(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、およびシステム
(51)【国際特許分類】
G06F 8/65 20180101AFI20241016BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G06F8/65
G08G1/09 F
(21)【出願番号】P 2021127265
(22)【出願日】2021-08-03
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002860
【氏名又は名称】弁理士法人秀和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石原 隆弘
(72)【発明者】
【氏名】長田 祐
【審査官】松平 英
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2020/205597(WO,A1)
【文献】特開2018-106461(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2021/0191714(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 9/00-11/06
16/00-21/13
21/34-99/00
G06F 8/00-8/38
8/60-8/77
9/44-9/445
9/451
G08G 1/00-99/00
H04L51/00-51/58
67/00-67/75
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自律走行車両に設置された第1モニタの表示を制御する第1ソフトウェアのアップデートが完了したことを示す完了通知を受信することと、
前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記自律走行車両の運行を遠隔で監視するための第2モニタの表示を制御する第2ソフトウェアをアップデートすることと、
を実行する制御部を備えた情報処理装置。
【請求項2】
前記第1モニタおよび前記第2モニタは前記自律走行車両の状態を表示するモニタである、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、
前記完了通知を前記自律走行車両から受信する、
請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記第1ソフトウェアのアップデートの内容に対応した、前記第2ソフトウェアのアップデート用のデータを記憶部から取得し、取得したデータに基づいて前記第2ソフトウェアのアップデートを実行する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、
前記自律走行車両における前記第1ソフトウェアのアップデートの実行時期を前記自律走行車両に対して指示することをさらに実行する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、
前記第1ソフトウェアのアップデート用のデータの配信が可能となる配信時期と、前記自律走行車両の運行スケジュールと、に基づいて、前記自律走行車両における前記第1ソフトウェアのアップデートの実行時期を決定することをさらに実行する、
請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、
前記第1ソフトウェアのアップデート用のデータを前記自律走行車両に対して配信する配信サーバから前記配信時期に関する情報を受信することをさらに実行する、
請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記制御部は、
前記第1ソフトウェアのアップデートの内容が所定の条件を満たしている場合にのみ、前記完了通知を受信したことをトリガとして前記第2ソフトウェアをアップデートする、
請求項1から7のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項9】
コンピュータが、
自律走行車両に設置された第1モニタの表示を制御する第1ソフトウェアのアップデートが完了したことを示す完了通知を受信することと、
前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記自律走行車両の運行を遠隔で監視するための第2モニタの表示を制御する第2ソフトウェアをアップデートすることと、
を含む情報処理方法。
【請求項10】
前記第1モニタおよび前記第2モニタは前記自律走行車両の状態を表示するモニタである、
請求項9に記載の情報処理方法。
【請求項11】
前記コンピュータが、
前記完了通知を前記自律走行車両から受信する、
請求項9または10に記載の情報処理方法。
【請求項12】
前記コンピュータが、
前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記第1ソフトウェアのアップデートの内容に対応した、前記第2ソフトウェアのアップデート用のデータを記憶部から取得し、取得したデータに基づいて前記第2ソフトウェアのアップデートを実行する、
請求項9から11のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項13】
前記コンピュータが、
前記自律走行車両における前記第1ソフトウェアのアップデートの実行時期を前記自律走行車両に対して指示することをさらに実行する、
請求項9から12のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項14】
前記コンピュータが、
前記第1ソフトウェアのアップデート用のデータの配信が可能となる配信時期と、前記自律走行車両の運行スケジュールと、に基づいて、前記自律走行車両における前記第1ソフトウェアのアップデートの実行時期を決定することをさらに実行する、
請求項13に記載の情報処理方法。
【請求項15】
前記コンピュータが、
前記第1ソフトウェアのアップデート用のデータを前記自律走行車両に対して配信する配信サーバから前記配信時期に関する情報を受信することをさらに実行する、
請求項14に記載の情報処理方法。
【請求項16】
前記コンピュータが、
前記第1ソフトウェアのアップデートの内容が所定の条件を満たしている場合にのみ、
前記完了通知を受信したことをトリガとして前記第2ソフトウェアをアップデートする、
請求項9から15のいずれか一項に記載の情報処理方法。
【請求項17】
自律走行車両に設置された第1モニタの表示を制御する第1ソフトウェアのアップデートが完了したことを示す完了通知を送信する車載装置と、
前記車載装置から前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記自律走行車両の運行を遠隔で監視するための第2モニタの表示を制御する第2ソフトウェアをアップデートすることを実行する制御部を備えた情報処理装置と、
を含むシステム。
【請求項18】
前記第1モニタおよび前記第2モニタは前記自律走行車両の状態を表示するモニタである、
請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記情報処理装置において、
前記制御部は、前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記第1ソフトウェアのアップデートの内容に対応した、前記第2ソフトウェアのアップデート用のデータを記憶部から取得し、取得したデータに基づいて前記第2ソフトウェアのアップデートを実行する、
請求項17または18に記載のシステム。
【請求項20】
前記情報処理装置において、
前記制御部は、前記自律走行車両における前記第1ソフトウェアのアップデートの実行時期を指示する指示情報を前記車載装置に対して送信することをさらに実行する、
請求項17から19のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律走行車両の運行を遠隔で監視するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
引用文献1には、車載機器のソフトウェアをOTA(Over The Air)によりアップデートするためのシステムが開示されている。引用文献1に開示されたシステムでは、ソフトウェアの更新に対する優先度に基づいて、サーバが更新用ソフトウェアを車両に配信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示の目的は、自律走行車両に設置されたモニタの表示内容と、自律走行車両の運行を遠隔で監視するためのモニタの表示内容とを一致させることが可能な技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の第一の態様に係る情報処理装置は、
自律走行車両に設置された第1モニタの表示を制御する第1ソフトウェアのアップデートが完了したことを示す完了通知を受信することと、
前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記自律走行車両の運行を遠隔で監視するための第2モニタの表示を制御する第2ソフトウェアをアップデートすることと、
を実行する制御部を備える。
【0006】
本開示の第二の態様に係る情報処理方法は、
自律走行車両に設置された第1モニタの表示を制御する第1ソフトウェアのアップデートが完了したことを示す完了通知を受信することと、
前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記自律走行車両の運行を遠隔で監視するための第2モニタの表示を制御する第2ソフトウェアをアップデートすることと、
を含む。
【0007】
本開示の第三の態様に係るシステムは、
自律走行車両に設置された第1モニタの表示を制御する第1ソフトウェアのアップデートが完了したことを示す完了通知を送信する車載装置と、
前記車載装置から前記完了通知を受信したことをトリガとして、前記自律走行車両の運行を遠隔で監視するための第2モニタの表示を制御する第2ソフトウェアをアップデートすることを実行する制御部を備えた情報処理装置と、
を含む。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、自律走行車両に設置されたモニタの表示内容と、自律走行車両の運行を遠隔で監視するためのモニタの表示内容とを一致させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、車両管理システムの概略構成を示す図である。
【
図2】
図2は、車両および監視サーバそれぞれのハードウェア構成を概略的に示すブロック図である。
【
図3】
図3は、監視サーバの機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【
図4】
図4は、指示処理のフローを示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第1ソフトウェアのアップデートおよび第2ソフトウェアのアップデートの実行手順を説明するためのシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
自律走行車両には、自車両の状態を表示するモニタ(第1モニタ)が設置される。また、自律走行車両の運行を遠隔で監視する際には、車外に設けられたモニタ(第2モニタ)にも、自律走行車両の状態が表示される。このとき、第1モニタの表示に基づいて把握可能な自律走行車両の状態を遠隔でも把握できるようにするために、第1モニタの表示内容と第2モニタの表示内容とを一致させることが要求される。
【0011】
ただし、第1モニタの表示を制御するソフトウェア(第1ソフトウェア)がアップデートされると、第1モニタの表示内容が変化する場合がある。そのため、第1モニタの表示内容と第2モニタの表示内容とを一致させるためには、第1ソフトウェアのアップデートに合わせて、第2モニタの表示を制御するソフトウェア(第2ソフトウェア)もアップデートする必要がある。
【0012】
そこで、本開示に係る情報処理装置においては、制御部が、第1ソフトウェアのアップデートが完了したことを示す完了通知を受信する。そして、制御部は、完了通知を受信したことをトリガとして第2ソフトウェアをアップデートする。これによれば、自律走行車両において第1ソフトウェアがアップデートされたタイミングに合わせて、第2ソフトウェアをアップデートすることができる。したがって、第1ソフトウェアのアップデートに伴い第1モニタの表示内容が変化した場合であっても、その変化に合わせて、第2モニタの表示内容も変化させることができる。そのため、第1ソフトウェアがアップデートされても、第1モニタの表示内容と第2モニタの表示内容とを一致させることができる。
【0013】
以下、本開示の具体的な実施形態について図面に基づいて説明する。本実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、および、その相対配置等は、特に記載がない限りは本開示の技術的範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。
【0014】
<実施形態>
(システム構成)
図1は、車両管理システムの概略構成を示す図である。車両管理システム1は、車両100を管理するためのシステムである。車両100は自律走行車両である。つまり、車両100は、ドライバーが運転しなくとも、与えられた運行計画に基づき自律走行が可能な車両である。ただし、車両100の運行は遠隔で監視者によって監視される。監視サーバ200は、車両100の運行を遠隔で監視するためのサーバである。配信サーバ300は、車両100の走行または運行管理のために必要な自律走行車両用の様々なソフトウェアを車両100に対して配信するサーバである。
【0015】
車両管理システム1においては、車両100、監視サーバ200、および配信サーバ300がネットワークN1によって相互に接続される。ネットワークN1としては、例えば、インターネット等の世界規模の公衆通信網であるWAN(Wide Area Network)、または携帯電話等の電話通信網が採用されてもよい。
【0016】
図2は、車両100および監視サーバ200それぞれのハードウェア構成を概略的に示
すブロック図である。車両100は、セントラルECU(Electronic Control Unit)1
01、通信モジュール102、第1モニタ103、およびカメラ104備えている。セントラルECU101は、車両100に搭載された各種装備を制御するための各ECUを統合して制御するコンピュータである。通信モジュール102は、車両100をネットワークN1に接続するための通信装置である。通信モジュール102は、3G(3rd Generation)、またはLTE(Long Term Evolution)等の所定の無線通信規格を用いて、ネット
ワークN1を介して監視サーバ200および配信サーバ300と通信を行う。
【0017】
第1モニタ103は、車両100の状態を車内に表示するための表示装置である。第1モニタ103において車両100の状態として表示される内容としては、車両100の速度、方向指示器の点灯表示、ヘッドライトの点灯表示、各種警告灯(バッテリ残量警告灯、半ドア警告灯、およびブレーキ警告灯等)、および各種表示灯(スリップ表示灯、およびセキュリティ表示灯等)を例示することができる。また、車両100が、ドライバーの運転による走行モードと、自律走行モードとを切り換え可能な場合は、第1モニタ103に車両100の状態として車両100の走行モードが表示されてもよい。このような車両100の状態が第1モニタ103に表示されることで、車内に存在する人(例えば、車両100の運行を車内でサポートする係員)が車両100の状態を把握することが可能となる。
【0018】
また、第1モニタ103はモニタECU1031を含んでいる。モニタECU1031は第1モニタ103を制御するコンピュータである。モニタECU1031は、第1モニタ103の記憶部に記憶された第1ソフトウェアを実行することで、第1モニタ103における表示内容を制御する。したがって、第1モニタ103における表示内容は、第1ソフトウェアの内容に基づいて定まる。
【0019】
カメラ104は、車両100の車内を撮影するカメラである。カメラ104は、第1モニタ103に表示された画像を撮影することができる。また、車両100においては、セントラルECU101、通信モジュール102、第1モニタ103、およびカメラ104が、所定の車両内通信規格を用いて互いに通信を行うことができる。所定の車両内通信規格としては、CAN(Controller Area Network)、またはLIN(Local Interconnect Network)等を例示することができる。
【0020】
監視サーバ200は、プロセッサ201、主記憶部202、補助記憶部203、通信インターフェース(通信I/F)204、および第2モニタ205を有するコンピュータである。プロセッサ201は、例えば、CPU(Central Processing Unit)またはDSP
(Digital Signal Processor)である。主記憶部202は、例えば、RAM(Random Access Memory)である。補助記憶部203は、例えば、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、またはフラッシュメモリである。また、補助記憶部203は、
リムーバブルメディア(可搬記録媒体)を含んでもよい。ここで、リムーバブルメディアは、例えば、USBメモリ、SDカード、または、CD-ROM、DVDディスク、若しくはブルーレイディスクのようなディスク記録媒体である。補助記憶部203には、オペレーティングシステム(OS)、各種プログラム、および各種情報テーブル等が格納されている。そして、プロセッサ201が、補助記憶部203に記憶されたプログラムを主記憶部202にロードして実行することによって、車両100の運行を監視するための様々な制御が実現される。
【0021】
通信I/F204は、監視サーバ200をネットワークN1に接続するためのインターフェースである。通信I/F204は、例えば、LAN(Local Area Network)インターフェースボード、または無線通信のための無線通信回路である。
【0022】
第2モニタ205は、車両100の状態を遠隔で監視するための表示装置である。第2モニタ205にも、車両100に設けられた第1モニタ103と同様、車両100の状態が表示される。監視サーバ200には、車両100の状態を示す情報が、車両100からネットワークN1を介して送信される。なお、車両100においては、セントラルECU101が通信モジュール102に対して、車両100の状態を示す情報の監視サーバ200への送信が指示される。また、車両100から監視サーバ200への車両100の状態を示す情報の送信は、所定の間隔で周期的に実行される。そして、第2モニタ205が、車両100から受信した車両100の状態を表示する。車両100の状態が第2モニタ205に表示されることで、監視者が車両100の状態を把握することが可能となる。また、プロセッサ201は、第2ソフトウェアを実行することで、第2モニタ205における表示内容を制御する。したがって、第2モニタ205における表示内容は、第2ソフトウェアの内容に基づいて定まる。
【0023】
なお、監視サーバ200における一部または全部の機能はASICやFPGAのようなハードウェア回路によって実現されてもよい。なお、監視サーバ200は、必ずしも単一の物理的構成によって実現される必要はなく、互いに連携する複数台のコンピュータによって構成されてもよい。また、本実施形態においては、監視サーバ200が、本開示に係る「情報処理装置」に相当する。
【0024】
(ソフトウェアのアップデート)
上述したように、車両100においては、モニタECU1031が、第1ソフトウェアを実行することで第1モニタ103における表示内容を制御する。ただし、第1モニタ103の記憶部に記憶された第1ソフトウェアについてアップデートが必要とされる場合がある。この場合、第1ソフトウェアのアップデート用のデータ(以下、「第1データ」と称する場合もある。)が配信サーバ300から車両100に配信される。車両100においては、配信サーバ300から配信された第1データが通信モジュール102によって受信される。そして、セントラルECU101が、モニタECU1031に対して、第1データによる第1ソフトウェアのアップデートの実行を指示する。
【0025】
このとき、第1ソフトウェアがアップデートされることで、第1モニタ103の表示内容が変化する場合がある。ここで、監視サーバ200の第2モニタ205によって車両100の状態を遠隔で監視するためには、第2モニタ205の表示内容が第1モニタ103の表示内容と一致することが求められる。したがって、第1モニタ103の表示内容が変化する場合は、その変化に合わせて、第2モニタ205の表示内容も変化させる必要がある。そのため、車両100において第1ソフトウェアがアップデートされる場合、それに合わせて、監視サーバ200において、第2モニタ205における表示内容を制御する第2ソフトウェアもアップデートされる必要がある。
【0026】
そこで、第1ソフトウェアがアップデートされる場合、第2ソフトウェアのアップデート用のデータ(以下、「第2データ」と称する場合もある。)が予め準備される。第2ソフトウェアのアップデート後の第2モニタ205の表示内容が第1ソフトウェアのアップデート後の第1モニタ103の表示内容と一致するように、第2データの内容は第1データの内容に対応している。準備された第2データは、監視サーバ200の補助記憶部203に記憶されている。そして、プロセッサ201が、補助記憶部203から第2データを読みこんで、第2ソフトウェアのアップデートを実行する。なお、第1ソフトウェアと第2ソフトウェアとのアップデートの実行手順の詳細については後述する。
【0027】
(機能構成)
次に、監視サーバ200の機能構成について
図3に基づいて説明する。
図3は、監視サーバ200の機能構成の一例を概略的に示すブロック図である。
【0028】
監視サーバ200は、機能部として、制御部210、通信部220、第2データ記憶部230、および運行スケジュールデータベース(運行スケジュールDB)240を有している。通信部220は、監視サーバ200をネットワークに接続する機能を有する。通信部220は通信I/F204によって実現することができる。
【0029】
制御部210は、監視サーバ200を制御するための演算処理を行う機能を有する。制御部210は、プロセッサ201によって実現することができる。第2データ記憶部230は、第2ソフトウェアのアップデートのために準備された第2データが記憶されている。運行スケジュールDB240は、車両100の運行スケジュールが記憶されている。ここで、車両100の運行スケジュールには、車両100の運行が休止される時期のスケジュールも含まれている。第2データ記憶部230および運行スケジュールDB240は、補助記憶部203によって実現することができる。
【0030】
また、制御部210は、指示部2101およびアップデート実行部2102を機能部として有している。指示部2101は、車両100に対して、第1ソフトウェアのアップデートの実行時期を指示する機能を有する。つまり、車両100における第1ソフトウェアのアップデートが必要な場合、監視サーバ200において、そのアップデートの実行時期が決定される。そして、監視サーバ200から車両100に第1ソフトウェアのアップデートの実行時期が指示される。また、監視サーバ200において決定された第1ソフトウェアのアップデートの実行時期までに、第2ソフトウェアのアップデート用の第2データが準備され第2データ記憶部230に入力される。また、アップデート実行部2102は、第2データによる第2ソフトウェアのアップデートを実行する機能を有する。指示部2101およびアップデート実行部2102それぞれが実行する処理の詳細については後述する。
【0031】
(指示処理)
次に、監視サーバ200において実行される指示処理について、
図4に基づいて説明する。指示処理は、第1ソフトウェアのアップデートの実行時期を車両100に対して指示するために実行される処理である。
図4は、指示処理のフローを示すフローチャートである。本フローは、制御部210における指示部2101によって実行される。
【0032】
上述したとおり、車両管理システム1においては、車両100において第1ソフトウェアをアップデートする場合、配信サーバ300から車両100に対して第1データが配信される。ここで、配信サーバ300は、第1データを車両100に対して配信するより前の時期に、先ず、第1データの配信が可能となる時期についての情報(以下、「配信時期情報」と称する場合もある。)を監視サーバ200に対して送信する。監視サーバ200においては、配信サーバ300から送信された配信時期情報が通信部220によって受信される。監視サーバ200においては、配信サーバ300から配信時期情報を受信すると、指示部2101によって
図4に示すフローが実行される。
【0033】
図4に示すフローでは、S101において、通信部220によって受信された配信時期情報が取得される。次に、S102において、運行スケジュールDB240に記憶された車両100の運行スケジュールが取得される。
【0034】
次に、S103において、S101で取得された配信時期情報と、S102で取得された運行スケジュールとに基づいて、第1ソフトウェアのアップデートの実行時期が決定される。具体的には、第1ソフトウェアのアップデートの実行時期として、配信サーバ300からの第1データの配信が可能となる時期以降において車両100の運行が休止する予定となっている時期が選択される。第1ソフトウェアのアップデートの実行時期をこのよ
うな時期とすることで、車両100の運行が休止されている間に、第1ソフトウェアをアップデートすることが可能となる。
【0035】
次に、S104において、S103で決定された第1ソフトウェアのアップデートの実行時期を指示する指示情報が車両100に対して送信される。このとき指示情報は通信部220から車両100に送信される。そして、車両100においては、送信された指示情報が通信モジュール102によって受信される。これにより、車両100においては、第1ソフトウェアのアップデートを実行すべき時期をセントラルECU101が把握することが可能となる。
【0036】
(アップデート実行手順)
次に、車両100において実行される第1ソフトウェアのアップデートおよび監視サーバ200において実行される第2ソフトウェアのアップデートの手順について
図5に基づいて説明する。
図5は、第1ソフトウェアのアップデートおよび第2ソフトウェアのアップデートの実行手順を説明するためのシーケンス図である。
【0037】
車両100においては、監視サーバ200から受信した指示情報が示す第1ソフトウェアのアップデートの実行時期が到来すると、配信サーバ300に対して、アップデート用データの送信を要求するため要求情報が送信される(S10)。この要求情報の送信は、セントラルECU101が通信モジュール102に送信を指示することで実行される。配信サーバ300は、車両100から要求情報を受信すると、車両100に対して第1データを送信する(S11)。車両100では、通信モジュール102によって第1データが受信されると、セントラルECU101が、モニタECU1031に対し、第1データによる第1ソフトウェアのアップデートの実行を指示する。これにより、第1モニタ103の記憶部に記憶された第1ソフトウェアのアップデートが実行される(S12)。
【0038】
その後、車両100において第1ソフトウェアのアップデートが完了すると、車両100から監視サーバ200に対して完了通知が送信される(S13)。完了通知は、第1ソフトウェアのアップデートが完了したことを通知するための情報である。この完了通知の送信は、セントラルECU101が通信モジュール102に送信を指示することで実行される。
【0039】
監視サーバ200においては、車両100から送信された完了通知が通信部220によって受信される。通信部220によって完了通知が受信されると、制御部210のアップデート実行部2102が、第2ソフトウェアをアップデートするための処理を実行する。具体的には、アップデート実行部2102は、第2データ記憶部230に記憶された第2データを読み込む(S14)。そして、アップデート実行部2102は、読み込んだ第2データによる第2ソフトウェアのアップデートを実行する(S15)。これにより、監視サーバ200において第2ソフトウェアがアップデートされる。
【0040】
上記の手順によれば、監視サーバ200においては、車両100から完了通知を受信したことをトリガとして第2ソフトウェアがアップデートされる。これにより、車両100において第1ソフトウェアがアップデートされたタイミングに合わせて、第2ソフトウェアをアップデートすることができる。したがって、第1ソフトウェアのアップデートに伴い第1モニタ103の表示内容が変化した場合であっても、その変化に合わせて、第2モニタ205の表示内容も変化させることができる。そのため、第1ソフトウェアがアップデートされても、第1モニタ103の表示内容と第2モニタ205の表示内容とを一致させることができる。
【0041】
なお、第1ソフトウェアと第2ソフトウェアとをアップデートする場合、上記の実施形
態に係る手順とは逆に、第2ソフトウェアのアップデート完了後に第1ソフトウェアのアップデートを実行することも考えられる。しかしながら、車両100では、監視サーバ200に比べて、ソフトウェアのアップデート用のデータの受信中、または、ソフトウェアのアップデートの実行途中において、何らかのトラブルが生じる可能性が高い。そのため、上記の実施形態に係る手順のように、第1ソフトウェアのアップデート完了後に第2ソフトウェアのアップデートを実行することで、第1モニタ103の表示内容と第2モニタ205の表示内容とをより速やかに一致させることができる。
【0042】
(変形例1)
車両100において、第1ソフトウェアをアップデートしたとしても、アップデート実行前後において第1モニタ103の表示内容が変化しない場合がある。例えば、第1ソフトウェアのアップデートの内容が、第1モニタ103における形式上の表示変更(例えば、表示マークの形状変更、または、表示文字のフォントの変更等)であれば、アップデート実行前後において、第1モニタ103の表示内容自体は変化しない。このような場合、必ずしも、第1ソフトウェアのアップデートに合わせて第2ソフトウェアをアップデートする必要はない。
【0043】
そこで、監視サーバ200は、配信サーバ300から配信時期情報を受信する際に、第1ソフトウェアのアップデートの内容に関する情報も合わせて受信してもよい。そして、監視サーバ200は、第1ソフトウェアのアップデートの内容が所定の条件を満たす場合にのみ、上記の実施形態における実行手順により、車両100から完了通知を受信したことをトリガとして第2ソフトウェアのアップデートを実行してもよい。ここで、所定の条件とは、第1ソフトウェアのアップデートの内容が、アップデートに伴い第1モニタ103の表示内容が変化するような内容である、と判断できる条件である。
【0044】
第1ソフトウェアのアップデートの内容が所定の条件を満たすか否かについては、制御部210が判別する。上記の例示のように、第1ソフトウェアのアップデートの内容が、第1モニタ103における形式上の表示変更である場合、この第1ソフトウェアのアップデートの内容は所定の条件を満たさないと判定される。
【0045】
これによれば、第1ソフトウェアのアップデートに伴って第2ソフトウェアを不必要にアップデートしてしまうことを抑制することができる。
【0046】
(変形例2)
上述したとおり、車両100においては、第1モニタ103に表示された画像をカメラ104によって撮影することができる。そこで、車両100において、第1ソフトウェアのアップデートの完了後に、第1モニタ103に表示された画像をカメラ104によって撮影してもよい。そして、カメラ104によって撮影された画像データを監視サーバ200に送信してもよい。これによれば、第1ソフトウェアのアップデート後の第1モニタ103における表示内容を、監視サーバ200によって車両100の運行を遠隔で監視する監視者が確認することが可能となる。
【0047】
<その他の実施形態>
上記の実施形態はあくまでも一例であって、本開示はその要旨を逸脱しない範囲内で適宜変更して実施し得る。また、本開示において説明した処理や手段は、技術的な矛盾が生じない限りにおいて、自由に組み合わせて実施することができる。
【0048】
また、1つの装置が行うものとして説明した処理が、複数の装置によって分担して実行されてもよい。あるいは、異なる装置が行うものとして説明した処理が、1つの装置によって実行されても構わない。コンピュータシステムにおいて、各機能をどのようなハード
ウェア構成(サーバ構成)によって実現するかは柔軟に変更可能である。
【0049】
本開示は、上記の実施形態で説明した機能を実装したコンピュータプログラムをコンピュータに供給し、当該コンピュータが有する1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出して実行することによっても実現可能である。このようなコンピュータプログラムは、コンピュータのシステムバスに接続可能な非一時的なコンピュータ可読記憶媒体によってコンピュータに提供されてもよいし、ネットワークを介してコンピュータに提供されてもよい。非一時的なコンピュータ可読記憶媒体は、例えば、磁気ディスク(フロッピー(登録商標)ディスク、ハードディスクドライブ(HDD)等)、光ディスク(CD-ROM、DVDディスク、ブルーレイディスク等)など任意のタイプのディスク、読み込み専用メモリ(ROM)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、EPROM、EEPROM、磁気カード、フラッシュメモリ、または光学式カードのような、電子的命令を格納するために適した任意のタイプの媒体を含む。
【符号の説明】
【0050】
1・・・車両管理システム
100・・車両
101・・セントラルECU
102・・通信モジュール
103・・第1モニタ
1031・・モニタECU
104・・カメラ
200・・監視サーバ
201・・プロセッサ
202・・主記憶部
203・・補助記憶部
204・・通信インターフェース
205・・第2モニタ
300・・配信サーバ