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特許7571738コンピュータ、カーシェアリングシステム、及びカーシェアリング方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】コンピュータ、カーシェアリングシステム、及びカーシェアリング方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/20 20230101AFI20241016BHJP
   B60L 58/16 20190101ALI20241016BHJP
   G06Q 30/0645 20230101ALI20241016BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20241016BHJP
【FI】
G06Q10/20
B60L58/16
G06Q30/0645
G06Q50/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022011735
(22)【出願日】2022-01-28
(65)【公開番号】P2023110349
(43)【公開日】2023-08-09
【審査請求日】2023-07-11
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小林 亮介
(72)【発明者】
【氏名】眞屋 朋和
(72)【発明者】
【氏名】岡田 強志
(72)【発明者】
【氏名】藤井 宏光
【審査官】阿部 圭子
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-047577(JP,A)
【文献】特開2021-123139(JP,A)
【文献】特開2021-048687(JP,A)
【文献】特開2015-036871(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
B60L 58/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のユーザによって使用された1台の車両で部品のメンテナンスが行なわれたときに、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を、メンテナンスされた部品の種類とユーザごとの前記車両の使用態様とに基づいて決定する、コンピュータであって、
前記コンピュータはプロセッサと記憶装置とを備え、
前記記憶装置には、複数の部品区分と複数の用途区分と費用負担割合との関係を示す費用負担情報が記憶されており、
前記プロセッサは、前記複数の部品区分のうち前記メンテナンスされた部品の種類が属する部品区分と、前記複数の用途区分のうち各ユーザの前記車両の用途が属する用途区分とから、各ユーザの費用負担割合を取得し、取得された各ユーザの費用負担割合を用いて、前記メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定するコンピュータ。
【請求項2】
前記複数の部品区分は、内装品に関する第1部品区分と、駆動系の部品に関する第2部品区分と、サスペンションに関する第3部品区分と、蓄電装置に関する第4部品区分とからなる群より選択される2つ以上の部品区分を含み、
前記複数の用途区分は、オフィス用途に関する第1用途区分と、旅客輸送用途に関する第2用途区分と、物流用途に関する第3用途区分と、医療用途に関する第4用途区分とからなる群より選択される2つ以上の用途区分を含む、請求項に記載のコンピュータ。
【請求項3】
前記記憶装置には、ユーザごとの前記車両の使用時間を示すユーザ情報がさらに記憶されており、
前記プロセッサは、前記費用負担情報によって示される各ユーザの費用負担割合に加えて、前記ユーザ情報によって示される各ユーザの前記車両の使用時間をさらに用いて、前記メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定する、請求項1又は2に記載のコンピュータ。
【請求項4】
請求項1~のいずれか一項に記載のコンピュータと、前記複数のユーザが共用する前記車両とを含むカーシェアリングシステムであって、
前記車両は、内装品を変更することによってユーザの用途に合わせてカスタマイズ可能に構成される多目的車両である、カーシェアリングシステム。
【請求項5】
前記車両は、
制御装置と、
自動運転キットと、
前記制御装置と前記自動運転キットとの間での信号のやり取りを仲介する車両制御インターフェースとを備え、
前記自動運転キットは、自動運転のための指令を、前記車両制御インターフェースを介して前記制御装置へ送るように構成され、
前記制御装置は、前記自動運転キットからの前記指令に従って前記車両を制御するように構成され、
前記制御装置は、前記車両の状態を示す信号を、前記車両制御インターフェースを介して前記自動運転キットへ送るように構成される、請求項に記載のカーシェアリングシステム。
【請求項6】
両で部品のメンテナンスが行なわれたときに、コンピュータが、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を、メンテナンスされた部品の種類とユーザごとの前記車両の使用態様とに基づいて決定する、カーシェアリング方法であって、
前記コンピュータはプロセッサと記憶装置とを備え、
前記記憶装置には、複数の部品区分と複数の用途区分と費用負担割合との関係を示す費用負担情報が記憶されており、
前記カーシェアリング方法は、
前記コンピュータが、前記複数の部品区分のうち前記メンテナンスされた部品の種類が属するメンテナンス部品区分を取得することと、
前記コンピュータが、前記複数の用途区分のうち第1ユーザの前記車両の用途が属する第1ユーザ用途区分を取得することと、
前記コンピュータが、前記複数の用途区分のうち第2ユーザの前記車両の用途が属する第2ユーザ用途区分を取得することと、
前記コンピュータが、取得された前記メンテナンス部品区分、前記第1ユーザ用途区分、及び前記第2ユーザ用途区分を用いて、前記第1ユーザと前記第2ユーザとの費用負担割合を取得することと、
前記コンピュータが、取得された前記費用負担割合を用いて、前記メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定することと、
を含むカーシェアリング方法。
【請求項7】
前記複数の部品区分は、内装品に関する第1部品区分と、駆動系の部品に関する第2部品区分と、サスペンションに関する第3部品区分と、蓄電装置に関する第4部品区分とからなる群より選択される2つ以上の部品区分を含み、
前記複数の用途区分は、オフィス用途に関する第1用途区分と、旅客輸送用途に関する第2用途区分と、物流用途に関する第3用途区分と、医療用途に関する第4用途区分とからなる群より選択される2つ以上の用途区分を含む、請求項に記載のカーシェアリング方法。
【請求項8】
前記記憶装置には、ユーザごとの前記車両の使用時間を示すユーザ情報がさらに記憶されており、
前記プロセッサは、前記費用負担情報によって示される各ユーザの費用負担割合に加えて、前記ユーザ情報によって示される各ユーザの前記車両の使用時間をさらに用いて、前記メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定する、請求項6又は7に記載のカーシェアリング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンピュータ、カーシェアリングシステム、及びカーシェアリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特開2015-138395号公報(特許文献1)には、鉄道又はバスのような予め定められた軌道を車両が走行する交通システムにおいてメンテナンスにかかるコスト(人件費、及び作業に必要な物品のコスト)を算出する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2015-138395号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、1台の車両を複数のユーザでシェア(共用)することで、1台の車両を有効に活用することが提案されている。1台の車両について長期間のカーシェアリングが行なわれる形態では、その車両に搭載された部品のメンテナンス(たとえば、検査、修理、又は交換)を行なうときに、メンテナンスにかかる費用を各ユーザが負担することが考えられる。
【0005】
しかしながら、ユーザごとのメンテナンス費用の負担割合をユーザ間の話合いで決めることは困難である。また、人数による単純な按分によってメンテナンス費用の負担割合を決めることは、必ずしも公平ではない。たとえば、部品の劣化を早める態様で車両を使用したユーザと、部品を劣化させない態様で車両を使用したユーザとが、同じ割合で費用を負担することは、公平とはいえない。
【0006】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、複数のユーザによって使用された1台の車両において部品のメンテナンスが行なわれたときに、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を公平に決めることである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の第1の観点に係るコンピュータは、複数のユーザによって使用された1台の車両で部品のメンテナンスが行なわれたときに、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を、メンテナンスされた部品の種類とユーザごとの車両の使用態様とに基づいて決定するように構成される。
【0008】
上記コンピュータによれば、複数のユーザによって使用された1台の車両において部品のメンテナンスが行なわれたときに、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合が、メンテナンスされた部品の種類とユーザごとの車両の使用態様とに基づいて決定される。こうしたコンピュータによれば、ユーザごとの費用負担割合を公平に決めることが可能になる。
【0009】
上記コンピュータは、プロセッサと記憶装置とを備えてもよい。記憶装置には、複数の部品区分と複数の用途区分と費用負担割合との関係を示す費用負担情報が記憶されてもよい。プロセッサは、複数の部品区分のうちメンテナンスされた部品の種類が属する部品区分と、複数の用途区分のうち各ユーザの車両の用途が属する用途区分とから、各ユーザの費用負担割合を取得し、取得された各ユーザの費用負担割合を用いて、メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定するように構成されてもよい。こうした構成によれば、ユーザごとの費用負担割合を容易かつ的確に決めることが可能になる。
【0010】
上記複数の部品区分は、内装品に関する第1部品区分と、駆動系の部品に関する第2部品区分と、サスペンションに関する第3部品区分と、蓄電装置に関する第4部品区分とからなる群より選択される2つ以上の部品区分を含んでもよい。上記複数の用途区分は、オフィス用途に関する第1用途区分と、旅客輸送用途に関する第2用途区分と、物流用途に関する第3用途区分と、医療用途に関する第4用途区分とからなる群より選択される2つ以上の用途区分を含んでもよい。
【0011】
上記構成によれば、ユーザごとの費用負担割合を公平に決めやすくなる。たとえば、旅客輸送用途とオフィス用途とを比較すると、駆動系の部品及びサスペンション関連部品の各々は旅客輸送用途のほうが劣化しやすく、蓄電装置の部品はオフィス用途のほうが劣化しやすい傾向がある。旅客輸送用途と物流用途とを比較すると、内装品と駆動系の部品とサスペンション関連部品と蓄電装置の部品とのいずれも物流用途のほうが劣化しやすい傾向がある。旅客輸送用途と医療用途とを比較すると、駆動系の部品及びサスペンション関連部品の各々は旅客輸送用途のほうが劣化しやすく、蓄電装置の部品は医療用途のほうが劣化しやすい傾向がある。オフィス用途と医療用途とを比較すると、駆動系の部品とサスペンション関連部品と蓄電装置の部品とのいずれも医療用途のほうが劣化しやすい傾向がある。
【0012】
上記記憶装置には、ユーザごとの車両の使用時間を示すユーザ情報がさらに記憶されてもよい。プロセッサは、費用負担情報によって示される各ユーザの費用負担割合に加えて、ユーザ情報によって示される各ユーザの車両の使用時間をさらに用いて、メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定するように構成されてもよい。こうした構成によれば、ユーザごとの費用負担割合をより公平に決めやすくなる。
【0013】
前述のコンピュータは、車両で部品のメンテナンスが行なわれたときに、ユーザごとに、車両の使用に起因した当該部品の劣化進行度を取得し、ユーザごとの部品の劣化進行度を用いて、部品のメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定するように構成されてもよい。こうした構成によっても、ユーザごとの費用負担割合をより公平に決めやすくなる。
【0014】
本開示の第2の観点に係るカーシェアリングシステムは、上述したいずれかのコンピュータと、複数のユーザが共用する車両とを含む。車両は、内装品を変更することによってユーザの用途に合わせてカスタマイズ可能に構成される多目的車両である。
【0015】
上記カーシェアリングシステムは、前述したコンピュータを含む。このため、上記カーシェアリングシステムによれば、複数のユーザによって使用された1台の車両において部品のメンテナンスが行なわれたときに、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を公平に決めることが可能になる。また、多目的車両が採用されることによって、ユーザごとのニーズに合った装備を有する車両を各ユーザに提供しやすくなる。
【0016】
上述したいずれかの車両は、制御装置と、自動運転キットと、制御装置と自動運転キットとの間での信号のやり取りを仲介する車両制御インターフェースとを備えてもよい。自動運転キットは、自動運転のための指令を、車両制御インターフェースを介して制御装置へ送るように構成されてもよい。制御装置は、自動運転キットからの指令に従って車両を制御するように構成されてもよい。制御装置は、車両の状態を示す信号を、車両制御インターフェースを介して自動運転キットへ送るように構成されてもよい。
【0017】
上記のような自動運転キットが採用されることによって、ユーザごとのニーズに合った装備を有する車両を各ユーザに提供しやすくなる。また、車両制御インターフェースが存在することで、自動運転キットの着脱が容易になり、自動運転キットのメンテナンス(検査、修理、交換など)を行ないやすくなる。
【0018】
本開示の第3の観点に係るカーシェアリング方法は、次に示す第1提供処理、第2提供処理、及び決定処理を含む。
【0019】
第1提供処理では、コンピュータが第1ユーザに車両を提供する。第2提供処理では、第1ユーザが車両を使用した後、コンピュータが、第2ユーザに車両を提供する。決定処理では、車両で部品のメンテナンスが行なわれたときに、コンピュータが、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を、メンテナンスされた部品の種類とユーザごとの車両の使用態様とに基づいて決定する。
【0020】
上記カーシェアリング方法によっても、前述したコンピュータと同様、複数のユーザによって使用された1台の車両において部品のメンテナンスが行なわれたときに、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を公平に決めることが可能になる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、複数のユーザによって使用された1台の車両において部品のメンテナンスが行なわれたときに、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を公平に決めることが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本開示の実施の形態に係る車両の概略構成を示す図である。
図2図1に示した車両の構成の詳細を示す図である。
図3】本開示の実施の形態に係る自動運転制御の処理手順を示すフローチャートである。
図4】本開示の実施の形態に係る車両が備える各種部品について説明するための図である。
図5】本開示の実施の形態に係る車両の外観を示す図である。
図6】本開示の実施の形態に係るコンピュータの構成について説明するための図である。
図7】本開示の実施の形態に係るカーシェアリング方法において、複数のユーザで共用される1台の車両をコンピュータが管理するために実行する処理を示すフローチャートである。
図8図7に示したメンテナンスに係る処理の詳細について説明するためのフローチャートである。
図9図6に示したユーザ情報及び費用負担情報の変形例を示す図である。
図10図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一又は相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
図1は、本開示の実施の形態に係る車両の概略構成を示す図である。図1を参照して、車両1は、自動運転キット(以下、「ADK(Autonomous Driving Kit)」と表記する)200と、車両プラットフォーム(以下、「VP(Vehicle Platform)」と表記する)2とを備える。
【0025】
VP2は、ベース車両100の制御システムと、ベース車両100内に設けられた車両制御インターフェースボックス(以下、「VCIB(Vehicle Control Interface Box)」と表記する)111とを含む。VCIB111は、CAN(Controller Area Network)のような車内ネットワークを通じてADK200と通信してもよい。なお、図1では、ベース車両100とADK200とが離れた位置に示されているが、ADK200は、実際にはベース車両100に取り付けられている。この実施の形態では、ベース車両100のルーフトップにADK200が取り付けられる。ただし、ADK200の取り付け位置は適宜変更可能である。
【0026】
ベース車両100は、たとえば市販されるxEV(電動車)である。xEVは、電力を動力源の全て又は一部として利用する車両である。この実施の形態では、ベース車両100としてBEV(電気自動車)を採用する。ただしこれに限られず、ベース車両100は、BEV以外のxEV(HEV、PHEV、FCEVなど)であってもよい。ベース車両100が備える車輪の数は、たとえば4輪である。ただしこれに限られず、ベース車両100が備える車輪の数は、3輪であってもよいし、5輪以上であってもよい。
【0027】
ベース車両100の制御システムは、統合制御マネージャ115に加えて、ベース車両100を制御するための各種システムおよび各種センサを含む。統合制御マネージャ115は、ベース車両100に含まれる各種センサからの信号(センサ検出信号)に基づいて、ベース車両100の動作に関わる各種システムを統合して制御する。
【0028】
この実施の形態では、統合制御マネージャ115が制御装置150を含む。制御装置150は、プロセッサ151、RAM(Random Access Memory)152、及び記憶装置153を含む。プロセッサ151としては、たとえばCPU(Central Processing Unit)を採用できる。RAM152は、プロセッサ151によって処理されるデータを一時的に記憶する作業用メモリとして機能する。記憶装置153は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置153は、たとえばROM(Read Only Memory)及び書き換え可能な不揮発性メモリを含む。記憶装置153には、プログラムのほか、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)が記憶されている。この実施の形態では、記憶装置153に記憶されているプログラムをプロセッサ151が実行することで、各種の車両制御(たとえば、ADK200からの指示に従う自動運転制御)が実行される。ただし、これらの処理は、ソフトウェアではなく、専用のハードウェア(電子回路)によって実行されてもよい。なお、制御装置150が備えるプロセッサの数は任意であり、所定の制御ごとにプロセッサが用意されてもよい。
【0029】
ベース車両100は、ブレーキシステム121と、ステアリングシステム122と、パワートレーンシステム123と、アクティブセーフティシステム125と、ボディシステム126とを含む。これらのシステムは、統合制御マネージャ115によって統合制御される。この実施の形態では、各システムがコンピュータを備える。そして、システムごとのコンピュータが車内ネットワーク(たとえば、CAN)を通じて統合制御マネージャ115と通信する。以下では、各システムが備えるコンピュータを、「ECU(Electronic Control Unit)」と称する。
【0030】
ブレーキシステム121は、ベース車両100の各車輪に設けられた制動装置と、制動装置を制御するECUとを含む。この実施の形態では、制動装置として油圧式ディスクブレーキ装置が採用される。ベース車両100は、車輪速センサ127A,127Bを備える。車輪速センサ127Aは、ベース車両100の前輪に設けられ、前輪の回転速度を検出する。車輪速センサ127Bは、ベース車両100の後輪に設けられ、後輪の回転速度を検出する。ブレーキシステム121のECUは、車輪速センサ127A,127Bで検出された各車輪の回転方向及び回転速度を統合制御マネージャ115へ出力する。
【0031】
ステアリングシステム122は、ベース車両100の操舵装置と、操舵装置を制御するECUとを含む。操舵装置は、たとえば、アクチュエータにより操舵角の調整が可能なラック&ピニオン式のEPS(Electric Power Steering)を含む。ベース車両100は、ピニオン角センサ128を備える。ピニオン角センサ128は、操舵装置を構成するアクチュエータの回転軸に連結されたピニオンギヤの回転角(ピニオン角)を検出する。ステアリングシステム122のECUは、ピニオン角センサ128で検出されたピニオン角を統合制御マネージャ115へ出力する。
【0032】
パワートレーンシステム123は、ベース車両100が備える車輪の少なくとも1つに設けられたEPB(Electric Parking Brake)と、ベース車両100のトラッスミッションに設けられたP-Lock装置と、シフトレンジを選択可能に構成されるシフト装置と、ベース車両100の駆動源と、パワートレーンシステム123に含まれる各装置を制御するECUとを含む。EPBは、前述の制動装置とは別に設けられ、電動アクチュエータによって車輪を固定状態にする。P-Lock装置は、たとえば、アクチュエータにより駆動可能なパーキングロックポールによってトランスミッションの出力軸の回転位置を固定状態にする。詳細は後述するが、この実施の形態では、ベース車両100の駆動源として、蓄電装置から電力の供給を受けるモータを採用する。パワートレーンシステム123のECUは、EPBとP-Lock装置との各々による固定化の有無、シフト装置によって選択されたシフトレンジ、並びに蓄電装置及びモータ(後述する図4参照)の各々の状態を、統合制御マネージャ115へ出力する。
【0033】
アクティブセーフティシステム125は、走行中の車両1について衝突の可能性を判定するECUを含む。ベース車両100は、車両1の前方及び後方を含む周辺状況を検出するカメラ129A及びレーダセンサ129B,129Cを備える。アクティブセーフティシステム125のECUは、カメラ129A及びレーダセンサ129B,129Cから受信した信号を用いて、衝突の可能性があるか否かを判定する。アクティブセーフティシステム125によって衝突の可能性があると判定された場合には、統合制御マネージャ115が、ブレーキシステム121に制動指令を出力して、車両1の制動力を増加させる。この実施の形態に係るベース車両100が初期(出荷時)からアクティブセーフティシステム125を備える。しかしこれに限られず、ベース車両に対して後付け可能なアクティブセーフティシステムが採用されてもよい。
【0034】
ボディシステム126は、ボディ系部品(たとえば、方向指示器、ホーン、及びワイパー)と、ボディ系部品を制御するECUとを備える。ボディシステム126のECUは、マニュアルモードでは、ユーザ操作に従ってボディ系部品を制御し、自律モードでは、ADK200からVCIB111及び統合制御マネージャ115を経て受信する指令に従ってボディ系部品を制御する。
【0035】
車両1は自動運転可能に構成される。VCIB111は、車両制御インターフェースとして機能する。車両1が自動運転で走行するときには、統合制御マネージャ115とADK200とがVCIB111を介して相互に信号のやり取りを行ない、ADK200からの指令に従って統合制御マネージャ115が自律モード(Autonomous Mode)による走行制御(すなわち、自動運転制御)を実行する。なお、ADK200は、ベース車両100から取り外すことも可能である。ベース車両100は、ADK200が取り外された状態でも、ユーザの運転によりベース車両100単体で走行することができる。ベース車両100単体で走行する場合には、ベース車両100の制御システムが、マニュアルモードによる走行制御(すなわち、ユーザ操作に応じた走行制御)を実行する。
【0036】
この実施の形態では、ADK200が、通信される各信号を定義するAPI(Application Program Interface)に従ってVCIB111との間で信号のやり取りを行なう。ADK200は、上記APIで定義された各種信号を処理するように構成される。ADK200は、たとえば、車両1の走行計画を作成し、作成された走行計画に従って車両1を走行させるための制御を要求する各種コマンドを、上記APIに従ってVCIB111へ出力する。以下、ADK200からVCIB111へ出力される上記各種コマンドの各々を、「APIコマンド」とも称する。また、ADK200は、ベース車両100の状態を示す各種信号を上記APIに従ってVCIB111から受信し、受信したベース車両100の状態を走行計画の作成に反映する。以下、ADK200がVCIB111から受信する上記各種信号の各々を、「APIシグナル」とも称する。APIコマンド及びAPIシグナルはどちらも、上記APIで定義された信号に相当する。ADK200の構成の詳細については後述する(図2参照)。
【0037】
VCIB111は、ADK200から各種APIコマンドを受信する。VCIB111は、ADK200からAPIコマンドを受信すると、そのAPIコマンドを、統合制御マネージャ115が処理可能な信号の形式に変換する。以下、統合制御マネージャ115が処理可能な信号の形式に変換されたAPIコマンドを、「制御コマンド」とも称する。VCIB111は、ADK200からAPIコマンドを受信すると、そのAPIコマンドに対応する制御コマンドを統合制御マネージャ115へ出力する。
【0038】
統合制御マネージャ115の制御装置150は、ベース車両100の制御システムにおいて検出されたベース車両100の状態を示す各種信号(たとえば、センサ信号、又はステータス信号)を、VCIB111を介してADK200へ送る。VCIB111は、ベース車両100の状態を示す信号を統合制御マネージャ115から逐次受信する。VCIB111は、統合制御マネージャ115から受信した信号に基づいてAPIシグナルの値を決定する。また、VCIB111は、必要に応じて、統合制御マネージャ115から受信した信号をAPIシグナルの形式に変換する。そして、VCIB111は、得られたAPIシグナルをADK200へ出力する。VCIB111からADK200へは、ベース車両100の状態を示すAPIシグナルがリアルタイムで逐次出力される。
【0039】
この実施の形態において、統合制御マネージャ115とVCIB111との間では、たとえば自動車メーカーによって定義された汎用性の低い信号がやり取りされ、ADK200とVCIB111との間では、より汎用性の高い信号(たとえば、公開されたAPI(Open API)で定義された信号)がやり取りされる。VCIB111は、ADK200と統合制御マネージャ115との間で信号の変換を行なうことにより、ADK200からの指令に従って統合制御マネージャ115が車両制御を行なうことを可能にする。ただし、VCIB111の機能は、上記信号の変換を行なう機能のみには限定されない。たとえば、VCIB111は、所定の判断を行ない、その判断結果に基づく信号(たとえば、通知、指示、又は要求を行なう信号)を、統合制御マネージャ115とADK200との少なくとも一方へ送ってもよい。VCIB111の構成の詳細については後述する(図2参照)。
【0040】
ベース車両100は、通信装置130をさらに備える。通信装置130は、各種通信I/F(インターフェース)を含む。制御装置150は、通信装置130を通じて車両1の外部の装置(たとえば、後述するモバイル端末UT1,UT2及びサーバ500)と通信を行なうように構成される。通信装置130は、移動体通信網(テレマティクス)にアクセス可能な無線通信機(たとえば、DCM(Data Communication Module))を含む。通信装置130は移動体通信網を介してサーバ500と通信する。無線通信機は、5G(第5世代移動通信システム)対応の通信I/Fを含んでもよい。また、通信装置130は、車内又は車両周辺の範囲内に存在するモバイル端末UT1,UT2と直接通信するための通信I/Fを含む。通信装置130とモバイル端末UT1,UT2とは、無線LAN(Local Area Network)、NFC(Near Field Communication)、又はBluetooth(登録商標)のような近距離通信を行なってもよい。
【0041】
モバイル端末UT1、UT2は、それぞれ車両1の第1ユーザ、第2ユーザによって携帯される端末である。この実施の形態では、モバイル端末UT1及びUT2の各々として、タッチパネルディスプレイを具備するスマートフォンを採用する。モバイル端末UT1及びUT2の各々は、当該端末の現在位置を検出する位置センサを内蔵する。位置センサは、GPS(Global Positioning System)を利用したセンサであってもよい。なお、モバイル端末UT1及びUT2の各々としては、任意のモバイル端末を採用可能であり、ラップトップ、タブレット端末、ウェアラブルデバイス(たとえば、スマートウォッチ又はスマートグラス)、又は電子キーなども採用可能である。
【0042】
上述の車両1は、MaaS(Mobility as a Service)システムの構成要素の1つとして採用され得る。MaaSシステムは、たとえばMSPF(Mobility Service Platform)を含む。MSPFは、各種モビリティサービス(たとえば、ライドシェア事業者、カーシェア事業者、保険会社、レンタカー事業者、タクシー事業者等により提供される各種モビリティサービス)が接続される統一プラットフォームである。サーバ500は、MSPFにおいてモビリティサービスのための情報の管理及び公開を行なうコンピュータである。サーバ500は、各種モビリティの情報を管理し、事業者からの要求に応じて情報(たとえば、API、及び、モビリティ間の連携に関する情報)を提供する。サービスを提供する事業者は、MSPF上で公開されたAPIを用いて、MSPFが提供する様々な機能を利用することができる。たとえば、ADKの開発に必要なAPIは、MSPF上に公開されている。
【0043】
図2は、車両1の構成の詳細を示す図である。図1とともに図2を参照して、ADK200は、車両1の自動運転を行なうための自動運転システム(以下、「ADS(Autonomous Driving System)」と表記する)202を含む。ADS202は、コンピュータ210と、HMI(Human Machine Interface)230と、認識用センサ260と、姿勢用センサ270と、センサクリーナ290とを含む。
【0044】
コンピュータ210は、プロセッサと、APIを利用した自動運転ソフトウェアを記憶する記憶装置とを備え、プロセッサによって自動運転ソフトウェアを実行可能に構成される。自動運転ソフトウェアにより、自動運転に関する制御(後述する図3参照)が実行される。自動運転ソフトウェアは、OTA(Over The Air)によって逐次更新されてもよい。コンピュータ210は、通信モジュール210A及び210Bをさらに備える。
【0045】
HMI230は、ユーザとコンピュータ210とが情報をやり取りするための装置である。HMI230は、入力装置及び報知装置を含む。ユーザは、HMI230を通じて、コンピュータ210に指示又は要求を行なったり、自動運転ソフトウェアで使用されるパラメータ(ただし、変更が許可されているものに限る)の値を変更したりすることができる。HMI230は、入力装置及び報知装置の両方の機能を兼ね備えるタッチパネルディスプレイであってもよい。
【0046】
認識用センサ260は、車両1の外部環境を認識するための情報(以下、「環境情報」とも称する)を取得する各種センサを含む。認識用センサ260は、車両1の環境情報を取得し、コンピュータ210へ出力する。環境情報は、自動運転制御に用いられる。この実施の形態では、認識用センサ260が、車両1の周囲(前方及び後方を含む)を撮像するカメラと、電磁波又は音波によって障害物を検知する障害物検知器(たとえば、ミリ波レーダ及び/又はライダー)とを含む。コンピュータ210は、たとえば、認識用センサ260から受信する環境情報を用いて、車両1から認識可能な範囲に存在する人、物体(他の車両、柱、ガードレールなど)、及び道路上のライン(たとえば、センターライン)を認識できる。認識のために、人工知能(AI)又は画像処理用プロセッサが用いられてもよい。
【0047】
姿勢用センサ270は、車両1の姿勢に関する情報(以下、「姿勢情報」とも称する)を取得し、コンピュータ210へ出力する。姿勢用センサ270は、車両1の加速度、角速度、及び位置を検出する各種センサを含む。この実施の形態では、姿勢用センサ270が、IMU(Inertial Measurement Unit)及びGPSセンサを含む。IMUは、車両1の前後方向、左右方向、及び上下方向の各々の加速度、並びに車両1のロール方向、ピッチ方向、及びヨー方向の各々の角速度を検出する。GPSセンサは、複数のGPS衛星から受信する信号を用いて車両1の位置を検出する。自動車及び航空機の分野においてIMUとGPSとを組み合わせて高い精度で姿勢を計測する技術が公知である。コンピュータ210は、たとえば、こうした公知の技術を利用して、上記姿勢情報から車両1の姿勢を計測してもよい。
【0048】
センサクリーナ290は、車外で外気にさらされるセンサ(たとえば、認識用センサ260)の汚れを除去する装置である。たとえば、センサクリーナ290は、洗浄液及びワイパーを用いて、カメラのレンズ及び障害物検知器の出射口をクリーニングするように構成されてもよい。
【0049】
車両1においては、安全性を向上させるため、所定の機能(たとえば、ブレーキ、ステアリング、及び車両固定)に冗長性を持たせている。ベース車両100の制御システム102は、同等の機能を実現するシステムを複数備える。具体的には、ブレーキシステム121はブレーキシステム121A及び121Bを含む。ステアリングシステム122はステアリングシステム122A及び122Bを含む。パワートレーンシステム123は、EPBシステム123AとP-Lockシステム123Bとを含む。各システムがECUを備える。同等の機能を実現する複数のシステムのうち、一方に異常が生じても、他方が正常に動作することで、車両1において当該機能は正常に働く。
【0050】
VCIB111は、VCIB111AとVCIB111Bとを含む。VCIB111A及び111Bの各々はコンピュータを含む。コンピュータ210の通信モジュール210A、210Bは、それぞれVCIB111A、111Bのコンピュータと通信可能に構成される。VCIB111とVCIB111Bとは、相互に通信可能に接続されている。VCIB111A及び111Bの各々は、単独で動作可能であり、一方に異常が生じても、他方が正常に動作することで、VCIB111は正常に動作する。VCIB111A及び111Bはどちらも統合制御マネージャ115を介して上記各システムに接続されている。ただし、図2に示すように、VCIB111AとVCIB111Bとでは接続先が一部異なっている。
【0051】
この実施の形態では、車両1を加速させる機能については、冗長性を持たせていない。パワートレーンシステム123は、車両1を加速させるためのシステムとして、推進システム123Cを含む。
【0052】
車両1は、自律モードとマニュアルモードとを切替え可能に構成される。ADK200がVCIB111から受信するAPIシグナルには、車両1が自律モードとマニュアルモードとのいずれの状態かを示す信号(以下、「自律ステート」と表記する)が含まれる。ユーザは、所定の入力装置(たとえば、HMI230、又はモバイル端末UT1,UT2)を通じて、自律モードとマニュアルモードとのいずれかを選択できる。ユーザによっていずれかの運転モードが選択されると、選択された運転モードに車両1がなり、選択結果が自律ステートに反映される。ただし、車両1が自動運転可能な状態になっていなければ、ユーザが自律モードを選択しても自律モードに移行しない。車両1の運転モードの切替えは、統合制御マネージャ115によって行なわれてもよい。統合制御マネージャ115は、車両1の状況に応じて自律モードとマニュアルモードとを切り替えてもよい。
【0053】
車両1が自律モードであるときには、コンピュータ210が、VP2から車両1の状態を取得して、車両1の次の動作(たとえば、加速、減速、及び曲がる)を設定する。そして、コンピュータ210は、設定された車両1の次の動作を実現するための各種指令を出力する。コンピュータ210がAPIソフトウェア(すなわち、APIを利用した自動運転ソフトウェア)を実行することにより、自動運転制御に関する指令がADK200からVCIB111を通じて統合制御マネージャ115へ送信される。
【0054】
図3は、この実施の形態に係る自動運転制御においてADK200が実行する処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、車両1が自律モードであるときに、APIに対応する周期(API周期)で繰り返し実行される。車両1の運転モードがマニュアルモードから自律モードに切り替わると、自動運転開始を示す開始信号が車両1の識別情報とともに車両1(通信装置130)からサーバ500へ送信されるとともに、以下に説明する図3に示す一連の処理が開始される。以下では、フローチャート中の各ステップを、単に「S」と表記する。
【0055】
図1及び図2とともに図3を参照して、S101では、コンピュータ210が現在の車両1の情報を取得する。たとえば、コンピュータ210は、認識用センサ260及び姿勢用センサ270から車両1の環境情報及び姿勢情報を取得する。さらに、コンピュータ210はAPIシグナルを取得する。この実施の形態では、車両1が自律モード及びマニュアルモードのいずれである場合にも、車両1の状態を示すAPIシグナルがVCIB111からADK200へリアルタイムで逐次出力されている。自動運転制御の精度を向上させるために、自律モードにおいてはマニュアルモードよりも短い周期で統合制御マネージャ115からADK200に向けて車両1の状態が逐次送信されてもよい。コンピュータ210が取得するAPIシグナルには、前述の自律ステートのほか、車輪速センサ127A,127Bで検出された各車輪の回転方向及び回転速度を示す信号などが含まれる。
【0056】
S102では、コンピュータ210が、S101で取得した車両1の情報に基づいて走行計画を作成する。たとえば、コンピュータ210が、車両1の挙動(たとえば、車両1の姿勢)を計算し、車両1の状態及び外部環境に適した走行計画を作成する。走行計画は、所定期間における車両1の挙動を示すデータである。すでに走行計画が存在する場合には、S102においてその走行計画が修正されてもよい。
【0057】
S103では、コンピュータ210が、S102で作成された走行計画から制御的な物理量(加速度、タイヤ切れ角など)を抽出する。S104では、コンピュータ210が、S103で抽出された物理量をAPI周期ごとに分割する。S105では、コンピュータ210が、S104で分割された物理量を用いてAPIソフトウェアを実行する。このようにAPIソフトウェアが実行されることにより、走行計画に従う物理量を実現するための制御を要求するAPIコマンド(推進方向コマンド、推進コマンド、制動コマンド、車両固定コマンドなど)がADK200からVCIB111へ送信される。VCIB111は、受信したAPIコマンドに対応する制御コマンドを統合制御マネージャ115へ送信し、統合制御マネージャ115は、その制御コマンドに従って車両1の自動運転制御を行なう。自動運転中の車両1の状態は、コンピュータ210の記憶装置に逐次記録される。
【0058】
続くS106では、車両1が自律モードであるか否かを、コンピュータ210が判断する。自律モードが継続している間は(S106にてYES)、上記S101~S105の処理が繰り返し実行されることにより、車両1の自動運転が実行される。他方、車両1がマニュアルモードになると(S106にてNO)、S107において、自動運転終了を示す終了信号が車両1の識別情報とともに車両1(通信装置130)からサーバ500へ送信された後、図3に示す一連の処理は終了する。この実施の形態では、コンピュータ210とVCIB111と統合制御マネージャ115とが協働して車両1を自動運転で走行させるための制御を実行する。車両1は、有人/無人のいずれの状態においても自動運転を行なうことができる。なお、自動運転制御は、図3に示した制御に限られず、他の制御(公知の自動運転制御)が採用されてもよい。
【0059】
図4は、車両1が備える各種部品について説明するための図である。図1及び図2とともに図4を参照して、車両1は、バッテリ160とサスペンション170とをさらに備える。推進システム123Cは、MG(Motor Generator)20と、ECU21と、PCU(Power Control Unit)22とを含む。バッテリ160は、推進システム123Cに電力を供給する。バッテリ160としては、公知の車両用蓄電装置(たとえば、液式二次電池、全固体二次電池、又は組電池)を採用できる。車両用二次電池の例としては、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池が挙げられる。サスペンション170は、エアサスペンション装置であってもよい。
【0060】
バッテリ160には、監視モジュール160aが設けられている。監視モジュール160aは、バッテリ160の状態(たとえば、電圧、電流、及び温度)を検出する各種センサを含み、検出結果を統合制御マネージャ115へ出力する。監視モジュール160aは、上記センサ機能に加えて、SOC(State Of Charge)推定機能をさらに有するBMS(Battery Management System)であってもよい。制御装置150は、監視モジュール160aの出力に基づいてバッテリ160の状態(たとえば、温度、電流、電圧、及びSOC)を取得することができる。SOCは、蓄電残量を示し、たとえば、満充電状態の蓄電量に対する現在の蓄電量の割合を0~100%で表わしたものである。
【0061】
推進システム123Cは、バッテリ160に蓄えられた電力を用いて車両1の走行駆動力を発生させる。MG20は、たとえば三相交流モータジェネレータである。PCU22は、たとえば、インバータと、コンバータと、リレー(以下、「SMR(System Main Relay)」と称する)とを含む。PCU22は、ECU21によって制御される。SMRは、バッテリ160からMG20までの電路の接続/遮断を切り替えるように構成される。SMRは、車両1の走行時に閉状態(接続状態)にされる。
【0062】
MG20は、PCU22によって駆動され、車両1の駆動輪Wを回転させる。また、MG20は、回生発電を行ない、発電した電力をバッテリ160に供給する。PCU22は、バッテリ160から供給される電力を用いてMG20を駆動する。車両1が備える走行用のモータ(MG20)の数は任意であり、1つでも2つでも3つ以上でもよい。走行用のモータはインホイールモータであってもよい。図4には、1つの駆動輪Wのみを模式的に示しているが、車両1における駆動輪Wの数及び駆動方式は任意である。車両1の駆動方式は、前輪駆動、後輪駆動、4輪駆動のいずれであってもよい。
【0063】
車両1が備える各車輪(駆動輪Wを含む)には、ブレーキシステム121(図1)に含まれる制動装置180と、制動装置180によって車輪に付与される制動力を検出するブレーキセンサ180aとが設けられている。ブレーキセンサ180aは、ブレーキパッド(又は、ホイールシリンダ)に加わる油圧を検出する油圧センサであってもよい。4つのブレーキセンサ180aによってそれぞれ検出された車輪ごとの制動力(たとえば、制動力に対応する油圧)は統合制御マネージャ115へ出力される。
【0064】
図5は、車両1の外観を示す図である。図5を参照して、車両1は、内装品を変更することによってユーザの用途に合わせてカスタマイズ可能に構成される多目的車両である。こうした多目的車両によれば、ユーザごとのニーズに合った装備を有する車両を各ユーザに提供しやすくなる。この実施の形態では、車両1とサーバ500とによってカーシェアリングシステムが構築される。第1ユーザと第2ユーザとで車両1がシェア(共用)される。
【0065】
この実施の形態に係る車両1は、移動オフィス用途(第1用途)と旅客輸送用途(第2用途)との各々にカスタマイズ可能に構成される。この実施の形態では、第1用途と第2用途との両方で使用される共通の内装品を、単に「共通の内装品」とも称する。また、第1用途と第2用途とのうち、第1用途のみで使用される用途別内装品を「第1用途内装品」、第2用途のみで使用される用途別内装品を「第2用途内装品」とも称する。
【0066】
第1使用期間においては、第1ユーザが移動オフィス用途(第1用途)で車両1を使用する。第1使用期間の後に設定された第2使用期間においては、第2ユーザが旅客輸送用途(第2用途)で車両1を使用する。第1使用期間と第2使用期間との少なくとも一方において車両1が自動運転を行なってもよい。車両1の自動運転中は、図3に示した処理が実行され、制御装置150がADK200からの指令に従って車両1の各種システム(たとえば、図2に示したブレーキシステム121、ステアリングシステム122、パワートレーンシステム123、アクティブセーフティシステム125、及びボディシステム126)を制御する。
【0067】
この実施の形態では、車両1が毎日使用される。車両1は朝から夜まで使用される。夜になると、その日の車両1の使用が終了し、車両1について部品チェックが行なわれる。部品チェックでは、所定の手順に従う客観的な検査によって車両1が所定の基準以上の性能を有しているか否かが、対象部品(検査項目)ごとに確認される。部品チェックでは、制御装置150が、車両1に搭載された各種センサの出力に基づいて対象部品ごとの良否を判断してもよい。あるいは、検査設備(テスター)を用いて部品チェックが行なわれてもよい。
【0068】
部品チェックでいずれの対象部品にも異常が発見されない場合には、EVSE(Electric Vehicle Supply Equipment)を用いて車両1のバッテリ160(蓄電装置)が充電される。この充電により、次の使用のための電力が車両1に蓄えられる。EVSEの充電方式は、接触方式でも非接触方式でもよい。バッテリ160の充電は、車両1の使用終了後に開始され、使用日の翌日の朝までには完了する。朝になると、車両1の次の使用が開始される。
【0069】
この実施の形態では、1週間経過するたびに第1使用期間及び第2使用期間が再設定される。所定のカーシェアリング期間において第1ユーザと第2ユーザとが交互に車両1を使用する。カーシェアリング期間は、任意に設定(又は、更新)可能であり、1ヶ月であってもよいし、1年間であってもよい。
【0070】
使用期間の合間に、車両1を引き渡すための引渡し期間が設けられてもよい。たとえば、第1使用期間の終了から第2使用期間の開始までの間に、第1ユーザから第2ユーザへ車両1を引き渡すための第1引渡し期間が設けられてもよい。また、第2使用期間の終了から第1使用期間の開始までの間に、第2ユーザから第1ユーザへ車両1を引き渡すための第2引渡し期間が設けられてもよい。
【0071】
第1引渡し期間は、第1使用期間の最終日の夕方から第2使用期間の初日の昼までの少なくとも一部に設定されてもよい。第1引渡し期間においては、第2ユーザが指定した場所へ移動するための自動運転を車両1が実行してもよい。サーバ500は、車両1の上記自動運転のための充電を第1引渡し期間の開始時刻までに完了させておくことを第1ユーザに要求する信号をモバイル端末UT1へ送信してもよい。
【0072】
第2引渡し期間は、第2使用期間の最終日の夕方から第1使用期間の初日の昼までの少なくとも一部に設定されてもよい。第2引渡し期間においては、第1ユーザが指定した場所へ移動するための自動運転を車両1が実行してもよい。サーバ500は、車両1の上記自動運転のための充電を第2引渡し期間の開始時刻までに完了させておくことを第2ユーザに要求する信号をモバイル端末UT2へ送信してもよい。
【0073】
図6は、サーバ500の構成について説明するための図である。図1及び図2とともに図6を参照して、サーバ500は、プロセッサ501、RAM502、記憶装置503、及びHMI504を含む。HMI(Human Machine Interface)504は入力装置及び表示装置を含む。HMI504は、タッチパネルディスプレイであってもよい。HMI504は、音声入力を受け付けるスマートスピーカを含んでもよい。サーバ500は、車両1及びモバイル端末UT1,UT2の各々と通信可能に構成される。車両1の姿勢用センサ270によって取得される位置情報(車両1の現在位置を示す情報)は、車両1からサーバ500へ逐次送信される。また、モバイル端末UT1及びUT2の各々の現在位置を示す情報も、各端末からサーバ500へ逐次送信される。この実施の形態に係るサーバ500は、本開示に係る「コンピュータ」の一例に相当する。
【0074】
記憶装置503は、格納された情報を保存可能に構成される。記憶装置503には、第1ユーザ及び第2ユーザの各々に関する情報と、車両1に関する情報とが記憶されている。たとえば、車両1及びモバイル端末UT1,UT2の各々からサーバ500が受信した情報(たとえば、位置情報)は、記憶装置503に保存される。さらに、記憶装置503には、プログラムと、プログラムで使用される情報(たとえば、マップ、数式、及び各種パラメータ)とが記憶されている。この実施の形態では、記憶装置503に記憶されているプログラムをプロセッサ501が実行することで、後述する車両管理に係る処理(図7参照)が実行される。ただし、こうした処理は、ソフトウェアではなく、専用のハードウェア(電子回路)によって実行されてもよい。
【0075】
サーバ500は、ユーザに関する情報(以下、「ユーザ情報」と表記する)と、費用に関する情報(以下、「費用負担情報」と表記する)とを管理する。ユーザ情報及び費用負担情報は、記憶装置503に記憶されている。
【0076】
ユーザ情報は、図6中の表T1によって示される。ユーザ情報では、各ユーザの情報が、ユーザを識別するための識別情報(ユーザID)によって区別されている。表T1において、「U-1」、「U-2」は、それぞれ第1ユーザ、第2ユーザのユーザIDに相当する。ユーザ情報は、第1ユーザ及び第2ユーザの各々に関して、車両1の使用期間(すなわち、前述した第1使用期間及び第2使用期間)と、車両1の用途(すなわち、前述した第1用途及び第2用途)とを示す。この実施の形態では、第1用途、第2用途が、それぞれ移動オフィス用途、旅客輸送用途である。また、第1使用期間が平日(月~金曜日)であり、第2使用期間が週末(土・日曜日)である。第1ユーザによる車両1の使用時間は5日/週であり、第2ユーザによる車両1の使用時間は2日/週である。このように、ユーザごとの車両1の使用時間は、ユーザ情報によって示される。この実施の形態では、単位期間を1週間にしているが、単位期間は任意である。
【0077】
この実施の形態では、費用負担情報が、以下に説明するような、複数の部品区分と複数の用途区分と費用負担割合との関係を示す。費用負担情報は、図6中の表T2によって示される。
【0078】
費用負担情報によって規定される複数の部品区分は、共通の内装品に関する第1部品区分と、駆動系の部品に関する第2部品区分と、サスペンション170に関する第3部品区分と、バッテリ160に関する第4部品区分と、第1用途内装品に関する第5部品区分と、第2用途内装品に関する第6部品区分とを含む。
【0079】
駆動系の部品には、車両1を走行させるための各種部品が含まれる。車両1に動力を与える部品(たとえば、MG20)だけでなく、車両1の走行を制御する部品も、駆動系の部品に含まれる。たとえば、ADK200、ブレーキシステム121、ステアリングシステム122、及び推進システム123Cの各々に含まれる部品は、駆動系の部品に該当する。第1用途内装品は、たとえばオフィス用品である。第2用途内装品は、たとえば旅客輸送用シートである。
【0080】
費用負担情報によって規定される複数の用途区分は、オフィス用途に関する第1用途区分と、旅客輸送用途に関する第2用途区分とを含む。すなわち、第1ユーザの用途(第1用途)は第1用途区分に属し、第2ユーザの用途(第2用途)は第2用途区分に属する。
【0081】
費用負担情報が示す費用負担割合は、部品メンテナンスにかかる費用の各ユーザの負担割合である。部品メンテナンスの例としては、部品の修理又は交換が挙げられる。この実施の形態では、費用負担情報が、オフィス用途のユーザ(第1ユーザ)と旅客輸送用途のユーザ(第2ユーザ)との費用負担割合を示す。具体的には、費用負担情報によって示される費用負担割合(第1ユーザ:第2ユーザ)は、図6中の表T2が示すように、第1部品区分について「5:5」、第2部品区分について「2:8」、第3部品区分について「3:7」、第4部品区分について「7:3」、第5部品区分について「10:0」、第6部品区分について「0:10」である。
【0082】
上記費用負担割合は、部品の劣化傾向に応じて定められている。たとえば、旅客輸送用途とオフィス用途とを比較すると、駆動系の部品及びサスペンション関連部品の各々は旅客輸送用途のほうが劣化しやすく、蓄電装置の部品はオフィス用途のほうが劣化しやすい傾向がある。用途別内装品については対応する用途のみで使用されるため、用途別内装品のメンテナンスにかかる費用は、対応する用途で車両1を使用したユーザの全額負担となる。
【0083】
サーバ500は、複数のユーザによって使用された1台の車両で部品のメンテナンスが行なわれたときに、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を、メンテナンスされた部品の種類とユーザごとの車両の使用態様とに基づいて決定するように構成される。
【0084】
具体的には、サーバ500(より特定的には、プロセッサ501)は、上記費用負担情報(図6中の表T2)を参照して、第1~第6部品区分のうち、メンテナンスされた部品の種類が属する部品区分と、第1~第2用途区分のうち、第1ユーザの車両1の用途が属する用途区分(第1用途区分)と、第2ユーザの車両1の用途が属する用途区分(第2用途区分)とから、各ユーザの費用負担割合を取得し、取得された各ユーザの費用負担割合を用いて、部品メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定する。
【0085】
この実施の形態では、サーバ500(より特定的には、プロセッサ501)が、上記費用負担情報によって示される各ユーザの費用負担割合(以下、「第1割合」とも称する)に加えて、前述のユーザ情報(図6中の表T1)によって示される各ユーザの車両1の使用時間をさらに用いて、部品メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定する。ユーザ情報は、第1ユーザと第2ユーザとの使用時間の割合(以下、「第2割合」とも称する)を示す。この実施の形態では、第2割合(第1ユーザ:第2ユーザ)が5:2である。サーバ500は、第1割合と第2割合とに基づいて、第1ユーザ及び第2ユーザの各々の負担割合を決定する。サーバ500は、車両1の使用時間が長いユーザの負担割合を大きくする。
【0086】
図7は、第1ユーザと第2ユーザとでシェア(共用)される車両1をサーバ500が管理するために実行する処理を示すフローチャートである。このフローチャートに示される処理は、第1ユーザ及び第2ユーザによるカーシェアリング期間において繰り返し実行される。
【0087】
図1図6とともに図7を参照して、S11では、現在時刻が第1使用期間内か否かを、サーバ500が判断する。現在時刻が第1使用期間内である場合には(S11にてYES)、処理がS12に進む。S12では、サーバ500が、車両1の使用状況を取得し、第1ユーザによって車両1が使用されているか否かを判断する。
【0088】
この実施の形態では、サーバ500が、車両1の現在位置と、モバイル端末UT1の現在位置と、モバイル端末UT2の現在位置との少なくとも1つを用いて、車両1の使用状況を取得する。たとえば、車両1がモバイル端末UT1の現在位置の周辺に存在する場合には、サーバ500は、第1ユーザによって車両1が使用されていると判断する。また、車両1がモバイル端末UT2の現在位置の周辺に存在する場合には、サーバ500は、第2ユーザによって車両1が使用されていると判断する。そして、いずれのモバイル端末の周辺にも車両1が存在しない場合には、車両1は不使用状態である(車両1はいずれのユーザにも使用されていない)とサーバ500が判断する。
【0089】
なお、車両1の使用状況の判断方法は、上記に限られず適宜変更可能である。たとえば、車両1が第1ユーザの使用エリア内(たとえば、第1ユーザの自宅又は職場の周辺)に存在する場合に、第1ユーザによって車両1が使用されているとサーバ500が判断してもよい。また、車両1が第2ユーザの使用エリア内(たとえば、第2ユーザの自宅又は職場の周辺)に存在する場合に、第2ユーザによって車両1が使用されているとサーバ500が判断してもよい。そして、車両1が各ユーザの使用エリア外に存在する場合に、車両1は不使用状態であるとサーバ500が判断してもよい。
【0090】
第1ユーザによって車両1が使用されている場合には(S12にてYES)、サーバ500が、S13において、第1使用期間の終了時刻が近いか否かを判断する。第1使用期間の終了時刻は、第1使用期間の最終日の夕方(たとえば、17時)であってもよい。サーバ500は、S13において、第1使用期間の最終日の所定時刻を過ぎたか否かを判断してもよい。所定時刻は、第1使用期間の終了時刻から所定時間さかのぼった時刻(たとえば、16時)であってもよい。他方、車両1が不使用状態である場合、又は第2ユーザによって車両1が使用されている場合には、S12においてNOと判断される。S12にてNO又はS13にてYESと判断された場合には、処理がS14に進む。
【0091】
S14では、サーバ500が第1ユーザに通知する。サーバ500は、たとえばモバイル端末UT1に対して通知を行なう。第1ユーザによって車両1が使用されており(S12にてYES)、かつ、第1使用期間の終了時刻が近い場合には(S13にてYES)、サーバ500は、S14の通知により、車両1を第2ユーザへ引き渡す準備を行なうことを第1ユーザに要求する。車両1が不使用状態である場合には、サーバ500は、S14の通知により、車両1の使用を第1ユーザに促す。第2ユーザによって車両1が使用されている場合には(後述するS25にてYES)、サーバ500は、S14の通知により、車両1の使用状況を第1ユーザに知らせる。後述するS26の処理によりモバイル端末UT2から第2ユーザの状況を受信した場合には、サーバ500は、S14の通知により、第2ユーザの状況を第1ユーザに知らせる。
【0092】
上記S14の処理が実行されると、処理はS21に進む。また、第1ユーザによって車両1が使用されており(S12にてYES)、かつ、第1使用期間の終了時刻まで時間的に余裕がある場合には(S13にてNO)、第1ユーザに対する通知(S14)が行なわれることなく、処理がS21に進む。
【0093】
現在時刻が第1使用期間外である場合には(S11にてNO)、処理がS15に進む。S15では、S12と同様に、サーバ500が、車両1の使用状況を取得し、第1ユーザによって車両1が使用されているか否かを判断する。そして、第1ユーザによって車両1が使用されている場合には(S15にてYES)、処理がS16に進む。
【0094】
S16では、サーバ500が第1ユーザに通知する。サーバ500は、たとえばモバイル端末UT1に対して通知を行なう。サーバ500は、S16の通知により、車両1を第2ユーザへ引き渡すことを第1ユーザに要求する。また、サーバ500は、S16の通知により、車両1及び第1ユーザの各々の状況を返信することを第1ユーザに要求する。
【0095】
上記S16の処理が実行されると、処理はS21に進む。また、現在時刻が第1使用期間外であり(S11にてNO)、かつ、第1ユーザによって車両1が使用されていない場合には(S15にてNO)、第1ユーザに対する通知(S16)が行なわれることなく、処理がS21に進む。
【0096】
S21では、現在時刻が第2使用期間内か否かを、サーバ500が判断する。現在時刻が第2使用期間内である場合には(S21にてYES)、処理がS22に進む。S22では、サーバ500が、車両1の使用状況を取得し、第2ユーザによって車両1が使用されているか否かを判断する。
【0097】
第2ユーザによって車両1が使用されている場合には(S22にてYES)、サーバ500が、S23において、第2使用期間の終了時刻が近いか否かを判断する。第2使用期間の終了時刻は、第2使用期間の最終日の夕方(たとえば、17時)であってもよい。サーバ500は、S23において、第2使用期間の最終日の所定時刻を過ぎたか否かを判断してもよい。所定時刻は、第2使用期間の終了時刻から所定時間さかのぼった時刻(たとえば、16時)であってもよい。他方、車両1が不使用状態である場合、又は第1ユーザによって車両1が使用されている場合には、S22においてNOと判断される。S22にてNO又はS23にてYESと判断された場合には、処理がS24に進む。
【0098】
S24では、サーバ500が第2ユーザに通知する。サーバ500は、たとえばモバイル端末UT2に対して通知を行なう。第2ユーザによって車両1が使用されており(S22にてYES)、かつ、第2使用期間の終了時刻が近い場合には(S23にてYES)、サーバ500は、S24の通知により、車両1を第1ユーザへ引き渡す準備を行なうことを第2ユーザに要求する。車両1が不使用状態である場合には、サーバ500は、S24の通知により、車両1の使用を第2ユーザに促す。第1ユーザによって車両1が使用されている場合には(S15にてYES)、サーバ500は、S24の通知により、車両1の使用状況を第2ユーザに知らせる。S16の処理によりモバイル端末UT1から第1ユーザの状況を受信した場合には、サーバ500は、S24の通知により、第1ユーザの状況を第2ユーザに知らせる。
【0099】
上記S24の処理が実行されると、処理はS31に進む。また、第2ユーザによって車両1が使用されており(S22にてYES)、かつ、第2使用期間の終了時刻まで時間的に余裕がある場合には(S23にてNO)、第2ユーザに対する通知(S24)が行なわれることなく、処理がS31に進む。
【0100】
現在時刻が第2使用期間外である場合には(S21にてNO)、処理がS25に進む。S25では、S22と同様に、サーバ500が、車両1の使用状況を取得し、第2ユーザによって車両1が使用されているか否かを判断する。そして、第2ユーザによって車両1が使用されている場合には(S25にてYES)、処理がS26に進む。
【0101】
S26では、サーバ500が第2ユーザに通知する。サーバ500は、たとえばモバイル端末UT2に対して通知を行なう。サーバ500は、S26の通知により、車両1を第1ユーザへ引き渡すことを第2ユーザに要求する。また、サーバ500は、S26の通知により、車両1及び第2ユーザの各々の状況を返信することを第2ユーザに要求する。
【0102】
上記S26の処理が実行されると、処理はS31に進む。また、現在時刻が第2使用期間外であり(S21にてNO)、かつ、第2ユーザによって車両1が使用されていない場合には(S25にてNO)、第2ユーザに対する通知(S26)が行なわれることなく、処理がS31に進む。
【0103】
S31では、車両1のメンテナンスの要否を、サーバ500が判断する。この実施の形態では、前述した車両1の使用後(たとえば、夜)に行なわれる部品チェックで、いずれかの部品に異常が発見された場合には、S31においてYESと判断され、いずれの部品にも異常が発見されない場合には、S31においてNOと判断される。
【0104】
車両1のメンテナンスが必要と判断された場合には(S31にてYES)、サーバ500が、S32において、車両1のメンテナンスに係る処理を実行する。他方、車両1のメンテナンスが不要と判断された場合には(S31にてNO)には、車両メンテナンス(S32)が行なわれることなく、図7に示す一連の処理は終了し、処理は最初のステップ(S11)に戻る。
【0105】
S32においては、以下に説明する図8に示す一連の処理が実行される。図8は、サーバ500によって実行される車両1のメンテナンスに係る処理の詳細について説明するためのフローチャートである。
【0106】
図1図6とともに図8を参照して、S201では、異常が発見された車両1の部品(図7のS31参照)について、サーバ500がメンテナンスの依頼と報知を行なう。
【0107】
具体的には、サーバ500は、S201において、異常が発見された車両1の部品のメンテナンス(たとえば、修理又は交換)を依頼する信号(以下、「依頼信号」とも称する)を送信する。サーバ500は、メンテナンス業者の端末へ依頼信号を送信してもよい。サーバ500は、車両1を使用中のユーザが携帯するモバイル端末UT1又はUT2へ依頼信号を送信してもよい。そして、車両1を使用中のユーザがメンテナンス業者にメンテナンスを依頼してもよい。
【0108】
また、サーバ500は、S201において、車両1のメンテナンスを行なう旨を報知する報知処理を所定の報知装置(たとえば、HMI230)に実行させる。サーバ500は、モバイル端末UT1及びUT2の各々に上記報知処理を実行させてもよい。
【0109】
続くS202では、S201で依頼したメンテナンスが完了したか否かを、サーバ500が判断する。そして、メンテナンスが完了するまで(S202にてNO)、サーバ500は待機する。待機中、サーバ500は、メンテナンスの結果(履歴)の入力を受け付けてもよい。サーバ500は、メンテナンスの結果がサーバ500に入力されたか否かに基づいて、メンテナンスが完了したか否かを判断してもよい。メンテナンスが完了した場合には(S202にてYES)、サーバ500が、S203において、メンテナンスの履歴(たとえば、メンテナンスの日時、メンテナンスされた部品、及びメンテナンスの内容)を記憶装置503に記録する。メンテナンス業者がHMI504を通じてサーバ500にメンテナンスの結果(履歴)を入力してもよい。
【0110】
続くS204では、上記メンテナンスにかかった費用(メンテナンス費用)を、サーバ500が取得する。サーバ500は、メンテナンス業者の端末からメンテナンス費用を受信してもよい。あるいは、サーバ500は、所定の料金表に基づいてメンテナンス費用を求めてもよい。料金表は予め記憶装置503に記憶されてもよい。
【0111】
続くS205では、サーバ500が、図6中の表T2が示す第1~第6部品区分のうち、メンテナンスされた部品(たとえば、修理又は交換された部品)の種類が属する部品区分(メンテナンス部品区分)を取得する。
【0112】
続くS206では、サーバ500が、各ユーザの車両1の用途が属する用途区分を取得する。この実施の形態では、第1ユーザの用途区分(第1ユーザ用途区分)として第1用途区分が取得され、第2ユーザの用途区分(第2ユーザ用途区分)として第2用途区分が取得される。
【0113】
続くS207では、サーバ500が、S205で取得されたメンテナンス部品区分と、S206で取得された各ユーザの用途区分と、図6中の表T1が示すユーザ情報と、図6中の表T2が示す費用負担情報とを用いて、メンテナンス費用のユーザごとの負担割合を決定する。具体的には、サーバ500は、S205で取得されたメンテナンス部品区分と、S206で取得された第1及び第2ユーザ用途区分とから、第1割合(費用負担情報によって示される各ユーザの費用負担割合)を取得する。たとえば、S205で取得されたメンテナンス部品区分が第2部品区分である場合には、サーバ500は、第1割合(第1ユーザ:第2ユーザ)として「2:8」を取得する。また、サーバ500は、ユーザ情報が示す第2割合(第1ユーザ:第2ユーザ)として「5:2」を取得する。そして、サーバ500は、第1割合と第2割合とを乗算することにより、「10:16(=5:8)」という割合を得る。サーバ500は、この算出結果(割合「5:8」)を、最終的な費用負担割合(第1ユーザ:第2ユーザ)として決定する。
【0114】
続くS208では、サーバ500が、S207で決定された各ユーザの費用負担割合に基づいて、第1ユーザと第2ユーザとの少なくとも一方に対してメンテナンス費用の請求を行なう。サーバ500は、たとえばモバイル端末UT1及びUT2の少なくとも一方に対して費用請求の通知を行なう。たとえば、S204で取得されたメンテナンス費用が13万円であり、S207で決定された費用負担割合(第1ユーザ:第2ユーザ)が「5:8」である場合には、サーバ500は、モバイル端末UT1に対する上記通知により、第1ユーザに対して5万円を請求し、モバイル端末UT2に対する上記通知により、第2ユーザに対して8万円を請求する。各ユーザは、キャッシュレス決済の案内に従ってモバイル端末UT1又はUT2を操作することによって、キャッシュレス決済によりメンテナンス費用の支払いを行なってもよい。なお、メンテナンスされた部品が用途別内装品である場合には、サーバ500は、第1ユーザ又は第2ユーザの一方のみに対してメンテナンス費用の請求を行なう。
【0115】
上記S208の処理が実行されると、図8に示す一連の処理は終了する。そして、処理は、図7の最初のステップ(S11)に戻る。
【0116】
以上説明したように、この実施の形態に係るカーシェアリング方法は、図7及び図8の各々に示した処理を含む。
【0117】
図7に示した処理では、サーバ500が、第1ユーザに車両1を提供するための第1提供処理を実行する(S11~S14、S21、S25、及びS26)。また、第1ユーザが車両1を使用した後、サーバ500が、第2ユーザに車両1を提供するための第2提供処理を実行する(S21~S24、S11、S15、及びS16)。
【0118】
上記第1提供処理は、第1使用期間内において第1ユーザが車両1を使用していない場合に(S11にてYESかつS12にてNO)、サーバ500が車両1の使用を第1ユーザに促すこと(S14)と、第1使用期間内において第2ユーザが車両1を使用している場合に(S21にてNOかつS25にてYES)、サーバ500が、車両1を第1ユーザへ引き渡すことを第2ユーザに要求すること(S26)とを含む。
【0119】
上記第2提供処理は、第1使用期間の後に設定された第2使用期間内において第2ユーザが車両1を使用していない場合に(S21にてYESかつS22にてNO)、サーバ500が車両1の使用を第2ユーザに促すこと(S24)と、第2使用期間内において第1ユーザが車両1を使用している場合に(S11にてNOかつS15にてYES)、サーバ500が、車両1を第2ユーザへ引き渡すことを第1ユーザに要求すること(S16)とを含む。
【0120】
図8に示した処理では、車両1で部品のメンテナンスが行なわれたときに、サーバ500が、そのメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を、メンテナンスされた部品の種類とユーザごとの車両1の使用態様とに基づいて決定するための処理(決定処理)を実行する(S205~S207)。
【0121】
上記決定処理は、サーバ500が、費用負担情報(図6)が示す複数の部品区分のうちメンテナンスされた部品の種類が属するメンテナンス部品区分を取得すること(S205)と、サーバ500が、費用負担情報(図6)が示す複数の用途区分のうち第1ユーザの車両1の用途が属する第1ユーザ用途区分を取得すること(S206)と、サーバ500が、費用負担情報(図6)が示す複数の用途区分のうち第2ユーザの車両1の用途が属する第2ユーザ用途区分を取得すること(S206)と、サーバ500が、取得されたメンテナンス部品区分、第1ユーザ用途区分、及び第2ユーザ用途区分を用いて、第1ユーザと第2ユーザとの費用負担割合を取得すること(S207)と、サーバ500が、取得された費用負担割合を用いて、メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定すること(S207)とを含む。
【0122】
上記のカーシェアリング方法によれば、複数のユーザで共用される1台の車両において部品のメンテナンスが行なわれたときに、ユーザごとの費用負担割合を公平に決めることが可能になる。
【0123】
上記実施の形態では、2人のユーザによって1台の車両が共用されている。しかしこれに限られず、カーシェアリングにおけるユーザの人数は適宜変更可能であり、3人以上であってもよい。上記実施の形態におけるユーザ情報及び費用負担情報の各々は、カーシェアリングの形態に合わせて変更されてもよい。図9は、図6に示したユーザ情報及び費用負担情報の変形例を示す図である。
【0124】
この変形例に係るユーザ情報は、図9中の表T3によって示される。表T3において、「U-1」、「U-2」、「U-3」、「U-4」は、それぞれ第1ユーザ、第2ユーザ、第3ユーザ、第4ユーザのユーザIDに相当する。ユーザ情報は、第1~第4ユーザの各々に関して、車両1の使用期間(第1~第4使用期間)と、車両1の用途(第1~第4用途)とを示す。この実施の形態では、第1用途、第2用途、第3用途、第4用途が、それぞれ移動オフィス用途、旅客輸送用途、物流用途、医療用途である。また、第1使用期間が月曜日、第2使用期間が火・水曜日、第3使用期間が木・金曜日、第4使用期間が週末(土・日曜日)である。第1ユーザによる車両1の使用時間は1日/週、第2ユーザによる車両1の使用時間は2日/週、第3ユーザによる車両1の使用時間は2日/週、第4ユーザによる車両1の使用時間は2日/週である。このように、ユーザごとの車両1の使用時間は、ユーザ情報によって示される。
【0125】
この変形例に係る費用負担情報は、図9中の表T4によって示される。費用負担情報によって規定される複数の部品区分は、共通の内装品に関する第1部品区分と、駆動系の部品に関する第2部品区分と、サスペンション170に関する第3部品区分と、バッテリ160に関する第4部品区分と、第1用途内装品に関する第5部品区分と、第2用途内装品に関する第6部品区分と、第3用途内装品に関する第7部品区分と、第4用途内装品に関する第8部品区分とを含む。なお、共通の内装品は、第1~第4用途の全てで使用される内装品である。
【0126】
費用負担情報によって規定される複数の用途区分は、オフィス用途に関する第1用途区分と、旅客輸送用途に関する第2用途区分と、物流用途に関する第3用途区分と、医療用途に関する第4用途区分とを含む。すなわち、第1ユーザの用途(第1用途)は第1用途区分に属し、第2ユーザの用途(第2用途)は第2用途区分に属し、第3ユーザの用途(第3用途)は第3用途区分に属し、第4ユーザの用途(第4用途)は第4用途区分に属する。
【0127】
この変形例では、費用負担情報が、オフィス用途のユーザ(第1ユーザ)と旅客輸送用途のユーザ(第2ユーザ)と物流用途のユーザ(第3ユーザ)と医療用途のユーザ(第4ユーザ)との費用負担割合を示す。この費用負担割合は、図9中の表T4に示されるように、部品の劣化傾向に応じて定められている。たとえば、旅客輸送用途と物流用途とを比較すると、内装品と駆動系の部品とサスペンション関連部品と蓄電装置の部品とのいずれも物流用途のほうが劣化しやすい傾向がある。旅客輸送用途と医療用途とを比較すると、駆動系の部品及びサスペンション関連部品の各々は旅客輸送用途のほうが劣化しやすく、蓄電装置の部品は医療用途のほうが劣化しやすい傾向がある。オフィス用途と医療用途とを比較すると、駆動系の部品とサスペンション関連部品と蓄電装置の部品とのいずれも医療用途のほうが劣化しやすい傾向がある。用途別内装品のメンテナンスにかかる費用は、対応する用途で車両1を使用したユーザの全額負担となる。
【0128】
上記変形例に係るユーザ情報及び費用負担情報によれば、第1~第4ユーザで共用される1台の車両において部品のメンテナンスが行なわれたときに、第1~第4ユーザの費用負担割合を公平に決めることが可能になる。
【0129】
上記実施の形態では、決定処理(メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定する処理)において、各ユーザの車両1の使用態様(より特定的には、用途)を、費用負担情報(図6)が示すいずれかの用途区分に分類している。しかし、決定処理において費用負担情報を用いることは必須ではない。たとえば、サーバ500は、図8に示した処理に代えて、以下に説明する図10に示す一連の処理を実行してもよい。
【0130】
図10は、図8に示した処理の変形例を示すフローチャートである。図10に示す処理は、S205~S207(図8)に代えてS207Aが採用されたこと以外は、図8に示した処理に準ずる。以下、S207Aについて説明する。
【0131】
図1図6とともに図10を参照して、S207Aでは、サーバ500が、各ユーザの車両1の使用態様に基づいて、メンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定する。具体的には、サーバ500は、第1ユーザと第2ユーザとの各々の車両1の使用態様について、メンテナンスされた部品をどの程度劣化させるものであったかを評価する。そして、サーバ500は、メンテナンスされた部品を劣化させやすい態様で車両1を使用したユーザ(すなわち、メンテナンスされた部品を劣化させた程度が大きいユーザ)の費用負担割合を大きくする。
【0132】
サーバ500は、自動運転中(図3参照)に記録された車両1の状態を、車両1から受信してもよい。サーバ500は、第1ユーザに使用されているときに車両1の各種センサで検出された車両1の状態の推移に基づいて、第1ユーザの使用に起因した部品の劣化進行度を推定してもよい。また、サーバ500は、第2ユーザに使用されているときに車両1の各種センサで検出された車両1の状態の推移に基づいて、第2ユーザの使用に起因した部品の劣化進行度を推定してもよい。たとえば、急発進又は急ブレーキの頻度が高いほど駆動系の部品は劣化しやすくなる。また、充放電頻度が高いほどバッテリ160は劣化しやすくなる。サーバ500は、各ユーザの用途をさらに用いて、各ユーザの使用に起因した部品の劣化進行度を推定してもよい。
【0133】
上記変形例に係るカーシェアリング方法では、サーバ500が、車両1で部品のメンテナンスが行なわれたときに、ユーザごとに、車両1の使用に起因した当該部品の劣化進行度を取得し、ユーザごとの部品の劣化進行度を用いて、部品のメンテナンスにかかる費用のユーザごとの負担割合を決定する(S207A)。こうしたカーシェアリング方法によっても、ユーザごとの費用負担割合を公平に決めることが可能になる。
【0134】
上記実施の形態及び変形例では、サーバ500としてオンプレミスサーバが採用されている(図1参照)。しかしこれに限られず、クラウドコンピューティングによってクラウド上にサーバ500の機能の少なくとも一部が実装されてもよい。また、サーバ500の機能の少なくとも一部は、車両又はモバイル端末に実装されてもよい。
【0135】
車両の構成は、上記実施の形態で説明した構成(図1図2図4、及び図5参照)に限られない。ベース車両が後付けなしの状態で自動運転機能を有してもよい。自動運転のレベルは、完全自動運転(レベル5)であってもよいし、条件付きの自動運転(たとえば、レベル4)であってもよい。車両の構成は、無人走行専用の構成に適宜変更されてもよい。たとえば、無人走行専用の車両は、人が車両を操作するための部品(ステアリングホイールなど)を備えなくてもよい。ただし、上述したカーシェアリングシステム及びカーシェアリング方法が適用される車両は、自動運転車両に限定されない。
【0136】
車両は、ソーラーパネルを備えてもよいし、飛行機能を備えてもよい。車両は、乗用車に限られず、バス又はトラックであってもよい。車両は、個人が所有する車両(POV)であってもよい。車両は、ユーザの使用目的に応じてカスタマイズされる多目的車両であってもよい。車両は、移動店舗車両、無人搬送車(AGV)、又は農業機械であってもよい。車両は、無人又は1人乗りの小型BEV(たとえば、マイクロパレット)であってもよい。
【0137】
上述した実施の形態及び各変形例は任意に組み合わせて実施されてもよい。
今回開示された実施の形態は、全ての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示により示される技術的範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0138】
1 車両、2 VP、20 MG、100 ベース車両、102 制御システム、115 統合制御マネージャ、130 通信装置、150 制御装置、160 バッテリ、170 サスペンション、180 制動装置、200 ADK、202 ADS、210 コンピュータ、260 認識用センサ、270 姿勢用センサ、500 サーバ、501 プロセッサ、503 記憶装置、504 HMI、UT1,UT2 モバイル端末。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10