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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】水素充填システム及び水素充填方法
(51)【国際特許分類】
   F17C 5/06 20060101AFI20241016BHJP
   F17C 13/02 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
F17C5/06
F17C13/02 301Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2021101438
(22)【出願日】2021-06-18
(65)【公開番号】P2023000547
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2023-10-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】早坂 昭人
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2008-232418(JP,A)
【文献】特開2015-035889(JP,A)
【文献】特開平11-051294(JP,A)
【文献】特開2021-060845(JP,A)
【文献】特開2021-091459(JP,A)
【文献】特開2017-003086(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2005/0193989(US,A1)
【文献】独国特許出願公開第102019218482(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F17C 5/06
F17C 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両が検出した検出情報を取得し、前記検出情報に基づいて、水素ステーションの水素充填エリアに設けられる水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかを判定する水素充填可否判定装置を備え
前記水素充填可否判定装置は、
前記車両が検出した検出情報を取得し、
前記検出情報に基づいて、前記車両において異常があるか否かを判定し、
前記車両において異常があると判定した場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止し、さらに、
前記車両に搭載された撮像手段によって撮像された撮像情報を取得し、前記撮像情報に基づいて前記車両のユーザの行動に異常があるか否かを判定し、
前記車両のユーザの行動に異常がある場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止する
水素充填システム。
【請求項2】
車両が検出した検出情報を取得し、前記検出情報に基づいて、水素ステーションの水素充填エリアに設けられる水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかを判定する水素充填可否判定装置を備え、
前記水素充填可否判定装置は、
前記車両が検出した検出情報を取得し、
前記検出情報に基づいて、前記車両において異常があるか否かを判定し、
前記車両において異常があると判定した場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止し、さらに、
前記車両に搭載された音声取得手段によって取得された音声情報を取得し、前記音声情報に基づいて前記車両のユーザの行動に異常があるか否かを判定し、
前記車両のユーザの行動に異常がある場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止する
水素充填システム。
【請求項3】
複数の車両と通信し、前記水素充填可否判定装置を備えた水素充填情報センタを備える
請求項1又は2に記載の水素充填システム。
【請求項4】
前記水素充填可否判定装置は、
前記車両から前記水素充填装置が設けられる前記水素充填エリアを識別する識別情報を取得し、
前記水素充填エリアを監視するための監視エリアに設けられる監視装置に対して、水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかを判定した判定結果を送信する
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の水素充填システム。
【請求項5】
前記水素充填可否判定装置は、
前記水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかの判定結果に基づいて、前記監視装置に前記水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかの制御を実行させる
請求項に記載の水素充填システム。
【請求項6】
前記水素充填可否判定装置は、
前記車両に搭載されたセンサによって検出されたセンサ情報を取得し、前記センサ情報に基づいて前記車両に異常があるか否かを判定し、
前記車両の異常があると判定した場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止する
請求項1又は2に記載の水素充填システム。
【請求項7】
前記センサ情報は、前記車両における水素濃度と前記車両における水素漏洩音と前記車両における振動とのいずれか1つ又は複数である
請求項6に記載の水素充填システム。
【請求項8】
車両が検出した検出情報を取得し、前記検出情報に基づいて、水素ステーションの水素充填エリアに設けられる水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかを判定し、さらに、
前記車両が検出した検出情報を取得し、
前記検出情報に基づいて、前記車両において異常があるか否かを判定し、
前記車両において異常があると判定した場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止し、さらに、
前記車両に搭載された撮像手段によって撮像された撮像情報を取得し、前記撮像情報に基づいて前記車両のユーザの行動に異常があるか否かを判定し、
前記車両のユーザの行動に異常がある場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止する
水素充填方法。
【請求項9】
車両が検出した検出情報を取得し、前記検出情報に基づいて、水素ステーションの水素充填エリアに設けられる水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかを判定し、さらに、
前記車両が検出した検出情報を取得し、
前記検出情報に基づいて、前記車両において異常があるか否かを判定し、
前記車両において異常があると判定した場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止し、さらに、
前記車両に搭載された音声取得手段によって取得された音声情報を取得し、前記音声情報に基づいて前記車両のユーザの行動に異常があるか否かを判定し、
前記車両のユーザの行動に異常がある場合、前記水素充填装置における前記車両への水素充填を禁止する
水素充填方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水素充填システム及び水素充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1では、水素ステーションにおいて利用者が自身でセルフ充填機を用いて水素燃料自動車への水素の充填作業を行うためのセルフ充填システムが開示されている。当該システムでは、水素ステーションを遠隔監視する監視施設にて指導員が当該セルフ充填機付近の利用者を画像により監視できる画像監視装置と、指導員と利用者との間で双方向の通話が可能な通話装置と、監視施設での指導員の操作に基づいてセルフ充填機による充填を許可又は禁止できる充填許可/禁止指令装置が設けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-003086号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、水素ステーションに設置されたカメラ等の設備の情報に基づいて水素充填の許可又は禁止を行う。つまり、水素ステーションの設備に依存して水素充填の許可又は禁止を行っている課題があった。そのため、例えば、水素充填の許可又は禁止の判断が水素ステーションの設備の機種の新旧の影響を受ける。さらに、水素ステーションの設備更新が必要となるため、水素ステーション側の経費負担が増加する。
【0005】
本開示は、そのような課題を鑑みることによって、水素ステーションの設備に依存せずに水素充填の許可又は禁止を実行できる水素充填システム及び水素充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の水素充填システムは、
車両が検出した検出情報を取得し、前記検出情報に基づいて、水素ステーションの水素充填エリアに設けられる水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかを判定する水素充填可否判定装置を備える。
【0007】
本開示の水素充填方法は、
車両が検出した検出情報を取得し、前記検出情報に基づいて、水素ステーションの水素充填エリアに設けられる水素充填装置における前記車両への水素充填を許可するか禁止するかを判定する。
【発明の効果】
【0008】
本開示によって、水素ステーションの設備に依存せずに水素充填の許可又は禁止を実行できる水素充填システム及び水素充填方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る水素充填システムの構成を示すブロック図である。
図2】第1の実施形態に係る車両の構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る水素充填情報センタの動作を示すフローチャートである。
図4】第1の実施形態に係る水素充填情報センタの動作を示すフローチャートである。
図5】本実施形態に係るコンピュータの構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第1の実施形態)
まず、図1図2を用いて、第1の実施形態に係る水素充填システム1の構成を説明する。水素充填システム1は、車両10、水素充填装置20、監視装置30、水素充填情報センタ40を備える。
【0011】
車両10は、例えば燃料電池自動車(FCV)であり、水素ガスを用いて走行する。車両10は、通信制御部11、充填情報取得部12、センサ部(センサ)13、撮像部(撮像手段)14、音声取得部(音声取得手段)15及び記憶部16を備える。
通信制御部11は、水素充填装置20と水素充填情報センタ40と無線通信方式によって通信する。
充填情報取得部12は、車両10に搭載され、車両10に水素ガスを充填するために車両10と水素充填装置20との間で用いられる充填情報を取得する。充填情報は、例えば、水素タンクの温度、圧力、容積、充填率又は充填速度の情報である。
【0012】
センサ部13は、車両10に搭載されるセンサである。センサ部13は、例えば車両10における水素濃度、水素漏洩音又は振動のセンサ情報を取得する。例えば、センサ部13は、車両10における水素タンクの水素の充填口やFCスタックの上部に設置される。
撮像部14は、車両10に搭載されるカメラである。撮像部14は、車両10のユーザの運転中などの撮像画像を撮像情報として取得する。撮像情報は、車両10のユーザを撮像した複数の撮像画像であってもよく、車両10のユーザを撮影した動画であってもよい。
音声取得部15は、車両10に搭載されるマイクである。音声取得部15は、ユーザの音声を音声情報として取得する。
記憶部16は、例えば車両10の登録情報又は水素充填履歴などの車両情報を記憶する。
【0013】
通信制御部11は、通信制御部11は、充填情報取得部12、センサ部13、撮像部14、音声取得部15でそれぞれ取得された充填情報、センサ情報、撮像情報、音声情報及び記憶部16に記憶された車両情報を水素充填情報センタ40に送信する。ここで、充填情報、センサ情報、撮像情報、音声情報を車両10で検出された情報である検出情報と称する。検出情報は、より具体的には、車両10における水素を充填する環境の情報である水素充填環境情報である。
【0014】
水素充填装置20は、水素ステーションの水素充填エリアに設けられ、監視装置30と無線通信方式又は有線通信方式によって通信する。水素充填装置20は、ユーザがセルフ方式によって車両10に水素を充填することができる機能を有する。具体的には、ユーザは、水素充填装置20は、タッチパネル式のオーダー機を備え、画面表示と音声ガイダンスとに従って車両10に水素を充填する。また、水素充填装置20は、監視装置30によって車両10への水素充填を許可するか禁止するかを制御される。
【0015】
監視装置30は、水素ステーションにおける水素充填エリアの遠隔の監視エリアに設置され、水素充填情報センタ40及び水素充填エリアに設置される水素充填装置20と無線通信方式又は有線通信方式によって通信する。監視装置30は、水素充填情報センタ40の指示に従って水素充填装置20における車両10への水素充填を許可するか禁止するかを制御する。また、監視エリアに駐在しており水素ステーションを監視する指導員の指示に従って水素充填装置20における車両10への水素充填を許可するか禁止するかを制御する。なお、監視装置30は、複数の水素ステーションを集中管理し、水素充填装置20を制御してもよいし、各水素ステーションに設置され、水素充填装置20を制御してもよい。
【0016】
水素充填情報センタ40は、車両10と無線通信方式によって通信する。また、水素充填情報センタ40は、監視装置30と無線通信方式又は有線通信方式によって通信する。ここで、水素充填情報センタ40は、複数の車両10又は複数の監視装置30と通信し、複数の車両10又は複数の監視装置30を統合管理できる。
【0017】
水素充填情報センタ40は、水素充填可否判定装置41を備える。水素充填可否判定装置41は、車両10から取得した車両情報を取得し、車両情報に基づいて水素充填装置20における車両10へのユーザによる水素充填の開始手続きを許可するか禁止するかを判定する。水素充填可否判定装置41は、車両10が検出した検出情報(充填情報、センサ情報、撮像情報、音声情報)を取得し、検出情報に基づいて、水素充填装置20における車両10への水素充填を許可するか禁止するかを判定する。そして、水素充填可否判定装置41は、判定結果に基づく指示を監視装置30に送信する。
また、水素充填情報センタ40は、車両10から取得した車両情報、充填情報、センサ情報、撮像情報、音声情報を、当該車両10に紐づけて記憶する。
【0018】
続いて、第1の実施形態に係る水素充填システム1の動作を説明する。また、以下では、図3図4を用いて、水素充填システム1の水素充填情報センタ40の動作を詳細に説明する。
まず、車両10が水素ステーションの水素充填エリアに到着した後、車両10の通信制御部11は、記憶部16から車両情報を取得する。車両情報は、例えば車両10を識別するための車両登録情報、車両10において過去に水素充填が実行された回数又は水素充填が実行された日時などの水素充填履歴である。そして、通信制御部11は、車両情報を水素充填情報センタ40に送信する。また、通信制御部11は、水素充填エリアを識別するための識別情報を水素充填情報センタ40に送信する。
【0019】
次に、図3に示すように、水素充填情報センタ40の水素充填可否判定装置41は、車両10から車両情報を受信する(ステップS101)。次に、水素充填可否判定装置41は、受信した車両情報に不備があるか否かを判定する(ステップS102)。例えば、水素充填可否判定装置41は、車両登録情報から車両10が登録されていない車両であるとした場合に車両情報に不備があると判定する。
【0020】
水素充填可否判定装置41は、車両情報に不備がある場合(ステップS102 YES)、車両10におけるユーザによる水素充填の手続きを禁止する指示(水素充填手続き禁止指示)を監視装置30に送信する(ステップS103)。ここで、水素充填可否判定装置41は、車両10から取得した水素充填エリアを識別するための識別情報を用いて、車両10が到着した水素充填エリアを監視するための監視エリアに設けられる監視装置30を選択する。
【0021】
監視装置30は、水素充填可否判定装置41から水素充填手続き禁止指示を受信した場合、水素充填装置20に対して車両10におけるユーザによる水素充填手続きを禁止させる制御を行う。この際、監視装置30は、水素充填手続き禁止指示を確認した監視エリアにいる指導員の判断に従って水素充填装置20に対して車両10におけるユーザによる水素充填手続きを禁止させる制御を行ってもよい。次に、水素充填可否判定装置41は、車両10におけるユーザによる水素充填手続きを禁止する旨を車両10に送信する(ステップS104)。
【0022】
一方、水素充填可否判定装置41は、車両情報に不備がない場合(ステップS102 NO)、車両10におけるユーザによる水素充填手続きを許可する指示(水素充填手続き許可指示)を監視装置30に送信する(ステップS105)。ここで、水素充填可否判定装置41は、車両10から取得した水素充填エリアを識別するための識別情報を用いて、車両10が到着した水素充填エリアを監視するための監視エリアに設けられる監視装置30を選択する。
【0023】
監視装置30は、水素充填可否判定装置41から水素充填手続き許可指示を受信した場合、水素充填装置20に対して車両10におけるユーザによる水素充填手続きを許可させる制御を行う。この際、監視装置30は、水素充填手続き許可指示を確認した監視エリアにいる指導員の判断に従って水素充填装置20に対して車両10におけるユーザによる水素充填手続きを許可させる制御を行ってもよい。
【0024】
なお、ステップS101において、車両10は、水素充填エリアに到着した後、水素充填装置20や水素充填情報センタ40を介して車両情報を監視装置30に送信してもよい。この場合、監視装置30は、監視エリアにいる指導員の指示に従って受信した車両情報に不備があるか否かを判定してもよい。そして、監視装置30は、当該判定結果に従って水素充填装置20における車両10への水素充填を許可するか禁止させるかの制御をしてもよい。
【0025】
次に、ステップS105の後、水素充填装置20が車両10におけるユーザの水素充填手続きを許可している場合、ユーザは、水素充填エリアの水素充填装置20においてセルフでの水素充填の開始のための所定の手続きを行う。所定の手続きとは、例えば、ユーザが、水素充填装置20におけるディスプレイにおける画面表示や音声ガイダンスなどに従って、個人情報の入力やクレジットカードを利用するなどの操作を実行する手続きである。そして、水素充填装置20は、ユーザによる水素充填の開始のための所定の手続きが完了した後、車両10に水素充填を開始するための指示を送信する。
【0026】
次に、水素充填装置20から水素充填を開始するための指示を受信した後、車両の充填情報取得部12は、車両10に水素ガスを充填するために車両10と水素充填装置20との間で用いられる、例えば水素タンクの温度、圧力、容積、充填率又は充填速度などの充填情報を取得する。また、センサ部13は、車両10における例えば水素濃度、水素漏洩音又は振動などのセンサ情報を取得する。また、撮像部14は、車両10のユーザの運転中などの撮像画像を撮像情報として取得する。また、音声取得部15は、車両10のユーザの音声を音声情報として取得する。そして、通信制御部11は、充填情報取得部12、センサ部13、撮像部14及び音声取得部15でそれぞれ取得された充填情報、センサ情報、撮像情報、音声情報を水素充填情報センタ40に送信する。この際、通信制御部11は、充填情報、センサ情報、撮像情報、音声情報のいずれか1つ又は複数を水素充填情報センタ40に送信してもよい。
【0027】
なお、車両10の記憶部16は、充填情報取得部12、センサ部13、撮像部14及び音声取得部15によって取得された充填情報、センサ情報、撮像情報及び音声情報を予め記憶しておいてもよい。その場合、通信制御部11は、記憶部16から充填情報、センサ情報、撮像情報及び音声情報を取得し、取得された充填情報、センサ情報、撮像情報及び音声情報を水素充填情報センタ40に送信してもよい。
【0028】
次に、図4に示すように、水素充填情報センタ40の水素充填可否判定装置41は、車両10から充填情報、センサ情報、撮像情報及び音声情報を受信する(ステップS201)。水素充填可否判定装置41は、受信した充填情報、センサ情報、撮像情報及び音声情報を用いて車両10において異常があるか否かを判定する(ステップS202)。具体的には、水素充填可否判定装置41は、センサ情報を用いて車両10における水素濃度の異常、水素漏洩音の異常又は振動の異常などの車両10に異常があるか否かを判定する。また、水素充填可否判定装置41は、撮像情報又は音声情報を用いて車両10のユーザの危険行動又は事故的行動などの車両10のユーザの異常行動があるか否かを判定する。ここで、水素充填可否判定装置41は、例えば、機械学習などを用いて、充填情報、センサ情報、撮像情報及び音声情報を用いて車両10において異常があるか否かを自動で判定する。
【0029】
水素充填可否判定装置41は、車両10において異常があると判定した場合(ステップS202 YES)、車両10における水素充填を禁止する水素充填禁止指示を監視装置30に送信する(ステップS203)。監視装置30は、水素充填可否判定装置41から水素充填禁止指示を受信した場合、水素充填装置20に対して車両10への水素充填を禁止させる制御を行う。この際、監視装置30は、水素充填禁止指示を確認した監視エリアにいる指導員の判断に従って水素充填装置20に対して車両10への水素充填を禁止させる制御を行ってもよい。次に、水素充填可否判定装置41は、車両10における水素充填を禁止する旨を車両10に送信する(ステップS204)。
【0030】
一方、水素充填可否判定装置41は、車両10において異常がないと判定した場合(ステップS202 NO)、車両10における水素充填を許可する水素充填許可指示を監視装置30に送信する(ステップS205)。監視装置30は、水素充填可否判定装置41から水素充填許可指示を受信した場合、水素充填装置20に対して車両10への水素充填を許可させる制御を行う。この際、監視装置30は、水素充填許可指示を確認した監視エリアにいる指導員の判断に従って水素充填装置20に対して車両10への水素充填を許可させる制御を行ってもよい。そうすることによって、車両10のユーザは、水素充填装置20において車両10への水素充填が開始可能となる。
【0031】
次に、水素充填装置20が車両10への水素充填を許可した場合、ユーザは、水素充填装置20において車両10への水素充填を開始する。そして、水素充填装置20において車両10への水素充填が行われている間、水素充填可否判定装置41は、ステップS201~ステップS204の処理を繰り返す。
【0032】
なお、ステップS201において、車両10は、水素充填装置20や水素充填情報センタ40を介して充填情報、センサ情報、撮像情報及び音声情報を監視装置30に送信してもよい。この場合、監視エリアにいる指導員は、受信した各情報に基づいて車両10において異常があるか否かを判定してもよい。そして、監視装置30は、当該判定結果に従って水素充填装置20における車両10への水素充填を許可するか禁止させるかの制御をしてもよい。
【0033】
また、水素充填可否判定装置41と監視エリアにいる指導者とが共同して充填情報、センサ情報、撮像情報及び音声情報を用いて車両10において異常があるか否かを判定してもよい。例えば、監視エリアにいる指導者が水素充填可否判定装置41によって車両10において異常があると判定された判定結果を確認して判定結果を承諾した場合、監視装置30は、水素充填装置20に対して車両10への水素充填を禁止させる制御を行ってもよい。
【0034】
次に、水素充填情報センタ40は、水素充填終了後、車両10から水素充填情報センタ40と監視施設30へ送信されたすべての情報(すなわち、充填情報、センサ情報、撮像情報、音声情報、車両情報)を記憶する。そうすることによって、水素充填情報センタ40は、次回以降の車両10の水素充填時に活用する。
【0035】
したがって、第1の実施形態に係る水素充填システム1では、水素充填情報センタ40は、車両10で検出された検出情報に基づいて水素充填装置20における車両10への水素充填を許可するか禁止するかを判定する。そのため、水素充填システム1は、水素ステーションの設備に依存せずに車両10への水素充填の許可又は禁止を実行できる。そうすることによって、水素充填システム1は、車両10への水素充填の許可又は禁止の判定に対して水素ステーションの設備の機種の新旧の影響を受けない。さらに、水素充填システム1は、水素ステーションの設備更新を必要とせず、水素ステーション側の経費負担の増加を防ぐことができる。
【0036】
また、水素充填システム1では、水素充填情報センタ40は、充填情報取得部12から充填情報に加えて、センサ部13、撮像部14、音声取得部15からそれぞれ取得したセンサ情報、撮像情報及び音声情報を取得する。そして、水素充填情報センタ40は、当該取得した情報に基づいて水素充填装置20における車両10への水素充填を許可するか禁止するかを判定する。したがって、水素充填システム1は、センサ情報、撮像情報及び音声情報によって水素充填を許可するか禁止するかを判定する精度を向上することによって、充填機能の向上などの燃料電池自動車の進化や多種多様な燃料電池自動車が普及拡大した場合でも対応できる。
【0037】
また、水素充填システム1では、水素充填情報センタ40は、複数の車両10から情報を取得し、水素充填装置20における車両10への水素充填を許可するか禁止するかの判定を自動で行う。つまり、水素充填システム1は、各車両10における水素充填の監視の自動化や効率化を実現する。したがって、水素充填システム1は、水素ステーションの稼働時間を拡大して水素ステーションにおけるお客様の利便性を向上させることや監視エリアでの指導員の負荷を緩和することができる。そうすることによって、水素充填システム1は、燃料電池自動車および水素ステーションの普及促進を加速することができる。
【0038】
また、水素充填システム1では、水素充填情報センタ40は、水素ステーションを監視する複数の監視施設30を統合管理する。したがって、水素ステーションが異なる団体によって運営されている場合でも、水素ステーション間での情報共有を実現できる。
【0039】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0040】
<ハードウェア構成>
続いて、図5を用いて、水素充填システム1に係る各構成のコンピュータ1000のハードウェア構成例を説明する。図5においてコンピュータ1000は、プロセッサ1001と、メモリ1002とを有している。プロセッサ1001は、例えば、マイクロプロセッサ、MPU(Micro Processing Unit)、又はCPU(Central Processing Unit)であってもよい。プロセッサ1001は、複数のプロセッサを含んでもよい。メモリ1002は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。メモリ1002は、プロセッサ1001から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ1001は、図示されていないI/Oインターフェースを介してメモリ1002にアクセスしてもよい。
【0041】
また、上述の実施形態における各構成は、ハードウェア又はソフトウェア、もしくはその両方によって構成され、1つのハードウェア又はソフトウェアから構成してもよいし、複数のハードウェア又はソフトウェアから構成してもよい。上述の実施形態における各構成の機能(処理)を、コンピュータにより実現してもよい。例えば、メモリ1002に実施形態における方法を行うためのプログラムを格納し、各機能を、メモリ1002に格納されたプログラムをプロセッサ1001で実行することにより実現してもよい。
【0042】
これらのプログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【符号の説明】
【0043】
1 水素充填システム
10 車両
11 通信制御部
12 充填情報取得部
13 センサ部(センサ)
14 撮像部(撮像手段)
15 音声取得部(音声取得手段)
16 記憶部
20 水素充填装置
30 監視装置
40 水素充填情報センタ
41 水素充填可否判定装置
1000 コンピュータ
1001 プロセッサ
1002 メモリ
図1
図2
図3
図4
図5