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特許7571695サーバ装置、情報提供システム、及び情報提供システムの動作方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】サーバ装置、情報提供システム、及び情報提供システムの動作方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/005 20060101AFI20241016BHJP
   G08G 1/16 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G08G1/005
G08G1/16 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021152659
(22)【出願日】2021-09-17
(65)【公開番号】P2023044564
(43)【公開日】2023-03-30
【審査請求日】2024-02-12
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100187078
【弁理士】
【氏名又は名称】甲原 秀俊
(74)【代理人】
【識別番号】100139491
【弁理士】
【氏名又は名称】河合 隆慶
(72)【発明者】
【氏名】西村 和也
(72)【発明者】
【氏名】桜田 伸
(72)【発明者】
【氏名】金子 宗太郎
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-234096(JP,A)
【文献】特開2007-082688(JP,A)
【文献】特開2003-123192(JP,A)
【文献】特開平09-147286(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00-99/00
G01C 21/00-21/36
G01C 23/00-25/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信部と、
前記通信部を介して情報を送受する制御部とを有し、
前記制御部は、車道に設定される横断歩道を当該車道の第1の側から第2の側へ第1の歩行者が横断するときに、前記第2の側で前記横断歩道の幅方向における前記第1の歩行者の位置に設けられた第1のスピーカに、前記第1の歩行者を誘導するための第1の音声ビームを前記第1の側へ向けて出力させる指示を送出する、
サーバ装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記制御部は、更に、前記横断歩道を前記第2の側から前記第1の側へ第2の歩行者が横断するときに、前記第1の側で前記幅方向における前記第2の歩行者の位置に設けられた第2のスピーカに、前記第2の歩行者を誘導するための第2の音声ビームを前記第2の側へ向けて出力させる指示を送出する、
サーバ装置。
【請求項3】
請求項2において、
前記第1のスピーカと前記第2のスピーカの前記幅方向におけるそれぞれの位置は互いに異なる、
サーバ装置。
【請求項4】
請求項3において、
前記制御部は、前記幅方向における前記第1の音声ビームが出力される範囲と前記第2の音声ビームが出力される範囲を分割するように、前記第1及び第2のスピーカを選定する、
サーバ装置。
【請求項5】
請求項4において、
前記制御部は、日時又は前記横断歩道の周辺の状況に応じて、前記第1の音声ビームが出力される範囲と前記第2の音声ビームが出力される範囲を変更する、
サーバ装置。
【請求項6】
請求項1~5のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記第1の歩行者の端末装置からその位置を示す位置情報を受ける、
サーバ装置。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかにおいて、
前記制御部は、前記第1の歩行者が所定の属性を有することを条件として、前記第1のスピーカに前記第1の音声ビームを出力させる指示を送出する、
サーバ装置。
【請求項8】
サーバ装置と、当該サーバ装置と通信を行うスピーカとを有する情報提供システムであって、
前記サーバ装置は、車道に設定される横断歩道を当該車道の第1の側から第2の側へ第1の歩行者が横断するときに、前記第2の側で前記横断歩道の幅方向における前記第1の歩行者の位置に設けられた第1のスピーカに、前記第1の歩行者を誘導するための第1の音声ビームを前記第1の側へ向けて出力させる第1の指示を送出し、
前記第1のスピーカは、前記第1の指示に応じて前記第1の音声ビームを出力する、
情報提供システム。
【請求項9】
請求項8において、
前記サーバ装置は、更に、前記横断歩道を前記第2の側から前記第1の側へ第2の歩行者が横断するときに、前記第1の側で前記幅方向における前記第2の歩行者の位置に設けられた第2のスピーカに、前記第2の歩行者を誘導するための第2の音声ビームを前記第2の側へ向けて出力させる第2の指示を送出し、
前記第2のスピーカは、前記第2の指示に応じて前記第2の音声ビームを出力する、
情報提供システム。
【請求項10】
請求項9において、
前記第1のスピーカと前記第2のスピーカの前記幅方向におけるそれぞれの位置は互いに異なる、
情報提供システム。
【請求項11】
請求項10において、
前記サーバ装置は、前記幅方向における前記第1の音声ビームが出力される範囲と前記第2の音声ビームが出力される範囲を分割するように、前記第1及び第2のスピーカを選定する、
情報提供システム。
【請求項12】
請求項11において、
前記サーバ装置は、日時又は前記横断歩道の周辺の状況に応じて、前記第1の音声ビームが出力される範囲と前記第2の音声ビームが出力される範囲を変更する、
情報提供システム。
【請求項13】
請求項8~12のいずれかにおいて、
前記サーバ装置は、前記第1の歩行者の端末装置からその位置を示す位置情報を受ける、
情報提供システム。
【請求項14】
請求項8~13のいずれかにおいて、
前記サーバ装置は、前記第1の歩行者が所定の属性を有することを条件として、前記第1のスピーカに前記第1の音声ビームを出力させる第1の指示を送出する、
情報提供システム。
【請求項15】
サーバ装置と、当該サーバ装置と通信を行うスピーカとを有する情報提供システムの動作方法であって、
前記サーバ装置が、車道に設定される横断歩道を当該車道の第1の側から第2の側へ第1の歩行者が横断するときに、前記第2の側で前記横断歩道の幅方向における前記第1の歩行者の位置に設けられた第1のスピーカに、前記第1の歩行者を誘導するための第1の音声ビームを前記第1の側へ向けて出力させる第1の指示を送出し、
前記第1のスピーカが、前記第1の指示に応じて前記第1の音声ビームを出力する、
動作方法。
【請求項16】
請求項15において、
前記サーバ装置が、更に、前記横断歩道を前記第2の側から前記第1の側へ第2の歩行者が横断するときに、前記第1の側で前記幅方向における前記第2の歩行者の位置に設けられた第2のスピーカに、前記第2の歩行者を誘導するための第2の音声ビームを前記第2の側へ向けて出力させる第2の指示を送出し、
前記第2のスピーカが、前記第2の指示に応じて前記第2の音声ビームを出力する、
動作方法。
【請求項17】
請求項16において、
前記第1のスピーカと前記第2のスピーカの前記幅方向におけるそれぞれの位置は互いに異なる、
動作方法。
【請求項18】
請求項17において、
前記サーバ装置が、前記幅方向における前記第1の音声ビームが出力される範囲と前記第2の音声ビームが出力される範囲を分割するように、前記第1及び第2のスピーカを選定する、
動作方法。
【請求項19】
請求項11において、
前記サーバ装置は、日時又は前記横断歩道の周辺の状況に応じて、前記第1の音声ビームが出力される範囲と前記第2の音声ビームが出力される範囲を変更する、
動作方法。
【請求項20】
請求項15~19のいずれかにおいて、
前記サーバ装置が、前記第1の歩行者の端末装置からその位置を示す位置情報を受ける、
動作方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、サーバ装置、情報提供システム、及び情報提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
歩行者による車道の安全な横断を支援する技術が提案されている。例えば、特許文献1には、歩行者が横断する可能性があると判定された地点の横断候補領域に接近する車両の車載器に対して、歩行者が道路を横断することを示す情報を送信する技術を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-225151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
歩行者の横断を支援する技術において、装置が複雑化する傾向がある。
【0005】
本開示は、歩行者の車道の横断を簡便な構成で支援するサーバ装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示におけるサーバ装置は、通信部と、前記通信部を介して情報を送受する制御部とを有し、前記制御部は、車道に設定される横断歩道を当該車道の第1の側から第2の側へ第1の歩行者が横断するときに、前記第2の側で前記横断歩道の幅方向における前記第1の歩行者の位置に設けられた第1のスピーカに、前記第1の歩行者を誘導するための第1の音声ビームを前記第1の側へ向けて出力させる指示を送出する。
【0007】
本開示における情報提供システムは、サーバ装置と、当該サーバ装置と通信を行うスピーカとを有する情報提供システムであって、前記サーバ装置は、車道に設定される横断歩道を当該車道の第1の側から第2の側へ第1の歩行者が横断するときに、前記第2の側で前記横断歩道の幅方向における前記第1の歩行者の位置に設けられた第1のスピーカに、前記第1の歩行者を誘導するための第1の音声ビームを前記第1の側へ向けて出力させる第1の指示を送出し、前記第1のスピーカは、前記第1の指示に応じて前記第1の音声ビームを出力する。
【0008】
本開示における情報提供システムの動作方法は、サーバ装置と、当該サーバ装置と通信を行うスピーカとを有する情報提供システムの動作方法であって、前記サーバ装置が、車道に設定される横断歩道を当該車道の第1の側から第2の側へ第1の歩行者が横断するときに、前記第2の側で前記横断歩道の幅方向における前記第1の歩行者の位置に設けられた第1のスピーカに、前記第1の歩行者を誘導するための第1の音声ビームを前記第1の側へ向けて出力させる第1の指示を送出し、前記第1のスピーカが、前記第1の指示に応じて前記第1の音声ビームを出力する。
【発明の効果】
【0009】
本開示におけるサーバ装置等によれば、歩行者の車道の横断を簡便な構成で支援することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】情報提供システムの構成例を示す図である。
図2】サーバ装置の構成例を示す図である。
図3】端末装置の構成例を示す図である。
図4】音声出力装置の構成例を示す図である。
図5】撮像装置の構成例を示す図である。
図6】床材の構成例を示す図である。
図7】車両の構成例を示す図である。
図8A】情報提供システムが動作する状況を説明するための図である。
図8B】情報提供システムが動作する状況を説明するための図である。
図8C】情報提供システムが動作する状況を説明するための図である。
図9A】情報提供システムの動作例を示すシーケンス図である。
図9B】情報提供システムの動作例を示すシーケンス図である。
図10】サーバ装置の動作例を示すフローチャート図である。
図11A】変形例において情報提供システムが動作する状況を説明するための図である。
図11B】変形例において情報提供システムが動作する状況を説明するための図である。
図11C】変形例において情報提供システムが動作する状況を説明するための図である。
図12A】変形例において情報提供システムが動作する状況を説明するための図である。
図12B】変形例において情報提供システムが動作する状況を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、実施の形態について説明する。
【0012】
図1は、一実施形態における情報提供システムの構成例を示す図である。情報提供システム1は、例えば、ネットワーク11を介して互いに情報通信可能に接続される、それぞれ一以上の、サーバ装置10、端末装置12、及びスピーカ装置13を有する。ネットワーク11は、例えばインターネットであるが、アドホックネットワーク、LAN、MAN(Metropolitan Area Network)、もしくは他のネットワーク又はこれらいずれかの組合せが含まれる。サーバ装置10は、サーバ機能を実装するコンピュータである。端末装置12は、例えば、スマートフォン、タブレット端末装置、ウェアラブルデバイス等の通信機能を備えた情報端末装置である。情報端末装置は、音声出力機能を有してもよい。スピーカ装置13は、一以上の指向性スピーカと、スピーカを制御するとともに通信機能を備えた制御装置とを有する。指向性スピーカは、音波に指向性を付与することで、ビーム状に生成された音声ビームを出力する。指向性スピーカは、市街地等の任意の街区内に、例えば、歩道の路側に沿って任意の間隔で、設置される。街区は、例えば、情報提供システム1による歩行者への情報提供サービスのために任意に策定される、一以上のブロックに及ぶ範囲である。
【0013】
ネットワーク11には、更に、それぞれ一以上の撮像装置14、床材15、及び車両16が接続され、これらはネットワーク11を介してサーバ装置10と情報通信を行う。撮像装置14は、例えば、一以上のカメラと、カメラを制御するとともに通信機能を備えた制御装置とを有する。カメラは、街区内に点在して設置され、街区内の歩行者又は車両16を撮像する。床材15は、荷重センサ、発光部、及び、これらを制御するとともに通信機能を備えた制御装置を有する。床材15は、街区内の路面の任意の範囲にわたって敷設される。車両16は、通信機能を備えた、例えばガソリン自動車、電気自動車(BEV;Battery Electric Vehicle)、ハイブリッド自動車(HEV;Hybrid Electric Vehicle)、プラグインハイブリッド自動車(PHEV;Plug-in Hybrid Electric Vehicle)、燃料電池自動車(FCEV;Fuel Cell Electric Vehicle)等である。車両16は、手動により運転されるが、運転の一部が自動化されていてもよい。
【0014】
情報提供システム1は、歩行者による車道の横断を支援する。サーバ10の制御部は、車道に設定される横断歩道を第1の側から第2の側へ歩行者が横断するときに、第2の側で横断歩道の幅方向における歩行者の位置に設けられたスピーカに、歩行者を誘導するための音声ビームを第1の側へ向けて出力させる指示を送出する。スピーカは、スピーカ装置13に含まれる指向性スピーカであって、歩道の路側に沿って配置される。横断歩道に対応する位置に配置されたスピーカのうち、横断歩道を渡る歩行者の進行方向に位置するスピーカが音声ビームを出力するので、歩行者は音声ビームに向かって移動し、誘導のための音声(以下、誘導音声という)を受けることができる。歩行者が、例えば、視覚障がいを有し横断歩道を視認できない場合であっても、誘導音声により車道をより安全に横断することが可能となる。よって、情報提供システム1によれば、歩行者の横断を比較的簡便な構成により支援することが可能となる。
【0015】
図2は、サーバ装置10の構成例について説明するための図である。サーバ装置10は、通信部21、記憶部22、制御部23、入力部25、及び出力部26を有する。サーバ装置10は、例えば、一のコンピュータである。または、サーバ装置10は、情報通信可能に接続されて連携動作する二以上のコンピュータで構成されてもよい。その場合、図2に示す構成は二以上のコンピュータに適宜に配置される。サーバ装置10は、例えば、街区毎に設置されるコンピュータと中央のサーバコンピュータとが協働することで構成されてもよい。
【0016】
通信部21は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LANインタフェースである。通信部21は、サーバ装置10の動作に用いられる情報を受信し、またサーバ装置10の動作によって得られる情報を送信する。サーバ装置10は、通信部21によりネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で車両16又は端末装置12と情報通信を行う。
【0017】
記憶部22は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)である。RAMは、例えば、SRAM(Static RAM)又はDRAM(Dynamic RAM)である。ROMは、例えば、EEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)である。記憶部22は、サーバ装置10の動作に用いられる情報と、サーバ装置10の動作によって得られた情報とを格納する。
【0018】
制御部23は、一以上のプロセッサ、一以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化したGPU(Graphics Processing Unit)等の専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等である。制御部23は、サーバ装置10の各部を制御しながら、サーバ装置10の動作に係る情報処理を実行する。
【0019】
入力部25は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力部25は、サーバ装置10の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部23へ送る。
【0020】
出力部26は、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD(Liquid Crystal Display)又は有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイである。出力部26は、サーバ装置10の動作によって得られる情報を出力する。
【0021】
サーバ装置10の機能は、制御プログラムを、制御部23に含まれるプロセッサで実行することにより実現される。制御プログラムは、サーバ装置10の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、そのステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムである。すなわち、制御プログラムは、コンピュータをサーバ装置10として機能させるためのプログラムである。また、サーバ装置10の一部又は全ての機能が、制御部23に含まれる専用回路により実現されてもよい。また、制御プログラムは、サーバ装置10に読取り可能な非一過性の記録・記憶媒体に格納され、サーバ装置10が媒体から読み取ってもよい。
【0022】
図3は、端末装置12の構成例について説明するための図である。端末装置12は、通信部31、記憶部32、制御部33、測位部34、入力部35、及び出力部36を有する。端末装置12は、例えばスマートフォン、タブレット端末装置、ウェアラブルデバイス、パーソナルコンピュータ等の、情報端末装置である。
【0023】
通信部31は、有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュール、LTE、4G、5G等の移動体通信規格に対応するモジュール等を有する。端末装置12は、通信部31により、近傍のルータ装置又は移動体通信の基地局を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で他の装置と情報通信を行う。
【0024】
記憶部32は一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部32は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部32は、制御部33の動作に用いられる情報と、制御部33の動作によって得られた情報とを格納する。
【0025】
制御部33は、例えば、CPU、MPU(Micro Processing Unit)等の一以上の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した一以上の専用プロセッサを有する。あるいは、制御部33は、一以上の、FPGA、ASIC等の専用回路を有してもよい。制御部33は、制御・処理プログラムに従って動作したり、あるいは、回路として実装された動作手順に従って動作したりすることで、端末装置12の動作を統括的に制御する。そして、制御部33は、通信部31を介してサーバ装置10等と各種情報を送受し、本実施形態にかかる動作を実行する。
【0026】
測位部34は、一以上のGNSS受信機を含む。GNSSには、例えば、GPS、QZSS、BeiDou、GLONASS、及びGalileoの少なくともいずれかが含まれる。測位部34は、端末装置12の位置情報を取得して制御部33へ送る。
【0027】
入力部35は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力インタフェースは、さらに、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ、又はICカードリーダーを含んでもよい。入力部35は、制御部33の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部33へ送る。
【0028】
出力部36には、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。制御部33の動作によって得られる情報を表示又は音声により出力する。
【0029】
制御部33の機能は、制御部33に含まれるプロセッサが制御プログラムを実行することにより実現される。制御プログラムは、プロセッサを制御部33として機能させるためのプログラムである。また、制御部33の一部又は全ての機能が、制御部33に含まれる専用回路により実現されてもよい。
【0030】
図4は、スピーカ装置13の構成例を示す。スピーカ装置13は、一以上のスピーカ41と、制御装置42とを有する。制御装置42は、ネットワーク11を介してサーバ装置10から受ける指示に応じてスピーカ41の動作を制御し、スピーカ41に音声を出力させる。スピーカ41は、例えば、指向性スピーカであって、音波に指向性を付与して、ビーム状に形成された音声ビームを出力する。スピーカ41は、街区内の歩行者が移動する経路に沿って設けられる。スピーカ41は、例えば、歩道の路側部又は車道との境界に沿って設けられる電柱、街灯、路側帯等の設置物に取り付けられる。制御装置42は、ネットワーク11に接続するための、一以上の有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュールを有する。また、制御装置42は、制御プログラムに従って動作する汎用のプロセッサ、又は専用の回路を有する。制御装置42は、例えば、スピーカ41の指向性を制御し、スピーカ41に音声ビームを出力させる。制御装置42は、各スピーカ41に対応して設けられてもよいし、複数のスピーカ41を一の制御装置42が制御するように構成されてもよい。
【0031】
図5は、撮像装置14の構成例を示す。撮像装置14は、一以上のカメラ51と、制御装置52とを有する。制御装置52は、カメラ51の動作を制御するとともにネットワーク11を介してサーバ装置10へ撮像画像を送る。カメラ51は、例えば、単眼カメラ、ステレオカメラ、全方位カメラである。カメラ51は、街区内で歩行者を撮像可能な任意の箇所に取り付けられる。カメラ51は、街区内の電柱、街灯、建築物等に取り付けられる。制御装置52は、ネットワーク11に接続するための、一以上の有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュールを有する。また、制御装置52は、制御プログラムに従って動作する汎用のプロセッサ、又は専用の回路を有する。制御装置52は、各カメラ51に対応して設けられてもよいし、複数のカメラ51を一の制御装置52が制御するように構成されてもよい。
【0032】
図6は、床材15の構成例を示す。床材15は、一以上の発光部60、荷重センサ61、及び制御装置62を有する。床材15は、例えば、一辺が数十センチから数メートルの略矩形形状を呈し、例えば、樹脂、木質系素材等の層構造により形成される。発光部60は、例えば、LEDライト等の発光素子を有する。発光部60は、発光素子の光が床材15の上を歩行する歩行者から視認できるように、床材15が路面に敷設されたときの上面側に配置され、例えば透過性のカバーにより覆われる。荷重センサ61は、床材15が路面に敷設されたときの下層側の任意の位置に設けられ、上層側にかかる荷重を検知する。荷重センサ61は、加速度センサ、圧電センサ等を含む。荷重センサ61は床材15の上を歩行者が歩行するときに、歩行者が踏むことで床材15にかかる荷重を検知する。制御装置62は、例えば、上層側にかかる荷重により損傷しないような、下層側の任意の位置に設けられる。制御装置62は、ネットワーク11を介してサーバ装置10と情報通信を行う。制御装置62は、サーバ装置10から受ける指示に応じて発光部60の発行を制御したり、荷重センサ61の検知結果をサーバ装置10へ送ったりする。制御装置62は、ネットワーク11に接続するための、一以上の有線又は無線LAN規格に対応する通信モジュールを有する。また、制御装置62は、制御プログラムに従って動作する汎用のプロセッサ又は専用の回路を有する。また、制御装置62は、各床材15に対応して設けられてもよいし、複数の床材15を一の制御装置62が制御するように構成されてもよい。
【0033】
図7は、車両16の構成例を示す。車両16は、通信部71、記憶部72、制御部73、測位部74、入力部75、及び出力部76を有する。これらの一以上が一の制御装置として構成されてもよいし、タブレット端末を含むパーソナルコンピュータ、スマートフォン端末、ナビゲーション装置により構成されてもよい。あるいは、各部がCAN(Controller Area Network)等の規格に準拠した車内ネットワークを介して情報通信可能に接続されてもよい。
【0034】
通信部71は、一以上の通信用インタフェースを含む。通信用インタフェースは、例えば、LTE、4G、若しくは5G等の移動通信規格に対応したインタフェースである。通信部71は、制御部73の動作に用いられる情報を受信し、また制御部73の動作によって得られる情報を送信する。制御部73は、通信部71により、移動体通信の基地局を介してネットワーク11に接続され、ネットワーク11経由で他の装置と情報通信を行う。
【0035】
記憶部72は、一以上の半導体メモリ、一以上の磁気メモリ、一以上の光メモリ、又はこれらのうち少なくとも2種類の組み合わせを含む。半導体メモリは、例えば、RAM又はROMである。RAMは、例えば、SRAM又はDRAMである。ROMは、例えば、EEPROMである。記憶部72は、例えば、主記憶装置、補助記憶装置、又はキャッシュメモリとして機能する。記憶部72は、制御部73の動作に用いられる情報と、制御部73の動作によって得られた情報とを格納する。
【0036】
制御部73は、一以上のプロセッサ、一以上の専用回路、又はこれらの組み合わせを含む。プロセッサは、CPU等の汎用プロセッサ、又は特定の処理に特化した専用プロセッサである。専用回路は、例えば、FPGA又はASICである。制御部73は、制御部73の各部を制御しながら、車両16の動作に係る情報処理を実行する。
【0037】
測位部74は、一以上のGNSS受信機を含む。GNSSには、例えば、GPS、QZSS、BeiDou、GLONASS、及びGalileoの少なくともいずれかが含まれる。測位部74は、車両16の位置情報を取得する。
【0038】
入力部75は、一以上の入力用インタフェースを含む。入力用インタフェースは、例えば、物理キー、静電容量キー、ポインティングデバイス、ディスプレイと一体的に設けられたタッチスクリーン、又は音声入力を受け付けるマイクロフォンである。入力インタフェースは、さらに、撮像画像又は画像コードを取り込むカメラ、又はICカードリーダーを含んでもよい。入力部75は、制御部73の動作に用いられる情報を入力する操作を受け付け、入力される情報を制御部73に送る。
【0039】
出力部76には、一以上の出力用インタフェースを含む。出力用インタフェースは、例えば、ディスプレイ又はスピーカである。ディスプレイは、例えば、LCD又は有機ELディスプレイである。出力部76は、制御部73の動作によって得られる情報を出力する。
【0040】
制御部73の機能は、制御プログラムを、制御部73に含まれるプロセッサで実行することにより実現される。制御プログラムは、制御部73の動作に含まれるステップの処理をコンピュータに実行させることで、そのステップの処理に対応する機能をコンピュータに実現させるためのプログラムである。すなわち、制御プログラムは、コンピュータを制御部73として機能させるためのプログラムである。また、制御部73の一部又は全ての機能が、制御部73に含まれる専用回路により実現されてもよい。
【0041】
図8A図12Bを用いて、情報提供システム1の動作について説明する。
【0042】
図8Aは、情報提供システム1が動作する状況の例を説明するための図である。図8Aでは、ある街区の一部分が概略的な鳥観図により示される。ここでは、車両16が通行する車道80と、その両側に設けられた歩道81及び82のうち歩道81を歩行者83が端末装置12を携行して矢印84が示す方向に移動する状況が示される。車道80と歩道81、82には床材15が敷き詰められており、歩道81の路側にはスピーカ装置13のスピーカ41が任意の間隔で配置され、歩道81及び車道80を撮像可能な位置に撮像装置14が点在する。サーバ装置10の制御のもと、床材15の照明部が点灯することで、車道80の任意の位置に横断歩道85が表示されて設定される。歩行者83は、歩道81を横断歩道85の位置まで移動した後、歩道81から歩道82に向かって横断歩道85を横断する。
【0043】
図9A、9Bは、図8Aで示した状況における情報提供システム1の動作例を示すシーケンス図である。図9Aでは、横断歩道85の設定に係るサーバ装置10及び床材15による動作手順が示される。また、図9Bでは、歩行者83が歩道81、横断歩道85を移動するときの、歩行者83の誘導に係るサーバ装置10、端末装置12、スピーカ装置13、撮像装置14、床材15及び車両16による動作手順が示される。
【0044】
図9AのステップS900において、サーバ装置10は、横断歩道85の位置を決定する。サーバ装置10制御部23は、記憶部22に格納された地図情報を用いて、街区内の車道80における任意の位置に横断歩道85を表示させることを決定する。横断歩道85の位置は、交通状況、都市計画等に応じて、任意のアルゴリズムにより決定される。
【0045】
ステップS902において、サーバ装置10は、横断歩道表示指示を床材15へ送る。サーバ装置10の制御部23は、記憶部22に格納された各床材15の識別情報と配置の情報とを用いて、横断歩道85を表示する位置に配置された床材15へ向けて、横断歩道85を表示させるための横断歩道表示指示を、通信部21を介して送る。床材15の制御装置62は、横断歩道表示指示を受ける。
【0046】
ステップS904において、床材15は、横断歩道85を表示する。床材15の制御装置62は、横断歩道表示指示に応じて、発光部60を点灯させる。横断歩道85の表示位置に配置される一以上の床材15の発光により、横断歩道85が路面に表示される。
【0047】
ステップS900~S904は、任意の時間枠で一回的に実行される。時間枠は、例えば、交通量の変化に応じた数時間の時間帯単位、交通量の曜日特性、季節特性に応じた数日~数週間、更には数箇月単位、都市計画に応じた数年単位等である。
【0048】
図9Bの手順は、任意の周期(例えば数秒毎)で、街区内で検出される全ての歩行者について実行される。図9BのステップS906において、端末装置12は、端末装置12の識別情報、端末装置12を用いる歩行者の識別情報、及び現在地の位置情報を、サーバ装置10へ送る。端末装置12の制御部33は、測位部34により現在地の位置情報を取得すると、現在地の位置情報、記憶部32に予め格納される端末装置12の識別情報及び歩行者の識別情報を、通信部31を介して、サーバ装置10へ送る。歩行者の識別情報は、予め端末装置12に歩行者により入力され、記憶部32に格納される。サーバ装置10の制御部23は、通信部21を介して、端末装置12の識別情報と現在地の位置情報とを受ける。ここで、サーバ装置10は、街区内の一以上の歩行者のそれぞれの端末装置12から送られる情報を受ける。
【0049】
ステップS908において、撮像装置14は、撮像画像と撮像装置14の識別情報とをサーバ装置10へ送る。撮像装置14の制御装置52は、任意のタイミング又は周期でカメラ50により街区内の一部を撮像させ、撮像画像と撮像装置14の識別情報とを任意のタイミング又は周期でサーバ装置10へ送る。識別情報は、予め制御装置52のメモリに格納されている。撮像画像には、撮像日時等の情報が付加される。サーバ装置10の制御部23は、通信部21を介して、撮像装置14の識別情報と撮像画像を受ける。ここで、サーバ装置10は、街区内の一以上の撮像装置14から送られる情報及び撮像画像を受ける。
【0050】
ステップS910において、床材15は、荷重検知情報と床材15の識別情報とをサーバ装置10へ送る。荷重検知情報は、荷重センサ61による検知結果から得られる荷重の有無、荷重の大きさ、検知日時等の情報である。床材15の制御装置62は任意のタイミング又は周期で荷重検知情報をサーバ装置10へ送る。識別情報は、予め制御装置62のメモリに格納されている。サーバ装置10の制御部23は、通信部21を介して、床材15の識別情報と荷重検知情報を受ける。ここで、サーバ装置10は、街区内の一以上の床材15から送られる情報を受ける。
【0051】
ステップS912において、車両16は、車両16の識別情報と、現在地の位置情報とをサーバ装置10へ送る。車両16の制御部73は、測位部74により現在地の位置情報を取得すると、現在地の位置情報と、記憶部72に予め格納される車両16の識別情報とを、通信部71を介して、サーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部23は、通信部21を介して、車両16の識別情報と現在地の位置情報とを受ける。ここで、サーバ装置10は、街区内の一以上の車両16からの情報を受ける。
【0052】
ステップS914において、サーバ装置10は、歩行者のうち誘導対象を判定し、誘導情報、制御情報を送出する。誘導対象は、歩行者のうち、音声による誘導を必要とする歩行者である。例えば、視覚障がいを有する歩行者は誘導対象と判定される。誘導情報は、誘導対象の歩行者83を誘導する音声を出力するための情報である。制御情報は、車両16に、誘導対象者に干渉しないように制御させるための情報である。ここで、ステップS914の手順を、図10を用いて詳述する
【0053】
図10は、サーバ装置10の制御部23によるステップS914の動作の詳細な手順を示すフローチャート図である。
【0054】
ステップS1002において、制御部23は、歩行者のうち誘導対象を判別する。制御部23は、街区内に位置することを位置情報が示す一以上の端末装置12から収集した歩行者の識別情報に基づき、各歩行者について誘導対象か否かを判定する。記憶部22には、予め利用登録した歩行者の識別情報とともに歩行者の属性情報が格納される。例えば、属性情報は、端末装置12又は他の情報処理装置によりサーバ装置10へ送られ、記憶部22に格納される。属性情報には、視覚障がいの有無といった、誘導の必要性を示す情報が含まれる。制御部23は、識別情報をキーとして属性情報を参照し、各歩行者が誘導対象か否かを判定する。
【0055】
ステップS1004において、制御部23は、誘導対象と判定した歩行者(歩行者83)が存在する場合(Yes)、ステップS1006へ進む。制御部23は、ステップS1006~S1016を、誘導対象と判定した歩行者83毎に実行する。一方、誘導対象と判定した歩行者が存在しない場合(No)、図10の手順を終了する。街区内に歩行者が存在せず、したがって端末装置12からサーバ装置10が情報を受けていない場合も、誘導対象と判定した歩行者が存在しない場合に含まれる。この場合、図9BにおけるステップS916~S926は省略される。
【0056】
図10のステップS1006において、制御部23は、車両16のうち、制御対象の車両16を判別する。制御部23は、街区内の一以上の車両16から収集した位置情報に基づき、各車両16について制御対象か否かを判定する。誘導対象と判定した歩行者83が横断歩道85を横断するときに、車両16が横断歩道85に進入する蓋然性が高い場合に、その車両16は制御対象と判定される。例えば、制御部23は、端末装置12の位置情報の推移に基づき、端末装置12、つまり歩行者83の移動速度を導出する。また、制御部23は、各車両16の位置情報の推移に基づき、各車両16の移動速度を導出する。そして、制御部23は、歩行者83が横断歩道85の一端に到達する時点を導出し、その時点から歩行者83が横断歩道85を横断し終える時点までの間に横断歩道85に進入することが予測される車両16を特定する。制御部23は、かかる車両16を、制御対象車両と判定する。
【0057】
制御部23は、例えば上記の処理で端末装置12の位置情報を用いるとき、その位置情報が示す位置における、撮像装置14による撮像画像、又は床材15による荷重検知情報を用いて、端末装置12の位置情報を適宜補正してもよい。例えば、撮像装置14の位置が予め記憶部22に格納されており、制御部23は、撮像装置14の位置と撮像画像内の歩行者の位置とに基づき、歩行者の位置を導出する。あるいは、床材15の位置が予め記憶部22に格納されており、制御部23は、荷重検知情報を取得した床材15の位置に基づき、歩行者の位置を導出する。制御部23は、端末装置12の位置情報に基づく位置と、撮像画像又は荷重検知情報に基づき導出した歩行者の位置との例えば中間の値を、補正後の位置として用いる。このようにしてより多くの情報を用いることで、より正確な歩行者の位置を導出することが可能となる。あるいは、制御部23は、端末装置12の位置情報、撮像画像又は荷重検知情報に基づき導出した歩行者の位置のいずれか一以上を用いて歩行者の位置を導出してもよい。また、制御部23は、同様の手段により、車両16の位置を補正、又は導出してもよい。
【0058】
ステップS1008において、制御部23は、誘導情報を音声として出力するスピーカ41を選定する。制御部23は、スピーカ41のうち、歩行者83の位置に対応する一以上のスピーカ41を出力用として選定する。各スピーカ41が設置される位置の情報は、例えば、予め記憶部22に格納されており、この情報を用いて制御部23が出力用のスピーカ41を選定する。
【0059】
図8Aに示すように、歩行者83が歩道81を移動するときは、歩道81の路側に設けられるスピーカ41のうち、歩行者83の移動に従って、歩行者83の付近の一以上のスピーカ41aが出力用として順次選定される。例えば、歩行者83から任意の基準距離(例えば数十センチメートル~数メートル)以内に位置するスピーカ41aが出力用として選定される。
【0060】
図8B、8Cは、歩行者83が歩道81から82へ向けて横断歩道85を横断するときの状況の例を模式的に示す。制御部23は、歩行者83が横断歩道85を横断するとき、歩行者の進行方向側の歩道に位置するとともに、横断歩道85の幅方向84´において歩行者83の位置に対応するスピーカを出力用として選定する。歩行者83の位置に対応するスピーカ41は、歩行者83の位置を示す座標を中心に、幅方向84´に20~40cm程度の幅に位置するスピーカ41である。例えば、図8Bに示すように、歩行者83が横断歩道85の幅方向84´において、左端寄りに位置して横断歩道85を横断する場合、制御部23は、歩道82の側で幅方向84´において歩行者83の位置に対応するスピーカ41bを出力用として選定する。また、図8Cに示すように、歩行者83が横断歩道85の幅方向84´において、中央寄りに位置して横断歩道85を横断する場合、制御部23は、歩道82の側で幅方向84´において歩行者83の位置に対応するスピーカ41cを出力用として選定する。
【0061】
ステップS1010において、制御部23は、出力用として選定したスピーカ41の制御装置42を含むスピーカ装置13に向けて、誘導情報を送出する。誘導情報には、音声出力すべき誘導用の文言(以下、誘導文言)とその誘導文言を音声出力するための指示、スピーカ41の指向方向を指示する情報等が含まれる。制御部23は、歩行者83の位置に向けて指向性を制御するための指示と、歩行者83の位置に応じた誘導文言を生成する。例えば、制御部23は、歩行者83が歩道81を移動しているときには、横断歩道85までの距離を導出して、「〇〇メートル先に横断歩道があります」などと、横断歩道85までの距離を伝えるような誘導文言を生成する。また、制御部23は、歩行者83が横断歩道85の一端に位置するときには、「横断歩道です」などと、横断歩道85に到達したことを伝えるような誘導文言を生成する。さらに、制御部23は、歩行者83が横断歩道85を横断する前に、車両16が任意の基準距離より横断歩道85に接近していれば、「車が近づいていますので、渡らないでください」、「車が横断歩道に進入していますので通り過ぎるまでまってください」などと、車両16との干渉を回避するよう注意を促す誘導文言を生成する。さらに、制御部23は、歩行者83が横断歩道85を横断するときには、反対側の歩道81までの距離を導出して、「あと〇〇メートルで歩道です」などと、反対側の歩道81までの距離を伝えるような誘導文言を生成する。さらに、制御部23は、歩行者83が横断歩道85の他の一端に到達したときには、「横断が完了しました」などと、横断が完了したことを伝えるような誘導文言を生成する。このような誘導文言は、例えば、歩行者83の位置に応じた状況毎に、予め記憶部22に格納されていてもよい。
【0062】
ステップS1012において、制御部23は、特定した制御対象の車両16に向けて、制御情報を送出する。制御部23は、車両16毎に制御情報を生成する。制御情報には、運転者に対し音声出力すべき文言(以下、注意文言という)とその注意文言を音声出力するための指示が含まれる。制御部23は、歩行者83の位置と車両16の位置とに応じた注意文言を生成する。例えば、制御部23は、歩行者83が歩道81の一端に位置しており、車両16が横断歩道に接近しているときには、横断歩道85までの距離を導出して、「〇〇メートル先の横断歩道を歩行者が渡りますので、一時停止してください」などと、横断歩道85までの距離を伝えるとともに、一時停止を促すような注意文言を生成する。あるいは、制御部23は、歩行者83が歩道81の一端に位置しており、車両16が渋滞により横断歩道に進入した状態で停止しているときには、「横断歩道を歩行者が渡りますので、前進して横断歩道を空けてください」などと、横断歩道85から移動させるような注意文言を生成する。このような注意文言は、例えば、歩行者83の位置に応じた状況毎に、予め記憶部22に格納されていてもよい。車両16が自動運転される場合には、制御情報は、注意文言の代わりに、注意文言で示唆されるような動作を車両16が実行するための指示を含んでもよい。
【0063】
ステップS1010、S1012に対応して、図9BのステップS916、S924が実行される。
【0064】
ステップS916において、サーバ装置10の制御部23は、通信部21を介して、誘導情報をスピーカ装置13へ送る。スピーカ装置13の制御装置42は、誘導情報を受ける。そして、ステップS918において、スピーカ装置13は、誘導音声を出力する。制御装置42は、誘導情報により指定される指向方向にスピーカ41の指向性を向けて、スピーカ41に誘導文言を音声ビームとして出力させる。例えば、図8Bに示すように、スピーカ41bは、歩道82の側から歩道81の側へ向けて、音声ビーム86を出力する。また、図8Cに示すように、スピーカ41cは、歩道82の側から歩道81の側へ向けて、音声ビーム86を出力する。いずれの場合も、歩行者83は、進行方向前方から音声ビーム86を受けることで、音声ビーム86に含まれる誘導文言を聞いて、歩道82の側への横断の誘導を受けることが可能となる。
【0065】
さらに、ステップS924において、サーバ装置10の制御部23は、車両16へ向けて制御情報を送る。車両16の制御部73は、通信部71により制御情報を受ける。そして、ステップS926において、車両16は、注意音声を出力する。制御部73は、出力部76のスピーカに注意文言を音声出力させる。あるいは、車両16が自動運転される場合には、制御部73は、制御情報に応じて車両16を制御する。
【0066】
図10に戻ると、ステップS1016において、制御部23は、誘導が完了したかを判断する。制御部23は、歩行者63の位置の推移から、歩行者の現在位置が横断歩道85を横断した端部にあるときは、誘導完了と判断し(Yes)、処理を終了する。一方、制御部23は、歩行者の位置の推移から、横断歩道85を横断する前又は横断途中であるときは、誘導が未完了と判断し(No)、ステップS1020において、端末装置12の位置情報を取得する。
【0067】
ステップS1020に対応して、図9BのステップS934、S936が実行される。
【0068】
ステップS934において、サーバ装置10の制御部23は、通信部21を介して、位置情報の要求を端末装置12へ送る。端末装置12の制御部33は、位置情報の要求を受ける。そして、ステップS936において、端末装置12は、位置情報をサーバ装置10へ送る。制御部33は、測位部34により取得した現在位置を示す位置情報を、通信部31を介してサーバ装置10へ送る。サーバ装置10の制御部23は、通信部21を介して、位置情報を受ける。
【0069】
図10に戻ると、サーバ装置10の制御部23は、新たに取得した端末装置12の位置情報を用いて、ステップS1006に戻る。そして、制御部23は、ステップS1016において誘導完了と判断するまで、ステップS1006以降を実行する。
【0070】
上述した情報提供システム1の動作において、車両16の制御を適宜省略し、歩行者の誘導にかかる制御を実行する場合も、本実施形態の範囲に含まれる。
【0071】
上述した実施形態によれば、横断歩道を横断する歩行者をより安全に誘導することが可能となる。例えば、歩行者が視覚障がい等により横断歩道を視認できない場合であっても、音声出力される誘導情報を受けることで、車道をより安全に横断することが可能となる。
【0072】
また、スピーカ41の指向性が所定の方向に固定されていたとしても、車道80をはさんで対向する歩道の側へ指向性を向けてスピーカ41を設置することで、歩行者83が横断するときに歩行者83の移動方向に略平行な音声ビームによって歩行者83を誘導することが可能となる。よって、情報提供システム1によれば、歩行者による車道の横断を比較的簡便な構成により支援することが可能となる。
【0073】
<変形例>
図11A~12Bは、変形例について説明するための図である。
【0074】
図11A~11Cは、図8Bの変形例を示す。この変形例では、歩行者83に加え、別の歩行者83bが横断歩道85を渡る場合が示される。
【0075】
図11Aは、歩行者83が横断歩道85を歩道81の側から歩道82の側へ横断するときに、歩行者83とは別の位置で、歩行者83aが横断歩道85を歩道81の側から歩道82の側へ横断する場合が示される。このとき、サーバ装置10の制御部23は、図9Bの手順を歩行者83、83aそれぞれについて実行する。そして、制御部23は、図9BステップS914において、歩道82の側で歩行者83aの位置に対応するスピーカ41dを更に出力用として選定する。そして、ステップS914~S918が実行されて、スピーカ41dから、更に、音声ビーム86dが出力される。歩行者83aは、進行方向前方から音声ビーム86dを受けることで、音声ビーム86dに含まれる誘導文言を聞いて、歩道82の側への横断の誘導を受けることが可能となる。このように、複数の歩行者が横断する場合、それぞれの歩行者の位置において、互いに略平行な音声ビームが出力されて、歩行者毎に横断の誘導が行われる。
【0076】
図11Bは、歩行者83が横断歩道85を歩道81の側から歩道82の側へ横断するときに、歩行者83とは別の位置で、歩行者83bが横断歩道85を歩道82の側から歩道81の側へ横断する場合が示される。このとき、サーバ装置10の制御部23は、図9Bの手順を歩行者83、83bそれぞれについて実行する。そして、制御部23は、図9BステップS914において、歩道81の側で歩行者83bの位置に対応するスピーカ41eを更に出力用として選定する。そして、ステップS914~S918が実行されて、スピーカ41dから、更に、音声ビーム86eが出力される。歩行者83bは、進行方向前方から音声ビーム86eを受けることで、音声ビーム86eに含まれる誘導文言を聞いて、歩道82の側への横断の誘導を受けることが可能となる。このように、複数の歩行者が互いに対向して横断する場合、それぞれの歩行者の位置において、互いに略平行な音声ビームが対向する向きに出力されて、歩行者毎に横断の誘導が行われる。
【0077】
図11Cは、図11Bの更なる変形例を示す。通行量が多い街区では、多数の歩行者が同時に横断歩道を渡る場合がある。図11Cの例は、街区の通行量に応じて音声ビームを出力する範囲を調整する例である。ここでは、例えば、右側通行を前提として、制御部23は、図9BステップS914において、歩道82の側で歩行者83の位置に対応する範囲を広げてスピーカ41bを出力用として選定、一方、歩道81の側で歩行者83bの位置に対応する範囲を広げてスピーカ41eを出力用として選定する。これにより、横断歩道85は、音声ビーム86が出力される範囲と、音声ビーム86eが出力される範囲とに分割される。そうすることで、歩行者83、83bをある程度幅のある進路において誘導するとともに、他の歩行者、更には、視覚障がいを有さない歩行者に対する誘導も実行することが可能となる。
【0078】
図12A、12Bは、図11Cの更なる変形例であって、制御部23が、横断歩道85の周辺の状況又は日時によって音声ビームの範囲を変更する例について示す。
【0079】
図12Aは、横断歩道85が対向する音声ビーム86、86eの範囲に分割される別の例を示す。この例では、音声ビーム86が出力される範囲が横断歩道85の左右に分割され、音声ビーム86eが出力される範囲が横断歩道85の中央に配置される。制御部23は、例えば、街区における人流の特性を加味して、音声ビーム86、86eの範囲の配置を変更する。例えば、歩道82の側の横断歩道85の中央付近に大規模な建物の出口、交通機関の出口等が位置しており、歩道81の側へ向かう大量の人流が発生する蓋然性が高い場合がある。かかる場合において、歩道82の側から歩道81の側へ横断歩道85の中央付近を渡る歩行者と、歩道81の側から歩道82の側へ横断歩道85の左右端部付近を渡る歩行者とをそれぞれ誘導する際に、制御部23は、図12Aのような音声ビームの配置とすることで、より円滑に歩行者を誘導することが可能となる。このような人流の特性は、予め地図情報に対応付けて記憶部22に格納される。横断歩道85を設定する候補地において、歩道の任意の地点毎に、発生が予想される人流が予めスコア化されていてもよい。制御部23は、例えば、他の地点より大量の人流発生が予想される地点には、優先的にその地点に向けた音声ビームが出力されるように、出力用のスピーカ41を選定する。
【0080】
図12Bは、音声ビーム86が出力される範囲より、音声ビーム86eが出力される範囲の方が大きい場合が示される。制御部23は、例えば、街区における人流の時間帯特性、曜日特性を加味して、音声ビームの範囲の大きさを変更する。例えば、歩道81の側に交通機関の入り口が位置している場合に、通勤時間帯は歩道82の側から歩道81の側へ他の時間帯より多くの人流が予想されるので、制御部23は、歩道82の側から歩道81の側へ横断する歩行者を誘導するための音声ビーム86eの範囲をより大きくする。あるいは、歩道81の側に商業施設の入り口が位置している場合に、週末は歩道82の側から歩道81の側へ他の曜日より多くの人流が予想されるので、制御部23は、歩道82の側から歩道81の側へ横断する歩行者を誘導するための音声ビーム86eの範囲をより広くする。歩道82の側から歩道81の側へ横断歩道85の右端付近を渡る歩行者と、歩道81の側から歩道82の側へ横断歩道85の左端付近を渡る歩行者とをそれぞれ誘導する際に、制御部23は、図12Bのような音声ビームの配置とすることで、より円滑に歩行者を誘導することが可能となる。このような人流の特性は、予め地図情報に対応付けて記憶部22に格納される。横断歩道85を設定する候補地において、歩道の地点毎、時間帯毎又は曜日毎に発生が予想される人流が予めスコア化されていてもよい。制御部23は、例えば、他の時間帯、曜日より大量の人流発生が予想される地点には、優先的にその地点に向けた音声ビームが出力されるように、出力用のスピーカ41を選定する。
【0081】
上述の変形例によれば、より適切に歩行者の横断を誘導することが可能となる。よって、情報提供システム1により、利便性向上に資することが可能となる。
【0082】
上述の実施形態において、歩道81、82の間を横断する歩行者の、数、位置、移動方向、並びにこれに対応して出力される音声ビームの配置は例示であって、種々の態様が可能である。例えば、音声ビームの範囲が分割される数、配置等、種々の態様が可能である。
【0083】
上述の実施形態において、端末装置12の制御部33の動作を規定する処理・制御プログラムは、サーバ装置10の記憶部22又は他のサーバ装置の記憶部に記憶されていて、ネットワーク11経由で端末装置12にダウンロードされてもよいし、端末装置12に読取り可能な非一過性の記録・記憶媒体に格納され、端末装置12が媒体から読み取ってもよい。
【0084】
上記において、実施形態を諸図面及び実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形及び修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形及び修正は本開示の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各手段、各ステップ等に含まれる機能等は論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段、ステップ等を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【符号の説明】
【0085】
1 情報提供システム
10 サーバ装置
11 ネットワーク
12 端末装置
13 撮像装置
14 スピーカ装置
15 床材
16 車両
20、31、71 通信部
21、32、72 記憶部
22、33、75 制御部
34、74 測位部
25、35、75 入力部
26、36、76 出力部
41 スピーカ
42、52、62 制御装置
51 カメラ
60 発光部
61 荷重センサ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9A
図9B
図10
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B