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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】光源装置及び投影装置
(51)【国際特許分類】
   G03B 21/14 20060101AFI20241016BHJP
   G03B 21/00 20060101ALI20241016BHJP
   H04N 5/74 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G03B21/14 A
G03B21/00 D
H04N5/74 Z
【請求項の数】 13
(21)【出願番号】P 2022041130
(22)【出願日】2022-03-16
(65)【公開番号】P2023135838
(43)【公開日】2023-09-29
【審査請求日】2023-03-14
(73)【特許権者】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】杉山 知隼
【審査官】小久保 州洋
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2021/132061(WO,A1)
【文献】特開2021-135333(JP,A)
【文献】特開2014-142524(JP,A)
【文献】特開2021-012375(JP,A)
【文献】特開2009-199046(JP,A)
【文献】特開2019-200280(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G03B 21/14
G03B 21/00
H04N 5/74
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第1光学面を有する第1偏光ビームスプリッタと、
第1光源から出射され、前記第1光学面を介して蛍光発光手段に入射した入射光のうち、前記蛍光発光手段で反射した光と、前記入射光に応じて前記蛍光発光手段が発した蛍光とを、それぞれ異なる方向に導く第2光学面であって、前記第1光学面と交差する前記第2光学面を有するダイクロイックミラーと、
第1偏光変換手段と、
第1制御手段と、
を備え
前記第1光学面は、前記第1光源から出射されて前記第1光学面に入射する第1波長帯域の第1の光のうち、第1直線偏光を第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第1直線偏光に対して偏光方向が直交する第2直線偏光を、前記第1方向とは異なる第2方向に導いて前記蛍光発光手段に入射させ、
前記第2光学面は、前記第1の光の入射に応じて前記蛍光発光手段が発した前記蛍光の少なくとも一部を前記第1方向に導き、前記蛍光発光手段で反射した前記第1の光を、前記第1方向とは異なる方向に導き、
前記第1偏光変換手段は、前記第1光源から前記第1光学面までの、前記第1の光の光路上に設けられ、
前記第1制御手段は、前記第1光学面に入射する前記第1の光が、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の間で切り替わるように前記第1偏光変換手段を制御する
とを特徴とする光源装置。
【請求項2】
蛍光発光手段と、
入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第1光学面を有する第1偏光ビームスプリッタと、
第1光源から出射され、前記第1光学面を介して前記蛍光発光手段に入射した入射光のうち、前記蛍光発光手段で反射した光と、前記入射光に応じて前記蛍光発光手段が発した蛍光とを、それぞれ異なる方向に導く第2光学面であって、前記第1光学面と交差する前記第2光学面を有するダイクロイックミラーと、
を備え、
前記第1光学面は、前記第1光源から出射されて前記第1光学面に入射する第1波長帯域の第1の光のうち、第1直線偏光を第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第1直線偏光に対して偏光方向が直交する第2直線偏光を、前記第1方向とは異なる第2方向に導いて前記蛍光発光手段に入射させ、
前記蛍光発光手段は、前記第1の光の入射に応じて、前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の第2の光を発する第1蛍光体と、前記第1の光の入射に応じて、前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域とは異なる第3波長帯域の第3の光を発する第2蛍光体と、を有し、
前記第2光学面は、前記第1の光の入射に応じて前記第1蛍光体が発した前記第2の光、及び前記第2蛍光体が発した前記第3の光を前記第1方向に導き、前記蛍光発光手段で反射した前記第1の光を、前記第1方向とは異なる方向に導く
ことを特徴とする源装置。
【請求項3】
前記第1光源から前記第1光学面までの、前記第1の光の光路上に設けられた第1偏光変換手段と、
前記第1光学面に入射する前記第1の光が、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の間で切り替わるように前記第1偏光変換手段を制御する第1制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
【請求項4】
前記蛍光発光手段は、
前記第1の光の入射に応じて、前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の第2の光を発する第1蛍光体と、
前記第1の光の入射に応じて、前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域とは異なる第3波長帯域の第3の光を発する第2蛍光体と、
を有し、
前記第2光学面は、前記第1蛍光体が発した前記第2の光、及び前記第2蛍光体が発した前記第3の光を前記第1方向に導く
ことを特徴とする請求項に記載の光源装置。
【請求項5】
前記蛍光発光手段は、
前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体が設けられた回転体を有し、
前記回転体の回転に応じて、前記第1の光が前記第1蛍光体に入射する期間には前記第1蛍光体により前記第2の光を発し、前記第1の光が前記第2蛍光体に入射する期間には前記第2蛍光体により前記第3の光を発する
ことを特徴とする請求項2又は4に記載の光源装置。
【請求項6】
前記第1光学面により導かれた前記第2直線偏光の光路上に設けられ、入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第3光学面を有する第2偏光ビームスプリッタと、
前記第1光学面から前記第3光学面までの、前記第2直線偏光の光路上に設けられた第2偏光変換手段と、
前記第3光学面に入射する光が、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の間で切り替わるように前記第2偏光変換手段を制御する第2制御手段と、
を備え、
前記第3光学面は、前記第2偏光変換手段から入射した前記第2直線偏光を、前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体のうちの一方に導き、前記第2偏光変換手段から入射した前記第1直線偏光を、前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体のうちの他方に導く
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の光源装置。
【請求項7】
第1光源と、
蛍光発光手段と、
入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第1光学面を有する第1偏光ビームスプリッタと、
前記第1光源から出射され、前記第1光学面を介して前記蛍光発光手段に入射した入射光のうち、前記蛍光発光手段で反射した光と、前記入射光に応じて前記蛍光発光手段が発した蛍光とを、それぞれ異なる方向に導く第2光学面であって、前記第1光学面と交差する前記第2光学面を有するダイクロイックミラーと、
を備え、
前記第1光学面は、前記第1光源から出射されて前記第1光学面に入射する第1波長帯域の第1の光のうち、第1直線偏光を第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第1直線偏光に対して偏光方向が直交する第2直線偏光を、前記第1方向とは異なる第2方向に導いて前記蛍光発光手段に入射させ、
前記第1光源及び前記蛍光発光手段は、前記第1光学面を通り前記第1光学面に平行な第1仮想平面を挟んで反対側に位置し、
前記第1光学面は、前記第1の光のうち前記第1直線偏光を反射させて前記第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第2直線偏光を透過させて前記第2方向に導き、
前記第2光学面は、前記第1の光の入射に応じて前記蛍光発光手段が発した前記蛍光の少なくとも一部を前記第1方向に導き、前記蛍光発光手段で反射した前記第1の光を、前記第1方向とは異なる方向に導く
ことを特徴とする光源装置。
【請求項8】
前記第1光源及び前記蛍光発光手段は、前記第1光学面を通り前記第1光学面に平行な第1仮想平面に対して同じ側に位置し、
前記第1光学面は、前記第1の光のうち前記第1直線偏光を透過させて第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第2直線偏光を反射させて前記第2方向に導く
ことを特徴とする請求項~6のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項9】
前記蛍光発光手段は、前記第1の光の入射に応じて、前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の第2の光を発し、
前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域とは異なる第3波長帯域の第4の光を出射する第2光源をさらに備え、
前記第2光学面は、前記蛍光発光手段が発した前記第2の光、及び前記第2光源が出射した前記第4の光を前記第1方向に導く
ことを特徴とする請求項に記載の光源装置。
【請求項10】
前記第1光源、前記第2光源、及び前記蛍光発光手段は、前記第1光学面を通り前記第1光学面に平行な第1仮想平面、及び前記第2光学面を通り前記第2光学面に平行な第2仮想平面によって区分される4つの空間のうち、互いに異なる空間に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
【請求項11】
前記蛍光発光手段で反射した前記第1の光のうち、前記第1光学面を介して導かれた一部が入射するミラーを備え、
前記ミラーは、入射した前記第1の光の当該ミラーによる反射光が、前記第1光学面を介して前記蛍光発光手段に再入射する向きに設けられている
ことを特徴とする請求項~10のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項12】
前記第2光学面は、前記第1光学面に対して垂直であることを特徴とする請求項~11のいずれか一項に記載の光源装置。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から出力された光を利用して画像を投影する画像投影部と、
を備えることを特徴とする投影装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光源装置及び投影装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源が出射した光を適宜な方向へ集光して高指向性で出力する光源装置が知られている。カラー画像を投影する投影装置などの、互いに異なる複数の色の光を利用する装置に搭載される光源装置では、光源が出射した単色の励起光を蛍光体に照射し、励起光とは異なる色の蛍光を取り出して出力する技術が用いられている。例えば、特許文献1の図20には、光源が出射した励起光の偏光方向を偏光変換素子により変換し、励起光の進行方向を偏光方向に応じて偏光ビームスプリッタにより切り替えることで、励起光を蛍光体に照射して蛍光を取り出す期間と、励起光をそのまま取り出す期間とを設ける技術が開示されている。詳しくは、ある期間では、光源が出射したp偏光をs偏光に変換し、偏光ビームスプリッタで反射させて励起光を取り出している。また、他のある期間では、光源が出射したp偏光を変換せずに、偏光ビームスプリッタを透過させて蛍光体に照射し、発生した蛍光を偏光ビームスプリッタで反射させて蛍光を取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-154148号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、蛍光体に照射された励起光の一部は、蛍光体の表面で反射し、ランダムな偏光となって偏光ビームスプリッタに戻る。この励起光の反射光の一部は、蛍光とともに偏光ビームスプリッタにより反射されるため、蛍光と励起光とが混合、混色して適切な色の光を取り出すことができなくなるという課題がある。
【0005】
この発明の目的は、適切な色の光を取り出すことができる光源装置及び投影装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、本発明に係る光源装置は、
入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第1光学面を有する第1偏光ビームスプリッタと、
第1光源から出射され、前記第1光学面を介して蛍光発光手段に入射した入射光のうち、前記蛍光発光手段で反射した光と、前記入射光に応じて前記蛍光発光手段が発した蛍光とを、それぞれ異なる方向に導く第2光学面であって、前記第1光学面と交差する前記第2光学面を有するダイクロイックミラーと、
第1偏光変換手段と、
第1制御手段と、
を備え
前記第1光学面は、前記第1光源から出射されて前記第1光学面に入射する第1波長帯域の第1の光のうち、第1直線偏光を第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第1直線偏光に対して偏光方向が直交する第2直線偏光を、前記第1方向とは異なる第2方向に導いて前記蛍光発光手段に入射させ、
前記第2光学面は、前記第1の光の入射に応じて前記蛍光発光手段が発した前記蛍光の少なくとも一部を前記第1方向に導き、前記蛍光発光手段で反射した前記第1の光を、前記第1方向とは異なる方向に導き、
前記第1偏光変換手段は、前記第1光源から前記第1光学面までの、前記第1の光の光路上に設けられ、
前記第1制御手段は、前記第1光学面に入射する前記第1の光が、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の間で切り替わるように前記第1偏光変換手段を制御することを特徴とする。
【0007】
上記課題を解決するため、本発明に係る投影装置は、
上記光源装置と、
前記光源装置から出力された光を利用して画像を投影する画像投影部と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、適切な色の光を取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る光源装置を有するプロジェクタの構成を示す模式図である。
図2】プロジェクタの機能構成を示すブロック図である。
図3】第1偏光ビームスプリッタの第1光学面の透過特性を示す図である。
図4】ダイクロイックミラーの第2光学面の透過特性を示す図である。
図5】蛍光体ホイールの構成を示す図である。
図6】赤色光、緑色光及び青色光を出力する各フレーム期間における光源装置の状態を示す図である。
図7】青色光を出力するフレーム期間における光源装置の動作を示す図である。
図8】緑色光を出力するフレーム期間における光源装置の動作を示す図である。
図9】第2の実施形態に係る光源装置を有するプロジェクタの構成を示す模式図である。
図10】第2の実施形態に係るダイクロイックミラーの第2光学面の透過特性を示す図である。
図11】第2の実施形態に係る光源装置の、赤色光、緑色光及び青色光を出力する各フレーム期間における状態を示す図である。
図12】第3の実施形態に係る光源装置を有するプロジェクタの構成を示す模式図である。
図13】第3の実施形態に係る光源装置の、赤色光、緑色光及び青色光を出力する各フレーム期間における状態を示す図である。
図14】緑色光を出力するフレーム期間における光源装置の動作を示す図である。
図15】赤色光を出力するフレーム期間における光源装置の動作を示す図である。
図16】変形例1に係る光源装置の構成及び動作を示す図である。
図17】変形例2に係る光源装置の構成、及び青色光を出力するフレーム期間における動作を示す図である。
図18】変形例2に係る光源装置の構成、及び緑色光を出力するフレーム期間における動作を示す図である。
図19】変形例3に係る光源装置の構成及び動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0011】
[第1の実施形態]
<プロジェクタの構成の概要>
図1は、第1の実施形態に係る光源装置1を有するプロジェクタ100の構成を示す模式図である。
プロジェクタ100(投影装置)は、光源装置1と、光源装置1から出力された光を利用して画像を投影する画像投影部2と、を備える。光源装置1は、青色の波長帯域の光(第1の光:以下、「青色光LB」と記す)、緑色の波長帯域の光(第2の光:以下、「緑色光LG」と記す)、及び赤色の波長帯域の光(第3の光:以下、「赤色光LR」と記す)を画像投影部2に対して出力する。画像投影部2は、これらの青色光LB、緑色光LG及び赤色光LRを利用してカラー画像を投影面に投影する。
【0012】
上記の青色の波長帯域は、「第1の波長帯域」に対応し、緑色の波長帯域は、「第2の波長帯域」に対応し、赤色の波長帯域は、「第3の波長帯域」に対応する。緑色の波長帯域は、青色の波長帯域とは異なり、赤色の波長帯域は、青色の波長帯域及び緑色の波長帯域とは異なる。ここで、2つの波長帯域が互いに異なるとは、2つの波長帯域の範囲の少なくとも一部が重複しないことをいい、2つの波長帯域の一部同士が重複する態様を含む。
【0013】
図1は、プロジェクタ100の構成要素のうち、光源装置1及び画像投影部2を抽出してその概略的な構成を示す模式図である。図1における光源装置1及び画像投影部2の各部の大きさや相互の間隔は、説明の便宜上、実際のプロジェクタ100における大きさや間隔等とは異なる場合がある(以降の図7-9、12、14-19も同様)。また、プロジェクタ100は、図1に示した光源装置1及び画像投影部2以外の構成要素、例えばプロジェクタ100の各部を冷却する冷却部などを備えていてもよい。
【0014】
<光源装置の構成及び動作の概要>
図1に示すように、光源装置1は、第1光源21と、第1偏光変換部31(第1偏光変換手段)と、光学部材40と、蛍光発光部70と、レンズ群91と、MLA92(マイクロレンズアレイ)と、レンズ93などを備える。第1光源21は、直線偏光の青色光LBを出射する。第1偏光変換部31は、第1光源21から出射された青色光LBの偏光方向を切り替えつつ透過させることが可能な光学素子である。光学部材40には、入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第1光学面51を有する第1偏光ビームスプリッタ50(図7参照)と、第1光学面51と交差し、かつ第1光学面51と垂直な第2光学面61を有するダイクロイックミラー60(図7参照)とが設けられている。蛍光発光部70は、回転軸74の回りで回転する蛍光体ホイール73(回転体)(図5参照)を有し、この蛍光体ホイール73には、青色光LBの入射に応じて緑色の波長帯域の蛍光(緑色光LG)を発する第1蛍光体71(図5参照)、及び青色光LBの入射に応じて赤色の波長帯域の蛍光(赤色光LR)を発する第2蛍光体72(図5参照)が設けられている。以下では、第1光源21が青色光LBを出射する方向を+Y方向とし、プロジェクタ100における光源装置1の設置面の法線方向を+Z方向とし、Y方向及びZ方向に垂直な方向であって、光源装置1から画像投影部2に向かう方向を+X方向とする。
【0015】
第1光源21は、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51との関係でp偏光となる直線偏光を+Y方向に出射する。ここで、第1光学面51との関係でp偏光となる直線偏光とは、第1光学面51への入射光及びその反射光が通る平面(本実施形態では、XY平面に平行な平面)に平行な方向に電界が振動する直線偏光である。また、第1光学面51との関係でs偏光となる直線偏光とは、第1光学面51への入射光及びその反射光が通る上記の平面に対して垂直な方向(本実施形態では、Z方向)に電界が振動する直線偏光である。第1光源21から出射されたp偏光の青色光LBが第1偏光変換部31によりs偏光に変換される期間では、このs偏光の青色光LBが、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51により+X方向(第1方向)に反射されて光源装置1の外部に出力される。
【0016】
第1光源21から出射されたp偏光の青色光LBがp偏光のまま第1偏光変換部31を透過する期間では、当該青色光LBが第1光学面51及び第2光学面61を透過して+Y方向(第2方向)に導かれ、蛍光発光部70に入射する。蛍光発光部70における蛍光体ホイール73の回転に応じて、青色光LBが第1蛍光体71に入射する期間では、第1蛍光体71が緑色光LGを発し、この緑色光LGがダイクロイックミラー60の第2光学面61により+X方向に反射されて出力される。また、蛍光体ホイール73の回転に応じて、青色光LBが第2蛍光体72に入射する期間では、第2蛍光体72が赤色光LRを発し、この赤色光LRがダイクロイックミラー60の第2光学面61により+X方向に反射されて出力される。
【0017】
このように、光源装置1は、青色光LB、緑色光LG及び赤色光LRを、時分割で順番に出力する。光源装置1が出力した光は、画像投影部2に入射する。
本明細書において、第1光源21から出射され、第1光学面51を介して蛍光発光部70に導かれる直線偏光のうち、第1光学面51を透過(後述する変形例2では、反射)した直後の直線偏光が「第2直線偏光」に相当し、第2直線偏光に対して偏光方向が直交する直線偏光が「第1直線偏光」に相当する。よって、本実施形態では、p偏光が「第2直線偏光」に相当し、s偏光が「第1直線偏光」に相当する。
【0018】
<画像投影部の構成及び動作の概要>
図1に示すように、画像投影部2は、照射ミラー101、表示素子102及び投影レンズ群103などを備える。
【0019】
照射ミラー101は、光源装置1から出力された光を表示素子102に向けて反射させる。
表示素子102は、空間的光変調素子(SOM:Spatial Optical Modulator)であり、例えば、デジタルマイクロミラー素子(DMD)である。DMDは、照射ミラー101から入射した光を、光像(画像)を形成するように変調して投影レンズ群103に反射させる。詳しくは、DMDは、アレイ状に配列された複数の微小ミラーの各傾斜角度を、投影する画像に係る画像データの画素値に応じて個々に高速で切り替えて、各画素単位、各画像フレーム単位で投影レンズ群103への光反射の有無を定めることで、その反射光により光像を形成する。
【0020】
投影レンズ群103は、表示素子102から出射された光像を所定の出力方向に導いて出射する。出射された光像は、スクリーン等の投影面に画像として投影される。投影レンズ群103は、複数のレンズを有し、当該複数のレンズの光軸方向の位置関係を変更することにより、焦点距離及び出力画像の拡大率(ズーム倍率)などを調整することが可能となっている。
【0021】
光源装置1から青色光LBが出力されるフレーム期間では、青色光LBを用いた青色の光像が表示素子102により形成されて、青色の画像が投影される。また、光源装置1から緑色光LGが出力されるフレーム期間では、緑色光LGを用いた緑色の光像が表示素子102により形成されて、緑色の画像が投影される。また、光源装置1から赤色光LRが出力されるフレーム期間では、赤色光LRを用いた赤色の光像が表示素子102により形成されて、赤色の画像が投影される。これらの青色、緑色及び赤色の画像を投影するフレーム期間を高周波数で繰り返すことで、青色、緑色及び赤色の画像を重ね合わせたカラー画像として視認される画像が投影される。
【0022】
<プロジェクタの機能構成>
図2は、プロジェクタ100の機能構成を示すブロック図である。
プロジェクタ100は、CPU11(Central Processing Unit)と、RAM12(Random Access Memory)と、記憶部13と、第1光源21と、第1偏光変換部31と、回転駆動部75を有する蛍光発光部70と、表示素子102と、投影レンズ群103と、レンズ駆動部104と、操作受付部105と、通信部106と、バス107などを備える。光源装置1は、このうちCPU11と、RAM12と、記憶部13と、第1光源21と、第1偏光変換部31と、蛍光発光部70と、回転駆動部75とを備える。また、画像投影部2は、表示素子102と、投影レンズ群103と、レンズ駆動部104とを備える。プロジェクタ100の各部は、バス107を介して接続されている。
【0023】
CPU11は、記憶部13に記憶されているプログラム131を読み出して実行し、各種演算処理を行うことで、光源装置1及びプロジェクタ100の動作を制御するプロセッサ(処理部)である。なお、光源装置1及びプロジェクタ100は、複数のプロセッサ(例えば、複数のCPU)を有していてもよく、本実施形態のCPU11が実行する複数の処理を、当該複数のプロセッサが実行してもよい。この場合において、複数のプロセッサが共通の処理に関与してもよいし、あるいは、複数のプロセッサが独立に異なる処理を並列に実行してもよい。CPU11は、プログラム131に従って各種処理を実行することにより、第1偏光変換部31を制御する第1制御手段、及び第1光源21の発光動作(発光タイミング等)を制御する発光制御手段などとして機能する。
【0024】
RAM12は、CPU11に作業用のメモリ空間を提供し、一時データを記憶する。
【0025】
記憶部13は、コンピュータとしてのCPU11により読み取り可能な非一時的な記録媒体であり、プログラム131及び各種データを記憶する。記憶部13は、例えばHDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の不揮発性メモリを含む。プログラム131は、コンピュータが読み取り可能なプログラムコードの形態で記憶部13に格納されている。
【0026】
第1光源21は、CPU11から送信される制御信号に従って青色光LBを射出する。第1偏光変換部31は、CPU11から送信される制御信号に従って、入力された直線偏光の偏光方向を切り替える。第1光源21及び第1偏光変換部31の詳細な構成及び動作については後述する。
【0027】
蛍光発光部70の回転駆動部75は、CPU11から送信される制御信号に従って、蛍光体ホイール73を回転させるための図示略の回転モーターを動作させ、蛍光体ホイール73を所定の回転速度で回転させる。また、回転駆動部75は、蛍光体ホイール73の回転角度を検出する図示しない回転検出部を有し、検出結果に係る信号をCPU11に出力する。回転検出部としては、例えば、蛍光体ホイール73に取り付けられるロータリーエンコーダが挙げられるが、これに限られない。
【0028】
表示素子102は、本実施形態ではDMDであり、CPU11から送信される制御信号及び画像データに基づいて、アレイ状に配列された複数の微小ミラーの各傾斜角度を切り替え、微小ミラーの反射光により光像を形成する。
【0029】
レンズ駆動部104は、CPU11から送信される制御信号に従って、投影レンズ群103を構成する複数のレンズの少なくとも一部を光軸方向に移動させて、投影レンズ群103の焦点距離及びズーム倍率を調整する。レンズ駆動部104は、移動対象のレンズを光軸方向に移動させるアクチュエータを備え、CPU11による制御に従ってアクチュエータを動作させることで、複数のレンズの光軸方向についての位置関係を変更し、焦点距離及びズーム倍率を調整する。
【0030】
操作受付部105は、複数の押しボタンスイッチなどを備え、ユーザの入力操作を受け付けて、入力操作の内容を表す操作信号をCPU11に出力する。また、操作受付部105は、別途リモートコントローラなどを有していてもよい。この場合には、操作受付部105は、リモートコントローラからの信号(赤外線信号など)を受け付ける受信部を有していてもよい。
【0031】
通信部106は、外部機器から、投影する画像の画像データの入力を受けてこれを取得する。例えば、通信部106は、外部機器との間のデータ通信用のケーブルが接続される入力端子、及び/又は外部機器との間で無線LANによる通信接続を行うための無線LANインターフェイスを有し、入力端子及び/又は無線LANインターフェイスを介して画像データを取得する。
【0032】
<光源装置の詳細な構成及び動作>
次に、光源装置1の構成及び動作について詳細に説明する。
【0033】
(第1光源)
図1に示す第1光源21は、青色光LBとしてのレーザー光を出力するレーザーダイオード(発光部)を有する。図1では、1つのレーザーダイオードと、当該レーザーダイオードから出射されたレーザー光をコリメートするコリメータレンズと、を有する第1光源21が模式的に描かれている。ただし、第1光源21の構成はこれに限られず、例えば、基板上にライン状又はマトリクス状に配列された複数のレーザーダイオードと、当該複数のレーザーダイオードからそれぞれ出射されたレーザー光を1本のレーザー光に集光する光学系(ミラーやレンズ等)とを備える構成であってもよい。
【0034】
第1光源21が有するレーザーダイオードは、例えば、n型クラッド層及びp型クラッド層の間に活性層(発光層)を設けたダブルへテロ構造を有する。外部からの電圧の印加に応じて、活性層内において電子及びホールが結合して発光するとともに、活性層の端面間で共振して誘導放出を生じ、レーザー発振する。このとき、ある偏光方向の光が発振し、これに垂直な偏光方向の光の発振は抑制されるため、レーザーダイオード(すなわち第1光源21)は、直線偏光の青色光LBを出射する。本実施形態の第1光源21は、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51との関係でp偏光となる直線偏光の青色光LBを出射する。
【0035】
(第1偏光変換部)
第1偏光変換部31は、第1光源21から、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51までの、青色光LBの光路上に設けられている。第1偏光変換部31は、入射した直線偏光の偏光方向を、当該偏光方向と直交する偏光方向に変換して透過させるON状態(第1状態)、及び、入射した直線偏光の偏光方向を変換せずに透過させるOFF状態(第2状態)、の2つの状態をとり得る。CPU11(第1制御手段)は、第1偏光変換部31の状態をON状態及びOFF状態の間で切り替えることができる。これにより、CPU11は、第1偏光変換部31を透過して第1光学面51に入射する青色光LBが、s偏光及びp偏光の間で切り替わるように第1偏光変換部31を制御する。
【0036】
本実施形態では、第1偏光変換部31として液晶素子が用いられている。液晶素子は、例えば、対向面に透明電極が設けられた2枚の透明基板の間に液晶層が封入された構成を有する。液晶素子は、透明電極を介して液晶層に第1の駆動電圧が印加された状態において、入射した直線偏光の偏光方向を90°変化させ、第1の駆動電圧とは異なる第2の駆動電圧が液晶層に印加された状態において、入射した直線偏光の偏光方向を変化させないように、液晶層の厚さ等が調整されている。よって、液晶素子は、第1の駆動電圧が印加された状態がON状態であり、第2の駆動電圧が印加された状態がOFF状態である。なお、第1の駆動電圧は、第2の駆動電圧よりも大きくてもよいし、第2の駆動電圧よりも小さくてもよい。また、第1の駆動電圧及び第2の駆動電圧のうちの一方が0Vであってもよい。また、第1偏光変換部31は、液晶素子を用いたものに限られず、例えば、通電することにより磁界を発生させて偏光面を所定の向きに変化させる磁気光学素子が用いられてもよい。
【0037】
(光学部材、第1偏光ビームスプリッタ、及びダイクロイックミラー)
光学部材40は、第1光源21から出射されて第1偏光変換部31を透過する青色光LBの光路上に設けられている。光学部材40は、三角柱形状の4つのプリズムP1~P4が接合されたキューブ状の形状(直方体形状)を有する。プリズムP1~P4は、Z方向に垂直な断面が直角二等辺三角形となる三角柱である。4つのプリズムP1~P4は、上記の直角二等辺三角形における直角の角部に相当する辺同士が接触するように、透明な樹脂等により接合されている。よって、4つのプリズムは、Z方向に平行、かつ互いに直交する2つの界面を形成するように接合されている。光学部材40は、Z方向に垂直な断面が正方形であり、当該正方形の各辺が、X方向又はY方向に平行となる向きに設けられている。また、光学部材40のうち+X方向を向く面はプリズムP1の面であり、-Y方向を向く面はプリズムP2の面であり、-X方向を向く面はプリズムP3の面であり、+Y方向を向く面はプリズムP4の面であるものとする。
【0038】
プリズムP1、P2の、プリズムP3、P4と対向する面(以下、「第1光学面51」と記す)には、偏光ビームスプリッタとして機能する図示しない第1光学薄膜が蒸着等により形成されている。この第1光学薄膜が設けられた第1光学面51を有するプリズムP1、P2が、第1偏光ビームスプリッタ50を構成する(図7参照)。第1光学面51は、Z方向に平行であり、かつ、XY平面に平行な断面が、X軸に対して+45°の角度をなす。また、第1光源21及び蛍光発光部70は、第1光学面51を通り当該第1光学面51に平行な第1仮想平面S1を挟んで反対側に位置する。
【0039】
図3は、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51の透過特性を示す図である。
図3のグラフTpは、第1光学面51に対してある角度(ここでは45°)で入射したp偏光の透過率の波長依存性(透過スペクトル)を示す。また、グラフTsは、第1光学面51に対して上記のある角度で入射したs偏光の透過率の波長依存性(透過スペクトル)を示す。これらのグラフTp、Tsから、第1光学面51は、可視光の波長帯域のうち青色の波長帯域(0.45μm付近)において、p偏光については高い透過率(0.9以上)を示し、s偏光についてはほとんど透過せず反射することが分かる。また、可視光の波長帯域のうち、より長波長側の緑色及び赤色の波長帯域においては、高い透過率を示すことが分かる。
【0040】
このような透過特性を有する第1光学面51は、図1に示す第1光源21から+Y方向に出射されて第1光学面21に入射する青色光LBのうち、s偏光を+X方向(第1方向)に反射させ(+X方向に導き)、p偏光を+Y方向(第2方向)に透過させて(+Y方向に導いて)蛍光発光部70に入射させる。また、第1光学面51は、-Y方向に進行して第1光学面51に対して入射したs偏光の青色光LBを-X方向に反射させ、-Y方向に進行して第1光学面51に対して入射したp偏光の青色光LBを透過させる。また、第1光学面51は、入射した緑色光LG及び赤色光LRを透過させる。
【0041】
プリズムP2、P3の、プリズムP1、P4と対向する面(以下、「第2光学面61」と記す)には、反射率(透過率)が波長依存性を有するミラーとして機能する図示しない第2光学薄膜が蒸着等により形成されている。この第2光学薄膜が設けられた第2光学面61を有するプリズムP2、P3が、ダイクロイックミラー60を構成する(図7参照)。第2光学面61は、Z方向に平行であり、かつ、XY平面に平行な断面が、X軸に対して+135°(-45°)の角度をなす。したがって、第2光学面61は、第1光学面51に対して垂直である。
また、第2光学面61は、第1光学面51と交差する。ここで、第1光学面51と第2光学面61とが交差するとは、第1光学面51上、及び第2光学面61上に交線が形成されるように光学面同士が交わることをいい、第1光学面51及び第2光学面61の一方を延長した仮想面が他方と交わる態様や、第1光学面51を延長した仮想面と第2光学面61を延長した仮想面とが交わる態様は含まないものとする。
【0042】
図4は、ダイクロイックミラー60の第2光学面61の透過特性を示す図である。
図4のグラフは、第2光学面61に対してある角度(ここでは45°)で入射した光の透過率の波長依存性(透過スペクトル)を示す。図4のグラフから、第2光学面61は、可視光の波長帯域のうち緑色及び赤色の波長帯域(0.5μm付近より長波長側の波長帯域)において、入射光をほとんど透過させずに反射し、より短波長側の青色の波長帯域において、高い透過率(0.9以上)を示すことが分かる。
【0043】
このような透過特性を有する第2光学面61は、図1に示す蛍光発光部70が発する緑色光LG及び赤色光LRを反射する。例えば、緑色光LG及び赤色光LRのうち-Y方向に進行して第2光学面61に入射した光を+X方向に反射させる(+X方向に導く)。また、第2光学面61は、第1光源21から出射された青色光LBや、蛍光発光部70に入射した青色光LBのうち、蛍光発光部70で反射して-Y方向に進行する光を、偏光状態によらずに透過させる。
【0044】
なお、上記では、プリズムP1、P2により第1偏光ビームスプリッタ50が構成されるものとして説明したが、プリズムP1~P4は一体的に接合されているため、プリズムP3、P4により第1偏光ビームスプリッタ50が構成され、プリズムP3、P4の、プリズムP1、P2と対向する面が第1光学面51であるとみなすこともできる。また、プリズムP3、P4の、プリズムP1、P2と対向する面に、蒸着等により第1光学薄膜が形成されていてもよい。
同様に、プリズムP2、P3によりダイクロイックミラー60が構成されるものとして説明したが、プリズムP1~P4は一体的に接合されているため、プリズムP1、P4によりダイクロイックミラー60が構成され、プリズムP1、P4の、プリズムP2、P3と対向する面が第2光学面61であるとみなすこともできる。また、プリズムP1、P4の、プリズムP2、P3と対向する面に、蒸着等により第2光学薄膜が形成されていてもよい。
あるいは、光学部材40の全体が、プリズムP1、P2と、プリズムP3、P4との界面に第1光学面51を有する第1偏光ビームスプリッタ50であるとみなすこともできる。また、光学部材40の全体が、プリズムP2、P3と、プリズムP1、P4との界面に第2光学面61を有するダイクロイックミラー60であるとみなすこともできる。
【0045】
(蛍光発光部)
図1に示すように、蛍光発光部70は、円盤状の蛍光体ホイール73と、蛍光体ホイール73をY方向に平行な回転軸74の回りで回転させる回転駆動部75とを有する。蛍光発光部70は、第1光源21から出射され、第1偏光変換部31及び光学部材40を透過する青色光LBの光路上に設けられている。
【0046】
図5は、蛍光体ホイール73の構成を示す図である。
蛍光体ホイール73は、金属等の円盤であり、蛍光体ホイール73の板面は、Y方向に対して垂直である。蛍光体ホイール73の-Y方向側の面には、上述した第1蛍光体71及び第2蛍光体72が設けられている。第1蛍光体71及び第2蛍光体72は、それぞれ、蛍光体ホイール73の円周方向について約1/3の範囲にわたって設けられている。蛍光発光部70は、第1光源21から出射され、第1偏光変換部31及び光学部材40を透過した青色光LBが、蛍光体ホイール73の回転に応じて第1蛍光体71又は第2蛍光体72に入射する位置に設けられている。なお、第1蛍光体71及び第2蛍光体72の形成範囲は、必ずしも円周方向について1/3でなくてもよく、赤色及び緑色の画像を投影するフレーム期間の長さ(割合)に応じて変更してもよい。
【0047】
蛍光体ホイール73の回転周期のうち、青色光LBの光路上に第1蛍光体71が位置する期間では、第1蛍光体71への青色光LB(励起光)の入射に基づいて緑色の蛍光である緑色光LGが発生し、青色光LBの進行方向とは逆向きの成分を有する方向に緑色光LGが進行する。蛍光体ホイール73の回転周期のうち、青色光LBの光路上に第2蛍光体72が位置する期間では、第2蛍光体72への青色光LB(励起光)の入射に基づいて赤色の蛍光である赤色光LRが発生し、青色光LBの進行方向とは逆向きの成分を有する方向に緑色光LGが進行する。
【0048】
(レンズ及びMLA)
図1に示すレンズ群91は、光学部材40を透過して蛍光発光部70に向かう青色光LBを集光する。
MLA92は、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51で反射して+X方向に進行する青色光LB、及びダイクロイックミラー60の第2光学面61で反射して+X方向に進行する緑色光LG及び赤色光LRを、表示素子102の形状に応じた矩形状に整形する。
レンズ93は、光学部材40を透過して照射ミラー101に向かう青色光LB、緑色光LG及び赤色光LRを集光する。
【0049】
(光源装置の動作)
次に、光源装置1の動作について、図6図8を参照して説明する。
図6は、赤色光LR、緑色光LG及び青色光LBを出力する各フレーム期間における光源装置1の状態を示す図である。
詳しくは、図6は、赤色光LRを出力するフレーム期間Fr、緑色光LGを出力するフレーム期間Fb、及び青色光LBを出力するフレーム期間Fbの各々における、第1光源21の状態、第1偏光変換部31の状態、及び蛍光体ホイール73への青色光LBの入射位置を示す。図6に示すように、本実施形態では、フレーム期間Fr、Fg、Fbのいずれにおいても、第1光源21は、青色光LBを出射している状態(「ON」)とされる。
図7は、青色光LBを出力するフレーム期間Fbにおける光源装置1の動作を示す図である。
図8は、緑色光LGを出力するフレーム期間Fgにおける光源装置1の動作を示す図である。
図7及び図8では、レンズ群91、MLA92及びレンズ93は省略されている。
また、図7及び図8における符号「s」はs偏光を表し、符号「p」はp偏光を表す。符号「s」及び「p」の近傍の矢印は、直線偏光の電界の振動方向を表す。上述のとおり、本実施形態では、電界の振動方向がXY平面に対して平行な直線偏光がp偏光であり、電界の振動方向がXY平面に対して垂直な直線偏光がs偏光である。
【0050】
図6及び図7に示すように、青色光LBを出力するフレーム期間Fbでは、CPU11による制御下で、第1偏光変換部31の液晶素子に第1の駆動電圧が印加され、第1偏光変換部31がON状態とされる。これにより、図7に示すように、第1光源21から出射されたp偏光の青色光LBは、第1偏光変換部31によりs偏光の青色光LBに変換される。s偏光に変換された青色光LBは、+Y方向に進行して第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51に入射し、+X方向に反射される。s偏光の青色光LBが、第1光学面51よりも前にダイクロイックミラー60の第2光学面61に入射する場合には、第2光学面61を透過した後に第1光学面51に入射して+X方向に反射される。+X方向に進行したs偏光の青色光LBは、光源装置1から出力されて画像投影部2に入射する。
【0051】
図6及び図8に示すように、緑色光LGを出力するフレーム期間Fgでは、CPU11による制御下で、第1偏光変換部31の液晶素子に第2の駆動電圧が印加され、第1偏光変換部31がOFF状態とされる。これにより、図8に示すように、第1光源21から出射されたp偏光の青色光LBは、p偏光のまま第1偏光変換部31を透過する。このp偏光の青色光LBは、+Y方向に進行して、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51、及びダイクロイックミラー60の第2光学面61を透過し、蛍光発光部70の蛍光体ホイール73に入射する。
【0052】
ここで、図6に示すように、フレーム期間Fgにおける蛍光体ホイール73への青色光LBの入射位置は、第1蛍光体71である。言い換えると、蛍光体ホイール73の回転に応じて、蛍光体ホイール73への青色光LBの入射位置が第1蛍光体71となるような期間がフレーム期間Fgとされる。詳しくは、CPU11は、回転駆動部75の回転検出部から出力される信号に基づいて蛍光体ホイール73の回転角度を特定し、当該回転角度が、第1蛍光体71に青色光LBが入射する角度範囲内となるフレーム期間Fgにおいて、第1偏光変換部31をOFF状態とする。これにより、フレーム期間Fgにおいてp偏光の青色光LBが第1蛍光体71に入射する。
【0053】
図8に示すように、第1蛍光体71は、青色光LBの入射に応じて緑色光LGを発する。緑色光LGは、-Y方向成分を有する方向に進行してダイクロイックミラー60の第2光学面61に入射し、+X方向成分を有する方向に反射される。例えば、-Y方向に進行する緑色光LGは、第2光学面61により+X方向に反射される。緑色光LGのうち、第2光学面61よりも前に第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51に入射した光は、第1光学面51を透過した後に第2光学面61に入射して、+X方向成分を有する向きに反射される。+X方向成分を有する向きに進行した緑色光LGは、MLA92及びレンズ93により集光されて光源装置1から出力され、画像投影部2に入射する。
【0054】
一方、第1蛍光体71に入射したp偏光の青色光LBの一部は、第1蛍光体71における蛍光の励起に用いられずに、第1蛍光体71の表面で-Y方向に反射する。以下、この反射光を「青色反射光LBref」と記す。第1蛍光体71における反射時に偏光が乱れるため、青色反射光LBrefは、図8に示すように、p偏光成分及びs偏光成分を含むランダム偏光となる。青色反射光LBrefのうちのp偏光成分は、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51、及びダイクロイックミラー60の第2光学面61を透過して-Y方向に進行する。また、青色反射光LBrefのうちのs偏光成分は、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51で-X方向に反射して、-X方向に進行する。このように、青色反射光LBrefは、いずれの偏光成分も、緑色光LGとは異なる方向に進行するため、緑色光LGと青色光LB(青色反射光LBref)とが混合、混色されて所望の色の光が出力されない問題の発生が抑制される。
【0055】
図6に示すように、赤色光LRを出力するフレーム期間Frにおける光源装置1の状態は、蛍光体ホイール73への青色光LBの入射位置が第2蛍光体72である点を除いて、フレーム期間Fgにおける光源装置1の状態と同様である。したがって、フレーム期間Frにおける光源装置1の状態及び動作は、図8、及び上記のフレーム期間Fgの説明において、「第1蛍光体71」を「第2蛍光体72」に置き替え、「緑色光LG」を「赤色光LR」に置き替えたものに相当する。このため、フレーム期間Frについての詳細な説明は省略する。
【0056】
なお、上記では第1光源21がp偏光を出射する場合を例に挙げて説明したが、第1光源21がs偏光を出射する構成としてもよい。この場合には、青色光LBを出力するフレーム期間Fbにおいて第1偏光変換部31をOFF状態とし、緑色光LGを出力するフレーム期間Fg、及び赤色光LRを出力するフレーム期間Frにおいて第1偏光変換部31をON状態とすればよい。
【0057】
以上のように、第1の実施形態に係る光源装置1は、入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第1光学面51を有する第1偏光ビームスプリッタ50と、第1光源21から出射され、第1光学面51を介して蛍光発光部70に入射した入射光のうち、蛍光発光部70で反射した光と、入射光に応じて蛍光発光部70が発した蛍光とを、それぞれ異なる方向に導く第2光学面61であって、第1光学面51と交差する第2光学面61を有するダイクロイックミラー60と、を備える。
このような構成によれば、青色光LBのうち一方の直線偏光成分(s偏光)を第1光学面51により導いて出力することができ、また、青色光LBの他方の直線偏光成分(p偏光)の入射に応じて蛍光発光部70が発した蛍光を、第2光学面61により導いて出力することができる。よって、互いに異なる色の光を出力することができる。
また、蛍光発光部70が発した蛍光(緑色光LG及び赤色光LR)と、蛍光発光部70で反射した青色光LB(青色反射光LBref)とを、第2光学面61によって異なる方向に導くことができるため、蛍光と、青色光LBの反射光とを分離することができ、蛍光と青色光LBとが混合、混色されて所望の色の光が出力されない問題の発生を抑制することができる。よって、適切な色の光を取り出すことができる。
また、第1光学面51及び第2光学面61が交差するように第1偏光ビームスプリッタ50及びダイクロイックミラー60を設けることで、第1偏光ビームスプリッタ50及びダイクロイックミラー60の配置領域を小さくすることができる。また、第1光学面51及び第2光学面61が交差する構成とすることで、第1光学面51によって導かれて出力される青色光LBの光路と、第2光学面61によって導かれて出力される蛍光の光路とを共通化することができる。よって、青色光LBの専用光路を設ける従来の構成と比較して、出力光の光学系を簡素化することができ、光源装置1の小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0058】
また、第1光学面51は、第1光源21から出射されて第1光学面51に入射する青色の波長帯域の青色光LBのうち、s偏光(第1直線偏光)を+X方向(第1方向)に導き、青色光LBのうちp偏光(第2直線偏光)を、+X方向とは異なる+Y方向(第2方向)に導いて蛍光発光部70に入射させ、第2光学面61は、青色光LBの入射に応じて蛍光発光部70が発した蛍光の少なくとも一部を+X方向に導き、蛍光発光部70で反射した青色光LBを、+X方向とは異なる方向に導く。これによれば、第1光学面51により導かれる青色光LB(s偏光)と、第2光学面61により導かれる蛍光とを同一方向(+X方向)に出力することができる。よって、出力される青色光LB及び蛍光の光路を共通化することができる。また、蛍光発光部70で反射した青色光LBを、第2光学面61によって確実に蛍光から分離して混色を抑制することができる。
【0059】
また、光源装置1は、第1光源21から第1光学面51までの、青色光LBの光路上に設けられた第1偏光変換部31と、CPU11と、を備え、CPU11(第1制御手段)は、第1光学面51に入射する青色光LBが、s偏光及びp偏光の間で切り替わるように第1偏光変換部31を制御する。これによれば、第1偏光変換部31によって青色光LBがs偏光に切り替えられる期間において、第1光学面51を介してs偏光を+X方向に導いて出力することができる。また、第1偏光変換部31によって青色光LBがp偏光に切り替えられる期間において、第1光学面51を介してp偏光を蛍光発光部70に導いて蛍光を発生させ、当該蛍光を第2光学面61により+X方向に導いて出力することができる。
【0060】
また、蛍光発光部70は、青色光LBの入射に応じて、青色の波長帯域とは異なる緑色の波長帯域の緑色光LGを発する第1蛍光体71と、青色光LBの入射に応じて、青色の波長帯域及び緑色の波長帯域とは異なる赤色の波長帯域の赤色光LRを発する第2蛍光体72と、を有し、第2光学面61は、第1蛍光体71が発した緑色光LG、及び第2蛍光体72が発した赤色光LRを+X方向に導く。これにより、青色の第1光源21を用いて、青色光LB、緑色光LG及び赤色光LRの3色の光を出力することができる。よって、異なる色の光をそれぞれ出力する2つ以上の光源を設ける構成と比較して、光源装置1の構成を簡素化することができる。
【0061】
また、蛍光発光部70は、第1蛍光体71及び第2蛍光体72が設けられた蛍光体ホイール73を有し、蛍光体ホイール73の回転に応じて、青色光LBが第1蛍光体71に入射する期間には第1蛍光体71により緑色光LGを発し、青色光LBが第2蛍光体72に入射する期間には第2蛍光体72により赤色光LRを発する。これにより、蛍光体ホイール73の回転に応じて、青色光LBが第1蛍光体71に入射する期間では緑色光LGを取り出して出力することができ、青色光LBが第2蛍光体72に入射する期間では赤色光LRを取り出して出力することができる。また、緑色光LG及び赤色光LRの光路を共通化することができるため、光学系を簡素化することができる。
【0062】
また、第1光源21及び蛍光発光部70は、第1光学面51を通り第1光学面51に平行な第1仮想平面S1を挟んで反対側に位置し、第1光学面51は、青色光LBのうちs偏光を反射させて+X方向に導き、青色光LBのうちp偏光を透過させて+Y方向に導く。これにより、コンパクトな構成の光源装置1を実現することができる。
【0063】
また、第2光学面61は、第1光学面51に対して垂直である。これにより、第1光学面51により導かれる青色光LB(s偏光)と、第2光学面61により導かれる蛍光とを同一方向(+X方向)に出力することができる。
【0064】
また、本実施形態に係るプロジェクタ100(投影装置)は、上記の光源装置1と、光源装置1から出力された光を利用して画像を投影する画像投影部2と、を備える。これにより、光源装置1から出力される適切な色の光を用いて、高品位なカラー画像を投影することができる。また、小型化や低コストが可能な光源装置1を用いることで、プロジェクタ100の設計自由度を向上させることができるとともに、プロジェクタ100の小型化及び低コスト化を実現することができる。
【0065】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態について説明する。第2の実施形態は、赤色光LRが第2光源22から出射される点、及び蛍光発光部70の構成等が第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態と異なる点について説明し、第1の実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0066】
図9は、第2の実施形態に係る光源装置1を有するプロジェクタ100の構成を示す模式図である。
第2の実施形態では、蛍光発光部70は、第2蛍光体72、蛍光体ホイール73及び回転駆動部75を有しておらず、位置が固定された第1蛍光体71を有する。第1蛍光体71は、第1偏光変換部31及び光学部材40を透過して+Y方向に進行する青色光LBが入射する位置に設けられている。第1蛍光体71のうち青色光LBが入射する面は、Y方向に垂直である。第1蛍光体71は、位置が固定された、図示しない支持部材の表面に設けられていてもよい。
【0067】
第2の実施形態に係る光源装置1は、赤色の波長帯域の赤色光LR(第4の光)を出射する第2光源22を備える。第2光源22は、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51、及びダイクロイックミラー60の第2光学面61に対して、+X方向に進行する赤色光LRを入射させることが可能な位置(例えば、光学部材40の-X方向側の位置)に設けられている。第2光源22の発光動作は、CPU11により制御される。よって、第2の実施形態では、CPU11は、第1光源21及び第2光源22の発光動作(発光タイミング等)を制御する発光制御手段として機能する。第2光源22から第1光学面51及び第2光学面61までの光路上には、第2光源22が出射した赤色光LRを集光するレンズ群94が設けられている。第2光源22は、例えば、赤色光LRを出射するLED(Light Emitting Diode)(発光部)を備える構成とすることができるが、これに限られない。
【0068】
第2の実施形態に係るダイクロイックミラー60の第2光学面61は、緑色光LGを反射させ、青色光LB及び赤色光LRを透過させる。
図10は、第2の実施形態に係るダイクロイックミラー60の第2光学面61の透過特性を示す図である。
図10のグラフから、第2光学面61は、可視光の波長帯域のうち緑色の波長帯域(0.55μm付近)において、入射光をほとんど透過させずに反射し、より短波長側の青色の波長帯域、及びより長波長側の赤色の波長帯域において、高い透過率(0.9以上)を示すことが分かる。
【0069】
このような透過特性を有する第2光学面61は、図9に示す第1蛍光体71が発する緑色光LGを反射する。詳しくは、第2光学面61は、-Y方向成分を有する方向に進行する緑色光LGを、+X方向成分を有する方向に反射させる。また、第2光学面61は、第1光源21が出射して-Y方向に進行する青色光LBを透過させ、-Y方向に導いて第1蛍光体71に入射させる。また、第2光学面61は、第2光源22が出射して+X方向に進行する赤色光LRを透過させる(+X方向に導く)。
【0070】
第1光源21、第2光源22、及び第1蛍光体71(蛍光発光部70)は、第1光学面51を通り当該第1光学面51に平行な第1仮想平面S1、及び第2光学面61を通り当該第2光学面61に平行な第2仮想平面S2によって区分される4つの空間のうち、互いに異なる空間に設けられている。
【0071】
図11は、第2の実施形態に係る光源装置1の、赤色光LR、緑色光LG及び青色光LBを出力する各フレーム期間における状態を示す図である。
【0072】
青色光LBを出力するフレーム期間Fbでは、CPU11による制御下で、第2光源22による赤色光LRの出射が停止される(「OFF」)。この点を除き、フレーム期間Fbにおける光源装置1の状態及び動作は、第1の実施形態と同様である。
【0073】
緑色光LGを出力するフレーム期間Fgでは、CPU11による制御下で、第1光源21から青色光LBが出射され(「ON」)、第1光源21による赤色光LRの出射が停止され(「OFF」)、第1偏光変換部31がOFF状態とされる。これにより、第1光源21から出射されたp偏光の青色光LBは、p偏光のまま第1偏光変換部31を+Y方向に透過して第1蛍光体71に入射する。第1蛍光体71は、青色光LBの入射に応じて緑色光LGを発する。緑色光LGは、-Y方向成分を有する方向に進行してダイクロイックミラー60の第2光学面61に入射し、+X方向成分を有する方向に反射され、光源装置1から出力されて画像投影部2に入射する。
【0074】
赤色光LRを出力するフレーム期間Frでは、図11に示すように、CPU11による制御下で、第1光源21による青色光LBの出射が停止され(「OFF」)、第2光源22から赤色光LRが出射される(「ON」)。図11における第1偏光変換部31の状態の「-」は、ON状態及びOFF状態のいずれであってもよいことを表す。ただし、電力消費を抑制する観点では、ON状態及びOFF状態のうち、液晶素子への駆動電圧が小さくなる状態とすることが好ましい。
フレーム期間Frにおいて第2光源22から+X方向に出射された赤色光LRは、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51、及びダイクロイックミラー60の第2光学面61を透過し、光源装置1から出力されて画像投影部2に入射する。
【0075】
以上のように、第2の実施形態では、蛍光発光部70の第1蛍光体71は、青色光LBの入射に応じて、青色の波長帯域とは異なる緑色の波長帯域の緑色光LGを発し、光源装置1は、青色の波長帯域及び緑色の波長帯域とは異なる赤色の波長帯域の赤色光LRを出射する第2光源22をさらに備え、第2光学面61は、蛍光発光部70が発した緑色光LG、及び第2光源22が出射した赤色光LRを+X方向に導く。これによれば、赤色光LRについては、蛍光を用いず、第2光源22により出射された光をそのまま用いることができるため、第2光源22の特性を調整すること等によって、より所望の色彩に近い赤色光LRを出力することができる。また、回転する蛍光体ホイール73を用いないため、蛍光体ホイール73の回転によって生じる動作音、振動、及び塵などを抑制することができる。また、動作する部品が低減されるため、光源装置1の構成を簡素化することができ、外部からの衝撃に対する耐性を向上させることができる。
【0076】
また、第1光源21、第2光源22、及び蛍光発光部70は、第1光学面51を通り第1光学面51に平行な第1仮想平面S1、及び第2光学面61を通り第2光学面61に平行な第2仮想平面S2によって区分される4つの空間のうち、互いに異なる空間に設けられている。これにより、コンパクトな構成の光源装置1を実現することができる。
【0077】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態について説明する。第3の実施形態は、蛍光発光部70の構成、及び緑色光LG、赤色光LRの光路等が第1の実施形態と異なる。以下では、第1の実施形態と異なる点について説明し、第1の実施形態と共通する点については説明を省略する。
【0078】
図12は、第3の実施形態に係る光源装置1を有するプロジェクタ100の構成を示す模式図である。
第2の実施形態では、蛍光発光部70は、蛍光体ホイール73及び回転駆動部75を有しておらず、互いに異なる位置に固定された第1蛍光体71及び第2蛍光体72を有する。
このうち第1蛍光体71は、第1偏光変換部31及び光学部材40を透過して+Y方向に進行する青色光LBが入射する位置に設けられている。第1蛍光体71のうち青色光LBが入射する面は、Y方向に垂直である。第1蛍光体71は、位置が固定された、図示しない支持部材の表面に設けられていてもよい。
【0079】
また、第1光学面51から第1蛍光体71までの、p偏光の青色光LBの光路上には、入射した青色光LBを互いに異なる偏光方向の光束に分離する第3光学面81を有する第2偏光ビームスプリッタ80が設けられている。第2偏光ビームスプリッタ80は、透明な基板の一方の面(第3光学面81)に、偏光ビームスプリッタとして機能する図示しない第3光学薄膜を蒸着等により形成したものである。ただし、これに限られず、第1偏光ビームスプリッタ50と同様に、プリズムの1つの面に第3光学薄膜を形成したものを用いてもよい。第3光学面81は、Z方向に平行であり、かつ、XY平面に平行な断面が、X軸に対して+135°(-45°)の角度をなす。すなわち、第3光学面81は、第2光学面61と平行である。第2偏光ビームスプリッタ80の第3光学面81は、p偏光の青色光LBを透過させ、s偏光の青色光LBを反射させる。
【0080】
また、第3光学面81は、緑色光LG及び赤色光LRの波長域においては、反射率(透過率)が波長依存性を有するミラー(ダイクロイックミラー)として機能する。詳しくは、第3光学面81は、緑色の波長帯域の緑色光LGを透過させ、赤色の波長帯域の赤色光LRを反射させる。
【0081】
第1光学面51から第3光学面81までの、p偏光の青色光LBの光路上には、第2偏光変換部32(第2偏光変換手段)が設けられている。第2偏光変換部32は、第1偏光変換部31と同一の構成のものを用いてもよい。本実施形態の第2偏光変換部32は、第1偏光変換部31と同様、液晶素子である。第2偏光変換部32は、第3光学面81に入射する青色光LBを、p偏光及びs偏光の間で切り替える。第2偏光変換部32による偏光の切り替えは、CPU11により制御される。よって、本実施形態のCPU11は、第1偏光変換部31を制御する第1制御手段、及び第2偏光変換部32を制御する第2制御手段として機能する。
【0082】
第3光学面81は、第2偏光変換部32を透過して+Y方向に進行するp偏光を透過させて、第1蛍光体71に導く。また、第3光学面81は、第2偏光変換部32を透過して+Y方向に進行するs偏光を、-X方向に反射させて、第2蛍光体72に導く。すなわち、第2蛍光体72は、第3光学面81において-X方向に反射したs偏光の光路上に設けられている。第2蛍光体72のうち青色光LBが入射する面は、X方向に垂直である。第2蛍光体72は、位置が固定された、図示しない支持部材の表面に設けられていてもよい。第2偏光ビームスプリッタ80と第1蛍光体71との間には、第1蛍光体71に向かう青色光LBを集光するレンズ群91が設けられている。また、第2偏光ビームスプリッタ80と第2蛍光体72との間には、第2蛍光体72に向かう青色光LBを集光するレンズ群95が設けられている。
【0083】
図13は、第3の実施形態に係る光源装置1の、赤色光LR、緑色光LG及び青色光LBを出力する各フレーム期間における状態を示す図である。
本実施形態では、フレーム期間Fr、Fg、Fbのいずれにおいても、第1光源21は青色光LBを出射している状態(「ON」)とされる。
図14は、緑色光LGを出力するフレーム期間Fgにおける光源装置1の動作を示す図である。
図15は、赤色光LRを出力するフレーム期間Frにおける光源装置1の動作を示す図である。
図14及び図15では、レンズ群91、95、MLA92及びレンズ93は省略されている。
【0084】
図13に示すように、青色光LBを出力するフレーム期間Fbでは、CPU11による制御下で、第1偏光変換部31がON状態とされる。また、第2偏光変換部32は、ON状態及びOFF状態のいずれであってもよいが、電力消費を抑制する観点では、ON状態及びOFF状態のうち、液晶素子への駆動電圧が小さくなる状態とすることが好ましい。フレーム期間Fbにおける青色光LBの光路は、第1の実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0085】
図13に示すように、緑色光LGを出力するフレーム期間Fgでは、CPU11による制御下で、第1偏光変換部31及び第2偏光変換部32がいずれもOFF状態とされる。これにより、図14に示すように、第1光源21から出射されて+Y方向に進行するp偏光の青色光LBは、第1偏光変換部31、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51、ダイクロイックミラー60の第2光学面61、及び第2偏光変換部32を透過し、p偏光のまま第2偏光ビームスプリッタ80の第3光学面81に入射する。第3光学面81は、入射したp偏光の青色光LBを透過させて第1蛍光体71に導く。第1蛍光体71は、青色光LBの入射に応じて緑色光LGを発する。この緑色光LGは、-Y方向成分を有する方向に進行し、第2偏光ビームスプリッタ80の第3光学面81及び第2偏光変換部32を透過してダイクロイックミラー60の第2光学面61に入射し、+X方向成分を有する方向に反射される。この緑色光LGは、光源装置1から出力されて画像投影部2に入射する。
【0086】
図13に示すように、赤色光LRを出力するフレーム期間Frでは、CPU11による制御下で、第1偏光変換部31がOFF状態とされ、第2偏光変換部32がON状態とされる。これにより、図15に示すように、第1光源21から出射されて+Y方向に進行するp偏光の青色光LBは、第1偏光変換部31、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51、ダイクロイックミラー60の第2光学面61を透過し、第2偏光変換部32においてs偏光に変換される。このs偏光の青色光LBは、第2偏光ビームスプリッタ80の第3光学面81において-X方向に反射され、第2蛍光体72に入射する。第2蛍光体72は、青色光LBの入射に応じて赤色光LRを発する。この赤色光LRは、+X方向成分を有する方向に進行し、第2偏光ビームスプリッタ80の第3光学面81で-Y方向成分を有する方向に反射され、第2偏光変換部32を透過してダイクロイックミラー60の第2光学面61に入射し、+X方向成分を有する方向に再度反射される。この赤色光LRは、光源装置1から出力されて画像投影部2に入射する。
【0087】
以上のように、第3の実施形態に係る光源装置1は、第1光学面51により導かれたp偏光の光路上に設けられ、入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第3光学面81を有する第2偏光ビームスプリッタ80と、第1光学面51から第3光学面81までの、p偏光の光路上に設けられた第2偏光変換部32と、を備え、CPU11(第2制御手段)は、第3光学面81に入射する青色光LBが、s偏光及びp偏光の間で切り替わるように第2偏光変換部32を制御し、第3光学面81は、第2偏光変換部32から入射したp偏光を第1蛍光体71に導き、第2偏光変換部32から入射したs偏光を第2蛍光体72に導く。これにより、回転する蛍光体ホイール73を用いずに2色の蛍光(緑色光LG及び赤色光LR)を取り出して出力することができる。よって、蛍光体ホイール73の回転によって生じる動作音、振動、及び塵などを抑制することができる。また、動作する部品が低減されるため、光源装置1の構成を簡素化することができ、外部からの衝撃に対する耐性を向上させることができる。
【0088】
[変形例]
次に、上記の実施形態の変形例1~3について説明する。変形例1~3のうちの任意の2つ、又は全てを組み合わせてもよい。
【0089】
(変形例1)
図16は、変形例1に係る光源装置1の構成及び動作を示す図である。
図16に示す光源装置1は、第1の実施形態に係る光源装置1にミラー96を追加した構成を有し、その他の点は第1の実施形態の構成と同様である。ミラー96は、蛍光発光部70で反射した青色光LB(青色反射光LBref)のうち、第1光学面51により-X方向に反射された一部(青色反射光LBrefのうちs偏光成分)が入射する位置に設けられている。ミラー96は、入射した青色反射光LBrefの当該ミラー96による反射光が、第1光学面51で再度反射して蛍光発光部70(フレーム期間Fgでは第1蛍光体71、フレーム期間Frでは第2蛍光体72)に再入射する向きに設けられている。図16に示す例では、ミラー96の光反射面は、X方向に垂直である。
なお、変形例1は、第2の実施形態又は第3の実施形態と組み合わせてもよい。
【0090】
変形例1の構成によれば、蛍光発光部70で反射した青色光LBの一部を再び蛍光発光部70に入射させて、蛍光の励起に用いることができる。よって、蛍光の発生効率を高めることができる。
【0091】
(変形例2)
変形例2に係る光源装置1は、第1光源21、光学部材40及び蛍光発光部70の位置関係が第1の実施形態と異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。
【0092】
図17は、変形例2に係る光源装置1の構成、及び青色光LBを出力するフレーム期間Fbにおける動作を示す図である。
図18は、変形例2に係る光源装置1の構成、及び緑色光LGを出力するフレーム期間Fgにおける動作を示す図である。
図17及び図18に示すように、変形例2に係る光源装置1は、第1光源21が、光学部材40の-X方向側の位置に設けられている。また、第1光源21は、s偏光の青色光LBを+X方向に出射する。また、第1光源21及び蛍光発光部70が、第1光学面51を通り当該第1光学面51に平行な第1仮想平面S1に対して同じ側に位置する。
【0093】
図17に示すように、青色光LBを出力するフレーム期間Fbでは、CPU11による制御下で、第1偏光変換部31がON状態とされる。第1光源21から出射されたs偏光の青色光LBは、第1偏光変換部31によりp偏光に変換される。このp偏光は、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51、及びダイクロイックミラー60の第2光学面61を透過して+X方向に進行し、光源装置1から出力されて画像投影部2に入射する。
【0094】
図18に示すように、緑色光LGを出力するフレーム期間Fgでは、CPU11による制御下で、第1偏光変換部31がOFF状態とされる。これにより、第1光源21から出射されたs偏光の青色光LBは、s偏光のまま第1偏光変換部31を透過する。このs偏光の青色光LBは、第1偏光ビームスプリッタ50の第1光学面51で+Y方向に反射し、蛍光発光部70の第1蛍光体71に入射する。青色光LBの入射に応じて第1蛍光体71が発する緑色光LGの光路は、第1の実施形態の図8と同一である。また、第1蛍光体71で反射した青色光LB(青色反射光LBref)の光路も、第1の実施形態の図8と同一である。よって、本変形例においても、青色反射光LBrefは、緑色光LGとは異なる方向に進行するため、緑色光LGと青色光LB(青色反射光LBref)とが混合、混色されて所望の色の光が出力されない問題の発生が抑制される。
【0095】
赤色光LRを出力するフレーム期間Frにおける光源装置1の状態及び動作は、蛍光体ホイール73への青色光LBの入射位置が第2蛍光体72である点を除いて、フレーム期間Fgにおける光源装置1の状態及び動作と同様である。
【0096】
本変形例では、第1光学面51を介して蛍光発光部70に導かれる直線偏光のうち、蛍光発光部70を反射した直後の直線偏光はs偏光である。よって、本変形例では、s偏光が「第2直線偏光」に相当し、p偏光が「第1直線偏光」に相当する。
【0097】
なお、上記では、第1光源21がs偏光を出射する場合を例に挙げて説明したが、第1光源21がp偏光を出射する構成としてもよい。この場合には、青色光LBを出力するフレーム期間Fbにおいて第1偏光変換部31をOFF状態とし、緑色光LGを出力するフレーム期間Fg、及び赤色光LRを出力するフレーム期間Frにおいて第1偏光変換部31をON状態とすればよい。
【0098】
変形例2は、第2の実施形態又は第3の実施形態と組み合わせてもよい。第2の実施形態と組み合わせる場合には、例えば、第1光学面51に赤色光LRを反射させる機能を持たせ、第1光学面51の-Y方向側に第2光源22を配置する構成としてもよい。これにより、第2光源22から出射されて+Y方向に進行する赤色光LRを、+X方向に反射させて出力することができる。
【0099】
以上のように、変形例2における第1光源21及び蛍光発光部70は、第1光学面51を通り第1光学面51に平行な第1仮想平面S1に対して同じ側に位置し、第1光学面51は、青色光LBのうちp偏光(第1直線偏光)を透過させて+X方向に導き、青色光LBのうちs偏光(第2直線偏光)を反射させて+Y方向に導く。これにより、コンパクトな構成の光源装置1を実現することができる。
【0100】
(変形例3)
図19は、変形例3に係る光源装置1の構成及び動作を示す図である。
図19に示す光源装置1は、第1偏光ビームスプリッタ50及びダイクロイックミラー60がプレート状である点で第1の実施形態と異なり、その他の点は第1の実施形態と同様である。プレート状の第1偏光ビームスプリッタ50は、透明な基板の一方の面(第1光学面51)に、偏光ビームスプリッタとして機能する第1光学薄膜を蒸着等により形成したものである。また、プレート状のダイクロイックミラー60は、透明な基板の一方の面(第2光学面61)に、反射率(透過率)が波長依存性を有するミラーとして機能する第2光学薄膜を蒸着等により形成したものである。このようなプレート状の第1偏光ビームスプリッタ50及びダイクロイックミラー60を、第1光学面51及び第2光学面61が互いに垂直に交差する位置関係で配置することで、上記実施形態の光学部材40と同様の作用を奏する光学部材が得られる。
なお、変形例1は、第2の実施形態又は第3の実施形態と組み合わせてもよい。
【0101】
(変形例4)
上述の第1の実施形態~第3の実施形態、及び変形例1~変形例3では、第1光源21から出射された直線偏光の偏光方向を第1偏光変換部31によって切り替えることで、第1光学面51に入射する青色光LBをp偏光及びs偏光の間で切り替えた。この構成に代えて、本変形例では、第1偏光変換部31を省略し、第1光源21が、s偏光及びp偏光を、第1光学面51への入射期間が相補的となるように出射する構成とする。詳しくは、第1光源21は、p偏光を出射するp偏光副光源、及びs偏光を出射するs偏光副光源を有し、s偏光副光源からのs偏光、及びp偏光副光源からのp偏光を、第1光学面51への入射期間が相補的となるように第1光学面51に入射させる。これにより、第1偏光変換部31を用いずに、第1光学面51に入射する青色光LBの偏光方向を切り替えることができる。
【0102】
p偏光副光源は、第1の実施形態の第1光源21と同一の構成とすることができる。s偏光副光源は、例えば、p偏光副光源を出射光の光軸の回りで90°回転させた構成とすることができる。
第1光源21は、s偏光副光源及びp偏光副光源から出射された青色光LBを共通の光路に導く光学系を有する。当該光学系の構成は、特には限られないが、例えば、s偏光副光源から出射されたs偏光を反射させて第1光学面51に導き、かつ、p偏光副光源から出射されたp偏光を透過させて第1光学面51に導く偏光ビームスプリッタを有する構成とすることができる。
【0103】
第1光源21が、p偏光副光源からのp偏光、及びs偏光副光源からのs偏光を、第1光学面51への入射期間が相補的となるように第1光学面51に入射させる方法としては、p偏光副光源の発光期間においてs偏光副光源の発光を停止させ、s偏光副光源の発光期間においてp偏光副光源の発光を停止させる方法を用いることができる。あるいは、p偏光副光源及びs偏光副光源をともに発光させ、ある期間においてp偏光副光源からのp偏光のみを遮光し、上記のある期間を除いた期間においてs偏光副光源からのs偏光のみを遮光してもよい。
【0104】
[その他]
なお、上記実施形態における記述は、本発明に係る光源装置及び投影装置の一例であり、これに限定されるものではない。
例えば、光源装置1は、プロジェクタ100(投影装置)以外の機器に組み込まれて用いられてもよい。
【0105】
また、光源装置1が出力する光の色は、青、緑及び赤に限られない。また、光源装置1が出力する光の色の数は、3色に限られず、2色又は4色以上であってもよい。すなわち、光源装置1は、互いに異なる少なくとも2色の光を出力するものであってもよい。
【0106】
また、第1光源21が直線偏光を出力する構成を例示したが、これに限られず、光源が出射した光を、偏光板等の偏光選択手段に通して直線偏光を取り出してもよい。
【0107】
また、光源装置1は、第1光源21及び/又は第2光源22から出射された光を第1光学面51に導く図示しない光学系をさらに備えていてもよい。例えば、第1光源21及び/又は第2光源22から出射された光がミラー等により1回以上反射した後に第1光学面51に入射する構成としてもよい。また、例えば、青色光LBが、プロジェクタ100の外部に設けられた第1光源21から光ファイバーにより導かれて第1光学面51に入射する構成としてもよい。
【0108】
また、上記実施形態における光源装置1及びプロジェクタ100の各構成要素の細部構成及び細部動作に関しては、本発明の趣旨を逸脱することのない範囲で適宜変更可能であることは勿論である。
【0109】
本発明の実施の形態を説明したが、本発明の範囲は、上述の実施の形態に限定するものではなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲とその均等の範囲を含む。
以下に、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲に記載した発明を付記する。付記に記載した請求項の項番は、この出願の願書に最初に添付した特許請求の範囲の通りである。
〔付記〕
<請求項1>
入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第1光学面を有する第1偏光ビームスプリッタと、
第1光源から出射され、前記第1光学面を介して蛍光発光手段に入射した入射光のうち、前記蛍光発光手段で反射した光と、前記入射光に応じて前記蛍光発光手段が発した蛍光とを、それぞれ異なる方向に導く第2光学面であって、前記第1光学面と交差する第2光学面を有するダイクロイックミラーと、
を備えることを特徴とする光源装置。
<請求項2>
前記第1光学面は、前記第1光源から出射されて前記第1光学面に入射する第1波長帯域の第1の光のうち、第1直線偏光を第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第1直線偏光に対して偏光方向が直交する第2直線偏光を、前記第1方向とは異なる第2方向に導いて前記蛍光発光手段に入射させ、
前記第2光学面は、前記第1の光の入射に応じて前記蛍光発光手段が発した前記蛍光の少なくとも一部を前記第1方向に導き、前記蛍光発光手段で反射した前記第1の光を、前記第1方向とは異なる方向に導く
ことを特徴とする請求項1に記載の光源装置。
<請求項3>
前記第1光源から前記第1光学面までの、前記第1の光の光路上に設けられた第1偏光変換手段と、
前記第1光学面に入射する前記第1の光が、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の間で切り替わるように前記第1偏光変換手段を制御する第1制御手段と、
を備えることを特徴とする請求項2に記載の光源装置。
<請求項4>
前記蛍光発光手段は、
前記第1の光の入射に応じて、前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の第2の光を発する第1蛍光体と、
前記第1の光の入射に応じて、前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域とは異なる第3波長帯域の第3の光を発する第2蛍光体と、
を有し、
前記第2光学面は、前記第1蛍光体が発した前記第2の光、及び前記第2蛍光体が発した前記第3の光を前記第1方向に導く
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の光源装置。
<請求項5>
前記蛍光発光手段は、
前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体が設けられた回転体を有し、
前記回転体の回転に応じて、前記第1の光が前記第1蛍光体に入射する期間には前記第1蛍光体により前記第2の光を発し、前記第1の光が前記第2蛍光体に入射する期間には前記第2蛍光体により前記第3の光を発する
ことを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
<請求項6>
前記第1光学面により導かれた前記第2直線偏光の光路上に設けられ、入射した光を互いに異なる偏光方向の光束に分離する第3光学面を有する第2偏光ビームスプリッタと、
前記第1光学面から前記第3光学面までの、前記第2直線偏光の光路上に設けられた第2偏光変換手段と、
前記第3光学面に入射する光が、前記第1直線偏光及び前記第2直線偏光の間で切り替わるように前記第2偏光変換手段を制御する第2制御手段と、
を備え、
前記第3光学面は、前記第2偏光変換手段から入射した前記第2直線偏光を、前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体のうちの一方に導き、前記第2偏光変換手段から入射した前記第1直線偏光を、前記第1蛍光体及び前記第2蛍光体のうちの他方に導く
ことを特徴とする請求項4に記載の光源装置。
<請求項7>
前記第1光源及び前記蛍光発光手段は、前記第1光学面を通り前記第1光学面に平行な第1仮想平面を挟んで反対側に位置し、
前記第1光学面は、前記第1の光のうち前記第1直線偏光を反射させて第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第2直線偏光を透過させて前記第2方向に導く
ことを特徴とする請求項2~6のいずれか一項に記載の光源装置。
<請求項8>
前記第1光源及び前記蛍光発光手段は、前記第1光学面を通り前記第1光学面に平行な第1仮想平面に対して同じ側に位置し、
前記第1光学面は、前記第1の光のうち前記第1直線偏光を透過させて第1方向に導き、前記第1の光のうち前記第2直線偏光を反射させて前記第2方向に導く
ことを特徴とする請求項2~6のいずれか一項に記載の光源装置。
<請求項9>
前記蛍光発光手段は、前記第1の光の入射に応じて、前記第1波長帯域とは異なる第2波長帯域の第2の光を発し、
前記第1波長帯域及び前記第2波長帯域とは異なる第3波長帯域の第4の光を出射する第2光源をさらに備え、
前記第2光学面は、前記蛍光発光手段が発した前記第2の光、及び前記第2光源が出射した前記第4の光を前記第1方向に導く
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の光源装置。
<請求項10>
前記第1光源、前記第2光源、及び前記蛍光発光手段は、前記第1光学面を通り前記第1光学面に平行な第1仮想平面、及び前記第2光学面を通り前記第2光学面に平行な第2仮想平面によって区分される4つの空間のうち、互いに異なる空間に設けられていることを特徴とする請求項9に記載の光源装置。
<請求項11>
前記蛍光発光手段で反射した前記第1の光のうち、前記第1光学面を介して導かれた一部が入射するミラーを備え、
前記ミラーは、入射した前記第1の光の当該ミラーによる反射光が、前記第1光学面を介して前記蛍光発光手段に再入射する向きに設けられている
ことを特徴とする請求項2~10のいずれか一項に記載の光源装置。
<請求項12>
前記第2光学面は、前記第1光学面に対して垂直であることを特徴とする請求項2~11のいずれか一項に記載の光源装置。
<請求項13>
請求項1~12のいずれか一項に記載の光源装置と、
前記光源装置から出力された光を利用して画像を投影する画像投影部と、
を備えることを特徴とする投影装置。
【符号の説明】
【0110】
1 光源装置
2 画像投影部
11 CPU(第1制御手段、第2制御手段)
12 RAM
13 記憶部
131 プログラム
21 第1光源
22 第2光源
31 第1偏光変換部(第1偏光変換手段)
32 第2偏光変換部(第2偏光変換手段)
40 光学部材
50 第1偏光ビームスプリッタ
51 第1光学面
60 ダイクロイックミラー
61 第2光学面
70 蛍光発光部(蛍光発光手段)
71 第1蛍光体
72 第2蛍光体
73 蛍光体ホイール(回転体)
74 回転軸
75 回転駆動部
80 第2偏光ビームスプリッタ
81 第3光学面
91、94、95 レンズ群
92 MLA
93 レンズ
96 ミラー
100 プロジェクタ(投影装置)
101 照射ミラー
102 表示素子
103 投影レンズ群
104 レンズ駆動部
105 操作受付部
106 通信部
107 バス
Fr、Fg、Fb フレーム期間
LB 青色光(第1の光)
LBref 青色反射光
LG 緑色光(蛍光、第2の光)
LR 赤色光(蛍光、第3の光、第4の光)
P1~P4 プリズム
S1 第1仮想平面
S2 第2仮想平面
図1
図2
図3
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図5
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