(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電流遮断装置
(51)【国際特許分類】
H01H 39/00 20060101AFI20241016BHJP
H01H 47/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H01H39/00 C
H01H47/00 Z
(21)【出願番号】P 2021106794
(22)【出願日】2021-06-28
【審査請求日】2024-01-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004370
【氏名又は名称】弁理士法人片山特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 了平
【審査官】片岡 弘之
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/188582(WO,A1)
【文献】国際公開第2020/196465(WO,A1)
【文献】特開2011-211835(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01H 39/00
H01H 47/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源の正極及び負極の一方と負荷回路の間に流れる電流を遮断する第1遮断器と、
前記電源の正極及び負極の他方と前記負荷回路の間に流れる電流を、前記第1遮断器より広い電流値の範囲内で遮断する第2遮断器と、
前記電源の正極または負極と前記負荷回路の間に流れる電流値を検出する検出部と、
前記第1遮断器及び前記第2遮断器に電流の遮断を指示する指示部とを有し、
前記指示部は、前記検出部が検出した電流値が第1閾値から第2閾値までの範囲内である場合、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、前記検出部が検出した電流値が前記第2閾値より大きい場合、前記第2遮断器に電流の遮断を指示し、
前記第2遮断器に電流の遮断を指示した後、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、
前記第2閾値は、前記第1遮断器の遮断可能な電流の上限値以下である、
電流遮断装置。
【請求項2】
電源の正極及び負極の一方と負荷回路の間に流れる電流を遮断する第1遮断器と、
前記電源の正極及び負極の他方と前記負荷回路の間に流れる電流を、前記第1遮断器より広い電流値の範囲内で遮断する第2遮断器と、
前記電源の正極または負極と前記負荷回路の間に流れる電流値を検出する検出部と、
前記第1遮断器及び前記第2遮断器に電流の遮断を指示する指示部とを有し、
前記指示部は、前記検出部が検出した電流値が第1閾値から第2閾値までの範囲内である場合、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、前記検出部が検出した電流値が前記第2閾値より大きい場合、前記第2遮断器に電流の遮断を指示し、
前記第2遮断器に電流の遮断を指示した後、前記検出部が再び検出した電流値が前記第2閾値以下であるとき、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、
前記第2閾値は、前記第1遮断器の遮断可能な電流の上限値以下である、
電流遮断装置。
【請求項3】
電源の正極及び負極の一方と負荷回路の間に流れる電流を遮断する第1遮断器と、
前記電源の正極及び負極の他方と前記負荷回路の間に流れる電流を、前記第1遮断器より広い電流値の範囲内で遮断する第2遮断器と、
前記電源の正極または負極と前記負荷回路の間に流れる電流値を検出する検出部と、
前記第1遮断器及び前記第2遮断器に電流の遮断を指示する指示部とを有し、
前記指示部は、前記検出部が検出した電流値が第1閾値から第2閾値までの範囲内である場合、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、
前記第1遮断器に電流の遮断を指示した後、前記検出部が再び検出した電流値が、前記第1閾値より小さい第3閾値より大きい場合、前記第2遮断器に電流の遮断を指示し、前記検出部が検出した電流値が前記第2閾値より大きい場合、前記第2遮断器に電流の遮断を指示し、
前記第2閾値は、前記第1遮断器の遮断可能な電流の上限値以下である、
電流遮断装置。
【請求項4】
前記検出部と前記第2遮断器の間に電気的に接続されたヒューズを有
し、
前記指示部が前記第2遮断器に電流の遮断を指示した後、前記検出部が再び検出した電流値が前記第2閾値より大きいとき、前記ヒューズは、溶断することにより該電流を遮断する、
請求項
2または3に記載の電流遮断装置。
【請求項5】
前記第2遮断器は、前記電源と前記負荷回路の間に流れる電流が導通する導通部、及び前記指示部からの電流の遮断の指示に応じて火薬を燃焼させる点火器、及び前記火薬の燃焼により移動して前記導通部を切断する切断部を有する、
請求項1乃至
4の何れかに記載の電流遮断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電流遮断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、直流電源と負荷装置の間のヒューズが溶断したとき、直流電源の正極及び負極と負荷装置の間の各接点を連動させて開放することにより電流を遮断するサーキットブレーカが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、各接点が連動して同時に遮断すると、サーキットブレーカの遮断可能な電流、つまり遮断電流を超える大電流によりアークが発生して各接点の劣化や固着が生ずるおそれがある。
【0005】
そこで本発明は上記の課題に鑑みてなされたものであり、電流遮断時のアークの発生を低減することができる電流遮断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本明細書に記載の電流遮断装置は、電源の正極及び負極の一方と負荷回路の間に流れる電流を遮断する第1遮断器と、前記電源の正極及び負極の他方と前記負荷回路の間に流れる電流を、前記第1遮断器より広い電流値の範囲内で遮断する第2遮断器と、前記電源の正極または負極と前記負荷回路の間に流れる電流値を検出する検出部と、前記第1遮断器及び前記第2遮断器に電流の遮断を指示する指示部とを有し、前記指示部は、前記検出部が検出した電流値が第1閾値から第2閾値までの範囲内である場合、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、前記検出部が検出した電流値が前記第2閾値より大きい場合、前記第2遮断器に電流の遮断を指示し、前記第2遮断器に電流の遮断を指示した後、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、前記第2閾値は、前記第1遮断器の遮断可能な電流の上限値以下である。
【0008】
本明細書に記載の他の電流遮断装置は、電源の正極及び負極の一方と負荷回路の間に流れる電流を遮断する第1遮断器と、前記電源の正極及び負極の他方と前記負荷回路の間に流れる電流を、前記第1遮断器より広い電流値の範囲内で遮断する第2遮断器と、前記電源の正極または負極と前記負荷回路の間に流れる電流値を検出する検出部と、前記第1遮断器及び前記第2遮断器に電流の遮断を指示する指示部とを有し、前記指示部は、前記検出部が検出した電流値が第1閾値から第2閾値までの範囲内である場合、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、前記検出部が検出した電流値が前記第2閾値より大きい場合、前記第2遮断器に電流の遮断を指示し、前記第2遮断器に電流の遮断を指示した後、前記検出部が再び検出した電流値が前記第2閾値以下であるとき、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、前記第2閾値は、前記第1遮断器の遮断可能な電流の上限値以下である。
【0009】
本明細書に記載のさらに他の電流遮断装置は、電源の正極及び負極の一方と負荷回路の間に流れる電流を遮断する第1遮断器と、前記電源の正極及び負極の他方と前記負荷回路の間に流れる電流を、前記第1遮断器より広い電流値の範囲内で遮断する第2遮断器と、前記電源の正極または負極と前記負荷回路の間に流れる電流値を検出する検出部と、前記第1遮断器及び前記第2遮断器に電流の遮断を指示する指示部とを有し、前記指示部は、前記検出部が検出した電流値が第1閾値から第2閾値までの範囲内である場合、前記第1遮断器に電流の遮断を指示し、前記第1遮断器に電流の遮断を指示した後、前記検出部が再び検出した電流値が、前記第1閾値より小さい第3閾値より大きい場合、前記第2遮断器に電流の遮断を指示し、前記検出部が検出した電流値が前記第2閾値より大きい場合、前記第2遮断器に電流の遮断を指示し、前記第2閾値は、前記第1遮断器の遮断可能な電流の上限値以下である。
【0010】
上記の構成において、電流遮断装置は、前記検出部と前記第2遮断器の間に電気的に接続されたヒューズを有し、前記指示部が前記第2遮断器に電流の遮断を指示した後、前記検出部が再び検出した電流値が前記第2閾値より大きいとき、前記ヒューズは、溶断することにより該電流を遮断してもよい。
【0011】
上記の構成において、前記第2遮断器は、前記電源と前記負荷回路の間に流れる電流が導通する導通部、及び前記指示部からの電流の遮断の指示に応じて火薬を燃焼させる点火器、及び前記火薬の燃焼により移動して前記導通部を切断する切断部を有してもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、電流遮断時のアークの発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】車両駆動システムの一例を示す構成図である。
【
図3】第1実施例のマイクロコントローラの動作を示すフローチャートである。
【
図4】第2実施例のマイクロコントローラの動作を示すフローチャートである。
【
図5】第3実施例のマイクロコントローラの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
(車両駆動システムの構成)
図1は、車両駆動システム9の一例を示す構成図である。車両駆動システム9は、例えばハイブリッド車及び電気自動車などの電動車両に搭載される。車両駆動システム9は、電流遮断装置1、直流電源2、モータ駆動回路3、及びモータMを有する。
【0015】
直流電源2は、例えばリチウムイオンバッテリであり、モータ駆動回路3に電力を供給する。モータ駆動回路3は、直流電源2からの電力によりモータMを駆動する。モータ駆動回路3は、例えば昇圧コンバータ及びインバータを含む。なお、直流電源2は電源の一例であり、モータ駆動回路3は負荷回路の一例である。
【0016】
電流遮断装置1は、マイクロコントローラ10、パイロ遮断器11、リレー12、電流センサ13、及びヒューズ14を有する。リレー12は、直流電源2の負極とモータ駆動回路3の間に電気的に接続されている。リレー12は、直流電源2の負極とモータ駆動回路3の間に流れる電流を、マイクロコントローラ10から入力される作動信号に従って遮断する。なお、リレー12は第1遮断器の一例である。リレー12としてはシステムメインリレーが挙げられるが、これに限定されない。
【0017】
パイロ遮断器11は直流電源2の正極とモータ駆動回路3の間に電気的に接続されている。パイロ遮断器11は火薬式の電流の遮断器であり、直流電源2の正極とモータ駆動回路3の間に流れる電流を、マイクロコントローラ10から入力される作動信号に従って遮断する。
【0018】
パイロ遮断器11は、リレー12より広い電流値の範囲内で電流を遮断する。すなわち、パイロ遮断器11の遮断可能な電流(以下、遮断電流と表記)の範囲はリレー12の遮断電流の範囲より広い。これは、パイロ遮断器11が、後述するようにリレー12とは異なる手法で電流を遮断するためである。なお、パイロ遮断器11は第2遮断器の一例である。
【0019】
また、パイロ遮断器11及びリレー12は、本例とは異なり、直流電源2の負極側及び正極側にそれぞれ設けられてもよい。この場合、リレー12は直流電源2の正極とモータ駆動回路3の間に流れる電流を遮断し、パイロ遮断器11は直流電源2の負極とモータ駆動回路3の間に流れる電流を遮断する。
【0020】
電流センサ13は、直流電源2の正極とパイロ遮断器11の間に電気的に接続されている。電流センサ13は、検出部の一例であり、直流電源2の正極とモータ駆動回路3の間に流れる電流値を検出する。電流センサ13は、検出した電流値をマイクロコントローラ10に通知する。なお、電流センサ13は、直流電源2の負極とリレー12の間に電気的に接続されてもよく、この場合、直流電源2の負極とモータ駆動回路3の間に流れる電流値を検出する。
【0021】
マイクロコントローラ10は、指示部の一例であり、リレー12及びパイロ遮断器11に電流の遮断を指示する。マイクロコントローラ10は、電流の遮断を指示する作動信号をリレー12及びパイロ遮断器11に送信する。リレー12及びパイロ遮断器11は作動信号に従って電流をそれぞれ遮断する。例えばリレー12は作動信号の受信に応じて電流の接点を開くことにより電流を遮断する。また、パイロ遮断器11は、後述するように作動信号の受信に応じて火薬を燃焼させ、切断部が燃焼で得た推進力により電流の導通部を切断することにより電流を遮断する。なお、電流遮断装置1は、マイクロコントローラ10に代え、指示部として、例えばFPGA(Field Programmable Gate Array)やASIC(Application Specified Integrated Circuit)などの集積回路を有してもよい。
【0022】
ヒューズ14は、電流センサ13とパイロ遮断器11の間に電気的に接続されている。ヒューズ14は、電流値が所定の溶断電流値を超えると溶断することにより電流を遮断する。溶断電流値はリレー12の遮断電流の上限値より大きい。したがって、ヒューズ14は、例えばパイロ遮断器11が故障により電流を遮断することができない場合でも電流を遮断することができる。なお、ヒューズ14は必ずしも電流遮断装置1に設ける必要がない。
【0023】
(パイロ遮断器の構成)
図2は、パイロ遮断器11の一例を示す構成図である。
図2は、電流の流れる方向に沿ったパイロ遮断器11の側面視の概略的な断面を示す。
【0024】
パイロ遮断器11は、筐体110、シリンダ部111、点火器112、切断部113、制御端子114、及び導通部115を有する。筐体110は、例えば合成樹脂などにより形成され、シリンダ部111、点火器112、及び切断部113を収容する。
【0025】
シリンダ部111は、例えばステンレスなどの金属により形成された筒状部材であり、その内部の空間には点火器112及び切断部113設けられている。点火器112はシリンダ部111内の軸方向の一端側に設けられ、切断部113は点火器112から所定距離だけ離れた位置に圧入されている。切断部113は例えば合成樹脂により形成されている。切断部113は、一例として略円柱形状を有するが、形状に限定はない。
【0026】
導通部115は、直流電源2から流れる電流を導通させる平板状の導体である。導通部115は、筐体110及びシリンダ部111を貫通するようにシリンダ部111の軸方向直交する方向に設けられている。
【0027】
導通部115は接続端子116,117及び連結部118を有する。連結部118は各接続端子116,117を連結する。接続端子116,117は筐体110から露出してヒューズ14及びモータ駆動回路3とそれぞれ電気的に接続されている。
【0028】
連結部118はシリンダ部111の内部に収容されている。連結部118及び各接続端子116,117の境界部Bには例えば切り込みが設けられており、連結部118の厚みは各接続端子116,117の厚みより薄い。
【0029】
このため、連結部118は、シリンダ部111の内部において切断部113が符号dで示されるように連結部118に向かって移動して衝突した場合、各接続端子116,117から切断される。切断された連結部118は、点線で示されるように、シリンダ部111内の軸方向の他端側に移動する。これにより、導通部115における電流が遮断される。
【0030】
点火器112は、筐体110から露出した制御端子114を介してマイクロコントローラ10と電気的に接続されている。点火器112は、マイクロコントローラ10から制御端子114を介して作動信号を受信する。点火器112は、作動信号の受信に応じて内蔵の火薬をシリンダ部111の内部で燃焼させる。切断部113は、燃焼により生じたガスの圧力によって連結部118に向かって移動し、連結部118と衝突して連結部118を切断する。
【0031】
このように、パイロ遮断器11は、火薬の燃焼を利用して導通部115を切断することにより電流を遮断する。このため、パイロ遮断器11は、リレー12のように接点の開放により電流を遮断する遮断器と比較すると、アークを抑制して短時間で高電流を遮断することができる。したがって、パイロ遮断器11はリレー12より広い電流値の範囲で電流を遮断することができる。
【0032】
(第1実施例)
図3は、第1実施例のマイクロコントローラ10の動作を示すフローチャートである。まず、マイクロコントローラ10は電流センサ13から電流値を取得する(ステップSt1)。このとき、マイクロコントローラ10は、所定期間内で複数回にわたって検出された電流値の平均値を取得してもよい。
【0033】
マイクロコントローラ10は、直流電源2からモータ駆動回路3への給電停止の要否を判断するため、電流値を閾値THaと比較する(ステップSt2)。閾値THaは、例えばモータ駆動回路3の許容電流の上限値に応じて決定される。マイクロコントローラ10は、モータ駆動回路3の許容電流を超える電流が流れている場合、以下のようにリレー12及びパイロ遮断器11の少なくとも一方を作動させてモータ駆動回路3への給電停止を行う。
【0034】
マイクロコントローラ10は、電流値<THaが成立する場合(ステップSt2のNo)、モータ駆動回路3への給電停止を不要と判断し、再びステップSt1の動作を行う。また、マイクロコントローラ10は、電流値≧THaが成立する場合(ステップSt2のYes)、モータ駆動回路3への給電停止を必要と判断し、リレー12による電流遮断の可否を判断するため、さらに電流値を、閾値THaより高い閾値THbと比較する(ステップSt3)。ここで、閾値THbは、例えばリレー12の遮断可能な電流、つまり遮断電流の範囲の上限値以下の値である。
【0035】
マイクロコントローラ10は、電流値≦THbが成立する場合(ステップSt3のYes)、リレー12による電流遮断を可能と判断し、リレー12に作動信号を送信することにより電流の遮断を指示する(ステップSt4)。このため、リレー12は、遮断電流の範囲内の電流を適切に遮断することができる。
【0036】
また、マイクロコントローラ10は、電流値>THbが成立する場合(ステップSt3のNo)、リレー12による電流遮断を不可能と判断し、パイロ遮断器11に作動信号を送信することにより電流の遮断を指示する(ステップSt5)。このため、パイロ遮断器11は、リレー12では適切に遮断することができない高電流を適切に遮断することができる。
【0037】
次にマイクロコントローラ10は、所定時間だけ待機する(ステップSt6)。ここで待機時間は、例えば電流値がパイロ遮断器11の作動によりリレー12の遮断電流の上限値以下まで減少する所要時間としてもよい。
【0038】
次にマイクロコントローラ10は、リレー12に作動信号を送信することにより電流の遮断を指示する(ステップSt7)。すなわち、マイクロコントローラ10は、電流センサ13が検出した電流値が閾値THbより大きい場合、パイロ遮断器11に電流の遮断を指示した後、リレー12に電流の遮断を指示する。このため、パイロ遮断器11の遮断により減少した電流を、さらにリレー12により遮断することで、電流値が0になるまでの所要時間をパイロ遮断器11のみで遮断する場合より早めることができる。
【0039】
このように、マイクロコントローラ10は、電流センサ13が検出した電流値が閾値THaから閾値THbまでの範囲内である場合、リレー12に電流の遮断を指示し、電流センサ13が検出した電流値が閾値THbより大きい場合、パイロ遮断器11に電流の遮断を指示する。ここで閾値THbは、リレー12の遮断可能な電流の上限値以下である。
【0040】
これにより、マイクロコントローラ10は、電流センサ13の電流値に応じて、リレー12及びパイロ遮断器11のうち、アークを抑制して適切に遮断することができる遮断器を選択して遮断を指示することができる。したがって、リレー12は遮断電流の範囲内の電流を適切に遮断することができ、パイロ遮断器11は、リレー12では適切に遮断することができない高電流を適切に遮断することができる。これにより、電流遮断装置1は、電流遮断時のアークの発生を低減することができる。
【0041】
(第2実施例)
図4は、第2実施例のマイクロコントローラ10の動作を示すフローチャートである。
図4において、
図3と共通する動作には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0042】
マイクロコントローラ10は、ステップSt6の動作後、電流センサ13から電流値を再び取得する(ステップSt6a)。次にマイクロコントローラ10は、リレー12による電流の遮断可否を判断するため、電流値を閾値THbと比較する(ステップSt6b)。
【0043】
マイクロコントローラ10は、電流値≦THbが成立する場合(ステップSt6bのYes)、リレー12による電流の遮断を可能と判断して、リレー12に作動信号を送信することにより電流の遮断を指示する(ステップSt7)。このため、リレー12は、遮断電流の範囲内の電流を適切に遮断することができる。
【0044】
このように、マイクロコントローラ10は、電流センサ13が検出した電流値が閾値THbより大きい場合、パイロ遮断器11に電流の遮断を指示した後、電流センサ13が再び検出した電流値が閾値THb以下であるとき、リレー12に電流の遮断を指示する。このため、パイロ遮断器11の遮断により減少した電流を、さらにリレー12により適切なタイミングで遮断することができる。これにより、マイクロコントローラ10は、上述したように、電流値が0になるまでの所要時間をパイロ遮断器11のみで遮断する場合より早めることができる。
【0045】
また、マイクロコントローラ10は、電流値>THbが成立する場合(ステップSt6bのNo)、リレー12による電流の遮断を不可能と判断し、リレー12に遮断を指示せずに動作を終了する。この場合、例えばパイロ遮断器11が障害により電流を遮断できないことが考えられるが、ヒューズ14は、閾値THbより大きい電流を遮断することができるため、ヒューズ14の溶断により電流を遮断することが可能である。
【0046】
図5は、第3実施例のマイクロコントローラ10の動作を示すフローチャートである。
図5において、
図4と共通する動作には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0047】
マイクロコントローラ10は、ステップSt4の動作後、電流値≦THbが成立する場合(ステップSt3のYes)、所定時間だけ待機し(ステップSt4a)、電流センサ13から電流値を再び取得する(ステップSt4b)。待機時間は、例えばリレー12による電流の遮断により電流値が実質的に0(A)となるまでの所要時間である。
【0048】
次にマイクロコントローラ10は、リレー12による電流の遮断の成否を判断するため、電流値を閾値THcと比較する(ステップSt4c)。ここで閾値THcは、閾値THaより小さい値であり、例えば0または0に近い値である。
【0049】
マイクロコントローラ10は、電流値≦THcが成立する場合(ステップSt4cのYes)、リレー12による電流の遮断が成功したと判断して動作を終了する。また、マイクロコントローラ10は、電流値>THcが成立する場合(ステップSt4cのNo)、リレー12による電流の遮断が失敗したと判断して、パイロ遮断器11に作動信号を送信することにより電流の遮断を指示する(ステップSt4d)。
【0050】
このように、マイクロコントローラ10は、電流センサ13が検出した電流値が閾値THaから閾値THbまでの範囲内である場合、リレー12に電流の遮断を指示した後、電流センサ13が再び検出した電流値が閾値THcより大きい場合、パイロ遮断器11に電流の遮断を指示する。このため、パイロ遮断器11は、リレー12が例えば異常により電流を遮断できない場合でも電流を適切に遮断することができる。なお、上記のステップSt4a~4dの各動作は、
図3に示される第1実施例の動作と組み合わせることが可能である。
【0051】
このように、電流遮断装置1は、遮断電流の相違するリレー12及びパイロ遮断器11を適切に作動することにより、電流遮断時のアークを低減することができる。なお、電流遮断装置1は、パイロ遮断器11に代えて、パイロ遮断器11と実質的に同等の遮断性能を備える半導体リレーなどを備えてもよい。
【0052】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【符号の説明】
【0053】
1 電流遮断装置
2 直流電源(電源)
3 モータ駆動回路(負荷回路)
10 マイクロコントローラ(指示部)
11 パイロ遮断器(第2遮断器)
12 リレー(第1遮断器)
13 電流センサ(検出部)
14 ヒューズ