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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】自動車のスマートキーシステム
(51)【国際特許分類】
   H04B 1/3822 20150101AFI20241016BHJP
   B60R 25/24 20130101ALI20241016BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20241016BHJP
   H04B 1/59 20060101ALI20241016BHJP
   H04B 1/04 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
H04B1/3822
B60R25/24
E05B49/00 K
H04B1/59
H04B1/04 E
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2021197305
(22)【出願日】2021-12-03
(65)【公開番号】P2023083129
(43)【公開日】2023-06-15
【審査請求日】2023-11-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】山田 浩史
(72)【発明者】
【氏名】須藤 淳一
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 健一朗
(72)【発明者】
【氏名】棚橋 敏雄
【審査官】麻生 哲朗
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-057627(JP,A)
【文献】特開2000-054707(JP,A)
【文献】特開2006-309582(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0244604(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 1/3822
B60R 25/24
E05B 49/00
H04B 1/59
H04B 1/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子キーとの間で無線信号を送受信する車載機と、前記車載機を車体に固定保持する樹脂パネルと、を備えた、自動車のスマートキーシステムであって、
前記車載機が、
前記電子キーに対して探索信号を送信する送信機と、
前記探索信号に対する前記電子キーからの応答信号を受信する受信機と、
少なくとも前記探索信号の送信を制御する制御部と、
前記送信機と、前記受信機と、前記制御部と、を内包する樹脂ケースと、を有し、
前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのいずれか一方又は双方について、前記送信機から送信された前記探索信号により生じた帯電を除電する、
自動車のスマートキーシステム。
【請求項2】
前記制御部が、前記受信機が受信した前記応答信号の強度が所定の大きさ以下である場合、又は前記応答信号に含まれるノイズ信号の強度が所定の大きさ以上である場合、あるいはその両方である場合に、前記探索信号の強度を高くする、
請求項1に記載の自動車のスマートキーシステム。
【請求項3】
前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方と、補機バッテリーの負極に電気的に接続された前記車体とを、アース接続することにより除電する、
請求項1又は2に記載の自動車のスマートキーシステム。
【請求項4】
前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方と、除電器を備える前記車体とを、アース接続することにより除電する、
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の自動車のスマートキーシステム。
【請求項5】
前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に、前記除電のための界面活性剤層を有する、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の自動車のスマートキーシステム。
【請求項6】
前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に、前記除電のための界面活性剤を含む弾性フィルムを有する、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の自動車のスマートキーシステム。
【請求項7】
前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に、前記除電のための界面活性剤を含む弾性メッシュシートを有する、
請求項1乃至6のいずれか1項に記載の自動車のスマートキーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は自動車のスマートキーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、自動車のスマートキーシステムが開示されている。特許文献1に記載のスマートキーシステムは、車載機と、車載機と無線通信可能な携帯機とを備える。特許文献1に記載の車載機は、携帯機から受信する無線信号のノイズ信号が大きいほど、携帯機に対して送信する無線信号の強度を大きくする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-057627号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に係るスマートキーシステムにおいては、車載機の送信する無線信号が大きくなるに伴って、車載機の樹脂ケース及び車載機を車体に固定保持する樹脂パネルが帯電する場合がある。車載機の樹脂ケース及び車載機を車体に固定保持する樹脂パネルが帯電すると、携帯機から受信する無線信号に含まれるノイズ信号が増大し、車載機の送信する無線信号が更に大きくなり、樹脂ケース及び樹脂パネルの更なる帯電を招く。
樹脂ケース及び樹脂パネルの帯電量が大きくなると、それに起因して、車両本来の走行性能が発揮できないことがあり得る。
【0005】
本発明は、このような課題を解決するためになされたものであり、車載機の樹脂ケース、及び車載機を車体に固定保持する樹脂パネルの帯電に起因する車両性能が損なわれることを抑制可能な自動車のスマートキーシステムを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る自動車のスマートキーシステムは、
電子キーとの間で無線信号を送受信する車載機と、前記車載機を車体に固定保持する樹脂パネルと、を備えた、自動車のスマートキーシステムであって、
前記車載機が、
前記電子キーに対して探索信号を送信する送信機と、
前記探索信号に対する前記電子キーからの応答信号を受信する受信機と、
少なくとも前記探索信号の送信を制御する制御部と、
前記送信機と、前記受信機と、前記制御部と、を内包する樹脂ケースと、を有し、
前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのいずれか一方又は双方について、前記送信機から送信された前記探索信号により生じた帯電を除電する、
自動車のキーシステムである。
このような構成によって、車載機の樹脂ケース、及び車載機を車体に固定保持する樹脂パネルの帯電に起因する車両性能が損なわれることを抑制できる。
【0007】
本発明の一態様に係る自動車のスマートキーシステムは、前記制御部が、前記受信機が受信した前記応答信号の強度が所定の大きさ以下である場合、又は前記応答信号に含まれるノイズ信号の強度が所定の大きさ以上である場合、あるいはその両方である場合に、前記探索信号の強度を高くするようにしてもよい。
制御部が、上述したように探索信号を制御する場合、樹脂ケース及び樹脂パネルはより帯電しやすくなるため、本発明は特に効果を奏する。
【0008】
本発明の一態様に係る自動車のスマートキーシステムは、前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方と、補機バッテリーの負極に電気的に接続された前記車体とを、アース接続することにより除電してもよい。
このような構成によって、樹脂ケース又は樹脂パネル、あるいはその両方を効率的に除電できる。
【0009】
本発明の一態様に係る自動車のスマートキーシステムは、前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方と、除電器を備える前記車体とを、アース接続することにより除電してもよい。
このような構成によっても、樹脂ケース又は樹脂パネル、あるいはその両方を効率的に除電できる。
【0010】
本発明の一態様に係る自動車のスマートキーシステムは、前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に、前記除電のための界面活性剤層を有してもよい。
このような構成によっても、樹脂ケース又は樹脂パネル、あるいはその両方を効率的に除電できる。
【0011】
本発明の一態様に係る自動車のスマートキーシステムは、前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に、前記除電のための界面活性剤を含む弾性フィルムを有してもよい。
このような構成によっても、樹脂ケース又は樹脂パネル、あるいはその両方を効率的に除電できる。
【0012】
本発明の一態様に係る自動車のスマートキーシステムは、前記樹脂ケース及び前記樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に、前記除電のための界面活性剤を含む弾性メッシュシートを有してもよい。
このような構成によっても、樹脂ケース又は樹脂パネル、あるいはその両方を効率的に除電できる。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、車載機の樹脂ケース、及び車載機を車体に固定保持する樹脂パネルの帯電に起因する車両性能が損なわれることを抑制可能な自動車のスマートキーシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】一般的な技術に係るスマートキーシステムの構成を示すブロック図である。
図2】一般的な技術に係る樹脂ケース及び樹脂パネル構成を示す模式断面図である。
図3】第1の実施形態に係るスマートキーシステムの構成を示すブロック図である。
図4】外部表面に除電界面活性剤を含む弾性メッシュシートを有する樹脂ケース及び樹脂パネルの一例を示した模式断面図である。
図5】外部表面に除電界面活性剤を含む弾性メッシュシートを有する樹脂ケース及び樹脂パネルの一例を示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
(発明が創出されるまでの経緯)
図1は一般的な技術に係る自動車のキーシステムの構成を示すブロック図である。
一般的な技術に係る自動車のキーシステム9001は、電子キーを所持したユーザが所定の操作を行うことによって、自動車に備えられた種々の機能を利用できるようにするものである。
所定の操作と、自動車に備えられた機能の組み合わせとには、例えば、自動車のドアに備えられたボタンの押下によるドアの施錠解除や、エンジン始動ボタンの押下によるエンジンの始動等が挙げられる。
一般的な技術に係る自動車のキーシステム9001は、車載機901及び電子キー902を備える。
【0016】
車載機901は、送信機911、受信機912、入力部913、制御部914、及び樹脂ケース915を備える。
送信機911は、制御部914の制御に基づいて、電子キー902に探索信号を無線信号として送信する。
受信機912は、電子キー902から、探索信号に対する応答信号を受信する。受信機912は、受信した応答信号を受信すると、応答信号に含まれる認証情報を制御部914に対して出力する。
【0017】
入力部913は、例えば、ドアの施錠解除用ボタンやエンジン始動ボタンであり、ユーザからの所定の操作を受け付ける装置である。入力部913は、ユーザからの所定の操作を受け付けると、その旨を制御部914に対して通知する。
【0018】
制御部914は、ユーザが所定の操作をおこなった旨を入力部913から通知されると、送信機911を制御し、探索信号を送信させる。
また、制御部914は、電子キー902から送信された応答信号に含まれる認証情報を入力部913から取得すると、認証情報が予め登録されたものであるか否かを判定する。認証情報が予め登録されたものであった場合、制御部914は、ユーザが行った所定の動作に対応する機能を実行する旨を、所定の機能を制御する制御装置に対して通知する。
【0019】
ここで、制御部914は、電子キー902から受信した応答信号の強度が所定の大きさ以下である場合、又は応答信号に含まれるノイズ信号の強度が所定の大きさ以上である場合、あるいはその両方である場合に、判定を行わずに、前回よりも強度を高めた探索信号を送信するように送信機911を制御する。
【0020】
また、制御部914は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、車載機901を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。すなわち、制御部914は、コンピュータとしての機能を有しており、上記プログラムに基づいて車載機901を制御する。
【0021】
樹脂ケース915は、送信機911、受信機912、入力部913、及び制御部914を内包する樹脂製のケースである。樹脂ケース915は、例えば、車体に備えられた樹脂パネルによって、車両に固定保持されている。
【0022】
図2は、入力部913がエンジン始動ボタンである場合の、樹脂ケース及び樹脂パネルを図示した模式断面図である。
樹脂パネル903は、車両内の運転席前方に備えられた樹脂パネルであり、車載機1をはめ込むための穴部が加工されている。
樹脂ケース915は、樹脂パネル903に嵌め込まれることで、車体に固定保持されている。
【0023】
ケーブル916は、車載機901の制御部914と、エンジンのECU(Engine Control Unit)とを接続するケーブルである。制御部914はケーブル916を介して、エンジンの始動を、エンジンのECUに対して要求する。
【0024】
電子キー902は、受信機921、送信機922、及び制御部923を備える。
受信機921は、車載機901から探索信号を受信すると、その旨を制御部923に通知する。
送信機922は、制御部923からの制御に基づいて、車載機901に対して応答信号を無線信号として送信する。
【0025】
制御部923は、受信機921から探索信号を受信した旨を受信すると、送信機922を制御して、認証情報を含む応答信号を送信させる。ここで、制御部923は、応答信号の強度を、受信した探索信号の強度に基づいて決定する。具体的には、制御部923は、探索信号の強度が高いほど、強度の高い応答信号を送信するように、送信機922を制御する。
【0026】
また、制御部923は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、電子キー902を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。すなわち、制御部923は、コンピュータとしての機能を有しており、上記プログラムに基づいて電子キー902を制御する。
【0027】
上述したように、電子キー902から受信した応答信号の強度が所定の大きさ以下である場合、又は応答信号に含まれるノイズ信号の強度が所定の大きさ以上である場合、あるいはその両方である場合に、車載機901は、より強度の高い探索信号を送信する。電子キー902は、探索信号の強度が高いほど、強度の高い応答信号を送信する。このような構成によって、車載機901は適切な強度の応答信号を受信できるようになる。
【0028】
しかしながら、一般的な技術に係る自動車のキーシステム9001においては、探索信号の強度が上昇するのに伴って、樹脂ケース915及び樹脂パネル903が帯電する場合があった。樹脂ケース915及び樹脂パネル903の帯電は、車載機901が受信する応答信号のノイズ信号の原因となるため、更なる探索信号の強度の上昇と、それに伴う樹脂ケース915及び樹脂パネル903の更なる帯電との原因となる。
【0029】
発明者らは、鋭意検討の結果、樹脂ケース915及び樹脂パネル903の帯電が、車両の制御装置の処理速度の低下を招き、車両性能が損なわれることを見出した。
【0030】
(実施形態の概要)
発明者らは、更なる検討の結果、樹脂ケース及び樹脂パネルの帯電を除電した場合、車両性能が損なわれることを抑制できることを見出した。
そこで、第1の実施の形態は、樹脂ケース及び樹脂パネルのうち少なくとも一方と、補機バッテリーの負極に電気的に接続された車体とをアース接続し、樹脂ケース及び樹脂パネルのいずれか一方又は双方を除電するものである。
また、第2の実施形態は、樹脂ケース及び樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に除電界面活性剤層を有し、除電界面活性剤層によって樹脂ケース及び樹脂パネルのうち少なくとも一方を除電するものである。
【0031】
(第1の実施形態)
図3は、第1の実施形態に係る自動車のキーシステムの構成を示すブロック図である。
第1の実施形態に係る自動車のキーシステム1001は、電子キーを所持したユーザが所定の操作を行うことによって、自動車に備えられた種々の機能を利用できるようにするものである。
【0032】
所定の操作と、自動車に備えられた機能の組み合わせとには、例えば、自動車のドアに備えられたボタンの押下によるドアの施錠解除や、エンジン始動ボタンの押下によるエンジンの始動等が挙げられる。
【0033】
第1の実施形態に係る自動車のキーシステム1001は、車載機1、電子キー2、及び樹脂パネル3を備える。
車載機1は、送信機11、受信機12、入力部13、制御部14、及び樹脂ケース15を備える。
【0034】
送信機11は、制御部14の制御に基づいて、電子キー2に探索信号を無線信号として送信する。
受信機12は、電子キー2から、探索信号に対する応答信号を受信する。受信機12は、受信した応答信号を受信すると、応答信号に含まれる認証情報を制御部14に対して出力する。
【0035】
入力部13は、例えば、ドアの施錠解除用ボタンやエンジン始動ボタンであり、ユーザからの所定の操作を受け付ける装置である。入力部13は、ユーザからの所定の操作を受け付けると、その旨を制御部14に対して通知する。
【0036】
制御部14は、ユーザが所定の操作をおこなった旨を入力部13から通知されると、送信機11を制御し、探索信号を送信させる。
また、制御部14は、電子キー2から送信された応答信号に含まれる認証情報を入力部13から取得すると、認証情報が予め登録されたものであるか否かを判定する。認証情報が予め登録されたものであった場合、制御部14は、ユーザが行った所定の動作に対応する機能を実行する旨を、所定の機能を制御する制御装置に対して通知する。
【0037】
ここで、制御部14は、電子キー2から受信した応答信号の強度が所定の大きさ以下である場合、又は応答信号に含まれるノイズ信号の強度が所定の大きさ以上である場合、あるいはその両方である場合に、判定を行わずに、前回よりも強度を高めた探索信号を送信するように送信機11を制御する。
【0038】
また、制御部14は、例えば図示しないCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、車載機1を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。すなわち、制御部14は、コンピュータとしての機能を有しており、上記プログラムに基づいて車載機1を制御する。
【0039】
樹脂ケース15は、送信機11、受信機12、入力部13、及び制御部14を内包する樹脂製のケースである。樹脂ケース15は、樹脂パネル3によって、車両に固定保持されている。
樹脂ケース15は、送信機11が送信する探索信号の強度の増加に伴って帯電する。
【0040】
電子キー2は、受信機21、送信機22、及び制御部23を備える。
受信機21は、車載機1から探索信号を受信すると、その旨を制御部23に通知する。
送信機22は、制御部23からの制御に基づいて、車載機1に対して応答信号を無線信号として送信する。
【0041】
制御部23は、受信機21から探索信号を受信した旨を受信すると、送信機22を制御して、認証情報を含む応答信号を送信させる。ここで、制御部23は、応答信号の強度を、受信した探索信号の強度に基づいて決定する。具体的には、制御部23は、探索信号の強度が高いほど、強度の高い応答信号を送信するように、送信機22を制御する。
【0042】
また、制御部23は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)などの演算部と、電子キー2を制御するためのプログラムやデータ等が格納されたRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等の記憶部と、を備えている。すなわち、制御部23は、コンピュータとしての機能を有しており、上記プログラムに基づいて電子キー2を制御する。
【0043】
樹脂パネル3は、車載機1を車体に固定保持するための樹脂製のパネルである。例えば、入力部13がエンジン始動ボタンである場合、樹脂パネル903は、車両内の運転席前方に備えられた樹脂パネルであり、車載機1をはめ込むための穴部が加工されている。
樹脂パネル3は、送信機11が送信する探索信号の強度の増加に伴って帯電する。
【0044】
第1の実施形態に係る自動車のスマートキーシステムは、樹脂ケース15及び樹脂パネル3のうち少なくとも一方と、補機バッテリーの負極に電気的に接続された車体とが、アース接続しているものである。
【0045】
補器バッテリーは帯電した車体を除電する機能を有するため、このような構成によって、樹脂ケース15及び樹脂パネル3のいずれか一方又は双方を除電できる。その結果として、樹脂ケース15及び樹脂パネル3の帯電に起因する車両性能が損なわれることを抑制できる。
【0046】
本実施形態に係る自動車のスマートキーシステムは、樹脂ケース15及び樹脂パネル3のうち少なくとも一方と、除電器を備える車体とをアース接続してもよい。除電器は、例えば、ボディーフレーム、ブレーキペダルマウントフレーム、及びステアリングコラムフレーム等の金属製フレームに設置されることが好ましい。また、樹脂ケース15及び樹脂パネル3のうち少なくとも一方は、除電器の設置された金属フレームに直接アース接続されることが好ましい。除電器としては、例えば空気イオン化自己放電式のアルミニウム箔粘着テープ等があげられる。
【0047】
以上説明したように、第1の実施形態に係る自動車のスマートキーシステムは、車体とのアース接続によって、帯電した樹脂ケース15及び樹脂パネル3のいずれか一方又は双方を除電する。このような構成によって、第1の実施形態に係る自動車のキーシステムは、車両性能が損なわれることを抑制できる。
【0048】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係る自動車のスマートキーシステムは、第1の実施形態に係る自動車のキーシステムと同様の構成を有する。
第1の実施形態においては、車体とのアース接続によって、帯電した樹脂ケース15及び樹脂パネル3のうち少なくとも一方を除電した。これに対して、第2の実施形態においては、表面の除電界面活性剤層によって、帯電した樹脂ケース15及び樹脂パネル3のいずれか一方又は双方を除電する。
【0049】
本実施形態に係る樹脂ケース15及び樹脂パネル3のうち少なくとも一方は、外部表面に除電界面活性剤層を有する。
除電界面活性剤層は、例えば、樹脂ケース15及び樹脂パネル3の外部表面に対して、除電界面活性剤をスプレーする方法によって形成されてもよい。
【0050】
除電界面活性剤としては、カチオン系界面活性剤、アニオン系活性剤、両性イオン系界面活性剤、非イオン系界面活性剤、あるいはこれらの混合物を用いてもよいが、除電性能の高さから、カチオン系界面活性剤を用いることが特に好ましい。
【0051】
除電界面活性剤は親水基を有しており、水分子との親和性が高い。そのため、除電界面活性剤層の表面は水分子と強く結合している。除電界面活性剤に結合した水分子は静電気を除電するため、除電界面活性剤層によって樹脂ケース15及び樹脂パネル3は除電される。
【0052】
本実施形態に係る自動車のスマートキーシステムは、樹脂ケース及び樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に、除電界面活性剤を含む弾性フィルムを有するようにしてもよい。なお、除電界面活性剤を含む弾性フィルムを有する場合、樹脂ケース及び樹脂パネルは、除電界面活性剤層を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0053】
また、本実施形態に係る自動車のスマートキーシステムは、樹脂ケース及び樹脂パネルのうち少なくとも一方が、外部表面に、除電界面活性剤を含む弾性メッシュシートを有するようにしてもよい。なお、除電界面活性剤を含む弾性メッシュシートを有する場合、樹脂ケース及び樹脂パネルは、除電界面活性剤層を有していてもよいし、有していなくてもよい。
【0054】
図4は、外部表面に除電界面活性剤を含む弾性メッシュシートを有する樹脂ケース及び樹脂パネルの一例を示した模式断面図であり、入力部13がエンジン始動ボタンである場合の模式断面図である。ただし、弾性メッシュシート4は、除電界面活性剤を含む弾性メッシュシートであり、ケーブル16は車載機1の制御部14と、エンジンのECUとを接続するケーブルである。
【0055】
また、図5は、外部表面に除電界面活性剤を含む弾性メッシュシートを有する樹脂ケース及び樹脂パネルの一例を示した写真であり、入力部13がエンジン始動ボタンである場合の写真である。
【0056】
これらのような構成によっても、樹脂ケース15及び樹脂パネル3を除電できる。
【0057】
以上説明したように、第2の実施形態に係る自動車のスマートキーシステムは、樹脂ケース15及び樹脂パネル3のうち少なくとも一方の外部表面上に設けられた除電界面活性剤層によって、樹脂ケース15及び樹脂パネル3のうち少なくとも一方を除電する。このような構成によって、第2の実施形態に係る自動車のスマートキーシステムは、車両性能が損なわれることを抑制できる。
【0058】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0059】
1、901 車載機
2、902 電子キー
3、903 樹脂パネル
4 弾性メッシュシート
11、22、911、922 送信機
12、21、912、921 受信機
13、913 入力部
14、23、914、923 制御部
15、915 樹脂ケース
916 ケーブル
1001、9001 自動車のキーシステム
図1
図2
図3
図4
図5