IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トヨタ自動車株式会社の特許一覧

特許7571693情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
<>
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図1
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図2
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図3
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図4
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図5
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図6
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図7
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図8
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図9
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図10
  • 特許-情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/207 20180101AFI20241016BHJP
【FI】
G01N23/207
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021147188
(22)【出願日】2021-09-09
(65)【公開番号】P2023039859
(43)【公開日】2023-03-22
【審査請求日】2023-05-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】矢野 正雄
(72)【発明者】
【氏名】庄司 哲也
(72)【発明者】
【氏名】坂本 浩隆
(72)【発明者】
【氏名】板倉 智也
【審査官】田中 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-141298(JP,A)
【文献】特開2006-337354(JP,A)
【文献】特開2019-060741(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0349170(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 1/00-37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ユーザ端末から送信された、材料に関する材料データを受信する受信部と、
前記受信部により受信された前記材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、前記第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成する第1解析部と、
前記受信部により受信された前記材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、前記受信部により受信された前記材料データと該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成する第2解析部と、
前記第1解析部によって生成された前記第1解析結果データ及び前記第2解析部によって生成された前記第2解析結果データを、前記ユーザ端末へ送信する送信部と、
を含み、
前記第2解析結果データは、複数の前記材料データ間の関係を表すマップデータであり、
前記マップデータ上に既に存在する前記材料データを表すプロット点とは異なる所定領域が指定された場合に、前記所定領域に対応する前記材料データを復元する復元部をさらに含む、
情報処理装置。
【請求項2】
前記第2解析部は、前記受信部により受信された前記材料データの数値範囲を、所定の数値範囲へと揃えた後に、前記第2解析結果データを生成する、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2解析部は、前記受信部により受信された前記材料データに含まれる各データの間隔を、所定の間隔へと揃えた後に、前記第2解析結果データを生成する、
請求項1又は請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記マップデータ上の各プロット点は、前記材料の性能値又は前記材料の製造条件値に応じて着色されている、
請求項1~請求項3の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記第1解析部は、生成された前記第1解析結果データを記憶部へ格納し、
前記第2解析部は、生成された前記第2解析結果データを記憶部へ格納する、
請求項1~請求項4の何れか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
ユーザ端末から送信された、材料に関する材料データを受信し、
受信された前記材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、前記第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成し、
受信された前記材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、受信された前記材料データと該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成し、
生成された前記第1解析結果データ及び前記第2解析結果データを、前記ユーザ端末へ送信し、
前記第2解析結果データは、複数の前記材料データ間の関係を表すマップデータであり、
前記マップデータ上に既に存在する前記材料データを表すプロット点とは異なる所定領域が指定された場合に、前記所定領域に対応する前記材料データを復元する、
処理をコンピュータが実行する情報処理方法。
【請求項7】
ユーザ端末から送信された、材料に関する材料データを受信し、
受信された前記材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、前記第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成し、
受信された前記材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、受信された前記材料データと該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成し、
生成された前記第1解析結果データ及び前記第2解析結果データを、前記ユーザ端末へ送信し、
前記第2解析結果データは、複数の前記材料データ間の関係を表すマップデータであり、
前記マップデータ上に既に存在する前記材料データを表すプロット点とは異なる所定領域が指定された場合に、前記所定領域に対応する前記材料データを復元する、
処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及び情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
非特許文献1には、XRD-リートベルト法による焼結鉱中の鉱物相の定量解析に関する技術が開示されている。非特許文献1に開示の技術は、X線回折パターン全体を最小二乗法でフィッティングするリートベルト法を用いて焼結鉱を定量的に解析する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【文献】高山 透,村尾 玲子,"XRD-リートベルト法による焼結鉱中の鉱物相の定量解析",〔新日鉄住金技報 第408号〕(2017)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記非特許文献1に開示されているような材料に対する解析的手法は、従来から多く存在している。このような解析的手法は予め定められた処理を実行する手法であり、材料から得られたデータに対してこのような解析的手法を適用することにより、材料がどのような性質を有しているのかに関しての情報を得ることができる。
【0005】
一方で、従来から存在する解析的手法のみではなく、材料から得られたデータに基づく手法(例えば、データに基づく機械学習的手法)に基づいて材料の性質に関する情報を得ることも可能であると考えられる。例えば、データに基づく手法を用いることにより複数のデータ間の関係等が明確になる。
【0006】
しかし、上記非特許文献1に開示されている技術は従来の解析的手法を用いるのみであり、材料から得られたデータに基づく手法については考慮されていない。このため、上記非特許文献1の従来技術は、予め定められた解析的手法を材料の解析に適用するのみであり、材料の性質に関する情報をより多く得ることができない、という課題がある。
【0007】
本開示は、材料解析を実行するユーザが、材料の性質に関する情報をより多く得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1態様に係る情報処理装置は、ユーザ端末から送信された、材料に関する材料データを受信する受信部と、前記受信部により受信された前記材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、前記第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成する第1解析部と、前記受信部により受信された前記材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、前記受信部により受信された前記材料データと該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成する第2解析部と、前記第1解析部によって生成された前記第1解析結果データ及び前記第2解析部によって生成された前記第2解析結果データを、前記ユーザ端末へ送信する送信部と、を含む情報処理装置である。
【0009】
情報処理装置は、ユーザ端末から送信された、材料に関する材料データを受信する。情報処理装置は、受信された前記材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成する。情報処理装置は、受信された材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、受信された材料データと該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成する。情報処理装置は、生成された第1解析結果データ及び生成された第2解析結果データを、ユーザ端末へ送信する。これにより、材料解析を実行するユーザは、材料の性質に関する情報をより多く得ることができる。
【0010】
第2態様に係る情報処理装置の前記第2解析部は、前記受信部により受信された前記材料データの数値範囲を、所定の数値範囲へと揃えた後に、前記第2解析結果データを生成する。これにより、複数の材料データの各々間の数値範囲が異なる場合であっても、第2解析結果データを適切に生成ことができる。
【0011】
第3態様に係る情報処理装置の前記第2解析部は、前記受信部により受信された前記材料データに含まれる各データの間隔を、所定の間隔へと揃えた後に、前記第2解析結果データを生成する。これにより、材料データに含まれる各データの間隔が複数の材料データ間で異なる場合であっても、第2解析結果データを適切に生成ことができる。
【0012】
第4態様に係る情報処理装置の前記第2解析結果データは、複数の前記材料データ間の関係を表すマップデータであり、前記マップデータの所定領域が指定された場合に、前記所定領域に対応する前記材料データを復元する復元部をさらに含む。これにより、ユーザは、自身が解析している材料がどのような性質を有しているのかに関する情報をより多く得ることができる。
【0013】
第5態様に係る情報処理装置の前記第1解析部は、生成された前記第1解析結果データを記憶部へ格納し、前記第2解析部は、生成された前記第2解析結果データを記憶部へ格納する。これにより、ユーザは、情報処理装置を介して、第1解析結果データ及び第2解析結果データを後で確認することができる。
【0014】
第6態様に係る情報処理方法は、ユーザ端末から送信された、材料に関する材料データを受信し、受信された前記材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、前記第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成し、受信された前記材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、受信された前記材料データと該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成し、生成された前記第1解析結果データ及び前記第2解析結果データを、前記ユーザ端末へ送信する、処理をコンピュータが実行する情報処理方法である。これにより、材料の性質に関する情報をより多く得ることができる。
【0015】
第7態様に係る情報処理プログラムは、ユーザ端末から送信された、材料に関する材料データを受信し、受信された前記材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、前記第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成し、受信された前記材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、受信された前記材料データと該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成し、生成された前記第1解析結果データ及び前記第2解析結果データを、前記ユーザ端末へ送信する、処理をコンピュータに実行させるための情報処理プログラムである。これにより、材料の性質に関する情報をより多く得ることができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように本開示によれば、材料解析を実行するユーザが、材料の性質に関する情報をより多く得ることができる、という効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】実施形態に係る情報処理装置の概略ブロック図である。
図2】実施形態の概要を説明するための図である。
図3】第1解析結果データの概要を説明するための図である。
図4】第2解析結果データの概要を説明するための図である。
図5】復元処理の一例を示す図である。
図6】復元処理の一例を示す図である。
図7】復元処理の一例を示す図である。
図8】復元処理の一例を示す図である。
図9】復元処理の一例を示す図である。
図10】実施形態に係るサーバ及びユーザ端末のコンピュータの構成例を示す図である。
図11】実施形態に係る情報処理装置で行われる処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図面を用いて実施形態の情報処理システムについて説明する。
【0019】
図1は、実施形態に係る情報処理システム10の機能構成の一例を示すブロック図である。情報処理システム10は、図1に示されるように、複数のユーザ端末12A,12B,・・・,12Zと情報処理装置の一例であるサーバ14とを備える。複数のユーザ端末12A,12B,・・・,12Zとサーバ14とは、例えば、インターネット等のネットワーク13を介して接続される。なお、以下では、1つのユーザ端末を指し示す場合には、単に、ユーザ端末12と称する。
【0020】
図2に、実施形態の情報処理システム10の処理の概要を説明するための図を示す。図2に示されるように、本実施形態の情報処理システム10は、第1解析手法A1を用いて材料データDを解析すると共に、第2解析手法A2を用いて材料データDを解析することにより、材料データを定量化する。第1解析手法A1は、例えば、X回折用の解析手法、X線小角散乱用の解析手法、及び顕微鏡画像用の解析手法等の材料データに対する解析手法である。一方、第2解析手法A2は、例えば、複数の材料データを対象とする解析手法であり、複数のデータを解析対象とする機械学習的手法、クラスタリング手法、主成分分析手法、UMAP(Uniform Manifold Approximation and Projection)及びt‐SNE(T-distributed Stochastic Neighbor Embedding)等の解析手法である。A1とA2はどちらか一方のみ使う場合もあれば片方のみ使う場合もある。
【0021】
図3に、第1解析手法によって得られた解析結果である第1解析結果データの一例を示す。図3に示される第1解析結果データは、XRD(X‐ray diffraction)法により得られた材料データである。「observed」が観測された材料データを表し、「BG」がバックグラウンドを表す。XRD(X‐ray diffraction)法用の所定の解析手法によって図3に示される第1解析結果データが得られる。この第1解析結果データ内のバックグラウンドにより、材料内の試料以外の散乱及び材料のアモルファス成分等が判明する。さらに、ピーク位置の値により、材料の結晶相及び相分率等が判明する。また、ピークの形状により、ひずみ、結晶子径、及び界面が判明する。
【0022】
次に、図4に、第2解析手法によって得られた解析結果である第2解析結果データの一例を示す。図4のVに示されるように、第2解析結果データを表すマップMには、複数の材料データ各々に相当する複数のプロット点の各々が示されている。ある1つの材料データDxが、第2解析結果データを表すマップM内の1つのプロット点に相当する。マップM内のプロット点は、データの並び順又は材料毎に得られる数値(例えば、材料データとは別の性能値又は製造条件値等)に応じて着色することが可能である。なお、図4に示されるように、このプロット点は、材料データDから所定の特徴量zを抽出することにより得られる。この特徴量zは、例えば、機械学習的手法等によって抽出される。
【0023】
本実施形態では、情報処理システム10のサーバ14上において材料解析が行われる。具体的には、ユーザがユーザ端末12を介して材料データをサーバ14へ送信する。そして、サーバ14は受信した材料データに対して第1解析手法及び第2解析手法による解析を行い、第1解析結果データ及び第2解析結果データをユーザ端末12へ送信する。
【0024】
これにより、ユーザは、第1解析結果データと第2解析結果データとの両方を確認することができ、材料の性質に関する多くの情報を得ることできる。具体的には、図3に示されるような1つの材料データの解析結果である第1解析結果データのみではなく、図4に示されるような複数の材料データの関係性を確認することができるため、ユーザは、自身が解析している材料がどのような性質を有しているのかに関する情報をより多く得ることができる。さらに、これらの第2解析結果データは、ある特徴量を有している材料はどのような物性を有しているのか、といった物性予測にも利用することができる。
【0025】
図5図9に、第2解析結果データを説明するための図を示す。
【0026】
例えば、図5に示される第2解析結果データのマップM内のプロット点P1をXRD法によって計測された材料データへと復元すると、図5の材料データD1のような形状となる。また、図6に示される第2解析結果データのマップM内のプロット点P2をXRD法によって計測された材料データへと復元すると、図6の材料データD2のような形状となる。図7に示される第2解析結果データのマップM内のプロット点P3をXRD法によって計測された材料データへと復元すると、図7の材料データD3のような形状となる。
【0027】
このように、第2解析結果データ内のプロット点を復元することにより、第2解析結果データの元となる材料データを確認することができるため、ユーザは、自身が解析している材料がどのような性質を有しているのかに関する情報をより多く得ることができる。
【0028】
以下、具体的に説明する。
【0029】
(ユーザ端末)
【0030】
複数のユーザ端末12A,12B,・・・,12Zの各々は、複数の異なるユーザによって操作される。
【0031】
図1に示されるように、1つのユーザ端末12は、端末制御部120と、端末記憶部122と、端末送信部124と、端末受信部126とを備えている。
【0032】
ユーザは、分析対象の材料データを、自身が操作するユーザ端末12へ入力する。分析対象の材料データは、XRD法等によって計測されたデータであり、後述するサーバ14において解析対象となるデータである。
【0033】
端末制御部120は、材料データを受け付けると、ユーザによる操作に応じて、材料データを端末記憶部122へ一旦格納する。
【0034】
端末記憶部122には、材料データが格納される。
【0035】
端末送信部124及び端末受信部126は、サーバ14との間においてデータのやり取りを行う。
【0036】
端末送信部124は、端末制御部120の制御に応じて、端末記憶部122に格納されている材料データと、ユーザ端末12の識別情報を表すユーザIDとの組み合わせを表すデータを、サーバ14へ送信する。
【0037】
なお、ユーザ端末12において実行される上記の処理は、サーバ14による制御に応じて実行されるようにしてもよい。例えば、サーバ14がユーザ端末12へ制御信号を出力することにより、ユーザ端末12の表示部(図示省略)に所定画面が表示され、その画面に表示される指示に従ってユーザがユーザ端末12を操作することにより各種の処理が実行されるようにしてもよい。
【0038】
(サーバ)
サーバ14は、図1に示されるように、受信部140と、情報記憶部141と、第1解析部142と、第2解析部144と、結果記憶部145と、復元部146と、送信部148とを備えている。
【0039】
受信部140は、ユーザ端末12から送信された、材料データとユーザIDとの組み合わせを表すデータを受信する。
【0040】
情報記憶部141には、受信部140により受信された材料データとユーザIDとの組み合わせが格納される。なお、情報記憶部141には、過去にユーザ端末12から送信された複数の材料データが格納されている。なお、情報記憶部141には、他のユーザ端末12から送信された複数の材料データが格納されていてもよい。
【0041】
第1解析部142は、受信部140により受信された材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成する。
【0042】
第2解析部144は、受信部140により受信された材料データを含む情報記憶部141に格納された複数の材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、受信部140により受信された材料データと、当該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成する。
【0043】
例えば、第2解析部144は、過去に同一のユーザ端末12から送信された複数の材料データと、今回ユーザ端末12から送信された材料データとの間の関係を表す第2解析結果データを生成する。又は、例えば、第2解析部144は、あるユーザ端末12Aから送信された材料データと、ユーザ端末12B,12Cから送信された複数の材料データとの間の関係を表す第2解析結果データを生成する。第2解析結果データは、例えば、上記図5~9のMのようなマップデータである。
【0044】
なお、第2解析部144は、受信部140により受信された材料データの数値範囲を、所定の数値範囲へと揃えた後に、第2解析結果データを生成する。また、第2解析部144は、受信部140により受信された材料データに含まれる各データの間隔を、所定の間隔へと揃えた後に、第2解析結果データを生成する。
【0045】
例えば、あるユーザ端末12Aから送信された材料データと、ユーザ端末12B,12Cから送信された複数の材料データとでは、数値範囲が異なる場合がある。ユーザ端末12Aから送信された材料データは0~10の数値範囲であるのに対し、ユーザ端末12B,12Cから送信された複数の材料データは0~5の数値範囲である場合などである。この場合には、第2解析結果データを表すマップにそれぞれの材料データを投影することができないため、第2解析部144は、材料データの数値範囲を、所定の数値範囲へと揃えた後に、第2解析結果データを生成する。
【0046】
また、例えば、あるユーザ端末12Aから送信されたXRD法の材料データは0.5[deg]刻みであるのに対し、ユーザ端末12B,12Cから送信されたXRD法の材料データは0.1[deg]刻みである場合がある。この場合にも、第2解析結果データを表すマップを適切に生成することができないため、第2解析部144は、材料データの各データの間隔を、所定の間隔へと揃えた後に、第2解析結果データを生成する。
【0047】
第1解析部142は、第1解析結果データをユーザIDと対応付けて結果記憶部145へ格納する。また、第2解析部144は、第2解析結果データをユーザIDと対応付けて結果記憶部145へ格納する。
【0048】
結果記憶部145には、第1解析結果データ及び第2解析結果データが格納される。これにより、ユーザは第1解析結果データ及び第2解析結果データを後で確認することができる。
【0049】
送信部148は、第1解析部142によって生成された第1解析結果データ及び第2解析部144によって生成された第2解析結果データを、ユーザ端末12へ送信する。ユーザ端末12を操作するユーザは、第1解析結果データ及び第2解析結果データを確認する。
【0050】
そして、ユーザ端末12を操作するユーザは、例えば、第2解析結果データのマップMの所定領域をクリックするなどして第2解析結果データの所定領域を指定する。ユーザ端末12は、ユーザからの操作に応じて、第2解析結果データのマップMの指定領域に関する情報をサーバ14へ送信する。
【0051】
サーバ14の復元部146は、ユーザ端末12から送信された第2解析結果データのマップMの指定箇所に関する情報に基づいて、所定領域に対応する材料データを復元する。例えば、復元部146は、上記図5図9に示されるように、材料データを復元する。
【0052】
そして、送信部148は、復元部146により得られたデータをユーザ端末12へ送信する。
【0053】
ユーザ端末12及びサーバ14は、例えば、図10に示すようなコンピュータ50によって実現することができる。ユーザ端末12、サーバ14、及び記憶装置16を実現するコンピュータ50は、CPU51、一時記憶領域としてのメモリ52、及び不揮発性の記憶部53を備える。また、コンピュータ50は、入出力装置等(図示省略)が接続される入出力interface(I/F)54、及び記録媒体59に対するデータの読み込み及び書き込みを制御するread/write(R/W)部55を備える。また、コンピュータは、インターネット等のネットワークに接続されるネットワークI/F56を備える。CPU51、メモリ52、記憶部53、入出力I/F54、R/W部55、及びネットワークI/F56は、バス57を介して互いに接続される。
【0054】
記憶部53は、Hard Disk Drive(HDD)、Solid state drive(SSD)、フラッシュメモリ等によって実現できる。記憶媒体としての記憶部53には、コンピュータを機能させるためのプログラムが記憶されている。CPU51は、プログラムを記憶部53から読み出してメモリ52に展開し、プログラムが有するプロセスを順次実行する。
【0055】
次に、実施形態の情報処理システム10の作用について説明する。
【0056】
ユーザ端末12へ学習用の材料データが入力されると、端末制御部120による制御に応じて、材料データとユーザIDとの組み合わせがサーバ14へ送信される。ユーザ端末12からサーバ14へ上記データの組み合わせが送信されると、サーバ14は図11に示す情報処理ルーチンを実行する。
【0057】
ステップS100において、サーバ14の受信部140は、ユーザ端末12から送信された、材料データとユーザIDとの組み合わせを受信する。
【0058】
ステップS102において、受信部140は、材料データとユーザIDとを情報記憶部141へ格納する。
【0059】
ステップS104において、第1解析部142は、ステップS100で受信された材料データに対して第1解析手法による解析を行い、第1解析結果データを生成する。
【0060】
ステップS106において、第2解析部144は、ステップS100で受信された材料データを含む情報記憶部141に格納された複数の材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、第2解析結果データを生成する。
【0061】
ステップS108において、送信部148は、ステップS104で生成された第1解析結果データ及びステップS106で生成された第2解析結果データを、ユーザ端末12へ送信する。
【0062】
ユーザ端末12を操作するユーザは、第1解析結果データ及び第2解析結果データを確認する。そして、例えば、ユーザ端末12を操作するユーザは、例えば、第2解析結果データのマップMの所定領域をクリックするなどして第2解析結果データの所定領域を指定し、サーバ14の復元部146によって、所定領域に対応する材料データが復元される。
【0063】
これにより、ユーザは、自身が解析している材料がどのような性質を有しているのかに関する情報をより多く得ることができる。
【0064】
以上説明したように、実施形態に係る情報処理システムのサーバは、ユーザ端末から送信された、材料に関する材料データを受信する。サーバは、受信された材料データに対して予め定められた第1解析手法による解析を行い、第1解析手法の解析結果である第1解析結果データを生成する。サーバは、受信された材料データに対して、第2解析手法による解析を行い、受信された材料データと該材料データとは異なるデータとの間の関係を表す解析結果である第2解析結果データを生成する。サーバは、第1解析結果データ及び第2解析結果データを、ユーザ端末へ送信する。これにより、ユーザは、材料の性質に関する情報をより多く得ることができる。また、人間の見落とし及び解析の属人性を排除することができる。また、大量のデータについても解析することが可能となる。
【0065】
例えば、第1解析手法を用いてXRD法によって得られた材料データを解析する場合には、ピーク位置を利用した相同定、及びピーク幅を利用した結晶子径の導出は可能である。しかし、第1解析手法による解析では、ピークの全体形状及びバックグラウンドも含めた解析及び特徴量抽出は難しい。これに対し、本実施形態によれば、第2解析手法によって材料データの全体が利用されるため、ユーザの先入観及び見落としを排除することが可能となる。
【0066】
なお、上記の実施形態における各装置で行われる処理は、プログラムを実行することにより行われるソフトウエア処理として説明したが、ハードウエアで行う処理としてもよい。或いは、ソフトウエア及びハードウエアの双方を組み合わせた処理としてもよい。また、ROMに記憶されるプログラムは、各種記憶媒体に記憶して流通させるようにしてもよい。
【0067】
さらに、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
【符号の説明】
【0068】
10 情報処理システム
12 ユーザ端末
14 サーバ
50 コンピュータ
120 端末制御部
122 端末記憶部
124 端末送信部
126 端末受信部
140 受信部
141 情報記憶部
142 第1解析部
144 第2解析部
145 結果記憶部
146 復元部
148 送信部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11