(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】乗員の顔検出装置及び顔検出プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/16 20060101AFI20241016BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241016BHJP
B60R 11/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G08G1/16 F
G06T7/00 650Z
B60R11/04
(21)【出願番号】P 2021105738
(22)【出願日】2021-06-25
【審査請求日】2023-10-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110000567
【氏名又は名称】弁理士法人サトー
(72)【発明者】
【氏名】石川 貴洋
(72)【発明者】
【氏名】山下 智也
【審査官】白石 剛史
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/225176(WO,A1)
【文献】特開2008-065705(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G06T 7/00
B60R 1/00
B60R 11/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
撮像部が乗員の座席のヘッドレスト周辺を撮像した画像の所定領域を取得する画像取得部(21)と、
前記画像の所定領域に顔の特徴画像が存在しているか否かを判定し、乗員の顔画像が存在しているか否かを判定する顔画像判定部(22)と、
前記画像の所定領域に背景画像が存在しているか否かを判定する背景画像判定部(23)と、
前記顔画像判定部の判定結果により乗員の顔が正常位置に存在しているか否かを確定する顔存在確定部(26)と、を備え、
前記顔存在確定部は、前記画像の所定領域に前記乗員の顔画像が存在していると判定されると、前記乗員の顔が正常位置に存在していることを確定し、前記画像の所定領域に前記乗員の顔画像が存在していないと判定され
、且つ前記画像の所定領域に前記背景画像が存在していると判定されると、前記乗員の顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に高いと設定し、前記信頼度が相対的に高いと設定した画像の所定領域の出現頻度が第1頻度以上である場合に、前記乗員の顔が正常位置に存在していないことを確定
し、前記画像の所定領域に前記乗員の顔画像が存在していないと判定され、且つ前記画像の所定領域に前記背景画像が存在していないと判定されると、前記乗員の顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に低いと設定し、前記信頼度が相対的に高いと設定した画像の所定領域の出現頻度と前記信頼度が相対的に低いと設定した画像の所定領域の出現頻度とを合算した合算出現頻度が前記第1頻度よりも大きい第2頻度以上である場合に、前記乗員の顔が正常位置に存在していないことを確定する乗員の顔検出装置。
【請求項2】
乗員の座席のヘッドレスト周辺に光を照射する照明部の照明制御を行う照明制御部(24)と、
前記撮像部の露光制御を行う露光制御部(25)と、を備え、
前記背景画像判定部は、前記照明制御部による前記照明制御及び前記露光制御部による前記露光制御の少なくとも何れか一つを行うことで、前記画像の所定領域に前記背景画像が存在しているか否かを判定する請求項1に記載した乗員の顔検出装置。
【請求項3】
前記背景画像判定部は、前記画像の所定領域に背景の特徴画像が存在しているか否かを判定し、背景画像が存在しているか否かを判定する請求項2に記載した乗員の顔検出装置。
【請求項4】
前記顔存在確定部の確定結果を報知部から乗員に対して報知させる報知制御部(27)を備える請求項1から3の何れか一項に記載した乗員の顔検出装置。
【請求項5】
前記乗員としてドライバを対象とする請求項
1から4
の何れか一項に記載した乗員の顔検出装置。
【請求項6】
乗員の顔検出装置(7)に、
撮像部が乗員の座席のヘッドレスト周辺を撮像した画像の所定領域を取得する画像取得手順と、
前記画像の所定領域に顔の特徴画像が存在しているか否かを判定し、乗員の顔画像が存在しているか否かを判定する顔画像判定手順と、
前記画像の所定領域に背景画像が存在しているか否かを判定する背景画像判定手順と、
前記顔画像判定手順の判定結果により前記画像の所定領域に前記乗員の顔画像が存在していると判定すると、前記乗員の顔が正常位置に存在していることを確定する第1確定手順と、
前記顔画像判定手順の判定結果により前記画像の所定領域に前記乗員の顔画像が存在していないと判定し、且つ前記画像の所定領域に前記背景画像が存在していると判定すると、前記乗員の顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に高いと設定し、前記信頼度が相対的に高いと設定した画像の所定領域の出現頻度が第1頻度以上である場合に、前記乗員の顔が正常位置に存在していないことを確定し、前記画像の所定領域に前記乗員の顔画像が存在していないと判定し、且つ前記画像の所定領域に前記背景画像が存在していないと判定すると、前記乗員の顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に低いと設定し、前記信頼度が相対的に高いと設定した画像の所定領域の出現頻度と前記信頼度が相対的に低いと設定した画像の所定領域の出現頻度とを合算した合算出現頻度が前記第1頻度よりも大きい第2頻度以上である場合に、前記乗員の顔が正常位置に存在していないことを確定する第2確定手順と、を実行させる乗員の顔検出プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、乗員の顔検出装置及び顔検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば自動車等の車両において乗員の状態を監視する乗員状態監視システムが供されている。ドライバの状態を監視するドライバ状態監視システムは、ドライバ席のヘッドレスト周辺を撮像する撮像部と、ドライバ席のヘッドレスト周辺に光を照射する照明部とを備える。ドライバ状態監視システムは、ドライバがドライバ席に着座している状態で、光が照射されたドライバの顔周辺を撮像部により撮像し、その撮像した画像に含まれるドライバの顔画像を解析してドライバの状態を監視する(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ドライバ状態監視システムは、顔画像から例えば脇見、閉眼、眠気等を判定し、その判定結果によりドライバが運転に適する運転適正状態であるか適さない運転不適状態であるか否かを判定する。ドライバ状態監視システムは、ドライバが運転不適状態であることを確定すると、例えばドライバ異常時対応システム(以下、EDSS(Emergency Driving Stop System)と称する)を発動したり自動運転による走行や高度運転支援システムによる走行を使用不可に設定したりする。
【0005】
顔画像から運転適正状態であるか運転不適状態であるかを判定するには、乗員の頭部がヘッドレストの前方に存在しており、乗員の顔が正常位置に存在していることが前提となる。しかしながら、ドライバが例えば帽子や眼鏡やマスク等の装着物を装着していたり、手や飲食物等によりドライバの顔が遮られていたり、外乱光の影響が大きかったりすると、ドライバの顔周辺を撮像した画像に顔画像が存在しているにも拘らず、顔画像が存在していないと誤って確定する可能性がある。そうなると、ドライバが運転不適状態であると誤って確定し、ドライバ異常時対応システムを誤って発動したり自動運転による走行や高度運転支援システムによる走行を誤って使用不可に設定したりし、ドライバの安心安全を適切に確保することができなくなる。
【0006】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、乗員の顔が正常位置に存在しているか否かを適切に確定することができ、乗員の安心安全を適切に確保することができる乗員の顔検出装置及び顔検出プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載した発明によれば、画像取得部(21)は、撮像部が乗員の座席のヘッドレスト周辺を撮像した画像の所定領域を取得する。顔画像判定部(22)は、画像の所定領域に顔の特徴画像が存在しているか否かを判定し、乗員の顔画像が存在しているか否かを判定する。背景画像判定部(23)は、画像の所定領域に背景画像が存在しているか否かを判定する。顔存在確定部(26)は、顔画像判定部の判定結果により乗員の顔が正常位置に存在しているか否かを確定する。顔存在確定部は、画像の所定領域に乗員の顔画像が存在していると判定されると、乗員の顔が正常位置に存在していることを確定する。一方、顔存在確定部は、画像の所定領域に乗員の顔画像が存在していないと判定され、且つ画像の所定領域に背景画像が存在していると判定されると、乗員の顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に高いと設定し、信頼度が相対的に高いと設定した画像の所定領域の出現頻度が第1頻度以上である場合に、乗員の顔が正常位置に存在していないことを確定し、画像の所定領域に乗員の顔画像が存在していないと判定され、且つ画像の所定領域に背景画像が存在していないと判定されると、乗員の顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に低いと設定し、信頼度が相対的に高いと設定した画像の所定領域の出現頻度と信頼度が相対的に低いと設定した画像の所定領域の出現頻度とを合算した合算出現頻度が第1頻度よりも大きい第2頻度以上である場合に、乗員の顔が正常位置に存在していないことを確定する。
【0008】
画像の所定領域に顔の特徴画像が存在していると判定し、乗員の顔画像が存在していると判定すると、乗員の顔が正常位置に存在していることを確定し、一方、画像の所定領域に乗員の顔画像が存在していないと判定すると、当該画像の所定領域に背景画像が存在しているか否かを判定し、その判定結果に基づいて乗員の顔が正常位置に存在していないことを確定するようにした。乗員の顔画像が存在しているか否かの判定結果に加え、背景画像が存在しているか否かの判定結果を用いることで、乗員の顔が正常位置に存在しているか否かを適切に確定することができ、乗員の安心安全を適切に確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】一実施形態を示し、ドライバ状態監視システムの機能ブロック図
【
図8】信頼度が相対的に高いときの顔不在通知画面を示す図
【
図9】信頼度が相対的に低いときの顔不在通知画面を示す図
【
図11】レベル2使用不可設定時の警告画面を示す図
【
図12】レベル2使用不可設定の完了通知画面を示す図
【
図13】レベル3使用不可設定時の警告画面を示す図
【
図14】レベル3使用不可設定の完了通知画面を示す図
【
図17】ドライバ専用カメラにより撮像された画像を示す図
【
図18】ドライバ専用カメラにより撮像された画像を示す図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、一実施形態について図面を参照して説明する。
車両には乗員の状態を監視する乗員状態監視システムとしてドライバステータスモニタ(登録商標)(以下、DSM(Driver Status Monitor)と称する)を含むドライバ状態監視システムが搭載されている。ドライバ状態監視システムは、顔画像から瞼の下がり度合、瞳孔の開き度合い、視線方向、視線の移動速度等に基づいて脇見、閉眼、眠気等を判定し、その判定結果によりドライバが運転に適する運転適正状態であるか適さない運転不適状態であるかを判定する。ドライバ状態監視システムは、ドライバが運転不適状態であることを確定すると、例えばEDSSを発動したり自動運転による走行や高度運転支援システムによる走行を使用不可に設定したりする。
【0011】
図1に示すように、ドライバ状態監視システム1は、制御装置2と、ドライバ状態認識装置3と、車両情報認識装置4と、走行環境認識装置5と、HMI(Human Machine Interface)6とを備える。ドライバの顔検出装置7は、ドライバ状態監視システム1の一部として構成され、制御装置2と、ドライバ状態認識装置3とを備えて構成される。ドライバの顔検出装置7は乗員の顔検出装置に相当する。
【0012】
ドライバ状態認識装置3は、ドライバカメラ31と、LED32と、バックルセンサ33と、着座センサ34とを備える。ドライバカメラ31は撮像部に相当し、LED32は照明部に相当する。ドライバカメラ31は、例えばCCD(Charge Coupled Device)やCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)等のイメージセンサを有するカメラであり、インスツルメントパネルの上面、メーターパネル、バックミラー、ステアリングコラム等に配置される。ドライバカメラ31は、少なくともドライバ席のヘッドレスト周辺を含む方向を撮像方向とし、撮像した画像を制御装置2に出力する。ドライバカメラ31の個数は複数でも良く、複数のドライバカメラ31が同期して撮像動作を行う構成でも良い。
【0013】
LED32は、近赤外光を少なくともドライバ席のヘッドレスト周辺を含む範囲に出射する。即ち、ドライバがドライバ席に着座した状態では、LED32から出射された近赤外光がドライバの顔周辺に照射され、近赤外光が照射されたドライバの顔周辺がドライバカメラ31により撮像される。LED32の個数は複数でも良く、複数のLED32が同期して照明動作を行う構成でも良い。
【0014】
バックルセンサ33は、シートベルト側の凸部形状部分がバックル側の凹部形状部分に刺さっている否かを検出し、その検出結果を制御装置2に出力する。着座センサ34は、ドライバ席のシートの圧力分布を検出し、その検出した圧力分布を制御装置2に出力する。
【0015】
車両情報認識装置4は、車速センサ41と、舵角センサ42と、アクセルセンサ43と、ブレーキセンサ44とを備える。車速センサ41は、車両速度を検出し、その検出した車両速度を制御装置2に出力する。舵角センサ42は、ハンドルの操舵角を検出し、その検出した操舵角を制御装置2に出力する。アクセルセンサ43は、アクセルペダルの操作量を検出し、その検出した操作量を制御装置2に出力する。ブレーキセンサ44は、ブレーキペダルの操作量を検出し、その検出した操作量を制御装置2に出力する。
【0016】
走行環境認識装置5は、前方カメラ51と、後方カメラ52と、前方センサ53と、後方センサ54と、ナビゲーション装置55と、Gセンサ56とを備える。前方カメラ51は、道路の路面上にペイントされている区画線等を含む車両前方を撮像方向とし、撮像した画像を制御装置2に出力する。後方カメラ52は、車両後方を撮像方向とし、撮像した画像を制御装置2に出力する。前方センサ53は、ミリ波センサ、レーダ、ライダ(LiDAR(Light Detection and Ranging、Laser Imaging Detection and Ranging))等のセンサであり、車両前方の先行車両や歩行者等の物体を検出し、その検出結果を制御装置2に出力する。後方センサ54は、ミリ波センサ、レーダ、ライダ等のセンサであり、車両後方の後続車両や歩行者等の物体を検出し、その検出結果を制御装置2に出力する。走行環境認識装置5は、前方センサ53により検出された前方車両との距離に基づいて前方車両との相対速度を算出し、後方センサ54により検出された後続車両との距離に基づいて後方車両との相対速度を算出する。
【0017】
ナビゲーション装置55は、GPS(Global Positioning System)衛星から送信されたGPS信号に基づいてGPS位置座標を測位して車両現在位置を確定し、その確定した車両現在位置から目的地までの経路を算出し、その算出した経路を案内する等のナビゲーション処理を行う。尚、衛星測位システムとしては、GPSに限らず、GLONASS、Galileo、BeiDou、IRNSS等の多様なGNSS(Global Navigation Satellite System)を採用することができる。Gセンサ56は、車両の前後方向、左右方向、上下方向の3次元の加速度を検出し、その検出結果を制御装置2に出力する。Gセンサ56は、ナビゲーション装置55が備えるセンサでも良いし、他の用途で搭載されているセンサでも良い。
【0018】
HMI6は、ディスプレイ61と、スピーカ62と、キャンセルスイッチ63とを備える。ディスプレイ61及びスピーカ62は報知部に相当する。ディスプレイ61は、液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等の平板型のディスプレイを有し、その平板型のディスプレイの前面にタッチパネルが形成されている。ディスプレイ61は、ドライバやパッセンジャからのタッチパネルに対するタッチ操作を検出すると、そのタッチ操作に応じて画面を切換えたり画面にアイコンを表示したりする等の画面制御を行う。
【0019】
ディスプレイ61は、表示する情報の一つとしてドライバの姿勢の崩れ度合を示すステータスを5段階で表示する。ステータスは、数値が低いほど崩れ度合が低く、ドライバの姿勢が正常であり、ドライバが運転に適する運転適正状態であることを示し、数値が高いほど崩れ度合が高く、ドライバの姿勢が異常であり、ドライバが運転に適さない運転不適状態であることを示す。制御装置2は、ドライバの状態を示すドライバ状態信号をディスプレイ61に出力することで、ステータスをディスプレイ61に表示させる。ドライバは、ディスプレイ61にステータスが表示されることにより、自分の運転姿勢を把握することができる。
【0020】
スピーカ62は、ナビゲーション装置55やオーディオ装置等と共用されるスピーカである。制御装置2は、ドライバの状態を示すドライバ状態信号をスピーカ62に出力することで、ステータスをスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、スピーカ62からステータスが音声出力されることにより、自分の運転姿勢を把握することができる。
【0021】
キャンセルスイッチ63は、ドライバの状態の検出を一時的に中止するスイッチである。トリップ前にキャンセルスイッチ63が操作されると、その操作された直後の1トリップの期間でドライバの状態の検出が中止される。又、トリップ中にキャンセルスイッチ63が操作されると、キャンセルスイッチ63が操作されている期間、又はキャンセルスイッチ63が操作されてから一定時間(数秒程度)、ドライバの状態の検出が中止される。即ち、例えばドライバが物体を取る動作を行う際には予めキャンセルスイッチ63を操作しておくことで、ドライバの姿勢が崩れても運転不適状態であると誤って検出されなくなる。
【0022】
制御装置2は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)及びI/O(Input/Output)を有するマイクロコンピュータにより構成されている。マイクロコンピュータは、非遷移的実体的記憶媒体に格納されているコンピュータプログラムを実行することで、コンピュータプログラムに対応する処理を実行し、ドライバ状態監視システム1の動作全般を制御する。マイクロコンピュータはプロセッサと同じ意味である。ドライバ状態監視システム1において、非遷移的実体的記憶媒体は、ハードウェアを他のコンピュータ資源と共有していても良い。
【0023】
制御装置2は、上記したドライバ状態認識装置3、車両情報認識装置4、走行環境認識装置5及びHMI6とCAN(Controller Area Network)(登録商標)等の有線接続又は無線LANやBluetooth(登録商標)等の無線接続によりデータ通信可能である。
【0024】
制御装置2は、画像取得部21と、顔画像判定部22と、背景画像判定部23と、照明制御部24と、露光制御部25と、顔存在確定部26と、報知制御部27とを備える。これらの各部21~27は、顔検出プログラムにより実行される機能に相当する。即ち、制御装置2は、顔検出プログラムを実行することで各部21~27の機能を行う。
【0025】
画像取得部21は、ドライバカメラ31により撮像された画像を当該ドライバカメラ31から入力し、ドライバカメラ31により撮像された画像を取得する。
【0026】
顔画像判定部22は、ドライバカメラ31により撮像された画像が画像取得部21により取得されると、その取得された画像に顔画像が存在しているか否かを判定する。顔画像判定部22は、例えばドライバカメラ31が撮像した画像に顔の特徴画像が存在しているか否かを判定する。顔の特徴画像とは、例えば目、鼻、口、眉毛等の特徴点を示す画像である。顔画像判定部22は、顔の特徴画像が存在していると判定し、その顔の特徴画像の認識率が所定率以上であると判定すると、ドライバカメラ31が撮像した画像に顔画像が存在していると判定する。一方、顔画像判定部22は、例えばドライバカメラ31が撮像した画像に顔の特徴画像が存在していないと判定すると、又は顔の特徴画像が存在していると判定したが、その顔の特徴画像の認識率が所定率以上でないと判定すると、ドライバカメラ31が撮像した画像に顔画像が存在していないと判定する。
【0027】
背景画像判定部23は、ドライバカメラ31により撮像された画像が画像取得部21により取得されると、その取得された画像に背景の特徴画像が存在しているか否かを判定し、背景画像が存在しているか否かを判定する。背景の特徴画像とは、例えばBピラー、窓枠、ヘッドレスト等である。照明制御部24は、LED32の照明制御を行う。露光制御部25は、ドライバカメラ31の露光制御を行う。背景画像判定部23は、背景画像が存在しているか否かを判定する手法として、輝度ヒストグラムに基づいて判定する手法と、エッジヒストグラムに基づいて判定する手法とがある。背景画像判定部23は、輝度ヒストグラムに基づいて判定する手法及びエッジヒストグラムに基づいて判定する手法において、照明制御部24による照明制御及び露光制御部25による露光制御の少なくとも何れか一つを行う。即ち、背景画像判定部23は、照明制御部24による照明制御と露光制御部25による露光制御とを同時に行う場合、照明制御部24による照明制御を行うが露光制御部25による露光制御を行わない場合、照明制御部24による照明制御を行わないが露光制御部25による露光制御を行う場合の何れかで、背景画像が存在しているか否かを判定する。
【0028】
輝度ヒストグラムに基づいて判定する手法について
図2及び
図3を参照して説明する。背景画像判定部23は、輝度ヒストグラムに基づいて判定する手法では以下の処理1から処理3を行う。背景画像判定部23は、
図2に示すように、ヘッドレスト101の中央付近の所定範囲に枠aを設定し、枠aを中心とする上下左右の所定範囲に枠b~枠eを設定する。
【0029】
(1)処理1
背景画像判定部23は、枠aに自動露出(AE:Auto Exposure)枠を合わせ、LED32の照明とドライバカメラ31の露光を制御して輝度を調整する。
(2)処理2
背景画像判定部23は、枠aを中心として上下左右の枠b~枠eの輝度を測定し、それぞれ測定した輝度のヒストグラム示す測定値を、予め記憶しているドライバ不在時のヘッドレストの輝度情報を示す初期値と比較する。
(3)処理3
背景画像判定部23は、枠a~枠eの全ての測定値が所定範囲内であり、全ての測定値と初期値との差分が相対的に小さい値であれば、ドライバカメラ31の撮像対象がヘッドレスト101であると判定し、背景画像が存在していると判定する。一方、背景画像判定部23は、枠a~枠eの少なくとも何れか一つの測定値が所定範囲外であり、何れか一つの測定値と初期値との差分が相対的に大きい値であれば、ドライバカメラ31の撮像対象がヘッドレスト101でないと判定し、背景画像が存在していないと判定する。
【0030】
尚、背景画像判定部23は、例えばCANウェイクアップ信号を検知する都度、ドアが開放された時点から人が乗車して着座する時点までの期間のヘッドレスト101の輝度情報を初期値として記憶することで、ヘッドレスト101にカバーが装着された場合でも対応可能となる。尚、
図2ではヘッドレスト101に枠a~枠eを設定する場合を例示したが、
図3に示すように、背もたれ102に枠a~枠eを設定しても良い。
【0031】
エッジヒストグラムに基づいて判定する手法について
図4から
図5を参照して説明する。背景画像判定部23は、エッジヒストグラムに基づいて判定する手法では以下の処理1から処理7を行う。この場合、背景画像判定部23は、LED32の照明強度を「弱」、「中」、「強」の3段階で設定可能である。LED32の照明強度が同じであっても、ドライバがドライバ席に正常に着座している状態では、
図4に示すように、LED32から出射された光がドライバの顔で反射されるので、反射光の反射強度が相対的に高くなり、一方、ドライバがドライバ席に着座していない状態では、LED32から出射された光がヘッドレストで反射されるので、反射光の反射強度が相対的に低くなる。
【0032】
(1)処理1
背景画像判定部23は、LED32の照明強度を「弱」に設定し、ドライバカメラ31により撮像する。
(2)処理2
背景画像判定部23は、LED32の照明強度を「中」に設定し、ドライバカメラ31により撮像する。
(3)処理3
背景画像判定部23は、LED32の照明強度を「強」に設定し、ドライバカメラ31により撮像する。
(4)処理4
背景画像判定部23は、LED32の照明強度が「弱」、「中」、「強」である3種類の画像から2枚を抽出して絶対差分を演算し、「弱」、「中」、「強」の組み合わせにより3種類の絶対差分画像を取得する。
【0033】
(5)処理5
背景画像判定部23は、3種類の絶対差分画像の個々にエッジ抽出フィルタによりフィルタリング処理を行い、3種類のエッジ画像を取得する
(6)処理6
背景画像判定部23は、3種類のエッジ画像に対し、閾値以上のエッジ強度を有する画素数を積算する。
(7)処理7
背景画像判定部23は、3種類のエッジ画像を束ね、枠a~枠eの全ての積算値が所定範囲内であれば、ドライバカメラ31の撮像対象がヘッドレスト101であると判定し、背景画像が存在していると判定する。一方、背景画像判定部23は、枠a~枠eの少なくとも何れか一つの積算値が所定範囲外であれば、ドライバカメラ31の撮像対象がヘッドレスト101でないと判定し、背景画像が存在していないと判定する。
【0034】
顔存在確定部26は、顔画像判定部22の判定結果により画像にドライバの顔画像が存在していると判定されると、ドライバが正常に着座しており、ドライバの頭部がヘッドレストの前方に存在しており、ドライバの顔が正常位置に存在していることを確定する。ドライバの顔が正常位置に存在しているとは、ドライバの頭部がヘッドレストの前方に存在している状態であり、顔画像から瞼の下がり度合、瞳孔の開き度合い、視線方向、視線の移動速度等に基づいて脇見、閉眼、眠気等を判定可能であり、運転適正状態であるか運転不適状態であるかを判定可能な状態を意味する。即ち、ドライバが着座していても、身体が傾いていたり突っ伏していたりしてドライバの頭部がヘッドレストの前方から外れていれば、顔画像から瞼の下がり度合、瞳孔の開き度合い、視線方向、視線の移動速度等に基づいて脇見、閉眼、眠気等を判定不能であるので、ドライバの顔が正常位置に存在してないことになる。
【0035】
一方、顔存在確定部26は、顔画像判定部22の判定結果により画像にドライバの顔画像が存在していないと判定されると、背景画像判定部23の判定結果に基づいてドライバの顔が正常位置に存在しているか否かを確定する。顔存在確定部26は、画像に背景画像が存在していると判定されると、ドライバの顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に高いと設定する。顔存在確定部26は、その信頼度が相対的に高いと設定した画像の出現頻度が第1頻度以上である場合に、ドライバの顔が正常位置に存在していないことを確定する。
【0036】
一方、顔存在確定部26は、顔存在確定部は、画像に背景画像が存在していないと判定されると、ドライバの顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に低いと設定する。顔存在確定部26は、信頼度が相対的に高いと設定した画像の出現頻度と、その信頼度が相対的に低いと設定した画像の出現頻度との和を合算出現頻度として算出する。顔存在確定部26は、その算出した合算出現頻度が第1頻度よりも大きい第2頻度以上である場合に、ドライバの顔が正常位置に存在していないことを確定する。報知制御部27は、顔存在確定部26の確定結果を上記したディスプレイ61やスピーカ62からドライバに対して報知させる。
【0037】
次に、上記した構成の作用について
図6から
図18を参照して説明する。
制御装置2は、例えばイグニッションがオフからオンに切り替わったことでドライバの状態監視処理の開始条件が成立すると、ドライバの状態監視処理を開始する。ドライバの状態監視処理の開始条件は、例えばイグニッションがオフからオンに切り替わったことに限らず、ドライバが所定操作を行ったことでも良い。制御装置2は、ドライバの状態監視処理を開始すると、顔検出機能をオフからオンに切り替え、ドライバカメラ31から画像フレーム(n番目(nは自然数))を取得し(S1、画像取得手順に相当する)、その取得した画像フレームに顔画像が存在しているか否かを判定する(S2、顔画像判定手順に相当する)。
【0038】
制御装置2は、画像フレームに顔画像が存在していると判定すると(S2:YES)、ドライバの顔が正常位置に存在していること、即ち、ドライバの顔存在を確定する(S3、第1確定手順相当する)。制御装置2は、ドライバの顔が正常位置に存在していることを確定することで、顔画像から瞼の下がり度合、瞳孔の開き度合い、視線方向、視線の移動速度等に基づいて脇見、閉眼、眠気等を判定可能な状態となり、運転適正状態であるか運転不適状態であるかを判定可能な状態となる。
【0039】
制御装置2は、ドライバの状態監視処理の終了条件の成立を判定する(S4)。制御装置2は、例えばイグニッションがオンからオフに切り替わったことでドライバの状態監視処理の終了条件が成立したと判定すると(S4:YES)、顔検出機能をオフに設定し、ドライバの状態監視処理を終了する。ドライバの状態監視処理の終了条件は、例えばイグニッションがオンからオフに切り替わったことに限らず、ドライバが所定操作を行ったことでも良い。制御装置2は、例えばイグニッションがオンのままであり、ドライバの状態監視処理の終了条件が成立していない判定すると(S4:NO)、上記したステップS1に戻り、ステップS1以降を繰り返す。
【0040】
一方、制御装置2は、画像フレームに顔画像が存在していないと判定すると(S2:NO)、顔検出機能をオフに設定し、背景検出機能をオンに設定し、上記した輝度ヒストグラムやエッジヒストグラムに基づいて画像フレームに背景画像が存在しているか否かを判定する(S5、背景画像判定手順に相当する)。
【0041】
制御装置2は、画像フレームに背景画像が存在していると判定すると(S5:YES)、ドライバの顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に高いと設定する(S6)。一方、制御装置2は、画像フレームに背景画像が存在していないと判定すると(S5:NO)、ドライバの顔が正常位置に存在していないことの信頼度が相対的に低いと設定する(S7)。
【0042】
制御装置2は、所定フレーム数において信頼度が相対的に高いと設定した画像フレームのフレーム数が第1閾値以上であるか否かを判定し、出現頻度が第1頻度以上であるか否かを判定する(S8)。制御装置2は、第1閾値以上であると判定すると(S8:YES)、ドライバの顔が正常位置に存在していないこと、即ち、ドライバの顔不在を確定する(S10、第2確定手順に相当する)。制御装置2は、例えば所定フレーム数を「30」と設定し、第1閾値を「15」と設定すると、例えば「30」フレーム数において信頼度が相対的に高いと設定した画像フレームのフレーム数が「15」以上であると判定すると、ドライバの顔不在を確定する。
【0043】
この場合、制御装置2は、
図8に示すように、信頼度が相対的に高い状況でドライバの顔不在を確定したことを示す顔不在通知画面をディスプレイ61に表示させ、顔不在通知音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61に顔不在通知画面が表示され、スピーカ62から顔不在通知音声が音声出力されることにより、自分の顔が認識されなかったが背景画像が認識されたことを把握することができ、自分の顔が認識されなかったことに起因する車両制御に準備することができる。
【0044】
一方、制御装置2は、所定フレーム数において信頼度が相対的に高いと設定した画像フレームのフレーム数が第1閾値以上でないと判定すると(S8:NO)、所定フレーム数において信頼度が相対的に高いと設定した画像フレームのフレーム数と信頼度が相対的に低いと設定した画像フレームのフレーム数とを合算して合算画像フレーム数を算出する(S9)。制御装置2は、その算出した合算画像フレーム数が第2閾値以上であるか否かを判定し、合算出現頻度が第2頻度以上であるか否かを判定する(S10)。制御装置2は、第2閾値以上であると判定すると(S10:YES)、ドライバの顔が正常位置に存在していないこと、即ち、ドライバの顔不在を確定する(S11、第2確定手順に相当する)。制御装置2は、例えば所定フレーム数を「30」と設定し、第2閾値を「25」と設定すると、例えば「30」フレーム数において信頼度が相対的に高いと設定した画像フレームのフレーム数と信頼度が相対的に低いと設定した画像フレームのフレーム数とを合算した合算画像フレーム数が「25」以上であると判定すると、ドライバの顔不在を確定する。
【0045】
この場合、制御装置2は、
図9に示すように、信頼度が相対的に低い状況でドライバの顔不在を確定したことを示す顔不在通知画面をディスプレイ61に表示させ、顔不在通知音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61に顔不在通知画面が表示され、スピーカ62から顔不在通知音声が音声出力されることにより、自分の顔が認識されず且つ背景画像も認識されなかったことを把握することができ、この場合も、自分の顔が認識されなかったことに起因する車両制御に準備することができる。
【0046】
制御装置2は、このようにしてドライバの顔不在を確定し、ドライバの顔が正常位置に存在していないことを確定すると、背景検出機能をオンからオフに切り替え、ドライバの顔不在に対処する顔不在対処処理に移行する(S12)。制御装置2は、顔不在対処処理を開始すると、その時点の状況を判定する(S21~S23)。制御装置2は、手動運転中であると判定すると(S21:YES)、EDSS発動を警告する(S24)。制御装置2は、
図10に示すように、EDSS発動の警告を示すEDSS発動時の警告画面をディスプレイ61に表示させ、EDSS発動時の警告音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61にEDSS発動時の警告画面が表示され、スピーカ62からEDSS発動時の警告音声が音声出力されることにより、EDSSが発動される可能性があることを把握することができる。
【0047】
制御装置2は、自動運転レベル2を使用中であると判定すると(S22:YES)、自動運転レベル2の使用不可設定を警告する(S25)。制御装置2は、
図11に示すように、自動運転レベル2使用不可設定の警告を示すレベル2使用不可設定時の警告画面をディスプレイ61に表示させ、レベル2使用不可設定時の警告音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61にレベル2使用不可設定時の警告画面が表示され、スピーカ62からレベル2使用不可設定時の警告音声が音声出力されることにより、自動運転レベル2が使用不可に設定されることを把握することができる。
【0048】
その後、制御装置2は、ドライバの顔不在を確定してから第1所定時間(例えば4秒)の経過後に、自動運転レベル2を使用不可に設定する(S26)。制御装置2は、自動運転レベル2の使用不可設定を完了すると、
図12に示すように、自動運転レベル2使用不可設定の完了を示すレベル2使用不可設定の完了通知画面をディスプレイ61に表示させ、レベル2使用不可設定の完了通知音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61にレベル2使用不可設定の完了通知画面が表示され、スピーカ62からレベル2使用不可設定の完了通知音声が音声出力されることにより、自動運転レベル2の使用不可設定が完了されたことを把握することができる。
【0049】
制御装置2は、自動運転レベル3を使用中であると判定すると(S23:YES)、自動運転レベル3の使用不可設定を警告する(S27)。制御装置2は、
図13に示すように、自動運転レベル3使用不可設定の警告を示すレベル3使用不可設定時の警告画面をディスプレイ61に表示させ、レベル3使用不可設定時の警告音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61にレベル3使用不可設定時の警告画面が表示され、スピーカ62からレベル3使用不可設定時の警告音声が音声出力されることにより、自動運転レベル3が使用不可に設定されることを把握することができる。
【0050】
その後、制御装置2は、ドライバの顔不在を確定してから第2所定時間(例えば10秒)の経過後に、自動運転レベル3を使用不可に設定する(S28)。制御装置2は、自動運転レベル2の使用不可設定を完了すると、
図14に示すように、自動運転レベル3使用不可設定の完了を示すレベル3使用不可設定の完了通知画面をディスプレイ61に表示させ、レベル3使用不可設定の完了通知音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61にレベル3使用不可設定の完了通知画面が表示され、スピーカ62からレベル3使用不可設定の完了通知音声が音声出力されることにより、自動運転レベル3の使用不可設定が完了されたことを把握することができる。
【0051】
制御装置2は、手動運転操作を検出したか否かを判定し(S29)、ドライバの顔不在を確定してから第3所定時間(例えば20秒)が経過したか否かを判定する(S30)。制御装置2は、ドライバの顔不在を確定してから第3所定時間が経過する前に手動運転操作を検出したと判定すると(S29:YES)、手動運転を継続し(S31)、顔不在対処処理を終了する。制御装置2は、
図15に示すように、手動運転の継続を示す手動運転継続通知画面をディスプレイ61に表示させ、手動運転継続通知音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61に手動運転継続通知画面が表示され、スピーカ62から手動運転継続通知音声が音声出力されることにより、手動運転が継続されたことを把握することができる。
【0052】
一方、制御装置2は、手動運転操作を検出する前にドライバの顔不在を確定してから第3所定時間が経過したと判定すると(S30:YES)、EDSSを発動し(S32)、顔不在対処処理を終了する。制御装置2は、EDSSの発動を完了すると、
図16に示すように、EDSSの発動の完了を示すEDSS発動の完了通知画面をディスプレイ61に表示させ、EDSS発動の完了通知音声をスピーカ62から音声出力させる。ドライバは、ディスプレイ61にEDSS発動の完了通知画面が表示され、スピーカ62からEDSS発動の完了通知音声が音声出力されることにより、EDSSの発動が完了されたことを把握することができる。
【0053】
以上は、ドライバへの報知として各種画面をディスプレイ61に表示させ、各種音声をスピーカ62から音声出力させることを例示したが、各種画面をディスプレイ61に表示させるのみ、又は各種音声をスピーカ62から音声出力させるのみであっても良い。
【0054】
ドライバカメラ31は、上記したように少なくともドライバ席のヘッドレスト周辺を含む方向を撮像方向とすれば良く、ドライバのみを撮像対象とするドライバ専用カメラ、ドライバを含む複数の乗員を撮像対象とする乗員カメラの何れであっても良い。ドライバ専用カメラとしては狭角カメラが採用される。
図17は、例えば画角が40~70度の狭角レンズと、横1280画素×縦960画素の解像度のイメージャを有する狭角カメラが採用され、メーターパネルに内蔵された場合又はステアリングコラムに配置された場合に、当該挟角カメラにより撮像された画像を示している。
図18は、例えば画角が40~70度の狭角レンズと、横1280画素×縦960画素の解像度のイメージャを有する狭角カメラが採用され、インスツルメントパネルの中央部に配置された場合に、当該狭角カメラにより撮像された画像を示している。
【0055】
図17及び
図18では、撮像された画像においてドライバの顔画像が占める面積が大きい。
図17では、画像の全体(破線A1で示す領域)を所定領域とし、顔画像判定部22は、画像の全体でドライバの顔画像が存在しているか否かを判定し、背景画像判定部23は、画像の全体で背景画像が存在しているか否かを判定する。
図18では、画像の上半部以上(破線A2で示す領域)を所定領域とし、顔画像判定部22は、画像の上半部以上でドライバの顔画像が存在しているか否かを判定し、背景画像判定部23は、画像の上半部以上で背景画像が存在しているか否かを判定する。
【0056】
一方、乗員カメラとしては中角カメラや広角カメラが採用される。
図19は、例えば画角が70~100度の中角レンズと、横1280画素×縦960画素の解像度のイメージャを有する中角カメラが採用され、メーターパネルに内蔵された場合又はステアリングコラムやサンバイザに配置された場合に、当該中角カメラにより撮像された画像を示している。
図20は、例えば画角が100~160度の広角レンズと、横1280画素×縦960画素の解像度のイメージャを有する広角カメラが採用され、インスツルメントパネルの中央部やオーバーヘッドコンソールに配置された場合に、当該広角カメラにより撮像された画像を示している。
図21は、例えば画角が100~180度超えの広角レンズと、横1280画素×縦960画素の解像度のイメージャを有する広角カメラが採用され、インスツルメントパネルの中央部やオーバーヘッドコンソールに配置された場合に、当該広角カメラにより撮像された画像を示している。
【0057】
図19から
図21では、撮像された画像においてドライバの顔画像が占める面積が小さい。
図19では、画像の一部(破線A3で示す領域)を所定領域とし、顔画像判定部22は、画像の一部でドライバの顔画像が存在しているか否かを判定し、背景画像判定部23は、画像の一部で背景画像が存在しているか否かを判定する。同様に、
図20では、画像の一部(破線A4で示す領域)を所定領域とし、顔画像判定部22は、画像の一部でドライバの顔画像が存在しているか否かを判定し、背景画像判定部23は、画像の一部で背景画像が存在しているか否かを判定する。同様に、
図21では、画像の一部(破線A5で示す領域)を所定領域とし、顔画像判定部22は、画像の一部でドライバの顔画像が存在しているか否かを判定し、背景画像判定部23は、画像の一部で背景画像が存在しているか否かを判定する。尚、
図17から
図21において、カメラの画角やイメージャ解像度は例示した値に限らない。又、背景画像判定部23は、ピラーや窓枠等を検出することで、背景画像が存在していると判定しても良く、上記したヘッドレストを検出することと、ピラーや窓枠等を検出することを併用しても良い。
【0058】
以上に説明したように本実施形態によれば、次に示す作用効果を得ることができる。
ドライバの顔検出装置7において、ドライバカメラ31により撮像された画像にドライバの顔画像が存在していると判定すると、ドライバの顔存在を確定し、一方、画像にドライバの顔画像が存在していないと判定すると、当該画像に背景画像が存在しているか否かを判定し、その判定結果に基づいてドライバの顔不在を確定するようにした。ドライバの顔画像が存在しているか否かの判定結果に加え、背景画像が存在しているか否かの判定結果を用いることで、ドライバの顔存在であるか顔不在であるかを適切に確定することができ、ドライバの安心安全を適切に確保することができる。
【0059】
画像に背景画像が存在していると判定すると、ドライバの顔不在の信頼度が相対的に高いと設定し、その信頼度が相対的に高いと設定した画像の出現頻度が第1頻度以上である場合に、ドライバの顔不在を確定するようにした。予め第1頻度を設定しておくことで、信頼度が相対的に高いと設定した画像の出現頻度を第1頻度と比較し、ドライバの顔不在を確定することができる。
【0060】
画像に背景画像が存在していないと判定すると、ドライバの顔不在の信頼度が相対的に低いと設定し、その信頼度が相対的に高いと設定した画像の出現頻度と当該信頼度が相対的に低いと設定した画像の出現頻度とを合算した合算出現頻度が第2頻度以上である場合に、ドライバの顔不在を確定するようにした。予め第2頻度を設定しておくことで、信頼度が相対的に高いと設定した画像の出現頻度と当該信頼度が相対的に低いと設定した画像の出現頻度とを合算した合算出現頻度を第2頻度と比較し、ドライバの顔不在を確定することができる。
【0061】
第1頻度の値を第2頻度の値よりも小さく設定しておくことで、ドライバの顔不在の信頼度が相対的に高ければドライバの顔不在を早急に確定することができ、ドライバの顔不在に対して早急に対処することができる。
【0062】
輝度ヒストグラムに基づいて画像に背景画像が存在しているか否かを判定するようにした。輝度ヒストグラムの手法を用いることでドライバの顔不在の信頼度の高低を設定することができる。エッジヒストグラムに基づいて画像に背景画像が存在しているか否かを判定するようにした。エッジヒストグラムの手法を用いることでドライバの顔不在の信頼度の高低を設定することができる。
【0063】
本開示は、実施例に準拠して記述されたが、当該実施例や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態、更には、それらに一要素のみ、それ以上、或いはそれ以下を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範疇や思想範囲に入るものである。
【0064】
状態を監視する対象としてドライバを例示したが、パッセンジャ、リア席の乗員を対象としても良い。即ち、パッセンジャを撮像するカメラを配置し、パッセンジャの顔存在又は顔不在を確定することで、パッセンジャの顔存在又は顔不在に対処することができる。リア席の乗員を撮像するカメラを配置し、リア席の乗員の顔存在又は顔不在を確定することで、パッセンジャの顔存在又は顔不在に対処することができる。又、ドライバを撮像するカメラ、パッセンジャを撮像するカメラ及びリア席の乗員を撮像するカメラを共通し、1つのカメラでドライバ、パッセンジャ、リア席の乗員を撮像する構成でも良い。
【0065】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。或いは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によりプロセッサを構成することにより提供された専用コンピュータにより実現されても良い。若しくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路により構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより実現されても良い。又、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていても良い。
【符号の説明】
【0066】
図面中、2は制御装置、7はドライバの顔検出装置(乗員の顔検出装置)、21は画像取得部、22は顔画像判定部、23は背景画像判定部、24は照明制御部、25は露光制御部、26は顔存在確定部、27は報知制御部、31はドライバカメラ(撮像部)、32はLED(照明部)、61はディスプレイ(報知部)、62はスピーカ(報知部)である。