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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-10-15
(45)【発行日】2024-10-23
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241016BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022545175
(86)(22)【出願日】2020-08-27
(86)【国際出願番号】 JP2020032480
(87)【国際公開番号】W WO2022044228
(87)【国際公開日】2022-03-03
【審査請求日】2023-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早川 和宏
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 誠一
(72)【発明者】
【氏名】高橋 礼
【審査官】白井 孝治
(56)【参考文献】
【文献】特開2006-262665(JP,A)
【文献】特開平09-219970(JP,A)
【文献】特開2005-347561(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02M 7/42~ 7/98
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1インバータ回路と、前記第1インバータ回路に接続された第1入力端子及び第1出力端子を備え、且つ平面視で矩形形状を有する第1インバータモジュールと、
第2インバータ回路と、前記第2インバータ回路に接続された第2入力端子及び第2出力端子を備え、且つ平面視で矩形形状を有する第2インバータモジュールと、
前記第1インバータモジュール及び前記第2インバータモジュールに接続されたコンデンサモジュールと、
前記第1インバータモジュール、前記第2インバータモジュール、及び前記コンデンサモジュールが収容される矩形の筐体と、を備える電力変換装置であって、
前記第1インバータモジュール及び前記第2インバータモジュールは、互いに隣接し且つ平面視で前記筐体の長辺が伸びる方向に並ぶように配置され
前記第1入力端子は、平面視で前記筐体の一方の短辺となる側壁に対向するように配置され、
前記第1出力端子は、平面視で前記筐体の一方の長辺となる側壁に対向するように配置され、
前記第2入力端子は、平面視で前記筐体の他方の短辺となる側壁に対向するように配置され、
前記第2出力端子は、平面視で前記筐体の他方の長辺となる側壁に対向するように配置され、
前記コンデンサモジュールは、前記第1インバータモジュール及び前記第2インバータモジュールに積層して配置されるとともに、前記第1入力端子及び前記第2入力端子に接続されている電力変換装置。
【請求項2】
前記第1インバータモジュールにおいて、前記第1入力端子は互いに隣接する一対の縁辺の一方に隣接して配置され、前記第1出力端子は前記一対の縁辺の他方に隣接して配置され、残余となる縁辺のいずれかが前記第2インバータモジュールに対向し、
前記第2インバータモジュールにおいて、前記第2入力端子は互いに隣接する一対の縁辺の一方に隣接して配置され、前記第2出力端子は前記一対の縁辺の他方に隣接して配置され、残余となる縁辺のいずれかが前記第1インバータモジュールに対向している請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記コンデンサモジュールは、
前記第1インバータモジュール及び前記第2インバータモジュールに電気的に接続するコンデンサを包含するモジュール本体を備え、
前記モジュール本体は、
平面視で前記第1入力端子及び前記第2入力端子に重ならない位置に配置されている請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記コンデンサモジュールは、
前記第1インバータモジュール及び前記第2インバータモジュールに電気的に接続するコンデンサを包含するモジュール本体を備え、
前記モジュール本体は、
平面視で前記第1入力端子、前記第2入力端子、前記第1出力端子、及び前記第2出力端子に重ならない位置に配置されている請求項1または2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記コンデンサモジュールは、
前記モジュール本体の前記第1インバータモジュール及び前記第2インバータモジュールに対向する面の前記筐体の一方の短辺側の端部から平面視で前記第1入力端子と重なる位置に延出するとともに前記第1入力端子に接続する第1接続端子と、
前記モジュール本体の前記第1インバータモジュール及び前記第2インバータモジュールに対向する面の前記筐体の他方の短辺側の端部から平面視で前記第2入力端子と重なるなる位置に延出するとともに前記第2入力端子に接続する第2接続端子と、を備える請求項3または4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第1接続端子及び前記第2接続端子は、前記モジュール本体の前記第1インバータモジュール及び前記第2インバータモジュールに対向する面側から延出している請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記第1出力端子は、前記筐体の互いに対向する一対の側壁の一方に対向するように配置され、
前記第2出力端子は、前記筐体の互いに対向する一対の側壁の他方に対向するように配置されている請求項1乃至6のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記第1インバータモジュールと、前記第2インバータモジュールは、同一形状、同一規格のものである請求項1乃至7のいずれか一つに記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
JP2015-89244Aは、異なる2つのモータを各々駆動する2つのインバータ回路と各インバータ回路の入力端子に接続する平滑コンデンサを1つの筐体内に配置した電力変換装置を開示している。
【発明の概要】
【0003】
しかし、JP2015-89244Aでは、2つのインバータ回路の間に平滑コンデンサを配置する構成であるので、電力変換装置全体のサイズが大型化する。
【0004】
そこで、本発明は、電力変換装置において、サイズの小型化を目的とする。
【0005】
本発明のある態様によれば、第1インバータ回路と、第1インバータ回路に接続された第1入力端子及び第1出力端子を備え、且つ平面視で矩形形状を有する第1インバータモジュールと、第2インバータ回路と、第2インバータ回路に接続された第2入力端子及び第2出力端子を備え、且つ平面視で矩形形状を有する第2インバータモジュールと、第1インバータモジュール及び第2インバータモジュールに接続されたコンデンサモジュールと、第1インバータモジュール、第2インバータモジュール、及びコンデンサモジュールが収容される矩形の筐体と、を備える電力変換装置である。この電力変換装置において、第1インバータモジュール及び第2インバータモジュールは、互いに隣接し且つ平面視で筐体の長辺方向に並ぶように配置され、第1入力端子は、平面視で筐体の一方の短辺となる側壁に対向するように配置され、第1出力端子は、平面視で筐体の一方の長辺となる側壁に対向するように配置され、第2入力端子は、平面視で筐体の他方の短辺となる側壁に対向するように配置され、第2出力端子は、平面視で筐体の他方の長辺となる側壁に対向するように配置され、コンデンサモジュールは、第1インバータモジュール及び第2インバータモジュールに積層して配置されるとともに、第1入力端子及び第2入力端子に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、第1実施形態の電力変換装置の斜視図である。
図2図2は、第1実施形態の電力変換装置の平面図(コンデンサモジュール実装前)である。
図3図3は、第1実施形態の電力変換装置の平面図(コンデンサモジュール実装後)である。
図4図4は、第1実施形態の電力変換装置の側面図である。
図5図5は、第1実施形態の電力変換装置の回路図である。
図6図6は、第1比較例の電力変換装置の平面図である。
図7図7は、第1実施形態の変形例の電力変換装置の平面図(コンデンサモジュール実装前)である。
図8図8は、第1実施形態の変形例の電力変換装置の平面図(コンデンサモジュール実装後)である。
図9図9は、第2比較例の電力変換装置の平面図である。
図10図10は、第3比較例の電力変換装置の平面図である。
図11図11は、第4比較例の電力変換装置の平面図である。
図12図12は、第2実施形態の電力変換装置の平面図である。
図13図13は、第3実施形態の電力変換装置の平面図である。
図14図14は、第4実施形態の電力変換装置の側面図である。
図15図15は、第5実施形態の電力変換装置の側面図である。
図16図16は、第6実施形態の電力変換装置の平面図である。
図17図17は、第6実施形態の電力変換装置に接続されるコネクタの例の斜視図である。
図18図18は、第7実施形態の電力変換装置の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
【0008】
[第1実施形態の構造]
図1は、第1実施形態の電力変換装置100の斜視図である。図2は、第1実施形態の電力変換装置100の平面図(コンデンサモジュール3実装前)である。図3は、第1実施形態の電力変換装置100の平面図(コンデンサモジュール3実装後)である。図4は、第1実施形態の電力変換装置100の側面図である。
【0009】
第1実施形態の電力変換装置100は、矩形の筐体4の内部に第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2、コンデンサモジュール3(平滑コンデンサ32)が収容され、筐体4の内側の底面に第1インバータモジュール1、及び第2インバータモジュール2が実装され、第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に積層するようにコンデンサモジュール3が配置されている。また、筐体4の上部には蓋部5(図4参照、図1図3では不図示)が配置され、筐体4の開口部を閉止している。
【0010】
第1実施形態の電力変換装置100は、例えば電動車両(不図示)に搭載される。電動車両は、エンジン(内燃機関)と、エンジンの駆動力により発電する発電用モータと、駆動用モータと、バッテリと、を備え、エンジン、または駆動用モータが駆動輪を駆動させるものである。また発電用モータはバッテリに電力を供給し、駆動用モータはバッテリから電力の供給を受けて駆動する。ここで、第1インバータモジュール1は、例えば単相側がバッテリに接続され三相側が駆動用モータ(以後、単にモータと称す。)に接続される。第2インバータモジュール2は、例えば単相側がバッテリに接続され三相側が発電用モータ(以後単にモータと称す。)に接続される。
【0011】
第1インバータモジュール1は、内部に第1インバータ回路11(図5参照)を備え、平面視で矩形(正方形、長方形)形状を有した板状の構成要素である。第1インバータモジュール1の上面には第1入力端子1P,1Nと第1出力端子1U,1V,1Wが配置されている。第1入力端子1P,1Nは第1インバータ回路11の単相側に接続されコンデンサモジュール3に接続されるものである。第1出力端子1U,1V,1Wは、第1インバータ回路11の三相側に接続され電動車両のモータに電気的に接続される。
【0012】
ここで、第1入力端子1P,1Nは、第1インバータモジュール1の4つの縁辺のうちの一つの縁辺側に隣接して配置されている。また第1出力端子1U,1V,1Wは、第1インバータモジュール1において第1入力端子1P,1Nが隣接して配置されている縁辺に隣接する2つの縁辺のうちの一方の縁辺側に隣接して配置されている。よって第1入力端子1P,1Nと第1出力端子1U,1V,1Wは、第1インバータモジュール1の互いに隣接する2つの縁辺側において、平面視で「L」の文字を左右反転した図柄(または「L」の文字の図柄)を形成するように配置されている。
【0013】
第2インバータモジュール2は、第1インバータモジュール1と同一形状、同一規格のものを適用できる。よって、第2インバータモジュール2は、第1インバータ回路11に相当する第2インバータ回路21、第1入力端子1P,1Nに相当する第2入力端子2P,2Nを備えている。また、第2インバータモジュール2は、第1出力端子1U,1V,1Wに相当する第2出力端子2U,2V,2Wを備えており、これらは電動車両のモータに電気的に接続される。
【0014】
図2等に示すように、筐体4内において、第1インバータモジュール1は、第1入力端子1P,1N及び第1出力端子1U,1V,1Wが配置されていない縁辺が第2インバータモジュール2に対向するように配置されている。同様に、第2インバータモジュール2は、第2入力端子2P,2N及び第2出力端子2U,2V,2Wが配置されていない縁辺が第1インバータモジュール1に対向するように配置されている。例えば、第2インバータモジュール2は第1インバータモジュール1の向きから180度回転させた状態で第1インバータモジュール1に隣接して配置されている。なお、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2が互いに接触した状態で筐体4の底面に実装されてもよい。
【0015】
よって、第1インバータモジュール1の第1入力端子1P,1Nは、平面視で筐体4の一方の短辺となる側壁に対向するように配置され、第2インバータモジュール2の第2入力端子2P,2Nは、平面視で筐体4の他方の短辺となる側壁に対向するように配置される。
【0016】
また、第1インバータモジュール1の第1出力端子1U,1V,1Wは、平面視で筐体4の一方の長辺に対向し且つ当該一方の長辺の側壁であって前記一方の短辺側に配置され、第2インバータモジュール2の第2出力端子2U,2V,2Wは、平面視で筐体4の他方の長辺の側壁に対向し且つ当該他方の長辺の側壁であって前記他方の短辺側に配置される。
【0017】
コンデンサモジュール3は、例えば直方体形状のモジュール本体31を有し、モジュール本体31は平滑コンデンサ32等(図5参照)を樹脂封止したものである。
【0018】
図3に示すように、モジュール本体31は、平面視で、第1入力端子1N,1P、第1出力端子1U,1V,1W、第2入力端子2P,2N、第2出力端子2U,2V,2Wに重ならないように配置されている。すなわち、モジュール本体31は、平面視で、第1入力端子1N,1P、第1出力端子1U,1V,1W、第2入力端子2P,2N、第2出力端子2U,2V,2Wに囲まれた領域の内側に配置される。
【0019】
図4に示すように、モジュール本体31の下面(第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に対向する面)において、第1入力端子1P,1Nに対向する短辺側から第1接続端子34P,34N(バスバー)が延出し、これが第1入力端子1P,1Nに接続されている。またモジュール本体31の下面において、第2入力端子2P,2Nに対向する短辺側から第2接続端子35P,35N(バスバー)が延出し、これが第2入力端子2P,2Nに接続されている。
【0020】
図4に示すように、第1接続端子34P,34N、第2接続端子35P,35Nは、L字形状を有している。
【0021】
図3図4に示すように、第1接続端子34Pは、水平方向に延びる先端が第1入力端子1Pに重なるように配置され、第1入力端子1Pにネジ止めされる。また、第1接続端子34Nは、水平方向に延びる先端が第1入力端子1Nに重なるように配置され、第1入力端子1Nにネジ止めされている。
【0022】
第2接続端子35Pは、水平方向に延びる先端が第2入力端子2Pに重なるように配置され、第2入力端子2Pにネジ止めされている。また、第2接続端子35Nは、水平方向に延びる先端が第2入力端子2Nに重なるように配置され、第2入力端子2Nにネジ止めされている。
【0023】
よって、コンデンサモジュール3は、モジュール本体31が第1接続端子34P,34N及び第2接続端子35P,35Nに支持される態様で第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に積層するように配置される。なお、第1インバータモジュール1(第2インバータモジュール2も同様)の上面に第1インバータ回路11(図5)を駆動させる素子(不図示)を配置し、当該素子がモジュール本体31と第1インバータモジュール1の間に配置されるように構成してもよい。
【0024】
図3に示すように、モジュール本体31の下面の長辺側(または長辺の側面)からは第3接続端子36P,36N(バスバー)が延出している。第3接続端子36P,36Nは、電動車両のバッテリに電気的に接続されるものである。
【0025】
第3接続端子36P,36Nは、平面視で第1入力端子1P,1N(第1接続端子34P,34N)、第1出力端子1U,1V,1W、第2入力端子2P,2N(第2接続端子35P,35N)、第2出力端子2U,2V,2Wとは重ならない任意に位置に配置することができる。
【0026】
前記のように、モジュール本体31は平滑コンデンサ32等を樹脂封止したものであり、下面側から第1接続端子34P,34N、第2接続端子35P,35N、及び第3接続端子36P,36Nが延出している。一方、モジュール本体31の上面側は絶縁されている。よって、図4に示すように、モジュール本体31の上側と蓋部5との間で短絡するおそれがないので両者を互いに近接させることができ、その分、電力変換装置100の厚み方向の寸法を小さくすることができる。
【0027】
なお、図示は省略するが、筐体4の外側の底面にはヒートシンクが形成され、筐体4の外側の底面及びヒートシンクが冷媒に接触するように筐体4が冷媒通路に取り付けられた構成となっている。よって、電力変換装置100は冷媒に対して放熱することができる。
【0028】
[第1実施形態の回路図]
図5は、第1実施形態の電力変換装置100の回路図である。図5に示すように、本実施形態の電力変換装置100は、コンデンサモジュール3に第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2が並列に接続されたものである。
【0029】
第1インバータモジュール1(第1インバータ回路11)は、IGBT(InsuKated Gate BipoKar Transistor)等のパワートランジスタ12Aと帰還ダイオード13Aとの並列回路と、パワートランジスタ12Bと帰還ダイオード13Bとの並列回路と、を直列に接続した直列回路(直列回路11U、直列回路11V、直列回路11W)が3個並列に接続されたものである。
【0030】
直列回路11U,11V,11Wの正極側は第1入力端子1Pに並列に接続され、直列回路11U,11V,11Wの負極側は第1入力端子1Nに並列に接続されている。
【0031】
直列回路11Uの接続中点UMは第1出力端子1Uに接続され、直列回路11Vの接続中点VMは第1出力端子1Vに接続され、直列回路11Wの接続中点WMは第1出力端子1Wに接続されている。
【0032】
ここで直列回路11U,11V,11W(第1インバータ回路11)は、PWM信号を受けると、第1出力端子1U,1V,1Wを介して三相の交流信号を出力するが、電動車両のモータが回生電流を発生させると、第1出力端子1U,1V,1Wを介して当該回生電力が入力され、これを単層の電流に変換して第1入力端子1P,1N(バッテリ)に出力する。
【0033】
第2インバータモジュール2(第2インバータ回路21)は、第1インバータモジュール1と同様にパワートランジスタ22Aと帰還ダイオード23Aとの並列回路と、パワートランジスタ22Bと帰還ダイオード23Bとの並列回路と、を直列に接続した直列回路(直列回路21U、直列回路21V、直列回路21W)が3個並列に接続されたものであり、第1インバータモジュール1と同様の動作をする。
【0034】
直列回路21U,21V,21Wの正極側は第2入力端子2Pに並列に接続され、直列回路21U,21V,21Wの負極側は第2入力端子2Nに並列に接続されている。
【0035】
直列回路21Uの接続中点UMは第2出力端子2Uに接続され、直列回路21Vの接続中点VMは第2出力端子2Vに接続され、直列回路21Wの接続中点WMは第2出力端子2Wに接続されている。
【0036】
コンデンサモジュール3は、モジュール本体31の外部に第1接続端子34P,34Nと、第2接続端子35P,35Nと、第3接続端子36P,36Nを備え、モジュール本体31の内部に平滑コンデンサ32と、抵抗33と、内部配線37P,37N(バスバー)を備えている。
【0037】
内部配線37Pの一端は第1接続端子34Pに接続され、他端は第2接続端子35Pに接続されている。また内部配線37Pには、第3接続端子36Pと、平滑コンデンサ32の一端と、抵抗33の一端が接続されている。
【0038】
内部配線37Nの一端は第1接続端子34Nに接続され、他端は第2接続端子35Nに接続されている。また内部配線37Nには、第3接続端子36Nと、平滑コンデンサ32の他端と、抵抗33の他端が接続されている。ここで、抵抗33は、例えば第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2の動作が停止すると平滑コンデンサ32に蓄えられた電荷を放電させて熱として消費するものであるが、省略してもよい。
【0039】
第1入力端子1Pは、第1接続端子34P(バスバー)に直接接続し、第1入力端子1Nも第1接続端子34N(バスバー)に直接接続している。同様に、第2入力端子2Pは、第2接続端子35P(バスバー)に直接接続し、第2入力端子2Nも第2接続端子35N(バスバー)に直接接続している。
【0040】
[第1実施形態と第1比較例との対比]
図6は、第1比較例の電力変換装置100Jの平面図である。なお、以後の実施形態(比較例も含む)において、同一の構成要素には同一の番号を付し、必要な場合を除いてその説明を省略する。
【0041】
第1比較例の電力変換装置100Jは、前記のJP2015-89244Aと同様の構成となっている。すなわち、筐体4Jの内部の底面に第1インバータモジュール1J、第2インバータモジュール2J、コンデンサモジュール3Jが実装されている。コンデンサモジュール3Jは、第1インバータモジュール1Jと第2インバータモジュール2Jとの間に配置されている。
【0042】
第1インバータモジュール1Jは、第1出力端子1U,1V,1Wを備えている。また第1インバータモジュール1Jは、第1出力端子1Uから三相交流電流(U相)を出力するための直流電流が入力される第1入力端子1PU,1NUと、第1出力端子1Vから三相交流電流(V相)を出力するための直流電流が入力される第1入力端子1PV,1NVと、第1出力端子1Wから三相交流電流(W相)を出力するための直流電流が入力される第1入力端子1PW,1NWを備えている。
【0043】
第2インバータモジュール2Jは、第1インバータモジュール1Jと同様に、第2出力端子2U,2V,2Wを備え、さらに第2入力端子2PU,2NU,2PV,2NV,2PW,2NWを備えている。
【0044】
コンデンサモジュール3Jの長手方向の端部には、第3接続端子36P,36Nが接続されている。
【0045】
また、コンデンサモジュール3Jにおいて、第1入力端子1PU,1PV,1PW、及び第2入力端子2PU,2PV,2PWにそれぞれ対向するように第4接続端子38Pが複数配置されている。
【0046】
さらに、コンデンサモジュール3Jにおいて、第1入力端子1NU,1NV,1NW、及び第2入力端子2NU,2NV,2NWにそれぞれ対向するように第4接続端子38Nが複数配置されている。
【0047】
第4接続端子38Pはそれぞれ対向する第1入力端子1PU,1PV,1PW、及び第2入力端子2PU,2PV,2PWと中継バスバー6を介して電気的に接続され、第4接続端子38Nはそれぞれ対向する第1入力端子1NU,1NV,1NW、及び第2入力端子2NU,2NV,2NWに中継バスバー6を介して接続されている。
【0048】
また、第4接続端子38Pはモジュール本体31の内部に配置された内部配線37P(図5)を介して第3接続端子36Pに電気的に接続されている。第4接続端子38Nはモジュール本体31の内部に配置された内部配線37N(図5)を介して第3接続端子36Nに電気的に接続されている。
【0049】
第1比較例の電力変換装置100Jは、上記のように、コンデンサモジュール3Jが、第1インバータモジュール1Jと第2インバータモジュール2Jとの間に配置されている。このため、筐体4J及び電力変換装置100Jの平面視のサイズが大きくなる。
【0050】
これに対して、第1実施形態の電力変換装置100では、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2の間にコンデンサモジュール3が配置されることはなく、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2が互いに隣接して(若しくは互いに接触して)配置され、コンデンサモジュール3は、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2の上に積層するように配置される。これにより、筐体4及び電力変換装置100の平面視のサイズを小さくすることができる。
【0051】
また、第1比較例の電力変換装置100Jでは、第3接続端子36P,36Nの配置位置が、コンデンサモジュール3Jの第1インバータモジュール1J及び第2インバータモジュール2Jと対向していない短辺側に制限される。このため、位置を変更する場合(バッテリ側の端子が当該短辺側にない電動車両に電力変換装置100Jを搭載する場合)は、別途バスバー用いて第3接続端子36P,36Nとバッテリ側の端子を接続する必要があり、その分コストとサイズが増加する。
【0052】
これに対して、第1実施形態の電力変換装置100(図2図3)では、コンデンサモジュール3が第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2の上に配置される。これにより、第3接続端子36P,36Nをコンデンサモジュール3において、平面視で第1入力端子1P,1N(第1接続端子34P,34N)、第1出力端子1U,1V,1W、第2入力端子2P,2N(第2接続端子35P,35N)、第2出力端子2U,2V,2Wとは重ならない任意に位置に配置することができ、特に別途バスバーを用いることなくバッテリ側の端子と接続することができ、その分コストとサイズの増加を回避することができる。
【0053】
[第1実施形態の変形例と第1比較例及び第2比較例との比較]
図7は、第1実施形態の変形例の電力変換装置100Aの平面図(コンデンサモジュール3A実装前)である。図8は、第1実施形態の変形例の電力変換装置100Aの平面図(コンデンサモジュール3A実装後)である。図9は、第2比較例の電力変換装置100Kの平面図である。
【0054】
図7図8に示すように、変形例の電力変換装置100Aは、第1実施形態の電力変換装置100において、第2インバータモジュール2を第1インバータモジュール1と同じ向きから左方向に90度回転させた状態で第1インバータモジュール1に隣接して配置している。
【0055】
これにより、第1出力端子1U,1V,1Wは、筐体4の長辺の側壁に対向し、第2出力端子2U,2V,2Wは、筐体4の短辺の側壁に対向する。
【0056】
コンデンサモジュール3Aにおいて、第2接続端子35P,35Nは、モジュール本体31の長辺の側面から延出し、第2入力端子2P,2Nに重なるように配置されている。また、第3接続端子36P,36Nは、例えばモジュール本体31の第2接続端子35P,35Nが配置された長辺の側面に対向する側面に配置されている。さらに、図示は省略するが、内部配線37N,37P(図5参照)は、第2接続端子35P,35N及び第3接続端子36P,36Nの配置に合わせてモジュール本体31の内部における配置を変更している。
【0057】
図8では、第1出力端子1U,1V,1Wは、筐体4の短辺の側壁に対向するように配置されているが、第1インバータモジュール1を右方向に90度回転させて筐体4の短辺の側壁に対向するように配置することも可能である。この場合、平面視で第1入力端子1P,1Nに重なるように第1接続端子34P,34Nをモジュール本体31の長辺の側面に配置し、内部配線37N,37P(図5参照)を、第1接続端子34P,34Nの配置に合わせてモジュール本体31の内部における配置を変更する。
【0058】
いずれの場合であっても、外部に別途バスバーを用いることなく、モジュール本体31内部の内部配線37N,37Pの配置を変更するのみで、第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2の配置態様を変更することができる。
【0059】
前記の第1比較例の電力変換装置100Jでは、第1入力端子1PU,1PV,1PW,1NU,1NV,1NW、及び第2入力端子2PU,2PV,2PW,2NU,2NV,2NWは、それぞれ第1インバータモジュール1J及び第2インバータモジュール2Jの互いに対向する縁辺側に配置する構成となっている。
【0060】
これにより、第1出力端子1U,1V,1W、及び第2出力端子2U,2V,2Wが配置される位置は、それぞれ第1入力端子1PU,1PV,1PW,1NU,1NV,1NW、及び第2入力端子2PU,2PV,2PW,2NU,2NV,2NWが配置された縁辺に対向する縁辺に制限される。
【0061】
このため、位置を変更する場合(モータ側の端子が当該縁辺側にない電動車両に電力変換装置100Jを搭載する場合)は、別途バスバー用いて第1出力端子1U,1V,1W(または第2出力端子2U,2V,2W)とモータ側の端子を接続する必要があり、その分コストとサイズが増加する。
【0062】
これに対して、変形例の電力変換装置100Aでは、搭載する車両の設計に応じて第1出力端子1U,1V,1W、及び/または、第2出力端子2U,2V,2Wの配置位置を筐体4の長辺の側壁に対向する位置、または筐体4の短辺の側壁に対向する位置に変更することができ、電力変換装置100A(電力変換装置100)の汎用性を高めることができる。
【0063】
図9に示すように、第2比較例の電力変換装置100Kは、第1実施形態の電力変換装置100の第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2を共通に用いている。しかし、電力変換装置100Kは、筐体4K内において、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2の間にコンデンサモジュール3Kを配置した構成となっている。
【0064】
第1インバータモジュール1は、第1入力端子1P,1Nが配置された縁辺が第2インバータモジュール2に対向するように配置され、第2インバータモジュール2は、第2入力端子2P,2Nが配置された縁辺が第1インバータモジュール1に対向するように配置されている。
【0065】
コンデンサモジュール3Kの長手方向の端部には、第3接続端子36P,36Nが接続されている。
【0066】
また、コンデンサモジュール3Kにおいて、第1入力端子1P、第2入力端子2Pそれぞれ対向するように第4接続端子38Pが2個配置されている。
【0067】
さらに、コンデンサモジュール3Jにおいて、第1入力端子1N、第2入力端子2Nにそれぞれ対向するように第4接続端子38Nが2個配置されている。
【0068】
第4接続端子38Pはそれぞれ対向する第1入力端子1P、及び第2入力端子2Pと中継バスバー6を介して電気的に接続され、第4接続端子38Nはそれぞれ対向する第1入力端子1N、及び第2入力端子2Nに中継バスバー6を介して接続されている。
【0069】
また、第4接続端子38Pはモジュール本体31の内部に配置された内部配線37P(図5)を介して第3接続端子36Pに電気的に接続されている。第4接続端子38Nはモジュール本体31の内部に配置された内部配線37N(図5)を介して第3接続端子36Nに電気的に接続されている。
【0070】
第2比較例の電力変換装置100Kでは、第1入力端子1P,1N、及び第2入力端子2P,2Nは、それぞれ第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2の互いに対向する縁辺側に配置する構成となっている。
【0071】
よって、第2比較例において、第1出力端子1U,1V,1Wの配置位置は、例えば筐体4Kの一方(図8右側)の長辺の側壁に対向する位置に制限され、第2出力端子2U,2V,2Wが配置される位置は、筐体4Kの他方(図8左側)の長辺の側壁に対向する位置に制限される。
【0072】
このため、位置を変更する場合(モータ側の端子が筐体4Kの長辺の側壁側にない電動車両に電力変換装置100Kを搭載する場合)は、別途バスバー用いて第1出力端子1U,1V,1W(または第2出力端子2U,2V,2W)とモータ側の端子を接続する必要があり、その分コストとサイズが増加する。
【0073】
これに対して、変形例の電力変換装置100Aでは、前記のように、搭載する車両の設計に応じて、第1出力端子1U,1V,1W、及び/または、第2出力端子2U,2V,2Wの配置位置を変更することができ、電力変換装置100A(電力変換装置100)の汎用性を高めることができる。
【0074】
[第1実施形態等と第3変形例及び第4変形例との比較]
図10は、第3比較例の電力変換装置100Lの平面図である。図11は、第4比較例の電力変換装置100Mの平面図である。
【0075】
第3比較例の電力変換装置100L及び第4比較例の電力変換装置100Mは、第1実施形態の電力変換装置100の第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2を共通に用いている。
【0076】
しかし、第3比較例の電力変換装置100Lは、筐体4L内において、第2インバータモジュール2は第1インバータモジュール1と向きが同じになっている。第1インバータモジュール1は、第1入力端子1P,1N、及び第1出力端子1U,1V,1Wが隣接して配置された縁辺以外の2つの縁辺のうちの一方が第2インバータモジュール2に対向するように配置されている。
【0077】
第2インバータモジュール2は、第2入力端子2P,2Nが隣接して配置された縁辺が第1インバータモジュール1に対向するように配置されている。
【0078】
コンデンサモジュール3Lは第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に積層するように配置されている。しかし、この配置の場合、第2入力端子2P,2Nがモジュール本体31に覆われてしまい、第2接続端子35P,35N(図10では不図示)との接続が困難となる。そこで、電力変換装置100Lでは、第2入力端子2P,2Nにそれぞれ中継バスバー6を接続して第2入力端子2P,2Nとの接点を平面視でモジュール本体31と重ならない位置まで引き出し、中継バスバー6と第2入力端子2P,2Nとを接続している。このため、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2の間には2つの中継バスバー6を配置するためのスペースを必要とし、その分、筐体4Lの平面視したサイズが大きくなる。
【0079】
また、第4比較例の電力変換装置100Mも、筐体4M内において、第2インバータモジュール2は第1インバータモジュール1と向きが同じになっている。第1インバータモジュール1は、第1入力端子1P,1N、及び第1出力端子1U,1V,1Wが隣接して配置された縁辺以外の2つの縁辺のうちの他方が第2インバータモジュール2に対向するように配置されている。
【0080】
第2インバータモジュール2は、第2出力端子2U,2V,2Wが隣接して配置された縁辺が第1インバータモジュール1に対向するように配置されている。
【0081】
コンデンサモジュール3Mは第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に積層するように配置されている。しかし、この配置の場合、第2出力端子2U,2V,2Wがモジュール本体31に覆われてしまい、モータ側の端子との接続が困難となる。そこで、電力変換装置100Mでは、第2出力端子2U,2V,2Wにそれぞれ中継バスバー6を接続して第2出力端子2U,2V,2Wとの接点を平面視でモジュール本体31と重ならない位置まで引き出し、中継バスバー6とモータ側の端子とを接続している。このため、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2の間には3つの中継バスバー6を配置するためのスペースを必要とし、その分、筐体4Mの平面視したサイズが大きくなる。
【0082】
これに対して電力変換装置100,100Aでは、第1インバータモジュール1は、第1入力端子1P,1N、及び第1出力端子1U,1V,1Wが隣接して配置された2つの縁辺のうちのいずれか一方が第2インバータモジュール2に対向するように配置され、第2インバータモジュール2は、第2入力端子2P,2N、及び第2出力端子2U,2V,2Wが隣接して配置された2つの縁辺うちのいずれか一方が第1インバータモジュール1に対向するように配置されている。これにより、コンデンサモジュール3(モジュール本体31)により各端子が覆われることはなく、中継バスバー6を用いることなくコンデンサモジュール3と第2インバータモジュール2(または第1インバータモジュール1)との接続、及び第2インバータモジュール2(または第1インバータモジュール1)とモータ側の端子との接続が可能となる。また中継バスバー6が不要となるので、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2とを互いに隣接して(或いは互いに接触して)配置することができ、電力変換装置100,100A(筐体4)の平面視のサイズを前記のスペースの分だけ小さくすることができる。
【0083】
[第1実施形態の効果]
第1実施形態の電力変換装置100,100Aによれば、第1インバータ回路11と、第1インバータ回路11に接続された第1入力端子1P,1N及び第1出力端子1U,1V,1Wを備えた第1インバータモジュール1と、第2インバータ回路21と、第2インバータ回路21に接続された第2入力端子2P,2N及び第2出力端子2U,2V,2Wを備えた第2インバータモジュール2と、第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に接続されたコンデンサモジュール3と、第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2、及びコンデンサモジュール3が収容される筐体4と、を備える電力変換装置100,100Aであって、第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2は、互いに隣接して配置され、第1入力端子1P,1N及び第1出力端子1U,1V,1Wは、第1インバータモジュール1の第2インバータモジュール2に対向する縁辺とは異なる縁辺に隣接して配置され、第2入力端子2P,2N及び第2出力端子2U,2V,2Wは、第2インバータモジュール2の第1インバータモジュール1に対向する縁辺とは異なる縁辺に隣接して配置され、コンデンサモジュール3は、第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に積層して配置されるとともに、第1入力端子1P,1N及び第2入力端子2P,2Nに接続されている。
【0084】
上記構成により、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2の間にコンデンサモジュール3が配置されることはないので、筐体4を含む電力変換装置100,100Aの平面視のサイズを小さくすることができる。
【0085】
また、コンデンサモジュール3は第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に積層するように配置されるので、第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2とコンデンサモジュール3の間、またはバッテリ側の端子とコンデンサモジュール3の間で中継するバスバーが不要となり、コンデンサモジュール3(モジュール本体31)の任意の位置で第1入力端子1P,1N、及び第2入力端子2P,2Nとの接続が可能となる。
【0086】
さらに、第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2は、端子が配置されていない縁辺同士を対向させた状態で近接して配置されているので、第1出力端子1U,1V,1Wとの接点をコンデンサモジュール3と重なる位置から引き出すバスバー、及び第2出力端子2U,2V,2Wとの接点をコンデンサモジュール3と重なる位置から引き出すバスバーは不要となる。
【0087】
そして、コンデンサモジュール3において、バッテリ側の端子と接続する端子(第3接続端子36P,36N)を、平面視で第1入力端子1P,1N、第1出力端子1U,1V,1W、第2入力端子2P,2N、及び第2出力端子2U,2V,2Wとは重ならない任意の位置に配置できる。したがって、車両の設計に応じて第3接続端子36P,36Nの位置を変更して、第3接続端子36P,36Nとバッテリ側の端子とを直接接続することができるので汎用性を高めることができ、別途バスバーを用いることなく両者を直接接続することができるので、その分サイズを小さくすることができる。
【0088】
第1実施形態において、第1インバータモジュール1において、第1入力端子1P,1Nは互いに隣接する一対の縁辺の一方に隣接して配置され、第1出力端子1U,1V,1Wは一対の縁辺の他方に隣接して配置され、残余となる縁辺のいずれかが第2インバータモジュール2に対向し、第2インバータモジュール2において、第2入力端子2P,2Nは互いに隣接する一対の縁辺の一方に隣接して配置され、第2出力端子2U,2V,2Wは一対の縁辺の他方に隣接して配置され、残余となる縁辺のいずれかが第1インバータモジュール1に対向している。
【0089】
これにより、第1インバータモジュール1において第1入力端子1P,1N及び第1出力端子1U,1V,1Wが配置されておらず且つ互いに直交する一対の縁辺が形成され、第2インバータモジュール2において第2入力端子2P,2N及び第2出力端子2U,2V,2Wが配置されておらず且つ互いに直交する一対の縁辺が形成される。
【0090】
よって、第1インバータモジュール1は、第1入力端子1P,1N及び第1出力端子1U,1V,1Wが配置されていない一対の縁辺のうちの任意の一方を第2インバータモジュール2に対向させる配置が可能となり、第2インバータモジュール2は、第2入力端子2P,2N及び第2出力端子2U,2V,2Wが配置されていない一対の縁辺のうちの任意の一方を第1インバータモジュール1に対向させる配置が可能となる。
【0091】
したがって、第1インバータモジュール1は第1出力端子1U,1V,1Wの位置を車両のモータの端子の配置に合わせて任意に変更となるので汎用性を高めることができ、別途バスバーを用いることなく両者を直接接続することができるので、その分サイズを小さくすることができる。同様に、第2インバータモジュール2は第2出力端子2U,2V,2Wの位置を車両のモータの端子の配置に合わせて任意に変更となるので汎用性を高めることができ、別途バスバーを用いることなく両者を直接接続することができるので、その分サイズを小さくすることができる。
【0092】
第1実施形態において、コンデンサモジュール3は、第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に電気的に接続する平滑コンデンサ32を包含するモジュール本体31を備え、モジュール本体31は、平面視で第1入力端子1P,1N、第2入力端子2P,2N、第1出力端子1U,1V,1W、及び第2出力端子2U,2V,2Wに重ならない位置に配置されている。
【0093】
これにより、第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2上にコンデンサモジュール3を積層するように配置しても、平面視で第1入力端子1P,1N、第2入力端子2P,2N、第1出力端子1U,1V,1W、及び第2出力端子2U,2V,2Wはモジュール本体31から露出した状態で視認できる。
【0094】
したがって、コンデンサモジュール3(第1接続端子34P,34N)と第1インバータモジュール1(第1入力端子1P,1N)との締結・固定作業、コンデンサモジュール3(第2接続端子35P,35N)と第2インバータモジュール2(第2入力端子2P,2N)との締結・固定作業、第1インバータモジュール1(第1出力端子1U,1V,1W)と車両のモータ側の端子との締結・固定作業、第2インバータモジュール2(第2出力端子2U,2V,2W)と車両のモータ側の端子との締結・固定作業を容易に実行できる。
【0095】
第1実施形態において、コンデンサモジュール3は、モジュール本体31の第1入力端子1P,1Nに対向する位置から延出するとともに第1入力端子1P,1Nに接続する第1接続端子34P,34Nと、モジュール本体31の第2入力端子2P,2Nに対向する位置から延出するとともに第2入力端子2P,2Nに接続する第2接続端子35P,35Nと、を備える。
【0096】
これにより、別途バスバーを用いることなく第1接続端子34P,34Nを短距離で第1入力端子1P,1Nに直接接続し第2接続端子35P,35Nを短距離で第2入力端子2P,2Nに直接接続することができるので部品点数を減らして電力変換装置100,100Aのサイズを小型化することができ、且つ短距離で接続できるのでその分インダクタクタンスを抑制することができる。
【0097】
第1実施形態において、第1接続端子34P,34N及び第2接続端子35P,35Nは、モジュール本体31の第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に対向する面側から延出している。
【0098】
これにより、第1接続端子34P,34N及び第2接続端子35P,35Nをさらに短く設計することができるので、第1接続端子34P,34N及び第2接続端子35P,35Nの剛性を高め、モジュール本体31を安定的に支持することができる。また筐体4の開口部を蓋部5で封止する場合、樹脂成型されたモジュール本体31の上側と蓋部5との間で短絡が発生するおそれがないので両者を互いに近接させることができ、その分、電力変換装置100,100Aの厚み方向の寸法を小さくすることができる。
【0099】
第1実施形態において、第1インバータモジュール1と、第2インバータモジュール2は、互いに同じものである。これにより、電力変換装置100,100Aのコストを抑制することができる。
【0100】
[第2実施形態]
図12は、第2実施形態の電力変換装置100Bの平面図である。第2実施形態の電力変換装置100Bは、電動車両において例えば駆動用モータが複数ある場合に適用される。第2実施形態の電力変換装置100Bは第1インバータモジュール1(または第2インバータモジュール2)を90度対称となるように4個配置したものであり、第1入力端子1P,1N、第1出力端子1U,1V,1Wが全て筐体4Bの側壁に近接して対向するように配置されている。
【0101】
コンデンサモジュール3B(モジュール本体31)は、全ての第1インバータモジュール1に積層するように配置され、且つ平面視で第1入力端子1P,1N、第1出力端子1U,1V,1Wに重ならない位置に配置されている。
【0102】
図示は省略するが、第1接続端子34P(4個)は、第1実施形態と同様に第1入力端子1P(4個)に重なるように配置され、第1接続端子34N(4個)も第1入力端子1N(4個)に重なるように配置される。また第3接続端子36P,36Nは、平面視で第1入力端子1P,1N、第1出力端子1U,1V,1Wに重ならない任意の位置に配置されている。
【0103】
モジュール本体31において、内部配線37P(図5)には第3接続端子36P(図12では不図示)が接続され、さらに4個の第1入力端子1P(図12では不図示)が並列に接続されている。同様に、内部配線37N(図5)には第3接続端子36N(図12では不図示)が接続され、さらに4個の第1入力端子1N(図12では不図示)が並列に接続されている。
【0104】
図12に示すように、第1インバータモジュール1(または第2インバータモジュール2)を4個用いて電力変換装置100Bを構築する際も中継バスバー6(図10図11)を用いる必要はない。
【0105】
[第3実施形態]
図13は、第3実施形態の電力変換装置100Cの平面図である。第3実施形態の電力変換装置100Cは、第1実施形態の電力変換装置100に類似するが、コンデンサモジュール3Cが平面視で第1出力端子1U,1V,1W、及び第2出力端子2U,2V,2Wに重なるように配置されている。
【0106】
この場合、第1出力端子1U,1V,1W及び第2出力端子2U,2V,2Wにモータ側の端子を接続した後、コンデンサモジュール3Bを第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に配置し、第1接続端子34P,34Nを第1入力端子1P,1Nに接続し、第2接続端子35P,35Nを第2入力端子2P,2Nに接続する。
【0107】
第3実施形態では、第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2上にコンデンサモジュールBを積層するように配置しても、平面視で第1入力端子1P,1N、第2入力端子2P,2Nはモジュール本体31から露出した状態で視認できる。したがって、コンデンサモジュール3B(第1接続端子34P,34N)と第1インバータモジュール1(第1入力端子1P,1N)との締結・固定作業、コンデンサモジュール3B(第2接続端子35P,35N)と第2インバータモジュール2(第2入力端子2P,2N)との締結・固定作業を容易に実行できる。さらに、コンデンサモジュール3Bのモジュール本体31が第1実施形態よりも大きく設計することができるので、その分、平滑コンデンサ32の容量を大きく設計することができる。
【0108】
[第4実施形態]
図14は、第4実施形態の電力変換装置100Dの側面図である。第4実施形態の電力変換装置100Dは、第1実施形態の電力変換装置100において、モジュール本体31の側面と筐体4の側壁との間に梁8を取り付けたものである。図14では、モジュール本体31の短辺の側壁と筐体4の短辺の側壁とを接続する梁8が図示されているが、モジュール本体31の長辺の側壁と筐体4の長辺の側壁とを接続する梁8(不図示)も存在する。梁8は一定の剛性を有するものが適用される。これにより、モジュール本体31が第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2に対して水平方向及び垂直方向に変位することを抑制することができる。特に、第1接続端子34P,34N及び第2接続端子35P,35Nの剛性が十分でない場合に梁8は有効に機能する。
【0109】
なお、図14に示すように、第1接続端子34P,34Nは、モジュール本体31の側壁であって第1インバータモジュール1側から延出するように構成してもよく、同様に第2接続端子35P,35Nは、モジュール本体31の側壁であって第2インバータモジュール2側から延出するように構成してもよい。
【0110】
[第5実施形態]
図15は、第5実施形態の電力変換装置100Eの側面図である。第5実施形態の電力変換装置100Eは、第4実施形態の電力変換装置100Dの変形例である。すなわち、第1接続端子34P,34Nは、モジュール本体31の下面から延出して途中で第1入力端子1P,1N側に直角に折れ曲がり、第1入力端子1P,1Nの上を通過して第1入力端子1P,1Nの筐体4の短辺に対向する縁辺の真上となる位置で第1入力端子1P,1Nに向けて折れ曲がり、第1入力端子1P,1Nに到達すると第1入力端子1P,1Nに接触しつつモジュール本体31側に延出している。第2接続端子35P,35Nも第1接続端子34P,34Nと同様の形態を有している。第1入力端子1P,1Nと第1接続端子34P,34Nは溶接等で接続され、第2入力端子2P,2Nと第2接続端子35P,35Nも溶接等で接続される。
【0111】
[第6実施形態]
図16は、第6実施形態の電力変換装置100Fの平面図である。図17は、第6実施形態の電力変換装置100Fに接続されるコネクタ7の例の斜視図である。第6実施し形態の電力変換装置100Fは、第1実施形態の電力変換装置100と同一形態を有している。
【0112】
すなわち、電力変換装置100Fにおいて、第1出力端子1U,1V,1Wは、筐体4の互いに対向する一対の長辺の側壁の一方に対向するように配置され、第2出力端子2U,2V,2Wは、筐体4の互いに対向する一対の長辺の側壁の他方に対向するように配置されている。
【0113】
また、電力変換装置100Fの筐体4の側壁には、電動車両のモータ側に接続するコネクタ7を嵌め込むための挿通孔41が形成されている。挿通孔41は筐体4の長辺の側壁の一方であって第1出力端子1U,1V,1Wに対向する位置と、筐体4の長辺の側壁の他方であって第2出力端子2U,2V,2Wに対向する位置に配置されている。
【0114】
コネクタ7は、筐体4の側壁に挿通する凸部71と、凸部71から延出して第1出力端子1U,1U,1W、または第2出力端子2U,2V,2Wにネジ止めで接続する端子72U,72V,72Wを備える。図17に示すように凸部71は例えば長円形の形状を有している。よって、挿通孔41は、凸部71の外形に倣って長円形の形状を有している。
【0115】
第6実施形態の電力変換装置100Fの組み立ては、筐体4内に第1インバータモジュール1、第2インバータモジュール2、及びコンデンサモジュール3を実装した電力変換装置100Fを電動車両の所定位置に配置し、コネクタ7を挿通孔41に嵌め込む。そして、第1インバータモジュール1に対向するコネクタ7の端子72U,72V,72Wを第1出力端子1U,1V,1Wにネジ止めにより接続し、第2インバータモジュール2に対向するコネクタ7の端子72U,72V,72Wを第2出力端子2U,2V,2Wにネジ止めにより接続すればよい。
【0116】
一般に、電動車両のコネクタ7には、コネクタ固定部、及び水密・気密を確保するためのシール部が設けられており、第1インバータモジュール1の第1出力端子1U,1V,1W及び第2インバータモジュール2の第2出力端子2U,2V,2Wのそれぞれの配置範囲よりも大きい接続領域を必要とする。そのため、複数のコネクタ7の接続を筐体4の長辺の一方の側壁のみで行う場合、コネクタ7同士の干渉を回避するため第1インバータモジュール1と第2インバータモジュール2との間隔を広げる必要があり、これにより筐体4の長辺方向の寸法を長くする必要がある。
【0117】
しかし、第6実施形態(第1実施形態)の電力変換装置100Fでは、第1出力端子1U,1V,1Wを筐体4の互いに対向する一対の長辺の側壁の一方に対向するように配置し、第2出力端子2U,2V,2Wを、筐体4の互いに対向する一対の長辺の側壁の他方に対向するように配置している。これにより、筐体4の長辺方向の寸法を長くする必要はなく、小型化が可能となる。
【0118】
[第7実施形態]
図18は、第7実施形態の電力変換装置100Gの平面図である。第7実施形態の電力変換装置100Gは、図7図8に示す第1実施形態の変形例の電力変換装置100Aと類似するが、第2インバータモジュール2Gにおける第2入力端子2P,2N及び第2出力端子2U,2V,2Wの配置が第1インバータモジュール1における第1入力端子1P,1N及び第1出力端子1U,1V,1Wの配置と異なっている。
【0119】
第1インバータモジュール1では、第1インバータモジュール1の中央部を中心として第1出力端子1U,1V,1Wを時計回りに90度回転させると第1入力端子1P,1Nに重なる配置となっている。
【0120】
一方、第2インバータモジュール2Gでは、第2インバータモジュール2Gの中央部を中心として第2出力端子2U,2V,2Wを時計回りに270度回転させると第2入力端子2P,2Nに重なる配置となっている。
【0121】
そして、電力変換装置100Gにおいて、第1インバータモジュール1は第1出力端子1U,1V,1Wが筐体4の長辺の側壁に対向するように配置され、第2インバータモジュール2Gは第2出力端子2U,2V,2Wが筐体4の短辺の側壁に対向するように配置されている。
【0122】
また、第1インバータモジュール1は、第1入力端子1P,1N及び第1出力端子1U,1V,1Wが隣接して配置されていない縁辺が第2インバータモジュール2Gに対向するように配置され、第2インバータモジュール2Gは、第2入力端子2P,2N及び第2出力端子2U,2V,2Wが隣接して配置されていない縁辺が第1インバータモジュール1に対向するように配置されている。そして、コンデンサモジュール3Gが第1インバータモジュール1及び第2インバータモジュール2Gに積層して配置されている。
【0123】
上記のように、第2インバータモジュール2Gにおける第2入力端子2P,2N及び第2出力端子2U,2V,2Wの配置が第1インバータモジュール1における第1入力端子1P,1N及び第1出力端子1U,1V,1Wの配置と異なっていても、第1実施形態の変形例の電力変換装置100Aと同様の構成を構築することができる。
【0124】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
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