(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】移動体システム
(51)【国際特許分類】
G05D 1/667 20240101AFI20241016BHJP
G05D 1/43 20240101ALI20241016BHJP
G05D 1/617 20240101ALI20241016BHJP
G05D 1/225 20240101ALI20241016BHJP
【FI】
G05D1/667
G05D1/43
G05D1/617
G05D1/225
(21)【出願番号】P 2021094204
(22)【出願日】2021-06-04
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【氏名又は名称】森下 賢樹
(74)【代理人】
【識別番号】100109047
【氏名又は名称】村田 雄祐
(74)【代理人】
【識別番号】100109081
【氏名又は名称】三木 友由
(72)【発明者】
【氏名】楠本 光優
(72)【発明者】
【氏名】戸松 伸之
(72)【発明者】
【氏名】西村 隆
(72)【発明者】
【氏名】片岡 孝生
(72)【発明者】
【氏名】栗栖 怜史
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 紀尚
【審査官】尾形 元
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-246701(JP,A)
【文献】特開2001-287183(JP,A)
【文献】国際公開第2020/148788(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00- 1/87
B60R 25/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行可能な走行ユニットと、前記走行ユニットに連結および分離可能に設けられる台車ユニットと、を備える移動体を制御する移動体システムであって、
前記走行ユニットの現在位置情報を含む走行ユニット情報を取得する走行ユニット情報取得部と、
前記台車ユニットの位置情報および前記台車ユニットの利用情報を含む台車ユニット情報を取得する台車ユニット情報取得部と、
走行ユニット情報および台車ユニット情報をもとに、前記走行ユニットが前記台車ユニットの位置へ設定時刻までに到着するか判定する判定部と、
前記走行ユニットが設定時刻までに到着しないことが判定された場合に、前記台車ユニットに設けられたロック装置を作動させる指示部と、を備えることを特徴とする移動体システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行可能な移動体を用いる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、前輪を有する先頭部と、後輪を有する末尾部と、先頭部と末尾部との間に連結されることで先頭部と末尾部とを一体化させる積載部とを備える車両が開示されている。この積載部は、車両から分離可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
走行ユニットと台車ユニットとが分離可能に構成される移動体において、走行ユニットが台車ユニットから離れた後、台車ユニットが放置され続けた場合には台車ユニットのセキュリティを確保することが望ましい。
【0005】
本発明の目的は、走行ユニットが台車ユニットから離れたあと、台車ユニットのセキュリティを確保する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある態様は、走行可能な走行ユニットと、走行ユニットに連結および分離可能に設けられる台車ユニットと、を備える移動体を制御する移動体システムであって、走行ユニットの現在位置情報を含む走行ユニット情報を取得する走行ユニット情報取得部と、台車ユニットの位置情報および台車ユニットの利用情報を含む台車ユニット情報を取得する台車ユニット情報取得部と、走行ユニット情報および台車ユニット情報をもとに、走行ユニットが台車ユニットの位置へ設定時刻までに到着するか判定する判定部と、走行ユニットが設定時刻までに到着しないことが判定された場合に、台車ユニットに設けられたロック装置を作動させる指示部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、走行ユニットが台車ユニットから離れたあと、台車ユニットのセキュリティを確保する技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図4】移動体システムの構成の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、実施例の移動体10の斜視図を示す。
図2は、分離状態の移動体10の斜視図を示す。移動体10は、走行ユニット12と、物を載せることが可能な台車ユニット14とを備える。走行ユニット12は自律走行機能を有し、一方、台車ユニット14は自律走行機能を有しない。移動体10の全長は2m(メートル)から3m程度、全幅は50cmから1.8m程度、全高は1.5mから2.5m程度であってよい。
【0010】
図2に示すように、走行ユニット12は、台車ユニット14から連結分離可能である。走行ユニット12と台車ユニット14とが連結されることで、移動体10が構成される。なお、走行ユニット12または台車ユニット14の単体を、移動体と呼んでよい。
【0011】
走行ユニット12と台車ユニット14とが連結分離可能に構成されることで、走行ユニット12は、台車ユニット14を目標位置まで牽引すると、台車ユニット14を切り離して、別のタスクを実行できる。たとえば別のタスクが、別の台車ユニット14を別の目標位置まで牽引するタスクである場合、当該走行ユニット12は、当該別の台車ユニット14が配置されている位置まで移動して、当該別の台車ユニット14と連結し、別の目標位置まで牽引する。
【0012】
切り離された台車ユニット14は、その場所でサービスを提供する。実施例において、台車ユニット14は、たとえば商品を販売する店舗サービスを提供できる。台車ユニット14が提供する各種サービスについては後述する。台車ユニット14は、サービスの提供が終了すると、走行ユニット12に連結されて、走行ユニット12により特定の場所まで牽引されてよい。移動体システム1において、移動体10を構成する走行ユニット12と台車ユニット14との組み合わせは固定されておらず、走行ユニット12と台車ユニット14の組み合わせは、サーバ装置6により適宜決定されてよい。
【0013】
台車ユニット14は、収容空間を形成する本体部40を備える。収容空間は、前輪42および後輪44が設けられる基部40aと、基部40aに対向して設けられる天井部40bと、前壁部40cおよび後壁部40dによって画成され、車幅方向に貫通した空間として構成される。なお、一対の前輪42および後輪44の回転軸方向を左右方向または車幅方向といい、左右方向に直交し、台車ユニット14が走行する方向を前後方向という。
【0014】
前壁部40cおよび後壁部40dには、互いに対向する複数の突条部40eが形成され、棚板などを取付可能になっている。たとえば複数の突条部40eに棚板を配置し、棚板に商品を載せることで、台車ユニット14を、店舗サービスを提供する移動店舗として機能させることができる。走行ユニット12および台車ユニット14の各構成について、さらに
図3を参照しつつ説明する。
【0015】
図3は、移動体10の構成を説明するための図である。走行ユニット12は、車輪20、本体部22、検出センサ24、連結装置26、処理装置30、通信部32、駆動装置34および電源装置36を有する。台車ユニット14は、本体部40、前輪42、後輪44、脚部46、被連結部48、電源装置50、処理装置52、通信部54、搭載装置56およびロック装置59を有する。
【0016】
車輪20は、左右に一対設けられ、本体部22に回転可能に支持される。一対の車輪20には、駆動装置34がそれぞれ設けられ、駆動装置34が車輪20を回転させる。駆動装置34はモータを含み、処理装置30が生成する駆動指示に応じて、車輪20を回転させる。一対の車輪20が互いに独立に回転することで、一対の車輪20の回転数の差により、走行ユニット12が左右に曲がることができる。なお本体部22には、一対の車輪20に加えて、1つ以上の補助車輪(不図示)が設けられてよい。
【0017】
本体部22は、車体フレームと内部構造を覆うカバーとにより構成される。検出センサ24は、本体部22に設けられ、進行方向の物体を検出する。検出センサ24は、カメラ、ミリ波レーダ、赤外線レーザ、音波センサなどであってよく、またはそれらの組合せであってよい。検出センサ24は、本体部22の前部のみならず、本体部22の様々な位置に設けられて、後方または横方向の物体を検出してよい。検出センサ24は、検出結果を処理装置30に供給する。
【0018】
連結装置26は、本体部22の後部に設けられ、
図2に示す台車ユニット14の被連結部48に連結される。処理装置30は、走行ユニット12と台車ユニット14とが接近した状態で、一対の車輪20の駆動を制御して連結装置26と被連結部48とを接続し、ロック機構を作動させることで、連結装置26を被連結部48に連結させる機能を有する。連結装置26が被連結部48に連結すると、連結完了を示す信号を処理装置30に送出する。連結装置26と被連結部48とを連結するロック機構は、たとえば鉤状の引っ掛け部を備えて機械的に連結する構造を有してよいが、電磁的に連結する構造を有してもよい。処理装置30は、ロック機構を解除することで、連結装置26と被連結部48とを分離する。
【0019】
電源装置36は、充電可能な電池であり、走行ユニット12に搭載した各装置に電力を供給する。電源装置36は、台車ユニット14の電源装置50と電力の送受が可能であってよい。処理装置30は、電源装置36の残存エネルギー量を監視する。
【0020】
処理装置30は、詳細は後述するが、走行ユニット12の自律走行を制御する。処理装置30は、検出センサ24の検出結果および走行ユニット12の位置情報をもとに、駆動装置34を駆動させ、走行ユニット12の自律走行を実現する。通信部32は、ネットワークに接続して台車ユニット14および/または不図示のサーバ装置と通信する。なお走行ユニット12と台車ユニット14との距離が近い場合、走行ユニット12の通信部32と台車ユニット14の通信部54は、ネットワーク2を介さずに直接通信してよい。
【0021】
台車ユニット14の本体部40は、
図2に示すように矩形に形成された枠体を有し、物体を載せる収容空間を構成する。台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、台車ユニット14の脚部46が地面に接地して、移動不能とされ、台車ユニット14の位置が固定される。
【0022】
本体部40の内側の収容空間には、様々な物が収容可能である。たとえば本体部40に冷蔵庫を収容することで、移動体10は、動く冷蔵庫として機能できる。また本体部40に商品を搭載した商品棚を収容することで、移動体10は、動く店舗として機能できる。また本体部40の開口部の両面にディスプレイ装置を設けることで、移動体10は、動くディスプレイとして機能できる。
【0023】
本体部40の収容空間の側面には、収容空間と外部空間を仕切るための開閉ドア57や、が設けられる。開閉ドア57は、例えば本体部40に設けられた冷蔵庫や商品棚を外部と仕切ってよい。開閉ドア57は、本体部40の両側の開口に設けられてよい。開閉ドア57は、開閉動作によって本体部40の収容空間の開口を開いた開状態、または開口を閉じた閉状態にできる。
【0024】
ロック装置59は、モータ駆動によって開閉ドア57を閉状態に維持するようロックできる。ロック装置59は、本体部40および開閉ドア57の一方に設けられ、本体部40および開閉ドア57の他方に係止してロック状態をとる。ロック装置59がロック解除することで開閉ドア57を開くことができる。開閉ドア57が開かれることで、本体部40の収容空間にアクセスでき、例えばユーザが収容空間にある商品を取ることが可能となる。開閉ドア57は、閉じる方向に付勢されており、通常は閉状態であってよい。ロック解除状態でユーザが開く操作をした場合に開閉ドア57が開いてよい。
【0025】
ロック装置59は、複数であってよく、開閉ドア57をロックする以外のものが含まれてよい。例えば、前輪42および後輪44の回転をロックするロック装置59が含まれてよい。また、ロック装置59のロックによって、搭載装置56の作動が停止されてロックされてよい。つまり、ロック装置59は、開閉ドア57をロックするもの、搭載装置56をロックするもの、前輪42または後輪44をロックするものの少なくともいずれかを含む。
【0026】
一対の前輪42および一対の後輪44が本体部40に回転可能に支持される。台車ユニット14は、前輪42および後輪44を駆動する駆動装置を有しない。被連結部48は、本体部40の前部に設けられ、走行ユニット12の連結装置26に連結される。被連結部48は、連結装置26に位置を知らせる機能を有し、例えば、赤外線等の位置信号を出力してよい。連結装置26と被連結部48とが連結すると、被連結部48は、連結完了を示す信号を処理装置52に送出してよい。
【0027】
一対の脚部46は、本体部40の前部に設けられ、地面に対して進退可能に構成される。脚部46は、地面に対して進行して接地すると、台車ユニット14の移動を制限するストッパとして機能する。そのため台車ユニット14が走行ユニット12から切り離された状態では、脚部46は地面に対して進行して接地し、ストッパとなる。一方、台車ユニット14が走行ユニット12に連結されると、脚部46は後退して、接地していない状態となる。たとえば処理装置52が、被連結部48から連結完了を示す信号を取得すると、脚部46を後退させて、地面から離してよい。
【0028】
電源装置50は、水素、ガソリン、電気などの少なくともいずれかをエネルギー源として、台車ユニット14に搭載した各構成に電力を供給する。
図2には、本体部40前方の3つのスロットに挿入された3つの水素タンクが示されている。処理装置52は、電源装置50の残存エネルギー量を監視する。
【0029】
処理装置52は、脚部46、搭載装置56およびロック装置59を制御する。通信部54は、ネットワークに接続して走行ユニット12や不図示のサーバ装置と通信する。搭載装置56は、本体部40の収容空間内に設けられ、例えば、冷蔵庫、ディスプレイ、スピーカ、エアコンディショナー装置などである。本体部40の収容空間には、サービスの種類に応じて様々な装置を搭載可能である。
【0030】
図4は、移動体システム1の構成の概要を示す図である。移動体システム1は、走行ユニット12、台車ユニット14、サーバ装置16およびユーザ端末装置18を備える。走行ユニット12および台車ユニット14のそれぞれは無線通信機能を有し、基地局である無線局4経由で、インターネットなどのネットワーク2を介してサーバ装置16に通信可能に接続する。走行ユニット12と台車ユニット14は、ネットワーク2を介して通信できるが、連結している場合にネットワーク2を介さずに直接通信できてもよい。ユーザ端末装置18はネットワーク2を介してサーバ装置16に通信可能に接続する。
【0031】
ユーザ端末装置18は、ユーザによって、台車ユニット14の利用を予約するために用いられる。ユーザ端末装置18は、台車ユニット14を予約するリクエスト情報をサーバ装置16に送信する。ユーザ端末装置18は無線通信機能を有してもよい。
【0032】
サーバ装置16は、複数の走行ユニット12および台車ユニット14の位置および状態を管理する。サーバ装置16は、複数の走行ユニット12および台車ユニット14の位置および状態にもとづいて、各走行ユニット12の動作を決定する。サーバ装置16は、ユーザ端末装置18からリクエストを受け付けて、リクエストに応じて配車するよう走行ユニット12および台車ユニット14に指示する。走行ユニット12は、サーバ装置16から送信される動作指示にもとづいて移動し、必要であれば台車ユニット14を牽引する。
【0033】
図5は、移動体システム1の機能構成を示す図である。走行ユニット12の検出センサ24は、走行ユニット12の周辺に位置するオブジェクトの検出結果を処理装置30に送出する。連結装置26は、走行ユニット12の移動によって被連結部48に向かって接近することで被連結部48にロックする。連結装置26は、処理装置30の指示に応じて被連結部48とのロックを解除する。連結装置26は、ロック状態またはロック解除状態であるか示す情報を処理装置30に送出する。
【0034】
位置情報取得部28は、衛星測位システムを用いて走行ユニット12の現在位置情報を取得し、取得した位置情報を処理装置30に供給する。位置情報取得部28は、GPS(Global Positioning System)受信機であってよい。処理装置30は、走行ユニット12の現在位置情報を、走行ユニット12の識別情報(走行ユニットID)とともに、通信部32からサーバ装置16に送信する。現在位置情報の送信は、周期的に行われることが好ましい。
【0035】
駆動装置34は、処理装置30の指示に応じて駆動する。駆動装置34は、出力を複数段階に設定でき、車輪20の時間当たりの回転数を設定できる。駆動装置34は、走行ユニット12を走行させる走行機構として機能する。電源装置36は、残存エネルギー量を処理装置30に送出する。残存エネルギー量は、絶対値であってよく、満充電に対する現在の充電量の割合であってよい。
【0036】
処理装置30は、サーバ装置16から送信された目的地(行き先)を示す情報を受け取って、目的地情報と、予め保持されるマップ情報と、位置情報取得部28から取得した現在位置情報とをもとに目標走行ルートを導出する。処理装置30は、マップ情報と、現在位置情報とを用いて、目標走行ルートを走行するように駆動装置34を制御し、走行ユニット12を目的地まで走行させる。
【0037】
目的地までの走行中、処理装置30は、検出センサ24による検出結果をもとに、走行ユニット12の周囲に存在するオブジェクトに関する情報を取得する。対象となるオブジェクトは、構造物や側溝などの走行に障害となる静的なオブジェクトと、人や他の移動体10などの移動可能なオブジェクト(移動オブジェクト)を含む。処理装置30は、周囲のオブジェクトとの衝突を回避するように進行方向および走行速度を決定し、駆動装置34を駆動する。
【0038】
台車ユニット14の電源装置50は、残存エネルギー量を処理装置52に送出する。位置情報取得部58は、衛星測位システムを用いて台車ユニット14の位置情報を取得し、取得した位置情報を処理装置52に供給する。位置情報取得部58は、GPS受信機であってよい。通信部54は、台車ユニット14の位置情報および搭載設備などを含む台車情報を、台車ユニット14の識別情報(台車ユニットID)を付してサーバ装置16に送信する。
【0039】
搭載装置56は、ユーザの操作または処理装置52の指示に応じて作動する。搭載装置56は、提供可能なサービスの種類によって異なる。台車ユニット14で提供するサービスの種類には、食事場所を提供するサービス、お祈り場所、休憩場所または仕事場所を提供するサービス、キッチンを提供するサービス、物品を販売スペースを提供するサービス、広告を表示するサービスなどがある。食事場所を提供するサービスでは、台車ユニット14にテーブルおよび椅子が搭載される。お祈り場所、休憩場所または仕事場所を提供するサービスでは、台車ユニット14に室内空間を形成するコンテナが搭載される。コンテナ内にはデスク、ソファ、ベッドなど、サービスに応じた設備が搭載される。物品を販売スペースを提供するサービスでは、台車ユニット14に冷蔵庫や棚が搭載される。広告を表示するサービスでは、台車ユニット14の開口の両面にディスプレイ装置が搭載される。
【0040】
ユーザは、台車ユニット14に搭載されたキッチンを利用して、カフェテリアなどの飲食店を一時的に運営できる。ユーザは、台車ユニット14に搭載されたコンテナ室内に入って作業ができる。ユーザは、台車ユニット14に搭載された冷蔵庫に生鮮食品等を並べて販売することができる。このように、サービスの種類に応じた設備を台車ユニット14に搭載することで台車ユニット14が複数種類のサービスを提供できる。台車ユニット14の搭載装置56は、台車ユニット14毎に異ならせてよく、ユーザのリクエストに応じて搭載されてよい。
【0041】
処理装置52は、電源装置50の残存エネルギー量、台車ユニット14の位置情報を取得して、通信部54を介してサーバ装置16に送信させる。処理装置52は、電源装置50のエネルギー量が所定値以下になったことをサーバ装置16に送信してもよい。処理装置52は、搭載装置56を制御してよく、例えばユーザの利用開始時に搭載装置56であるエアコンディショナー装置を作動させてよい。また、処理装置52は、サーバ装置16の指示に応じてロック装置59を作動させる。
【0042】
図6は、サーバ装置16の機能構成を示す図である。
図6において、さまざまな処理を行う機能ブロックとして記載される各要素は、ハードウェア的には、回路ブロック、メモリ、その他のLSIで構成することができ、ソフトウェア的には、メモリにロードされたプログラムなどによって実現される。したがって、これらの機能ブロックがハードウェアのみ、ソフトウェアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは当業者には理解されるところであり、いずれかに限定されるものではない。サーバ装置16は、通信部60、リクエスト受付部62、走行ユニット情報保持部64、台車ユニット情報保持部66、判定部68および指示部70を備える。
【0043】
通信部60は、ネットワークを介して走行ユニット12、台車ユニット14およびユーザ端末装置18から情報を受け取る。リクエスト受付部62は、ユーザ端末装置18からリクエスト情報およびユーザIDを取得する。リクエスト情報は、ユーザが台車ユニット14の利用を要求する内容を示す。リクエスト情報には、台車ユニット14で提供するサービスの種類、サービスの提供日時、サービスの提供場所を示す情報が含まれる。提供日時には、提供開始時刻および提供終了時刻が含まれる。ユーザは、ユーザ端末装置18のアプリケーションプログラムに、サービスの種類、サービスの提供日時、サービスの提供場所を入力して、リクエスト情報としてサーバ装置16に送信する。
【0044】
リクエスト受付部62は、ユーザのリクエストを受け付けると、ユーザ端末装置18にリクエストを受け付けたことを送信する。リクエスト受付部62は、ユーザのリクエストを受け付けると指示部70にリクエスト内容を送出する。指示部70は、リクエストの内容をもとに、複数の台車ユニット14のうち、いずれの台車ユニット14を提供場所に移動させるか、台車ユニット14の台車情報をもとに決定する。指示部70は、走行ユニット12に、リクエストに示す提供場所および提供開始時刻に台車ユニット14を移動させる指示情報を出力する。これにより、走行ユニット12がユーザのリクエストに応じて台車ユニット14を移動させることができる。
【0045】
走行ユニット情報保持部64は、走行ユニット12の位置情報を含む走行ユニット情報を通信部60を介して走行ユニット12から取得する。走行ユニット12の位置情報にはタイムスタンプが付されている。走行ユニット情報には、走行ユニット12の行動予定を示すスケジュール情報が含まれてよい。
【0046】
台車ユニット情報保持部66は、台車ユニット14の位置情報および台車ユニット14の利用情報を含む台車ユニット情報を通信部60を介して台車ユニット14から取得する。なお、台車ユニット14の位置情報は、台車ユニット14を牽引した走行ユニット12から取得してもよい。台車ユニット14の利用情報は、リクエスト受付部62によって受け付けられたユーザのリクエストに示す、提供場所、提供開始時刻および提供終了時刻を含む。
【0047】
判定部68は、走行ユニット情報および台車ユニット情報をもとに、走行ユニット12が台車ユニット14へ設定時刻までに到着するか判定する。つまり、判定部68は、走行ユニット12が台車ユニット14を設定時刻までに回収できなくなったことを検出する。設定時刻は、ユーザに提供した台車ユニット14の提供終了時刻であってよく、提供終了時刻から所定時間後であってよい。判定部68は、走行ユニット12の位置を監視して走行ユニット12から台車ユニット14までの現在距離を算出し、現在距離を所定速度で除算した予想走行時間が、設定時刻から現在時刻を減算した残り時間を超過するか判定する。予想走行時間が残り時間を超過すると判定した場合、判定部68は、走行ユニット12が設定時刻までに到着しないことを検出し、検出結果を指示部70に送出する。
【0048】
指示部70は、走行ユニット12が設定時刻までに到着しないと判定された場合に、台車ユニット14に設けられたロック装置59を作動させる指示情報を台車ユニット14に送信する。指示情報には、ロック装置59を作動させる作動時刻が含まれる。作動時刻は、設定時刻前であってよく、台車ユニット14の提供終了時刻後であってもよい。
【0049】
台車ユニット14の処理装置52は、指示部70からロック装置59を作動させる指示情報を受け取ると、作動時刻にロック装置59に開閉ドア57を閉状態にロックさせる。これにより、台車ユニット14がユーザにサービスを提供した後、走行ユニット12が設定時刻までに台車ユニット14を回収できない場合に、台車ユニット14の開閉ドア57などをロックして、台車ユニット14に防犯対策を施すことができる。
【0050】
なお実施例はあくまでも例示であり、各構成要素の組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0051】
1 移動体システム、 10 移動体、 12 走行ユニット、 14 台車ユニット、 16 サーバ装置、 18 ユーザ端末装置、 20 車輪、 22 本体部、 24 検出センサ、 26 連結装置、 28 位置情報取得部、 30 処理装置、 32 通信部、 34 駆動装置、 36 電源装置、 40 本体部、 40a 基部、 40b 天井部、 40c 前壁部、 40d 後壁部、 42 前輪、 44 後輪、 46 脚部、 48 被連結部、 50 電源装置、 52 処理装置、 54 通信部、 56 搭載装置、 58 位置情報取得部、 59 ロック装置、 60 通信部、 62 リクエスト受付部、 64 走行ユニット情報保持部、 66 台車ユニット情報保持部、 68 判定部、 70 指示部。