IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社村田製作所の特許一覧

<>
  • 特許-コネクタ 図1
  • 特許-コネクタ 図2
  • 特許-コネクタ 図3
  • 特許-コネクタ 図4
  • 特許-コネクタ 図5
  • 特許-コネクタ 図6
  • 特許-コネクタ 図7
  • 特許-コネクタ 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】コネクタ
(51)【国際特許分類】
   H01R 12/71 20110101AFI20241016BHJP
   H01R 13/646 20110101ALI20241016BHJP
【FI】
H01R12/71
H01R13/646
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022012630
(22)【出願日】2022-01-31
(65)【公開番号】P2023111019
(43)【公開日】2023-08-10
【審査請求日】2023-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000006231
【氏名又は名称】株式会社村田製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110000970
【氏名又は名称】弁理士法人 楓国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】塚本 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】雨森 祐真
(72)【発明者】
【氏名】森田 優斗
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】中国実用新案第209544656(CN,U)
【文献】米国特許出願公開第2008/0139019(US,A1)
【文献】特開2018-190642(JP,A)
【文献】特開2023-034689(JP,A)
【文献】特開2022-143509(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111564717(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第106911024(CN,A)
【文献】特開2012-182110(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 12/00-12/91
H01R 13/56-13/72
H01R 24/00-24/86
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂本体部材と、
前記樹脂本体部材に支持されている複数の信号端子と、
前記樹脂本体部材に支持されているグランド端子と、
前記樹脂本体部材に支持されている浮遊端子と、
を備えており、
前記樹脂本体部材は、
上下方向に見て、左右方向に延びている突起部と、
上下方向に見て、前記突起部の周囲を囲む環形状を有している枠部と、
上下方向に見て、前記突起部と前記枠部との間に位置し、かつ、前記突起部と前記枠部とを連結している連結部と、
を含んでおり、
前記複数の信号端子は、前記突起部の前又は後の領域において左右方向に並ぶように前記枠部に支持されており、
前記浮遊端子は、上下方向に見て、前記突起部の左端部の少なくとも一部分を覆っており、かつ、前記複数の信号端子及び前記グランド端子を含むコネクタのいずれの端子とも接続されておらず、
前記グランド端子は、前後方向又は左右方向に前記浮遊端子と向かい合うように、前記枠部に支持されており、
前記グランド端子は、
左右方向に前記浮遊端子と向かい合っているグランド端子第1部分と、
グランド突起と、
を含んでおり、
前記浮遊端子は、左右方向に前記グランド端子と向かい合っている浮遊端子第1部分と、浮遊突起と、を含んでおり、
上下方向に見て、前記グランド端子第1部分と前記浮遊端子との間の領域の少なくとも一部分には、前記連結部を上下方向に貫通する貫通孔が設けられており、
前記浮遊端子第1部分は、前記突起部の上面及び左面に位置しており、かつ、前記突起部の左面において、前記突起部の左面の上端部から前記突起部の左面の下端部まで延びており、
前記浮遊突起は、前記突起部の左面に位置する前記浮遊端子第1部分の下端部から左方向に延びており、かつ、上下方向に見て、前記貫通孔内に突出しており、
前記グランド突起は、上下方向に見て、前記貫通孔内に突出しており、
前記グランド突起と前記浮遊突起とは、左右方向に並んでおり、
前記浮遊突起の上面の全体は、前記樹脂本体部材から露出している、
コネクタ。
【請求項2】
前記浮遊端子第1部分の前後方向の幅は、前記浮遊突起の前後方向の幅より大きい、
請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記浮遊端子は、前記浮遊端子第1部分から前方向に延び、かつ、前記突起部の前面に位置している浮遊端子第2部分と、前記浮遊端子第1部分から後方向に延び、かつ、前記突起部の後面に位置している浮遊端子第3部分と、を含んでいる、
請求項1又は請求項に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記浮遊端子第1部分と前記浮遊端子第2部分とは、前記突起部の左面及び前面において連結されておらず、
前記浮遊端子第1部分と前記浮遊端子第3部分とは、前記突起部の左面及び後面において連結されていない、
請求項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記浮遊端子第1部分の前後方向の幅は、前記浮遊端子第2部分の左右方向の幅及び前記浮遊端子第3部分の左右方向の幅より大きい、
請求項又は請求項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記浮遊端子第1部分の下端部は、左方向に凹状に湾曲している、
請求項1ないし請求項のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項7】
樹脂本体部材と、
前記樹脂本体部材に支持されている複数の信号端子と、
前記樹脂本体部材に支持されているグランド端子と、
前記樹脂本体部材に支持されている浮遊端子と、
を備えており、
前記樹脂本体部材は、
上下方向に見て、左右方向に延びている突起部と、
上下方向に見て、前記突起部の周囲を囲む環形状を有している枠部と、
上下方向に見て、前記突起部と前記枠部との間に位置し、かつ、前記突起部と前記枠部とを連結している連結部と、
を含んでおり、
前記複数の信号端子は、前記突起部の前又は後の領域において左右方向に並ぶように前記枠部に支持されており、
前記浮遊端子は、上下方向に見て、前記突起部の左端部の少なくとも一部分を覆っており、かつ、前記複数の信号端子及び前記グランド端子を含むコネクタのいずれの端子とも接続されておらず、
前記グランド端子は、前後方向及び左右方向に前記浮遊端子と向かい合うように、前記枠部に支持されており、
前記グランド端子は、
左右方向に前記浮遊端子と向かい合っているグランド端子第1部分と、
前後方向に前記浮遊端子と向かい合っているグランド端子第2部分と、
前記グランド端子第1部分の下端と前記グランド端子第2部分の下端とを連結しているグランド端子接続部と、
を含んでおり、
上下方向に見て、前記グランド端子第1部分と前記浮遊端子との間の領域の少なくとも一部分には、前記連結部を上下方向に貫通する貫通孔が設けられており、
前記グランド端子接続部は、左右方向に延びている、
コネクタ。
【請求項8】
樹脂本体部材と、
前記樹脂本体部材に支持されている複数の信号端子と、
前記樹脂本体部材に支持されているグランド端子と、
前記樹脂本体部材に支持されている浮遊端子と、
を備えており、
前記樹脂本体部材は、
上下方向に見て、左右方向に延びている突起部と、
上下方向に見て、前記突起部の周囲を囲む環形状を有している枠部と、
上下方向に見て、前記突起部と前記枠部との間に位置し、かつ、前記突起部と前記枠部とを連結している連結部と、
を含んでおり、
前記複数の信号端子は、前記突起部の前又は後の領域において左右方向に並ぶように前記枠部に支持されており、
前記浮遊端子は、上下方向に見て、前記突起部の左端部の少なくとも一部分を覆っており、かつ、前記複数の信号端子及び前記グランド端子を含むコネクタのいずれの端子とも接続されておらず、
前記グランド端子は、前後方向又は左右方向に前記浮遊端子と向かい合うように、前記枠部に支持されており、
前記グランド端子は、左右方向に前記浮遊端子と向かい合っているグランド端子第1部分を含んでおり、
上下方向に見て、前記グランド端子第1部分と前記浮遊端子との間の領域の少なくとも一部分には、前記連結部を上下方向に貫通する貫通孔が設けられており、
前記グランド端子は、上下方向に見て、前記貫通孔内に突出しているグランド突起を含んでおり、
前記浮遊端子は、上下方向に見て、前記貫通孔内に突出する浮遊突起を含んでおり、
前記グランド突起と前記浮遊突起とは、左右方向に並んでいる、
コネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来のコネクタに関する発明としては、例えば、特許文献1に記載のレセプタクルコネクタが知られている。このレセプタクルコネクタは、レセプタクルハウジング、複数のレセプタクルコンタクト及びレセプタクル部材を備えている。レセプタクルハウジングは、樹脂部材である。レセプタクルハウジングは、レセプタクル嵌合部及びレセプタクル外壁部を含んでいる。レセプタクル嵌合部は、左右方向に延びている。レセプタクル外壁部は、上下方向に見て、レセプタクル嵌合部を囲んでいる。複数のレセプタクルコンタクトは、信号端子である。複数のレセプタクルコンタクトは、レセプタクルハウジングに支持されている。レセプタクル部材は、グランド端子である。レセプタクル部材は、レセプタクル嵌合部の左端部に支持される第1被支持部、及び、レセプタクル外壁部の左端部に支持される第2被支持部を含んでいる。第1被支持部と第2被支持部とは、互いに連結されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2006-331679号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のレセプタクルコネクタにおいて、高い周波数帯域において使用したいという要望がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、高い周波数帯域において使用できるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一形態に係るコネクタは、
樹脂本体部材と、
前記樹脂本体部材に支持されている複数の信号端子と、
前記樹脂本体部材に支持されているグランド端子と、
前記樹脂本体部材に支持されている浮遊端子と、
を備えており、
前記樹脂本体部材は、
上下方向に見て、左右方向に延びている突起部と、
上下方向に見て、前記突起部の周囲を囲む環形状を有している枠部と、
上下方向に見て、前記突起部と前記枠部との間に位置し、かつ、前記突起部と前記枠部とを連結している連結部と、
を含んでおり、
前記複数の信号端子は、前記突起部の前又は後の領域において左右方向に並ぶように前記枠部に支持されており、
前記浮遊端子は、上下方向に見て、前記突起部の左端部の少なくとも一部分を覆っており、かつ、前記複数の信号端子及び前記グランド端子を含むコネクタのいずれの端子とも接続されておらず、
前記グランド端子は、前後方向又は左右方向に前記浮遊端子と向かい合うように、前記枠部に支持されている。
【0007】
以下に、本明細書における部材の位置関係について定義する。第1部材ないし第3部材は、コネクタセットの構成である。本明細書において、前後方向に並ぶ第1部材及び第2部材とは、以下の状態を示す。前後方向に垂直な方向に第1部材及び第2部材を見たときに、第1部材及び第2部材の両方が前後方向を示す任意の直線上に配置されている状態である。本明細書において、上下方向に見たときに前後方向に並ぶ第1部材及び第2部材とは、以下の状態を示す。上下方向に第1部材及び第2部材を見たときに、第1部材及び第2部材の両方が前後方向を示す任意の直線上に配置されている。この場合、上下方向とは異なる左右方向から第1部材及び第2部材を見ると、第1部材及び第2部材のいずれか一方が前後方向を示す任意の直線上に配置されていなくてもよい。なお、第1部材と第2部材とが接触していてもよい。第1部材と第2部材とが離れていてもよい。第1部材と第2部材との間に第3部材が存在していてもよい。この定義は、前後方向以外の方向にも適用される。
【0008】
本明細書において、第1部材が第2部材の上に配置されるとは、以下の状態を指す。第1部材の少なくとも一部は、第2部材の真上に位置している。従って、上下方向に見て、第1部材は、第2部材と重なっている。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0009】
本明細書において、第1部材が第2部材より上に配置されるとは、第1部材の少なくとも一部が第2部材の真上に位置している場合、及び、第1部材が第2部材の真上に位置せずに第1部材が第2部材の斜め上に位置している場合を含む。この場合、上下方向に見て、第1部材は、第2部材と重なっていなくてもよい。斜め上とは、例えば、左上、右上である。この定義は、上下方向以外の方向にも適用される。
【0010】
本明細書において、特に断りのない場合には、第1部材の各部について以下のように定義する。第1部材の前部とは、第1部材の前半分を意味する。第1部材の後部とは、第1部材の後半分を意味する。第1部材の左部とは、第1部材の左半分を意味する。第1部材の右部とは、第1部材の右半分を意味する。第1部材の上部とは、第1部材の上半分を意味する。第1部材の下部とは、第1部材の下半分を意味する。第1部材の前端とは、第1部材の前方向の端を意味する。第1部材の後端とは、第1部材の後方向の端を意味する。第1部材の左端とは、第1部材の左方向の端を意味する。第1部材の右端とは、第1部材の右方向の端を意味する。第1部材の上端とは、第1部材の上方向の端を意味する。第1部材の下端とは、第1部材の下方向の端を意味する。第1部材の前端部とは、第1部材の前端及びその近傍を意味する。第1部材の後端部とは、第1部材の後端及びその近傍を意味する。第1部材の左端部とは、第1部材の左端及びその近傍を意味する。第1部材の右端部とは、第1部材の右端及びその近傍を意味する。第1部材の上端部とは、第1部材の上端及びその近傍を意味する。第1部材の下端部とは、第1部材の下端及びその近傍を意味する。
【0011】
本明細書における任意の2つの部材を第1部材及び第2部材と定義した場合、任意の2つの部材の関係は以下のような意味になる。本明細書において、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている(すなわち、固定されている)場合、及び、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含む。また、第1部材が第2部材に支持されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0012】
本明細書において、第1部材が第2部材に保持されているとは、第1部材が第2部材に対して移動不可能に第2部材に取り付けられている(すなわち、固定されている)場合を含み、第1部材が第2部材に対して移動可能に第2部材に取り付けられている場合を含まない。また、第1部材が第2部材に保持されているとは、第1部材が第2部材に直接に取り付けられている場合、及び、第1部材が第3部材を介して第2部材に取り付けられている場合の両方を含む。
【0013】
本明細書において、「第1部材と第2部材とが電気的に接続される」とは、第1部材と第2部材との間で電気が導通していることを意味する。従って、第1部材と第2部材とが接触していてもよいし、第1部材と第2部材とが接触していなくてもよい。第1部材と第2部材とが接触していない場合には、第1部材と第2部材との間に導電性を有する第3部材が配置されている。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係るコネクタによれば、高い周波数帯域において使用できるコネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、コネクタセット1の斜視図である。
図2図2は、第1コネクタ10の斜視図である。
図3図3は、第1コネクタ10の上面図である。
図4図4は、浮遊端子15lの斜視図である。
図5図5は、グランド端子14lの斜視図である。
図6図6は、グランド端子16bの斜視図である。
図7図7は、第2コネクタ110の斜視図である。
図8図8は、図1のA-Aにおける断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の一実施形態に係る第1コネクタ10を備えるコネクタセット1について説明する。図1は、コネクタセット1の斜視図である。
【0017】
以下では、図1に示すように、第2コネクタ110と第1コネクタ10とが並ぶ方向を上下方向と定義する。また、第1コネクタ10において信号端子13a~13v(図2参照)が並ぶ方向を左右方向と定義する。左右方向は、上下方向に直交する。また、左右方向及び上下方向に直交する方向を前後方向と定義する。ただし、本明細書における上下方向、左右方向及び前後方向は、説明の便宜上定義した方向であり、コネクタセット1の使用時における上下方向、左右方向及び前後方向と一致していなくてもよい。
【0018】
コネクタセット1は、例えば、2つの回路基板を接続するために用いられる。コネクタセット1は、第1コネクタ10及び第2コネクタ110を備えている。第1コネクタ10と第2コネクタ110とが接続されたときに、第2コネクタ110が第1コネクタ10の上に位置する。
【0019】
[第1コネクタの構造]
次に、第1コネクタ10の構造について説明する。図2は、第1コネクタ10の斜視図である。図3は、第1コネクタ10の上面図である。図4は、浮遊端子15lの斜視図である。図5は、グランド端子14lの斜視図である。図6は、グランド端子16bの斜視図である。
【0020】
第1コネクタ10は、図2及び図3に示すように、樹脂本体部材12,信号端子13a~13v、グランド端子14l,14r、浮遊端子15l,15r及びグランド端子16a~16dを備えている。
【0021】
樹脂本体部材12は、図2に示すように、突起部12a、枠部12b及び連結部12c(図3参照)を含んでいる。突起部12aは、上下方向に見て、左右方向に延びている。より詳細には、突起部12aは、直方体状を有している。突起部12aは、上下方向に見て、左右方向に延びる2本の長辺及び前後方向に延びる2本の短辺を有している。
【0022】
枠部12bは、上下方向に見て、突起部12aの周囲を囲む環形状を有している。より詳細には、枠部12bは、上下方向に見て、長方形状の外縁及び長方形状の内縁を有している。枠部12bの外縁及び枠部12bの内縁のそれぞれは、上下方向に見て、左右方向に延びる2本の長辺及び前後方向に延びる2本の短辺を有している。そして、突起部12aは、上下方向に見て、枠部12bの内縁に囲まれた領域内に位置している。突起部12aは、枠部12bに接していない。
【0023】
連結部12cは、図3に示すように、上下方向に見て、突起部12aと枠部12bとの間に位置し、かつ、突起部12aと枠部12bとを連結している。本実施形態では、連結部12cは、突起部12aの下部と枠部12bの下部とを連結している。樹脂本体部材12の材料は、絶縁材料である。樹脂本体部材12の材料は、例えば、樹脂である。
【0024】
信号端子13a~13vには、高周波信号が入出力する。信号端子13a~13vは、樹脂本体部材12に支持されている。より詳細には、信号端子13a~13kの一部分は、枠部12bの後辺に埋め込まれている。これにより、信号端子13a~13kは、突起部12aの後の領域において左右方向に並ぶように枠部12bに支持されている。信号端子13a~13kは、左から右へとこの順に一列に並んでいる。信号端子13l~13vの一部分は、枠部12bの前辺に埋め込まれている。信号端子13l~13vは、突起部12aの前の領域において左右方向に並ぶように枠部12bに支持されている。信号端子13l~13vは、信号端子13a~13kの前に位置している。信号端子13l~13vは、左から右へとこの順に一列に並んでいる。信号端子13a~13kは、棒状の金属部材に折り曲げ加工が施されることにより作製される。信号端子13a~13kの材料は、例えば、リン青銅等の銅系材料である。
【0025】
浮遊端子15lは、信号端子13a~13v及びグランド端子14l,14r(詳細は後述)を含む第1コネクタ10のいずれの端子とも接続されていない。従って、浮遊端子15lの電位は、浮遊電位である。浮遊端子15lは、樹脂本体部材12に支持されている。浮遊端子15lは、図2及び図3に示すように、上下方向に見て、突起部12aの左端部の少なくとも一部分を覆っている。浮遊端子15lは、図4に示すように、第1部分15la、第2部分15lb、第3部分15lc及び浮遊突起15ldを含んでいる。第1部分15laは、突起部12aの上面及び左面に位置している。より正確には、第1部分15laは、突起部12aの上面の左端部の一部分及び突起部12aの左面の一部分を覆っている。第2部分15lbは、突起部12aの前面に位置している。より正確には、第2部分15lbは、第1部分15laから前方向に延びている。第2部分15lbは、突起部12aの前面の左端部の一部分を覆っている。第3部分15lcは、突起部12aの後面に位置している。より正確には、第3部分15lcは、第1部分15laから後方向に延びている。第3部分15lcは、突起部12aの後面の左端部の一部分を覆っている。
【0026】
ここで、第1部分15laと第2部分15lbとは、突起部12aの上面において連結されている。そのため、第1部分15laと第2部分15lbとは、突起部12aの左面及び前面において連結されていない。第1部分15laと第3部分15lcとは、突起部12aの上面において連結されている。そのため、第1部分15laと第3部分15lcとは、突起部12aの左面及び後面において連結されていない。更に、第1部分15laの前後方向の幅は、第2部分15lbの左右方向の幅及び第3部分15lcの左右方向の幅より大きい。
【0027】
浮遊突起15ldは、第1部分15laの下端部から左方向に延びている。第1部分15laの前後方向の幅は、浮遊突起15ldの前後方向の幅より大きい。浮遊端子15lは、金属部材に折り曲げ加工が施されることにより作製される。浮遊端子15lの材料は、例えば、リン青銅等の銅系材料である。なお、浮遊端子15rの構造は、浮遊端子15lの構造と左右対称であるので、説明を省略する。
【0028】
グランド端子14lは、グランド電位に接続される。グランド端子14lは、樹脂本体部材12に支持されている。具体的には、グランド端子14lは、前後方向及び左右方向に浮遊端子15lと向かい合うように、枠部12bに支持されている。以下に、グランド端子14lの構造について説明する。
【0029】
グランド端子14lは、図5に示すように、第1部分14la、第2部分14lb、第3部分14lc、接続部14ld,14le及びグランド突起14lf(図2及び図3参照)を含んでいる。第1部分14laは、枠部12bの左辺の左面、上面及び右面に設けられている。第1部分14laの一部分は、図2に示すように、枠部12bの左辺に埋め込まれている。これにより、第1部分14laは、左右方向に浮遊端子15lと向かい合っている。第2部分14lbは、枠部12bの前辺の左端部の前面、上面及び後面に設けられている。第2部分14lbの一部分は、枠部12bの前辺に埋め込まれている。これにより、第2部分14lbは、前後方向に浮遊端子15lと向かい合っている。第3部分14lcは、枠部12bの後辺の左端部の前面、上面及び後面に設けられている。第3部分14lcの一部分は、枠部12bの後辺に埋め込まれている。これにより、第3部分14lcは、前後方向に浮遊端子15lと向かい合っている。
【0030】
接続部14ldは、第1部分14laと第2部分14lbとを連結している。接続部14leは、第1部分14laと第3部分14lcとを連結している。グランド突起14lfは、第1部分14laの下端から右方向に延びている。グランド端子14lは、金属部材に折り曲げ加工が施されることにより作製される。グランド端子14lの材料は、例えば、リン青銅等の銅系材料である。なお、グランド端子14rの構造は、グランド端子14lの構造と左右対称であるので、説明を省略する。
【0031】
グランド端子16bは、グランド電位に接続される。グランド端子16bは、樹脂本体部材12に支持されている。本実施形態では、グランド端子16bは、樹脂本体部材12の左前部に支持されている。グランド端子16bは、図6に示すように、接点部16ba、ばね部16bb、固定部16bc及び外部接続部16bdを含んでいる。ばね部16bb、固定部16bc及び外部接続部16bdは、右から左へとこの順に並んでいる。外部接続部16bdは、第1コネクタ10が回路基板に実装されるときに、半田が付与される部分である。固定部16bcは、樹脂本体部材12に埋め込まれている。
【0032】
ばね部16bbは、樹脂本体部材12に支持されていない。従って、ばね部16bbは、前後方向に撓むように弾性変形できる。接点部16baは、ばね部16bbの右端部から後方向に延びている。グランド端子16bは、金属部材に折り曲げ加工が施されることにより作製される。グランド端子16bの材料は、例えば、リン青銅等の銅系材料である。なお、グランド端子16aの構造は、グランド端子16bの構造と前後対称であるので、説明を省略する。グランド端子16dの構造は、グランド端子16bの構造と左右対称であるので、説明を省略する。グランド端子16cの構造は、グランド端子16aの構造と左右対称であるので、説明を省略する。
【0033】
以上のような第1コネクタ10では、図3に示すように、上下方向に見て、第1部分14laと浮遊端子15lとの間の領域の少なくとも一部分には、連結部12cを上下方向に貫通する貫通孔Hlが設けられている。そして、グランド突起14lfは、上下方向に見て、貫通孔Hl内に突出している。浮遊突起15ldは、上下方向に見て、貫通孔Hl内に突出している。グランド突起14lfと浮遊突起15ldとは、左右方向に並んでいる。なお、貫通孔Hrの構造は、貫通孔Hlの構造と左右対称であるので、説明を省略する。
【0034】
以上のような第1コネクタ10は、回路基板に実装される。このとき、信号端子13a~13v、グランド端子14l,14r、浮遊端子15l,15r及びグランド端子16a~16dの一部分は、樹脂本体部材12の底面から露出している。そこで、これらの部分のそれぞれに半田が塗布される。これにより、信号端子13a~13v、グランド端子14l,14r、浮遊端子15l,15r及びグランド端子16a~16dのそれぞれは、回路基板の電極に接続される。
【0035】
[第2コネクタの構造]
次に、第2コネクタ110の構造について説明する。図7は、第2コネクタ110の斜視図である。図7は、第2コネクタ110の斜視図である。
【0036】
第2コネクタ110は、図7に示すように、樹脂本体部材112,信号端子113a~113v及びグランド端子114l,114rを備えている。
【0037】
樹脂本体部材112は、底面部112a及び枠部112bを含んでいる。枠部112bは、上下方向に見て、環形状を有している。より詳細には、枠部112bは、上下方向に見て、長方形状の外縁及び長方形状の内縁を有している。枠部112bの外縁及び枠部112bの内縁のそれぞれは、上下方向に見て、左右方向に延びる2本の長辺及び前後方向に延びる2本の短辺を有している。底面部112aは、図7に示すように、上下方向に見て、枠部112bに囲まれた領域の上面を塞いでいる。樹脂本体部材112の材料は、絶縁材料である。樹脂本体部材112の材料は、例えば、樹脂である。
【0038】
信号端子113a~113vには、高周波信号が入出力する。信号端子113a~113vは、樹脂本体部材112に支持されている。より詳細には、信号端子113a~113kの一部分は、枠部112bの後辺に埋め込まれている。信号端子113a~113kは、左から右へとこの順に一列に並んでいる。信号端子113l~113vの一部分は、枠部112bの前辺に埋め込まれている。信号端子113l~113vは、信号端子113a~113kの前に位置している。信号端子113l~113vは、左から右へとこの順に一列に並んでいる。信号端子113a~113kは、棒状の金属部材に折り曲げ加工が施されることにより作製される。信号端子113a~113kの材料は、例えば、リン青銅等の銅系材料である。
【0039】
グランド端子114lは、グランド電位に接続される。グランド端子114lは、樹脂本体部材112に支持されている。グランド端子114lの一部分は、枠部112bの前辺の左端部、枠部112bの後辺の左端部及び枠部112bの左辺に埋め込まれている。グランド端子114lは、金属部材に折り曲げ加工が施されることにより作製される。グランド端子114lの材料は、例えば、リン青銅等の銅系材料である。なお、グランド端子114rの構造は、グランド端子114lの構造と左右対称であるので、説明を省略する。
【0040】
[コネクタセットの構造]
次に、コネクタセット1の構造について説明する。図8は、図1のA-Aにおける断面図である。
【0041】
図1及び図8に示すように、第2コネクタ110の枠部112bは、第1コネクタ10の枠部12bに囲まれた領域に挿入される。このとき、第1コネクタ10の突起部12aは、第2コネクタ110の枠部112bに囲まれた領域に挿入される。これにより、信号端子13a~13vのそれぞれは、信号端子113a~113vと接触する。また、グランド端子14l,14rのそれぞれは、グランド端子114l,114rと接触する。更に、グランド端子16a,16bは、グランド端子114lと接触する。グランド端子16c,16dは、グランド端子114rと接触する。
【0042】
ただし、浮遊端子15l,15rは、信号端子113a~113v及びグランド端子114l,114rと接触しない。これにより、第2コネクタ110が第1コネクタ10に接続された状態においても、浮遊端子15l,15rの電位は、浮遊電位のままである。
【0043】
[効果]
第1コネクタ10によれば、第1コネクタ10を高い周波数帯域において使用できる。より詳細には、特許文献1に記載のレセプタクルコネクタでは、レセプタクル部材は、グランド端子である。レセプタクル部材は、レセプタクル嵌合部の左端部に支持される第1被支持部、及び、レセプタクル外壁部の左端部に支持される第2被支持部を含んでいる。第1被支持部と第2被支持部とは、互いに連結されている。従って、第1被支持部は、浮遊端子15lに対応する。第2被支持部は、グランド端子14lに対応する。そのため、特許文献1に記載のレセプタクルコネクタでは、第1コネクタ10のグランド端子14lと浮遊端子15lとが連結された構造を有している。この場合、第1被支持部と信号端子との間に容量が形成されやすい。その結果、レセプタクルコネクタに発生する共振周波数が低くなる。そのため、特許文献1に記載のレセプタクルコネクタを高い周波数帯域において使用することが難しい。
【0044】
そこで、第1コネクタ10では、浮遊端子15lは、上下方向に見て、複数の信号端子13a~13v及びグランド端子14l,14rを含む第1コネクタ10のいずれの端子とも接続されていない。これにより、浮遊端子15lの電位は、浮遊電位となる。この場合、浮遊端子15lと信号端子13a~13vとの間に容量が形成されにくくなる。その結果、第1コネクタ10に発生する共振周波数が高くなりやすい。よって、第1コネクタ10によれば、第1コネクタ10を高い周波数帯域において使用できる。
【0045】
また、第1コネクタ10によれば、浮遊端子15lは、上下方向に見て、突起部12aの左端部の少なくとも一部分を覆っている。これにより、突起部12aの左端部が浮遊端子15lにより保護されるようになる。その結果、第2コネクタ110が第1コネクタ10に取り付けられる際に、グランド端子114lが突起部12aの左端部に接触することが抑制される。以上より、第1コネクタ10によれば、突起部12aの破損が抑制される。
【0046】
第1コネクタ10によれば、以下の理由によっても、第1コネクタ10を高い周波数帯域において使用できる。より詳細には、上下方向に見て、第1部分14laと浮遊端子15lとの間の領域の少なくとも一部分には、連結部12cを上下方向に貫通する貫通孔Hlが設けられている。これにより、第1部分14laと浮遊端子15lとの間の領域に空気が存在するようになる。従って、第1部分14laと浮遊端子15lとの間の領域の誘電率が低下する。よって、第1部分14laと浮遊端子15lとの間に容量が形成されにくくなる。その結果、第1コネクタ10に発生する共振周波数が低くなる。よって、第1コネクタ10によれば、第1コネクタ10を高い周波数帯域において使用できる。
【0047】
第1コネクタ10によれば、グランド端子14lと浮遊端子15lとの位置関係にずれが生じにくい。より詳細には、グランド端子14lは、上下方向に見て、貫通孔Hl内に突出しているグランド突起14lfを含んでいる。浮遊端子15lは、上下方向に見て、貫通孔Hl内に突出する浮遊突起15ldを含んでいる。グランド突起14lfと浮遊突起15ldとは、左右方向に並んでいる。これにより、第1コネクタ10を次の手順により組み立てることができる。まず、グランド突起14lfと浮遊突起15ldとを連結した状態でグランド端子14l及び浮遊端子15lをセットする。そして、グランド端子14l及び浮遊端子15lをインサートモールド成形することにより、樹脂本体部材12を形成する。その後、グランド突起14lfと浮遊突起15ldと貫通孔Hlにおいて切断する。このように、グランド端子14lと浮遊端子15lとが一体化された状態で、樹脂本体部材12が形成されるので、グランド端子14lと浮遊端子15lとの位置関係にずれが生じにくい。
【0048】
第1コネクタ10では、第1部分15laの前後方向の幅は、浮遊突起15ldの前後方向の幅より大きい。すなわち、浮遊突起15ldの前後方向の幅は、第1部分15laの前後方向の幅より小さい。従って、浮遊突起15ldに容量が形成されにくくなる。
【0049】
第1コネクタ10では、第1部分15laと第2部分15lbとは、突起部12aの左面及び前面において連結されていない。第1部分15laと第3部分15lcとは、突起部12aの左面及び後面において連結されていない。浮遊端子15lとグランド端子14lとが向かい合う面積が小さくなる。その結果、浮遊端子15lとグランド端子14lとの間に形成される容量が小さくなる。
【0050】
第1コネクタ10では、第1部分15laは、グランド端子114lのガイド機能を果たすので、第1部分15laの前後方向の幅が大きいことが望ましい。一方、第1コネクタ10に発生する容量の低減の観点からは、第2部分15lbの左右方向の幅及び第3部分lcの左右方向の幅は小さいことが望ましい。そこで、第1部分15laの前後方向の幅は、第2部分15lbの左右方向の幅及び第3部分lcの左右方向の幅より大きい。ここで、第1部分15laと第2部分15lbとは直列接続されており、第1部分15laと第3部分15lcとは直列接続されている。この場合、第1部分15laに発生する容量が大きくなっても、第2部分15lbに発生する容量及び第3部分15lcに発生する容量が小さいので、合成容量が小さく抑えられる。以上より、第1コネクタ10によれば、浮遊端子15lがグランド端子114lのガイド機能を果たしつつ、第1コネクタ10に発生する容量の増大を抑制できる。
【0051】
(その他の実施形態)
本発明に係るコネクタは、第1コネクタ10に限らず、その要旨の範囲内において変更可能である。
【0052】
なお、グランド端子14r,16a~16d及び浮遊端子15rは、必須の構成要件ではない。
【0053】
なお、本明細書において、環形状は、完全な環のみならず、一部が欠損した環も含む。ただし、環形状は、環に対する欠損している部分の占める割合が20%以下である。
【0054】
なお、グランド端子14lは、前後方向又は左右方向に浮遊端子15lと向かい合っていればよい。従って、グランド端子14lは、前後方向に浮遊端子15lと向かい合っており、かつ、左右方向に浮遊端子15lと向かい合っていなくてもよい。グランド端子14lは、左右方向に浮遊端子15lと向かい合っており、かつ、前後方向に浮遊端子15lと向かい合っていなくてもよい。
【0055】
なお、貫通孔Hl,Hrは、設けられていなくてもよい。
【0056】
なお、グランド突起14lf及び浮遊突起15ldは、必須の構成要件ではない。
【0057】
なお、浮遊端子15l,15rは、回路基板の電極に接続されてもよいし、回路基板の電極に接続されなくてもよい。
【0058】
なお、第1コネクタ10は、信号端子13a~13k又は信号端子13l~13vのいずれか一方を備えていてもよい。
【符号の説明】
【0059】
1:コネクタセット
10:第1コネクタ
12:樹脂本体部材
12a:突起部
12b:枠部
12c:連結部
13a~13v:信号端子
14l,14r:グランド端子
14lf:グランド突起
15l,15r:浮遊端子
15ld:浮遊突起
Hl,Hr:貫通孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8