(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】情報処理システム
(51)【国際特許分類】
G01N 33/483 20060101AFI20241016BHJP
E03D 9/00 20060101ALI20241016BHJP
A47K 13/24 20060101ALI20241016BHJP
【FI】
G01N33/483 C
E03D9/00 Z
A47K13/24
(21)【出願番号】P 2022164229
(22)【出願日】2022-10-12
(62)【分割の表示】P 2021048113の分割
【原出願日】2021-03-23
【審査請求日】2024-03-18
(73)【特許権者】
【識別番号】000010087
【氏名又は名称】TOTO株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高木 健
(72)【発明者】
【氏名】戸崎 正道
(72)【発明者】
【氏名】木塚 里子
(72)【発明者】
【氏名】酒井 雄太
(72)【発明者】
【氏名】藤野 翔太
(72)【発明者】
【氏名】樋口 仁郎
【審査官】白形 優依
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-146244(JP,A)
【文献】特開2017-137708(JP,A)
【文献】特開2021-038636(JP,A)
【文献】特開平09-138187(JP,A)
【文献】特開2019-184478(JP,A)
【文献】特表2020-516422(JP,A)
【文献】韓国登録特許第10-1368144(KR,B1)
【文献】米国特許出願公開第2020/0268303(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 33/48 - 33/98
G01N 21/00 - 21/958
A47K 13/00 - 13/30
E03D 9/00 - 9/16
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
落下中の便を検知するため
のセンサを有する検知部と、
前記検知部で時系列に取得した情報に基づく便画像を取得する便画像取得部と、
前記便画像から便の量を判定する判定部と、を有する情報処理システムであって、
前記判定部は、
前記便画像における便の落下方向の長さと
前記便画像の落下方向に交差する方向の便の幅とにより算出される面積と、便の性状
とに基づいて、便の量を判定する
ことを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
落下中の便を検知するためのセンサを有する検知部と、
前記検知部で時系列に取得した情報に基づく便画像を取得する便画像取得部と、
前記便画像から便の量を判定する判定部と、を有する情報処理システムであって、
前記判定部は、
前記便画像における便の落下方向の長さと、便の性状に基づいて、便の量を判定し、前記便の性状の各々に対応付けられた前記便画像の落下方向の長さの閾値に基づいて、補正することにより、前記便の量を判定する
ことを特徴とす
る情報処理システム。
【請求項3】
落下中の便を検知するためのセンサを有する検知部と、
前記検知部で時系列に取得した情報に基づく便画像を取得する便画像取得部と、
前記便画像から便の量を判定する判定部と、を有する情報処理システムであって、
前記判定部は、
前記便画像における便の落下方向の長さと、硬さに基づく2種類以上の性状のいずれかであ
る便の性状に基づいて
、便の量を判定する
ことを特徴とす
る情報処理システム。
【請求項4】
前記判定部は、
前記長さが所定長以上である場合、前記長さを補正し、補正後の前記長さにより、前記便の量を判定する
ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項5】
前記判定部は、
1回の排泄行為において複数回の排便があり、便の性状が複数存在する場合、性状ごとに分割して量を導出し、導出した量の合計値を用いて、前記便の量を判定する
ことを特徴とする請求項1~
4のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【請求項6】
前記判定部は、
1回の排泄行為における複数の便の落下方向の長さの合計である合計長が所定長以上である場合、前記合計長を補正し、補正後の前記合計長により、前記便の量を判定する
ことを特徴とする請求項1~
5のいずれか1項に記載の情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
開示の実施形態は、情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、落下中の大便(以下「便」ともいう)の画像を用いて便(排泄物)の性状や体積を判定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。また、複数のカメラを備え、異なる方向から撮影することで便の形状を立体的に捉えることが可能な便座装置の発明が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-146244号公報
【文献】特開2017-137708号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、取得した落下の便が含まれる画像(以下「便画像」ともいう)には、落下する便の落下速度や便の性状による影響が含まれている。そのため、上述の従来技術では、落下する便の落下速度や便の性状の影響により便の量を適切に判定することが難しく、便画像を用いた便の量の判定精度には向上の余地がある。
【0005】
開示の実施形態は、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させる情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の一態様に係る情報処理システムは、排泄物を受けるボウル部が形成された便器に設置され、落下中の便を検知するために複数の素子が直線状に配置されたセンサを有する検知部と、前記検知部で時系列に取得した情報に基づく便画像を取得する便画像取得部と、前記便画像から便の量を判定する判定部と、を有する情報処理システムであって、前記判定部は、前記便画像における便の落下方向の長さと、便の性状に基づいて、便の量を判定することを特徴とする。
【0007】
画像(便画像)に含まれる便の長さ(「便画像の長さ」ともいう)は同じであっても便の性状(「便性状」ともいう)により実際の便の量(「排便量」ともいう)は異なる。そこで、実施形態の一態様に係る情報処理装置によれば、便画像における便の落下方向の長さに加えて、便の性状を用いて便の量を判定することで、便性状の影響を加味して便の量を判定する。したがって、情報処理装置は、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させることができる。
【0008】
実施形態の一態様に係る情報処理システムにおいて、前記判定部は、前記便画像の落下方向に交差する方向の便の幅と前記長さとにより算出される面積と、前記便の性状に基づいて、前記便の量を判定する。
【0009】
画像(便画像)に含まれる便の面積(「便画像の面積」ともいう)は同じであっても便性状により実際の排便量は異なる。そこで、実施形態の一態様に係る情報処理装置によれば、便画像における便の落下方向の長さと幅(横幅)とに基づく面積に加えて、便の性状を用いて便の量を判定することで、便性状の影響を加味して便の量を判定する。したがって、情報処理装置は、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させることができる。
【0010】
実施形態の一態様に係る情報処理システムにおいて、前記判定部は、前記便の性状の各々に対応付けられた前記便画像の落下方向の長さの閾値に基づいて、補正することにより、前記便の量を判定する。
【0011】
便の性状によって便画像の長さは異なる。そこで、実施形態の一態様に係る情報処理装置によれば、便の性状の各々に対応付けられた便画像の落下方向の長さの閾値に基づいて補正して便の量を判定することより、便性状の影響を加味して便の量を判定する。したがって、情報処理システムは、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させることができる。
【0012】
実施形態の一態様に係る情報処理システムにおいて、前記判定部は、硬さに基づく2種類以上の性状のいずれかである前記便の性状に基づいて、前記便の量を判定する。
【0013】
実施形態の一態様に係る情報処理システムによれば、硬さに基づく2種類以上の性状のいずれかである便の性状を加味して、便の量を判定することで、便性状の影響を加味して便の量を判定する。したがって、情報処理システムは、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させることができる。
【0014】
実施形態の一態様に係る情報処理システムにおいて、前記判定部は、前記長さが所定長以上である場合、前記長さを補正し、補正後の前記長さにより、前記便の量を判定する。
【0015】
実施形態の一態様に係る情報処理システムによれば、長さが所定長以上である場合、長さを補正して便の量を判定することにより、便の長さを適切に補正して便の量を判定することができる。したがって、情報処理システムは、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させることができる。
【0016】
実施形態の一態様に係る情報処理システムにおいて、前記判定部は、1回の排泄行為において複数回の排便があり、便の性状が複数存在する場合、性状ごとに分割して量を導出し、導出した量の合計値を用いて、前記便の量を判定する。
【0017】
実施形態の一態様に係る情報処理システムによれば、便の性状が複数存在する場合、性状ごとに分割して量を導出し、導出した量の合計値を用いて、便の量を判定することにより、複数の性状の便が混在する場合であっても適切に便の量を判定することができる。したがって、情報処理システムは、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させることができる。情報処理システムは、複数の便性状が存在する場合には、例えばそれぞれの便性状に分割してその合計値を用いて便の量を判定することで便の量の判定精度を向上させることができる。
【0018】
実施形態の一態様に係る情報処理システムにおいて、前記判定部は、1回の排泄行為における複数の便の落下方向の長さの合計である合計長が所定長以上である場合、前記合計長を補正し、補正後の前記合計長により、前記便の量を判定する。
【0019】
実施形態の一態様に係る情報処理システムによれば、複数の便の落下方向の長さの合計である合計長が所定長以上である場合、合計長を補正して便の量を判定することにより、複数の便が含まれる場合であっても適切に便の量を判定することができる。したがって、情報処理システムは、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
実施形態の一態様によれば、便画像を用いた便の量の判定精度を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】
図1は、実施形態に係るトイレルーム内の構成の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部斜視図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す正面図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図8】
図8は、データの取得方法の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、便の落下速度に応じたデータの取得の一例を示す図である。
【
図10】
図10は、便の落下速度に応じたデータの取得の一例を示す図である。
【
図13】
図13は、便の量を判定するために用いる情報の一例を示す図である。
【
図14】
図14は、便性状と便の量の関係の一例を示す図である。
【
図15】
図15は、硬便の場合の便の量の判定の一例を説明するための図である。
【
図16】
図16は、硬便の場合の便の量の判定の一例を説明するための図である。
【
図17】
図17は、軟便の場合の便の量の判定の一例を説明するための図である。
【
図20】
図20は、異なる性状の便が含まれる便画像の一例を示す図である。
【
図21】
図21は、複数の便性状の場合の便の量の判定の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する情報処理システムの実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。以下では、便の量の判定に関する処理やその処理を行うための構成について説明するが、最初に前提となる情報処理システムやトイレルーム内の構成などの各種構成を説明する。
【0023】
<1.情報処理システムの構成>
まず、実施形態に係る情報処理システムの構成について
図1及び
図2を参照して説明する。
図1は、実施形態に係るトイレルーム内の構成の一例を示す斜視図である。
図2は、実施形態に係る情報処理システムの構成例を示す図である。
【0024】
まず、
図1を用いて情報処理システム1のうちトイレルームR内の構成例について説明する。
図1に示すように、トイレルームRには、床面Fに、洋式大便器(以下「便器」と記載する)7が設置される。なお、以下では、床面FからトイレルームRの空間内に臨む向きを上と記載する。便座装置2は、便器7の上部に設けられる。
【0025】
便器7は、例えば、陶器製である。便器7には、ボウル部8が形成される。ボウル部8は、下方に凹んだ形状であり、使用者の排泄物を受ける部位である。なお、便器7は、図示のような床置き式に限らず、情報処理システム1を適用可能であれば、どのような形式でもよく、壁掛け式等のような形式であってもよい。便器7には、ボウル部8が臨む開口の端部の全周にわたってリム部9が設けられる。トイレルームRには、例えば、便器7付近に洗浄水を貯留する洗浄水タンクが設置されてもよいし、洗浄水タンクが設置されない、いわゆるタンクレス式でもよい。
【0026】
例えば、トイレルームRに設けられた洗浄用の洗浄操作部(図示省略)が使用者により操作されると、便器7のボウル部8への洗浄水の供給による便器洗浄が実施される。洗浄操作部は操作レバーや、操作装置10に表示された便器洗浄オブジェクトに対するタッチ操作であってもよい。なお、洗浄操作部は、操作レバーなどのような使用者の手動によって便器洗浄を実施させるものに限らず、着座センサのような使用者を検知するセンサの人体検知によって便器洗浄を実施させるものでもよい。
【0027】
便座装置2は、便器7の上部に取り付けられ、本体部3と、便蓋4と、便座5と、洗浄ノズル6とを備える。便座装置2は、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器7の上部に載置される。便座装置2は、洗浄ノズル6が洗浄水を噴射する前にボウル部8に進出するように便器7の上部に載置される。なお、便座装置2は、便器7に対して着脱可能に取り付けられてもよいし、便器7と一体化するように取り付けられてもよい。
【0028】
図1に示すように、便座5は、中央に開口50を有する環状に形成され、リム部9に沿って、便器7の開口に重なる位置に配置される。便座5は、使用者が着座する。便座5は、着座した使用者の臀部を支持する着座部として機能する。また、
図1に示すように、便蓋4及び便座5は、それぞれの一端部が本体部3に軸支され、本体部3の軸支部分を中心として回動可能(開閉可能)に取り付けられる。なお、便蓋4は、便座装置2に必要に応じて取り付けられ、便座装置2は、便蓋4を有しなくてもよい。
【0029】
洗浄ノズル6は、洗浄用の水を吐水するためのノズルである。洗浄ノズル6は、洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、使用者に向けて洗浄水を噴射可能である。洗浄ノズル6は、局部洗浄用のノズルである。洗浄ノズル6は、電動モータなどの駆動源(
図3中のノズルモータ61等)の駆動により、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進退可能に構成される。また、洗浄ノズル6は、図示しない水道管などの水源に接続される。そして、洗浄ノズル6は、
図1に示すように、本体部3の筐体である本体カバー30に対して進出した位置(以下「進出位置」ともいう)にあるときに、水源からの水を使用者の身体へ噴出させて局部を洗浄する。
【0030】
図1では、洗浄ノズル6が進出位置にある状態を示す。なお、洗浄ノズル6は、便器7(ボウル部8等)内の洗浄用にも共用されてもよい。洗浄ノズル6は、使用者の局部を洗浄する局部洗浄モードと、便器7内に水を撒く便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。例えば、洗浄ノズル6は、便座装置2の制御部34(
図3参照)による制御に応じて、局部洗浄モードと便器洗浄モードとを切り替え可能に用いられてもよい。
【0031】
操作装置10は、トイレルームR内に設けられる。操作装置10は、使用者が操作可能な位置に設けられる。操作装置10は、使用者が便座5に着座時において、操作可能な位置に設けられる。
図1に示す例において、操作装置10は、便座5に着座した使用者から見て右側方の壁面Wに配置される。なお、操作装置10は、便座5に着座した使用者が利用可能であれば、壁面に限らず、種々の態様により配置されてもよい。例えば、操作装置10は、便座装置2と一体に設けられてもよい。
【0032】
図2に示すように、情報処理システム1は、便座装置2と、操作装置10と、情報処理装置400とが含まれる。情報処理システム1には、複数の情報処理装置400や、複数の便座装置2や、複数の操作装置10が含まれてもよい。
【0033】
便座装置2は、トイレルームR内に配置される装置である。便座装置2は、取得した便画像を情報処理装置400へ送信する。なお、便座装置2の構成等の詳細は後述する。
【0034】
操作装置10は、便座装置2や情報処理装置400と所定のネットワーク(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。例えば、便座装置2と操作装置10とは、情報の送受信が可能であれば、どのような接続であってもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0035】
操作装置10は、例えばタッチパネル機能により表示面(例えば表示画面11)を介して使用者からの各種操作を受け付ける。また、操作装置10は、スイッチやボタンを備え、スイッチやボタン等により各種操作を受け付けてもよい。表示画面11は、例えば液晶ディスプレイや有機EL(Electro-Luminescence)ディスプレイ等によって実現されるタブレット端末等の表示画面であり、各種情報を表示するための表示装置である。つまり、操作装置10は、表示画面11により使用者の入力を受け付け、使用者への出力も行う。表示画面11は、各種情報を表示する表示装置である。
【0036】
操作装置10は、便座装置2により実行中の制御を止めるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄の実行を開始するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、使用者による洗浄ノズル6への指示を受け付ける。操作装置10は、便座装置2に所定の音を出力させるためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2の洗浄ノズル6(
図1参照)を除菌水で殺菌する殺菌処理を行うためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2による局部洗浄時の吐水の勢いを調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、便座装置2が出力する音の音量を調整するためのユーザの操作を受け付ける。操作装置10は、トイレの利用に関する情報を操作装置10に表示したり音声出力したりする際の言語を選択するためのユーザの操作を受け付ける。
【0037】
例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるオブジェクトを表示画面11に表示し、表示したオブジェクトに対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。例えば、操作装置10は、上述したユーザの操作を受け付けるスイッチやボタン等を有し、スイッチやボタン等に対するユーザの接触に応じて、各種処理を実行してもよい。なお、上記は一例であり、操作装置10は、各種処理を実行するユーザによる操作を受け付けてもよい。
【0038】
情報処理装置400は、便画像における便の落下方向の長さと、便画像から判定された便の性状に基づいて、便の量を判定するコンピュータである。情報処理装置400は、便座装置2が取得した便画像を用いて、便の量を判定する。情報処理装置400は、便座装置2や操作装置10と、インターネット等の所定のネットワーク(ネットワークN)を介して、有線または無線により通信可能に接続される。なお、情報処理装置400は、情報の送受信が可能であれば、便座装置2や操作装置10とどのようなに接続されてもよく、有線により通信可能に接続されてもよいし、無線により通信可能に接続されてもよい。
【0039】
なお、上記は一例に過ぎず、便座装置2や操作装置10と通信し、処理が実現可能であれば、情報処理装置400の装置構成及び配置は任意の形態が採用可能である。例えば、情報処理装置400は、情報処理システム1の管理者等が携帯可能なノートパソコン等の携帯端末(デバイス)であってもよい。また、情報処理装置400は、トイレルームR内に配置されてもよい。
【0040】
また、情報処理装置400は、便座装置2と一体であってもよい。この場合、便座装置2が判定処理を行う情報処理装置として機能する。例えば、便座装置2の制御部34(
図3)が判定処理を行ってもよい。また、情報処理装置400は、所定のネットワーク(例えばネットワークN)の中継器(ゲートウェイ)と一体であってもよい。この場合、中継器が判定処理を行う情報処理装置として機能する。すなわち、判定処理を行う情報処理装置は、情報処理システム1に含まれるいずれの装置であってもよい。なお、上記のシステム構成は一例に過ぎず、便の量の判定が可能であれば、情報処理システム1はどのようなシステム構成であってもよい。
【0041】
情報処理システム1は、後述する各種の構成や処理により、使用者の排泄物(大便)について、硬さに基づく2種類以上の性状のいずれかであるかを便の性状として検知する。以下の例では、硬さに基づく2種類以上の性状の一例として、便が軟便または硬便のいずれであるかを検知(判定)する場合を示すが、硬さに基づく性状は2種類に限らず、3種類以上であってもよい。例えば、硬さに基づく2種類以上の性状は、軟便、普通便及び硬便の3種類の性状であってもよい。また、便の硬さは便に含まれる水分量を反映しているため、硬さに基づく2種類以上の性状は、水分の多い、自重で「ちぎれやすい便」と水分の少ない、自重で「ちぎれにくい便」のような分け方もよい。なお、情報処理システム1は、便の硬さのみに限らず、使用者の排泄物(大便)の形状や大きさや質や色等を便性状として検知してもよい。情報処理システム1は、光学的な方式により使用者の排便を検知する。すなわち、情報処理システム1は、光学的手段で排泄物(大便)の情報を検知可能な情報処理システムである。情報処理システム1では、測定した結果を基に、使用者のスマートフォン等の端末装置に情報提供を行ってもよい。
【0042】
<2.便座装置の機能構成>
次に、便座装置2の機能構成について
図3を参照して説明する。
図3は、実施形態に係る便座装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3に示すように、便座装置2は、人体検知センサ32と、着座検知センサ33と、制御部34と、通信部35と、電磁弁71と、ノズルモータ61と、洗浄ノズル6と、光学ユニット100とを備える。なお、
図3では、
図1で説明した便座装置2の構成の一部(本体部3や便座5や便器7等)についての図示を省略する。
【0043】
例えば、人体検知センサ32や着座検知センサ33や制御部34は便座装置2の本体部3に設けられる。また、本体部3には、制御部34外に記憶部を有してもよい。この場合、便座装置2は、制御部34から記憶部にデータを送信し、データを記憶部に格納してもよい。
【0044】
人体検知センサ32は、人体を検知する機能を有する。例えば、人体検知センサ32は、赤外線信号を用いた焦電センサ等により実現される。例えば、人体検知センサ32は、μ(マイクロ)波センサ等により実現されてもよい。なお、上記は一例であり、人体検知センサ32は、上記に限らず、種々の手段により人体を検知してもよい。例えば、人体検知センサ32は、トイレルームR(
図1参照)内に入室した人(使用者など)を検知する。人体検知センサ32は、検知信号を制御部34へ出力する。
【0045】
着座検知センサ33は、便座装置2への人の着座を検知する機能を有する。着座検知センサ33は、使用者が便座5に着座したことを検知する。着座検知センサ33は、便座5に対する使用者による着座を検知可能である。着座検知センサ33は、使用者による便座5からの離座を検知する離座検知センサとしても機能する。着座検知センサ33は、便座5に対する使用者の着座状態を検知する。
【0046】
例えば、着座検知センサ33は、荷重センサにより使用者が便座5に着座したことを検知する。例えば、着座検知センサ33は、赤外線投受光式の測距センサであり、人(使用者)が便座5に着座する直前において便座5の付近に存在する人体や、便座5に着座した使用者を検知してもよい。なお、上記は一例であり、着座検知センサ33は、上記に限らず、種々の手段により便座装置2への人の着座を検知してもよい。着座検知センサ33は、着座検知信号を制御部34へ出力する。
【0047】
通信部35は、通信装置、通信回路等によって実現され、情報処理装置400や操作装置10等と通信する。そして、通信部35は、インターネット等の所定のネットワーク(ネットワークN)と有線または無線で接続され、情報処理装置400や操作装置10等との間で情報の送受信を行う。通信部35は、制御部34の制御に応じて、情報処理装置400と通信する。通信部35は、光学ユニット100による検知により取得した便画像を情報処理装置400へ送信する。例えば、通信部35は、制御部34により生成された便画像を情報処理装置400へ送信する。また、通信部35は、操作装置10から使用者の操作を示す操作情報の受信を行う。
【0048】
制御部34は、例えば各種構成や処理を制御する制御装置であってもよい。制御部34は、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された局部洗浄に関する制御指示の信号に基づいて、ノズルモータ61を制御する。制御部34は、洗浄ノズル6を進退させるためにノズルモータ61を制御する。制御部34は、電磁弁71の開閉を制御する。制御部34は、発光部120の点灯や消灯を制御するための制御情報を光学ユニット100に送信する。
【0049】
制御部34は、受光部130の電子シャッタの機能を制御するための制御情報を光学ユニット100に送信する。なお、受光部130の電子シャッタは、いわゆるレンズシャッタのような機械的なシャッタとは異なり、受光素子132(撮像素子)を電子的に制御して露光を読み出すシャッタ方式である。すなわち、受光部130の電子シャッタは、いわゆる電子式シャッタや電子制御式シャッタである。制御部34は、有線により、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100に制御情報を送信する。なお、制御部34は、無線により、ノズルモータ61や電磁弁71や光学ユニット100に制御情報を送信してもよい。
【0050】
制御部34は、光学ユニット100に発光及び受光を行わせる。制御部34は、光学ユニット100を制御して、発光部120に光を照射させ、受光部130により受光を行わせる。制御部34は、着座検知センサ33によって使用者による便座5への着座が検知されている期間において、光学ユニット100に発光及び受光を行わせる。
【0051】
制御部34は、発光部120による光の照射を制御する。制御部34は、発光素子121への通電、及び受光素子132に対する電圧の印加を制御する。制御部34は、受光素子132に対して、電子シャッタを開く制御指示を送り、発光素子121に通電することで、大便からの反射光を受光可能とする受光制御を行う。制御部34は、一の受光制御の実行開始後、一の受光制御の次の受光制御を実行するまでの間隔を、制御処理が可能な範囲内で任意の時間(例えば0.2ミリ秒以上等)に制御する。なお、上記は一例に過ぎず、光学ユニット100が所望の発光及び受光が可能であれば、制御部34による制御態様はどのような態様であってもよい。また発光部120から照射される光が1波長帯である場合、発光部120からの光を受光制御に合わせて点滅させなくてもよく、連続的に照射してもよい。また、後述のようなカラー方式の受光素子を使う場合は、発光部120から照射される光が複数波長帯である場合でも、連続的に照射してもよい。
【0052】
また、制御部34は、
図1に示すような便蓋4や便座5を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された信号に基づいて、便蓋4や便座5を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された便蓋開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便蓋4を制御する。制御部34は、操作装置10から送信された着座部開閉に関する制御指示の信号に基づいて、便座5を制御する。制御部34は、有線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信する。なお、制御部34は、無線により、便蓋4や便座5に制御情報を送信してもよい。
【0053】
制御部34は、人体検知センサ32による使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御部34は、人体検知センサ32によるトイレルームRへの使用者の入室が検知されたか否かを判定する。制御部34は、着座検知センサ33による使用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御部34は、着座検知センサ33による便座5への使用者の着座が検知されたか否かを判定する。制御部34は、上述した制御に関する演算を実行する演算部や記憶部等の各種の構成を有する。例えば、制御部34は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のプロセッサや、FPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路等の種々の手段により実現される。
【0054】
ここで、制御部34の構成の一例について説明する。制御部34は、ADConverterや演算処理装置やROM(Read Only Memory)や第1のメモリを有する。
【0055】
ADConverterは、いわゆるA/Dコンバータ(アナログ-デジタル変換回路)であり、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換の機能を有する。ADConverterは、アナログ-デジタル変換回路であってもよい。例えば、ADConverterは、受光部130が受光(検知)したアナログデータをデジタルデータに変換する。ADConverterは、アナログデータのうち、所定の範囲のデータを削除したアナログデータをデジタルデータに変換してもよい。例えば、ADConverterは、予め設定された範囲(例えば中央の所定の範囲)の画素に対応するデータだけを残し、残りの範囲の画素に対応するデータを削除してもよい。なお、受光素子132に排泄物検知用に画素数等が設定されたラインセンサ等の専用のセンサが用いられる場合、ADConverterは、所定の範囲のデータの削除を行うことなく、アナログデータ全体をデジタルデータに変換する。
【0056】
演算処理装置は、CPUやマイコン等の種々の手段により実現され、各種の処理を実行する。例えば、演算処理装置は、ADConverterにより変換されたデジタルデータを用いた各種処理を実行する。演算処理装置は、ROMに記憶されたプログラム(例えば便の検知プログラムや便性状の判定プログラム等の検知処理に関連する各種プログラム)により各種処理を実行する。例えば、演算処理装置は、ROMに記憶されたプログラムが演算処理装置内の一時的に使用される記憶領域等を作業領域として実行されることにより実現される。
【0057】
演算処理装置は、データを解析する。演算処理装置は、第1のメモリに一時的に記憶されたデータを解析する。演算処理装置は、第1のメモリへの受光部130が受光したデータの転送、第1のメモリに記憶されたデータの解析及び削除を実行する。
【0058】
ROMは、例えば便の検知プログラム等の便の検知処理に関連する各種プログラムを記憶する。
【0059】
第1のメモリは、各種データを一時的に格納する内部メモリ(記憶装置)である。第1のメモリは、受光部130が受光したデータを記憶する。第1のメモリは、ADConverterにより変換されたデジタルデータを格納する。例えば、第1のメモリは、SRAM(Static Random Access Memory)である。なお、第1のメモリは、SRAMに限らず、DRAM(Dynamic Random Access Memory)等の他のRAM(Random Access Memory)やPROM(Programmable Read Only Memory)等の高速処理が可能なROMが用いられる。
【0060】
第1のメモリは、演算処理装置による制御に応じて、データを格納する。例えば、第1のメモリには、96キロバイトや512キロバイト等の記憶容量の記憶装置が用いられる。第1のメモリに一時的に記憶される受光部130が受光したデータには、受光部130により検知された生データ(アナログデータ)や、A/D変換されることによって加工されたデータ(デジタルデータ)が含まれる。
【0061】
なお、上述した制御部34の構成は一例に過ぎず、所望の処理が可能な構成であれば、制御部34はどのような構成であってもよい。また、便座装置2は、第2のメモリを有する。便座装置2は、制御部34により取得されたデータを第2のメモリに格納する。
【0062】
例えば、第2のメモリは、各種データを格納する外部メモリ(記憶装置)である。第2のメモリは、制御部34から取得したデジタルデータを格納する。例えば、第2のメモリは、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)等が用いられる。第2のメモリは、SD(Secure Digital)カードメモリや、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の種々の記憶装置(メモリ)であってもよい。
【0063】
第2のメモリは、第1のメモリに記憶されたデータを転送可能である。第2のメモリは、第1のメモリよりも記憶領域が大きい。例えば、第2のメモリには、4ギガバイト等、第1のメモリと比べて記憶容量が大きい記憶装置が用いられる。第2のメモリに記憶されたデータは、外部装置に送信されてもよい。情報処理システム1は、便座装置2の通信装置等により、第2のメモリに記憶されたデータを無線により、使用者が利用する端末装置等の外部装置に送信してもよい。
【0064】
なお、第2のメモリは、便座装置2内や便座装置2外等のいずれに設けられてもよい。例えば、第2のメモリは、便座装置2内のMicroSDであってもよいし、便座装置2外にあり、便座装置2とWi-Fi(登録商標)(Wireless Fidelity)等により通信する外部メモリであってもよい。この場合、演算処理装置は、第1のメモリに一時的に記憶されているデータを、第1のメモリよりも記憶領域が大きい外部メモリである第2のメモリとの通信により、第2のメモリに転送する。なお、第2のメモリと便座装置2との通信は、Wi-Fi(登録商標)に限らず、種々の通信規格、例えばZigBee(登録商標)やBluetooth(登録商標)等による通信であってもよい。
【0065】
例えば、制御部34は、光学ユニット100により検知された情報を基に便画像を生成する。制御部34は、複数の素子が直線状に配置されたラインセンサである受光素子132により、所定時間間隔で経時的に取得されたデータである一次元データ(線状の静止画)を時系列に複数並べて1つの二次元画像を生成する。例えば、制御部34は、光学ユニット100により検知された一次元画像を基に二次元の便画像を生成するがこの点については
図8で説明する。
【0066】
電磁弁71は、流体の流れを電磁的方法により制御する弁(バルブ)の機能を有する。電磁弁71は、例えば給水管からの水道水の供給および停止を切り替える。電磁弁71は、制御部34からの指示に応じて開閉の制御を実行する。
【0067】
ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を進退駆動する駆動源(モータ)である。ノズルモータ61は、洗浄ノズル6を本体部3の本体カバー30に対して進退させる制御を実行する。ノズルモータ61は、制御部34からの指示に応じて洗浄ノズル6を進退させる制御を実行する。
【0068】
光学ユニット100は、発光部120と、受光部130とを備える。光学ユニット100は、落下中の便を検知するために複数の素子が直線状に配置された受光素子132を有する検知部(検知装置)として機能する。
【0069】
発光部120は、光を照射する。発光部120は、光を照射する発光素子121を有する。発光部120は、使用者によって排泄される排泄物に対して光を照射する。発光部120は、使用者によって排泄される大便に対して光を照射する。発光部120は、落下中の大便に対して光を照射する。
【0070】
発光部120は、光を照射する発光素子121が設けられる。発光部120は、前方に光を照射する発光素子121が設けられる。発光部120は、使用者によって排泄される排泄物に向けて前方に光を照射する発光素子121が設けられる。例えば、発光素子121は、LED(Light Emitting Diode)である。なお、発光素子121は、LEDに限らず、種々の素子が用いられてもよい。
【0071】
発光部120は、前方に光を照射する。発光部120は、使用者によって排泄される大便に向けて前方に光を照射する。発光部120は、複数の発光素子121を備える。発光部120は、光を照射する発光素子121を複数備える。発光部120は、使用者によって排泄される落下中の大便に対して光を照射する。発光部120は、異なる波長の光を照射するための複数の発光素子121を備える。なお、上記は一例に過ぎず、発光部120の発光素子121については、所望の発光が可能であれば、その数及び発光する波長については任意の構成が採用可能である。
【0072】
受光部130は、光を受光する。受光部130は、レンズ131や光を受光する受光素子132を有する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する排泄物からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する落下中の大便からの反射光を受光する。
【0073】
受光部130は、光を受光する受光素子132が設けられる。受光部130は、落下中の便を検知するために複数の素子が直線状に配置された受光素子132を有する。例えば、受光素子132は、ラインセンサである。例えば、受光素子132は、CCD(Charge Coupled Device)センサ、またはCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサが一列に並べられたラインセンサである。なお、受光素子132は、一次元のラインセンサ(一次元のイメージセンサ)に限らず、ラインが二列以上並んだラインセンサや、エリアセンサ(二次元のイメージセンサ)等の各種のセンサが用いられてもよい。
【0074】
受光部130は、受光素子132の前方に光を集光するためのレンズ131を備える。受光素子132の周囲には、受光素子132の前方以外からの光の入射を抑制するためのカバーであるケースが設けられている。受光素子132の周囲には、前方に配置されたレンズ131を通過する光以外が受光素子132に入射することを抑制するためのカバーであるケースが設けられている。受光素子132の周囲には、受光素子132の側部方向からの光の入射を抑制するためのカバーであるケースが設けられている。
【0075】
ケースは、受光素子132の前方以外からの光を遮断したり、減衰したりする入射抑制カバーとして機能する。ケースは、例えば黒等の光を反射しにくい色に着色されることで、ケース自体からの反射光が受光素子に入ることを抑制する。なお、ケースには、所望の形状に形成可能であれば、樹脂等、種々の材料が用いられてもよい。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する落下中の大便からの反射光を受光する。受光部130は、発光部120により照射された光に対する大便からの反射光を受光する。
【0076】
<3.便座装置の構成>
次に、便座装置2の構成について
図4~
図6を参照して説明する。
図4は、実施形態に係る便座装置の構成の一例を示す斜視図である。
図4は、遮蔽部310を除き、便座5を上げた状態を示す図である。
図5は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す要部斜視図である。
図6は、実施形態に係る便座装置の構成の一部を示す正面図である。例えば、
図6は、便座5の開口50を通り、前後方向に直交する平面による正面断面図である。
図5及び
図6では、遮蔽部310による便座5の開口50へ向かう光の遮蔽の概要を示す。なお、
図5中の想定臀部位置EGは、使用者が便座5に着座した際の使用者の臀部の想定位置の一例を仮想的に示す。
【0077】
図4に示すように、遮蔽部310が除かれた場合、光学ユニット100の発光部120や受光部130は、本体カバー30の開口31から露出する。発光部120は、便器7内の排泄物に向けて光を照射可能であり、受光部130は、便器7内の排泄物からの反射光を受光可能となる。
【0078】
また、
図4では、洗浄ノズル6(
図1参照)が本体カバー30内に収納される位置(以下「収納位置」ともいう)にある状態を示す。
図4に示すように、洗浄ノズル6が収納位置にある場合、ノズル用蓋60は閉じられており、洗浄ノズル6は、ノズル用蓋60の裏に隠されている。洗浄ノズル6による洗浄が行われる場合、ノズル用蓋60が開放するとともに、本体カバー30の開口(
図4の閉鎖状態であるノズル用蓋60が塞ぐ開口)から洗浄ノズル6が突出し、洗浄ノズル6は、進出状態に移行する。
【0079】
遮蔽部310は、
図5及び
図6に示すように、発光部120から便座5の開口50へ向かう光を遮蔽するように本体カバー30の開口31の上端部に沿って配置される。遮蔽部310は、透過性がない(低い)材料により形成される。例えば、遮蔽部310は、本体カバー30と同じ材料により形成される。
【0080】
照射領域ERは、発光部120(発光素子121)からの光が照射される領域を示す。また、受光領域LRは、受光素子132が光を受光する領域を示す。
図6に示すように、遮蔽部310が発光部120の上方に位置することにより、発光部120から便座5の開口50へ向かう光、すなわち上方へ向かう光が遮蔽される。例えば、遮蔽部310は、発光部120の上方において、照射領域ERに便座5の開口50の範囲が含まれないようにする位置に配置される。これにより、便座装置2は、発光部120から便座5の開口50へ光が照射されることを抑制することができる。
【0081】
<4.情報処理装置の機能構成>
次に、情報処理装置の機能構成について
図7を参照して説明する。
図7は、実施形態に係る情報処理装置の構成の一例を示すブロック図である。具体的には、
図7は、情報処理装置の一例である情報処理装置400の構成の一例を示すブロック図である。
【0082】
図7に示すように、情報処理装置400は、通信部410と、記憶部420と、制御部430とを有する。なお、情報処理装置400は、情報処理装置400の管理者等から各種操作を受け付ける入力部(例えば、キーボードやマウス等)や、各種情報を表示するための表示部(例えば、液晶ディスプレイ等)を有してもよい。
【0083】
通信部410は、例えば、通信回路等によって実現される。通信部410は、ネットワークN(
図2参照)と有線または無線で接続され、外部の情報処理装置との間で情報の送受信を行う。例えば、通信部410は、ネットワークN(
図2参照)と有線または無線で接続され、便座装置2や操作装置10等との間で情報の送受信を行う。
【0084】
記憶部420は、例えば、RAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、または、ハードディスク、光ディスク等の記憶装置によって実現される。例えば、記憶部420は、便の量を判定する量判定プログラムや便の性状を判定する性状判定プログラムによって使用されるデータ等を非一時的に記録するコンピュータが読み取り可能な記録媒体である。実施形態に係る記憶部420は、
図7に示すように、便情報記憶部421を有する。なお、記憶部420は、便情報記憶部421に限らず、様々な情報を記憶する。便情報記憶部421は、判定処理に用いる様々な情報を記憶する。例えば、便情報記憶部421は、判定処理に用いる閾値を記憶する。また、例えば、便情報記憶部421は、便の量を導出する関数を記憶する。
【0085】
便情報記憶部421は、検知された便(排泄物)に関する情報を記憶する。便情報記憶部421は、便画像を記憶する。便情報記憶部421は、便画像に対応する便についての情報を、便画像に対応付けて記憶する。便情報記憶部421は、便画像に対応する便について判定した判定結果を、便画像に対応付けて記憶する。便情報記憶部421は、便画像に対応する便の性状や、便画像に対応する便の量等の情報を記憶する。また、便情報記憶部421は、便画像が取得された日時、便画像に対応する便の排泄を行った使用者を識別する情報等を、便画像に対応付けて記憶してもよい。なお、上記は一例に過ぎず、便情報記憶部421は、便に関する様々な情報を記憶する。
【0086】
制御部430は、例えば、CPUやGPU(Graphics Processing Unit)等によって、情報処理装置400内部に記憶されたプログラム(例えば、本開示に係る量判定プログラムや性状判定プログラム等)がRAM等を作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部430は、例えば、ASICやFPGA等の集積回路により実現される。
【0087】
図7に示すように、制御部430は、取得部431と、判定部432と、提供部433とを有し、以下に説明する情報処理の機能や作用を実現または実行する。なお、制御部430の内部構成は、
図7に示した構成に限られず、後述する情報処理を行う構成であれば他の構成であってもよい。
【0088】
取得部431は、情報を取得する。取得部431は、便画像を取得する便画像取得部として機能する。取得部431は、記憶部420から各種情報を取得する。取得部431は、便座装置2や操作装置10から各種情報を受信する。取得部431は、便座装置2から便に関する情報を受信する。取得部431は、便座装置2から便画像(データ)を受信する。取得部431は、排泄物を受けるボウル部8が形成された便器5の上部に載置される便座装置2に設けられ、落下中の便を検知するために複数の素子が直線状に配置された受光素子132を有する光学ユニット100からの情報に基づく便画像を取得する。取得部431は、取得した便画像を便情報記憶部421に格納する。
【0089】
判定部432は、各種の判定処理を行う。判定部432は、便座装置2から取得された情報を用いて、判定処理を行う。判定部432は、記憶部420に記憶された情報を用いて、判定処理を行う。例えば、判定部432は、便画像に基づいて、その便画像に対応する便の性状を判定する。判定部432は、便画像を用いて、その便画像に対応する便の性状を判定する。
【0090】
判定部432は、便画像を用いて、その便画像に対応する便の硬さが、硬さに基づく2種類以上の性状のいずれかであるかを判定する。例えば、判定部432は、便画像を用いて、その便画像に対応する便の硬さが、軟便または硬便のいずれかであるかを判定する。
【0091】
判定部432は、便座装置2による検知結果から便の性状を判定する。判定部432は、光学的な手法により便の性状を検知する種々の技術を適宜用いて、使用者の便の性状を判定する。判定部432は、便の性状の分類に関する種々の技術を適宜用いて、便の硬さが、軟便または硬便のいずれかであるかを判定する。例えば、判定部432は、便画像の落下方向の長さや便(塊)の個数等の様々な情報(特徴量)に基づいて便の性状を判定(判断)する。
【0092】
例えば、判定部432は、便画像において、便がちぎれて(分離され)、複数の小さい塊である場合、その便画像に対応する便の性状(硬さ)が軟便であると判定する。例えば、判定部432は、便画像において、長さが所定値未満の塊が複数ある場合、その複数の塊(便)の性状が軟便であると判定する。例えば、判定部432は、便画像において、長さが所定値未満の塊が連続する場合、その連続する塊(便)の性状が軟便であると判定する。例えば、判定部432は、便画像において、1つの便(塊)の落下方向の長さが所定の閾値以上である場合、その1つの便(塊)の性状が硬便であると判定する。例えば、判定部432は、便画像において、長さが所定値以上の塊がある場合、その塊(便)の性状が軟便であると判定する。
【0093】
なお、上記は一例に過ぎず、判定部432は、様々な情報を適宜用いて、便の性状を判定してもよい。判定部432は、AI(人工知能)に関する技術を用いて便の性状を判定してもよい。例えば、判定部432は、機械学習により生成された学習モデル(性状判定モデル)を用いて、便の性状を判定してもよい。この場合、性状判定モデルは、事前に分類判断を示す教師データにより学習される。この教師データには、便画像と、その便画像に含まれる塊(便)の性状(軟便または硬便)を示すラベル(正解情報)との組合せを複数含む。例えば、性状判定モデルは、便画像を入力とし、入力された便画像に含まれる各塊(便)の性状を示す情報を出力するモデルである。例えば、性状判定モデルは、便画像が入力された場合に、入力された便画像に対応するラベル(各塊の性状)の情報を出力するように学習される。性状判定モデルの学習は、いわゆる教師あり学習に関する種々の手法を適宜用いて行われる。この場合、性状判定モデルは記憶部420に格納され、判定部432は、記憶部420に格納された性状判定モデルを用いて、便の性状を判定してもよい。例えば、情報処理装置400が学習処理を行い、性状判定モデルを生成してもよい。
【0094】
また、判定部432は、便の性状に関する情報を他の装置から取得する場合、便の性状判定を行わなくてもよい。例えば、便座装置2が便の性状の判定を行い、便の性状に関する情報を便座装置2から取得する場合、判定部432は、便の性状判定を行わなくてもよい。なお、他の装置から便の性状に関する情報を取得する場合、例えば、情報処理装置400への入力手段を設け、使用者が携帯情報端末等により判定した便の性状に関する情報を取得し、情報処理装置400へ入力してもよい。
【0095】
判定部432は、便の量を判定する。判定部432は、便の量が複数の段階(レベル)のうち、いずれのレベルであるかを判定する。例えば、判定部432は、便の量が「少ない」、「普通」、「多い」の3段階(レベル)のうち、いずれの量(段階)であるか判定する。なお、「少ない」、「普通」、「多い」の3段階(レベル)は、一例に過ぎず、判定部432は、4段階(レベル)以上の段階のうち、いずれの量(段階)であるかを判定してもよい。例えば、判定部432は、便の量が「少ない」、「やや少ない」、「普通」、「やや多い」、「多い」の5段階(レベル)のうち、いずれの量(段階)であるか判定してもよい。便の重さや体積の目安となる数値、例えば100gや、100mLなどと判定してもよい。
【0096】
判定部432は、便画像から便の量を判定する。判定部432は、便の量と便画像における便の落下方向の長さとの関係と、便画像から判定された便の性状に基づいて、便の量を判定する。判定部432は、便の量と便画像の落下方向に交差する方向の便の幅と長さとにより算出される面積との関係と、便の性状に基づいて便の量を判定する。例えば、判定部432は、便の形状ごとに生成された便の量と長さまたは面積の関係式を用いることにより、便の長さまたは面積と便性状とがわかると、便の量を判定(特定)することができる。ここでいう関係式は、例えば便の長さまたは面積を入力とし、それに対応する便の量を示す値を出力する関数である。例えば、判定部432は、便の形状の各々に対応する関係式のうち、便性状に対応する関係式を選択し、その関係式と便の長さまたは面積を用いて、便の量を判定(特定)してもよい。
【0097】
判定部432は、便の性状の各々に対応付けられた便画像の落下方向の長さの閾値に基づいて、長さ補正することにより便の量を判定する。判定部432は、便の性状の各々に対応付けられた閾値に基づいて、長さを補正し、補正後の長さにより便の量を判定する。なお、ここでは、便画像の落下方向の長さの閾値に基づいて、長さ補正しているが、その限りではなく、便画像の落下方向の長さの閾値に基づいて、便の面積を補正し、便の量を判定してもよい。また、便画像の落下方向と交わる方向(便の幅方向)についても幅方向の閾値に基づいて、幅補正してもよい。
【0098】
判定部432は、硬さに基づく2種類以上の性状のいずれかである便の性状に基づいて、便の量を判定する。判定部432は、長さが所定長以上である場合、長さを補正し、補正後の長さにより便の量を判定する。判定部432は、1回の排泄行為(トイレに入室~トイレを出るまで)において複数回の排便があり、便の性状が複数存在する場合、性状ごとに分割して量を導出し、導出した量の合計値を用いて便の量を判定する。判定部432は、1回の排泄行為における複数の便の落下方向の長さの合計である合計長が所定長以上である場合、合計長を補正し、補正後の合計長により便の量を判定する。なお、判定部432による便の量の判定についての詳細は後述する。
【0099】
提供部433は、情報を提供する。提供部433は、外部の情報処理装置へ情報を送信する。例えば、提供部433は、便座装置2を使用する使用者の携帯端末(ユーザ端末)や操作装置10や便座装置2へ各種情報を送信する。提供部433は、判定部432により判定された情報をユーザ端末等へ提供する。提供部433は、判定部432により判定された便の量の情報をユーザ端末等へ送信する。
【0100】
<5.便画像のデータ取得方法>
ここで、便画像(データ)の取得方法の具体的動作について
図8を参照して説明する。
図8は、データの取得方法の一例を示す図である。上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0101】
図8に示す各要素について説明する。対象物OB1は、検知(測定)対象とする大便(排泄物)を模式的に示す。また、受光装置PDは、例えばラインセンサ等の受光素子132を有する受光部130である。
【0102】
また、発光装置LEは、発光素子121を有する発光部120である。なお、
図8では、説明を簡単にするために、発光装置LEが1つの波長を照射する場合を一例として説明するが、発光装置LEは異なる波長の光を照射してもよい。
【0103】
図8の例では、落下中の対象物OB1に対して発光装置LEからの光を照射し、受光装置PDによる受光の結果を基に便画像(二次元画像)を取得(生成)する処理を概念的に示す。発光装置LEから対象物OB1へ伸びる点線は、発光装置LEから対象物OB1への光の照射を模式的に示し、対象物OB1から受光装置PDへ伸びる点線は、受光装置PDが受光する対象物OB1からの反射光を模式的に示す。また、対象物OB1に重なる矩形枠は、対応する発光及び受光で検知される対象物OB1の範囲(一次元)を模式的に示す。例えば、対象物OB1への光の照射及び反射が行われる位置が、
図8の便器7の上面(リム部9)から下方に80mm付近の位置になるように、発光部120及び受光部130が配置される。また、ここでは、対象物OB1への光の照射及び反射が行われる位置を
図8の便器7の上面(リム部9)から下方に80mm付近の位置としたが、対象物OB1への光の照射及び反射が行われる位置であればよく、適宜変更してもよい。
【0104】
図8の例では、シーンSN1は、時間t
1において、落下中の対象物OB1に対して発光装置LEからの光を照射し、受光装置PDによる受光の処理を概念的に示す。シーンSN1(時間t
1)において取得されたデータは、二次元画像EIのうち、一次元画像PI1に対応する。すなわち、シーンSN1(時間t
1)での発光及び受光により、便座装置2は、一次元画像PI1を取得(検知)する。
【0105】
また、時間t2において取得されたデータは、二次元画像EIのうち、一次元画像PI2に対応する。すなわち、時間t2での発光及び受光により、便座装置2は、一次元画像PI2を取得(検知)する。時間t2のデータは、時間t1のデータの次に取得されたデータである。そのため、便座装置2は、一次元画像PI1に連続させて一次元画像PI2を並べて配置することにより、二次元画像EIを生成する。
【0106】
また、シーンSNiは、時間tiにおいて、落下中の対象物OB1に対して発光装置LEからの光を照射し、受光装置PDによる受光の処理を概念的に示す。シーンSNi(時間ti)において取得されたデータは、二次元画像EIのうち、一次元画像PIiに対応する。すなわち、シーンSNi(時間ti)での発光及び受光により、便座装置2は、一次元画像PIiを取得(検知)する。
【0107】
また、シーンSNjは、時間tjにおいて、落下中の対象物OB1に対して発光装置LEからの光を照射し、受光装置PDによる受光の処理を概念的に示す。シーンSNj(時間tj)において取得されたデータは、二次元画像EIのうち、一次元画像PIjに対応する。すなわち、シーンSNj(時間tj)での発光及び受光により、便座装置2は、一次元画像PIjを取得(検知)する。
【0108】
便座装置2は、一次元画像(受光データ)が取得された時間の順序に沿って一次元画像を並べて配置することにより、二次元画像(便情報)を生成する。
図8では、便座装置2は、一次元画像PI1、PI2…、PIi…、PIj…の順に並べて配置することにより、二次元画像EIを生成する。
【0109】
なお、上述した例では、発光は1波長である場合を一例として説明したが、複数の波長の発光を行う場合、便座装置2は、発光させた波長ごとに経時的に取得したデータ(一次元画像)を時系列で並べて便情報(二次元画像)を生成する。この点について、3つの異なる波長の光を照射する3つの発光素子121の各々の発光及び受光を行う場合を一例として説明する。
【0110】
この場合、便座装置2は、第1波長の光を照射する発光素子121(「第1の発光素子121」ともいう)を発光させて得た受光データ(一次元画像)を時間の順序に沿って並べて配置することにより、第1の発光素子121に対応する二次元画像を生成する。例えば、便座装置2は、590nm等の第1波長を発光させて得た受光データ(一次元画像)を時系列で並べることにより、第1波長に対応する便情報(第1の二次元画像)を生成する。
【0111】
また、便座装置2は、第2波長の光を照射する発光素子121(「第2の発光素子121」ともいう)を発光させて得た受光データ(一次元画像)を時間の順序に沿って並べて配置することにより、第2の発光素子121に対応する二次元画像を生成する。例えば、便座装置2は、670nm等の第2波長を発光させて得た受光データ(一次元画像)を時系列で並べることにより、第2波長に対応する便情報(第2の二次元画像)を生成する。
【0112】
また、便座装置2は、第3波長の光を照射する発光素子121(「第3の発光素子121」ともいう)を発光させて得た受光データ(一次元画像)を時間の順序に沿って並べて配置することにより、第3の発光素子121に対応する二次元画像を生成する。例えば、便座装置2は、870nm等の第3波長を発光させて得た受光データ(一次元画像)を時系列で並べることにより、第3波長に対応する便情報(第3の二次元画像)を生成する。
【0113】
このように、便座装置2は、第1の発光素子121、第2の発光素子121及び第3の発光素子121の各々に対応する3つの波長ごとの二次元画像を生成することにより、カラー画像を取得することができる。例えば便座装置2は、上述した第1の二次元画像、第2の二次元画像及び第3の二次元画像を合成することにより、カラー画像を生成してもよい。また、受光部130のラインセンサ等の受光素子をカラー式の受光素子とし、複数色の発光素子を同時に照射し、反射光の色を受光部で検知して、カラー画像を生成してもよい。
【0114】
ここで、
図9及び
図10を用いて、データの取得例を説明する。なお、
図8と同様の点については適宜説明を省略する。
【0115】
まず、
図9を用いて、落下速度が速い場合のデータの取得例を説明する。
図9は、便の落下速度に応じたデータの取得の一例を示す図である。具体的には、
図9は、便の落下速度が速い場合のデータの取得例を示す。
【0116】
便の落下速度が速い場合、便がセンサ部を横切る時間が短い。
図9の例では、対象物OB1の落下速度が速く、受光装置PD及び発光装置LEを横切る時間が短い。例えば、
図9の例では、対象物OB1が、
図8の場合よりも速く受光装置PD及び発光装置LEを通過することとなり、所定時間(例えば検知間隔等)内にセンサ部(受光装置PD及び発光装置LE)を横切る対象物OB1の落下方向の長さが長くなる。
図9では、例えば時間t
iにおいて、
図8よりもより対象物OB1の落下が進んだ状態となる。すなわち、
図9中のシーンSNiで示す対象物OB1の位置は、
図8中のシーンSNiで示す対象物OB1の位置よりもより下方になる。
【0117】
便座装置2は、時間t
1…、時間t
i…等と時間順に一次元画像を並べて配置することにより、二次元画像EISを生成する。このように、二次元画像EISは、
図8の二次元画像EIのよりも長さが短い便画像となる。
【0118】
次に、
図10を用いて、落下速度が遅い場合のデータの取得例を説明する。
図10は、便の落下速度に応じたデータの取得の一例を示す図である。具体的には、
図10は、便の落下速度が遅い場合のデータの取得例を示す。
【0119】
便の落下速度が遅い場合、便がセンサ部を横切る時間が長い。
図10の例では、対象物OB1の落下速度が遅く、受光装置PD及び発光装置LEを横切る時間が長い。例えば、
図10の例では、対象物OB1が、
図8の場合よりも遅く受光装置PD及び発光装置LEを通過することとなり、所定時間(例えば検知間隔等)内にセンサ部(受光装置PD及び発光装置LE)を横切る対象物OB1の落下方向の長さが短くなる。
図10では、例えば時間t
iにおいて、
図8よりもより対象物OB1の落下が遅れた状態となる。すなわち、
図10中のシーンSNiで示す対象物OB1の位置は、
図8中のシーンSNiで示す対象物OB1の位置よりもより上方になる。
【0120】
便座装置2は、時間t
1…、時間t
i…等と時間順に一次元画像を並べて配置することにより、二次元画像EILを生成する。このように、二次元画像EILは、
図8の二次元画像EIのよりも長さが長い便画像となる。例えば、便が極めて低速で落下したり、便が止まっていたりすると、同じ部分の一次元画像を取り続けることとなり、データが間延びし、落下方向(「長さ方向」ともいう)に長い便画像になる。
【0121】
<6.便画像例>
ここで、便画像の例について説明する。
図11及び
図12を用いて、便画像の例を説明する。まず、
図11を用いて軟便の場合の例を説明する。
図11は、軟便の便画像の一例を示す図である。
図11中の便画像LF1、LF2、LF3の3枚の便画像は、便性状が軟便である場合の便画像の一例を示す。
図11に示すように、便性状が軟便である場合、便の水分が多いため、自重で便はちぎれて(複数の塊に分離して)落下する。
【0122】
次に、
図12を用いて硬便の場合の例を説明する。
図12は、硬便の便画像の一例を示す図である。
図12中の便画像HF1、HF2、HF3の3枚の便画像は、便性状が硬便である場合の便画像の一例を示す。例えば、便画像HF3は、身体につながってゆっくり落下(移動)した便として画像化される場合を示す。
図12に示すように、便性状が硬便である場合、便はある程度の大きな塊となる。落下中の便の画像を取得し、その画像データから便の量を判定する場合、落下する便の落下速度や便の性状による影響が含まれているため、その影響を補正する必要がある。
【0123】
<7.便の量の判定>
ここから、
図13~
図21を用いて、便の量の判定について説明する。例えば、以下で説明する便の量の判定処理については、情報処理装置400の判定部432が行う。なお、上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0124】
<7-1.便の量の判定に用いる情報>
まず、
図13を用いて便の量判定に用いる情報の一例を説明する。
図13は、便の量を判定するために用いる情報の一例を示す図である。例えば、情報処理装置400は、便の量を判定するために用いる情報として、便の落下方向(長さ方向)の長さを示す第1パラメータPM1を用いる。また、例えば、情報処理装置400は、便の量を判定するために用いる情報として、便の横方向(幅方向)の幅を示す第2パラメータPM2を用いる。例えば、情報処理装置400は、便の幅を示す第2パラメータPM2については、長さ方向にわたっての平均(値)を用いてもよい。そして、情報処理装置400は、便の長さ方向にわたっての幅の平均(値)を第2パラメータPM2として便の面積を導出する。また例えば面積は、便の落下方向(長さ方向)を所定間隔(例えば10画素)ごとに区切り、所定間隔での便の幅の平均値を算出し、所定間隔の長さと掛け合わせた値(所定間隔ごとの面積)を、積算して導出してもよい。
【0125】
<7-2.便性状と便の量>
次に、
図14を用いて、便性状と便の量の関係について説明する。
図14は、便性状と便の量の関係の一例を示す図である。具体的には、
図14は、便画像から得られる情報と便性状、排便量(便の量)の関係を示す。
図14の排便量は、排便前後の使用者(被験者)の体重の差より測定した測定結果である。なお、使用者(被験者)は排便時において排尿をしておらず、使用した体重計の精度は±50gである。
【0126】
図14中のグラフGR1の縦軸は便画像に含まれる便の面積(便画像の面積)を示し、横軸は便の量(排便量)を示す。
図14中の四角(□)で示すプロット(データ)は、便性状が硬便である場合の測定結果を示す。
図14中の直線で示す関数LN11は、便性状が硬便である場合の便画像の面積と排便量の関係を示す関数である。関数LN11は、
図14中の四角(□)で示すプロットに基づいて導出される関数である。例えば、関数LN11は、複数のデータに対応する(を表現する)関数を導出する手法(例えば最小二乗法等の回帰分析)を適宜用いて導出される。例えば、関数LN11は、性状が硬便である便の便画像の面積を入力として、その便画像に対応する便の量を示す値を出力する関数であってもよい。
【0127】
また、
図14中の三角(△)で示すプロットは、便性状が軟便である場合の測定結果を示す。
図14中の直線で示す関数LN12は、便性状が軟便である場合の便画像の面積と排便量の関係を示す関数である。関数LN12は、
図14中の三角(△)で示すプロットに基づいて導出される関数である。例えば、関数LN12は、複数のデータに対応する(を表現する)関数を導出する手法(例えば最小二乗法等の回帰分析)を適宜用いて導出される。例えば、関数LN12は、性状が軟便である便の便画像の面積を入力として、その便画像に対応する便の量を示す値を出力する関数であってもよい。
【0128】
なお、上記は一例に過ぎず、便画像の面積は便画像の長さ(第1パラメータPM1)や画像(便画像)に含まれる便の幅の平均等の便の幅に基づく値である便画像の幅(第2パラメータPM2)を用いることなく導出されてもよい。例えば、便画像の面積は、画素数を数える(カウントする)ことにより導出されてもよい。また、便の量の導出に用いる情報は便画像の面積に限らず、便画像に関する様々な情報が用いられてもよい。例えば、便画像の長さを用い、便画像の長さと排便量の関係を基に便の量が判定されてもよいが、この点については後述する。
【0129】
同じ排便量であっても、硬便、軟便等の性状の違いによって便画像から得られる落下方向の長さは異なる。そこで、それぞれの性状に合わせた落下方向の長さあるいは面積(上図)の閾値の設定を行うことで、情報処理装置400は、多段階に精度よく便の量を判定することができる。
【0130】
<7-3.硬便の量の判定例>
ここから、硬便の量の判定例である
図15及び
図16について説明する。まず、
図15について説明する。
図15は、硬便の場合の便の量の判定の一例を説明するための図である。具体的には、
図15は、便の長さを用いて、硬便の場合の便の量を判定する一例を示す図である。なお、上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0131】
図15中のグラフGR2の縦軸は便画像の長さを示し、横軸は排便量(便の量)を示す。
図15中の円(〇)で示すプロットPL(データ)は、便性状が硬便である場合の測定結果を示す。なお、
図15では1つのみに符号「PL」を付すが、グラフGR2中の全ての円(〇)が測定結果を示す。
【0132】
図15中の直線で示す関数LN21は、便性状が硬便である場合の便画像の長さと排便量の関係を示す関数である。関数LN21は、
図15中の円(〇)で示すプロットPL(データ)に基づいて導出される関数である。例えば、関数LN21は、複数のデータに対応する(を表現する)関数を導出する手法(例えば最小二乗法等の回帰分析)を適宜用いて導出される。例えば、関数LN21は、性状が硬便である便の便画像の長さを入力として、その便画像に対応する便の量を示す値を出力する関数であってもよい。
【0133】
図15の関数LN21に示すように、便画像の長さと排便量(便の量)とには一定の関係がある。すなわち、情報処理装置400は、便画像の長さから、関数LN21によりその便画像に対応する便の量を推定することができる。
【0134】
ここで、情報処理装置400は、複数の閾値を用いて便の量を判定する。情報処理装置400は、第1閾値と、第1閾値よりも大きい値である第2閾値との2つの閾値を用いて便の量を判定する。例えば、情報処理装置400は、第1閾値と第2閾値を用いて、便の量を3段階で判定する。この場合、例えば、情報処理装置400は、便画像の長さが第1閾値未満である場合、便の量を「少ない」と判定する。また、情報処理装置400は、便画像の長さが第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、便の量を「普通」と判定する。また、情報処理装置400は、便画像の長さが第2閾値以上である場合、便の量を「多い」と判定する。
【0135】
図15の例では、排便量が100g未満である場合を便の量が「少ない」、排便量が100g以上300g未満である場合を便の量が「普通」、排便量が300g以上である場合を便の量が「多い」とする場合を示す。この場合、便の量「100g」に対応する便画像の長さを第1閾値TH21とし、便の量「300g」に対応する便画像の長さを第2閾値TH22とする。第1閾値TH21及び第2閾値TH22は、グラフGR2の情報を基に決定される。また、ここでは便の量を3段階(「少ない」、「普通」、「多い」)としているが、3段階でなくてもよく、さらに細分化して判断してもよい。さらに、ここでは複数の閾値を用いて便の量を判定したが、閾値の値、閾値の数は適宜変更がしてもよい。また、必ずしも閾値を用いる必要はなく、便画像の長さ(便の長さ)の値に応じて、係数等を設定して、便の長さを補正してもよい。
【0136】
図15の例では、第1閾値TH21は、「600」に決定される。例えば、関数LN21において、横軸は排便量「100g」に対応する便画像の長さ(便の長さ)の値「600」が第1閾値TH21に設定される。また、
図15の例では、第2閾値TH22は、「1200」に決定される。例えば、関数LN21において、横軸は排便量「300g」に対応する便画像の長さの値「1200」が第2閾値TH22に設定される。なお、第1閾値TH21及び第2閾値TH22は予め設定されてもよいし、情報処理装置400がグラフGR2や関数LN21の情報を用いて、第1閾値TH21及び第2閾値TH22を決定してもよい。
【0137】
そして、情報処理装置400は、便性状が硬便であり、便画像の長さの情報を用いる場合、「600」を第1閾値とし、「1200」を第2閾値として、便の量を判定する。例えば、情報処理装置400は、取得した便画像の長さが「500」である場合、その便画像に対応する便の量を「少ない」と判定する。情報処理装置400は、取得した便画像の長さが「1000」である場合、その便画像に対応する便の量を「普通」と判定する。情報処理装置400は、取得した便画像の長さが「1500」である場合、その便画像に対応する便の量を「多い」と判定する。
【0138】
なお、便の量の判定に用いる便画像の情報は、長さに限らず、
図13に示したように面積でもよい。この点について、
図16について説明する。
図16は、硬便の場合の便の量の判定の一例を説明するための図である。具体的には、
図16は、便の面積を用いて、硬便の場合の便の量を判定する一例を示す図である。なお、上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0139】
図16中のグラフGR3の縦軸は便画像の面積を示し、横軸は排便量(便の量)を示す。
図16中の円(〇)で示すプロットPL(データ)は、便性状が硬便である場合の測定結果を示す。なお、
図16では1つのみに符号「PL」を付すが、グラフGR3中の全ての円(〇)が測定結果を示す。
【0140】
図16中の直線で示す関数LN31は、便性状が硬便である場合の便画像の面積と排便量の関係を示す関数である。関数LN31は、
図16中の円(〇)で示すプロットPL(データ)に基づいて導出される関数である。例えば、関数LN31は、複数のデータに対応する(を表現する)関数を導出する手法(例えば最小二乗法等の回帰分析)を適宜用いて導出される。例えば、関数LN31は、性状が硬便である便の便画像の面積を入力として、その便画像に対応する便の量を示す値を出力する関数であってもよい。
【0141】
図16の関数LN31に示すように、便画像の面積と排便量(便の量)とには一定の関係がある。すなわち、情報処理装置400は、便画像の面積から、関数LN31によりその便画像に対応する便の量を推定することができる。
【0142】
例えば、情報処理装置400は、第1閾値と第2閾値を用いて、便の量を3段階で判定する。この場合、例えば、情報処理装置400は、便画像の面積が第1閾値未満である場合、便の量を「少ない」と判定する。また、情報処理装置400は、便画像の面積が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、便の量を「普通」と判定する。また、情報処理装置400は、便画像の面積が第2閾値以上である場合、便の量を「多い」と判定する。
【0143】
図16の例では、排便量が100g未満である場合を便の量が「少ない」、排便量が100g以上300g未満である場合を便の量が「普通」、排便量が300g以上である場合を便の量が「多い」とする場合を示す。この場合、便の量「100g」に対応する便画像の面積を第1閾値TH31とし、便の量「300g」に対応する便画像の面積を第2閾値TH32とする。第1閾値TH31及び第2閾値TH32は、グラフGR3の情報を基に決定される。
【0144】
図16の例では、第1閾値TH31は、「16000」に決定される。例えば、関数LN31において、横軸は排便量「100g」に対応する便画像の面積(便の面積)の値「16000」が第1閾値TH31に設定される。また、
図16の例では、第2閾値TH32は、「40000」に決定される。例えば、関数LN31において、横軸は排便量「300g」に対応する便画像の面積の値「40000」が第2閾値TH32に設定される。なお、第1閾値TH31及び第2閾値TH32は予め設定されてもよいし、情報処理装置400がグラフGR3や関数LN31の情報を用いて、第1閾値TH31及び第2閾値TH32を決定してもよい。
【0145】
例えば、情報処理装置400は、便性状が硬便であり、便画像の面積の情報を用いる場合、「16000」を第1閾値とし、「40000」を第2閾値として、便の量を判定する。例えば、情報処理装置400は、取得した便画像の面積が「10000」である場合、その便画像に対応する便の量を「少ない」と判定する。情報処理装置400は、取得した便画像の面積が「30000」である場合、その便画像に対応する便の量を「普通」と判定する。情報処理装置400は、取得した便画像の面積が「50000」である場合、その便画像に対応する便の量を「多い」と判定する。
【0146】
<7-4.軟便の量の判定例>
次に、軟便の量の判定例である
図17について説明する。
図17は、軟便の場合の便の量の判定の一例を説明するための図である。具体的には、
図17は、便の面積を用いて、軟便の場合の便の量を判定する一例を示す図である。なお、上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0147】
図17中のグラフGR4の縦軸は便画像の面積を示し、横軸は排便量(便の量)を示す。
図17中の円(〇)で示すプロットPL(データ)は、便性状が軟便である場合の測定結果を示す。なお、
図17では1つのみに符号「PL」を付すが、グラフGR4中の全ての円(〇)が測定結果を示す。
【0148】
図17中の直線で示す関数LN41は、便性状が軟便である場合の便画像の面積と排便量の関係を示す関数である。関数LN41は、
図17中の円(〇)で示すプロットPL(データ)に基づいて導出される関数である。例えば、関数LN41は、複数のデータに対応する(を表現する)関数を導出する手法(例えば最小二乗法等の回帰分析)を適宜用いて導出される。例えば、関数LN41は、性状が軟便である便の便画像の面積を入力として、その便画像に対応する便の量を示す値を出力する関数であってもよい。
【0149】
図17の関数LN41に示すように、便画像の面積と排便量(便の量)とには一定の関係がある。すなわち、情報処理装置400は、便画像の面積から、関数LN41によりその便画像に対応する便の量を推定することができる。
【0150】
例えば、情報処理装置400は、第1閾値と第2閾値を用いて、便の量を3段階で判定する。この場合、例えば、情報処理装置400は、便画像の面積が第1閾値未満である場合、便の量を「少ない」と判定する。また、情報処理装置400は、便画像の面積が第1閾値以上かつ第2閾値未満である場合、便の量を「普通」と判定する。また、情報処理装置400は、便画像の面積が第2閾値以上である場合、便の量を「多い」と判定する。
【0151】
図17の例では、排便量が100g未満である場合を便の量が「少ない」、排便量が100g以上300g未満である場合を便の量が「普通」、排便量が300g以上である場合を便の量が「多い」とする場合を示す。この場合、便の量「100g」に対応する便画像の面積を第1閾値TH41とし、便の量「300g」に対応する便画像の面積を第2閾値TH42とする。第1閾値TH41及び第2閾値TH42は、グラフGR4の情報を基に決定される。
【0152】
図17の例では、第1閾値TH41は、「8000」に決定される。例えば、関数LN41において、横軸は排便量「100g」に対応する便画像の面積の値「8000」が第1閾値TH41に設定される。また、
図17の例では、第2閾値TH42は、「12000」に決定される。例えば、関数LN41において、横軸は排便量「300g」に対応する便画像の面積の値「12000」が第2閾値TH42に設定される。なお、第1閾値TH41及び第2閾値TH42は予め設定されてもよいし、情報処理装置400がグラフGR4や関数LN41の情報を用いて、第1閾値TH41及び第2閾値TH42を決定してもよい。
【0153】
例えば、情報処理装置400は、便性状が軟便であり、便の面積の情報を用いる場合、「8000」を第1閾値とし、「12000」を第2閾値として、便の量を判定する。例えば、情報処理装置400は、取得した便画像の面積が「5000」である場合、その便画像に対応する便の量を「少ない」と判定する。情報処理装置400は、取得した便画像の面積が「10000」である場合、その便画像に対応する便の量を「普通」と判定する。情報処理装置400は、取得した便画像の面積が「15000」である場合、その便画像に対応する便の量を「多い」と判定する。
【0154】
なお、便の量の判定に用いる便画像の情報は、面積に限らず、硬便の場合の
図15に示すように長さの情報が用いられてもよいが、詳細な説明は省略する。
【0155】
<7-5.便の長さ補正例>
次に、便の長さ補正の例である
図18及び
図19について説明する。まず、
図18を用いて、最大長さの便の補正の一例について説明する。
図18は、便の長さの補正の一例を示す図である。例えば、
図18は、便性状が硬便である場合の便の長さの補正の一例を示す図である。なお、上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0156】
図18中のグラフGR5の縦軸は便画像の長さを示し、横軸は排便量(便の量)を示す。
図18中の円(〇)で示すプロットPL(データ)は、便性状が硬便である場合の測定結果を示す。なお、
図18では1つのみに符号「PL」を付すが、グラフGR5中の全ての円(〇)が測定結果を示す。
【0157】
図18中の閾値TH51は、長さの補正に用いる閾値を示す。
図18の例では、閾値TH51の値は、「800」に設定される。
図18の例では、便の量が「多い」(すなわち3段階で最大レベル)と判定される「300g」においても最大便の落下方向の長さは「800」(程度)となる。そのため、情報処理装置400は、最大便の長さは閾値TH51の値「800」を上限値として補正する。例えば、情報処理装置400は、取得された便画像の長さが閾値TH51の値「800」を超える場合、長さを「800」に補正して、補正した値「800」を用いて、便の量を判定する。
【0158】
なお、便画像中に複数の便(塊)が含まれる場合、全ての便(塊)の合計を対象に補正を行ってもよい。
図19を用いて、複数の便の合計の長さの補正について説明する。
図19は、便の長さの補正の一例を示す図である。例えば、
図19は、便性状が硬便である場合の便の長さの補正の一例を示す図である。なお、上述した点と同様の点については適宜説明を省略する。
【0159】
図19中のグラフGR6の縦軸は便画像の長さを示し、横軸は排便量(便の量)を示す。
図19中の円(〇)で示すプロットPL(データ)は、便性状が硬便である場合の測定結果を示す。なお、
図19では1つのみに符号「PL」を付すが、グラフGR6中の全ての円(〇)が測定結果を示す。
【0160】
図19中の閾値TH61は、長さの補正に用いる閾値を示す。
図19の例では、閾値TH61の値は、「1200」に設定される。このように、
図19の例では、便画像中に複数の便(塊)が含まれる場合、情報処理装置400は、最大便の長さは閾値TH61の値「1200」を上限値として補正する。例えば、情報処理装置400は、取得された便画像に複数の便(塊)が含まれ、全ての便(塊)の合計の長さが閾値TH61の値「1200」を超える場合、長さを「1200」に補正して、補正した値「1200」を用いて、便の量を判定する。
【0161】
<7-6.複数の便性状の混在>
次に、
図20及び
図21を用いて、便画像中に複数の性状の便が混在する場合について説明する。まず、
図20を用いて複数の性状の便が混在する便画像の一例について説明する。
図20は、異なる性状の便が含まれる便画像の一例を示す図である。
【0162】
図20の便画像HLFは、便性状が軟便である便と便性状が硬便である便とが含まれる便画像の一例を示す。
図20の便画像HLFは、先に便性状が硬便である便が出て、後で便性状が軟便である便が出た画像の一例を示す。便画像HLFは、領域AR1に便性状が硬便の便が含まれ、領域AR2に便性状が軟便の便が含まれる便画像を示す。
【0163】
このように、複数の便性状の便が含まれる場合、情報処理装置400は、性状ごとに便の量を導出し、導出した便の量を合算した値を用いて便の量を判定する。この点について、
図21を用いて説明する。
図21は、複数の便性状の場合の便の量の判定の一例を説明するための図である。具体的には、
図21は、
図20の便画像HLFを対象として、便画像中に複数の性状の便が混在する場合の便の量の判定例を示す。なお、上述した点と同様の点は適宜説明を省略する。
【0164】
図21中のグラフGR7は、
図14中のグラフGR1に便の量を判定するための情報を付加したグラフを示す。情報処理装置400は、
図20中の領域AR1に含まれる便性状が硬便の便(塊)の面積と、
図21中の関数LN11とを用いて、領域AR1に含まれる便性状が硬便である便の量(「第1便量」ともいう)を算出する。情報処理装置400は、領域AR1に含まれる便性状が硬便である便画像の面積(
図20中のA)が「25000」であるため、関数LN11により、領域AR1中の便の量(第1便量)を「180g」であると算出する。
【0165】
また、情報処理装置400は、
図20中の領域AR2に含まれる便性状が軟便の便(塊)の面積と、
図21中の関数LN12とを用いて、領域AR2に含まれる便性状が軟便である便の量(「第2便量」ともいう)を算出する。情報処理装置400は、領域AR2に含まれる便性状が軟便である便画像の面積(
図20中のB)が「8000」であるため、関数LN12により、領域AR2中の便の量(第2便量)を「95g」であると算出する。
【0166】
そして、情報処理装置400は、算出した第1便量と第2便量とを合算して全体の便の量を導出する。
図21の例では、情報処理装置400は、全体の便の量を「275(=180+95)g」と算出する。情報処理装置400は、導出した全体の便の量を判定基準に照らし合わせて判定する。例えば、情報処理装置400は、
図20の便画像HLFの全体の便の量「275g」が100g以上300g未満であるため、便の量を「普通」と判定する。このように、情報処理装置400は、複数の便性状が混在する場合であっても、適切に便の量を判定することができる。
【0167】
上述した例では、便の重さを用いて便の量を判定する場合を一例として説明したが、情報処理装置400は、便の量を判定可能であれば、便の重さに限らず、様々な情報を用いてもよい。例えば、情報処理装置400は、便の体積を用いて便の量を判定してもよい。この場合、情報処理装置400は、例えば便の体積と、便の長さまたは面積との関係式(関数)を用いて、便の量を判定してもよい。情報処理装置400は、関係式と便の長さまたは面積とから便の体積を算出し、算出した便の体積を基に、便の量を判定(特定)してもよい。
【0168】
なお、上述してきた各実施形態及び変形例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0169】
さらなる効果や変形例は、当業者によって容易に導き出すことができる。このため、本発明のより広範な態様は、以上のように表しかつ記述した特定の詳細および代表的な実施形態に限定されるものではない。したがって、添付の特許請求の範囲およびその均等物によって定義される総括的な発明の概念の精神または範囲から逸脱することなく、様々な変更が可能である。
【符号の説明】
【0170】
R トイレルーム
1 情報処理システム
2 便座装置
3 本体部
30 本体カバー
31 開口
310 遮蔽部
32 人体検知センサ
33 着座検知センサ
34 制御部(制御装置)
4 便蓋
5 便座
6 洗浄ノズル
60 ノズル用蓋
7 洋式大便器(便器)
71 電磁弁
8 ボウル部
9 リム部
10 操作装置
11 表示画面
100 光学ユニット
120 発光部
121 発光素子
130 受光部
131 レンズ
132 受光素子
400 情報処理装置
410 通信部
420 記憶部
421 便情報記憶部
430 制御部
431 取得部(便画像取得部)
432 判定部
433 提供部