(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
B60K 35/21 20240101AFI20241016BHJP
G01D 11/24 20060101ALI20241016BHJP
B60R 11/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B60K35/21
G01D11/24 Z
B60R11/04
(21)【出願番号】P 2021025834
(22)【出願日】2021-02-22
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000231512
【氏名又は名称】日本精機株式会社
(72)【発明者】
【氏名】後藤 彰大
【審査官】稲本 遥
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-156040(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2011/0227876(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60K 35/00-37/20
G01D 11/24
B60R 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、
前記表示手段を収容するケース部材とを備え、
前記撮像手段は、前記ケース部材に設けた貫通孔部に対応するように
前記ケース部材の反視認者側に配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項2】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、
前記表示手段を収容するケース部材とを備え、
前記撮像手段は、赤外光を透過可能な機能を有する前記ケース部材の反視認者側に配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項3】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と
、
赤外光を透過する機能と前記表示手段へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材と
、前記表示手段とを収容するケース部材とを備え、
前記光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成とし、
前記撮像手段は、前記ケース部材に設けた貫通孔部に対応するように前記ケース部材の反視認者側に配置されることを特徴とする表示装置。
【請求項4】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、
赤外光を透過する機能と前記表示手段へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材と、前記表示手段とを収容するケース部材とを備え、
前記光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成とし、
前記撮像手段は、赤外光を透過可能な機能を有する前記ケース部材の前記反視認者側に配置されることを特徴とす
る表示装置。
【請求項5】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部とを備え、
赤外光を透過する機能と前記表示手段へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成とし、
前記光制御部材は、その母材となる透光性基材と、前記赤外光を透過するように前記透光性基材の前記視認者側に設けられる赤外光透過部と、前記可視光を拡散させるように前記透光性基材の前記反視認者側に設けられる光拡散部とを備え、
前記光拡散部は、前記撮像手段に対応する対応領域を避けるように前記透光性基材の前記反視認者側に設けられることを特徴とす
る表示装置。
【請求項6】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、
前記表示手段を収容するケース部材と、
可視光を前記表示手段へと導くように前記表示手段と前記撮像手段との間に設けられる導光部材とを備え、
前記撮像手段は、前記ケース部材に設けた貫通孔部に対応するように配置され、
前記導光部材の所定の側面部に対応するように可視光を発する可視光源を設け、
前記撮像手段側となる前記導光部材の面部に粗面部を設け、
前記粗面部は、前記撮像手段に対応する対応部を避けるように前記面部に設けられていることを特徴とす
る表示装置。
【請求項7】
所定情報を表示する表示手段と、
前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、
赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部とを備え、
赤外光を透過する機能と前記表示手段へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成とし、
さらに可視光を前記表示手段へと導くように前記光制御部材と前記撮像手段との間に設けられる導光部材を備え、
前記導光部材の所定の側面部に対応するように可視光を発する可視光源を設け、
前記撮像手段側となる前記導光部材の面部に粗面部を設け、
前記粗面部は、前記撮像手段に対応する対応部を避けるように前記面部に設けられていることを特徴とす
る表示装置。
【請求項8】
可視光を前記表示手段へと導くように前記表示手段と前記撮像手段との
間に設けられる導光部材を備え、
前記導光部材の所定の側面部に対応するように可視光を発する可視光源を設け、
前記撮像手段側となる前記導光部材の面部に粗面部を設け、
前記粗面部は、前記撮像手段に対応する対応部を避けるように前記面部に設けられていることを特徴とする請求項
2に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば自動車や自動2輪車等の車両に搭載される表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種の表示装置にあっては、例えば下記特許文献1に記載されているものが知られている。この特許文献1に記載の表示装置は、車両の運転席前方に搭載された車両用計器であり、車両の走行速度等をはじめとする各種車両情報を表示する液晶表示パネル(表示手段)と、この液晶表示パネルを収容する樹脂製のケース部材とから主に構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、車両の運転席に着座するとともに前記液晶表示パネルを視認する運転者(視認者)の顔を撮像するとともに、運転者の顔の動作等から運転者の状態(挙動)を検知する運転者監視手段を前記車両用計器に搭載するという技術の実用化が注目されつつある。ところで、特許文献1に記載の表示装置にあっては、運転者の状態を検出すべく、運転者監視手段を表示装置に搭載するような構成は想定されていないため、この点で更なる改良の余地があった。
そこで本発明は、前述の課題に対して対処するため、視認者の状態を検出することが可能な表示装置の提供を目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、前記表示手段を収容するケース部材とを備え、前記撮像手段は、前記ケース部材に設けた貫通孔部に対応するように前記ケース部材の反視認者側に配置されることを特徴とする。
【0006】
また本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、前記表示手段を収容するケース部材とを備え、前記撮像手段は、赤外光を透過可能な機能を有する前記ケース部材の反視認者側に配置されることを特徴とする。
【0007】
また本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、赤外光を透過する機能と前記表示手段へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材と、前記表示手段とを収容するケース部材とを備え、前記光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成とし、前記撮像手段は、前記ケース部材に設けた貫通孔部に対応するように前記ケース部材の反視認者側に配置されることを特徴とする。
【0008】
また本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、赤外光を透過する機能と前記表示手段へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材と、前記表示手段とを収容するケース部材とを備え、前記光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成とし、前記撮像手段は、赤外光を透過可能な機能を有する前記ケース部材の前記反視認者側に配置されることを特徴とする。
【0009】
また本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部とを備え、赤外光を透過する機能と前記表示手段へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成とし、前記光制御部材は、その母材となる透光性基材と、前記赤外光を透過するように前記透光性基材の前記視認者側に設けられる赤外光透過部と、前記可視光を拡散させるように前記透光性基材の前記反視認者側に設けられる光拡散部とを備え、前記光拡散部は、前記撮像手段に対応する対応領域を避けるように前記透光性基材の前記反視認者側に設けられることを特徴とする。
【0010】
また本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部と、前記表示手段を収容するケース部材と、可視光を前記表示手段へと導くように前記表示手段と前記撮像手段との間に設けられる導光部材とを備え、前記撮像手段は、前記ケース部材に設けた貫通孔部に対応するように配置され、前記導光部材の所定の側面部に対応するように可視光を発する可視光源を設け、前記撮像手段側となる前記導光部材の面部に粗面部を設け、前記粗面部は、前記撮像手段に対応する対応部を避けるように前記面部に設けられていることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、所定情報を表示する表示手段と、前記表示手段を視認する視認者の状態を撮像可能であって、視認者側とは反対側となる前記表示手段の反視認者側に設けられる撮像手段と、赤外光を視認者に向けて照射する赤外線照射部とを備え、赤外光を透過する機能と前記表示手段へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材を前記表示手段と前記撮像手段との間に位置させる構成とし、さらに可視光を前記表示手段へと導くように前記光制御部材と前記撮像手段との間に設けられる導光部材を備え、前記導光部材の所定の側面部に対応するように可視光を発する可視光源を設け、前記撮像手段側となる前記導光部材の面部に粗面部を設け、前記粗面部は、前記撮像手段に対応する対応部を避けるように前記面部に設けられていることを特徴とする。
【0012】
また本発明は、可視光を前記表示手段へと導くように前記表示手段と前記撮像手段との間、あるいは前記光制御部材と前記撮像手段との間に設けられる導光部材を備え、前記導光部材の所定の側面部に対応するように可視光を発する可視光源を設け、前記撮像手段側となる前記導光部材の面部に粗面部を設け、前記粗面部は、前記撮像手段に対応する対応部を避けるように前記面部に設けられていることを特徴とする
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、所期の目的を達成でき、視認者の状態を検出することが可能な表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図3】同実施形態による光学部材と撮像手段との位置関係を示す図。
【
図4】同実施形態による表示装置の電気的構成を示すブロック図。
【
図5】同実施形態の第2変形例による表示装置の断面図。
【
図6】同実施形態の第3変形例による表示装置の断面図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、
図1~
図4に基づいて、本発明の表示装置を自動車の運転席前方に搭載される車両用計器に適用した場合を例に挙げて説明する。なお、以下の説明では、車両用計器を正視(視認)する視認者側を前方側(前側)とし、当該視認者側とは反対側である反視認者側を背後側(後側)とする。
【0016】
図1、
図2において、本実施形態による表示装置としての車両用計器Dは、車速情報等の各種の車両情報(所定情報)を表示する表示パネル(表示手段)10と、この表示パネル10の背後側に設けられる導光部材20と、この導光部材20の後述する一対の側面部に照明光(以下、可視光とも言う)を供給する可視光線照射部30と、表示パネル10の前方側を覆う保護部材40と、車両の運転席に着座する運転者E(以下、視認者Eとも言う)を監視する運転者監視手段50と、表示パネル10と導光部材20との間に介在する光学部材60と、導光部材20の後側に沿うように設けられる反射部70と、表示パネル10や導光部材20、可視光線照射部30、光学部材60、反射部70等を収容するケース部材80とを備えている。
【0017】
表示パネル10は、例えば一対の絶縁基板(ガラス基板)間に液晶を封入した液晶セルの表裏面に表側偏光板、後側偏光板が各々貼り付けられた周知の液晶表示パネルを適用することができる。
【0018】
また、表示パネル10は、視認者Eが直視可能な平坦な表示面11を有し、この表示面11に前記車両情報が表示される。例えば
図1では、前記車両情報の一例として車両の走行速度を示す車速表示部12が表示面11(表示パネル10)の略中央部分に視覚情報として表示された例を示している。なお、ここでの詳細図示は省略するが、表示パネル10は、フレキシブルプリント配線板等の配線部材を用いて回路基板に電気的に接続される。
【0019】
導光部材20は、例えば透光性の合成樹脂材料によって略平板状に形成され、可視光を表示パネル10へと導くように表示パネル10と運転者監視手段50の一構成部品である後述する撮像手段との間に設けられる。導光部材20は、その前側となるフラットな一方の面部21と、この一方の面部21と対向する他方の面部22と、一方の面部21と他方の面部22との間に位置し、導光部材20の外周面を構成する4つの側面部23とを備えている。
【0020】
一方の面部21は、前方側である表示パネル10側に向けて光(前記可視光)を出射する平滑面として構成される。また、他方の面部22は前記撮像手段側を向く底面として構成される。
【0021】
そして、この前記撮像手段側となる導光部材20の他方の面部22にシボ加工等からなる粗面部S1を部分的に設けている。具体的には、ここでの粗面部S1は、粗さ(シボ深さ)が所定値に設定されたシボ面として構成され、前記撮像手段に対峙(対応)する対応部S2を避けるように他方の面部22に設けられている。このように本例では、粗面部S1は、前記撮像手段(表示パネル10の中央部分)に対応する箇所を除いて、他方の面部22に一様に設けられる。また、対応部S2は、シボ加工(粗面)が形成されていない平滑な粗面非形成領域として構成される。なお、他方の面部22は、後述する特許請求の範囲に記載されている面部に相当する。
【0022】
可視光線照射部30は、適宜色(例えば白色)の可視光を発する複数個のチップ型発光ダイオード(可視光源)であり、上述した4つの側面部23のうち、
図2中、導光部材20の左右に位置する一対の側面部23に沿うように(対応するように)設けられる。可視光線照射部30は、側面部23の面積に応じて適宜の数だけ設ければよい。なお、この可視光線照射部30に対応する側面部23は、後述する特許請求の範囲に記載されている所定の側面部に相当する。
【0023】
保護部材40は、例えば半透過性(暗色)の合成樹脂材料によって形成された略平板状の保護パネル部材であり、表示パネル10の前方側を覆うように設けられる。
【0024】
また、保護部材40は、その外形形状が表示パネル10の外形形状よりも一回り(若干)大きく、車両用計器Dを前方側から見たときに、表示パネル10の外側に位置するとともに表示パネル10と重なり合わない非重合部41を有する。なお、保護部材40は、暗色ではなく透明の合成樹脂材料によって形成してもよいし、透光性の接着剤によって表示パネル10と接合してもよい。さらには前方側となる保護部材40の最表面はフラットな平坦面ではなく、凸面状もしくは凹面状の曲面形状(湾曲形状)でもよい。
【0025】
運転者監視手段50は、運転席に着座する視認者Eの顔を撮像し、視認者Eの顔の動作等から視認者Eの状態(挙動)を検知するものであり、表示パネル10を視認する視認者Eの状態を撮像可能である撮像手段51と、赤外光(近赤外光)を視認者Eに向けて照射する赤外線照射部52とを有する。
【0026】
撮像手段51は、近赤外領域に感度を持つカメラであり、表示パネル10の背後側に配置される。より具体的には、ここでの撮像手段51は、表示パネル10の前記中央部分や導光部材20の対応部S2(前記粗面非形成領域)、光学部材60の後述する孔部、反射部70の後述する孔部、ケース部材80の後述する貫通孔部に対応するように、ケース部材80の背後側に配置され、撮像素子51aと、撮像素子51aの前方側に配置されるレンズ51bと、撮像素子51a及びレンズ51bを収容する図示省略したカメラケースとを備える。
【0027】
撮像手段51は、例えば前記カメラケースが適宜固定手段によってケース部材80の後述する底壁部に固定される。また、ここでの詳細図示は省略するが、撮像手段51は、必要に応じて車両用計器Dの外装ケースを構成する計器ハウジングによって覆われる(保護される)ように構成してもよい。
【0028】
赤外線照射部52は、赤外光を視認者Eに向けて照射するように非重合部41の背後側に配置される。この場合、車両用計器Dを前方側から見たときに、ケース部材80(より具体的にはケース部材80の後述する支持部)は非重合部41の真下に位置しており、赤外線照射部52は、例えば前記支持部に備えられる後述する2つの窪み部にそれぞれ配置(埋設)された2つの赤外線光源(赤外線LED)を適用することができる。
【0029】
光学部材60は、可視光を表示パネル10へと導くように表示パネル10と導光部材20との間に設けられた複数(例えば3つ)の光学部品を適用することができる。本例の場合、光学部材60は、光拡散シート61と、BEF(Brightness Enhancement Film)62と、DBEF(Dual Brightness Enhancement Film)63とを備え、導光部材20から表示パネル10へと向かうに従って、光拡散シート61、BEF62、DBEF63の順に配置される。
【0030】
光拡散シート61は、導光部材20とBEF62との間に位置し、一方の面部21から照射される可視光を拡散して均一化する役割を果たすものである。光拡散シート61としては、例えば光透過性の樹脂フィルム中に光拡散粒子を分散した光学フィルム等を適用することができる。BEF62は公知の輝度向上フィルムとして構成されるものであり、DBEF63は公知の2重輝度向上フィルムとして構成されるものであり、BEF62及びDBEF63によって、光拡散シート61から出射する可視光の輝度向上が図られ、この輝度向上が図られた可視光が表示パネル10に導かれる。
【0031】
ここで、光学部材60(光拡散シート61、BEF62、DBEF63)と撮像手段51との位置関係に着目すると、光拡散シート61、BEF62、DBEF63には、撮像手段51に対応する位置に孔部61a、62a、63aが各々設けられる(
図3参照)。これら孔部61a、62a、63aは、撮像手段51(前記粗面非形成領域)に対応する部分を刳り貫くことで得られる貫通孔として構成される。
【0032】
反射部70は、例えば薄板状の反射シートを適用することができ、導光部材20とケース部材80の前記底壁部との間に位置している。反射部70には、撮像手段51や前記非粗面形成領域、孔部61a、62a、63aに対応する位置に孔部71が設けられる。また、ここでの反射部70は、粗面部S1の背後側に漏れた可視光の一部を導光部材20の内部に戻すための可視光補助反射部としての機能を有する。
【0033】
ケース部材80は、表示パネル10側が開放した略箱形形状の金属ケース(もしくは樹脂ケース)であり、反射部70の背後側を覆う底壁部(基部)81と、表示パネル10や導光部材20、光学部材60等の側方(四方)を囲む側壁部(支持部)82とを備える。
【0034】
そして、対応部S2(前記非粗面形成領域)や撮像手段51、孔部61a、62a、63a、71に対応する底壁部81の中央部分には底壁部81の表裏を貫通する貫通孔形状の貫通孔部81aが設けられている。ここで、撮像手段51とケース部材80との位置関係に着目すると、本例の場合、撮像手段51は、底壁部81(ケース部材80)に設けた貫通孔部81aに対応するように底壁部81(ケース部材80)の背後側に配置される構成としている。
【0035】
一方、側壁部82のうち、
図2中、相対する一対の側面部23とそれぞれ対峙する一対の側壁部H1の内壁面(内壁部)にはプリント基板Pがそれぞれ配置される。このプリント基板Pは、適宜導通手段を用いて前記回路基板と導通接続される。そして、複数個の可視光源である可視光線照射部30は、
図2中、左右方向に位置する相対する一対の側面部23と向かい合うようにプリント基板Pに実装される。
【0036】
そして、この場合、相対する一対の側壁部82(一対の側壁部H1)の前面壁部82aに設けられた2つの窪み部82bには2つの赤外線照射部52がそれぞれ配置(埋設)される。なお、赤外線照射部52は、窪み部82bの底部に設けられた図示省略した配線基板上に載置される。前記配線基板と前記回路基板とは適宜導通手段を用いて電気的に接続される。
【0037】
以上の各部により、車両用計器Dが構成される。このような構成において、可視光線照射部30から照射される可視光は、一対の側面部23を通じて導光部材20の内部に導入される。そして、この導光部材20の内部に導入された可視光は、互いに内側へと向かうように進みつつ、粗面部S1により前方側に向けて反射導光されることによって、導光部材20の一方の面部21から前方側に向けて出射される。一方の面部21から出射された可視光は、さらに前方側へと進み光拡散シート61、BEF62、DBEF63によって輝度向上等が図られた状態で表示パネル10へと至り表示面11に車速表示部12が表示される。
【0038】
一方、赤外線照射部52から照射される赤外光は、保護部材40の非重合部41を通過して前方側に向けて照射され、視認者Eの顔に到達する。さらに、視認者E(視認者Eの顔)を照射後の赤外光は逆方向(背後側)に反射して、保護部材40、表示パネル10、孔部63a、孔部62a、孔部61a、対応部S2に対応する導光部材20箇所、孔部71を順次通過した後、貫通孔部81aを経て撮像手段51に入射可能な構成となっている。この結果、撮像手段51は、赤外光に照らされた視認者Eの顔を撮像することができ、当該逆方向に反射した反射光を画像として取得する。
【0039】
次に、
図4に基づいて、車両用計器Dの電気的な構成について説明する。車両用計器Dは、前記回路基板に実装される制御部Mと、表示パネル10と、可視光線照射部30と、撮像手段51と、赤外線照射部52とを備える。
【0040】
制御部Mは、制御部Mの動作プログラムが記憶されたROM(Read Only Memory)、前記動作プログラムを実行することで制御部Mの動作処理を実行するCPU(Central Processing Unit)、CPU等のワークエリアとして利用されるRAM(Random Access Memory)等を有する。
【0041】
制御部Mは、撮像手段51が撮像した画像に基づいて、視認者Eの状態を判断する。具体的には、制御部Mは、撮像手段51が撮像した画像に基づいて、視認者Eが眠気を催している状態であるか否か、視認者Eが脇見運転をしている状態であるか否か等の視認者Eの状態を判断する処理を実行する。
【0042】
制御部Mは、例えば視認者Eが眠気を催している状態であると判断した場合、車両用計器Dに搭載されたスピーカ(図示省略)から視認者Eに対する注意喚起を促すための警告音(「ピー」という効果音)が吹鳴されるように、当該スピーカを動作させる処理を実行する。なお、警告音の吹鳴に代えて、制御部Mによる制御のもと、表示面11に注意喚起を促すための警告メッセージを表示してもよい。
【0043】
以上のように本実施形態によれば、前記所定情報を表示する表示パネル10と、この表示パネル10を視認する視認者Eの状態を撮像可能であって、表示パネル10の背後側に設けられる撮像手段51と、赤外光を視認者Eに向けて照射する赤外線照射部52と、表示パネル10を収容するケース部材80とを備え、撮像手段51は、底壁部81(ケース部材80)に設けられた貫通孔部81aに対応するように(底壁部81の背後側に)配置されるものである。
【0044】
従って、視認者E(視認者Eの顔)を照射後の赤外光が、表示パネル10側(背後側)に反射し、表示パネル10、ケース部材80の貫通孔部81aを経て撮像手段51に入射することで、撮像手段51は、赤外光に照らされた視認者Eの顔を撮像することが可能となり、視認者Eの状態を検出することが可能な表示装置を提供することができる。
【0045】
また、本実施形態によれば、可視光を表示パネル10へと導くように表示パネル10と撮像手段51との間に設けられる導光部材20を備え、導光部材20の側面部23に対応するように可視光を発する可視光源としての可視光線照射部30を設け、撮像手段51側となる導光部材20の他方の面部22に粗面部S1を設け、粗面部S1は、撮像手段51に対応する対応部S2を避けるように他方の面部22に設けられているものである。
【0046】
従って、表示パネル10の前記中央部分(孔部61a~63a)の直下に対応する他の面部22箇所(つまり対応部S2)には粗面部S1が形成されていないが、この対応部S2の周囲に位置する粗面部S1からの可視光の光反射を利用して表示パネル10の前記中央部分の真下となる導光部材20箇所にも可視光の一部が導かれる構成となっている。つまり、当該可視光の一部は、対応部S2の真上に位置する一方の面部21箇所並びに孔部61a~63aを通過して表示パネル10の前記中央部分へと至り、この結果、前記非粗面形成領域(撮像手段51)に対応する表示パネル10の前記中央部分も(輝度は若干低下するものの)表示エリアとして活用することができる。このように、本例では、表示面11の全てのエリアを有効表示エリアとして利用することでき、表示品位の向上した表示装置を提供することができる。
【0047】
なお、本発明は、上述の実施形態及び図面によって限定されるものではない。本発明の要旨を変更しない範囲で、適宜、実施形態及び図面に変更(構成要素の削除も含む)を加えることが可能である。
【0048】
例えば上述した実施形態では、底壁部81(ケース部材80)の貫通孔部81aに対応するように底壁部81(ケース部材80)の背後側に撮像手段51が配置されるものであったが、本実施形態の第1変形例として撮像手段51を
図2中、対応部S2の真下(例えば貫通孔部81a)に配置してもよい。さらには本実施形態の第2変形例として
図5に示すように貫通孔部81aを廃止し、ケース部材80を赤外光を透過可能な機能を有する樹脂ケースにより構成してもよい。つまり、この場合、撮像手段51は、赤外光を透過可能な機能を有するケース部材80の背後側に配置される構成となり、この樹脂ケースとしてのケース部材80には、撮像手段51に対応するエリア(例えば底壁部81)に貫通孔等が何ら施されていない部位となる。
【0049】
また、上述した実施形態では、表示パネル10と導光部材20との間に光拡散シート61、BEF62、DBEF63が配置されているものであったが、例えば本実施形態の第3変形例として
図6に示すように光拡散シート61、BEF62、DBEF63を廃止し、これら光拡散シート61、BEF62、DBEF63に代えて表示パネル10と撮像手段51との間に光制御部材90を位置させるような構成としてもよい。なお、この第2変形例におけるケース部材80は、表示パネル10や光制御部材90、導光部材20、反射部70等を収容する部位として構成される。
【0050】
光制御部材90は、例えば赤外光を透過する機能と表示パネル10へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する(兼ね備えた)板状の部材であり、その母材となる透光性基材91と、赤外光を透過するように透光性基材91の前側に設けられる赤外光透過部92と、可視光を拡散させるように透光性基材91の後側に設けられる光拡散部93とを備える。
【0051】
透光性基材91は、例えば透明なアクリル板を適用することができる。赤外光透過部92は、例えば赤外光を透過可能な機能を有する白色の着色層を適用することができ、赤外光透過機能を有する白色インクを用いて透光性基材91の前側全体に塗布(形成)される。ここでの白色インクは、近赤外線波長領域(例えば850ナノメートル~940ナノメートル)において、クラリティ(透明性)が70%以上であることが望ましい。また、ここでの白色インクは、可視光波長領域(例えば360ナノメートル~830ナノメートル)において、クラリティ(透明性)が70%未満であり、より好ましくは、例えば550ナノメートルでクラリティ(透明性)が60%以下である。
【0052】
光拡散部93は、例えば可視光を拡散可能な機能を有する光拡散層を適用することができ、撮像手段51(前記粗面非形成領域)に対応する対応領域93aを避けるように、例えば可視光拡散機能を有する半透明の光拡散インクを用いて透光性基材91の後側に設けられる。つまり、ここでの対応領域93aは、光拡散層が形成されない光拡散層非形成領域として構成される。
【0053】
この第3変形例によれば、赤外光を透過する機能と表示パネル10へと導かれる可視光を拡散させる機能とを有する光制御部材90を表示パネル10と撮像手段51との間に位置させる構成としたものである。従って、視認者E(視認者Eの顔)を照射後の赤外光が、表示パネル10側(背後側)に反射して、表示パネル10、赤外光透過部92、透光性基材91、対応領域93a(前記光拡散層非形成領域)、並びに貫通孔部81aを順次通過して撮像手段51に入射することで、撮像手段51は、赤外光に照らされた視認者Eの顔を撮像することが可能となり、上述した実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0054】
さらに、この第3変形例では、光制御部材90と導光部材20と撮像手段51との三者の位置関係に着目した場合、導光部材20が光制御部材90と撮像手段51との間に設けられる構成としている。そして、導光部材20の粗面部S1は、撮像手段51に対応する対応部S2を避けるように他方の面部22に設けられているものである。
【0055】
これにより対応部S2の周囲に位置する粗面部S1からの可視光の光反射を利用して表示パネル10の前記中央部分の真下となる導光部材20(光制御部材90)箇所に可視光の一部が導かれるとともに、対応領域93aの周囲に位置する光拡散部93部分での光拡散作用を利用して、表示パネル10の前記中央部分の真下となる光制御部材90箇所にも可視光の一部が導かれることに起因して、視認者E側から前記所定情報が表示された状態の表示パネル10を見たときに、表示パネル10の前記中央部分の輝度(表示輝度)が高くなる分、当該中央部分と中央部分以外となる表示パネル10の他の部分との輝度差が小さくなる。
【0056】
具体的には、
図1中、表示パネル10(表示面11)の前記中央部分に表示される「0」なる数字の輝度と、前記他の部分に表示される「5」なる数字や車速単位表示の輝度との輝度差が小さくなり、車速表示部12の表示が違和感のない表示態様となる。よって、視認者E側から表示パネル10を見たときの撮像手段51の存在感がより一層消失した状態となり、表示品位の向上した表示装置を提供することができる。
【0057】
また、この第3変形例においては、可視光の光拡散作用をより高めるべく、必要に応じて上記の実施形態で採用した光拡散シート61を光制御部材90と導光部材20との間に介在させるようにしてもよく、さらには第3変形例と上述した第1変形例とを組み合わせた構成や、第3変形例と上述した第2変形例とを組み合わせた構成としてもよい。
【0058】
(他の変形例)
上述した実施形態では、表示パネル10が液晶表示パネルとして構成されているものであったが、表示パネル10は液晶表示パネルではなく発光層を有する有機層を一対の透明電極で挟持する透明EL素子(透明ELディスプレイ)であってもよい。表示パネル10を透明ELディスプレイとする場合、導光部材20、可視光線照射部30、光学部材60、反射部70、プリント基板Pは不要となる。
【0059】
さらに、上述した実施形態では、2つの赤外線照射部52がケース部材80の窪み部82bにそれぞれ配置されているが、赤外線照射部52の個数は1つでもよいし3つ以上であってもよく、その場合、赤外線照射部52の個数と同数の窪み部82bをケース部材80に設ければよい。
【符号の説明】
【0060】
10 表示パネル(表示手段)
20 導光部材
21 一方の面部
22 他方の面部(面部)
23 一対の側面部(所定の側面部)
30 可視光線照射部(可視光源)
40 保護部材
50 運転者監視手段
51 撮像手段
52 赤外線照射部
60 光学部材
61 拡散シート
61a、62a、63a、71 孔部
62 BEF
63 DBEF
70 反射部
80 ケース部材
81 底壁部(基部)
81a 貫通孔部
82 側壁部(支持部)
82b 窪み部
90 光制御部材
91 透光性基板
92 赤外光透過部
93 光拡散部
93a 対応領域
E 視認者(運転者)
M 制御部
S1 粗面部
S2 対応部