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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241016BHJP
【FI】
B41J2/14 305
B41J2/14 613
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021032342
(22)【出願日】2021-03-02
(65)【公開番号】P2022133583
(43)【公開日】2022-09-14
【審査請求日】2024-01-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】玉井 捷太郎
(72)【発明者】
【氏名】四十物 孝憲
(72)【発明者】
【氏名】片倉 孝浩
(72)【発明者】
【氏名】福澤 祐馬
【審査官】小宮山 文男
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-023793(JP,A)
【文献】特開2019-155768(JP,A)
【文献】特開2019-177587(JP,A)
【文献】特開2019-055493(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J 2/01-2/215
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドであって、
液体を吐出する複数のノズルが第1方向に配列したノズル列と、
前記複数のノズルのうちの所定のノズルに連通し、前記第1方向と交差する第2方向に
延在するノズル流路と、
前記液体に圧力を付与する第1圧力室と、
前記液体に圧力を付与し、前記第1圧力室に対して前記第1方向に隣り合う第2圧力室
と、
前記第1圧力室と前記ノズル流路とを連通させ、前記第1方向及び前記第2方向の両方
に直交する第3方向に延在する第1連通流路と、
前記第2圧力室と前記ノズル流路とを連通させ、前記第3方向に延在する第2連通流路
と、を有し、
前記第2方向から見たとき、前記第1連通流路の前記第2連通流路側に位置する内壁面
は、前記第1方向と前記第3方向との両方に交差する第4方向に延在する第1傾斜面を含
むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項2】
請求項1に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第2方向から見たとき、前記第1連通流路の前記内壁面は、前記第3方向に延在す
る第1連通流路内壁面を有し、
前記第1傾斜面は、前記第1連通流路内壁面と接続することを特徴とする液体吐出ヘッ
ド。
【請求項3】
請求項2に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第2方向から見たとき、前記第2連通流路の前記第1連通流路側に位置する内壁面
は、前記第1方向と前記第3方向と前記第4方向とのいずれにも交差する第5方向に延在
する第2傾斜面を含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項4】
請求項3に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第1傾斜面と前記第2傾斜面とは、互いに接続することを特徴とする液体吐出ヘッ
ド。
【請求項5】
請求項4に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記ノズル流路の内壁面は、ノズル流路内壁面を有し、
前記ノズル流路内壁面は、前記第2方向に延在して、前記第1傾斜面と前記第2傾斜面
とに接続することを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項6】
請求項2に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第2方向から見たとき、前記第2連通流路の内壁面は、前記第3方向に延在する第
2連通流路内壁面を有し、
前記第1傾斜面は、前記第1連通流路内壁面と前記第2連通流路内壁面とに接続するこ
とを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項7】
請求項1~請求項6のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第2方向から見たとき、前記第1連通流路の外壁面は、前記第3方向に延在する第
1連通流路外壁面を有し、
前記第2方向から見たとき、前記ノズル流路の外壁面は、前記第1方向に延在し、前記
第1連通流路外壁面に接続する第1ノズル流路外壁面を有することを特徴とする液体吐出
ヘッド。
【請求項8】
請求項1~請求項7のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記液体に圧力を付与し、前記第1圧力室に対して前記第2方向に位置する第3圧力室
と、
前記液体に圧力を付与し、前記第3圧力室に対して前記第1方向に隣り合う第4圧力室
と、
前記第3圧力室と前記ノズル流路とを連通させ、前記第3方向に延在する第3連通流路
と、
前記第4圧力室と前記ノズル流路とを連通させ、前記第3方向に延在する第4連通流路
と、を更に有し、
前記第2方向から見たとき、前記第3連通流路の前記第4連通流路側に位置する内壁面
は、前記第4方向に延在する第3傾斜面を含むことを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項9】
請求項3~請求項8のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第2方向から見たとき、前記第4方向は、前記第1方向に対して、30°以上70
°以下の範囲で傾斜していることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項10】
請求項1~請求項9のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第1傾斜面には、保護膜が設けられていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項11】
請求項10に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記保護膜は、第1層と、前記第1層の外面に積層される第2層とを有していることを
特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項12】
請求項11に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第1層は、シリコンの酸化物により構成され、
前記第2層は、タンタルの酸化物により構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッ
ド。
【請求項13】
請求項11に記載の液体吐出ヘッドであって、
前記第1層は、シリコンの酸化物により構成され、
前記第2層は、ハフニウムの酸化物、ダイヤモンドライクカーボン、酸化アルミニウム
のいずれかで構成されていることを特徴とする液体吐出ヘッド。
【請求項14】
請求項1~請求項13のいずれか一項に記載の液体吐出ヘッドと、
前記液体吐出ヘッドからの吐出動作を制御する制御部と、を有することを特徴とする液
体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出ヘッド、液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、圧電素子等を駆動して圧力室内に圧力を付与することで、圧力室内の液体をノズルから吐出する液体吐出ヘッドが知られている。特許文献1の液体吐出ヘッドでは、ノズル配列方向とは交差する方向に並んだ2つの圧力室を、1つのノズルに連通させる構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-103418号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1とは異なり、液体吐出ヘッドが、ノズル配列方向に並ぶ複数の圧力室を1つのノズルに連通させる構成の場合には、複数の圧力室に連通する連通流路同士の間に形成される隔壁において、気泡が滞留することで、吐出効率が低下することが考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体吐出ヘッドは、液体を吐出する複数のノズルが第1方向に配列したノズル列と、前記複数のノズルのうちの所定のノズルに連通し、前記第1方向と交差する第2方向に延在するノズル流路と、前記液体に圧力を付与する第1圧力室と、前記液体に圧力を付与し、前記第1圧力室に対して前記第1方向に隣り合う第2圧力室と、前記第1圧力室と前記ノズル流路とを連通させ、前記第1方向及び前記第2方向の両方に直交する第3方向に延在する第1連通流路と、前記第2圧力室と前記ノズル流路とを連通させ、前記第3方向に延在する第2連通流路と、を有し、前記第2方向から見たとき、前記第1連通流路の前記第2連通流路側に位置する内壁面は、前記第1方向と前記第3方向との両方に交差する第4方向に延在する第1傾斜面を含む。
【0006】
液体吐出装置は、上記の液体吐出ヘッドと、前記液体吐出ヘッドからの吐出動作を制御する制御部と、を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態に係る液体吐出装置の構成を示す説明図。
図2】液体吐出ヘッドの分解斜視図。
図3】連通板に形成される流路を斜め方向から見た概透視図。
図4】液体吐出装置の流路及び循環機構の説明図。
図5図4におけるA-A線の断面図。
図6】圧電素子の近傍を拡大した断面図。
図7図4におけるB-B線の断面図。
図8図4におけるC-C線の断面図。
図9図4におけるD-D線の断面図。
図10】隔壁における保護膜を示す拡大断面図。
図11】第2実施形態に係る隔壁を示す断面図。
図12】第3実施形態に係る隔壁を示す断面図。
図13】第4実施形態に係るノズル流路を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を実施するための形態について図面を参照して説明する。ただし、各図において、各部の寸法及び縮尺は、実際のものと適宜に異ならせてある。また、以下に述べる実施の形態は、好適な具体例であり、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において、特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの形態に限られるものではない。
【0009】
1.第1実施形態
以下、図1を参照し、第1実施形態に係る液体吐出装置100について説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る液体吐出装置100の構成を示す説明図である。
本実施形態の液体吐出装置100は、液体としてのインクを媒体Pに吐出するインクジェット方式の印刷装置である。媒体Pは、印刷用紙であるが、樹脂フィルム又は布帛等の任意の印刷対象を媒体Pとして用いることができる。
【0011】
図1に示すように、液体吐出装置100は、インクを貯留する液体容器93を備える。液体容器93としては、例えば、液体吐出装置100に着脱可能なカートリッジ、可撓性のフィルムで形成された袋状のインクパック、又は、インクを補充可能なインクタンク等を採用することができる。液体容器93には、色彩が相違する複数種のインクが貯留される。
【0012】
液体吐出装置100は、制御部90と移動機構91と搬送機構92と循環機構94とを備える。このうち、制御部90は、例えばCPU(Central Processing Unit)又はFPGA(Field Programmable Gate Array)等の処理回路と、半導体メモリー等の記憶回路とを含み、液体吐出装置100の各要素を制御する。
【0013】
移動機構91は、制御部90の制御により、媒体Pを+Y方向に搬送する。なお、以下では、+Y方向と、+Y方向とは反対の方向である-Y方向とを、Y軸方向と総称する。
【0014】
搬送機構92は、制御部90の制御により、複数の液体吐出ヘッド1を、+X方向、及び、+X方向とは反対の方向となる-X方向に往復動作させる。なお、以降では、+X方向及び-X方向をX軸方向と総称する。ここで、X軸方向とは、Y軸方向に直交する方向を含めた交差する方向である。搬送機構92は、収納ケース921と、収納ケース921が固定された無端ベルト922とを具備している。収納ケース921には、Y軸方向を長手方向とする複数の液体吐出ヘッド1がX軸方向に並んで収納される。なお、液体容器93を液体吐出ヘッド1と共に収納ケース921に収納してもよい。
【0015】
循環機構94は、制御部90の制御により、液体容器93に貯留されたインクを、液体吐出ヘッド1に設けられた供給流路53(図4参照)に供給する。更に、循環機構94は、制御部90の制御により、液体吐出ヘッド1に設けられた排出流路54(図4参照)に貯留されたインクを回収し、回収したインクを、供給流路53に還流させる。
【0016】
制御部90は、液体吐出ヘッド1の吐出動作を制御する。具体的には、液体吐出ヘッド1には、制御部90から、液体吐出ヘッド1を駆動するための駆動信号COMと、液体吐出ヘッド1を制御するための制御信号SIとが供給される。そして、液体吐出ヘッド1は、制御信号SIによる制御のもとで駆動信号COMにより駆動され、液体吐出ヘッド1に設けられた複数のノズルN(図2参照)の一部又は全部から、-Z方向にインクを吐出させる。
【0017】
-Z方向は、X軸方向及びY軸方向に直交する方向を含めた交差する方向である。以下では、-Z方向と、-Z方向とは反対の方向である+Z方向とを、Z軸方向と総称する。なお、本実施形態では、-Z方向が重力方向として、+Z方向が重力とは反対方向としている。
【0018】
液体吐出ヘッド1は、移動機構91による媒体Pの搬送動作と、搬送機構92による液体吐出ヘッド1の往復動作とに連動して、複数のノズルNの一部又は全部からインクを吐出させて、吐出されたインクを媒体Pの表面に着弾させることで、媒体Pの表面に所望の画像を形成する。本実施形態の液体吐出装置100は、液体吐出ヘッド1が媒体Pに対して往復動作を行って画像を形成するシリアル方式の液体吐出装置である。
【0019】
図2は、液体吐出ヘッド1の分解斜視図である。図3は、連通板2に形成される流路を斜め方向から見た概透視図である。図4は、液体吐出装置100の流路及び循環機構94の説明図である。なお、図4は、液体吐出ヘッド1の流路を+Z方向から見た状態を模式的に示している。図5は、図4におけるA-A線の断面図である。
図2図5を適宜参照し、液体吐出ヘッド1の概要を説明する。
【0020】
図2に示すように、液体吐出ヘッド1は、連通板2、圧力室基板3、振動板4、振動板4に設置される圧電素子PZ、貯留室形成基板5、封止部材(図示省略)、配線基板8、ノズル基板60、及びコンプライアンスシート61,62を備える。
【0021】
ここで、連通板2よりも+Z方向には、圧力室基板3、振動板4、振動板4に設置される圧電素子PZ、及び貯留室形成基板5、封止部材、配線基板8が設置される。他方、連通板2よりも-Z方向には、ノズル基板60及びコンプライアンスシート61,62が設置される。液体吐出ヘッド1を構成する各部材は、概ねY軸方向に長尺な板状部材であり、例えば接着剤により互いに接合される。
【0022】
図2に示すように、ノズル基板60は、Y軸方向に沿って配列される複数のノズルNがノズル列Lnを形成する板状部材である。なお、Y軸方向は後述する第1方向に対応している。なお、ノズルNは、インクを通過させる貫通孔である。ノズル基板60は、例えば、ドライエッチング又はウェットエッチング等の加工技術を用いる半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、ノズル基板60の製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。
【0023】
ノズル基板60の+Z方向には、連通板2が設置される。連通板2は、インクの流路を形成するための板状部材である。図2図3に示すように、連通板2には、-X方向から+X方向に向かって順に、供給流路21、中継流路22、接続流路23、連通流路24、ノズル流路25、連通流路24、接続流路23、中継流路26、排出流路27が設けられる。なお、これらの流路は、上述した液体吐出ヘッド1の構成部材が接合されることにより、それぞれが連通し、連通した流路の内部をインクが流動する。
【0024】
連通板2において、供給流路21、排出流路27は、Y軸方向に沿って延在する1つの貫通孔である。また、中継流路22、-X方向の接続流路23、-X方向の連通流路24、ノズル流路25、+X方向の連通流路24、+X方向の接続流路23、中継流路26は、Y軸方向に沿って列状に複数形成される。また、中継流路22、ノズル流路25、及び中継流路26は、-Z方向の面に形成される。また、接続流路23及び連通流路24は、貫通孔である。連通板2は、ノズル基板60と同様に、例えば、半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、連通板2の製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。なお、ここでは1つの中継流路22が2つの接続流路23に接続する場合を示したが、1つの中継流路22が4つの接続流路23に接続しても良いし、Y方向に並ぶ全ての接続流路23に接続しても良い。中継流路26についても同様である。
【0025】
連通板2の+Z方向には、圧力室基板3が設置される。圧力室基板3は、複数の圧力室CVが形成される板状部材である。図2に示すように、複数の圧力室CVは、Y軸方向に沿って並ぶと共に、-X方向と+X方向とに1列ずつ合計2列設置される。圧力室CVは、室内に充填されるインクに圧力を付与するためのキャビティーと称される空間である。圧力室CVは、圧力室基板3の両面に開口する貫通孔で構成されており、X軸に沿う方向に延在する長尺状をなす。圧力室基板3は、ノズル基板60と同様に、例えば、半導体製造技術によりシリコン単結晶基板を加工することにより製造される。ただし、圧力室基板3の製造には、他の公知の方法及び材料が適宜に用いられてもよい。
【0026】
圧力室基板3の+Z方向には、振動板4が設置される。振動板4は、弾性的に変形可能な板状部材である。振動板4の+Z方向の面には、各圧力室CVに対応して圧電素子PZが配置される。各圧電素子PZは、駆動信号COMの供給により変形する受動素子であり、X軸方向に沿う方向に延在する長尺状をなす。複数の圧電素子PZは、圧力室CVに対応して、Y軸方向に沿って配列される。圧電素子PZの変形に連動して振動板4が振動すると、圧電素子PZに対応する圧力室CV内の圧力が変動することにより、対応するノズルNからインクが吐出される。
【0027】
連通板2の+Z方向には、貯留室形成基板5が設置される。貯留室形成基板5は、Y軸方向に長尺な部材であり、インクの流路が形成される。具体的には、貯留室形成基板5には、1つの供給流路53(図5)と、1つの排出流路54(図5)とが形成される。このうち、供給流路53は、連通板2の供給流路21と連通し、貯留室形成基板5の-X方向で、Y軸方向に延在するように設置される。また、排出流路54は、連通板2の排出流路27と連通し、貯留室形成基板5の+X方向で、Y軸方向に延在するように設置される。
【0028】
貯留室形成基板5には、図2図5に示すように、供給流路53と連通する導入口51と、排出流路54と連通する排出口52とが設けられる。そして、供給流路53には、液体容器93から導入口51を介してインクが供給される。また、排出流路54に貯留されたインクは、排出口52を介して回収される。排出口52から回収されたインクは、インクを貯留する液体容器93に戻され、インクを循環することが可能となっている。
【0029】
また、貯留室形成基板5には、開口50が設けられる。開口50の内側には、圧力室基板3と、振動板4と、配線基板8と、図示省略する封止部材とが設けられる。貯留室形成基板5は、例えば、樹脂材料の射出成形により形成される。ただし、貯留室形成基板5の製造には公知の材料や製法が適宜用いられることでよい。
【0030】
図5に示すように、連通板2の-X方向において、-Z方向の面上には、供給流路21と中継流路22と接続流路23とを閉塞するように、コンプライアンスシート61が設けられる。コンプライアンスシート61は、弾性材料から形成されており、供給流路21と中継流路22と接続流路23の内部のインクの圧力変動を吸収する。また、図5に示すように、連通板2の+X方向において、-Z側の面上には、排出流路27と中継流路26と接続流路23とを閉塞するように、コンプライアンスシート62が設けられる。コンプライアンスシート62は、弾性材料から形成されており、排出流路27と中継流路26と接続流路23の内部のインクの圧力変動を吸収する。
【0031】
図3図5を参照して、本実施形態の吐出ヘッド1において、複数のノズルNのうちの所定の1つのノズルNからインクを吐出するための流路構成を説明する。なお、以降の説明において、1つのノズルNからインクを吐出するための流路構成を、便宜上、基本的な流路構成と呼称する。
【0032】
本実施形態では、液体吐出ヘッド1において、+Y方向の端部に構成される基本的な流路構成を取り上げて説明する。なお、本実施形態の基本的な流路構成は、ノズル列Lnの配列方向となるY軸方向に並ぶ、-X方向の隣り合う2つの圧力室CVと、+X方向の隣り合う2つの圧力室CVとを1つのノズルに連通させる構成となる。
【0033】
なお、本実施形態では、Y軸方向が第1方向に対応し、X軸方向が第2方向に対応し、Z軸方向が第3方向に対応する。以降の説明では、Y軸方向と第1方向、X軸方向と第2方向、Z軸方向と第3方向とを適宜使用する。
【0034】
本実施形態の基本的な流路構成を具体的に-X方向から+X方向に向かって順に説明する。
基本的な流路構成として、供給流路21に連通し、X軸方向に延在する1つの中継流路22と、1つの中継流路22に連通し、Z軸方向(第3方向)に延在する2つの接続流路23とを備える。この2つの接続流路23に対して、+Y方向の接続流路23を第1接続流路231とする。また、第1接続流路231の-Y方向で隣り合う他方の接続流路23を第2接続流路232とする。
【0035】
そして、第1接続流路231は、X軸方向(第2方向)に延在する1つの圧力室CVに連通する。この第1接続流路231に連通する1つの圧力室CVを第1圧力室CV1とする。第1接続流路231は、第1圧力室CV1の-X方向の端部領域に連通する。また、第2接続流路232は、第1圧力室CV1に対してY軸方向(第1方向)、具体的には-Y方向に隣り合い、X軸方向(第2方向)に延在する1つの圧力室CVに連通する。この第2接続流路232に連通する1つの圧力室CVを第2圧力室CV2とする。第2接続流路232は、第2圧力室CV2の-X方向の端部領域に連通する。
【0036】
そして、第1圧力室CV1は、Z軸方向(第3方向)に延在する1つの連通流路24に連通する。この第1圧力室CV1に連通する1つの連通流路24を第1連通流路241とする。第1連通流路241は、第1圧力室CV1の+X方向の端部領域に連通する。また、第2圧力室CV2は、Z軸方向(第3方向)に延在する1つの連通流路24に連通する。この第2圧力室CV2に連通する1つの連通流路24を第2連通流路242とする。第2連通流路242は、第2圧力室CV2の+X方向の端部領域に連通する。
【0037】
そして、第1連通流路241と第2連通流路242とは、X軸方向(第2方向)に延在する1つのノズル流路25に連通する。ノズル流路25は、Y軸方向(第1方向)と交差するX軸方向(第2方向)に延在している。なお、交差とは、直交や、直交せずともXY平面上であれば、斜めの交差も含む概念である。第1連通流路241と第2連通流路242とは、ノズル流路25の-X方向の端部に連通する。
【0038】
ノズル流路25をZ軸方向から見た場合、概矩形を成すノズル流路25のX軸方向及びY軸方向の略中央にノズルNが位置している。なお、略中央とは、厳密に同一である場合の他に、誤差を考慮すれば中央であるとみなせる場合を含む概念である。
【0039】
なお、第1連通流路241は、言い換えると、第1圧力室CV1とノズル流路25とを連通させ、Y軸方向(第1方向)及びX軸方向(第2方向)の両方に直交するZ軸方向(第3方向)に延在するといえる。また、第2連通流路242は、第2圧力室CV2とノズル流路25とを連通させ、Z軸方向(第3方向)に延在するといえる。
【0040】
そして、1つのノズル流路25は、Z軸方向(第3方向)に延在する2つの連通流路24に連通する。この2つの連通流路24に対して、+Y方向の連通流路24を第3連通流路243とする。また、第3連通流路243の-Y方向で隣り合う他方の連通流路24を第4連通流路244とする。第3連通流路243と第4連通流路244とは、ノズル流路25の+X方向の端部に連通する。
【0041】
そして、第3連通流路243は、X軸方向に延在する1つの圧力室CVに連通する。この第3連通流路243に連通する1つの圧力室CVを第3圧力室CV3とする。第3連通流路243は、第3圧力室CV3の-X方向の端部領域に連通する。また、第4連通流路244は、Z軸方向(第3方向)に延在する1つの圧力室CVに連通する。この第4連通流路244に連通する1つの圧力室CVを第4圧力室CV4とする。第4連通流路244は、第4圧力室CV4の-X方向の端部領域に連通する。
【0042】
なお、第3圧力室CV3は、第1圧力室CV1に対してX軸方向(第2方向)、具体的に+X方向に位置する。また、第4圧力室CV4は、第3圧力室CV3に対してY軸方向(第1方向)、具体的に-Y方向に隣り合う位置に位置する。
【0043】
ここで、言い換えると、第3連通流路243は、第3圧力室CV3とノズル流路25とを連通させ、Y軸方向(第1方向)及びX軸方向(第2方向)の両方に直交するZ軸方向(第3方向)に延在するといえる。また、第4連通流路244は、第4圧力室CV4とノズル流路25とを連通させ、Z軸方向(第3方向)に延在するといえる。
【0044】
そして、第3圧力室CV3は、Z軸方向(第3方向)に延在する1つの接続流路23に連通する。この第3圧力室CV3に連通する1つの接続流路23を第3接続流路233とする。第3接続流路233は、第3圧力室CV3の+X方向の端部領域に連通する。また、第4圧力室CV4は、Z軸方向(第3方向)に延在する1つの接続流路23に連通する。この第4圧力室CV4に連通する1つの接続流路23を第4接続流路234とする。第4接続流路234は、第4圧力室CV4の+X方向の端部領域に連通する。
【0045】
そして、第3接続流路233と第4接続流路234とは、X軸方向に延在する1つの中継流路26に連通する。この中継流路26は、排出流路27に連通する。
【0046】
中継流路22から中継流路26までの各流路をZ軸方向から見た場合、本実施形態では、1つのノズルNを中心として、概略点対称に構成されている。なお、ここでの点対称とは、厳密な点対象ではなく、エッチングなどの成型による歪みなどが含まれ、概ね点対称とみなされる概念である。
【0047】
第1圧力室CV1の+Z方向に相対する振動板4には、+Z方向の面にX軸方向に延在して形成される第1圧電素子PZ1が設置される。同様に、第2圧力室CV2の+Z方向に相対する振動板4には、+Z方向の面にX軸方向に延在して形成される第2圧電素子PZ2が設置される。同様に、第3圧力室CV3の+Z方向に相対する振動板4には、+Z方向の面にX軸方向に延在して形成される第3圧電素子PZ3が設置される。同様に、第4圧力室CV4の+Z方向に相対する振動板4には、+Z方向の面にX軸方向に延在して形成される第4圧電素子PZ4が設置される。
【0048】
液体吐出ヘッド1の流路は、以上説明したように、基本的な流路構成を1つの構成単位又は1つの組として、ノズルNの数に合せて、Y軸方向に所定の間隔で列状に配置されている。
【0049】
図6は、圧電素子PZの近傍を拡大した断面図である。
図6に示すように、振動板4は、詳細には、弾性膜である第1層41と、絶縁膜である第2層42と、を有し、これらがこの順に+Z方向に積層される。第1層41は、例えば、酸化シリコン(SiO2)で構成される弾性膜である。弾性膜は、例えば、シリコン単結晶基板の一方の面を熱酸化することにより形成される。第2層42は、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO2)で構成される絶縁膜である。絶縁膜は、例えば、スパッタ法によりジルコニウムの層を形成し、形成したジルコニウムの層を熱酸化することにより形成される。なお、振動板4の一部又は全部は、圧力室基板3と同一材料で一体に構成されてもよい。また、振動板4は、単一材料の層で構成されてもよい。
【0050】
図6に示すように、圧電素子PZは、下部電極431と上部電極433との間に、圧電体432を介在させた積層体であり、これらはZ軸方向に積層されている。圧電素子PZは、Z軸方向から見たときに、下部電極431と上部電極433と圧電体432とが重なる部分となる。また、圧電素子PZの-Z方向には、圧力室CVが設けられる。本実施形態において、下部電極431は、複数の圧電素子PZに対して共通の共通電極であり、上部電極433は、複数の圧電素子PZに対して個別に設けられた個別電極である。ただし、下部電極431を個別電極とし、上部電極433を共通電極とする構成としてもよい。
【0051】
図7は、図4におけるB-B線の断面図である。
図2図5図7に示すように、振動板4の+Z方向の面には、配線基板8が実装される。配線基板8は、制御部90及び液体吐出ヘッド1を電気的に接続するための部品である。配線基板8は、例えば、FPC(Flexible Printed Circuit)又はFFC(Flexible Flat Cable)等の可撓性の配線基板が好適に採用される。
【0052】
配線基板8には、圧電素子PZを駆動する駆動回路81が電気的に接続される。駆動回路81は、制御信号SIによる制御のもとで、圧電素子PZに対して、駆動信号COMを供給するか否かを切り替える電気回路である。図6に示すように、駆動回路81は、振動板4上に形成された配線部44を介して、圧電素子PZの上部電極433に対して駆動信号COMを供給する。
【0053】
配線基板8は、駆動回路81が実装される本体部82と、本体部82に対して略90°に折り曲げられて振動板4に接続される接続端部83とを含んでいる。振動板4に配線基板8が実装された状態において、接続端部83は、振動板4と略平行な姿勢であり、本体部82は、振動板4に略垂直な姿勢となる。
【0054】
本実施形態の液体吐出ヘッド1は、図示省略する封止部材を備えている。封止部材は、複数の圧電素子PZを保護すると共に、圧力室基板3及び振動板4の機械的な強度を補強する。封止部材は、複数の圧電素子PZを収容する凹部を設け、貯留室形成基板5の開口50に囲まれる状態で、振動板4の+Z方向の面に、例えば接着剤により接合させている。
【0055】
図3図5に示すように、本実施形態において、液体容器93から導入口51に供給されたインクは、供給流路53を経由して、連通板2の供給流路21に流入する。そして、供給流路21に流入したインクの一部は、中継流路22、第1接続流路231を経由して、第1圧力室CV1に流入する。また、供給流路21に流入したインクの一部は、中継流路22、第2接続流路232を経由して、第2圧力室CV2に流入する。
【0056】
第1圧力室CV1に流入したインクの一部は、第1連通流路241を経由してノズル流路25に流入する。また、第2圧力室CV2に流入したインクの一部は、第2連通流路242を経由してノズル流路25に流入する。ノズル流路25に流入したインクの一部は、第3連通流路243を経由して、第3圧力室CV3に流入する。また、ノズル流路25に流入したインクの一部は、第4連通流路244を経由して、第4圧力室CV4に流入する。
【0057】
そして、第3圧力室CV3に流入したインクの一部は、第3接続流路233を経由して中継流路26に流入する。第4圧力室CV4に流入したインクの一部は、第4接続流路234を経由して中継流路26に流入する。中継流路26に流入したインクは、排出流路27と排出流路54とを経由して、排出口52から排出される。
【0058】
なお、駆動信号COMにより第1圧電素子PZ1が駆動される場合、第1圧力室CV1内部に充填されているインクの一部は、第1連通流路241とノズル流路25とを経由して、ノズルNから吐出される。また、駆動信号COMにより第2圧電素子PZ2が駆動される場合、第2圧力室CV2内部に充填されているインクの一部は、第2連通流路242とノズル流路25とを経由して、ノズルNから吐出される。
【0059】
また、駆動信号COMにより第3圧電素子PZ3が駆動される場合、第3圧力室CV3内部に充填されているインクの一部は、第3連通流路243とノズル流路25とを経由して、ノズルNから吐出される。また、駆動信号COMにより第4圧電素子PZ4が駆動される場合、第4圧力室CV4内部に充填されているインクの一部は、第4連通流路244とノズル流路25とを経由して、ノズルNから吐出される。
【0060】
本実施形態では、ノズルNからインクを吐出させる際に、駆動回路81が1つのノズルNに対応する4つの圧電素子PZ1~PZ4に供給する駆動信号COMの波形は、それぞれ略同じである。しかし、ノズルNからの吐出性能を維持するために、それぞれに異なる波形を供給するようにしてもよい。
【0061】
本実施形態に係る液体吐出ヘッド1は、第1圧力室CV1、第2圧力室CV2、第3圧力室CV3、第4圧力室CV4の、4つの圧力室CV内部に充填されているインクを、1つのノズルNから吐出することができる。このため、液体吐出ヘッド1では、例えば、1つの圧力室内部に充填されているインクのみを1つのノズルNから吐出する態様と比較して、1つのノズルNからのインクの吐出量を増大させ、吐出能力を向上させることができる。そのため、粘性が高いインクや、粒径が大きいインクでも好適に吐出可能とすることができる。
【0062】
図8は、図4におけるC-C線の断面図である。詳細には、図8は、隔壁71を-X方向から見た状態を示す断面図である。図9は、図4におけるD-D線の断面図である。詳細には、図9は、隔壁72を+X方向から見た状態を示す断面図である。
【0063】
図3図4図7図8に示すように、本実施形態では、液体吐出ヘッド1において、Z軸方向(第3方向)に延在する第1連通流路241と第2連通流路242との間で、ノズル流路25に至る領域には、-Z方向に延在すると共に、X軸方向に延在する隔壁71が形成される。
【0064】
詳細には、隔壁71は、図8に示すように、第1圧力室CV1と第2圧力室CV2との間に形成される圧力室側隔壁715を有している。また、隔壁71は、第1連通流路241の第2連通流路242側に位置する内壁面となる、Z軸方向(第3方向)に延在する第1連通流路内壁面713を有している。また、隔壁71は、第2連通流路242の第1連通流路241側に位置する内壁面となる、Z軸方向(第3方向)に延在する第2連通流路内壁面714を有している。
【0065】
また、隔壁71は、図8に示すように、X軸方向(第2方向)から見たとき、第1連通流路241の第2連通流路242側に位置する内壁面は、Y軸方向(第1方向)とZ軸方向(第3方向)との両方に交差する斜め方向となる第4方向に延在する第1傾斜面711を含んでいる。そして、第1傾斜面711は、第1連通流路内壁面713と接続する。なお、第4方向を以降では、第4方向D4と呼称する。
【0066】
また、隔壁71は、図8に示すように、X軸方向(第2方向)から見たとき、第2連通流路242の第1連通流路241側に位置する内壁面は、Y軸方向(第1方向)とZ軸方向(第3方向)と第4方向D4とのいずれにも交差する斜め方向となる第5方向に延在する第2傾斜面712を含んでいる。そして、第2傾斜面712は、第2連通流路内壁面714と接続する。なお、第5方向を以降では、第5方向D5と呼称する。また、図8に示すように、第1傾斜面711と第2傾斜面712とは互いに接続されている。
【0067】
図3図4図7図9に示すように、本実施形態では、液体吐出ヘッド1において、Z軸方向(第3方向)に延在する第3連通流路243と第4連通流路244との間で、ノズル流路25に至る領域には、-Z方向に延在すると共に、X軸方向に延在する隔壁72が形成されている。
【0068】
詳細には、隔壁72は、図9に示すように、第3圧力室CV3と第4圧力室CV4との間に形成される圧力室側隔壁725を有している。また、隔壁72は、第3連通流路243の第4連通流路244側に位置する内壁面となる、Z軸方向(第3方向)に延在する第3連通流路内壁面723を有している。また、隔壁72は、第4連通流路244の第3連通流路243側に位置する内壁面となる、Z軸方向(第3方向)に延在する第4連通流路内壁面724を有している。
【0069】
また、隔壁72は、図9に示すように、X軸方向(第2方向)から見たとき、第3連通流路243の第4連通流路244側に位置する内壁面は、Y軸方向(第1方向)とZ軸方向(第3方向)との両方に交差する第4方向D4に延在する第3傾斜面721を含んでいる。そして、第3傾斜面721は、第3連通流路内壁面723と接続する。
【0070】
また、隔壁72は、図9に示すように、X軸方向(第2方向)から見たとき、第4連通流路244の第3連通流路243側に位置する内壁面は、Y軸方向(第1方向)とZ軸方向(第3方向)と第4方向D4とのいずれにも交差する第5方向D5に延在する第4傾斜面722を含んでいる。そして、第4傾斜面722は、第4連通流路内壁面724と接続する。また、図9に示すように、第3傾斜面721と第4傾斜面722とは互いに接続されている。
【0071】
なお、図8図9に示すように、本実施形態では、隔壁71,72をX軸方向(第2方向)から見たとき、第4方向D4は、Y軸方向(第1方向)に対する傾斜角度αとして60°傾斜している。また、第5方向D5も、Y軸方向(第1方向)に対する傾斜角度βとして60°傾斜している。なお、第4方向D4の傾斜角度α、第5方向D5の傾斜角度βは、Y軸方向(第1方向)に対して略60°傾斜することには限定されない。傾斜角度α、傾斜角度βは、Y軸方向(第1方向)に対して、30°以上70°以下の範囲で傾斜していることでよい。
【0072】
図10は、隔壁71における保護膜75を示す拡大断面図である。
本実施形態の隔壁71の外面には、保護膜75が設けられている。詳細には、第1傾斜面711、第2傾斜面712、第1連通流路内壁面713、及び第2連通流路内壁面714に、保護膜75が設けられている。
なお、本実施形態では、連通板2に形成される流路に関しては、隔壁71と同様に、保護膜75が設けられている。
【0073】
保護膜75は、隔壁71の外面に積層される第1層751と、積層された第1層751の外面に積層される第2層752とを有している。そして、第1層751は、シリコン(Si)の酸化物により構成され、第2層752は、タンタル(Ta)の酸化物(TaOx)により構成されている。
【0074】
隔壁71を含む本実施形態の連通板2は、上述したように、シリコン単結晶等の酸化されていないシリコン(Si)を母材として構成されている。そして、第1層751は、例えば、二酸化ケイ素(SiO2)や、一酸化ケイ素(SiO)等のシリコン(Si)の酸化物により構成されている。第2層752は、例えば、酸化タンタル(TaO3)や、五酸化タンタル(Ta25)等のタンタル(Ta)の酸化物(TaOx)により構成されている。なお、第2層752は、タンタルの酸化物(TaOx)の他、ハフニウムの酸化物(HfOx)、ダイヤモンドライクカーボン(DLC)、酸化アルミニウム(AL23)のいずれかで構成されていてもよい。
【0075】
第1層751は、本実施形態では、隔壁71を構成するシリコン基板の熱酸化処理によって形成される。具体的には、最初に、シリコンウエハー等のシリコン基板を焼成炉内に入れる。なお、焼成炉内の雰囲気は、酸素雰囲気に調整されている。焼成炉において、例えば、200℃でシリコン基板の熱処理が行われる。これにより、焼成炉内の酸素とシリコン基板中のシリコンとが結合し、隔壁71を含むシリコン基板の外面に第1層751の膜が積層される。第1層751の厚さは、例えば、1nm以上100nm以下の範囲の厚さである。
【0076】
第2層752は、例えば、原子層堆積法(ALD:Atomic Layer Deposition)により、第1層751の外面に形成される。具体的には、焼成炉から第1層751が形成されたシリコン基板を取り出して、ALD成膜装置に入れる。そして、第1層751の外面にタンタルが塗布されて成膜されることにより、第1層751の外面に第2層752の膜が積層される。第2層752の厚さは、例えば、1nm以上50nm以下の範囲の厚さである。なお、第2層752は、原子層堆積法に代えて、プラズマCVDによる薄膜成膜法により形成してもよい。このようにして、第1層751、第2層752が積層された構成の隔壁71が得られる。
【0077】
ここで、図4に戻り、本実施形態の循環機構94を中心に、排出流路54から排出されるインクを供給流路53に供給する構成と動作を説明する。
図4に示すように、液体吐出ヘッド1の流路は、上述したように、基本的な流路構成を1つの構成単位又は1つの組として、ノズルNの数に合せて、Y軸方向に所定の間隔で列状に配置されている。また、この複数の基本的な流路構成による流路は、共通の流路となる供給流路21及び排出流路27に連通する。言い換えると、複数の基本的な流路構成による流路は、共通の流路となる供給流路53及び排出流路54に連通する。
【0078】
供給流路21及び供給流路53には、各基本的な流路構成による流路に供給するためのインクが貯留される。また、排出流路27及び排出流路54には、吐出に用いられずに各基本的な流路構成による流路から排出されるインクが貯留される。
【0079】
供給流路53及び排出流路54には、循環機構94が接続される。循環機構94は、供給流路53にインクを供給すると共に、排出流路54から排出されるインクを供給流路53への再供給のために回収する機構である。循環機構94は、第1供給ポンプ941と第2供給ポンプ942と貯留容器943と回収流路944と供給流路945とを有する。
【0080】
第1供給ポンプ941は、液体容器93に貯留されるインクを貯留容器943に供給するポンプである。貯留容器943は、液体容器93から供給されるインクを一時的に貯留するサブタンクである。回収流路944は、排出流路54と貯留容器943とを連通させており、排出流路54からのインクを貯留容器943に回収するための流路である。
【0081】
貯留容器943には、液体容器93に貯留されるインクが第1供給ポンプ941から供給される。また、貯留容器943には、各基本的な流路構成による流路から排出流路54に排出されるインクが回収流路944を介して供給される。第2供給ポンプ942は、貯留容器943に貯留されるインクを送出するポンプである。供給流路945は、供給流路53と貯留容器943とを連通させており、貯留容器943からのインクを供給流路53に供給するための流路である。
【0082】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0083】
本実施形態の液体吐出ヘッド1は、Z軸方向(第3方向)に延在する第1連通流路241と第2連通流路242との間で、ノズル流路25に至る領域には、-Z方向に延在すると共に、X軸方向に延在する隔壁71が形成されている。そして、第1連通流路241の第2連通流路242側に位置する内壁面は、Y軸方向(第1方向)とZ軸方向(第3方向)との両方に交差する第4方向D4に延在する第1傾斜面711を含んでいる。また、第2連通流路242の第1連通流路241側に位置する内壁面は、Y軸方向(第1方向)とZ軸方向(第3方向)と第4方向D4とのいずれにも交差する第5方向D5に延在する第2傾斜面712を含んでいる。
この構成により、第1圧電素子PZ1が駆動された場合、第1圧力室CV1内部に充填されているインクの一部は、第1連通流路241とノズル流路25とを経由して、ノズルNから吐出される。また、同様に、第2圧電素子PZ2が駆動される場合、第2圧力室CV2内部に充填されているインクの一部は、第2連通流路242とノズル流路25とを経由して、ノズルNから吐出される。この場合、第1連通流路241、第2連通流路242を流動するインクの内部に気泡が含まれていた場合には、従来のように隔壁の下端面がXY平面に略水平だった場合には気泡が滞留していたことに比べて、気泡の+Z方向への移動をスムーズに行わせることができる。これにより、このような構成の液体吐出ヘッド1においては、吐出効率の低下を防止して、吐出効率を維持させることができる。
また、隔壁71において、第4方向D4に傾斜する第1傾斜面711、第5方向D5に傾斜する第2傾斜面712を有することにより、インク内部の気泡を第1連通流路241側と、第2連通流路242側とに、バランスよく移動させることができる。
【0084】
本実施形態の液体吐出ヘッド1において、第1連通流路241の第2連通流路242側に位置する内壁面は、Z軸方向(第3方向)に延在する第1連通流路内壁面713を有し、第1傾斜面711に接続している。
この構成により、気泡の+Z方向への移動をスムーズに行わせることができる。
【0085】
本実施形態の液体吐出ヘッド1において、第1傾斜面711と第2傾斜面712とは、互いに接続されている。
この構成により、インク内部の気泡を第1連通流路241側と、第2連通流路242側とに、更にバランスよく移動させることができる。
【0086】
本実施形態の液体吐出ヘッド1は、第3圧力室CV3、第4圧力室CV4、第3連通流路243、第4連通流路244、を更に有している。そして、Z軸方向(第3方向)に延在する第3連通流路243と第4連通流路244との間で、ノズル流路25に至る領域には、-Z方向に延在すると共に、X軸方向(第2方向)に延在する隔壁72が形成されている。また、第3連通流路243の第4連通流路244側に位置する内壁面は、第4方向D4に延在する第3傾斜面721を含んでいる。また、第4連通流路244の第3連通流路243側に位置する内壁面は、第5方向D5に延在する第4傾斜面722を含んでいる。
この構成により、第3圧電素子PZ3が駆動された場合、第3圧力室CV3内部に充填されているインクの一部は、第3連通流路243とノズル流路25とを経由して、ノズルNから吐出される。また、同様に、第4圧電素子PZ4が駆動される場合、第4圧力室CV4内部に充填されているインクの一部は、第4連通流路244とノズル流路25とを経由して、ノズルNから吐出される。この場合、第3連通流路243、第4連通流路244を流動するインクの内部に気泡が含まれていた場合には、従来のように隔壁の下端面がXY平面に略水平だった場合には気泡が滞留していたことに比べて、気泡の+Z方向への移動をスムーズに行わせることができる。これにより、このような構成の液体吐出ヘッド1においては、吐出効率の低下を防止して、吐出効率を維持させることができる。
【0087】
本実施形態の液体吐出ヘッド1において、第4方向D4及び第5方向D5は、Y軸方向(第1方向)に対して、60°傾斜している。
この構成により、気泡の+Z方向への移動をスムーズに行わせることができる。
なお、第4方向D4及び第5方向D5は、Y軸方向(第1方向)に対して、30°以上70°以下の範囲で傾斜していることでよく、同様の効果を奏する。
【0088】
本実施形態の液体吐出ヘッド1において、隔壁71の外面には、保護膜75が設けられている。詳細には、第1傾斜面711、第2傾斜面712、第1連通流路内壁面713、及び第2連通流路内壁面714には、保護膜75が設けられている。また、保護膜75は、第1層751と、第1層751の外面に積層される第2層752とを有している。そして、第1層751は、シリコンの酸化物により構成され、第2層752は、タンタルの酸化物により構成されている。
この構成により、隔壁71の欠損などを防止して保護することができる。また、本実施形態では、第1傾斜面711と第2傾斜面712とが互いに接続されており、傾斜面同士が接続する角部は鋭角になるが、保護膜75を設けることで、このような角部において、鋭利な部分をなくし、なだらかにつながる角部とすることができ、角部の欠損などを防止して保護することができる。これらにより、隔壁71,72において、インクに対する耐性向上及び各層間の接合強度向上を図ることができる。
【0089】
本実施形態の液体吐出ヘッド1において、第1層751は、シリコンの酸化物により構成され、第2層752は、ハフニウムの酸化物、ダイヤモンドライクカーボン、酸化アルミニウムのいずれかで構成されている。
この構成によっても、傾斜面同士が接続する場合の角部の鋭利な部分をなくし、なだらかにつながる角部とすることができ、角部の欠損などを防止して保護することができる。これらにより、隔壁71,72において、インクに対する耐性向上及び各層間の接合強度向上を図ることができる。
【0090】
本実施形態の液体吐出装置100は、上述した液体吐出ヘッド1と、液体吐出ヘッド1からの吐出動作を制御する制御部90と、を有している。
この構成により、気泡の+Z方向への移動をスムーズに行わせることができる液体吐出ヘッド1を備えることで、吐出効率の低下を防止して、吐出効率を維持させることができる液体吐出装置100を実現することができる。
【0091】
2.第2実施形態
図11は、第2実施形態に係る隔壁71Aを示す断面図である。詳細には、図11は、隔壁71Aを-X方向から見た状態を示す断面図であり、第1実施形態の図8に対応させた図である。
【0092】
本実施形態の隔壁71Aは、第1実施形態の隔壁71と比較して、隔壁71Aの-Z方向の先端部が異なっている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。なお、以降の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図11では、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付記している。
【0093】
図11に示すように、隔壁71Aは、圧力室側隔壁715、第1連通流路内壁面713A、第2連通流路内壁面714A、第1傾斜面711A、第2傾斜面712A、ノズル流路内壁面251を有している。隔壁71Aの第1連通流路内壁面713A、第2連通流路内壁面714Aは、第1実施形態の第1連通流路内壁面713、第2連通流路内壁面714が-Z方向に延在した状態となっている。その結果、第1実施形態の第1傾斜面711、第2傾斜面712の先端部は、ノズル流路25が有する+Z方向の内周面となるノズル流路内壁面251に達している。
【0094】
従って、本実施形態の隔壁71Aの先端側は、第4方向D4に延在する第1傾斜面711Aと、第5方向D5に延在する第2傾斜面712Aと、ノズル流路内壁面251とにより構成される形態となる。言い換えると、本実施形態の隔壁71Aを構成するノズル流路内壁面251は、X軸方向(第2方向)に延在して、第1傾斜面711Aと第2傾斜面712Aとに接続している。なお、ノズル流路内壁面251は、XY平面に概略平行となっている。
【0095】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0096】
本実施形態の液体吐出ヘッド1Aにおける隔壁71Aは、ノズル流路内壁面251を有し、ノズル流路内壁面251は、X軸方向(第2方向)に延在して、第1傾斜面711Aと第2傾斜面712Aとに接続している。
この構成により、第1連通流路241、第2連通流路242を流動するインクの内部に気泡が含まれていた場合には、X軸方向(第2方向)に延在して隔壁71Aを構成するノズル流路内壁面251の部分では、気泡が滞留する場合があるが、その両側に形成される第1傾斜面711Aと第2傾斜面712Aとにより、気泡の+Z方向への移動をスムーズに行わせることができる。
【0097】
3.第3実施形態
図12は、第3実施形態に係る隔壁71Bを示す断面図である。詳細には、図12は、隔壁71Bを-X方向から見た状態を示す断面図であり、第1実施形態の図8に対応させた図である。
【0098】
本実施形態の隔壁71Bは、第1実施形態の隔壁71と比較して、隔壁71Bの-Z方向の先端部が異なっている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。なお、以降の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図12では、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付記している。
【0099】
図12に示すように、隔壁71Bは、圧力室側隔壁715、第1連通流路内壁面713B、第2連通流路内壁面714B、第1傾斜面711Bを有している。本実施形態の隔壁71Bは、第1実施形態の隔壁71が有する第2傾斜面712を削除した状態に構成されている。詳細には、隔壁71Bは、第1実施形態の第1傾斜面711を第4方向D4に延在させた第1傾斜面711Bが、第1実施形態の第2連通流路内壁面714を-Z方向に延在させた第2連通流路内壁面714Bに接続した状態となっている。言い換えると、本実施形態の隔壁71Bを構成する第1傾斜面711Bは、第1連通流路内壁面713Bと第2連通流路内壁面714Bとに接続している。
【0100】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0101】
本実施形態の液体吐出ヘッド1Bにおける隔壁71Bは、第2連通流路内壁面714Bを有し、第1傾斜面711Bは、第1連通流路内壁面713Bと第2連通流路内壁面714Bとに接続している。
この構成により、第1連通流路241、第2連通流路242を流動するインクの内部に気泡が含まれていた場合には、第1傾斜面711Bにより、気泡の+Z方向への移動をスムーズに行わせることができる。
【0102】
4.第4実施形態
図13は、第4実施形態に係るノズル流路25Cを示す断面図である。詳細には、図13は、隔壁71の領域において、ノズル流路25Cを-X方向から見た状態を示す断面図である。
【0103】
図13に示すように、本実施形態のノズル流路25Cは、第1実施形態のノズル流路25と比較して、Y軸方向(第1方向)に延在していることが異なっている。その他の構成は、第1実施形態と同様である。なお、以降の説明では、第1実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、図13では、第1実施形態と同様の構成については、同一符号を付記している。
【0104】
Z軸方向(第3方向)に延在する第1連通流路241は、X軸方向から見た場合、外壁面として第1連通流路外壁面2411を有している。また、Z軸方向(第3方向)に延在する第2連通流路242は、X軸方向から見た場合、外壁面として第2連通流路外壁面2421を有している。
【0105】
また、Y軸方向(第1方向)に延在したノズル流路25Cに対して、X軸方向から見た場合、+Y方向の外壁面を第1ノズル流路外壁面252とする。そして、ノズル流路25Cに対して、X軸方向から見た場合、-Y方向の外壁面を第2ノズル流路外壁面253とする。
【0106】
この場合、本実施形態では、第1ノズル流路外壁面252は、X軸方向において、第1連通流路外壁面2411に段差などが無くスムーズに接続した状態となっている。また、第2ノズル流路外壁面253も、第1ノズル流路外壁面252と同様に、X軸方向において、第2連通流路外壁面2421に段差などが無くスムーズに接続した状態となっている。
【0107】
本実施形態によれば、以下の効果を得ることができる。
【0108】
本実施形態の液体吐出ヘッド1Cにおいて、第1ノズル流路外壁面252は、X軸方向において、第1連通流路外壁面2411に段差などが無くスムーズに接続し、第2ノズル流路外壁面253も、X軸方向において、第2連通流路外壁面2421に段差などが無くスムーズに接続している。
この構成により、第1圧力室CV1から第1連通流路241に流動したインクは、ノズル流路25にスムーズに流入することができる。また、第2圧力室CV2から第2連通流路242に流動したインクは、ノズル流路25にスムーズに流入することができる。
【0109】
5.変形例1
第1~第4実施形態において、液体吐出ヘッド1,1A,1B,1Cは、基本的な流路構成として、ノズル列Lnの配列方向となるY軸方向に並ぶ、-X方向の隣り合う2つの圧力室CVと、+X方向の隣り合う2つの圧力室CVとを1つのノズルNに連通させる構成としている。しかし、本発明はこのような態様に限定されない。
本実施形態の液体吐出ヘッドは、-X方向の隣り合う2つの圧力室CVと、+X方向の1つの圧力室CVとを1つのノズルNに連通させる構成としてもよい。また、液体吐出ヘッドは、-X方向の隣り合う3つ以上の圧力室CVと、+X方向の隣り合う3つ以上の圧力室CVとを1つのノズルNに連通させる構成としてもよい。また、液体吐出ヘッドは、-X方向の隣り合う2つの圧力室CVを1つのノズルNに連通させる構成としてもよい。また、本実施形態の液体吐出ヘッドは、-X方向の隣り合う3つ以上の圧力室CVを1つのノズルNに連通させる構成としてもよい。
いずれにしても、液体吐出ヘッドは、Y軸方向(第1方向)に隣り合う複数の圧力室CVを1つのノズルNに連通させる構成とすることでよい。
【0110】
6.変形例2
第1実施形態の隔壁71の外面には、保護膜75が設けられている。詳細には、第1傾斜面711、第2傾斜面712、第1連通流路内壁面713、及び第2連通流路内壁面714に、保護膜75が設けられている。しかし、これに限られず、第1傾斜面711のみに保護膜75を設けることでもよい。これにより、第1傾斜面711の欠損などを防止して保護することができる。
【0111】
7.変形例3
第1~第4実施形態では、液体吐出ヘッド1,1A,1B,1Cを、媒体Pの幅方向に往復動作させるシリアル方式の液体吐出装置100を例示したが、本発明はこのような態様に限定されない。本実施形態の液体吐出装置は、複数のノズルNが、媒体Pの全幅にわたり分布する、ライン方式の液体吐出装置であってもよい。
【符号の説明】
【0112】
1…液体吐出ヘッド、25…ノズル流路、75…保護膜、90…制御部、100…液体吐出装置、241…第1連通流路、242…第2連通流路、243…第3連通流路、244…第4連通流路、251…ノズル流路内壁面、252…第1ノズル流路外壁面、711…第1傾斜面、712…第2傾斜面、713…第1連通流路内壁面、714…第2連通流路内壁面、721…第3傾斜面、751…第1層、752…第2層、2411…第1連通流路外壁面、CV1…第1圧力室、CV2…第2圧力室、CV3…第3圧力室、CV4…第4圧力室、D4…第4方向、D5…第5方向、N…ノズル、Ln…ノズル列。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13