰上げ部38に記憶された優先順位の情報とに基づいて収容箱80を選定する。このように選定部36によって収容箱80を選定することで、指定部31において部品置き場Sから作業ラインLの各々に供給する供給部品が指定される。選定部36によって選定された収容箱80の情報は、供給部品に関する情報として第2通信部32から各携帯端末50の後述する受信部52へ送信される。
【0030】
繰越し情報記憶部37は、前回の部品供給処理において指定されずに繰越された収容箱80の情報を記憶している。すなわち、繰越し情報記憶部37は、前回の部品供給処理において使用部品情報読込み部33が読込んだ使用部品情報と、選定部36において選定された供給部品の情報とに基づき、使用部品のうち供給部品として選定されなかった部品が収容された収容箱80の情報を繰越し収容箱80の情報として記憶する。
【0031】
優先順位繰上げ部38は、繰越し情報記憶部37に記憶された収容箱80における優先順位を1つ繰り上げて繰上げ情報として記憶する。すなわち、例えば、第1収容箱80Aが前回の部品供給処理において指定されずに繰越された場合、繰越し情報記憶部37には、繰り越し収容箱80の情報として第1収容箱80Aが記憶される。また、第1収容箱80Aについて、サーバ40に記憶されている優先順位が「低」の場合、優先順位繰上げ部38は第1収容箱80Aにおける優先順位として「中」を設定して繰上げ情報として記憶する。なお、この場合、次の部品供給処理において、選定部36は、第1収容箱80Aの優先順位としては、サーバ40に記憶されている優先順位(低)ではなく、優先順位繰上げ部38に記憶されている優先順位(中)を用いる。
【0032】
また、同次の部品供給処理において繰越し収容箱80である第1収容箱80Aが再度指定されなかった場合、繰越し情報記憶部37には、繰越し収容箱80の情報として再度第1収容箱80Aが記憶される。また、優先順位繰上げ部38は第1収容箱80Aにおける優先順位として「高」を設定して繰上げ情報として記憶する。なお、その後は、部品供給処理において繰越し収容箱80である第1収容箱80Aが指定されるまで、優先順位繰上げ部38は繰越し収容箱80における優先順位として高を保持して繰上げ情報として記憶する。
【0033】
進捗情報収集部39は、部品供給作業における進捗情報を各携帯端末50から収集して記憶する。
サーバ40は、機能部として、データベースDBにアクセス可能な第3通信部41を有している。第3通信部41は、管理装置30と通信することで情報を送受信する。
【0034】
各携帯端末50は、機能部として、第4通信部51、第1表示部54、及び操作部55を有している。
第4通信部51は、機能部として、受信部52及び送信部53を有する。受信部52は、指定部31によって指定された供給部品に関する情報として、選定部36が選定した収容箱80の情報を受信する。送信部53は、携帯端末50において供給者Pが操作した情報を管理装置30に送信する。なお、第1携帯端末50Aが第1作業ラインに割り当てられていることから、第1携帯端末50Aに設けられている受信部52は第1作業ラインL1に割り当てられている。また同様に、第2携帯端末50Bに設けられている受信部52は第2作業ラインL2に割り当てられており、第3携帯端末50Cに設けられている受信部52は第3作業ラインL3に割り当てられている。
【0035】
第1表示部54は、受信部52が受信した収容箱80の情報を表示する。これにより、供給者Pへ供給部品に関する情報を伝達する。
操作部55は、携帯端末50において供給者Pが操作した情報を第1表示部54へ出力する。また、操作部55は、携帯端末50において供給者Pが操作した情報を送信部53に伝達する。例えば、部品供給作業において、供給者Pが指定された収容箱80を台車Dに積んだ際に、その情報を携帯端末50に入力する。入力された情報は、携帯端末50の第1表示部54に反映されるため、供給者Pは表示を確認することで供給部品の台車Dへの積載漏れを確認できる。また、入力された情報は、送信部53から管理装置30へと送信され、管理装置30において進捗情報収集部39に記憶される。このように、操作部55が送信部53を介して管理装置30へ進捗情報を送信することで、部品供給作業において、台車Dへ積載された収容箱80の情報や、台車Dから部品棚Tへ移された収容箱80の情報などをリアルタイムで管理装置30に収集することができる。そのため、管理装置30において、各供給者Pの部品供給作業にかかる進捗度合いを把握できる。
【0036】
表示装置60は、機能部として、第5通信部61及び第2表示部62を有している。
第5通信部61は、管理装置30と通信することで情報を受信する。
第2表示部62は、第5通信部61を介して管理装置30の進捗情報収集部39に記憶されている進捗情報を受信する。第2表示部62は、取得した進捗情報を表示装置60に表示する。これにより、生産工場Q内の表示装置60に各供給者Pにおける部品供給作業の進捗度合いが表示される。
【0037】
次に、図4のフローチャートを参照して、部品供給システム10が実行する部品供給処理にかかる一連の流れを説明する。部品供給処理は、各携帯端末50の受信部52へ供給部品に関する情報として収容箱80の情報を送信するものであって、所定周期毎に繰り返し実行される。なお、本実施形態では、第1携帯端末50A、第2携帯端末50B、及び第3携帯端末50Cの各受信部52への供給部品に関する情報の送信周期が同じ場合、すなわちタクトタイムが同じ場合を例に説明する。
【0038】
部品供給システム10が部品供給処理を開始すると、まず管理装置30の使用部品情報読込み部33は、回収ポスト20の取得部21において取得された使用部品情報を取得する(ステップS40)。これにより、前回部品供給処理を行ってから、今回部品供給処理を開始するまでに使用された使用部品に関する情報を管理装置30が取得する。
【0039】
その後、管理装置30において、選定部36が、使用部品情報を取得するとともに、繰越し情報記憶部37から繰越し収容箱80に関する繰越し情報を取得する(ステップS41)。これにより、前回までの部品供給処理において指定されずに繰越された収容箱80の情報も取得する。
【0040】
選定部36は、次に、パラメータ読込み部34が読込んだパラメータ情報、すなわち、使用部品に対応する収容箱80の識別記号、載置位置、距離係数Kd、容積係数Kv、及び優先順位に関する情報を取得する。また、選定部36は、優先順位繰上げ部38に記憶されている優先順位の繰上げ情報を取得する(ステップS42)。
【0041】
その後、選定部36は、使用部品に対応する収容箱80と、繰越された収容箱80との全ての中から各携帯端末50に仮想的に割り当てる収容箱80を選定する(ステップS43)。
【0042】
すなわち、図5に示すように、選定部36はまず、第1携帯端末50Aには第1作業ラインL1に対応した収容箱80を優先順位の高い順で割り当て、第2携帯端末50Bには第2作業ラインL2に対応した収容箱80を優先順位の高い順で割り当て、第3携帯端末50Cには第3作業ラインL3に対応した収容箱80を優先順位の高い順で割り当てる。なお、第1作業ラインL1に対応する収容箱80は、第1左部品棚TL1及び第1右部品棚TR1のいずれかに載置位置が設定されている収容箱80が該当する。同様に、第2作業ラインL2に対応する収容箱80は、第2左部品棚TL2及び第2右部品棚TR2のいずれかに載置位置が設定されている収容箱80が該当し、第3作業ラインL3に対応する収容箱80は、第3左部品棚TL3及び第3右部品棚TR3のいずれかに載置位置が設定されている収容箱80が該当する。
【0043】
図5では、収容箱80を区別するための識別子「○△△□」を記載している。「○」には、どの作業ラインLに対応したものであるのかを示す「1~3」の数字を記載している。「△△」には、載置される部品棚Tを区別するために「LH」(左部品棚)または「RH」(右部品棚)を記載している。「□」には、識別子としてアルファベットを記載する。すなわち、収容箱80(2RHa)とは、第2作業ラインL2の第2右部品棚TR2に収容される収容箱80を示している。
【0044】
このように、使用部品情報と繰越し情報とから抽出された収容箱80を全て割り当てると、次に図4のステップS44の処理に移行する。ステップS44の処理では、選定部36が携帯端末50毎に割り当てた収容箱80における作業値の合計を算出する。
【0045】
図5に示すように、本実施形態では、まず第一例として、第1携帯端末50Aに割り当てた収容箱80の作業値の合計が17であり、第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80の作業値の合計が17であり、第3携帯端末50Cに割り当てた収容箱80の作業値の合計が19である場合を説明する。なお、上限値記憶部35には、作業上限値の一例として20が設定されているとする。
【0046】
選定部36は、各携帯端末50に割り当てた収容箱80における作業値の合計を算出すると、図4のステップS45の処理に移行し、各合計が作業上限値以下であるか否かを判定する。
【0047】
この第一例では、各合計は20以下の値であることから、ステップS45の処理において肯定判定となり(ステップS45:YES)、次にステップS46の処理に移行する。
ステップS46の処理では、管理装置30の指定部31は、選定部36が割り当てた収容箱80の情報を、供給部品に関する情報として各携帯端末50の受信部52に送信する。そのため、第1作業ラインL1に割り当てられた第1携帯端末50Aの受信部52には、第1作業ラインL1に対応した供給部品に関する情報が送信され、第2作業ラインL2に割り当てられた第2携帯端末50Bの受信部52には、第2作業ラインL2に対応した供給部品に関する情報が送信される。また、第3作業ラインL3に割り当てられた第3携帯端末50Cの受信部52には、第3作業ラインL3に対応した供給部品に関する情報が送信される。
【0048】
その後、管理装置30は、ステップS47の処理に移行して、繰越し情報記憶部37に繰越し情報を記憶する。第一例では、繰越した収容箱80はないとして繰越し情報が更新される。
【0049】
こうして、ステップS47の処理を実行すると、部品供給システム10は、部品供給処理にかかる一連の処理を終了する。
こうした処理によって、各携帯端末50には作業ラインLへ供給する収容箱80の情報が送信される。各携帯端末50を所持する供給者Pは、各々が所持する携帯端末50に送信された情報に基づいて部品置き場Sから各作業ラインLへの部品供給作業を行う。
【0050】
次に、ステップS43の処理において割り当てた収容箱80の作業値の合計が、作業上限値を超える場合を第二例として説明する。
すなわち、第二例では、図6に示すように、第1携帯端末50Aに割り当てた収容箱80の作業値の合計は18であり、第3携帯端末50Cに割り当てた収容箱80の作業値の合計は19である。一方で、第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80の作業値の合計は22(>作業上限値)である。この場合、図4のステップS45の処理において否定判定となる(ステップS45:NO)。
【0051】
こうして否定判定となった場合、次にステップS48の処理に移行し、携帯端末50毎に割り当てる収容箱80を再選定する。図6に示す例では、作業値の合計が作業上限値を超えている第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80の中から最後に割り当てた収容箱80(2LHd)を選んで他の携帯端末50に割り当てる。本実施形態では、選定部36において割り当て可能な収容箱80の範囲として、予め次のように設定している。
【0052】
すなわち、第1作業ラインL1の第1左部品棚TL1及び第1右部品棚TR1と、第2作業ラインL2における第2左部品棚TL2とに供給される収容箱80については第1携帯端末50Aに割り当て可能とする。また、第1作業ラインL1の第1右部品棚TR1と、第2作業ラインL2における第2左部品棚TL2及び第2右部品棚TR2と、第3作業ラインL3の第3左部品棚TL3とに供給される収容箱80については第2携帯端末50Bに割り当て可能とする。また、第3作業ラインL3の第3左部品棚TL3及び第3右部品棚TR3と、第2作業ラインL2における第2右部品棚TR2とに供給される収容箱80については第3携帯端末50Cに割り当て可能とする。
【0053】
そのため、選定部36は、ステップS48の処理において、第2携帯端末50Bにおける上記収容箱80(2LHd)については、第1携帯端末50Aに割り当てを変更することで再選定を行う。その後、再度図4のステップS44及びステップS45の処理を実行し、各合計が作業上限値以下であるか否かを判定する。
【0054】
図7に示すように、上記収容箱80(2LHd)を再選定した後では、第1携帯端末50Aに割り当てた収容箱80の作業値の合計は19.5であり、第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80の作業値の合計は20.5である。また、第3携帯端末50Cに割り当てた収容箱80の作業値の合計は変わらず19である。
【0055】
この場合、第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80の作業値の合計は未だ作業上限値を超えていることから、図4のステップS45の処理において否定判定となる(ステップS45:NO)。
【0056】
そのため、次に、再度ステップS48の処理に移行し、携帯端末50毎に割り当てる収容箱80を再選定する。すなわち、第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80の中から最後から2番目に割り当てた収容箱80(2RHd)を選んで他の携帯端末50に割り当てる。この収容箱80(2RHd)は第2右部品棚TR2に供給されるものであり、第3携帯端末50Cに割り当て可能であることから、選定部36は収容箱80(2RHd)の割り当てを第3携帯端末50Cに変更して再選定する。その後、図4のステップS44及びステップS45の処理を実行し、各携帯端末50に割り当てた収容箱80の合計が作業上限値以下であるか否かを判定する。
【0057】
図8に示すように、上記収容箱80(2RHd)を再選定した後では、第1携帯端末50Aに割り当てた収容箱80の作業値の合計は19.5であり、第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80の作業値の合計は20.0であり、第3携帯端末50Cに割り当てた収容箱80の作業値の合計は19.5である。
【0058】
この場合、各合計は20以下の値であることから、図4のステップS45の処理において肯定判定となる(ステップS45:YES)。そのため、次にステップS46の処理に移行する。
【0059】
ステップS46の処理では、管理装置30の指定部31は、選定部36が選定した収容箱80の情報を、供給部品に関する情報として各携帯端末50の受信部52に送信する。そのため、第1作業ラインL1に割り当てられた第1携帯端末50Aの受信部52には、第1作業ラインL1に対応した供給部品と、第2作業ラインL2に対応した供給部品との双方を含む情報が送信される。また、第2作業ラインL2に割り当てられた第2携帯端末50Bの受信部52には、第2作業ラインL2に対応した供給部品に関する情報が送信される。また、第3作業ラインL3に割り当てられた第3携帯端末50Cの受信部52には、第3作業ラインL3に対応した供給部品と、第2作業ラインL2に対応した供給部品との双方を含む情報が送信される。このように、第二例では、管理装置30の指定部31は、第1携帯端末50A及び第3携帯端末50Cの各々の受信部52に、割り当てられた作業ラインLに対応した供給部品と、割り当てられた作業ラインLとは異なる作業ラインLに対応した供給部品との双方を含む情報を供給部品に関する情報として送信する。
【0060】
その後、管理装置30は、ステップS47の処理に移行して、繰越し情報記憶部37に繰越し情報を記憶する。本例では、繰越した収容箱80はないとして繰越し情報が更新される。
【0061】
こうして、ステップS47の処理を実行すると、部品供給システム10は、部品供給処理にかかる一連の処理を終了する。
こうした処理によって、各携帯端末50には作業ラインLへ供給する収容箱80の情報が送信される。各携帯端末50を所持する供給者Pは、各々が所持する携帯端末50に送信された情報に基づいて部品置き場Sから各作業ラインLへの部品供給作業を行う。すなわち、第1携帯端末50Aを所持する第1供給者P1は、第1作業ラインL1への部品供給を主に行いつつも、第2作業ラインL2への部品供給を行う。また、第3携帯端末50Cを所持する第3供給者P3は、第3作業ラインL3への部品供給を主に行いつつも、第2作業ラインL2への部品供給を行う。
【0062】
これにより、図9に示すように、第1供給者P1及び第3供給者P3については、他の作業ラインLへの供給部品を考慮せずに収容箱80を選定した場合(図9の破線)に比して、作業上限値を超えない範囲で作業値を上昇させることができる(図9の実線)。これにより、第1供給者P1及び第3供給者P3における手待ち時間を削減できる。また、第2供給者P2については、作業上限値を超えていた分の作業を第1供給者P1及び第3供給者P3に分散することができるため、他の作業ラインLへの供給部品を考慮せずに収容箱80を選定した場合(図9の破線)に比して、作業上限値を超えない範囲まで作業値を減少させることができる(図9の実線)。これにより、第2供給者P2において一度の部品供給にかかる作業時間が部品供給処理の実行周期を超えるほど作業負荷が過大になることが抑えられる。したがって、供給者P間における部品供給にかかる作業負荷を平準化することが可能になる。
【0063】
次に、上述した第二例のステップS48の処理において、第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80(2LHd)の割り当てを第1携帯端末50Aに変更したときに、第1携帯端末50Aにおいて作業値の合計が作業上限値を超えた場合を第三例として説明する。
【0064】
すなわち、部品供給処理では、図4のステップS48の処理において、第2携帯端末50Bの上記収容箱80(2LHd)の割り当てを第1携帯端末50Aに変更して再選定した後、ステップS44の処理に移行して作業値の合計を算出する。なお、第三例では、この処理において、第1携帯端末50Aに割り当てた収容箱80の作業値の合計は20.5(>作業上限値)であり、第2携帯端末50Bに割り当てた収容箱80の作業値の合計は19.5であり、第3携帯端末50Cに割り当てた収容箱80の作業値の合計は19であると算出するものとする。
【0065】
そのため、次のステップS45の処理では否定判定となり(ステップS45:NO)、再度ステップS48の処理に移行する。選定部36は、一の携帯端末50に割り当てていた収容箱80を再選定によって他の携帯端末50に割り当てた結果、該他の携帯端末50における作業値の合計が上限値を超えた場合、ステップS48の処理では、該携帯端末50に割り当てられた全ての収容箱80の内、最も優先順位の低い収容箱80を繰越し収容箱80として選定する。
【0066】
そのため、図10に示すように、第三例においては、選定部36は、第1携帯端末50Aに割り当てられた収容箱80(1RHa,1RHb,1RHc,1LHa,1LHb,1LHc,2LHd)のうち、優先順位が「低」に設定されており最も優先順位の低い収容箱80(1LHc)を繰越し収容箱80に設定する。この場合、収容箱80(1LHc)はどの携帯端末50にも割り当てられずに、図4のステップS48の処理が終了する。その後、ステップS44の処理に移行して作業値の合計を算出する。第三例では、収容箱80(1LHc)が繰越されることにより、第1携帯端末50Aに割り当てられた収容箱80の作業値の合計は19.5となる。そのため、図4のステップS45の処理において肯定判定となり(ステップS45:YES)、次にステップS46の処理に移行する。
【0067】
ステップS46の処理では、管理装置30の指定部31は、選定部36が各携帯端末50に割り当てて選定した収容箱80の情報を、供給部品に関する情報として各携帯端末50の受信部52に送信する。
【0068】
その後、管理装置30は、ステップS47の処理に移行して、繰越し情報記憶部37に繰越し情報を記憶する。第三例では、繰越し収容箱80の情報として収容箱80(1LHc)が記憶される。また、優先順位繰上げ部38は、収容箱80(1LHc)の優先順位を1つ繰り上げて、優先順位として「中」を設定して繰上げ情報として記憶する。これにより、次回の部品供給処理では、収容箱80(1LHc)は、優先順位が1つ高くなり、繰越し収容箱80に設定されにくくなることから、携帯端末50に割り当てられて部品供給が行われることとなる。
【0069】
ステップS47の処理を実行すると、部品供給システム10は、部品供給処理にかかる一連の処理を終了する。
なお、管理装置30は、部品供給処理を終了する度に、使用部品情報と、指定した収容箱80の情報、すなわち供給部品に関する情報と、繰越し収容箱80に関する情報とをサーバ40に送信して、データベースDBに保存するようにしてもよい。
【0070】
次に、本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)本実施形態では、指定部31は、受信部52に、該受信部52が割り当てられた作業ラインLに対応した供給部品と、受信部52が割り当てられた作業ラインLとは異なる作業ラインLに対応した供給部品との双方を含む情報を供給部品に関する情報として送信する。そのため、各受信部52が設けられた携帯端末50には、割り当てられた作業ラインLだけでなく、割り当てられていない他の作業ラインLも含めて、供給部品の情報が送信される。そのため、供給者Pは、受信部52に送信された情報に基づいて、割り当てられた作業ラインLだけではなく、割り当てられていない作業ラインLへの部品供給を行うことも可能になる。すなわち、上述したように、第2作業ラインL2への供給部品が多く、第1作業ラインL1及び第3作業ラインL3への供給部品が少ない場合、第1携帯端末50A及び第3携帯端末50Cの各受信部52に、第2作業ラインL2に対応した供給部品を含む情報を送信することができる。
【0071】
このように、第2作業ラインL2に割り当てられた受信部52だけではなく、第1作業ラインL1に割り当てられた受信部52及び第3作業ラインL3に割り当てられた受信部52にも分散させて第2作業ラインL2に対応する供給部品の情報を送信する。これにより、各受信部52に送信された情報に基づいて部品供給を行う際の作業負荷を平準化することが可能になる。したがって、部品供給にかかる作業負荷を平準化した部品供給システム10を実現することが可能になる。
【0072】
(2)本実施形態では、一度の部品供給作業において作業上限値を予め設定し、収容箱80毎に設定されている作業値の合計が作業上限値を超えないように収容箱80を選定している。そして、作業上限値を超えた分については、次の部品供給処理へ繰越すようにしている。
【0073】
そのため、図11に示すように、携帯端末50の受信部52に送信された情報に基づいて供給者Pが部品供給を行う際に、一度の部品供給作業にかかる負荷が上限値を超えて過度に大きくなることが抑えられる。また、部品供給作業において作業上限値を超えた分については次回以降の部品供給作業に繰越すことができるため、部品供給作業における供給者Pの作業負荷をサイクル毎に平準化することも可能になる。
【0074】
(3)本実施形態では、選定部36は、収容箱80の作業値として、該収容箱80毎に設定されていて、載置位置が部品置き場Sから遠い収容箱80ほど大きい値に設定されている距離係数Kdを用いている。部品置き場Sから遠い位置に載置される収容箱80ほど運搬距離は長くなるため、部品置き場Sから部品棚Tへ供給する際の時間も長くなる。本実施形態では、部品棚Tの載置位置に相関する距離係数Kdを収容箱80の作業値として用いており、遠い位置まで運搬される収容箱80ほど大きい作業値となるように設定している。その結果、供給部品として載置位置が遠い収容箱80を含む場合には、そうでない場合に比して選定部36において選定される収容箱80の個数を少なくできる。したがって、運搬距離を考慮した収容箱80の選定が可能になり、作業負荷の平準化に一層貢献できる。
【0075】
(4)本実施形態では、選定部36は、収容箱80の作業値として、該収容箱80毎に設定されていて、容積が大きい収容箱80ほど大きい値に設定されている容積係数Kvを用いている。部品供給作業では、供給者Pは指定された複数の収容箱80を台車Dに乗せて一度に運搬する。台車Dには、安全に運搬可能な積載容量が設定されている。本実施形態では、収容箱80の作業値として容積係数Kvを用いており、収容箱80の容積が大きいものほど大きい作業値となるように設定している。その結果、供給部品として容積の大きい収容箱80を含む場合には、そうでない場合に比して選定部36において選定される収容箱80の個数を少なくできる。したがって、台車Dの積載容量を考慮した収容箱80の選定が可能になり、部品供給作業における運搬時の安全性向上に貢献することが可能になる。
【0076】
(5)本実施形態では、収容箱80毎に優先順位を設定し、選定部36は、作業値の合計が作業上限値を超えている場合には、最も優先順位の低い収容箱80を繰越すようにしている。そのため、使用頻度が高い等、欠品が生じ易い収容箱80については優先順位を高く設定することで、意図せず繰越されてしまうことを抑制し、部品供給の遅れが生じることを抑制することが可能になる。
【0077】
(6)本実施形態では、前回の部品供給処理において指定されずに繰越された収容箱80については、優先順位を1つ繰り上げるようにしている。そのため、優先順位が低い収容箱80であって、前回の部品供給処理において指定されなかった供給部品については、次の部品供給処理において優先順位を繰り上げることができる。このように、元々優先順位が低い供給部品であっても、部品供給処理において指定されなかった場合には優先順位を繰り上げて次回の部品供給処理において指定されやすくすることで、優先順位の低い供給部品にかかる供給間隔が過度に長くなることを抑制できる。したがって、優先順位に基づいて供給部品を指定する構成であっても優先順位の低い供給部品の欠品を抑制することが可能になる。
【0078】
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
・上記実施形態では、部品供給処理において収容箱80を選定するときに、まず使用部品に対応する収容箱80と、繰越された収容箱80との全てを、各携帯端末50に割り当てて収容箱80を選定するようにした。収容箱80の選定方法はこうしたものに限らない。例えば、図4のステップS42の処理の後、使用部品に対応する収容箱80と、繰越された収容箱80との中から、優先順位が最も高い「高」に設定されている収容箱80だけを各携帯端末50に割り当てることで収容箱80を選定する。その後、各携帯端末50における作業値を算出し(ステップS44)、作業上限値と比較する(ステップS45)。この処理において、作業値の合計が作業上限値を超えている携帯端末50については、割り当てられた収容箱80の一部を、作業値の合計が作業上限値を超えていない携帯端末50への割り当てに変更して再選定する。
【0079】
その後、再度ステップS44及びステップS45の処理を実行し、作業値の合計が作業上限値を超えないように収容箱80を選定する。そして、作業上限値に対して作業値の合計が大きく低下している携帯端末50においては、次に使用部品に対応する収容箱80と、繰越された収容箱80との中から優先順位が次に高い「中」に設定されている収容箱80を割り当てる。この場合も、先ほどと同様に、各携帯端末50における作業値の合計が作業上限値を超えないように収容箱80を選定する。こうした処理を繰り返すことで、部品供給処理において指定される収容箱80を優先順位の高い順に選定することが可能になる。こうした構成であっても、上記(1)~(6)の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることは可能である。
【0080】
・上記実施形態において、選定部36において各携帯端末50に割り当て可能な収容箱80の範囲を適宜変更してもよい。例えば、第1作業ラインL1の第1左部品棚TL1及び第1右部品棚TR1と、第2作業ラインL2の第2左部品棚TL2及び第2右部品棚TR2とに供給される収容箱80を第1携帯端末50Aに割り当て可能とする等してもよい。また、割り当て可能な収容箱80の範囲の設定を設けないようにしてもよい。
【0081】
・上記実施形態では、表示装置60を設けて、各供給者Pにおける進捗情報を表示するようにしたが、こうした構成は省略してもよい。なお、こうして省略した構成において、管理装置30における進捗情報の収集は行ってもよいし、省略してもよい。
【0082】
・上記実施形態では、優先順位繰上げ部38は、前回の部品供給処理において指定されずに繰越した収容箱80における優先順位を1つ繰り上げて記憶するようにした。こうした構成に変えて、優先順位繰上げ部38は、繰越した収容箱80における優先順位を2つ以上繰上げて記憶するようにしてもよいし、設定されている優先順位毎に繰上げ数を変えるようにしてもよい。すなわち、優先順位が中に設定されている収容箱80が繰越された場合は優先順位を1つ繰上げて記憶し、優先順位が低に設定されている収容箱80が繰越された場合は優先順位を2つ繰上げて記憶し、優先順位が稀に設定されている収容箱80が繰越された場合は優先順位を3つ繰上げて記憶するなどしてもよい。この構成では、収容箱80は1回繰越されると、優先順位が最も高い設定に繰り上げられることとなる。
【0083】
また、優先順位繰上げ部38を省略し、収容箱80を繰越した場合に優先順位を繰り上げないようにすることも可能である。
・上記実施形態では、収容箱80毎に高、中、低、稀の4段階で優先順位を設定したが、3段階以下や、5段階以上の優先順位を設定することも可能である。また、収容箱80毎の優先順位を設定しないようにしてもよい。
【0084】
・上記実施形態では、作業値として距離係数Kd及び容積係数Kvの双方を用いたが、少なくとも一方を省略してもよい。また、作業値として、距離係数Kd及び容積係数Kvに変えて、収容箱80の総個数を用いるようにしてもよい。この構成では、収容箱80の数が作業上限値を超えないように、選定部36が収容箱80を選定する。
【0085】
・上記実施形態では、収容箱80における作業値の合計が、予め設定されている作業上限値を超えないように、収容箱80を選定するようにした。こうした構成に変えて、作業上限値を設定しない構成としてもよい。この場合には、選定部36は、一度の部品供給処理において、使用部品に対応する収容箱80の全てを供給部品として供給するように各携帯端末50に割り当てて収容箱80を選定する。なお、こうした構成であっても、各携帯端末50の受信部52には、該受信部52が割り当てられた作業ラインLに対応した供給部品と、受信部52が割り当てられた作業ラインLとは異なる作業ラインLに対応した供給部品との双方を含む情報を供給部品に関する情報として送信することができる。そのため、こうした構成であっても、上記(1)の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることは可能である。
【0086】
・上記実施形態では、携帯端末50に受信部52を設け、受信部52が受信した情報に基づいて供給者Pが部品を供給する例を説明した。こうした構成に変えて、部品置き場Sから各作業ラインLへ収容箱80を搬送可能に構成された複数のロボットを設け、該ロボットに受信部52を設けることで、携帯端末50を省略することも可能である。こうした構成では、人手を介さずに部品置き場Sから各作業ラインLへ供給部品を供給することができる。
【0087】
・上記実施形態では、各作業ラインLにおける部品供給作業のタクトタイムを同じにした場合を例に説明したが、各作業ラインLにおける部品供給作業のタクトタイムは異なっていてもよい。タクトタイムが異なっている場合には、対象となる作業ラインLへの部品供給処理において、直前までに取得した使用部品情報に基づいて供給部品を選定すればよい。取得した使用部品情報には、全ての作業ラインにおいて使用された使用部品の情報が含まれている。そのため、対象となる作業ラインLに割り当てられた受信部52に対して、該作業ラインLに対応した供給部品と、前記受信部52が割り当てられた作業ラインLとは異なる作業ラインLに対応した供給部品との双方を含む情報を供給部品に関する情報として送信することは可能である。したがって、上記(1)の作用及び効果と同様の作用及び効果を得ることはできる。
【0088】
・上記実施形態では、収容箱80を載置する部品棚Tを有する作業ラインLに部品を供給するための部品供給システム10について説明した。部品棚Tを有しない作業ラインLに対して部品を供給するための部品供給システムであっても、上記実施形態と同様の構成を適用することは可能である。この場合、例えば、作業台に収容箱80を収納してもよいし、作業台の周囲に収容箱80を載置する等してもよい。
【0089】
・上記実施形態では、供給部品を収容箱80に収容した状態で供給するようにしたが、供給部品を収容箱80に収容せずに各作業ラインLへ供給することも可能である。
・受信部52の数や作業ラインLの数は適宜変更が可能である。また、受信部52の数は、複数であれば、作業ラインLの数と必ずしも同じである必要はない。
【0090】
・上記実施形態では、各部品工場Rにおいて収容箱80に嵌め込まれるかんばんKから使用部品情報を取得するようにしたが、こうした構成は必須ではない。例えば、部品置き場Sにおいて別途収容箱80に使用部品情報を格納したタグを付して、該タグから使用部品情報を取得してもよい。また、使用部品情報を回収ポスト20において取得する必要はなく、例えば作業ラインLにおいて作業者が収容箱80から部品を最初に取り出したときに、作業者が所持するスキャナーでタグから情報を読み取ることで、使用部品情報を取得してもよい。この場合には、スキャナーが取得部として機能することとなる。
【0091】
・上記実施形態では、部品供給システム10を、回収ポスト20、管理装置30、サーバ40、携帯端末50、及び表示装置60によって構成し、これらの構成装置に各機能部を備えるようにした。機能部の配置は適宜変更が可能である。例えば、管理装置30にデータベースDBを設けて優先順位記憶部を配置するようにしてもよいし、表示装置60に進捗情報収集部39を設けるようにしてもよい。また、部品供給システム10の構成装置は、全て生産工場Q内に配置する必要はない。例えば、サーバ40を生産工場Q外に配置してもよい。こうした構成であっても、各構成装置が互いに通信可能な部品供給システムであれば、上記実施形態と同様の構成を適用できる。
【符号の説明】
【0092】
10…部品供給システム
20…回収ポスト
21…取得部
22…第1通信部
30…管理装置
31…指定部
32…第2通信部
33…使用部品情報読込み部
34…パラメータ読込み部
35…上限値記憶部
36…選定部
37…繰越し情報記憶部
38…優先順位繰上げ部
39…進捗情報収集部
40…サーバ
41…第3通信部
50…携帯端末
50A…第1携帯端末
50B…第2携帯端末
50C…第3携帯端末
51…第4通信部
52…受信部
53…送信部
54…第1表示部
55…操作部
60…表示装置
61…第5通信部
62…第2表示部
80…収容箱
80A…第1収容箱
D…台車
DB…データベース
K…かんばん
L…作業ライン
L1…第1作業ライン
L2…第2作業ライン
L3…第3作業ライン
P…供給者
P1…第1供給者
P2…第2供給者
P3…第3供給者
Q…生産工場
R…部品工場
R1…第1部品工場
R2…第2部品工場
R3…第3部品工場
S…部品置き場
T…部品棚
TL1…第1左部品棚
TL2…第2左部品棚
TL3…第3左部品棚
TR1…第1右部品棚
TR2…第2右部品棚
TR3…第3右部品棚
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11