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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】フォイル軸受の劣化診断装置
(51)【国際特許分類】
   G01M 13/04 20190101AFI20241016BHJP
   F16C 27/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01M13/04
F16C27/02 A
【請求項の数】 1
(21)【出願番号】P 2021025738
(22)【出願日】2021-02-19
(65)【公開番号】P2022127541
(43)【公開日】2022-08-31
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100071216
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 昌毅
(74)【代理人】
【識別番号】100130395
【弁理士】
【氏名又は名称】明石 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】大江 哲之
【審査官】前田 敏行
(56)【参考文献】
【文献】特開2002-364643(JP,A)
【文献】特開平02-147922(JP,A)
【文献】特開平01-242817(JP,A)
【文献】実開昭63-105069(JP,U)
【文献】特開2009-287654(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0118257(US,A1)
【文献】韓国公開特許第2002-0062078(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01M 13/04
F16C 27/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転体を回転可能にその回転軸線に対して放射方向に於いて支持するフォイル軸受のフォイルの劣化の程度を診断する装置であって、
前記回転体が挿通する前記軸受のハウジングに対する前記回転体の前記回転軸線に対して垂直方向の位置を検出する位置センサと、
前記位置センサにより検出された前記回転体の前記位置の変動幅に基づいて前記フォイルの劣化の程度を判定するフォイル劣化判定手段と
を含み、
前記フォイル劣化判定手段が、前記回転体の位置の変動幅が、一旦増大した後、増大から低減に転じたときに、前記フォイルの劣化の程度が交換の必要な程度に達したと判定するよう構成されている装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラジアル軸受の形式のフォイル軸受(ラジアルフォイル軸受)に係り、より詳細には、かかるフォイル軸受のフォイルの劣化の程度を診断する装置に係る。
【背景技術】
【0002】
ラジアルフォイル軸受(以下、本明細書に於いて、単に「フォイル軸受」と称する。)は、軸状の回転体の表面と、その回転体が貫通する円筒内面との間に介装された可撓性のフォイルが回転体を回転可能に支持する軸受面を成し、空気を作動流体とする空気軸受の一種である。かかるフォイル軸受は、例えば、ガスタービン、ターボチャージャ、エアコンプレッサなどの種々の回転機械の回転軸を支持するための軸受として利用され、種々の構造が提案されている。例えば、特許文献1に於いては、フォイル軸受のフォイルの表面の耐摩耗性や耐久性を向上させるために、フォイルに適用される被膜について、耐摩耗性、フォイルに対する密着性及び柔軟性を備えた被覆として、マトリックス樹脂に少なくともフッ素樹脂と黒鉛とを含み、引張せん断接着強さが25MPa以上のものを用いることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2019-108968
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の如きフォイル軸受は、継続して使用され、運転時間が長くなると共に、薄膜で形成されたフォイル部分が変形して劣化し、回転体とフォイルとの間のクリアランスが拡大する。軸受に回転可能に支持される回転体の挙動は、かかる回転体とフォイルとの間のクリアランスによって変化するので、安定した回転挙動を維持するには、回転体とフォイルとの間のクリアランスを適正に管理すべく、フォイルの劣化が進んだときに、その交換が必要となるところ、フォイルの劣化状態の診断に於いて、従前では、軸受が分解され、内部のフォイルを直接に確認するといったことが行われており、手間と労力を要するものとなっていた。従って、もし軸受を分解しなくてもフォイルの劣化状態を診断できる手法があれば、有用である。
【0005】
かくして、本発明の一つの課題は、上記の如きラジアルフォイル軸受に於いて、回転体とフォイルとの間のクリアランスの拡大に対応したフォイルの劣化の程度を、軸受を分解せずに診断することのできる構成を提供することである。
【0006】
この点に関し、本発明の発明者は、フォイル軸受に於いて、回転体とフォイルとの間のクリアランスの拡大に対応して、回転中の回転体の半径方向の位置の変動の幅が変化することが観察され、これにより、かかる回転体の位置の変動の幅の変化を参照することで、クリアランスの拡大、即ち、フォイルの劣化の程度を診断可能であることを見出した。この知見は、本発明に於いて利用される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、上記の課題は、回転体を回転可能にその回転軸線に対して放射方向に於いて支持するフォイル軸受のフォイルの劣化の程度を診断する装置であって、
前記回転体が挿通する前記軸受のハウジングに対する前記回転体の前記回転軸線に対して垂直方向の位置を検出する位置センサと、
前記位置センサにより検出された前記回転体の前記位置の変動幅に基づいて前記フォイルの劣化の程度を判定するフォイル劣化判定手段と
を含む装置
によって達成される。
【0008】
上記の構成に於いて、「フォイル軸受」は、上記の如く、ガスタービン、ターボチャージャ、エアコンプレッサなどの種々の回転機械の回転軸を支持するために使用されるラジアル軸受であってよい。フォイル軸受は、機械等の本体や枠部材などに固定され、回転体が挿通される開口を有するハウジングと、ハウジングの内壁面と回転体の外表面との間に介装される可撓性のフォイルとを有し、回転体が回転すると、フォイルと回転体との間に空気が作動流体となって引き込まれて、回転体がその回転軸線に対して放射方向に於いて支持されることとなる。「位置センサ」は、上記の如く、軸受のハウジングに対する回転体の回転軸線に対して垂直方向の位置を検出することが可能な任意のセンサであってよく、具体的には、光学式に或いは電磁式に、非接触に、回転体の表面とセンサとの間の距離を計測するギャップセンサ又はかかる距離の変化を検出する変位センサであってよい。「フォイル劣化判定手段」は、変位センサにより逐次的に検出される回転体の位置の変動幅を算出又は計測して、その回転体の位置の変動幅に応じて、フォイルの劣化の程度を判定するよう構成される。回転体の位置の変動幅は、回転体が軸受内で、例えば、任意に設定されてよい所定の角度にて回転する間、若しくは、少なくとも一回転する間に於ける位置の変動幅であってよい。或いは、回転機械の運転の実行毎に、回転体の位置の変動幅の最大値を計測し、その計測された変動幅の最大値によりフォイルの劣化の程度を評価するようになっていてよい。フォイル劣化判定手段は、具体的には、コンピュータ装置又は電子回路装置の作動などにより実現されてよい。
【0009】
上記の本発明の装置の構成に於いては、端的に述べれば、後に詳細に説明される如く、フォイル軸受内にて回転中の回転体の回転軸線に対して垂直方向(即ち、放射方向)に於ける回転体の位置の変動幅が、フォイルの劣化の程度に対応するとの知見に基づき、かかる回転体の位置の変動幅を位置センサにより検出して、その検出結果に基づいてフォイルの劣化の程度が診断される。かかる構成によれば、フォイル軸受のフォイルの劣化の診断に於いて、軸受を分解して内部のフォイルの状態を観察するなどの手間と労力を要する作業が不要となり、従前に比して簡便にフォイルの劣化の診断が達成できることとなる。
【0010】
上記の本発明の装置の構成に於いて、より具体的には、回転体の位置の変動幅に応じて、フォイルの劣化の程度がフォイル(又は軸受そのもの)の交換の必要な程度であるか否かが判定されてもよい。実施の形態に於いては、予め、回転体の位置の変動幅とフォイルの劣化の程度との関係を実験的に調べておき、その関係により、回転体の位置の変動幅の計測量に応じて、フォイルの劣化の程度がフォイルの交換が必要な程度か否かを評価するようになっていてよい。この点に関し、後に説明される如く、本発明の発明者による実験的な研究によれば、回転体の位置の変動幅は、フォイルの劣化の進行、即ち、クリアランスの拡大と共に、一旦増大し、ある程度までフォイルの劣化が進むと、回転体の位置の変動幅は、減少に転じることが見いだされた。そこで、一つの態様に於いては、フォイル軸受の使用と共に、回転体の位置の変動幅が増大から低減に転じたときに、フォイルの劣化の程度が交換の必要な程度に達したと判定するようになっていてよい。例えば、回転機械の運転毎に若しくは所定の運転時間毎に回転体の位置の変動幅の最大値を計測し、その変動幅の最大値が増加から減少に転じたときに、フォイルの劣化の程度が交換の必要な程度に達したと判定するようになっていてよい。
【発明の効果】
【0011】
かくして、上記の本発明のフォイル軸受のフォイルの劣化の程度を診断する装置に於いて、軸受内にて回転中の回転体の位置の変動幅を観測することにより、フォイルの劣化の程度の診断が可能となる。かかる構成によれば、フォイルの劣化の程度を軸受を分解せずに判定又は診断できるので、フォイルの劣化の診断又は交換に要する手間と労力とが大幅に軽減されることが期待される。本発明の構成は、任意のフォイル軸受が備えられた回転機械に搭載されてよい。
【0012】
本発明のその他の目的及び利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の説明により明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1(A)は、本実施形態によるフォイル軸受の劣化診断装置が適用されるフォイル軸受の、回転体の回転軸線cの方向から見た模式的な断面図であり、図1(B)は、本実施形態によるフォイル軸受の劣化診断装置が適用されたフォイル軸受の回転体の回転軸線cに対して垂直な方向からみた模式的な断面図である。
図2図2は、本実施形態によるフォイル軸受の劣化診断装置が適用されるフォイル軸受の模式的な拡大断面図である。
図3図3は、フォイル軸受に支持された回転体の回転中に於ける、軸受ハウジングに対する回転体の(中心の)位置の(回転軸線に対して垂直な方向の)変位の計測例である。
図4図4は、フォイル軸受に於けるフォイルと回転体表面との間のクリアランスに対する回転中の回転体の中心の位置の変位の幅(振れ回り量)の変化を示したグラフ図である。
図5図5は、本実施形態によるフォイル軸受の劣化診断装置に於いて、フォイルの劣化状態に応じて、フォイルの交換時期を提示する処理をフローチャートの形式で示した図である。
【符号の説明】
【0014】
1…フォイル軸受
2…軸受ホルダ
3…軸受ハウジング
4…回転体
5…フォイル
6…位置センサ(ギャップセンサ)
10…演算装置
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
フォイル軸受とその劣化診断装置の構成
本実施形態のフォイル軸受のフォイル劣化診断装置は、ガスタービン、ターボチャージャ、エアコンプレッサなどの種々の回転機械の回転軸を支持するために使用されるラジアル軸受の形態のフォイル軸受に適用される。図1(A)を参照して、フォイル軸受1は、回転機械の本体などに固定されて開口を有する軸受ホルダ2と、その軸受ホルダ2の開口に保持される略環状の軸受ハウジング3とを有し、軸受ハウジング3の環状構造の内壁面に空隙をもって軸状の回転体4が挿通し、軸受ハウジング3の内壁面と回転体4の外表面との空隙に可倒性のフォイル(薄膜部材)5が介装される。フォイル軸受1の作動に於いては、回転体4が回転軸線c周りに矢印rにて示されているように回転し、回転数が或る程度高くなると、空気がフォイル5と回転体4との間に引き込まれ、その空気が作動流体となって層状になり、これにより、回転体4が、回転軸線cから放射方向に実質的に殆ど変位しないように、回転軸線c周りに回転可能に支持されることとなる。
【0016】
本実施形態のフォイル軸受のフォイル劣化診断装置に於いては、上記のフォイル軸受1に於いて回転中の回転体4の回転軸線cに対して垂直方向の変位を検出すべく、回転体4の位置を検出する位置センサ又はギャップセンサ6が設けられる。センサ6は、軸受ハウジング3に対して固定され、軸受ハウジング3に対する回転体4表面の位置が検出可能なセンサであれば、任意のものであってよい。センサ6としては、典型的には、センサ6の先端から回転体4表面までの距離を非接触式に、例えば、光学式(レーザー式、LED式)に、又は、電磁式(渦電流式など)に、計測するものが有利に用いられる。なお、図では、センサ6は、一方向の位置のみを計測するよう設けられているが、二つ以上の異なる方向(x方向とy方向)を計測するように二つ以上設けられていてもよい。そして、回転体4の回転中に、センサ6により逐次的に検出された軸受ハウジング3に対する回転体4表面の位置の検出値が任意の形式の演算装置10へ送られ、演算装置10は、以下に説明される如く、回転体の位置の変動幅である振れ回り量を算出し、その算出結果に基づいて、フォイルの劣化の程度の判定或いはフォイルの交換時期の提示を実行する。演算装置10は、通常の形式の、双方向コモン・バスにより相互に連結されたCPU、ROM、RAM及び入出力ポート装置を有するコンピュータ及び駆動回路を含むコンピュータ装置により構成されてよく、その作動は、プログラムに従ったコンピュータ装置の作動により実現されてよい。
【0017】
フォイル軸受のフォイルの劣化について
図2に模式的に描かれている如く、フォイル軸受1のフォイル5と回転体4との間にはクリアランス(空隙)CLが設けられ、回転体4の回転中には、クリアランスCLに空気が作動流体となって進入する。かかる構造に於いて、「発明の概要」の欄に於いても述べた如く、フォイル軸受の使用時間が長くなると共に、フォイル5は、変形して劣化し、図2に於いて点線と矢印にて示されているように、回転体とフォイルとの間のクリアランスCLが拡大する。そして、フォイル5の劣化が進み、クリアランスCLが過剰に拡大したときには、回転体の回転挙動が不安定となり得るので、フォイル5又は軸受そのものを交換することが好ましい。この点に関し、従前では、フォイルの劣化の程度を診断するには、軸受を分解してフォイルの状態を確認するといったことが必要となり、手間と労力を要するものとなっていた。
【0018】
そのようなフォイルの劣化によるクリアランスCLの拡大に関して、本発明の発明者の研究によれば、フォイル軸受に於いて、回転体4は、その回転中に、回転軸線cに対して垂直方向の位置がわずかに変動するところ、かかる回転体4の回転軸線cに対して垂直方向の位置の変動幅が、フォイルの劣化によるクリアランスCLの拡大の程度に対応して変化することが見いだされた。より具体的には、図1(B)に描かれている如く、軸受ハウジングに対する回転体4の回転軸線cに対して垂直方向の位置を検出した場合、かかる位置は、図3に例示されている如く変動することが観察された。なお、図3の回転体の変位は、フォイル軸受の回転体の軸方向の幅20mm、回転体の直径30mmの構造に於いて、定格回転数110krpm(無負荷状態)の条件にて、非接触式のギャップセンサ(渦電流式変位センサPU-03A 株式会社電子応用)を用いて計測した。そして、回転体の位置の変動幅である振れ回り量を観測すると、かかる振れ回り量は、フォイルのクリアランスに対して、図4に示されている如く、変化することが見いだされた。特に、振れ回り量は、同図から理解される如く、クリアランスの増大と共に、一旦増大し、更に、クリアランスが増大すると、減少することが明らかになった。この知見によれば、フォイル軸受に支持されている回転体の回転中に、非接触式の位置センサ又はギャップセンサにより回転体の位置を検出して、最大振れ回り量を参照することにより、フォイルのクリアランスの状態、即ち、フォイルの劣化の程度を判定できることが理解される。
【0019】
フォイルの劣化診断
上記の如く、フォイル軸受に支持されている回転体の回転中の振れ回り量からフォイルの劣化の程度を判定できるので、本実施形態の装置に於いては、既に述べた如く、センサ6により、軸受ハウジング3に対する回転体4の位置を逐次的に検出し、その位置の変動幅である振れ回り量を算出し、振れ回り量に基づいて、クリアランスの大きさに対応するフォイルの劣化の程度が診断される。振れ回り量は、回転体が任意に設定されてよい回転角に亙って回転したときの位置の変動幅であってよく、例えば、回転体が少なくとも一回転する間の位置の変動幅であってよく、或いは、回転機械を所定時間に亙って運転したとき、或いは、一回の運転(運転開始から運転終了まで)に於ける位置の変動幅の最大値であってもよい(最大振れ回り量)。そして、振れ回り量に対応させてクリアランスの大きさ又はフォイルの劣化の程度が決定されてよい。その際、予め実験などにより、振れ回り量とクリアランスの大きさ又はフォイルの劣化の程度との関係を求めておき、その関係を用いて、振れ回り量又は最大振れ回り量に対応したクリアランスの大きさ又はフォイルの劣化の程度が決定されてよく、更に、その決定に基づいて、フォイルの交換時期の提示がなされてよい。
【0020】
ところで、図4に関連して既に述べた如く、フォイル軸受に於いては、振れ回り量は、同図から理解される如く、クリアランスの増大と共に、一旦増大し、更に、クリアランスが増大すると、減少する。この点に関し、クリアランスの増大と共に振れ回り量が増大から減少に転じるのは、クリアランスが過大となり、フォイルの内側で回転体が十分に浮き上がるだけの空気圧が発生しにくくなっているためと考えられるので、振れ回り量が増大から減少に転じたときに、フォイル軸受が有効に機能するように、フォイルの交換時期が提示されるようになっていてよい。その場合、図5に示されている如き処理により、フォイルの交換時期の提示が為されてよい。同図を参照して、具体的には、回転体が運転開始され(ステップ1)、回転数が増加し、回転体が軸受の底部から浮上してから(ステップ2)、回転体の位置の計測が逐次的に開始される(ステップ3)。そして、回転体の運転が終了されると(ステップ4)、今回の運転に於ける最大振れ回り量A、即ち、回転体の位置の最大値と最小値との距離が算出され、記憶される一方(ステップ5)、前回の運転に於ける最大振れ回り量At-1が読み出され(ステップ6)、AとAt-1が比較される(ステップ7)。ここで、A>At-1であれば、振れ回り量が増大の途中にあるので、そのまま、次回の運転が実行されるようになっていてよい。一方、A<At-1であれば、振れ回り量が増大から減少に転じたことになるので、フォイルの劣化が相当程度進んでいると判定でき、従って、フォイルの交換時期の提示が実行されてよい(ステップ8)。
【0021】
かくして、上記の本実施形態の装置によれば、回転機械に用いられるフォイル軸受に於いて、フォイル軸受を分解することなく、フォイルの劣化の程度を診断することが可能となり、フォイル軸受の管理に於いて、手間と労力とが大幅に軽減されることが期待される。
【0022】
以上の説明は、本発明の実施の形態に関連してなされているが、当業者にとつて多くの修正及び変更が容易に可能であり、本発明は、上記に例示された実施形態のみに限定されるものではなく、本発明の概念から逸脱することなく種々の装置に適用されることは明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5