(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】車両および自動運転キット
(51)【国際特許分類】
B60W 50/04 20060101AFI20241016BHJP
B60W 60/00 20200101ALI20241016BHJP
G01M 17/007 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
B60W50/04
B60W60/00
G01M17/007 D
G01M17/007 J
(21)【出願番号】P 2022024594
(22)【出願日】2022-02-21
【審査請求日】2023-12-19
(73)【特許権者】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】加藤 行成
(72)【発明者】
【氏名】松谷 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】宇野 慶一
【審査官】平井 功
(56)【参考文献】
【文献】特開2021-123146(JP,A)
【文献】国際公開第2017/130482(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60W 30/00-60/00
G08G 1/00-99/00
G01M 17/00-17/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の自動運転を実施可能に構成され、前記車両への取り付けおよび前記車両からの取り外しが可能な自動運転キットと、
前記自動運転キットからの指示に従って前記車両の制御を実行可能に構成される車両制御システムとを備え、
前記自動運転キットは、前記自動運転キットを構成する複数の部品のうちの予め定められた第1部品の整備が求められる状態であるか否かを診断する第1診断処理を実行可能に構成され、
前記車両制御システムは、前記自動運転キットを除く前記車両を構成する複数の部品のうちの予め定められた第2部品の整備が求められる状態であるか否かを診断する第2診断処理を実行可能に構成され、
前記第1診断処理と前記第2診断処理とのうちのいずれか一方の診断処理が実行される場合には、前記一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理が実行される、車両。
【請求項2】
前記第1診断処理と前記第2診断処理とのうちのいずれか一方の診断処理の実行条件が成立する場合には、前記第1診断処理と前記第2診断処理とが並行して実行される、請求項1に記載の車両。
【請求項3】
前記自動運転キットは、前記第1診断処理を実行する場合に予め定められた信号を前記車両制御システムに送信し、
前記車両制御システムは、前記予め定められた信号を受信する場合に前記第2診断処理を実行する、請求項1または2に記載の車両。
【請求項4】
前記車両制御システムは、前記第2診断処理を実行する場合に予め定められた信号を前記自動運転キットに送信し、
前記自動運転キットは、前記予め定められた信号を受信する場合に前記第1診断処理を実行する、請求項1~3のいずれかに記載の車両。
【請求項5】
前記車両制御システムは、前記車両の外部のサーバと通信可能な通信装置をさらに備え、
前記通信装置は、前記第1診断処理および前記第2診断処理が終了した後に整備が求められる診断結果についての情報を前記サーバに送信する、請求項1~4のいずれかに記載の車両。
【請求項6】
前記自動運転キットは、前記車両の外部のサーバと通信可能な通信装置をさらに備え、
前記通信装置は、前記第1診断処理および前記第2診断処理が終了した後に整備が求められる診断結果についての情報を前記サーバに送信する、請求項1~4のいずれかに記載の車両。
【請求項7】
車両への取り付けおよび前記車両からの取り外しが可能な自動運転キットであって、
前記車両の自動運転を実施可能に構成されるコンピュータを備え、
前記車両は、前記コンピュータからの指示に従って前記車両の制御を実行可能に構成される車両制御システムを備え、
前記コンピュータは、前記自動運転キットを構成する複数の部品のうちの予め定められた第1部品の整備が求められる状態であるか否かを診断する第1診断処理を実行可能に構成され、
前記車両制御システムは、前記自動運転キットを除く前記車両を構成する複数の部品のうちの予め定められた第2部品の整備が求められる状態であるか否かを診断する第2診断処理を実行可能に構成され、
前記第1診断処理と前記第2診断処理とのうちのいずれか一方の診断処理が実行される場合には、前記一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理が実行される、自動運転キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自動運転が可能な車両の制御に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ユーザの操作を必要とせずに車両を走行させる自動運転システムの開発が進められている。自動運転システムは、たとえば、既存の車両に搭載可能とするためにインターフェース装置を介して車両とは別個の外部装置として設けられる場合がある。この外部装置は、たとえば、車両とは独立して周囲の情報を取得し、取得された情報を用いて車両の各アクチュエータ等をインターフェース装置を介して制御することによって自動運転を可能とする。
【0003】
たとえば、特開2019-177807号公報(特許文献1)は、外部装置からの情報を用いて自動運転を実施する車両において外部装置からの情報に欠損がある場合には、車両に記憶された情報を用いて欠損を補完する技術が開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のような車両においては、車両の使用履歴を用いて部品交換や調整等の整備を実施するタイミングであるか否かの自己診断が行なわれ、整備を実施するタイミングであれば、サーバ等を経由してユーザまたは整備工場に通知されたり、整備工場で整備を実施するための予約が行なわれたりする。
【0006】
しかしながら、外部装置と車両とで別々に整備を実施するタイミングであるか否かの自己診断が行なわれると、一方の整備を実施した直後に他方の整備を実施するタイミングであると判定されるなどして整備を実施するタイミングの通知や、整備工場への入庫が頻繁に行なわれる虞がある。
【0007】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであって、その目的は、頻繁に整備が求められることを抑制する車両および自動運転キットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示のある局面に係る車両は、車両の自動運転を実施可能に構成され、車両への取り付けおよび車両からの取り外しが可能な自動運転キットと、自動運転キットからの指示に従って車両の制御を実行可能に構成される車両制御システムとを備える。自動運転キットは、自動運転キットを構成する複数の部品のうちの予め定められた第1部品の整備が求められる状態であるか否かを診断する第1診断処理を実行可能に構成される。車両制御システムは、自動運転キットを除く車両を構成する複数の部品のうちの予め定められた第2部品の整備が求められる状態であるか否かを診断する第2診断処理を実行可能に構成される。第1診断処理と第2診断処理とのうちのいずれか一方の診断処理が実行される場合には、一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理が実行される。
【0009】
このようにすると、自動運転キットで実行される第1診断処理と、車両制御システムで実行される第2診断処理とが予め定められた期間内に実行されることにより、自動運転キットとそれ以外とで整備の実施タイミングが分かれることを抑制することができる。そのため、整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0010】
ある実施の形態においては、第1診断処理と第2診断処理とのうちのいずれか一方の診断処理の実行条件が成立する場合には、第1診断処理と第2診断処理とが並行して実行される。
【0011】
このようにすると、第1診断処理と第2診断処理とが並行して実行されることにより、自動運転キットとそれ以外とで整備の実施タイミングが分かれることを抑制することができる。そのため、整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0012】
さらにある実施の形態においては、自動運転キットは、第1診断処理を実行する場合に予め定められた信号を車両制御システムに送信する。車両制御システムは、予め定められた信号を受信する場合に第2診断処理を実行する。
【0013】
このようにすると、車両制御システムが、自動運転キットから予め定められた信号を受信することによって第2診断処理を実行することにより、第1診断処理と第2診断処理とを並行して実行することができる。そのため、自動運転キットとそれ以外とで整備の実施タイミングが分かれて整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0014】
さらにある実施の形態においては、車両制御システムは、第2診断処理を実行する場合に予め定められた信号を自動運転キットに送信する。自動運転キットは、予め定められた信号を受信する場合に第1診断処理を実行する。
【0015】
このようにすると、自動運転キットが、車両制御システムからの予め定められた信号を受信することによって第1診断処理を実行することにより、第1診断処理と第2診断処理とを並行して実行することができる。そのため、自動運転キットとそれ以外とで整備の実施タイミングが分かれて整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0016】
さらにある実施の形態においては、車両制御システムは、車両の外部のサーバと通信可能な通信装置をさらに備える。通信装置は、第1診断処理および第2診断処理が終了した後に整備が求められる診断結果についての情報をサーバに送信する。
【0017】
このようにすると、自動運転キットとそれ以外とで整備の実施タイミングが分かれて整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0018】
さらにある実施の形態においては、自動運転キットは、車両の外部のサーバと通信可能な通信装置をさらに備える。通信装置は、第1診断処理および第2診断処理が終了した後に整備が求められる診断結果についての情報をサーバに送信する。
【0019】
このようにすると、自動運転キットとそれ以外とで整備の実施タイミングが分かれて整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0020】
本開示の他の局面に係る自動運転キットは、車両への取り付けおよび車両からの取り外しが可能な自動運転キットである。この自動運転キットは、車両の自動運転を実施可能に構成されるコンピュータを備える。車両は、コンピュータからの指示に従って車両の制御を実行可能に構成される車両制御システムを備える。コンピュータは、自動運転キットを構成する複数の部品のうちの予め定められた第1部品の整備が求められる状態であるか否かを診断する第1診断処理を実行可能に構成される。車両制御システムは、自動運転キットを除く車両を構成する複数の部品のうちの予め定められた第2部品の整備が求められる状態であるか否かを診断する第2診断処理を実行可能に構成される。第1診断処理と第2診断処理とのうちのいずれか一方の診断処理が実行される場合には、一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理が実行される。
【発明の効果】
【0021】
本開示によると、頻繁に整備が求められることを抑制する車両および自動運転キットを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施の形態に係る車両を含む情報処理システムの全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】ADKおよびVPの構成をより詳細に示す図である。
【
図3】ADKのコンピュータにおいて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】VPのセントラルECUにおいて実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】変形例におけるADKおよびVPの構成をより詳細に示す図である。
【
図6】変形例においてセントラルECUで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図7】変形例においてコンピュータで実行される処理の一例を示すフローチャートである。
【
図8】変形例においてコンピュータで実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。
【
図9】変形例においてセントラルECUで実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰り返さない。
【0024】
本開示において、自動運転キットの「整備」とは、自動運転キットを正常な状態に維持したり、自動運転キットを異常な状態から正常な状態に復旧したりするための行為全般を意味する。整備は、検査、修理、調整、交換を含み得る。車両プラットフォームの「整備」についても同様である。
【0025】
図1は、本実施の形態に係る車両1を含む情報処理システム100の全体構成を概略的に示す図である。情報処理システム100は複数の車両を管理する。実際には多数の車両が情報処理システム100によって管理され得るが、以下では説明の便宜上、特定の車両1を一例として説明する。車両1は、自動運転キット(ADK:Autonomous Driving Kit)2と、車両プラットフォーム(VP:Vehicle Platform)3とを含む。
【0026】
車両1のユーザは、典型的には個人ユーザであるが、これに限定されない。ユーザは、車両1を用いた自動運転サービスを提供する事業者(タクシー事業者、レンタカー事業者、カーシェア事業者、ライドシェアサービス事業者など)であってもよい。
【0027】
ADK2は、VP3に取り付けおよびVP3から取り外し可能に構成される。ADK2は、たとえば、VP3のルーフトップなどの予め定められた位置に取り付けられる。
【0028】
ADK2は、車両1の自動運転を実施可能に構成される。具体的には、ADK2は、車両1の走行計画を作成する。ADK2は、走行計画に従って車両1を走行させるための各種制御要求を、制御要求毎に定義されたAPI(Application Program Interface)に従ってVP3に出力する。また、ADK2は、車両状態(VP3の状態)を示す各種信号を、信号毎に定義されたAPIに従ってVP3から受ける。そして、ADK2は、車両状態を走行計画に反映する。
【0029】
VP3は、ADK2からの制御要求に従って自動運転モードによる走行制御を実行する。VP3からADK2が取り外されている場合には、VP3は、マニュアルモードによる走行制御(ドライバ操作に応じた走行制御)の実行が可能に構成される。
【0030】
VP3は、情報処理システム100内の管理サーバ7に各種情報(後述する整備要求情報)を送信する。
【0031】
情報処理システム100は、整備工場サーバ5と、管理サーバ7とをさらに含む。整備工場サーバ5と管理サーバ7とは、図示しないネットワークを介して双方向に通信可能に接続されている。なお、整備工場サーバ5および管理サーバ7の各々は、事業者の自社サーバであってもよい。各サーバは、当該事業者を含む複数の事業者で共有されるシェアードサーバであってもよい。各サーバは、クラウドサーバ管理会社により提供されるクラウドサーバであってもよい。
【0032】
整備工場サーバ5は、車両1の整備工場(たとえば、販売店やディーラ等)によって運営されるサーバである。整備工場サーバ5は、車両1の整備スケジュール(入庫日程や入庫時の整備内容等)を管理している。整備工場サーバ5は、たとえば、管理サーバ7からの要求に応じて、整備スケジュールに関するデータを管理サーバ7に送信したり、入庫日程を調整したりする。
【0033】
管理サーバ7は、たとえば、車両1を含む複数の車両の保守管理を行なう事業者によって運営されるサーバである。事業者としては、たとえば、VP3のメーカーであってもよいし、ADK2のメーカーであってもよい。さらに、管理サーバ7は、VP3のメーカーが運営するサーバと、ADK2を運営するサーバとを含むように構成されてもよい。以下の説明においては、管理サーバ7は、1つのサーバによって構成される場合を一例として説明する。
【0034】
管理サーバ7は、ADK2の整備を求める情報(整備要求)を車両1から受信可能に構成される。管理サーバ7は、複数の車両1の少なくともいずれかから受信したADK2の整備要求を要求先の車両を特定可能な形式で格納するためのデータベース(図示せず)を含む。管理サーバ7は、ADK2の整備要求を整備工場サーバ5に送信する。これにより、整備工場サーバ5において要求元の車両に搭載されたADK2の整備の予約等が行なわれる。
【0035】
管理サーバ7は、さらに、VP3の整備要求を車両1から受信する。管理サーバ7は、複数の車両1の少なくともいずれかから受信したVP3の整備要求を要求先の車両を特定可能な形式で格納するためのデータベース(図示せず)をさらに含む。なお、VP3の整備要求のデータベースは、上述のADK2の整備要求のデータベースと共通のデータベースであってもよいし、別個のデータベースであってもよい。管理サーバ7は、VP3の整備要求を整備工場サーバ5に送信する。これにより、整備工場サーバ5において要求元の車両のVP3の整備の予約等が行なわれる。
【0036】
整備工場サーバ5は、管理サーバ7からADK2の整備要求またはVP3の整備要求を受信する場合には、要求先の車両を特定可能な情報(たとえば、ナンバープレートに記載の番号や製造番号等)とともに整備の作業が可能な時間帯に整備の予約を設定することにより整備スケジュールを更新する。整備工場サーバ5は、ADK2の整備要求またはVP3の整備要求を受信した場合に空いた時間帯に自動的に予約を設定してもよいし、あるいは、各種整備要求に含まれる日程条件を満足する時間帯に自動的に予約を設定してもよい。
【0037】
図2は、ADK2およびVP3の構成をより詳細に示す図である。ADK2は、コンピュータ21と、認識用センサ22と、姿勢用センサ23と、センサクリーナ24と、HMI(Human Machine Interface)25とを含む。
【0038】
VP3は、車両制御インターフェースボックス(VCIB:Vehicle Control Interface Box)31と、ベース車両32とを含む。ベース車両32は、セントラルECU(Electronic Control Unit)321と、ブレーキシステム322と、ステアリングシステム323と、パワートレーンシステム324と、アクティブセーフティシステム325と、ボディシステム326と、DCM(Digital Communication System)とを含む。
【0039】
ブレーキシステム322は、ブレーキシステム322A,322Bを含む。ステアリングシステム323は、ステアリングシステム323A,323Bを含む。パワートレーンシステム324は、電動パーキングブレーキ(EPB:Electric Parking Brake)システム324Aと、パーキングロック(Pロック)システム324Bと、推進システム324Cとを含む。
【0040】
コンピュータ21は、冗長化されており、2つのプロセッサ211,212(
図2に示すPRC1およびPRC2に対応)を含む。コンピュータ21(各プロセッサ211,212)は、車両1の自動運転時に認識用センサ22を用いて車両1の環境に関するデータを取得する。また、コンピュータ21は、車両1の自動運転時に姿勢用センサ23を用いて車両1の姿勢、挙動および位置に関するデータを取得する。さらに、コンピュータ21は、VCIB31と通信可能に接続されている。コンピュータ21は、VP3からVCIB31経由で車両状態を取得して車両1の次の動作(加速する、減速する、曲がる等)を設定する。コンピュータ21は、次の動作を実現するための各種指令をVCIB31経由でVP3に出力する。
【0041】
認識用センサ22は、車両1の環境を認識するためのセンサである。認識用センサ22は、たとえば、LIDAR(Laser Imaging Detection and Ranging)と、ミリ波レーダと、カメラ(いずれも図示せず)とのうちの少なくとも一つを含む。LIDARは、たとえば赤外パルスのレーザ光を発し、そのレーザ光の対象物からの反射光を検出することによって対象物の距離および方向を計測する。ミリ波レーダは、ミリ波を発し、そのミリ波の対象物からの反射波を検出することによって対象物の距離および方向を計測する。カメラは、車両1の周囲の画像を撮影する。
【0042】
姿勢用センサ23は、車両1の姿勢、挙動および位置を検出するためのセンサである。姿勢用センサ23は、たとえば、IMU(Inertial Measurement Unit)と、GPS(Global Positioning System)(いずれも図示せず)とを含む。IMUは、たとえば、車両1の前後方向、左右方向および上下方向の加速度と、車両1のロール方向、ピッチ方向およびヨー方向の角速度とを検出する。GPSは、地球の軌道上を周回する複数のGPS衛星から受信された情報を用いて車両1の位置を特定する。
【0043】
センサクリーナ24は、洗浄液、ワイパーなどを用いて、車両1の走行中に上記の各種センサ(カメラのレンズ、レーザ光の照射部など)に付着する汚れを除去するように構成されている。HMI25は、たとえば、ベース車両32に設けられたタッチパネルディスプレイ等の入出力装置(図示せず)と接続されるように構成されている。
【0044】
VCIB31は、CAN(Controller Area Network)等を通じてADK2と通信可能に接続されている。VCIB31は、信号毎に定義された所定のAPIを実行することによって、ADK2から各種制御要求を受信したり、車両状態をADK2に出力したりする。VCIB31は、ADK2から制御要求を受信すると、その制御要求に対応する制御指令をその制御指令に対応するシステムに出力する。また、VCIB31は、車両状態(ベース車両32の状態)に関する各種情報を取得し、取得した情報をADK2に出力する。
【0045】
VCIB31は、VCIB311と、VCIB312とを含む。VCIB311とVCIB312とは基本的には同等の機能を有する。しかし、VCIB311とVCIB312との間では、ベース車両32のシステムへのバスの接続先の一部が異なっている。具体的には、VCIB311は、ブレーキシステム322Aと、ステアリングシステム323Aと、EPBシステム324Aと、Pロックシステム324Bと、推進システム324Cと、ボディシステム326とに通信可能に接続されている。VCIB312は、ブレーキシステム322Bと、ステアリングシステム323Bと、Pロックシステム324Bとに通信可能に接続されている。
【0046】
セントラルECU321は、DCM327を介して、車両状態を示す様々な情報を管理サーバ7に送信したり、様々な要求を管理サーバ7に送信したりする。また、セントラルECU321は、管理サーバ7からDCM327を介して指令または通知を受信する。さらに、セントラルECU321は、VP3の各システムから取得される車両状態を用いてVP3において整備が求められる状態である否かの診断を行なったり、あるいは、VP3の各システムにおいて実施された自己診断の診断結果を受信し、受信した診断結果を用いてVP3において整備が求められる状態であるか否かの診断を行なったりする。
【0047】
本実施の形態においては、セントラルECU321は、車両1の整備が求められる状態であるか否かを診断する診断処理の実行主体として説明するが、このような機能に加えて各システムに含まれる各種ECU間の通信を中継する等の機能(ゲートウエイ機能)を有するものであってもよい。
【0048】
ブレーキシステム322A,322Bの各々は、ベース車両32の各車輪に設けられた制動装置(図示せず)を制御するように構成されている。制動装置は、たとえば、アクチュエータによって調整される油圧に応じて動作するディスクブレーキシステムを含む。ブレーキシステム322Aは、ADK2からVCIB311を介して伝送された制御要求に従って、制動装置に対する制動指令を生成する。
【0049】
ステアリングシステム323A,323Bの各々は、車両1の操舵輪の操舵角を操舵装置(図示せず)を用いて制御するように構成されている。操舵装置は、たとえば、アクチュエータにより操舵角の調整が可能な電動パワーステアリング(EPS:Electric Power Steering)を含む。ステアリングシステム323Aは、ADK2からVCIB311を介して伝送された制御要求に従って、操舵装置に対する操舵指令を生成する。ステアリングシステム323Bは、ADK2からVCIB312を介して伝送された制御要求に従って、操舵装置に対する操舵指令を生成する。
【0050】
EPBシステム324Aは、ADK2からVCIB311を介して伝送された制御要求に従って、複数の車輪のうちの少なくとも1つに設けられたEPB(図示せず)を制御する。EPBは、たとえば、パーキングブレーキ用のドラムブレーキを作動させることによって車輪を固定する。
【0051】
Pロックシステム324Bは、ADK2からVCIB311を介して伝送された制御要求に従って、トラッスミッションに設けられたPロック装置(図示せず)を制御する。Pロック装置は、トランスミッション内の回転要素に連結して設けられたロックギヤに対してパーキングロックポールを嵌合させることで、トランスミッションの出力軸の回転を固定する。これにより、車輪が固定される。
【0052】
推進システム324Cは、ADK2からVCIB311を介して伝送された制御要求に従って、シフト装置(図示せず)のシフトレンジを切り替える。また、推進システム324Cは、ADK2からの制御要求に従って、駆動源(図示しないモータジェネレータ、エンジンなど)からの駆動力を制御する。
【0053】
アクティブセーフティシステム325は、図示しないセンサ群(カメラ、レーダ、センサなど)を用いて前方または後方の障害物を検出する。アクティブセーフティシステム325は、車両1と障害物との間の距離、および、車両1の移動方向に基づいて、車両1が障害物と衝突する可能性があるかどうかを判定する。アクティブセーフティシステム325は、衝突の可能性があると判定した場合、制動力が増加するようにブレーキシステム322Aに制動指令を出力する。
【0054】
ボディシステム326は、たとえば、車両1の走行状態または環境等に応じて、方向指示器、ホーン、ワイパーなどの部品(いずれも図示せず)を制御するように構成されている。ボディシステム326は、ADK2からVCIB31を介して伝送された制御要求に従って、上記の各部品を制御する。
【0055】
DCM327は車載通信モジュールである。DCM327は、セントラルECU321と管理サーバ7との間における双方向のデータ通信が可能に構成されている。
【0056】
以上のような構成を有する車両1においては、車両1の利用履歴を用いて部品の検査、修理、交換、調整等の整備が求められる状態であるか否かの診断が行なわれ、整備が求められる状態であれば、管理サーバ7に対して車両1の整備要求が送信される。
【0057】
管理サーバ7は、車両1から整備要求を受信すると、整備の日程調整を要求する情報(日程調整要求)と、要求する整備内容についての情報(整備内容情報)とを整備工場サーバ5に送信する。なお、管理サーバ7は、要求元の車両1の稼働予定等を用いて所定の時間帯に整備の予約を求める情報を日程調整要求に含めてもよい。
【0058】
整備工場サーバ5は、管理サーバ7からの日程調整要求と整備内容情報とを用いて空いた時間帯のうちのいずれかの時間帯に整備の予約を設定して、整備スケジュールを更新する。整備工場サーバ5は、日程調整結果の通知を管理サーバ7に送信する。管理サーバ7は、たとえば、入庫の日程および時間帯についての情報(入庫日程情報)を整備の要求元の車両1に送信する。車両1は、手動運転または自動運転により入庫日として指定された日時に整備工場に移動することにより整備を受けることが可能となる。
【0059】
車両1において整備が求められる状態であるか否かを診断する場合としては、診断対象となる部品の使用期間が前回の交換時点からしきい値を超える場合、前回の交換時点からの診断対象となる部品の消耗量がしきい値を超える場合、診断対象となる部品のエラーコードが出力される場合あるいは診断対象となる部品の出力値が異常となる場合が含まれる。
【0060】
たとえば、前回の交換時点からの各種オイルの使用期間がオイルの種類に応じて設定されるしきい値を超える場合、オイル交換の整備が求められる状態であると診断される。あるいは、ブレーキパッドの摩耗量がしきい値を超える場合には、ブレーキパッドの交換の整備が求められる状態であると診断される。あるいは、エンジンやモータジェネレータ等の車両1の駆動動作に関連する機器等において所定のエラーコードが出力される場合には、検査の整備が求められる状態であると診断される。あるいは、各種センサの出力値が通常範囲を超えて出力される場合には、センサの交換あるいは調整等の整備が求められる状態であると診断される。
【0061】
これらの判定は、車両1において実行される自己診断処理の診断結果を用いて行なわれる。自己診断処理は、たとえば、ADK2のコンピュータ21やVP3のセントラルECU321において実行される。
【0062】
ADK2のコンピュータ21は、ADK2を構成する複数の部品のうちの予め定められた部品の整備を要するか否かを診断する第1診断処理を実行可能に構成される。コンピュータ21で実行される診断処理の診断対象となる予め定められた部品としては、たとえば、ADK2に含まれる認識用センサ22や姿勢用センサ23等の各種センサやセンサクリーナ24等の機器を含む。
【0063】
さらに、VP3のセントラルECU321は、VP3を構成する複数の部品のうちの予め定められた第2部品の交換を要するか否かを診断する第2診断処理を実行可能に構成される。セントラルECU321で実行される診断処理の診断対象となる予め定められた部品は、たとえば、オイル、ブレーキパッド、車両1の駆動動作に関連する機器、および、各種センサ等を含む。
【0064】
しかしながら、ADK2と、VP3とで別々に整備が求められる状態であるか否かの診断が行なわれると、一方の整備を実施した直後に他方の整備を実施するタイミングであると判定されるなどして整備を実施するタイミングの通知や、整備工場への入庫が頻繁に行なわれる虞がある。
【0065】
そこで、本実施の形態においては、第1診断処理と第2診断処理とのうちのいずれか一方の診断処理が実行される場合には、一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理が実行されるものとする。たとえば、ADK2とVP3とのいずれか一方において診断処理の実行条件が成立する場合に、一方から他方に診断処理の実行を通知することにより、一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理の実行が可能となる。なお、予め定められた期間は、たとえば、一方の診断処理によって診断対象の部品の整備を要すると判定された状態での走行距離や走行時間が適切になるように設定されればよく、特に限定されるものではない。
【0066】
このようにすると、ADK2とVP3とで整備の実施タイミングが分かれることを抑制することができる。そのため、整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0067】
以下、ADK2のコンピュータ21において実行される処理の一例について
図3を参照しつつ説明する。
図3は、ADK2のコンピュータ21において実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、コンピュータ21により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0068】
ステップ(以下、ステップをSと記載する)100にて、コンピュータ21は、自己診断処理の実行条件が成立するか否かを判定する。ADK2の自己診断処理の実行条件は、たとえば、車両1が無人での自動運転中であるという条件と、前回の自己診断処理の実行時点から予め定められた第1時間が経過したという条件とを含む。コンピュータ21は、たとえば、VP3から所定の情報を受信することによって無人での自動運転中であると判定してもよいし、あるいは、着座センサや車室内のカメラ等の機器(いずれも図示せず)を用いて取得された情報をVP3から受信してVP3が無人であるか否かを判定しつつ、認識用センサ22や姿勢用センサ23を用いて車両1が走行しているか否かを判定してもよい。また、第1時間は、たとえば、診断対象となるADK2の部品の劣化速度等によって予め設定される。自己診断処理の実行条件が成立すると判定されると(S100にてYES)、処理はS102に移される。
【0069】
S102にて、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理を実行する。コンピュータ21は、たとえば、診断対象となる部品が、整備が求められる状態であるか否かを診断する。ADK2における診断対象および診断方法については上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。コンピュータ21は、診断結果が取得されると診断結果についての情報をメモリ(図示せず)の所定の領域に記憶させる。その後処理はS106に移される。なお、自己診断の実行条件が成立していないと判定される場合(S100にてNO)、処理はS104に移される。
【0070】
S104にて、コンピュータ21は、VP3から自己診断処理の実行の通知があるか否かを判定する。コンピュータ21は、たとえば、VP3のセントラルECU321からVP3において自己診断処理が実行されたことを示す情報(予め定められた信号)を受信している場合に、VP3から自己診断の実行の通知があると判定してもよい。自己診断処理の実行の通知があると判定される場合(S104にてYES)、処理はS102に移される。
【0071】
S106にて、コンピュータ21は、診断処理の実行をVP3に通知する。具体的には、コンピュータ21は、ADK2において自己診断処理が実行されたことを示す情報(予め定められた信号)をセントラルECU321に送信する。その後処理はS108に移される。
【0072】
S108にて、コンピュータ21は、自己診断処理が完了したか否かを判定する。コンピュータ21は、たとえば、自己診断処理が完了したときにオン状態にされるフラグの状態に基づいて自己診断処理が完了したか否かを判定してもよいし、あるいは、診断結果がメモリの所定の領域に記憶されているときに自己診断処理が完了したと判定してもよい。自己診断処理が完了したと判定される場合(S108にてYES)、処理はS110に移される。なお、自己診断処理が完了していないと判定される場合(S108にてNO)、処理はS108に戻される。
【0073】
S110にて、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理による診断結果をセントラルECU321に送信する。なお、自己診断処理の実行の通知がないと判定される場合(S104にてNO)、この処理は終了される。
【0074】
次に、VP3のセントラルECU321で実行される処理の一例について
図4を参照しつつ説明する。
図4は、セントラルECU321で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、コンピュータ21により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0075】
S200にて、セントラルECU321は、自己診断処理の実行条件が成立するか否かを判定する。VP3の自己診断処理の実行条件は、たとえば、車両1が無人での自動運転中であるという条件と、前回の自己診断の実行時点から予め定められた第2時間が経過したという条件とを含む。コンピュータ21は、たとえば、着座センサや車室内のカメラ等の機器を用いて取得された情報を用いてVP3が無人であるか否かを判定しつつ、認識用センサ22や姿勢用センサ23を用いて取得された情報をADK2から受信して車両1が走行しているか否かを判定してもよい。また、第2時間は、たとえば、診断対象となるADK2の部品の劣化速度等によって予め定められる。自己診断処理の実行条件が成立すると判定されると(S202にてYES)、処理はS202に移される。
【0076】
S202にて、セントラルECU321は、VP3の自己診断処理を実行する。コンピュータ21は、たとえば、診断対象となる部品が、整備が求められる状態であるか否かを診断する。VP3における診断対象および診断方法については、上述したとおりであるため、その詳細な説明は繰り返さない。セントラルECU321は、診断結果が取得されると診断結果についての情報をメモリ(図示せず)の所定の領域に記憶させる。その後処理はS204に移される。
【0077】
S204にて、セントラルECU321は、診断処理の実行をADK2に通知する。具体的には、セントラルECU321は、VP3の自己診断処理が実行されたことを示す情報(予め定められた信号)をADK2に送信する。その後処理はS206に移される。
【0078】
S206にて、セントラルECU321は、自己診断処理が完了したか否かを判定する。セントラルECU321は、たとえば、VP3の自己診断処理が完了したときにオン状態にされるフラグの状態に基づいて自己診断処理が完了したか否かを判定してもよいし、あるいは、診断結果がメモリの所定の領域に記憶されているときに自己診断処理が完了したと判定してもよい。VP3の自己診断処理が完了したと判定される場合(S206にてYES)、処理はS208に移される。なお、自己診断処理が完了していないと判定される場合(S206にてNO)、処理はS206に戻される。
【0079】
S208にて、セントラルECU321は、ADK2のコンピュータ21から自己診断処理の実行の通知があるか否かを判定する。セントラルECU321は、たとえば、コンピュータ21からADK2において自己診断処理が実行されたことを示す情報(予め定められた信号)を受信している場合に、ADK2から自己診断処理の実行の通知があると判定してもよい。ADK2から自己診断処理の実行の通知があると判定される場合(S208にてYES)、処理はS216に移される。なお、自己診断処理の実行条件が成立していないと判定される場合(S200にてNO)、処理はS210に移される。
【0080】
S210にて、セントラルECU321は、ADK2から自己診断処理の実行の通知があるか否かを判定する。判定方法については、上述のS208の処理における判定方法と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。ADK2から自己診断処理の実行の通知があると判定される場合(S210にてYES)、処理はS212に移される。
【0081】
S212にて、セントラルECU321は、VP自己診断処理を実行する。自己診断処理については、上述のS202の処理と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。その後処理はS214に移される。
【0082】
S214にて、セントラルECU321は、自己診断処理が完了したか否かを判定する。判定方法については、上述のS206の処理における判定方法と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。VP3の自己診断処理が完了したと判定される場合(S214にてYES)、処理はS216に移される。なお、VP3の自己診断処理が完了していないと判定される場合(S214にてNO)、処理はS214に戻される。
【0083】
S216にて、セントラルECU321は、ADK2の自己診断処理による診断結果をADK2から受信したか否かを判定する。セントラルECU321は、たとえば、ADK2から診断結果を受信すると、診断結果を示す情報をメモリの所定の領域に記憶する。そのため、セントラルECU321は、たとえば、診断結果を示す情報がメモリの所定の領域に記憶されている場合に、ADK2から診断結果を受信したと判定してもよい。ADK2の自己診断処理による診断結果を受信したと判定される場合(S216にてYES)、処理はS218に移される。なお、診断結果を受信していないと判定される場合(S216にてNO)、処理はS216に戻される。
【0084】
S218にて、セントラルECU321は、整備作業を要するか否かを判定する。具体的には、セントラルECU321は、ADK2の自己診断処理による診断結果を示す情報にADK2の整備要求が含まれる場合(すなわち、診断対象の部品の交換、修理、検査あるいは調整が要求される場合)に、整備作業を要すると判定する。あるいは、セントラルECU321は、VP3の自己診断処理による診断結果にVP3の整備要求が含まれる場合に、整備作業を要すると判定する。整備作業を要すると判定される場合(S218にてYES)、処理はS220に移される。
【0085】
S220にて、セントラルECU321は、DCM327を用いて整備要求を管理サーバ7に送信する。セントラルECU321は、ADK2の自己診断処理による診断結果にADK2の整備要求が含まれる場合には、ADK2の整備要求を管理サーバ7に送信する。また、セントラルECU321は、VP3の自己診断処理による診断結果にVP3の整備要求が含まれる場合には、VP3の整備要求を管理サーバ7に送信する。
【0086】
なお、VP3の自己診断処理の実行条件が成立せず(S200にてNO)、かつ、ADK2の自己診断処理の実行の通知がないと判定される場合(S210にてNO)、あるいは、整備作業を要しないと判定される場合(S218にてNO)、この処理は終了される。
【0087】
以上のような構造およびフローチャートに基づくADK2とVP3との動作の一例について説明する。
【0088】
<ADK2においてのみ自己診断処理の実行条件が成立する場合>
たとえば、無人での自動運転中において、前回のADK2の自己診断処理の実行時点から第1時間が経過していると判定される場合には、ADK2において自己診断処理の実行条件が成立したと判定され(S100にてYES)、ADK2の自己診断処理が実行されるとともに(S102)、VP3に対して自己診断処理の実行が通知される(S106)。そして、自己診断処理が完了し(S108にてYES)、ADK2の自己診断処理による診断結果がセントラルECU321に送信される(S110)。
【0089】
VP3においては、VP3の自己診断処理の実行条件が成立していない場合でも(S200にてNO)、ADK2から自己診断処理の実行の通知があると判定されるときには(S210にてYES)、VP3の自己診断処理が実行される(S212)。そのため、予め定められた期間内にADK2の自己診断処理とVP3の自己診断処理とが実行されることとなる。
【0090】
自己診断処理が完了したと判定され(S214にてYES)、ADK2の診断結果を受信すると(S216にてYES)、ADK2およびVP3のうちの少なくともいずれかの整備作業を要するか否かが判定される(S218)。ADK2およびVP3のうちの少なくともいずれかの整備作業を要すると判定される場合には(S218にてYES)、ADK2およびVP3のうちの整備作業を要すると判定された少なくともいずれかの整備要求が管理サーバ7に送信される(S220)。
【0091】
管理サーバ7においてADK2またはVP3の整備要求を受信すると、整備工場サーバ5に対して日程調整要求と整備内容情報とが送信される。整備工場サーバ5は、空き時間帯のうちのいずれかの時間帯を予約し、予約された時間帯を調整結果通知として管理サーバ7に送信する。管理サーバ7は、整備要求の送信元の車両1に対して予約された時間帯を入庫日程情報として送信する。これにより、車両1は、予約された時間帯において整備工場において整備を受けることができる。
【0092】
<VP3においてのみ自己診断処理の実行条件が成立する場合>
たとえば、無人での自動運転中において、前回のVP3の自己診断処理の実行時点から第2時間が経過していると判定される場合には、VP3において自己診断処理の実行条件が成立したと判定され(S200にてYES)、自己診断処理が実行されるとともに(S202)、ADK2に対して自己診断処理の実行が通知される(S204)。そして、自己診断処理が完了し(S206にてYES)、ADK2の自己診断処理の実行の通知をADK2から受信した場合(S208にてYES)、ADK2の診断結果を受信したか否かが判定される(S216)。
【0093】
ADK2の診断結果を受信すると(S216にてYES)、ADK2およびVP3のうちの少なくともいずれかの整備作業を要するか否かが判定される(S218)。ADK2およびVP3のうちの少なくともいずれかの整備作業を要すると判定される場合には(S218にてYES)、ADK2およびVP3のうちの整備作業を要すると判定された少なくともいずれかの整備要求が管理サーバ7に送信される(S220)。
【0094】
以上のように、本実施の形態に係る車両1によると、ADK2とVP3とのいずれか一方において診断処理の実行条件が成立する場合に、一方から他方に診断処理の実行を通知することにより、一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理の実行が可能となる。すなわち、ADK2の自己診断処理とVP3の自己診断処理とが並行して実行されることにより、ADK2とVP3とで整備の実施タイミングが分かれることを抑制することができる。そのため、整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。したがって、頻繁に整備が求められることを抑制する車両および自動運転キットを提供することができる。
【0095】
以下、変形例について記載する。
上述の実施の形態では、セントラルECU321でVP3の自己診断処理が実行される場合を一例として説明したが、VP3における自己診断処理の実行主体としては、セントラルECU321に限定されるものではなく、各システムのいずれかのECUで実行されるようにしてもよい。
【0096】
さらに上述の実施の形態では、セントラルECU321は、ADK2から自己診断処理の実行の通知を受けるとVP3の自己診断処理を実行するものとして説明したが、実行タイミングとしては、ADK2の自己診断処理が実行されてから予め定められた期間内にVP3の自己診断処理が実行されればよい。
【0097】
さらに上述の実施の形態では、ADK2において実行された自己診断処理の診断結果がVP3に送信され、VP3の整備要求またはADK2の整備要求がVP3の通信装置であるDCM327を用いて管理サーバ7に送信されるものとして説明したが、たとえば、ADK2に通信モジュールが搭載される場合には、VP3の整備要求またはADK2の整備要求がADK2に搭載される通信モジュールを用いて管理サーバ7に送信されてもよい。
【0098】
図5は、変形例におけるADK2およびVP3の構成をより詳細に示す図である。
図5に示す車両1は、
図2に示す車両1と比較してADK2が通信モジュール26をさらに含む点で異なる。それ以外の構成については、
図2に示す車両1の構成と同様であるため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0099】
通信モジュール26は、コンピュータ21と管理サーバ7との双方向のデータ通信が可能に構成されている。
【0100】
以下、この変形例においてVP3のセントラルECU321で実行される処理の一例について
図6を参照しつつ説明する。
図6は、変形例においてセントラルECU321で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、セントラルECU321により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0101】
S300にて、セントラルECU321は、自己診断処理の実行条件が成立するか否かを判定する。VP3の自己診断処理の実行条件は、上述の
図4に示すフローチャートのS200の処理における自己診断処理の実行条件と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。自己診断処理の実行条件が成立すると判定される場合(S300にてYES)、処理はS302に移される。
【0102】
S302にて、セントラルECU321は、VP3の自己診断処理を実行する。VP3の自己診断処理は、上述の
図4に示すフローチャートのS202の処理における自己診断処理と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。その後処理はS306に移される。なお、自己診断処理の実行条件が成立しないと判定される場合(S300にてNO)、処理はS304に移される。
【0103】
S304にて、ADK2から自己診断処理の実行の通知を受信したか否かを判定する。ADK2から自己診断処理の実行の通知を受信したと判定される場合(S304にてYES)、処理はS302に移される。
【0104】
S306にて、セントラルECU321は、VP3の自己診断処理の実行をADK2に対して通知する。その後処理はS308に移される。
【0105】
S308にて、セントラルECU321は、VP3の自己診断処理が完了したか否かを判定する。VP3の自己診断処理の完了の判定方法については、上述の
図4に示すフローチャートのS206における自己診断処理の完了の判定方法と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。自己診断処理が完了したと判定される場合(S308にてYES),処理はS310に移される。なお、自己診断処理が完了していないと判定される場合(S308にてNO)、処理はS308に戻される。
【0106】
S310にて、セントラルECU321は、VP3の自己診断処理による診断結果をADK2に送信する。なお、自己診断処理の実行の通知がないと判定される場合(S304にてNO)、この処理は終了される。
【0107】
次に、この変形例においてADK2のコンピュータ21で実行される処理の一例について
図7を参照しつつ説明する。
図7は、変形例においてコンピュータ21で実行される処理の一例を示すフローチャートである。このフローチャートに示される一連の処理は、コンピュータ21により、所定の制御周期毎に繰り返し実行される。
【0108】
S400にて、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理の実行条件が成立するか否かを判定する。ADK2の自己診断処理の実行条件は、上述の
図3に示すフローチャートのS100の処理における自己診断処理の実行条件と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。ADK2の自己診断処理の実行条件が成立していると判定される場合(S400にてYES)、処理はS402に移される。
【0109】
S402にて、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理を実行する。ADK2の自己診断処理は、上述の
図3に示すフローチャートのS102における自己診断処理と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。その後処理はS404に移される。
【0110】
S404にて、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理の実行をVP3に通知する。その後処理はS406に移される。
【0111】
S406にて、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理が完了したか否かを判定する。ADK2の自己診断処理の完了の判定方法については、上述の
図3に示すフローチャートのS108の処理における自己診断処理の完了の判定方法と同様である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。自己診断処理が完了したと判定される場合(S406にてYES)、処理はS408に移される。なお、自己診断処理が完了していないと判定される場合(S406にてNO)、処理はS406に戻される。
【0112】
S408にて、コンピュータ21は、VP3から自己診断処理の実行の通知があるか否かを判定する。コンピュータ21は、たとえば、セントラルECU321からVP3において自己診断処理が実行されたことを示す情報(予め定められた信号)を受信している場合に、VP3から自己診断処理の実行の通知があると判定してもよい。VP3から自己診断処理の実行の通知があると判定される場合(S408にてYES)、処理はS416に移される。なお、自己診断処理の実行条件が成立していないと判定される場合(S400にてNO)、処理はS410に移される。
【0113】
S410にて、コンピュータ21は、VP3からの自己診断処理の実行の通知があるか否かを判定する。判定方法については、上述のS408の処理における判定方法と同等である。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。VP3から自己診断処理の実行の通知があると判定される場合(S410にてYES)、処理はS412に移される。
【0114】
S412にて、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理を実行する。その後処理はS414に移される。
【0115】
S414にて、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理が完了しているか否かを判定する。ADK2の自己診断処理が完了していると判定される場合(S414にてYES)、処理はS416に移される。なお、自己診断処理が完了していないと判断される場合(414にてNO)、処理はS414に戻される。
【0116】
S416にて、コンピュータ21は、VP3の自己診断処理による診断結果をVP3から受信したか否かを判定する。コンピュータ21は、たとえば、VP3から診断結果を受信すると、診断結果を示す情報をメモリの所定の領域に記憶する。そのため、コンピュータ21は、たとえば、診断結果を示す情報がメモリの所定の領域に記憶されている場合に、ADK2から診断結果を受信したと判定してもよい。VP3の自己診断処理による診断結果を受信したと判定される場合(S416にてYES)、処理はS418に移される。なお、の診断結果を受信していないと判定される場合(S416にてNO)、処理はS416に戻される。
【0117】
S418にて、コンピュータ21は、整備作業を要するか否かを判定する。具体的には、コンピュータ21は、VP3の自己診断処理による診断結果を示す情報にVP3の整備要求が含まれる場合に、整備作業を要すると判定する。あるいは、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理による診断結果にADK2の整備要求が含まれる場合には、整備作業を要すると判定する。整備作業を要すると判定される場合(S418にてYES)、処理はS420に移される。
【0118】
S420にて、コンピュータ21は、通信モジュール26を用いて整備要求を管理サーバ7に送信する。コンピュータ21は、VP3の自己診断処理による診断結果にVP3の整備要求が含まれる場合には、VP3の整備要求を管理サーバ7に送信する。また、コンピュータ21は、ADK2の自己診断処理による診断結果にADK2の整備要求が含まれる場合には、ADK2の整備要求を管理サーバ7に送信する。
【0119】
なお、ADK2の自己診断処理の実行条件が成立せずに(S400にてNO)、かつ、VP3の自己診断処理の実行の通知がないと判定される場合に(S410にてNO)、あるいは、整備作業を要しないと判定される場合(S418にてNO)、この処理は終了される。
【0120】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本変形例におけるADK2とVP3との動作の一例について説明する。
【0121】
<VP3においてのみ自己診断処理の実行条件が成立する場合>
たとえば、無人での自動運転中において、前回のVP3の自己診断処理の実行時点から第2時間が経過していると判定される場合には、VP3において自己診断処理の実行条件が成立したと判定され(S300にてYES)、VP3の自己診断処理が実行されるとともに(S302)、ADK2に対して自己診断処理の実行が通知される(S306)。そして、自己診断処理が完了し(S308にてYES)、VP3の自己診断処理による診断結果がADK2に送信される(S310)。
【0122】
ADK2においては、ADK2の自己診断処理の実行条件が成立していない場合でも(S400にてNO)、VP3からの自己診断処理の実行の通知があると判定されるときには(S410にてYES)、ADK2の自己診断処理が実行される(S412)。そのため、予め定められた期間内にADK2の自己診断処理とVP3の自己診断処理とが実行されることとなる。
【0123】
自己診断処理が完了したと判定され(S414にてYES)、VP3の診断結果を受信すると(S416にてYES)、ADK2およびVP3のうちの少なくともいずれかの整備作業を要するか否かが判定される(S418)。ADK2およびVP3の少なくともいずれかの整備作業を要すると判定される場合には(S418にてYES)、ADK2およびVP3のうちの整備作業を要すると判定された少なくともいずれかの整備要求が管理サーバ7に送信される(S420)。
【0124】
<ADK2においてのみ自己診断処理の実行条件が成立する場合>
たとえば、無人での自動運転中において、前回のADK2の自己診断処理の実行時点から第1時間が経過していると判定される場合には、ADK2において自己診断処理の実行条件が成立したと判定され(S400にてYES)、ADK2の自己診断処理が実行されるとともに(S402)、VP3に対して自己診断処理の実行が通知される(S404)。そして、自己診断処理が完了し(S406にてYES)、VP3の自己診断処理の実行の通知をVP3から受信した場合(S408にてYES)、VP3の診断結果を受信したか否かが判定される(S416)。
【0125】
VP3の診断結果を受信すると(S416にてYES)、ADK2およびVP3のうちの少なくともいずれかの整備作業を要するか否かが判定される(S418)。ADK2およびVP3のうちの少なくともいずれかの整備作業を要すると判定される場合には(S418にてYES)、ADK2およびVP3のうちの整備作業を要すると判定された少なくともいずれかの整備要求が管理サーバ7に送信される(S420)。
【0126】
このようにしても、ADK2とVP3とのいずれか一方において診断処理の実行条件が成立する場合に、一方から他方に診断処理の実行を通知することにより、一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理の実行が可能となる。すなわち、ADK2の自己診断処理とVP3の自己診断処理とが並行して実行されることにより、ADK2とVP3とで整備の実施タイミングが分かれることを抑制することができる。そのため、整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0127】
さらに上述の実施の形態では、ADK2において実行された自己診断処理の結果がVP3に送信され、VP3の整備要求またはADK2の整備要求がVP3の通信装置であるDCM327を用いて管理サーバ7に送信されるものとして説明したが、少なくとも整備のための入庫日および時間帯が同じ入庫日および時間帯としてADK2の整備とVP3の整備とが並行して実行されればよく、管理サーバ7への整備要求は、ADK2およびVP3の各々によって個別に行なわれるようにしてもよい。
【0128】
この変形例における車両1の構成は、
図5に示す車両1の構成と同じである。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0129】
以下、この変形例においてADK2のコンピュータ21で実行される処理の他の一例について
図8を参照しつつ説明する。
図8は、変形例においてコンピュータ21で実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。
【0130】
図8に示すフローチャートは、
図3に示すフローチャートと比較して、S110の処理に代えてS500の処理とS502の処理とを含む点で異なる。そのため、以下に説明する場合を除き、
図8のフローチャートに示すS100,S102,S104,S106およびS108の処理は、
図3のフローチャートに示すS100,S102,S104,S106およびS108の処理と同じ処理内容であり、同じステップ番号が付与されている。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0131】
S108にて、ADK2の自己診断処理が完了したと判定される場合(S108にてYES)、処理はS500に移される。
【0132】
S500にて、コンピュータ21は、ADK2の整備作業を要するか否かを判定する。コンピュータ21は、たとえば、自己診断処理の診断結果としてADK2の整備作業を要する情報が含まれる場合には、ADK2の整備作業を要すると判定する。ADK2の整備作業を要すると判定される場合(S500にてYES)、処理はS502に移される。
【0133】
S502にて、コンピュータ21は、通信モジュール26を用いてADK2の整備要求を管理サーバ7に対して送信する。なお、ADK2の整備作業を要しないと判定される場合には(S500にてNO)、この処理は終了される。
【0134】
次に、この変形例においてVP3のセントラルECU321で実行される処理の他の一例について
図9を参照しつつ説明する。
図9は、変形例においてセントラルECU321で実行される処理の他の一例を示すフローチャートである。
【0135】
図9に示すフローチャートは、
図6に示すフローチャートと比較して、S310の処理に代えてS600の処理とS602の処理とを含む点で異なる。そのため、以下に説明する場合を除き、
図9のフローチャートに示すS300,S302,S304,S306およびS308の処理は、
図6にフローチャートに示すS300,S302,S304,S306およびS308の処理と同じ処理内容であり、同じステップ番号が付与されている。そのため、その詳細な説明は繰り返さない。
【0136】
S308にて、VP3の自己診断処理が完了したと判定される場合(S308にてYES)、処理はS600に移される。
【0137】
S600にて、セントラルECU321は、VP3の整備作業を要するか否かを判定する。セントラルECU321は、たとえば、自己診断処理の診断結果としてVP3の整備作業を要する情報が含まれる場合には、VP3の整備作業を要すると判定する。VP3の整備作業を要すると判定される場合(S600にてYES)、処理はS602に移される。
【0138】
S602にて、セントラルECU321は、DCM327を用いてVP3の整備要求を管理サーバ7に対して送信する。なお、VP3の整備作業を要しないと判定される場合には(S600にてNO)、この処理は終了される。
【0139】
以上のような構造およびフローチャートに基づく本変形例におけるADK2とVP3との動作の他の一例について説明する。
【0140】
たとえば、無人での自動運転中において、前回のADK2の自己診断処理の実行時点から第1時間が経過していると判定される場合には、ADK2において自己診断処理の実行条件が成立したと判定され(S100にてYES)、ADK2の自己診断処理が実行されるとともに(S102)、VP3に対して自己診断処理の実行が通知される(S106)。そして、自己診断処理が完了し(S108にてYES)、ADK2の自己診断処理による診断結果を用いてADK2の整備作業を要すると判定される場合には(S500にてYES)、通信モジュール26を用いてADK2の整備要求が管理サーバ7に送信される。
【0141】
VP3においては、VP3の自己診断処理の実行条件が成立していない場合でも(S300にてNO)、ADK2から自己診断処理の実行の通知があると判定されるときには(S304にてYES)、VP3の自己診断処理が実行される(S302)。そのため、予め定められた期間内にADK2の自己診断処理とVP3の自己診断処理とが実行されることとなる。なお、予め定められた期間は、たとえば、ADK2からの整備要求によって設定される入庫日と時間帯と、VP3からの整備要求によって設定される入庫日と時間帯とが同じになるような期間である。
【0142】
そして、自己診断処理の実行がADK2に通知され(S306)、自己診断処理が完了し(S308にてYES)、VP3の自己診断処理による診断結果を用いてVP3の整備作業を要すると判定される場合には(S600にてYES)、DCM327を用いてVP3の整備要求が管理サーバ7に送信される(S602)。
【0143】
なお、VP3においてのみ自己診断処理の実行条件が成立する場合でも、VP3からADK2に対して自己診断処理の実行が通知されることによってADK2でも自己診断処理が実行されるため、予め定められた期間内にADK2の自己診断処理とVP3の自己診断処理とが実行されることとなる。
【0144】
このようにしても、ADK2とVP3とのいずれか一方において診断処理の実行条件が成立する場合に、一方から他方に診断処理の実行を通知することにより、一方の診断処理が実行されてから予め定められた期間内に他方の診断処理の実行が可能となる。すなわち、ADK2の自己診断処理とVP3の自己診断処理とが並行して実行されることにより、ADK2とVP3とで整備の実施タイミングが分かれることを抑制することができる。そのため、整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。
【0145】
なお、上述の変形例では、ADK2およびVP3は、管理サーバ7に対してADK2の整備要求およびVP3の整備要求をそれぞれ送信するものとして説明したが、たとえば、管理サーバ7が、ADK2のメーカー等が運営する第1管理サーバと、VP3のメーカー等が運営する第2管理サーバとを含む場合には、ADK2は、ADK2の整備要求を第1管理サーバに送信し、VP3は、VP3の整備要求を第2管理サーバに送信するようにしてもよい。このような構成である場合でも、ADK2の自己診断処理とVPの自己診断処理とが予め定められた期間内に実行されるようにすることにより、整備工場への入庫が頻繁に行なわれることを抑制することができる。この場合、予め定められた期間としては、たとえば、第1管理サーバと、第2管理サーバとが、それぞれ整備要求に応じて日程調整要求を整備工場サーバ5に送信する場合に、各整備要求に応じて同じ入庫日と時間帯とに設定されるように定められる。
【0146】
なお、上記した変形例は、その全部または一部を適宜組み合わせて実施してもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0147】
1 車両、2 ADK、3 VP、5 整備工場サーバ、7 管理サーバ、21 コンピュータ、22 認識用センサ、23 姿勢用センサ、24 センサクリーナ、25 HMI、26 通信モジュール、32 ベース車両、100 情報処理システム、211,212 プロセッサ、31 VCIB、311,312 VCIB、321 セントラルECU、322,322A,322B ブレーキシステム、323,323A,323B ステアリングシステム、324 パワートレーンシステム、324A EPBシステム、324B Pロックシステム、324C 推進システム、325 アクティブセーフティシステム、326 ボディシステム、327 DCM。