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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】資材供給システム及び資材供給方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/087 20230101AFI20241016BHJP
【FI】
G06Q10/087
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021036142
(22)【出願日】2021-03-08
(65)【公開番号】P2022136503
(43)【公開日】2022-09-21
【審査請求日】2023-09-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】大野 暁
(72)【発明者】
【氏名】西吉 大樹
(72)【発明者】
【氏名】佐野 洋平
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 大耀
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 駿
【審査官】中野 修平
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-129237(JP,A)
【文献】特開2008-077427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の生産拠点で使用される資材の供給が停止した場合に、供給が停止した前記資材である不足資材の使用に関する使用情報と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材を使用する生産品の生産計画と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材の残量を示す残量情報とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれについて、前記不足資材の不足量を算出する不足量算出部と、
前記不足資材を保管する複数の在庫センタそれぞれにおける前記不足資材に関する在庫情報と、前記複数の生産拠点それぞれと前記複数の在庫センタそれぞれとの間の移動に要する時間を取得するための情報である移動情報と、前記不足量とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれに最短で前記不足資材を供給する前記在庫センタを特定する在庫センタ特定部と、
前記不足資材とは異なる別資材を生産する資材工場から前記生産拠点へ前記別資材を配送する配送計画において前記資材工場から前記生産拠点へ前記別資材を配送する車両を特定された前記在庫センタに寄り道させるようにして、特定された前記在庫センタから前記複数の生産拠点それぞれへ前記不足資材を供給するための配送計画を行う配送計画部と、
を有する資材供給システム。
【請求項2】
前記不足量算出部は、所定期間に前記複数の生産拠点それぞれにおいて前記不足資材が不足する量である前記不足量を算出する、
請求項1に記載の資材供給システム。
【請求項3】
複数の生産拠点で使用される資材の供給が停止した場合に、供給が停止した前記資材である不足資材の使用に関する使用情報と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材を使用する生産品の生産計画と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材の残量を示す残量情報とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれについて、前記不足資材の不足量を算出する不足量算出部と、
前記不足資材を保管する複数の在庫センタそれぞれにおける前記不足資材に関する在庫情報と、前記複数の生産拠点それぞれと前記複数の在庫センタそれぞれとの間の移動に要する時間を取得するための情報である移動情報と、前記不足量とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれに最短で前記不足資材を供給する前記在庫センタを特定する在庫センタ特定部と、
前記不足資材とは異なる別資材を生産する資材工場から特定された前記在庫センタへ前記別資材を配送する配送計画において前記在庫センタへ前記別資材を配送し終わった車両の復路便を生産拠点へ寄り道させるようにして、特定された前記在庫センタから前記複数の生産拠点それぞれへ前記不足資材を供給するための配送計画を行う配送計画部と
を有する資材供給システム。
【請求項4】
前記在庫センタは、資材を市場に提供する物流倉庫である、
請求項1からのいずれか1項に記載の資材供給システム。
【請求項5】
複数の生産拠点で使用される資材の供給が停止した場合に、供給が停止した前記資材である不足資材の使用に関する使用情報と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材を使用する生産品の生産計画と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材の残量を示す残量情報とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれについて、前記不足資材の不足量を算出し、
前記不足資材を保管する複数の在庫センタそれぞれにおける前記不足資材に関する在庫情報と、前記複数の生産拠点それぞれと前記複数の在庫センタそれぞれとの間の移動に要する時間を取得するための情報である移動情報と、前記不足量とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれに最短で前記不足資材を供給する前記在庫センタを特定
前記不足資材とは異なる別資材を生産する資材工場から前記生産拠点へ前記別資材を配送する配送計画において前記資材工場から前記生産拠点へ前記別資材を配送する車両を特定された前記在庫センタに寄り道させるようにして、特定された前記在庫センタから前記複数の生産拠点それぞれへ前記不足資材を供給するための配送計画を行う、
コンピュータによって実行される資材供給方法。
【請求項6】
複数の生産拠点で使用される資材の供給が停止した場合に、供給が停止した前記資材である不足資材の使用に関する使用情報と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材を使用する生産品の生産計画と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材の残量を示す残量情報とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれについて、前記不足資材の不足量を算出し、
前記不足資材を保管する複数の在庫センタそれぞれにおける前記不足資材に関する在庫情報と、前記複数の生産拠点それぞれと前記複数の在庫センタそれぞれとの間の移動に要する時間を取得するための情報である移動情報と、前記不足量とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれに最短で前記不足資材を供給する前記在庫センタを特定し、
前記不足資材とは異なる別資材を生産する資材工場から特定された前記在庫センタへ前記別資材を配送する配送計画において前記在庫センタへ前記別資材を配送し終わった車両の復路便を生産拠点へ寄り道させるようにして、特定された前記在庫センタから前記複数の生産拠点それぞれへ前記不足資材を供給するための配送計画を行う、
コンピュータによって実行される資材供給方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、資材供給システム及び資材供給方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、配送手配方法を開示する。特許文献1にかかる配送手配方法は、部品要求情報に対し、部品を在庫管理する複数の機材センタそれぞれについての、現在在庫している部品に関する在庫情報、配送出動が可能な配送車に関する配送車情報、及び配送出動した場合の部品配送に要する配送時間情報を検索する。そして、特許文献1にかかる配送手配方法は、検索結果から要求部品を最も速く部品要求先へ配送することができる機材センタを自動的に選び出し配送手配を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2003-122821号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
生産品が生産される生産拠点には、生産品に使用される部品等の資材が供給される。このような場合、資材が供給されないため当該資材が不足した場合に、当該資材が複数の生産拠点で使用される共通資材であるときは、複数の生産拠点でその資材(共通資材)の不足が発生する。これに対し、上述した特許文献では、部品要求先が複数であることを想定していないので、共通資材が不足した場合に共通資材を複数の生産拠点それぞれに最短で供給することができないおそれがある。したがって、複数の生産拠点に与える影響を低減できないおそれがある。
【0005】
本発明は、複数の生産拠点それぞれで使用される資材の供給が停止した場合に、各生産拠点に与える影響を低減することが可能な資材供給システム及び資材供給方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる資材供給システムは、複数の生産拠点で使用される資材の供給が停止した場合に、供給が停止した前記資材である不足資材の使用に関する使用情報と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材を使用する生産品の生産計画と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材の残量を示す残量情報とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれについて、前記不足資材の不足量を算出する不足量算出部と、前記不足資材を保管する複数の在庫センタそれぞれにおける前記不足資材に関する在庫情報と、前記複数の生産拠点それぞれと前記複数の在庫センタそれぞれとの間の移動に要する時間を取得するための情報である移動情報と、前記不足量とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれに最短で前記不足資材を供給する前記在庫センタを特定する在庫センタ特定部と、を有する。
【0007】
また、本発明にかかる資材供給方法は、複数の生産拠点で使用される資材の供給が停止した場合に、供給が停止した前記資材である不足資材の使用に関する使用情報と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材を使用する生産品の生産計画と、前記複数の生産拠点それぞれにおける前記不足資材の残量を示す残量情報とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれについて、前記不足資材の不足量を算出し、前記不足資材を保管する複数の在庫センタそれぞれにおける前記不足資材に関する在庫情報と、前記複数の生産拠点それぞれと前記複数の在庫センタそれぞれとの間の移動に要する時間を取得するための情報である移動情報と、前記不足量とを用いて、前記複数の生産拠点それぞれに最短で前記不足資材を供給する前記在庫センタを特定する。
【0008】
このような構成により、複数の生産拠点それぞれについて必要な量の不足資材を、最短で、在庫センタから各生産拠点に供給することが可能となる。したがって、本発明は、複数の生産拠点それぞれで使用される資材の供給が停止した場合であっても、各生産拠点に与える影響を低減することが可能となる。
【0009】
また、好ましくは、前記不足量算出部は、所定期間に前記複数の生産拠点それぞれにおいて前記不足資材が不足する量である前記不足量を算出する。
このようにして算出された不足量を用いて在庫センタを特定することにより、所定期間内に不足する量の不足資材を適切に各生産拠点に供給することが可能となる。
【0010】
また、好ましくは、特定された前記在庫センタから前記複数の生産拠点それぞれへ前記不足資材を供給するための配送計画を行う配送計画部をさらに有する。
このような構成により、不足資材を適切に在庫センタから生産拠点に配送することが可能となる。
【0011】
また、好ましくは、前記配送計画部は、前記不足資材とは異なる別資材の配送に関する配送計画に割り込むようにして、前記不足資材の配送計画を行う。
このような構成により、不足資材を配送するためだけに使用される車両を準備することが不要となるので、配送計画を効率よく行うことが可能となる。
【0012】
また、好ましくは、前記配送計画部は、前記別資材を生産する資材工場から前記生産拠点へ前記別資材を配送する配送計画において前記資材工場から前記生産拠点へ前記別資材を配送する車両を前記在庫センタに寄り道させるようにして、前記不足資材の配送計画を行う。
このような構成により、資材工場から生産拠点へ配送を行っている既存の配送計画を用いて不足資材を配送することが可能となる。したがって、不足資材を効率的に配送することが可能となる。
【0013】
また、好ましくは、前記配送計画部は、前記別資材を生産する資材工場から前記在庫センタへ前記別資材を配送する配送計画において前記在庫センタへ前記別資材を配送し終わった車両の復路便を生産拠点へ寄り道させるようにして、前記不足資材の配送計画を行う。
このような構成により、資材工場から在庫センタへ配送を行っている既存の配送計画を用いて不足資材を配送することが可能となる。したがって、不足資材を効率的に配送することが可能となる。
【0014】
また、好ましくは、前記在庫センタは、資材を市場に提供する物流倉庫である。
このような構成により、物流倉庫を在庫センタとして用いることによって、生産拠点に資材を供給する在庫センタを別途設けることが不要となる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の生産拠点それぞれで使用される資材の供給が停止した場合に、各生産拠点に与える影響を低減することが可能な資材供給システム及び資材供給方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本実施の形態の概要を説明するための図である。
図2】本実施の形態の概要を説明するための図である。
図3】実施の形態1にかかる資材供給システムのハードウェア構成を示す図である。
図4】実施の形態1にかかる資材供給システムの構成を示す機能ブロック図である。
図5】実施の形態1にかかる生産品情報格納部によって格納される生産品情報を例示する図である。
図6】実施の形態1にかかる生産計画格納部にとって格納される生産計画を例示する図である。
図7】実施の形態1にかかる残量情報格納部によって格納される残量情報を例示する図である。
図8】実施の形態1にかかる在庫情報格納部によって格納される在庫情報を例示する図である。
図9】実施の形態1にかかる配送情報格納部によって格納される配送情報を例示する図である。
図10】実施の形態1にかかる移動情報格納部によって格納される移動情報を例示する図である。
図11】実施の形態1にかかる資材使用情報を例示する図である。
図12】実施の形態1にかかる資材供給システムによって実行される資材供給方法を示すフローチャートである。
図13】実施の形態1にかかる資材供給システムによって実行される資材供給方法を示すフローチャートである。
図14】実施の形態1にかかる資材供給システムによって実行される資材供給方法を示すフローチャートである。
図15】実施の形態1にかかる資材供給システムによって実行される資材供給方法を示すフローチャートである。
図16】資材工場から不足資材が使用される生産拠点へ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みについて説明するための図である。
図17】資材工場から不足資材が保管される在庫センタへ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みについて説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
(実施の形態1)
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0018】
<概要>
実施の形態1について説明する前に、実施の形態の概要について説明する。
図1及び図2は、本実施の形態の概要を説明するための図である。図1は、通常時の物流を示す図である。実線の矢印は、生産品に関する物流を示す。また、破線の矢印は、補給品に関する物流を示す。なお、本明細書において、「通常時」とは、後述するような資材の供給が停止した状態が、発生していない場合をいう。
【0019】
ここで、本明細書において、「生産品」とは、1つ以上の資材を使用して生産された製品である。そして、「資材」は、生産品の生産で使用されるものである。例えば、「資材」は、生産品を構成する部品である。例えば、生産品が自動車である場合、資材は、トランスアスクル、トランスミッション、電子制御装置、歯車、ボルト、及びナット等である。また、「補給品」とは、生産品が消費者に提供された後で、その生産品のアフターサービスにおいて供給されるものである。例えば、補給品は、予備パーツ又はサービスパーツである。
【0020】
図1に例示するように、物流を構成する拠点として、資材工場52、生産拠点54、在庫センタ56、及び販売店64,66がある。なお、図1には、資材工場52、生産拠点54及び在庫センタ56がそれぞれ1つずつ示されているが、実際には、資材工場52、生産拠点54及び在庫センタ56は、それぞれ複数存在し得る。
【0021】
資材工場52は、資材32を生産する工場である。資材工場52は、例えば部品工場である。資材工場52は、生産品34を生産するメーカに資材32を供給するサプライヤによって管理される。
【0022】
生産拠点54は、資材32を用いる生産品34を生産する拠点である。例えば生産品が自動車である場合、生産拠点54は、車両工場又はその生産ラインに対応する。生産拠点54は、生産品34を生産するメーカによって管理される。
【0023】
在庫センタ56は、補給品である資材32を保管しておく拠点である。在庫センタ56は、例えば、物流倉庫である。ここで、在庫センタ56は、生産拠点54で生産品34の生産に使用される資材32と実質的に同じものを保管し得る。在庫センタ56は、生産品34を生産するメーカによって管理され得る。
【0024】
販売店64は、生産拠点54で生産された生産品34を消費者に提供する拠点である。また、販売店66は、在庫センタ56に保管された資材32を、生産品34に対する補給品として、消費者つまり市場に提供する拠点である。言い換えると、在庫センタ56である物流倉庫は、資材32を市場に提供する。ここで、販売店64と販売店66とは、互いに同じであってもよい。つまり、例えば、自動車のディーラである販売店64が、補給品である資材32を消費者に提供してもよい。
【0025】
資材工場52で生産された資材32は、生産品34の生産のため、生産拠点54に供給(配送)される。また、資材工場52で生産された資材32は、補給品として、在庫センタ56に供給(配送)される。また、生産拠点54で資材32を用いて生産された生産品34は、販売店64に配送され、消費者に提供される。また、在庫センタ56に保管された資材32は、販売店66に配送され、補給品として消費者に提供される。
【0026】
図2は、資材不足時の物流を示す図である。資材工場52において資材32について品質等の不具合が発生したなどの理由により、資材工場52から資材32が供給されないことがある。この場合、資材32が不足する。このような場合、このままでは、生産拠点54において生産品34の生産ができなくなる可能性がある。本実施の形態では、このように、資材工場52からの供給が停止したため資材32(不足資材)が不足した場合に、太線の矢印で示すように、在庫センタ56から生産拠点54に資材32を配送することを可能とするように、構成されている。ここで、実施の形態1では、資材を市場に提供する物流倉庫を、在庫センタ56として使用する。物流倉庫を在庫センタとして用いることによって、生産拠点に資材を供給する在庫センタを別途設けることが不要となる。
【0027】
<資材供給システムの構成>
次に、実施の形態1にかかる資材供給システムについて説明する。
図3は、実施の形態1にかかる資材供給システム1のハードウェア構成を示す図である。ここで、資材供給システム1は、1つ又は複数のコンピュータ等の情報処理装置によって実現され得る。資材供給システム1は、例えばクラウドシステムによって実現されてもよい。また、資材供給システム1は、複数の装置(例えばサーバ)によって実現されてもよい。この場合、複数の装置それぞれが、図3に示したハードウェア構成を有し得る。
【0028】
資材供給システム1は、主要なハードウェア構成として、CPU(Central Processing Unit)12と、ROM(Read Only Memory)14と、RAM(Random Access Memory)16と、インタフェース部(IF;Interface)18とを有する。CPU12、ROM14、RAM16及びインタフェース部18は、データバスなどを介して相互に接続されている。
【0029】
CPU12は、制御処理及び演算処理等を行う演算装置(処理デバイスまたはプロセッサ)としての機能を有する。ROM14は、CPU12によって実行される制御プログラム及び演算プログラム等を記憶するストレージとしての機能を有する。RAM16は、処理データ等を一時的に記憶するメモリとしての機能を有する。インタフェース部18は、有線又は無線を介して外部と信号の入出力を行う。また、インタフェース部18は、ユーザによるデータの入力の操作を受け付け、ユーザに対して情報を表示するための処理を行う。インタフェース部18は、例えばキーボード等の入力デバイスと、例えばディスプレイ等の出力デバイスとを有してもよい。また、インタフェース部18は、入力デバイスと出力デバイスとが一体となったタッチパネルを有してもよい。また、インタフェース部18は、マイク及びスピーカを有してもよい。例えば、インタフェース部18は、配送計画に関する情報を表示してもよい。
【0030】
図4は、実施の形態1にかかる資材供給システム1の構成を示す機能ブロック図である。資材供給システム1は、構成要素として、情報格納部100と、物流管理部120と、資材供給制御部130とを有する。情報格納部100は、生産品情報格納部102と、生産計画格納部104と、残量情報格納部106と、在庫情報格納部108と、配送情報格納部110と、移動情報格納部112とを有する。物流管理部120は、在庫管理部122と、配送管理部124とを有する。資材供給制御部130は、停止通知受信部132と、不足資材特定部134と、情報取得部140と、生産拠点特定部150と、不足量算出部160と、在庫センタ特定部170と、配送計画部180とを有する。
【0031】
ここで、上述した資材供給システム1の各構成要素は、物理的に1つの装置によって実現されることに限定されず、例えばクラウドコンピューティング等により複数の装置によって実現されてもよい。つまり、資材供給システム1は、物理的に複数の装置で構成されてもよい。例えば、情報格納部100及び物流管理部120は、それぞれ、資材供給制御部130とは別の装置で実現されてもよい。
【0032】
なお、これらの構成要素は、例えば、CPU12がROM14に記憶されたプログラムを実行することによって実現可能である。また、各構成要素は、必要なプログラムを任意の不揮発性記録媒体に記録しておき、必要に応じてインストールするようにして、実現されるようにしてもよい。なお、各構成要素は、上記のようにソフトウェアによって実現されることに限定されず、何らかの回路素子等のハードウェアによって実現されてもよい。また、各構成要素は、例えばFPGA(field-programmable gate array)又はマイコン等の、ユーザがプログラミング可能な集積回路を用いて実現してもよい。この場合、この集積回路を用いて、上記の各構成要素から構成されるプログラムを実現してもよい。また、上記構成要素の1つ以上は、物理的に別個のハードウェアによってそれぞれ実現されてもよい。
【0033】
情報格納部100は、生産及び物流に関する各種の情報を格納する。ここで、情報格納部100は、資材の供給が停止されているか否かに関わらず、情報を格納し得る。なお、情報格納部100は、1つのデータベースで実現されてもよい。あるいは、情報格納部100は、複数のデータベースで実現されてもよい。その場合、情報格納部100の各構成要素は、互いに別のデータベースで実現されてもよい。
【0034】
さらに、情報格納部100の各構成要素は、互いに別の装置で実現されてもよい。例えば、情報格納部100の各構成要素は、それぞれに対応する組織(部署等)によって管理されるデータベース又はサーバ等によって実現されてもよい。例えば、生産品情報格納部102は、設計部門によって管理されるデータベース又はサーバ等によって実現されてもよい。また、生産計画格納部104及び残量情報格納部106は、生産管理部門によって管理されるデータベース又はサーバ等によって実現されてもよい。また、在庫情報格納部108は、在庫管理部門又はアフターサービス部門によって管理されるデータベース又はサーバ等によって実現されてもよい。また、配送情報格納部110は、配送管理部門によって管理されるデータベース又はサーバ等によって実現されてもよい。
【0035】
生産品情報格納部102は、生産品情報を格納する。生産品情報は、各生産拠点で生産される生産品に関する情報である。生産品情報は、生産品の種類ごとに、その生産品を構成する資材の種類(品番等)を示している。つまり、生産品情報は、生産品の種類と、その生産品を構成する資材の種類とを対応付けている。生産品情報は、さらに、対応する生産品を構成する資材の、その生産品における使用量を示している。使用量は、例えば、生産品において各資材が使用されている個数である。生産品情報は、例えば、生産品及びその部品を示す図面データであってもよい。また、生産品が自動車である場合、生産品の種類は、車種又は車名であり得る。
【0036】
図5は、実施の形態1にかかる生産品情報格納部102によって格納される生産品情報を例示する図である。図5の例において、生産品情報は、生産品の種類として、生産品A及び生産品Bについて示している。図5に例示した生産品情報は、生産品Aを構成する資材の種類及びそれらの資材の生産品Aにおける使用量と、生産品Bを構成する資材の種類及びそれらの資材の生産品Bにおける使用量とを示している。
【0037】
図5の例では、生産品Aは、少なくとも、資材aと、資材bと、資材cとから構成される。また、生産品Aにおける資材aの使用量は、n_aである。また、生産品Aにおける資材bの使用量は、n_bである。また、生産品Aにおける資材cの使用量は、n_cである。また、生産品Bは、少なくとも、資材dと、資材eと、資材fとから構成される。また、生産品Bにおける資材dの使用量は、n_dである。また、生産品Bにおける資材eの使用量は、n_eである。また、生産品Bにおける資材fの使用量は、n_fである。
【0038】
なお、生産品情報において、「生産品A」及び「生産品B」は、それぞれの生産品の種類(例えば車種等)を示してもよい。このことは、他の情報においても同様である。また、例えば使用量n_aは、資材aが生産品Aで使用されている個数である。他の使用量についても同様である。また、生産品情報において、「資材a」、「資材b」、「資材c」、「資材d」、「資材e」及び「資材f」は、それぞれの資材の品番(種類)を示してもよい。このことは、他の情報においても同様である。また、ある種類の資材が、複数の生産品で使用されてもよい。例えば、資材aは、生産品Aだけでなく生産品Bでも使用されてもよい。また、生産品情報は、資材がどの生産品で使用されているかを示している。したがって、生産品情報は、資材の使用に関する情報である使用情報であると言える。
【0039】
生産計画格納部104(図4)は、生産計画を格納する。生産計画は、生産品の種類ごとに、その生産品を生産する生産拠点を示している。つまり、生産計画は、生産品の種類と、その生産品を生産する生産拠点とを対応付けている。生産計画は、さらに、対応する生産品の各生産拠点における予定生産量を示している。予定生産量は、例えば、ある期間でどれだけの生産品を生産するかを示している。生産品が自動車である場合、予定生産量は、月間予定生産台数であってもよい。
【0040】
図6は、実施の形態1にかかる生産計画格納部104にとって格納される生産計画を例示する図である。図6の例において、生産計画は、生産品の種類として、生産品A及び生産品Bについて示している。生産計画は、生産品Aを生産する生産拠点及びそれらの生産拠点における予定生産量と、生産品Bを生産する生産拠点及びそれらの生産拠点における予定生産量とを示している。
【0041】
図6の例では、生産品Aは、生産拠点#F1と、生産拠点#F2とで生産される。生産品Aの生産拠点#F1における予定生産量は、m_A1である。生産品Aの生産拠点#F2における予定生産量は、m_A2である。また、生産品Bは、生産拠点#F3と、生産拠点#F4とで生産される。生産品Bの生産拠点#F3における予定生産量は、m_B3である。生産品Bの生産拠点#F4における予定生産量は、m_B4である。
【0042】
なお、生産計画において、「生産拠点#F1」は、その生産拠点の識別情報を示してもよい。このことは、他の生産拠点及び他の情報においても同様である。また、生産計画は、生産品がどの生産拠点で生産されるかを示し、さらに、各生産品は、複数の資材で構成されている。したがって、生産計画は、複数の生産拠点それぞれにおける、資材を使用した生産品の生産の計画を示している。
【0043】
残量情報格納部106(図4)は、残量情報を格納する。残量情報は、複数の生産拠点それぞれにおける各資材の残量を示している。つまり、残量情報は、生産拠点と、その生産拠点にある資材と、その資材の残量とを、対応付けている。ここで、残量は、各生産拠点に存在する資材の量である。言い換えると、残量は、各生産拠点において未だ使用されないで残っている資材の量(例えば個数)である。例えば、残量は、生産拠点における各資材の在庫の量であってもよい。ここで、実施の形態1において、各生産拠点に残っている資材は、生産品の生産に伴って、順次、使用されていく。
【0044】
図7は、実施の形態1にかかる残量情報格納部106によって格納される残量情報を例示する図である。図7の例において、残量情報は、生産拠点#F1における各資材の残量と、生産拠点#F2における各資材の残量とを示している。図7の例では、生産拠点#F1における資材aの残量は、r_a1である。生産拠点#F1における資材bの残量は、r_b1である。生産拠点#F1における資材cの残量は、r_c1である。また、図7の例では、生産拠点#F2における資材aの残量は、r_a2である。生産拠点#F2における資材bの残量は、r_b2である。生産拠点#F2における資材cの残量は、r_c2である。
【0045】
在庫情報格納部108(図4)は、在庫情報を格納する。在庫情報は、複数の在庫センタそれぞれにおける各資材の在庫量を示している。つまり、在庫情報は、在庫センタと、その在庫センタにある資材と、その資材の在庫量とを、対応付けている。在庫量は、各在庫センタに保管されている資材の量(例えば個数)である。ここで、実施の形態1において、各在庫センタに保管されている資材は、補給品としての需要に応じて、適宜、販売店に配送されていく。
【0046】
図8は、実施の形態1にかかる在庫情報格納部108によって格納される在庫情報を例示する図である。図8において、在庫情報は、在庫センタ#S1における各資材の在庫量と、在庫センタ#S2における各資材の在庫量とを示している。図8の例では、在庫センタ#S1における資材aの在庫量は、R_a1である。在庫センタ#S1における資材bの在庫量は、R_b1である。在庫センタ#S1における資材cの在庫量は、R_c1である。また、図8の例では、在庫センタ#S2における資材aの在庫量は、R_a2である。在庫センタ#S2における資材bの在庫量は、R_b2である。在庫センタ#S2における資材cの在庫量は、R_c2である。
【0047】
配送情報格納部110(図4)は、配送情報を格納する。配送情報は、1つ以上の運送会社それぞれについての配送計画に関する情報である。配送情報は、各運送会社から提供される情報であってもよい。
【0048】
図9は、実施の形態1にかかる配送情報格納部110によって格納される配送情報を例示する図である。図9の例では、配送情報は、少なくとも運送会社A及び運送会社Bに関する情報を示している。図9の例において、配送情報は、運送会社A及び運送会社Bそれぞれについて、稼働中の車両台数と、非稼働中の車両台数とを示す。ここで、「稼働中」とは、配送に使用される車両(トラック等)が、配送のために運送会社に滞在していない状態をいう。なお、「稼働中」とは、次の配送予定が決まっていて運送会社に待機している状態を含んでもよい。また、「非稼働中」とは、配送の予定が決まっていない状態をいう。また、「非稼働中」とは、単に運送会社に滞在している状態であってもよい。
【0049】
また、図9の例において、配送情報は、運送会社A及び運送会社Bそれぞれについて、配送ルートと、時間割及びずれと、を示す。配送ルートは、対応する運送会社で請け負っている既存の配送の経路を示す。また、「時間割及びずれ」は、各配送について、予定されている出発時間及び到着時間と、それらに対する遅れ又は進み具合とを示す。
【0050】
また、図9の例において、配送情報は、運送会社A及び運送会社Bそれぞれについて、全車両のキャパシティと、稼働中車両の荷物占有率とを示す。ここで、「キャパシティ」は、車両が積載可能な荷物の量を示す。キャパシティは、例えば最大積載量であってもよいし、車両が占有できる空間の最大の体積であってもよいし、これらの両方であってもよい。また、荷物占有率は、車両のキャパシティに対して車両に積載されている荷物が占有している量(積荷量)の割合である。積荷量は、荷物の重量であってもよいし、荷物の体積であってもよい。
【0051】
なお、配送情報は、図9に示した項目以外の項目を示してもよい。例えば、配送情報は、各運送会社について、非稼働中の車両の待機場所、待機人員数、待機人員の待機場所、及び、待機人員の業務開始タイミングを示してもよい。
【0052】
移動情報格納部112(図4)は、移動情報を格納する。移動情報は、複数の生産拠点それぞれと複数の在庫センタそれぞれとの間の移動に要する時間を取得するための情報である。移動情報は、各生産拠点の位置情報及び各在庫センタの位置情報を含んでもよい。位置情報は、生産拠点及び在庫センタの住所を示してもよいし、緯度経度を示してもよい。なお、スタート地点及びゴール地点の位置情報が分かれば、これらの間の最短距離と車両の速度とから移動時間が分かる。したがって、位置情報は、複数の生産拠点それぞれと複数の在庫センタそれぞれとの間の移動に要する時間を取得するための情報であると言える。また、移動情報は、各生産拠点と各在庫センタとの間の最短距離を示す情報を含んでもよい。
【0053】
また、移動情報は、在庫センタと生産拠点との間の車両の移動時間を示してもよい。移動時間は、車両が在庫センタと生産拠点との間の移動に要すると予想される時間である。移動時間は、例えば、車両の平均速度と、在庫センタと生産拠点との間の最短距離とから、算出されてもよい。また、移動時間は、実際に在庫センタと生産拠点との間を車両が走行することによって得られたデータから、算出されてもよい。例えば、移動時間は、地図情報においてスタート地点とゴール地点とを指定することによって所要時間を算出するアルゴリズムを用いて算出されてもよい。
【0054】
図10は、実施の形態1にかかる移動情報格納部112によって格納される移動情報を例示する図である。図10の例において、移動情報は、生産拠点#F1及び生産拠点#F2と、在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2と、に関する情報を示している。図10の例では、移動情報は、生産拠点#F1、生産拠点#F2、在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2それぞれの位置情報を含む。図10の例において、生産拠点#F1の位置情報は、P_F1である。生産拠点#F2の位置情報は、P_F2である。在庫センタ#S1の位置情報は、P_S1である。在庫センタ#S2の位置情報は、P_S2である。なお、生産拠点の位置情報は、生産計画に含まれていてもよい。また、在庫センタの位置情報は、在庫情報に含まれていてもよい。
【0055】
また、図10の例では、各在庫センタと各生産拠点との間の車両の移動時間を含む。図10の例において、在庫センタ#S1と生産拠点#F1との間の移動時間は、T11である。また、在庫センタ#S1と生産拠点#F2との間の移動時間は、T12である。また、在庫センタ#S2と生産拠点#F1との間の移動時間は、T21である。また、在庫センタ#S2と生産拠点#F2との間の移動時間は、T22である。
【0056】
物流管理部120(図4)は、物流に関する計画及び情報を管理する。ここで物流管理部120は、資材の供給が停止されているか否かに関わらず、処理を実行し得る。なお、物流管理部120は、1つの装置で実現されてもよい。あるいは、物流管理部120は、複数の装置で実現されてもよい。その場合、物流管理部120の各構成要素は、互いに別の装置で実現されてもよい。
【0057】
在庫管理部122は、在庫センタの管理を行う。在庫管理部122は、在庫情報の管理を行う。なお、在庫情報格納部108が、情報格納部100の他の構成要素とは別の装置で実現される場合、在庫管理部122は、在庫情報格納部108を実現する装置又はその装置を制御する装置で実現されてもよい。在庫管理部122は、在庫情報を用いて、各在庫センタの各資材の在庫量を管理する。在庫管理部122は、例えば、在庫センタに保管された資材(補給品)の受注(需要)及び供給の管理を行う。
【0058】
例えば、ある在庫センタのある資材(補給品)の受注があった場合に、在庫管理部122は、在庫情報のその在庫センタに対応付けられた資材の在庫量を、その受注量に応じて減少させる。例えば、図8の例において、在庫センタ#S1の資材aに1個の受注があった場合、在庫管理部122は、R_a1の数を1つ減少させる。なお、後述するように、ある在庫センタからある生産拠点に不足資材が供給される場合、在庫管理部122は、在庫情報のその在庫センタに対応付けられた不足資材の在庫量を、供給される量に応じて減少させる。
【0059】
配送管理部124は、通常時の配送計画の管理を行う。配送管理部124は、配送情報を用いて、配送計画の管理を行う。なお、配送情報格納部110が、情報格納部100の他の構成要素とは別の装置で実現される場合、配送管理部124は、配送情報格納部110を実現する装置又はその装置を制御する装置で実現され得る。
【0060】
資材供給制御部130は、図2に例示したように資材工場からの資材の供給が停止した場合に、供給が停止した資材である不足資材の、在庫センタからの供給に関する制御を行う。なお、資材供給制御部130は、1つの装置で実現されてもよい。あるいは、資材供給制御部130は、複数の装置で実現されてもよい。その場合、資材供給制御部130の各構成要素は、互いに別の装置で実現されてもよい。
【0061】
停止通知受信部132は、サプライヤから停止通知を受信する。停止通知受信部132は、インタフェース部18によって、停止通知を受信する。図2の例では、停止通知受信部132は、資材工場52を管理するサプライヤの装置(サーバ又は端末)から、停止通知を受信する。ここで、停止通知は、少なくとも、不足資材の品番と、不足資材の供給の復旧見込み時間とを示し得る。例えば、図5等の例において、資材aの供給が停止した場合、停止通知は、資材aを生産するサプライヤから受信される。また、停止通知は、資材aの品番と、資材aの供給の復旧見込み時間とを示す。
【0062】
不足資材特定部134は、不足資材を特定する。具体的には、不足資材特定部134は、受信された停止通知を用いて、不足資材を特定する。さらに具体的には、不足資材特定部134は、停止通知から不足資材の品番を抽出する。なお、不足資材特定部134によって特定された不足資材の品番は、ROM14によって実現されるデータベースに格納されてもよい。同様に、不足資材の供給の復旧見込み時間についても、データベースに格納されてもよい。これらのデータベースに格納された情報は、資材供給制御部130によって管理され得る。
【0063】
情報取得部140は、情報格納部100に格納された情報を用いて、不足資材に関する情報(不足資材情報)を取得する。具体的には、情報取得部140は、不足資材の使用に関する使用情報を取得する。さらに具体的には、情報取得部140は、生産品情報格納部102に格納された生産品情報を用いて、不足資材を使用する生産品に関する生産品情報(使用情報)を取得する。これにより、情報取得部140は、その不足資材を使用する生産品の種類を取得する。また、情報取得部140は、不足資材を使用する生産品において、その不足資材の生産品1つ当たりの使用量を取得する。
【0064】
例えば、図5の例において、不足資材が資材aである場合、情報取得部140は、資材aを使用する生産品に関する生産品情報を取得する。これにより、情報取得部140は、資材a(不足資材)を使用する生産品の種類「生産品A」を取得する。また、情報取得部140は、資材a(不足資材)を使用する生産品Aにおける、資材aの生産品1つ当たりの使用量「n_a」を取得する。
【0065】
また、情報取得部140は、生産計画格納部104に格納された生産計画を用いて、不足資材を使用する生産品の生産計画を取得する。これにより、情報取得部140は、その不足資材を使用する生産品に関する生産拠点の識別情報を取得する。また、情報取得部140は、その生産拠点における、不足資材を使用する生産品の予定生産量を取得する。
【0066】
例えば、図5及び図6の例において、不足資材が資材aである場合、情報取得部140は、資材aを使用する生産品Aに関する生産計画を取得する。これにより、情報取得部140は、資材aを使用する生産品Aを生産する生産拠点#F1及び生産拠点#F2の識別情報を取得する。また、情報取得部140は、生産品Aを生産する生産拠点#F1について、生産品Aの予定生産量「m_A1」を取得する。同様に、情報取得部140は、生産品Aを生産する生産拠点#F2について、生産品Aの「m_A2」を取得する。
【0067】
また、情報取得部140は、残量情報格納部106に格納された残量情報を用いて、不足資材を使用する生産品を生産する各生産拠点における不足資材に関する残量情報を取得する。これにより、情報取得部140は、各生産拠点における不足資材の残量を取得する。例えば、図5図7の例において、不足資材が資材aである場合、情報取得部140は、資材a(不足資材)を使用する生産品Aを生産する生産拠点#F1について、資材aの残量「r_a1」を取得する。同様に、情報取得部140は、資材a(不足資材)を使用する生産品Aを生産する生産拠点#F2について、資材aの残量「r_a2」を取得する。
【0068】
また、情報取得部140は、在庫情報格納部108に格納された在庫情報を用いて、不足資材を保管する各在庫センタにおける不足資材に関する在庫情報を取得する。これにより、情報取得部140は、各在庫センタにおける不足資材の在庫量を取得する。例えば、図8の例において、不足資材が資材aである場合、情報取得部140は、資材a(不足資材)を保管する在庫センタ#S1について、資材aの残量「R_a1」を取得する。同様に、情報取得部140は、資材a(不足資材)を保管する在庫センタ#S2について、資材aの残量「R_a2」を取得する。
【0069】
また、情報取得部140は、移動情報格納部112に格納された移動情報を用いて、不足資材を保管する各在庫センタと不足資材が使用される各生産拠点との間の移動時間に関する移動情報を取得する。例えば、図5図8及び図10の例において、不足資材が資材aである場合、情報取得部140は、資材a(不足資材)を保管する在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2それぞれと、資材aが使用される生産拠点#F1及び生産拠点#F2それぞれと、に関する移動情報を取得する。例えば、情報取得部140は、在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2それぞれの位置情報「P_S1」及び「P_S2」と、生産拠点#F1及び生産拠点#F2それぞれの位置情報「P_F1」及び「P_F2」とを取得する。あるいは、情報取得部140は、在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2それぞれと生産拠点#F1及び生産拠点#F2それぞれとの間の移動時間「T11」、「T12」、「T21」及び「T22」を取得する。
【0070】
なお、上述したように、情報格納部100の各構成要素は、互いに別の装置で実現されてもよい。この場合、情報取得部140の上述した機能は、情報格納部100の各構成要素を実現する装置又はその装置を制御する装置によって実現されてもよい。つまり、情報取得部140は、複数の装置によって実現されてもよい。例えば、情報取得部140の生産品情報を取得する機能は、生産品情報格納部102を実現する装置等によって実現されてもよい。また、情報取得部140の生産計画を取得する機能は、生産計画格納部104を実現する装置等によって実現されてもよい。また、情報取得部140の残量情報を取得する機能は、残量情報格納部106を実現する装置等によって実現されてもよい。また、情報取得部140の在庫情報を取得する機能は、在庫情報格納部108を実現する装置等によって実現されてもよい。
【0071】
生産拠点特定部150は、不足資材が使用される生産拠点を特定する。具体的には、生産拠点特定部150は、情報取得部140によって取得された生産品情報を用いて、不足資材を使用する生産品の種類を特定する。そして、生産拠点特定部150は、情報取得部140によって取得された生産計画を用いて、不足資材を使用する生産拠点として、不足資材を使用する生産品を生産する生産拠点を特定する。
【0072】
例えば、図5及び図6の例において、不足資材が資材aである場合、生産拠点特定部150は、情報取得部140によって取得された生産品情報を用いて、資材a(不足資材)を使用する生産品の種類「生産品A」を特定する。そして、生産拠点特定部150は、情報取得部140によって取得された生産計画を用いて、資材a(不足資材)を使用する生産品Aを生産する生産拠点#F1及び生産拠点#F2を特定する。
【0073】
なお、生産拠点特定部150は、不足資材と、その不足資材を使用する生産拠点とを対応付ける、資材使用情報を生成してもよい。具体的には、生産拠点特定部150は、不足資材を使用する生産品に関する生産品情報と、不足資材を使用する生産品を生産する生産計画とを用いて、資材使用情報を生成してもよい。
【0074】
あるいは、生産拠点特定部150は、残量情報を用いて、資材使用情報を生成してもよい。具体的には、生産拠点特定部150は、残量情報において不足資材に対応付けられている生産拠点の識別情報を抽出(検索)することによって、資材使用情報を生成してもよい。例えば、図7の例において、資材aが不足資材である場合、生産拠点特定部150は、残量情報において資材aに対応付けられている生産拠点#F1及び生産拠点#F2の識別情報を抽出することによって、資材使用情報を生成してもよい。
【0075】
図11は、実施の形態1にかかる資材使用情報を例示する図である。図11には、資材aに関する資材使用情報が示されている。図11に例示した資材使用情報において、資材aと、生産拠点#F1及び生産拠点#F2とが、対応付けられている。なお、資材使用情報は、各生産拠点について、後述する処理によって算出される不足資材の不足量を対応付けてもよい。
【0076】
なお、資材使用情報は、各資材について、予め、情報格納部100に格納されていてもよい。この場合、情報取得部140は、情報格納部100から、不足資材に対応する資材使用情報を取得してもよい。あるいは、情報取得部140によって、生産拠点特定部150と同様にして、不足資材に関する資材使用情報が生成されてもよい。これらの場合、生産拠点特定部150は、情報取得部140によって取得された、不足資材に関する資材使用情報を用いて、不足資材に関する生産拠点を特定してもよい。
【0077】
不足量算出部160は、使用情報と、生産計画と、残量情報とを用いて、不足資材が使用される各生産拠点について、不足資材の不足量を算出する。好ましくは、不足量算出部160は、生産拠点ごとに、所定期間内における不足資材の不足量を算出する。具体的には、不足量算出部160は、生産拠点ごとに、生産品情報に示された使用量と、残量情報に示された残量と、生産計画に示された予定生産量とを用いて、復旧見込み時間までの期間Trにおける、不足資材の不足量を算出する。なお、不足量算出部160は、資材使用情報を用いて不足量を算出してもよい。
【0078】
さらに具体的には、不足量算出部160は、生産拠点ごとに以下の処理を行う。すなわち、不足量算出部160は、不足資材を使用している生産品の予定生産量mとTrとを乗算することによって、復旧見込み時間までの期間Trに生産すべき当該生産品の量Mを算出する。また、不足量算出部160は、生産品の量Mとその生産品で使用される不足資材の使用量nとを乗算することによって、復旧見込み時間までの期間Trにその生産拠点で使用される不足資材の使用量Nを算出する。なお、その生産拠点において不足資材を使用する生産品を複数生産する場合は、不足量算出部160は、複数の生産品それぞれについてMとnとを乗算して得られた積を加算することによって、使用量Nを算出する。また、不足量算出部160は、各生産拠点について、不足資材の使用量Nから残量rを減算することによって、不足量Kを算出する。
【0079】
例えば、図5等の例において、不足資材が資材aである場合、不足量算出部160は、生産拠点#F1について、以下の処理を行う。不足量算出部160は、資材aを使用している生産品Aの生産拠点#F1における予定生産量m_A1とTrとを乗算することによって、期間Trで生産されるべき生産品Aの量M1を算出する。ここで、M1=Cons×m_A1×Trである。Consは、m_A1とTrとの時間の単位を合わせるための定数である。また、不足量算出部160は、生産品Aの量M1と生産品Aで使用される資材aの使用量n_aとを乗算することによって、復旧見込み時間までの期間Trに生産拠点#F1で使用される資材aの使用量N1を算出する。ここで、N1=M1×n_aである。また、不足量算出部160は、資材aの使用量N1から残量r_a1を減算することによって、生産拠点#F1における資材aの不足量K1を算出する。ここで、K1=N1-r_a1である。なお、K1≦0であれば、残量r_a1が尽きる前に資材aの供給が復旧するので、生産拠点#F1において資材aは不足しない。
【0080】
また、不足量算出部160は、生産拠点#F2について、以下の処理を行う。不足量算出部160は、資材aを使用している生産品Aの生産拠点#F2における予定生産量m_A2とTrとを乗算することによって、期間Trで生産されるべき生産品Aの量M2を算出する。ここで、M2=Cons×m_A2×Trである。また、不足量算出部160は、生産品Aの量M2と生産品Aで使用される資材aの使用量n_aとを乗算することによって、復旧見込み時間までの期間Trに生産拠点#F2で使用される資材aの使用量N2を算出する。ここで、N2=M2×n_aである。また、不足量算出部160は、資材aの使用量N2から残量r_a2を減算することによって、生産拠点#F2における資材aの不足量K2を算出する。ここで、K2=N2-r_a2である。なお、K2≦0であれば、残量r_a2が尽きる前に資材aの供給が復旧するので、生産拠点#F2において資材aは不足しない。
【0081】
在庫センタ特定部170は、在庫情報と、移動情報と、不足量とを用いて、各生産拠点に最短で不足資材を供給する在庫センタを特定する。具体的には、在庫センタ特定部170は、在庫情報を用いて、不足資材の在庫がある在庫センタを特定する。ここで、在庫センタ特定部170は、在庫情報を用いて、不足資材を不足量以上保管している在庫センタを特定してもよい。つまり、在庫センタ特定部170は、不足資材の在庫量Rが不足資材の不足量K以上である在庫センタを特定してもよい。そして、特定された在庫センタが複数である場合、在庫センタ特定部170は、移動情報を用いて、各生産拠点まで最短(最短時間)で不足資材を配送可能な在庫センタを特定する。このようにして、在庫センタ特定部170は、各生産拠点に不足資材を供給する在庫センタを特定する。
【0082】
例えば、図5等の例において、不足資材が資材aである場合、在庫センタ特定部170は、図8に例示した在庫情報を用いて、在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2に資材aが保管されていると判定する。そして、在庫センタ特定部170は、生産拠点#F1及び生産拠点#F2それぞれについて、以下の処理を行ってもよい。なお、以下の説明では、生産拠点#F1についての処理について述べるが、生産拠点#F2についても、同様である。つまり、以下の説明で、K1をK2に置き換えればよい。
【0083】
在庫センタ特定部170は、在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2それぞれについて、生産拠点#F1に不足量K1の資材aを供給可能であるか否かを判定する。つまり、在庫センタ特定部170は、R_a1≧K1であるか否か、及び、R_a2≧K1であるか否か、を判定する。在庫センタ特定部170は、在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2のいずれかのみが生産拠点#F1に不足量K1の資材aを供給可能であると判定された場合、そのいずれかの在庫センタを、生産拠点#F1に資材aを供給する在庫センタであると特定してもよい。例えば、在庫センタ特定部170は、R_a1≧K1且つR_a2<K1である場合、在庫センタ#S1を、生産拠点#F1に資材aを供給する在庫センタであると特定してもよい。
【0084】
なお、上述した例において、各生産拠点について同じ在庫センタが特定された場合、在庫センタ特定部170は、特定された在庫センタにおける不足資材の在庫量が、各生産拠点の不足量の合計以上であるか否かを判定してもよい。例えば、生産拠点#F1及び生産拠点#F2それぞれについて在庫センタ#S1が特定された場合、在庫センタ特定部170は、R_a1≧K1+K2であるか否かを判定してもよい。R_a1≧K1+K2である場合、在庫センタ特定部170は、在庫センタ#S1から、生産拠点#F1及び生産拠点#F2に資材aを供給すると判定してもよい。
【0085】
一方、R_a1<K1+K2である場合、在庫センタ特定部170は、以下のような代替処理を行ってもよい。例えば、在庫センタ特定部170は、在庫センタ#S1から、R_a1/2の量の資材aを、生産拠点#F1及び生産拠点#F2それぞれに供給すると判定してもよい。つまり、在庫センタ特定部170は、その特定された在庫センタにおける全ての在庫量の資材(不足資材)を、均等に、各生産拠点に供給するように判定してもよい。あるいは、在庫センタ特定部170は、在庫センタ#S1から、R_a1×K1/(K1+K2)の量の資材aを生産拠点#F1に供給し、R_a1×K2/(K1+K2)の量の資材aを生産拠点#F2に供給すると判定してもよい。つまり、在庫センタ特定部170は、その特定された在庫センタにおける全ての在庫量の資材(不足資材)を、各生産拠点における不足量の比に応じて、各生産拠点に供給するように判定してもよい。
【0086】
あるいは、在庫センタ特定部170は、各生産拠点のうちの特定の生産拠点に優先して多くの資材が供給されるように、その特定された在庫センタにおける全ての在庫量の資材(不足資材)を各生産拠点に供給するように判定してもよい。例えば、在庫センタ特定部170は、各生産拠点のうちの生産の重要なもの(優先度の高い生産拠点)に多くの資材が供給されるように、その特定された在庫センタにおける全ての在庫量の資材(不足資材)を各生産拠点に供給するように判定してもよい。
【0087】
あるいは、例えば、在庫センタ特定部170は、各生産拠点のうちの生産の重要なものに対して、その特定された在庫センタにおける在庫量のうちの当該生産拠点の不足量を供給し、残りを他方の生産拠点に供給するように判定してもよい。この場合、在庫センタ特定部170は、他方の生産拠点に対して、特定されなかったがその不足資材を保管する在庫センタから、他方の生産拠点の不足量に足りない量を供給するように判定してもよい。逆に、在庫センタ特定部170は、他方の生産拠点に対して、特定されなかったがその不足資材を保管する在庫センタから、その不足資材の全ての在庫量を供給し、不足量に足りない量を、特定された在庫センタを含む他の在庫センタから供給するようにしてもよい。
【0088】
例えば、図8の例において、R_a2<K1、R_a2<K2、K1<R_a1、K2<R_a1、且つ、R_a1<K1+K2であって、生産拠点#F1の方が生産拠点#F2よりも重要である(優先度が高い)とする。この場合、在庫センタ特定部170は、生産拠点#F1及び生産拠点#F2に資材a(不足資材)を供給可能な在庫センタを、在庫センタ#S1であると特定する。そして、在庫センタ特定部170は、生産拠点#F1に対して、在庫センタ#S1の資材aの在庫量R_a1のうち、不足量K1の資材aを供給すると判定してもよい。
【0089】
そして、在庫センタ特定部170は、生産拠点#F2に対しては、在庫センタ#S1の資材aの残りの在庫量R_a1-K1を供給すると判定してもよい。そして、在庫センタ特定部170は、生産拠点#F2に対して、不足量K2に足りない量K2-(R_a1-K1)を、在庫センタ#S2の在庫量R_a2から供給すると判定してもよい。
あるいは、在庫センタ特定部170は、生産拠点#F2に対しては、在庫センタ#S2の資材aの在庫量R_a2を供給すると判定してもよい。そして、在庫センタ特定部170は、生産拠点#F2に対して、不足量K2に足りない量K2-R_a2を、在庫センタ#S1の残りの在庫量R_a1-K1から供給すると判定してもよい。
【0090】
配送計画部180は、特定された在庫センタから各生産拠点へ不足資材を供給するための配送計画を行う。具体的には、配送計画部180は、不足資材とは異なる別資材の配送に関する通常の配送計画に割り込むようにして、不足資材の配送計画を行う。なお、通常の配送計画は、資材の供給が停止されているか否かに関わらず行われ得る。配送計画部180の具体的な処理については、後述するフローチャートを用いて説明する。
【0091】
<資材供給方法>
図12図15は、実施の形態1にかかる資材供給システム1によって実行される資材供給方法を示すフローチャートである。図12図15の処理は、主に、資材供給制御部130によって実行される。なお、図12及び図13の処理は、生産拠点に不足資材を供給する在庫センタを特定するための処理である。一方、図14及び図15の処理は、在庫センタから生産拠点に不足資材を配送する配送計画を行うための処理である。
【0092】
図12及び図13の処理について説明する。停止通知受信部132は、サプライヤから停止通知を受信する(ステップS102)。不足資材特定部134は、上述したように、受信された停止通知を用いて、不足資材を特定する(ステップS104)。情報取得部140は、上述したように、情報格納部100に格納された情報を用いて、S104の処理で特定された不足資材に関する不足資材情報を取得する(ステップS106)。
【0093】
生産拠点特定部150は、上述したように、S106の処理で取得された不足資材情報を用いて、不足資材が使用される生産拠点を特定する(ステップS108)。不足量算出部160は、上述したように、不足資材が使用される生産拠点ごとに、不足資材の不足量を算出する(ステップS110)。在庫センタ特定部170は、各生産拠点に不足資材を供給可能な在庫センタを特定する(ステップS112)。具体的には、在庫センタ特定部170は、不足資材を不足量以上保管している在庫センタを特定する。なお、この時点では、各生産拠点に不足資材を実際に供給する在庫センタは、特定されていない。
【0094】
不足資材が使用される生産拠点が1つである場合(ステップS114のYES)、不足資材を供給可能な在庫センタが1つであるか否かが判定される(ステップS116)。そして、不足資材を供給可能な在庫センタが1つである場合(S116のYES)、在庫センタ特定部170は、その1つの在庫センタを、不足資材が使用される1つの生産拠点に不足資材を供給する在庫センタと特定する(ステップS118)。
【0095】
そして、在庫センタ特定部170は、その1つの在庫センタから1つの生産拠点への最短経路を算出する。ここで、「最短経路」とは、在庫センタから生産拠点までの距離、道路の渋滞の状態、高速道路等の自動車優先道路の使用の可否等を考慮して、在庫センタから生産拠点まで最短時間で不足資材を配送できるルートである。例えば、在庫センタ特定部170は、移動情報に示された在庫センタから生産拠点までの移動時間が算出されたときに使用された経路を、最短経路としてもよい。あるいは、在庫センタ特定部170は、移動情報に示された在庫センタの位置から、移動情報に示された生産拠点の位置までの、最短経路を算出してもよい。なお、ある位置からある位置までの最短経路は、例えば、A*アルゴリズム又はダイクストラ法を用いて算出してもよい。これらの最短経路を算出する方法は、他の処理でも同様である。
【0096】
一方、不足資材を供給可能な在庫センタが複数である場合(ステップS116のNO)、在庫センタ特定部170は、生産拠点まで最短で配送可能な在庫センタを特定する(ステップS120)。具体的には、在庫センタ特定部170は、特定された複数の在庫センタそれぞれから、不足資材が使用される1つの生産拠点までの最短経路を算出する。そして、在庫センタ特定部170は、算出された最短経路のうちで移動時間(配送時間)が最短である在庫センタを、不足資材が使用される1つの生産拠点に不足資材を供給する在庫センタと特定する。
【0097】
一方、不足資材が使用される生産拠点が複数である場合(S114のNO)、不足資材を供給可能な在庫センタが1つであるか否かが判定される(ステップS122)。そして、不足資材を供給可能な在庫センタが1つである場合(S122のYES)、在庫センタ特定部170は、その1つの在庫センタを、複数の生産拠点それぞれに不足資材を供給する在庫センタと特定する(ステップS124)。そして、在庫センタ特定部170は、複数の生産拠点それぞれについて、1つの在庫センタからの最短経路を算出する。なお、1つの在庫センタから複数の生産拠点に不足資材を供給することになるので、その1つの在庫センタの在庫が足りなくなる可能性がある。この場合、在庫センタ特定部170は、上述したような代替処理を行ってもよい。
【0098】
一方、不足資材を供給可能な在庫センタが複数である場合(S122のNO)、在庫センタ特定部170は、複数の生産拠点それぞれについて、生産拠点まで最短で配送可能な在庫センタを特定する(ステップS126)。具体的には、在庫センタ特定部170は、複数の生産拠点それぞれについて、特定された複数の在庫センタそれぞれからの最短経路を算出する。そして、在庫センタ特定部170は、複数の生産拠点それぞれについて、算出された最短経路のうちで移動時間(配送時間)が最短である在庫センタを、不足資材を供給する在庫センタと特定する。なお、複数の生産拠点のうちの2つ以上について同じ在庫センタが特定された場合、1つの在庫センタから複数の生産拠点に不足資材を供給することになるので、その1つの在庫センタの在庫が足りなくなる可能性がある。この場合、在庫センタ特定部170は、上述したような、各生産拠点について同じ在庫センタが特定された場合における代替処理を行ってもよい。
【0099】
また、不足資材を使用する生産拠点及び不足資材を保管する在庫センタが共に複数である場合、在庫センタ特定部170は、各生産拠点における不足量と各在庫センタにおける在庫量とを考慮して、複数の生産拠点それぞれに不足資材を供給する在庫センタを特定してもよい。例えば、図5等の例において、不足資材が資材aであるとする。この場合、不足資材である資材aを使用する生産拠点は、生産拠点#F1及び生産拠点#F2であり、資材aを保管する在庫センタは、在庫センタ#S1及び在庫センタ#S2である。また、生産拠点#F1における資材aの不足量をK1とし、生産拠点#F2における資材aの不足量をK2とする。また、在庫センタ#S1における資材aの在庫量はR_a1であり、庫センタ#S2における資材aの在庫量はR_a2である。
【0100】
この場合において、例えば、R_a1>K1>R_a2>K2であるとする。そして、生産拠点#F1に最短で資材aを配送可能な在庫センタが在庫センタ#S2であると特定され、生産拠点#F2に最短で資材aを配送可能な在庫センタが在庫センタ#S1であると特定されたとする。この場合、在庫センタ特定部170は、在庫センタ#S1から生産拠点#F2に対して、生産拠点#F2における不足量K2の資材aを供給すると判定する。
【0101】
一方、在庫センタ#S2には生産拠点#F1における不足量K1よりも少ない量の在庫量しか資材aが保管されていない。したがって、在庫センタ特定部170は、在庫センタ#S2から生産拠点#F1に対しては、在庫センタ#S2の在庫量R_a2の全量の資材aを供給すると判定する。そして、在庫センタ特定部170は、生産拠点#F1において未だ足りない量K1-R_a2について、再度、S112~S126の処理を行ってもよい。この場合、在庫センタ#S1の在庫量をR_a1-K2、在庫センタ#S2の在庫量を0とする。そして、在庫センタ特定部170は、在庫センタ#S1から生産拠点#F1に対して、K1-R_a2の量の資材aを供給すると、判定してもよい。
【0102】
つまり、在庫センタ特定部170は、特定された在庫センタから供給可能な不足資材の量が供給対象の生産拠点における不足量よりも少ない場合は、その不足量に足りない量の不足資材を供給する、当該在庫センタ以外の在庫センタを、さらに特定してもよい。このようにすることで、在庫センタから生産拠点に対して、最短で供給可能な量については最短で供給し、足りない量については別の在庫センタから供給することが可能となる。これにより、最低限の量の不足資材を、最短で供給することが可能となる。これにより、各生産拠点に与える影響を確実に低減することが可能となる。
【0103】
上述したように、実施の形態1にかかる資材供給システム1は、複数の生産拠点で使用される資材の供給が停止した場合に、使用情報と生産計画と残量情報とを用いて、複数の生産拠点それぞれについて不足資材の不足量を算出するように構成されている。また、実施の形態1にかかる資材供給システム1は、在庫情報と移動情報と不足量とを用いて、複数の生産拠点それぞれに最短で不足資材を供給する在庫センタを特定するように構成されている。これにより、複数の生産拠点それぞれについて必要な量の不足資材を、最短で、在庫センタから各生産拠点に供給することが可能となる。したがって、実施の形態1にかかる資材供給システム1は、複数の生産拠点それぞれで使用される資材の供給が停止した場合であっても、各生産拠点に与える影響を低減することが可能となる。
【0104】
また、実施の形態1にかかる資材供給システム1は、所定期間(復旧見込み時間までの期間)に複数の生産拠点それぞれにおいて不足資材が不足する量である不足量を算出するように構成されている。このようにして算出された不足量を用いて在庫センタを特定することにより、所定期間内に不足する量の不足資材を適切に各生産拠点に供給することが可能となる。
【0105】
次に、図14及び図15について説明する。図14及び図15は、図2の太線の矢印で示すような在庫センタから生産拠点への配送計画を行うための処理である。なお、以下の説明では、適宜、在庫センタ#S1から生産拠点#F1に、不足資材である資材aを供給すると判定された例を用いる。また、この処理は、生産拠点ごとに独立して行われ得る。
【0106】
配送計画部180は、資材工場から在庫センタ特定部170によって特定された在庫センタに配送がある運送会社を特定する(ステップS152)。具体的には、配送計画部180は、配送情報格納部110に格納された配送情報を用いて、通常時に、特定された在庫センタに配送がある運送会社を特定する。例えば、配送計画部180は、配送情報に示される「配送ルート」から、不足資材を供給すると特定された在庫センタ#S1に配送がある運送会社を特定する。なお、資材工場から在庫センタに配送がある運送会社は、通常時に不足資材に対応する資材を配送する運送会社である必要はない。したがって、この配送における「資材工場」は、不足資材を生産する工場である必要はなく、任意の工場であり得る。
【0107】
配送計画部180は、S152の処理で特定された運送会社に、非稼働中の車両があるか否かを判定する(ステップS154)。具体的には、配送計画部180は、特定された運送会社に関する配送情報を用いて、突発的に対応可能な非稼働中の車両があるか否かを判定する。例えば、S152の処理で運送会社Bが特定された場合、配送計画部180は、運送会社Bに関する配送情報に示される「非稼働中の車両台数」が0でないか否かを判定する。
【0108】
非稼働中の車両がある場合(S154のYES)、配送計画部180は、S152で特定された運送会社に対し、在庫センタから生産拠点への不足資材の配送を依頼するための処理を行う(ステップS156)。具体的には、配送計画部180は、特定された在庫センタから不足資材が使用される生産拠点への不足資材の配送を、特定された運送会社に依頼するための処理を行う。例えば、運送会社Bが特定された場合、配送計画部180は、運送会社Bに対し、在庫センタ#S1から生産拠点#F1に、不足資材である資材aを配送するように依頼する。なお、配送計画部180は、特定された運送会社の端末に、配送依頼を示す情報を送信するようにしてもよい。例えば、配送計画部180は、運送会社の端末に、配送依頼を示す電子メールを送信してもよい。配送依頼の方法については、後述する処理においても同様である。
【0109】
一方、非稼働中の車両がない場合(S154のNO)、配送計画部180は、不足資材とは異なる資材(別資材)を資材工場から不足資材を使用する生産拠点へ配送する通常の配送計画への割り込みが可能か否かを判定する(ステップS160)。つまり、配送計画部180は、この通常の配送計画へ、特定された在庫センタから不足資材を配送することを割り込ませることが可能か否かを判定する。なお、この通常の配送計画は、定時運行便であり得る。また、この通常の配送計画は、図1における資材工場52から生産拠点54へと至る実線の矢印で示される、別資材の物流に対応する。
【0110】
図16は、資材工場から不足資材が使用される生産拠点へ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みについて説明するための図である。図16において、資材工場52は、別資材32bを生産する工場である。また、在庫センタ56は、不足資材32aを保管する在庫センタである。また、生産拠点54は、不足資材32aを使用する生産品を生産する工場等である。つまり、生産拠点54は、不足資材32aが使用される工場等である。
【0111】
この場合において、割り込みとは、定時便において別資材32bを資材工場52から生産拠点54に配送する際に、別資材32bを積んだ車両を在庫センタ56に立ち寄らせることである。つまり、別資材32bを資材工場52から生産拠点54に配送する際に、矢印Aで示すように、別資材32bを積んだ車両を、生産拠点54に配送する前に、在庫センタ56に立ち寄らせる。そして、在庫センタ56で、その車両に不足資材32aを積み込んで、矢印Bで示すように、不足資材32a及び別資材32bを、生産拠点54に配送することである。配送計画部180は、このような割り込みが可能であるか否かを判定する。
【0112】
具体的には、配送計画部180は、別資材を配送する車両の空き容量が、配送の際に不足資材が車両において占有する量(占有量)以上であるか否かを判定する。ここで、配送計画部180は、対応する車両に関する配送情報を用いて、空き容量を算出する。具体的には、配送計画部180は、「車両のキャパシティ」×(1-「荷物占有率」)を計算することで、車両の空き容量を算出する。また、配送計画部180は、不足資材の1個当たりの占有量(体積又は重量等)に不足資材の数(不足量に対応)を乗算することによって、不足資材の占有量を算出してもよい。そして、配送計画部180は、別資材を配送する車両の空き容量が不足資材の占有量以上である場合に、資材工場から生産拠点へ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みが可能であると判定する。一方、配送計画部180は、別資材を配送する車両の空き容量が不足資材の占有量以上でない場合に、資材工場から生産拠点へ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みが可能でないと判定する。
【0113】
資材工場から生産拠点へ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みが可能であると判定された場合(S160のYES)、配送計画部180は、図16に例示したような、資材工場から生産拠点へ別資材を配送する通常の配送の際に、車両が在庫センタに寄り道することを計画する(ステップS162)。その際、以下の処理によって、別資材の配送の遅れによる生産への影響ができるだけ抑制されるようにする。
【0114】
配送計画部180は、寄り道による遅れ時間を算出する(ステップS164)。具体的には、配送計画部180は、「資材工場から在庫センタを経由して生産拠点に至るまでに要する時間」から「資材工場から生産拠点に至るまでの通常の配送時間」を減算することによって、遅れ時間を算出する。なお、「資材工場から在庫センタを経由して生産拠点に至るまでに要する時間」の算出方法について、資材工場から在庫センタまでの時間は、資材工場から在庫センタまでの最短経路を算出することによって算出され得る。また、在庫センタに不足資材を積み込むのに要する時間は、不足資材の量などに応じて算出され得る。また、在庫センタから生産拠点までの時間は、在庫センタ特定部170による在庫センタの特定処理の際に算出されたものを使用してもよい。
【0115】
配送計画部180は、寄り道による遅れが別資材を使用する生産品の生産に影響を及ぼすか否かを判定する(ステップS166)。具体的には、配送計画部180は、別資材及び不足資材を積んだ車両が生産拠点に到着する前に、生産拠点に残っている別資材が全て使用されてしまう場合に、寄り道による遅れが別資材を使用する生産品の生産に影響を及ぼすと判定する。さらに具体的には、配送計画部180は、「生産拠点における別資材の残量」と「別資材の1個当たりのサイクルタイム」との積が遅れ時間以上であるか否かを判定する。言い換えると、配送計画部180は、「生産拠点における別資材の残量」×「別資材の1個当たりのサイクルタイム」≧「遅れ時間」であるか否かを判定する。「生産拠点における別資材の残量」と「別資材の1個当たりのサイクルタイム」との積が遅れ時間以上である場合に、配送計画部180は、寄り道による遅れが別資材を使用する生産品の生産に影響を及ぼさないと判定する。
【0116】
なお、配送計画部180は、残量情報から別資材に関する残量を抽出することによって、「生産拠点における別資材の残量」を取得してもよい。また、配送計画部180は、別資材を使用する生産品に関する生産品情報における別資材の使用量と、その生産品の生産計画における予定生産量とを用いて、「別資材の1個当たりのサイクルタイム」を算出してもよい。例えば、配送計画部180は、その生産品の予定生産量の逆数から得られるタクトタイムをその生産品における別資材の使用量で除算することで、「別資材の1個当たりのサイクルタイム」を算出してもよい。あるいは、資材1個当たりのサイクルタイムを、生産品及び生産拠点ごとに予め情報格納部100に格納しておいてもよい。その場合、配送計画部180は、予め情報格納部100に格納されているサイクルタイムを抽出してもよい。なお、「別資材の1個当たりのサイクルタイム」は、別資材を使用する生産品ごとに異なり得る。したがって、別資材が複数の生産品で使用される場合は、配送計画部180は、最も短いサイクルタイムを使用する。
【0117】
寄り道による遅れが別資材を使用する生産品の生産に影響を及ぼさないと判定された場合(S166のNO)、配送計画部180は、資材工場から生産拠点へ別資材を配送する通常の配送の際に車両を在庫センタに寄り道させることを、その配送を行う運送会社に依頼するための処理を行う(ステップS168)。一方、寄り道による遅れが別資材を使用する生産品の生産に影響を及ぼすと判定された場合(S166のYES)、配送計画部180は、寄り道を行う車両とは別の車両に別資材を配送させることを計画する。つまり、配送計画部180は、定時運行便である別資材の通常の配送計画において、寄り道を行う車両とは別の便(例えばその車両の次の便)の車両であって、寄り道を行う車両よりも早く生産拠点に到着する車両に、必要な量の別資材を積み込むことを計画する。
【0118】
配送計画部180は、別便の車両に積み込む別資材の量を算出する(ステップS170)。具体的には、配送計画部180は、寄り道を行う車両が生産拠点に到着するまでに足りなくなる別資材の量を、別便の車両に積み込む別資材の量として算出する。さらに具体的には、配送計画部180は、(「遅れ時間」-「生産拠点における別資材の残量」×「別資材の1個当たりのサイクルタイム」)/「別資材の1個当たりのサイクルタイム」を計算することによって、別便の車両に積み込む別資材の量を算出してもよい。
【0119】
そして、配送計画部180は、S168と同様に通常の配送計画の車両を在庫センタに寄り道させること、及び、S170で算出された量の別資材を別便で配送することを、その配送を行う運送会社に依頼するための処理を行う(ステップS172)。これにより、別資材を配送する車両が寄り道を行うことによる、別資材を用いた生産品の生産への影響を、抑制することが可能となる。
【0120】
次に、S160の処理における判定がNOである場合について説明する。資材工場から生産拠点へ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みが可能でないと判定された場合(S160のNO)、配送計画部180は、資材工場から在庫センタへ別資材を配送する通常の配送計画における復路便の、生産拠点への寄り道を計画する(ステップS180)。つまり、配送計画部180は、資材工場から在庫センタへ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みを計画する。なお、この通常の配送計画は、定時運行便であり得る。また、この通常の配送計画は、図1における資材工場52から在庫センタ56へと至る破線の矢印で示される、別資材の物流に対応する。
【0121】
図17は、資材工場から不足資材が保管される在庫センタへ別資材を配送する通常の配送計画への割り込みについて説明するための図である。図17において、資材工場52は、別資材32bを生産する工場である。また、在庫センタ56は、別資材32b及び不足資材32aを保管する在庫センタである。また、生産拠点54は、不足資材32aが使用される工場等である。この場合において、割り込みとは、定時便において別資材32bを資材工場52から在庫センタ56に配送した後で、車両が資材工場52に戻る前に、不足資材32aを積んだ車両を生産拠点54に立ち寄らせることである。つまり、矢印Cのように、車両が別資材32bを資材工場52から在庫センタ56に配送した後で、矢印Dで示すように、生産拠点54に不足資材32aを積んだ車両を在庫センタ56に立ち寄らせることである。
【0122】
配送計画部180は、1つの便の車両で不足資材を配送可能であるか否かを判定する(ステップS182)。具体的には、配送計画部180は、別資材を在庫センタに配送し終わった車両の空き容量が、不足資材の占有量以上であるか否かを判定する。なお、空き容量及び占有量の算出方法については、S160の処理における方法と実質的に同じであってもよい。配送計画部180は、別資材を在庫センタに配送し終わった車両の空き容量が不足資材の占有量以上である場合に、1つの便の車両で不足資材を配送可能であると判定する。一方、配送計画部180は、別資材を在庫センタに配送し終わった車両の空き容量が不足資材の占有量以上でない場合に、1つの便の車両で不足資材を配送可能でないと判定する。
【0123】
別資材を在庫センタに配送し終わった車両の空き容量が不足資材の占有量以上でなく、1つの便の車両で不足資材を配送可能でないと判定された場合(S182のNO)、配送計画部180は、複数の復路便(例えば定期便の以降の便)について以降の処理を行うと判定する(ステップS184)。一方、別資材を在庫センタに配送し終わった車両の空き容量が不足資材の占有量以上であり、1つの便の車両で不足資材を配送可能であると判定された場合(S182のYES)、配送計画部180は、1つの便について以降の処理を行う。
【0124】
配送計画部180は、寄り道による遅れ時間を算出する(ステップS186)。具体的には、配送計画部180は、「在庫センタから生産拠点を経由して資材工場に戻るまでに要する時間」から「在庫センタから資材工場に戻るまでの通常の戻り時間」を減算することによって、遅れ時間を算出する。なお、「在庫センタから生産拠点を経由して資材工場に戻るまでに要する時間」の算出方法について、在庫センタに不足資材を積み込むのに要する時間は、不足資材の量などに応じて算出され得る。また、在庫センタから生産拠点までの時間は、在庫センタ特定部170による在庫センタの特定処理の際に算出されたものを使用してもよい。生産拠点から資材工場までの時間は、生産拠点から資材工場までの最短経路を算出することによって算出され得る。
【0125】
配送計画部180は、寄り道による遅れが別資材を提供する販売店に影響を及ぼすか否かを判定する(ステップS188)。具体的には、配送計画部180は、寄り道によって復路便が資材工場に戻るのが遅れることによって在庫センタにおける別資材の在庫量が0となる可能性がある場合に、寄り道による遅れが販売店に影響を及ぼすと判定する。言い換えると、配送計画部180は、寄り道によって復路便が資材工場に戻るのが遅れている間に、在庫センタから別資材の供給を受ける販売店に別資材の需要があるために、在庫センタにおける別資材の在庫量が0となる可能性がある場合に、寄り道による遅れが販売店に影響を及ぼすと判定する。
【0126】
ここで、配送計画部180は、在庫センタにおける別資材の在庫量がいつどれだけ減少するかを、別資材の需要予測を用いて算出してもよい。需要予測は、人が経験則等に応じて算出してもよいし、コンピュータが機械学習等によって算出してもよい。需要予測は、ある資材について、これくらいのタイミングで、これくらいの量の需要があるというものである。例えば、季節に応じて需要が増える傾向がある資材(例えばスタッドレスタイヤ又は電装部品等)であれば、その季節に入る直前から需要が増大すると予測される。
【0127】
そして、配送計画部180は、在庫センタにおける別資材の在庫量が、遅れ時間の間における別資材について予測された需要量に応じた在庫量の減少量以上であるか否かを判定する。在庫量が減少量以上であると判定される場合、配送計画部180は、寄り道による遅れが販売店に影響を及ぼさないと判定する。一方、在庫量が減少量以上でないと判定される場合、配送計画部180は、寄り道による遅れが販売店に影響を及ぼすと判定する。
【0128】
寄り道による遅れが別資材を提供する販売店に影響を及ぼさないと判定される場合(S188のNO)。配送計画部180は、資材工場から在庫センタへ別資材を配送する通常の便の復路便を生産拠点へ寄り道させることを、その配送を行う運送会社に依頼するための処理を行う(ステップS190)。一方、寄り道による遅れが別資材を提供する販売店に影響を及ぼすと判定された場合(S188のYES)、配送計画部180は、寄り道を行う車両とは別の車両に別資材を配送させることを計画する。つまり、配送計画部180は、定時運行便である別資材の通常の配送計画において、寄り道を行う車両とは別の便(例えばその車両の次の便)の車両であって、寄り道を行う車両が資材工場に戻るよりも前に資材工場から在庫センタに出発する車両に、必要な量の別資材を積み込むことを計画する。
【0129】
したがって、配送計画部180は、S190と同様に通常の配送計画の復路便を生産拠点に寄り道させること、及び、別便において予測需要量に応じて別資材を増量して在庫センタに配送することを、運送会社に依頼するための処理を行う(ステップS194)。これにより、別資材を配送する車両が寄り道を行うことによる、別資材を提供する販売店への影響を、抑制することが可能となる。
【0130】
上述したように、実施の形態1にかかる資材供給システム1は、各生産拠点へ不足資材を供給すると特定された在庫センタから複数の生産拠点それぞれへ不足資材を供給するための配送計画を行うように構成されている。これにより、不足資材を適切に在庫センタから生産拠点に配送することが可能となる。
【0131】
また、実施の形態1にかかる資材供給システム1は、前記不足資材とは異なる別資材の配送に関する配送計画に割り込むようにして、前記不足資材の配送計画を行うように構成されている。これにより、不足資材を配送するためだけに使用される車両を準備することが不要となるので、配送計画を効率よく行うことが可能となる。
【0132】
また、実施の形態1にかかる資材供給システム1は、別資材を生産する資材工場から生産拠点へ別資材を配送する配送計画において資材工場から生産拠点へ別資材を配送する車両を在庫センタに寄り道させるようにして、不足資材の配送計画を行うように構成されている。これにより、資材工場から生産拠点へ配送を行っている既存の配送計画を用いて不足資材を配送することが可能となる。したがって、不足資材を効率的に配送することが可能となる。
【0133】
また、実施の形態1にかかる資材供給システム1は、別資材を生産する資材工場から在庫センタへ別資材を配送する配送計画において在庫センタへ別資材を配送し終わった車両の復路便を生産拠点へ寄り道させるようにして、不足資材の配送計画を行うように構成されている。これにより、資材工場から在庫センタへ配送を行っている既存の配送計画を用いて不足資材を配送することが可能となる。したがって、不足資材を効率的に配送することが可能となる。
【0134】
(変形例)
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。例えば、上述したフローチャートの各ステップの順序は、適宜、変更可能である。また、フローチャートの各ステップの1つ以上は、省略されてもよい。例えば、図14に示したフローチャートにおいて、S152~S156の処理は、省略されてもよい。
【0135】
また、図12のフローチャートにおいて、情報取得部140は、S106の処理で、S108以降の処理の前に不足資材情報を取得するとしたが、このような構成に限られない。情報取得部140は、S108以降の各処理(ステップ)において必要な情報を、その処理が行われるタイミングで、適宜、情報格納部100から取得するようにしてもよい。
【0136】
また、図14及び図15のフローチャートにおいて、配送計画部180は、資材工場から生産拠点へ別資材を配送する配送計画への割り込みが可能でない場合に、資材工場から在庫センタへ別資材を配送する配送計画への割り込みを計画するとしている。しかしながら、このような構成に限られない。資材工場から生産拠点へ別資材を配送する配送計画への割り込みが可能であるか否かに関わらず、資材工場から在庫センタへ別資材を配送する配送計画への割り込みを計画してもよい。
【0137】
また、上述の例において、プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えばフレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば光磁気ディスク)、CD-ROM、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM)を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【符号の説明】
【0138】
1 資材供給システム
32 資材
34 生産品
52 資材工場
54 生産拠点
56 在庫センタ
64,66 販売店
100 情報格納部
102 生産品情報格納部
104 生産計画格納部
106 残量情報格納部
108 在庫情報格納部
110 配送情報格納部
112 移動情報格納部
120 物流管理部
122 在庫管理部
124 配送管理部
130 資材供給制御部
132 停止通知受信部
134 不足資材特定部
140 情報取得部
150 生産拠点特定部
160 不足量算出部
170 在庫センタ特定部
180 配送計画部
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