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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】便座装置及び排泄物検知装置
(51)【国際特許分類】
   E03D 9/08 20060101AFI20241016BHJP
   G01N 33/483 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
E03D9/08 Z
G01N33/483 C
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021024350
(22)【出願日】2021-02-18
(62)【分割の表示】P 2020120710の分割
【原出願日】2020-07-14
(65)【公開番号】P2021101088
(43)【公開日】2021-07-08
【審査請求日】2023-07-05
(31)【優先権主張番号】P 2019159040
(32)【優先日】2019-08-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永石 昌之
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】木塚 里子
(72)【発明者】
【氏名】大井 亮
(72)【発明者】
【氏名】高木 健
(72)【発明者】
【氏名】竹内 直哉
(72)【発明者】
【氏名】樋口 仁郎
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 正道
【審査官】油原 博
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146244(JP,A)
【文献】特開2016-004005(JP,A)
【文献】特開2018-143269(JP,A)
【文献】特開2008-248669(JP,A)
【文献】特開2005-106514(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E03D 9/08
G01N 33/483
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
排泄物を受けるボウル部が形成された便器の上部に載置される便座装置であって、
使用者が着座する便座と、
光を照射する発光素子が設けられた発光部と、
光を受光する受光素子が設けられた受光部と、
前記発光素子への通電、及び前記受光素子に対する電圧の印加を制御する制御部と、
を有し、
前記発光部は、前記使用者によって排泄される大便に対して光を照射し、
前記受光部は、前記発光部により照射された光に対する前記大便からの反射光を受光し、
前記制御部は、
前記受光素子に対して、電子シャッタを開く制御指示を送り、前記発光素子に通電することで、大便からの反射光を受光可能とする受光制御を行い、
一の受光制御の実行開始後、前記一の受光制御の次の受光制御を実行するまでの間隔を0.2ミリ秒以上600ミリ秒以下に制御する
ことを特徴とする便座装置。
【請求項2】
前記使用者が、前記便座に着座したことを検知する着座センサをさらに備え、
前記制御部は、前記着座センサの検知に基いて、前記使用者が着座している間のみ、前記受光制御を行う
ことを特徴とする請求項1に記載の便座装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を300ミリ秒以下に制御する
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の便座装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を100ミリ秒以下に制御する
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を50ミリ秒以下に制御する
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を10ミリ秒以下に制御する
ことを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項7】
前記発光部は、光を照射する発光素子を複数備え、
複数の前記発光素子は、
それぞれ異なる波長の光を照射可能であり、
前記制御部は、
前記一の受光制御において、複数の前記発光素子のうち、一の発光素子のみに通電し、前記一の受光制御が終了する度に、前記次の受光制御で通電する発光素子を変更し、
前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまでの間隔を1.6ミリ秒以下に制御する
ことを特徴とする請求項1~6のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記受光制御において、前記発光素子に対する通電時間を、前記発光素子が照射する波長ごとに異ならせる
ことを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の便座装置。
【請求項9】
排泄物を受けるボウル部が形成された便器に配設される排泄物検知装置であって、
光を照射する発光素子が設けられた発光部と、
光を受光する受光素子が設けられた受光部と、
前記発光素子への通電、及び前記受光素子に対する電圧の印加を制御する制御部と、
を有し、
前記制御部は、
前記受光素子に対して、電子シャッタを開く制御指示を送り、前記発光素子に通電することで、大便からの反射光を受光可能とする受光制御を行い、
前記発光部は、使用者によって排泄される大便に対して光を照射し、
前記受光部は、前記発光部により照射された光に対する前記大便からの反射光を受光し、
一の受光制御の実行開始後、前記一の受光制御の次の受光制御を実行するまでの間隔を0.2ミリ秒以上600ミリ秒以下に制御する
ことを特徴とする排泄物検知装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、便座装置及び排泄物検知装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、便器内に排泄された大便(以下、排泄物ともいう)を検知可能なセンサを備えた便座装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上述の従来技術における便座装置に用いられるセンサは、大便に対して光を照射可能な発光部と、大便からの反射光を受光可能な受光部とを有しており、大便に基づく使用者の健康状態に関する生体情報を取得可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第5861977号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の従来技術のように、落下中の大便を検知するためには、落下中の大便に対して光を照射する必要がある。しかしながら、大便の落下タイミングは予測困難である。このとき、大便の落下を見逃さないためには、受光部に設けられた受光素子が光に晒される時間(シャッター速度)を短くする必要がある。このとき、シャッタ速度を速くし過ぎると、受光素子が受光する光量が不足することにより、大便の情報を正確に取得することが出来なくなるおそれがあるという課題が生じた。
【0006】
開示の実施形態は、検知における光量不足に陥ることを抑制する便座装置及び排泄物検知装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の一態様に係る便座装置は、排泄物を受けるボウル部が形成された便器の上部に載置される便座装置であって、使用者が着座する便座と、光を照射する発光素子が設けられた発光部と、光を受光する受光素子が設けられた受光部と、前記発光素子への通電、及び前記受光素子に対する電圧の印加を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記受光素子に対して、電子シャッタを開く制御指示を送り、前記発光素子に通電することで、大便からの反射光を受光可能とする受光制御を行い、一の受光制御の実行開始後、前記一の受光制御の次の受光制御を実行するまでの間隔を0.2ミリ秒以上に制御することを特徴とする。
【0008】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、受光素子に対する電圧の印加により、受光素子が光に晒される時間を調節する電子シャッタ機能を制御可能な制御部が設けられた便座装置において、電子シャッタが開いている間に発光素子に通電することで、大便からの反射光を受光可能な受光制御を一度実行してから、再び実行するまでの間隔を0.2ミリ秒以上、すなわち受光制御を5000回/秒以下の速度で実行するようにしたことによって、大便の落下を見逃すことなく、且つ受光素子が受光する光量が不足するおそれを抑制することが可能となる。
【0009】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記発光部は、前記使用者によって排泄される大便に対して光を照射し、前記受光部は、前記発光部により照射された光に対する前記大便からの反射光を受光する。
【0010】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、便器の上部への載置時において、使用者によって排泄される大便に対して光を照射し、照射された光に対する大便からの反射光を受光することで、便器内に排泄される大便の情報を取得することが可能となる。
【0011】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記制御部は、前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を600ミリ秒以下に制御する。
【0012】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、一の受光制御の実行開始後、次の受光制御を実行するまで間隔(以下「受光制御の間隔」ともいう)が600ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に1種類の光が2回スキャン(照射)されるので、便の存在の有無がわかる。
【0013】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記制御部は、前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を300ミリ秒以下に制御する。
【0014】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、受光制御の間隔が300ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に1種類の光が4回スキャン(照射)されるので、受光制御の間隔が600ミリ秒の場合よりも精度よく便の存在の有無がわかる。また、受光制御の間隔が300ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に2種類の光が2回スキャン(照射)されるので、便の代表色を推定することができる。
【0015】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記制御部は、前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を100ミリ秒以下に制御する。
【0016】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、受光制御の間隔が100ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に1種類の光が12回スキャン(照射)されるので、便の輪郭がわかる。このように、受光制御の間隔が100ミリ秒の場合、便の輪郭がわかることから、便に含まれる水分が多くて形状が崩れているのか、水分が少なくて形状が保っていられるかがわかる。
【0017】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記制御部は、前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を50ミリ秒以下に制御する。
【0018】
実施形態の一態様に係る便座装置によれば、受光制御の間隔が50ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に1種類の光が25回スキャン(照射)されるので、便に含まれる水分量が少なくなることで便表面に現れるひび割れの模様がわかり、便の水分量に応じた便の性状を推定することができる。また、受光制御の間隔が50ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に2種類の光が各12回スキャン(照射)されるので、便の色の分布がわかる。
【0019】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記制御部は、前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまで間隔を10ミリ秒以下に制御する。
【0020】
受光素子が光に晒される時間が長くなると、大便に反射した光だけでなく、便器内で反射した光や、着座している使用者の足の間から入射してくるトイレ空間内に配設された照明の光に対する受光量が増えることにより、大便に反射した光に基づくデータが埋もれてしまうおそれがある。実施形態の一態様に係る便座装置によれば、受光制御を一度実行してから、再び実行するまでの間隔を10ミリ秒以下、すなわち受光制御を100回/秒以上の速度で実行するようにしたことによって、制御の速度が遅いことにより適切に検知ができなくなることを抑制するとともに、便器内で反射した光や、トイレ空間内に配設された照明の光に対する受光量が増えることにより、大便に反射した光に基づくデータが埋もれてしまうおそれを抑制することが可能となる。
【0021】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記発光部は、光を照射する発光素子を複数備え、複数の前記発光素子は、それぞれ異なる波長の光を照射可能であり、前記制御部は、前記一の受光制御において、複数の前記発光素子のうち、一の発光素子のみに通電し、前記一の受光制御が終了する度に、前記次の受光制御で通電する発光素子を変更し、前記一の受光制御の実行開始後、前記次の受光制御を実行するまでの間隔を1.6ミリ秒以下に制御する。
【0022】
大便の色を検知するためには、可視光域の波長を全て含む白色光を大便に対して照射し、大便からの反射光を受光部側で分光する方法(第1の方法)と、複数の異なる波長の光を大便に対して順次照射する方法(第2の方法)がある。このとき、より低コストで実現可能な第2の方法で、大便の色を検知しようとすると、大便の同一箇所に対して複数の異なる波長の光を照射する必要がある。このとき、1つの波長当たりの受光素子が光に晒される時間が長いと、複数の異なる波長の光を大便の同一箇所に対して照射することが出来ないという課題が生じた。実施形態の一態様に係る便座装置によれば、受光制御が終了する度に、次に通電する発電素子を変更することで、複数の異なる波長の光を順次照射する。そして、受光制御を一度実行してから、再び実行するまでの間隔を1.6ミリ秒以下、すなわち受光制御を625回/秒以上の速度で実行するようにしたことによって、大便の同一箇所に対して複数の異なる波長の光を照射することが可能となる。
【0023】
実施形態の一態様に係る便座装置において、前記制御部は、前記受光制御において、前記発光素子に対する通電時間を、前記発光素子が照射する波長ごとに異ならせる。
【0024】
大便の色を正確に検知するためには、複数の波長の光に対して、受光素子が受光する光量をそれぞれ均一化することが好ましい。このとき、各波長を照射可能な発光素子は、それぞれ異なる光量を有するという課題がある。例えば、青色に近い波長を照射する発光素子は光量が大きく、緑色に近い波長を照射する発光素子は光量が小さい傾向がある。そのため、全ての発光素子の通電時間を均一にすることは、大便の色を正確に検知する上で好ましくない。実施形態の一態様に係る便座装置によれば、発光素子に対する通電時間を、その発光素子が照射する波長ごとに異ならせているため、より正確に大便の色を検知することが可能となる。
【0025】
実施形態の一態様に係る排泄物検知装置は、排泄物を受けるボウル部が形成された便器に配設される排泄物検知装置であって、光を照射する発光素子が設けられた発光部と、光を受光する受光素子が設けられた受光部と、前記発光素子への通電、及び前記受光素子に対する電圧の印加を制御する制御部と、を有し、前記制御部は、前記受光素子に対して、電子シャッタを開く制御指示を送り、前記発光素子に通電することで、大便からの反射光を受光可能とする受光制御を行い、一の受光制御の実行開始後、前記一の受光制御の次の受光制御を実行するまでの間隔を0.2ミリ秒以上に制御することを特徴とする。
【0026】
実施形態の一態様に係る排泄物検知装置によれば、受光素子に対する電圧の印加により、受光素子が光に晒される時間を調節する電子シャッタ機能を制御可能な制御部が設けられた便座装置において、電子シャッタが開いている間に発光素子に通電することで、大便からの反射光を受光可能な受光制御を一度実行してから、再び実行するまでの間隔を0.2ミリ秒以上、すなわち受光制御を5000回/秒以下の速度で実行するようにしたことによって、大便の落下を見逃すことなく、且つ受光素子が受光する光量が不足するおそれを抑制することが可能となる。
【発明の効果】
【0027】
実施形態の一態様によれば、検知における光量不足に陥ることを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1図1は、第1の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
図2図2は、第1の実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。
図3図3は、第1の実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。
図4図4は、第1の実施形態に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5図5は、蓋部の開閉動作の一例を示す図である。
図6図6は、窓部を有する光学ユニットの一例を示す図である。
図7図7は、第2の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す側面図である。
図8図8は、第2の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
図9図9は、第3の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
図10図10は、第3の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
図11図11は、第3の実施形態に係るトイレシステムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図12図12は、発光部及び受光部の構成の一例を示す図である。
図13図13は、発光部及び受光部の構成の一例を示す側面図である。
図14図14は、発光部及び受光部の構成の他の一例を示す図である。
図15図15は、発光部及び受光部の構成の他の一例を示す側面図である。
図16図16は、発光部及びシリンドリカルレンズを用いた受光部の構成の一例を示す図である。
図17図17は、発光部及びシリンドリカルレンズを用いた受光部の構成の一例を示す側面図である。
図18図18は、排泄情報収集の処理に関連するトイレシステムの機能構成の一例を示すブロック図である。
図19図19は、排泄情報収集の処理の制御フローを示す概念図である。
図20図20は、待機モードにおける処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図21図21は、待機モードにおけるタイムチャートの一例を示す図である。
図22図22は、測定モードにおける処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図23図23は、測定モードにおけるタイムチャートの一例を示す図である。
図24図24は、排泄情報収集の処理におけるデータの一例を示す図である。
図25図25は、排泄物の形状のデータ分析の一例を示す図である。
図26図26は、排泄物の色のデータ分析の一例を示す図である。
図27図27は、排泄物と血との関係の一例を示す図である。
図28図28は、排泄物の色のデータ分析の一例を示す図である。
図29図29は、排泄物の色のデータ分析の一例を示す図である。
図30図30は、大便の仮想落下位置の一例を示す図である。
図31図31は、光量とサンプリングレートの関係を示す図である。
図32図32は、受光制御の間隔ごとの便の画像を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する便座装置及び排泄物検知装置の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、トイレルームの使用者による排泄物の情報収集(以下「排泄情報収集」ともいう)に関する処理やその処理を行うための構成について説明するが、最初に前提となるトイレシステムなどの各種構成を説明する。
【0030】
<1.トイレシステムの構成>
まず、第1の実施形態に係るトイレシステムの構成について図1を参照して説明する。図1は、第1の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。
【0031】
図1に示すように、トイレシステム1は、便座装置2と、操作装置10とを備える。図1に示すように、トイレルームRには、床面Fに、洋式大便器(以下「便器」と記載する)7が設置される。なお、以下では、床面FからトイレルームRの空間内に臨む向きを上と記載する。便座装置2は、便器7の上部に設けられる。
【0032】
便器7は、例えば、陶器製である。便器7には、ボウル部8が形成される。ボウル部8は、下方に凹んだ形状であり、使用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器7は、図示のような床置き式に限らず、トイレシステム1を適用可能であれば、どのような形式でもよく、壁掛け式等のような形式であってもよい。便器7には、ボウル部8が臨む開口の端部の全周にわたってリム部9が設けられる。トイレルームRには、例えば、便器7付近に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。
【0033】
例えば、トイレルームRに設けられた洗浄用の洗浄操作部(図示省略)が使用者により操作されると、便器7のボウル部8への洗浄水の供給による便器洗浄が実施される。洗浄操作部は操作レバーや、操作装置10に表示された便器洗浄オブジェクトに対するタッチ操作であってもよい。なお、洗浄操作部は、操作レバーなどのような使用者の手動によって便器洗浄を実施させるものに限らず、着座センサのような使用者を検知するセンサの人体検知によって便器洗浄を実施させるものでもよい。
【0034】
便座装置2は、便器7の上部に取り付けられ、本体部3と、便蓋4と、便座5と、洗浄ノズル6とを備える。便座装置2は、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器7の上部に載置される。便座装置2は、洗浄ノズル6が洗浄水を噴射する前にボウル部8に進出するように便器7の上部に載置される。なお、便座装置2は、便器7に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器7と一体化するように取り付けられてもよい。
【0035】
図1に示すように、便座5は、中央に開口50を有する環状に形成され、リム部9に沿って、便器7の開口に重なる位置に配置される。便座5は、使用者が着座する。便座5は、着座した使用者の臀部を支持する着座部として機能する。また、図1に示すように、便蓋4及び便座5は、それぞれの一端部が本体部3に軸支され、本体部3の軸支部分を中心として回動可能(開閉可能)に取り付けられる。なお、便蓋4は、便座装置2に必要に応じて取り付けられ、便座装置2は、便蓋4を有しなくてもよい。
【0036】
洗浄ノズル6は、洗浄用の水を吐水するためのノズルである。洗浄ノズル6は、洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、使用者に向けて洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、局部洗浄用のノズルである。洗浄ノズル6は、電動モータなどの駆動源(図4中のノズルモータ61等)の駆動により、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進退可能に構成される。また、洗浄ノズル6は、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、洗浄ノズル6は、図1に示すように、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進出した位置(以下「進出位置」ともいう)にあるときに、水源からの水を使用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
【0037】
図1では、洗浄ノズル6が進出位置にある状態を示す。なお、洗浄ノズル6は、便器7(ボウル部8等)内の洗浄用にも共用されてもよい。洗浄ノズル6は、使用者の局部を洗浄する局部洗浄モードと、便器7内に水を撒く便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。例えば、洗浄ノズル6は、便座装置2の制御装置34(図4参照)による制御に応じて、局部洗浄モードと便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。
【0038】
操作装置10は、トイレルームR内に設けられる。操作装置10は、使用者が操作可能な位置に設けられる。操作装置10は、使用者が便座5に着座時において、操作可能な位置に設けられる。図1に示す例において、操作装置10は、便座5に着座した使用者から見て右側方の壁面Wに配置される。なお、操作装置10は、便座5に着座した使用者が利用可能であれば、壁面に限らず、種々の態様により配置されてもよい。例えば、操作装置10は、便座装置2と一体に設けられてもよい。
【0039】
操作装置10は、便座装置2と所定のネットワーク(例えば、図11中のネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。例えば、便座装置2と操作装置10とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0040】
操作装置10は、例えばタッチパネル機能により表示面(例えば表示画面11)を介して使用者からの各種操作を受け付ける。また、操作装置10は、スイッチやボタンを備え、スイッチやボタン等により各種操作を受け付けてもよい。表示画面11は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、操作装置10は、表示画面11により使用者の入力を受け付け、使用者への出力も行う。表示画面11は、各種情報を表示する表示装置である。
【0041】
操作装置10は、便座装置2により実行中の制御を止めるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄の実行を開始するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、使用者による洗浄ノズル6への指示を受け付ける。操作装置10は、便座装置2に所定の音を出力させるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2の洗浄ノズル6(図1参照)を除菌水で殺菌する殺菌処理を行うためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄時の吐水の勢いを調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2が出力する音の音量を調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、トイレの利用に関する情報を操作装置10に表示したり音声出力したりする際の言語を選択するためのユーザの操作を受け付ける。
【0042】
例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるオブジェクトを表示画面11に表示し、表示したオブジェクトに対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるスイッチやボタン等を有し、スイッチやボタン等に対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。なお、上記は一例であり、操作装置10は、各種処理を実行するユーザによる操作を受け付けてもよい。
【0043】
トイレシステム1は、後述する各種の構成や処理により、使用者の排泄物(大便)の形状や大きさや質や色等の各種の性状を検知する。トイレシステム1は、光学的な方式により使用者の排便を検知する。すなわち、トイレシステム1は、光学的手段で排泄物(大便)の情報を検知可能なトイレシステムである。例えば、トイレシステム1は、使用者の便座5への着座後の個人認証や操作装置10への操作により、後述する待機モードになり、使用者の排泄により自動的に測定モードになる。トイレシステム1は、測定した結果を基に、使用者のスマートフォン等の端末装置に情報提供を行ってもよい。
【0044】
<2.便座装置の構成>
次に、便座装置2の構成について図2及び図3を参照して説明する。図2及び図3は、第1の実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図2は、光学ユニット100の蓋部110が閉じた状態(以下「閉鎖状態」ともいう)である場合を示す図である。また、図3は、光学ユニット100の蓋部110を除いた状態を示す図である。
【0045】
図2に示すように、蓋部110の閉鎖状態においては、光学ユニット100の蓋部110以外の構成(図3図5中の発光部120や受光部130等)は、蓋部110の裏に隠されている。なお、ここでいう閉鎖状態とは、蓋部110により受光部130に水がかからない状態を示す言葉であり、受光部130に水がかからない箇所を開放した構成も含まれる。蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130の前方に蓋部110が位置する。このように、蓋部110は、閉鎖状態において受光部110の前方に位置する。すなわち、蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130から便器7内へ臨む方向には、蓋部110が位置する。これにより、蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130は、本体カバー30及び蓋部110に覆われる。このように、筐体である本体カバー30には、発光部120および受光部130が配置される。なお、図2の例では、蓋部110が本体カバー30と同様に透過性がない(低い)材料により形成される場合を示すが、蓋部110は本体カバー30とは異なる材料により形成されてもよい。例えば、蓋部110(の一部)は透過性材料により形成されてもよいが、この点についての詳細は後述する。
【0046】
また、図2では、洗浄ノズル6(図1参照)が本体カバー30内に収納される位置(以下「収納位置」ともいう)にある状態を示す。図2に示すように、洗浄ノズル6が収納位置にある場合、ノズル用蓋60は閉じられており、洗浄ノズル6は、ノズル用蓋60の裏に隠されている。洗浄ノズル6による洗浄が行われる場合、ノズル用蓋60が開放するとともに、本体カバー30の開口31b(図5参照)から洗浄ノズル6が突出し、洗浄ノズル6は、進出状態に移行する。
【0047】
図3に示すように、蓋部110が除かれた場合、光学ユニット100の発光部120や受光部130は、本体カバー30の開口31から露出する。例えば、蓋部110が開いた状態(以下「開放状態」ともいう)においては、図3に示すように、発光部120や受光部130の前方に蓋部110が位置しない状態となる。これにより、蓋部110の開放状態においては、発光部120や受光部130が露出する。そして、蓋部110の開放状態において、発光部120は、便器7内の排泄物に向けて光を照射可能となり、受光部130は、便器7内の排泄物からの反射光を受光可能となる。上記のように、蓋部110は、閉鎖状態において受光部110の前方に位置することにより、受光部110の前方を覆い、開放状態において受光部110の前方に位置しないことにより、受光部110の前方を開放する。蓋部110は、受光部110の前方を覆う位置と、受光部110の前方を開放する位置との間で受光部110に対して開閉自在である。なお、蓋部110の開放状態についての詳細は後述する。
【0048】
図2に及び図3に示すように、便座装置2は、洗浄ノズル6に隣接する位置に光学ユニット100を配置した構成である。なお、光学ユニット100は、洗浄ノズル6に隣接する位置に限らず、種々の位置に配置されてもよいがこの点については後述する。
【0049】
<3.便座装置の機能構成>
次に、便座装置2の機能構成について図4を参照して説明する。図4は、第1の実施形態に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。図4に示すように、便座装置2は、人体検知センサ32と、着座検知センサ33と、制御装置34と、電磁弁71と、ノズルモータ61と、洗浄ノズル6と、光学ユニット100とを備える。なお、図4では、図1で説明した便座装置2の構成の一部(本体部3や便座5や便器7等)についての図示を省略する。
【0050】
例えば、人体検知センサ32や着座検知センサ33や制御装置34は便座装置2の本体部3に設けられる。なお、図示を省略するが、便座装置2は、操作装置10と通信する通信装置(例えば、図11中の通信装置35等)を有する。例えば、通信装置は、通信回路等によって実現される。そして、通信装置は、所定のネットワーク(例えば、図11中のネットワークN)と有線または無線で接続され、操作装置10等の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。また、本体部3には、制御装置34外に記憶部(図18中の第2のメモリ20等)を有してもよい。この場合、便座装置2は、制御装置34から第2のメモリ20にデータを送信し、データを第2のメモリ20に格納してもよいが、この点の詳細は後述する。
【0051】
人体検知センサ32は、人体を検知する機能を有する。例えば、人体検知センサ32は、赤外線信号を用いた焦電センサ等により実現される。例えば、人体検知センサ32は、μ(マイクロ)波センサ等により実現されてもよい。なお、上記は一例であり、人体検知センサ32は、上記に限らず、種々の手段により人体を検知してもよい。例えば、人体検知センサ32は、トイレルームR(図1参照)内に入室した人(使用者など)を検知する。人体検知センサ32は、検知信号を制御装置34へ出力する。
【0052】
着座検知センサ33は、便座装置2への人の着座を検知する機能を有する。着座検知センサ33は、使用者が便座5に着座したことを検知する。着座検知センサ33は、便座5に対する使用者による着座を検知可能である。着座検知センサ33は、使用者による便座5からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。着座検知センサ33は、便座5に対する使用者の着座状態を検知する。
【0053】
例えば、着座検知センサ33は、荷重センサにより使用者が便座5に着座したことを検知する。例えば、着座検知センサ33は、赤外線投受光式の測距センサであり、人(使用者)が便座5に着座する直前において便座5の付近に存在する人体や、便座5に着座した使用者を検知してもよい。なお、上記は一例であり、着座検知センサ33は、上記に限らず、種々の手段により便座装置2への人の着座を検知してもよい。着座検知センサ33は、着座検知信号を制御装置34へ出力する。
【0054】
制御装置34は、各種構成や処理を制御する制御部として機能する。制御装置34は、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100を制御する。制御装置34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100を制御する。制御装置34は、操作装置10から送信された局部洗浄に関する制御指示の信号に基づいて、ノズルモータ61を制御する。制御装置34は、洗浄ノズル6を進退させるためにノズルモータ61を制御する。制御装置34は、電磁弁71の開閉を制御する。制御装置34は、蓋部110を開閉させるために光学ユニット100を制御する。制御装置34は、蓋部110を開放状態にするための制御情報を光学ユニット100に送信する。制御装置34は、蓋部110を閉鎖状態にするための制御情報を光学ユニット100に送信する。制御装置34は、発光部120の点灯や消灯を制御するための制御情報を光学ユニット100に送信する。制御装置34は、使用者の着座前や十分なデータが取れた場合等、受光部130による受光が必要ないタイミングでは蓋部110を閉鎖状態に制御する。
【0055】
制御装置34は、受光部130の電子シャッタの機能を制御するための制御情報を光学ユニット100に送信する。なお、受光部130の電子シャッタは、いわゆるレンズシャッタのような機械的なシャッタとは異なり、受光素子132(撮像素子)を電子的に制御して露光を読み出すシャッタ方式である。すなわち、受光部130の電子シャッタは、いわゆる電子式シャッタや電子制御式シャッタである。制御装置34は、有線により、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100に制御情報を送信する。なお、制御装置34は、無線により、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100に制御情報を送信してもよい。
【0056】
制御装置34は、蓋部110の開閉動作を制御する。制御装置34は、着座検知センサ33により検知された使用者の着座の後に蓋部110を開放し、着座検知センサ33により使用者の離座が検知されるよりも前に蓋部110を閉鎖する。制御装置34は、受光部130が排泄物からの反射光を受光したことに基づいて、蓋部110を閉鎖する。
【0057】
制御装置34は、操作装置10に対する使用者による洗浄ノズル6を動作させるための指示に連動して蓋部110を閉鎖する。制御装置34は、ボウル部8に進出した洗浄ノズル6からの反射光を受光部130が受光したことに基づいて、蓋部110を閉鎖する。
【0058】
制御装置34は、蓋部110を開放する制御時において、発光部120によって照射される光の中心軸と蓋部110とが重ならないように、蓋部110を開放する。制御装置34は、蓋部110の開放状態において、発光部120が照射する光の中心軸に交わらない位置に蓋部110を制御する。制御装置34は、蓋部110の開放状態において、発光部120が照射する光の半値角の領域外に蓋部110を制御する。制御装置34は、同一波長の光を一斉に照射するように発光部120を制御する。例えば、制御装置34は、蓋部110が完全に開放した状態(全開状態)よりも閉鎖位置に近い位置を開放状態として、蓋部110を開放する。例えば、制御装置34は、蓋部110が各発光素子121の半値角の領域外に位置し、全開状態の位置よりも前の位置を開放状態として、蓋部110を開放する。
【0059】
制御装置34は、洗浄ノズル6の動作に連動して蓋部110を閉鎖する。制御装置34は、洗浄ノズル6を制御する操作装置10に対する使用者の操作を起点に蓋部110を制御する。制御装置34は、洗浄ノズル6の動作(ボウル部へのノズルの進出)を検知し、蓋部110を制御する。
【0060】
制御装置34は、便器7への載置時において蓋部110を上方向に開放するように制御する。制御装置34は、洗浄ノズル6の動作時に蓋部110を閉鎖状態にするように制御する。制御装置34は、便器7に配設された洗浄ノズル6の動作時に、蓋部110を閉鎖状態にするように制御する。
【0061】
制御装置34は、着座検知センサ33によって使用者による便座5への着座が検知されている期間において、可視光域の波長を有する光を照射する測定モードと、不可視光域の波長を有する光、又は測定モードで照射した光の波長よりも不可視光域に近い波長を有する光を照射する測定待機モード(待機モード)とを有する。この場合、制御装置34は、測定モードと、待機モードとを切り替えることにより、動作のモード切替えを行う。制御装置34は、受光部130が大便からの反射光を受光するまでの間、待機モードを実行し、受光部130が大便からの反射光を受光したことに基づいて、測定モードを実行する。
【0062】
制御装置34は、発光部120による光の照射を制御する。制御装置34は、発光素子121への通電、及び受光素子132に対する電圧の印加を制御する。制御装置34は、受光素子132に対して、電子シャッタを開く制御指示を送り、発光素子121に通電することで、大便からの反射光を受光可能とする受光制御を行う。
【0063】
制御装置34は、一の受光制御の実行開始後、一の受光制御の次の受光制御を実行するまでの間隔を0.2ミリ秒以上に制御する。制御装置34は、一の受光制御の実行開始後、次の受光制御を実行するまで間隔を10ミリ秒以下に制御する。制御装置34は、一の受光制御において、複数の発光素子121のうち、一の発光素子121のみに通電し、一の受光制御が終了する度に、次の受光制御で通電する発光素子121を変更し、一の受光制御の実行開始後、次の受光制御を実行するまでの間隔を1.6ミリ秒以下に制御する。制御装置34は、受光制御において、発光素子121に対する通電時間を、発光素子121が照射する波長ごとに異ならせる。
【0064】
また、制御装置34は、図1に示すような便蓋4や便座5を制御する。制御装置34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、便蓋4や便座5を制御する。制御装置34は、操作装置10から送信された便蓋開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便蓋4を制御する。制御装置34は、操作装置10から送信された着座部開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便座5を制御する。制御装置34は、有線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信する。なお、制御装置34は、無線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信してもよい。
【0065】
制御装置34は、人体検知センサ32による使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御装置34は、人体検知センサ32によるトイレルームRへの使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御装置34は、着座検知センサ33による使用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御装置34は、着座検知センサ33による便座5への使用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御装置34は、上述した制御に関する演算を実行する演算処理装置342(図18参照)や記憶部等の各種の構成を有する。例えば、演算処理装置342は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等の種々の手段により実現される。なお、制御装置34の構成についての詳細は後述する。
【0066】
電磁弁71は、流体の流れを電磁的方法により制御する弁(バルブ)の機能を有する。電磁弁71は、例えば給水管からの水道水の供給および停止を切り替える。電磁弁71は、制御装置34からの指示に応じて開閉の制御を実行する。
【0067】
ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を進退駆動する駆動源(モータ)である。ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を本体部3の本体カバー30に対して進退させる制御を実行する。ノズルモータ61は、制御装置34からの指示に応じて洗浄ノズル6を進退させる制御を実行する。
【0068】
光学ユニット100は、蓋部110と、アクチュエータ111と、発光部120と、受光部130とを備える。光学ユニット100は、排泄物検知装置(排泄物測定装置)として機能する。なお、排泄物検知装置として機能する光学ユニットは、便座装置とは別体であってもよいがこの点については後述する。
【0069】
蓋部110は、発光部120や受光部130の前方に位置することが可能であり、蓋として機能する。蓋部110は、発光部120の発光面が臨む側(前方)に位置することが可能である。蓋部110は、受光部130の受光面が臨む側(前方)に位置することが可能である。蓋部110は、光学ユニット100が視認される可能性を低減し、使用者のプライバシに配慮した構成とするために、透明ではない素材で形成されることが好ましい。例えば、蓋部110は、着色により透明ではない状態に形成されてもよい。蓋部110は、透明ではない材料(塗料)が表面に塗布されてもよい。なお、蓋部110は、透明ではない構成に限らず、透明であってよい。蓋部110は、受光部130の前方に設けられ、開閉自在である。蓋部110は、アクチュエータ111により開放状態と閉鎖状態とに遷移可能であり、発光部120や受光部130の前方に位置したり、発光部120や受光部130を露出させたりする。蓋部110は、使用者の着座前や十分なデータが取れた場合等、受光部130による受光が必要ないタイミングでは閉鎖状態になっている。これにより、蓋部110は、汚れにより、受光部130による検知精度の低下を抑制することができる。
【0070】
蓋部110は、開放状態において、発光部120が照射する光の中心軸に交わらない。蓋部110は、開放状態において、発光部120が照射する光の半値角の領域外に位置する。蓋部110は、便器7への載置時において上方向に開放する。蓋部110は、洗浄ノズル6の動作時に閉鎖状態である。蓋部110は、便器7に配設された洗浄ノズル6の動作時に、閉鎖状態である。
【0071】
アクチュエータ111は、蓋部110を開放状態や閉鎖状態にする駆動源(モータ)である。アクチュエータ111は、制御装置34からの指示に応じて蓋部110を開放状態にしたり、閉鎖状態にしたりする制御を実行する。アクチュエータ111は、使用者の着座前や十分なデータが取れた場合等、受光部130による受光が必要ないタイミングでは蓋部110を閉鎖状態にする。
【0072】
アクチュエータ111は、蓋部110の開放状態において、発光部120が照射する光の中心軸に交わらない位置に蓋部110を位置固定する。アクチュエータ111は、蓋部110の開放状態において、発光部120が照射する光の半値角の領域外に蓋部110を位置固定する。アクチュエータ111は、便器7への載置時において蓋部110を上方向に開放する。アクチュエータ111は、洗浄ノズル6の動作時に蓋部110を閉鎖状態にする。アクチュエータ111は、便器7に配設された洗浄ノズル6の動作時に、蓋部110を閉鎖状態にする。
【0073】
発光部120は、光を照射する。発光部120は、光を照射する発光素子121(図5参照)を有する。発光部120は、使用者によって排泄される排泄物に対して光を照射する。発光部120は、使用者によって排泄される大便に対して光を照射する。発光部120は、落下中の大便に対して光を照射する。
【0074】
発光部120は、光を照射する発光素子121が設けられる。発光部120は、前方に光を照射する発光素子121が設けられる。発光部120は、使用者によって排泄される排泄物に向けて前方に光を照射する発光素子121が設けられる。
【0075】
発光部120は、前方に光を照射する。発光部120は、発光部120の中心軸が受光部130の中心軸と平行または、前方側において受光部130の中心軸に近づく方向に傾くように配置される。なお、ここでいう受光部130の中心軸は、レンズ131の中心を通り、レンズ131に対して垂直に交わる線である。発光部120は、発光部120の中心軸の向きが受光部130の中心軸に対して斜めに傾くように配置される。受光部130の中心軸は、例えば、受光部130のレンズ131の厚み方向に延び、レンズ131の中心を通る中心軸であってもよい。また、受光部130がレンズ131を有しない場合、受光部130の中心軸は、例えば、受光部130の受光素子132の厚み方向に延び、受光素子132の中心を通る中心軸であってもよい。発光部120は、各発光素子121の中心軸の向きが受光素子132の中心軸に対して斜めに傾くように配置される。発光部120は、使用者によって排泄される大便に向けて前方に光を照射する。
【0076】
発光部120は、複数の発光素子121を備える。発光部120は、光を照射する発光素子121を複数備える。発光部120には、同一波長の光を照射する発光素子121が複数設けられる。発光部120は、使用者によって排泄される落下中の大便に対して光を照射する。発光部120は、異なる波長の光を照射するための複数の発光素子121を備える。各発光素子121は、中心軸の向きが受光素子132の中心軸に対して斜めに傾くように配置される。
【0077】
発光素子121は、筐体である本体カバー30の側面視または上面視において、受光部130と並列または受光部130よりも前方に配置される。発光素子121は、筐体である本体カバー30の側面視または上面視において、レンズ131と並列またはレンズ131よりも前方に配置される。
【0078】
発光素子121の周囲には、発光素子121によって照射された光に前方への単一指向性を持たせる反射手段が設けられる。反射手段は、傾斜部材により形成される傾斜面であってもよいし、発光素子121の周囲に形成された凹面(凹部の外表面)であってもよい。複数の発光素子121は、それぞれ異なる波長の光を照射可能である。複数の発光素子121によって照射される光の半値角領域が、便座5の平面視において、便座5の開口50内で重なるように配置される。複数の発光素子121は、使用者から排泄される大便の仮想落下位置に対して、複数の発光素子121によって照射される光の半値角領域がそれぞれ重なり合うように配置される。
【0079】
複数の発光素子121は、受光部130の周囲に配置される。待機モードにおいて用いられる発光素子121は、測定モードのみにおいて用いられる発光素子121よりも、便器7への載置時において上方に配置される。待機モードにおいて用いられる発光素子121の数は、測定モードにおいて用いられる発光素子121の数よりも少ない。複数の発光素子121は、便器7への載置時において、受光部130よりも上方に配置される。なお、発光部120や発光素子121の構成の詳細については、後述する。
【0080】
受光部130は、光を受光する。受光部130は、レンズ131(図5参照)や光を受光する受光素子132(図13参照)を有する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する排泄物からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する落下中の大便からの反射光を受光する。
【0081】
受光部130は、光を受光する受光素子132が設けられる。受光部130は、受光素子132の前方に光を集光するためのレンズ131を備える。受光素子132の周囲には、受光素子132の前方以外からの光の入射を抑制するためのカバーであるケース133が設けられている。受光素子132の周囲には、前方に配置されたレンズ131を通過する光以外が受光素子132に入射することを抑制するためのカバーであるケース133が設けられている。受光素子132の周囲には、受光素子132の側部方向からの光の入射を抑制するためのカバーであるケース133が設けられている。
【0082】
ケース133は、受光素子132の前方以外からの光を遮断したり、減衰したりする入射抑制カバーとして機能する。ケース133は、例えば黒等の光を透過しにくい色に着色される。なお、ケース133には、所望の形状に形成可能であれば、樹脂等、種々の材料が用いられてもよい。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する落下中の大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。なお、受光部130の構成の詳細については、後述する。
【0083】
<4.蓋部の開閉>
ここで、光学ユニット100の蓋部110の開閉について、図5を用いて説明する。図5は、蓋部の開閉動作の一例を示す図である。具体的には、図5は、蓋部110が開放状態と閉鎖状態との間を遷移する動作の一例を示す図である。蓋部110は、アクチュエータ111の駆動により、開放状態と閉鎖状態との間を遷移する。なお、図5においては、蓋部110の位置に応じて、蓋部110-1~110-4として説明するが、特に区別して説明を行う場合以外は、単に「蓋部110」とする。また、図5では、蓋部110の開閉を示すため、本体カバー30の一部のみを図示し、洗浄ノズル6用の開口31bを覆うノズル用蓋60等の図示も省略する。図5に示すように、本体カバー30には、光学ユニット100用の開口31と洗浄ノズル6用の開口31bの2つの開口が設けられる。光学ユニット100用の開口31は、蓋部110で覆われることが可能である。また、洗浄ノズル6用の開口31bは、ノズル用蓋60で覆われることが可能である。例えば、開口31bは便器7の後方側の中央部に設けられ、開口31は開口31bに隣接する位置に設けられる。
【0084】
図5に示す蓋部110-1は、閉鎖状態の蓋部110を示す。閉鎖状態における蓋部110-1は、発光部120や受光部130の前方に位置する。蓋部110-1は、本体カバー30と略面一の状態となり、発光部120や受光部130の前方を覆う。このように、筐体である本体カバー30は、発光部120や受光部130よりも前方に位置する。
【0085】
蓋部110は、トイレルームRの使用者の便座5への着座前や、洗浄ノズル6の動作時や、排便に関する検知が終了した場合等において、蓋部110-1の位置に位置し、閉鎖状態になる。これにより、蓋部110は、発光部120や受光部130の露出を抑制し、発光部120や受光部130がトイレルームRに入室時の使用者に視認可能となったり、発光部120や受光部130に水がかかったりすること等を抑制する。
【0086】
蓋部110は、制御装置34によるアクチュエータ111の制御により、蓋部110-1の位置に位置し、閉鎖状態になる。そして、蓋部110は、制御装置34によるアクチュエータ111の制御により、閉鎖状態から開放状態に遷移する。蓋部110は、蓋部110-1、110-2、110-3、110-4の順に位置を遷移させ、閉鎖状態から開放状態に遷移する。例えば、蓋部110は、トイレルームRの使用者の便座5への着座後や、洗浄ノズル6の動作の終了時等において、蓋部110は、閉鎖状態の蓋部110-1から開放状態の蓋部110-4に遷移する。
【0087】
蓋部110は、本体カバー30の開口31の上端に隣接する一端部側を軸として、本体カバー30に対して開閉動作を行う。蓋部110は、一端部側を軸として回転動作をすることにより、一端部に対向する他端部を下から上へ位置を移動させる。このように、図5の例では、蓋部110は、本体カバー30に対して回転動作をすることにより、閉鎖状態の蓋部110-1から開放状態の蓋部110-4に遷移する。
【0088】
蓋部110-2、110-3は、閉鎖状態の蓋部110-1から開放状態の蓋部110-4に遷移するまでの間の途中の状態を示す。このように、蓋部110-1から、蓋部110-2、110-3、110-4と、徐々に蓋部110の他端部が上方へ移動することにより、発光部120や受光部130が露出する。具体的には、蓋部110の他端部が上方へ移動することにより、発光部120の発光素子121や受光部130のレンズ131等が本体カバー30の開口31から露出する。
【0089】
上記のように、開放状態の蓋部110-4が発光部120や受光部130の前方において上方に位置することにより、発光部120や受光部130への外光(トイレルームR内の照明等)の影響を抑制したり、発光部120や受光部130への上方からの水などがかかったりすることを抑制することができる。
【0090】
また、蓋部110は、制御装置34によるアクチュエータ111の制御により、開放状態から閉鎖状態に遷移する。なお、開放状態から閉鎖状態への遷移は、上述した閉鎖状態から開放状態への遷移と逆の動作であり詳細な説明を省略するが、蓋部110は、蓋部110-4、110-3、110-2、110-1の順に位置を遷移させ、開放状態から閉鎖状態に遷移する。蓋部110は、一端部側を軸として回転動作をすることにより、他端部を上から下へ位置を移動させる。例えば、蓋部110は、トイレルームRの使用者の便座5への離座後や、洗浄ノズル6の動作時や、排便に関する検知が終了した場合等において、蓋部110は、開放状態の蓋部110-4から閉鎖状態の蓋部110-1に遷移する。
【0091】
なお、図5の例では、蓋部110は、本体カバー30の開口31の上端に隣接する一端部側を軸として、本体カバー30に対して開閉動作を行い、上下方向に開閉動作を行うが、蓋部110の構成は図5の例に限らず、種々の態様であってもよい。例えば、蓋部110は、本体カバー30の開口31の上端側の設けられた収納部に収納される構成であってもよい。例えば、蓋部110は、何枚もの細長い部材を連接したシャッタ(鎧戸)のように構成されてもよい。また、例えば、蓋部110は、本体カバー30の開口31の横方向の端部に隣接する一端部側を軸として、本体カバー30に対して開閉動作を行い、横方向に開閉動作を行ってもよい。また、例えば、蓋部110は、複数のパーツに分離可能であり、片開きの構成に限らず、両開きの構成であってもよい。
【0092】
<5.窓部>
蓋部110は、全体が透過性がない(低い)材料により形成されるが、蓋部の一部は透過性を有してもよい。この点についての詳細は後述する。図6は、窓部を有する光学ユニットの一例を示す図である。
【0093】
図6の例では、光学ユニット100は、光を透過する窓部1101を有する蓋部110Aや、複数の発光素子121を有する発光部120や、受光部130を備える。蓋部110Aは、周囲を囲う枠内に窓部1101を有する。窓部1101は、発光部120が照射する光を透過し、受光部130が受光する光を透過すれば、どのような材料により形成されてもよい。なお、ここでいう光には、可視光のみに限らず、赤外線といった不可視光も含まれる。
【0094】
図6の例では、光学ユニット100の発光部120や受光部130は、筐体101に配置される。このように、筐体101は、発光部120および受光部130が配置される。また、蓋部110Aは、筐体101の端部に支持され、発光部120や受光部130の前方に位置する。このように、筐体101の端部は、発光部120や受光部130よりも前方に位置する。
【0095】
図6の例では、蓋部110Aは、窓部1101が発光部120や受光部130の前方に位置するように配置され、蓋部110Aの開閉動作無しで、光学ユニット100は排便検知が可能に構成される。なお、蓋部110Aは、筐体101に対して位置固定されてもよいし、筐体101に対して開閉動作が可能であってもよい。また、制御装置34のADConverter341や演算処理装置342については後述する。
【0096】
<6.他の装置構成や配置例>
なお、装置構成や光学ユニットの配置は上記に限らず、種々の構成や配置であってもよい。
【0097】
<6-1.光学ユニットの他の配置例>
例えば、光学ユニットは、本体部3の本体カバー30内に限らず種々の位置に配置されてもよい。この点について、図7及び図8を用いて説明する。図7は、第2の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す側面図である。図8は、第2の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図7は、光学ユニット100Aの蓋部110が閉鎖状態である場合を示す図である。また、図8は、光学ユニット100Aの蓋部110を除いた状態を示す図である。なお、第1の実施形態に係るトイレシステム1と同様の点については同様の符号を付す等して適宜説明を省略する。
【0098】
トイレシステム1Aは、便座装置2Aと、操作装置10(図示省略)とを備える。なお、図7及び図8に示すトイレシステム1Aでは、便座装置2Aの説明に必要な構成のみを図示し、他の構成(操作装置10等)の図示を省略する。便座装置2Aは、便座装置2と同様にトイレルームR(図1参照)に設けられる。図8に示すように便座装置2Aは、本体部3Aの本体カバー30Aに光学ユニット用の開口31を有しない点で、便座装置2と相違する。
【0099】
図7に示すように、トイレシステム1Aでは、便座装置2Aの便器7のリム部9と便座5の間に光学ユニット100Aを配置する。具体的には、光学ユニット100Aは、便座5の使用者が着座する面の反対面である裏面51側に配置される。光学ユニット100Aは、便座5とリム部9との間において、蓋部110や発光部120や受光部130が便器7内へ臨む向きに配置される。このように、便座装置2Aでは、光学ユニット100Aが便座5の裏面51側に配置されることにより、トイレルームRの使用者により光学ユニット100Aが視認される可能性を低減することができる。なお、光学ユニット100Aは、便座5の裏面51に設けられるクッション部52内に配置されてもよい。
【0100】
蓋部110は、光学ユニット100Aの蓋部110以外の構成(図8中の発光部120や受光部130等)を収納する筐体101A(図8参照)の一面に設けられる。蓋部110は、発光部120や受光部130の前面側に対応する筐体101Aの開口面を覆う。蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130等は、蓋部110の裏に隠されている。蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130の前方に蓋部110が位置する。すなわち、蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130から便器7内へ臨む方向には、蓋部110が位置する。これにより、蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130は、筐体101A及び蓋部110に覆われる。なお、図7の例では、蓋部110が筐体101Aと同様に透過性がない(低い)材料により形成される場合を示すが、蓋部110は筐体101Aとは異なる材料により形成されてもよい。
【0101】
図8に示すように、蓋部110が除かれた場合、光学ユニット100Aの発光部120や受光部130は、筐体101Aから露出する。例えば、蓋部110が開放状態においては、図8に示すように、発光部120や受光部130の前方に蓋部110が位置しない状態となる。これにより、蓋部110の開放状態においては、発光部120や受光部130が露出する。なお、蓋部110の筐体101Aに対する開閉動作は、蓋部110の本体カバー30に対する開閉動作と同様であり、説明を省略する。図7及び図8に示すトイレシステム1Aの場合、便座装置2A外に光学ユニット100Aを配置する。そのため、トイレシステム1Aでは、様々な機器が複雑かつ密に配置されている便座装置2A内の設計を変形する必要がないため、便座装置内に光学ユニットを配置する構成(例えばトイレシステム1の便座装置2等)に比べて、製造し易い。
【0102】
<6-2.他の装置構成例>
便座装置と光学ユニットとは別体であってもよい。この点について、図9図11を用いて説明する。まず、図9及び図10を用いて、トイレシステムの構成について説明する。図9及び図10は、第3の実施形態に係るトイレシステムの構成の一例を示す斜視図である。具体的には、図9は、光学ユニット100Bの蓋部110が閉鎖状態である場合を示す図である。また、図10は、光学ユニット100Bの蓋部110を除いた状態を示す図である。なお、第1の実施形態に係るトイレシステム1や第2の実施形態に係る便座装置2Aと同様の点については同様の符号を付す等して適宜説明を省略する。
【0103】
トイレシステム1Bは、便座装置2Bと、光学ユニット100Bと、操作装置10(図示省略)とを備える。なお、図9及び図10に示すトイレシステム1Bでは、便座装置2Bや光学ユニット100Bの説明に必要な構成のみを図示し、他の構成(操作装置10等)の図示を省略する。便座装置2Bは、便座装置2と同様にトイレルームR(図1参照)に設けられる。図9に示すように便座装置2Bは、本体部3Bの本体カバー30Bに光学ユニット用の開口31を有しない点や光学ユニット100Bが別体である点で、便座装置2と相違する。このように、トイレシステム1Bでは、光学ユニット100Bが便座装置2Bとは別体の排泄物検知装置として機能する。図9に示すように、排泄物検知装置である光学ユニット100Bは、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器7に配設される。
【0104】
図9に示すように、トイレシステム1Bでは、便座装置2Bのリム部9と便座5の間に引っ掛けて光学ユニット100Bを配置する。具体的には、光学ユニット100Bは、光学ユニット100Bを収納する筐体101Bのフック部(フック構造)により、リム部9に引っ掛けられて、配置される。光学ユニット100Bは、リム部9の内周壁に沿って、蓋部110や発光部120や受光部130が便器7内へ臨む向きに配置される。筐体101Bは、発光部120や受光部130を収納する本体部がリム部9の内周壁に沿って配置され、本体部が設けられた端部の反対側に設けられたフック部によりリム部9に引っ掛けられる。
【0105】
蓋部110は、光学ユニット100Bの蓋部110以外の構成(図8中の発光部120や受光部130等)を収納する筐体101Bの一面に設けられる。蓋部110は、発光部120や受光部130の前面側に対応する筐体101Bの開口面を覆う。蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130等は、蓋部110の裏に隠されている。蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130の前方に蓋部110が位置する。すなわち、蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130から便器7内へ臨む方向には、蓋部110が位置する。これにより、蓋部110の閉鎖状態においては、発光部120や受光部130は、筐体101B及び蓋部110に覆われる。なお、図7の例では、蓋部110が筐体101Bと同様に透過性がない(低い)材料により形成される場合を示すが、蓋部110は筐体101Bとは異なる材料により形成されてもよい。
【0106】
図10に示すように、蓋部110が除かれた場合、光学ユニット100Bの発光部120や受光部130は、筐体101Bから露出する。例えば、蓋部110が開放状態においては、図10に示すように、発光部120や受光部130の前方に蓋部110が位置しない状態となる。これにより、蓋部110の開放状態においては、発光部120や受光部130が露出する。なお、蓋部110の筐体101Bに対する開閉動作は、蓋部110の本体カバー30に対する開閉動作と同様であり、説明を省略する。図9及び図10に示すトイレシステム1Bの場合、光学ユニット100Bを既存の便器7に取り付けるのみで完成する。そのため、トイレシステム1Bでは、便座装置(例えばトイレシステム1の便座装置2等)または便器装置(例えばトイレシステム1Aの光学ユニット100Aや便座5を含む便器装置等)の購入が不要となり、購入単価が安くなる。
【0107】
<6-2-1.トイレシステムの機能構成>
次に、トイレシステム1Bの機能構成について図11を参照して説明する。図11は、第3の実施形態に係るトイレシステムの機能構成の一例を示すブロック図である。図11に示すように、トイレシステム1Bは、便座装置2Bと、便座装置2Bと通信する光学ユニット100Bとを含む。なお、上述のように、トイレシステム1Bは、操作装置10(図示省略)等の他の装置を備えるが、トイレシステム1、1A等と同様の点は、説明を省略する。
【0108】
図11に示すように、便座装置2Bは、人体検知センサ32と、着座検知センサ33と、制御装置34Bと、通信装置35と、電磁弁71と、ノズルモータ61と、洗浄ノズル6と、光学ユニット100Bとを備える。なお、図11では、図4と同様に便座装置2の構成の一部(本体部3や便座5や便器7等)についての図示を省略する。
【0109】
通信装置35は、通信回路等によって実現され、光学ユニット100Bと通信する。そして、通信装置35は、ネットワークNと有線または無線で接続され、光学ユニット100B等の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。通信装置35は、制御装置34Bの制御に応じて、光学ユニット100Bと通信する。また、通信装置35は、ネットワークNや他のネットワークを介して、操作装置10等の情報処理装置との間で情報の送受信を行ってもよい。
【0110】
制御装置34Bは、各種構成や処理を制御する制御部として機能する。制御装置34Bは、制御装置34と同様に、ノズルモータ61や電磁弁71を制御する。また、制御装置34Bは、通信装置35を介して、光学ユニット100Bを制御する。制御装置34Bは、蓋部110を開閉させるために、通信装置35を介して光学ユニット100Bを制御する。制御装置34Bは、蓋部110を開放状態にするための制御情報を、通信装置35を介して光学ユニット100Bに送信する。制御装置34Bは、蓋部110を閉鎖状態にするための制御情報を、通信装置35を介して光学ユニット100Bに送信する。制御装置34Bは、制御装置34と同様に、例えば、CPUやMPUやASIC等のプロセッサや、FPGA等の集積回路等の種々の手段により実現される演算処理装置342(図18参照)や各種の記憶部等を有してもよい。
【0111】
光学ユニット100Bは、蓋部110と、アクチュエータ111と、発光部120と、受光部130と、制御装置140と、通信装置(図示省略)を備える。光学ユニット100Bは、光学ユニット100と同様に、排泄物検知装置(排泄物測定装置)として機能する。
【0112】
光学ユニット100Bの通信装置は、通信回路等によって実現され、便座装置2Bと通信する。そして、光学ユニット100Bの通信装置は、ネットワークNと有線または無線で接続され、便座装置2B等の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。光学ユニット100Bの通信装置は、制御装置140の制御に応じて、便座装置2Bと通信する。また、光学ユニット100Bの通信装置は、ネットワークNや他のネットワークを介して、操作装置10等の情報処理装置との間で情報の送受信を行ってもよい。
【0113】
制御装置140は、各種構成や処理を制御する制御部として機能する。制御装置140は、光学ユニット100の各種構成を制御する。制御装置140は、制御装置34と連携して、蓋部110やアクチュエータ111や発光部120や受光部130を制御する。制御装置140は、制御装置34から受信した信号(制御情報等)に基づいて、蓋部110やアクチュエータ111や発光部120や受光部130を制御する。
【0114】
制御装置140は、蓋部110の開閉を制御する。制御装置140は、アクチュエータ111を制御することにより、蓋部110の開閉を制御する。制御装置140は、蓋部110を開放状態にするための制御情報を制御装置34から受信し、蓋部110を開放するようにアクチュエータ111を制御する。制御装置140は、蓋部110を閉鎖状態にするための制御情報を制御装置34から受信し、蓋部110を閉鎖するようにアクチュエータ111を制御する。
【0115】
制御装置140は、発光部120の点灯や消灯を制御する。制御装置140は、発光部120の点灯や消灯を制御するための制御情報を制御装置34から受信し、発光部120の点灯や消灯を制御する。制御装置140は、受光部130の電子シャッタの機能を制御するための制御情報を制御装置34から受信し、受光部130の電子シャッタの機能を制御する。制御装置140は、受光部130の電子シャッタの機能を制御する。
【0116】
制御装置140は、有線により、蓋部110やアクチュエータ111や発光部120や受光部130に制御情報を送信する。なお、制御装置140は、無線により、蓋部110やアクチュエータ111や発光部120や受光部130に制御情報を送信してもよい。
【0117】
制御装置140は、制御装置34や制御装置34Bと同様に、例えば、CPUやMPUやASIC等のプロセッサや、FPGA等の集積回路等の種々の手段により実現される演算処理装置や各種の記憶部等を有してもよい。
【0118】
<7.各種の構成及び処理>
ここから、第1の実施形態に係るトイレシステム1や便座装置2や光学ユニット100を一例として、各種の構成や処理について説明する。なお、以下の記載においては、トイレシステム1の各種構成は、トイレシステム1Aやトイレシステム1Bにおいて対応する構成に読み替えられてもよい。例えば、便座装置2は、便座装置2Aや便座装置2Bと読み替えられ、光学ユニット100は、光学ユニット100Aや光学ユニット100Bと読み替えられてもよい。
【0119】
<8.発光部及び受光部の構成例>
まず、発光部及び受光部の各種の構成について図12図17を参照して説明する。図12図17に示す発光部120及び受光部130、130A、130Bの構成については、その構成が採用可能であれば、光学ユニット100、100A、100Bのいずれで採用されてもよい。以下では、図12及び図13に示す発光部120及び受光部130の構成を「第1構成」と記載し、図14及び図15に示す発光部120及び受光部130Aの構成を「第2構成」と記載し、図16及び図17に示す発光部120及び受光部130Bの構成を「第3構成」と記載する場合がある。例えば、光学ユニット100の発光部120及び受光部130の構成は、以下に示す第1構成~第3構成のいずれの構成であってもよい。
【0120】
<8-1.発光部及び受光部の第1構成>
まず、図12及び図13に示す第1構成について説明する。図12は、発光部及び受光部の構成の一例を示す図である。図13は、発光部及び受光部の構成の一例を示す側面図である。
【0121】
図12及び図13に示すように、第1構成の発光部120は、6個の発光素子121-1、121-2、121-3、121-4、121-5、121-6を有する。なお、以下では、発光素子121-1、121-2、121-3、121-4、121-5、121-6等について、特に区別して説明を行う場合以外は、「発光素子121」と記載する。例えば、発光素子121は、LED(Light Emitting Diode)である。なお、発光素子121は、LEDに限らず、種々の素子が用いられてもよい。
【0122】
なお、以下では、不可視光域の波長又は不可視光域に近い波長の光を照射する発光素子121を「第1の発光素子」と記載し、可視光域の波長の光を照射する発光素子121を「第2の発光素子」や「第3の発光素子」や「第4の発光素子」等と記載する場合がある。例えば、第1の発光素子は、後述する待機モード及び測定モードの両方で用いられ、第2の発光素子は、測定モードのみで用いられてもよいが、この点の詳細は後述する。
【0123】
図12及び図13に示すように、第1構成の受光部130は、レンズ131と、受光素子132と、レンズ131を支えるためのケース133とを有する。例えば、受光素子132は、ラインセンサである。例えば、受光素子132は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが一列に並べられたラインセンサである。なお、受光素子132は、ラインセンサ(1次元のイメージセンサ)に限らず、エリアセンサ(2次元のイメージセンサ)等の各種のセンサが用いられてもよい。光学ユニット100が排泄物検知装置の場合、受光素子132の背面側に位置する矩形部材内に制御装置140が設けられてもよい。
【0124】
支持部150は、発光部120や受光部130を支持する。支持部150は、発光部120や受光部130を支持可能であれば、種々の材料により形成されてもよい。支持部150は、支持部150の一面(以下「前面」ともいう)側に発光部120や受光部130が露出するように、発光部120や受光部130を支持する。例えば、支持部150は、各発光素子121や受光部130のレンズ131が露出するように、発光部120や受光部130を支持する。各発光素子121は、支持部150の前面が臨む向きに光を照射し、受光部130は、支持部150の前面が臨む向きからの光を受光する。例えば、各発光素子121や受光部130は、支持部150の前面とは反対面(背面)側で電源装置(図示省略)に接続され、電力が供給される。
【0125】
図12に示すように、発光部120の各発光素子121は、受光部130の周囲に配置される。また、第1構成では、受光部130のレンズ131が発光部120の発光素子121よりサイズが大きい構成となる。
【0126】
<8-1-1.発光素子の発光波長及び配置例>
ここで、各発光素子が照射する光の波長(発光波長)についての一例を示す。図12の例では、発光素子121-3、121-4の2つの発光素子121が、不可視光域の波長又は不可視光域に近い波長の光を照射する第1の発光素子121であり、発光素子121-1、121-2、121-5、121-6の4つの発光素子121が、可視光を照射する第2の発光素子121である。なお、第1の発光素子121の各々は、同じ波長の光を照射してもよいし、異なる波長の光を照射してもよい。また、第2の発光素子121の各々は、同じ波長の光を照射してもよいし、異なる波長の光を照射してもよい。例えば、第2の発光素子121-1、121-2が、同じ波長の光を照射してもよい。また、発光素子121-5、121-6は、同じ波長の光であって、第2の発光素子121-1、121-2が照射する光の波長とは異なる波長の光を照射する第3の発光素子121-5、121-6であってもよい。例えば、排泄物の色を識別するためには、3つ以上の波長領域の光を発光部120が照射可能であることが望ましい。
【0127】
例えば、第1の発光素子121が照射する光の波長領域(「第1波長領域」ともいう)は、700nm以上の波長領域である。このように、第1波長領域は、不可視光域の波長又は不可視光域に近い波長領域となる。例えば、第1波長領域は、赤外線や赤色等に対応する波長領域となる。また、例えば、第2の発光素子121が照射する光の波長領域(「第2波長領域」ともいう)は、700nm未満~600nm以上の波長領域である。このように、第2波長領域は、可視光域の波長領域となる。例えば、第2波長領域は、橙~赤色等に対応する波長領域となる。また、例えば、第3の発光素子121が照射する光の波長領域(「第3波長領域」ともいう)は、600nm未満~450nm以上の波長領域である。このように、第3波長領域は、第2波長領域よりも波長が短い領域であり、可視光域の波長領域となる。例えば、第3波長領域は、青~黄色等に対応する波長領域となる。なお、上述した第1波長領域、第2波長領域、及び第3波長領域の各々の具体的な数値は一例であり、各波長領域は、これに限定されるものではない。第1波長領域は、赤外(赤)に対応する波長領域であり、第2波長領域は、緑に対応する波長領域であり、第3波長領域は、緑に近い青に対応する波長領域であってもよい。
【0128】
また、同一波長を照射する発光素子121は、隣り合うように配置されることが好ましい。上述のように、隣り合う2つの発光素子121-3、121-4を第1の発光素子121とし、隣り合う2つの発光素子121-1、121-2を第2の発光素子121とし、隣り合う2つの発光素子121-5、121-6を第3の発光素子121とする。また、第1の発光素子121-3、121-4の方が、他の発光素子121-1、121-2、121-5、121-6よりも上方に配置されることが望ましい。なお、上記の第1の発光素子121~第3の発光素子121の配置は一例であり、これに限定されるものではない。
【0129】
このように、トイレシステム1は、3つの波長領域の各々に対応する発光素子121(LED)を有する発光部120と、1つのラインセンサ等を有する受光部130とにより、使用者の排泄物に関する検知を行う。なお、トイレシステム1は、3つの波長領域に限らず、例えば、5つの波長領域の各々に対応する発光素子121(LED)を有する発光部120により、使用者の排泄物に関する検知を行ってもよい。例えば、図12及び図13では、第1の発光素子121-3、121-4の2つの発光素子121が第1波長領域の光を照射し、残りの4つの発光素子121-1、121-2、121-5、121-6が、各々異なる波長領域(第2波長領域~第5波長領域)の光を照射してもよい。この場合、第1波長領域が最も長波長側であり、第2波長領域、第3波長領域、第4波長領域、第5波長領域の順に短波長になる波長領域であってもよい。また、使用者の排泄物に関する検知の構成については、上記に限らず、例えば、白色光を照射する発光素子(LED)を有する発光部と、分光フィルタ等の分光機能を有する受光部との構成により行ってもよい。
【0130】
<8-2.発光部及び受光部の第2構成>
次に、図14及び図15に示す第2構成について説明する。図14は、発光部及び受光部の構成の他の一例を示す図である。図15は、発光部及び受光部の構成の他の一例を示す側面図である。なお、第1構成と同様の点についての説明は適宜省略する。
【0131】
図14及び図15に示すように、第2構成の発光部120は、6個の発光素子121を有する。第2構成の受光部130Aは、レンズ131Aと、受光素子132と、レンズ131Aを支えるためのケース133Aとを有する。支持部150Aは、支持部150と同様に、発光部120や受光部130Aを支持する。
【0132】
図14に示すように、発光部120の各発光素子121は、受光部130Aの周囲に配置される。また、第2構成では、受光部130Aのレンズ131Aが発光部120の発光素子121と同程度の大きさである。そのため、発光部120(各発光素子121)の適切に配置を工夫することにより、第1構成に比べて、全体のサイズをコンパクト化することができる。
【0133】
<8-3.発光部及び受光部の第3構成>
次に、図16及び図17に示す第3構成について説明する。図16は、発光部及びシリンドリカルレンズを用いた受光部の構成の一例を示す図である。図17は、発光部及びシリンドリカルレンズを用いた受光部の構成の一例を示す側面図である。なお、第1構成や第2構成と同様の点についての説明は適宜省略する。
【0134】
図16及び図17に示すように、第3構成の発光部120は、6個の発光素子121を有する。第3構成の受光部130Bは、シリンドリカルレンズであるレンズ131Bと、受光素子132Bと、レンズ131Bを支えるためのケース133Bとを有する。受光素子132Bは、ラインセンサである。このように、第3構成の受光部130Bは、シリンドリカルレンズであるレンズ131Bと、ラインセンサである受光素子132Bとにより構成される。支持部150Bは、支持部150と同様に、発光部120や受光部130Bを支持する。
【0135】
図16に示すように、発光部120の各発光素子121は、受光部130Bの周囲に配置される。また、第3構成では、受光素子132Bがラインセンサであり、レンズ131Bがシリンドリカルレンズである。ラインセンサである受光素子132Bは、一方向(横)に長いセンサであるため、レンズを円形にすると、ラインセンサ(受光素子132B)が無い領域にもレンズを設けることになる。一方で、第3構成に示すように、一方向(横)に長い円柱状のレンズ(シリンドリカルレンズ)を採用することで、センサの有る領域のみにレンズを設けることができるため、第1構成や第2構成に比べて、全体のサイズ(特に高さ方向)をコンパクト化することができる。
【0136】
なお、上述した第1構成~第3構成のいずれにおいても、発光素子121の光軸(中心軸)が受光部130(レンズ131)の中心軸に対して傾斜しているが、この点の詳細は後述する。なお、発光素子121の光軸とは、発光素子121からの等距離の位置で照度が一番強いところを通る軸である。また、発光素子121の光軸の照度の半分の位置を半値角とする。
【0137】
<9.排泄情報収集の処理>
次に、トイレシステム1における排泄情報収集の処理について説明する。
【0138】
<9-1.排泄情報収集の構成>
まず、トイレシステム1における排泄情報収集を実現する具体的構成について図18を参照して説明する。図18は、排泄情報収集の処理に関連するトイレシステムの機能構成の一例を示すブロック図である。なお、上述したトイレシステム1、1A、1Bと同様の点については同様の符号を付す等して適宜説明を省略する。
【0139】
図18に示すように、トイレシステム1には、アクチュエータ111や発光部120や受光部130や制御装置34や第2のメモリ20といった構成が含まれる。なお、図18に示すトイレシステム1では、排泄情報収集の説明に必要な構成のみを図示し、他の構成(操作装置10等)の図示を省略する。また、トイレシステム1Bのように、光学ユニット100Bが便座装置2Bとは別体の排泄物検知装置として機能する場合、下記の制御装置34の構成や処理は、制御装置140の構成や処理として読み替えてもよい。
【0140】
アクチュエータ111は、蓋部110を開放状態や閉鎖状態にする駆動源である。発光部120は、第1の発光素子121-3や第2の発光素子121-1等の複数の発光素子121を有する。なお、発光部120は、1つの発光素子のみを有し、その発光素子が複数の波長の光を照射する構成であってもよい。すなわち、発光部120は、不可視光及び可視光を照射する1つの発光素子のみを有してもよい。このように、発光部120は、第1の発光素子及び第2の発光素子の両方の機能を有する1つの発光素子のみを有してもよい。受光部130は、レンズ131や受光素子132を有する。
【0141】
便座装置2の制御装置34は、ADConverter341や演算処理装置342やROM343や第1のメモリ344を有する。
【0142】
ADConverter341は、いわゆるA/Dコンバータであり、アナログ信号をデジタル信号に変換する機能を有する。ADConverter341は、アナログ-デジタル変換回路であってもよい。例えば、ADConverter341は、受光部130が受光(検知)したアナログデータをデジタルデータに変換する。ADConverter341は、アナログデータのうち、所定の範囲のデータを削除したアナログデータをデジタルデータに変換する。例えば、ADConverter341は、予め設定された範囲(例えば中央の所定の範囲)の画素に対応するデータだけを残し、残りの範囲の画素に対応するデータを削除する。なお、受光素子132に排泄物検知用に画素数等が設定されたラインセンサ等の専用のセンサが用いられる場合、ADConverter341は、所定の範囲のデータの削除を行うことなく、アナログデータ全体をデジタルデータに変換する。
【0143】
演算処理装置342は、CPUやマイコン等の種々の手段により実現され、各種の処理を実行する。例えば、演算処理装置342は、ADConverter341により変換されたデジタルデータを用いた各種処理を実行する。演算処理装置342は、ROM343に記憶されたプログラム(例えば排泄判定プログラム等)により各種処理を実行する。例えば、演算処理装置342は、ROM343に記憶されたプログラムが演算処理装置342内の一時的に使用される記憶領域等を作業領域として実行されることにより実現される。
【0144】
演算処理装置342は、データを解析する。演算処理装置342は、第1のメモリ344に一時的に記憶されたデータを解析する。演算処理装置342は、第1のメモリ344への受光部130が受光したデータの転送、第1のメモリ344に記憶されたデータの解析及び削除を実行する。演算処理装置342は、受光部130が受光したデータを第1のメモリ344に転送すると共に、第1のメモリ344に一時的に記憶されたデータが、落下中の大便からの反射光に基づくデータではないと解析した場合、データを削除可能な状態にする。
【0145】
演算処理装置342は、受光部130が受光したデータを第1のメモリ344に転送する前に、受光部130が受光したデータの一部を削除する。演算処理装置342は、第1のメモリ344に一時的に記憶されたデータが、落下中の大便からの反射光に基づくデータであると解析した場合、データを第1のメモリ344に記憶させたままにすると共に、その後連続して第1のメモリ344に一時的に記憶されたデータが、落下中の大便からの反射光に基づくデータではないと解析した期間が所定期間以上経過した場合、第1のメモリ344に記憶されている落下中の大便からの反射光に基づくデータを、第2のメモリ20に転送する。演算処理装置342は、第1のメモリ344に一時的に記憶されている落下中の大便からの反射光に基づくデータ量が所定の閾値以上になった場合、第1のメモリ344に記憶されている落下中の大便からの反射光に基づくデータを、第2のメモリ20に転送する。
【0146】
ROM343は、いわゆるロム(ROM:Read Only Memory)であり、例えば排泄判定プログラム等の各種プログラムを記憶する。
【0147】
第1のメモリ344は、各種データを一時的に格納する記憶装置(メモリ)である。第1のメモリ344は、受光部130が受光したデータを記憶する。第1のメモリ344は、ADConverter341により変換されたデジタルデータを格納する。例えば、第1のメモリ344は、SRAM(Static Random Access Memory)である。なお、第1のメモリ344は、SRAMに限らず、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の他のRAM(Random Access Memory)やPROM(Programmable Read Only Memory)等の高速処理が可能なROMが用いられる。
【0148】
第1のメモリ344は、演算処理装置342による制御に応じて、データを格納する。例えば、第1のメモリ344には、96キロバイトや512キロバイト等の記憶容量の記憶装置が用いられる。第1のメモリ344に一時的に記憶される受光部130が受光したデータには、受光部130により検知された生データ(アナログデータ)や、A/D変換されることによって加工されたデータ(デジタルデータ)が含まれる。
【0149】
第2のメモリ20は、各種データを格納する記憶装置(メモリ)である。第2のメモリ20は、制御装置34から取得したデジタルデータを格納する。例えば、第2のメモリ20は、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等が用いられる。第2のメモリ20は、SD(Secure Digital)カードメモリや、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の種々の記憶装置(メモリ)であってもよい。
【0150】
第2のメモリ20は、第1のメモリ344に記憶されたデータを転送可能である。第2のメモリ20は、第1のメモリ344よりも記憶領域が大きい。例えば、第2のメモリ20には、4ギガバイト等、第1のメモリ344と比べて記憶容量が大きい記憶装置が用いられる。第2のメモリ20に記憶されたデータは、外部装置に送信されてもよい。トイレシステム1は、便座装置2の通信装置等により、第2のメモリ20に記憶されたデータを無線により、使用者が利用する端末装置等の外部装置に送信してもよい。
【0151】
なお、第2のメモリ20は、便座装置2内や便座装置2外等のいずれに設けられてもよい。例えば、第2のメモリ20は、便座装置2内のMicroSDであってもよいし、便座装置2外にあり、便座装置2とWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)等により通信する外部メモリであってもよい。この場合、演算処理装置43は、第1のメモリ344に一時的に記憶されているデータを、第1のメモリ344よりも記憶領域が大きい外部メモリである第2のメモリとの通信により、第2のメモリに転送する。なお、第2のメモリ20と便座装置2との通信は、Wi-Fi(登録商標)に限らず、種々の通信規格、例えばZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)等による通信であってもよい。
【0152】
<9-2.排泄情報収集の処理の制御フロー>
次に、トイレシステム1による排泄情報収集の処理の制御フローについて、図19を参照して説明する。図19は、排泄情報収集の処理の制御フローを示す概念図である。
【0153】
まず、トイレシステム1は、トイレルームRへの使用者の入室を検知する(ステップS1)。トイレシステム1は、人体検知センサ32による人体検知を基に、トイレルームRへの使用者の入室を検知する。
【0154】
そして、トイレシステム1は、トイレルームR内の便座5への使用者の着座を検知する(ステップS2)。トイレシステム1は、着座検知センサ33による着座検知を基に、トイレルームR内の便座5への使用者の着座を検知する。
【0155】
そして、トイレシステム1は、撮影準備を行う(ステップS3)。トイレシステム1は、トイレルームRへ入室した使用者の個人認証を行う。例えば、トイレシステム1は、操作装置10に対する使用者の操作や、使用者が所有する携帯端末との通信等により、使用者の個人認証を行う。なお、トイレシステム1は、トイレルームRへ入室した使用者の個人認証が可能であれば、どのような方法により使用者の個人認証を行ってもよい。トイレシステム1は、排便に関する検知への使用者による同意を取得する。例えば、トイレシステム1は、操作装置10に対する使用者の操作や、使用者が所有する携帯端末との通信等により、検知への使用者による同意を取得する。なお、トイレシステム1は、トイレルームRへ入室した使用者の個人認証が可能であれば、どのような方法により検知への使用者による同意を取得してもよい。例えば、トイレシステム1は、使用者による同意を取得した場合、光学ユニット100の蓋部110を開放状態にし、使用者による排便が検知可能な状態に遷移する。そして、トイレシステム1は、初期データを取得する。トイレシステム1は、使用者の便座5への着座後に撮像した使用者による排便が無い状態で撮像されたデータを初期データとして取得する。そして、トイレシステム1は、着座後、最初に第1のメモリ443に記憶される排泄物からの反射光を含まない初期データをその後の排泄判定に使用する。なお、発光素子121の波長の数に応じて、記憶される初期データの数も変化する。
【0156】
そして、トイレシステム1は、排泄検知を行う(ステップS4)。トイレシステム1は、使用者の排泄を待つモード(「待機モード」ともいう)と、使用者の排泄を測定するモード(「測定モード」ともいう)とにより排泄検知を行う。例えば、トイレシステム1は、待機モードにおいては、一部の発光素子121(第1の発光素子121)のみに光を照射させ、使用者からの排泄物の落下を検知する。このように、待機モードにおいては、例えば、各波長の発光素子121のうち、不可視光域の波長又は不可視光域に近い波長領域(第1波長領域)の光を照射する第1の発光素子121のみが点灯する。例えば、待機モードにおいては、各波長の発光素子121のうち、700nm以上の波長領域(第1波長領域)の光を照射する第1の発光素子121のみが点灯する。すなわち、待機モードにおいては、上述した第1波長領域、第2波長領域、及び第3波長領域のうち、第1波長領域の光を照射する発光素子121のみが点灯する。そして、トイレシステム1は、待機モードにおいて排泄物の落下が検知された場合、モードを測定モードに切り替える。例えば、トイレシステム1は、測定モードにおいては、各波長の発光素子121ごとに順次点灯させ、落下する排泄物の測定(検知)を行う。このように、測定モードにおいては、例えば、不可視光域の波長又は不可視光域に近い波長領域(第1波長領域)の光を照射する第1の発光素子121を含む各波長の発光素子121が順次点灯する。例えば、測定モードにおいては、700nm以上の波長領域(第1波長領域)の光を照射する第1の発光素子121を含む各波長の発光素子121が順次点灯する。すなわち、測定モードにおいては、上述した第1波長領域、第2波長領域、及び第3波長領域等、各々が異なる波長の光を照射する発光素子121が順次点灯する。そして、トイレシステム1は、データ分析を行う。例えば、トイレシステム1は、測定モードにおいて測定したデータを用いて、使用者の排泄物の色や形状等、排泄物の性状に関する分析を行う。
【0157】
そして、トイレシステム1は、結果を表示する(ステップS5)。トイレシステム1は、データ分析が完了した場合、表示をオンにする。例えば、トイレシステム1は、使用者の排泄物の性状等、排泄物に関する分析結果を表示装置(例えば操作装置10の表示画面11等)に表示する。これにより、使用者は、自身の排泄物の性状を確認することができる。なお、上述した個人認証は、ステップS5における結果表示後でもよく、認証が無かった場合は、第2のメモリ20にデータを蓄積せずに削除する。トイレルームRの使用者からの個人認証が得られなかった場合、例えば、制御装置34は、その使用者の使用中に収集したデータを第2のメモリ20に転送(送信)することなく、そのデータを削除する。
【0158】
そして、トイレシステム1は、使用者の便座5からの離座やトイレルームRからの退室を検知する(ステップS6)。トイレシステム1は、着座検知センサ33による離座検知を基に、トイレルームR内の便座5からの使用者の離座を検知する。トイレシステム1は、人体検知センサ32による人体検知を基に、トイレルームRからの使用者の退室を検知する。トイレシステム1は、トイレルームRからの使用者の退室を検知した後、表示をオフにする。例えば、トイレシステム1は、トイレルームRから使用者が退室した場合、表示装置(例えば操作装置10の表示画面11等)に表示された結果を非表示にする。これにより、トイレシステム1は、使用者のプライバシを適切に保護することができる。
【0159】
<9-3.待機モード>
次に、待機モードの具体的動作について図20及び図21を参照して説明する。図20は、待機モードにおける処理の手順の一例を示すフローチャートである。図21は、待機モードにおけるタイムチャートの一例を示す図である。
【0160】
まず、図20を参照して待機モードの処理の流れについて説明する。図20に示すように、トイレシステム1において、制御装置34が受光部130からアナログデータを受け取る(ステップS101)。
【0161】
そして、トイレシステム1において、ADConverter341が、アナログデータをデジタルデータに変換する(ステップS102)。例えば、ADConverter341が、アナログデータのうち、所定の範囲のデータを削除したアナログデータをデジタルデータに変換する。例えば、ADConverter341が、アナログデータのうち、両端部の所定の範囲のデータを削除したアナログデータをデジタルデータに変換する。そして、トイレシステム1において、演算処理装置342が、デジタルデータを第1のメモリ344に記憶させる(ステップS103)。演算処理装置342は、ADConverter341により変換されたデジタルデータを第1のメモリ344に記憶させる。なお、演算処理装置342は、変換されたデジタルデータの一部を削除すると共に、残りのデジタルデータを第1のメモリ344に記憶させてもよい。
【0162】
そして、トイレシステム1は、排泄判定を行う(ステップS104)。例えば、トイレシステム1において、制御装置34が排泄判定を行う。例えば、制御装置34は、ROM343に記憶された排泄判定プログラムと、第1のメモリ344に記憶されたデジタルデータとを用いて、排泄判定を行う。例えば、制御装置34は、使用者の着座後に取得した初期データに対して、受光素子132の出力値が所定値以上変動したか否かを判定することより、排泄判定を行う。例えば、制御装置34は、使用者の着座後に取得した初期データに対して、受光素子132の出力値が所定値以上変動した場合、排泄が行われたと判定する。また、例えば、制御装置34は、使用者の着座後に取得した初期データに対して、受光素子132の出力値が所定値未満の変動である場合、排泄が行われていないと判定する。
【0163】
そして、トイレシステム1は、排泄が行われたと判定した場合(ステップS104:Yes)、待機モードを終了し、測定モードへ移行する。すなわち、トイレシステム1において、受光素子132が受光した光が、排泄物から反射した光であると判定された場合、待機モードを終了し、測定モードへ移行する。
【0164】
一方、トイレシステム1は、排泄が行われていないと判定した場合(ステップS104:No)、演算処理装置342が、第1のメモリ344に記憶されたデジタルデータを削除する(ステップS105)。すなわち、トイレシステム1において、受光素子132が受光した光が、排泄物から反射した光ではないと判定された場合、ステップS103において第1のメモリ344に記憶したデジタルデータを削除する。なお、演算処理装置342が、ステップS103において第1のメモリ344に記憶されたデジタルデータを上書き可能な状態にする等、削除可能にしてもよい。そして、トイレシステム1は、ステップS101に戻って処理を繰り返す。
【0165】
次に、図21を参照して待機モードのタイムチャートについて説明する。図21に示すように、待機モードにおいては、トイレシステム1の各種構成の処理が制御される。例えば、受光部130の電子シャッタや、第1の発光素子121や、第2の発光素子121や、第3の発光素子121や、ADConverter341等の構成の処理や、第1のメモリ344へのデータ転送等が制御される。
【0166】
第1の発光素子121は、不可視光域の波長又は不可視光域に近い波長の光を照射する。また、第2の発光素子121や、第3の発光素子121は、可視光域の波長の光を照射する。第2の発光素子121と第3の発光素子121とは、異なる波長の光を照射する。図21のタイムチャートに示す制御は、制御装置34により行われてもよい。
【0167】
電子シャッタは、所定の間隔でONとOFFとが切り替えられる。図21の例では、電子シャッタは、ONにしてから次にONするまでの間隔が、時間t1と時間t2との間の期間(第1期間)に制御される。例えば、電子シャッタがONの状態(開いている状態)において、受光部130の受光素子132による検知(撮像)が行われる。
【0168】
まず、図21の例では、電子シャッタは、時間t1においてONになる。そして、電子シャッタがONになった後、第1の発光素子121がONになり、発光を開始する。第1の発光素子121は、時間t1よりも後においてONになり、発光を開始する。すなわち、電子シャッタがONになった後、第1の発光素子121が発光を開始するように、第1の発光素子121が制御される。これにより、第1の発光素子121からの光が排泄物等に照射され、排泄物等からの反射光を受光部130が受光する。このように、トイレシステム1は、第1の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のアナログデータを収集する。
【0169】
そして、電子シャッタがOFFになった後、ADConverter341がONになり、受光部130により検知されたアナログデータのデジタルデータへの変換を行う。すなわち、電子シャッタがOFFの状態(閉じている状態)において、ADConverter341が受光部130により検知されたアナログデータのデジタルデータへの変換を行うように、ADConverter341が制御される。
【0170】
そして、ADConverter341がOFFになった後、第1のメモリ344へのデータ転送を行う。すなわち、ADConverter341によるアナログデータのデジタルデータへの変換が完了した後、第1のメモリ344へのデータ転送を開始するように、演算処理装置342が制御される。これにより、第1の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のデジタルデータが第1のメモリ344に格納される。このように、トイレシステム1は、第1の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のデジタルデータを収集する。
【0171】
そして、第1のメモリ344へのデータ転送が完了した後、電子シャッタが再びONになる。図21の例では、電子シャッタは、時間t2においてONになる。そして、電子シャッタがONになった後、第1の発光素子121が再びONになり、発光を開始する。第1の発光素子121は、時間t2よりも後において再びONになり、発光を開始する。すなわち、電子シャッタがONになった後、第1の発光素子121が発光を開始するように、第1の発光素子121が制御される。そして、待機モードにおいては、図21に示すように同様の処理が繰り返される。
【0172】
<9-4.測定モード>
次に、測定モードの具体的動作について図22及び図23を参照して説明する。図22は、測定モードにおける処理の手順の一例を示すフローチャートである。図23は、測定モードにおけるタイムチャートの一例を示す図である。
【0173】
まず、図22を参照して測定モードの処理の流れについて説明する。図22に示すように、トイレシステム1において、制御装置34が受光部130からアナログデータを受け取る(ステップS201)。
【0174】
そして、トイレシステム1において、ADConverter341が、アナログデータをデジタルデータに変換する(ステップS202)。例えば、ADConverter341が、アナログデータのうち、所定の範囲のデータを削除したアナログデータをデジタルデータに変換する。例えば、ADConverter341が、アナログデータのうち、両端部の所定の範囲のデータを削除したアナログデータをデジタルデータに変換する。そして、トイレシステム1において、演算処理装置342が、デジタルデータを第1のメモリ344に記憶させる(ステップS203)。演算処理装置342は、ADConverter341により変換されたデジタルデータを第1のメモリ344に記憶させる。なお、演算処理装置342は、変換されたデジタルデータの一部を削除すると共に、残りのデジタルデータを第1のメモリ344に記憶させてもよい。
【0175】
そして、トイレシステム1は、排泄判定を行う(ステップS204)。例えば、トイレシステム1において、制御装置34が排泄判定を行う。例えば、制御装置34は、ROM343に記憶された排泄判定プログラムと、第1のメモリ344に記憶されたデジタルデータとを用いて、排泄判定を行う。例えば、制御装置34は、使用者の着座後に取得した初期データに対して、受光素子132の出力値が所定値以上変動したか否かを判定することより、排泄判定を行う。なお、ステップS204における排泄判定は、図21中の待機モードにおけるステップS104の排泄判定と同様であってもよい。
【0176】
そして、トイレシステム1は、排泄が行われていないと判定した場合(ステップS204:No)、演算処理装置342が、排泄物からの光ではないと判定された期間が所定以上か否かを判定する(ステップS205)。例えば、トイレシステム1において、制御装置34が排泄物からの光ではないと判定された期間が所定以上か否かを判定する。
【0177】
トイレシステム1は、排泄物からの光ではないと判定された期間が所定以上であると判定した場合(ステップS205:Yes)、測定モードを終了する。トイレシステム1は、排泄物からの光ではないと判定された期間が所定期間以上であると判定した場合、使用者の排泄が一旦停止または終了したとして、測定モードを終了する。そして、トイレシステム1においては、演算処理装置342が、第2のメモリ20へデータ転送を行った後、再び待機モードへ移行する。例えば、演算処理装置342が、第1のメモリ344に記憶されたデジタルデータを第2のメモリ20へ送信した後、再び待機モードへ移行する。
【0178】
また、トイレシステム1は、排泄物からの光ではないと判定された期間が所定以上ではないと判定した場合(ステップS205:No)、ステップS201に戻って処理を繰り返す。トイレシステム1は、排泄物からの光ではないと判定された期間が所定期間未満であると判定した場合、使用者の排泄がすぐに再開される可能性があるとして、測定モードを維持する。
【0179】
一方、トイレシステム1は、排泄が行われたと判定した場合(ステップS204:Yes)、排泄物からの光であると判定された期間が所定以上か否かを判定する(ステップS206)。例えば、トイレシステム1において、制御装置34が排泄物からの光であると判定された期間が所定以上か否かを判定する。
【0180】
トイレシステム1は、排泄物からの光であると判定された期間が所定以上であると判定した場合(ステップS206:Yes)、測定モードを終了する。トイレシステム1は、排泄物からの光であると判定された期間が所定期間以上であると判定した場合、使用者の排泄物に関する情報が十分に収集されたとして、測定モードを終了する。そして、トイレシステム1においては、演算処理装置342が、第2のメモリ20へデータ転送を行った後、再び待機モードへ移行する。例えば、演算処理装置342が、第1のメモリ344に記憶されたデジタルデータを第2のメモリ20へ送信した後、再び待機モードへ移行する。
【0181】
また、トイレシステム1は、排泄物からの光であると判定された期間が所定以上ではないと判定した場合(ステップS206:No)、ステップS201に戻って処理を繰り返す。トイレシステム1は、排泄物からの光であると判定された期間が所定期間未満であると判定した場合、使用者の排泄物に関する情報が十分に収集されていないとして、測定モードを維持する。
【0182】
次に、図23を参照して測定モードのタイムチャートについて説明する。図23に示すように、測定モードにおいては、トイレシステム1の各種構成や処理が制御される。例えば、受光部130の電子シャッタや、第1の発光素子121や、第2の発光素子121や、第3の発光素子121や、ADConverter341等の構成の処理や、第1のメモリ344へのデータ転送等が制御される。なお、図21と同様の点についての説明は適宜省略する。
【0183】
第1の発光素子121は、不可視光域の波長又は不可視光域に近い波長の光を照射する。また、第2の発光素子121や、第3の発光素子121は、可視光域の波長の光を照射する。第2の発光素子121と第3の発光素子121とは、異なる波長の光を照射する。図23のタイムチャートに示す制御は、制御装置34により行われてもよい。
【0184】
電子シャッタは、所定の間隔でONとOFFとが切り替えられる。図23の例では、電子シャッタは、ONにしてから次にONするまでの間隔が、時間t11と時間t12との間の期間(第2期間)に制御される。図23に示す第2期間は、図21に示す第1期間と同じであってもよい。
【0185】
まず、図23の例では、電子シャッタは、時間t11においてONになる。そして、電子シャッタがONになった後、第1の発光素子121がONになり、発光を開始する。第1の発光素子121は、時間t11よりも後においてONになり、発光を開始する。これにより、第1の発光素子121からの光が排泄物等に照射され、排泄物等からの反射光を受光部130が受光する。このように、トイレシステム1は、第1の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のアナログデータを収集する。
【0186】
そして、電子シャッタがOFFになった後、ADConverter341がONになり、受光部130により検知されたアナログデータのデジタルデータへの変換を行う。そして、ADConverter341がOFFになった後、第1のメモリ344へのデータ転送を行う。これにより、第1の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のデジタルデータが第1のメモリ344に格納される。このように、トイレシステム1は、第1の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のデジタルデータを収集する。
【0187】
そして、第1のメモリ344へのデータ転送が完了した後、電子シャッタが再びONになる。図23の例では、電子シャッタは、時間t12においてONになる。そして、電子シャッタがONになった後、第2の発光素子121がONになり、発光を開始する。第2の発光素子121は、時間t12よりも後においてONになり、発光を開始する。すなわち、電子シャッタがONになった後、第2の発光素子121が発光を開始するように、第2の発光素子121が制御される。これにより、第2の発光素子121からの光が排泄物等に照射され、排泄物等からの反射光を受光部130が受光する。このように、トイレシステム1は、第2の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のアナログデータを収集する。
【0188】
そして、電子シャッタがOFFになった後、ADConverter341がONになり、受光部130により検知されたアナログデータのデジタルデータへの変換を行う。そして、ADConverter341がOFFになった後、第1のメモリ344へのデータ転送を行う。これにより、第2の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のデジタルデータが第1のメモリ344に格納される。このように、トイレシステム1は、第2の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のデジタルデータを収集する。
【0189】
そして、測定モードにおいては、図23に示すように同様の処理が繰り返される。例えば、次の繰り返しでは、トイレシステム1は、第3の発光素子121を発光させ、第3の発光素子121が照射する光に対応する排泄物のデジタルデータを収集する。
【0190】
<9-5.データ>
ここで、排泄情報収集の処理におけるデータについて、図24を参照して説明する。図24は、排泄情報収集の処理におけるデータの一例を示す図である。なお、以下ではデータの流れについて必要な構成や処理のみを記載し、発光部120の発光等についての説明は省略する。また、以下では測定モードでの処理を一例として説明するが、待機モードにおいても同様に処理されてもよい。
【0191】
まず、受光部130の受光素子132が検知を行う。受光部130は、N画素(Nは任意の数)のアナログデータAD1を検知する。受光部130は、検知したアナログデータAD1をADConverter341に送信する(ステップS11)。
【0192】
ADConverter341は、アナログ値のアナログデータAD1をデジタル値のデジタルデータに変換する。例えば、演算処理装置342は、ADConverter341にAD変換させる画素を判断して、N画素のアナログデータAD1のうち、ADConverter341に変換させる画素を決定する。演算処理装置342は、N以下の値「n」を決定し、ADConverter341に変換させる画素数「n」を決定する。例えば、演算処理装置342は、N以下の値を「n」に決定することにより、第1のメモリ344に記憶するデータ量が少なくすることができる。
【0193】
ADConverter341は、演算処理装置342による制御に応じて、N画素のアナログデータAD1のうち、所定の画素(n画素)のアナログデータをAD変換する。ADConverter341は、N画素のアナログデータAD1のうち、n画素のアナログデータをAD変換し、デジタルデータDD1を生成する。
【0194】
ADConverter341は、AD変換したデジタルデータDD1を第1のメモリ344に格納する(ステップS12)。ADConverter341は、演算処理装置342による制御に応じて、デジタルデータDD1を第1のメモリ344に格納する。第1のメモリ344には、記憶領域FM1に示すように、n画素のデジタルデータが格納される。
【0195】
そして、演算処理装置342は、第1のメモリ344に記憶されたn画素のデジタルデータに対する演算処理を行う(ステップS13)。例えば、演算処理装置342は、第1のメモリ344に記憶されたn画素のデジタルデータ(例えばデジタルデータDD1)に対する排泄判定を行う。例えば、演算処理装置342は、n画素のデジタルデータのうち、n-mの所定画素に対して、閾値判定を行う。なお、演算処理装置342は、n画素のデジタルデータに対して、閾値判定を行ってもよい。
【0196】
演算処理装置342は、閾値判定の結果に応じて、第1のメモリ344に対して処理を実行する(ステップS14)。演算処理装置342は、初期データに対して、受光素子132の出力値が所定値以上変動した画素数が、閾値未満である場合、記憶領域FM2に示すように、データを削除する。すなわち、受光素子132が受光した光が、排泄物から反射した光ではないと判定された場合、演算処理装置342は、第1のメモリ344に記憶したデジタルデータ(例えばデジタルデータDD1)を削除する。このように、演算処理装置342は、排泄物から反射した光の受光データではない場合、第1のメモリ344に一次的に記憶したそのデータを削除する。
【0197】
また、演算処理装置342は、初期データに対して、受光素子132の出力値が所定値以上変動した画素数が、閾値以上である場合、記憶領域FM3に示すように、データを蓄積する。すなわち、受光素子132が受光した光が、排泄物から反射した光であると判定された場合、第1のメモリ344に記憶したデジタルデータ(例えばデジタルデータDD1)を削除しない。これにより、演算処理装置342は、記憶領域FM3に示すように、所定時間または所定量になるまで第1のメモリ344にデータを蓄積する。
【0198】
<10.データ分析>
ここから、図25及び図26を用いて排泄物(大便)の形状や色等の性状に関するデータ分析について説明する。以下では、トイレシステム1の制御装置34が排泄物(大便)の形状や色等の性状に関するデータ分析の処理を実行する場合を一例として説明する。
【0199】
<10-1.排泄物の形状>
まず、排泄物の形状に関するデータ分析について図25を参照して説明する。図25は、排泄物の形状のデータ分析の一例を示す図である。
【0200】
図25中の対象物OB1は、検知(測定)対象とする大便(排泄物)を模式的に示し、対象物OB1を一例として、どのように排泄物の形状が測定(観測)されるかの概要を説明する。なお、以下の説明では、対象物OB1の長手方向を上下方向とし、長手方向と直交する方向(短手方向)を横方向として説明する。このような対象物OB1は、上下方向に沿う方向に落下する。
【0201】
各測定結果RS1~RS3は、各画素と、その反射率の関係を示すグラフである。各測定結果RS1~RS3は、対象物OB1の上下方向の各位置に対応する測定結果を示す。測定結果RS1は、対象物OB1の上端部に対応する測定結果を示す。測定結果RS2は、対象物OB1の上下方向における中央部に対応する測定結果を示す。測定結果RS3は、対象物OB1の下端部に対応する測定結果を示す。
【0202】
制御装置34は、受光素子132が受光した各画素の反射率の有無を検知する。制御装置34は、反射があった画素の中からピーク値を求める。各測定結果RS1~RS3では、中央部分がピーク値となる。例えば、制御装置34は、測定結果RS2では、画素X0がピーク値を有する画像であると特定する。
【0203】
制御装置34は、ピーク値を有する画素と隣り合う画素の反射率の差分を比較して所定値以上または所定値以下の反射率が確認された場合、排泄物からの反射光であると推定する。なお、制御装置34は、色についても同様に処理する。
【0204】
制御装置34は、排泄物からの反射光であると確認された場合、さらにその画素に対して隣り合う画素に同様の処理を行う。これによって、制御装置34は、排泄物の端を見極め、排泄物の幅を推定する。例えば、制御装置34は、測定結果RS2では、画素X1から画像X2までの範囲が排泄物であると推定する。制御装置34は、測定結果RS1では、測定結果RS2中の画素X1から画像X2までの範囲よりも狭い幅Lを排泄物の幅であると推定する。制御装置34は、各測定結果RS1~RS3等を積層することで、排泄物の形状を分析する。図25の例では、制御装置34は、測定結果RS2に対応する部分(中央部)が最も幅が広く、測定結果RS1に対応する部分(上端部)や、測定結果RS3に対応する部分(下端部)に向かうにつれて幅が狭くなる形状であると分析する。
【0205】
上述した処理により、使用者から便器7のボウル部8に向けて落下する対象物OB1を検知する。例えば、落下中の排泄物である対象物OB1は、発光部120や受光部130が臨む前方を下端部、中央部、上端部の順に通過することにより、下から上の順に検知される。具体的には、落下中の排泄物である対象物OB1は、測定結果RS3、測定結果RS2、測定結果RS1の順に検知される。これにより、トイレシステム1は、使用者から落下する排泄物(大便)を検知することができる。なお、トイレシステム1は、落下中の排泄物に限らず、落下後にボウル部8内の水に着水後の排泄物を対象に検知を行ってもよい。
【0206】
<10-2.排泄物の色>
まず、排泄物の色に関するデータ分析について図26を参照して説明する。図26は、排泄物の色のデータ分析の一例を示す図である。図26は、排泄物に含まれる血の検知に関するデータ分析の一例を示す図である。なお、図25と同様の点については、同じ符号を付すこと等により、適宜説明を省略する。
【0207】
図26中の対象物OB2は、仮想的な大便(排泄物)を示し、対象物OB2には中央部に血領域BDが含まれる点で、図25中の対象物OB1と相違する。図26に示す測定結果RS1~RS3は、血領域BDがない図25中の対象物OB1の測定結果RS1~RS3に対応する。
【0208】
制御装置34は、排泄物である対象物OB2に対して照射された複数の波長の光のうち、血に対して特徴的な反射率を有する波長の光に対するピーク値を有する画素を特定する。例えば、制御装置34は、排泄物である対象物OB2に対して照射された複数の波長の光のうち、血に対して特徴的な反射率を有する670nmの光に対するピーク値を有する画素を特定する。
【0209】
その後、制御装置34は、ピーク値を有する画素が検出した他の波長の光に対する反射率を算出する。制御装置34は、同画素が検出した670nmを含むその他の波長に対する反射率の比から色を推定する。図26に示す測定結果RS4が、対象物OB2のように血領域BDが含まれる箇所に対する測定結果を示す。例えば、図26に示す測定結果RS4が、670nmを含まない領域(例えば第1波長領域)の光を、対象物OB2の血領域BDを含む部分に照射した場合の測定結果を示す。
【0210】
なお、血に対して特徴的な反射率を有する波長は、670nmのみに限られず、600nm~800nmの範囲であっても良い。なぜなら、この波長帯域においては、便に血が付着していた場合、便の色よりも血の色に対する反射率が顕著に検出されるからである。
【0211】
ここで、排泄物と血との関係について、図27を参照して説明する。図27は、排泄物と血との関係の一例を示す図である。図27に示すグラフGR1は、各波長に対する便の反射と便に付着した血の反射との関係を示す図である。
【0212】
図27のグラフGR1中の線FL1は、排泄物(大便)に対する各波長(約600nm~約870nm)の反射率を示す。図27中の線FL1に示すように、排泄物(大便)の場合、波長が長くなるにつれて反射率が上昇する。図27中の線FL1に示すように、排泄物(大便)の場合、600nm付近の反射率が最も低く、870nm付近の反射率が最も高くなる。また、図27のグラフGR1中の線BD1は、便に付着した血(血液)に対する各波長(約600nm~約870nm)の反射率を示す。図27中の線BD1に示すように、便に付着した血(血液)の場合、670nm付近の反射率は線FL1との差が最も小さくなり、670nmから離れるにつれて反射率は線FL1との差が大きくなる。
【0213】
図27中のグラフGR1は、便の反射率に対する便に付着した血の反射率の比が、670nm付近で最も大きくなり、670nmから離れるにつれて小さくなる。このように、図27に示すグラフGR1は、670nmの波長においては便の反射率に対する便に付着した血の反射率の比が大きく、870nmの波長においては便の反射率に対する血の反射率の比が小さい。
【0214】
そのため、トイレシステム1は、上述のような各波長の反射率の比を基に、排泄物に含まれる血液を検知することができる。また、トイレシステム1は、上述のような各波長の反射率の比を基に、排泄物の色を分析することができる。この点について、図28及び図29を用いて説明する。図28及び図29は、排泄物の色のデータ分析の一例を示す図である。
【0215】
図28に示す測定結果RS11~RS13は、各々異なる色の排泄物(大便)を測定対象とした場合の測定結果を示す。例えば、測定結果RS11、RS12、RS13の順に測定対象となる排泄物(大便)の色が濃くなってもよい。例えば、測定結果RS11が黄土色の排泄物(大便)の測定結果であり、測定結果RS12が茶色の排泄物(大便)の測定結果であり、測定結果RS13が焦げ茶色の排泄物(大便)の測定結果であってもよい。
【0216】
また、図28の測定結果RS11~RS13の各々示すLED#1、LED#2、及びLED#3の各々は、光を照射する発光素子121であり、LED#1、LED#2、及びLED#3の各々の曲線は、画素と反射率との関係を示す。LED#1、LED#2、及びLED#3の各々は、例えば第1の発光素子、第2の発光素子、及び第3の発光素子のいずれかに対応してもよい。例えばLED#1は第3の発光素子であり、LED#2は第2の発光素子であり、LED#3は第1の発光素子であってもよい。なお、上記は一例であり、LED#1、LED#2、及びLED#3の各々は、どのような波長領域の光を照射する発光素子であってもよい。
【0217】
例えば、大便の色が濃い程、各波長に対する反射率が小さくなる。図28の例では、測定結果RS11~RS13のうち、排泄物(大便)の色が最も濃い測定結果RS13における各波長に対する反射率が小さくなり、それぞれの反射率の比が大きくなる。
【0218】
一方で、例えば、大便の色が薄い程、各波長に対する反射率が大きくなる。図28の例では、測定結果RS11~RS13のうち、排泄物(大便)の色が最も薄い測定結果RS11における各波長に対する反射率が大きくなり、それぞれの反射率の比が小さくなる。例えば、薄い色に近づくほど、各波長の光が強く反射されるため、各波長の反射率の差が小さくなる。
【0219】
そのため、トイレシステム1は、上述のような波長と反射率との関係性を基に分析することにより、排泄物(大便)の色を分類することができる。例えば、トイレシステム1は、図29に示す分類結果RS21のように、LED#1、LED#2、及びLED#3の各々に対する反射率の比を基に、測定結果RS11~RS13を分類することにより、各測定における排泄物(大便)の色を分類する。
【0220】
例えば、トイレシステム1は、LED#1の反射率とLED#2の反射率との比や、LED#3の反射率とLED#2の反射率との比を用いて、各測定結果RS11~RS13の排泄物(大便)の色を分類する。例えば、トイレシステム1は、「LED#1の反射率/LED#2の反射率」をX軸とし、「LED#3の反射率/LED#2の反射率」をY軸とし、各測定結果RS11~RS13の位置に応じて各測定における排泄物(大便)の色を分類する。例えば、トイレシステム1は、X軸方向にX1未満かつY軸方向にY1未満である場合、その測定における排泄物(大便)の色を「黄土色」に分類する。例えば、トイレシステム1は、X軸方向にX1以上X2未満かつY軸方向にY1以上Y2未満である場合、その測定における排泄物(大便)の色を「茶色」に分類する。例えば、トイレシステム1は、X軸方向にX2以上かつY軸方向にY2以上である場合、その測定における排泄物(大便)の色を「焦げ茶色」に分類する。なお、上記は一例であり、トイレシステム1は、どのような方法により、各測定における排泄物(大便)の色を分類してもよい。
【0221】
<11.排泄物の落下位置>
ここから、排泄物(大便)が落下すると想定される位置(仮想落下位置)について、図30を参照して説明する。図30は、大便の仮想落下位置の一例を示す図である。なお、上述したように、便座5の本体部3側を後方とし、便座5の本体部3から離れる側を前方とする。
【0222】
トイレシステム1は、種々の位置(範囲)を大便の仮想落下位置としてもよい。例えば、トイレシステム1は、便座5の平面視における便座5の開口50の範囲内を大便の仮想落下位置としてもよい。なお、以下に示すように、トイレシステム1は、開口50の範囲内のうち、所定の範囲を大便の仮想落下位置としてもよい。
【0223】
例えば、トイレシステム1は、図30中の範囲DR1を大便の仮想落下位置としてもよい。具体的には、トイレシステム1は、便座5の開口50を前方側と後方側で二分した時に後方側に位置する範囲DR1を大便の仮想落下位置としてもよい。トイレシステム1は、便座5の開口50の前後方向の中央を通る中心線LN2で、開口50を前後方向に二分し、後方に位置する範囲DR1を大便の仮想落下位置としてもよい。
【0224】
例えば、トイレシステム1は、図30中の範囲DR2を大便の仮想落下位置とすることが好ましい。具体的には、トイレシステム1は、便座5の開口50を前方側と後方側に二分する中心線LN2の中央と、便座5の開口50の左右中央における後端とを結ぶ直径を有する真円に囲まれた範囲DR2を大便の仮想落下位置としてもよい。トイレシステム1は、便座5の開口50の左右中央における後端(第1点)と、中心線LN2の中央(第2点)とを通る中心線LN1のうち、第1点と第2点との間の中点を中心とする円に囲まれた範囲DR2を大便の仮想落下位置としてもよい。
【0225】
例えば、トイレシステム1は、図30中の範囲DR3を大便の仮想落下位置とすることがより好ましい。具体的には、トイレシステム1は、便座5の開口50の左右中央における後端から70mm前方の位置を中心し、半径30mmを有する真円に囲まれた範囲DR3を大便の仮想落下位置としてもよい。トイレシステム1は、便座5の開口50の左右中央における後端(第1点)と、中心線LN2の中央(第2点)とを通る中心線LN1のうち、第1点から70mm前方の位置を中心し、半径30mmを有する真円に囲まれた範囲DR3を大便の仮想落下位置としてもよい。なお、上記は一例であり、トイレシステム1は、どのような範囲を大便の仮想落下位置としてもよい。
【0226】
<12.光量とサンプリングレートの関係>
ここから、発光部120が照射する光と他の構成の関係について、図31を参照して説明する。図31は、光量とサンプリングレートの関係を示す図である。図31では、トイレシステム1を対象とする場合を一例として説明するが、トイレシステム1に限らず、トイレシステム1A、1Bが対象であってもよい。なお、上述した各種構成や処理と同様の点については同様の符号を付す等して適宜説明を省略する。
【0227】
図31に示すグラフSR1は、各サンプリングレートにおける光量を示す測定結果を示す図である。図31に示すグラフSR1の測定条件は、例えば、トイレシステム1の便座5に着座した使用者の肛門下の40mmの位置における排泄物の落下速度が1.23m/sとする。
【0228】
なお、図31の例では、サンプリングレートはミリ秒(ms)を単位とする時間を示す。例えば、サンプリングレートは、受光制御の実行開始後、次の受光制御を実行するまでの間隔(時間)を示す。例えば、サンプリングレートは、図21図23に示すタイムチャートにおいては、一度電子シャッタがONになった後、次に電子シャッタがONになるまでの間隔(時間)を示す。図21の例では、時間t1から時間t2までの間隔(時間)が、サンプリングレートに対応する。また、図23の例では、時間t11から時間t12までの間隔(時間)が、サンプリングレートに対応する。図31に示す光量は、例えば、対応するサンプリングレート(時間)で1回の光を照射した場合における光量を示す。
【0229】
図31に示すグラフSR1は、サンプリングレートが0.2ミリ秒よりも短い所定の時間(例えば0.038ミリ秒)での光量を「1」とした場合における各サンプリングレートの光量を示す。
【0230】
図31に示す例では、サンプリングレートを0.2ミリ秒とした場合、その光量は「6」となる。すなわち、サンプリングレートを0.2ミリ秒とした場合、その光量は所定の時間の場合の6倍になる。この場合、制御装置34は、電子シャッタがONになった後、次に電子シャッタがONになるまでの間隔(時間)を0.2ミリ秒に制御する。すなわち、制御装置34は、5000回/秒以下の速度(サンプリングレート)で実行するように制御する。
【0231】
また、図31に示す例では、サンプリングレートを0.33ミリ秒とした場合、その光量は「10」となる。すなわち、サンプリングレートが0.33ミリ秒とした場合、その光量は所定の時間の場合の10倍になる。この場合、制御装置34は、電子シャッタがONになった後、次に電子シャッタがONになるまでの間隔(時間)を0.33ミリ秒に制御する。なお、サンプリングレートを0.33ミリ秒とした場合、スキャンイメージSC1に示すように、φ(直径)10mm領域に5種類の光が各5回スキャン(照射)される。
【0232】
また、図31に示す例では、サンプリングレートを1.6ミリ秒とした場合、その光量は「60」となる。すなわち、サンプリングレートが1.6ミリ秒とした場合、その光量は所定の時間の場合の60倍になる。この場合、制御装置34は、電子シャッタがONになった後、次に電子シャッタがONになるまでの間隔(時間)を1.6ミリ秒に制御する。なお、サンプリングレートを1.6ミリ秒とした場合、スキャンイメージSC2に示すように、φ(直径)10mm領域に1種類の光が各5回スキャン(照射)される。
【0233】
また、サンプリングレートを10ミリ秒とした場合、スキャンイメージSC3に示すように、φ(直径)10mm領域に1種類の光が各2回スキャン(照射)される。
【0234】
例えば、トイレシステム1では、0.2ミリ秒以上、10ミリ秒以下となる範囲RG1内の値をサンプリングレートとする。すなわち、トイレシステム1では、0.2ミリ秒以上、10ミリ秒以下の時間をサンプリングレートとする。制御装置34は、電子シャッタがONになった後、次に電子シャッタがONになるまでの間隔(サンプリングレート)を0.2ミリ秒以上、10ミリ秒以下に制御する。すなわち、制御装置34は、サンプリングレートを0.2ミリ秒以上~10ミリ秒以下の範囲内に制御する。言い換えると、制御装置34は、100回/秒以上、5000回/秒以下の速度(サンプリングレート)で実行するように制御する。制御装置34は、100回/秒以上~5000回/秒以下の範囲内の速度(サンプリングレート)で実行するように制御する。
【0235】
また、制御装置34は、電子シャッタがONになった後、次に電子シャッタがONになるまでの間隔(サンプリングレート)を0.33ミリ秒以上、1.6ミリ秒以下に制御してもよい。すなわち、制御装置34は、サンプリングレートを0.33ミリ秒以上~1.6ミリ秒以下の範囲内に制御してもよい。言い換えると、制御装置34は、625回/秒以上、3000回/秒以下の速度(サンプリングレート)で実行するように制御する。制御装置34は、625回/秒以上~3000回/秒以下の範囲内の速度(サンプリングレート)で実行するように制御する。
【0236】
例えば、φ(直径)5mmの大腸ポリープが見られれば、大腸癌の発症例における99%の人に対して効果のある装置を提供できることが知られている。そのため、φ(直径)5mmの領域における色を判定可能であれば、大腸癌の発症につながる大腸ポリープを適切に検出することができる。
【0237】
<13.10ミリ秒より長い受光制御の間隔>
なお、上述した例では、受光制御の間隔(上記では「サンプリングレート」とも記載)を10ミリ秒以下とする場合を示したが、受光制御の間隔は10ミリ秒より長くてもよい。例えば、受光制御の間隔は、10ミリ秒以下に限らず、50ミリ秒以下、100ミリ秒以下、300ミリ秒以下、または600ミリ秒以下のいずれかに制御されてもよい。以下、受光制御の間隔が10ミリ秒、50ミリ秒、100ミリ秒、300ミリ秒、及び600ミリ秒の各々について説明する。
【0238】
まず、受光制御の間隔が10ミリ秒である場合を説明する。ここでは、φ(直径)10mmの球状の便が検知対象である場合を一例として説明する。このようにφ10mmの球状の便の場合、後述する100mm程度の便の場合と異なり、肛門下40mmの位置では既に肛門に便が繋がっておらず、便全体が肛門下40mmの位置を1.23m/sで通過する。この前提を基に、10ミリ秒~600ミリ秒の受光制御の間隔について以下説明する。
【0239】
受光制御の間隔を10ミリ秒とした場合、上述したようにφ10mmの領域に1種類の光が各2回スキャン(照射)されるので、2回スキャンにより取得された情報(画像)の差異により、光を照射した便の模様を検知することができる。ここでいう模様とは、便表面の凹凸や色の変化等、便表面に生じる様々な変化を含む概念である。したがって、受光制御の間隔を10ミリ秒として、φ10mmの便に1種類の光を照射した場合、便の模様の有無がわかる。
【0240】
また、受光制御の間隔が10ミリ秒の場合、φ10mmの領域に2種類の光が各1回スキャン(照射)されるので、2回スキャンにより取得された情報(画像)の差異により、光を照射した便の代表色を推定することができる。このように、波長の異なる2種類の光を便に照射することで、その反射強度の差異により便の代表色を推定できる。例えば、波長の異なる2種類の光の便からの反射強度の差分や傾きを基に、便の代表色を推定することができる。
【0241】
ここで、普通の便の量は、100g~250gと言われており、長さは100mm程度とされている。この場合、肛門下40mmの位置では、肛門に便が繋がった状態で排泄されている。そのため、肛門に繋がった状態での便は、下端から60mmまでは落下しておらず、便が肛門から排出される速度と同じあり、排出速度は、0.05m/sである。例えば、便の長さを100mmとした場合、その便は、先端から60mmの範囲が、0.05m/sで肛門下40mmの位置を通過し、残りの40mmから終端の範囲が、0.89m/sで肛門下40mmの位置を通過する。この前提を基に、50ミリ秒以下、100ミリ秒以下、300ミリ秒以下、または600ミリ秒以下の各々の受光制御の間隔について説明する。
【0242】
受光制御の間隔が50ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に1種類の光が25回スキャン(照射)されるので、便に含まれる水分量が少なくなることで便表面に現れるひび割れの模様がわかり、便の水分量に応じた便の性状を推定することができる。受光制御の間隔が50ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に2種類の光が各12回スキャン(照射)されるので、便の色の分布がわかる。
【0243】
また、受光制御の間隔が100ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に1種類の光が12回スキャン(照射)されるので、便の輪郭がわかる。そして、便の輪郭がわかることから、便に含まれる水分が多くて便の形状が崩れているのか、水分が少なくて便の形状が保っていられるかがわかる。上述したように、長さ100mmの便の場合先端から60mmの範囲が0.05m/sで肛門下40mmの位置を通過するため、受光制御の間隔が100ミリ秒の場合、12回(=60(mm)/50(mm/s)/0.1(s/回))スキャンすることができる。
【0244】
受光制御の間隔が300ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に1種類の光が4回スキャン(照射)されるので、便の有無がわかる。また、受光制御の間隔が300ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に2種類の光が2回スキャン(照射)されるので、便の代表色を推定することができる。
【0245】
また、受光制御の間隔が600ミリ秒の場合、長さ100mmの領域に1種類の光が2回スキャン(照射)されるので、便の有無がわかる。
【0246】
なお、受光制御の間隔(サンプリング周期)を長くするほど、制御が容易になり、データ量の増大を抑制することができる。言い換えると、サンプリング周波数を低く(サンプリング速度を遅く)するほど、制御が容易になり、データ量の増大を抑制することができる。また、受光制御の間隔を長くするほど、同じ出力強度の光源(発光素子121等)で受光時間を長くすることができ、受光時間が長くなる分、多くの光(便からの反射光)をセンサ(受光素子132等)に取り込むことができる。
【0247】
次に、図32を用いて受光制御の間隔ごとの便の画像について説明する。図32は、受光制御の間隔ごとの便の画像を示す図である。図32は、光検出器(受光素子)が一次元に並んだラインセンサ(受光素子132に対応)を備える便座装置(便座装置2に対応)を用いて、実際に排泄され、大便器内の封水に着水する前の便を連続的にサンプリングして取得したデータを示す。図32の例では、カチカチ便(硬い便)を一例として示す。具体的には、図32で例示する便は、水分が少なく、表面に凹凸の多い便である。
【0248】
便の外表面のうち、黄色や薄い黄土色など、明るい色の部分からの反射率は高い。つまり、受光素子が受光する光量が多い。一方で、こげ茶色など濃い色の部分や、水分が少なく便の外表面に凹凸があるときに生じる影の部分からの反射率は低く、受光素子が受光する光量は少ない。受光素子が一次元に並んだラインセンサで、横方向に便を撮像する(捉える)場合、色や影によって強弱のあるデータが得られる。図32の各々の画像は、横方向に便を撮像した一次元のデータを、縦方向に連続して並べて2次元の画像とした場合を示す。図32の画像中の便の模様が、色の違いか、影かを区別するには、例えば、異なる2波長以上の光を連続的に便に照射する。そして、各波長の光の反射率を相対比較することにより、図32の画像中の便の模様が色の違いまたは影のいずれであるかを区別することができる。
【0249】
受光制御の間隔が10ミリ秒の場合、図32中の画像IM1に示すように、便の詳細な模様がわかる。具体的には、受光制御の間隔が10ミリ秒の場合、図32中の画像IM1中の白色の領域に、主に線状の細かな黒色の領域が混在しており、便の詳細な模様がわかる。このように、受光制御の間隔が10ミリ秒の場合、便の詳細な模様がわかるので、ブリストルスケールの様に、便に含まれる水分量が推定できる。
【0250】
また、受光制御の間隔が50ミリ秒の場合、図32中の画像IM2に示すように、便の模様がわかる。具体的には、受光制御の間隔が50ミリ秒の場合、図32中の画像IM2中の上下方向に延びる白色の領域の上側の部分に黒色の領域が混在しており、便の模様がわかる。このように、受光制御の間隔が50ミリ秒の場合、便の模様がわかるので、便が硬い(水分が少ない)、普通、やわらかい(水分が多い)等のおおよその水分量が推定できる。
【0251】
また、受光制御の間隔が100ミリ秒の場合、図32中の画像IM3に示すように、便の形状がわかる。具体的には、受光制御の間隔が100ミリ秒の場合、図32中の画像IM3中の左右方向の中央部から右方側に上下方向に延びる白色の領域が形成されており、この白色の領域により便の形状がわかる。このように、受光制御の間隔が100ミリ秒の場合、便の形状がわかるので、形状が崩れている(水分が多い)、形状が保たれている(水分が少ない又は普通)等の便の輪郭が推定できる。
【0252】
また、受光制御の間隔が300ミリ秒の場合、図32中の画像IM4に示すように、便のおよその形状がわかる。具体的には、受光制御の間隔が300ミリ秒の場合、図32中の画像IM4中に上下方向に延びる線状の白色の領域があり、この白色の領域により便のおよその形状がわかる。このように、受光制御の間隔が300ミリ秒の場合、便のおよその形状がわかるので、便の存在の有無と大きさがわかる。
【0253】
また、受光制御の間隔が600ミリ秒の場合も、図32中の画像IM5に示すように、便が通過したことがわかる。具体的には、受光制御の間隔が600ミリ秒の場合、図32中の画像IM5中に上下方向に延びる線状の白色の領域があり、この白色の領域により便が通過したことがわかる。このように、受光制御の間隔が600ミリ秒の場合、便が通過したことがわかるので、便の存在の有無がわかる。図32に示すように、受光制御の間隔を短くするほど便についての詳細な情報を得ることができる。
【0254】
なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0255】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0256】
R トイレルーム
1 トイレシステム
2 便座装置
20 第2のメモリ
3 本体部
30 本体カバー
31 開口
31b 開口
32 人体検知センサ
33 着座検知センサ
34 制御装置(制御部)
341 ADConverter
342 演算処理装置
343 ROM
344 第1のメモリ
4 便蓋
5 便座
6 洗浄ノズル
60 ノズル用蓋
7 洋式大便器(便器)
71 電磁弁
8 ボウル部
9 リム部
10 操作装置
11 表示画面
100 光学ユニット
110 蓋部
111 アクチュエータ
120 発光部
121 発光素子
130 受光部
131 レンズ
132 受光素子
133 ケース
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