(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0283 20230101AFI20241016BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20241016BHJP
【FI】
G06Q30/0283
G06Q50/10
(21)【出願番号】P 2021159572
(22)【出願日】2021-09-29
【審査請求日】2023-10-26
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】石河 雄太
(72)【発明者】
【氏名】中川 修士
【審査官】阿部 潤
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-91244(JP,A)
【文献】特開2021-68334(JP,A)
【文献】国際公開第2020/039222(WO,A1)
【文献】特開2020-189599(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得
し、前記車両の空気調和装置が運転されていることを示す情報を前記車両から取得する取得部と、
前記車両の空気調和装置が運転されている際の前記車両の室内の臭いの種別毎の強度と、臭いの種別及び臭いの強度の組みに応じた減価係数とに基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項2】
車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得する取得部と、
前記車両の空気調和装置を外気導入モードで運転させるコマンドと、前記車両の窓を閉めさせるコマンドと、を前記車両に送信し、前記車両の空気調和装置が外気導入モードで運転されている際の前記車両の室内の臭いの種別毎の強度と、臭いの種別及び臭いの強度の組みに応じた減価係数とに基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する制御部と、
を有する情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、第1種別の臭いを第1感度で検出し第2種別の臭いを第2感度で検出する第1センサからの出力と、前記第1種別の臭いを第3感度で検出し前記第2種別の臭いを第4感度で検出する第2センサからの出力とに基づいて、前記第1種別の臭いの強度と前記第2種別の臭いの強度とをそれぞれ算出する、
請求項1
または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記取得部により取得された情報に基づいて、特定種別の臭いの強度が閾値以上である場合、前記特定種別を示す情報を通知させる、
請求項1
から3のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記車両に対する清掃の内容を決定する、
請求項1から
4のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記車両の清掃後の前記車両の価値に関する額を推定する
請求項1から
5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記制御部は、前記取得部により取得された情報と、前記車両の車種とに基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する、
請求項1から
6のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
情報処理装置が、
車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得
し、前記車両の空気調和装置が運転されていることを示す情報を前記車両から取得し、
前記車両の空気調和装置が運転されている際の前記車両の室内の臭いの種別毎の強度と、臭いの種別及び臭いの強度の組みに応じた減価係数とに基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する、
情報処理方法。
【請求項9】
情報処理装置が、
車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得し、
前記車両の空気調和装置を外気導入モードで運転させるコマンドと、前記車両の窓を閉めさせるコマンドと、を前記車両に送信し、前記車両の空気調和装置が外気導入モードで運転されている際の前記車両の室内の臭いの種別毎の強度と、臭いの種別及び臭いの強度の組みに応じた減価係数とに基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する、
情報処理方法。
【請求項10】
車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得
し、前記車両の空気調和装置が運転されていることを示す情報を前記車両から取得し、
前記車両の空気調和装置が運転されている際の前記車両の室内の臭いの種別毎の強度と、臭いの種別及び臭いの強度の組みに応じた減価係数とに基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【請求項11】
車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得し、
前記車両の空気調和装置を外気導入モードで運転させるコマンドと、前記車両の窓を閉めさせるコマンドと、を前記車両に送信し、前記車両の空気調和装置が外気導入モードで運転されている際の前記車両の室内の臭いの種別毎の強度と、臭いの種別及び臭いの強度の組みに応じた減価係数とに基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する、
処理をコンピュータに実行させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、中古車両の査定を行うシステムが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来技術では、例えば、中古車両の査定を適切に行えない場合がある。
【0005】
本開示の目的は、中古車両の査定を適切に行うことができる情報処理装置、情報処理方法、及びプログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る第1の態様では、情報処理装置が、車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得する取得部と、前記取得部により取得された情報に基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する制御部と、を有する。
【0007】
また、本開示に係る第2の態様では、車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する、情報処理方法が提供される。
【0008】
また、本開示に係る第3の態様では、車両の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得し、取得した情報に基づいて、前記車両の価値に関する額を算出する、処理をコンピュータに実行させるプログラムが提供される。
【発明の効果】
【0009】
一側面によれば、中古車両の査定を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態に係る査定システム1の構成例を示す図である。
【
図2】実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成例を示す図である。
【
図3】実施形態に係るサーバ10の構成の一例を示す図である。
【
図4】実施形態に係るサーバ10の処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】実施形態に係るセンサ感度DB501の一例を示す図である。
【
図6】実施形態に係る車両基準額DB601の一例を示すである。
【
図7】実施形態に係る現況減価額DB701の一例を示すである。
【
図8】実施形態に係る臭い減額DB801の一例を示すである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示の原理は、いくつかの例示的な実施形態を参照して説明される。これらの実施形態は、例示のみを目的として記載されており、本開示の範囲に関する制限を示唆することなく、当業者が本開示を理解および実施するのを助けることを理解されたい。本明細書で説明される開示は、以下で説明されるもの以外の様々な方法で実装される。
以下の説明および特許請求の範囲において、他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態を説明する。
【0012】
<システム構成>
図1を参照し、実施形態に係る査定システム1の構成について説明する。
図1は、実施形態に係る査定システム1の構成例を示す図である。
図1の例では、査定システム1は、臭い検出装置20、査定端末30、車両40、及びサーバ10を有する。なお、臭い検出装置20、査定端末30、車両40、及びサーバ10の数は
図1の例に限定されない。なお、臭い検出装置20、査定端末30、及びサーバ10のそれぞれは、「情報処理装置」の一例である。
【0013】
図1の例では、臭い検出装置20、査定端末30、車両40、及びサーバ10は、ネットワークNにより通信できるように接続されている。ネットワークNの例には、例えば、バス、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)等の近距離無線通信、LAN(Local Area Network)、無線LAN、インターネット、及び移動通信システム等が含まれる。移動通信システムの例には、例えば、第5世代移動通信システム(5G)、第4世代移動通信システム(4G)、第3世代移動通信システム(3G)等が含まれる。
【0014】
なお、臭い検出装置20、査定端末30、及びサーバ10のうちの少なくとも2以上の装置を、一体の装置として構成されてもよい。このように構成された装置も、本開示の「情報処理装置」の例に含まれる。この場合、例えば、臭い検出装置20と査定端末30とが一体の装置として構成されてもよい。また、例えば、査定端末30とサーバ10とが一体の装置として構成されてもよい。また、例えば、臭い検出装置20、査定端末30、及びサーバ10が一体の装置として構成されてもよい。
【0015】
臭い検出装置20は、臭いセンサを有する装置である。臭い検出装置20は、例えば、中古車両40の査定作業が行われる際に、査定作業の担当者により、査定対象の車両40の室内に設置されてもよい。臭い検出装置20は、臭いセンサで検出された情報に基づく臭い情報を、査定端末30に送信する。
【0016】
査定端末30は、例えば、中古車両40の査定作業を行う担当者が利用する端末である。査定端末30は、例えば、タブレット、スマートフォン、またはノートPC(パーソナルコンピュータ)等の端末でもよい。査定端末30は、例えば、査定対象の車両40の車種及び年式等の車両情報と、車両40の傷、へこみ、及び汚れ等の現況情報との入力を担当者から受け付けてもよい。また、査定端末30は、査定対象の車両40の室内(車室内)の臭い情報を臭い検出装置20から取得してもよい。そして、査定端末30は、車両情報、現況情報、及び臭い情報をサーバ10に送信してもよい。
【0017】
サーバ10は、サーバ用のコンピュータ、タブレット、スマートフォン、またはノートPC等でもよい。サーバ10は、査定端末30から取得した情報に基づき、査定対象の車両40の価値(査定額、買い取り額)を算出して査定端末30に表示させる。
【0018】
<ハードウェア構成>
図2は、実施形態に係るサーバ10のハードウェア構成例を示す図である。
図2の例では、サーバ10(コンピュータ100)は、プロセッサ101、メモリ102、通信インターフェイス103を含む。これら各部は、バス等により接続されてもよい。メモリ102は、プログラム104の少なくとも一部を格納する。通信インターフェイス103は、他のネットワーク要素との通信に必要なインターフェイスを含む。
【0019】
プログラム104が、プロセッサ101及びメモリ102等の協働により実行されると、コンピュータ100により本開示の実施形態の少なくとも一部の処理が行われる。メモリ102は、ローカル技術ネットワークに適した任意のタイプのものであってもよい。メモリ102は、非限定的な例として、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体でもよい。また、メモリ102は、半導体ベースのメモリデバイス、磁気メモリデバイスおよびシステム、光学メモリデバイスおよびシステム、固定メモリおよびリムーバブルメモリなどの任意の適切なデータストレージ技術を使用して実装されてもよい。コンピュータ100には1つのメモリ102のみが示されているが、コンピュータ100にはいくつかの物理的に異なるメモリモジュールが存在してもよい。プロセッサ101は、任意のタイプのものであってよい。プロセッサ101は、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、マイクロプロセッサ、デジタル信号プロセッサ(DSP:Digital Signal Processor)、および非限定的な例としてマルチコアプロセッサアーキテクチャに基づくプロセッサの1つ以上を含んでよい。コンピュータ100は、メインプロセッサを同期させるクロックに時間的に従属する特定用途向け集積回路チップなどの複数のプロセッサを有してもよい。
【0020】
本開示の実施形態は、ハードウェアまたは専用回路、ソフトウェア、ロジックまたはそれらの任意の組み合わせで実装され得る。いくつかの態様はハードウェアで実装されてもよく、一方、他の態様はコントローラ、マイクロプロセッサまたは他のコンピューティングデバイスによって実行され得るファームウェアまたはソフトウェアで実装されてもよい。
【0021】
本開示はまた、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体に有形に記憶された少なくとも1つのコンピュータプログラム製品を提供する。コンピュータプログラム製品は、プログラムモジュールに含まれる命令などのコンピュータ実行可能命令を含み、対象の実プロセッサまたは仮想プロセッサ上のデバイスで実行され、本開示のプロセスまたは方法を実行する。プログラムモジュールには、特定のタスクを実行したり、特定の抽象データ型を実装したりするルーチン、プログラム、ライブラリ、オブジェクト、クラス、コンポーネント、データ構造などが含まれる。プログラムモジュールの機能は、様々な実施形態で望まれるようにプログラムモジュール間で結合または分割されてもよい。プログラムモジュールのマシン実行可能命令は、ローカルまたは分散デバイス内で実行できる。分散デバイスでは、プログラムモジュールはローカルとリモートの両方のストレージメディアに配置できる。
【0022】
本開示の方法を実行するためのプログラムコードは、1つ以上のプログラミング言語の任意の組み合わせで書かれてもよい。これらのプログラムコードは、汎用コンピュータ、専用コンピュータ、またはその他のプログラム可能なデータ処理装置のプロセッサまたはコントローラに提供される。プログラムコードがプロセッサまたはコントローラによって実行されると、フローチャートおよび/または実装するブロック図内の機能/動作が実行される。プログラムコードは、完全にマシン上で実行され、一部はマシン上で、スタンドアロンソフトウェアパッケージとして、一部はマシン上で、一部はリモートマシン上で、または完全にリモートマシンまたはサーバ上で実行される。
【0023】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例には、磁気記録媒体、光磁気記録媒体、光ディスク媒体、半導体メモリ等が含まれる。磁気記録媒体には、例えば、フレキシブルディスク、磁気テープ、ハードディスクドライブ等が含まれる。光磁気記録媒体には、例えば、光磁気ディスク等が含まれる。光ディスク媒体には、例えば、ブルーレイディスク、CD(Compact Disc)-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)、CD-RW(ReWritable)等が含まれる。半導体メモリには、例えば、ソリッドステートドライブ、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory)等が含まれる。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体によってコンピュータに供給されてもよい。一時的なコンピュータ可読媒体の例は、電気信号、光信号、及び電磁波を含む。一時的なコンピュータ可読媒体は、電線及び光ファイバ等の有線通信路、又は無線通信路を介して、プログラムをコンピュータに供給できる。
【0024】
<構成>
図3を参照し、実施形態に係るサーバ10の構成について説明する。
図3は、実施形態に係るサーバ10の構成の一例を示す図である。
図3の例では、サーバ10は、取得部11、制御部12、及び出力部13を有する。これら各部は、サーバ10にインストールされた1以上のプログラムと、サーバ10のプロセッサ101、及びメモリ102等のハードウェアとの協働により実現されてもよい。
【0025】
取得部11は、サーバ10内部の記憶部、または外部装置から各種の情報を取得する。取得部11は、例えば、車両40の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報を取得する。
【0026】
制御部12は、取得部11により取得された情報に基づいて、車両40の価値に関する額等を算出する。出力部13は、制御部12により算出された、車両40の価値に関する額等に基づく情報を出力する。
【0027】
<処理>
次に、
図4から
図8を参照し、実施形態に係るサーバ10の処理の一例について説明する。
図4は、実施形態に係るサーバ10の処理の一例を示すフローチャートである。
図5は、実施形態に係るセンサ感度DB(データベース)501の一例を示すである。
図6は、実施形態に係る車両基準額DB601の一例を示すである。
図7は、実施形態に係る現況減価額DB701の一例を示すである。
図8は、実施形態に係る臭い減額DB801の一例を示すである。
【0028】
ステップS1において、サーバ10の取得部11は、臭い検出装置20で検出された臭い情報と、査定端末30に入力された車両情報及び現況情報とを取得する。臭い情報には、車両40の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報が含まれている。なお、臭いの種別には、たばこ臭、ペット臭、カビ臭、芳香剤臭等の種別が含まれてもよい。
【0029】
車両40の室内の臭いの種別毎の強度を示す情報には、臭い検出装置20が有する、各種別の臭いに対する感度がそれぞれ異なる各センサでの出力値(検出値)が含まれていてもよい。そして、サーバ10の制御部12は、センサ感度DB501に記録されている各センサの各臭いの種別に対する感度の情報と、取得部11により取得された各センサでの出力値とに基づいて、各種別の臭いの強度をそれぞれ算出してもよい。なお、
図5のセンサ感度DB501は、サーバ10の内部の記憶装置に記録されていてもよいし、DBサーバ等の外部装置に記録されていてもよい。
図5のセンサ感度DB501のデータは、管理者(オペレータ)等により予め記録(登録、設定)されている。
【0030】
図5の例では、センサ感度DB501には、センサIDと臭いの種別との組に対応付けて、センサ感度の情報が登録されている。センサIDは、臭い検出装置20が有するセンサの識別情報である。センサ感度は、各種別の臭いの気体がセンサに接触した際にセンサから出力される値の大きさの度合いである。
図5の例では、たばこ臭を有する所定濃度の気体にセンサAが接触した際にはセンサAからの出力値(信号強度)は20となり、当該気体にセンサBが接触した際にはセンサBからの出力値は40となることが示されている。また、ペット臭を有する所定濃度の気体にセンサAが接触した際にはセンサAからの出力値は30となり、当該気体にセンサBが接触した際にはセンサBからの出力値は10となることが示されている。
図5のセンサ感度DB501のデータは、例えば、メーカまたは機種が異なる各センサに対する実機での実験結果に基づいて決定されてもよい。
【0031】
なお、臭い検出装置20が有する、各種別の臭いに対する感度がそれぞれ異なるセンサの数は、判定対象とする臭いの種別の数よりも多くともよい。この場合、サーバ10の制御部12は、取得した各センサでの出力値と、センサ感度DB501に記録されている各センサでの各臭いの種別に対する感度とに基づく連立方程式を解くことにより、臭いの種別毎の臭いの強度を算出できる。
【0032】
また、車両情報には、例えば、査定対象の車両40の車種及び年式等の情報が含まれてもよい。また、現況情報には、例えば、車両40の傷、へこみ、及び汚れ等を示す情報が含まれてもよい。
【0033】
続いて、サーバ10の制御部12は、取得部11により取得された情報に基づいて査定対象の車両40の査定額(「車両の価値に関する額」の一例。)等を算出する(ステップS2)。ここで、サーバ10は、例えば、
図6の車両基準額DB601、
図7の現況減価額DB701、及び
図8の臭い減額DB801を参照し、取得部11により取得された情報に基づいて査定対象の車両40の査定額等を算出してもよい。なお、
図6の車両基準額DB601、
図7の現況減価額DB701、及び
図8の臭い減額DB801のそれぞれは、サーバ10の内部の記憶装置に記録されていてもよいし、DBサーバ等の外部装置に記録されていてもよい。
図6の車両基準額DB601、
図7の現況減価額DB701、及び
図8の臭い減額DB801のデータは、管理者(オペレータ)等により予め記録(登録、設定)されている。
【0034】
図6の例では、車両基準額DB601には、車両の車種と年式との組みに対応付けて、基準額が登録されている。車両の車種には、例えば、車名(モデル名)が含まれてもよい。年式は、車両が製造された年、または国内で初めて登録された年でもよい。基準額は、当該車両の査定額の基準額である。
【0035】
図7の例では、現況減価額DB701には、車両の車種と車両の状態との組に対応付けて、減価額が登録されている。車両の状態には、例えば、車両の傷やへこみの程度を示す情報が含まれてもよい。減価額は、車両の査定の基準額からの減価額である。
【0036】
図8の例では、臭い減額DB801には、車両の車種、臭いの種別、及び臭いの強度の組みに対応付けて、減価係数、清掃メニュー、清掃費用、及び清掃後の減価係数が登録されている。減価係数は、車両の臭いによって本来の査定額から減額される割合である。減価係数が例えば0.9である場合、臭いによる減額が無い場合と比較して、本来の査定額に0.9が乗算されるため、本来の査定額から10%減額される。
清掃メニューは、車両の臭いを除去(低減)するために必要となる車両の室内の1以上の清掃内容(清掃方法)の組み合わせである。当該清掃方法には、例えば、室内の払拭、オゾン脱臭等が含まれる。清掃費用は、清掃メニューを実行することにより生じる費用(経費)である。清掃後の減価係数は、清掃メニューが実行された後の減価係数の予想値である。
【0037】
サーバ10は、まず、
図6の車両基準額DB601を参照し、取得部11により取得された車両40の車種と年式に応じた査定の基準額を抽出する。また、サーバ10は、
図7の現況減価額DB701を参照し、取得部11により取得された車両40の車種と車両40の状態に応じた査定の減価額を抽出する。また、サーバ10は、
図8の臭い減額DB801を参照し、取得部11により取得された車両40の車種と、臭いの種別毎の臭いの強度とに応じた、減価係数、清掃メニュー、清掃費用、及び清掃後の減価係数を抽出する。
【0038】
そして、サーバ10は、例えば、以下の式1のように、査定の基準額Kから査定の減価額Gを減算した値に、減価係数Gsを乗算した値を、査定額Sとして算出してもよい。
S=(K-G)×Gs ・・・(1)
【0039】
また、サーバ10は、例えば、以下の式2のように、査定の基準額Kから査定の減価額Gを減算した値に、清掃後の減価係数Gs2を乗算した値を、車両40の清掃後の予想査定額S2として算出してもよい。
S2=(K-G)×Gs2 ・・・(2)
【0040】
続いて、サーバ10の出力部13は、制御部12により算出された査定額、清掃メニュー、清掃費用、車両40の清掃後の予想査定額等を出力する(ステップS3)。ここで、サーバ10は、査定端末30または臭い検出装置20に査定額等を通知して画面に表示させてもよい。これにより、例えば、査定作業の担当者は、車両40の室内の臭いの種別毎の強度に応じた査定額を把握することができる。
【0041】
(特定種別の臭いを報知する例)
サーバ10の制御部12は、取得部11により取得された情報に基づいて、特定種別の臭いの強度が閾値以上である場合、当該特定種別を示す情報を出力部13から査定端末30または臭い検出装置20に通知させてもよい。これにより、例えば、査定作業の担当者が喫煙者であるためたばこ臭に気づきにくい等の場合でも、担当者に適切にたばこ臭の有無を知らせることができる。
【0042】
(車載エアコンが運転されている際の臭いを用いる例)
サーバ10は、車両40の空気調和装置(車載エアコン)が運転されている際の室内の臭いの種別毎の強度を用いて査定額等を算出してもよい。これにより、例えば、たばこ臭やペット臭が車載エアコンの空気の循環経路に染みついている場合でも、適切に査定等を行うことができる。
【0043】
この場合、サーバ10の取得部11は、車両40の空気調和装置が運転されていることを示す情報を車両40から取得してもよい。この場合、車両40は、空気調和装置を制御するECU(Electronic Control Unit)から、OTA(Over The Air)により空気調和装置の運転状態を示す情報を、臭い検出装置20等に通知してもよい。そして、臭い検出装置20は、空気調和装置の運転状態を示す情報と、臭いの情報とをサーバ10に送信してもよい。そして、サーバ10は、車両40の空気調和装置が運転されている際の車両40の室内の臭いの種別毎の強度に基づいて、車両の価値に関する額を算出してもよい。
【0044】
(車載エアコンを運転させて臭い測定する例)
サーバ10は、車両40の空気調和装置(車載エアコン)を運転させるように制御し、車載エアコンが運転されている際の室内の臭いの種別毎の強度を用いて査定額等を算出してもよい。これにより、例えば、たばこ臭やペット臭が車載エアコンの空気の循環経路に染みついている場合でも、適切に査定等を行うことができる。
【0045】
この場合、サーバ10は、臭い検出装置20を介したOTA等により、例えば、車両40の空気調和装置を外気導入モードで運転させるコマンドを、車両40の空気調和装置を制御するECUに送信してもよい。また、サーバ10は、臭い検出装置20を介したOTA等により、例えば、車両40の窓を閉めさせるコマンドを、車両40の窓を制御するECUに送信してもよい。そして、サーバ10は、車両40の空気調和装置が運転されている際の車両40の室内の臭いの種別毎の強度に基づいて、車両の価値に関する額を算出してもよい。
【0046】
<変形例>
サーバ10は、一つの筐体に含まれる装置でもよいが、本開示のサーバ10はこれに限定されない。サーバ10の各部は、例えば1以上のコンピュータにより構成されるクラウドコンピューティングにより実現されていてもよい。また、サーバ10の少なくとも一部の処理は、臭い検出装置20、査定端末30、及び車両40の少なくとも一つで実行されてもよい。また、サーバ10は、臭い検出装置20、査定端末30、及び車両40の少なくとも一つと一体の装置でもよい。これらのようなサーバ10についても、本開示の「情報処理装置」の一例に含まれる。
【0047】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 査定システム
10 サーバ
11 取得部
12 制御部
13 出力部
20 臭い検出装置
30 査定端末
40 車両