(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】管理装置および照明システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/18 20200101AFI20241016BHJP
H05B 47/19 20200101ALI20241016BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20241016BHJP
【FI】
H05B47/18
H05B47/19
H05B47/105
(21)【出願番号】P 2021040159
(22)【出願日】2021-03-12
【審査請求日】2023-11-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000003757
【氏名又は名称】東芝ライテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉田 真一
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225183(JP,A)
【文献】特開2017-107735(JP,A)
【文献】特開2007-265766(JP,A)
【文献】特開2003-317974(JP,A)
【文献】特開2014-120351(JP,A)
【文献】特開2017-174711(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 39/00-39/10
H05B 45/00-45/59
H05B 47/00-47/29
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
照明空間における複数のバトンに関する固定情報を記憶する記憶部と;
前記複数のバトンに関する可変情報を収集する収集部と;
前記バトンに接続された照明器具を制御する操作卓に対して、前記固定情報および前記可変情報を送信する送信部と;
を具備
し、
前記送信部は、
前記固定情報を前記操作卓の起動時に送信し、前記可変情報を所定時間毎に送信する
管理装置。
【請求項2】
前記固定情報は、
前記バトンの位置情報を含み、
前記可変情報は、
前記バトンの高さ情報を含む
ことを特徴とする請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記収集部は、
前記バトンに接続された前記照明器具の位置情報である可変情報を収集する
ことを特徴とする請求項1または2に記載の管理装置。
【請求項4】
請求項1~
3のいずれか一つに記載の管理装置と;
複数のバトンと;
前記バトンに取り付けられる照明器具と;
前記照明器具を制御する操作卓と;
を具備する
照明システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置および照明システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、スタジオや舞台などの照明空間では、照明演出を行う照明システムが導入されている。このような照明システムでは、照明器具の照度や照明する光の色彩などが操作卓によって調整(調光)される。操作卓は、例えば、ESTA(Entertainment Services and Technology Association)で規定されたRDM(Remote Device Management)規格に従った信号に基づいて、RDM規格に対応する照明器具と通信可能に構成される。
【0003】
また、このような照明システムにおいて、例えば、照明器具の位置情報や照明器具を吊り下げるバトンの位置情報を、照明器具やバトンが保有している構成が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-224406号公報
【文献】特許第6575150号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、照明器具やバトンが自己の位置情報を保有している構成は、照明器具やバトンの位置の変更があった場合の汎用性が低いため、一般的には、照明器具およびバトンに関する固定情報を操作卓側で保有している。
【0006】
しかしながら、照明器具およびバトンに関する固定情報を操作卓側で保有していると、例えば、同一の操作卓を異なる照明空間に用いる場合、例えば、操作卓の表示部などに表示される照明器具およびバトンの配置を手動で設定する必要があり、このような設定作業には手間がかかることから、作業性が低下することがあった。
【0007】
本開示では、操作卓の設定作業の作業性を向上させることができる管理装置および照明システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
実施形態の一例に係る管理装置は、記憶部と、収集部と、送信部とを具備する。記憶部は、照明空間における複数のバトンに関する固定情報を記憶する。収集部は、複数のバトンに関する可変情報を収集する。送信部は、バトンに接続された照明器具を制御する操作卓に対して、固定情報および可変情報を送信する。
【発明の効果】
【0009】
実施形態の一例に係る管理装置によれば、操作卓の設定作業の作業性を向上させることが期待できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、実施形態に係る照明システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る管理装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る操作卓の機能構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に説明する実施形態に係る管理装置50は、記憶部52と、収集部531と、送信部511とを具備する。記憶部52は、照明空間70における複数のバトン20に関する固定情報を記憶する。収集部531は、複数のバトン20に関する可変情報を収集する。送信部511は、バトン20に接続された照明器具10を制御する操作卓60に対して、固定情報および可変情報を送信する。
【0012】
また、以下に説明する実施形態に係る管理装置50において、固定情報は、バトン20の位置情報を含み、可変情報は、バトン20の高さ情報を含む。
【0013】
また、以下に説明する実施形態に係る管理装置50において、収集部531は、バトン20に接続された照明器具10の位置情報である可変情報を収集する。
【0014】
また、以下に説明する実施形態に係る管理装置50において、送信部511は、固定情報および可変情報をそれぞれ異なるタイミングで送信する。
【0015】
また、以下に説明する実施形態に係る照明システム1は、上記の管理装置50と、複数のバトン20と、バトン20に取り付けられる照明器具10と、照明器具10を制御する操作卓60とを具備する。
【0016】
以下、図面を参照して実施形態に係る管理装置および照明システムについて説明する。なお、以下の実施形態において、実質的に同一の機能を有する構成要素には同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。また、以下の実施形態において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なる数字を付して区別して説明する場合もある。
【0017】
例えば、照明器具10-1、照明器具10-2や、バトン20-1、バトン20-2や、DMXノード30-1、DMXノード30-2のように、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成を必要に応じて区別する。なお、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素のそれぞれをとくに区別する必要がない場合、例えば、照明器具10やバトン20、DMXノード30のように、同一符号のみを付して、区別することなく説明する。
【0018】
(照明システムの構成)
図1を参照して実施形態に係る照明システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る照明システム1の構成の一例を示す図である。
【0019】
図1に示すように、照明システム1は、照明器具10と、バトン20と、DMXノード30と、ケーブル40と、管理装置50と、操作卓60とを備える。照明システム1は、複数の照明空間である第1スタジオ70-1、第2スタジオ70-2、・・・のそれぞれの内部に配置された複数の照明器具10を個別に制御可能とするものである。なお、照明空間70は、スタジオに限定されず、例えば、舞台やステージなどであってもよい。
【0020】
以下では、複数の照明器具10-1~10-9を「照明器具10」、複数のバトン20-1~20-3を「バトン20」、複数のDMXノード30-1~30-3を「DMXノード30」と総称する場合がある。また、以下では、管理装置50-1、管理装置50-2、・・・を「管理装置50」、第1スタジオ70-1、第2スタジオ70-2、・・・を「スタジオ(照明空間)70」と総称する場合がある。
【0021】
照明器具10は、例えば、LED(Light Emitting Diodes)などの半導体発光素子を光源とする照明器具であり、例えば、スポットライト、ホリゾントライト、フラッドライトなどの照明器具である。照明器具10は、操作卓(調光操作卓ともいう)60からの制御信号に従って、照明する光の照度、色彩(色温度、色偏差、色度など)、照明範囲などを変化させる調光・調色・照明範囲調整処理を行うことで、スタジオ70の照明演出を行う。以下、処理としては「調光」を主として用いて説明を行うが、「調色」や「照明範囲調整」が行われてもよい。
【0022】
また、照明器具10は、DMXノード30からRDM規格に沿った制御信号を受信すると、受信した制御信号が示す制御アドレスが自らの制御アドレスであるか否かを判定し、自らの制御アドレスである場合は、受信した制御信号に従って、調光処理を実行する。なお、照明器具10には、各種系統電源から電力が供給されており、供給された電力を用いて、半導体発光素子の点灯などを行うものとする。
【0023】
また、1つの照明器具10には、複数の制御アドレスが付与される場合がある。例えば、赤色、青色および緑色の各色と、照度とをそれぞれ個別に設定可能である場合、照明器具10には、各色および照度に1つずつの計4つの制御アドレスが付与され、各制御アドレスを介して、各色および照度をそれぞれ個別に制御することができる。
【0024】
バトン20は、スタジオ70のそれぞれに設置された、照明器具10を吊り下げ可能な懸架器具である。バトン20は、照明器具10が接続され、スタジオ70の天井などから照明器具10を吊り下げることができる。
図1に示す第1スタジオ70-1では、バトン20-1には照明器具10-1~10-3、バトン20-2には照明器具10-4~10-6、バトン20-3には照明器具10-7~10-9がそれぞれ吊り下げられている。
【0025】
なお、照明器具10は、バトン20ではなく、例えば、スタジオ70の床など、任意の位置に設置することも可能である。また、バトン20は、イーサネット(登録商標)などの有線または無線によるネットワークによって、双方向通信が可能な態様でハブなどとも接続されてもよい。
【0026】
DMXノード30は、ノードの一例であり、照明器具10と操作卓60との間の通信を中継する。DMXノード30は、イーサネット(登録商標)などのネットワークによって、双方向通信が可能な状態で操作卓60と接続されている。DMXノード30は、例えば、金属板で形成され、所望の放熱性および剛性を有するラック(図示せず)に収容されている。
【0027】
DMXノード30は、例えば、通信制御部(図示せず)と、複数のポート(図示せず)とを備える。通信制御部は、操作卓60との間で情報の送受信を行う通信装置であり、例えば、NIC(Network Interface Card)などの通信装置によって実現される。また、複数のポートは、それぞれを識別するためのポート番号が付与されたポートであり、例えば、RDM規格に従って照明器具10と信号を送受信するためのコネクタである。なお、複数のポートには、ケーブル40がそれぞれ接続される。
【0028】
DMXノード30は、操作卓60からの指令(制御信号)に応じて、ポートに接続された照明器具10の各種の情報を収集する。DMXノード30は、収集した各種の情報に対し、自らの識別子とそのポートの識別子とを対応付けた情報を生成し、生成した情報を、後述する管理装置50を介して、操作卓60へと返送する。
【0029】
ケーブル40は、DMX規格の通信ケーブルであり、DMXノード30と照明器具10との間を双方向通信が可能な態様で接続する。ケーブル40は、スタジオ70からDMXノード30の設置位置まで、複数の照明器具10のそれぞれとDMXノード30とを接続可能に敷設される。なお、「敷設」とは、例えば、床や壁に一部が埋設されており、容易には取り出せない状態であることをいう。
【0030】
なお、照明システム1は、予備ケーブル(図示せず)をさらに備えてもよい。予備ケーブルは、スタジオ70に増設予定の任意の数の照明器具とDMXノード30とを接続可能な態様で敷設される。このような予備ケーブルに増設予定の照明器具を接続するだけで、大掛かりな工事を必要とすることなく、照明器具10を増設することができる。
【0031】
管理装置50は、照明器具10およびバトン20に関する固定情報(以下、固定情報という)と、照明器具10およびバトン20に関する可変情報(以下、可変情報という)とを操作卓60へと送信する。固定情報とは、取付位置が固定されている照明器具10の位置情報、バトン20の位置情報や、バトン20のポート数およびそのポートの位置情報を含む、スタジオ70ごとに予め固定されている情報をいう。なお、固定情報として、スタジオ70内の客席などの位置の情報などを含んでもよい。例えば、ホリゾントライトのような取付位置が固定されている照明器具10においては、その取付位置は固定情報である。
【0032】
可変情報とは、取付位置が変更可能な照明器具10の位置情報、照明器具10の個体情報、照明器具10がいずれのポートに接続されているかを示すポート情報、およびバトン20の高さ情報を含む、例えば、番組ごとに変更されるような情報をいう。例えば、スポットライトのような取付位置が変更可能な照明器具10においては、その取付位置は照明器具10が接続されたポート番号を基に導かれるため、その取付位置は可変情報である。
【0033】
このうち、照明器具10の個体情報には、照明器具10の識別子であるUID(Unique Identifier)、制御可能な色彩などの制御対象を示す情報、使用する制御アドレスの数、出力、製造会社名(メーカー)や型番、重量などの情報が含まれる。また、照明器具10の個体情報には、制御対象に対して付与された制御アドレス、ユニバース、特殊コード、点灯時間、通電時間、パーソナリティー設定などの情報がさらに含まれてもよい。
【0034】
操作卓60は、イーサネット(登録商標)などのネットワークによって、DMXノード30や管理装置50を介した双方向通信が可能な状態で接続されている。
【0035】
操作卓60は、オペレータによる操作に基づき、照明器具10の制御(調光)を行う。操作卓60は、例えば、プリセットフェーダやマスタフェーダ、ボタンなどの操作部63(
図3参照)を備え、操作部63を介して利用者から照明器具10の調光度や色彩の制御を受け付ける。操作卓60は、制御対象となる照明器具10に対する制御信号を出力することで、照明器具10の制御を行う。操作卓60は、例えば、照明器具10の調光度や色彩の制御を受け付けると、制御内容を示す調光信号としての制御信号を出力する。
【0036】
また、操作卓60は、後述する表示部62を備え、管理装置50から送信された固定情報および可変情報を操作卓60側で受信すると、スタジオ70における照明器具10およびバトン20の配置(レイアウト)を表示部62に表示する。表示部62は、例えば、ディスプレイである。
【0037】
また、操作卓60は、例えば、操作部63の各フェーダに対して、各照明器具10に対して予め設定された制御アドレスを対応付けている。操作卓60は、あるフェーダの操作が行われた場合は、操作対象となるフェーダに対して設定されていた制御アドレスと、操作後のフェーダが示す調光強度とを示す制御情報を、管理装置50を介して、DMXノード30へと送信する。
【0038】
一方、DMXノード30は、各ポートに対して、各ポートと接続された照明器具10に対して付与された制御アドレスを対応付けている。DMXノード30は、制御情報に含まれる制御アドレスがいずれかのポートと対応付けて保持されている場合は、制御アドレスと対応付けられていたポートから、制御情報が示す制御アドレスと調光強度を示すDMX信号を出力する。照明器具10は、例えば、DMX信号が示す制御アドレスと調光強度とに従って、各色の光の調光強度や照度などを変更する。
【0039】
(管理装置)
図2を参照して実施形態に係る管理装置50の機能構成について説明する。
図2は、実施形態に係る管理装置50の機能構成の一例を示すブロック図である。
図2に示すように、管理装置50は、通信部51と、記憶部52と、制御部53とを備える。
【0040】
通信部51は、例えば、NICなどによって実装され、イーサネットやLANなどの通信ネットワークを介して、操作卓60との間でデータ通信を行う。通信部51は、送信部511と、受信部512とを備える。送信部511は、固定情報および可変情報を操作卓60へと送信する。受信部512は、操作卓60からの照明器具10に対する制御信号を受信する。
【0041】
記憶部52は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ(Flash Memory)などの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実装される。
図2に示すように、記憶部52は、固定情報記憶部521と、可変情報記憶部522とを備える。
【0042】
固定情報記憶部521は、例えば、操作卓60が第1スタジオ70-1(
図1参照)の調光制御に使用される場合、固定情報である、第1スタジオ70-1において設置可能な各照明器具10の位置情報を記憶する。また、固定情報記憶部521は、固定情報である、第1スタジオ70-1において設置可能な各バトン20の位置情報を記憶する。なお、照明器具10の位置情報およびバトン20の位置情報は、第1スタジオ70-1のレイアウト情報ともいう。
【0043】
可変情報記憶部522は、例えば、操作卓60が第1スタジオ70-1の調光制御に使用される場合、可変情報である、照明器具10の個体情報、照明器具10がいずれのポートに接続されているかを示すポート情報、バトン20の高さ情報などを記憶する。
【0044】
制御部53は、管理装置50の各部を制御するコントローラである。制御部53は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサによって実装されてもよい。あるいは、制御部53は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路によって実装されてもよい。
【0045】
制御部53は、管理装置50に内蔵された各種メモリを記憶領域として利用し、処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを用いて、種々の処理を実行する。
【0046】
図2に示すように、制御部53は、収集部531を備える。収集部531は、固定情報収集部5311と、可変情報収集部5312とを備える。固定情報収集部5311は、操作卓60からの指令(制御信号)に基づいて、DMXノード30を介して、照明器具10およびバトン20から固定情報を収集する。可変情報収集部5312は、DMXノード30を介して、照明器具10およびバトン20から可変情報を収集する。
【0047】
固定情報収集部5311は、例えば、オペレータによって設定される所定のタイミングで固定情報、すなわち、バトン20の位置情報や取付位置が固定されている照明器具10の位置情報などの収集を実行する。固定情報収集部5311は、収集した固定情報を固定情報記憶部521へと送る。
【0048】
また、可変情報収集部5312においても、例えば、オペレータによって設定される所定のタイミングで可変情報、すなわち、取付位置が変更可能な照明器具10の位置情報、照明器具10の個体情報、ポート情報、バトン20の高さ情報の収集を実行する。可変情報収集部5312は、収集した可変情報を可変情報記憶部522へと送る。
【0049】
管理装置50では、操作卓60へと固定情報を送信する場合、例えば、操作卓60の起動時に固定情報がアップロードされるように、操作卓60が起動するタイミングで送信部511から送信される。また、管理装置50では、操作卓60へと可変情報を送信する場合、一定のタイミングで送信部511から送信される。この場合、例えば、オペレータが作業中でも最新の情報が把握可能にアップロードされるように、所定時間ごとに送信部511から送信されてもよい。
【0050】
このように、管理装置50では、固定情報および可変情報を、これらの情報取得の特性に応じた異なるタイミングで送信する。この場合、送信部511は、例えば、制御部53からの指令に基づいて、固定情報および可変情報を異なるタイミングで送信する。
【0051】
また、管理装置50では、保有している固定情報が、例えば、バトン20(
図1参照)の位置の変更や更新があった場合には、オペレータなどの人手によってバトン20の位置情報が更新される。
【0052】
また、管理装置50では、収集もしくは記憶された固定情報と、同じく収集もしくは記憶された可変情報と、を用いてスタジオ70のレイアウトデータを作成してもよい。ここでのレイアウトデータは、スタジオ70内のバトン20と照明器具10の位置を示すマップであってもよいし、スタジオ70内のバトン20や照明器具10の位置を座標で表したデータであってもよい。
【0053】
さらに、管理装置50で作成されるのは、レイアウト準備データであってもよい。なお、レイアウト準備データとは、操作卓60へ送信され、操作卓60でレイアウトを作成する際に用いられるデータである。例えば、固定情報と可変情報のうちレイアウト作成に重要な情報に重みづけが行われたデータであったり、レイアウト作成に重要な情報が先頭にくるように整理したデータであったりする。
【0054】
(操作卓)
図3を参照して実施形態に係る操作卓60の機能構成について説明する。
図3は、実施形態に係る操作卓60の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、操作卓60は、通信部61と、表示部62と、操作部63と、記憶部64と、制御部65とを備える。
【0055】
通信部61は、例えば、NICなどによって実装され、イーサネットやLANなどの通信ネットワークを介して、管理装置50との間でデータ通信を行う。通信部61は、送信部611と、受信部612とを備える。送信部611は、制御信号を管理装置50へと送信する。操作卓60は、送信部611から送信する制御信号によって、管理装置50およびDMXノード30を介して、照明器具10を制御する。
【0056】
表示部62は、例えば、液晶モニタやタッチパネルなどによって実装され、照明器具10およびバトン20の設置位置などを表示する。また、表示部62は、スタジオ70内の客席などの位置の情報を表示する。
【0057】
操作部63は、例えば、フェーダやボタンなどの入力装置によって実装され、オペレータからの操作を受け付ける。なお、操作部63は、サブマスタフェーダ、シーンボタン、エフェクトボタンなど、1つ以上の照明器具10に対する所定の操作を行うための入力装置によって実装されてもよい。
【0058】
記憶部64は、例えば、RAM、フラッシュメモリなどの半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスクなどの記憶装置によって実装される。
図3に示すように、記憶部64は、固定情報一時記憶部641と、可変情報一時記憶部642とを備える。
【0059】
固定情報一時記憶部641は、例えば、操作卓60が第1スタジオ70-1(
図1参照)の調光制御に使用される場合、管理装置50側からダウンロードした固定情報である、第1スタジオ70-1において設置可能な各照明器具10の位置情報を記憶する。また、固定情報記憶部521は、固定情報である、第1スタジオ70-1において設置可能な各バトン20の位置情報を記憶する。
【0060】
固定情報一時記憶部641は、固定情報を一時的に記憶する。固定情報一時記憶部641は、記憶した固定情報を一定の期間保有し、例えば、操作卓60を電源オフすると、次回の電源オン時には固定情報が消去されるように構成される。このように、照明システム1では、操作卓60側には固定情報を保有しない。なお、固定情報を操作卓60側で固定保有し、更新のタイミングでオーバーライトさせる構成としてもよい。
【0061】
可変情報一時記憶部642は、可変情報を一時的に記憶する。可変情報一時記憶部642は、管理装置50側から一定のタイミングで送信される可変情報によって更新される。また、可変情報一時記憶部642においても、例えば、操作卓60を電源オフすると、次回の電源オン(起動)時には固定情報が消去されるように構成される。なお、可変情報を操作卓60側で固定保有し、更新のタイミングでオーバーライトさせる構成としてもよい。
【0062】
制御部65は、操作卓60の各部を制御するコントローラである。制御部65は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)などのプロセッサによって実装されてもよい。あるいは、制御部65は、FPGA(Field Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)などの集積回路によって実装されてもよい。
【0063】
制御部65は、操作卓60に内蔵された各種メモリを記憶領域として利用し、処理手順などを規定したプログラムおよび所要データを用いて、種々の処理を実行する。
【0064】
図3に示すように、制御部65は、取得部651を備える。取得部651は、管理装置50側からダウンロードすることで、固定情報および可変情報を取得する。
【0065】
以上説明したように、実施形態に係る管理装置50は、記憶部52(固定情報記憶部521)と、収集部531(可変情報収集部5312)と、送信部511とを具備する。記憶部52(固定情報記憶部521)は、複数のバトン20に関する固定情報を記憶する。収集部531(可変情報収集部5312)は、複数のバトン20に関する可変情報を収集する。送信部511は、バトン20に接続された照明器具10を制御する操作卓60に対して、固定情報および可変情報を送信する。
【0066】
このような構成によれば、照明空間であるスタジオ70におけるバトン20の位置情報のような、バトン20に関する固定情報を操作卓60側で保有しない。このため、同一の操作卓60を異なるスタジオ70に用いる場合でも、操作卓60の表示部62に表示されるバトン20の手動による配置の変更などの固定情報の設定に要する手間を省くことができるなど、操作卓60の設定作業の省力化を図ることができ、作業性を向上させることができる。
【0067】
また、オペレータは、スタジオ70に応じて使用する操作卓60を変えることなく、異なるスタジオ70(例えば、第2スタジオ70-2)においても使い慣れた操作卓60による照明器具10の制御を行うことができる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0068】
また、オペレータは、例えば、操作卓60に何らかのトラブルが発生しても、別の操作卓60を使用して作業を継続することができる。これにより、作業性を向上させることができる。
【0069】
また、実施形態に係る管理装置50において、固定情報は、バトン20の位置情報を含み、可変情報は、バトン20の高さ情報を含む。
【0070】
このように、スタジオ70におけるバトン20の位置情報などの固定情報を操作卓60側で保有しないため、上記したように、同一の操作卓60を異なるスタジオ70に用いる場合でも、操作卓60の表示部62に表示されるバトン20の手動による配置の変更などの固定情報の設定に要する手間を省くことができるなど、操作卓60の設定作業の省力化を図ることができ、作業性を向上させることができる。
【0071】
また、実施形態に係る管理装置50において、収集部531は、バトン20に接続された照明器具10の位置情報である可変情報を収集する。
【0072】
このような構成によれば、バトン20に接続された照明器具10の位置情報のような可変情報については最新の情報を取得できるため、スタジオ70内のレイアウト変更に容易に対応することができ、使い勝手がよいものとなる。
【0073】
また、実施形態に係る管理装置50において、送信部511は、固定情報および可変情報をそれぞれ異なるタイミングで送信する。
【0074】
このような構成によれば、操作卓60側では、例えば、バトン20の位置情報のような固定情報を操作卓60の起動時に取得し、バトン20の高さ情報やバトン20に接続されることで取付位置が変更可能な照明器具10の位置情報のような可変情報を一定タイミングで取得することができるため、使い勝手がよいものとなる。
【0075】
より詳細には、バトン20の位置情報のような固定情報を操作卓60の起動時に取得することで、作業開始前に操作卓60の設定作業に必要な情報を取得することができる。また、バトン20の高さ情報やバトン20に接続されることで照明器具10の位置情報のような可変情報を一定タイミングで取得することで、照明器具10およびバトン20の最新の情報を作業中でも把握することができる。
【0076】
また、実施形態に係る照明システム1は、上記の管理装置50と、複数のバトン20と、バトン20に取り付けられる照明器具10と、照明器具10を制御する操作卓60とを具備する。
【0077】
このような構成によれば、スタジオ70におけるバトン20の位置情報のような、バトン20に関する固定情報を操作卓60側で保有しない。このため、同一の操作卓60を異なるスタジオ70に用いる場合でも、操作卓60の表示部62に表示されるバトン20の手動による配置の変更などの固定情報の設定に要する手間を省くことができるなど、操作卓60の設定作業の省力化を図ることができ、作業性を向上させることができる。
【0078】
なお、上記した実施形態では、管理装置50を照明空間であるスタジオ70に設置しているが、これに限定されず、管理装置50がスタジオ70に設置されないような、例えば、クラウドコンピューティングにおけるクラウドサーバなどの仮想装置で構成されるものであってもよい。このように、クラウドサーバなどの仮想装置を用いることで、例えば、操作卓60において、遠隔地にあるスタジオ70に対しても固定情報や可変情報の取得が可能となる。
【0079】
また、例えば、操作卓60が異なる機種間で保存データを相互に利用できる場合は機種が異なるもの同士でも保存データの移行が可能となるため、操作卓60の機種に関係ないシームレスな運用が可能となる。
【0080】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0081】
1 照明システム
10 照明器具
20 バトン
50 管理装置
511 送信部
52 記憶部
531 収集部
60 操作卓
70 照明空間(スタジオ)