(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】凝縮水量推定装置
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20241016BHJP
F02M 26/05 20160101ALI20241016BHJP
F02D 21/08 20060101ALI20241016BHJP
F02M 26/50 20160101ALI20241016BHJP
F02M 26/47 20160101ALI20241016BHJP
【FI】
F02D45/00 360E
F02D45/00 360A
F02M26/05
F02D21/08 Z
F02M26/50 321
F02M26/47 C
F02M26/47 A
(21)【出願番号】P 2021017230
(22)【出願日】2021-02-05
【審査請求日】2023-05-16
(73)【特許権者】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村松 幸之助
【審査官】上田 真誠
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/002240(WO,A1)
【文献】特開2013-036452(JP,A)
【文献】特開2016-079940(JP,A)
【文献】特開2020-002799(JP,A)
【文献】特開2020-063722(JP,A)
【文献】特開2014-105608(JP,A)
【文献】特開2012-132339(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02B 47/08-47/10
F02M 26/00-26/74
F02D 43/00-45/00
F02D 13/00-28/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンシステムのインテークマニホールド内に生成される凝縮水の量を推定する凝縮水量推定装置であって、前記エンジンシステムは、前記インテークマニホールドに接続される気筒を含み、前記エンジンシステムは、排気の一部を前記インテークマニホールドに戻す排気再循環装置を備え、
前記インテークマニホールドに吸入される吸入空気の流量と、前記吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、前記吸入空気の湿度と、前記吸入空気の温度と、大気圧とを少なくとも用いた第1推定式によって前記吸入空気に含まれる第1水分量を算出する第1算出部と、
前記インテークマニホールドにおける飽和水蒸気量を算出する第2算出部と、
前記第1水分量から前記飽和水蒸気量を減算した値を前記凝縮水の量の推定値として算出する第3算出部と、
前記気筒に供給される燃料量と、前記インテークマニホールドに戻される排気の還流率とを用いた第2推定式によって前記インテークマニホールド内を流通する前記排気に含まれ、燃料の燃焼により生成される第2水分量を算出する第4算出部とを備え
、
前記第1算出部は、前記インテークマニホールドに吸入される吸入空気の流量と、前記吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、前記吸入空気の湿度と、前記吸入空気の温度と、前記大気圧とに加えて前記インテークマニホールドに戻される排気の還流率とを用いた前記第1推定式によって前記第1水分量を算出し、
前記第2算出部は、前記インテークマニホールドのうちの前記排気が流通する部分における飽和水蒸気量を算出し、
前記第3算出部は、前記第1水分量と前記第2水分量との和から前記飽和水蒸気量を減算した値を前記凝縮水の量の推定値として算出し、
前記第2算出部は、前記インテークマニホールドのうちの前記排気が接する部分における壁面温度に対応した前記飽和水蒸気量を算出する、凝縮水量推定装置。
【請求項2】
エンジンシステムのインテークマニホールド内に生成される凝縮水の量を推定する凝縮水量推定装置であって、前記エンジンシステムは、前記インテークマニホールドに接続される気筒を含み、前記エンジンシステムは、排気の一部を前記インテークマニホールドに戻す排気再循環装置を備え、
前記インテークマニホールドに吸入される吸入空気の流量と、前記吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、前記吸入空気の湿度と、前記吸入空気の温度と、大気圧とを少なくとも用いた第1推定式によって前記吸入空気に含まれる第1水分量を算出する第1算出部と、
前記インテークマニホールドにおける飽和水蒸気量を算出する第2算出部と、
前記第1水分量から前記飽和水蒸気量を減算した値を前記凝縮水の量の推定値として算出する第3算出部と、
前記気筒に供給される燃料量と、前記インテークマニホールドに戻される排気の還流率とを用いた第2推定式によって前記インテークマニホールド内を流通する前記排気に含まれ、燃料の燃焼により生成される第2水分量を算出する第4算出部とを備え
、
前記第1算出部は、前記インテークマニホールドに吸入される吸入空気の流量と、前記吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、前記吸入空気の湿度と、前記吸入空気の温度と、前記大気圧とに加えて前記インテークマニホールドに戻される排気の還流率とを用いた前記第1推定式によって前記第1水分量を算出し、
前記第2算出部は、前記インテークマニホールドのうちの前記排気が流通する部分における飽和水蒸気量を算出し、
前記第3算出部は、前記第1水分量と前記第2水分量との和から前記飽和水蒸気量を減算した値を前記凝縮水の量の推定値として算出し、
前記第3算出部は、
前記インテークマニホールドのうちの前記凝縮水が付着し得る壁面の表面積に対応した前記推定値の補正係数を設定し、
前記補正係数を用いて前記推定値を補正する
、凝縮水量推定装置。
【請求項3】
前記第3算出部は、前記インテークマニホールドのうちの前記排気が接する部分の壁面温度を用いて前記補正係数を設定する、請求項
2に記載の凝縮水量推定装置。
【請求項4】
前記凝縮水量推定装置は、前記凝縮水の量の推定値がしきい値を超える場合に前記凝縮水の量に関する予め定められた情報を通知装置を用いて通知する、請求項1~
3のいずれかに記載の凝縮水量推定装置。
【請求項5】
前記凝縮水量推定装置は、前記凝縮水の量の推定値がしきい値を超える場合に、前記排気再循環装置により前記インテークマニホールドに戻される排気の流量の減量、および、排気を前記インテークマニホールドに戻すことの停止のうちのいずれかを行なう、請求項
1または2に記載の凝縮水量推定装置。
【請求項6】
エンジンシステムのインテークマニホールド内に生成される凝縮水の量を推定する凝縮水量推定装置であって、前記エンジンシステムは、前記インテークマニホールドに接続される気筒を含み、
前記インテークマニホールドに吸入される吸入空気の流量と、前記吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、前記吸入空気の湿度と、前記吸入空気の温度と、大気圧とを少なくとも用いた第1推定式によって前記吸入空気に含まれる第1水分量を算出する第1算出部と、
前記インテークマニホールドにおける飽和水蒸気量を算出する第2算出部と、
前記第1水分量から前記飽和水蒸気量を減算した値を前記凝縮水の量の推定値として算出する第3算出部と、
前記推定値に補正係数を乗算した値から吸気行程で筒内に吸い込まれる水分量を示す掃気
量を減算し
て前記凝縮水の蓄積量の変化量を算出する第4算出部とを備え、
前記掃気量は、前記インテークマニホールド内の壁面温度と、前記吸入空気の流量と、冷却水温とを用いて推定され
、
前記補正係数は、前記壁面温度を用いて設定される
、凝縮水量推定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンシステムの吸気通路に生成される凝縮水量の推定に関する。
【背景技術】
【0002】
エンジンシステムにおいては、暖機初期の吸気通路の温度が露点よりも低い場合に、吸気通路内を流通する気体に含まれる水分が凝縮し、吸気通路内に凝縮水が生成される場合がある。この凝縮水は、吸気通路の構成部品を腐食させる要因となり得る。そのため、凝縮水の生成量(以下、凝縮水量と記載する場合がある)を精度高く推定することが求められる。
【0003】
このような凝縮水量の推定に関し、たとえば、特開2018-188991号公報(特許文献1)には、吸入空気流量とEGRガス流量との和を用いて算出される混合ガス中の水分量から飽和水蒸気量を減算することによってインタークーラ内に生成される凝縮水量を算出する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような凝縮水量の推定は、たとえば、吸入空気流量と凝縮水量との関係を示すマップ等を用いて行なうことが考えられる。しかしながら、凝縮水量の推定精度を向上させるためには、エンジンシステムの様々な運転状態に応じたマップを設定することが求められる。そのため、マップ等の記憶容量やマップ等を適合する工数などの制限から凝縮水量の推定精度を適切に向上させることができない場合がある。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、エンジンシステムの吸気通路内に生成される凝縮水の量を精度高く推定する凝縮水量推定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明のある局面に係る凝縮水量推定装置は、エンジンシステムの吸気通路内に生成される凝縮水の量を推定する凝縮水量推定装置である。エンジンシステムは、吸気通路に接続される気筒を含む。この凝縮水量推定装置は、吸気通路に吸入される吸入空気の流量と、吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、吸入空気の湿度と、吸入空気の温度と、大気圧とを用いた推定式によって吸入空気に含まれる第1水分量を算出する第1算出部と、吸気通路における飽和水蒸気量を算出する第2算出部と、第1水分量から飽和水蒸気量を減算した値を凝縮水の量の推定値として算出する第3算出部とを備える。
【0008】
このようにすると、吸気通路内を流通する吸入空気に含まれる第1水分量を推定式によって精度高く推定することができる。そのため、第1水分量から飽和水蒸気量を減算することによって吸気通路内の凝縮水の量の推定値を精度高く推定することができる。
【0009】
ある実施の形態においては、エンジンシステムは、排気の一部を前記吸気通路に戻す排気再循環装置を備える。凝縮水量推定装置は、気筒に供給される燃料量と、吸気通路に戻される排気の還流率とを用いた推定式によって吸気通路内を流通する排気に含まれ、燃料の燃焼により生成される第2水分量を算出する第4算出部をさらに備える。第1算出部は、吸気通路に吸入される吸入空気の流量と、吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、吸入空気の湿度と、吸入空気の温度と、大気圧とに加えて吸気通路に戻される排気の還流率とを用いた推定式によって第1水分量を算出する。第2算出部は、吸気通路のうちの排気が流通する部分における飽和水蒸気量を算出する。第3算出部は、第1水分量と第2水分量との和から飽和水蒸気量を減算した値を凝縮水の量の推定値として算出する。
【0010】
このようにすると、第1水分量と、吸気通路内を流通する排気に含まれ、燃料の燃焼により生成される第2水分量とをそれぞれの推定式によって精度高く推定することができる。そのため、第1水分量と第2水分量との和から飽和水蒸気量を減算することによって吸気通路内の凝縮水の量の推定値を精度高く推定することができる。
【0011】
ある実施の形態においては、第2算出部は、吸気通路のうちの排気が接する部分における壁面温度に対応した飽和水蒸気量を算出する。
【0012】
このようにすると、凝縮水は吸気通路のうちの排気が流通する部分の壁面に生成されるため、壁面温度に対応した飽和水蒸気量を算出することにより吸気通路のうちの排気が流通する部分に生成される凝縮水の量を精度高く推定することができる。
【0013】
さらにある実施の形態においては、第3算出部は、吸気通路のうちの凝縮水が付着し得る壁面の表面積に対応した前記推定値の補正係数を設定する。第3算出部は、補正係数を用いて推定値を補正する。
【0014】
吸気通路のうちの排気が流通する部分に生成される凝縮水の付着量は、当該部分の壁面の表面積によって変化し得る。そのため、当該部分の壁面の表面積に対応した凝縮水の量の推定値を補正するための補正係数を設定し、設定された補正係数を用いて推定値を補正することによって凝縮水の量を精度高く推定することができる。
【0015】
さらにある実施の形態においては、第3算出部は、吸気通路のうちの排気が接する部分の壁面温度を用いて補正係数を設定する。
【0016】
吸気通路のうちの排気が流通する部分に生成される凝縮水の付着量は、当該部分の壁面の表面積に加えて壁面温度によって変化し得る。そのため、凝縮水の量の推定値を補正するための補正係数を、表面積に加えて壁面温度を用いて設定し、設定された補正係数を用いて推定値を補正することによって凝縮水の量を精度高く推定することができる。
【0017】
さらにある実施の形態においては、凝縮水量推定装置は、凝縮水の量の推定値がしきい値を超える場合に凝縮水の量に関する予め定められた情報を通知装置を用いて通知する。
【0018】
このようにすると、凝縮水の量に関する予め定められた情報がユーザに通知されることによって当該情報をユーザに認識させることができる。
【0019】
さらにある実施の形態においては、凝縮水量推定装置は、凝縮水の量の推定値がしきい値を超える場合に、排気再循環装置により吸気通路に戻される排気の流量の減量、および、排気を吸気通路に戻すことの停止のうちのいずれかを行なう。
【0020】
このようにすると、凝縮水の生成量の増加を抑制することができるため、吸気通路の腐食を抑制することができる。
【発明の効果】
【0021】
この発明によると、エンジンシステムの吸気通路内に生成される凝縮水の量を精度高く推定する凝縮水量推定装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施の形態に係るエンジンシステムの概略構成の一例を示す図である。
【
図2】吸入空気に含まれる第1水分量とEGRガスに含まれる第2水分量と飽和水蒸気量と凝縮水量との関係を説明するための図である。
【
図3】凝縮水量を推定する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】外気温が低い環境下での一定の走行条件における凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を説明するための図である。
【
図5】外気温が高い環境下での一定の走行条件における凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を説明するための図である。
【
図6】暖機開始から完了後もエンジンシステム1が動作する場合の凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を示す。
【
図7】暖機完了前にエンジンシステム1の動作が停止する運転状態が繰り返される場合の凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しつつ、本実施の形態について説明する。以下の説明では、同一の部品には同一の符号が付されている。それらの名称および機能も同じである。したがって、それらについての詳細な説明は繰り返さない。
【0024】
図1は、本実施の形態に係るエンジンシステム1の概略構成の一例を示す図である。
図1に示すように、エンジンシステム1は、エンジン本体2と、インテークマニホールド10と、吸気管12と、排気再循環装置(以下、EGR装置と記載する)20と、エキゾーストマニホールド50と、排気管52と、ターボチャージャー60とを備える。このエンジンシステム1は、たとえば、車両等の移動体に搭載される。
【0025】
エンジン本体2は、気筒4と燃料噴射装置6とを含むディーゼルエンジンあるいはガソリンエンジン等の内燃機関である。本実施の形態において、エンジン本体2は、たとえば、1サイクルにおいて出力軸が2回転する4ストロークエンジンである場合を想定する。
【0026】
エンジン本体2の気筒4の頂部には、吸気ポートと排気ポート(いずれも図示せず)とが接続され、吸気ポートにインテークマニホールド10が接続される。エンジン本体2には、たとえば、複数の気筒4が設けられ、それぞれに接続される吸気ポートにインテークマニホールド10が接続される。
【0027】
燃料噴射装置6は、制御装置100からの制御信号C1に応じて気筒4内に燃料を供給する。燃料噴射装置6は、たとえば、気筒4の頂部に設けられ、気筒内に直接的に燃料を噴射する。なお、エンジン本体2が火花点火式のガソリンエンジンである場合には、燃料噴射装置6は、たとえば、吸気ポートに燃料を供給するように構成されてもよい。
【0028】
インテークマニホールド10には、吸気管12の一方端が接続される。吸気管12の他方端には、エアクリーナ(図示せず)が接続される。エンジンシステム1の動作時においては、エアクリーナから吸引された空気(吸入空気)が吸気管12を経由してインテークマニホールド10に流通する。インテークマニホールド10と吸気管12とによってエンジンシステム1の「吸気通路」が構成される。
【0029】
エンジン本体2の排気ポートには、エキゾーストマニホールド50が接続される。より具体的には、エンジン本体2の複数の気筒のそれぞれの排気ポートにエキゾーストマニホールド50が接続される。
【0030】
エキゾーストマニホールド50には、排気管52の一方端が接続される。排気管52の他方端にはマフラー等の消音装置が設けられる。排気管52の途中には、排気を浄化する各種触媒が設けられる。エキゾーストマニホールド50と排気管52とによって「排気通路」が構成される。
【0031】
ターボチャージャー60は、吸気管12に設けられるコンプレッサ62と、排気管52に設けられるタービン64とを含む。コンプレッサ62には、回転自在に支持されるコンプレッサブレード(図示せず)が設けられる。タービン64には、回転自在に支持され、コンプレッサブレードとシャフト66を介在して連結されるタービンブレードが設けられる。そのため、エンジン本体2からタービン64に供給される排気エネルギーによってタービンブレードが回転させられると、シャフト66を介してコンプレッサブレードが回転し、吸入空気がコンプレッサ62において圧縮される。このようにして圧縮(過給)された吸入空気は、吸気管12に設けられるインタークーラ(図示せず)において冷却されてインテークマニホールド10を経由してエンジン本体2に供給される。
【0032】
エンジン本体2においては、吸気管12を経由してインテークマニホールド10から吸入される吸入空気と、燃料噴射装置6から気筒4内に供給される燃料との混合気が気筒4内で燃焼する。気筒4内での混合気の燃焼によって燃焼圧力が生じて、気筒4内に収納されるピストンが動作し、クランク機構等を介して出力軸(いずれも図示せず)が回転する。気筒4内での混合気の燃焼により生じた排気は、エキゾーストマニホールド50および排気管52を経由して外部に排出される。
【0033】
EGR装置20は、エキゾーストマニホールド50を流通する排気の一部をインテークマニホールド10に戻すように構成される。インテークマニホールド10に戻された排気の一部は、吸入空気とともにインテークマニホールド10から気筒4に流通する。排気が気筒4に導入されることによって燃焼温度が下がり、NOxの低減が図られる、また、吸気損失や冷却損失の低減から燃費向上が図られる。以下の説明において吸気通路に戻される排気の一部をEGRガスと記載する場合がある。
【0034】
EGR装置20は、第1循環通路22と、第2循環通路24と、EGRクーラ30とを含む。
【0035】
第1循環通路22の一方端は、インテークマニホールド10に接続される。第1循環通路22の他方端は、EGRクーラ30に接続される。
【0036】
EGRクーラ30は、内部に収納される熱交換器(図示せず)を含む。熱交換器は、たとえば、エンジン本体2内を流通する冷却水が流通するように構成される。そのため、熱交換器においては、EGRクーラ30内を流通するEGRガスと冷却水との間で熱交換が行なわれる。これにより、EGRクーラ30内を流通するEGRガスの温度が低下される。EGRクーラ30におけるEGRガスの冷却により第1循環通路22を流通するEGRガスのガス体積を縮小させることができ、多くのEGRガスを吸気通路に戻すことが可能となる。
【0037】
なお、EGR装置20は、図示しないEGRバルブが設けられる。EGRバルブは、制御装置100からの制御信号に応じて開度が調整されることによってEGR装置20内を流通するEGRガスの流量を調整する調整弁である。
【0038】
第2循環通路24の一方端は、EGRクーラ30に接続される。第2循環通路24の他方端は、エキゾーストマニホールド50に接続される。
【0039】
このように構成されるEGR装置20において、エキゾーストマニホールド50を流通する排気の一部がEGRガスとして流入され、流入されたEGRガスは、EGRクーラ30において冷却され、EGRバルブによって流量が調整されてインテークマニホールド10に戻される。
【0040】
制御装置100には、エアフローメータ102と、吸気温度センサ104と、エンジン回転数センサ106と、水温センサ108と、大気圧センサ110、インマニ温度センサ112と、過給圧センサ114と、排気温度センサ116と、通知装置130とが接続される。
【0041】
エアフローメータ102は、吸気管12に設けられ、吸気管12を流通する吸入空気の流量(以下、吸入空気量と記載する)Qを検出する。エアフローメータ102は、検出した吸入空気量Qを示す信号を制御装置100に送信する。
【0042】
吸気温度センサ104は、吸気管12に設けられ、吸気管12を流通する吸入空気の温度(以下、吸気温度と記載する)Tinを検出する。吸気温度センサ104は、検出した吸気温度Tinを示す信号を制御装置100に送信する。
【0043】
エンジン回転数センサ106は、エンジン本体2に設けられ、エンジン本体2の出力軸の回転数(以下、エンジン回転数と記載する)Neを検出する。エンジン回転数センサ106は、検出したエンジン回転数Neを示す信号を制御装置100に送信する。
【0044】
水温センサ108は、エンジン本体2に設けられ、エンジン本体2内に設けられる冷却水通路(図示せず)を流通する冷却水の温度(以下、水温と記載する)Twを検出する。水温センサ108は、検出した水温Twを示す信号を制御装置100に送信する。
【0045】
大気圧センサ110は、大気圧Paを検出する。大気圧センサ110は、検出した大気圧Paを示す信号を制御装置100に送信する。
【0046】
インマニ温度センサ112は、インテークマニホールド10に設けられ、インテークマニホールド内の温度(以下、インマニ温度と記載する)Timを検出する。インマニ温度センサ112は、検出したインマニ温度Timを示す信号を制御装置100に送信する。
【0047】
過給圧センサ114は、インテークマニホールド10内に設けられ、インテークマニホールド内の圧力(以下、過給圧と記載する)Pimを検出する。過給圧センサ114は、検出した過給圧Pimを示す信号を制御装置100に送信する。
【0048】
排気温度センサ116は、排気管52に設けられ、排気管52を流通する排気の温度(以下、排気温度と記載する)Texを検出する。排気温度センサ116は、検出した排気温度Texを示す信号を制御装置100に送信する。
【0049】
通知装置130は、所定情報をユーザに通知する。通知方法としては、たとえば、画面に文字情報を表示させることによって所定情報を通知する方法であってもよいし、警告灯を表示させることによって所定情報を通知する方法であってもよいし、あるいは、所定の音声や所定の警告音を発生させることによって所定情報を通知する方法であってもよい。
【0050】
制御装置100は、各種処理を行なうCPU(Central Processing Unit)と、プラグラムおよびデータを記憶するROM(Read Only Memory)およびCPUの処理結果等を記憶するRAM(Random Access Memory)等を含むメモリとを含む。
【0051】
制御装置100は、各種センサ(たとえば、上述したエアフローメータ102、吸気温度センサ104、エンジン回転数センサ106、水温センサ108、大気圧センサ110、インマニ温度センサ112、過給圧センサ114および排気温度センサ116など)からの信号、ならびにメモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、エンジンシステム1が所望の運転状態になるように各種機器(たとえば、燃料噴射装置6、通知装置130あるいはEGRバルブなど)を制御する。なお、制御装置100が実行する各種処理については、ソフトウェアによる処理に限られず、専用のハードウェア(電子回路)により処理することも可能である。
【0052】
以上のようなエンジンシステム1において、水温Twがしきい値よりも低い冷間時に運転が開始されるなどして暖機が開始されると、エンジンシステム1の作動時間が長くなるほどエンジンシステム1の各部品の温度が上昇していく。
【0053】
しかしながら、エンジンシステム1の暖機中などのインテークマニホールド10の温度が低い状態である場合に、EGR装置20が作動することによって、インテークマニホールド10内に凝縮水が生成される場合がある。これは、EGR装置20が作動すると、EGRガスがインテークマニホールド10内を流通し、インテークマニホールド10内を流通するEGRガスが露点を下回る温度のインテークマニホールド10内の壁面に接触することにより
図1の(A)の矢印に示す吸入空気や
図1の(B)の矢印に示すEGRガス中の水分が凝縮し、
図1の(C)に示すように凝縮水としてインテークマニホールド10内の壁面に付着するためである。また、暖機が完了するまでの間に一定量の凝縮水が生成されると、凝縮水がEGRガスの排気成分との化学反応により酸性化し、インテークマニホールド10内の腐食の発生要因になり得る。そのため、凝縮水の生成量(以下、凝縮水量と記載する)を推定し、必要に応じてEGR装置20の動作を制限したり、ユーザに通知したりすることが求められる。
【0054】
インテークマニホールド10内の凝縮水量の推定は、たとえば、吸入空気量およびEGRガスの流量の和と凝縮水量との関係を示すマップ等を用いて行なうことが考えられる。しかしながら、凝縮水量の推定精度を向上させるためには、エンジンシステム1の様々な運転状態に応じたマップを設定することが求められる。そのため、マップ等の記憶容量やマップ等を適合する工数などの制限から凝縮水量の推定精度を適切に向上させることができない場合がある。
【0055】
そこで、本実施の形態においては、制御装置100は、以下のような構成を含むものとする。
【0056】
すなわち、制御装置100は、吸入空気量と、吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、吸入空気の湿度と、インテークマニホールド10に戻される排気の還流率とを用いた推定式によってインテークマニホールド10内を流通する吸入空気に含まれる水分量(以下、第1水分量と記載する)Aw1を算出する算出部(1)120を含むものとする。
【0057】
さらに、制御装置100は、気筒4に供給される燃料量と、排気の還流率とを用いた推定式によってEGRガスに含まれ、燃料の燃焼により生成された水分量(以下、第2水分量と記載する)Aw2を算出する算出部(2)122をさらに含むものとする。
【0058】
さらに、制御装置100は、インテークマニホールド10内のEGRガスが流通する部分における飽和水蒸気量Aw3を算出する算出部(3)124をさらに含むものとする。
【0059】
さらに、制御装置100は、第1水分量Aw1と第2水分量Aw2との和から飽和水蒸気量Aw3を減算した値を凝縮水量の推定値Aw4として算出する算出部(4)126をさらに含むものとする。本実施の形態に係る凝縮水量推定装置は、制御装置100によって実現される。
【0060】
図2は、吸入空気に含まれる第1水分量Aw1とEGRガスに含まれる第2水分量Aw2と飽和水蒸気量Aw3と凝縮水量Aw4との関係を説明するための図である。
【0061】
図2の(a)に示す吸入空気に含まれる第1水分量Aw1と、
図2の(b)に示すEGRガスに含まれる第2水分量Aw2との和がインテークマニホールド10内の気体に含まれる水分量の総和となる。そして、そのうちの
図2の(c)に示す飽和水蒸気量Aw3の分だけが水蒸気として存在可能となる。そのため、第1水分量Aw1と第2水分量Aw2との和から飽和水蒸気量Aw3を減算した値が
図2の(d)に示す凝縮水量Aw4に相当する。
【0062】
したがって、インテークマニホールド10内を流通する吸入空気に含まれる第1水分量Aw1と、インテークマニホールド10内を流通するEGRガスに含まれる第2水分量Aw2とをそれぞれの推定式によって精度高く推定することができるため、第1水分量Aw1と第2水分量Aw2との和から飽和水蒸気量Aw3を減算することによってインテークマニホールド10内の凝縮水量の推定値Aw4を精度高く推定することができる。
【0063】
以下、
図3を参照して、制御装置100で実行される処理の一例について説明する。
図3は、凝縮水量を推定する処理の一例を示すフローチャートである。
【0064】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、制御装置100(すなわち、算出部(1)120)は、第1水分量Aw1を算出する。第1水分量Aw1[g/s]を推定するための推定式は、吸入空気量Qa[g/s]、水蒸気濃度Cw1、湿度H[%]および還流率Rを用いた以下の式(1)により表すことができる。
【0065】
Aw1=Qa×Cw1×H/100[%]/(1-R)・・・(1)
ここで、制御装置100は、エアフローメータ102による検出結果を用いて吸入空気量Qaを取得する。水蒸気濃度Cw1は、吸入空気中の水蒸気の割合を示す。水蒸気濃度Cw1の推定式は、吸入空気の飽和水蒸気圧Pw1[kPa]および大気圧(吸入空気の圧力)Pa[kPa]を用いた以下の式(2)により表すことができる。
【0066】
Cw1=Pw1/Pa・・・(2)
さらに、吸入空気の飽和水蒸気圧Pw1[kPa]の推定式は、大気の温度t[℃]を用いた以下の式(3)((Tetens(1930)の式))により表すことができる。
【0067】
Pw1==0.61078×10(7.5t/(t+237.3))・・・(3)
制御装置100は、吸気温度センサ104による検出結果を用いて大気の温度tを取得する。制御装置100は、たとえば、吸気温度Tiと大気の温度tとの関係を示すマップと、吸気温度センサ104によって検出される吸気温度Tinとを用いて大気の温度tを算出する。吸気温度Tinと大気の温度tとの関係を示すマップは、たとえば、1次元マップであって、実験的または設計的に適合されて、予め定められて、制御装置100のメモリに記憶される。
【0068】
制御装置100は、取得した大気の温度tと式(3)に示す推定式を用いて吸入空気の飽和水蒸気圧Pw1を算出する。制御装置100は、大気圧センサ110の検出結果を用いて大気圧Paを取得する。制御装置100は、取得した大気圧Paと、算出されたPw1と、式(2)に示す推定式とを用いて水蒸気濃度Cw1を算出する。
【0069】
式(1)の湿度Hは、たとえば、予め定められた湿度である。本実施の形態においては、予め定められた湿度は、たとえば、100%であるものとして説明する。
【0070】
式(1)の還流率Rは、気筒4に吸入される気体に占めるEGRガスの割合を示す値(EGR率)である。制御装置100は、たとえば、EGRバルブの開度などエンジンシステム1の運転状態を示す値に基づいてEGRガスの流量Qegrを推定し、推定されたEGRガス流量を、推定されたEGRガス流量Qegrと吸入空気量Qaと燃料量との和で除算することによって還流率Rを算出する。なお、EGR率の推定については、周知の技術を用いればよく、上述のような算出方法に限定されるものではない。
【0071】
また、第1水分量Aw1は、吸入空気由来の水分量であって、エアクリーナから吸入された空気に含まれる水分量に加えてEGRガスの還流分に含まれる吸入空気由来の水分量を含む。そのため、第1水分量Aw1と、吸入空気された空気に含まれる水分量Aと、還流率Rとの関係は、Aw1=A+(Aw1×R)の式によって示され、Aw1=A/(1-R)の関係式が成立する。そのため、式(1)においては、EGR装置20から還流されるEGRガスに含まれる吸入空気由来の水分量を第1水分量Aw1に含めるために1/(1-R)が乗算されている。
【0072】
制御装置100は、取得した吸入空気量Qaおよび湿度Hと、算出した水蒸気濃度Cw1、湿度Hおよび還流率Rと、式(1)とを用いて第1水分量Aw1を算出する。
【0073】
S102にて、制御装置100(すなわち、算出部(2)122)は、第2水分量Aw2を算出する。第2水分量Aw2[g/s]を推定するための推定式は、燃料量Af[g/s]と、定数Coと、還流率Rとを用いた以下の式(4)により表すことができる。
【0074】
Aw2=Af×Co×R/(1-R)・・・(4)
燃料量Afは、気筒4において単位時間当たりに噴射される燃料量(燃料質量)を示す。燃料量Afの推定式は、1ストローク当たりに噴射される燃料の体積Vf[mm3/st]と、エンジン回転数Ne[rpm]と、気筒数Nと、燃料密度ρf[g/mm3]とを用いた以下の式(5)により表すことができる。
【0075】
Af=Vf×Ne/60[s]/2/N×ρf・・・(5)
制御装置100は、たとえば、燃料噴射装置6に対する制御指令値を用いて1ストローク当たりに噴射される燃料の体積Vfを取得する。制御装置100は、エンジン回転数センサ106の検出結果を用いてエンジン回転数Neを取得する。式(5)の気筒数Nおよび燃料密度ρfは、予め定められた値であって、予め制御装置100のメモリに記憶される。そのため、制御装置100は、メモリから気筒数Nと燃料密度ρfとを取得する。
【0076】
制御装置100は、取得した体積Vfと、エンジン回転数Neと、気筒数Nと、燃料密度ρfと、式(5)に示す推定式とを用いて燃料量Afを算出する。
【0077】
式(4)の定数Coは、所定量(たとえば、1g)の燃料から生成され得る水分の生成量を示し、燃料の性状(たとえば、炭素と水素の重量比(C/H比))によって定まる値である。定数Coは、たとえば、C/H比の半分の値に定められる。
【0078】
式(4)の還流率Rについては、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。また、第2水分量Aw2は、燃焼由来の水分量であって、燃料の燃焼によって生成される水分量に加えてEGRガスの還流分に含まれる燃焼由来の水分量を含む。そのため、第2水分量Aw2と、噴射された燃料が燃焼することにより生成される水分量Bと、還流率Rとの関係は、Aw2=(Aw2+B)×Rの式によって示され、Aw2=B×R/(1-R)の関係式が成立する。そのため、式(4)においては、EGR装置20から還流されるEGRガスに含まれる燃料の燃焼により生成される水分量のうち燃焼由来の水分量を第2水分量Aw2に含めるためにR/(1-R)が乗算されている。
【0079】
制御装置100は、算出した燃料量Afおよび還流率Rと、取得した定数Coと、式(4)とを用いて第2水分量Aw2を算出する。
【0080】
S104にて、制御装置100(すなわち、算出部(3)124)は、飽和水蒸気量Aw3を算出する。飽和水蒸気量Aw3[g/s]を推定するための推定式は、インテークマニホールド10内のガスのモル数M[mol/s]と、インテークマニホールド10内の水蒸気濃度Cw2と、1モル当たりの水の分子量L1[g/mol]とを用いた以下の式(6)により表すことができる。
【0081】
Aw3=M×Cw2×L1・・・(6)
式(6)の1モル当たりの水の分子量L1は、18[g/mol]である。インテークマニホールド10内のガスのモル数M[mol/s]を算出するための算出式は、インテークマニホールド10内に吸入される空気量Qb[g/s]と、平均ガス分子量L2[g/mol]とを用いた以下の式(7)により表すことができる。
【0082】
M=Qb×L2・・・(7)
制御装置100は、たとえば、吸入空気量Qaおよび過給圧などからインテークマニホールド10内に吸入される空気量Qbを取得する。過給圧は、たとえば、過給圧センサ(図示せず)を用いて検出されてもよいし、あるいは、エンジンシステム1の運転状態から推定されてもよい。
【0083】
式(7)の平均ガス分子量L2は、たとえば、実験的に設定される予め定められた値であって、予め制御装置100のメモリに記憶される。そのため、制御装置100は、メモリから平均ガス分子量L2を取得する。
【0084】
制御装置100は、取得した空気量Qbと、平均ガス分子量L2と、式(7)とを用いてインテークマニホールド10内のガスのモル数Mを算出する。
【0085】
水蒸気濃度Cw2は、インテークマニホールド10内の気体における水蒸気の割合を示す。水蒸気濃度Cw2の推定式は、インテークマニホールド10内の気体の飽和水蒸気圧Pw2[kPa]およびインテークマニホールド10内の圧力(過給圧)Pim[kPa]を用いた以下の式(8)により表すことができる。
【0086】
Cw2=Pw2/Pim・・・(8)
さらに、インテークマニホールド内の気体の飽和水蒸気圧Pw2[kPa]の推定式は、インテークマニホールド10内の温度T[℃]を用いた以下の式(9)(Tetense(1930)の式)により表すことができる。
【0087】
Pw2=0.61078×10(7.5T/(T+237.2))・・・(9)
制御装置100は、インテークマニホールド10内の凝縮水が生成される所定部位の壁面温度Twl[℃]を推定する。制御装置100は、たとえば、壁面温度Twlとインテークマニホールド10内の温度Tとの関係を示すマップと、推定された壁面温度Twlとを用いてインテークマニホールド10内の温度Tを算出する。壁面温度Twlとインテークマニホールド10内の温度Tとの関係を示すマップは、たとえば、1次元マップであって、実験的または設計的に適合されて、予め定められて、制御装置100のメモリに記憶される。なお、インテークマニホールド19内の凝縮水が生成される所定の部位は、たとえば、インテークマニホールド10を構成する配管のうちの暖機時に温度が最も上昇しにくい部位を含む。
【0088】
さらに、壁面温度Twlの推定式は、制御装置100は、インテークマニホールド10内の気体の流量Qb[g/s]と、インテークマニホールド10の温度Tim[℃]と、EGRガスの温度Tegr[℃]と、EGRガスの流量Qegr[g/s]とを用いた以下の式(10)により表すことができる。
【0089】
Twl=a×(Qb×Tim+Tegr×Qegr)+b・・・(10)
制御装置100は、水温Twと吸気温度Tinとを用いてaを設定する。制御装置100は、たとえば、ベース値Baに、水温Twを用いて設定される補正係数Ca1と、吸気温度Tinを用いて設定される補正係数Ca2とを乗算した値をaとして設定する。
【0090】
制御装置100は、たとえば、水温Twと補正係数Ca1との関係を示すマップと、水温Twとを用いて補正係数Ca1を設定し、吸気温度Tinと補正係数Ca2との関係を示すマップと、吸気温度Tinとを用いて補正係数Ca2を設定する。水温Twと補正係数Ca1との関係を示すマップ、および、吸気温度Tinと補正係数Ca2との関係を示すマップは、それぞれ実験的または設計的に適合され、予め定められて、制御装置100のメモリに記憶される。
【0091】
さらに、制御装置100は、水温Twと吸気温度Tinとを用いてbを設定する。制御装置100は、たとえば、ベース値Bbに、水温Twを用いて設定される補正係数Cb1と、吸気温度Tinを用いて設定される補正係数Cb2とを乗算した値をbとして設定する。
【0092】
制御装置100は、たとえば、水温Twと補正係数Cb1との関係を示すマップと、水温Twとを用いて補正係数Cb1を設定し、吸気温度Tinと補正係数Cb2との関係を示すマップと、吸気温度Tinとを用いて補正係数Cb2を設定する。水温Twと補正係数Cb1との関係を示すマップ、および、吸気温度Tinと補正係数Cb2との関係を示すマップは、それぞれ実験的または設計的に適合され、予め定められて、制御装置100のメモリに記憶される。
【0093】
また、流量Qbおよび流量Qegrの取得方法について上述したとおりであるためその詳細な説明は繰り返さない。制御装置100は、たとえば、インマニ温度センサ112による検出結果を用いてインテークマニホールド10の温度Timを取得する。なお、制御装置100は、たとえば、水温Twを用いてインテークマニホールド10の温度Timを推定してもよい。
【0094】
制御装置100は、EGRガスの温度Tegrを、推定式を用いて算出する。EGRガスの温度Tegrの推定式は、排気温度Texと、水温Twと、エキゾーストマニホールド50内を流通する排気の温度Texmとを用いた以下の式(11)で表すことができる。
【0095】
Tegr=Tex-Texm×(Tex-Tw)・・・(11)
制御装置100は、水温センサ108および排気温度センサ116による検出結果を用いて水温Twおよび排気温度Texをそれぞれ取得する。制御装置100は、たとえば、水温Twや排気温度Texを用いて温度Texmを取得する。なお、制御装置100は、たとえば、エキゾーストマニホールド50に設けられる図示しない温度センサによって温度Texmを取得してもよい。制御装置100は、取得した温度Tex,TexmおよびTwと、式(11)とを用いてEGRガス温度Tegrを算出する。
【0096】
制御装置100は、取得した流量Qb、Qegr、Timと、算出されたTegrと、設定したaおよびbと、式(10)とを用いて壁面温度Twlを算出する。制御装置100は、過給圧センサ114の検出結果を用いてインテークマニホールド10内の圧力Pimを取得する。
【0097】
制御装置100は、算出された壁面温度Twlを用いてインテークマニホールド10内の温度Tを算出し、算出された温度Tと、式(9)とを用いて飽和水蒸気圧Pw2を算出する。制御装置100は、算出されたPw2と、インテークマニホールド10内の圧力(過給圧)Pimと、式(8)とを用いて水蒸気濃度Cw2を算出する。制御装置100は、算出されたインテークマニホールド10内のガスのモル数Mと、水蒸気濃度Cw2と、1モル当たりの水の分子量L1と、式(6)とを用いて飽和水蒸気量Aw3を算出する。
【0098】
S106にて、制御装置100(すなわち、算出部(4)126)は、凝縮水量Aw4を算出する。凝縮水量Aw4の算出式は、第1水分量Aw1と、第2水分量Aw2と、飽和水蒸気量Aw3とを用いた以下の式(12)で表すことができる。
【0099】
Aw4=Aw1+Aw2-Aw3・・・(12)
制御装置100は、S100にて算出された第1水分量Aw1と、S102にて算出された第2水分量Aw2と、S104にて算出された飽和水蒸気量Aw3と、式(12)とを用いて凝縮水量Aw4を算出する。
【0100】
S108にて、制御装置100(たとえば、算出部(4)126)は、補正係数Csを設定する。インテークマニホールド10内に付着される凝縮水の付着量は、インテークマニホールド10内の凝縮水が付着し得る壁面部分の表面積に相関する。そのため、たとえば、平面部分の表面積と補正係数との関係を示す1次元マップを実験的あるいは設計的に設定しておき、インテークマニホールド10の平面部分の表面積を用いて補正係数の基準値が予め設定され、制御装置100のメモリに記憶される。さらに、インテークマニホールド10内に付着される凝縮水の付着量は、インテークマニホールド10内の壁面温度に相関する。そのため、制御装置100は、たとえば、壁面温度に応じた係数を上述の基準値に乗算することによって補正係数Csを設定する。制御装置100は、たとえば、壁面温度と係数との関係を示すマップ等を用いて壁面温度に応じた係数を設定する。壁面温度と係数との関係を示すマップ等は、たとえば、実際の凝縮水量に補正されるように実験的あるいは設計的に適合され、予め制御装置100のメモリに記憶される。
【0101】
S110にて、制御装置100(たとえば、算出部(4)126)は、凝縮水の蓄積量Vw(凝縮水量の積算値)を算出する。凝縮水の蓄積量Vwの算出式は、凝縮水の蓄積量の今回値Vw(n)と、凝縮水量Aw4と、補正係数Csと、掃気量(吸気行程で筒内に吸い込まれる分の水分量)の今回値Aw5(n)と、凝縮水の蓄積量の前回値Vw(n-1)とを用いた以下の式(13)で表すことができる。
【0102】
Vw(n)=Aw4×Cs+Vw(n-1)-Aw5(n)・・・(13)
制御装置100は、S106にて算出された凝縮水量Aw4と、S108にて設定された補正係数Csと、制御装置100のメモリに記憶された凝縮水の蓄積量の前回値Vw(n-1)と、式(13)とを用いて凝縮水の蓄積量の今回値Vw(n)を凝縮水の蓄積量Vwとして算出する。なお、制御装置100は、壁面温度Twlと、インテークマニホールド10内の流量Qbと、水温Twとを用いて掃気量Aw5を推定する。掃気量Aw5の推定方法については、周知の技術を用いればよく、詳細な説明は行なわない。
【0103】
以上のような構造およびフローチャートに基づく制御装置100の動作について
図4および
図5を参照しつつ説明する。
【0104】
たとえば、エンジン本体2の暖機時においては、吸気管12およびインテークマニホールド10の温度が低いため、EGR装置20のEGRバルブが開いて排気がインテークマニホールド10内を流通すると、インテークマニホールド10内に凝縮水が生成される。
【0105】
このとき、吸入空気量Qa、湿度Hと、水蒸気濃度Cw1、湿度Hおよび還流率Rとを用いた式(1)に示す推定式により第1水分量Aw1が算出される(S100)。さらに、燃料量Af、還流率R、および、定数Coを用いた式(4)に示す推定式により第2水分量Aw2が算出される(S102)。そして、インテークマニホールド10内のガスのモル数M、水蒸気濃度Cw2、および、1モル当たりの水の分子量L1を用いた式(6)に示す推定式により飽飽和水蒸気量が算出される(S104)。
【0106】
算出された第1水分量Aw1と第2水分量Aw2との和から飽和水蒸気量Aw3が減算されて凝縮水量Aw4が算出される(S106)。壁面温度Twlに基づいて補正係数Csが設定されると(S108)、凝縮水量Aw4が補正係数Csを用いて補正され、補正された値(Aw4×Cs)から掃気量Aw5が減算されることによりインテークマニホールド内で生成される凝縮水量が算出され、算出された値が凝縮水の蓄積量Vwの前回値に加算されて凝縮水の蓄積量Vwの今回値が算出される(S110)。
【0107】
このようにすると、第1水分量Aw1と第2水分量Aw2とがそれぞれの推定式により個別に算出されるとともに、飽和水蒸気量Aw3が壁面温度Twlを用いて算出されるため、凝縮水の蓄積量Vwを精度高く推定することが可能となる。
【0108】
そのため、たとえば、凝縮水の蓄積量Vwを用いてEGR装置20の制御を実行する場合には、EGR装置20の制御精度を向上させることができる。あるいは、凝縮水の蓄積量Vwを用いてユーザに対して凝縮水に関する情報(以下、凝縮水情報とも記載する)を通知装置130を用いて通知する通知処理を実行する場合において適切な通知を実施することが可能となる。
【0109】
図4は、外気温が低い環境下での一定の走行条件における凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を説明するための図である。
図4の横軸は、時間を示す。
図4の縦軸は、凝縮水の蓄積量を示す。
【0110】
図4のLN1は、たとえば、吸入空気量Qaとエンジン回転数Neとを用いて凝縮水量を推定する場合の凝縮水の蓄積量の変化の一例を示す。
図4のLN2は、上述の凝縮水量を推定する処理を実行する場合の凝縮水の蓄積量の変化の一例を示す。
【0111】
たとえば、外気温が低い環境下では、壁面温度を考慮して凝縮水の蓄積量を算出することによって、
図4のLN1およびLN2に示すように、凝縮水の蓄積量を多く見積もることを抑制することができる。そのため、凝縮水の蓄積量がしきい値を超えるときにユーザに凝縮水の蓄積量がしきい値を超える旨を示す凝縮水情報を通知装置130を用いて通知する通知制御を実行する場合において、不必要に当該情報を通知装置130を用いてユーザに通知することが抑制される。あるいは、凝縮水の蓄積量がしきい値を超えるときにEGR装置20のEGRバルブを閉じ側に制御するなどしてEGRガスの流量を減らし、凝縮水の発生量の増加を抑制するEGR制御を実行する場合において、不必要にEGR装置20の動作を制限して燃費を悪化させたり、NOxの浄化性能を低下させたりすることが抑制される。
【0112】
図5は、外気温が高い環境下での一定の走行条件(上述の走行条件と同じ走行条件)における凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を説明するための図である。
図5の横軸は、時間を示す。
図5の縦軸は、凝縮水の蓄積量を示す。
【0113】
図5のLN3は、たとえば、吸入空気量Qaとエンジン回転数Neとを用いて凝縮水量を推定する場合の凝縮水の蓄積量の変化の一例を示す。
図5のLN4は、上述の凝縮水量を推定する処理を実行する場合の凝縮水の蓄積量の変化の一例を示す。
【0114】
たとえば、外気温が高い環境下では、壁面温度を考慮して凝縮水の蓄積量を算出することによって、
図5のLN3およびLN4に示すように、凝縮水の蓄積量を少なく見積もることを抑制することができる。そのため、上述のように凝縮水の蓄積量に応じて通知制御を実行する場合において、実際には、凝縮水の蓄積量がしきい値を超えているのに通知装置130を用いたユーザへの凝縮水情報の通知が行なわれない状態になることが抑制される。あるいは、上述のように凝縮水の蓄積量に応じてEGR制御を実行する場合において、実際には、凝縮水の蓄積量がしきい値を超えているのにEGR制御が実行されないことが抑制される。そのため、インテークマニホールド10内の腐食の促進が抑制される。
【0115】
図6は、暖機開始から完了後もエンジンシステム1が動作する場合の凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を示す。
図6の縦軸は、凝縮水の蓄積量を示す。
図6の横軸は、時間を示す。
図6のLN5は、凝縮水の蓄積量の変化の一例を示す。たとえば、エンジンシステム1の冷間時に動作を開始した場合を想定する。
【0116】
時間ゼロにて、エンジンシステム1の動作が開始すると、EGRバルブが開き排気がEGRガスとしてEGR装置20を経由してインテークマニホールド10を流通する。インテークマニホールド内の壁面温度が低い場合には、吸入空気やEGRガス中の水分が凝縮するため、凝縮水の蓄積量の推定値は増加するように変化していく。エンジンシステム1の動作が継続していくと、インテークマニホールド内の壁面温度が上昇していく。そのため、吸入空気やEGRガス中の水分の凝縮が抑制されるとともに、掃気量が増加する。その結果、時間t(0)にて、凝縮水の蓄積量の推定値は減少に転じるように変化する。そして、時間t(1)にて、水温Twが暖機完了を示す値になる時点以降において、凝縮水の蓄積量の推定値がゼロになる。このように、エンジンシステム1の暖機開始から完了後もエンジンシステム1が動作する場合において、凝縮水の蓄積量の推定値が精度高く算出される。
【0117】
図7は、暖機完了前にエンジンシステム1の動作が停止する運転状態が繰り返される場合の凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を示す。
図7の縦軸は、凝縮水の蓄積量を示す。
図7の横軸は、時間を示す。
図7のLN6は、暖機完了前にエンジンシステム1の動作が停止する運転状態が繰り返される場合の凝縮水の蓄積量の推定値の変化の一例を示す。
図7のLN7は、暖機完了までエンジンシステム1の動作が継続する場合の蓄積量の変化の一例を示す。
【0118】
図7のLN6に示すように、たとえば、時間ゼロにて、エンジンシステム1の動作が開始すると、上述のように凝縮水の蓄積量の推定値は増加するように変化していく。暖機が完了する前の時間t(2)にて、エンジンシステム1の動作が停止されると、時間t(3)までのエンジンシステム1の停止期間においては、凝縮水の蓄積量は、Aw(1)で維持される。この間、エンジンシステム1の温度は低下し、再び冷間状態になる。
【0119】
そして、時間t(3)以降において、時間ゼロから時間t(3)までの動作と同様の動作が繰り返されると、時間t(3)~時間(4)までの期間、時間t(5)~時間(6)までの期間、時間t(7)~時間t(8)までの期間、および時間t(9)~時間(10)までの期間において、時間ゼロから時間t(4)までの期間に蓄積した量と同程度の凝縮水の蓄積量が積み増していく。その結果、凝縮水の蓄積量は、時間t(4)にて、Aw(2)となり、時間t(6)にて、Aw(3)になり、時間t(8)にて、Aw(4)となり、時間t(10)にて、Aw(5)になる。
【0120】
なお、時間t(4)以降においてエンジンシステム1の動作が継続する場合には、上述の
図6を用いて説明したように、壁面温度の上昇により吸入空気やEGRガス中の水分の凝縮が抑制されるとともに、掃気量が増加するため、
図7のLN7に示すように、時間t(4)以降において、凝縮水の蓄積量の推定値が減少に転じるように変化し、暖機が完了する時期あるいはその前後に凝縮水の蓄積量の推定値がゼロになる。
【0121】
このように、エンジンシステム1の暖機開始から完了前にエンジンシステム1の動作が停止する場合でも、暖機が完了するまでエンジンシステム1が動作する場合でも凝縮水の蓄積量の推定値が精度高く算出される。
【0122】
そのため、たとえば、凝縮水の蓄積量Aw(5)まで増加した場合に、腐食が促進される可能性がある場合には、凝縮水の蓄積量がAw(3)まで増加した場合に、通知装置130を用いて凝縮水が蓄積している旨や凝縮水の蓄積を解消するためにエンジンシステム1の動作継続が望ましい旨を通知してもよいし、凝縮水の蓄積量がAw(4)まで増加した場合に、EGR装置20の動作を停止したり(すなわち、EGRバルブを閉じ状態にしたり)、EGRガスの流量を減量したりして(すなわち、EGRバルブの開度を小さくしたりして)、凝縮水の発生を抑制するようにしてもよい。
【0123】
以上のようにして、本実施の形態に係る凝縮水量推定装置によると、吸入空気に含まれる第1水分量Aw1と、排気に含まれ、燃料の燃焼により生成された第2水分量Aw2とをそれぞれの推定式を用いて算出することによって吸気通路のうちの排気が流通する部分であるインテークマニホールド10における水分量を精度高く算出することができる。そのため、第1水分量Aw1と第2水分量Aw2との和から飽和水蒸気量Aw3を減算することによってインテークマニホールド10における凝縮水量Aw4を精度高く算出することができる。したがって、エンジンシステムの吸気通路内に生成される凝縮水の量を精度高く推定する凝縮水量推定装置を提供することができる。
【0124】
さらに、凝縮水はインテークマニホールド10の壁面に生成されるため壁面温度に対応した飽和水蒸気量を算出することによりインテークマニホールド10における凝縮水量を精度高く算出することができる。
【0125】
さらに、生成した凝縮水の付着量は、インテークマニホールド10の表面積によって変化し得る。そのため、インテークマニホールド10の表面積に対応した凝縮水量Aw4を補正するための補正係数Csを設定し、設定された補正係数Csを用いて凝縮水量Aw4を補正することによって凝縮水量を精度高く推定することができる。
【0126】
さらに、生成した凝縮水の付着量は、インテークマニホールド10の表面積に加えて壁面温度によって変化し得る。そのため、凝縮水量Aw4を補正するための補正係数Csを、インテークマニホールド10の表面積に加えて壁面温度を用いて設定し、設定された補正係数Csを用いて凝縮水量Aw4を補正することによって凝縮水量を精度高く推定することができる。
【0127】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、湿度Hを一例として100%である場合を想定して凝縮水量Aw4を算出するものとして説明したが、特に100%に限定されるものではなく、100%よりも低い予め定められた値に設定されてもよいし、あるいは、図示しない湿度センサによってインテークマニホールド10内の湿度Hを検出し、検出結果を用いて凝縮水量Aw4が算出されてもよい。
【0128】
さらに上述の実施の形態では、制御装置100は、エンジンシステム1の運転状態に関係なく、
図3のフローチャートに示す処理を実行して凝縮水の蓄積量を算出するものとして説明したが、たとえば、エンジンシステム1が暖機中である場合に、凝縮水の蓄積量を算出するようにしてもよい。制御装置100は、たとえば、水温Twがしきい値よりも低い場合に、
図3のフローチャートに示す処理を実行して凝縮水の蓄積量を算出するようにしてもよい。
【0129】
さらに上述の実施の形態では、エンジンシステム1にEGR装置20が設けられる場合を一例として、凝縮水量の蓄積量の推定について説明したが、エンジンシステム1は、EGR装置20を有しない構成あるいは暖機時にEGR装置20の動作を停止する構成であってもよい。
【0130】
この場合、制御装置100は、たとえば、還流率RおよびEGRガスの流量Qegrをゼロとして、上述と同様に凝縮水量の蓄積量を推定することができる。すなわち、制御装置100は、吸気通路に吸入される吸入空気の流量と、吸入空気に含まれる水蒸気の濃度と、吸入空気の湿度と、吸入空気の温度と、大気圧とを用いた推定式によって算出される第1水分量から飽和水蒸気量を減算することによって吸気通路内の凝縮水の量の推定値を精度高く推定することができる。
【0131】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0132】
1 エンジンシステム、2 エンジン本体、4 気筒、6 燃料噴射装置、10 インテークマニホールド、12 吸気管、20 EGR装置、22 第1循環通路、24 第2循環通路、30 EGRクーラ、50 エキゾーストマニホールド、52 排気管、60 ターボチャージャー、62 コンプレッサ、64 タービン、66 シャフト、100 制御装置、102 エアフローメータ、104 吸気温度センサ、106 エンジン回転数センサ、108 水温センサ、110 大気圧センサ、112 インマニ温度センサ、114 過給圧センサ、116 排気温度センサ、120 第1算出部、122 第2算出部、124 第3算出部、126 第4算出部。