(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電力供給ユニット
(51)【国際特許分類】
H02J 7/00 20060101AFI20241016BHJP
H02H 7/00 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H02J7/00 S
H02H7/00 A
(21)【出願番号】P 2021191358
(22)【出願日】2021-11-25
【審査請求日】2023-09-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【氏名又は名称】矢作 和行
(74)【代理人】
【識別番号】100121991
【氏名又は名称】野々部 泰平
(74)【代理人】
【識別番号】100145595
【氏名又は名称】久保 貴則
(72)【発明者】
【氏名】岡本 圭介
(72)【発明者】
【氏名】城 貴洋
【審査官】宮本 秀一
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-038076(JP,A)
【文献】特開2020-129490(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M10/42-10/48
H02H5/00-7/00
H02H7/10-7/20
H02J7/00-7/12
H02J7/34-7/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
充電可能な電池と接続される電池端子部(72)と、
前記電池の電力供給対象である負荷が接続される出力端子部(73)と、
前記電池への充電を行う外部充電装置が接続される充電端子部(71)と、
前記充電端子部と第1配線(41,43)を介して接続される第1端子(212)と、前記電池端子部および前記出力端子部と第2配線(42,44)を介して接続される第2端子(213)とを含むリレー端子と、前記第1端子と前記第2端子とを接続状態および非接続状態とする接点(211,221)とを有した少なくとも一つのリレー(21,22)と、
前記リレーの温度に相関するリレー温度として、前記リレー端子と前記電池端子部との間の温度を検出する少なくとも一つの温度センサ(30)と、を備えている電力供給ユニット。
【請求項2】
前記第2配線は、前記第2端子と前記電池端子部とを繋ぐ主線(422,442)と、前記主線と前記出力端子部とを繋ぐ支線(423,443)とを有しており、
前記温度センサは、前記主線と前記支線との分岐箇所と、前記リレー端子との間に設けられており、前記リレー温度として、前記主線の温度を検出する請求項1に記載の電力供給ユニット。
【請求項3】
前記主線の端部には、前記第2端子と接続される主線端子部(421,441)が設けられており、
前記温度センサは、前記主線の一部である前記主線端子部に設けられており、前記主線の温度として、前記主線端子部の温度を検出する請求項2に記載の電力供給ユニット。
【請求項4】
前記第1配線は、前記第1端子と接続される充電側端子部(411,431)を有し、
前記温度センサは、前記充電側端子部に設けられており、前記リレー温度として、前記充電側端子部の温度を検出する請求項1に記載の電力供給ユニット。
【請求項5】
前記第1配線および前記第2配線は、板状部材であり、
前記板状部材に取り付けられた固定部材(90)をさらに備え、
前記温度センサは、前記固定部材で囲まれた状態で、前記第1配線または前記第2配線に固定されている請求項2~4のいずれか1項に記載の電力供給ユニット。
【請求項6】
前記固定部材は、前記板状部材に対する前記温度センサの位置を合わせる位置決部(91)を有している請求項5に記載の電力供給ユニット。
【請求項7】
前記リレー温度が入力され、前記接点を駆動して前記接続状態と前記非接続状態を切り替え制御する制御装置(10)をさらに備えている請求項1~6のいずれか1項に記載の電力供給ユニット。
【請求項8】
前記制御装置は、前記接点を駆動して前記接続状態として前記外部充電装置から前記電池への充電を行っている間に、前記リレー温度が閾値以上になると、充電電流を低下させる請求項7に記載の電力供給ユニット。
【請求項9】
前記制御装置は、前記第2配線における前記電池端子部と前記出力端子部とを繋ぐ部位に流れる駆動電流を制御するものであり、
前記制御装置は、前記接点を駆動して前記非接続状態として、少なくとも前記電池から前記負荷へ電力供給している場合、前記接点を駆動して前記接続状態とする際の前記リレー温度が設定温度以下になるように、前記駆動電流を制御する請求項7または8に記載の電力供給ユニット。
【請求項10】
二つの前記リレーと、二つの前記温度センサとを備えており、
二つの前記温度センサは、異なる前記リレーの温度に相関する前記リレー温度を検出し、
前記制御装置は、二つの前記温度センサで検出された前記リレー温度の温度差を算出する請求項7~9のいずれか1項に記載の電力供給ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電力供給ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
電力供給ユニットの一例として、特許文献1に開示された技術がある。特許文献1では、外部接続型充電器と、それを駆動用バッテリに断続する充電リレーを備えた電動車両において、メインリレー温度が放熱開始閾値以上になるとメインリレーと共に充電リレーをオン制御する。これにより、メインリレーの熱は、充電バスバのバッテリ側部から、充電リレーを経て、充電バスバの充電器側部へと伝わり、主に、この充電バスバの充電器側部から速やかに放熱される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1では、正極側メインリレー温度センサが正極メインリレーに設けられており、負極側メインリレー温度センサが負極メインリレーに設けられている。しかしながら、特許文献1では、各温度センサの取付位置に関して言及されていない。また、各リレーは、温度が高い部位と低い部位とが存在する。このため、特許文献1では、最も温度が高くなる部位の温度を検出できない可能性がある。
【0005】
開示される一つの目的は、リレーにおける高温となる部位の温度を検出できる電力供給ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ここに開示された電力供給ユニットは、
充電可能な電池と接続される電池端子部(72)と、
電池の電力供給対象である負荷が接続される出力端子部(73)と、
電池への充電を行う外部充電装置が接続される充電端子部(71)と、
充電端子部と第1配線(41,43)を介して接続される第1端子(212)と、電池端子部および出力端子部と第2配線(42,44)を介して接続される第2端子(213)とを含むリレー端子と、第1端子と第2端子とを接続状態および非接続状態とする接点(211,221)とを有した少なくとも一つのリレー(21,22)と、
リレーの温度に相関するリレー温度として、リレー端子と電池端子部との間の温度を検出する少なくとも一つの温度センサ(30)と、を備えていることを特徴とする。
【0007】
このように、電力供給ユニットは、リレー端子と電池端子部との間の温度をリレー温度として検出する温度センサを備えている。このため、電力供給ユニットは、電池への充電時、および電力供給対象への電力供給時に高温になる部位のリレー温度を検出できる。
【0008】
この明細書において開示された複数の態様は、それぞれの目的を達成するために、互いに異なる技術的手段を採用する。請求の範囲およびこの項に記載した括弧内の符号は、後述する実施形態の部分との対応関係を例示的に示すものであって、技術的範囲を限定することを意図するものではない。この明細書に開示される目的、特徴、および効果は、後続の詳細な説明、および添付の図面を参照することによってより明確になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】実施形態における電力供給ユニットの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】
図2のIII-III線に沿う断面図である。
【
図4】実施形態における電流経路を示すイメージである。
【
図5】実施形態における駆動電流抑制時のリレー温度を示すグラフである。
【
図6】実施形態における駆動電流抑制時のグラフである。
【
図7】実施形態における駆動電流抑制時の充電電流を示すグラフである。
【
図8】比較例におけるリレー温度を示すグラフである。
【
図9】比較例における充電電流を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下において、図面を参照しながら、本開示を実施するための形態を説明する。本実施形態では、電力供給ユニット100に適用した例を採用する。電力供給ユニット100は、車両に搭載可能に構成されている。しかしながら、本開示は、車両以外に搭載されるものであっても採用できる。
【0011】
なお、以下においては、互いに直交する3方向をX方向、Y方向、Z方向と示す。また、X方向とY方向とによって規定される平面をXY平面、X方向とZ方向とによって規定される平面をXZ平面、Y方向とZ方向とによって規定される平面をYZ平面と示す。
【0012】
<全体構成>
図1を用いて、電力供給ユニット100の全体構成に関して説明する。電力供給ユニット100は、外部に設けられた充電スタンド、車両に搭載されたバッテリ、および車両に搭載された負荷などと電気的に接続可能に構成されている。バッテリは、電池に相当する。
【0013】
充電スタンドは、車両のバッテリへの充電を行う装置である。充電スタンドは、車両の外部に設けられている。充電スタンドは、充電施設などに設けられている。よって、充電スタンドからバッテリへの充電は、電力供給ユニット100を介して行われる。充電スタンドは、外部充電装置に相当する。なお、以下においては、電気的に接続されていることを接続されていると記載する。
【0014】
本実施形態では、一例として、充電スタンドからバッテリへの充電を急速充電にて行う例を採用する。急速充電とは、短時間でバッテリを充電することを目的とし、バッテリに大電流を流すことで行わる充電方式である。急速充電は、直流電流で充電を行う。よって、本実施形態における充電は、DC(Direct Current)充電ともいえる。なお、大電流とは、普通充電よりも大きい電流である。短時間とは、普通充電よりも短い時間である。
【0015】
負荷は、バッテリから電力を供給する電力供給対象である。負荷は、インバータなどの電力変換装置、モータジェネレータやエアコンなどの車載機器などである。電力供給ユニット100には、少なくとも一つの負荷が接続されている。よって、バッテリから負荷への電力供給は、電力供給ユニット100を介して行われる。なお、本実施形態では、負荷の一例として、インバータを採用する。
【0016】
電力供給ユニット100は、主に、リレー21,22、温度センサ30、配線41~44、端子部71~73を備えている。さらに、電力供給ユニット100は、制御回路10、信号線51,52、DCDCコンバータ61、充電器62を備えていてもよい。これらの構成要素は、ベース80に実装されている。ベース80は、例えば樹脂を主成分として構成されている。ベース80は、例えば、XY平面に平行な矩形形状の外形を有したものを採用できる。電力供給ユニット100は、上記の構成要素がベース80に実装された状態でZ方向に厚みを有している。なお、DCDCコンバータ61と充電器62は、交流電源からの充電を行う場合に用いられる。
【0017】
電力供給ユニット100は、ベース80に構成要素が実装された状態で、筐体に収容されている。筐体は、アルミニウムなどの金属を主成分として構成されている。
図3の符号82は、金属筐体の一部を示している。なお、電力供給ユニット100は、筐体に収容されていなくてもよい。
【0018】
本実施形態では、一例として、高熱伝導性(低熱抵抗)の放熱部材81を備えた電力供給ユニット100を採用している。放熱部材81は、金属筐体82の一部と配線41~44の一部とに間に設けられている。また、放熱部材81は、金属筐体82と配線41~44の両方に接した状態で設けられている。例えば、
図2,
図3に示すように、放熱部材81は、配線41の一部であるN側主線422と金属筐体82との間に設けられている。これによって、電力供給ユニット100は、配線41~44の熱を、放熱部材81を介して金属筐体82から放熱することができる。しかしながら、電力供給ユニット100は、放熱部材81を備えていなくてもよい。
【0019】
電力供給ユニット100は、例えば、ベース80の一面側に制御回路10とリレー21,22とが実装され、反対面側にDCDCコンバータ61と充電器62とが実装されている。ベース80は、配線41~44がインサート成型されている。なお、
図2,
図3では、ベース80の図示を省略している。
【0020】
<制御回路>
制御回路10は、配線基板と、配線基板に実装されたCPUなどの処理装置と、配線基板に実装されたROMやRAMなどのメモリ装置などを備えている。制御回路10は、リレー21,22、温度センサ30、DCDCコンバータ61、充電器62などと接続されている。特に、制御回路10は、N側信号線51を介してN側リレー21と接続されている。制御回路10は、P側信号線52を介してP側リレー22と接続されている。また、制御回路10は、センサ信号線31を介して温度センサ30と接続されている。さらに、制御回路10は、車両に設けられた電子制御装置と接続されていてもよい。
【0021】
制御回路10は、電子制御装置からの指示などに応じて、CPUがROMに記憶されたプログラムを実行することで各種制御を行う。制御回路10は、例えば、リレー21,22の駆動制御や、充電スタンドからバッテリへ充電制御や、バッテリから負荷への駆動電流制御などを行う。制御回路10は、制御装置に相当する。
【0022】
制御回路10は、充電スタンドからバッテリへの充電を行う際にオン信号を出力することで、リレー21,22を駆動制御する。制御回路10は、充電スタンドからバッテリへの充電を行わない場合にオフ信号を出力、すなわちオン信号の出力を停止することで、リレー21,22を駆動制御する。よって、制御回路10は、車両が非走行中に限ってオン信号を出力する。
【0023】
また、制御回路10は、バッテリからインバータへ電力供給する際に、オフ信号を出力することで、リレー21,22を駆動制御している。さらに、制御回路10は、モータジェネレータの回生動作によってバッテリを充電する際に、オフ信号を出力することで、リレー21,22を駆動制御している。つまり、制御回路10は、車両走行中にオフ信号を出力する。なお、制御回路10は、充電スタンドからバッテリへの充電を行う状況でのみオン信号を出力し、その他の状況ではオフ信号を出力してもよい。制御回路10は、リレー21,22を制御して充電制御を行う。さらに、制御回路10は、温度センサ30からのセンサ信号に基づいて、充電制御および駆動電流制御を行う。なお、オン信号は、リレー21,22に対してオンを指示する指示信号である。オフ信号は、リレー21,22を対してオフを指示する指示信号である。
【0024】
なお、制御回路10が提供する手段および/または機能は、実体的なメモリ装置に記録されたソフトウェアおよびそれを実行するコンピュータ、ソフトウェアのみ、ハードウェアのみ、あるいはそれらの組合せによって提供することができる。例えば、制御回路10がハードウェアである電子回路によって提供される場合、それは多数の論理回路を含むデジタル回路、またはアナログ回路によって提供することができる。
【0025】
<リレーと端子部>
電力供給ユニット100は、低電位側のN側リレー21と高電位側のP側リレー22とを備えている。N側リレー21とP側リレー22は、同様の構成を有している。よって、ここでは、主にN側リレー21を用いて説明する。なお、本開示は、少なくとも一つのリレーを備えていればよい。また、各リレー21,22は、DCリレーともいえる。
【0026】
図1,
図3,
図4などに示すように、N側リレー21は、N側接点211、第1端子212、第2端子213などを備えている。N側リレー21は、N側接点211、第1端子212、第2端子213がリレー筐体内に収容されている。N側接点211は、端子212,213と接する位置と、端子212,213から離れた位置との間で移動可能に構成されている。
【0027】
第1端子212は、N側充電配線41を介して充電端子部71と接続されている。第2端子213は、N側兼用配線42を介して電池端子部72および出力端子部73と接続されている。
【0028】
N側接点211は、制御回路10によって駆動制御される。N側接点211は、制御回路10からオン信号が出力されると、端子212,213と接する位置に移動する。これによって、N側接点211は、第1端子212と第2端子213とを接続状態とする。N側リレー21は、N側接点211が第1端子212と第2端子213とを接続状態とすることで、N側接点211と第1端子212と第2端子213が導通状態となる。また、制御回路10は、N側接点211を駆動して接続状態として、充電スタンドからバッテリへの充電を行う。この導通状態(接続状態)は、リレーオン状態とも称する。
【0029】
また、N側接点211は、制御回路10からオフ信号が出力されると、端子212,213から離れた位置に移動する。これによって、N側接点211は、第1端子212と第2端子213とを非接続状態とする。N側リレー21は、N側接点211が第1端子212と第2端子213とを非接続状態とすることで、N側接点211と第1端子212と第2端子213が非導通状態となる。また、制御回路10は、N側接点211を駆動して非接続状態として、少なくともバッテリからインバータへ電力供給する。この非導通状態(非接続状態)は、リレーオフ状態とも称する。
【0030】
第1端子212は、
図4の一点鎖線で示すように、リレーオン状態で、充電スタンドとバッテリなどと接続されて電流(充電電流)が流れる。第1端子212は、リレーオン状態で、電流が流れることで発熱する。しかしながら、第1端子212は、リレーオフ状態で、バッテリなどと接続されない。このため、第1端子212は、リレーオフ状態では発熱しにくい。
【0031】
一方、第2端子213は、
図4の二点鎖線で示すように、リレーオン状態で、充電スタンドとバッテリなどと接続されて電流(充電電流)が流れる。よって、第2端子213は、第1端子212と同様に発熱する。また、第2端子213は、リレーオフ状態でもバッテリやインバータなどの負荷と接続されるため電流が流れる。なお、
図4の二点鎖線は、電池端子部72と出力端子部73との間での電流の流れのみを示している。
【0032】
また、第2端子213は、N側兼用配線42を介して、バッテリやインバータなどの負荷と接続されている。このN側兼用配線42やバッテリなどは、車両走行時に発熱する。このため、第2端子213は、リレーオフ状態であっても、発熱したりバッテリやN側兼用配線42から発せられた熱を受熱したりする。このように、第2端子213は、リレーオン状態に限らず、リレーオン状態以外でも発熱および受熱しやすい。言い換えると、第2端子213は、リレーオン状態以外でも高温になりやすい端子といえる。
【0033】
なお、P側リレー22は、N側リレー21と同様、二つの端子とP側接点221を備えている。P側リレー22の一方の端子は、P側充電配線43を介して充電端子部71と接続されている。P側リレー22の他方の端子は、P側兼用配線44を介して電池端子部72および出力端子部73と接続されている。
【0034】
P側リレー22の一方の端子は、第1端子およびリレー端子に相当する。P側リレー22の他方の端子は、第2端子およびリレー端子に相当する。端子212,213は、リレー端子に相当する。N側接点211とP側接点221は、接点に相当する。
【0035】
端子部71~73は、電力供給ユニット100と充電スタンド、バッテリ、インバータなどの外部機器とを電気的に接続するための部位である。端子部71~73は、例えば樹脂などを主成分とする端子ケースと、端子ケースに囲まれた導電性の部材の主成分とする端子とを有している。電力供給ユニット100は、構成要素が筐体に収容される構成の場合、端子部71~73の各端子が筐体の外部に露出される。
【0036】
充電端子部71は、充電スタンドが接続される部位である。詳述すると、充電端子部71は、充電スタンドにおける充電ケーブルの充電コネクタが接続される。また、充電端子部71は、充電コネクタが取り外し可能に接続される。電池端子部72は、バッテリと接続される部位である。出力端子部73は、バッテリの電力供給対象である負荷が接続される部位である。本実施形態では、一つの出力端子部73を備えた電力供給ユニット100を採用している。しかしながら、電力供給ユニット100は、複数の出力端子部73を備えていてもよい。
【0037】
<温度センサ>
温度センサ30は、温度に応じた電気信号であるセンサ信号を出力する。温度センサ30は、センサ信号線31を介して、制御回路10にセンサ信号を出力する。温度センサ30は、例えば、サーミスタなどを採用することができる。
【0038】
温度センサ30は、N側リレー21の温度に相関するリレー温度として、リレー端子212,213と電池端子部72との間の温度を検出する。センサ信号は、リレー温度を示す電気信号である。言い換えると、温度センサ30は、N側リレー21の温度を検出するために設けられている。また、温度センサ30は、充電スタンドによる充電中および走行中において、N側リレー21の温度が使用限界温度Th2を超えないように制御するために設けられている。
【0039】
本実施形態では、N側リレー21の温度を検出する温度センサ30のみを用いて説明する。しかしながら、電力供給ユニット100は、P側リレー22に相関する温度を検出する温度センサ30が設けられていてもよい。
【0040】
図2,
図3に示すように、温度センサ30は、後ほど説明するN側主線422とN側支線423との分岐箇所と、リレー端子212,213との間に設けられている。よって、温度センサ30は、リレー温度として、N側主線422の温度を検出する。つまり、温度センサ30は、リレー端子212,213と電池端子部72との間の温度として、N側主線422の温度を検出する。
【0041】
N側主線422は、リレーオン状態以外でも高温になりやすい第2端子213と接続されている。このため、温度センサ30は、N側リレー21の温度が使用限界温度Th2に達しているにもかかわらず、使用限界温度Th2よりも低い温度を示すセンサ信号を出力することを抑制できる。言い換えると、温度センサ30は、N側リレー21の温度を精度よく検出できる。
【0042】
また、温度センサ30は、N側主線422の一部である第2N端子部421に設けられている。第2N端子部421は、後ほど説明するように、ボルトb2でねじ止めされることで、第2端子213と接続される。つまり、第2N端子部421は、N側主線422における第2端子213に近い部位といえる。よって、温度センサ30は、N側リレー21の温度に相関するリレー温度として、N側リレー21の温度に近い温度を示すセンサ信号を出力できる。このため、温度センサ30は、N側リレー21の温度が使用限界温度Th2に達しているにもかかわらず、使用限界温度よりも低い温度を示すセンサ信号を出力することをより一層抑制できる。言い換えると、温度センサ30は、N側リレー21の温度をより一層精度よく検出できる。
【0043】
さらに、電力供給ユニット100は、N側リレー21の温度を精度よく検出できるため、第1端子212側と第2端子213側の両方に温度センサ30を設ける必要がない。このため、電力供給ユニット100は、第1端子212側と第2端子213側の両方に温度センサ30を設ける構成よりもコストを低減できる。
【0044】
なお、この温度センサ30の取付位置は、一例に過ぎない。温度センサ30の取付位置は、リレー端子212,213と電池端子部72との間の温度を検出できる位置であれば限定されない。
【0045】
温度センサ30は、ステー90を介して、第2N端子部421に固定されている。後ほど説明するが、配線41~44は、バスバで構成されている。よって、温度センサ30は、ステー90を介してバスバの一部である第2N端子部421に固定されているといえる。ステー90は、金属などを主成分として構成された導電性の部材である。ステー90は、固定部材に相当する。配線41~44は、板状部材に相当する。
【0046】
ステー90は、第2N端子部421に取り付けられている。ステー90は、例えば、ボルトb1によって、第2N端子部421に取り付けられている。また、ステー90は、第2N端子部421と共に、ボルトb1によって、N側リレー21に共締めされている。
【0047】
ステー90は、温度センサ30を囲う部位を有している。ステー90は、例えば、ステー90の一部を屈曲させて、温度センサ30を囲う部位が設けられている。温度センサ30は、ステー90と接しつつステー90に囲まれた状態で、第2N端子部421に固定されている。このため、温度センサ30は、第2N端子部421の温度が伝達されやすくなっている。よって、温度センサ30は、ステー90で囲まれていない場合よりも、N側リレー21の温度を精度よく検出できる。
【0048】
図2に示すように、ステー90は、N側主線422(第2N端子部421)に対する温度センサ30の位置を合わせる位置決部91を有している。位置決部91は、Z方向における温度センサ30の位置決めをする部位である。つまり、位置決部91は、第2N端子部421のZ方向における金属筐体82から遠い位置に、温度センサ30を配置させるために設けられている。
【0049】
例えば、位置決部91は、第2N端子部421の突部421aに接するように設けられている。突部421aは、第2N端子部421の先端側の部位に対してX方向に突出した部位である。また、位置決部91は、X方向の両端部を屈曲させて、第2N端子部421に巻き付けるように、言い換えると挟み込むように係合されている。これによって、位置決部91は、Z方向において温度センサ30を位置決めできる。また、位置決部91は、Z方向に沿う仮想軸を回転軸として温度センサ30が回転することを抑制できる。
【0050】
第2N端子部421は、N側主線422の一部である。N側主線422は、上記のように、金属筐体82との間に放熱部材81が設けられている。第2N端子部421は、Z方向において、金属筐体82から離れた部位よりも金属筐体82に近い部位の方が、金属筐体82に放熱されやすい。つまり、第2N端子部421は、Z方向において、金属筐体82に近い部位よりも、金属筐体82から離れた部位の方がN側リレー21の温度に近くなる。
【0051】
そして、位置決部91は、第2N端子部421のZ方向における金属筐体82から遠い位置に、温度センサ30を配置させるために設けられている。このため、温度センサ30は、金属筐体82に近い位置に設けられている場合よりも、N側リレー21の温度を精度よく検出できる。
【0052】
しかしながら、温度センサ30は、ステー90を介することなく、第2N端子部421に固定されていてもよい。また、温度センサ30は、金属筐体82から遠い位置に配置されていなくてもよい。
【0053】
<配線の構成>
図1~
図4に示すように、電力供給ユニット100は、N側リレー21に接続されるN側充電配線41およびN側兼用配線42と、P側リレー22に接続されるP側充電配線43とP側兼用配線44とを備えている。配線41~44は、バスバによって構成されている。
【0054】
N側充電配線41は、第1配線に相当する。N側充電配線41は、第1N端子部411とN側配線部412とを有している。第1N端子部411は、充電側端子部に相当する。N側配線部412は、例えばXY平面に沿う部位を有している。N側配線部412は、一端が充電端子部71に接続され、他端に第1N端子部411が設けられている。
【0055】
図2,
図4に示すように、第1N端子部411は、N側配線部412のXY平面に沿う部位に対してZ方向に屈曲した部位である。第1N端子部411は、導電性を有したボルトb1によってN側リレー21にねじ止めされている。ボルトb1は、第1端子212の雌ねじに螺合されている。第1N端子部411は、ボルトb1でねじ止めされることで、第1端子212と接続される。
【0056】
N側兼用配線42は、第2配線に相当する。N側兼用配線42は、N側主線422と、N側主線422から枝分かれしたN側支線423とを有している。
【0057】
N側主線422は、主線に相当する。N側主線422は、第2端子213と電池端子部72とを繋ぐ部位である。N側主線422は、例えばXY平面に沿う部位を有している。N側主線422は、一端が電池端子部72に接続され、他端に第2N端子部421が設けられている。第2N端子部421は、主線端子部に相当する。
【0058】
図2,
図4に示すように、第2N端子部421は、N側主線422のXY平面に沿う部位に対してZ方向に屈曲した部位である。第2N端子部421は、導電性を有したボルトb2によってN側リレー21にねじ止めされている。ボルトb2は、第2端子213の雌ねじに螺合されている。第2N端子部421は、ボルトb2でねじ止めされることで、第2端子213と接続される。
【0059】
図2の二点鎖線(矢印)で示すように、第2N端子部421は、Z方向において、第1N端子部411よりも長く設けられている。言い換えると、第2N端子部421は、延設部が設けられている。第2N端子部421は、温度センサ30を取り付けるために、延設部が設けられている。温度センサ30は、この延設部に取り付けられるため、N側リレー21のリレー筐体に取り付けられるよりも熱が伝わりやすい。よって、温度センサ30は、N側リレー21の温度を精度よく検出できる。
【0060】
N側支線423は、支線に相当する。N側支線423は、N側主線422と一体物として構成されていてもよいし、N側主線422とボルトなどで接続されていてもよい。N側支線423は、N側主線422と出力端子部73とを繋ぐ部位である。N側支線423は、一端が出力端子部73に接続され、他端がN側主線422と接続されている。N側支線423は、例えばXY平面に沿う部位を有している。N側兼用配線42は、複数のN側支線423がN側主線422から枝分かれしていてもよい。
【0061】
P側充電配線43は、第1配線に相当する。P側充電配線43は、第1P端子部431とP側配線部432とを有している。P側充電配線43は、接続先がP側リレー22である点が異なるが、その他の箇所はN側充電配線41と同様に構成されている。
【0062】
P側兼用配線44は、第2配線に相当する。P側兼用配線44は、P側主線442と、P側主線442から枝分かれしたP側支線443とを有している。P側兼用配線44は、接続先がP側リレー22である点が異なるが、その他の箇所はN側兼用配線42と同様に構成されている。P側主線442は、主線に相当する。P側主線442は、一端が電池端子部72に接続され、他端に第2P端子部441が設けられている。第2P端子部441は、主線端子部に相当する。P側支線443は、支線に相当する。
【0063】
<動作>
まず、
図8、
図9を用いて、比較例の電力供給ユニット(以下、単に比較例)の動作に関して説明する。比較例は、電力供給ユニット100と同様の構成を有している。しかしながら、比較例は、制御回路の動作が電力供給ユニット100と異なる。なお、ここでは、N側リレー21側のみを対象として説明する。しかしながら、P側リレー22側も同様である。
図8、
図9では、タイミングt0からタイミングt1に達するまでが車両走行時である(t0<t1)。そして、タイミングt1以降がDC充電時である(t1≦)。
【0064】
車両走行時、比較例の制御回路は、制御回路10と同様、オフ信号を出力して、N側リレー21をリレーオフ状態としている。しかしながら、比較例では、バッテリからインバータへ電力供給する際、および、モータジェネレータの回生動作によってバッテリを充電する際に、配線に電流が流れる。これによって、
図8のタイミングt0~t1に示すように、N側リレー21は、リレーオフ状態であっても温度が上昇する。
【0065】
そして、
図9のタイミングt1に示すように、比較例の制御回路は、車両が停車してDC充電を行う場合、充電電流が流れるようにN側リレー21をリレーオン状態とする。DC充電時は、充電スタンドからバッテリを充電する際にN側リレー21に充電電流が流れる。このため、リレー温度は、上昇する。
【0066】
特に、停車後すぐにDC充電を開始すると、走行時のリレー温度に対して、DC充電による発熱の温度が加わる。このため、リレー温度は、さらに高くなる。
【0067】
よって、
図8のタイミングt2に示すように、リレー温度は、使用限界温度Th2に達することがある。N側リレー21は、使用限界温度Th2を超えた状態でDC充電を継続させると不具合が生じる可能性がある。
【0068】
そこで、
図9のタイミングt2に示すように、比較例の制御回路は、DC充電時にリレー温度が使用限界温度Th2に達すると(超えると)、リレー温度を下げるようにN側リレー21を制御する。このとき、比較例の制御回路は、充電電流が小さくなるように、リレーオフ状態にするなどN側リレー21を制御する。このため、比較例では、DC充電に要する時間が長くなる。
【0069】
ここで、
図5、
図6、
図7を用いて、制御回路10の動作に関して説明する。
図5~
図7では、タイミングt0からタイミングt12に達するまでが車両走行時である(t0<t12)。そして、タイミングt12以降がDC充電時である(t12≦)。
【0070】
制御回路10は、充電時のN側リレー21の上昇温度を考慮し(予測や事前測定)、走行時におけるN側リレー21の目標温度Th1を設定する。制御回路10は、走行時は、目標温度Th1となるように駆動電流を制御する。駆動電流は、例えばインバータを駆動する際の電流である。
【0071】
図5、
図6のタイミングt11に示すように、制御回路10は、リレー温度が目標温度Th1に達すると、駆動電流を小さくするように制御する。つまり、制御回路10は、車両走行時、リレー温度が目標温度Th1となるように駆動電流を制御する。また、制御回路10は、N側兼用配線42における電池端子部72と出力端子部73とを繋ぐ部位に流れる駆動電流を制御するといえる。そして、制御回路10は、リレーオフ状態としている場合、N側接点211を駆動してリレーオン状態とする際のリレー温度が目標温度Th1以下になるように、駆動電流を制御するといえる。
【0072】
このように、制御回路10は、DC充電時のリレー温度が使用限界温度Th2に達しにくくするために、車両走行時にN側リレー21を制御する。制御回路10は、駆動電流を小さくすることでリレー温度を下げる。
【0073】
そして、
図5~
図7のタイミングt12に示すように、制御回路10は、車両が停車してDC充電を行う場合、充電電流が流れるようにN側リレー21をリレーオン状態とする。DC充電時は、充電スタンドからバッテリを充電する際にN側リレー21に電流が流れる。このため、リレー温度は、上昇する。
【0074】
しかしながら、制御回路10は、車両走行時にリレー温度が目標温度Th1より低くなるように制御している。このため、
図5のタイミングt13などに示すように、制御回路10は、DC充電時にリレー温度が使用限界温度Th2に達しにくくすることができる。よって、制御回路10は、DC充電時に充電電流を小さくする制御を行うことを減らすことができる。目標温度Th1は、設定温度に相当する。
【0075】
ところで、バッテリを所定充電量にするまでの充電時間は、その時の充電量(SOC)により異なる。そこで、制御回路10は、充電量に基づき目標温度Th1を設定する。言い換えると、制御回路10は、充電量に基づき目標温度Th1を補正する。
【0076】
これにより、制御回路10は、走行時の電流抑制量を最適にでき、駆動電流の抑制を低減できる。さらに、目標温度Th1は、雰囲気温度なお、充電時間に影響する他のパラメータを含めて設定することで走行時の抑制量をより最適にできる。SOCは、State Of Chargeの略称である。
【0077】
また、目標温度Th1は、ばらつきの影響が出ることがある。このため、制御回路10は、DC充電中は、その時のリレー温度に基づき充電電流を制御する。これによって、制御回路10は、精度よくリレー温度を制御でき、目標温度Th1の補正量を小さくできる。
【0078】
なお、リレー温度は、制御回路10によって駆動電流を抑制したとしても、使用限界温度Th2に達することもありうる。その場合、制御回路10は、比較例と同様、充電電流を下げてリレー温度が使用限界温度Th2よりも低くなるように制御する。また、閾値としての使用限界温度Th2は、仕様で決められているN側リレー21の仕様限界温度よりも低い温度であってもよい。使用限界温度Th2は、閾値に相当する。
【0079】
<効果>
このように、電力供給ユニット100は、リレー端子212、213と電池端子部72との間の温度をリレー温度として検出する温度センサ30を備えている。このため、電力供給ユニット100は、バッテリへの充電時、およびインバータへの電力供給時に高温になる部位のリレー温度を検出できる。
【0080】
また、電力供給ユニット100は、温度センサ30の取付位置によっては、N側リレー21の温度に対して温度センサ30からのセンサ信号がばらつくこともある。この場合、電力供給ユニット100は、制御回路10がリレー温度を用いて制御する際に、そのばらつきを考慮して制御する必要がある。
【0081】
しかしながら、電力供給ユニット100は、上記のように温度センサ30を設けている。このため、電力供給ユニット100は、N側リレー21の温度に対して温度センサ30からのセンサ信号がばらつくことを抑えることができる。よって、電力供給ユニット100は、制御回路10がリレー温度を用いて制御する際に、そのばらつきを考慮すること少なく、または考慮する必要がなくなる。従って、電力供給ユニット100は、安全確保のための余裕を少なくでき、N側リレー21の保証や充電時間の精度を高くできる。
【0082】
なお、電力供給ユニット100は、P側リレー22のリレー端子と電池端子部72との間の温度をリレー温度として検出する温度センサ30を備えていても同様の効果を奏することができる。
【0083】
以上、本開示の好ましい実施形態について説明した。しかしながら、本開示は、当該実施形態や構造に限定されるものではないと理解される。本開示は、様々な変形例や均等範囲内の変形をも包含する。加えて、様々な組み合わせや形態が本開示に示されているが、それらに一要素のみ、それ以上、あるいはそれ以下、を含む他の組み合わせや形態をも、本開示の範畴や思想範囲に入るものである。
【0084】
<変形例>
また、温度センサ30は、第1N端子部411や第1P端子部431に取り付けられていてもよい。電力供給ユニット100は、バッテリへの充電時、およびインバータへの電力供給時に比較的高温になる部位のリレー温度を検出できる。
【0085】
また、電力供給ユニット100は、N側リレー21に相関するリレー温度を検出する温度センサ30と、P側リレー22に相関するリレー温度を検出する温度センサ30とを備えていてもよい。この場合、制御回路10は、二つの温度センサ30からセンサ信号が入力される。制御回路10は、二つの温度センサ30で検出されたリレー温度の温度差を算出する。制御回路10は、温度差がある場合、もしくは、温度差が所定値を超えた場合、温度センサ30が故障していると判定する。
【符号の説明】
【0086】
10…制御回路、21…N側リレー、211…N側接点、212…第1端子,213…第2端子、22…P側リレー、221…P側接点、30…温度センサ、31…センサ信号線、41…N側充電配線、411…第1N端子部、412…N側配線部、42…N側兼用配線、421…第2N端子部、422…N側主線、423…N側支線、43…P側充電配線、431…第1P端子部、432…P側配線部、44…P側兼用配線、441…第2P端子部、442…P側主線、443…P側支線、51…N側信号線、52…P側信号線、61…DCDCコンバータ、62…充電器、71…充電端子部、72…電池端子部、73…出力端子部、80…ベース、90…ステー、100…電力供給ユニット