(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】ハイブリッド車両
(51)【国際特許分類】
B60W 10/08 20060101AFI20241016BHJP
B60K 6/445 20071001ALI20241016BHJP
B60W 20/13 20160101ALI20241016BHJP
B60W 20/00 20160101ALI20241016BHJP
B60L 9/18 20060101ALI20241016BHJP
B60L 50/16 20190101ALI20241016BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20241016BHJP
B60L 58/25 20190101ALI20241016BHJP
【FI】
B60W10/08 900
B60K6/445 ZHV
B60W20/13
B60W20/00 900
B60L9/18 P
B60L50/16
B60L50/60
B60L58/25
(21)【出願番号】P 2021018040
(22)【出願日】2021-02-08
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上瀧 優
【審査官】三宅 龍平
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-302763(JP,A)
【文献】特開2006-194133(JP,A)
【文献】特開2017-204969(JP,A)
【文献】特開2012-110189(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 6/20 - 6/547
B60W 10/00 - 20/50
B60L 9/18
B60L 50/16
B60L 50/60
B60L 58/25
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、
前記エンジンをクランキング可能な第1モータと、
前記第1モータを駆動する第1インバータと、
車軸に連結された駆動軸に動力を入出力する第2モータと、
前記第2モータを駆動する第2インバータと、
蓄電装置と、
前記蓄電装置が接続される第1電力ラインと前記第1、第2インバータに接続される第2電力ラインとの間で電圧の変換を伴って電力のやりとりを行なう昇降圧コンバータと、
前記エンジンの始動時には、要求駆動力で走行しながら、前記第2電力ラインの電圧が車速に基づく目標電圧となるように前記昇降圧コンバータを制御すると共に、前記第1モータによって前記エンジンをクランキングして前記エンジンが始動されるように、前記エンジンと第1、第2インバータと前記昇降圧コンバータとを制御する制御装置と、
を備えるハイブリッド車両であって、
前記制御装置は、前記エンジンの始動時において前記蓄電装置の温度が所定温度以下のときには、前記蓄電装置からの放電が許容される許容最大電力から前記目標電圧に基づく前記第2モータの損失を含む前記第2モータの入力電力と前記目標電圧に基づく前記第1モータの損失とを減じたパワー上限値の範囲内の出力で前記第1モータが前記エンジンをクランキングするように、前記第1インバータを制御する
ハイブリッド車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ハイブリッド車両に関し、詳しくは、エンジンと、第1モータと、第1インバータと、第2モータと、第2インバータと、蓄電装置と、昇降圧コンバータと、を備えるハイブリッド車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のハイブリッド車両としては、エンジンと、第1モータ(モータジェネレータ)と、第1インバータと、第2モータ(モータジェネレータ)と、第2インバータと、蓄電装置(バッテリ)と、昇降圧コンバータ(昇圧コンバータ)と、を備えるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。第1モータは、エンジンをクランキングする。第1インバータは、第1モータを駆動する。第2モータは、車軸に連結された駆動軸に動力を入出力する。第2インバータは、第2モータを駆動する。昇降圧コンバータは、蓄電装置が接続される第1電力ラインと第1、第2インバータに接続される第2電力ラインとの間で電圧の変換を伴って電力のやりとりを行なう。このハイブリッド車両では、エンジンの始動時には、要求駆動力で走行しながら、第2電力ラインの電圧が車速に基づく目標電圧となるように昇降圧コンバータを制御すると共に、第1モータによってエンジンをクランキングしてエンジンが始動されるように、エンジンと第1、第2インバータと昇降圧コンバータとを制御している。これにより、昇降圧コンバータによる過剰な昇圧を抑制し、エネルギ効率の改善を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のハイブリッド車両では、昇降圧コンバータによる過剰な昇圧を抑制しているものの、第1、第2モータの損失については考慮されていない。そのため、第1モータから適正なトルクを出力していない場合がある。特に、低温下でのエンジンの始動時には、蓄電装置を保護するため蓄電装置から出力可能な電力の上限値を低くする必要がある一方で、エンジンのフリクションが大きくなることからより大きなトルクを第1モータから出力する必要がある。そのため、第1モータから出力するトルクが必要以上に制限されることを抑制することが、重要な課題として認識されている。
【0005】
本発明のハイブリッド車両は、第1モータから出力するトルクが必要以上に制限されることを抑制することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のハイブリッド車両は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明のハイブリッド車両は、
エンジンと、
前記エンジンをクランキング可能な第1モータと、
前記第1モータを駆動する第1インバータと、
車軸に連結された駆動軸に動力を入出力する第2モータと、
前記第2モータを駆動する第2インバータと、
蓄電装置と、
前記蓄電装置が接続される第1電力ラインと前記第1、第2インバータに接続される第2電力ラインとの間で電圧の変換を伴って電力のやりとりを行なう昇降圧コンバータと、
前記エンジンの始動時には、要求駆動力で走行しながら、前記第2電力ラインの電圧が車速に基づく目標電圧となるように前記昇降圧コンバータを制御すると共に、前記第1モータによって前記エンジンをクランキングして前記エンジンが始動されるように、前記エンジンと第1、第2インバータと前記昇降圧コンバータとを制御する制御装置と、
を備えるハイブリッド車両であって、
前記制御装置は、前記エンジンの始動時において前記蓄電装置の温度が所定温度以下のときには、前記蓄電装置からの放電が許容される許容最大電力から前記目標電圧に基づく前記第2モータの損失を含む前記第2モータの入力電力と前記目標電圧に基づく前記第1モータの損失とを減じたパワー上限値の範囲内の出力で前記第1モータが前記エンジンをクランキングするように、前記第1インバータを制御する
ことを要旨とする。
【0008】
この本発明のハイブリッド車両では、エンジンの始動時において蓄電装置の温度が所定温度以下のときには、蓄電装置からの放電が許容される許容最大電力から目標電圧に基づく第2モータの損失を含む第2モータの入力電力と目標電圧に基づく第1モータの損失とを減じたパワー上限値の範囲内の出力で第1モータがエンジンをクランキングするように、第1インバータを制御する。目標電圧に基づく第1、第2モータの損失を考慮したパワー上限値の範囲内の出力で第1モータを駆動するから、第1モータから出力するトルクが必要以上に制限されることを抑制できる。
【0009】
こうした本発明のハイブリッド車両において、前記第1、第2モータの前記損失は、前記目標電圧が高いときには、低いときに比して大きくしてもよい。こうすれば、第1、第2モータの損失をより適正なものとすることができる。これにより、第1モータから出力するトルクが必要以上に制限されることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。
【
図2】HVECU70により実行されるクランキングトルク設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【
図3】バッテリ50の温度Tbが閾値Tref以下である場合において、モータMG1、MG2の損失Wloss1、Wloss2として目標電圧VH*を値V3としたときの損失を用いる比較例の高電圧側電力ライン54aの電圧VH、損失Wloss1、Wloss2、トルク指令Tm1*、トルク上限値Tmaxの時間変化の一例を示す説明図である。
【
図4】バッテリ50の温度Tbが閾値Tref以下である場合において、実施例の高電圧側電力ライン54aの電圧VH、損失Wloss1、Wloss2、トルク指令Tm1*、トルク上限値Tmaxの時間変化の一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態を実施例を用いて説明する。
【実施例】
【0012】
図1は、本発明の一実施例としてのハイブリッド自動車20の構成の概略を示す構成図である。実施例のハイブリッド自動車20は、図示するように、エンジン22と、プラネタリギヤ30と、モータMG1,MG2と、インバータ41,42と、昇降圧コンバータ55と、蓄電装置としてのバッテリ50と、システムメインリレー56と、ハイブリッド用電子制御ユニット(以下、「HVECU」という)70と、を備える。
【0013】
エンジン22は、ガソリンや軽油などを燃料として動力を出力する内燃機関として構成されている。このエンジン22は、エンジン用電子制御ユニット(以下、「エンジンECU」という)24によって運転制御されている。
【0014】
エンジンECU24は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。エンジンECU24には、エンジン22を運転制御するのに必要な各種センサからの信号、例えば、エンジン22のクランクシャフト26の回転位置を検出するクランクポジションセンサ23からのクランク角θcrや図示しない温度センサにより検出される冷却水の温度Twなどが入力ポートから入力されている。エンジンECU24からは、エンジン22を運転制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。エンジンECU24は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。エンジンECU24は、クランクポジションセンサ23からのクランク角θcrに基づいてエンジン22の回転数Neを演算している。
【0015】
プラネタリギヤ30は、シングルピニオン式の遊星歯車機構として構成されている。プラネタリギヤ30のサンギヤには、モータMG1の回転子が接続されている。プラネタリギヤ30のリングギヤには、駆動輪39a,39bにデファレンシャルギヤ38を介して連結された駆動軸36が接続されている。プラネタリギヤ30のキャリヤには、ダンパ28を介してエンジン22のクランクシャフト26が接続されている。
【0016】
モータMG1は、永久磁石が埋め込まれた回転子と三相コイルが巻回された固定子とを有する同期発電電動機として構成されており、上述したように、回転子がプラネタリギヤ30のサンギヤに接続されている。モータMG2は、モータMG1と同様に同期発電電動機として構成されており、回転子が駆動軸36に接続されている。
【0017】
インバータ41は、高電圧側電力ライン(第1電力ライン)54aに接続されており、6つのトランジスタと6つのダイオードとを有する周知のインバータ回路として構成されている。インバータ42は、インバータ41と同様に、高電圧側電力ライン54aに接続されており、6つのトランジスタと6つのダイオードとを有する周知のインバータ回路として構成されている。インバータ41,42は、電圧が作用しているときに、モータ用電子制御ユニット(以下、「モータECU」という)40によって、対となるトランジスタのオン時間の割合を調節することにより、モータMG1,MG2の三相コイルに回転磁界を形成し、モータMG1,MG2を回転駆動する。
【0018】
昇降圧コンバータ55は、高電圧側電力ライン54aと低電圧側電力ライン(第2電力ライン)54bとに接続されており、上アームおよび下アームを構成する2つのトランジスタおよび2つのダイオードとリアクトルとを有する周知の昇降圧コンバータ回路として構成されている。昇降圧コンバータ55は、モータECU40によって上アームおよび下アームを構成する2つのトランジスタのオン時間の割合が調節されることにより、低電圧側電力ライン54bの電力を昇圧して高電圧側電力ライン54aに供給したり、高電圧側電力ライン54aの電力を降圧して低電圧側電力ライン54bに供給したりする。高電圧側電力ライン54aの正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ57が取り付けられており、低電圧側電力ライン54bの正極側ラインと負極側ラインとには、平滑用のコンデンサ58が取り付けられている。
【0019】
モータECU40は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。モータECU40には、モータMG1,MG2や昇降圧コンバータ55を駆動制御するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。モータECU40に入力される信号としては、例えば、モータMG1,MG2の回転子の回転位置を検出する回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2や、モータMG1,MG2の各相に流れる電流を検出する電流センサ45u,45v,46u,46vからの相電流Iu1,Iv1,Iu2,Iv2を挙げることができる。また、コンデンサ57の端子間に取り付けられた電圧センサ57aからのコンデンサ57(高電圧側電力ライン54a)の電圧VHや、コンデンサ58の端子間に取り付けられた電圧センサ58aからのコンデンサ58(低電圧側電力ライン54b)の電圧VLも挙げることができる。モータECU40からは、モータMG1,MG2や昇降圧コンバータ55を駆動制御するための各種制御信号が出力ポートを介して出力されている。モータECU40から出力される信号としては、例えば、インバータ41,42のトランジスタへのスイッチング制御信号や昇降圧コンバータ55のトランジスタへのスイッチング制御信号を挙げることができる。モータECU40は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。モータECU40は、回転位置検出センサ43,44からのモータMG1,MG2の回転子の回転位置θm1,θm2に基づいてモータMG1,MG2の電気角θe1,θe2や回転数Nm1,Nm2を演算している。
【0020】
バッテリ50は、例えばリチウムイオン二次電池やニッケル水素二次電池として構成されており、低電圧側電力ライン54bに接続されている。このバッテリ50は、バッテリ用電子制御ユニット(以下、「バッテリECU」という)52によって管理されている。
【0021】
バッテリECU52は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。バッテリECU52には、バッテリ50を管理するのに必要な各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。バッテリECU52に入力される信号としては、例えば、バッテリ50の端子間に取り付けられた電圧センサ51aからのバッテリ50の電圧Vbや、バッテリ50の出力端子に取り付けられた電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ib,バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbを挙げることができる。バッテリECU52は、HVECU70と通信ポートを介して接続されている。バッテリECU52は、電流センサ51bからのバッテリ50の電流Ibの積算値に基づいて蓄電割合SOCを演算している。蓄電割合SOCは、バッテリ50の全容量に対するバッテリ50から放電可能な電力の容量の割合である。また、バッテリECU52は、温度センサ51cからのバッテリ50の温度Tbや蓄電割合SOCに基づいてバッテリ50の出力制限Woutや入力制限Winも演算している。
【0022】
出力制限Woutは、バッテリ50から放電してもよい許容最大電力(実施例では、正の値の電力)であり、基本出力制限Woutbに補正係数koutを乗じた値に設定される。基本出力制限Woutbは、バッテリ50の温度Tbが0℃以上所定温度Tref1(>0)以下のときには、温度Tbに関わらず所定値Woutref(正の値の電力)となるように設定される。また、基本出力制限Woutbは、バッテリ50の温度Tbが0℃未満のときには、所定値Woutrefから温度Tbが低いときには高いときに比して小さく、即ち、所定値Woutrefから温度Tbが低くなるほど小さくなり、所定温度Tref2(<0)で値0となるように設定される。さらに、基本出力制限Woutbは、温度Tbが所定温度Tref1を超えているときには、所定値Woutrefから温度Tbが高いときには低いときに比して小さくなり、即ち、所定値Woutrefから温度Tbが高くなるほど小さくなり、所定温度Tref3(>Tref2)で値0になるように設定される。補正係数koutは、蓄電割合SOCが値0以上所定割合Sref1未満で値0となり、所定割合Sref1以上所定割合Sref2(>Sref1)未満で値0から蓄電割合SOCが高いときには低いときに比して大きくなり、即ち、値0から蓄電割合SOCが高くなるほど大きくなり、所定割合Sref2以上で値1となるように設定される。
【0023】
入力制限Winは、バッテリ50に充電してもよい許容最大電力(実施例では、負の値の電力)であり、基本入力制限Winbに補正係数kinを乗じた値に設定される。基本入力制限Winbは、バッテリ50の温度Tbが0℃以上所定温度Tref1以下のときには、温度Tbに関わらず所定値Winref(負の値の電力)となるように設定される。また、基本入力制限Winbは、バッテリ50の温度Tbが0℃未満のときには、所定値Winrefから温度Tbが低いときには高いときに比して大きくなり、即ち、所定値Winrefから温度Tbが低くなるほど大きくなり、所定温度Tref2で値0となるように設定される。さらに、基本入力制限Winbは、温度Tbが所定温度Tref1を超えているときには、所定値Winrefから温度Tbが高いときには低いときに比して大きくなり、即ち、所定値Winrefから温度Tbが高くなるほど大きくなって、所定温度Tref3で値0になるように設定される。補正係数kinは、蓄電割合SOCが値0以上所定割合Sref3(>Sref2)未満で値1に設定され、所定割合Sref3以上所定割合Sref4(>Sref3)で値1から蓄電割合SOCが高いときには低いときに比して小さくなり、即ち、値1から蓄電割合SOCが高くなるほど小さくなり、所定割合Sref4以上で値0となるように設定される。
【0024】
システムメインリレー56は、低電圧側電力ライン54bにおけるコンデンサ58よりもバッテリ50側に設けられている。このシステムメインリレー56は、HVECU70によってオンオフ制御されることにより、バッテリ50と昇降圧コンバータ55側との接続および接続の解除を行なう。
【0025】
HVECU70は、図示しないが、CPUを中心とするマイクロプロセッサとして構成されており、CPUの他に、処理プログラムを記憶するROM,データを一時的に記憶するRAM,入出力ポート,通信ポートを備える。HVECU70には、各種センサからの信号が入力ポートを介して入力されている。HVECU70に入力される信号としては、例えば、イグニッションスイッチ80からのイグニッション信号や、シフトレバー81の操作位置を検出するシフトポジションセンサ82からのシフトポジションSPを挙げることができる。また、アクセルペダル83の踏み込み量を検出するアクセルペダルポジションセンサ84からのアクセル開度Accや、ブレーキペダル85の踏み込み量を検出するブレーキペダルポジションセンサ86からのブレーキペダルポジションBP,車速センサ88からの車速Vも挙げることができる。HVECU70からは、システムメインリレー56への駆動制御信号などが出力ポートを介して出力されている。HVECU70は、上述したように、エンジンECU24やモータECU40,バッテリECU52と通信ポートを介して接続されている。
【0026】
こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20では、ハイブリッド走行モード(HV走行モード)や電動走行モード(EV走行モード)などで走行する。HV走行モードは、エンジン22の運転とモータMG1,MG2の駆動とを伴って走行する走行モードである。EV走行モードは、エンジン22を運転停止すると共にモータMG2を駆動して走行する走行モードである。
【0027】
EV走行モードでは、基本的には、以下のように走行する。HVECU70は、まず、アクセル開度Accと車速Vとに基づいて走行に要求される要求トルクTd*を設定する。続いて、モータMG1のトルク指令Tm1*に値0を設定すると共に、モータMG2の許容駆動範囲内で要求トルクTd*が駆動輪39a,39bに出力されるようにモータMG2のトルク指令Tm2*を設定し、モータMG1,MG2をトルク指令Tm1*,Tm2*で効率よく駆動することができるように高電圧側電力ライン54aの電圧VHの目標値としての目標電圧VH*を設定する。そして、設定したモータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*や目標電圧VH*をモータECU40に送信する。モータECU40は、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42の複数のトランジスタをスイッチング制御すると共に高電圧側電力ライン54aの電圧VHが目標電圧VH*になるように昇降圧コンバータ55のトランジスタをスイッチング制御する。このEV走行中に要求トルクTd*が始動閾値Tst以上に至ると、エンジン22の始動条件が成立したと判断し、エンジン22を始動してHV走行に移行する。エンジン22の始動処理については、後述する。
【0028】
HV走行モードでは、HVECU70は、最初に、EV走行モードと同様に、要求トルクTd*および要求パワーPd*を設定する。続いて、要求パワーPd*からバッテリ50の蓄電割合SOCに基づく充放電要求パワーPb*(バッテリ50から放電するときが正の値)を減じて車両に要求される(エンジン22に要求される)要求パワーPe*を設定する。そして、要求パワーPe*がエンジン22から出力されると共にバッテリ50の入出力制限Win,Woutの範囲内で要求トルクTd*(要求パワーPd*)が駆動軸36に出力されるように、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定する。こうしてエンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*を設定すると、エンジン22の目標回転数Ne*や目標トルクTe*をエンジンECU24に送信すると共に、モータMG1,MG2のトルク指令Tm1*,Tm2*をモータECU40に送信する。エンジンECU24は、エンジン22の目標回転数Ne*および目標トルクTe*を受信すると、エンジン22が目標回転数Ne*および目標トルクTe*に基づいて運転されるようにエンジン22の運転制御(吸入空気量制御や燃料噴射制御、点火制御など)を行なう。モータECU40によるインバータ41,42の制御については上述した。このHV走行中に要求トルクTd*が始動閾値Tst以下の停止閾値Tsp未満に至ると、エンジン22の停止条件が成立したと判断し、エンジン22の運転を停止してEV走行に移行する。なお、エンジン22の始動と停止とが頻繁に行なわれるのを抑制するために、始動閾値Tstと停止閾値Tspとにヒステリシスを持たせるのが好ましい。
【0029】
エンジン22の始動処理では、エンジン22のクランキングの前後において現在の車速Vが変化しない(車速Vが一定である)と仮定して、エンジン22の回転数Neが値0から閾値Nstまで変化するときにモータMG1の回転数Nm1がとり得る範囲Rnmを設定する。そして、範囲Rnmと、エンジン22の始動時にエンジン22の回転数Neが共振帯域を速やかに超えるためにモータMG1へ要求されるトルクTcrmaxと、モータMG1をトルクTcrmaxかつ範囲Rnmの回転数で駆動するために必要な高電圧側電力ライン54aの電圧VH(実施例では、電圧V1、V2、V3(V1<V2<V3)の3段階で示される)と、の関係としての所定関係に基づいて、モータMG1をトルクTcrmaxかつ範囲Rnmの回転数で駆動するための高電圧側電力ライン54aの電圧VHを電圧V1、V2、V3から1つ選択して目標電圧VH*に設定し、設定した目標電圧VH*をモータECU40に送信する。所定関係では、範囲Rnmが広いときには狭いときに比して高電圧側電力ライン54aの電圧VHが大きくなり、トルクTcrmaxが大きいときには小さいときに比して高電圧側電力ライン54aの電圧VHが大きくなる。モータECU40は、高電圧側電力ライン54aの電圧VHが目標電圧VH*になるように昇降圧コンバータ55のトランジスタをスイッチング制御する。こうした制御により、エンジン22の始動時の昇降圧コンバータ55の過剰な昇圧を抑制している。
【0030】
そして、後述する方法でモータMG1でエンジン22をクランキングするためのクランキングトルクTcrを設定し、クランキングトルクTcrをトルク指令Tm*に設定すると共に、バッテリ50の出力制限Woutの範囲内で要求トルクTd*とキャンセルトルクTcnとの和のトルクがモータMG2から出力されるようにトルク指令Tm2*を設定する。そして、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*,Tm2*で駆動されるようにインバータ41,42の複数のトランジスタをスイッチング制御することにより、エンジン22をクランキングする。そして、エンジン22の回転数Neが閾値Nst以上に至ったときにエンジン22の燃料噴射制御や点火制御を開始することにより行なわれる。ここで、キャンセルトルクTcnは、モータMG1からのクランキングトルクTcrの出力によりプラネタリギヤ30を介して駆動軸36に作用するトルクをキャンセルするためのトルクである。さらに、閾値Nstとしては、800rpmや1000rpm、1200rpmなどが用いられる。
【0031】
次に、こうして構成された実施例のハイブリッド自動車20の動作、特に、エンジン22の始動時にクランキングトルクTcrを設定する際の動作について説明する。
図2は、HVECU70により実行されるクランキングトルク設定ルーチンの一例を示すフローチャートである。
【0032】
本ルーチンが実行されると、HVECU70のCPUは、バッテリ50の温度TbやモータMG1、MG2の回転数Nm1、Nm2、バッテリ50の出力制限Woutなど処理に必要なデータを入力する処理を実行する(ステップS100)。バッテリ50の温度Tbは、バッテリ50に取り付けられた温度センサ51cにより検出されたものをバッテリECU52を介した通信により入力している。モータMG1、MG2の回転数Nm1、Nm2は、回転位置検出センサ43,44からの回転位置θm1,θm2に基づいてモータECU40が演算したものをモータECU40を介した通信により入力している。バッテリ50の出力制限Woutは、バッテリ50の温度Tbと蓄電割合SOCとに基づいてバッテリECU52が演算したものをバッテリECU52を介した通信により入力している。
【0033】
こうしてバッテリ温度Tbを入力すると、バッテリ50の温度Tbが閾値Tref以下であるか否かを判定する(ステップS110)。閾値Trefは、バッテリ50の温度が低くバッテリ50の出力制限Woutが小さくなることによってモータMG1のトルクが制限され、モータMG1からエンジン22をクランキングするのに十分なトルクを出力できるか否かを判定するための閾値である。閾値Trefは、例えば、-10℃、-15℃、-20℃などに設定される。
【0034】
ステップS110でバッテリ50の温度Tbが閾値Trefを超えているときには、現在設定されているモータMG2のトルク指令Tm2*と回転数NmとモータMG2の損失Wloss2とを用いて、次式(1)により、モータMG2に入力されるパワーとしてのモータパワーWmg2を算出する(ステップS120)。ここでは、損失Wloss2を比較的大きな所定値(一定の値)(例えば、高電圧側電力ライン54aの電圧VHが値V3のときのモータMG2の損失)に設定する。損失Wloss2を所定値に設定するのは、バッテリ50の温度Tbが閾値Trefを超えているときには、出力制限Woutが大きいことから、モータMG2の損失を厳密に考慮せずに後述するパワー上限値Wmax1を設定しても、モータMG1のクランキングトルクTcrが大きく制限される可能生が低いことに基づく。
【0035】
Wmg2=Tm2*・Nm+Wloss2 ・・・(1)
【0036】
続いて、次式(2)によって、バッテリ50の出力制限WoutからモータパワーWmg2とモータMG1の損失Wloss1とを減じて、モータMG1から出力可能なパワーの上限値としてのパワー上限値Wmax1を設定する(ステップS130)。ここでは、損失Wloss1を比較的大きな所定値(一定の値)(例えば、高電圧側電力ライン54aの電圧VHが値V3のときのモータMG1の損失)に設定する。損失Wloss1
を所定値に設定するのは、バッテリ50の温度Tbが閾値Trefを超えているときには、出力制限Woutが大きいことから、モータMG1の損失を厳密に考慮せずにパワー上限値Wmax1を設定しても、モータMG1のクランキングトルクTcrが大きく制限される可能生が低いことに基づく。
【0037】
Wmax1=Wout-Wmg2-Wloss1 ・・・(2)
【0038】
こうしてパワー上限値Wmax1を設定すると、基本値Tcrbとパワー上限値Wmax1をモータMG1の回転数Nm1で除したトルク上限値Tmaxとのうち小さいほうの値をクランキングトルクTcrに設定して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。基本値Tcrbは、モータMG1でエンジン22をクランキングするときに出力するトルクの基本値として予め実験や解析などにより定めた値である。基本値Tcrbは、エンジン22の始動を開始してから時間t1を経過するまで、エンジン22の回転数Neが共振回転数帯を迅速に通過するように上昇するトルクに設定され、時間t1を経過したら、時間t1を経過する前に比してエンジン22の回転数Neが緩やかに上昇するトルクに設定される。
【0039】
こうしてクランキングトルクTcrを設定すると、クランキングトルクTcrをトルク指令Tm1*に設定する。そして、出力制限Woutの範囲内で要求トルクTd*とキャンセルトルクTcnとの和のトルクがモータMG2から出力されるようにトルク指令Tm2*を設定する。さらに、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*、Tm2*で駆動されるようにインバータ41、42の複数のトランジスタをスイッチング制御する。こうした制御により、パワー上限値Wmaxの範囲内の出力でモータMG1がエンジン22をクランキングするように、インバータ41を制御することになる。
【0040】
ステップS110でバッテリ50の温度Tbが閾値Tref以下のときには、バッテリ50の温度が低く出力制限Woutが小さいため、モータMG1、MG2の損失を厳密に考慮しないと、モータMG1からエンジン22をクランキングするのに十分なトルクを出力できなくなる可能性があると判断して、現在設定されているモータMG2のトルク指令Tm2*と回転数Nmと高電圧側電力ライン54aの目標電圧VH*に基づくモータMG2の損失Wloss2とを用いて、次式(3)により、モータMG2にモータパワーWmg2を算出する(ステップS140)。ここでは、損失Wloss2を、目標電圧VH*が低いときには高いときに比して小さくなるように、即ち、目標電圧VH*が低いほど小さくなるように設定する。これは、モータMG2の相電圧が低いほどモータMG2の損失が小さいことに基づく。
【0041】
Wmg2=Tm2*・Nm+Wloss2(VH*) ・・・(3)
【0042】
続いて、次式(4)によって、バッテリ50の出力制限WoutからモータパワーWmg2と目標電圧VH*に基づくモータMG1の損失Wloss1と減じて、モータMG1から出力可能なパワーの上限値としてのパワー上限値Wmax1を算出する(ステップS150)。ここでは、損失Wloss1を、目標電圧VH*が低いときには高いときに比して小さくなるように、即ち、目標電圧VH*が低いほど小さくなるように設定する。これは、モータMG1の相電圧が低いほどモータMG1の損失が小さいことに基づく。
【0043】
Wmax1=Wout-Wmg2-Wloss1(VH*) ・・・(4)
【0044】
こうしてパワー上限値Wmax1を設定すると、基本値Tcrbとトルク上限値Tmaxとのうち小さいほうの値をクランキングトルクTcrに設定して(ステップS160)、本ルーチンを終了する。こうしてクランキングトルクTcrを設定すると、クランキングトルクTcrをトルク指令Tm1*に設定する。そして、出力制限Woutの範囲内で要求トルクTd*とキャンセルトルクTcnとの和のトルクがモータMG2から出力されるようにトルク指令Tm2*を設定する。さらに、モータMG1,MG2がトルク指令Tm1*、Tm2*で駆動されるようにインバータ41、42の複数のトランジスタをスイッチング制御する。したがって、パワー上限値Wmaxの範囲内の出力でモータMG1がエンジン22をクランキングするように、インバータ41を制御することになる。
【0045】
図3は、バッテリ50の温度Tbが閾値Tref以下である場合において、モータMG1、MG2の損失Wloss1、Wloss2として目標電圧VH*を値V3としたときの損失を用いる比較例の高電圧側電力ライン54aの電圧VH、損失Wloss1、Wloss2、トルク指令Tm1*、トルク上限値Tmaxの時間変化の一例を示す説明図である。図中、実線は、目標電圧VH*が値V3であるときの電圧VHの時間変化の一例を示している。二点鎖線は、基本値Tcrbの時間変化の一例を示している。
【0046】
図4は、バッテリ50の温度Tbが閾値Tref以下である場合において、実施例の高電圧側電力ライン54aの電圧VH、損失Wloss1、Wloss2、トルク指令Tm1*、トルク上限値Tmaxの時間変化の一例を示す説明図である。図中、実線は、目標電圧VH*が値V3であるときの電圧VH、損失Wloss1、Wloss2、トルク指令Tm1*、トルク上限値Tmaxの時間変化の一例を示している。破線は、目標電圧VH*が値V2であるときの電圧VH、損失Wloss1、Wloss2、トルク指令Tm1*、トルク上限値Tmaxの時間変化の一例を示している。一点鎖線は、目標電圧VH*が値V1であるときの電圧VH、損失Wloss1、Wloss2、トルク指令Tm1*、トルク上限値Tmaxの時間変化の一例を示している。二点鎖線は、基本値Tcrbの時間変化の一例を示している。
【0047】
なお、
図3、
図4において、モータMG2のトルク指令Tm2*、回転数Nm2,バッテリ50の出力制限Woutは、時間に関わらず一定値としている。
【0048】
図3の比較例では、モータMG1、MG2の損失Wloss1、Wloss2を目標電圧VH*に関わらず一定値としていることから、トルク上限値Tmaxは、上述の式(1)、(2)を用いて算出するパワー上限値Wmax1を回転数Nm1で除した値となり、目標電圧VH*に対して変化しない値となる。しかし、モータMG1、MG2の実際の損失は、高電圧側電力ライン54aの電圧VHが低いときには高いときに比して小さくなる、即ち、高電圧側電力ライン54aの電圧VHが低くなるほど小さくなることから、比較例では、トルク上限値Tmaxが必要以上に小さく設定されることがある。そのため、クランキングトルクTcr、即ち、モータMG1のトルク指令Tm1*が必要以上に小さく設定され、モータMG1から出力するトルクが必要以上に制限されてしまう。バッテリ50の温度Tbが閾値Tref以下であるときには、外気温が低く、エンジン22のフリクションが大きいと考えられる。そのため、比較例では、エンジン22の回転数Neの上昇が遅くなり、エンジン22の始動性が低下することがある。
【0049】
図4の実施例では、モータMG1、MG2の損失Wloss1、Wloss2を目標電圧VH*が低いときには高いときに比して小さくすることにより、損失Wloss1、Wloss2と実際のモータMG1、MG2の損失との乖離を抑制でき、上述の式(3)、(4)を用いて算出するパワー上限値Wmax1を回転数Nm1で除したトルク上限値Tmaxが必要以上に小さく設定されることを抑制できる。これにより、モータMG1のトルク指令Tm1*が必要以上に小さく設定され、モータMG1から出力するトルクが必要以上に制限されることを抑制できる。したがって、エンジン22の始動性の低下を抑制できる。
【0050】
以上説明した実施例のハイブリッド自動車20によれば、エンジン22の始動時においてバッテリ50の温度Tbが閾値Tref以下のときには、バッテリ50の出力制限Woutから目標電圧VH*に基づくモータMG2の損失Wloss2を含むモータパワーWmg2と目標電圧VH*に基づくモータMG1の損失Wloss1とを減じたパワー上限値Wmaxの範囲内の出力でモータMG1がエンジン22をクランキングするように、インバータ41を制御することにより、モータMG1から出力するトルクが必要以上に制限されることを抑制できる。
【0051】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジン22の始動処理において、高電圧側電力ライン54aの電圧VHを電圧V1、V2、V3(V1<V2<V3)の3段階から選択するものとしている。しかし、高電圧側電力ライン54aの電圧VHを、4段階以上の電圧から選択してもよいし、2段階の電圧から選択してもよいし、連続して変化する電圧から選択してもよい。
【0052】
実施例のハイブリッド自動車20では、蓄電装置として、バッテリ50を用いるものとしたが、蓄電可能な装置であればよく、キャパシタなどを用いるものとしてもよい。
【0053】
実施例のハイブリッド自動車20では、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とを備えるものとしたが、これらのうちの少なくとも2つを単一の電子制御ユニットとして構成するものとしてもよい。
【0054】
実施例のハイブリッド自動車20では、駆動輪39a,39bに連結された駆動軸36にプラネタリギヤ30を介してエンジン22およびモータMG1を接続すると共に駆動軸36にモータMG2を接続している。しかし、エンジンに発電用モータを接続すると共に駆動輪に連結された駆動軸に走行用モータを接続するいわゆるシリーズハイブリッド自動車の構成としてもよい。
【0055】
実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施例では、エンジン22が「エンジン」に相当し、モータMG1が「第1モータ」に相当し、インバータ41が「第1インバータ」に相当し、モータMG2が「第2モータ」に相当し、インバータ42が「第2インバータ」に相当し、エンジンECU24とモータECU40とバッテリECU52とHVECU70とが「制御装置」に相当する。
【0056】
なお、実施例の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係は、実施例が課題を解決するための手段の欄に記載した発明を実施するための形態を具体的に説明するための一例であることから、課題を解決するための手段の欄に記載した発明の要素を限定するものではない。即ち、課題を解決するための手段の欄に記載した発明についての解釈はその欄の記載に基づいて行なわれるべきものであり、実施例は課題を解決するための手段の欄に記載した発明の具体的な一例に過ぎないものである。
【0057】
以上、本発明を実施するための形態について実施例を用いて説明したが、本発明はこうした実施例に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0058】
本発明は、ハイブリッド車両の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0059】
20 ハイブリッド自動車、22 エンジン、23 クランクポジションセンサ、24 エンジン用電子制御ユニット(エンジンECU)、26 クランクシャフト、28 ダンパ、30 プラネタリギヤ、36 駆動軸、38 デファレンシャルギヤ、39a,39b 駆動輪、40 モータ用電子制御ユニット(モータECU)、41,42 インバータ、43,44 回転位置検出センサ、45u,45v,46u,46v 電流センサ、50 バッテリ、51a,57a,58a 電圧センサ、51b 電流センサ、51c 温度センサ、52 バッテリ用電子制御ユニット(バッテリECU)、54a 高電圧側電力ライン、54b 低電圧側電力ライン、55 昇降圧コンバータ、56 システムメインリレー、57,58 コンデンサ、70 ハイブリッド用電子制御ユニット(HVECU)、80 イグニッションスイッチ、81 シフトレバー、82 シフトポジションセンサ、83 アクセルペダル、84 アクセルペダルポジションセンサ、85 ブレーキペダル、86 ブレーキペダルポジションセンサ、88 車速センサ、MG1,MG2 モータ。